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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131705
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01D 43/063 20060101AFI20240920BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20240920BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A01D43/063
A01G7/00 603
A01B69/00 301
A01B69/00 303M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042131
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮内 愛奈
【テーマコード(参考)】
2B043
2B083
【Fターム(参考)】
2B043AB20
2B043BA02
2B043BB11
2B043DA17
2B043DC03
2B043EA23
2B043EA26
2B043EA32
2B043EA40
2B043EB05
2B043EB16
2B043EB18
2B043EC02
2B043EC14
2B043EC16
2B043EC18
2B043ED30
2B043EE01
2B043EE02
2B043EE05
2B043EE06
2B083AA02
2B083BA12
2B083BA15
2B083FA11
2B083FA17
2B083FA18
2B083HA60
(57)【要約】
【課題】 従来の乗用草刈取り機のような作業車両については、便利な機能を利用するときの使い勝手が必ずしもよくないことに本発明者は気付いた。
【解決手段】 草gを刈取る草刈取り装置30と、刈取られた草gを収納する草収納容器40と、刈取られる草gの草丈Hgを検出する草丈検出ユニット101と、草gを刈取る草刈取り高さHcを設定する草刈取り高さ設定ユニット102と、刈取られる草gの草生育密度ρgを設定する草生育密度設定ユニット103と、草gを刈取る草刈取り作業ルートRを設定する草刈取り作業ルート設定ユニット104と、草丈Hg、草刈取り高さHcおよび草生育密度ρgに基づいて、草収納容器40が草刈取り作業ルートRにおいて満杯になる満杯予測地点P1を算出する満杯予測地点算出ユニット105と、を備えている乗用草刈取り機である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
草を刈取る草刈取り装置と、
前記刈取られた草を収納する草収納容器と、
前記刈取られる草の草丈を検出する草丈検出ユニットと、
前記草を刈取る草刈取り高さを設定する草刈取り高さ設定ユニットと、
前記刈取られる草の草生育密度を設定する草生育密度設定ユニットと、
前記草を刈取る草刈取り作業ルートを設定する草刈取り作業ルート設定ユニットと、
前記草丈、前記草刈取り高さおよび前記草生育密度に基づいて、前記草収納容器が前記草刈取り作業ルートにおいて満杯になる満杯予測地点を算出する満杯予測地点算出ユニットと、
を備えていることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記草収納容器が満杯になる満杯状態を検出する満杯状態検出ユニットと、
前記草刈取り作業ルートにおける満杯状態が検出された満杯実測地点と前記満杯予測地点との間の差異に基づいて、前記草生育密度を補正する草生育密度補正ユニットと、
を備えており、
前記満杯予測地点算出ユニットは、前記補正された草生育密度に基づいて、つぎの満杯予測地点を算出することを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記刈取られる草の草太さを検出する草太さ検出ユニットを備え、
前記満杯予測地点算出ユニットは、前記草太さにさらに基づいて、前記満杯予測地点を算出することを特徴とする請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記草太さは、前記刈取られる草の撮像により得られた前記草の色に基づいて検出されることを特徴とする請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
前記草太さは、前記刈取られる草への光照射により得られた前記草からの光反射に基づいて検出されることを特徴とする請求項3に記載の作業車両。
【請求項6】
前記刈取られる草の草太さを設定する草太さ設定ユニットを備え、
前記満杯予測地点算出ユニットは、前記草太さにさらに基づいて、前記満杯予測地点を算出することを特徴とする請求項2に記載の作業車両。
【請求項7】
前記草が前記草刈取り高さで刈取られた日からの草刈取り経過日数を設定する草刈取り経過日数設定ユニットと、
今日の前記草丈、前記草刈取り高さおよび前記草刈取り経過日数に基づいて、前記刈取られる草の草生育速度を算出する草生育速度算出ユニットと、
前記草を刈取る限界草丈を設定する限界草丈設定ユニットと、
前記限界草丈、前記今日の前記草丈および前記草生育速度に基づいて、前記今日の前記草丈が前記限界草丈に達する日までの草刈取り日数を算出する草刈取り日数算出ユニットと、
を備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用草刈取り機のような作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
人工衛星などの飛翔体に搭載されたレーダ装置で撮影されたレーダ画像の後方散乱係数から植生の生育値を算出する植生生育状況解析方法が、知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5369282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、作業車両ユーザーのさまざまなニーズを考慮し、便利な機能が乗用草刈取り機のような作業車両へつぎつぎと実装される趨勢はますます加速すると考えている。
【0005】
しかしながら、従来の乗用草刈取り機のような作業車両については、便利な機能を利用するときの使い勝手が必ずしもよくないことに本発明者は気付いた。
【0006】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、使い勝手を向上することができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、草を刈取る草刈取り装置と、
前記刈取られた草を収納する草収納容器と、
前記刈取られる草の草丈を検出する草丈検出ユニットと、
前記草を刈取る草刈取り高さを設定する草刈取り高さ設定ユニットと、
前記刈取られる草の草生育密度を設定する草生育密度設定ユニットと、
前記草を刈取る草刈取り作業ルートを設定する草刈取り作業ルート設定ユニットと、
前記草丈、前記草刈取り高さおよび前記草生育密度に基づいて、前記草収納容器が前記草刈取り作業ルートにおいて満杯になる満杯予測地点を算出する満杯予測地点算出ユニットと、
を備えていることを特徴とする作業車両である。
【0008】
これにより、草収納容器が草刈取り作業ルートにおいて満杯になる満杯予測地点が草丈、草刈取り高さおよび草生育密度に基づいて算出されるので、使い勝手を向上することができる。
【0009】
第2の本発明は、前記草収納容器が満杯になる満杯状態を検出する満杯状態検出ユニットと、
前記草刈取り作業ルートにおける満杯状態が検出された満杯実測地点と前記満杯予測地点との間の差異に基づいて、前記草生育密度を補正する草生育密度補正ユニットと、
を備えており、
前記満杯予測地点算出ユニットは、前記補正された草生育密度に基づいて、つぎの満杯予測地点を算出することを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【0010】
これにより、つぎの満杯予測地点が補正された草生育密度に基づいて算出されるので、使い勝手をさらに向上することができる。
【0011】
第3の本発明は、前記刈取られる草の草太さを検出する草太さ検出ユニットを備え、
前記満杯予測地点算出ユニットは、前記草太さにさらに基づいて、前記満杯予測地点を算出することを特徴とする第2の本発明の作業車両である。
【0012】
これにより、刈取られる草の草太さが検出され、満杯予測地点が草太さにさらに基づいて算出されるので、利便性を向上することができる。
【0013】
第4の本発明は、前記草太さは、前記刈取られる草の撮像により得られた前記草の色に基づいて検出されることを特徴とする第3の本発明の作業車両である。
【0014】
これにより、草太さが刈取られる草の撮像により得られた草の色に基づいて検出されるので、利便性をさらに向上することができる。
【0015】
第5の本発明は、前記草太さは、前記刈取られる草への光照射により得られた前記草からの光反射に基づいて検出されることを特徴とする第3の本発明の作業車両である。
【0016】
これにより、草太さが刈取られる草への光照射により得られた草からの光反射に基づいて検出されるので、利便性をさらに向上することができる。
【0017】
第6の本発明は、前記刈取られる草の草太さを設定する草太さ設定ユニットを備え、
前記満杯予測地点算出ユニットは、前記草太さにさらに基づいて、前記満杯予測地点を算出することを特徴とする第2の本発明の作業車両である。
【0018】
これにより、刈取られる草の草太さが設定され、満杯予測地点が草太さにさらに基づいて算出されるので、利便性を向上することができる。
【0019】
第7の本発明は、前記草が前記草刈取り高さで刈取られた日からの草刈取り経過日数を設定する草刈取り経過日数設定ユニットと、
今日の前記草丈、前記草刈取り高さおよび前記草刈取り経過日数に基づいて、前記刈取られる草の草生育速度を算出する草生育速度算出ユニットと、
前記草を刈取る限界草丈を設定する限界草丈設定ユニットと、
前記限界草丈、前記今日の前記草丈および前記草生育速度に基づいて、前記今日の前記草丈が前記限界草丈に達する日までの草刈取り日数を算出する草刈取り日数算出ユニットと、
を備えていることを特徴とする第1から第6のいずれかの本発明の作業車両である。
【0020】
これにより、今日の草丈が限界草丈に達する日までの草刈取り日数が限界草丈、今日の草丈および草生育速度に基づいて算出されるので、作業者の負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、使い勝手を向上することが可能な作業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明における実施の形態の乗用草刈取り機の説明図(その一)
図2】本発明における実施の形態の乗用草刈取り機の説明図(その二)
図3】本発明における実施の形態の乗用草刈取り機の説明図(その三)
図4】本発明における実施の形態の乗用草刈取り機の制御機構ブロック図(その一)
図5】本発明における実施の形態の乗用草刈取り機の制御機構ブロック図(その二)
図6】本発明における実施の形態の乗用草刈取り機の制御機構ブロック図(その三)
図7】本発明における実施の形態の乗用草刈取り機の制御機構ブロック図(その四)
図8】本発明における実施の形態の乗用草刈取り機の制御機構ブロック図(その五)
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0024】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあり、透視的にまたは省略的に示されていることもある。
【0025】
(1)はじめに、図1から3を主として参照しながら、本発明における実施の形態の乗用草刈取り機の構成および動作について具体的に説明する。
【0026】
ここに、図1から3は、本発明における実施の形態の乗用草刈取り機の説明図(その一から三)である。
【0027】
本実施の形態の乗用草刈取り機の動作について説明しながら、コントローラーなどにより実現される、本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法についても説明する。
【0028】
草gを刈取る草刈取り装置30と、刈取られた草gを収納する草収納容器40と、を有する本実施の形態の乗用草刈取り機は、本発明における作業車両の具体的な例である。
【0029】
図1などに示されているように、乗用芝刈り作業機のような乗用草刈取り機では生育状況によって面積当たりの刈取り量が異なるため、コレクターとも呼ばれる草収納容器40の内部の刈り草である刈取られた草gの溜まり方や排出回数が変わってくるので、これらを推測することは困難であり、作業計画を正確に立案することが難しいが、作業前に容易に作業を計画することが可能な乗用草刈取り機の作業管理システムを提供することができる。
【0030】
図2などに示されているように、乗用草刈取り機の作業管理システムであって、(A)作業領域、ならびに草刈取り装置30の作業幅W、および破線で示された草刈取りブレード回転範囲において行われる草刈取り作業の重なり代δの情報から草刈取り作業ルートRを算出し、(B)測位装置20により測位される走行車体としての車体10の前方を撮影するカメラ70で撮影した画像から草丈Hgを算出し、そして(C)作業領域を設定する情報端末装置としてのタブレット端末100に入力された刈り高さである草刈取り高さHcと草gの草生育密度ρg、草刈取り装置30により刈取られて原動機90で駆動されるブロワー80により搬送された草gを集草する集草容器である草収納容器40の容量から草刈取り作業ルートRにおいて草収納容器40が満杯になる満杯予測地点P1を算出するシステムが実現される。
【0031】
もちろん、カメラ70による撮像の代わりに、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)のような光リモートセンシングなどが利用されてもよい。
【0032】
満杯予測地点P1を事前に把握することができるため、排出場所などの計画を立てやすくすることができる。
【0033】
図4に示された構成においては、草丈検出ユニット101は刈取られる草gの草丈Hgを検出するユニットであり、草刈取り高さ設定ユニット102は草gを刈取る草刈取り高さHcを設定するユニットであり、草生育密度設定ユニット103は刈取られる草gの草生育密度ρgを設定するユニットであり、草刈取り作業ルート設定ユニット104は草gを刈取る草刈取り作業ルートRを設定するユニットであり、満杯予測地点算出ユニット105は草丈Hg、草刈取り高さHcおよび草生育密度ρgに基づいて、草収納容器40が草刈取り作業ルートRにおいて満杯になる満杯予測地点P1を算出するユニットである。
【0034】
ここに、図4は、本発明における実施の形態の乗用草刈取り機の制御機構ブロック図(その一)である。
【0035】
より具体的に説明すると、つぎの通りである。
【0036】
圃場の草刈取り作業記録とGNSS(Global Navigation Satellite System)位置情報を紐づけ保存する、草刈取り作業記録を位置情報と紐づける作業管理システムが、考えられる。
【0037】
圃場によって草gの生え密度である草生育密度ρgや草成長速度とも呼ばれる草生育速度Vgが異なるが、熟練作業者が経験から作業速度や草刈取り高さHcを決定することなしに、これらを決定することができる。
【0038】
圃場の草gが、たとえば、一種類の芝に限定されていて草刈取り作業を行っても変化しないとき、蓄積した情報を活用することでより高精度に草刈取り作業計画立案が可能となる。
【0039】
毎回の作業で保存された情報の利用を考慮し、作業者が一度に草刈取り作業を行うエリアをまとめて所定の圃場として設定する。
【0040】
所定の圃場の情報として保存する情報は、逐次のGNSS位置情報に加えて、車速、後述される草刈取り経過日数Dpの算出などのために利用可能である草刈取り作業日時、草刈取り作業ルートRおよび草刈取り作業回数、草刈取り高さHc、草満杯地点とも呼ばれる満杯実測地点P2および草満杯回数、草詰まり箇所、ならびに作業中および作業後の前方のカメラ映像などである。
【0041】
所定の圃場全体作業終了後の草gの状態の画像も取得し、草刈取り高さHcと紐づけて保存する。
【0042】
草刈取り作業後、草満杯回数から所定の圃場全体での捨てる草gの量を算出し、所定の圃場の草刈取り作業データに保存する。草回収用のトラックや場所の確保など前もって判断が可能となる。
【0043】
(2)つぎに、本発明における実施の形態の乗用草刈取り機の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0044】
図3などに示されているように、草収納容器40が満杯になったことが満杯センサー50により検出され、実際に満杯なった満杯実測地点P2が満杯予測地点P1と異なった場合においては、満杯実測地点P2と満杯予測地点P1との間の距離のような両者の間の差異に応じて草生育密度ρgの修正値を算出することにより、草生育密度ρgの情報を更新する。
【0045】
計測が難しい草生育密度ρgの情報を作業時の実測値によって修正することで次回の作業計画をより正確に算出できる。
【0046】
図5に示された構成においては、満杯状態検出ユニット106は草収納容器40が満杯になる満杯状態を検出するユニットであり、草生育密度補正ユニット107は草刈取り作業ルートRにおける満杯状態が検出された満杯実測地点P2と満杯予測地点P1との間の差異に基づいて、草生育密度ρgを補正するユニットであり、満杯予測地点算出ユニット105は、補正された草生育密度ρgに基づいて、つぎの満杯予測地点P1を算出する。
【0047】
ここに、図5は、本発明における実施の形態の乗用草刈取り機の制御機構ブロック図(その二)である。
【0048】
図6に示された構成においては、草太さ検出ユニット108は刈取られる草gの草太さTgを検出するユニットであり、満杯予測地点算出ユニット105は、草太さTgにさらに基づいて、満杯予測地点P1を算出する。
【0049】
ここに、図6は、本発明における実施の形態の乗用草刈取り機の制御機構ブロック図(その三)である。
【0050】
草太さTgが手動で設定される構成と比べて、自動的な仕様により作業者の労力の軽減などを重視する構成が実現される。
【0051】
草太さTgは、刈取られる草gの撮像により得られた草gの色に基づいて検出されてもよい。
【0052】
緑色のような草gの色は茶色のような土壌の色と相違するので、両者の色の相違を利用して草太さTgを検出することができる。
【0053】
草太さTgは、刈取られる草への光照射により得られた草gからの光反射に基づいて検出されてもよい。
【0054】
比較的に大きい光反射率を有する草gからの光反射は比較的に小さい光反射率を有する土壌からの光反射と相違するので、両者の光反射の相違を利用して草太さTgを検出することができる。
【0055】
図7に示された構成においては、草太さ設定ユニット109は刈取られる草gの草太さTgを設定するユニットであり、満杯予測地点算出ユニット105は、草太さTgにさらに基づいて、満杯予測地点P1を算出する。
【0056】
ここに、図7は、本発明における実施の形態の乗用草刈取り機の制御機構ブロック図(その四)である。
【0057】
草太さTgが自動で検出される構成と比べて、手動的な仕様により作業者の経験の尊重などを重視する構成が実現される。
【0058】
(3)つぎに、本発明における実施の形態の乗用草刈取り機の構成および動作についてさらにより具体的に説明する。
【0059】
図8に示された構成においては、草刈取り経過日数設定ユニット110は草gが草刈取り高さHcで刈取られた日からの草刈取り経過日数Dpを設定するユニットであり、草生育速度算出ユニット111は今日の草丈Hg、草刈取り高さHcおよび草刈取り経過日数Dpに基づいて、刈取られる草gの草生育速度Vgを算出するユニットであり、限界草丈設定ユニット112は草gを刈取る限界草丈Hmを設定するユニットであり、草刈取り日数算出ユニット113は限界草丈Hm、今日の草丈Hgおよび草生育速度Vgに基づいて、今日の草丈Hgが限界草丈Hmに達する日までの草刈取り日数Dcを算出するユニットである。
【0060】
ここに、図8は、本発明における実施の形態の乗用草刈取り機の制御機構ブロック図(その五)である。
【0061】
より具体的に説明すると、つぎの通りである。
【0062】
蓄積された情報の利用を考慮し、作業開始時、どの圃場情報を利用するか、情報を蓄積するか選択する。
【0063】
草刈取り作業ルートR、満杯実測地点P2および草刈取り高さHcなどに関する過去の情報から類推し、草生育密度ρgのような草gの密度具合が算出できる。具体的な数値ではなく、ほかの圃場との比較に使用する。つまり、圃場形状などの観点から類似する圃場がある場合においては、類似する圃場のデータを利用することにより、草詰まりを抑制することができる。走行時の作業速度などの調整の判断に利用する。たとえば、草詰まりを防ぐため草生育密度ρgが濃いときゆっくり作業する。
【0064】
草刈取り作業前の草gの画像と前回の作業終了後の草gの画像を比較し、今回の草gの高さである草高さとしての草丈Hgを概算で算出する。前回の作業後の画像に紐つけられた草刈取り高さHcの値およびカメラ70の水平からの角度のデータを利用して、今回のデータを概算で算出可能である。つまり、前回の草刈取り高さHcと必然的に一致する、前回の作業終了後の草丈Hgは、草刈取り作業前の草gの画像として撮像されている、草刈取り作業前の今回の草丈Hgを概算するための目安として利用可能である。
【0065】
前回の草刈取り作業日時と今回の草刈取り作業日時との間の差異である草刈取り経過日数Dpに応じた草丈Hgの比較から草gの成長具合[ミリメートル/日]としての草生育速度Vgを算出し、所定の圃場情報に保存する。このような圃場情報は、たとえば、草刈取り日数Dcの算出などをともなう今後の草刈取り作業計画立案に利用する。
【0066】
所定の圃場の保持したい草丈Hgの上限としての限界草丈Hmを設定する。草生育速度Vg、および保持したい草丈Hgの限界草丈Hmを利用して、所定の圃場で次に草刈取り作業を行うべき日を草刈取り日数Dcが経過した後の日として算出し提案する。
【0067】
前回の草刈取り作業情報から、草詰まり地点付近の近づいたときモニター60に注意を表示させる。
【0068】
前回の草刈取り作業情報から、草刈取り高さ情報を読み出し、通常の仕上げ草高さ[ミリメートル]としての草刈取り高さHcを判断材料にして、今回の草刈取り高さHcを決定する。
【0069】
圃場情報に保存されている草刈取り作業ルートRを使用する場合においては、位置情報を読み出し利用することで、自律走行でも走行可能となる。
【0070】
なお、本発明に関連した発明のプログラムは、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0071】
また、本発明に関連した発明の記録媒体は、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の全部または一部の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、読取られたプログラムがコンピュータと協働して利用されるコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0072】
なお、上述された「一部のステップ(または工程、動作および作用など)」は、それらの複数のステップの内の一つまたはいくつかのステップを意味する。
【0073】
また、上述された「ステップ(または工程、動作および作用など)の動作」は、上述されたステップの全部または一部の動作を意味する。
【0074】
また、本発明に関連した発明のプログラムの一利用形態は、インターネット、光、電波または音波などのような伝送媒体の中を伝送され、コンピュータにより読取られ、コンピュータと協働して動作するという形態であってもよい。
【0075】
また、記録媒体としては、ROM(Read Only Memory)などが含まれる。
【0076】
また、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)などのような純然たるハードウェアに限らず、ファームウェア、OS(Operating System)、そしてさらに周辺機器を含んでもよい。
【0077】
なお、上述されたように、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現されてもよいし、ハードウェア的に実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明における作業車両は、使い勝手を向上することができ、乗用草刈取り機のような作業車両に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0079】
10 車体
20 測位装置
30 草刈取り装置
40 草収納容器
50 満杯センサー
60 モニター
70 カメラ
80 ブロワー
90 原動機
100 タブレット端末
101 草丈検出ユニット
102 草刈取り高さ設定ユニット
103 草生育密度設定ユニット
104 草刈取り作業ルート設定ユニット
105 満杯予測地点算出ユニット
106 満杯状態検出ユニット
107 草生育密度補正ユニット
108 草太さ検出ユニット
109 草太さ設定ユニット
110 草刈取り経過日数設定ユニット
111 草生育速度算出ユニット
112 限界草丈設定ユニット
113 草刈取り日数算出ユニット
R 草刈取り作業ルート
P1 満杯予測地点
P2 満杯実測地点
W 作業幅
δ 重なり代
g 草
Hg 草丈
Hc 草刈取り高さ
Hm 限界草丈
Tg 草太さ
ρg 草生育密度
Vg 草生育速度
Dp 草刈取り経過日数
Dc 草刈取り日数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8