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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131707
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20240920BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240920BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A01B69/00 303K
G05D1/02 W
G05D1/02 N
A01B69/00 301
B62D6/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042133
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相原 研人
【テーマコード(参考)】
2B043
3D232
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB11
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB01
2B043BB03
2B043DA04
2B043DA05
2B043DA17
2B043DC03
2B043EA03
2B043EA04
2B043EA32
2B043EB05
2B043EC12
2B043EC14
2B043EC16
2B043EC18
2B043EC19
2B043ED03
2B043ED12
2B043EE01
2B043EE02
2B043EE05
2B043EE06
3D232CC20
3D232DA32
3D232DA84
3D232DA91
3D232DB11
3D232DD02
3D232EB04
3D232EC22
3D232EC34
3D232GG11
5H301AA03
5H301AA10
5H301BB01
5H301CC03
5H301CC06
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD15
5H301HH11
5H301HH15
5H301HH18
(57)【要約】
【課題】 従来のトラクターのような作業車両については、便利な機能を利用するときの使い勝手が必ずしもよくない。
【解決手段】 複数の平行な直線経路に沿って走行するトラクターであって、車体100が直線経路に沿って直進させられる直進制御モードと、車体100が直線経路から直線経路への移行のために旋回させられる旋回制御モードと、の間での走行制御モード切換えの指示を行う走行制御モード切換え指示部材200と、走行制御モード切換え指示部材200により行われた指示に応じて、直進制御モードまたは旋回制御モードで走行制御を行うコントローラー400と、を備えており、直進制御モードから旋回制御モードへの走行制御モード切換えの指示が行われたとき、旋回が最小旋回可能半径を下回らない所定の旋回半径で行われるように、コントローラー400は車体100を旋回させる走行制御を行うトラクターである。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の平行な直線経路に沿って走行する作業車両であって、
車体が直線経路に沿って直進させられる直進制御モードと、前記車体が直線経路から直線経路への移行のために旋回させられる旋回制御モードと、の間での走行制御モード切換えの指示を行う走行制御モード切換え指示部材と、
前記走行制御モード切換え指示部材により前記行われた指示に応じて、前記直進制御モードまたは前記旋回制御モードで走行制御を行うコントローラーと、
を備えており、
前記直進制御モードから前記旋回制御モードへの走行制御モード切換えの指示が行われたとき、旋回が最小旋回可能半径を下回らない所定の旋回半径で行われるように、前記コントローラーは前記車体を旋回させる走行制御を行うことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記走行制御モード切換え指示部材は、車体左右方向を基準としたステアリングホイールの左側または右側へ突出している、前記ステアリングホイールの下方へ設けられたレバーを有し、
前記車体左右方向を基準とした前記コントローラーへの旋回向き選択の指示は、前記レバーのレバー操作向きを利用して行われることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記直進制御モードまたは前記旋回制御モードで行われている走行制御における手動補正の指示を行う手動補正指示部材を備えていることを特徴とする請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記コントローラーは、入力された旋回半径パラメーターに基づいて前記所定の旋回半径を算出することを特徴とする請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
前記算出された所定の旋回半径が前記最小旋回可能半径を下回る場合においては、前記コントローラーは警告を出力することを特徴とする請求項4に記載の作業車両。
【請求項6】
隣接耕耘作業が行われる場合においては、前記旋回半径パラメーターは耕耘作業幅および耕耘作業ラップ幅であり、前記所定の旋回半径の値は前記耕耘作業ラップ幅の値を前記耕耘作業幅の値から減算することにより得られた値の半分の値であることを特徴とする請求項5に記載の作業車両。
【請求項7】
畝立て作業が行われる場合においては、前記旋回半径パラメーターは隣接畝間隔であり、前記所定の旋回半径の値は前記隣接畝間隔の値の半分の値であることを特徴とする請求項5に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクターのような作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクターのような作業車両が、知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-95323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、作業車両ユーザーのさまざまなニーズを考慮し、便利な機能がかくの如き作業車両へつぎつぎと実装される趨勢はますます加速すると考えている。
【0005】
しかしながら、上述された従来のトラクターのような作業車両については、便利な機能を利用するときの使い勝手が必ずしもよくないことに本発明者は気付いた。
【0006】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、使い勝手を向上することができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、複数の平行な直線経路に沿って走行する作業車両であって、
車体が直線経路に沿って直進させられる直進制御モードと、前記車体が直線経路から直線経路への移行のために旋回させられる旋回制御モードと、の間での走行制御モード切換えの指示を行う走行制御モード切換え指示部材と、
前記走行制御モード切換え指示部材により前記行われた指示に応じて、前記直進制御モードまたは前記旋回制御モードで走行制御を行うコントローラーと、
を備えており、
前記直進制御モードから前記旋回制御モードへの走行制御モード切換えの指示が行われたとき、旋回が最小旋回可能半径を下回らない所定の旋回半径で行われるように、前記コントローラーは前記車体を旋回させる走行制御を行うことを特徴とする作業車両である。
【0008】
これにより、直進制御モードから旋回制御モードへの走行制御モード切換えの指示が行われたとき、旋回が最小旋回可能半径を下回らない所定の旋回半径で行われるように、コントローラーは車体を旋回させる走行制御を行うので、使い勝手を向上することができる。
【0009】
第2の本発明は、前記走行制御モード切換え指示部材は、車体左右方向を基準としたステアリングホイールの左側または右側へ突出している、前記ステアリングホイールの下方へ設けられたレバーを有し、
前記車体左右方向を基準とした前記コントローラーへの旋回向き選択の指示は、前記レバーのレバー操作向きを利用して行われることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【0010】
これにより、車体左右方向を基準としたコントローラーへの旋回向き選択の指示は、レバーのレバー操作向きを利用して行われるので、使い勝手をさらに向上することができる。
【0011】
第3の本発明は、前記直進制御モードまたは前記旋回制御モードで行われている走行制御における手動補正の指示を行う手動補正指示部材を備えていることを特徴とする第2の本発明の作業車両である。
【0012】
これにより、直進制御モードまたは旋回制御モードで行われている走行制御における手動補正の指示を行う手動補正指示部材を備えているので、利便性を向上することができる。
【0013】
第4の本発明は、前記コントローラーは、入力された旋回半径パラメーターに基づいて前記所定の旋回半径を算出することを特徴とする第3の本発明の作業車両である。
【0014】
これにより、コントローラーは、入力された旋回半径パラメーターに基づいて所定の旋回半径を算出するので、利便性をさらに向上することができる。
【0015】
第5の本発明は、前記算出された所定の旋回半径が前記最小旋回可能半径を下回る場合においては、前記コントローラーは警告を出力することを特徴とする第4の本発明の作業車両である。
【0016】
これにより、算出された所定の旋回半径が最小旋回可能半径を下回る場合においては、コントローラーは警告を出力するので、作業者の負担を軽減することができる。
【0017】
第6の本発明は、隣接耕耘作業が行われる場合においては、前記旋回半径パラメーターは耕耘作業幅および耕耘作業ラップ幅であり、前記所定の旋回半径の値は前記耕耘作業ラップ幅の値を前記耕耘作業幅の値から減算することにより得られた値の半分の値であることを特徴とする第5の本発明の作業車両である。
【0018】
これにより、隣接耕耘作業が行われる場合においては、旋回半径パラメーターは耕耘作業幅および耕耘作業ラップ幅であるので、構成を簡素化することができる。
【0019】
第7の本発明は、畝立て作業が行われる場合においては、前記旋回半径パラメーターは隣接畝間隔であり、前記所定の旋回半径の値は前記隣接畝間隔の値の半分の値であることを特徴とする第5の本発明の作業車両である。
【0020】
これにより、畝立て作業が行われる場合においては、旋回半径パラメーターは隣接畝間隔であるので、構成を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、使い勝手を向上することが可能な作業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明における実施の形態のトラクターの平面図(その一)
図2】本発明における実施の形態のトラクターの平面図(その二)
図3】本発明における実施の形態のトラクターの平面図(その三)
図4】本発明における実施の形態のトラクターの平面図(その四)
図5】本発明における実施の形態のトラクターの平面図(その五)
図6】本発明における実施の形態のトラクターのブロック図
図7】本発明における実施の形態のトラクターの部分斜視図(その一)
図8】本発明における実施の形態のトラクターの部分斜視図(その二)
図9】本発明における実施の形態のトラクターの部分斜視図(その三)
図10】本発明における実施の形態のトラクターの部分斜視図(その四)
図11】本発明における実施の形態のトラクターの部分斜視図(その五)
図12】本発明における実施の形態のトラクターの部分斜視図(その六)
図13】本発明における実施の形態のトラクターの部分斜視図(その七)
図14】本発明における実施の形態のトラクターの部分斜視図(その八)
図15】本発明における実施の形態のトラクターの部分斜視図(その九)
図16】本発明における実施の形態のトラクターの部分斜視図(その十)
図17】本発明における実施の形態のトラクターの部分斜視図(その十一)
図18】本発明における実施の形態のトラクターの部分斜視図(その十二)
図19】本発明における実施の形態のトラクターの部分斜視図(その十三)
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0024】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあり、透視的にまたは省略的に示されていることもある。
【0025】
(1)はじめに、図1から5および6を主として参照しながら、本発明における実施の形態のトラクターの構成および動作について具体的に説明する。
【0026】
ここに、図1から5は本発明における実施の形態のトラクターの平面図(その一から五)であり、図6は本発明における実施の形態のトラクターのブロック図である。
【0027】
図1から5において、車体100の後方の作業機600を利用する隣接耕耘作業などのために直進または旋回を行っているトラクターが示されている。図2から5において、旋回の前のまたは後の直進が行われる予定経路としての直進経路は点線で示されている。図3から5において、そのような直進経路の方向を与えるための第一および第二の直進経路基準点である、いわゆるA点およびB点を取得することにより指定された基準線は実線で示されている。
【0028】
図6において、ユニットの間の信号入出力線は一点鎖線で示されている。走行制御モード切換え指示部材200は、直進制御オフ旋回制御オンスイッチU1、および直進制御オン旋回制御オフスイッチU2のようなユニットの機能を実現する。手動補正指示部材300は、旋回半径手動補正部U3、および直進経路シフト手動指示部U4のようなユニットの機能を実現する。コントローラー400は、直進制御部U5、旋回制御部U6、旋回半径演算部U7、旋回可能不可能判断部U8、および最小旋回可能半径演算部U9のようなユニットの機能を実現する。直進制御部U5、および旋回制御部U6は、操舵部U10への信号出力を行う。旋回半径演算部U7は、耕耘作業幅のような隣接耕耘作業のための旋回半径パラメーターの入力部U11、および隣接畝間隔のような畝立て作業のための旋回半径パラメーターの入力部U12からの信号入力を行う。最小旋回可能半径演算部U9は、型式名のような旋回半径パラメーターの入力部U13からの信号入力を行う。旋回可能不可能判断部U8は、警告部U14への信号出力を行う。
【0029】
本実施の形態のトラクターの動作について説明しながら、コントローラー400などにより実現される、本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法についても説明する。
【0030】
本実施の形態のトラクターは、複数の平行な直線経路に沿って走行する、本発明における作業車両の具体的な例である。
【0031】
走行制御モード切換え指示部材200は、車体100が直線経路に沿って直進させられる直進制御モードと、車体100が直線経路から直線経路への移行のために旋回させられる旋回制御モードと、の間での走行制御モード切換えの指示を行う部材である。
【0032】
走行があらかじめ設定された直進経路に平行な直線にしたがって行われるように、搭載された測位装置500を利用して自動操舵を行う作業車両の自動直進作業において、ハンドルとも呼ばれる、ステアリング装置120のステアリングホイール121がモーターで制御される。直進経路の終点への到達にともなって、自動直進制御機能が運転者の手動操作で一時的に無効化された後、ステアリングホイール手動操作による180度の旋回が行われ、自動直進制御機能が再び有効化されてもよい。しかしながら、このような手動操作の煩わしを低減するために、より簡単な操作による旋回を行うことができるように、たとえば、走行制御モード切換え指示部材200などを利用する省力化の実現が望まれることは、言うまでもない。
【0033】
コントローラー400は、走行制御モード切換え指示部材200により行われた指示に応じて、直進制御モードまたは旋回制御モードで走行制御を行う。
【0034】
あらかじめ設定された直進方向の直進経路に沿って直進走行が行われるように、コントローラー400の制御部は車体100の自己位置を測位する測位装置500の測位結果に基づいて走行装置110の操向車輪を操向するステアリング装置120の自動制御を行う。
【0035】
直進制御モードから旋回制御モードへの走行制御モード切換えの指示が行われたとき、旋回が最小旋回可能半径を下回らない所定の旋回半径で行われるように、コントローラー400は車体100を旋回させる走行制御を行う。
【0036】
直進制御オフ旋回制御オンスイッチU1のようなユニットの機能による旋回スイッチ操作が行われると、制御部は所定の角度以上の操向角度で車体100の進行方向を変更するために操向車輪の操向を行う。
【0037】
このような操向が行われているとき、直進制御オン旋回制御オフスイッチU2のようなユニットの機能による旋回スイッチ操作が行われることにより、車体100の自己位置に基づいて設定された直進経路に沿って直進走行が行われるように、測位装置500の測位結果に基づいたステアリング装置120の自動制御が行われる。
【0038】
旋回が行われているときも、ステアリング装置120が自動制御に利用されるので、自動操舵制御機能がオフされずに旋回が行われる。簡単なスイッチ操作で旋回が行われるので、使い勝手を向上することができる。
【0039】
直進アシストトラクターにおいて半自動旋回システム構成を利用する態様が考えられる。直進アシスト機能とともに、旋回が行われるとき、作業機600が自動的に上昇させられるオートリフト機能を有するトラクターにおいて、直進アシストの後の旋回は手動操作で行われ、直進アシスト機能は旋回のたびにオフされる仕様がしばしば採用されるが、隣接耕耘作業および畝立て作業などの旋回にともなうスタート位置合わせは初心者にとって容易ではないので、直進アシスト機能をオフすることなく、旋回および位置合わせを簡単に行うことができるこのような態様はユーザーフレンドリーである。
【0040】
(2)つぎに、図7から19を主として参照しながら、本発明における実施の形態のトラクターの構成および動作についてより具体的に説明する。
【0041】
ここに、図7から19は、本発明における実施の形態のトラクターの部分斜視図(その一から十三)である。
【0042】
走行制御モード切換え指示部材200は、車体左右方向を基準としたステアリングホイール121の左側または右側へ突出している、ステアリングホイール121の下方へ設けられたレバー210を有する。
【0043】
旋回スイッチ操作が、ステアリングホイール121の下方に配置されている、ステアリングホイール121の左側または右側の一端と比べて外側へ突出しているレバー210で行われることにより、操向車輪の操向方向がレバー操作方向に応じて決定される。
【0044】
車体左右方向を基準としたコントローラー400への旋回向き選択の指示は、レバー210のレバー操作向きを利用して行われる。
【0045】
レバー操作により操向車輪の操向方向を決定することができるので、左旋回または右旋回を簡単に行うことができる。
【0046】
上述された態様において、上向きおよび下向きならびに前向きおよび後向きの四つの向きに動作する直進旋回アシストスイッチとしてのレバー210を利用する態様が考えられる(図7参照)。スイッチ部材として設けられた走行制御モード切換え指示部材200のレバー210のような直進旋回アシストスイッチは、いわゆるコンビスイッチの場合における操作感覚と同様な操作感覚で操作可能である。
【0047】
上述された態様において、上向きおよび下向きの二つの向きに動作する直進アシストスイッチとしてのレバー210とともに、旋回向きに応じた左向きおよび右向きの二つの向きに動作する旋回アシストスイッチとしてのトグルスイッチ221またはシーソースイッチ222を利用する態様が考えられる(図8および9参照)。スイッチ部材として設けられた走行制御モード切換え指示部材200のトグルスイッチ221またはシーソースイッチ222のような旋回アシストスイッチが汎用の直進アシストスイッチとともに追加的に利用されるので、慣親しんだ操作感はそのままであり、理解しやすい仕様が実現される。
【0048】
直進旋回アシストスイッチまたは直進アシストスイッチとしてのレバー210、ならびにトグルスイッチ221およびシーソースイッチ222は、スプリング付勢などで中立の位置へ向かって付勢されている。
【0049】
直進旋回アシストスイッチまたは直進アシストスイッチとしてのレバー210が押上げられるたびに、直進制御モードのオンオフ切換えが行われる。このような直進制御モードで走行制御を行うための第一および第二の直進経路基準点は、直進旋回アシストスイッチまたは直進アシストスイッチとしてのレバー210の押下げを利用することにより、あらかじめ取得される。
【0050】
たとえば、直進旋回アシストスイッチとしてのレバー210が後側へ向かって倒されることにより、左側へ向かっての旋回のための旋回制御モードへの切換えが行われ、直進旋回アシストスイッチとしてのレバー210が前側へ向かって倒されることにより、右側へ向かっての旋回のための旋回制御モードへの切換えが行われる。
【0051】
もちろん、コントローラー400は、直進制御モードおよび旋回制御モードが並行するような制御は回避する。
【0052】
直進旋回アシストスイッチとしてのレバー210は、ステアリングホイール121の下方に位置しており、前後進レバー104の上方に位置している態様が考えられる(図10および11参照)。そして、レバー210は車体左右方向における車体中心と比べて左側に位置しており、レバー210のスイッチ操作部はステアリングホイール121と比べて車体左右方向における外側に位置している。このような直進旋回アシストスイッチとしてのレバー210は、ウィンカー/前照灯スイッチ105のような汎用のコンビスイッチの反対側に位置していることにより、車載ワイパースイッチの場合における操作感覚と同様な操作感覚で操作可能である。
【0053】
直進アシストスイッチとしてのレバー210は、ステアリングホイール121の下方に位置しており、前後進レバー104の上方に位置している態様が考えられる。そして、レバー210は、車体左右方向における車体中心と比べて左側に位置している。このような直進アシストスイッチとしてのレバー210は、ウィンカー/前照灯スイッチ105のような汎用のコンビスイッチの反対側に位置していることにより、車載ワイパースイッチの場合における操作感覚と同様な操作感覚で操作可能である。
【0054】
旋回アシストスイッチとしてのトグルスイッチ221またはシーソースイッチ222は、メーターパネル101の下端と比べて上方に位置しており、メーターパネル101の上端と比べて下方に位置している態様が考えられる(図12参照)。
【0055】
旋回アシストスイッチとしてのトグルスイッチ221またはシーソースイッチ222は、車体中心と比べて右方に位置しており、ステアリングホイール121の前端と比べて後方に位置しており、操縦者シート106の後端と比べて前方に位置している態様が考えられる(図13参照)。つまり、スイッチ配置位置は、たとえば、アームレストまたは右レバーガイトの近傍の位置である。
【0056】
もちろん、直進旋回アシストスイッチとしてのレバー210が後側へ向かって倒された場合において左側へ向かっての旋回が行われ、レバー210が前側へ向かって倒された場合において右側へ向かっての旋回が行われ、車体100が基準線と平行になったとき、直進アシストが自動的に再開されてもよい。あるいは、旋回アシストスイッチとしてのトグルスイッチ221が左側へ向かって倒された、または旋回アシストスイッチとしてのシーソースイッチ222の左側が押された場合において左側へ向かっての旋回が行われ、トグルスイッチ221が右側へ向かって倒された、またはシーソースイッチ222の右側が押された場合において右側へ向かっての旋回が行われ、車体100が基準線と平行になったとき、直進アシストが自動的に再開されてもよい。直進アシスト機能を手動操作でオフすることなく、旋回を行うことができるので、ユーザーは作業機600の昇降操作などに集中することができ、作業性の向上が期待される。
【0057】
モニター102aおよびスイッチ102bなどを利用するデータ入力ユニット102、または無線通信でタブレット端末装置などと交信することができるコントローラー400を利用する通信モジュール103を実装する態様が考えられる(図14から16参照)。
【0058】
手動補正指示部材300は、直進制御モードまたは旋回制御モードで行われている走行制御における手動補正の指示を行う部材である。
【0059】
手動補正指示部材300による補正スイッチ操作にともなって、直進走行のためのステアリング装置120の自動制御が行われている場合において、直進経路の位置を操作に応じて手動補正が行われ、旋回スイッチ操作による旋回走行のためのステアリング装置120の自動制御が行われている場合において、操作に応じた操向車輪の操向角度の手動補正が行われる(図17から19参照)。
【0060】
旋回が行われているときのスイッチ操作による旋回半径の手動調節が実現されることにより、旋回位置にズレが発生しても、位置合わせのための調節を必要に応じて行うことができる。
【0061】
(3)つぎに、図1および6を主として参照しながら、本発明における実施の形態のトラクターの構成および動作についてさらにより具体的に説明する。
【0062】
コントローラー400は、入力された旋回半径パラメーターに基づいて所定の旋回半径を算出する。
【0063】
旋回半径は、隣接する二本の直進作業経路の間の間隔の値Dの半分の値D/2である。
【0064】
算出された所定の旋回半径が最小旋回可能半径を下回る場合においては、コントローラー400は警告を出力する。
【0065】
左右の後輪の内の一方である旋回内側後輪がブレーキで固定されることにより、旋回内側後輪が旋回中心になるような旋回が往復走行のために行われるときの最小旋回可能半径は、試験結果などからあらかじめ得られる、機種に固有な値として入力されてもよいし、算出されてもよい。最小旋回可能半径の算出において、スリップなどが考慮されるように、たとえば、後輪トレッド幅の値Wの半分の値W/2へ係数1.2を乗算することにより得られた値0.6Wが採用され、このような旋回軌跡は後輪の車軸の中心部Cが描く半円の軌跡である(図1参照)。
【0066】
旋回モードとして、隣接耕耘作業モードおよび畝立て作業モードの二つのモードを実装する態様が考えられる。
【0067】
隣接耕耘作業が行われる場合においては、旋回半径パラメーターは耕耘作業幅および耕耘作業ラップ幅であり、所定の旋回半径の値は耕耘作業ラップ幅の値を耕耘作業幅の値から減算することにより得られた値の半分の値である。
【0068】
隣接耕耘作業モードが選択されている場合において、耕耘作業幅および耕耘作業ラップ幅の値を任意に入力することができる態様が考えられる。
【0069】
旋回半径は、現実には旋回が行われるときの車速に影響されることもあるが、作業機600の作業機幅である耕耘作業幅の値W1から耕耘作業ラップ幅の値W2を減算することにより得られた値W1-W2の半分の値(W1-W2)/2である(図1参照)。
【0070】
車体サイズは馬力に依存するので、いわゆる型式のみならず馬力も機種を特定するために必要である。したがって、最小旋回可能半径の算出に利用される、後輪トレッド幅の算出において、型式および馬力がしばしば利用される。タイヤの種類も後輪トレッド幅およびスリップ率などに影響し、たとえば、いわゆる大径タイヤが前輪最大切れ角の制限を惹起することもあるので、旋回半径の算出においてタイヤに関する情報も入力される。後輪トレッド幅が計算に利用される旋回半径パラメーターなどへ直接的に反映されるように、たとえば、スリップ率および最大切れ角の制限による影響は係数調節により考慮されることが望ましい。
【0071】
畝立て作業が行われる場合においては、旋回半径パラメーターは隣接畝間隔であり、所定の旋回半径の値は隣接畝間隔の値の半分の値である。
【0072】
畝立て作業モードが選択されている場合において、隣接する畝の中心線の間の間隔である、隣接畝間隔の値を任意に入力することができる態様が考えられる。
【0073】
耕耘作業幅および耕耘作業ラップ幅の値、または隣接畝間隔の値が入力されたとき、隣接する二本の直進作業経路を往復走行で走行する車体100の車体中心線の間の距離が最小旋回可能半径より小さくなった場合において、エラー警告表示などが行われる態様が考えられる。直進作業経路への進入にともなう隣接耕耘作業における耕耘曲がりの発生、または畝立て作業における畝曲がりの発生を抑制することができる。
【0074】
利用されるトラクターの型式およびタイヤの属性などが設定されることにより、トラクターの最小旋回可能半径の表示などが行われる態様が考えられる。
【0075】
なお、本発明に関連した発明のプログラムは、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0076】
また、本発明に関連した発明の記録媒体は、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の全部または一部の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、読取られたプログラムがコンピュータと協働して利用されるコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0077】
なお、上述された「一部のステップ(または工程、動作および作用など)」は、それらの複数のステップの内の一つまたはいくつかのステップを意味する。
【0078】
また、上述された「ステップ(または工程、動作および作用など)の動作」は、上述されたステップの全部または一部の動作を意味する。
【0079】
また、本発明に関連した発明のプログラムの一利用形態は、インターネット、光、電波または音波などのような伝送媒体の中を伝送され、コンピュータにより読取られ、コンピュータと協働して動作するという形態であってもよい。
【0080】
また、記録媒体としては、ROM(Read Only Memory)などが含まれる。
【0081】
また、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)などのような純然たるハードウェアに限らず、ファームウェア、OS(Operating System)、そしてさらに周辺機器を含んでもよい。
【0082】
なお、上述されたように、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現されてもよいし、ハードウェア的に実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明における作業車両は、使い勝手を向上することができ、トラクターのような作業車両に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0084】
100 車体
101 メーターパネル
102 データ入力ユニット
102a モニター
102b スイッチ
103 通信モジュール
104 前後進レバー
105 ウィンカー/前照灯スイッチ
106 操縦者シート
110 走行装置
120 ステアリング装置
121 ステアリングホイール
200 走行制御モード切換え指示部材
210 レバー
221 トグルスイッチ
222 シーソースイッチ
300 手動補正指示部材
400 コントローラー
500 測位装置
600 作業機
図1
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