(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131706
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】吸気弁
(51)【国際特許分類】
B65D 85/18 20060101AFI20240920BHJP
B65D 30/24 20060101ALI20240920BHJP
B65D 33/25 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
B65D85/18 Z
B65D30/24 Z
B65D33/25 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042132
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】594146180
【氏名又は名称】中本パックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小西 礼一
(72)【発明者】
【氏名】小田 雅一
【テーマコード(参考)】
3E064
3E068
【Fターム(参考)】
3E064AA05
3E064BA21
3E064BA60
3E064EA30
3E064GA04
3E064HD01
3E064HE03
3E064HN20
3E068AA13
3E068AA40
3E068AB02
3E068AC09
3E068BB02
3E068CC22
3E068CC29
3E068CC30
3E068CD02
3E068DE13
3E068EE40
(57)【要約】
【課題】様々な形状の吸引機の吸込口に対応し、適切に吸気作業を行うことができる吸気弁を提供する。
【解決手段】 吸気弁11は、圧縮収納袋1に取り付けられ、圧縮収納袋1の外部に配置された上部本体13と、上部本体13に突出して設けられる弾性部材15と、圧縮収納袋1の内部に配置された下部本体19と、内部バルブと、を備える。弾性部材15は、外力(吸引機の吸引力、押圧力)が加わると変形しやすいため、吸引機の吸込口7に切欠き9又は突起が設けられた様々な形状に対して柔軟に対応することができ、汎用性が高い。また、吸引機の、先端に形成された半円形状の切欠き9を有する吸込口7を吸気弁11に接続した際、弾性部材15が切欠き9に係合することで、切欠き9が閉塞し、圧縮収納袋1内の空気が切欠き9から漏れにくくすることができる。これにより、適切に吸気作業を行うことができる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮収納袋に設けられて、吸引機の吸込口を接続するための逆止弁である吸気弁であって、
前記吸込口の先端が押し当てられる本体部には、前記吸込口の先端部の側壁の一部に対向する部位に凹部が形成され、
前記凹部には、前記本体部から突出して前記吸込口の側壁の一部に当接する弾性部材が設けられていることを特徴とする吸気弁。
【請求項2】
前記弾性部材は、球の表面を4等分したドーム状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吸気弁。
【請求項3】
前記本体部には、前記吸込口に収容される円筒部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吸気弁。
【請求項4】
前記円筒部の高さは、前記弾性部材の高さより高いことを特徴とする請求項1に記載の吸気弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布団、衣類等を収容する圧縮収納袋に用いられる吸気弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮収納袋内の空気を吸い込む吸気作業では、圧縮収納袋に設けられた吸気弁に吸引機の吸込口、延長管等を取り付け、掃除機等の吸引機を稼働させて、圧縮収納袋内の空気を吸込んでいる。ところで、近年吸引機の吸込口、延長管等の形状は、様々なものがあり、様々な形状の吸込口、延長管等に対応した吸気弁が知られている。例えば、特許文献1には、吸引機の吸込口による吸気が可能な吸気口を有するバルブ本体と、吸気口の周縁に設けられ、通気性を有しない又はほとんど通気性を有しないと共に、押圧されることで変形する形状可変部とを備える吸気弁が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、吸引機の吸込口、延長管等の形状として、その先端の一部を切欠いたものがある。このような切欠きを備える吸込口、延長管等を特許文献1に記載の吸気弁に装着しても、切欠きを塞ぐことができず、吸気時、圧縮収納袋内の空気が切欠きから漏れ、適切に吸気作業を行うことができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、様々な形状の吸引機の吸込口に対応し、適切に吸気作業を行うことができる吸気弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の態様)
以下に示す発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項分けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0007】
(1)圧縮収納袋に設けられて、吸引機の吸込口を接続するための逆止弁である吸気弁であって、前記吸込口の先端が押し当てられる本体部には、前記吸込口の先端部の側壁の一部に対向する部位に凹部が形成され、前記凹部には、前記本体部から突出して前記吸込口の側壁の一部に当接する弾性部材が設けられていることを特徴とする吸気弁。
本項に係る吸気弁は、本体部から突出して、吸引機の吸込口の側壁の一部に当接する弾性部材を設けることで、外力(吸引機の吸引力、押圧力)が加わると変形しやすいため、吸引機の吸込口の様々な形状に対して柔軟に対応することができ、汎用性が高いものとなる。
【0008】
(2)(1)項において、前記弾性部材は、球の表面を4等分したドーム状に形成されていることを特徴とする吸気弁。
本項に係る吸気弁は、弾性部材が球の表面を4等分したドーム状に形成されていることで、先端に切欠き(凹部)を有する吸込口に対して、圧縮収納袋内の空気の吸気時、切欠きを閉鎖し、切欠きから空気が漏れにくくし、吸気効果を高めることができる。
【0009】
(3)(1)項において、前記本体部には、前記吸込口に収容される円筒部が形成されていることを特徴とする吸気弁。
本項に係る吸気弁は、本体部に、吸込口に収容される円筒部を形成することで、吸気弁に対して吸込口を容易に接続することができる。
【0010】
(4)(1)項において、前記円筒部の高さは、前記弾性部材の高さより高いことを特徴とする吸気弁。
本項に係る吸気弁は、弾性部材の高さが円筒部の高さより低くなるので、吸気弁を小型化にすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る吸気弁によれば、様々な形状の吸引機の吸込口に対応し、適切に吸気作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る吸気弁を備えた圧縮収納袋の概略斜視図である。
【
図6】
図2に示す吸気弁の上部本体の図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)底面図である。
【
図7】
図2に示す吸気弁の閉塞部の図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)底面図である。
【
図8】
図2に示す吸気弁の内部バルブの図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)底面図である。
【
図9】
図2に示す吸気弁の下部本体の図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)底面図である。
【
図10】
図1に示す吸気弁に吸引機の吸込口を装着した状態を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る吸気弁を適用した圧縮収納袋の構成を
図1~
図10を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、圧縮収納袋1は、布団や衣類等を収納し、掃除機等の吸引機を用いて圧縮収納袋1内の空気を吸気し圧縮してコンパクトに収納するものであり、袋本体3と、ファスナ5と、吸気弁11とを備える。
【0014】
袋本体3は、矩形状の2枚のシートの三辺が閉じて、残りの一辺が開口された袋体であり、開口された辺にファスナ5が設けられている。袋本体3は、ファスナ5を開閉することで、布団や衣類等を袋本体3内に収納することや、袋本体3内から取り出すことができる。ファスナ5によって、袋本体3の開口が閉じた状態では、袋本体3内が気密となっている。
【0015】
ファスナ5は、一般的なものであり、ファスナ5のスライダ5aをエレメント5bに沿って一端から他端まで移動させることで袋本体3の開口が開放され、一方、他端から一端に移動させることで袋本体3の開口が閉鎖される構成となっている。
【0016】
吸気弁11は、基本的な機能は従来と同じであり、吸引機の吸込口7(
図10参照)と接続され、一方向の流れを許容し、逆方向の流れを阻止する逆止弁である。すなわち、吸気作業によって、閉弁して、圧縮収納袋1内の空気の吸引機側への流れを許容し、吸気作業を停止することで、外気圧により閉弁して、空気の袋本体3側への流れを阻止する構造である。
図2~
図5に示すように、吸気弁11は、本体部である上部本体13及び下部本体19と、弾性部材15と、内部バルブ17とを備える。ここで、
図10に示すように、吸気弁11は、袋本体3の一方のシートに形成された、吸気弁11を取り付けるための取付孔3aの周縁に本体部を取り付ける、すなわち、取付孔3aの周縁を上部本体13と下部本体19とで挟持することで袋本体3に取り付けられる。
【0017】
上部本体13は、
図4及び
図6に示すように、円筒部21と、円筒部21と一体に形成されたカバー部23とを有する。上部本体13は、吸引機の吸込口7と接続するために、袋本体3の外部に設けられている(
図10参照)。円筒部21には、上部の開口に、複数の吸気孔27(図示は、3つ)を有する天板25が設けられ、天板25の下面に一体に形成された規制部29を有する。円筒部21は、吸引機の吸込口7に収容されるように、その外径寸法が吸引機の吸込口7の内径寸法より小さく設定されている。規制部29は、内部バルブ17の、円筒部21の上方への移動を規制するものであり、天板25の下面中央から垂下した棒状部31と、棒状部31の外周面から径方向外側に向かって、円筒部21の内周壁まで延びる複数のリブ33が形成されている。リブ33は、棒状部31の周方向120°間隔を置いて3つ形成されている。
【0018】
カバー部23は、円筒部21の下部外周面から径方向外側に延びる環状の天壁35と、この天壁35の外周縁部から垂下した円筒状の外周壁37と、天壁35の下面から垂下した、外周壁37より径方向内側で同心状に位置される円筒状の内周壁39と、外周壁37の下部外周面から径方向外側に延びるフランジ41とを有する。カバー部23は、内周壁39の一部が露出されるように、天壁35及び外周壁37の一部分を円筒部21側から径方向外側に向かって末広がり状に切り取った切取部43(凹部)が形成されている。カバー部23は、切取部43によって形成された空間から外気がカバー部23内に侵入しないように、内周壁39の上端から径方向内側に延びる上部遮断壁45と、円筒部21の外周面から放射状に延びる側部遮断壁47とが設けられている(
図5参照)。側部遮断壁47は、その下面に、弾性部材15の取付位置を決める位置決め突起49が形成されている(
図5及び
図6(c)参照)。カバー部23は、側部遮断壁47から周方向に所定の間隔を置いて隣接するように設けられた壁片51,51を有し、側部遮断壁47と壁片51との間に、弾性部材15の脚部69の第2脚片61c(後述参照)を挿入する空間53,53が形成されている(
図6(c)参照)。天壁35は、切取部43近傍の上面に、突起55,55が形成されている。外周壁37には、弾性部材15を切取部43に取り付けた際、弾性部材15の径方向外側への移動を防ぐための、切取部43の切取縁部から周方向に延びるストッパ57、57が形成されている。
【0019】
弾性部材15は、
図4及び
図7に示すように、吸引機による吸気時、吸込口7の先端に形成された半円形状の切欠き9(
図10参照)から空気が漏れにくくなるように塞ぐためものであり、シリコン、ゴム等の弾性材料から形成され、閉塞部59と、脚部61,61とを備える。弾性部材15は、吸込口7の側壁の一部に当接するように、上部本体13から突出して、具体的には、カバー部23の切取部43に配設されている。閉塞部59は、吸込口7の切欠き9に係合可能な半ドーム状を呈し、具体的には、球の表面を4等分したドーム状に形成され、半円状の円筒状部63aと、半円状の半円筒状部63aとつながるテーパー状の半筒状部63bと、テーパー状の半筒状部63bとつながる円筒部21の外周壁に倣った弧状壁63cとを有する。閉塞部59は、その側部下端から外側に向かって延出された、脚部61,61と連結するための連結部65,65が形成されている。脚部61,61は、正面視略凹状を呈し、上部が閉塞部59の連結部65,65と連結される第1脚片61aと、第1脚片61aの下部に連結される底部61bと、底部61bの、第1脚片61aと連結される端部の反対側の端部から上方に延びる第2脚片61cとを有する。脚部61,61の底部61bには、側部遮断壁47の位置決め突起9と係合する係合穴67,67が形成されている。
図3に示すように、弾性部材15は、その高さhが円筒部21の高さHより低い、すなわち、弾性部材15の頂部が円筒部21の上端より下方に位置している。
【0020】
内部バルブ17は、
図4及び
図8に示すように、袋本体3内と吸気弁11の内部空間とを連通及び遮断するためのものであって、シリコン、ゴム等の弾性材料から形成されたいわゆるアンブレラバルブであり、軸部69と、弁体71とを備えている。軸部69には、その上面に規制部29の棒状部31が挿入される凹部73が形成され、下面に溝75が形成されている。弁体71は、軸部69の上縁部に一体に形成された傘状の弁体である。
【0021】
下部本体19は、
図4及び
図9に示すように、中央が開口した略円板状部材であり、内部バルブ17を保持する保持部79と、下部本体19の上面に一体に形成された、開口77の開口縁から立設される環状の内壁81、内壁81より径方向外側で同心状に位置される環状の嵌合壁83、及び、嵌合壁83より径方向外側で同心状に位置される環状の突起部85と、下面に一体に形成された複数の支持リブ87及び複数の補助リブ89とを備える。下部本体19は、袋本体3の内部に設けられている(
図10参照)。
【0022】
保持部79は、内部バルブ17の軸部69を支持するものであり、有底円筒状を呈し、下部本体19の開口77内に位置して、複数の支持リブ87の支持突出部95(後述参照)によって支持されている。下部本体19の開口77と保持部79の外周面との間の空間が、袋本体3内の空気が流れる流路91として構成される。環状の内壁81は、その上端が、内部バルブ17の弁体71の弁座として機能する。環状の嵌合壁83は、その上部外周面に環状に延出される突条部93が形成されており、上部本体13と下部本体19とを組み合わせたとき、上部本体13の円筒状の内周壁39の内周面に係合する。
【0023】
複数の支持リブ87及び複数の補助リブ89は、下部本体19の開口77を中心として放射状に下部本体19の外縁近傍まで延び、かつ、下面から下方に延びるように形成されている。また、複数の支持リブ87及び複数の補助リブ89は、下部本体19の周方向に、所定の間隔を置いて交互に並んで配置されている(
図9(c)参照)。複数の支持リブ87の高さは、複数の補助リブ89の高さより高く設定されている(
図9(a)参照)。各支持リブ87の内端は、下部本体19の開口まで延び、下部内端に、保持部79を支持するための、径方向内側に延びる支持突出部95が形成されている(
図4参照)。支持突出部95と支持突出部95との間には、袋本体3と流路91とを連通する通気口97が形成されている。複数の補助リブ89は、その内端が下部本体19の開口近傍まで延びており、その略中央が窪むように構成されている(
図4参照)。
【0024】
上記構成を有する吸気弁11によれば、次のような作用効果を得ることができる。
吸気弁11の弾性部材15は、シリコン、ゴム等の弾性材料から形成されているため、外力(吸引機の吸引力、押圧力)が加わると変形しやすいため、吸引機の吸込口7に切欠き9又は突起が設けられた様々な形状に対して柔軟に対応することができ、汎用性が高い。このとき、弾性部材15が吸引機の吸込口7の切欠き9又は突起に係合したとき、弾性部材15と切欠き9又は突起との間に隙間が生じて、空気のわずかな漏れを発生させ、吸引機への過負荷を抑制することができる。
【0025】
吸気弁11の弾性部材15は、半ドーム状を呈しているため、吸引機の吸込口7を吸気弁11に装着した際、吸込口7に形成された半円形状の切欠き9に弾性部材15が係合して、切欠き9が閉鎖されるため、袋本体3内の空気の吸気時、切欠き9から空気が漏れにくく、吸気効果を高めることができる。
【0026】
吸気弁11の弾性部材15は、その高さhが円筒部21の高さHより低い、すなわち、弾性部材15の頂部が円筒部21の上端より下方に位置しているため、吸気弁11を小型化にすることができる。
【0027】
円筒部21は、吸引機の吸込口7に収容されるように、その外径寸法が吸引機の吸込口7の内径寸法より小さく設定されているため、吸気弁11に対する吸引機の吸込口7の接続を容易に行うことができる。
【0028】
なお、本実施形態に係る吸気弁11において、吸気弁11の弾性部材15は、吸引機の吸込口7の先端に形成された半円形状の切欠き9に係合可能な半ドーム状を呈しているが、切欠き9の形状(例えば、半楕円、矩形等)に応じて弾性部材15の形状を係合可能な形状に適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1…圧縮収納袋、7…吸込口、11…吸気弁、3…袋本体、3a…取付孔、7…吸込口、13…上部本体(本体部)、15…弾性部材、19…下部本体(本体部)、43…切取部(凹部)