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特開2024-131701保有資産合意装置、保有資産合意システム及び保有資産合意方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131701
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】保有資産合意装置、保有資産合意システム及び保有資産合意方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20240101AFI20240920BHJP
【FI】
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042123
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田尾 晋
(72)【発明者】
【氏名】北見 淳
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA13
(57)【要約】
【課題】継続的に要介護者の資産の評価についての合意を醸成する技術の提供を目的とする。
【解決手段】 保有資産合意装置は、被介護者ごとに保有資産を記憶する記憶部と、被介護者の生体情報を受け付けると、該生体情報を用いて被介護者を特定する認証管理部と、認証管理部により認証された被介護者の保有資産の入力を受け付けて記憶部に格納する資産登録部と、認証管理部により認証された被介護者の保有資産を対象として、資産価値の評価を行う資産評価部と、資産評価部により得られた資産評価額について、被介護者の所定の関係者のそれぞれから同意を受け付け、所定の関係者から同意を受け付けると資産評価額の合意の履歴を記憶部に格納する評価合意支援部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被介護者ごとに保有資産を記憶する記憶部と、
前記被介護者の生体情報を受け付けると、該生体情報を用いて前記被介護者を特定する認証管理部と、
前記認証管理部により認証された前記被介護者の前記保有資産の入力を受け付けて前記記憶部に格納する資産登録部と、
前記認証管理部により認証された前記被介護者の前記保有資産を対象として、資産価値の評価を行う資産評価部と、
前記資産評価部により得られた資産評価額について、前記被介護者の所定の関係者のそれぞれから同意を受け付け、前記所定の関係者から前記同意を受け付けると前記資産評価額の合意の履歴を前記記憶部に格納する評価合意支援部と、
を備えることを特徴とする保有資産合意装置。
【請求項2】
請求項1に記載の保有資産合意装置であって、
前記資産登録部は、前記被介護者によるチャットの発話を介して前記保有資産の入力を受け付ける、
ことを特徴とする保有資産合意装置。
【請求項3】
請求項2に記載の保有資産合意装置であって、
前記資産登録部は、前記チャットにおいて、自動応答チャットを用いる、
ことを特徴とする保有資産合意装置。
【請求項4】
請求項3に記載の保有資産合意装置であって、
前記資産登録部は、前記チャットにおいて、金融資産および不動産についての前記保有資産を前記被介護者に質問し、該質問への回答を前記保有資産の入力として受け付ける、
ことを特徴とする保有資産合意装置。
【請求項5】
請求項4に記載の保有資産合意装置であって、
前記資産評価部は、前記金融資産および不動産についての前記保有資産のそれぞれについて、所定の評価サービス主体からマッチングして評価を行わせる、
ことを特徴とする保有資産合意装置。
【請求項6】
請求項5に記載の保有資産合意装置であって、
前記資産登録部は、前記金融資産についての前記保有資産について、該保有資産を管理する口座の情報を画像により受け付け、
前記資産評価部は、前記金融資産についての前記保有資産の評価において、前記口座の情報を用いて評価を行う、
ことを特徴とする保有資産合意装置。
【請求項7】
請求項5に記載の保有資産合意装置であって、
前記資産登録部は、前記不動産についての前記保有資産について、該保有資産を該不動産の所在地を示す情報により受け付け、
前記資産評価部は、前記不動産についての前記保有資産の評価において、前記所在地の情報を用いて評価を行う、
ことを特徴とする保有資産合意装置。
【請求項8】
請求項7に記載の保有資産合意装置であって、
前記資産評価部は、前記不動産についての前記保有資産の評価において、前記所在地の家屋の画像を取得して評価を行う、
ことを特徴とする保有資産合意装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の保有資産合意装置であって、
前記資産評価部は、前記被介護者の要介護の程度が所定の程度に達すると、前記資産価値の評価を行う、
ことを特徴とする保有資産合意装置。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の保有資産合意装置であって、
前記認証管理部により認証された前記被介護者の前記保有資産の異動の入力を受け付けて登録し、現金資産との整合処理を行う資産異動登録部、
を備えることを特徴とする保有資産合意装置。
【請求項11】
被介護者の保有資産を管理する保有資産合意装置と、前記保有資産合意装置と通信可能に接続される被介護者端末と、を備える保有資産合意システムであって、
前記被介護者端末は、
前記被介護者の生体情報を読み取る生体情報読取部と、
前記生体情報読取部が読み取った前記生体情報を前記保有資産合意装置に送信して生体認証を要求する生体認証部と、
前記保有資産の入力を受け付ける入出力制御部と、
を備え、
前記保有資産合意装置は、
前記被介護者ごとに保有資産を記憶する記憶部を備え、
前記被介護者の生体情報を受け付けると、該生体情報を用いて前記被介護者を特定する認証管理部と、
前記認証管理部により認証された前記被介護者の前記保有資産の入力を受け付けて前記記憶部に格納する資産登録部と、
前記認証管理部により認証された前記被介護者の前記保有資産を対象として、資産価値の評価を行う資産評価部と、
前記資産評価部により得られた資産評価額について、前記被介護者の所定の関係者のそれぞれから同意を受け付け、前記所定の関係者から前記同意を受け付けると前記資産評価額の合意の履歴を前記記憶部に格納する評価合意支援部と、
を備えることを特徴とする保有資産合意システム。
【請求項12】
情報処理装置を用いた保有資産合意方法であって、
前記情報処理装置は、
被介護者ごとに保有資産を記憶する記憶部と、処理部とを備え、
前記処理部は、
前記被介護者の生体情報を受け付けると、該生体情報を用いて前記被介護者を特定する認証管理ステップと、
前記認証管理ステップにより認証された前記被介護者の前記保有資産の入力を受け付けて前記記憶部に格納する資産登録ステップと、
前記認証管理ステップにより認証された前記被介護者の前記保有資産を対象として、資産価値の評価を行う資産評価ステップと、
前記資産評価ステップにより得られた資産評価額について、前記被介護者の所定の関係者のそれぞれから同意を受け付け、前記所定の関係者から前記同意を受け付けると前記資産評価額の合意の履歴を前記記憶部に格納する評価合意支援ステップと、
を実施することを特徴とする保有資産合意方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保有資産合意装置、保有資産合意システム及び保有資産合意方法に関する。
【背景技術】
【0002】
介護サービスの現場では、高齢化の加速、介護サービスの多様化、複雑化等により、介護施設や訪問介護サービス機関等の業務負荷が増加している。介護施設や訪問介護サービス機関では、介護サービスを実施、提供するにあたり、介護サービスを受ける者すなわち被介護者の保有資産の管理上の安全性や関係者の公平性についてのトラブル防止も介護施設側に求められることが多くなり、介護施設の業務負荷となっている。
【0003】
なお、特許文献1には、被相続人情報を登録する被相続人情報登録部と、金融資産、不動産資産及び動産資産のうちの少なくとも1つの情報を登録する資産情報登録部と、前記被相続人情報登録部及び前記資産情報登録部により登録されたデータに基づいて、財産に関するリストを作成する財産リスト作成部と、前記財産リスト作成部で作成した財産リストを記憶する財産リスト記憶部と、前記財産リスト記憶部に記憶したデータを出力する財産リスト出力部と、を備えた財産管理サーバーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-046801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のシステムでは、被介護者自身が明確に意思表示を行える時期から資産を登録することはできるが、資産の評価についての関係者の合意を醸成するための仕組みは含まれていない。
【0006】
本発明の目的は、上記の点に鑑みてなされたものであり、継続的に要介護者の資産の評価についての合意を醸成する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様に係る保有資産合意装置は、被介護者ごとに保有資産を記憶する記憶部と、前記被介護者の生体情報を受け付けると、該生体情報を用いて前記被介護者を特定する認証管理部と、前記認証管理部により認証された前記被介護者の前記保有資産の入力を受け付けて前記記憶部に格納する資産登録部と、前記認証管理部により認証された前記被介護者の前記保有資産を対象として、資産価値の評価を行う資産評価部と、前記資産評価部により得られた資産評価額について、前記被介護者の所定の関係者のそれぞれから同意を受け付け、前記所定の関係者から前記同意を受け付けると前記資産評価額の合意の履歴を前記記憶部に格納する評価合意支援部と、を備える。
【0009】
また、上記の保有資産合意装置において、前記資産登録部は、前記被介護者によるチャットの発話を介して前記保有資産の入力を受け付けるものであってもよい。
【0010】
また、上記の保有資産合意装置において、前記資産登録部は、前記チャットにおいて、自動応答チャットを用いるものであってもよい。
【0011】
また、上記の保有資産合意装置において、前記資産登録部は、前記チャットにおいて、金融資産および不動産についての前記保有資産を前記被介護者に質問し、該質問への回答を前記保有資産の入力として受け付けるものであってもよい。
【0012】
また、上記の保有資産合意装置において、前記資産評価部は、前記金融資産および不動産についての前記保有資産のそれぞれについて、所定の評価サービス主体からマッチングして評価を行わせるものであってもよい。
【0013】
また、上記の保有資産合意装置において、前記資産登録部は、前記金融資産についての前記保有資産について、該保有資産を管理する口座の情報を画像により受け付け、前記資産評価部は、前記金融資産についての前記保有資産の評価において、前記口座の情報を用いて評価を行うものであってもよい。
【0014】
また、上記の保有資産合意装置において、前記資産登録部は、前記不動産についての前記保有資産について、該保有資産を該不動産の所在地を示す情報により受け付け、前記資産評価部は、前記不動産についての前記保有資産の評価において、前記所在地の情報を用いて評価を行うものであってもよい。
【0015】
また、上記の保有資産合意装置において、前記資産評価部は、前記不動産についての前記保有資産の評価において、前記所在地の家屋の画像を取得して評価を行うものであってもよい。
【0016】
また、上記の保有資産合意装置において、前記資産評価部は、前記被介護者の要介護の程度が所定の程度に達すると、前記資産価値の評価を行うものであってもよい。
【0017】
また、上記の保有資産合意装置において、前記認証管理部により認証された前記被介護者の前記保有資産の異動の入力を受け付けて登録し、現金資産との整合処理を行う資産異動登録部、を備えるものであってもよい。
【0018】
また、本発明の別の態様にかかる保有資産合意システムは、被介護者の保有資産を管理する保有資産合意装置と、前記保有資産合意装置と通信可能に接続される被介護者端末と、を備える保有資産合意システムであって、前記被介護者端末は、前記被介護者の生体情報を読み取る生体情報読取部と、前記生体情報読取部が読み取った前記生体情報を前記保有資産合意装置に送信して生体認証を要求する生体認証部と、前記保有資産の入力を受け付ける入出力制御部と、を備え、前記保有資産合意装置は、被介護者ごとに保有資産を記憶する記憶部を備え、前記被介護者の生体情報を受け付けると、該生体情報を用いて前記被介護者を特定する認証管理部と、前記認証管理部により認証された前記被介護者の前記保有資産の入力を受け付けて前記記憶部に格納する資産登録部と、前記認証管理部により認証された前記被介護者の前記保有資産を対象として、資産価値の評価を行う資産評価部と、前記資産評価部により得られた資産評価額について、前記被介護者の所定の関係者のそれぞれから同意を受け付け、前記所定の関係者から前記同意を受け付けると前記資産評価額の合意の履歴を前記記憶部に格納する評価合意支援部と、を備える。
【0019】
また、本発明の別の態様にかかる保有資産合意方法は、情報処理装置を用いた保有資産合意方法であって、前記情報処理装置は、被介護者ごとに保有資産を記憶する記憶部と、処理部とを備え、前記処理部は、前記被介護者の生体情報を受け付けると、該生体情報を用いて前記被介護者を特定する認証管理ステップと、前記認証管理ステップにより認証された前記被介護者の前記保有資産の入力を受け付けて前記記憶部に格納する資産登録ステップと、前記認証管理ステップにより認証された前記被介護者の前記保有資産を対象として、資産価値の評価を行う資産評価ステップと、前記資産評価ステップにより得られた資産評価額について、前記被介護者の所定の関係者のそれぞれから同意を受け付け、前記所定の関係者から前記同意を受け付けると前記資産評価額の合意の履歴を前記記憶部に格納する評価合意支援ステップと、を実施する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、継続的に要介護者の資産の評価についての合意を醸成する技術を提供することができる。
【0021】
なお、上記以外の課題、構成および効果等は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】保有資産合意システムの概要の一例を示す図である。
図2】保有資産合意システムの実施例の一例を示す図である。
図3】被介護者データの一例を示す図である。
図4】関係者データの一例を示す図である。
図5】金融資産データの一例を示す図である。
図6】不動産データの一例を示す図である。
図7】評価合意履歴データの一例を示す図である。
図8】資産評価者候補データの一例を示す図である。
図9】被介護者端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図10】資産評価フローの一例を示す図である。
図11】資産登録画面の一例を示す図である。
図12】不動産評価フローの一例を示す図である。
図13】評価結果画面の一例を示す図である。
図14】評価合意履歴画面の一例を示す図である。
図15】別の実施例に係る保有資産合意システムの実施例の一例を示す図である。
図16】別の実施例に係る金融資産データの一例を示す図である。
図17】別の実施例に係る不動産データの一例を示す図である。
図18】資産異動フローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の例である実施形態について図面を用いて説明する。
【0024】
図1は、保有資産合意システムの概要の一例を示す図である。本例においては、保有資産合意システム1は、所定の介護施設あるいはそのブランチ等にて介護者が居住し、介護サービスを受ける介護形態を対象として例示している。被介護者は介護サービス提供者から介護サービスを受ける介護サービス利用者を指すものである。なお、介護サービスの形態は、このような例に限られず、被介護者の自宅等にて介護サービスを受ける訪問介護を対象に含むものであってもよい。
【0025】
保有資産合意システム1では、被介護者が介護施設に入所する際に、被介護者が有する被介護者端末200を用いて、保有資産を保有資産合意装置300に登録する。そして、所定のトリガーイベント(例えば、要介護の程度が所定の程度に達する(介護等級が上がる)等)に応じて保有資産合意システム1は保有資産の暫定評価を行い、相続人(資産を引き継ぐ予定の者)等の関係者に資産評価額についての同意の意思表示を依頼する。保有資産合意装置300は、関係者となる家族等が有する家族端末400等を介して関係者からの同意を得られると、当該資産評価額の合意の履歴を記録する。保有資産合意装置300は、家族端末400等から合意の履歴の参照要求を受け付けると、合意の履歴を家族端末400等に表示させる。
【0026】
保有資産の暫定評価の処理においては、保有資産合意装置300は、保有資産のそれぞれについて、所定の評価サービス主体からマッチングして、資産評価サービス360に評価を行わせる。資産評価サービス360は、年金行政窓口、金融機関窓口、不動産鑑定者窓口等の窓口370に照会を行い、資産の評価を行う。あるいは、資産評価サービス360は、不動産の家屋についての保有資産の評価においては、所在地の家屋の画像をドローン等により撮影・取得して評価を行う。例えば、ドローンによる空撮を行う場合には、法令を遵守した上で、可能であれば家屋等の所在地から特定した位置情報を目標位置として、空中の位置・高さを指定した飛行ルートを設定してドローンを移動させ様々な角度から家屋等の表面の状態が把握可能な程度に精細に撮影する。
【0027】
これにより、簡便かつ継続的に要介護者の資産の評価を行うことが可能となるため、要介護者の資産の評価についての合意を醸成することも容易となり、相続の準備を早い段階から行うことが可能となる。
【0028】
図2は、保有資産合意システムの概要の一例を示す図である。本実施形態における保有資産合意システム1には、被介護者端末200と、被介護者端末200とネットワーク50を介して通信可能に接続される保有資産合意装置300と、保有資産合意装置300とネットワーク50を介して通信可能に接続される生体認証サービス350と、資産評価サービス360と、家族端末400と、が含まれる。
【0029】
被介護者端末200は、基本的に介護サービスを受ける者が携行する情報処理装置である。被介護者端末200は、PC(Personal Computer)、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、又はタブレット端末等の情報処理装置である。生体認証サービス350は、例えばクラウドサービスとして提供され、所定のURL(Uniform Resource Locator)によりアクセスを要求されると所定の生体認証サービスを実施し、その結果を要求元へ返す。資産評価サービス360は、例えばクラウドサービスとして提供され、所定のURLによりアクセスを要求されると所定の資産評価サービスを実施し、その結果を要求元へ返す。家族端末400は、PC、スマートフォン、PDA、又はタブレット端末等の情報処理装置である。なお、被介護者端末200を使用する者は、本実施形態においては、原則は被介護者であるが、被介護者が自分で操作等を行えない場合には、代理で介護者(介護サービス提供者)が使用する場合もある。家族端末400を使用する者は、本実施形態においては、被介護者の関係者(例えば、被介護者の親族や後見人等の身元引受人)である。
【0030】
ネットワーク50は、例えば、インターネットあるいはイントラネット等のネットワークである。ネットワーク50は、これに限られず、さらに、WAN(Wide Area Network)、携帯電話網等、あるいはこれらが複合した通信網であってもよい。または、ネットワーク50は、携帯電話通信網等の無線通信網上のVPN(Virtual Private Network)等であってもよい。
【0031】
被介護者端末200は、処理部210と、記憶部220と、通信部230と、生体情報読取部240と、表示部250と、位置取得部260と、を備える。処理部210は、アプリケーション機能を実現する。例えば、処理部210は、介護サービスの利用者に対するポータル画面等の各種の操作画面を提供する。処理部210には、生体認証部211と、入出力制御部212と、が含まれる。生体認証部211は、生体情報読取部240が読み取った生体情報を保有資産合意装置300に送信して生体認証を要求する。生体認証部211は、認証に用いる生体情報として、1)介護サービスの利用者の静脈を撮影した生体画像、2)介護サービスの利用者の顔を撮影した生体画像を用いてもよいし、あるいは上記の1)2)のそれぞれの生体画像を所定のパラメータで暗号化した情報を用いることができる。入出力制御部212は、資産の内容についての入力を受け付けて保有資産合意装置300に送信する。
【0032】
通信部230は、ネットワーク50を介して他の装置との通信の制御を行う。
【0033】
生体情報読取部240は、介護施設における介護サービスの利用者の生体情報を読み取る。具体的には、生体情報読取部240は、読み取る生体情報に応じて、静脈センサ241と、カメラ242と、を用いる。読み取る生体情報が静脈を撮影した生体画像の場合には、生体情報読取部240は、静脈センサ241を用いる。読み取る生体情報が顔を撮影した生体画像の場合には、生体情報読取部240は、カメラ242を用いる。
【0034】
表示部250は、一つ以上のI/Oインターフェースデバイスあるいは一つ以上の通信インターフェースデバイスである。すなわち、被介護者は、被介護者端末200をI/Oインターフェースデバイス経由で使用する。あるいは、被介護者は、被介護者端末200を一つ以上の通信インターフェースデバイスを介して他の情報処理装置(例えば、スマートフォン)等経由で使用する。
【0035】
位置取得部260は、現在地を測位する。例えば、位置取得部260は、GPS(Global Positioning System)、Glonass(Global Navigation Satellite System)、みちびき、Galileo、北斗等の衛星測位システムである。あるいは、位置取得部260は、近傍の無線アクセスポイントからの距離電波強度から算出して位置を特定するものであってもよい。
【0036】
保有資産合意装置300は、処理部310と、記憶部320と、通信部340と、を備える。処理部310には、認証管理部311と、資産登録部312と、資産評価部313と、評価合意支援部314と、が含まれる。認証管理部311は、認証要求を受け付けると、所定の介護施設における介護サービスの利用者の生体情報を要求し、認証を行う。具体的には、認証管理部311は、介護サービスの利用者の生体情報を受け付けると、該生体情報を用いて介護サービスの利用者を特定する。
【0037】
より具体的には、認証管理部311は、介護サービスの利用者の生体情報をあらかじめ保持し、受け付けた生体情報との適合を判断して利用者を特定する。また、認証管理部311は、認証に用いる生体情報として、1)介護サービスの利用者の静脈を撮影した生体画像、2)介護サービスの利用者の顔を撮影した生体画像を用いてもよいし、あるいは上記の1)2)のそれぞれの生体画像を所定のパラメータで暗号化した情報を用いるようにしてもよい(既存技術)。後者の暗号化した情報を用いることで、生体情報そのものの漏洩や不正取得がなされることを防ぐことができる。また、パスワードのように定期的に暗号化パラメータを変更することで過去の生体情報の再利用を防ぐことが可能となるため、生体情報管理上のセキュリティレベルを高めることができる。
【0038】
また、認証管理部311は、介護サービスの利用者の生体情報を生体認証サービス350へ送信して、介護サービスの利用者の特定結果を得るものであってもよい。
【0039】
資産登録部312は、認証管理部311により認証された被介護者によるチャットの発話を介して被介護者の保有資産の入力を受け付けて、記憶部320(具体的には、金融資産については金融資産データ323、不動産については不動産データ324)に格納する。このチャットは、資産登録部312が自動応答チャット、例えばAIチャットボット等を用いて行う。自動応答チャットでは、資産登録部312は、金融資産および不動産についての保有資産を被介護者に質問し、該質問への回答を保有資産の入力として受け付ける。
【0040】
また、資産登録部312は、金融資産についての保有資産について、該保有資産を管理する口座の情報を画像により受け付けるものであってよい。例えば、資産登録部312は、銀行口座を利用する際に用いるキャッシュカード等の表面・裏面をカメラ242にて撮影した画像を受け付けて、口座の情報の画像とする。
【0041】
また、資産登録部312は、不動産についての保有資産について、該保有資産を該不動産の所在地を示す情報により受け付けるものであってもよい。例えば、資産登録部312は、不動産の住居表示や、地番、家屋番号等を受け付ける。
【0042】
資産評価部313は、金融資産および不動産についての保有資産のそれぞれについて、所定の評価サービス主体が運営する資産評価サービス360からマッチングして評価を行わせる。特に、被介護者の要介護の程度が所定の程度(例えば、要介護等級が1つ上がる)に達すると、資産評価部313は、資産価値の評価を行う。
【0043】
また、資産評価部313は、金融資産についての保有資産の評価において、口座の情報を用いて評価を行うものであってもよい。
【0044】
また、資産評価部313は、不動産についての保有資産の評価において、所在地の情報を用いて、あるいは所在地の家屋の画像を取得して評価を行うものであってもよい。
【0045】
評価合意支援部314は、資産評価部313により得られた資産評価額について、被介護者の所定の関係者(例えば、法定相続人)のそれぞれから同意を受け付け、所定の関係者から同意を受け付けると、資産評価額の合意の履歴を記憶部320(具体的には、評価合意履歴データ325)に格納する。この合意については、評価合意支援部314は、所定の関係者が有する家族端末400に資産評価額の確認を促すメッセージを送信し、後述する評価結果画面700を表示させ、それぞれの資産評価額について同意/不同意の入力を受け付ける。評価合意支援部314は、所定以上の人数(例えば、関係者の半数以上)に同意された資産については評価額の合意が得られたものとして記録する。
【0046】
記憶部320には、被介護者データ321と、関係者データ322と、金融資産データ323と、不動産データ324と、評価合意履歴データ325と、資産評価者候補データ326と、が含まれる。
【0047】
図3は、被介護者データの一例を示す図である。被介護者データ321は、介護サービスを利用する被介護者の情報を記憶する。被介護者データ321には、被介護者ID321aと、氏名321bと、性別321cと、生年月日321dと、生体認証ID321eと、介護等級321fと、が含まれる。被介護者ID321aは、被介護者を他の被介護者から識別する情報である。氏名321bと、性別321cとは、被介護者の氏名および性別の情報である。生年月日321dは、被介護者の生年月日を特定する情報である。生体認証ID321eは、予め登録された被介護者の生体情報である。介護等級321fは、被介護者の介護等級を特定する情報である。
【0048】
図4は、関係者データの一例を示す図である。関係者データ322は、介護サービスの利用者である被介護者の身元引受人等、所定の関係がある者(例えば、法定相続人等)の情報を記憶する。関係者データ322には、関係者ID322aと、氏名322bと、被介護者322cと、関係者区分322dと、が含まれる。関係者ID322aは、関係者を他の関係者から識別する情報である。氏名322bは、関係者の氏名の情報である。被介護者322cは、対象の被介護者を特定する情報である。関係者区分322dは、被介護者との関係(例えば、配偶者、子供、兄弟、金融機関、外部委託先等)を判別する所定の区分である。
【0049】
図5は、金融資産データの一例を示す図である。金融資産データ323は、被介護者の保有資産のうち、金融資産に関する資産を格納する。金融資産データ323には、資産連番323aと、資産名323bと、内訳323cと、評価基準日323dと、暫定評価額323eと、が含まれる。資産連番323aは、資産を他の資産から識別する情報である。資産名323bは、資産の名称の情報である。内訳323cは、資産の種類に応じた内訳の情報である。例えば、「現金」や「信託投資」等を内訳とする。評価基準日323dは、最新の評価を行った際の基準日である。暫定評価額323eは、最新の評価における評価額である。
【0050】
図6は、不動産データの一例を示す図である。不動産データ324は、被介護者の保有資産のうち、不動産に関する資産を格納する。不動産データ324には、不動産連番324aと、位置324bと、内訳324cと、評価基準日324dと、暫定評価額324eと、が含まれる。不動産連番324aは、不動産を他の不動産から識別する情報である。位置324bは、不動産の位置の情報である。位置は、例えば、土地の場合には、地番あるいは住居表示、またはGPS、Glonass、みちびき、Galileo、北斗等の衛星測位システム上の座標で表しうる。家屋の場合には、住居表示あるいは家屋番号、またはGPS、Glonass、みちびき、Galileo、北斗等の衛星測位システム上の座標で表しうる。内訳324cは、資産の種類に応じた内訳の情報である。例えば、「土地」や「家屋」等を内訳とする。評価基準日324dは、最新の評価を行った際の基準日である。暫定評価額324eは、最新の評価における評価額である。
【0051】
図7は、評価合意履歴データの一例を示す図である。評価合意履歴データ325は、評価日ごとに資産の暫定評価額と該暫定評価額への同意者とを対応付ける情報である。具体的には、評価合意履歴データ325は、被介護者325aの評価日325bごとに、資産連番325cと、暫定評価額325dと、同意者325eと、が対応付けられた情報である。
【0052】
図8は、資産評価者候補データの一例を示す図である。資産評価者候補データ326は、資産の評価を担う資産評価サービスの主体の情報である。具体的には、資産評価者候補データ326は、評価者326bごとに、評価者ID326aと、対象資産326cと、評価手数料326dと、が対応付けられた情報である。
【0053】
対象資産326cは、資産評価サービスの主体が評価対象とする資産の種類を示す情報である。評価手数料326dは、資産評価サービスの評価にかかる手数料を特定する情報(例えば、時間単価や件数単価)である。
【0054】
図2の説明に戻る。通信部340は、ネットワーク50を介する他の装置との通信の制御を行う。
【0055】
生体認証サービス350は、ネットワーク経由で生体認証を実現する。具体的には、生体認証サービス350は、ネットワーク50経由で保有資産合意装置300へのログインを実現する。例えば、生体認証サービス350は、一般的なLDAP(Lightweight Directory Access Protocol)サーバー、あるいはAD(Active Directory)サーバーにより保有資産合意装置300へのログインを実現する。生体認証サービス350は、被介護者端末200が読み取った利用者の生体情報をペアで受け付けて、ペアの生体情報の一致度合いが所定以上であれば認証し、保有資産合意装置300へのアクセスを許可する。
【0056】
図9は、被介護者端末のハードウェア構成の一例を示す図である。被介護者端末200は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、タッチパネルディスプレイ15と、通信装置16と、カメラ17と、静脈センサ18と、測位センサ19と、を有し、各構成要素はバスにより接続されている。また、電源は、一次電池でも、充電可能な二次電池でも良く、消耗・劣化した際に交換可能とすることができる。
【0057】
プロセッサ11はCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算装置であり、メモリ12又はストレージ13に記録されたプログラムに従って処理を実行する。被介護者端末200では、メモリ12又はストレージ13上に読み出されたプログラムに従って動作するプロセッサ11により処理が行われる。処理部210、生体認証部211、入出力制御部212は、プロセッサ11がプログラムを実行することにより各々の機能を実現する。
【0058】
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)又はフラッシュメモリ等の記憶装置であり、プログラムやデータが一時的に読み出される記憶エリアとして機能する。ストレージ13は、書き込み及び読み出し可能な記憶装置である。記憶部220は、メモリ12又はストレージ13によりその機能が実現される。なお、記憶部220は、通信装置16を介して接続される記憶装置によってその機能が実現されてもよい。
【0059】
タッチパネルディスプレイ15は、入出力を行うためのインターフェースを提供する装置であり、ディスプレイに出力を行い、タッチパネルにて入力を受け付ける。
【0060】
通信装置16は、被介護者端末200を外部の装置と通信接続するためのインターフェースである。例えば、通信装置16は、無線LAN(Local Area Network)等に参加する所定の周波数帯域(例えば、2.4GHz(ギガヘルツ)あるいは5.2~5.6GHz帯)の電波を利用できるアンテナを用いて無線通信を行う。また、通信装置16は、5Gネットワークあるいは4Gネットワーク等の携帯電話通信網に参加する所定の電波を利用できるアンテナを用いて無線通信を行うものであってもよい。
【0061】
カメラ17は、所定の画角で周囲を撮像する。望ましくは、カメラ17には、インカメラと呼ばれるカメラと、インカメラで写せない範囲を撮像するアウトカメラと呼ばれるカメラが含まれる。その場合、インカメラは、タッチパネルディスプレイ15の表示面にレンズが設けられて、タッチパネルディスプレイ15を見ている人の顔(主に、被介護者の顔)を撮像する。アウトカメラは、タッチパネルディスプレイ15の表示面の裏側にレンズが設けられて、タッチパネルディスプレイ15を見ている人に対面している人の顔を撮像する。なお、インカメラとアウトカメラの区別がなく一つしかカメラレンズがない場合には、当該カメラレンズにて被介護者を撮像する。
【0062】
静脈センサ18は、所定のセンサ部に接触している利用者(介護者あるいは被介護者)の指の透過波あるいは反射波を検出して、指静脈の形状を撮像して生体画像を得る。
【0063】
測位センサ19は、GPS、Glonass、みちびき、Galileo、北斗等の衛星測位システムにおける受信用アンテナを含むセンサである。
【0064】
なお、被介護者端末200の各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。また、被介護者端末200の各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
【0065】
保有資産合意装置300は、被介護者端末200のハードウェア構成と概ね同じであるが、タッチパネルディスプレイ15と、カメラ17と、静脈センサ18と、測位センサ19とは、備える必要はない。また、家族端末400についても、被介護者端末200のハードウェア構成と概ね同じであるが、タッチパネルディスプレイ15と、カメラ17と、静脈センサ18と、測位センサ19とは、備える必要はない。
【0066】
次に、保有資産合意システム1の処理の流れについて説明する。図10は、資産評価フローの一例を示す図である。本フロー図の処理は、介護施設へ被介護者が入所する際に資産登録を行う場合のフローである。
【0067】
まず、資産登録部312は、介護施設への入所時に、被介護者の資産を生体認証して登録する(ステップS001)。具体的には、まず、被介護者端末200の生体認証部211は、保有資産合意装置300に認証開始を要求する。その際、生体認証部211は、保有資産合意装置300に被介護者情報(被介護者ID)を送信する。
【0068】
保有資産合意装置300の認証管理部311は、認証開始を要求した被介護者の被介護者データを引き当て、生体情報を取得するよう被介護者端末200に要求する。認証開始を要求した被介護者の被介護者データを引き当てられない場合には、認証管理部311は、被介護者の新規登録処理を開始する(図示せず)。
【0069】
そして、被介護者端末200の生体認証部211は、被介護者の生体情報を取得し保有資産合意装置300に送信する。具体的には、生体認証部211は、生体情報読取部240の静脈センサ241あるいはカメラ242により被介護者の生体情報を取得する。望ましくは、生体認証部211は、カメラ242にて被介護者の顔の生体画像を得る場合には、インカメラを用いて取得する。これにより、被介護者端末200の向きを変えることなく、タッチパネルディスプレイ15を見ながらスムーズな操作を可能とする。
【0070】
そして、認証管理部311は、受信した生体情報と、被介護者データ321に予め登録された生体認証ID321eと、を生体認証サービス350に送信する。なお、認証管理部311は、認証に用いる生体情報として、上述のとおり、1)被介護者の静脈を撮影した生体画像、2)被介護者の顔を撮影した生体画像を用いてもよいし、あるいは上記の1)2)のそれぞれの生体画像を所定のパラメータで暗号化した情報を用いるようにしてもよい(既存技術)。
【0071】
生体認証サービス350は、被介護者の生体情報を判別して、生体認証ID321eとの適合を判別して認証し、応答を返す。ここで、生体認証サービス350は、所定以上の適合を確認できない場合には、認証失敗を返す。
【0072】
そして、認証管理部311は、被介護者の認証が成功した旨の通知を被介護者端末200に送信する。なお、被介護者の認証が失敗している場合には、認証管理部311は、記録シーケンスを終了させるか、複数回の連続失敗が発生している場合には当該被介護者の利用を一時停止する等の措置を取る。
【0073】
そして、被介護者端末200の生体認証部211は、被介護者の認証が成功した旨の通知を受信すると、被介護者端末200の入出力制御部212は、被介護者からの保有資産の入力を受け付けて保有資産合意装置300に送信する。より具体的には、入出力制御部212は、被介護者からの入力情報を保有資産合意装置300に送信し、保有資産合意装置300の資産登録部312から出力される質問メッセージを受け付けて被介護者端末200の画面に表示する。
【0074】
図11は、資産登録画面の一例を示す図である。資産登録画面500では、資産登録部312が生成した保有不動産の質問501に対して、保有する土地の住居表示を含む回答502がなされている例が示されている。その後、資産登録部312は、他に保有する土地があるかという質問503を生成し、ない旨の被介護者からの回答を受け付けると、金融資産の質問として口座のある銀行を問う質問504を生成する。資産登録部312は、回答に対して、その口座のある銀行のキャッシュカードの撮影画像の要求505を行い、キャッシュカードの撮影画像506が送信されると、他に口座のある銀行があるかという質問を生成する。
【0075】
このように、資産登録部312は、自動対話型チャットボット等により資産をもれなく被介護者から聞き出し、回答を元に資産の登録を行う。
【0076】
そして、評価合意支援部314は、登録された資産を評価するサービスをマッチングする(ステップS002)。具体的には、評価合意支援部314は、登録された資産の種類(内訳)に応じて、それぞれの資産を評価する資産評価サービスの主体を資産評価者候補データ326を用いて決定する。その際、評価合意支援部314は、評価手数料326dが安価であること、および再評価依頼を受ける蓋然性の低い(再評価を依頼された評価実績が少ない)資産評価サービス360を選定するようにしてもよい。あるいは、評価合意支援部314は、資産評価サービス360をランダムに選定するようにしてもよいし、ラウンドロビン方式で選定するようにしてもよい。または、評価合意支援部314は、評価に要する期間が短い実績に基づいて選定してもよい。なお、評価合意支援部314は、複数の資産評価サービス360に当該資産の評価を依頼するようにしてもよい。
【0077】
そして、評価合意支援部314は、トリガーイベント(要介護の程度上昇、あるいは都度の実行指示)を受け付けると、暫定評価を開始させる(ステップS003)。具体的には、評価合意支援部314は、マッチングした資産評価サービス360に評価の開始を指示する。一口の資産に複数の資産評価サービス360をマッチングしている場合には、評価合意支援部314は、その一部または全部に対して当該資産の評価の開始を指示するようにしてもよい。
【0078】
そして、資産評価サービス360にて、不動産を評価する(ステップS004)。不動産の評価にあたっては、土地については、資産評価サービス360にて路線価情報を用いて評価を行う。家屋については、資産評価サービス360にて家屋の映像を取得して評価を行う。この映像は、コストを抑える観点から、ドローンや自走式カメラ等を用いて自動で撮像した画像であってもよい。そのような画像を資産評価部313が取得してもよいし、資産評価サービス360の主体が撮像するものであってもよい。後述する不動産評価フローにて、詳細な説明を行う。
【0079】
そして、資産評価サービス360にて、金融資産を評価する(ステップS005)。金融資産の評価にあたっては、金融資産については、資産評価サービス360にて金融機関へ問い合わせて残高情報を得る。年金については、資産評価サービス360にて年金行政窓口へ問い合わせて評価を行う。このような問い合わせは、資産評価部313が行ってもよい。
【0080】
そして、暫定評価額が出揃うと、評価合意支援部314は、法定相続人等の関係者へ通知し、資産評価額について同意するか、再評価を要求するかの入力を受け付ける(ステップS006)。具体的には、評価合意支援部314は、関係者データ322を参照して、関係者を抽出し、後述する評価結果画面700を関係者の家族端末400に送信する。
【0081】
図13は、評価結果画面の一例を示す図である。評価結果画面700では、評価基準日における資産評価結果がとして、それぞれの資産評価額が示される。具体的には、金融資産について、少なくとも暫定評価額と該処理時点での同意者と、が含まれる金融資産表710と、その暫定評価額について同意を入力する同意ボタン711と、が含まれる。また、不動産についても、少なくとも暫定評価額と該処理時点での同意者と、が含まれる不動産表720と、その暫定評価額について同意を入力する同意ボタンと、が含まれる。また、評価結果画面700には、当該関係者が同意を入力していない資産について、保有資産合意装置300に再評価を依頼する再評価依頼ボタン730が含まれる。保有資産合意装置300の評価合意支援部314は、再評価依頼ボタン730への入力を受け付けると、同意のない資産について、未利用の資産評価サービス360を用いて評価するよう資産評価部313に指示する。そして、評価合意支援部314は、再評価した資産評価額に更新して、ステップS006を再実行する。
【0082】
そして、関係者から所定以上の同意(例えば、関係者の半数以上の同意)を受け付けると、評価合意支援部314は、当該資産評価額の合意の履歴を格納する(ステップS007)。具体的には、評価合意支援部314は、資産ごとに暫定評価額と、同意者と、を対応付けて評価合意履歴データ325に格納する。
【0083】
以上が、資産評価フローの一例である。資産評価フローによれば、継続的に要介護者の資産の評価についての合意を醸成することが可能となる。
【0084】
図12は、不動産評価フローの一例である。不動産評価フローは、資産評価フローのステップS004にて開始される。
【0085】
まず、資産評価部313は、不動産データ324を参照して、資産登録された土地についての評価額を、資産評価サービス360に依頼し、評価額を取得する(ステップS101)。資産評価サービス360は、例えば、路線価等をベースに面積および図面上の所定部分の距離の多寡に応じて土地の評価額を決定する。なお、評価額の決定に関しては、他の基準により行うものであってもよい。
【0086】
そして、資産評価部313は、資産登録された家屋について、住所(住居表示または家屋番号)に応じて座標を設定し、ドローン等の移動体に取り付けたカメラを用いて家屋の外観を撮影する(ステップS102)。
【0087】
そして、資産評価部313は、撮影した映像を資産評価サービス360に受け渡して、家屋の評価額を取得する(ステップS103)。資産評価サービス360は、例えば、家屋を撮影した映像を用いて、あるいは情報が不足するようであれば現地に赴く調査を行って、当該家屋の概算の評価額を決定する。なお、評価額の決定に関しては、他の基準により行うものであってもよい。
【0088】
以上が、不動産評価フローの一例である。不動産評価フローによれば、簡便に不動産の概算評価額を得ることが可能となる。
【0089】
図14は、評価合意履歴画面の一例を示す図である。評価合意履歴画面800では、評価基準日における資産評価結果について合意が成立した履歴の情報が表示される。具体的には、金融資産について、少なくとも暫定評価額と該処理時点での同意者と、が含まれる金融資産表810と、不動産について、少なくとも暫定評価額と該処理時点での同意者と、が含まれる不動産表820と、が含まれる。また、評価合意履歴画面800には、関係者の同意が所定以上集まらず合意に至っていない最近の評価額を表示させる未合意評価表示ボタン830が含まれる。保有資産合意装置300の評価合意支援部314は、未合意評価表示ボタン830への入力を受け付けると、合意に至っていない最近の資産評価について読み出し、表示させる。
【0090】
以上が、保有資産合意システム1の実施形態の例である。保有資産合意システム1によれば、継続的に要介護者の資産の評価についての合意を醸成することができる。
【0091】
以上、本発明に係る実施形態の説明を行ってきたが、本発明は、上記した実施形態の一例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態では、保有資産を所定の評価タイミングの都度登録するようにしているが、これに限られるものではなく、資産に異動が生じた場合に異動内容を登録し評価を行うようにしてもよい。
【0092】
図15は、別の実施例に係る保有資産合意システムの実施例の一例を示す図である。保有資産合意システム1´では、基本的に保有資産合意システム1と同様の構成を備えるが、一部に相違がある。具体的には、保有資産合意装置300は、処理部310に資産異動登録部315を備え、記憶部320の金融資産データ323および不動産データ324に代えて金融資産データ323´および不動産データ324´を備える。
【0093】
資産異動登録部315は、資産に異動が生じた場合に異動内容を受け付けて登録し、現金資産との整合処理を行う。具体的には、資産異動登録部315は、異動内容を受け付けると現金口座等の金融資産の増加/減少額の増減について整合をチェックし、現金口座等の金融資産の増加/減少額の増減の記録漏れを減らすよう必要な追加質問を行う。
【0094】
図16は、別の実施例に係る金融資産データの一例を示す図である。金融資産データ323´は、金融資産データ323に加えて、処分日323fの情報を備える。処分日323fは、金融資産を処分(売却等の移転、消滅、口座凍結等)した日を特定する情報である。
【0095】
図17は、別の実施例に係る不動産データの一例を示す図である。不動産データ324´は、不動産データ324に加えて、処分日324fの情報を備える。処分日324fは、不動産を処分(売却等の移転、抵当権の設定等)した日を特定する情報である。
【0096】
図18は、資産異動フローの一例を示す図である。資産異動フローは、基本的には上記の資産評価フローと同様の処理であるが、資産評価フローのステップS001に代えて、生体認証し被介護者の資産異動を受け付け、現金資産との整合処理を行うステップS201を行う点で相違する。
【0097】
具体的には、資産異動登録部315は、上記の資産登録画面500と同様に、自動対話型チャットボット等により資産の異動内容の質問を行い、受け付けた回答から処分した金融資産あるいは不動産を特定し、処分日、処分金額の情報が不足していれば追加して質問する。そして、資産異動登録部315は、回答から受け付けた処分金額を元に現金資産との整合を取る。例えば、資産異動登録部315は、売却益/売却損がある場合には現金口座の増加/減少額について追加質問を行う。そして、資産異動登録部315は、回答を受け付けると現金口座の増加/減少額および金融資産の評価額との増減の傾向との整合をチェックする。明らかに整合しない(例えば、売却益/売却損に対して現金口座の増減が少なすぎる等)場合には、資産異動登録部315は、他の資産の増減を質問する。
【0098】
以上が、別の実施例に係る保有資産合意システム1´の実施例の一例である。別の実施例に係る保有資産合意システム1´によれば、資産に異動が生じた際に、異動内容を登録し評価を行うことができる。また、資産の異動に伴う現金資産との整合を所定のレベルで担保できる。
【0099】
上記した実施形態の例は、本発明を分かり易くするために詳細に説明したものであり、本発明は、ここで説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ある実施形態の一例の構成の一部を他の一例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の一例の構成に他の一例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の一例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることもできる。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、図中の制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、全てを示しているとは限らない。ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1・・・保有資産合意システム、50・・・ネットワーク、200・・・被介護者端末、210・・・処理部、211・・・生体認証部、212・・・入出力制御部、220・・・記憶部、230・・・通信部、240・・・生体情報読取部、241・・・静脈センサ、242・・・カメラ、250・・・表示部、260・・・位置取得部、300・・・保有資産合意装置、310・・・処理部、311・・・認証管理部、312・・・資産登録部、313・・・資産評価部、314・・・評価合意支援部、320・・・記憶部、321・・・被介護者データ、322・・・関係者データ、323・・・金融資産データ、324・・・不動産データ、325・・・評価合意履歴データ、326・・・資産評価者候補データ、340・・・通信部、350・・・生体認証サービス、360・・・資産評価サービス、400・・・家族端末。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18