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特開2024-131689寝姿勢判定システム及び寝姿勢判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131689
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】寝姿勢判定システム及び寝姿勢判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20240920BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20240920BHJP
   A61B 5/08 20060101ALI20240920BHJP
   A61B 5/113 20060101ALI20240920BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61B5/11 100
A61B5/16 130
A61B5/08
A61B5/113
A61B5/0245 100C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042106
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】野々村 琢人
(72)【発明者】
【氏名】島田 紗樹
(72)【発明者】
【氏名】仁科 翠
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA14
4C017AC03
4C017BC01
4C017BC11
4C017BD02
4C017DD14
4C017FF30
4C038PP05
4C038PS00
4C038PS07
4C038SS09
4C038SV01
4C038VA04
4C038VA15
4C038VB31
4C038VB33
(57)【要約】
【課題】寝姿勢の改善を促すことができると共に、生活を改善できる有用な情報を提供できる寝姿勢判定システム及び寝姿勢判定プログラムを提供する。
【解決手段】一実施形態に係る寝姿勢判定システム20は、寝具に搭載されており、寝具に載せられた寝具の使用者の身体の荷重を受けて荷重に応じた波形を出力するセンサ部11と、センサ部11によって出力された波形から使用者の寝姿勢を判定する寝姿勢判定部56と、寝姿勢判定部56によって判定された寝姿勢から使用者の寝姿勢を改善するためのアドバイスを生成するアドバイス生成部58と、を備える。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝具に搭載されており、前記寝具に載せられた前記寝具の使用者の身体の荷重を受けて前記荷重に応じた波形を出力するセンサ部と、
前記センサ部によって出力された前記波形から前記使用者の寝姿勢を判定する寝姿勢判定部と、
前記寝姿勢判定部によって判定された前記寝姿勢から前記使用者の寝姿勢を改善するためのアドバイスを生成するアドバイス生成部と、
を備える、
寝姿勢判定システム。
【請求項2】
前記センサ部は、前記使用者の呼吸を示す情報である呼吸情報、前記使用者の体動を示す情報である体動情報、及び前記使用者の心拍を示す情報である心拍情報の少なくとも1つを前記波形として取得し、
前記呼吸情報、前記体動情報及び前記心拍情報の少なくとも1つを示す前記波形から、前記使用者の睡眠状態を示す情報である睡眠状態を取得する睡眠状態取得部と、
前記アドバイス生成部によって生成された前記アドバイス、及び前記睡眠状態取得部によって取得された前記睡眠状態を表示する表示部と、
を備える、
請求項1に記載の寝姿勢判定システム。
【請求項3】
前記センサ部は、前記使用者の心拍を示す情報である心拍情報を前記波形として取得し、
前記心拍情報から、前記使用者の自律神経の状態を示す情報である自律神経情報を取得する自律神経取得部を備え、
前記アドバイス生成部は、前記自律神経取得部によって取得された前記自律神経情報を含めた前記アドバイスを生成する、
請求項1又は2に記載の寝姿勢判定システム。
【請求項4】
前記センサ部は、前記使用者の呼吸の状態を示す情報である呼吸情報を前記波形として取得し、
前記呼吸情報から前記使用者の無呼吸の状態を検出する無呼吸状態取得部を備え、
前記アドバイス生成部は、前記無呼吸状態取得部によって取得された前記無呼吸の状態を含めた前記アドバイスを生成する、
請求項1又は2に記載の寝姿勢判定システム。
【請求項5】
コンピュータに、
寝具に搭載されたセンサ部が出力した前記寝具の使用者の荷重を示す波形から前記使用者の寝姿勢を判定するステップと、
前記判定するステップにおいて判定された前記寝姿勢から前記使用者の寝姿勢を改善するためのアドバイスを生成するステップと、
を実行させるための寝姿勢判定プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、寝具の使用者の寝姿勢を判定する寝姿勢判定システム及び寝姿勢判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、生体情報表示装置が記載されている。生体情報表示装置は、長方形状のセンサシートと、センサシートの端部に取り付けられた制御部とを備える。生体情報表示装置は、ベッドに敷いて使用される。ベッドは、敷き寝具を載置するための載置部と、載置部の端部から立設された背板部とからなり、生体情報表示装置は当該載置部に載置された敷き寝具の下部に挿入されて使用される。
【0003】
センサシートは、上から順番に、上PUフィルム、感圧素子層、PVCシート、及び下PUフィルムが積層されて形成されている。感圧素子層は、センサとしての複数の感圧素子を有する。制御部は、A/D変換器、マイコン、メモリ及び表示部を有する。制御部においては、感圧素子層の各感圧素子の荷重信号がA/D変換器によってアナログ値からデジタル値に変換されてマイコンに取り込まれる。
【0004】
マイコンは、記憶された荷重信号に基づき、所定のプログラムに基づく手順に従って処理を行い、呼吸曲線(呼吸信号)を生成すると共に、その呼吸曲線に基づいて判定される無呼吸状態又は低呼吸状態の発生回数又は時間を表示部に出力する。また、マイコンは、体動の有無を判定して体動情報を表示部に出力したり、体位を判定し体位情報及び寝姿を表示部に出力したりする。表示部は、呼吸情報及び体動情報と共に、体位情報及び寝姿の時系列データをディスプレイに表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3960298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した生体情報表示装置では、体位情報及び寝姿の時系列データがディスプレイに表示される。しかしながら、体位情報及び寝姿が表示されるだけでは、寝姿勢を把握することはできるものの寝姿勢をどのように改善すればよいかを把握することはできない。従って、寝姿勢を改善させることができる情報の提供が求められる場合がある。更に、寝姿勢を改善させて使用者の生活を改善させることが求められうる。
【0007】
本開示は、寝姿勢の改善を促すことができると共に、生活を改善できる有用な情報を提供できる寝姿勢判定システム及び寝姿勢判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る寝姿勢判定システムは、(1)寝具に搭載されており、寝具に載せられた寝具の使用者の身体の荷重を受けて荷重に応じた波形を出力するセンサ部と、センサ部によって出力された波形から使用者の寝姿勢を判定する寝姿勢判定部と、寝姿勢判定部によって判定された寝姿勢から使用者の寝姿勢を改善するためのアドバイスを生成するアドバイス生成部と、を備える。
【0009】
この寝姿勢判定システムは寝具に搭載されたセンサ部を備え、センサ部は寝具に載せられた使用者の身体の荷重を受けて当該荷重に応じた波形を出力する。センサ部によって出力された波形から寝姿勢判定部によって寝姿勢が判定される。寝姿勢判定システムでは、寝姿勢判定部によって判定された寝姿勢から使用者の寝姿勢を改善させるためのアドバイスが生成される。よって、使用者は、自分の寝姿勢を改善させるためのアドバイスを受けることができる。従って、寝姿勢を改善させて使用者の生活を改善させることができる。
【0010】
(2)上記(1)において、センサ部は、使用者の呼吸を示す情報である呼吸情報、使用者の体動を示す情報である体動情報、及び使用者の心拍を示す情報である心拍情報の少なくとも1つを波形として取得してもよい。寝姿勢判定システムは、呼吸情報、体動情報及び心拍情報の少なくとも1つを示す波形から、使用者の睡眠状態を示す情報である睡眠状態を取得する睡眠状態取得部と、アドバイス生成部によって生成されたアドバイス、及び睡眠状態取得部によって取得された睡眠状態を表示する表示部と、を備えてもよい。この場合、センサ部は、呼吸情報、体動情報及び心拍情報の少なくとも1つを波形として取得し、当該波形から使用者の睡眠状態が睡眠状態取得部によって取得される。睡眠状態取得部によって取得された睡眠状態はアドバイスと共に表示部によって表示される。従って、使用者は、自分の寝姿勢の傾向と睡眠状態と共にアドバイスを受けることができるので、使用者にとってより有用な情報を提供できる。
【0011】
(3)上記(1)又は(2)において、センサ部は、使用者の心拍を示す情報である心拍情報を波形として取得してもよい。寝姿勢判定システムは、心拍情報から、使用者の自律神経の状態を示す情報である自律神経情報を取得する自律神経取得部を備えてもよい。アドバイス生成部は、自律神経取得部によって取得された自律神経情報を含めたアドバイスを生成してもよい。この場合、使用者は、自分の寝姿勢の傾向と共に自律神経の状態を把握できるので、使用者にとって更に有用な情報を提供できる。
【0012】
(4)上記(1)~(3)のいずれかにおいて、センサ部は、使用者の呼吸の状態を示す情報である呼吸情報を波形として取得してもよい。寝姿勢判定システムは、呼吸情報から使用者の無呼吸の状態を検出する無呼吸状態取得部を備えてもよい。アドバイス生成部は、無呼吸状態取得部によって取得された無呼吸の状態を含めたアドバイスを生成してもよい。この場合、無呼吸状態取得部が使用者の無呼吸の状態を検出することにより、使用者は、自分に無呼吸が生じているか否か、及び無呼吸の頻度を把握することができる。更に、アドバイス生成部は、無呼吸の状態を加味したアドバイスを生成する。従って、使用者は、自分の無呼吸の状態を改善するための情報を得ることができる。
【0013】
本開示に係る寝姿勢判定プログラムは、(5)コンピュータに、寝具に搭載されたセンサ部が出力した寝具の使用者の荷重を示す波形から使用者の寝姿勢を判定するステップと、判定するステップにおいて判定された寝姿勢から使用者の寝姿勢を改善するためのアドバイスを生成するステップと、を実行させる。
【0014】
この寝姿勢判定プログラムでは、使用者の身体が載せられる寝具に搭載されたセンサ部によって出力された波形から使用者の寝姿勢が判定される。寝姿勢判定プログラムでは、判定された寝姿勢から使用者の寝姿勢を改善させるためのアドバイスを生成する。従って、使用者は、自分の寝姿勢を改善させるためのアドバイスを受けることができるので、前述した寝姿勢判定システムと同様、寝姿勢を改善させて使用者の生活を改善させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、寝姿勢の改善を促すことができると共に、生活を改善できる有用な情報を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)は、実施形態に係る寝具及びセンサ部の例を示す斜視図である。(b)は、(a)の寝具の芯材を示す斜視図である。
図2図1(a)のセンサ部を示す平面図である。
図3図1(a)の寝具に対するセンサ部の取付構造の例を示す斜視図である。
図4図2のセンサ部の詳細構造を示す斜視図である。
図5】実施形態に係る寝姿勢判定システム及び寝姿勢判定プログラムを示すブロック図である。
図6】(a)、(b)及び(c)は、図1(a)のセンサ部によって取得された波形の例を示す図である。
図7図5の寝姿勢判定システムの表示部によって表示された画面の例を示す図である。
図8図5の寝姿勢判定システムの表示部によって表示された画面の例を示す図である。
図9図5の寝姿勢判定システムの表示部によって表示された画面の例を示す図である。
図10図5の寝姿勢判定システムの表示部によって表示された画面の例を示す図である。
図11図5の寝姿勢判定システムの表示部によって表示された画面の例を示す図である。
図12図5の寝姿勢判定システムの表示部によって表示された画面の例を示す図である。
図13図5の寝姿勢判定システムの表示部によって表示された画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る寝姿勢判定システム及び寝姿勢判定プログラムの実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0018】
本開示に係る寝姿勢判定システム及び寝姿勢判定プログラムは、使用者の寝姿勢を判定すると共に、使用者に寝姿勢の改善のためのアドバイスを提供する。寝姿勢判定システム及び寝姿勢判定プログラムは、個人用又は家庭用として用いられてもよいし、試験研究用として用いられてもよい。寝姿勢判定システム及び寝姿勢判定プログラムは、病院又は福祉施設等の施設で用いられてもよい。
【0019】
「使用者」は、寝姿勢判定システム又は寝姿勢判定プログラムを使用する者をいう。使用者は、寝具の使用者であってもよい。使用者は、例えば、寝姿勢の判定を希望する人、睡眠の悩みを抱えている人、又は睡眠を上手くとれずに心身に不調をきたしている人である。「使用者」の数は、1人であってもよいし、複数人であってもよい。寝姿勢判定システム及び寝姿勢判定プログラムは、複数の使用者に対して用いられるものであってもよい。
【0020】
本開示に係る寝姿勢判定システムは、寝具に搭載されるセンサ部を有する。最初に図1(a)及び図1(b)を参照しながらセンサ部の例について説明する。図1(a)は、一例としてのセンサ部11が搭載された寝具1を示す斜視図である。図1(b)は、寝具1の芯材2を示す斜視図である。
【0021】
図1(a)及び図1(b)に示されるように、寝具1は、平面視において長方形状を呈するクッション体である。寝具1は、長手方向D1、及び長手方向D1と直交する短手方向D2に延在する。寝具1は、長手方向D1及び短手方向D2の双方に直交する厚さ方向D3に厚みを有する。
【0022】
例えば、寝具1はマットレスである。寝具1は、芯材2と、芯材2を収容する側地3とを有する。芯材2は、例えば、内容物と、当該内容物を収容する袋体とを有する。当該内容物は、例えば、ウレタンフォーム又はポリエステルである。当該袋体の材料は、例えば、綿又はポリエステルである。芯材2は、使用者の身体が載せられる上面2bと、上面2bとは反対側を向く下面2cと、上面2b及び下面2cを互いに接続する複数の側面2dとを有する。
【0023】
側地3は、例えば、芯材2の上面2bを覆う上生地3bと、芯材2の下面2cを覆う下生地3cと、上生地3b及び下生地3cを互いに繋ぐ開閉部材3dとを有する。開閉部材3dは、芯材2の側面2dに対向する位置に配置される。厚さ方向D3から見た場合において、開閉部材3dは、芯材2の側面2dの外側に位置する。
【0024】
側地3は、芯材2に対して着脱可能とされている。「芯材に対して着脱可能」とは、芯材に対して側地を捲り上げること、及び、側地を捲って芯材の一部を露出させることを含んでいる。開閉部材3dは、一例として、ダブルスライダである。例えば、開閉部材3dは、2つのスライダ3fと、スライダ3fの移動経路であってスライダ3fの移動によって下生地3cに対する上生地3bの着脱を行うエレメント3gとを有する。
【0025】
下生地3cに上生地3bが取り付けられた状態において、2つのスライダ3fの間には後述するケーブル14bが通される開口4が形成される。この状態で2つのスライダ3fのうちのいずれかがエレメント3gに沿って移動することによって開口4が広がり、広がった開口4から芯材2を取り出すことが可能である。また、下生地3cに芯材2を収容した状態で開口4が閉じられるように2つのスライダ3fのうちのいずれかをエレメント3gに沿って移動させることにより、下生地3cに上生地3bを取り付けることが可能となる。
【0026】
側地3は、センサ部11が固定される被固定部3hを有する。被固定部3hは、側地3の裏面に設けられている。側地3は、複数の被固定部3hを有する。被固定部3hは、例えば、上生地3bにおける芯材2の側面2dに対向する位置に設けられている。一例として、複数の被固定部3hは、長手方向D1に沿って配列されている。図1(a)の例では、2つの被固定部3hが厚さ方向D3に沿って配列されている。例えば、厚さ方向D3に沿って並ぶ2つの被固定部3hによって構成される複数(一例として4つ)の列が長手方向D1に沿って並んでいる。例えば、被固定部3hは、スナップボタン3sによって構成されている。
【0027】
例えば、センサ部11は、芯材2と側地3との間に配置されるセンサシートである。センサ部11は、寝具1の使用者のバイタルデータを取得する。バイタルデータは、例えば、使用者の心拍、呼吸、及び体動に関する情報を含む。バイタルデータの内容は適宜変更可能である。バイタルデータは、例えば、血圧に関する情報を含んでもよい。
【0028】
センサ部11は、例えば、長手方向D1における使用者の心臓と対応する位置に配置される。センサ部11は、一例として、使用者の頭部が載せられる位置から寝具1の長手方向D1に離隔した位置(図1(a)における右下側の位置)までのいずれかの位置に配置される。
【0029】
例えば、センサ部11は、センサ部11の長手方向である第1方向A1に沿って延在する長辺11bと、センサ部11の短手方向である第2方向A2に沿って延在する短辺11cとを有する。例えば、センサ部11は、長辺11bが寝具1の短手方向D2に沿って延び、且つ短辺11cが寝具1の長手方向D1に沿って延びるように配置される。
【0030】
図2は、センサ部11を示す平面図である。図1(a)及び図2に示されるように、センサ部11は、例えば、シート状生地12と、センサ13と、電力供給部14とを備える。センサ部11が寝具1に配置された状態において、シート状生地12の中央部は芯材2の上面2bに載せられると共に、シート状生地12の第1方向A1の両端部は芯材2の側面2dに対向する。例えば、シート状生地12は伸縮性を有する。
【0031】
例えば、シート状生地12は、第1方向A1及び第2方向A2の双方に交差する第3方向A3に沿って3枚の生地が重ねられた3重構造となっている。シート状生地12は、内側生地12bと、内側生地12bを収容する外側生地12cとを有する。外側生地12cの内部において、内側生地12bは外側生地12cに縫製されている。一例として、内側生地12bの周縁部が外側生地12cに縫製されている。
【0032】
例えば、外側生地12cは防水性を有する材料によって構成されている。一例として、外側生地12cは、生地の裏面(外側生地12cの内側の面)にラミネート加工又は樹脂加工が施された生地であってもよい。外側生地12cはメンブレン生地であってもよい。外側生地12cは撥水性を有する生地であってもよい。
【0033】
センサ13は、例えば、シート状生地12に刺繍されておりセンサ部11に載せられた使用者の身体からバイタルデータを検出する糸状センサ15と、糸状センサ15によって検出されたバイタルデータを取得するデータ取得部16とを有する。例えば、糸状センサ15は内側生地12bに刺繍されている。糸状センサ15は、例えば、シート状生地12において2次元的に広がるように刺繍によって固定されている。データ取得部16は、内側生地12bの第1方向A1の端部に固定されている。データ取得部16は、取得したバイタルデータをセンサ部11の外部に出力する。データ取得部16の機能については後に詳述する。
【0034】
糸状センサ15は、寝具1の使用者のバイタルデータを検出する。糸状センサ15は、一例として、圧電センサである。但し、糸状センサ15の種類は特に限定されない。例えば、糸状センサ15は1本のセンサであり、1本の糸状センサ15がシート状生地12において2次元的に広がるように刺繍によって固定されている。図2の例では、糸状センサ15は、シート状生地12の第2方向A2の中央を通ると共に第1方向A1に沿って延びる中心線Lに対して対称な形状を呈する。
【0035】
例えば、糸状センサ15は、第3方向A3に沿って見たときに曲線状を呈する曲線部15bと、第3方向A3に沿って見たときに直線状を呈する直線部15cとを有する。曲線部15bは、中心線Lから見て短手方向D2の一方側に位置する第1波形部15dと、中心線Lから見て短手方向D2の他方側に位置する第2波形部15fとを有する。
【0036】
第1波形部15dは第1方向A1に沿って交互に並ぶ第1山部15h及び第1谷部15jを有し、第2波形部15fは第1方向A1に沿って交互に並ぶ第2山部15k及び第2谷部15pを有する。第1波形部15d及び第2波形部15fは、シート状生地12におけるデータ取得部16とは反対側の端部において互いに接続されている。
【0037】
直線部15cは、第2方向A2に沿って並ぶように配置された第1直線部15q及び第2直線部15rを有する。第1直線部15qの第1方向A1の一端は、第1波形部15dの第1方向A1の端部に接続されている。第2直線部15rの第1方向A1の一端は、第2波形部15fの第1方向A1の端部に接続されている。
【0038】
第1直線部15qの第1波形部15dとは反対側の端部、及び第2直線部15rの第2波形部15fとは反対側の端部のそれぞれはデータ取得部16に接続されている。以上のように、第1直線部15q、第1波形部15d、第2波形部15f及び第2直線部15rが互いに接続されることにより、糸状センサ15は1本のセンサとして形成されている。
【0039】
電力供給部14は、データ取得部16に電力を供給することによってセンサ13を起動させる。電力供給部14は、例えば、ケーブル14bとプラグ14cとを有する。ケーブル14bの一端はデータ取得部16に接続されており、ケーブル14bの他端にはコネクタ14dが設けられている。ケーブル14bは、コネクタ14dを介してプラグ14cに接続される。例えば、プラグ14cはコンセントに挿し込まれる。これにより、電力供給部14では、プラグ14cからコネクタ14d及びケーブル14bを介してデータ取得部16に電力が供給される。
【0040】
センサ部11は、固定部17,18を備える。固定部17,18は、側地3にシート状生地12を固定する部位である。固定部17、18は、側地3に対して着脱可能とされている。固定部17はシート状生地12の第1方向A1の一端側に設けられ、固定部18はシート状生地12の第1方向A1の他端側に設けられている。
【0041】
固定部17,18のそれぞれは、スナップボタン19を有する。スナップボタン19は、例えば、側地3のスナップボタン3sに係止する。固定部17,18のそれぞれは、複数(一例として4つ)のスナップボタン19を有する。固定部17では、第1方向A1に沿って並ぶ2つのスナップボタン19が、シート状生地12の第2方向A2の一端側に設けられている。固定部17では、第1方向A1に沿って並ぶ2つのスナップボタン19が、シート状生地12の第2方向A2の他端側に設けられている。固定部17では、例えば、複数のスナップボタン19が多角形状(一例として四角形状)を成すように配置されている。なお、固定部18におけるスナップボタン19の配置は、固定部17におけるスナップボタン19の配置と同様であるため、説明を省略する。
【0042】
シート状生地12のうち固定部17,18が設けられていない部分は、芯材2の上面2bに載せられる。固定部17,18のそれぞれは、芯材2の側面2dに対向する位置において側地3の被固定部3hに固定される。このとき、各スナップボタン19が被固定部3hを構成する各スナップボタン3sに係止される。
【0043】
図3は、センサ部11の側地3に対する固定部分を示す斜視図である。図3は、センサ部11が側地3に固定された状態において、側地3の上生地3bが捲られた状態を図示している。固定部17,18は、芯材2の側面2dと側地3との間の位置において側地3にシート状生地12を固定する。
【0044】
固定部18において第1方向A1に沿って並ぶ2つのスナップボタン19のそれぞれは、側地3の被固定部3h(図1参照)に固定される。前述したように、被固定部3hは、側地3における厚さ方向D3に配列された2つのスナップボタン3sを有する。固定部18における第1方向A1に配列された2つのスナップボタン19のそれぞれは、側地3における厚さ方向D3に配列された2つのスナップボタン3sのそれぞれに係止される。固定部17は、固定部18と同様、側地3における被固定部3hのスナップボタン3sに係止される。
【0045】
上記のように、複数のスナップボタン19を用いてセンサ部11が側地3に固定されることにより、使用者の身体が寝具1に載せられたときにセンサ部11の位置がずれることを抑制できる。また、固定部17,18がスナップボタン19を介してセンサ部11を側地3に固定するため、側地3からセンサ部11を容易に外すことができる。
【0046】
図4は、一例としてのデータ取得部16を示す斜視図である。データ取得部16は、電気機能部16bと、取付部材16cと、ネジ16dとを有する。電気機能部16bは、電子部品と、当該電子部品を収容する筐体16fとを有する。当該電子部品は、糸状センサ15に電気的に接続されている。
【0047】
筐体16fは、ケーブル14bの一端が差し込まれる差込口16hと、ネジ16dを挿入するための挿入穴とを有する。当該挿入穴の内面には、ネジ16dが螺合される螺合溝が形成されている。取付部材16cは、電気機能部16bをシート状生地12に取り付けるための部材である。取付部材16cは、板状部16jと、板状部16jの第1方向A1の端部(図4では右下の端部)から第3方向A3に突出する突出部16kとを有する。板状部16jは、板状部16jを第3方向A3に貫通する貫通孔16pを有する。
【0048】
データ取得部16をシート状生地12に固定する方法について説明する。まず、電気機能部16bをシート状生地12(内側生地12b又は外側生地12c)に配置する。一例として、内側生地12bの表面に電気機能部16bが配置され、取付部材16cを内側生地12bの裏面(図4における下側の面)に配置する。このとき、板状部16jが内側生地12bの裏面に接触する。板状部16jは、突出部16kがシート状生地12の第1方向A1の端部よりも第1方向A1に突出し、且つ第3方向A3(図4では上方)に突出するように配置される。
【0049】
続いて、第3方向A3に沿ってネジ16dを貫通孔16pに挿通する。例えば、シート状生地12にはネジ16dが挿通される孔が形成されており、貫通孔16pに挿通されたネジ16dは当該孔を貫通する。そして、当該孔を貫通したネジ16dを筐体16fの挿入穴の螺合溝に螺合させる。これにより、電気機能部16b及び取付部材16cの間に内側生地12bが挟み込まれ、データ取得部16がシート状生地12に固定される。
【0050】
以上、データ取得部16の構成、及び、シート状生地12に対するデータ取得部16の固定態様の例について説明した。しかしながら、データ取得部16の構成、及び、シート状生地12に対するデータ取得部16の固定態様は、上記の例に限られず適宜変更可能である。また、データ取得部16は、シート状生地12に固定されなくてもよい。
【0051】
次に、実施形態に係る寝姿勢判定システム及び寝姿勢判定プログラムについて説明する。図5は、一実施形態に係る寝姿勢判定システム20及び寝姿勢判定プログラム40の機能構成を示すブロック図である。図5に示されるように、寝姿勢判定システム20は、例えば、センサ部11と、情報端末21と、睡眠状態改善機器22とを備える。
【0052】
情報端末21は、寝姿勢判定プログラム40の各ステップを実行するコンピュータである。情報端末21は、例えば、携帯端末である。「携帯端末」は、例えば、スマートフォンを含む携帯電話、タブレット又はノートパソコン、腕時計等のウェアラブル端末等、携帯可能な情報端末を示している。情報端末21は、携帯端末以外の端末であってもよく、例えば、デスクトップのコンピュータであってもよい。
【0053】
情報端末21は、一例として、オペレーティングシステム及びソフトウェア(アプリケーション)等を実行するプロセッサ(例えばCPU)と、ROM及びRAMによって構成される主記憶部と、フラッシュメモリ等によって構成される補助記憶部と、無線通信モジュール等によって構成される通信制御部と、入力装置と、ディスプレイ等の出力装置とを備える。但し、情報端末21の構成は、上記に限定されず適宜変更可能である。以下では、ROM及びRAMをまとめてメモリと称することがある。
【0054】
情報端末21では、アプリケーションプログラムとして寝姿勢判定プログラム40が実行される。寝姿勢判定プログラム40は、例えば、情報端末21にダウンロードされ、情報端末21において実行されるアプリケーションである。しかしながら、寝姿勢判定プログラム40は、サーバにおいて実行されてもよい。寝姿勢判定プログラム40は、当該サーバからダウンロードされるものであってもよい。以下では、寝姿勢判定プログラム40が情報端末21にダウンロードされたアプリケーションであって、寝姿勢判定プログラム40の機能が情報端末21において実行される例について説明する。
【0055】
寝姿勢判定プログラム40の各機能は、プロセッサ又は主記憶部に所定のソフトウェアを読み込ませて当該ソフトウェアを実行することによって実現される。プロセッサは、当該ソフトウェアに従って、前述した通信制御部、入力装置又は出力装置を動作させ、主記憶部又は補助記憶部におけるデータの読み出し及び書き込みを行う。寝姿勢判定プログラム40の機能の実行に必要なデータ又はデータベースは主記憶部又は補助記憶部に格納される。
【0056】
情報端末21の各機能要素は、プロセッサ又は記憶部(例えば前述した主記憶部又は補助記憶部)に所定のソフトウェアを読み込ませて当該ソフトウェアを実行することによって実現される。プロセッサは、当該ソフトウェアに従って、前述した通信制御部、入力装置又は出力装置を動作させ、記憶部におけるデータの読み出し及び書き出しを行う。情報端末21の処理に用いられるデータ又はデータベースは記憶部に格納される。
【0057】
寝姿勢判定プログラム40は、複数のコンピュータによって構成される分散処理システムであってもよいし、クライアントサーバシステム、又はクラウドシステムであってもよい。寝姿勢判定プログラム40は、例えば、メインモジュール、データ取得モジュール、判定モジュール、及び出力モジュールを含む。データ取得モジュール、判定モジュール、及び出力モジュールが実行されることによって寝姿勢判定プログラム40の各機能要素が機能する。寝姿勢判定プログラム40は、一例として、CD-ROM、DVD-ROM、又は半導体メモリ等の有形の記憶媒体に固定的に記録された上で提供されるものであってもよい。寝姿勢判定プログラム40は、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されるものであってもよい。
【0058】
前述したように、センサ部11は、使用者の身体の情報をバイタルデータとして取得する。センサ部11は、呼吸情報、体動情報、及び心拍情報の少なくとも1つをバイタルデータとして取得する。本実施形態では、センサ部11は、呼吸情報、体動情報、及び心拍情報を取得する。呼吸情報は、使用者の呼吸を示す情報である。体動情報は、使用者の体動を示す情報である。心拍情報は、使用者の心拍を示す情報である。センサ部11が取得する情報の内容は、適宜変更可能である。センサ部11は、例えば、血圧を示す情報(血圧情報)及び脈拍の少なくともいずれかを取得してもよい。
【0059】
センサ部11は、付与された使用者の身体の荷重から当該荷重に応じた電気信号を生成する。センサ部11は当該電気信号を波形として生成し、当該波形には前述した呼吸情報、体動情報及び心拍情報が含まれる。以下では、波形と信号と称することもある。センサ部11は、当該波形をセンサ部11の外部に出力する通信部を有する。なお、上記ではセンサ部11が糸状センサ15を有する例について説明した。しかしながら、センサ部11は、糸状センサ15以外のセンサを含んでいてもよく、例えば、加速度センサを含んでいてもよい。
【0060】
呼吸情報は、使用者の呼吸に伴う体動を示す信号(波形)を含む。「呼吸に伴う体動」とは、呼吸に伴う身体の動きを示している。センサ部11は、使用者の呼吸に伴う体動を検出する。センサ部11は、当該呼吸に伴う体動を示す信号をセンサ部11の外部に出力する。心拍情報は、使用者の心拍に伴う体動を示す信号を含む。「心拍に伴う体動」とは、心拍に伴う身体の動きを示している。
【0061】
センサ部11は、使用者の心拍に伴う体動を検出する。センサ部11は、当該心拍に伴う体動を示す信号をセンサ部11の外部に出力する。体動情報は、使用者の呼吸及び心拍に伴わない体動を示す信号を含む。「呼吸及び心拍に伴わない体動」とは、呼吸及び心拍とは関係がない身体の動き、例えば、寝返りによる身体の移動を示している。センサ部11は、使用者の呼吸及び心拍に伴わない体動を検出する。センサ部11は、呼吸及び心拍に伴わない体動を示す信号をセンサ部11の外部に出力する。
【0062】
次に、寝姿勢判定プログラム40の機能構成について説明する。寝姿勢判定プログラム40は、記憶部41と、表示部42と、通信部43とを有する。記憶部41は、寝姿勢判定プログラム40の機能の実行に用いられるデータ、及び寝姿勢判定プログラム40の機能の実行の結果得られたデータを記憶する。記憶部41は、例えば、情報端末21のメモリにデータを記憶する。この場合、記憶部41の機能は、情報端末21のCPU及びメモリによって実現される。
【0063】
例えば、表示部42は、寝姿勢判定プログラム40の機能の実行の結果を情報端末21のディスプレイ21bに表示する。この場合、表示部42の機能は、情報端末21のCPU及び出力装置によって実現される。但し、表示部42は、寝姿勢判定プログラム40の機能の実行の結果を情報端末21以外の端末のディスプレイに表示してもよい。
【0064】
通信部43は、記憶部41に記憶されるデータを情報端末21以外の端末と送受信する。例えば、通信部43は、寝姿勢判定プログラム40の機能の実行の結果得られたデータを情報端末21の外部の情報端末に送信する。また、通信部43は、情報端末21の外部の情報端末からのデータを情報端末21に受信してもよい。通信部43の機能は、情報端末21の通信制御部によって実現される。
【0065】
寝姿勢判定プログラム40は、その機能構成として、波形検出部51と、体動取得部52と、呼吸取得部53と、心拍取得部54と、寝返り判定部55と、寝姿勢判定部56と、睡眠状態取得部57と、アドバイス生成部58と、機器制御部59と、自律神経取得部60と、無呼吸状態取得部61と、寝姿勢状況生成部62とを有する。波形検出部51、体動取得部52、呼吸取得部53、心拍取得部54、寝返り判定部55、寝姿勢判定部56、睡眠状態取得部57、アドバイス生成部58、機器制御部59、自律神経取得部60、無呼吸状態取得部61及び寝姿勢状況生成部62の機能は、情報端末21にインストールされた寝姿勢判定プログラム40の命令に従って情報端末21のCPUが動作することによって実現される。自律神経取得部60は、センサ部11によって取得された心拍情報から、使用者の自律神経の状態を示す情報である自律神経情報を取得する。無呼吸状態取得部61は、センサ部11によって取得された呼吸情報から使用者の無呼吸の状態を検出する。
【0066】
波形検出部51は、センサ部11が生成した波形を通信部43を介して検出する。例えば、波形検出部51が検出する波形には、呼吸情報、体動情報及び心拍情報を示す波形が含まれている。波形検出部51が検出する波形には、血圧情報及び脈拍の少なくともいずれかが含まれていてもよい。
【0067】
体動取得部52は、波形検出部51を介して得られた波形から使用者の体動情報を取得する。呼吸取得部53は、波形検出部51を介して得られた波形から使用者の呼吸情報を取得する。心拍取得部54は、波形検出部51を介して得られた波形から使用者の心拍情報を取得する。
【0068】
寝返り判定部55は、例えば、前述した糸状センサ15から得られた波形として示される電圧値を基に使用者の寝返りの有無を判定する。寝返り判定部55は、当該波形から寝返りの有無を判定し、当該波形から寝返りがあったと判定したときに当該寝返りの情報を記憶部41に記憶してもよい。当該寝返りの情報とは、仰向けから横向き、又は横向きからうつ伏せ等、寝返りが変化した情報を示している。
【0069】
寝姿勢判定部56は、センサ部11によって出力された波形から使用者の寝姿勢を判定する。寝返り判定部55は、寝返りがあったか否かを判定するのに対し、寝姿勢判定部56は、そのときの使用者の寝返りを判定する点で、寝返り判定部55とは異なる機能を有する。寝姿勢判定部56は、情報端末21において、センサ部11が出力した寝具1の使用者の荷重を示す波形から使用者の寝姿勢を判定するステップを実行する。
【0070】
寝姿勢判定部56は、センサ部11が出力した波形から使用者の寝姿勢が仰向けであるか、横向きであるか、又はうつ伏せであるかを判定する。図6(a)は仰向けのときに得られた波形の例、図6(b)は横向きのときに得られた波形の例、図6(c)はうつ伏せのときに得られた波形の例、をそれぞれ示している。図6(a)~図6(c)のそれぞれにおいて、横軸は時間を示しており、縦軸は電圧値の振幅を示している。
【0071】
図6(a)に示されるように、仰向けのときには、背中及びお尻等比較的平坦な部分がセンサ部11に当たり、圧力が集中しにくいことが多いので、センサ部11によって比較的振幅が小さい波形W1を得られる。図6(b)に示されるように、横向きのときには、肩、腸骨の出っ張った部分、上腕部、肘、前腕部、脇腹又は肋骨等、比較的突出した部分がセンサ部11に当たり、圧力が一点に集中しやすいので、センサ部11によって比較的振幅が大きい波形W2を得られる。図6(c)に示されるように、うつ伏せのときには、センサ部11から心臓までの距離が近かったり、身体の前面と側地3との間に手が挟まったりするので、他の場合と比較してノイズが多い波形W3を得られる。
【0072】
例えば、記憶部41は、仰向けを示す第1模擬波形、横向きを示す第2模擬波形、及びうつ伏せを示す第3模擬波形を予め記憶している。第1模擬波形は波形W1に類似の波形であり、第2模擬波形は波形W2に類似の波形であり、第3模擬波形は波形W3に類似の波形である。
【0073】
例えば、寝姿勢判定部56は、センサ部11によって出力された波形を第1模擬波形、第2模擬波形及び第3模擬波形と比較し、センサ部11によって出力された波形が第1模擬波形、第2模擬波形及び第3模擬波形のうちどの波形に最も近いかを判定する。この場合、寝姿勢判定部56は、センサ部11によって出力された波形が第1模擬波形に最も近いと判定したときに使用者の寝姿勢が仰向けであると判定し、センサ部11によって出力された波形が第2模擬波形に最も近いと判定したときに使用者の寝姿勢が横向きであると判定し、センサ部11によって出力された波形が第3模擬波形に最も近いと判定したときに使用者の寝姿勢がうつ伏せであると判定する。
【0074】
例えば、寝姿勢判定部56は、仰向け、横向き、及びうつ伏せのそれぞれの時系列データを測定してもよい。本実施形態では、寝姿勢判定部56は、糸状センサ15から得られた電圧値の波形を基に使用者の寝姿勢を判定する。寝姿勢判定部56は、使用者の仰向けの時間及び回数、使用者の横向きの時間及び回数、並びに、使用者のうつ伏せの時間及び回数を測定してもよい。
【0075】
例えば、睡眠状態取得部57は、呼吸情報、体動情報、及び心拍情報から睡眠段階を取得する。睡眠状態取得部57は、就床時刻から入眠時刻までの時間から入眠状態(寝付きの良さ)を取得する。睡眠状態取得部57は、覚醒時刻から起床時刻までの時間、及び覚醒時刻の一定時間前の睡眠段階から覚醒状態(目覚めの良さ)を取得する。当該一定時間は、例えば予め設定されており、適宜変更可能である。覚醒時刻の一定時間前とは、例えば、覚醒時刻の直前を意味する。このように、覚醒時刻の一定時間前における睡眠段階から覚醒状態が取得される場合、目覚めの良さを効果的に把握できる。
【0076】
就床時刻とは、使用者が床についた時刻を言う。起床時刻とは、使用者が翌朝等に起床した時刻を言う。入眠時刻とは、就床時刻から起床時刻までの間において、睡眠段階が最初に睡眠の段階(覚醒以外の段階)となった時刻を言う。覚醒時刻とは、就床時刻から起床時刻までの間において、睡眠段階が最後に覚醒の段階となった時刻を言う。
【0077】
本実施形態では、睡眠状態取得部57は、センサ部11により取得された体動情報、及びセンサ部11の加速度センサにより検知された寝具の動きから使用者の就床時刻及び起床時刻を取得する。睡眠状態取得部57は、センサ部11から出力された呼吸に伴う体動を示す信号、心拍に伴う体動を示す信号、並びに呼吸及び心拍に伴わない体動を示す信号を用いて睡眠段階を取得する。
【0078】
例えば、睡眠状態取得部57は、就床時刻及び睡眠段階から入眠時刻を取得する。より具体的には、睡眠状態取得部57は、就床時刻から起床時刻までの間において、睡眠段階が最初に睡眠の段階となった時刻を入眠時刻として取得する。睡眠状態取得部57は、起床時刻及び睡眠段階から覚醒時刻を取得する。より具体的には、睡眠状態取得部57は、就床時刻から起床時刻までの間において、睡眠段階が最後に覚醒の段階となった時刻を覚醒時刻として取得する。睡眠状態取得部57は、覚醒時刻の一定時間前における睡眠段階を取得する。
【0079】
睡眠状態取得部57は、例えば、就床時刻及び入眠時刻を用いて、就床時刻から入眠時刻までの時間が所定時間以上であるか否かを判定する。睡眠状態取得部57は、就床時刻から入眠時刻までの時間に関する判定結果から使用者の入眠状態の良否を判定する。例えば、睡眠状態取得部57は、入眠状態の良否を寝つきの良さとして判定する。
【0080】
睡眠状態取得部57は、例えば、覚醒時刻及び起床時刻を用いて、覚醒時刻から起床時刻までの時間が所定時間以上であるか否かを判定する。睡眠状態取得部57は、例えば、覚醒時刻の一定時間前の睡眠段階から、覚醒時刻の一定時間前の使用者の睡眠段階がノンレム睡眠であるか否かを判定する。睡眠状態取得部57は、前述の判定結果の少なくともいずれかから、使用者の覚醒状態の良否を判定する。例えば、睡眠状態取得部57は、覚醒状態の良否を目覚めの良さとして判定する。
【0081】
睡眠状態取得部57は、例えば、就床時刻から入眠時刻までの時間が所定時間以上でないと判定した場合、使用者の入眠状態が良い(寝つきが良い)と判定する。睡眠状態取得部57は、例えば、就床時刻から入眠時刻までの時間が所定時間以上であると判定した場合、使用者の入眠状態が悪い(寝つきが悪い)と判定する。
【0082】
睡眠状態取得部57は、例えば、覚醒時刻から起床時刻までの時間が所定時間以上でないと判定した場合、使用者の覚醒状態が良い(目覚めが良い)と判定する。睡眠状態取得部57は、例えば、覚醒時刻の一定時間前の使用者の睡眠段階がノンレム睡眠でないと判定した場合、使用者の覚醒状態が良い(目覚めが良い)と判定する。睡眠状態取得部57は、例えば、覚醒時刻から起床時刻までの時間が所定時間以上であると判定した場合、又は、覚醒時刻の一定時間前の使用者の睡眠段階がノンレム睡眠であると判定した場合、使用者の覚醒状態が悪いと判定してもよい。
【0083】
アドバイス生成部58は、寝姿勢判定部56によって判定された寝姿勢から使用者の寝姿勢を改善するためのアドバイスを生成する。アドバイス生成部58は、情報端末21において、判定するステップにおいて判定された寝姿勢から使用者の寝姿勢を改善するためのアドバイスを生成するステップを実行する。
【0084】
例えば、アドバイス生成部58は、アラート出力部58bと、商品提案部58cとを有する。アラート出力部58bは、使用者に寝姿勢のアラートをアドバイスとして出力する。例えば、アラート出力部58bは、他の寝姿勢よりも仰向けが多くて無呼吸が頻発している旨のアラートをアドバイスとして生成する。商品提案部58cは、商品の提案のアドバイスを出力する。例えば、商品提案部58cは、無呼吸が頻発している使用者に対して横向き寝を促す抱き枕の商品の提案をアドバイスとして出力する。
【0085】
アドバイスは、例えば、使用者の身体の調子を改善させるためのアドバイスである。例えば、アドバイスは、どの寝姿勢のときに睡眠状態が良くなるか、及び、睡眠状態が良くない場合においてどの寝姿勢であれば睡眠状態を改善できるかのいずれかのアドバイスである。
【0086】
また、アドバイスは、どの寝姿勢の時間を長くすれば日中元気に過ごせるか、及び、どの寝姿勢の時間を長くすれば免疫力を高められるかのいずれかのアドバイスであってもよい。このように、アドバイス生成部58によって生成されるアドバイスは寝姿勢が判定された使用者にとって有用なものであればよく、アドバイスの種類は特に限定されない。
【0087】
記憶部41は、使用者に提供する複数種類のアドバイスを記憶している。アドバイス生成部58は、寝姿勢判定部56の判定結果に対応するアドバイスを記憶部41に記憶されているアドバイスから抽出することによって使用者に提供するアドバイスを生成する。例えば、アドバイス生成部58によって記憶部41から抽出されたアドバイスは、表示部42によって情報端末21のディスプレイ21bに表示される。
【0088】
図7は、アドバイスの例を示す図である。例えば図7に示されるように、表示部42は、アドバイスBと共に睡眠状態Cを表示する。睡眠状態Cは、前回(昨晩)の寝姿勢の比率を示している。すなわち、睡眠状態Cは、前回の睡眠時における仰向けの状態、横向きの状態、及びうつ伏せの状態の比率を示している。アドバイスBは、睡眠状態Cの内容に応じた睡眠改善のためのアドバイスである。一例として、アドバイスBは、測定した使用者が無呼吸の傾向があるので、横向き又はうつ伏せを推奨することを示している。
【0089】
図8は、アドバイスの別の例を示す図である。例えば図8に示されるように、表示部42は、アドバイス生成部58によって抽出されたアドバイスB1を、睡眠状態取得部57によって取得された睡眠状態C1と共に情報端末21のディスプレイ21bに表示する。表示部42は、寝姿勢判定部56によって判定された寝姿勢、及び睡眠状態取得部57によって取得された睡眠状態から、レム睡眠及びノンレム睡眠のそれぞれのときにおける寝姿勢の比率を表示する。
【0090】
例えば、表示部42は、レム睡眠のとき、ノンレム睡眠であって且つ浅い睡眠のとき、及び、ノンレム睡眠であって且つ深い睡眠のとき、のそれぞれにおける寝姿勢の比率を表示する。図8では、レム睡眠時において仰向けが30%であり、横向きが50%であり、うつ伏せが20%であり、浅い睡眠時において仰向けが15%であり、横向きが25%であり、うつ伏せが60%であり、深い睡眠時において仰向けが55%であり、横向きが35%であり、うつ伏せが10%である例を示している。
【0091】
上記のように、睡眠状態(睡眠段階)のそれぞれのときにおける寝姿勢の比率が表示されることにより、使用者は、どの睡眠状態(睡眠段階)のときに仰向け、横向き又はうつ伏せになりやすいかを把握することができる。図8の例の場合、レム睡眠であるときに横向きであることが多く、浅い睡眠であるときにうつ伏せであることが多く、深い睡眠であるときに仰向けであることが多いことを把握できる。
【0092】
表示部42は、睡眠状態のそれぞれのときにおける寝姿勢の比率と共にアドバイスB1を表示する。アドバイスB1は、例えば、寝姿勢に対する睡眠状態の現状を示すアドバイスである。具体例として、アドバイスB1は、「あなたは、うつ伏せのときに睡眠が浅くなる傾向がありますので、うつ伏せを減らすことをおすすめします」というものである。ディスプレイ21bに表示されるアドバイスB1の種類は、前回の睡眠時における寝姿勢及び睡眠状態によって使用者ごとに異なる。よって、寝姿勢及び睡眠状態を基に使用者にとって最適なアドバイスを提供できる。このように使用者ごとに睡眠状態を良好にするための寝姿勢を提案できる。
【0093】
図9は、図8とは異なる表示画面、アドバイスB2、及び睡眠状態C2を示す図である。表示部42は、寝姿勢判定部56によって判定された寝姿勢、及び睡眠状態取得部57によって取得された睡眠状態から、仰向け、横向き及びうつ伏せのそれぞれのときにおける睡眠状態(睡眠段階)の比率を表示する。例えば、表示部42は、仰向けのとき、横向きのとき、及びうつ伏せのとき、のそれぞれにおけるレム睡眠とノンレム睡眠(浅い睡眠及び深い睡眠)の比率を表示する。
【0094】
図9では、仰向け時においてレム睡眠が35%であり、浅い睡眠が35%であり、深い睡眠が30%であり、横向き時においてレム睡眠が40%であり、浅い睡眠が25%であり、深い睡眠が35%であり、うつ伏せ時においてレム睡眠が25%であり、浅い睡眠が65%であり、深い睡眠が10%である例を示している。このように、各寝姿勢のときにおける睡眠状態(睡眠段階)の比率が表示されることにより、使用者は、どの寝姿勢のときにレム睡眠、浅い睡眠又は深い睡眠になりやすいかを把握することができる。図9の例の場合、横向きであるときにレム睡眠及び深い睡眠のいずれかになりがちであり、うつ伏せであるときに浅い睡眠になりがちであることを把握できる。
【0095】
図10は、図8及び図9とは異なるアドバイスB3の例を示す図である。アドバイス生成部58は寝姿勢判定部56によって判定された寝姿勢から使用者の寝姿勢を改善するためのアドバイスB3を生成し、例えば、アドバイスB3が表示部42によって情報端末21のディスプレイ21bに表示される。図10では、横向きのときに浅い睡眠が多く、且つ仰向けのときに深い睡眠が多いと寝姿勢判定部56によって判定されたので、仰向けを勧める旨のアドバイスB3をアドバイス生成部58が生成し、アドバイスB3がディスプレイ21bに表示されている。
【0096】
図5に示されるように、寝姿勢判定プログラム40は、機器制御部59を有する。機器制御部59は、例えば、記憶部41に予め記憶された睡眠状態、自律神経取得部60によって取得された自律神経情報、及び無呼吸状態取得部61によって取得された無呼吸状態の少なくとも1つから、睡眠状態改善機器22の動作を制御する。
【0097】
睡眠状態改善機器22は、例えば、寝具1、使用者の寝室に設置されたエアコン、照明器具、使用者の就寝時に用いられる枕、及び、温熱マットレスの少なくともいずれかを含む。例えば、睡眠状態改善機器22が枕である場合、機器制御部59は、枕の動作を制御することで、使用者の頭が載せられる枕の載置面の水平面に対する角度を制御する。機器制御部59は、例えば、無呼吸状態取得部61によって無呼吸である状態が一定時間以上取得されている場合、使用者の頭を横向きとなるように枕の傾きを調整する。これにより、使用者の無呼吸を低減できる。
【0098】
自律神経取得部60は、センサ部11により取得された心拍情報から使用者の自律神経の状態を示す情報である自律神経情報を取得する。自律神経取得部60は、例えば、センサ部11により取得された心拍情報を解析して使用者の心拍変動(HRV:Heart Rate Variability)を取得する。本実施形態では、自律神経取得部60は、使用者の心拍変動から心拍変動に含まれる周期性成分を示す情報を取得する。自律神経取得部60は、心拍変動の周期性成分を周波数解析し、各周波数のパワースペクトルを示す情報を取得する。
【0099】
上記の周波数解析の結果として得られる自律神経のパワースペクトルは、低周波数帯(一例として0.04Hz~0.15Hz)におけるパワースペクトルの積分値であるLF(Low Frequency)成分と、高周波数帯(一例として0.15Hz~0.4Hz)におけるパワースペクトルの積分値であるHF(High Frequency)成分とに分けられる。LF成分は交感神経活動及び副交感神経活動を反映しており、HF成分は副交感神経活動を反映している。
【0100】
自律神経取得部60は、交感神経指標を示す情報、及び副交感神経指標を示す情報を自律神経情報として取得する。交感神経指標は、交感神経の優位性を示す指標である。交感神経指標は、一例として、LF成分の値をHF成分の値で除した値である。副交感神経指標は、副交感神経の優位性を示す指標である。副交感神経指標は、一例として、HF成分の値をLF成分及びHF成分の和で除した値である。
【0101】
自律神経取得部60は、自律神経情報から使用者のメンタルの状態を取得する。自律神経取得部60は、自律神経情報から、例えば使用者のメンタルの状態を高パフォーマンス状態、リラックス状態、ストレス状態、及び鬱気味状態のいずれかに分類する。高パフォーマンス状態とは、例えば、交感神経指標が所定の第1閾値以上であり、且つ、副交感神経指標が所定の第2閾値以上である状態を言う。リラックス状態とは、例えば、交感神経指標が第1閾値未満であり、且つ、副交感神経指標が第2閾値以上である状態を言う。ストレス状態とは、例えば、交感神経指標が第1閾値以上であり、且つ、副交感神経指標が第2閾値未満である状態を言う。鬱気味状態とは、例えば、交感神経指標が第1閾値未満であり、且つ、副交感神経指標が第2閾値未満である状態を言う。
【0102】
自律神経取得部60によって取得された自律神経情報は記憶部41に記憶される。図11に示されるように、アドバイス生成部58は自律神経取得部60によって取得された自律神経情報を含めたアドバイスB4を生成し、アドバイスB4を表示部42が情報端末21のディスプレイ21bに表示してもよい。
【0103】
例えば、アドバイス生成部58は、どの寝姿勢が多くなると自律神経が安定し、どの寝姿勢が多くなると自律神経が不安定になりやすいかのアドバイスB4を生成する。図11の例では、仰向けのときに自律神経が安定し、うつ伏せのときに自律神経が不安定になりやすいので、仰向けを勧める旨のアドバイスB4がディスプレイ21bに表示されている。
【0104】
無呼吸状態取得部61は、呼吸情報から使用者の無呼吸の状態(無呼吸状態)を検出する。無呼吸状態取得部61は、例えば、センサ部11から出力された呼吸に伴う体動を示す信号、心拍に伴う体動を示す信号、並びに、呼吸及び心拍に伴わない体動を示す信号から、使用者の異常呼吸状態を検出する。異常呼吸状態とは、無呼吸状態及び低呼吸状態を含む。「無呼吸状態」とは、例えば、使用者の呼吸が10秒以上停止する状態を言う。「低呼吸状態」とは、使用者の呼吸における気流の振幅が30%以上減少し、且つ、動脈血酸素飽和度(SpO)が4%以上低下する状態が10秒以上経過する状態を言う。
【0105】
ところで、異常呼吸状態から異常呼吸状態でない通常の呼吸状態に変化するときに使用者の体動が生じる傾向にある。本実施形態では、無呼吸状態取得部61は、センサ部11によって取得された体動情報から異常呼吸状態を検出する。無呼吸状態取得部61は、例えば、センサ部11から出力された呼吸に伴う体動を示す信号、心拍に伴う体動を示す信号、並びに、呼吸及び心拍に伴わない体動を示す信号から使用者の異常呼吸状態を検出する。
【0106】
また、異常呼吸状態から通常の呼吸状態に変化するときに、使用者の心拍数が急に上昇することがある。従って、無呼吸状態取得部61は、センサ部11によって取得された心拍情報から異常呼吸状態を検出してもよい。この場合、無呼吸状態取得部61は、センサ部11から出力された心拍に伴う体動を示す信号から使用者の異常呼吸状態を検出する。
【0107】
無呼吸状態取得部61によって検出された異常呼吸状態(無呼吸状態)は記憶部41に記憶される。図12に示されるように、アドバイス生成部58は無呼吸状態取得部61によって取得された異常呼吸状態の情報を含めたアドバイスB5を生成し、アドバイスB5を表示部42が情報端末21のディスプレイ21bに表示してもよい。
【0108】
例えば、アドバイス生成部58は、どの寝姿勢が多くなると異常呼吸状態が多く発生するかのアドバイスB5を生成する。図12の例では、仰向きであるときに浅い睡眠であることが多く且つ無呼吸の回数も多くなっているので、横向きをした方がよいとのアドバイスB5がディスプレイ21bに表示されている。
【0109】
アドバイス生成部58の商品提案部58cは、使用者の睡眠状態を改善する商品を提案するためのアドバイスB6を生成してもよい。図12の例では、横向きを推奨するために抱き枕の入手を促すアドバイスB6がアドバイス生成部58によって生成されてディスプレイ21bに表示されている。表示部42は、提案する商品のアドバイスB6をURLとしてディスプレイ21bに表示してもよい。
【0110】
寝姿勢状況生成部62は、使用者の寝姿勢の状況を生成する。図13に示されるように、寝姿勢状況生成部62によって生成された使用者の寝姿勢の状況は表示部42によって情報端末21のディスプレイ21bに表示される。例えば、寝姿勢判定システム20及び寝姿勢判定プログラム40が施設において複数の使用者に対して用いられる場合、寝姿勢判定部56が各使用者の寝姿勢を判定し、睡眠状態取得部57が各使用者の睡眠状態を取得し、アドバイス生成部58が各使用者に対するアドバイスを生成する。そして、寝姿勢状況生成部62は、各使用者の寝姿勢、各使用者の睡眠状態、及び各使用者に対するアドバイスを生成し、例えば、表示部42は当該アドバイスを表Xとして情報端末21のディスプレイ21bに表示する。
【0111】
表Xでは、使用者の氏名ごとに、寝姿勢、当該寝姿勢の継続時間、睡眠状態、及び体位変換のタイミングであるか否かが表示されている。図13の例では、体位変換のタイミングであるか否かがアドバイス生成部58によって抽出されたアドバイスとして表示されている。例えば病院等の施設では、自ら体位変換できない使用者(患者)も多く存在する。従って、看護師等は、褥瘡を防ぐため一定時間おきに使用者の体位変換を行うことが必要な場合がある。
【0112】
上記のような場合に、表Xがディスプレイ21bに表示されることにより、どの使用者に対して体位変換を行った方がよいかを把握することが可能である。更に、使用者ごとの寝姿勢の状態、当該寝姿勢の継続時間及び睡眠状態が把握可能とされているので、使用者の状況をより高精度に把握できる。
【0113】
更に、特定の寝姿勢が一定時間以上継続した使用者に対してアラート出力部58bがアラートを出力してもよい。アラートの出力は、例えば、ディスプレイ21bへの表示及び音声の少なくともいずれかによって行われる。例えば、アラート出力部58bは、表Xにおける、継続時間が2時間(又は3時間)以上である使用者の行を強調表示してもよい。一例として、仰向け、横向き及びうつ伏せのいずれかが2時間(又は3時間)以上継続している使用者に対してアラート出力部58bがアラートを出力してもよい。この場合、体位変換が必要な使用者を判別できるので、褥瘡をより確実に抑制できる。なお、特定の寝姿勢が一定時間以上継続していても、例えば睡眠状態が深い睡眠であるときには、アドバイス生成部58が体位変換をしなくてもよい旨をアドバイス(例えば表Xにおいて「NO」と表示)してもよい。
【0114】
次に、本実施形態に係る寝姿勢判定システム20及び寝姿勢判定プログラム40から得られる作用効果についてより詳細に説明する。図5図7に示されるように、寝姿勢判定システム20は寝具1に搭載されたセンサ部11を備え、センサ部11は寝具1に載せられた使用者の身体の荷重を受けて当該荷重に応じた波形を出力する。寝姿勢判定システム20及び寝姿勢判定プログラム40では、センサ部11によって出力された波形から寝姿勢判定部56によって寝姿勢が判定される。寝姿勢判定システム20及び寝姿勢判定プログラム40では、アドバイス生成部58により、寝姿勢判定部56によって判定された寝姿勢から使用者の寝姿勢を改善させるためのアドバイスBが生成される。よって、使用者は、自分の寝姿勢を改善させるためのアドバイスBを受けることができる。従って、寝姿勢を改善させて使用者の生活を改善させることができる。
【0115】
本実施形態において、センサ部11は、使用者の呼吸を示す情報である呼吸情報、使用者の体動を示す情報である体動情報、及び使用者の心拍を示す情報である心拍情報の少なくとも1つを波形として取得する。寝姿勢判定システム20及び寝姿勢判定プログラム40は、呼吸情報、体動情報及び心拍情報の少なくとも1つを示す波形から、使用者の睡眠状態を示す情報である睡眠状態を取得する睡眠状態取得部57と、アドバイス生成部58によって生成されたアドバイスB、及び睡眠状態取得部57によって取得された睡眠状態Cを表示する表示部42と、を備える。よって、センサ部11は、呼吸情報、体動情報及び心拍情報の少なくとも1つを波形として取得し、当該波形から使用者の睡眠状態が睡眠状態取得部57によって取得される。睡眠状態取得部57によって取得された睡眠状態CはアドバイスBと共に表示部42によって表示される。従って、使用者は、自分の寝姿勢の傾向と睡眠状態と共にアドバイスBを受けることができるので、使用者にとってより有用な情報を提供できる。
【0116】
本実施形態において、センサ部11は、使用者の心拍を示す情報である心拍情報を波形として取得する。図5及び図11に示されるように、寝姿勢判定システム20及び寝姿勢判定プログラム40は、心拍情報から、使用者の自律神経の状態を示す情報である自律神経情報を取得する自律神経取得部60を備える。アドバイス生成部58は、自律神経取得部60によって取得された自律神経情報を含めたアドバイスB4を生成してもよい。この場合、使用者は、自分の寝姿勢の傾向と共に自律神経の状態を把握できるので、使用者にとって更に有用な情報を提供できる。
【0117】
本実施形態において、センサ部11は、使用者の呼吸の状態を示す情報である呼吸情報を波形として取得する。図5及び図12に示されるように、寝姿勢判定システム20及び寝姿勢判定プログラム40は、呼吸情報から使用者の無呼吸の状態を検出する無呼吸状態取得部61を備える。アドバイス生成部58は、無呼吸状態取得部61によって取得された無呼吸の状態を含めたアドバイスB5を生成する。この場合、無呼吸状態取得部61が使用者の無呼吸の状態を検出することにより、使用者は、自分に無呼吸が生じているか否か、及び無呼吸の頻度を把握することができる。更に、アドバイス生成部58は、無呼吸の状態を加味したアドバイスB5を生成する。従って、使用者は、自分の無呼吸の状態を改善するための情報を得ることができる。
【0118】
本実施形態では、センサ部11が寝具1に配置される1枚のセンサシートである。よって、使用者の身体に対して非接触で種々の情報(データ)を取得できる。より具体的には、本実施形態では、使用者の身体とセンサ部11との間に、側地3、及び使用者の衣類が介在するので、センサ部11は当該身体に直接は接触しない。更に、シート状のセンサ部11を用いて寝姿勢だけでなく、睡眠状態、自律神経及び無呼吸等、種々の情報を容易に且つ高精度に取得することが可能である。
【0119】
以上、本開示に係る寝姿勢判定システム及び寝姿勢判定プログラムの実施形態について説明した。しかしながら、本開示に係る寝姿勢判定システム及び寝姿勢判定プログラムは、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内において適宜変形させることが可能である。すなわち、本開示に係る寝姿勢判定システム及び寝姿勢判定プログラムの各部の構成及び機能は、上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。前述した実施形態及び種々の例は適宜組み合わされてもよい。
【0120】
例えば、前述の実施形態では、波形検出部51、体動取得部52、呼吸取得部53、心拍取得部54、寝返り判定部55、寝姿勢判定部56、睡眠状態取得部57、アドバイス生成部58、機器制御部59、自律神経取得部60、無呼吸状態取得部61及び寝姿勢状況生成部62を有する寝姿勢判定プログラム40を備える寝姿勢判定システム20について説明した。しかしながら、波形検出部51、体動取得部52、呼吸取得部53、心拍取得部54、寝返り判定部55、睡眠状態取得部57、機器制御部59、自律神経取得部60、無呼吸状態取得部61及び寝姿勢状況生成部62のうちの少なくともいずれかを有しない寝姿勢判定プログラム又は寝姿勢判定システムであってもよい。
【0121】
前述の実施形態では、糸状センサ15が刺繍されているシート状生地12を備えるセンサ部11について説明した。しかしながら、センサ部の種類は特に限定されない。センサ部は、例えば、三軸加速度センサ、又はセンサ機能を搭載したスマートフォンであってもよい。
【0122】
前述の実施形態では、アドバイス生成部58がアドバイスB,B1~B6を生成する例について説明した。しかしながら、アドバイス生成部58が生成するアドバイスは、アドバイスB,B1~B6とは更に異なるものであってもよい。例えば、アドバイス生成部58は、横向きが多いときには枕の高さを合わせるアドバイスを生成してもよい。アドバイス生成部58は、うつ伏せが多いときには、首が曲がりやすい旨のアドバイス、寝違える可能性がある旨のアドバイス、及び、心拍数が上がる可能性がある旨のアドバイスの少なくともいずれかを生成してもよい。このようにアドバイス生成部58が生成するアドバイスは特に限定されない。
【0123】
前述の実施形態では、睡眠状態改善機器22が枕であって、機器制御部59が枕の動作を制御する例について説明した。しかしながら、機器制御部が制御する睡眠状態改善機器の種類は特に限定されない。例えば、睡眠状態改善機器22はエアコンであってもよく、機器制御部59が寝返りの回数に応じて睡眠状態改善機器22を制御して寝室の温度を調整してもよい。例えば、睡眠状態改善機器22は照明機器であってもよく、機器制御部59が睡眠状態に応じて睡眠状態改善機器22を制御して寝室の明るさを調整してもよい。
【符号の説明】
【0124】
1…寝具、2…芯材、2b…上面、2c…下面、2d…側面、3…側地、3b…上生地、3c…下生地、3d…開閉部材、3f…スライダ、3g…エレメント、3h…被固定部、3s…スナップボタン、4…開口、11…センサ部、11b…長辺、11c…短辺、12…シート状生地、12b…内側生地、12c…外側生地、13…センサ、14…電力供給部、14b…ケーブル、14c…プラグ、14d…コネクタ、15…糸状センサ、15b…曲線部、15c…直線部、15d…第1波形部、15f…第2波形部、15h…第1山部、15j…第1谷部、15k…第2山部、15p…第2谷部、15q…第1直線部、15r…第2直線部、16…データ取得部、16b…電気機能部、16c…取付部材、16d…ネジ、16f…筐体、16h…差込口、16j…板状部、16k…突出部、16p…貫通孔、17…固定部、18…固定部、19…スナップボタン、20…寝姿勢判定システム、21…情報端末、21b…ディスプレイ、22…睡眠状態改善機器、40…寝姿勢判定プログラム、41…記憶部、42…表示部、43…通信部、51…波形検出部、52…体動取得部、53…呼吸取得部、54…心拍取得部、55…寝返り判定部、56…寝姿勢判定部、57…睡眠状態取得部、58…アドバイス生成部、58b…アラート出力部、58c…商品提案部、59…機器制御部、60…自律神経取得部、61…無呼吸状態取得部、62…寝姿勢状況生成部、A1…第1方向、A2…第2方向、A3…第3方向、B,B1,B2,B3,B4,B5,B6,B7…アドバイス、C,C1,C2…睡眠状態、D1…長手方向、D2…短手方向、D3…厚さ方向、L…中心線、W1,W2,W3…波形。

図1
図2
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図5
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図8
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図10
図11
図12
図13