(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131718
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】シャッタ装置およびそれを用いた穿孔方法
(51)【国際特許分類】
B23B 41/08 20060101AFI20240920BHJP
F16L 41/04 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B23B41/08
F16L41/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042149
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】391000841
【氏名又は名称】大肯精密株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180747
【弁理士】
【氏名又は名称】小森 剛彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 拓也
(72)【発明者】
【氏名】毛利 昭仁
(72)【発明者】
【氏名】我妻 佑哉
【テーマコード(参考)】
3C036
【Fターム(参考)】
3C036AA18
(57)【要約】
【課題】シャッタ装置を用いて、配管に孔を開ける際の作業性を改善する。
【解決手段】配管100に孔101を開ける作業において継手部材110のフランジ111に取り付けられるシャッタ装置1は、フランジ111を覆うハウジング2と、ハウジング2においてフランジ111と連通するように形成される作業孔3と、ハウジング2において作業孔3と交差して連通するように形成される格納室3と、格納室3において重ねて収容される複数枚のシャッタ板70,80と、を有する。複数枚のシャッタ板70,80は、格納室3において作業孔3へ向けて進行し、作業孔3と交差する位置において互いにずれて広がることにより作業孔3を塞ぐ。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管に孔を開ける作業において継手部材のフランジに取り付けられるシャッタ装置であって、
前記継手部材のフランジを覆うハウジングと、
前記ハウジングにおいて、前記継手部材のフランジと連通するように形成される作業孔と、
前記ハウジングにおいて、前記作業孔と交差して連通するように形成される格納室と、
前記格納室において重ねて収容される複数枚のシャッタ板と、を有し、
複数枚の前記シャッタ板は、前記格納室において前記作業孔へ向けて進行して前記作業孔と交差する位置において互いにずれて広がることにより前記作業孔を塞ぐ、
シャッタ装置。
【請求項2】
前記ハウジングの下面において前記作業孔の周囲から突出する円筒形状のフランジ部と、
円筒形状の前記フランジ部の下端外周に沿って環状に形成される外周陵部と、
前記外周陵部が環状に形成されてなる前記フランジ部の下端面において、前記継手部材のフランジの上端テーパ部を収容可能な環状の継手用溝部と、
前記外周陵部が形成される円筒形状の前記フランジ部とは別体に形成され、前記継手部材のフランジを円筒形状の前記フランジ部と連結するために前記外周陵部に被せるように取付可能な締付式の環状のクランプ部材と、
を有し、
環状の前記外周陵部の外面上部には、被クランプ側上テーパ面が形成され、
環状の前記クランプ部材には、内面上部に形成されて前記被クランプ側上テーパ面と適合可能なクランプ側上テーパ面と、内面下部に形成されて前記継手部材のフランジの前記上端テーパ部と適合可能なクランプ側下テーパ面と、が同心に形成される、
請求項1記載の、シャッタ装置。
【請求項3】
前記ハウジングの上面において前記作業孔の周囲に設けられ、前記配管に孔を開ける作業で使用する作業用工具の下端テーパ部を収容可能な環状の工具用溝部と、
前記工具用溝部の周囲に設けられ、作業用工具の下端テーパ部と適合可能な工具用テーパ面を有する複数の工具係合部材と、
を有し、
複数の前記工具係合部材は、複数で設けられて、前記作業孔の中心から等距離となる配置でかつ前記作業孔の周囲に分散させるように、前記工具用溝部の周囲に設けられる、
請求項1または2記載の、シャッタ装置。
【請求項4】
前記格納室において重ねて収容されて前記作業孔へ向けて進退可能な複数枚の前記シャッタ板は、前記作業孔の孔方向に沿う支持軸の周囲で回動可能となるように前記ハウジングに設けられる第一シャッタ板と第二シャッタ板と、を含み、
前記第二シャッタ板は、
前記第一シャッタ板が前記格納室において前記作業孔へ向けて進行する動きに従って前記作業孔へ向けて進行し、
前記第一シャッタ板が前記作業孔から後退する動きに従って前記作業孔から後退する、
請求項3記載の、シャッタ装置。
【請求項5】
駆動側の前記第一シャッタ板の動きに従って動く従動側の前記第二シャッタ板には、前記作業孔へ進行する側の前縁部分に、前記第一シャッタ板との間に突出する従動側進行凸部、が設けられ、
駆動側の前記第一シャッタ板には、前記第二シャッタ板との間に突出する駆動側進行凸部が、前記従動側進行凸部についての後退側に設けられ、
駆動側の前記第一シャッタ板が前記作業孔へ向けて進行する際に前記駆動側進行凸部が前記従動側進行凸部を進行方向へ押すことにより、従動側の前記第二シャッタ板は、前記第一シャッタ板についての前記作業孔へ向けて進行する動きに従って前記作業孔へ向けて進行する、
請求項4記載の、シャッタ装置。
【請求項6】
従動側の前記第二シャッタ板に設けられる前記従動側進行凸部は、
前記第二シャッタ板についての前記作業孔へ進行する側の前縁部分に沿って延在して設けられる弾性部材、を有し、
前記弾性部材が、前記第一シャッタ板との間へ突出して前記第一シャッタ板と面状に密着する、
請求項5記載の、シャッタ装置。
【請求項7】
前記ハウジングには、前記作業孔の両外側に接触面が形成され、
従動側の前記第二シャッタ板の前記前縁部分に沿って延在して設けられる前記弾性部材は、前記第二シャッタ板が前記作業孔へ進行した状態において前記作業孔の両外側にある前記接触面と面状に接触可能である、
請求項6記載の、シャッタ装置。
【請求項8】
前記ハウジングには、前記作業孔へ進行した駆動側の前記第一シャッタ板についての前記作業孔を通過した進行側の前縁部分が侵入可能なスリットが、前記格納室と連通して形成され、
前記スリットは、従動側の前記第二シャッタ板の前記弾性部材が前記接触面と面状に接触した後に、駆動側の前記第一シャッタ板の前縁部分がさらに侵入可能な深さに形成される、
請求項7記載の、シャッタ装置。
【請求項9】
従動側の前記第二シャッタ板には、前記作業孔から後退する駆動側の前記第一シャッタ板と当たる従動側後退凸部が、前記作業孔から後退する側の後縁部分に設けられ、
前記作業孔から前記格納室へ後退する駆動側の前記第一シャッタ板が前記従動側後退凸部と当たって押すことにより、従動側の前記第二シャッタ板は、駆動側の前記第一シャッタ板が前記作業孔から後退する動きに従って前記作業孔から後退する、
請求項8記載の、シャッタ装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項記載のシャッタ装置とともに作業用工具を用いて、配管に孔を開ける穿孔方法であって、
前記シャッタ装置を、前記シャッタ装置の作業孔が前記継手部材のフランジと重なるように、前記継手部材のフランジに取り付ける工程と、
前記作業用工具を、前記継手部材のフランジに取り付けられている前記シャッタ装置に取り付ける工程と、
前記シャッタ装置の複数のシャッタ板を作業孔から後退させて作業孔を開いた状態で前記作業用工具を用いて、前記シャッタ装置の作業孔を通じて前記配管に孔を開ける工程と、
前記シャッタ装置の複数のシャッタ板を作業孔へ進行させて作業孔を閉じる工程と、
前記シャッタ装置の作業孔を閉じた状態で、前記作業用工具を前記シャッタ装置から取り外す工程と、
を有する、シャッタ装置を用いた穿孔方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス管といった配管に分岐や遮断を設けるために該配管に孔を開ける作業に用いるシャッタ装置およびそれを用いた穿孔方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、継手部材のフランジに取り付けられるシャッタ装置を開示する。特許文献1のシャッタ装置は、長尺の板形状のハウジングの一端寄りに作業孔が形成され、長尺の板形状の他端側から作業孔へ向けて進行可能なシャッタ板を有する。シャッタ板を作業孔へ向けて進行させることにより、ハウジングの作業孔を閉じることができる。
このようなシャッタ装置は、作業孔が継手部材のフランジと重なるように継手部材のフランジに取り付けられる。そして、たとえば穿孔機は、継手部材のフランジに取り付けられているシャッタ装置に取り付けられ、シャッタ装置の作業孔を通じて配管に分岐孔を開ける。
穿孔機といった作業用工具は、シャッタ装置の作業孔を閉じた状態でシャッタ装置から取り外して、他の作業用工具と交換することが可能である。作業者は、ガス管といった配管からのガスといった流体の漏れをシャッタ装置により抑制しながら、配管に分岐孔を開ける作業を進めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のシャッタ装置では、作業孔を塞ぐために1枚の大きなシャッタ板を用いている。この1枚の大きなシャッタ板が、作業孔から後退した退避位置と作業孔との間で進退することになる。
その結果、特許文献1のシャッタ装置のハウジングは、作業孔を形成することができるとともに、作業孔とは別に、作業孔から退避した大きなシャッタ板を格納できるように大きな平面サイズに形成しなければならない。シャッタ装置のハウジングは、作業孔のサイズの二倍以上の平面サイズとなるように長尺の板形状に形成しなければならない。
しかも、閉じたシャッタ装置には、既設の配管にあるガスといった流体の高い圧力が作用する。シャッタ装置のハウジングおよびシャッタ板は、その圧力に耐えられるように厚い金属板を用いて高剛性に形成しなければならない。
このようにシャッタ装置は、大型化および重量化して、作業者には、シャッタ装置を運搬したり脱着したりする作業において負担が生じ得る。
【0005】
また、継手部材が設けられる既設のガス管といった配管は、地上に露出して設けられている場合もあるが、地中などに埋設されることがある。この場合、地面には、作業穴を設けなければならない。
そして、特許文献1のようにシャッタ装置が、作業孔のサイズの二倍以上の平面サイズとなるように長尺の板形状のハウジングを備えている場合、地面に対して大きな作業穴を開けなければならない。作業穴は、既設の配管から横へ大きく張り出すシャッタ装置を作業中に取り付けることができるように、大きく開けなければならない。作業穴は、既設の配管の周囲に継手部材を配置できるサイズではなく、それよりも大きいサイズに開けなければならない。作業者の作業性に影響が生じ得る。
【0006】
このようにシャッタ装置では、配管に対して継手部材を設ける際の作業性を改善することが潜在的に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るシャッタ装置は、配管に孔を開ける作業において継手部材のフランジに取り付けられるシャッタ装置であって、前記継手部材のフランジを覆うハウジングと、前記ハウジングにおいて、前記継手部材のフランジと連通するように形成される作業孔と、前記ハウジングにおいて、前記作業孔と交差して連通するように形成される格納室と、前記格納室において重ねて収容される複数枚のシャッタ板と、を有し、複数枚の前記シャッタ板は、前記格納室において前記作業孔へ向けて進行して前記作業孔と交差する位置において互いにずれて広がることにより前記作業孔を塞ぐ。
【0008】
好適には、前記ハウジングの下面において前記作業孔の周囲から突出する円筒形状のフランジ部と、円筒形状の前記フランジ部の下端外周に沿って環状に形成される外周陵部と、前記外周陵部が環状に形成されてなる前記フランジ部の下端面において、前記継手部材のフランジの上端テーパ部を収容可能な環状の継手用溝部と、前記外周陵部が形成される円筒形状の前記フランジ部とは別体に形成され、前記継手部材のフランジを円筒形状の前記フランジ部と連結するために前記外周陵部に被せるように取付可能な締付式の環状のクランプ部材と、を有し、環状の前記外周陵部の外面上部には、被クランプ側上テーパ面が形成され、環状の前記クランプ部材には、内面上部に形成されて前記被クランプ側上テーパ面と適合可能なクランプ側上テーパ面と、内面下部に形成されて前記継手部材のフランジの前記上端テーパ部と適合可能なクランプ側下テーパ面と、が同心に形成される、とよい。
【0009】
好適には、前記ハウジングの上面において前記作業孔の周囲に設けられ、前記配管に孔を開ける作業で使用する作業用工具の下端テーパ部を収容可能な環状の工具用溝部と、前記工具用溝部の周囲に設けられ、作業用工具の下端テーパ部と適合可能な工具用テーパ面を有する複数の工具係合部材と、を有し、複数の前記工具係合部材は、複数で設けられて、前記作業孔の中心から等距離となる配置でかつ前記作業孔の周囲に分散させるように、前記工具用溝部の周囲に設けられる、とよい。
【0010】
好適には、前記格納室において重ねて収容されて前記作業孔へ向けて進退可能な複数枚の前記シャッタ板は、前記作業孔の孔方向に沿う支持軸の周囲で回動可能となるように前記ハウジングに設けられる第一シャッタ板と第二シャッタ板と、を含み、前記第二シャッタ板は、前記第一シャッタ板が前記格納室において前記作業孔へ向けて進行する動きに従って前記作業孔へ向けて進行し、前記第一シャッタ板が前記作業孔から後退する動きに従って前記作業孔から後退する、とよい。
【0011】
好適には、駆動側の前記第一シャッタ板の動きに従って動く従動側の前記第二シャッタ板には、前記作業孔へ進行する側の前縁部分に、前記第一シャッタ板との間に突出する従動側進行凸部、が設けられ、駆動側の前記第一シャッタ板には、前記第二シャッタ板との間に突出する駆動側進行凸部が、前記従動側進行凸部についての後退側に設けられ、駆動側の前記第一シャッタ板が前記作業孔へ向けて進行する際に前記駆動側進行凸部が前記従動側進行凸部を進行方向へ押すことにより、従動側の前記第二シャッタ板は、前記第一シャッタ板についての前記作業孔へ向けて進行する動きに従って前記作業孔へ向けて進行する、とよい。
【0012】
好適には、従動側の前記第二シャッタ板に設けられる前記従動側進行凸部は、前記第二シャッタ板についての前記作業孔へ進行する側の前縁部分に沿って延在して設けられる弾性部材、を有し、前記弾性部材が、前記第一シャッタ板との間へ突出して前記第一シャッタ板と面状に密着する、とよい。
【0013】
好適には、前記ハウジングには、前記作業孔の両外側に接触面が形成され、従動側の前記第二シャッタ板の前記前縁部分に沿って延在して設けられる前記弾性部材は、前記第二シャッタ板が前記作業孔へ進行した状態において前記作業孔の両外側にある前記接触面と面状に接触可能である、とよい。
【0014】
好適には、前記ハウジングには、前記作業孔へ進行した駆動側の前記第一シャッタ板についての前記作業孔を通過した進行側の前縁部分が侵入可能なスリットが、前記格納室と連通して形成され、前記スリットは、従動側の前記第二シャッタ板の前記弾性部材が前記接触面と面状に接触した後に、駆動側の前記第一シャッタ板の前縁部分がさらに侵入可能な深さに形成される、とよい。
【0015】
好適には、従動側の前記第二シャッタ板には、前記作業孔から後退する駆動側の前記第一シャッタ板と当たる従動側後退凸部が、前記作業孔から後退する側の後縁部分に設けられ、前記作業孔から前記格納室へ後退する駆動側の前記第一シャッタ板が前記従動側後退凸部と当たって押すことにより、従動側の前記第二シャッタ板は、駆動側の前記第一シャッタ板が前記作業孔から後退する動きに従って前記作業孔から後退する、とよい。
【0016】
本発明に係るシャッタ装置を用いた穿孔方法は、上述したいずれかのシャッタ装置とともに作業用工具を用いて、配管に孔を開ける穿孔方法であって、前記シャッタ装置を、前記シャッタ装置の作業孔が前記継手部材のフランジと重なるように、前記継手部材のフランジに取り付ける工程と、前記作業用工具を、前記継手部材のフランジに取り付けられている前記シャッタ装置に取り付ける工程と、前記シャッタ装置の複数のシャッタ板を作業孔から後退させて作業孔を開いた状態で前記作業用工具を用いて、前記シャッタ装置の作業孔を通じて前記配管に孔を開ける工程と、前記シャッタ装置の複数のシャッタ板を作業孔へ進行させて作業孔を閉じる工程と、前記シャッタ装置の作業孔を閉じた状態で、前記作業用工具を前記シャッタ装置から取り外す工程と、を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、配管に孔を開ける作業において継手部材のフランジに取り付けられるシャッタ装置には、シャッタ板が複数枚で設けられる。複数枚のシャッタ板は、シャッタ装置のハウジングに形成される作業孔と交差する位置において互いにずれて広がることにより作業孔の全体を塞ぐことができる。
しかも、複数枚のシャッタ板は、ハウジングにおいて作業孔と交差して連通するように形成される格納室において、重ねて収容される。これにより、本発明では、各シャッタ板のサイズを小さくして、作業孔を1枚のシャッタ板で塞ぐ場合と比べてシャッタ装置のハウジングに形成する格納室を小さくできる。
その結果、本発明では、シャッタ装置のハウジングを小さくして、シャッタ装置の大型化を抑制でき、しかも、配管に孔を開ける作業についての作業性を改善することができる。本発明では、シャッタ装置を用いて配管に孔を開ける際の作業性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るシャッタ装置を斜上方から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のシャッタ装置を上から見た平面図である。
【
図4】
図4は、
図1のシャッタ装置を下から見た底面図である。
【
図5】
図5は、
図1のシャッタ装置に複数枚で重ねて設けられるシャッタ板の中の、下側の第一シャッタ板の軸支構造および可動範囲の模式的な説明図である。
【
図6】
図6は、
図5の第一シャッタ板とともにシャッタ装置に設けられる、上側の第二シャッタ板の軸支構造および可動範囲の模式的な説明図である。
【
図7】
図7は、格納室にある第一シャッタ板および第二シャッタ板についての、閉操作時の動作の模式的な説明図である。
【
図8】
図8は、シャッタ装置の作業孔を閉じている第一シャッタ板および第二シャッタ板についての、開操作時の動作の模式的な説明図である。
【
図9】
図9は、
図1のシャッタ装置についての分岐継手部材のフランジへの取付構造の模式的な説明図である。
【
図10】
図10は、
図1のシャッタ装置についての、作業用工具の取付構造の模式的な説明図である。
図10には、作業用工具の一例として補助アダプタが併せて示されている。
【
図11】
図11は、
図1のシャッタ装置に取付可能な作業用工具である穿孔機の一例の説明図である。
【
図12】
図12は、
図1のシャッタ装置に取付可能な作業用工具である切粉取りユニットの一例の説明図である。
【
図13】
図13は、
図1のシャッタ装置に取付可能な作業用工具であるプラグ止めアダプタの一例の説明図である。
【
図14】
図14は、
図1のシャッタ装置を用いた穿孔方法の一例としての、鋳鉄管活管分岐工法の手順の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係るシャッタ装置1を斜上方から見た斜視図である。
図2は、
図1のシャッタ装置1を上から見た平面図である。
図3は、
図1のシャッタ装置1の側面図である。
図4は、
図1のシャッタ装置1を下から見た底面図である。
【0021】
ガス管などの配管では、ガスなどの流体を分岐するために、たとえば後述する
図9に例示するように、本管に対して分岐管を連結することがある。本管に対して分岐管を連結する作業では、たとえば、本管に対して分岐継手部材を取り付け、分岐継手部材に対して分岐管を取り付ける。この場合、本管には、分岐管への流体の流路を形成するために、分岐孔を開ける必要がある。この穿孔作業では、一般的に、分岐継手部材のフランジ111に穿孔機130を取り付け、分岐継手部材のフランジ111を通じて穿孔機130を用いて本管に分岐孔を開設している。分岐継手部材のフランジ111は、本管に分岐孔を開設した後に、プラグ160により閉じられる。
この作業を本管においてガスなどの流体が流れている活管状態において実行する場合、本管からの流体漏れを抑制するために、シャッタ装置1が用いられる。シャッタ装置1は、分岐継手部材のフランジ111と穿孔機130などの作業用工具との間に介在するように、分岐継手部材のフランジ111に取り付けられる。シャッタ装置1は、作業用工具を取り外す際には閉じられる。これにより、シャッタ装置1は、本管からの流体漏れを抑制できる。
また、ガス管などの配管には、遮断栓を取り付けるために遮断栓用の孔を開けることもある。
【0022】
図1から
図4のシャッタ装置1は、扇形の板形状を有するロアーハウジング10と、ロアーハウジング10の上に重ねられるアッパハウジング20と、を有する。ロアーハウジング10とアッパハウジング20とは、中心角度が約90度程度となるように、円の略四分の一の扇形に形成されている。ロアーハウジング10とアッパハウジング20とにより、分岐継手部材のフランジ111を覆うことができるハウジング2が形成される。扇形の板形状のハウジング2には、扇形の一端へ寄せた位置に、略円柱形状の作業孔3が形成される。略円柱形状の作業孔3は、アッパハウジング20の上面からロアーハウジング10の下面までにかけて、扇形の板形状のハウジング2を上下に貫通する。
ロアーハウジング10の下側には、分岐継手部材のフランジ111に取り付けられるフランジ部材40が、作業孔3と同心に設けられる。フランジ部材40の下端には、フランジ部材40とは別体のクランプ部材50が取外可能に設けられている。
アッパハウジング20の上面には、作業用工具をシャッタ装置1に取り付けられる複数の工具係合部材60が、作業孔3の周囲に並べて設けられている。
【0023】
図5は、
図1のシャッタ装置1に複数枚で重ねて設けられるシャッタ板の中の、下側の第一シャッタ板70の軸支構造および可動範囲の模式的な説明図である。
図5は、
図3のA-A断面での模式図である。
図6は、
図5の第一シャッタ板70とともにシャッタ装置1に設けられる、上側の第二シャッタ板80の軸支構造および可動範囲の模式的な説明図である。
図6は、
図3においてA-A断面より上側となるB-B断面での模式図である。
【0024】
図5および
図6に示すように、
図1のシャッタ装置1は、第一シャッタ板70と第二シャッタ板80とによる複数枚のシャッタ板を有する。
第一シャッタ板70と第二シャッタ板80とは、基本的に、中心角度が約30度程度となるように、幅が狭い扇形に形成されている。
【0025】
アッパハウジング20とロアーハウジング10とによるハウジング2には、格納室11が形成される。格納室11は、ハウジング2において、作業孔3と交差するように形成される。
格納室11には、第一シャッタ板70と第二シャッタ板80とを作業孔3に露出しないように格納する格納エリア13と、格納エリア13から作業孔3の周囲までの範囲にかけて形成される可動エリア12と、が形成される。
格納室11は、その全体が基本的にハウジング2の外形に倣った中心角度を約90度程度とする略扇形状に形成される。
【0026】
格納室11についての略扇形の中心部分には、上下方向に延在する支持軸18が回転可能に立設される。支持軸18は、
図1から
図3に示すように、アッパハウジング20を貫通して、アッパハウジング20の上面から上へ突出する。支持軸18についての突出部分と、その周囲のアッパハウジング20の上面とには、支持軸18の回転により開閉される作業孔3の開閉状態を示すインジケータが刻印される。
支持軸18の近くには、操作軸19が、支持軸18と平行に回転可能に立設される。操作軸19は、アッパハウジング20を貫通して、アッパハウジング20の上面から上へ突出する。操作軸19についての突出している上端部分は、レンチなどの工具を係合可能な形状に形成される。操作軸19に作用する回転力は、不図示の伝達ギアなどを通じて、支持軸18に伝達する。
【0027】
第一シャッタ板70は、
図5に示すように幅が狭い扇形に形成され、格納室11において、下側に設けられる。第一シャッタ板70は、扇形の中心部分が、支持軸18に固定される。これにより、第一シャッタ板70は、操作軸19に回転力が作用すると、その回転力が直接に作用し、支持軸18とともに支持軸18の周囲で回動する。第一シャッタ板70は、
図5において破線矢印で示すように、格納室11において作業孔3へ向かって進退する。第一シャッタ板70は、格納室11において作業孔3へ向けて進行したり、作業孔3から後退したりできる。
また、第一シャッタ板70は、単独では作業孔3の全体を覆って塞ぐことができない幅が狭い扇形に形成されている。
【0028】
第二シャッタ板80は、
図6に示すように幅が狭い扇形に形成され、格納室11において、上側に設けられる。第二シャッタ板80は、幅が狭い扇形の中心部分に、支持軸18を遊挿するための貫通孔が形成される。第二シャッタ板80は、支持軸18の周囲で回動可能に設けられる。第二シャッタ板80は、
図6において破線矢印で示すように、格納室11において作業孔3へ向かって進退する。第二シャッタ板80は、格納室11において作業孔3へ向けて進行したり、作業孔3から後退したりできる。
また、第二シャッタ板80は、単独では作業孔3の全体を覆って塞ぐことができない幅が狭い扇形に形成されている。
【0029】
このように第一シャッタ板70と第二シャッタ板80とは、作業孔3の孔方向に沿う共通の支持軸18の周囲において回動可能となるように、ハウジング2に設けられる。第一シャッタ板70は、支持軸18に固定される。第二シャッタ板80は、支持軸18と遊嵌する。
【0030】
格納室11において第二シャッタ板80が移動する軌道には、
図6に示すように、ストッパ部15が設けられる。ストッパ部15は、基本的にアッパハウジング20とロアーハウジング10とは別体に、幅が狭い扇形の板形状に形成されてよい。このようなストッパ部15は、アッパハウジング20とロアーハウジング10との間に挟まれることにより、固定される。
扇形の板形状のストッパ部15は、作業孔3と重なる部分が切り欠かれている。格納室11から作業孔3へ向けて進行する第二シャッタ板80は、作業孔3の両外側に残るストッパ部15の側面16に当たって、進行が止められる。第二シャッタ板80は、
図6に示すように、ストッパ部15の側面16から格納エリア13までの範囲において進退可能となる。その範囲において、第二シャッタ板80は、作業孔3へ向けて進行したり、作業孔3から後退したりできる。
【0031】
第二シャッタ板80には、その下に重なる第一シャッタ板70との間に突出するように、従動側進行凸部81が設けられる。従動側進行凸部81は、たとえば弾性部材を長尺に形成したものでよい。長尺な従動側進行凸部81は、幅が狭い扇形の第二シャッタ板80についての進行方向側の前縁部分に沿って、支持軸18を中心とした半径方向に沿って延在するように設けられ、第一シャッタ板70との間へ下向きに突出する。これにより、第二シャッタ板80の前縁部分に沿って延在する従動側進行凸部81は、第一シャッタ板70と面状に密着して、第二シャッタ板80と第一シャッタ板70との隙間を塞ぐことができる。
【0032】
第二シャッタ板80には、従動側後退凸部82が設けられる。従動側後退凸部82は、幅が狭い扇形の第二シャッタ板80についての格納室11へ後退する側の後縁部分に沿って、支持軸18を中心とした半径方向に沿って延在するように、長尺に設けられる。従動側後退凸部82は、第一シャッタ板70と当たるように下向きに突出する。第一シャッタ板70は、後退する際に、従動側後退凸部82と当たる。
【0033】
格納室11において第一シャッタ板70が移動する軌道には、
図5に示すように、スリット17が設けられる。スリット17は、格納室11と連通しており、格納室11の一部としてよい。スリット17の上には、ストッパ部15が位置する。作業孔3へ向かって進行する第一シャッタ板70は、進行側の前縁部分がストッパ部15に当たることなくスリット17へ進入できる。第一シャッタ板70は、スリット17を含む格納室11による大きな可動エリア12において、進退可能である。
【0034】
第一シャッタ板70には、その上に重なる第二シャッタ板80との間に突出するように、駆動側進行凸部71が設けられる。駆動側進行凸部71は、幅が狭い扇形の第一シャッタ板70についての進退方向の略中央部分に沿って、支持軸18を中心とした半径方向に沿って延在するように、長尺に設けられる。第二シャッタ板80との間へ上向きに突出する。これにより、長尺の駆動側進行凸部71は、格納室11において、第二シャッタ板80の従動側進行凸部81より作業孔3から後退する側に位置する。第一シャッタ板70が進行する際に、長尺の駆動側進行凸部71は、第二シャッタ板80の長尺の従動側進行凸部81と当たることになる。
【0035】
図7は、格納室11にある第一シャッタ板70および第二シャッタ板80についての、閉操作時の動作の模式的な説明図である。
図7(A)から
図7(D)には、
図2のC-C曲面に沿った端面が示されている。
【0036】
図7(A)は、閉操作前の収容状態である。第一シャッタ板70および第二シャッタ板80は、格納室11から作業孔3へ向けて進退可能となるように、ハウジング2に形成される格納室11の退避位置において重ねて収容される。
この格納室11に格納されている収容状態において、駆動側の第一シャッタ板70の駆動側進行凸部71は、従動側の第一シャッタ板70の従動側進行凸部81より後退する側に位置している。
作業者は、第一シャッタ板70および第二シャッタ板80により作業孔3を塞ぐ場合、レンチなどの工具を用いて、操作軸19を閉操作方向へ回転させる。
操作軸19に作用する回転力は、支持軸18および第一シャッタ板70に伝達する。第一シャッタ板70は、
図7(A)において右側へ向かうように進行方向への回動を開始する。
【0037】
図7(B)は、閉操作を開始した直後の状態である。駆動側の第一シャッタ板70は、
図7(A)の状態と比べて、作業孔3がある方向へ進行している。そして、駆動側の第一シャッタ板70に設けられる長尺の駆動側進行凸部71は、従動側の第二シャッタ板80に設けられる長尺の従動側進行凸部81に当たる。その後、作業孔3がある方向へ進行する長尺の駆動側進行凸部71は、駆動側の第一シャッタ板70についての進行方向への回動により、長尺の従動側進行凸部81を、作業孔3がある方向へ押し始める。長尺の従動側進行凸部81が設けられる従動側の第二シャッタ板80は、駆動側の第一シャッタ板70が格納室11から作業孔3へ向けて進行する動きに従って、作業孔3へ向けての進行を開始する。従動側の第二シャッタ板80は、駆動側の第一シャッタ板70と共に、進行し始める。
【0038】
図7(C)は、
図7(B)より閉操作が進んだ状態である。第一シャッタ板70が格納室11から作業孔3へ向けて進行する動きに従って作業孔3へ向けての進行を開始した従動側の第二シャッタ板80は、長尺の従動側進行凸部81がハウジング2を構成するストッパ部15の側面16に当たることにより、進行が止まる。ストッパ部15の側面16は、従動側の第二シャッタ板80の進行を止める作業孔3の両外側の接触面として機能する。弾性部材を用いて、第二シャッタ板80についての作業孔3へ進行する側の前縁部分において、作業孔3より幅広となるように延在して設けられる長尺の従動側進行凸部81は、第二シャッタ板80が作業孔3へ向けて進行した状態において作業孔3の両外側にある接触面(16)と面状に接触する。これにより、第二シャッタ板80についての進行は停止する。
【0039】
図7(D)は、第一シャッタ板70および第二シャッタ板80により、作業孔3が完全に塞がれている状態である。
図7(D)において、駆動側の第一シャッタ板70は、従動側の第二シャッタ板80についての進行がストッパ部15の側面16により阻止されている状態のまま、進行しようとする。作業孔3へ向けて進行した第一シャッタ板70と第二シャッタ板80とは、作業孔3において互いにずれて広がることにより、作業孔3を塞いでいる。
また、
図7(D)の状態では、第一シャッタ板70は、第二シャッタ板80についての進行がストッパ部15の側面16により阻止されている状態のまま、操作軸19についての閉操作方向への強い回転操作により進行方向へ回動しようとする。作業孔3へ進行して作業孔3を通過した第一シャッタ板70についての進行側の前縁部分は、ハウジング2において作業孔3と連通して形成されるスリット17に侵入する。スリット17は、弾性部材による従動側進行凸部81が接触面(16)と面状に接触した後に、第一シャッタ板70の前縁部分がさらに侵入可能な深さに形成されている。このため、第一シャッタ板70の長尺の駆動側進行凸部71は、第二シャッタ板80に設けられる長尺の弾性部材による従動側進行凸部81を、作業孔3の両外側においてストッパ部15の側面16(接触面)に対して強く押し当てることができる。これにより、第二シャッタ板80についての作業孔3へ進行する側の前縁部分に沿って延在する長尺の弾性部材による従動側進行凸部81は、弾性変形して、第二シャッタ板80とハウジング2のストッパ部15との間を、隙間を生じないように塞ぐことができる。長尺の弾性部材による従動側進行凸部81が、第一シャッタ板70と密着して第二シャッタ板80と第一シャッタ板70との間を塞いでいることと相まって、これらの密着箇所から、外気より高い圧力の流体が外へ漏れることが起き難くなる。
【0040】
また、アッパハウジング20とロアーハウジング10との間(たとえば外周部分)と、アッパハウジング20と第二シャッタ板80との間には、上樹脂プレート90が挟み込まれる。第一シャッタ板70とストッパ部15との間には、下樹脂プレート91が挟み込まれる。これにより、アッパハウジング20と第二シャッタ板80との間と、第一シャッタ板70とストッパ部15との間とは、隙間が生じないように密閉される。これらの箇所から外へ、流体が漏れ難くなる。なお、シャッタ板と樹脂プレートとの密着度を高めるために、樹脂プレートの上にOリングなどを介在させてもよい。
また、ハウジング2のスリット17には、スリット17に進入した第一シャッタ板70についての、たとえば前縁部分と密着する弾性部材といった不図示のシール部材が設けられてもよい。
これらのシールにより、第二シャッタ板80と第一シャッタ板70とが広がって作業孔3を塞いでいる状態において、本管(活管)のガスといった流体が、シャッタ装置1の作業孔3の周辺の隙間からシャッタ装置1の外へ漏れ出にくくできる。
【0041】
図8は、シャッタ装置1の作業孔3を閉じている第一シャッタ板70および第二シャッタ板80についての、開操作時の動作の模式的な説明図である。
図8(A)から
図8(C)には、
図2のC-C曲面に沿った端面が示されている。
【0042】
図8(A)は、開操作前の閉状態である。第一シャッタ板70および第二シャッタ板80は、作業孔3において互いにずれて広がることにより、作業孔3を塞いでいる。
作業者は、第一シャッタ板70および第二シャッタ板80により塞がれている作業孔3を開く場合、レンチなどの工具を用いて、操作軸19を
図7とは逆の開操作方向へ回転させる。
操作軸19に作用する回転力は、支持軸18および第一シャッタ板70に伝達する。第一シャッタ板70は、
図8(A)の状態から後退方向への回動を開始する。
【0043】
図8(B)は、開操作を開始した直後の状態である。駆動側の第一シャッタ板70は、
図8(A)の状態と比べて、作業孔3から離れる退避方向へ進行している。そして、駆動側の第一シャッタ板70は、従動側の第二シャッタ板80において下へ突出するように設けられる長尺の従動側後退凸部82に当たる。その後、作業孔3から離れる方向へ退避する駆動側の第一シャッタ板70は、第一シャッタ板70についての退避方向への回動により、長尺の従動側後退凸部82を、作業孔3から離れる方向へ退避させるように押し始める。長尺の従動側後退凸部82が設けられる従動側の第二シャッタ板80は、駆動側の第一シャッタ板70が作業孔3から格納室11へ向けて退避する動きに従って、作業孔3と重なる位置からの退避を開始する。従動側の第二シャッタ板80は、駆動側の第一シャッタ板70と共に、退避し始める。
【0044】
図8(C)は、第一シャッタ板70および第二シャッタ板80が、作業孔3と重なる位置から完全に退避している状態である。
図8(C)において、作業孔3から退避した第一シャッタ板70と第二シャッタ板80とは、格納室11において略重なっている。
【0045】
このように第一シャッタ板70および第二シャッタ板80は、作業孔3へ向けて進退可能となるように、格納室11において重ねて収容される。
【0046】
図9は、
図1のシャッタ装置1についての分岐継手部材110のフランジ111への取付構造の模式的な説明図である。
図9(A)には、シャッタ装置1のハウジング2と、ハウジング2の下面から下へ向けて突出するフランジ部材40と、フランジ部材40とは別体のクランプ部材50と、本管(配管)100に取り付けられた分岐継手部材110と、が示されている。
分岐継手部材110は、本管100の横に取り付けられ、円筒形状のフランジ111を有する。円筒形状のフランジ111の上端部分には、上端テーパ部112が、フランジ111の外周に沿って環状に形成されている。
【0047】
シャッタ装置1のフランジ部材40は、ハウジング2の下面において作業孔3の周囲から下向きに突出して設けられる円筒形状のフランジ部41と、円筒形状のフランジ部41の下端外周に沿って環状に凸に形成される外周陵部42と、円筒形状のフランジ部41の下端面に形成される環状の継手用溝部43と、を有する。
また、シャッタ装置1は、外周陵部42が形成される円筒形状のフランジ部41とは別体に形成される、環状のクランプ部材50を有する。
【0048】
円筒形状のフランジ部41は、ハウジング2の作業孔3と同心に設けられる。
環状の継手用溝部43は、分岐継手部材110のフランジ111の環状の上端テーパ部112を収容できるように環状の上端テーパ部112より一回り大きいサイズに、かつ、ハウジング2の作業孔3と同心となるように、ハウジング2の下面に形成される。
環状の外周陵部42には、被クランプ側上テーパ面44が外面上部に環状に形成され、被クランプ側下テーパ面45が外面下部に環状に形成される。
環状の被クランプ側上テーパ面44は、上へ向かって環状のテーパ面の半径が小さくなる上細りのテーパ面である。
環状の被クランプ側下テーパ面45は、下へ向かって環状のテーパ面の半径が小さくなる下細りのテーパ面である。被クランプ側下テーパ面45の断面角度は、分岐継手部材110のフランジ111の上端テーパ部112に倣って、上端テーパ部112と同じ角度としてよい。
環状の被クランプ側上テーパ面44と、環状の被クランプ側下テーパ面45とは、作業孔3または継手用溝部43と同心に形成されてよい。
【0049】
環状のクランプ部材50は、
図4に示すように、円環を構成する第一湾曲部材51および第二湾曲部材52と、第一湾曲部材51の一端と第二湾曲部材52の一端とを連結するヒンジ53と、第一湾曲部材51の他端と第二湾曲部材52の他端とをネジを用いて締結可能に連結する連結機構54と、を有する。
そして、第一湾曲部材51の内面と、第二湾曲部材52の内面とには、クランプ側上テーパ面55と、クランプ側下テーパ面56と、が形成される。
クランプ側上テーパ面55は、第一湾曲部材51の内面上部と、第二湾曲部材52の内面上部とに形成される。クランプ側上テーパ面55は、円筒形状のフランジ部41の外周陵部42に形成される被クランプ側上テーパ面44と面状に適合可能なものでよい。
クランプ側下テーパ面56は、第一湾曲部材51の内面下部と、第二湾曲部材52の内面下部とに形成される。クランプ側下テーパ面56は、分岐継手部材110のフランジ111の上端テーパ部112と面状に適合可能なものでよい。または、クランプ側下テーパ面56は、円筒形状のフランジ部41の外周陵部42に形成される被クランプ側下テーパ面45と面状に適合可能なものでもよい。
【0050】
このような環状のクランプ部材50を用いて、
図9(B)に示すように、シャッタ装置1の円筒形状のフランジ部41と、分岐継手部材110のフランジ111とが連結される。
図9(B)において、分岐継手部材110のフランジ111の上端テーパ部112は、円筒形状のフランジ部41に形成される環状の継手用溝部43に遊嵌される。
この状態で、円筒形状のフランジ部41の環状の外周陵部42の上に、環状のクランプ部材50が被せられる。締付式の環状のクランプ部材50は、分岐継手部材110のフランジ111を、円筒形状のフランジ部41と連結するために環状の外周陵部42に被せられる。
環状のクランプ部材50の連結機構54がネジ締めされることにより、環状のクランプ部材50が環状の外周陵部42を締め付けて固定される。
この固定状態では、環状のクランプ部材50のクランプ側上テーパ面55は、環状の外周陵部42の被クランプ側上テーパ面44と面状に密着する。
環状のクランプ部材50のクランプ側下テーパ面56は、環状の外周陵部42の被クランプ側下テーパ面45と面状に密着し、さらに分岐継手部材110のフランジ111の環状の上端テーパ部112と面状に密着する。
これにより、分岐継手部材110のフランジ111と、シャッタ装置1のフランジ部41とは、取付作業の当初では
図9(A)のようにずれていたとしても、同心となる状態で互いに固定され得る。
【0051】
このように本実施形態では、シャッタ装置1は、ハウジング2の下面において作業孔3の周囲から下へ突出する円筒形状のフランジ部41と、円筒形状のフランジ部41の下端外周に沿って環状に形成される外周陵部42と、外周陵部42が環状に形成されてなるフランジ部41の下端面において、分岐継手部材110のフランジ111の上端テーパ部112を収容可能な環状の継手用溝部43と、外周陵部42が形成される円筒形状のフランジ部41とは別体に形成され、分岐継手部材110のフランジ111を円筒形状のフランジ部41と連結するために外周陵部42に被せるように取付可能な締付式の環状のクランプ部材50と、を有する。そして、環状の外周陵部42の外面上部には、被クランプ側上テーパ面44が形成される。環状のクランプ部材50には、内面上部に形成されて被クランプ側上テーパ面44と面状に適合可能なクランプ側上テーパ面55と、内面下部に形成されて分岐継手部材110のフランジ111の上端テーパ部112と面状に適合可能なクランプ側下テーパ面56と、が同心に形成される。また、被クランプ側下テーパ面45は、分岐継手部材110のフランジ111の上端テーパ部112に倣った角度に形成される。
これにより、シャッタ装置1は、その作業孔3が分岐継手部材110のフランジ111と同心となるように、分岐継手部材110のフランジ111に対して取り付けることができる。
【0052】
図10は、
図1のシャッタ装置1についての、作業用工具の取付構造の模式的な説明図である。
図10には、作業用工具の一例である補助アダプタ120が併せて示されている。
【0053】
図10(A)には、シャッタ装置1のハウジング2と、ハウジング2の上面において作業孔3の周囲に環状に形成される工具用溝部21と、環状の工具用溝部21の周囲に設けられる2つの工具係合部材60と、が示されている。
補助アダプタ120は、他の作業用工具を取り付けることができる円柱形状の筒部121と、円柱形状の筒部121の下縁部分から外へ突出する環状の補助フランジ部122と、を有する。環状の補助フランジ部122の上角部分には、作業用工具の下端テーパ部131としての、環状の補助テーパ部123が形成される。環状の補助テーパ部123は、上へ向かって環状のテーパ面の半径が小さくなる上細りのテーパ面を有する。
【0054】
環状の工具用溝部21は、補助アダプタ120の環状の補助フランジ部122を収容できるように環状の補助フランジ部122より一回り大きいサイズに、かつ、ハウジング2の作業孔3と同心となるように、ハウジング2の上面に形成される。
2つの工具係合部材60は、
図1および
図3に示すように、環状の工具用溝部21の周囲において、環状の工具用溝部21を間に挟んで対向するように設けられる。2つの工具係合部材60は、作業孔3の中心について線対称となる配置で対向するように、工具用溝部21の周囲に設けられる。
工具用溝部21の周囲に設けられる工具係合部材60は、
図10(A)に示すように、長尺の先端部材61、先端ベース62、押圧ベース63、押圧ネジ64、リング状の弾性体65、を有する。
【0055】
先端ベース62と、押圧ベース63とは、押圧ベース63が先端ベース62の外側となるように、ハウジング2の上面に並べて設けられる。
先端ベース62は、長尺の先端部材61を、その長尺方向がハウジング2の上面に沿った方向となるように可動可能に支持する。長尺の先端部材61についての先端ベース62より作業孔3の側に突出する部分には、工具用テーパ面66が形成される。工具用テーパ面66は、作業用工具の下端テーパ部131と面状に適合可能なテーパ面である。
押圧ベース63は、押圧ネジ64を、ハウジング2の上面に沿った方向に軸支する。押圧ネジ64の軸部は、リング状の弾性体65に挿入される。これにより、リング状の弾性体65は、押圧ベース63と押圧ネジ64の頭部との間に介在する。押圧ネジ64の軸部の先端は、先端ベース62に可動可能に支持される長尺の先端部材61の後端部分と当たる。押圧ネジ64は、回動操作されることにより、軸部の軸方向へ移動する。押圧ネジ64は、長尺の先端部材61を押すことができる。また、長尺の先端部材61を押すように回動した押圧ネジ64は、その頭部と押圧ベース63との間に介在するリング状の弾性体65を圧縮変形させる。圧縮変形しているリング状の弾性体65は、押圧ネジ64を、回動操作後の位置に保持する。回動しないように保持される押圧ネジ64により押されることにより、長尺の先端部材61についての先端ベース62からの突出長さは、押圧ネジ64の回動操作量に応じた長さに維持され得る。
【0056】
補助アダプタ120は、
図10(B)に示すように、その環状の補助フランジ部122が環状の工具用溝部21に収容される。この状態で、複数の工具係合部材60の押圧ネジ64は回動操作されると、対向する複数の工具係合部材60の長尺の先端部材61が、工具用テーパ面66が補助フランジ部122と面状に接する。押圧ネジ64をさらに回動操作することにより、対向する2つの工具係合部材60の長尺の先端部材61は、それらの間に補助フランジ部122を挟む。また、押圧ネジ64の回転操作量を、対向する2つの工具係合部材60の間で揃えることにより、環状の工具用溝部21に収容されている環状の補助フランジ部122は、対向する2つの工具係合部材60により同等の力で押され、作業孔3と同心になる位置に位置決めされ得る。また、圧縮変形しているリング状の弾性体65により押圧ネジ64の回動量は、その後の本管100に分岐孔101を開けるための穿孔作業中に変動し難くなる。環状の補助フランジ部122は、作業孔3と同心となる位置にしっかりと保持され得る。
【0057】
このように本実施形態では、シャッタ装置1は、ハウジング2の上面において作業孔3の周囲に同心で設けられ、本管100に分岐孔101を開ける作業で使用する補助アダプタ120といった作業用工具の下端テーパ部131を収容可能な環状の工具用溝部21と、工具用溝部21の周囲に設けられ、作業用工具の下端テーパ部131と面状に適合可能な工具用テーパ面66を有する2つの工具係合部材60と、を有する。そして、2つの工具係合部材60は、作業孔3の中心について線対称となる配置で工具用溝部21の周囲に設けられる。これにより、作業用工具は、その下端テーパ部131が環状の工具用溝部21に入り、複数の工具係合部材60が締め付けられることにより、作業孔3と同心となる状態でシャッタ装置1に取り付けられ得る。シャッタ装置1の作業孔3は、分岐継手部材110のフランジ111と同心となり得る。その結果、作業用工具は、分岐継手部材110のフランジ111と同心となる状態で、シャッタ装置1に取り付けることが可能となる。
なお、環状の工具用溝部21の周囲に設けられる工具係合部材60は、3つ以上の複数であってもよい。複数の工具係合部材60は、作業孔3の中心から等距離となる配置で、かつ作業孔3の周囲に分散させるように、工具用溝部21の周囲に設ければよい。ただし、2つを1組とする場合、工具係合部材60は、偶数とするとよい。この場合、各組の2つの工具係合部材60は、作業孔3の中心について線対称に配置するとよい。
【0058】
図11は、
図1のシャッタ装置1に取付可能な作業用工具である穿孔機130の一例の説明図である。
図11の穿孔機130は、下端テーパ部131を有する。穿孔機130は、補助アダプタ120と同様に、下端テーパ部131が2つの工具係合部材60に挟まれることにより、シャッタ装置1のハウジング2の上にしっかりと取り付けられ得る。シャッタ装置1のハウジング2の上に取り付けられた穿孔機130は、不図示のホールソーを、シャッタ装置1および分岐継手部材110のフランジ111を通じて、
図9のように分岐継手部材110が取り付けられた本管100へ向けて進行させることにより、本管100の側面に分岐孔101を開設することができる。ホールソーは、基本的に本管100の側面から切り離した切片などを、その内部に保持できる。ただし、切粉の一部は、ホールソーから脱落することがある。
【0059】
図12は、
図1のシャッタ装置1に取付可能な作業用工具である切粉取りユニット140の一例の説明図である。
図12の切粉取りユニット140は、
図10の補助アダプタ120の上に取り付けられる透明ディスクプレート141と、透明ディスクプレート141の中央貫通孔を通じて操作可能な操作棒142と、操作棒142の先端に設けられる集塵マグネット143と、を有する。
図12の切粉取りユニット140は、補助アダプタ120とともに、シャッタ装置1のハウジング2の上にしっかりと取り付けられ得る。シャッタ装置1のハウジング2の上に取り付けられた切粉取りユニット140は、操作棒142を操作することにより、ホールソーから脱落した切粉などを、集塵マグネット143に吸着させて取り除くことができる。
【0060】
図13は、
図1のシャッタ装置1に取付可能な作業用工具であるプラグ止めアダプタ150の一例の説明図である。
図13のプラグ止めアダプタ150は、
図10の補助アダプタ120の上に取り付けられる透明ディスクプレート151と、透明ディスクプレート151の中央貫通孔を通じて操作可能な保持棒152と、を有する。保持棒152は、その先端に、分岐継手部材110のフランジ111に取り付けるプラグ160を保持できる。
図13のプラグ止めアダプタ150は、補助アダプタ120とともに、シャッタ装置1のハウジング2の上にしっかりと取り付けられ得る。シャッタ装置1のハウジング2の上に取り付けられたプラグ止めアダプタ150は、保持棒152を回転操作することにより、保持棒152の先端に取り付けたプラグ160を、分岐継手部材110のフランジ111に取り付けることができる。プラグ160で栓をすることにより、本管100の側面に形成された分岐孔101から漏れ出るガスといった流体は、分岐継手部材110のフランジ111の内部に留まることになり、外へ漏れ出なくなる。
【0061】
図14は、
図1のシャッタ装置1を用いた穿孔方法の一例としての、鋳鉄管活管分岐工法の手順の説明図である。
作業者は、ガスが流れている鋳鉄管に分岐管を連結する場合、たとえば
図14の鋳鉄管活管分岐工法において
図1のシャッタ装置1を用いて、鋳鉄管(本管100)に流れるガスを外へ漏らさないようにしながら、鋳鉄管に分岐継手部材110への分岐孔101を形成できる。
【0062】
ステップST1において、作業者は、
図9に示すように、鋳鉄管(本管100)に分岐継手部材110を取り付ける。分岐継手部材110には、さらに分岐管が連結されてよい。
ステップST2において、作業者は、
図9に示すように、環状のクランプ部材50を締めて、シャッタ装置1を、分岐継手部材110のフランジ111の上に取り付ける。シャッタ装置1は、シャッタ装置1の作業孔3が分岐継手部材110のフランジ111と重なるように、分岐継手部材110のフランジ111に取り付けられる。
【0063】
ステップST3において、作業者は、
図11の穿孔機130を、
図10の補助アダプタ120と同様に、シャッタ装置1の上に取り付ける。作業者は、レンチなどを用いて2つの工具係合部材60の押圧ネジ64を所定のトルクで回動させて、穿孔機130をシャッタ装置1の上に固定する。作業用工具としての穿孔機130は、シャッタ装置1の第一シャッタ板70および第二シャッタ板80を後退させて作業孔3を開いた状態で、分岐継手部材110のフランジ111に取り付けられているシャッタ装置1に取り付けられる。
その後、作業者は、穿孔機130を用いて、鋳鉄管に分岐孔101を穿孔する。作業者は、シャッタ装置1の第一シャッタ板70および第二シャッタ板80を作業孔3から後退させて作業孔3を開いた状態で作業用工具としての穿孔機130を用いて、シャッタ装置1の作業孔3を通じて鋳鉄管に分岐孔101を開ける。
この穿孔作業に先立って、作業者は、
図8の開操作に示すように、レンチなどを用いてシャッタ装置1の操作軸19を回転操作して、第一シャッタ板70と第二シャッタ板80を作業孔3から退避させて、シャッタ装置1の作業孔3を開いてよい。
【0064】
ステップST4において、作業者は、作業者は、シャッタ装置1から、穿孔機130を取り外す。穿孔機130の取外しに先立って、作業者は、
図7の閉操作に示すように、レンチなどを用いてシャッタ装置1の操作軸19を回転操作して、第一シャッタ板70と第二シャッタ板80を作業孔3へ進行させて、シャッタ装置1の作業孔3を閉じる。これにより、鋳鉄管のガスが分岐孔101から鋳鉄管の外へ出ても、鋳鉄管の外へ出たガスは、シャッタ装置1によりフランジ111が塞がれている分岐継手部材110の内部に留まる。外へは漏れ出ない。
【0065】
ステップST5において、作業者は、
図10に示すように、補助アダプタ120を、シャッタ装置1の上に取り付ける。
ステップST6において、作業者は、補助アダプタ120の上に、
図12の切粉取りユニット140を取り付ける。作業用工具としての補助アダプタ120および切粉取りユニット140は、作業孔3を閉じた状態で分岐継手部材110のフランジ111に取り付けられているシャッタ装置1に取り付けられる。
その後、作業者は、シャッタ装置1の第一シャッタ板70および第二シャッタ板80を後退させて作業孔3を開いた状態で、切粉取りユニット140を用いて切粉を、取り除く。
ステップST7において、作業者は、作業孔3を閉じているシャッタ装置1から、切粉取りユニット140を取り外す。切粉取りユニット140の取外しに先立って、作業者は、
図7の閉操作に示すように、レンチなどを用いてシャッタ装置1の操作軸19を回転操作して、第一シャッタ板70と第二シャッタ板80を作業孔3へ進行させて、シャッタ装置1の作業孔3を閉じる。これにより、鋳鉄管のガスが分岐孔101から鋳鉄管の外へ出ても、鋳鉄管の外へ出たガスは、シャッタ装置1によりフランジ111が塞がれている分岐継手部材110の内部に留まる。外へは漏れ出ない。
【0066】
ステップST8において、作業者は、プラグ160を保持している
図13のプラグ止めアダプタ150を、シャッタ装置1の上に取り付ける。作業用工具としての補助アダプタ120およびプラグ止めアダプタ150は、作業孔3を閉じた状態で分岐継手部材110のフランジ111に取り付けられているシャッタ装置1に取り付けられる。
ステップST9において、作業者は、シャッタ装置1の第一シャッタ板70および第二シャッタ板80を後退させて作業孔3を開いた状態で、プラグ止めアダプタ150を操作して、プラグ止めアダプタ150に保持されているプラグ160を、
図9に示す分岐継手部材110のフランジ111に仮止めする。
ステップST10において、作業者は、作業孔3を閉じているシャッタ装置1から、補助アダプタ120を取り外す。これにより、シャッタ装置1の作業孔3を先に閉じている状態で補助アダプタ120を安全に取り外すことができる。
【0067】
ステップST11において、作業者は、環状のクランプ部材50を緩めて、
図9(A)に示すように分岐継手部材110のフランジ111から、シャッタ装置1を取り外す。
ステップST12において、作業者は、レンチなどを用いて、露出している分岐継手部材110のフランジ111に対して、仮止めされているプラグ160を本締めする。
【0068】
このような穿孔作業により、作業者は、鋳鉄管(本管100)に分岐継手部材110を取り付け、シャッタ装置1とともに複数の作業用工具を用いて鋳鉄管に分岐継手部材110と通じる分岐孔101を開けることができる。作業者は、ガスが流れている鋳鉄管(本管100)に分岐管を連結することができる。
【0069】
以上のように、本実施形態では、作業孔3を塞ぐためのシャッタ装置1には、シャッタ板が、1枚ではなく、第一シャッタ板70と第二シャッタ板80との複数枚で設けられる。複数枚のシャッタ板70,80は、各々が単独では作業孔3を塞ぐことができない幅に形成されているが、作業孔3において互いにずれて広がることにより作業孔3の全体を塞ぐことができる。
しかも、複数枚のシャッタ板70,80は、ハウジング2において作業孔3と交差するように連通する格納室11において、重ねて収容される。これにより、本実施形態では、各シャッタ板のサイズ(幅)を小さくして、作業孔3を1枚のシャッタ板で塞ぐ場合と比べてシャッタ装置1のハウジング2に形成する格納室11のサイズ(幅)を小さくできる。シャッタ装置1のハウジング2は、分岐継手部材110のフランジ111に取り付けられた状態において、
図9に示すように、格納室11のサイズに応じたハウジング2のサイズにより、分岐継手部材110または本管100から横方向へ張り出す。分岐継手部材110が取り付けられる既設のガス管といった本管100が地中などに埋設されている場合、作業者は、本管100または分岐継手部材110の周囲だけでなく、分岐継手部材110の横方向へも広げて作業穴を設けなければならない。本実施形態では、作業孔3を1枚のシャッタ板で塞ぐ場合と比べてハウジング2のサイズを抑制してその横方向への張り出しを抑えているので、地面にあける作業穴を小さくできる。
また、本実施形態では、ハウジング2のサイズを抑制できるため、シャッタ装置1の大型化だけでなく重量化を抑制できる。閉じたシャッタ装置1に対して既設の本管100にあるガスといった流体による外気より高い圧力が作用しても、その圧力に耐えられるようにシャッタ装置1を厚い金属板などを用いて高剛性に形成するとしても、シャッタ装置1の重量化を抑制できる。シャッタ装置1を運搬したり脱着したりする作業において、作業者への負担が軽減される。
その結果、本実施形態では、シャッタ装置1のハウジング2を小さくして、シャッタ装置1の大型化を抑制でき、しかも、本管100に分岐継手部材110を設けるために本管100に分岐孔101を開ける作業についての作業性を改善することができる。
このように本実施形態では、シャッタ装置1を用いて本管100に対して分岐継手部材110を設ける際の作業性を改善することができる。
【0070】
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【符号の説明】
【0071】
1…シャッタ装置、2…ハウジング、3…作業孔、
10…ロアーハウジング、11…格納室、12…可動エリア、13…格納エリア、15…ストッパ部、16…側面、17…スリット、18…支持軸、19…操作軸、
20…アッパハウジング、21…工具用溝部、
40…フランジ部材、41…フランジ部、42…外周陵部、43…継手用溝部、44…被クランプ側上テーパ面、45…被クランプ側下テーパ面、
50…クランプ部材、51…第一湾曲部材、52…第二湾曲部材、53…ヒンジ、54…連結機構、55…クランプ側上テーパ面、56…クランプ側下テーパ面、
60…工具係合部材、61…先端部材、62…先端ベース、63…押圧ベース、64…押圧ネジ、65…弾性体、66…工具用テーパ面、
70…第一シャッタ板、71…駆動側進行凸部、
80…第二シャッタ板、81…従動側進行凸部、82…従動側後退凸部、
90…上樹脂プレート、91…下樹脂プレート、
100…本管(配管)、101…分岐孔、
110…分岐継手部材、111…フランジ、112…上端テーパ部、
120…補助アダプタ、121…筒部、122…補助フランジ部、123…補助テーパ部、
130…穿孔機、131…下端テーパ部、
140…切粉取りユニット、141…透明ディスクプレート、142…操作棒、143…集塵マグネット、
150…プラグ止めアダプタ、151…透明ディスクプレート、152…保持棒、
160…プラグ