(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131739
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】加湿器
(51)【国際特許分類】
F24F 6/06 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
F24F6/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042179
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】笹川 亜也果
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕悦
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 敦史
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055BA04
(57)【要約】
【課題】乾燥運転後に気化フィルタが再び濡れることを防止する加湿器を提供する。
【解決手段】ジョイント20の外周には気化フィルタ9が水面と略平行となったときに上向き及び下向きとなる凸部50b及び50aを設け、水槽2の枠2aにジョイント20の凸部50b及び50aが係合する凹部51aを設け、ジョイント20から回転軸25が離脱したとき、ジョイント20の凸部50b及び50aと枠2aの凹部51aが係合するようにしたので、乾燥運転後に水槽2を引き出すことで、ジョイント20から回転軸25が離脱した際に、気化フィルタ9が回転して再び水に濡れることを防止する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体と、
水を貯水する水槽と、
当該器具本体内に設置され空気を送風する送風ファンと、
前記器具本体外の空気を取り入れる吸込口と、
当該吸込口を通過した空気が流通する送風経路と、
当該送風経路中に設けられ、前記水槽の水に下部が浸漬し回転駆動が可能な気化フィルタと、
当該気化フィルタを所定の回転速度で回転駆動するターンモータと、
前記気化フィルタで発生した加湿空気を前記器具本体外へ送風する吹出口と、
前記気化フィルタの回転中心にあり、前記ターンモータの回転軸と着脱可能に軸支されるジョイントと、
前記送風ファン及び前記ターンモータの運転を制御する制御部と、を備え、
前記ジョイントの外周には前記気化フィルタが水面と略平行となったときに下向きとなる凸部又は凹部を設け、
前記水槽の枠に前記ジョイントの凸部又は凹部が係合する凹部又は凸部を設け、
前記ジョイントから前記回転軸が離脱したとき、前記ジョイントの凸部又は凹部と前記枠の凹部又は凸部が係合することを特徴とする加湿器。
【請求項2】
前記枠の凹部又は凸部が底部となるように前記枠が傾斜した誘導部を設け、前記ジョイントと前記枠が係合する際に前記誘導部によって誘導されることを特徴とする請求項1に記載の加湿器。
【請求項3】
前記ジョイントの外周上又は前記誘導部に突起を設け、前記ジョイントと前記枠が係合する際に前記誘導部又は前記ジョイントの外周に前記突起が当接することを特徴とする請求項2に記載の加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、気化式の加湿器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、加湿運転を停止し、気化フィルタを乾燥運転する際に、気化フィルタを回転自在とし、水槽部の水面と略平行となるよう横向きになったとき、回転を停止して乾燥運転を行う加湿器があった。(例えば、特許文献1)
【0003】
特許文献1では、乾燥運転中は気化フィルタの回転中心にある歯車及びジョイントを、ギヤモータの回転軸で軸支している。乾燥運転終了後は、気化フィルタは水面と略平行となったまま停止して、ギヤモータの回転軸で回転しないよう保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、乾燥運転終了後に気化フィルタが水面と略平行になった状態で、本体から水槽を引き出すと、歯車及びジョイントとギヤモータの回転軸が分離して、軸支されていた歯車及びジョイントは水槽部で支えられる。このとき、歯車及びジョイントを介して気化フィルタを支えていた回転軸が外れることで、気化フィルタは容易に回転可能となるので、引き出す際の振動や気化フィルタの傾き等により気化フィルタが回転し、乾燥させた気化フィルタが再び着水して濡れてしまう虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1の加湿器では、器具本体と、水を貯水する水槽と、当該器具本体内に設置され空気を送風する送風ファンと、前記器具本体外の空気を取り入れる吸込口と、当該吸込口を通過した空気が流通する送風経路と、当該送風経路中に設けられ、前記水槽の水に下部が浸漬し回転駆動が可能な気化フィルタと、当該気化フィルタを所定の回転速度で回転駆動するターンモータと、前記気化フィルタで発生した加湿空気を前記器具本体外へ送風する吹出口と、前記気化フィルタの回転中心にあり、前記ターンモータの回転軸と着脱可能に軸支されるジョイントと、前記送風ファン及び前記ターンモータの運転を制御する制御部と、を備え、前記ジョイントの外周には前記気化フィルタが水面と略平行となったときに下向きとなる凸部又は凹部を設け、前記水槽の枠に前記ジョイントの凸部又は凹部が係合する凹部又は凸部を設け、前記ジョイントから前記回転軸が離脱したとき、前記ジョイントの凸部又は凹部と前記枠の凹部又は凸部が係合することを特徴としている。
【0007】
また、請求項2の加湿器では、前記枠の凹部又は凸部が底部となるように前記枠が傾斜した誘導部を設け、前記ジョイントと前記枠が係合する際に前記誘導部によって誘導されることを特徴としている。
【0008】
また、請求項3の加湿器では、前記ジョイントの外周上又は前記誘導部に突起を設け、前記ジョイントと前記枠が係合する際に前記誘導部又は前記ジョイントの外周に前記突起が当接することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、ジョイントの外周には気化フィルタが水面と略平行となったときに上向き及び下向きとなる凸部又は凹部を設け、水槽の枠にジョイントの凸部又は凹部が係合する凹部又は凸部を設け、ジョイントから回転軸が離脱したとき、ジョイントの凸部又は凹部と枠の凹部又は凸部が係合するようにしたので、乾燥運転後に水槽を引き出すことで、ジョイントから回転軸が離脱した際に、気化フィルタが回転して水に濡れることを防止する。
【0010】
また、水槽の枠の凹部又は凸部が底部となるように枠が傾斜した誘導部を設け、ジョイントと枠が係合する際に誘導部によって誘導されるようにしたので、ジョイントの凸部又は凹部と枠の凹部又は凸部がスムーズに係合することができる。
【0011】
また、ジョイントの外周上又は誘導部に突起を設け、ジョイントと水槽の枠が係合する際に誘導部又はジョイントの外周に突起が当接するようにしたので、水槽を持ち運ぶ際の振動や揺れでジョイントと枠の係合が外れることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の一実施形態の外観を説明する斜視図
【
図2】同実施形態の加湿運転時における背面側断面図
【
図3】同実施形態の乾燥運転時における背面側断面図
【
図4】同実施形態における水槽及び加湿フィルタを説明する図
【
図5】同実施形態における気化フィルタの回転伝達部分の断面図
【
図6】同実施形態における気化フィルタの回転伝達部分の正面図
【
図8】ジョイントと水槽の枠が係合していない状態、及び係合した状態を説明する断面図
【
図9】ジョイントと水槽の枠が係合していない状態、及び係合した状態を説明する断面図
【
図10】ジョイントと水槽の枠が係合していない状態、及び係合した状態を説明する断面図
【
図11】ジョイントと水槽の枠が係合していない状態、及び係合した状態を説明する断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、この発明の一実施形態における加湿器を図に基づいて説明する。
【0014】
以下の説明において、「前(前面)」、「後(背面)」、「上」、「下」、「右」、及び「左」は、
図1~
図11における定義に従う。また、上下方向は、器具本体1の設置時における鉛直方向に対応する。前後方向及び左右方向は、器具本体1の設置時における水平方向に対応する。
【0015】
1は加湿器の器具本体、2は器具本体1内の下部に設けられた水槽で、カートリッジ式の給水タンク3によって給水される。前記給水タンク3は、器具本体1の上面から器具本体1内に挿入され、水槽2上に載置されて当該水槽2内に一定量の水を供給する。4は室内の乾燥した空気(乾燥空気)を器具本体1内に取り入れる吸込口で、器具本体1の側面部に開口している。5は室内に湿った空気(加湿空気)を送る吹出口で、器具本体1の上面に開口している。6は吸込口4から吹出口5に至る送風経路12中に設置されたシロッコファン等からなる送風ファン、7は送風ファン6を駆動するモータである。送風ファン6の下流側には、空気を加熱するヒータ8と、吸水性の良いシート状の素材をプリーツ折りした縦長方形の気化フィルタ9が設置される。当該気化フィルタ9は回転自在に取り付けられ、その両端は交互に水槽2内の水に浸漬されており、毛細管現象にて水を全面に行き渡るように吸い上げる。
【0016】
送風ファン6によって吸込口4から取り入れた室内の乾燥空気は、ヒータ8を通過後、水槽2の水により湿潤した気化フィルタ9を通過することで加湿空気となって、吹出口5から室内へ送出する。12は送風ファン6で送風された空気が器具本体1内を流通する送風経路である。
【0017】
13は送風ファン6の外周を囲うように設置されるファンケーシングである。吸込口4から送風ファン6の中央部に吸い込まれた空気は、送風ファン6の外周より遠心状に送風し、ファンケーシング13内の渦巻き状の風路(図示せず)を送風ファン6の回転方向に沿って流通し、下流側となる送風経路12へ送出される。
【0018】
14は気化フィルタ9の上部を囲うように設置されるフィルタケーシングである。フィルタケーシング14はファンケーシング13と一体に成形されている。
【0019】
15は不織布等のシート状の濾材で構成されたHEPAフィルタ等からなるエアフィルタであり、吸込口4から取り入れる空気に対し、微細な塵埃やPM2.5等の微小粒子を捕集して空気清浄を行い、吸込口4に形成された取り付け部(図示せず)に対して自在に装着、及び脱着が可能である。
【0020】
水槽2は、給水タンク3によって給水される給水部10と、気化フィルタ9が設置される気化フィルタ設置部11が並べて配置され、両者は樹脂により一体に成形されており、共に底部の連通口32を介して連通し、同一レベルの水を貯水する。そして、この水槽2は器具本体1の背面から引き出し用取っ手16を引くことで取り出し可能となっている。
【0021】
17は気化フィルタ9の周囲を覆って当該気化フィルタ9を収納する枠体である。枠体17には上下及び左右の略中間に回転用の支点18とジョイント20が同軸上に一体に設けられている。
【0022】
24は気化フィルタ9を回転させるためのターンモータであり、ジョイント20と対向した器具本体1の前面内部に設けられている。ターンモータ24の回転軸25がジョイント20に嵌合することで、ジョイント20は回転軸25により着脱可能に軸支されている。これにより、ターンモータ24を駆動することでジョイント20を回転させ、支点18及びジョイント20を回転中心として気化フィルタ9を回転させることができる。
【0023】
19は水槽2に設けられた支点受け部であり、気化フィルタ9の回転に伴い回転する支点18の軸受け部となっている。
【0024】
ジョイント20の下方には、水槽2の枠2aが配置されている。ジョイント20が回転軸25に軸支されているときは、枠2aとジョイント20は接触していないが、ジョイント20から回転軸25が離脱したときは、ジョイント20は自重で下方へ移動し、枠2aに載置して支えられる。
【0025】
26は一端が枢支されたレバーで、先端下面をジョイント20に設けられたカム27に対面させ、上面略中央部を位置検知スイッチ28に対面させている。ターンモータ24を駆動し気化フィルタ9を回転させるとき、カム27がレバー26を押し上げて位置検知スイッチ28をオンした際に、気化フィルタ9を指定の位置に停止するようにターンモータ24を制御する。
【0026】
29は給水タンク3の蓋となる給水口キャップである。給水口キャップ29には、図示しない弁機構が設けられており、図示しない圧縮バネによって常時閉弁となるよう規制されている。給水タンク3が給水部10にセット(収納)されることで、給水部10に固定された突起部30の上端が、前記弁機構の底面に当接し弁が押し上げられることで開弁状態となり、給水タンク3から給水部10に給水される。
【0027】
31は給水部10内に設けられ、給水部10及び気化フィルタ設置部11に一定水位以上の貯水があるとき、水位有りを検知し、水位検知信号を出力するフロートセンサである。33は器具本体1が設置された室内の湿度を検知する湿度センサである。
【0028】
34は複数のスイッチが備えられ各種操作指令を行う操作部である。操作部34には、加湿運転の開始及び停止を指示する運転スイッチと、湿度の設定を行うスイッチと、加湿運転の強弱を設定する運転切替スイッチと、気化フィルタ9を乾燥する乾燥運転を開始する乾燥スイッチと、等が備えられている。
【0029】
また、操作部34には各スイッチに対応したランプが備えられており、運転スイッチが操作されたら点灯する運転ランプと、設定湿度を表示するランプと、運転切替スイッチで切り替えた運転状態を表示するランプと、等が備えられている。
【0030】
35はフロートセンサ31や湿度センサ33の各センサで検知された検知値や、操作部34上に備えられた各スイッチでの設定内容に基づき、運転内容を制御するマイコンで構成された制御部である。当該制御部35には、送風ファン6を所定の回転数で駆動させる送風ファン制御手段40と、ヒータ8のON/OFF状態を変化させるヒータ制御手段41と、気化フィルタ9を回転させるターンモータ24の動作を制御するターンモータ制御手段42と、特定の動作開始時から経過した時間をカウントする計時手段としてのタイマー43と、が備えられている。
【0031】
次に、本発明の一実施形態での運転開始から終了までの動作について説明する。
【0032】
加湿器を運転する際に、給水タンク3に水を入れ水槽2に設置することにより、水槽2には給水タンク3より一定量の水が流れ出し、縦長に設置された気化フィルタ9の下端部を浸漬する。これにより、気化フィルタ9は水を吸い上げ湿潤する。
【0033】
このとき、操作部34の運転スイッチが操作されると、制御部35は送風ファン6を駆動し、吸込口4から室内の乾燥空気を吸い込む。送風ファン6により送出された乾燥空気は、送風経路12に設けたヒータ8により加熱される。そして、加熱された乾燥空気は
図2に示すように、一端を水槽2に水没させることで湿潤した気化フィルタ9を通過し、気化フィルタ9内の水を気化させて加湿空気となり、吹出口5から室内に放出される。
【0034】
また、気化フィルタ9の下端が水没した状態で運転を開始すると同時に、制御部35内のタイマー43により所定の時間をカウントする。所定時間が経過したら気化フィルタ9を略180度回転させ、水没していなかった他端が水没する状態で停止する。そして再び気化フィルタ9は水を吸い上げ湿潤し、気化フィルタ9を通過した空気が水を気化させながら加湿空気となり送出される。
【0035】
以後、この動作を繰り返して加湿運転を継続する。このとき、気化フィルタ9の回転方向は正回転でも逆回転でも良い。
【0036】
加湿終了後は、気化フィルタ9を
図2の状態から略90度回転して、
図3に示すようにその全体を水槽2の水面と略水平状態になるように水面上で保持する。そして制御部35内のタイマー43により所定の時間をカウントし、その間、送風経路12に設けたヒータ8によって加熱された空気により気化フィルタ9を乾燥する乾燥運転を行う。
【0037】
乾燥運転終了後、気化フィルタ9及び水槽2を器具本体1から取り出して清掃等をする場合には、器具本体1の引き出し用取っ手16から
図1に示す矢印の向きに取り出せばよい。また
図4に示すように、気化フィルタ9及び水槽2は着脱可能となっているため、気化フィルタ9を取り出し後、水槽2を清掃することができる。
【0038】
次に、本発明の一実施形態における、ジョイント20の凸部又は凹部と枠2aの凹部又は凸部の構造と、これらが互いに係合することで生じる作用効果について、
図8及び
図9に基づいて説明する。
【0039】
図8は、
図5におけるA-A断面図を示す。
図8(a)は、水槽2の枠2aとジョイント20が接触していない状態、即ちジョイント20がターンモータ24の回転軸25に軸支されている状態におけるジョイント20の正面視した断面図である。一方、
図8(b)は、枠2aとジョイント20が接触している状態、即ちジョイント20から回転軸25が離脱した状態におけるジョイント20の断面図である。なお、
図9~
図11についても同様である。
【0040】
図8(a)において、気化フィルタ9は水槽2の水面と略水平となっている状態、即ち気化フィルタ9を乾燥する乾燥運転時の姿勢とする。このとき、ジョイント20において水槽2の枠2aと対向する部分、つまりジョイント20が回転軸25から離脱した際に枠2aと接触する部分に、鉛直下向きに凸となる凸部50aを設ける。更に、ジョイント20において凸部50aと略180度異なる向きに、鉛直上向きに凸となる凸部50bを設ける。また、枠2aにおいてジョイント20が回転軸25から離脱した際に枠2aと接触する部分に、鉛直下向きに凹となる凹部51aを設ける。なお、凸部50a及び50bは、ジョイント20の外周上であり、カム27とは軸方向(前後方向)にずれた位置、かつ枠2aの上方となる位置に設けられる。
【0041】
ここで、水槽2を器具本体1から取り出した場合、ジョイント20から回転軸25が離脱し、枠2aとジョイント20は接触するが、ジョイント20の凸部50aと枠2aの凹部51aが係合することで、ジョイント20及び気化フィルタ9が回転しないよう規制される。これにより、水槽を持ち運ぶ際の振動や揺れ等によって気化フィルタ9が回転又は移動して、水槽2の水に再び濡れることを防止することができる。なお、凸部50aと凹部51aは互いに係合できるような形状とする。また、気化フィルタ9が前述の乾燥運転の姿勢とは上下逆向きであった場合は、ジョイント20の凸部50bが下向きとなるため、ジョイント20の凸部と枠2aの凹部が結合する際は、凸部50bと凹部51aが互いに係合して気化フィルタ9が回転又は移動しないよう規制される。
【0042】
また、ジョイント20の凸部と枠2aの凹部の関係が逆の場合も、同様な作用効果を得ることができる。
図9(a)及び(b)は、
図8(a)及び(b)に対して、ジョイント20の凸部50a及び50bを凹部60a及び60b、枠2aの凹部51aを凸部61aとした場合を示す。
図9(a)及び(b)に示すように、ジョイント20に凹部60a及び60bを設け、枠2aに凸部61aを設けた場合においても、乾燥運転終了後にジョイント20から回転軸25が離脱した際は、ジョイントの凹部60b又は60bと枠2aの凸部61aが互いに係合して気化フィルタ9が回転又は移動しないよう規制される。
【0043】
次に、本発明の一実施形態における、枠2aに設けた誘導部による作用効果について、
図8及び
図9に基づいて説明する。
【0044】
ジョイント20から回転軸25が離脱したときは、前述した通りジョイント20の凸部又は凹部と枠2aの凹部又は凸部と係合するが、枠2aの形状が水平であった場合、対向するジョイント20が円柱形状であるため、両者の形状は一致しない。このため、ジョイント20と枠2aが係合する際に高い精度が求められる。つまり、気化フィルタ9が略平行となって停止する際の角度にばらつきが生じてしまうと、ジョイント20と枠2aが係合し難くなる。また、係合した状態においては、係合部のみでジョイント20及び気化フィルタ9の回転又は移動しないように規制することとなるため、強い振動や揺れにより係合部の規制を上回る力が加わった場合、ジョイント20と枠2aの係合が外れて、気化フィルタ9が回転又は移動する虞がある。
【0045】
そこで、
図8及び
図9に示すように、枠2aの凹部51a又は凸部61aが底部となるように、ジョイント20の左右の枠2aに傾斜した誘導部52を設ける。これにより、ジョイント20から回転軸25が離脱してジョイント20が自重で下方へ移動する際に、誘導部52がジョイント20と枠2aが係合するように案内し誘導するので、確実にジョイント20の凸部又は凹部と枠2aの凹部又は凸部が係合することができる。また、気化フィルタ9が略平行となって停止する際の角度に多少ばらつきがあっても、ジョイント20が枠2aの底部に誘導されることで凸部と凹部の位置が合い、容易に係合することができる。また、水槽2を持ち運ぶ際に強い振動や揺れが生じた場合でも、係合部に加えて誘導部52によってジョイント20が回転又は移動しないよう規制することができる。
【0046】
次に、本発明の一実施形態における、ジョイント20の外周上又は誘導部52に設けた突起による作用効果について、
図8~
図11に基づいて説明する。
【0047】
図8及び
図9に示すように、ジョイント20と枠2aの間は、ジョイント20が回転する際に枠2aと接触しないようにするため、ある程度隙間を設けている。このため、水槽2に強い振動や揺れが加わった場合、ジョイント20が前記隙間を動くことでジョイント20と枠2aの係合が外れて、気化フィルタ9が回転又は移動する虞がある。
【0048】
そこで、
図8に示すようにジョイント20の外周に突起53a及び53bを設けて、ジョイント20の凸部50aが枠2aの凹部51aに係合する際に、突起53a及び53bを誘導部52に当接させる。これにより、ジョイント20の回転や移動を、より規制することができる。つまり、ジョイント20と枠2aが係合した後、水槽2を持ち運ぶ際に強い振動や揺れが生じた場合でも、気化フィルタが回転又は移動しないよう規制することができる。なお、突起53a及び53bは、ジョイント20の外周上であり、カム27とは軸方向(前後方向)にずれた位置、枠2aの上方となる位置、かつ凸部50a及び50bとは異なる位置に設けられる。
【0049】
一方で、
図10のように誘導部52に突起63a及び63bを設けるようにしても、同様の作用効果を得ることができる。つまり、ジョイント20の凸部50aが枠2aの凹部51aに係合する際に、突起63a及び63bがジョイント20の外周に当接することで、前述と同様にジョイント20の回転や移動をより規制することができる。
【0050】
また、ジョイント20の凸部と枠2aの凹部の関係が逆の場合、即ちジョイント20に凹部60a及び60bを備え、枠2aに凸部61aを備えた場合でも、同様の作用効果を得ることができる。つまり、
図9(b)のように誘導部52に突起63aを設ける場合は、突起63aとジョイント20が当接し、
図11(b)のようにジョイント20に突起53aを設ける場合は、突起53aと誘導部52が当接して、ジョイント20及び気化フィルタ9の動きを規制する。
【0051】
なお、
図8~
図11の(a)では、ターンモータ24によってジョイント20及び気化フィルタ9が回転する状態であるが、このとき回転するジョイント20と固定された枠2aは、それぞれの凸部及び突起を含めて互いに接触しないように距離を確保して設定される。つまり、
図8(a)ではジョイント20の凸部50a、突起53a及び53bと枠2aとの間、
図9(a)ではジョイント20と枠2aの凸部61a、突起63a及び63bとの間、
図10(a)ではジョイント20の凸部50a及び50bと枠2aの突起63a及び63bの間、
図11(a)ではジョイント20の突起53a及び53bと枠2aの凸部61aの間、の距離を確保して設定される。
【0052】
また、
図8~
図11に示すジョイント20の断面形状は、ジョイント20の回転速度に偏りが生じないために略円形であることが望ましい。そのため、凸部や突起を除いた断面形状は円形としつつ、追加で設ける凸部や突起は気化フィルタ9が回転又は移動しないよう規制するために必要最小限の大きさ及び数量であることが望ましい。
【0053】
また、本発明の実施形態において、ジョイント20に設ける凸部又は凹部として、凸部50a又は凹部60に加えて、略180度異なる位置に凸部50b又は凹部60bを設けている。これは、気化フィルタ9が略水平となる際に下面と上面が上下逆となる場合があるため、いずれの状態においてもジョイント20と枠2aが係合するように設けている。しかし、気化フィルタ9が略水平となる際は、凸部50a又は凹部60が必ず下向きとなるように、ターンモータ制御手段42でターンモータ24の動作を制御することにより、ジョイント20に設ける凸部又は凹部は、凸部50a又は凹部60のみとしても良い。
【0054】
また、本実施形態で用いたその他の構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1 器具本体
2 水槽
2a 枠
4 吸込口
5 吹出口
6 送風ファン
9 気化フィルタ
12 送風経路
20 ジョイント
24 ターンモータ
25 回転軸
50a、50b 凸部
51a 凹部