(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131741
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】加熱調理システム、加熱調理器、および、携帯端末のためのアプリケーションプログラム
(51)【国際特許分類】
F24C 1/00 20060101AFI20240920BHJP
F24C 3/12 20060101ALI20240920BHJP
H05B 6/12 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F24C1/00 C
F24C3/12 E
H05B6/12 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042182
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴之
【テーマコード(参考)】
3K151
【Fターム(参考)】
3K151BA56
3K151CA61
3K151CA63
3K151CA72
3K151CA77
(57)【要約】
【課題】ユーザが加熱調理器から報知される加熱情報を認識できないと推測される状況において、加熱調理器の消費電力を低減することができる技術を開示する。
【解決手段】加熱調理システムは、加熱調理器と、加熱調理器と互いに通信可能な携帯端末と、携帯端末が加熱調理器の近傍に位置するか否かを判断する判断部と、を備える。加熱調理器は、被加熱物を加熱する加熱部と、加熱部に関する加熱情報を報知する調理器側報知部と、調理器側報知部の出力レベルを設定する調理器側レベル設定部と、を備える。調理器側レベル設定部は、携帯端末が加熱調理器の近傍に位置すると判断部が判断する場合に、調理器側報知部の出力レベルを第1の出力レベルに設定し、携帯端末が加熱調理器の近傍に位置しないと判断部が判断する場合に、調理器側報知部の出力レベルを第1の出力レベルよりも小さい第2の出力レベルに設定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理システムであって、
加熱調理器と、
前記加熱調理器と互いに通信可能な携帯端末と、
前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置するか否かを判断する判断部と、を備え、
前記加熱調理器は、
被加熱物を加熱する加熱部と、
前記加熱部に関する加熱情報を報知する調理器側報知部と、
前記調理器側報知部の出力レベルを設定する調理器側レベル設定部と、
を備え、
前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置すると前記判断部が判断する場合に、前記調理器側レベル設定部は、前記調理器側報知部の前記出力レベルを第1の出力レベルに設定し、
前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置しないと前記判断部が判断する場合に、前記調理器側レベル設定部は、前記調理器側報知部の前記出力レベルを前記第1の出力レベルよりも小さい第2の出力レベルに設定する、
加熱調理システム。
【請求項2】
さらに、前記加熱調理器と前記携帯端末との間の距離を推定可能な距離推定部を備え、
前記判断部は、
前記距離が所定の閾値よりも小さい場合に、前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置すると判断し、
前記距離が前記所定の閾値よりも大きい場合に、前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置しないと判断する、
請求項1に記載の加熱調理システム。
【請求項3】
前記加熱調理器と前記携帯端末とは、近距離通信を介して互いに通信可能であり、
前記距離推定部は、前記近距離通信の電波強度に基づいて、前記距離を推定する、
請求項2に記載の加熱調理システム。
【請求項4】
前記加熱調理器の電源は乾電池を含む、請求項1に記載の加熱調理システム。
【請求項5】
前記加熱調理器は、さらに、ユーザからの操作を受け付ける操作受付部をさらに備え、
前記調理器側レベル設定部は、前記操作受付部が前記ユーザから前記操作を受け付ける場合に、前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置するか否かにかかわらず、前記出力レベルを前記第1の出力レベルに設定する、
請求項1に記載の加熱調理システム。
【請求項6】
前記加熱調理器は、さらに、前記加熱情報を前記携帯端末に送信する加熱情報送信部を備え、
前記携帯端末は、
前記加熱調理器から受信した前記加熱情報を報知する端末側報知部と、
前記端末側報知部の出力レベルを設定する端末側レベル設定部と、
を備え、
前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置しないと前記判断部が判断する場合に、前記端末側レベル設定部は、前記端末側報知部の前記出力レベルを第3の出力レベルに設定し、
前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置すると前記判断部が判断する場合に、前記端末側レベル設定部は、前記端末側報知部の前記出力レベルを前記第3の出力レベルよりも小さい第4の出力レベルに設定する、
請求項1に記載の加熱調理システム。
【請求項7】
携帯端末と通信可能な加熱調理器であって、
前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍にあるか否かを判断する判断部と、
被加熱物を加熱する加熱部と、
前記加熱部に関する加熱情報を報知する調理器側報知部と、
前記調理器側報知部の出力レベルを設定する調理器側レベル設定部と、
を備え、
前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置すると前記判断部が判断する場合に、前記調理器側レベル設定部は、前記調理器側報知部の前記出力レベルを第1の出力レベルに設定し、
前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置しないと前記判断部が判断する場合に、前記調理器側レベル設定部は、前記調理器側報知部の前記出力レベルを前記第1の出力レベルよりも小さい第2の出力レベルに設定する、
加熱調理器。
【請求項8】
加熱調理器と互いに通信可能な携帯端末のためのアプリケーションプログラムであって、
前記加熱調理器は、
被加熱物を加熱する加熱部と、
前記加熱部に関する加熱情報を報知する調理器側報知部と、
前記調理器側報知部の出力レベルを設定する調理器側レベル設定部と、
を備え、
前記アプリケーションプログラムは、前記携帯端末のコンピュータを、前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍にあるか否かを判断する判断部として機能させ、
前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置すると前記判断部が判断する場合に、前記調理器側レベル設定部は、前記調理器側報知部の前記出力レベルを第1の出力レベルに設定し、
前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置しないと前記判断部が判断する場合に、前記調理器側レベル設定部は、前記調理器側報知部の前記出力レベルを前記第1の出力レベルよりも小さい第2の出力レベルに設定する、
アプリケーションプログラム。
【請求項9】
加熱調理器と互いに通信可能な携帯端末のためのアプリケーションプログラムであって、
前記加熱調理器は、
被加熱物を加熱する加熱部と、
前記加熱部に関する加熱情報を前記携帯端末に送信する加熱情報送信部と、
を備え、
前記アプリケーションプログラムは、前記携帯端末のコンピュータを、下記の各部、即ち、
前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍にあるか否かを判断する判断部と、
前記加熱調理器から受信した前記加熱情報を報知する端末側報知部と、
前記端末側報知部の出力レベルを設定する端末側レベル設定部と、
として機能させ、
前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置しないと前記判断部が判断する場合に、前記端末側レベル設定部は、前記端末側報知部の前記出力レベルを第3の出力レベルに設定し、
前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置すると前記判断部が判断する場合に、前記端末側レベル設定部は、前記端末側報知部の前記出力レベルを前記第3の出力レベルよりも小さい第4の出力レベルに設定する、
アプリケーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、加熱調理システム、加熱調理器、および、携帯端末のためのアプリケーションプログラムに関する。特に、加熱部に関する加熱情報を報知する加熱情報報知部を備える加熱調理器のための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の加熱調理システムでは、加熱調理器の加熱部に関する加熱情報が、加熱調理器のスピーカと携帯端末のスピーカとの双方によって報知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが加熱調理器の近傍に位置しない場合、ユーザは、加熱調理器が報知する運転情報を認識できない可能性がある。従来技術では、ユーザが加熱調理器から報知された運転情報を認識できない状況にある場合であっても、加熱調理器から運転情報が報知される。このため、加熱調理器の消費電力が不要に増加するおそれがある。本明細書では、従来技術に比べて、ユーザが加熱調理器から報知される加熱情報を認識できないと推測される状況において、加熱調理器の消費電力を低減することができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する加熱調理システムは、加熱調理器と、前記加熱調理器と互いに通信可能な携帯端末と、前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置するか否かを判断する判断部と、を備える。前記加熱調理器は、被加熱物を加熱する加熱部と、前記加熱部に関する加熱情報を報知する調理器側報知部と、前記調理器側報知部の出力レベルを設定する調理器側レベル設定部と、を備える。前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置すると前記判断部が判断する場合に、前記調理器側レベル設定部は、前記調理器側報知部の前記出力レベルを第1の出力レベルに設定し、前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置しないと前記判断部が判断する場合に、前記調理器側レベル設定部は、前記調理器側報知部の前記出力レベルを前記第1の出力レベルよりも小さい第2の出力レベルに設定する。
【0006】
携帯端末が加熱調理器の近傍に位置すると判断される場合、携帯端末を保持するユーザが加熱調理器の近傍に存在し、加熱調理器から報知される加熱情報をユーザが認識できると推測される。一方、携帯端末が加熱調理器の近傍に位置しないと判断される場合、携帯端末を保持するユーザが加熱調理器の近傍に存在せず、加熱情報をユーザが認識できないと推測される。上述した加熱調理システムは、ユーザが加熱情報を認識できると推測される場合に、第1の出力レベルで加熱情報を報知し、ユーザが加熱調理器の報知を認識できないと推測される場合に、第1の出力レベルよりも小さい第2の出力レベルで加熱情報を報知する。これにより、加熱調理システムは、ユーザが加熱調理器から報知される加熱情報を認識できないと推測される状況において、加熱調理器の消費電力を低減することができる。
【0007】
本技術の第2の態様では、加熱調理システムは、さらに、前記加熱調理器と前記携帯端末との間の距離を推定可能な距離推定部を備えてもよい。その場合、前記判断部は、前記距離が所定の閾値よりも小さい場合に、前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置すると判断してもよく、前記距離が前記所定の閾値よりも大きい場合に、前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置しないと判断してもよい。
【0008】
このような構成によると、加熱調理器と携帯端末との間の距離に基づいて、端末装置が加熱調理器の近傍に位置するか否かを正確に判断することができる。
【0009】
本技術の第3の態様では、前記加熱調理器と前記携帯端末とは、近距離通信(例えば、Bluetooth(登録商標)通信)を介して互いに通信可能であってもよい。その場合、前記距離推定部は、前記近距離通信の電波強度に基づいて、前記距離を推定してもよい。
【0010】
このような構成によると、近距離通信の電波強度に基づいて、加熱調理器と携帯端末との間の距離を比較的容易に推定することができる。
【0011】
本技術の第4の態様では、前記加熱調理器の電源は乾電池を含んでもよい。
【0012】
加熱調理器の電源が乾電池を含む構成では、消費電力が増加すると電池切れになる時期が早くなる。上記の構成では、ユーザが加熱調理器の近傍に位置していない場合に、消費電力を低減することができる。このため、本技術は、加熱調理器の電源が乾電池を含む構成において特に有効である。
【0013】
本技術の第5の態様では、前記加熱調理器は、さらに、ユーザからの操作を受け付ける操作受付部をさらに備えてもよい。その場合、前記調理器側レベル設定部は、前記操作受付部が前記ユーザから前記操作を受け付ける場合に、前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置するか否かにかかわらず、前記出力レベルを前記第1の出力レベルに設定してもよい。
【0014】
例えば、携帯端末を保持するユーザが加熱調理器の近傍に存在しない場合であっても、別のユーザが加熱調理器を操作することがある。このような構成によると、別のユーザから操作を受け付ける場合に、出力レベルが第1の出力レベルに設定される。これにより、加熱調理器の近傍に位置する別のユーザに対して、加熱情報を確実に認識させることができる。
【0015】
本技術の第6の態様では、前記加熱調理器は、さらに、前記加熱情報を前記携帯端末に送信する加熱情報送信部を備えてもよい。その場合、前記携帯端末は、前記加熱調理器から受信した前記加熱情報を報知する端末側報知部と、前記端末側報知部の出力レベルを設定する端末側レベル設定部と、を備えてもよい。さらに、前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置しないと前記判断部が判断する場合に、前記端末側レベル設定部は、前記端末側報知部の前記出力レベルを第3の出力レベルに設定してもよい。前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置すると前記判断部が判断する場合に、前記端末側レベル設定部は、前記端末側報知部の前記出力レベルを前記第3の出力レベルよりも小さい第4の出力レベルに設定してもよい。
【0016】
携帯端末が加熱調理器の近傍に位置せず、加熱調理器から報知される加熱情報をユーザが認識できないと推測される場合、携帯端末は、第3の出力レベルで加熱情報を報知することによって、ユーザに加熱情報を確実に認識させることができる。一方、携帯端末が加熱調理器の近傍に位置し、加熱調理器から報知されるユーザが加熱情報を認識できると推測される場合、携帯端末は、第3の出力レベルよりも小さい第4の出力レベルで加熱情報を報知することによって、携帯端末の消費電力を低減することができる。これにより、携帯端末の二次電池が電池切れになる時期を遅らせることができる。
【0017】
さらに、本明細書では、加熱調理器も開示する。加熱調理器は、携帯端末と通信可能である。加熱調理器は、前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍にあるか否かを判断する判断部と、被加熱物を加熱する加熱部と、前記加熱部に関する加熱情報を報知する調理器側報知部と、前記調理器側報知部の出力レベルを設定する調理器側レベル設定部と、を備える。前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置すると前記判断部が判断する場合に、前記調理器側レベル設定部は、前記調理器側報知部の前記出力レベルを第1の出力レベルに設定し、前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置しないと前記判断部が判断する場合に、前記調理器側レベル設定部は、前記調理器側報知部の前記出力レベルを前記第1の出力レベルよりも小さい第2の出力レベルに設定する。
【0018】
また、本明細書は、携帯端末のためのアプリケーションプログラムも開示する。携帯端末は、加熱調理器と互いに通信可能である。前記加熱調理器は、被加熱物を加熱する加熱部と、前記加熱部に関する加熱情報を報知する調理器側報知部と、前記調理器側報知部の出力レベルを設定する調理器側レベル設定部と、を備える。前記アプリケーションプログラムは、前記携帯端末のコンピュータを、前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍にあるか否かを判断する判断部として機能させる。前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置すると前記判断部が判断する場合に、前記調理器側レベル設定部は、前記調理器側報知部の前記出力レベルを第1の出力レベルに設定する。前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置しないと前記判断部が判断する場合に、前記調理器側レベル設定部は、前記調理器側報知部の前記出力レベルを前記第1の出力レベルよりも小さい第2の出力レベルに設定する。
【0019】
さらに、本明細書は、別の態様の携帯端末のためのアプリケーションプログラムも開示する。携帯端末は、加熱調理器と互いに通信可能である。前記加熱調理器は、被加熱物を加熱する加熱部と、前記加熱部に関する加熱情報を前記携帯端末に送信する加熱情報送信部と、を備える。前記アプリケーションプログラムは、前記携帯端末のコンピュータを、下記の各部、即ち、前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍にあるか否かを判断する判断部と、前記加熱調理器から受信した前記加熱情報を報知する端末側報知部と、前記端末側報知部の出力レベルを設定する端末側レベル設定部と、として機能させる。前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置しないと前記判断部が判断する場合に、前記端末側レベル設定部は、前記端末側報知部の前記出力レベルを第3の出力レベルに設定する。前記携帯端末が前記加熱調理器の近傍に位置すると前記判断部が判断する場合に、前記端末側レベル設定部は、前記端末側報知部の前記出力レベルを前記第3の出力レベルよりも小さい第4の出力レベルに設定する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施例の加熱調理システムの構成図を示す。
【
図2】第1実施例のコンロ側出力レベル設定処理のフロー図を示す。
【
図3】第1実施例の端末側出力レベル設定処理のフロー図を示す。
【
図4】第2実施例の端末側出力レベル設定処理のフロー図を示す。
【
図5】第2実施例のコンロ側出力レベル設定処理のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施例)
(加熱調理システム2の構成;
図1)
加熱調理システム2は、コンロ10と、携帯端末30と、を備える。加熱調理システム2は、ユーザの携帯端末30を利用して、コンロ10に自動調理を実行させるためのシステムである。
【0022】
(コンロ10の構成;
図1)
コンロ10は、ガス燃焼式のコンロである。コンロ10は、電源11と、BluetoothI/F12と、コンロバーナ13と、操作部14と、スピーカ15と、制御部16と、表示部20と、を備える。コンロバーナ13は、コンロ10の天板に設けられる加熱部である。コンロバーナ13は、例えば、五徳によってコンロバーナ13の上方に支持された鍋と、鍋に収容された食材を加熱する。
【0023】
電源11は、乾電池V1によって構成される。BluetoothI/F12は、Bluetooth方式に従った無線通信を実行するためのI/Fである。以下では、BluetoothI/Fを、「BTI/F」と簡単に記載し、Bluetooth方式に従った無線通信を、「BT通信」と簡単に記載する。
【0024】
操作部14は、コンロバーナ13の点火及び消火を行うとともに、コンロバーナ13の火力の調整を行うための操作部である。例えば、ユーザが操作部14を押すとコンロバーナ13が点火し、ユーザがもう一度操作部14を押すとコンロバーナ13が消火する。コンロバーナ13が燃焼している状態で、ユーザが操作部14を回すとコンロバーナ13の火力が増減する。スピーカ15は、コンロバーナ13の火力や加熱時間を含む加熱情報を含む音声を出力する。
【0025】
表示部20は、コンロバーナ13の火力や加熱時間を含む加熱情報を表示する。表示部20は、ディスプレイ22と、バックライト24と、を備える。ディスプレイ22は、例えば液晶ディスプレイである。バックライト24は、ディスプレイ22に表示される画面の背景を照明するための照明素子である。
【0026】
制御部16は、CPU(不図示)を備えるコンピュータである。制御部16は、記憶部18を備える。記憶部18は、不揮発性メモリであるROMと、揮発性メモリであるRAMと、を備える。記憶部18は、プログラムPg1と、距離閾値Dthと、照度レベルL1、L2と、を記憶する。プログラムPg1は、例えば、コンロバーナ13を利用して自動調理を実行するためのプログラムである。携帯端末30からレシピデータに基づいた自動調理の実行が指示された状態で、コンロバーナ13が点火されると、コンロ10の制御部16は、プログラムPg1に従って、レシピデータに基づいて、コンロバーナ13の火力を制御する。このように、制御部16は、自動調理を実行する。ここで、レシピデータは、各調理工程における、その調理工程での火力の強さを示す火力情報と、その調理工程の継続時間を示す時間情報と、を含む。記憶部18は、携帯端末30から受信したレシピデータを記憶可能である。
【0027】
制御部16は、プログラムPg1に従って、例えば、判断部19A、レベル設定部19B、距離推定部19C、加熱情報送信部19Dとして機能する。本実施例では、プログラムPg1は、コンロ10の出荷時に記憶部18に予め記憶されている。なお、変形例では、プログラムPg1は、コンロ10がユーザの住宅に設置された後に、例えば、コンロ10のベンダによってインターネット上に設置された管理サーバを介して事後的にコンロ10にダウンロードされて、記憶部18に記憶されてもよい。
【0028】
距離閾値Dthは、距離を表す値(例えば、5m)である。制御部16は、プログラムPg1に従って、記憶部18内に記憶される距離閾値Dthに基づいて、携帯端末30がコンロ10の近傍に位置するか否かを判断する。このように、プログラムPg1に従って、制御部16は、判断部19Aとして機能する。本実施例では、距離閾値Dthは、コンロ10の出荷時に記憶部18に予め記憶されている。距離閾値Dthは、ユーザによって事後的に変更可能である。
【0029】
照度レベルL1、L2は、表示部20のバックライト24の照度の高さ(すなわち、出力レベル)を示す値である。照度レベルL1は、照度レベルL2よりも大きい。すなわち、照度レベルL1で点灯するバックライト24は、照度レベルL2で点灯するバックライト24よりも明るい。制御部16は、プログラムPg1に従って、記憶部18内に記憶される照度レベルL1、L2に基づいて、バックライト24の出力レベルを設定する。このように、制御部16は、プログラムPg1に従って、レベル設定部19Bとして機能する。本実施例では、照度レベルL1、L2は、コンロ10の出荷時に記憶部18に予め記憶されている。照度レベルL1、L2は、ユーザによって事後的に変更可能である。
【0030】
コンロ10は、BTI/F12を介して、携帯端末30とBT通信を確立する。制御部16は、確立済みのBT通信の電波強度を利用して、コンロ10と携帯端末30との間の距離を推定する。一般に、電波強度は、コンロ10と携帯端末30との間の距離が短いほど強く、コンロ10と携帯端末30との間の距離が長いほど弱くなる。制御部16は、電波強度とコンロ10と携帯端末30との間の距離との相関関係を利用して、距離を推定する。ここで、電波強度は、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicatorの略)を利用して計測される。制御部16は、推定された距離を記憶部18に記憶する。このように、制御部16は、プログラムPg1に従って、距離推定部19Cとして機能する。
【0031】
さらに、制御部16は、確立済みのBT通信を利用して、実行中の自動調理におけるコンロバーナ13の火力や加熱時間を含む加熱情報を、携帯端末30に送信する。このように、制御部16は、プログラムPg1に従って、加熱情報送信部19Dとして機能する。
【0032】
(携帯端末30の構成;
図1)
携帯端末30は、ユーザによって所持される。携帯端末30は、典型的には、スマートフォンである。携帯端末30は、BTI/F32と、スピーカ35と、制御部36と、表示部40と、を備えている。BTI/F32は、上述したBT通信を実行するために利用される。表示部40は、いわゆるタッチパネルであり、ディスプレイ42と、バックライト44と、を備える。表示部40は、様々な情報を表示するとともに、様々なユーザ操作を受け付ける操作部としても機能する。なお、変形例では、携帯端末30は、例えば、携帯電話、PDA、タブレットPC等の他の可搬型の装置であってもよい。
【0033】
制御部36は、CPU(不図示)を備えるコンピュータであり、記憶部38を備える。記憶部38は、不揮発性メモリであるROMと揮発性メモリであるRAMとを備え、プログラムPg2と、照度レベルL3、L4と、を記憶する。プログラムPg2は、コンロ10を利用して自動調理を実行するためのプログラムである。制御部36は、プログラムPg2に従って、レシピデータを含む自動調理の実行指示をコンロ10に送信する。本実施例では、プログラムPg2は、例えば、上述した管理サーバからダウンロードされる。
【0034】
照度レベルL3、L4は、表示部40のバックライト44の照度の高さ(すなわち、出力レベル)を示す値である。照度レベルL3は、照度レベルL4よりも大きい。制御部36は、プログラムPg2に従って、記憶部38内に記憶される照度レベルL3、L4に基づいて、バックライト44の出力レベルを設定する。このように、制御部36は、プログラムPg2に従って、レベル設定部39Bとして機能する。本実施例では、照度レベルL3、L4は、例えば、上述した管理サーバからダウンロードされる。照度レベルL3、L4は、ユーザによって事後的に変更可能である。
【0035】
(コンロ側出力レベル設定処理;
図2)
図2を参照して、制御部16がプログラムPg1に従って実行するコンロ側出力レベル設定処理について説明する。コンロ側出力レベル設定処理は、コンロ10の表示部20のバックライト24の照度レベルを設定するための処理であり、携帯端末30からレシピデータを含む自動調理の実行指示を受信することをトリガとして実行される。
【0036】
まず、制御部16は、S2において、表示部20のバックライト24の照度レベルを照度レベルL1に設定する。
【0037】
次いで、制御部16は、S4において、コンロバーナ13の現在の加熱状況、加熱時間等に基づいて、加熱情報を生成する。
【0038】
次いで、制御部16は、S6において、生成した加熱情報を表示部20に表示する。具体的には、制御部16は、バックライト24を設定された照度レベルで点灯させる。先に述べたように、ユーザは、自動調理を開始する際、携帯端末30によって自動調理の実行指示をコンロ10に送信した後、コンロ10の操作部14を押すことによってコンロバーナ13を点火する。このため、コンロ10が自動調理の実行指示を受信するタイミングでは、ユーザは、コンロ10の近傍に位置すると推測される。コンロ10が自動調理の実行指示を受信するタイミングにおいて、バックライト24を照度レベルL1で点灯させることによって、コンロ10の近傍に位置すると推測されるユーザに対して、加熱情報を確実に認識させることができる。
【0039】
次いで、制御部16は、S8において、BT通信を利用して、加熱情報を携帯端末30に送信する。
【0040】
さらに、制御部16は、S10において、所定時間内に操作部14の操作があったか否かを判断する。所定時間内に操作部14の操作がある場合(S10でYES)、ユーザは、コンロ10の近傍に位置すると推測される。このため、制御部16は、所定時間内に操作部14の操作がある場合、S2に戻る。一方、所定時間内に操作部14の操作がない場合(S10でNO)、ユーザは、コンロ10の近傍に位置しない可能性がある。その場合、処理はS12に進む。
【0041】
制御部16は、S12において、携帯端末30とのBT通信におけるRSSIを取得する。
【0042】
さらに、制御部16は、S14において、S12で取得したRSSIを利用して、コンロ10と携帯端末30との間の距離D1を推定する。
【0043】
制御部16は、S20において、S14で推定した距離D1と記憶部18に記憶されている距離閾値Dth(
図1参照)とを比較する。制御部16は、距離D1が距離閾値Dthより小さい場合(S20でNO)、携帯端末30がコンロ10の近傍に位置すると判断する。この場合、処理はS40に進む。
【0044】
制御部16は、S40において、BT通信を利用して、低照度信号を携帯端末30に送信する。低照度信号は、携帯端末30のバックライト44の照度レベルを、照度レベルL3よりも小さい照度レベルL4に設定するための信号である。距離D1が距離閾値Dthよりも小さい場合(S20でNO)、ユーザは、コンロ10の近傍に位置すると推測される。この場合、ユーザは、コンロ10の表示部20に表示された加熱情報を認識することができる。制御部16は、ユーザがコンロ10の表示部20に表示された加熱情報を認識することができると推測される場合に、低照度信号を携帯端末30に送信し、携帯端末30のバックライト44を照度レベルL4で点灯させる。これにより、携帯端末30の消費電力を低減することができる。S40の処理が終了すると、制御部16は、S2に戻る。
【0045】
S20で、距離D1が距離閾値Dthよりも大きい場合(S20でYES)、制御部16は、携帯端末30はコンロ10の近傍に位置しないと判断する。この場合、処理はS22に進む。制御部16は、S22において、バックライト24の照度レベルを、照度レベルL2に変更する。これにより、バックライト24の照度が低下する。
【0046】
次いで、制御部16は、S24において、BT通信を利用して、高照度信号を携帯端末30に送信する。低照度信号は、携帯端末30のバックライト44の照度レベルを、照度レベルL4よりも大きい照度レベルL3に設定するための信号である。距離D1が距離閾値Dthよりも大きい場合(S20でYES)、ユーザは、コンロ10の近傍に位置しないと推測される。この場合、ユーザは、コンロ10の表示部20に表示された加熱情報を認識することができないと推測される。制御部16は、ユーザがコンロ10の表示部20に表示された加熱情報を認識することができないと推測される場合に、高照度信号を携帯端末30に送信し、携帯端末30のバックライト44を照度レベルL3で点灯させる。これにより、コンロ10の近傍に位置しないと推測されるユーザに対して、携帯端末30の表示部40を介して、加熱情報を確実に認識させることができる。
【0047】
さらに、制御部16は、S30において、操作部14が操作を受け付けたか否かを判断する。制御部16は、操作部14が操作を受け付けていない場合(S30でNO)、S4に戻り新たな加熱情報を生成する。
【0048】
制御部16は、操作部14が操作を受け付けた場合(S30でYES)、S2に戻り、バックライト24の照度レベルを照度レベルL2から照度レベルL1に変更する。これにより、加熱情報が表示部20のディスプレイ22に鮮明に表示される。このように、制御部16は、距離D1が距離閾値Dthよりも大きい場合(S20でYES)であっても、操作部14が操作を受け付ける場合(S30でYES)に、バックライト24の照度レベルを照度レベルL1に設定する。これにより、携帯端末30を保持するユーザがコンロ10の近傍に位置しなくても、例えば、別のユーザによって操作部14が操作された場合に、別のユーザに対して、加熱情報を確実に認識させることができる。
【0049】
(端末側出力レベル設定処理;
図3)
図3を参照して、携帯端末30の制御部36がプログラムPg2に従って実行する端末側出力レベル設定処理について説明する。端末側出力レベル設定処理は、携帯端末30の表示部40のバックライト44の照度レベルを設定するための処理であり、携帯端末30がコンロ10から加熱情報を受信すること(
図2のS8参照)をトリガとして実行される。
【0050】
まず、制御部36は、S50において、コンロ10から高照度信号(
図2のS24参照)を受信済みであるか否かを判断する。高照度信号を受信している場合(S50でYES)、処理はS52に進む。
【0051】
制御部36は、S52において、表示部40のバックライト44の照度レベルを照度レベルL3に設定する。さらに、制御部36は、S70において、コンロ10から受信した加熱情報を表示部40に表示する。これにより、加熱情報が表示部40のディスプレイ42に鮮明に表示される。
【0052】
高照度信号を受信していない場合(S50でNO)、制御部36は、S60において、低照度信号を受信済みであるか否かを判断する。低照度信号を受信していない場合(S60でNO)、すなわち、高照度信号および低照度信号のいずれも受信していない場合、処理は、S52に進む。
【0053】
低照度信号を受信している場合(S60でYES)、制御部36は、S62において、表示部40のバックライト44の照度レベルを照度レベルL4に設定する。その場合、処理は、S70に進み、加熱情報を表示部40に表示する。これにより、携帯端末30の消費電力が低減される。S70の処理が終了すると、制御部36は、
図3の処理を終了する。
【0054】
(本実施例の効果)
上述したように、本実施例の加熱調理システム2は、距離D1が距離閾値Dthより小さい場合(
図2のS20でNO)、すなわち、ユーザがコンロ10の近傍に位置すると判断される場合に、コンロ10の表示部20のバックライト24を照度レベルL1で点灯させて(S2)、加熱情報を表示部20のディスプレイ22に鮮明に表示する。これにより、コンロ10の近傍に位置すると判断されるユーザに対して、加熱情報を確実に認識させることができる。さらに、加熱調理システム2は、ユーザがコンロ10の近傍に位置すると判断される場合に、携帯端末30に低照度信号を送信することによって(S40)、携帯端末30の表示部40のバックライト44を照度レベルL4で点灯させる(
図3のS62)。これにより、携帯端末30の消費電力を低減することができる。逆に、加熱調理システム2は、距離D1が距離閾値Dthより大きい場合(S20でYES)、すなわち、ユーザがコンロ10の近傍に位置しないと判断される場合に、表示部20のバックライト24を照度レベルL2で点灯させる(S22)。これにより、コンロ10の消費電力を低減することができる。特に、上述したように、コンロ10の電源11は、乾電池V1を含む。加熱調理システム2は、ユーザがコンロ10の近傍に位置しておらず、コンロ10の表示部20を認識できない状況にあると推測される場合に、表示部20のバックライト24の照度レベルを照度レベルL1よりも小さい照度レベルL2に設定することによって、乾電池V1が電池切れになる時期を遅らせることができる。さらに、加熱調理システム2は、ユーザがコンロ10の近傍に位置しないと判断される場合に、携帯端末30に高照度信号を送信することによって(
図2のS24)、携帯端末30の表示部40のバックライト44を照度レベルL3で点灯させて(
図3のS52)、加熱情報をディスプレイ42に鮮明に表示する。これにより、コンロ10の表示部20を認識できない状況にあると推測されるユーザに対して、携帯端末30の表示部40を介して、加熱情報を確実に認識させることができる。なお、変形例の加熱調理システム2では、コンロ10は、携帯端末30に高照度信号および低照度信号を送信しなくてもよい。すなわち、変形例では、携帯端末30の表示部40のバックライト44の照度レベルが変更されなくてもよい。
【0055】
(対応関係)コンロ10が、「加熱調理器」の一例である。コンロバーナ13が、「加熱部」の一例である。表示部20が、「調理器側報知部」の一例である。表示部40が、「端末側報知部」の一例である。距離閾値Dthが、「所定の閾値」の一例である。照度レベルが、「出力レベル」の一例である。照度レベルL1が、「第1の出力レベル」の一例である。照度レベルL2が、「第2の出力レベル」の一例である。照度レベルL3が、「第3の出力レベル」の一例である。照度レベルL4が、「第4の出力レベル」の一例である。操作部14が、「操作受付部」の一例である。
【0056】
(第2実施例)
続いて、第2実施例の加熱調理システム2について説明する。
図1に示されるように、第2実施例では、携帯端末30の制御部36が、プログラムPg2に従って、判断部39A、レベル設定部39B、距離推定部39Cとして機能する。このため、本実施例では、携帯端末30の記憶部38は、距離閾値Dthを記憶する。一方で、本実施例では、コンロ10の制御部16は、レベル設定部19B、加熱情報送信部19Dとして機能し、判断部19A、距離推定部19Cとして機能しない。このため、コンロ10の記憶部18は、距離閾値Dthを記憶しない。しかしながら、それ以外の点については、本実施例の加熱調理システム2は、第1実施例の加熱調理システム2と同様の構成を有する。
【0057】
(端末側出力レベル設定処理;
図4)
図4を参照して、第2実施例の携帯端末30の制御部36がプログラムPg2に従って実行する端末側出力レベル設定処理について説明する。本実施例の端末側出力レベル設定処理も、携帯端末30がコンロ10から加熱情報を受信すること(後述する
図5のS208参照)をトリガとして実行される。
【0058】
まず、制御部36は、S102において、表示部40のバックライト44の照度レベルを照度レベルL3に設定する。
【0059】
次いで、制御部36は、S106において、コンロ10から受信した加熱情報を表示部40に表示する。これにより、加熱情報が、表示部40のディスプレイ42に鮮明に表示される。
【0060】
S112~S120の処理は、第1実施例における
図2のS12~S20の処理と同様である。距離D1が距離閾値Dthよりも大きい場合(S120でYES)、制御部36は、携帯端末30がコンロ10の近傍に位置しないと判断する。この場合、処理はS122に進む。
【0061】
制御部36は、S122において、BT通信を利用して、オフ信号をコンロ10に送信する。オフ信号は、コンロ10の表示部20のバックライト24を消灯させるための信号である。これにより、制御部36は、携帯端末30がコンロ10の近傍に位置しないと判断する場合(S120でYES)に、コンロ10の消費電力を低減することができる。
【0062】
S120で、距離D1が距離閾値Dthより小さい場合(S120でNO)、制御部36は、携帯端末30がコンロ10の近傍に位置すると判断する。この場合、処理はS124に進む。
【0063】
制御部36は、S124において、BT通信を利用して、オン信号をコンロ10に送信する。オン信号は、コンロ10の表示部20のバックライト24を点灯せるための信号である。これにより、制御部36は、携帯端末30がコンロ10の近傍に位置すると判断する場合(S120でNO)に、コンロ10の表示部20に加熱情報を表示することができる。
【0064】
次いで、制御部36は、S130において、所定時間内に表示部40の操作があったか否かを判断する。所定時間内に表示部40の操作がある場合(S130でYES)、ユーザが、携帯端末30の表示部40に表示される加熱情報を認識していると推測される。このため、制御部36は、所定時間内に表示部40の操作がある場合、S140をスキップする。これにより、
図4の処理が終了する。
【0065】
一方、所定時間内に表示部40の操作がない場合(S130でNO)、ユーザが、表示部40に表示される加熱情報を認識していない可能性がある。すなわち、この場合、ユーザは、コンロ10の表示部20によって加熱情報を認識している可能性がある。このため、制御部36は、所定時間内に表示部40の操作がない場合、ユーザが表示部40に表示された加熱情報を認識していないと判断する。この場合、処理はS140に進む。
【0066】
制御部36は、S140において、表示部40のバックライト44の照度レベルを照度レベルL4に設定する。その結果、バックライト44の照度が低下する。これによりユーザが表示部40に表示される加熱情報を認識していないと推測される場合に、携帯端末30の消費電力を低減することができる。
【0067】
(コンロ側出力レベル設定処理;
図5)
図5を参照して、第2実施例のコンロ10の制御部16がプログラムPg1に従って実行するコンロ側出力レベル設定処理について説明する。上述した第1実施例のコンロ側出力レベル設定処理と同様に、本実施例のコンロ側出力レベル設定処理も携帯端末30からレシピデータを含む自動調理の実行指示を受信することをトリガとして実行される。
【0068】
S204の処理は、
図2のS4の処理と同様である。S208の処理は、
図2のS8の処理と同様である。制御部16は、S220において、携帯端末30からオフ信号(
図4のS122参照)を受信済みであるか否かを判断する。オフ信号を受信している場合(S220でYES)、処理はS230に進む。
【0069】
制御部16は、S230において、表示部20のバックライト24を消灯する。このため、加熱情報は、表示部20に表示されない。その後、制御部16は、S204に戻り新たな加熱情報を生成する。
【0070】
オフ信号を受信していない場合(S220でNO)、制御部16は、S240において、オン信号(
図4のS124参照)を受信済みであるか否かを判断する。オン信号を受信していない場合、すなわち、オフ信号およびオン信号のいずれも受信していない場合(S240でNO)、処理はS230に進む。
【0071】
オン信号を受信している場合(S240でYES)、制御部16は、S242において、表示部20のバックライト24を点灯する。これにより、S204で生成された加熱情報が表示部20のディスプレイ22に鮮明に表示される。その後、制御部16は、S204に戻り新たな加熱情報を生成する。
【0072】
(本実施例の効果)
本実施例の加熱調理システム2は、距離D1が距離閾値Dthより大きい場合(
図4のS120でYES)、オフ信号をコンロ10に送信して(S122)、コンロ10の表示部20のバックライト24を消灯する(
図5のS230)。これにより、コンロ10の消費電力を低減することができる。さらに、加熱調理システム2は、距離D1が距離閾値Dthより大きい場合に、携帯端末30の表示部40のバックライト44を照度レベルL3で点灯させる(S102)。これにより、コンロ10の近傍に位置しないと推測されるユーザに対して、携帯端末30の表示部40を介して、加熱情報を確実に認識させることができる。逆に、加熱調理システム2は、距離D1が距離閾値Dthより小さい場合(
図4のS120でNO)、オン信号をコンロ10に送信して(S124)コンロ10の表示部20のバックライト24を点灯する(S242)。これにより、コンロ10の表示部20のディスプレイ22には、加熱情報が鮮明に表示される。このため、コンロ10の近傍に位置すると推測されるユーザに対して、加熱情報を確実に認識させることができる。さらに、加熱調理システム2は、距離D1が距離閾値Dthより小さい場合に、携帯端末30の表示部40のバックライト44を照度レベルL4で点灯させる(
図4のS140)。これにより、携帯端末30の消費電力を低減することができる。本実施例では、消灯されたバックライト24の照度が、「第2の出力レベル」の一例である。
【0073】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0074】
(変形例1)上述した第1実施例では、コンロ10の制御部16は、RSSIによってコンロ10と携帯端末30の間の距離D1を推定した。これに代えて、制御部16は、携帯端末30とのペアリング接続が確立されている場合に、携帯端末30がコンロ10の近傍に位置すると判断し(
図2のS20でYES)、携帯端末30とのペアリング接続が確立されていない場合に、携帯端末30がコンロ10の近傍に位置しないと判断(
図2のS20でNO)してもよい。本変形例では、「距離推定部」は、省略可能である。また、第2実施例では、携帯端末30の制御部36が、ペアリング接続が確立されているかに基づいて、携帯端末30がコンロ10の近傍に位置するか否かを判断してもよい。
【0075】
(変形例2)また、コンロ10の制御部16は、自身の位置を記憶部18に記憶していてもよい。その場合、携帯端末30は、GPS(Global Positioning Systemの略)によって、自身の現在の位置を取得可能に構成されていてもよい。その場合、コンロ10の制御部16は、携帯端末30の現在の位置を携帯端末30から受信し、記憶部18内の自身の位置と比較することによって、コンロ10と携帯端末30の間の距離D1を推定してもよい。
【0076】
(変形例3)コンロ10において、加熱情報は、表示部20に代えて、スピーカ15から報知されてもよい。本変形例では、スピーカ15が、「調理器側報知部」の一例である。同様に、携帯端末30において、加熱情報は、表示部40に代えて、スピーカ35から報知されてもよい。本変形例では、スピーカ35が、「端末側報知部」の一例である。さらに、本変形例では、スピーカ15から報知される音声の大きさが、「調理器側報知部の出力レベル」の一例であり、スピーカ35から報知される音声の大きさが、「端末側報知部の出力レベル」の一例である。
【0077】
(変形例4)例えば、上述した第1実施例では、コンロ10の制御部16は、距離D1が距離閾値Dthより大きい場合(
図2のS20でYES)に、コンロ10のバックライト24の照度レベルを照度レベルL2に設定する(S22)とともに、高照度信号を携帯端末30に送信する(S24)。変形例では、これに代えて、コンロ10の制御部16は、距離D1が第1の距離閾値Dth1よりも大きい場合に、コンロ10のバックライト24の照度レベルを照度レベルL2に設定し、距離D1が第2の距離閾値Dth2よりも大きい場合に、高照度信号を携帯端末30に送信してもよい。すなわち、コンロ10のバックライト24の照度レベルを変更する距離閾値と、携帯端末30のバックライト44の照度レベルを変更する距離閾値と、は互いに異なってもよい。本変形例では、第1の距離閾値Dth1および第2の距離閾値Dth2が、ともに「所定の閾値」の一例である。
【0078】
(変形例5)コンロ10の電源11は、乾電池V1に代えて、家庭用AC電源を含んでもよい。
【0079】
(変形例6)
図2のS30の処理は省略可能である。その場合、コンロ10の制御部16は、操作部14の操作を受け付けても、バックライト24の照度レベルを照度レベルL2に保持してもよい。
【0080】
(変形例7)
図2のS24、S40の少なくとも一方の処理は省略可能である。その場合、携帯端末30の表示部40のバックライト44は、携帯端末30がコンロ10の近傍に位置するか否かに関わらず、照度レベルL3で点灯してもよいし、照度レベルL4で点灯してもよい。
【0081】
(変形例8)
図2のS10の処理は省略可能ある。その場合、コンロ10の制御部16は、所定時間内に操作部14の操作があるか否かにかかわらず、S12でRSSIを取得してもよい。
【0082】
(変形例9)「加熱調理器」は、ガス燃焼式のコンロ10に限定されず、IH式のコンロであってもよいし、オーブンであってもよい。さらに、「加熱部」は、コンロバーナ13に限定されず、コンロ10に設けられたグリルバーナであってもよい。
【0083】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0084】
2 :加熱調理システム
10 :コンロ
11 :電源
13 :コンロバーナ
14 :操作部
15、35 :スピーカ
16、36 :制御部
18、38 :記憶部
19A、39A :判断部
19B、39B :レベル設定部
19C :距離推定部
19D :加熱情報送信部
20、40 :表示部
22、42 :ディスプレイ
24、44 :バックライト
30 :携帯端末
D1 :距離
Dth :距離閾値
L1、L2、L3、L4 :照度レベル
Pg1 :プログラム
Pg2 :プログラム
V1 :乾電池