(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131704
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】異常検知システム及び異常検知方法
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G05B23/02 302N
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042129
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】池田 和隆
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 俊
(72)【発明者】
【氏名】島崎 尚史
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA11
3C223BA01
3C223CC01
3C223DD01
3C223EB01
3C223EB02
3C223EB03
3C223FF04
3C223FF13
3C223FF16
3C223FF22
3C223FF26
3C223FF42
3C223GG01
3C223HH03
(57)【要約】
【課題】意図しない学習結果となったり、意図しない学習結果になった場合の学習調整に時間を要したりすることを抑制し、高い精度で設備の異常を検知できる異常検知システムを提供する。
【解決手段】異常検知システム30は、設備10の動作を示す設備データを時間経過に伴って繰り返し取得するデータ取得部31と、取得された設備データに対して、1以上の期間の指定を受け付け、受け付けた1以上の期間が複数の期間である場合に、複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化することで、均等化した数の設備データの集まりであるデータセットを作成するデータセット作成部37と、作成されたデータセットを用いて、機械学習モデル32cを学習させる学習部33と、学習された機械学習モデル32cに対して、データ取得部31で取得された設備データを入力し、設備10の異常に関する評価を行わせる評価部34とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械学習モデルを用いて設備の異常を検知する異常検知システムであって、
設備の動作を示す設備データを時間経過に伴って繰り返し取得するデータ取得部と、
取得された前記設備データに対して、1以上の期間の指定を受け付け、受け付けた1以上の期間が複数の期間である場合に、前記複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化することで、均等化した数の設備データの集まりであるデータセットを作成するデータセット作成部と、
作成された前記データセットを用いて、前記機械学習モデルを学習させる学習部と、
学習された前記機械学習モデルに対して、前記データ取得部で取得された設備データを入力し、前記設備の異常に関する評価を行わせることで、前記機械学習モデルから評価結果を取得する評価部とを備える、
異常検知システム。
【請求項2】
前記機械学習モデルは、前記データ取得部で取得された設備データを用いて学習されており、
前記学習部は、前記データセットを用いて、前記機械学習モデルを再学習させる、
請求項1記載の異常検知システム。
【請求項3】
前記データ取得部は、前記設備が稼働中であるときに、前記設備データを取得し、
前記機械学習モデルは、稼働中の前記設備の設備データから前記設備の異常に関する評価を行う、
請求項1記載の異常検知システム。
【請求項4】
さらに、
前記評価結果を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記評価結果を見ながら操作する操作者から前記1以上の期間の指定を受け付ける入力部とを備え、
前記データセット作成部は、前記入力部を介して、前記1以上の期間の指定を受け付ける、
請求項1記載の異常検知システム。
【請求項5】
前記データセット作成部は、前記評価結果において予め定めた条件が満たされている期間を抽出し、抽出した前記期間を、前記1以上の期間の指定として受け付ける、
請求項1記載の異常検知システム。
【請求項6】
前記データセット作成部は、前記複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数が同数となるように、前記複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化する、
請求項1記載の異常検知システム。
【請求項7】
前記データセット作成部は、さらに、取得された設備データに対して、1以上の期間の指定を受け付け、受け付けた1以上の期間が複数の期間である場合に、前記複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化することなく、前記複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの集まりであるデータセットを作成する、
請求項1記載の異常検知システム。
【請求項8】
機械学習モデルを用いた異常検知システムによって設備の異常を検知する異常検知方法であって、
設備の動作を示す設備データを時間経過に伴って繰り返し取得するデータ取得ステップと、
取得された前記設備データに対して、1以上の期間の指定を受け付け、受け付けた1以上の期間が複数の期間である場合に、前記複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化することで、均等化した数の設備データの集まりであるデータセットを作成するデータセット作成ステップと、
作成された前記データセットを用いて、前記機械学習モデルを学習させる学習ステップと、
学習された前記機械学習モデルに対して、前記データ取得ステップで取得された設備データを入力し、前記設備の異常に関する評価を行わせることで、前記機械学習モデルから評価結果を取得する評価ステップとを含む、
異常検知方法。
【請求項9】
請求項8記載の異常検知方法に含まれるステップをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、設備の異常を検知する異常検知システム及び異常検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生産設備等の設備の稼働における異常を検知する場合、対象とする設備が扱う品種、気温や湿度といった環境の要因によって設備の動作が変動することを考慮する必要がある。よって、機械学習モデルを用いて設備の異常を検知する場合には、機械学習時に用いるデータがそれらの変動を偏って含んでいると、未知の変動に脆弱になったり、サンプル数の少ない少数派クラス(つまり、学習データに多く含まれない設備状態)に対するモデルの感度が高くなったりする等、異常検知の精度低下につながる。
【0003】
このような課題を解決するために、従来、様々な技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の技術は、学習データの不足件数の程度を評価することで不足データの種類を特定したうえで、学習データの偏りを改善するよう自動で調整している。それによって、変動に強い学習を実現するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、不足している種類のデータ件数を自動で調整するという特徴上、ユーザが持つ稼働情報等の事前に分かっている情報を学習に反映することができず、意図しない学習結果となったり、意図しない学習結果になった場合の学習調整に時間を要したりするという問題がある。
【0006】
そこで、本開示は、機械学習モデルを用いて設備の異常を検知する異常検知システム等であって、意図しない学習結果となったり、意図しない学習結果になった場合の学習調整に時間を要したりすることを抑制し、高い精度で設備の異常を検知できる異常検知システム及び異常検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一形態に係る異常検知システムは、機械学習モデルを用いて設備の異常を検知する異常検知システムであって、設備の動作を示す設備データを時間経過に伴って繰り返し取得するデータ取得部と、取得された前記設備データに対して、1以上の期間の指定を受け付け、受け付けた1以上の期間が複数の期間である場合に、前記複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化することで、均等化した数の設備データの集まりであるデータセットを作成するデータセット作成部と、作成された前記データセットを用いて、前記機械学習モデルを学習させる学習部と、学習された前記機械学習モデルに対して、前記データ取得部で取得された設備データを入力し、前記設備の異常に関する評価を行わせることで、前記機械学習モデルから評価結果を取得する評価部とを備える。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の一形態に係る異常検知方法は、機械学習モデルを用いた異常検知システムによって設備の異常を検知する異常検知方法であって、設備の動作を示す設備データを時間経過に伴って繰り返し取得するデータ取得ステップと、取得された前記設備データに対して、1以上の期間の指定を受け付け、受け付けた1以上の期間が複数の期間である場合に、前記複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化することで、均等化した数の設備データの集まりであるデータセットを作成するデータセット作成ステップと、作成された前記データセットを用いて、前記機械学習モデルを学習させる学習ステップと、学習された前記機械学習モデルに対して、前記データ取得ステップで取得された設備データを入力し、前記設備の異常に関する評価を行わせることで、前記機械学習モデルから評価結果を取得する評価ステップとを含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示により、機械学習モデルを用いて設備の異常を検知する異常検知システム等であって、意図しない学習結果となったり、意図しない学習結果になった場合の学習調整に時間を要したりすることを抑制し、高い精度で設備の異常を検知できる異常検知システム及び異常検知方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る異常検知システムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る異常検知システムの動作の概要を示す図である。
【
図3】
図3は、複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化したデータセットを用いて機械学習モデルを再学習させる意義を説明するための図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る異常検知システムの動作のうち初期動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る異常検知システムの動作のうち機械学習モデルの再学習を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、設備データに対して操作者が1以上の期間を指定する処理及びデータセット作成部が設備データの数を均等化したデータセットを作成する処理を説明する模式図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る異常検知システムにおけるデータの流れを示すデータフロー図である。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る異常検知システムによる評価結果の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示す。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0012】
図1は、実施の形態に係る異常検知システム30の構成を示す機能ブロック図である。本図には、設備10及び操作者20も併せて図示されている。
【0013】
設備10は、異常検知システム30による異常検知の対象となる設備であり、例えば、生産ロボット等の生産設備である。設備10には、異常検知のためのセンサである検出部11が設けられている。検出部11は、例えば、電流センサ、電流センサの一種で高調波成分の検出に優れた高調波センサ、温度計、振動センサ、マイク等である。
【0014】
操作者20は、異常検知システム30に対して操作をするユーザである。
【0015】
異常検知システム30は、機械学習モデルを用いて設備10の稼働における異常を検知するアノマリーディテクション・システムであり、データ取得部31、記憶部32、学習部33、評価部34、表示部35、入力部36、及び、データセット作成部37を備える。
【0016】
データ取得部31は、設備10が備える検出部11から、設備10の動作を示す設備データを時間経過に伴って繰り返し取得し、設備データ32aとして、記憶部32に保存する処理部であり、例えば、LAN等の通信インタフェースである。データ取得部31は、設備10が稼働中であるときに、設備データを取得する。ここで、設備データは、設備の動作状態を示す観測データであり、一時点で得られる1種類の観測データであってもよいし、複数の異なる種類の観測データの集まりであってもよいし、一定の時間幅で繰り返し得られる観測データの集まりであってもよい。
【0017】
記憶部32は、データ取得部31によって取得された設備データ32a、データセット作成部37によって作成されたデータセット32b、機械学習モデル32c、及び、評価部34によって得られた評価結果32dを保持する記憶装置であり、例えば、ハードディスク、不揮発性メモリ等である。機械学習モデル32cは、例えば、オートエンコーダである。データセット32bは、後述するように、機械学習モデル32cの再学習に用いられる学習データの集まりである。
【0018】
学習部33は、データ取得部31によって取得された設備データ(ここでは、記憶部32に保存された設備データ32a)又はデータセット作成部37によって作成されたデータセット(ここでは、記憶部32に保存されたデータセット32b)を用いて、機械学習モデル32cを学習させる処理部であり、例えば、機械学習モデル32cに対して設備データ32a又はデータセット32bを用いてディープラーニングによる教師なし学習を行う。なお、学習部33による学習方法は、教師なし学習に限られず、教師あり学習又は強化学習であってもよい。
【0019】
本実施の形態では、学習部33は、データ取得部31で取得された設備データを用いて機械学習モデル32cに対する初期学習を済ませておき、その後、データセット作成部37によって作成されたデータセットを用いて機械学習モデル32cの再学習を繰り返す。
【0020】
評価部34は、学習された機械学習モデル32cに対して、データ取得部31で取得された設備データ又は記憶部32に保存された設備データ32aを入力し、設備10の異常に関する評価を行わせることで、機械学習モデル32cから評価結果を取得し、評価結果32dとして、記憶部32に保存する。
【0021】
表示部35は、記憶部32から評価結果32d及び設備データ32a等のデータを読み出して表示するプロセッサ及びディスプレイ等である。
【0022】
入力部36は、操作者20による入力操作を受け付ける入力インタフェースであり、例えば、タッチパネル、マウス、キーボード等である。入力部36は、例えば、表示部35に表示された評価結果及び設備データを見ながら操作する操作者20から、機械学習モデル32cの再学習に用いられるデータセットを作成するための、設備データ32aに対する1以上の期間の指定を受け付ける。なお、期間の指定を受ける対象となる設備データ32aは、機械学習モデル32cによる評価が終わった設備データ32aであってもよいし、新たにデータ取得部31によって取得されて機械学習モデル32cによる評価が未だ行われていない設備データであってもよいし、機械学習モデル32cの初期学習又は再学習に用いられた設備データ32aであってもよい。
【0023】
データセット作成部37は、機械学習モデル32cの再学習に用いられるデータセットを作成する処理部である。そのために、データセット作成部37は、設備データに対して、入力部36を介して操作者20から受け付けた1以上の期間が複数の期間である場合に、複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化することで、均等化した数の設備データの集まりであるデータセットを作成し、データセット32bとして、記憶部32に保存する。均等化においては、例えば、データセット作成部37は、指定された複数の期間の長さが異なっていても、それら複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数が同数となるように、複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化する。
【0024】
なお、データセット作成部37は、入力部36を介して操作者20から1以上の期間の指定を受け付けるだけでなく、操作者20による操作を必要とすることなく、評価結果32d又は設備データにおいて予め定めた条件が満たされている期間を抽出し、抽出した期間を、1以上の期間の指定として受け付ける、つまり、1以上の期間の指定を自動生成する機能も有する。また、データセット作成部37は、上述した均等化を行った上でデータセットを作成するだけでなく、指定された複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化することなく、指定された複数の期間のそれぞれに含まれる設備データをそのまま集めたデータセットを作成する機能も有する。
【0025】
なお、データ取得部31、学習部33、評価部34、及び、データセット作成部37については、プログラムを保持するメモリ、及び、プログラムを実行するプロセッサによって実現され得る。
【0026】
次に、以上のように構成される本実施の形態に係る異常検知システム30の動作について説明する。
【0027】
図2は、実施の形態に係る異常検知システム30の動作(つまり、異常検知方法)の概要を示す図である。ここには、異常検知システム30による処理の流れ(ステップS10~S15)が模式的に示されている。
【0028】
まず、データ取得部31によって、設備10の稼働中に設備10の動作を示す設備データが時間経過に伴って繰り返し取得され(データ取得ステップS10)、取得された設備データを用いて、学習部33により、機械学習モデル32cが学習(つまり、初期学習)される(S11)。
【0029】
そして、初期学習が終わった機械学習モデル32cに対して、評価部34により、データ取得部31で取得された新たな設備データが入力され(S12)、これによって、機械学習モデル32cによる設備10の異常に関する評価が行われ、機械学習モデル32cから評価結果が得られる(S13)。なお、
図2のステップS13には、評価結果の例が図示されており、この評価結果では、横軸が時間を示し、縦軸が個々の設備データが示す変動率(つまり、得られた設備データと既知の正常値との差分の既知の正常値に対する百分率であり、高いほど異常度が大きい値)を示す。このように、評価結果は、個々の設備データに対する評価(ここでは、変動率)を意味し、情報として、設備データを含んでいる。
【0030】
得られた評価結果は、表示部35に表示され、その評価結果を見ながら、操作者20は、入力部36を介して、機械学習モデル32cの再学習に用いられるデータセットを作成するために、評価結果に含まれる設備データに対して1以上の期間を指定する(
図2のステップS13で図示された実線の矩形で囲まれた3箇所)。
【0031】
それに対して、データセット作成部37は、入力部36を介して操作者20から受け付けた1以上の期間が複数の期間である場合に、複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化することで(S14)、均等化した数の設備データの集まりであるデータセットを作成する(データセット作成ステップS15)。例えば、データセット作成部37は、指定された複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数が同数となるように、複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化する。
【0032】
そして、データセット作成部37によって作成されたデータセットを用いて(S15)、学習部33により、教師なし学習等によって機械学習モデル32cの再学習が行われる(学習ステップS11)。再学習が終わった機械学習モデル32cは、評価部34により、設備10の稼働中にデータ取得部31で取得された(S12)新たな設備データに対する評価を行う(評価ステップS13)。
【0033】
このように、本実施の形態に係る異常検知システム30によれば、操作者20から受け付けた複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化することでデータセットが作成され、そのようなデータセットを用いて機械学習モデル32cが再学習されるので、機械学習に用いる設備データが、設備10が扱う品種、気温や湿度といった環境の要因による設備10の動作の変動を偏って含んでいても、その偏りが平準化されたうえで、そのような設備データを用いた機械学習モデル32cの再学習が行われる。
【0034】
よって、未知の変動に脆弱になったり、サンプル数の少ない少数派クラス(つまり、学習データに多く含まれない設備状態)に対するモデルの感度が高くなったりする等、異常検知の精度低下が抑制されるとともに、操作者20が持つ設備10の稼働情報等の事前に分かっている情報を学習に反映することができるので、意図しない学習結果となったり、意図しない学習結果になった場合の学習調整に時間を要したりすることが抑制され、高い精度で設備の異常を検知できる異常検知システム30が実現される。
【0035】
特に、機械学習モデル32cに対して教師なし学習が行われる場合には、複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化したデータセットを用いて機械学習モデル32cの再学習を行うことで、機械学習モデル32cによる異常検知の精度を向上させることができる。その理由について、
図3を用いて、説明する。
【0036】
図3は、複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化したデータセットを用いて機械学習モデル32cを再学習させる意義を説明するための図である。いま、
図3の(a)~(c)に示されるように、それぞれ、設備10が動作A、動作B、動作Cをしているときに得られる設備データ(つまり、設備データの時系列データ群)を想定する。動作A、動作B、動作Cには、いずれも、共通特徴(丸で図示された部分)が含まれるが、それぞれ、個別特徴(三角、五角形、六角形で図示された部分)も含まれる。
【0037】
もし、このような3種類の設備データを学習データとして同等量(つまり、均等数)用いて、機械学習モデルに対して教師なし学習を実施した場合には、機械学習モデルは、各学習データにおけるサンプル数が多い共通特徴(丸で図示された部分)に対しては、強く反応し、与えられた正常動作に対して低い変動率を示す(つまり、正常と評価しやすくなる)ように学習され、一方、各学習データに含まれるサンプル数の少ない個別特徴(三角、五角形、六角形で図示された部分)に対しては、反応が弱いことにより、与えられた正常動作に対していずれも低い変動率を示す(つまり、正常と評価しやすくなる)。
【0038】
その結果、
図3の(d)に示されるように、機械学習モデルによる評価時には、共通特徴に関して異常動作を検知した場合であっても、個別特徴に関して未学習な正常動作を検知した場合であっても、高い変動率を示し(つまり、異常と評価しやすくなり)、これらの異なる現象に対して区別することが困難となる。つまり、共通特徴に関して異常動作を検知した場合には、機械学習モデルは、学習した範囲内にない異常動作と認識し、正常知識にない情報に反応することとなり、高い変動率を示す(つまり、異常と評価する)。一方、個別特徴に関して未学習な正常動作を検知した場合には、機械学習モデルは、「いつも」にはない情報に反応することとなり、高い変動率を示す(つまり、異常と評価する)。
【0039】
このように、教師なし学習によれば、正常を示す学習データだけによる学習で済むメリットがある反面、設備10における各種動作及び状態のそれぞれに関して学習量が異なる場合には、異常動作が生じているケースと、未学習な正常動作が生じているケースとを区別できなくなるという問題が生じる。そこで、本実施の形態では、機械学習モデル32cの再学習に用いるデータセットとして、操作者20によって、設備10における各種動作及び状態に対応する期間として指定された複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化したデータセットを用いることにしている。
【0040】
図4は、実施の形態に係る異常検知システム30の動作(つまり、異常検知方法)のうち初期動作を示すフローチャートである。ここには、異常検知システム30における機械学習モデル32cの初期学習と、初期学習を終えた機械学習モデル32cによる設備10の異常検知についての処理が示されている。
【0041】
まず、データ取得部31は、設備10の稼働中に設備10の動作を示す設備データを時間経過に伴って繰り返し取得し(S20)、設備データ32aとして、記憶部32に蓄積する(S21)。
【0042】
次に、学習部33は、学習に必要な設備データ32aが充分に蓄積された否かを判断し(S22)、充分に蓄積されていないと判断した場合には(S22でNo)、ステップS20~S22を繰り返す。なお、充分に蓄積された否かの判断は、例えば、所定数(例えば、100個)、あるいは、所定期間(例えば、3日)の設備データが蓄積されたか否かで行う。
【0043】
次に、充分に蓄積されたと判断した場合には(S22でYes)、学習部33は、記憶部32に蓄積された設備データ32aをまとめることで学習用のデータセット32bを作成し(S23)、作成したデータセット32bを用いて、例えば、教師なし学習で、機械学習モデル32cを学習させる(S24)。
【0044】
最後に、評価部34は、学習された機械学習モデル32cに対して、記憶部32に蓄積された設備データ32aを入力し、設備10の異常に関する評価を行わせることで、機械学習モデル32cから評価結果を取得し、評価結果32dとして、記憶部32に保存する(S25)。記憶部32に保存された評価結果32dは、表示部35によって読み出され、表示部35が備えるディスプレイ等に表示される。
【0045】
このようにして、機械学習モデル32cの初期学習が完了するとともに、記憶部32に蓄積された設備データ32aに対する評価結果32dが得られ、機械学習モデル32cの再学習に用いる設備データ32aの準備も完了する。
【0046】
図5は、実施の形態に係る異常検知システム30の動作(つまり、異常検知方法)のうち機械学習モデル32cの再学習を示すフローチャートである。まず、評価部34は、記憶部32に蓄積された設備データ32aが評価の対象であるか否かを判断し(S30)、記憶部32に蓄積された設備データ32aが評価の対象であると判断した場合には(S30でYes)、記憶部32に蓄積された設備データ32aを機械学習モデル32cに入力することで、設備10の異常に関する評価を行わせ(S31)、一方、記憶部32に蓄積された設備データ32aが評価の対象ではないと判断した場合には(S30でNo)、データ取得部31によって新たに取得された設備データを機械学習モデル32cに入力することで、機械学習モデル32cに設備10の異常に関する評価を行わせる(S32)。
【0047】
次に、操作者20は、再学習の必要があるか否かを判断する(S33)。例えば、設備10及びその環境における状態変動(製造部品の変更、季節の変化等)に対して、知識不足による評価結果の誤判定(例えば、機械学習モデル32cに対する過学習等)が発生していると思われる場合に、操作者20は、再学習の必要があると判断する。
【0048】
その結果、操作者20は、再学習の必要がないと判断した場合には(S33でNo)、ステップS32~S33を繰り返し、一方、再学習の必要があると判断した場合には(S33でYes)、再学習のためのデータセットを準備するために、入力部36を介して設備データに対して1以上の期間を指定する(S34)。例えば、操作者20は、表示部35に表示された評価結果を見ながら、ディスプレイをタッチして時間軸上で範囲を指定することで、表示された設備データのうち、設備10が正常に稼働し、かつ、設備10及びその環境における状態変動(製造部品の変更、季節の変化等)があったと思われる1以上の期間を指定する。
【0049】
なお、期間の指定においては、開始と終了といった方法で指定するだけでなく、あらかじめ各環境などで分割しておいたグループ単位で指定する方法であってもよい。つまり、期間というのは、後続するステップS36での均等化処理の対象を指定する方法の1つであり、必ずしも開始と終了を指定する必要はなく、あらかじめ各環境などで分割しておいたグループ単位で指定する方法であってもよい。そのグループの中で期間的に最初のデータ及び最後のデータは存在するので、間接的には期間の指定となる。
【0050】
これに対して、操作者20からの1以上の期間の指定を受け付けたデータセット作成部37は、1以上の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化する必要があるか否かを判断する(S35)。例えば、データセット作成部37は、指定された1以上の期間のそれぞれに含まれる設備データの数が、いずれも、所定の範囲内(例えば、データ数の誤差±5%の範囲内)である場合には設備データの数を均等化する必要がないと判断し、そうでない場合には設備データの数を均等化する必要があると判断する。
【0051】
その結果、設備データの数を均等化する必要があると判断した場合には(S35でYes)、データセット作成部37は、1以上の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化したデータセットを作成し、データセット32bとして記憶部32に保存する(S36)。例えば、データセット作成部37は、1以上の期間のそれぞれに含まれる設備データの数から最低値を特定し、特定した最低値に対応する期間以外の期間についても、特定した最低値の個数(つまり、同数)の設備データとなるように、その期間に含まれる設備データから均等な期間の間隔で余分な設備データを間引く。
【0052】
一方、設備データの数を均等化する必要がないと判断した場合には(S35でNo)、データセット作成部37は、設備データの数を均等化することなく、1以上の期間のそれぞれに含まれる設備データをまとめることでデータセットを作成し、データセット32bとして記憶部32に保存する(S37)。
【0053】
最後に、学習部33は、データセット作成部37によって作成されたデータセット32bを用いて、機械学習モデル32cに対して再学習を行う(S38)。
【0054】
このような再学習により、設備10及びその環境における状態変動(製造部品の変更、季節の変化等)による影響を抑えた機械学習モデル32cの作成が可能になる。再学習が終わった機械学習モデル32cは、設備10の稼働中にデータ取得部31で取得された新たな設備データに対する評価に用いられる。
【0055】
図6は、設備データに対して操作者20が1以上の期間を指定する処理(
図5のステップS34)及びデータセット作成部37が設備データの数を均等化したデータセットを作成する処理(
図5のステップS36)を説明する模式図である。
【0056】
図6では、機械学習モデル32cによる評価結果(横軸が時間を示し、縦軸が個々の設備データが示す変動率(つまり、異常度)を示す)に対して、設備10が正常に稼働し、かつ、設備10及びその環境における状態変動(製造部品の変更、季節の変化等)があったと操作者20が考える3つの期間(破線枠で囲まれた箇所)が指定されている。指定された3つの期間に含まれる設備データの数が異なるが、その数は、データセット作成部37によって均等化され、3つの期間のそれぞれに対応する同数のデータ1~3からなるデータセット32bとして記憶部32に保存される。
【0057】
図7は、実施の形態に係る異常検知システム30におけるデータの流れを示すデータフロー図である。ここでは、
図4に示される初期動作のフローチャート、及び、
図5に示される再学習のフローチャートでの処理によるデータの流れ(つまり、データ、及び、データに対する操作(処理)の流れ)が示されている。
【0058】
設備10の稼働中に取得された設備データ32aは、学習部33によるデータセット作成処理により(S40)、データセット32bに変換され、変換されたデータセット32bは、学習部33による機械学習モデル32cの初期学習に用いられる(S41)。初期学習を終えた機械学習モデル32cによって、設備データ32aに対する評価が行われ(S42)、評価結果32dが生成される。
【0059】
生成された評価結果32dに対して、設備10が正常に稼働していると操作者20が考える1以上の期間を指定することで(S43)、指定された期間の設備データ32a(つまり、1以上の正常期間開始日時から正常期間終了日時までの設備データ32a)に絞り込まれる。指定された期間分の設備データ32aは、各期間に含まれる設備データ32aの数に依存して、(1)データセット作成部37による均等化を伴うデータセット作成処理を経て(S44)、1以上の期間のそれぞれに含まれる設備データの数が均等化されたデータセット32bが生成される、あるいは、(2)データセット作成部37による均等化を伴わないデータセット作成処理によって(S45)、1以上の期間のそれぞれの設備データからなるデータセット32bが生成される。
【0060】
生成されたデータセット32bは、学習部33による機械学習モデル32cの再学習に用いられる(S46)。再学習後の機械学習モデル32cは、データ取得部31によって新たに取得された設備データ32aに対する評価に用いられ(S47)、得られた評価結果32dが記憶部32に保存される。
【0061】
図8は、実施の形態に係る異常検知システム30による評価結果の例を示す図である。ここでは、異なる環境下での設備10の動作から得られる設備データの時系列データ群として、パターンAとパターンBとが示されている。
図8の(a)は、パターンAの設備データだけを用いて機械学習モデル32cを学習した場合に得られる正常時におけるパターンA及びBに対する評価結果(つまり、比較例に係る評価結果)の例を示す。
図8の(b)は、パターンA及びBの両方の設備データが均等数だけ含まれるデータセットを用いて機械学習モデル32cを学習した場合に得られる正常時におけるパターンA及びBに対する評価結果(つまり、実施の形態に係る評価結果)の例を示す。
図8の(a)及び(b)ともに、横軸は時間を示し、縦軸が個々の設備データが示す変動率(つまり、異常度)を示す。
【0062】
図8の(a)に示されるように、パターンAの設備データだけを用いて機械学習モデル32cを学習した場合には、評価結果に偏りが生じ、パターンAについては、低い変動率(低い異常度)を示す評価結果となり、正しく正常な状態が示されているが、パターンBについては、高めの変動率(高い異常度)を示す評価結果となり、正しく正常な状態が示されているとはいえない。一方、
図8の(b)に示されるように、パターンA及びBの両方の設備データが均等数だけ含まれるデータセットを用いて機械学習モデル32cを学習した場合には、評価結果の差が小さくなり、パターンA及びBともに、低い変動率(低い異常度)を示す評価結果となり、いずれも、正しく正常な状態が示されている。
【0063】
以上のように、本実施の形態に係る異常検知システム30は、機械学習モデル32cを用いて設備10の異常を検知するシステムであって、設備10の動作を示す設備データを時間経過に伴って繰り返し取得するデータ取得部31と、取得された設備データに対して、1以上の期間の指定を受け付け、受け付けた1以上の期間が複数の期間である場合に、複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化することで、均等化した数の設備データの集まりであるデータセットを作成するデータセット作成部37と、作成されたデータセットを用いて、機械学習モデル32cを学習させる学習部33と、学習された機械学習モデル32cに対して、データ取得部31で取得された設備データを入力し、設備10の異常に関する評価を行わせることで、機械学習モデル32cから評価結果を取得する評価部34とを備える。
【0064】
これにより、設備データに対して受け付けた1以上の期間が複数の期間である場合に、複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化することで作成したデータセットを用いて機械学習モデル32cが学習されるので、未知の変動に脆弱になったり、サンプル数の少ない少数派クラス(つまり、学習データに多く含まれない設備状態)に対するモデルの感度が高くなったりする等、異常検知の精度低下が抑制され、その結果、意図しない学習結果となったり、意図しない学習結果になった場合の学習調整に時間を要したりすることが抑制され、高い精度で設備の異常を検知できる異常検知システム30が実現される。
【0065】
ここで、機械学習モデル32cは、データ取得部31で取得された設備データを用いて学習されており、学習部33は、データセットを用いて、機械学習モデル32cを再学習させる。これにより、複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化して構成されるデータセットを用いた再学習により、機械学習モデル32cによる異常検知の精度が向上される。
【0066】
また、データ取得部31は、設備10が稼働中であるときに、設備データを取得し、機械学習モデル32cは、稼働中の設備10の設備データから設備10の異常に関する評価を行う。これにより、設備10が稼働中に、リアルタイムで、設備10の異常に関する評価が行われる。
【0067】
また、異常検知システム30は、さらに、評価結果を表示する表示部35と、表示部35に表示された評価結果を見ながら操作する操作者20から1以上の期間の指定を受け付ける入力部36とを備え、データセット作成部37は、入力部36を介して、1以上の期間の指定を受け付ける。これにより、操作者20が持つ設備10の稼働情報等の事前に分かっている情報を学習に反映することができ、より、意図しない学習結果となったり、意図しない学習結果になった場合の学習調整に時間を要したりすることが抑制される。
【0068】
また、データセット作成部37は、評価結果において予め定めた条件が満たされている期間を抽出し、抽出した期間を、1以上の期間の指定として受け付けてもよい。これにより、操作者20の入力を必要とすることなく、自動で、再学習に必要な設備データに対する期間の指定が行われ、再学習に必要なデータセットが自動で準備される。
【0069】
また、データセット作成部37は、複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数が同数となるように、複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化する。これにより、複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数の偏りが是正され、確実に、意図しない学習結果となったり、意図しない学習結果になった場合の学習調整に時間を要したりすることが抑制される。
【0070】
また、データセット作成部37は、さらに、取得された設備データに対して、1以上の期間の指定を受け付け、受け付けた1以上の期間が複数の期間である場合に、複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化することなく、複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの集まりであるデータセットを作成することもある。これにより、例えば、指定した期間を間引かないことで意図的にその期間の特徴を強く影響させることができる。
【0071】
また、本実施の形態に係る異常検知方法は、機械学習モデル32cを用いた異常検知システム30によって設備10の異常を検知する異常検知方法であって、設備10の動作を示す設備データを時間経過に伴って繰り返し取得するデータ取得ステップと、取得された設備データに対して、1以上の期間の指定を受け付け、受け付けた1以上の期間が複数の期間である場合に、複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化することで、均等化した数の設備データの集まりであるデータセットを作成するデータセット作成ステップと、作成されたデータセットを用いて、機械学習モデル32cを学習させる学習ステップと、学習された機械学習モデル32cに対して、データ取得ステップで取得された設備データを入力し、設備10の異常に関する評価を行わせることで、機械学習モデル32cから評価結果を取得する評価ステップとを含む。また、本実施の形態に係る異常検知方法は、上記異常検知方法に含まれるステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現されてもよい。
【0072】
これにより、設備データに対して受け付けた1以上の期間が複数の期間である場合に、複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化することで作成したデータセットを用いて機械学習モデル32cが学習されるので、未知の変動に脆弱になったり、サンプル数の少ない少数派クラス(つまり、学習データに多く含まれない設備状態)に対するモデルの感度が高くなったりする等、異常検知の精度低下が抑制され、その結果、意図しない学習結果となったり、意図しない学習結果になった場合の調整に時間を要したりすることが抑制され、高い精度で設備の異常が検知される。
【0073】
以上、本開示に係る異常検知システム及び異常検知方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0074】
例えば、上記実施の形態では、複数の期間のそれぞれに含まれる設備データの数を均等化することで作成したデータセットは、機械学習モデル32cの再学習に用いられたが、これに限られず、機械学習モデル32cの初期学習に用いられてもよい。
【0075】
また、上記実施の形態では、設備10が稼働中であるときに、設備データが取得され、取得された設備データについて、異常に関する評価が行われたが、このようなリアルタイムな評価に限られず、記憶部32に保存された過去の設備データ32aに対して異常に関する評価が行われてもよい。
【0076】
また、上記実施の形態に係る異常検知方法に含まれるステップをコンピュータに実行させるプログラムは、DVD等の非一時的な記録媒体に格納されて流通されてもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して流通されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本開示は、設備の異常を検知できる異常検知システムとして、特に、意図しない学習結果となったり、意図しない学習結果になった場合の学習調整に時間を要したりすることを抑制し、高い精度で設備の異常を検知できる異常検知システムとして、例えば、生産ロボット等の生産設備の動作をリアルタイムで監視する異常検知システムとして、利用できる。
【符号の説明】
【0078】
10 設備
11 検出部
20 操作者
30 異常検知システム
31 データ取得部
32 記憶部
32a 設備データ
32b データセット
32c 機械学習モデル
32d 評価結果
33 学習部
34 評価部
35 表示部
36 入力部
37 データセット作成部