(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131764
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】アラーム管理装置、アラーム管理方法およびアラーム管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20240920BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20240920BHJP
【FI】
G05B23/02 X
G06Q10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042211
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 優介
(72)【発明者】
【氏名】本多 謙吾
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 由美子
【テーマコード(参考)】
3C223
5L049
【Fターム(参考)】
3C223AA04
3C223AA06
3C223AA11
3C223BA01
3C223BB04
3C223CC01
3C223DD01
3C223FF43
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH04
3C223HH08
3C223HH26
3C223HH29
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】プラントで発生したアラームに対する対策の実施を支援すること。
【解決手段】アラーム管理装置10は、監視対象機器のアラームに対して実施可能な対策ごとの操作手順を保持し、監視対象機器のアラームを送信し、対応オペレータOが選択したアラームに対する対策を受け付け、対応オペレータOが選択した対策に紐付けされた操作手順を取得し、対応オペレータOに出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象機器のアラームに対して実施可能な対策ごとの操作手順を記憶する記憶部と、
前記監視対象機器のアラームを送信する送信部と、
利用者が選択した前記アラームに対する前記対策を受け付ける受付部と、
前記利用者が選択した前記対策に紐付けされた前記操作手順を前記記憶部から取得し、前記利用者に出力する出力部と、
を備えるアラーム管理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、
前記アラームに対して即時に対応する即時対応操作の操作手順が示される即時対応フロー画面、および前記アラームに対して一定時間対応を保留して前記一定時間経過後に対応する棚上げ操作の操作手順が示される棚上げフロー画面を含む前記操作手順を記憶し、
前記出力部は、
前記利用者が選択した前記対策に紐付けされた前記即時対応フロー画面または前記棚上げフロー画面を前記記憶部から取得し、前記利用者の利用者端末に表示する、
請求項1に記載のアラーム管理装置。
【請求項3】
前記出力部は、
前記即時対応フロー画面または前記棚上げフロー画面において、前記利用者の選択に応じて、前記アラームに対して前記利用者が実施する作業内容を示す対応マニュアルを表示する、
請求項2に記載のアラーム管理装置。
【請求項4】
前記即時対応フロー画面は、第1の利用者が実施した対策の作業内容を入力する入力画面を有し、
前記出力部は、
前記第1の利用者から前記アラームに対する前記即時対応操作が受け付けられた後、第2の利用者から同一の前記アラームに対する前記即時対応操作が受け付けられた場合、前記即時対応操作に対応付けられる前記即時対応フロー画面と、前記即時対応操作の進捗状況と、前記第1の利用者が前記即時対応フロー画面の前記入力画面に入力した作業内容とを表示する、
請求項2に記載のアラーム管理装置。
【請求項5】
前記棚上げフロー画面は、前記アラームに対して第1の利用者が前記棚上げ操作を選択した理由または目的を入力する入力画面を有し、
前記出力部は、
前記第1の利用者から前記アラームに対する前記棚上げ操作が受け付けられた後、第2の利用者から同一の前記アラームに対する前記棚上げ操作が受け付けられた場合、前記棚上げ操作に対応付けられる前記棚上げフロー画面と、前記棚上げ操作の進捗状況と、前記第1の利用者が前記棚上げフロー画面の前記入力画面に書き込んだ前記理由または前記目的とを表示する、
請求項2に記載のアラーム管理装置。
【請求項6】
前記出力部は、
前記即時対応フロー画面において、前記アラームに対して前記利用者が実施する作業内容の承認を依頼可能な画面を、前記アラームが発生した前記監視対象機器を管理する管理者の管理者端末に表示する、
請求項2に記載のアラーム管理装置。
【請求項7】
前記出力部は、
前記棚上げフロー画面において、前記アラームに対する前記棚上げ操作の承認を依頼可能な画面を、前記アラームが発生した前記監視対象機器を管理する管理者の管理者端末に表示する、
請求項2に記載のアラーム管理装置。
【請求項8】
前記アラームは、プラントを制御するプラント制御システムにおいて、前記プラントまたは前記監視対象機器の異常を示すアラームである、
請求項1から7のいずれか1項に記載のアラーム管理装置。
【請求項9】
コンピュータが、
監視対象機器のアラームに対して実施可能な対策ごとの操作手順を保持し、
前記監視対象機器のアラームを送信し、
利用者が選択した前記アラームに対する前記対策を受け付け、
前記利用者が選択した前記対策に紐付けされた前記操作手順を取得し、前記利用者に出力する、
処理を実行するアラーム管理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
監視対象機器のアラームに対して実施可能な対策ごとの操作手順を保持し、
前記監視対象機器のアラームを送信し、
利用者が選択した前記アラームに対する前記対策を受け付け、
前記利用者が選択した前記対策に紐付けされた前記操作手順を取得し、前記利用者に出力する、
処理を実行させるアラーム管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アラーム管理装置、アラーム管理方法およびアラーム管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラントにおけるアラーム管理システムは、プラント現場における危険を早急に察知し、企業の財産を守り、プラント現場で活動する作業員の命を守るための機能である特性上から、ISA18.2やIEC62682といった、国際的な標準規格により厳格に標準化されている。上記の標準規格では、アラーム管理システムが満たすべきアラームの基本機能として、必須機能および推奨機能が定義されており、各制御システムベンダは、上記定義に沿ったアラーム管理システムを実装している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アラーム管理システムでは、緊急性のあるアラーム、緊急性のないアラーム、頻出するアラーム、初出のアラーム等の様々なアラームが発生するので、アラームを監視するプラントオペレータ等の利用者は、アラームに応じた適切な対策を即時に判断して実施することが要求される。
【0005】
しかしながら、上記利用者がどのように上記アラームに対応するのかについては、厳格なルールは存在しておらず、システムとしてサポートできていない。例えば、プラント現場では、アラーム対応前にプラントの管理責任者等の承認が必要、アラーム対応後に別のプラントオペレータ等の確認が必要、アラーム操作時にプラントオペレータが記録を残すことが必要等の、それぞれ独自のルールが存在している。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、アラームに対する対策の実施を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、監視対象機器のアラームに対して実施可能な対策ごとの操作手順を記憶する記憶部と、前記監視対象機器のアラームを送信する送信部と、利用者が選択した前記アラームに対する前記対策を受け付ける受付部と、前記利用者が選択した前記対策に紐付けされた前記操作手順を前記記憶部から取得し、前記利用者に出力する出力部と、を備えるアラーム管理装置を提供する。
【0008】
また、本発明は、コンピュータが、監視対象機器のアラームに対して実施可能な対策ごとの操作手順を保持し、前記監視対象機器のアラームを送信し、利用者が選択した前記アラームに対する前記対策を受け付け、前記利用者が選択した前記対策に紐付けされた前記操作手順を取得し、前記利用者に出力する、処理を実行するアラーム管理方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、コンピュータに、監視対象機器のアラームに対して実施可能な対策ごとの操作手順を保持し、前記監視対象機器のアラームを送信し、利用者が選択した前記アラームに対する前記対策を受け付け、前記利用者が選択した前記対策に紐付けされた前記操作手順を取得し、前記利用者に出力する、処理を実行させるアラーム管理プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アラームに対する対策の実施を支援することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係るアラーム管理システムの構成例および処理例を示す図である。
【
図2】参考技術に係るアラーム対応操作を説明する図である。
【
図3】実施形態に係るアラーム管理システムの各装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】実施形態に係るアラーム管理装置のアラーム対応フロー画面記憶部の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係るアラーム管理装置のアラーム棚上げフロー画面記憶部の一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係るアラーム対応フロー画面管理処理の具体例を示す図である。
【
図7】実施形態に係るアラーム棚上げフロー画面管理処理の具体例を示す図である。
【
図8】実施形態に係るアラーム管理システムのアラーム対応フロー画面管理処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図9】実施形態に係るアラーム管理システムのアラーム棚上げフロー画面管理処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図10】実施形態に係るハードウェア構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施形態に係るアラーム管理装置、アラーム管理方法およびアラーム管理プログラムを、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではない。
【0013】
〔実施形態〕
以下に、実施形態に係るアラーム管理システム100の構成および処理、アラーム管理システム100の各装置の構成および処理、アラーム管理システム100の各処理の具体例、アラーム管理システム100の処理の流れを順に説明し、最後に実施形態の効果を説明する。
【0014】
〔1.アラーム管理システム100の構成および処理〕
図1を用いて、実施形態に係るアラーム管理システム100の構成および処理を詳細に説明する。
図1は、実施形態に係るアラーム管理システム100の構成例および処理例を示す図である。以下に、アラーム管理システム100全体の構成例、アラーム管理システム100の処理例、参考技術に係るアラーム管理システム100Pの問題点を順に説明し、最後にアラーム管理システム100の効果について説明する。なお、実施形態では、プラントに設置されるデバイスであるプラント機器を使用する工場生産遠隔監視を一例にして説明するが、デバイスや利用分野を限定するものではなく、電力モニタ、風力発電、上下水モニタ、河川監視等の環境計測遠隔監視に適用することもできる。
【0015】
(1-1.アラーム管理システム100全体の構成例)
アラーム管理システム100は、アラーム管理装置10、対応オペレータ端末20、上位オペレータ端末30および共有オペレータ端末40を有する。ここで、アラーム管理装置10と対応オペレータ端末20と上位オペレータ端末30と共有オペレータ端末40とは、図示しない所定の通信網(ネットワーク)を介して、有線または無線により通信可能に接続される。なお、所定の通信網には、インターネットや専用線等の各種通信網を採用することができる。
【0016】
ここで、対応オペレータ端末20は、アラームに対応する対応オペレータOが使用する端末である。また、上位オペレータ端末30は、対応オペレータOや共有オペレータCを指揮監督する上位オペレータMが使用する端末である。また、共有オペレータ端末40は、アラームに対応する対応オペレータOと状況を共有する共有オペレータCが使用する端末である。なお、
図1に示したアラーム管理システム100には、複数台のアラーム管理装置10、複数台の対応オペレータ端末20、複数台の上位オペレータ端末30、または複数台の共有オペレータ端末40が含まれてもよい。
【0017】
(1-2.アラーム管理システム100全体の処理例)
上記のようなアラーム管理システム100全体の処理について説明する。以下では、対応オペレータOが実施する対策であってアラームに対する操作(適宜、「アラーム操作」)として、即時にアラームに対応する「アラーム対応」の実施時に実行するアラーム対応フロー画面管理処理、および一定時間対応を保留し、一定時間経過後にアラームに対応する「アラーム棚上げ(アラームシェルビング)」の実施時に実行するアラーム棚上げフロー画面管理処理について説明する。なお、下記の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0018】
(1-2-1.アラーム対応フロー画面管理処理)
第1に、アラーム管理装置10は、アラームを送信する(
図1(a-1)参照)。例えば、アラーム管理装置10は、プラントで発生したプロセスの異常を示すアラームを、対応オペレータ端末20に送信する。このとき、アラーム管理装置10は、アラームを検出してもよいし、アラーム検出機能を有するアラーム機器からアラームを受信してもよい。
【0019】
第2に、対応オペレータOは、アラーム操作としてアラーム対応操作を選択する(
図1(a-2)参照)。例えば、対応オペレータOは、対応オペレータ端末20に表示されたアラームサマリ表示画面上でアラーム対応操作を選択する。また、対応オペレータ端末20は、アラーム対応操作の選択をアラーム管理装置10に送信する。
【0020】
第3に、アラーム管理装置10は、フロー画面としてアラーム対応フロー画面を生成する(
図1(a-3)参照)。例えば、アラーム管理装置10は、発生したアラームの種別、発生場所、緊急度等をもとに、アラーム対応操作を実施する手順の流れを示すアラーム対応フロー画面を生成する。
図1(a-3)の例では、アラーム対応フロー画面として、「対応マニュアル確認」→「承認依頼」→「対応作業中」の手順の流れを示すフロー画面を生成している。
【0021】
第4に、アラーム管理装置10は、フロー画面としてアラーム対応フロー画面を表示する(
図1(a-4)参照)。例えば、アラーム管理装置10は、アラーム対応フロー画面として、「対応マニュアル確認」→「承認依頼」→「対応作業中」の手順の流れを示すフロー画面を、対応オペレータOが使用する対応オペレータ端末20のモニタに表示する。このとき、アラーム管理装置10は、「対応マニュアル確認」等のボタンを着色して表示することによって、アラーム対応操作の進捗状況を示してもよい(
図1(a-3)斜線部参照)。
【0022】
第5に、対応オペレータOは、対応マニュアルを確認する(
図1(a-5)参照)。例えば、対応オペレータOは、対応オペレータ端末20のモニタに表示されたアラーム対応フロー画面の「対応マニュアル確認」ボタンをクリック操作し、表示されたオンラインマニュアルを確認する。このとき、アラーム管理装置10は、発生したアラームの種別、発生場所、緊急度等に紐付けされたオンラインマニュアルを対応オペレータ端末20のモニタに表示する。
【0023】
第6に、アラーム管理装置10は、アラーム対応操作の承認を依頼する(
図1(a-6)参照)。例えば、対応オペレータOは、対応オペレータ端末20のモニタに表示されたアラーム対応フロー画面の「承認依頼」ボタンをクリック操作する。また、アラーム管理装置10は、対応オペレータOが実施しようとするアラーム対応操作における作業内容の種別、承認を要求するメッセージ、「承認」または「却下」のボタン等の承認依頼画面を上位オペレータ端末30のモニタに表示する。また、上位オペレータMは、上位オペレータ端末30のモニタに表示された承認依頼画面を確認し、「承認」または「却下」を承認依頼画面上で選択する。
【0024】
第7に、対応オペレータOは、対応内容を入力する(
図1(a-7)参照)。例えば、対応オペレータOは、対応オペレータ端末20のモニタに表示されたアラーム対応フロー画面の「対応作業中」をクリック操作し、表示されたテキスト入力画面に対応作業の実施状況を入力する。
【0025】
第8に、対応オペレータ端末20は、入力情報を送信する(
図1(a-8)参照)。例えば、対応オペレータ端末20は、対応オペレータOが入力した入力情報として、作業内容の実施状況をアラーム管理装置10に送信する。
【0026】
第9に、アラーム管理装置10は、アラーム操作の状況を共有する(
図1(a-9)参照)。例えば、共有オペレータCは、共有オペレータ端末40のモニタに表示されたアラーム対応フロー画面の「対応作業中」ボタンをクリック操作し、表示された対応オペレータOによるアラーム対応操作の実施状況を確認する。
【0027】
(1-2-2.アラーム棚上げフロー画面管理処理)
第1に、アラーム管理装置10は、アラームを通知する(
図1(b-1)参照)。例えば、アラーム管理装置10は、プラントで発生したプロセスの異常を示すアラームを、対応オペレータ端末20に送信する。
【0028】
第2に、対応オペレータOは、アラーム操作としてアラーム棚上げ操作を選択する(
図1(b-2)参照)。例えば、対応オペレータOは、対応オペレータ端末20に表示されたアラームサマリ表示画面上でアラーム棚上げ操作を選択する。また、対応オペレータ端末20は、アラーム棚上げ操作の選択をアラーム管理装置10に送信する。
【0029】
第3に、アラーム管理装置10は、フロー画面としてアラーム棚上げフロー画面を生成する(
図1(b-3)参照)。例えば、アラーム管理装置10は、発生したアラームの種別、発生場所、緊急度等をもとに、アラーム棚上げ操作を実施する手順の流れを示すアラーム棚上げフロー画面を生成する。
図1(b-3)の例では、アラーム棚上げフロー画面として、「理由・目的入力」→「承認依頼」→「棚上げ中」の手順の流れを示すフロー画面を生成している。
【0030】
第4に、アラーム管理装置10は、フロー画面としてアラーム棚上げフロー画面を表示する(
図1(b-4)参照)。例えば、アラーム管理装置10は、アラーム棚上げフロー画面として、「理由・目的入力」→「承認依頼」→「棚上げ中」の手順の流れを示すフロー画面を、対応オペレータOが使用する対応オペレータ端末20のモニタに表示する。このとき、アラーム管理装置10は、「理由・目的入力」等のボタンを着色して表示することによって、アラーム棚上げ操作の進捗状況を示してもよい(
図1(b-3)斜線部参照)。
【0031】
第5に、対応オペレータOは、理由または目的を入力する(
図1(b-5)参照)。例えば、対応オペレータOは、対応オペレータ端末20のモニタに表示されたアラーム対応フロー画面の「理由・目的入力」ボタンをクリック操作し、表示されたテキスト入力画面に、アラーム棚上げ操作を選択した理由または目的を入力する。
【0032】
第6に、対応オペレータ端末20は、入力情報を送信する(
図1(b-6)参照)。例えば、対応オペレータ端末20は、対応オペレータOが入力した入力情報として、アラーム棚上げ操作を選択した理由または目的をアラーム管理装置10に送信する。
【0033】
第7に、アラーム管理装置10は、アラーム棚上げ操作の承認を依頼する(
図1(b-7)参照)。例えば、対応オペレータOは、対応オペレータ端末20のモニタに表示されたアラーム棚上げフロー画面の「承認依頼」ボタンをクリック操作する。また、アラーム管理装置10は、対応オペレータOが入力したアラーム棚上げ操作を選択した理由または目的、承認を要求するメッセージ、「承認」または「却下」のボタン等の承認依頼画面を上位オペレータ端末30のモニタに表示する。また、上位オペレータMは、上位オペレータ端末30のモニタに表示された承認依頼画面を確認し、「承認」または「却下」を承認依頼画面上で選択する。
【0034】
第8に、アラーム管理装置10は、アラーム操作の状況を共有する(
図1(b-8)参照)。例えば、共有オペレータCは、共有オペレータ端末40のモニタに表示されたアラーム棚上げフロー画面の「理由・目的入力」ボタンをクリック操作し、表示された対応オペレータOが入力したアラーム棚上げ操作を選択した理由または目的を確認する。また、共有オペレータCは、共有オペレータ端末40のモニタに表示されたアラーム棚上げフロー画面に「棚上げ中」が表示されていることを確認し、対応オペレータOが現時点でアラーム対応操作を開始していないことを認識することができる。
【0035】
(1-3.アラーム管理システム100の効果)
以下では、参考技術に係るアラーム管理システム100Pの背景、アラーム管理システム100Pに要求される機能、アラーム管理システム100Pの概要および問題点について説明した上で、アラーム管理システム100の効果について説明する。
【0036】
(1-3-1.アラーム管理システム100Pの背景)
アラーム管理システム100Pは、プラント現場における危険を早急に察知し、企業の財産を守り、現場で活動する作業員の命を守るための機能である特性上から、ISA18.2やIEC62682といった、国際的な標準規格により厳格に標準化がされている。上記標準規格では、アラーム管理システム100Pが満たすべきアラームの基本機能について、必須機能および推奨機能として定義されており、各制御システムベンダは、上記標準規格に沿ったアラーム管理システム100Pを実装することが業界上必須となってきている。
【0037】
ところで、アラーム管理システム100Pでは、緊急性のあるアラーム、緊急性のないアラーム、頻出するアラーム、初出のアラーム等の様々なアラームが発生するので、アラームを監視する対応オペレータO等は、アラームに応じた適切な対策を即時に判断して実施することが要求される。
【0038】
しかしながら、機能としてアラームが、どのように振る舞うのかが標準化されていく一方で、アラームを監視する対応オペレータO等がどのようにアラームに対応するのかについて厳格なルールは存在しておらず、アラーム管理システム100Pの仕組みとしてサポートできていないのが現状である。また、プラント現場では、独自ルールが設定されていることが多い。例えば、アラーム対応前に上長にあたる上位オペレータM等の承認が必要、アラーム対応後に別のオペレータである共有オペレータC等の確認が必要、アラーム操作時に対応オペレータOが記録を残すことが必要等の、それぞれの独自ルールが存在している。このとき、上記の独自ルールに対する具体的な手段は、制御システムに頼らないローテクな手法、または別システムで行われていることが多くある。
【0039】
以上より、アラーム管理システム100Pにおいて、ISA18.2やIEC62682をベースにしたアラームモデルを崩すことなく、対応オペレータO等の利用者のアラーム操作を補助することができる制御システムが備えるアラーム機能が求められている。
【0040】
(1-3-2.アラーム管理システム100Pに要求される機能)
アラーム管理システム100Pに要求される機能について説明する。第1に、対応オペレータOは、アラーム監視において、なるべくアラーム発生中にアラームサマリ画面から離れるべきではない。なぜならば、プラント現場では、アラームの発生後に関連するアラームがさらに後追いで発生する場合や、アラーム状態が安定せずに遷移していく場合が考えられるためである。したがって、アラーム管理システム100Pは、アラーム操作や外部とのコミュニケーションを支援することで対応オペレータOの負担を軽減する必要がある。
【0041】
第2に、対応オペレータOのアラーム対応状況や、アラーム操作の理由や目的を記録することは重要であり、上記の情報を他メンバーへ簡単な手法で共有することにより、プラント現場の混乱を未然に防ぐことができる。したがって、アラーム管理システム100Pは、上記の状況共有をサポートすることにより、アラームの状態と連携し状況をリアルタイムに共有することが必要となる。
【0042】
第3に、時代的な背景として、熟練オペレータの数が減少しており、経験が浅いオペレータが操作や監視を実施する場合も多い。熟練オペレータであれば、対応マニュアルを見ることなく作業順序を把握できるが、経験の浅いオペレータはその手順の確認が必要な場合も多くなる。したがって、アラーム管理システム100Pは、リモート環境から熟練オペレータが対応状況を確認できる仕組みが必要となる。
【0043】
(1-3-3.アラーム管理システム100Pの概要)
図2を用いて、参考技術に係るアラーム管理システム100Pの概要について説明する。
図2は、参考技術に係るアラーム対応操作を説明する図である。以下では、アラーム管理システム100Pの基本構成を説明した上で、アラーム管理システム100Pの処理の概要、およびアラーム管理システム100Pの問題点について説明する。
【0044】
(1-3-3-1.アラーム管理システム100Pの基本構成)
アラーム管理システム100Pの基本構成について説明する。以下では、HMI(Human Machine Interface)機能、アラームマニュアル、管理責任者の順に説明する。
【0045】
(HMI機能)
第1に、HMI機能について説明する。HMIは、アラーム管理機能より、生成したアラームを収集して、アラームメッセージや現在のアラーム状態を表示する機能を有する。対応オペレータOは、HMIを通じて、アラームの通知や現在のアラーム状態を知ることができる。
【0046】
また、アラームサマリ画面表示機能は、HMI機能の1つである。アラームサマリ画面は、アラームの一覧を対応オペレータOに表示し、アラームをマーク、文字列、サウンド等を用いて通知する。また、対応オペレータOは、アラームサマリ画面上でアラーム確認操作、棚上げ操作(アラームシェルビング機能)等を実施することができる。また、対応オペレータOは、アラームへの対応(バルブ制御等)も、HMIを通して実施することができる。
【0047】
(アラームマニュアル)
第2に、アラームマニュアルについて説明する。アラームマニュアルは、アラームごとに定義づけられた対応マニュアルである。アラームマニュアルは、プラント現場により、紙媒体であったり、イントラネット上に公開されるオンラインマニュアルであったり、その媒体は様々である。また、アラームマニュアルは、プラント現場ごとに異なるので、制御システムベンダが準備するのではなく、プラントを利用する利用者側が用意する場合が多い。
【0048】
(管理責任者)
第3に、上長や上位オペレータM等の管理責任者について説明する。アラームに対して何らかの対策を実施する際、またはアラーム対応後において、上長や上位オペレータM等の管理責任者の承認や確認を必要とするプラント現場も多い。特に、アラーム棚上げ操作のようなアラームの振る舞いに影響を与えるような対策には、承認だけではなく、アラーム棚上げ操作の目的や理由等を記録として残すことが義務付けられている場合も少なくない。
【0049】
(1-3-3-2.アラーム管理システム100Pの処理の概要)
図2を用いて、アラーム管理システム100Pの処理の概要について説明する。アラーム管理システム100Pにおいて、対応オペレータOは、特にアラームの発生を、アラームサマリ画面を常時開いて、対応が必要なアラームが発生していないかを気にかけながら、操作や監視のオペレーションを遂行している。この際、対応オペレータOは、アラームサマリ画面上において、アラームを優先順序や発生順序等、対応オペレータOの趣向に合わせてソートして表示して、早急に対応が必要なものにフォーカスできるようにしておく。そのため、対応オペレータOは、対応が不要な、または即時の対応が必要のないアラームをなるべく表示させないように心がけている。
【0050】
図2の例では、対応オペレータOは、以下のようにアラーム対応操作を実施する。第1に、対応オペレータOは、対応オペレータ端末20のモニタに表示されたアラームサマリ画面からアラーム発生の有無の確認を実施する(
図2(1)参照)。第2に、対応オペレータOは、アラームが発生した場合には、アラーム対応に必要なアラームマニュアル(対応マニュアル)の確認を実施する(
図2(2)参照)。第3に、対応オペレータOは、必要に応じて管理責任者である上位オペレータMにアラーム対応の承認依頼を実施する(
図2(3)参照)。第4に、上位オペレータMは、アラーム対応の承認を実施する(
図2(4)参照)。第5に、対応オペレータOは、対応オペレータ端末20を使用してアラーム対応を実施する(
図2(5)参照)。第6に、対応オペレータOは、アラーム対応を実施した場合には、アラーム対応結果の報告や確認を実施する。
【0051】
上記のアラーム管理システム100Pの処理において、対応オペレータOは、必要に応じてHMI、すなわち対応オペレータ端末20から離れることがある。また、アラーム管理システム100Pでは、アラームが同時に複数発生することもあるので、優先順序や対応必要時間等が設定されている場合は、さらに複雑な手順が必要となる。
【0052】
また、アラーム管理システム100Pでは、より優先度の高いアラームが同時に出ている場合には、優先度の低いアラームを一時的に棚上げする機能(アラーム棚上げ機能)が、ISA18.2およびIEC62682にて必須機能として定義されている。対応オペレータOは、上記のアラーム棚上げ機能を使用して、他の作業に集中するためにアラーム棚上げ操作を実施する。また、対応オペレータOは、優先度の高いアラーム対応に集中するために、優先度の低いアラームを一時的に隠す意図で、アラーム棚上げ操作を実施する。しかしながら、アラーム棚上げ操作は、アラームを隠すという特性上、上位オペレータM等の承認を必要とする場合や、理由や目的を残すことをルール化しているプラント現場も多い。
【0053】
具体的な例では、対応オペレータOは、以下のようにアラーム棚上げ操作を実施する。第1に、対応オペレータOは、対応オペレータ端末20のモニタに表示されたアラームサマリ画面からアラーム発生の有無の確認を実施する。第2に、対応オペレータOは、アラームが発生した場合には、アラーム棚上げ操作の実施を判断し、アラーム対応を保留する棚上げ時間を決定する。第3に、対応オペレータOは、アラーム棚上げ操作の実施する理由や目的を記録する。第4に、対応オペレータOは、必要に応じて管理責任者である上位オペレータMにアラーム棚上げの承認依頼を実施する。第4に、上位オペレータMは、アラーム棚上げの承認を実施する。第5に、対応オペレータOは、対応オペレータ端末20を使用してアラーム棚上げ操作を実施する。
【0054】
上記のアラーム管理システム100Pの処理において、対応オペレータOは、必要に応じてHMI、すなわち対応オペレータ端末20から離れることがある。
【0055】
上述してきたアラーム管理システム100Pの処理以外にも、さらにいくつものアラーム操作や対応ケースは存在し、また、プラント現場ごとにそのルールや状況は異なっている。
【0056】
(1-3-3-3.アラーム管理システム100Pの問題点)
アラーム管理システム100Pの問題点について説明する。対応オペレータOに関連する問題点1、上位オペレータMに関連する問題点2、共有オペレータCに関連する問題点3の順に説明する。
【0057】
(問題点1)
第1に、対応オペレータOに関連する問題点1について説明する。対応オペレータOは、対応マニュアルの確認や、上位オペレータMとのやり取り等を実施するために、HMIから目を離す必要がある。そのため、対応オペレータOが目を離している間に、アラームの状況が変わったり、さらに優先度の高いアラームが発生したりする等の状況が変化する可能性があり、危険な状況になる場合がある。
【0058】
(問題点2)
第2に、上位オペレータMに関連する問題点2について説明する。対応オペレータOは、上位オペレータM等に承認依頼を実施する場合には、アラームの情報等を伝えるために、キャプチャ画像の入手や、アラーム種別を特定するためのID等のメモ等を実施し、上位オペレータM等に報告する必要がある。上記のような対応オペレータOの上位オペレータM等とのコミュニケーションの手間は、対応オペレータOの作業の妨げになり、対応遅延の原因となってしまう場合がある。
【0059】
(問題点3)
第3に、共有オペレータCに関連する問題点3について説明する。共有オペレータCは、対応オペレータOの状況を知ることができず、後から口頭で知る等の、情報の共有が遅れるケースがある。そのため、共有オペレータCが重複してアラームの対応をしてしまったり、対応理由や目的が共有されず、アラームが突然消えてしまい、混乱を招いたりする場合がある。
【0060】
(1-3-4.アラーム管理システム100の概要)
アラーム管理システム100の概要について説明する。以下では、アラーム対応フロー画面管理処理、アラーム棚上げフロー画面管理処理の順に説明する。
【0061】
(アラーム対応フロー画面管理処理)
アラーム管理システム100では、以下のようにアラーム対応フロー画面管理処理を実行する。第1に、アラーム管理装置10は、アラームを送信する。第2に、対応オペレータOは、アラーム操作としてアラーム対応操作を選択する。第3に、アラーム管理装置10は、フロー画面としてアラーム対応フロー画面を生成する。第4に、アラーム管理装置10は、フロー画面としてアラーム対応フロー画面を表示する。第5に、対応オペレータOは、対応マニュアルを確認する。第6に、アラーム管理装置10は、アラーム対応操作の承認を依頼する。第7に、対応オペレータOは、対応内容を入力する。第8に、対応オペレータ端末20は、入力情報を送信する。第9に、アラーム管理装置10は、アラーム操作の状況を共有する。
【0062】
(アラーム棚上げフロー画面管理処理)
アラーム管理システム100では、以下のようにアラーム棚上げフロー画面管理処理を実行する。第1に、アラーム管理装置10は、アラームを送信する。第2に、対応オペレータOは、アラーム操作としてアラーム棚上げ操作を選択する。第3に、アラーム管理装置10は、フロー画面としてアラーム棚上げフロー画面を生成する。第4に、アラーム管理装置10は、フロー画面としてアラーム棚上げフロー画面を表示する。第5に、対応オペレータOは、理由または目的を入力する。第6に、対応オペレータ端末20は、入力情報を送信する。第7に、アラーム管理装置10は、アラーム棚上げ操作の承認を依頼する。第8に、アラーム管理装置10は、アラーム操作の状況を共有する。
【0063】
(1-3-5.アラーム管理システム100の効果)
アラーム管理システム100の効果について説明する。対応オペレータOに関連する効果1、上位オペレータMに関連する効果2、共有オペレータCに関連する効果3の順に説明する。
【0064】
(効果1)
第1に、対応オペレータOに関連する効果1について説明する。アラーム管理システム100では、対応オペレータOは、マニュアル表示、承認や確認、棚上げ操作の理由入力等の、これまで外部システムや別の媒体に頼っていた部分を、システム内で完結することができるので、HMIから離れる時間が少なくなり、アラーム監視に集中ができる。また、アラーム管理システム100では、承認や確認の仕組みをシステムが連携することにより、自動的に該当アラームの情報と状態を添えて上位オペレータM等の承認者や確認者へ通知するので、対応オペレータOが状況説明をする手間が省ける。
【0065】
また、アラーム管理システム100では、アラーム対応手順についてフロー画面により作業手順をナビゲーションしてくれるので、経験の浅い対応オペレータOも、スムーズに対応することができ、また、状況をリモート環境で他の熟練した共有オペレータCが確認して、サポートすることができる。
【0066】
(効果2)
第2に、上位オペレータMに関連する効果2について説明する。アラーム管理システム100では、上位オペレータM等の承認者や確認者は、システムからの通知(システム内チャット、電子メール等の外部媒体)にて、依頼があったことを知ることができる。また、アラーム管理システム100では、上位オペレータMは、通知された内容を確認し、システムを通じて承認や確認操作、または電子メールやウェブページを通じた操作ができる。また、アラーム管理システム100では、依頼通知には、対象となるアラームの情報や現在の状態、対応オペレータOの操作理由や目的等のメモが付加されることにより、対象となる依頼内容を対応担当者がいなくても認識することができる。
【0067】
(効果3)
第3に、共有オペレータCに関連する効果3について説明する。アラーム管理システム100では、共有オペレータCは、アラームの対応状況をフロー画面から確認することができる。このとき、アラーム管理システム100では、対応を誰かが進めた場合、共有オペレータCは対応することができないよう排他ロジックをかける仕組みを導入することにより、冗長に対応することもなくなる。また、アラーム管理システム100では、アラーム棚上げ操作等により、アラームの状態が変化した場合も、その状況をフロー画面経由で確認し、理由や目的が共有され、混乱を避けることができる。
【0068】
以上より、アラーム管理システム100は、アラームを監視する対応オペレータOの負担を減らし、重要なアラーム監視に集中させるためのシステム支援を可能とする。すなわち、アラーム管理システム100は、アラームに対する対策の実施を支援することができる。
【0069】
〔2.アラーム管理システム100の各装置の構成および処理〕
図3を用いて、
図1に示したアラーム管理システム100が有するアラーム管理装置10の構成および処理について説明する。
図3は、実施形態に係るアラーム管理システム100の各装置の構成例を示すブロック図である。以下では、実施形態に係るアラーム管理システム100全体の構成例を説明した上で、アラーム管理装置10の構成例および処理例、対応オペレータ端末20の構成例および処理例、上位オペレータ端末30の構成例および処理例、ならびに共有オペレータ端末40の構成例および処理例を詳細に説明する。
【0070】
(2-1.アラーム管理システム100全体の構成例)
図3を用いて、
図1に示したアラーム管理システム100全体の構成例について説明する。
図3に示すように、アラーム管理システム100は、アラーム管理装置10、対応オペレータ端末20、上位オペレータ端末30および共有オペレータ端末40を有する。アラーム管理装置10は、対応オペレータ端末20、上位オペレータ端末30および共有オペレータ端末40と、インターネットや専用線等で実現される通信網Nによって通信可能に接続されている。
【0071】
(2-2.アラーム管理装置10の構成例および処理例)
図3を用いて、アラーム管理装置10の構成例および処理例について説明する。アラーム管理装置10は、通信部11、記憶部12および制御部13を有する。なお、アラーム管理装置10は、アラーム管理装置10の管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0072】
(2-2-1.通信部11)
通信部11は、他の装置との間でのデータ通信を司る。例えば、通信部11は、ルータ等を介して、各通信装置との間でデータ通信を行う。また、通信部11は、図示しないオペレータの端末との間でデータ通信を行うことができる。
【0073】
(2-2-2.記憶部12)
記憶部12は、制御部13が動作する際に参照する各種情報や、制御部13が動作した際に取得した各種情報を記憶する。記憶部12は、アラーム対応フロー画面記憶部12aおよびアラーム棚上げフロー画面記憶部12bを有する。ここで、記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置等で実現され得る。なお、
図3の例では、記憶部12は、アラーム管理装置10の内部に設置されているが、アラーム管理装置10の外部に設置されてもよいし、複数の記憶部が設置されていてもよい。
【0074】
記憶部12は、監視対象機器のアラームに対して実施可能な対策ごとの操作手順を記憶する。例えば、記憶部12は、アラームに対して即時に対応する即時対応操作の操作手順が示される即時対応フロー画面(アラーム対応フロー画面)を含む操作手順を記憶する。また、記憶部12は、アラームに対して一定時間対応を保留して一定時間経過後に対応する棚上げ操作の操作手順が示される棚上げフロー画面(アラーム棚上げフロー画面)を含む操作手順を記憶する。
【0075】
(2-2-2-1.アラーム対応フロー画面記憶部12a)
アラーム対応フロー画面記憶部12aは、後述する制御部13の出力部13cによって取得されるアラーム対応フロー画面を記憶する。ここで、
図4を用いて、アラーム対応フロー画面記憶部12aが記憶するデータの一例を説明する。
図4は、実施形態に係るアラーム管理装置10のアラーム対応フロー画面記憶部12aの一例を示す図である。
【0076】
すなわち、
図4では、即時対応操作の操作手順として、「対応マニュアル確認」→「承認依頼」→「対応作業中」と表示される画像データが、アラーム対応フロー画面記憶部12aに記憶されている例が示されている。
【0077】
(2-2-2-2.アラーム棚上げフロー画面記憶部12b)
アラーム棚上げフロー画面記憶部12bは、後述する制御部13の出力部13cによって取得されるアラーム棚上げフロー画面を記憶する。ここで、
図5を用いて、アラーム棚上げフロー画面記憶部12bが記憶するデータの一例を説明する。
図5は、実施形態に係るアラーム管理装置10のアラーム棚上げフロー画面記憶部12bの一例を示す図である。
【0078】
すなわち、
図5では、棚上げ操作の操作手順として、「理由・目的入力」→「承認依頼」→「棚上げ中」と表示される画像データが、アラーム棚上げフロー画面記憶部12bに記憶されている例が示されている。
【0079】
(2-2-3.制御部13)
制御部13は、当該アラーム管理装置10全体の制御を司る。制御部13は、受信部13a、受付部13bおよび出力部13cを有する。ここで、制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現され得る。
【0080】
(2-2-3-1.受信部13a)
受信部13aは、各種情報を受信する。なお、受信部13aは、受信した各種情報を記憶部12に格納してもよい。例えば、受信部13aは、アラーム検出機能を有する制御機器が送信した監視対象機器のアラームを受信する。また、受信部13aは、アラーム検出機能を有するサーバ機器が送信した監視対象機器のアラームを受信する。また、受信部13aは、アラーム検出機能を有しない監視対象機器、制御機器、サーバ機器等が送信したセンサ値やプロセス値を受信し、アラームを検出することもできる。
【0081】
ここで、監視対象機器とは、プラント制御システムの構成要素であるセンサ機器、通信機器、制御機器等であるが、特に限定されない。また、アラームは、プラントを制御するプラント制御システムにおいて、プラントまたは監視対象機器の異常を示すアラームであるが、特に限定されない。
【0082】
(2-2-3-2.受付部13b)
受付部13bは、各種情報を受け付ける。なお、受付部13bは、受け付けた各種情報を記憶部12に格納してもよい。例えば、受付部13bは、利用者が選択したアラームに対する実施可能な対策を受け付ける。
【0083】
すなわち、受付部13bは、利用者が選択したアラームに対して即時に対応する即時対応操作を、実施可能な対策として受け付ける。また、受付部13bは、利用者が選択した一定時間対応を保留して一定時間経過後に対応する棚上げ操作を、実施可能な対策として受け付ける。
【0084】
具体的な例について説明すると、受付部13bは、対応オペレータ端末20のアラームサマリ画面において、対応オペレータOによって「このアラームに対して、すぐに対応する」等のボタンがクリック操作された場合には、即時対応操作を受け付ける。また、受付部13bは、対応オペレータ端末20のアラームサマリ画面において、対応オペレータOによって「このアラームを棚上げする」等のボタンがクリック操作された場合には、棚上げ操作を受け付ける。
【0085】
(2-2-3-3.出力部13c)
出力部13cは、各種情報を出力する。なお、出力部13cは、記憶部12に記憶される各種情報を取得し、出力する。例えば、出力部13cは、利用者が選択した実施可能な対策に紐付けされた操作手順を記憶部12から取得し、利用者に出力する。このとき、出力部13cは、操作手順を画像データとして表示してもよいし、動画像データとして表示してもよいし、音声データとして再生してもよい。以下では、フロー画面表示処理、対応マニュアル画面表示処理、入力画面表示処理、状況共有画面表示処理、承認依頼画面表示処理の順に説明する。
【0086】
(フロー画面表示処理)
出力部13cは、フロー画面表示処理を実行する。すなわち、出力部13cは、利用者が選択した実施可能な対策に紐付けされた即時対応フロー画面または棚上げフロー画面を記憶部12から取得し、利用者の利用者端末に表示する。
【0087】
アラーム対応フロー画面の具体的な例について説明すると、出力部13cは、受付部13bによって実施可能な対策として即時対応操作が受け付けられている場合には、即時対応操作に紐付けされたアラーム対応フロー画面をアラーム対応フロー画面記憶部12aから取得し、利用者である対応オペレータOの対応オペレータ端末20のモニタに、「対応マニュアル確認」→「承認依頼」→「対応作業中」の手順の流れを示す「アラーム対応フロー画面」を表示する。
【0088】
アラーム棚上げフロー画面の具体的な例について説明すると、出力部13cは、受付部13bによって実施可能な対策として棚上げ操作が受け付けられている場合には、棚上げ操作に紐付けされたアラーム棚上げフロー画面をアラーム棚上げフロー画面記憶部12bから取得し、利用者である対応オペレータOの対応オペレータ端末20のモニタに、「理由・目的入力」→「承認依頼」→「棚上げ中」の手順の流れを示す「アラーム棚上げフロー画面」を表示する。
【0089】
(対応マニュアル画面表示処理)
出力部13cは、対応マニュアル画面表示処理を実行する。すなわち、出力部13cは、即時対応フロー画面または棚上げフロー画面において、利用者の選択に応じて、アラームに対して利用者が実施する作業内容を示す対応マニュアルを表示する。
【0090】
アラーム対応フロー画面の具体的な例について説明すると、出力部13cは、受付部13bによって実施可能な対策として即時対応操作が受け付けられている場合には、対応オペレータOによってアラーム対応フロー画面上の「対応マニュアル確認」等のボタンがクリック操作された場合には、発生したアラームに対する作業内容を示すオンラインマニュアルを表示する。
【0091】
アラーム棚上げフロー画面の具体的な例について説明すると、出力部13cは、受付部13bによって実施可能な対策として棚上げ操作が受け付けられている場合には、対応オペレータOによってアラーム対応フロー画面上の「棚上げを終了する」、「棚卸しする」等のボタンがクリック操作された場合には、発生したアラームに対する作業内容を示すオンラインマニュアルを表示する。
【0092】
(入力画面表示処理)
出力部13cは、入力画面表示処理を実行する。すなわち、出力部13cは、即時対応フロー画面において、利用者の選択に応じて、アラームに対して利用者が実施した作業内容を入力する入力画面を表示する。また、出力部13cは、棚上げフロー画面において、利用者の選択に応じて、アラームに対して利用者が棚上げ操作を選択した理由または目的を入力する入力画面を表示する。
【0093】
アラーム対応フロー画面の具体的な例について説明すると、出力部13cは、受付部13bによって実施可能な対策として即時対応操作が受け付けられている場合には、対応オペレータOによってアラーム対応フロー画面上の「対応作業中」等のボタンがクリック操作された場合には、「作業内容を入力してください」等のメッセージとともに、アラームに対して利用者が実施した作業内容を入力するテキスト入力画面を表示する。
【0094】
アラーム棚上げフロー画面の具体的な例について説明すると、出力部13cは、受付部13bによって実施可能な対策として棚上げ操作が受け付けられている場合には、対応オペレータOによってアラーム棚上げフロー画面上の「理由・目的入力」等のボタンがクリック操作された場合には、「棚上げする理由・目的を入力してください」等のメッセージとともに、アラームに対して利用者が棚上げ操作を選択した理由または目的を入力するテキスト入力画面を表示する。
【0095】
(状況共有画面表示処理)
出力部13cは、状況共有画面表示処理を実行する。すなわち、出力部13cは、第1の利用者からアラームに対する即時対応操作が受け付けられた後、第2の利用者から同一のアラームに対する即時対応操作が受け付けられた場合、即時対応操作に対応付けられる即時対応フロー画面と、即時対応操作の進捗状況と、第1の利用者が即時対応フロー画面の入力画面に入力した作業内容とを表示する。また、出力部13cは、第1の利用者からアラームに対する棚上げ操作が受け付けられた後、第2の利用者から同一のアラームに対する棚上げ操作が受け付けられた場合、棚上げ操作に対応付けられる棚上げフロー画面と、棚上げ操作の進捗状況と、第1の利用者が棚上げフロー画面の入力画面に入力した理由または目的とを表示する。
【0096】
アラーム対応フロー画面の具体的な例について説明すると、出力部13cは、共有オペレータCの使用する共有オペレータ端末40のモニタに対応オペレータOが対応中のアラームに関するアラーム対応フロー画面を表示し、共有オペレータCによってアラーム対応フロー画面上の「対応作業中」等のボタンがクリック操作された場合には、「実施済みの作業内容を表示します」等のメッセージとともに、アラームに対して対応オペレータOが実施した作業内容を記載したダイアログボックスを表示する。このとき、出力部13cは、進捗状況を示すために現在実施している操作手順(例:「対応マニュアル確認」)を示すボタンを着色(例:赤色)して表示することもできる。
【0097】
アラーム棚上げフロー画面の具体的な例について説明すると、出力部13cは、共有オペレータCの使用する共有オペレータ端末40のモニタに対応オペレータOが棚上げ中のアラームに関するアラーム棚上げフロー画面を表示し、共有オペレータCによってアラーム棚上げフロー画面上の「理由・目的入力」等のボタンがクリック操作された場合には、「棚上げする理由・目的を表示します」等のメッセージとともに、アラームに対して利用者が棚上げ操作を選択した理由または目的を記載したダイアログボックスを表示する。このとき、出力部13cは、進捗状況を示すために現在実施している操作手順(例:「理由・目的入力」)を示すボタンを着色(例:赤色)して表示することもできる。
【0098】
(承認依頼画面表示処理)
出力部13cは、承認依頼画面表示処理を実行する。すなわち、出力部13cは、即時対応フロー画面において、アラームに対して利用者が実施する作業内容の承認を依頼可能な画面を、アラームが発生した監視対象機器を管理する管理者の管理者端末に表示する。また、出力部13cは、棚上げフロー画面において、アラームに対する棚上げ操作の承認を依頼可能な画面を、アラームが発生した監視対象機器を管理する管理者の管理者端末に表示する。
【0099】
アラーム対応フロー画面の具体的な例について説明すると、出力部13cは、受付部13bによって実施可能な対策として即時対応操作が受け付けられている場合には、上位オペレータMの使用する上位オペレータ端末30のモニタに「XXXXXX対応を実施します。ご承認お願いします。」等のメッセージとともに、「承認」および「却下」等のボタンを付与したウィンドウを表示する。
【0100】
アラーム棚上げフロー画面の具体的な例について説明すると、出力部13cは、受付部13bによって実施可能な対策として棚上げ操作が受け付けられている場合には、上位オペレータMの使用する上位オペレータ端末30のモニタに「XXXXX対応のため、24時間棚上げする」等のメッセージとともに、「承認」および「却下」等のボタンを付与したウィンドウを表示する。
【0101】
(2-3.対応オペレータ端末20の構成例)
図3を用いて、
図1に示した対応オペレータ端末20の一例について説明する。対応オペレータ端末20は、アラームに対応する対応オペレータOが使用する端末であって、入出力部21、送受信部22および通信部23を有する。
【0102】
(2-3-1.入出力部21)
入出力部21は、当該対応オペレータ端末20への各種情報の入力を司る。例えば、入出力部21は、マウスやキーボードやタッチパネル等で実現され、当該対応オペレータ端末20への設定情報等の入力を受け付ける。また、入出力部21は、当該対応オペレータ端末20からの各種情報の表示を制御する。例えば、入出力部21は、ディスプレイ等で実現され、当該対応オペレータ端末20に記憶された設定情報等の表示を制御する。
【0103】
入出力部21は、アラーム管理装置10から送信されたアラームの一覧を示すアラームサマリ画面の表示を制御する。また、入出力部21は、アラーム管理装置10から送信されたアラーム対応フロー画面の表示を制御する。また、入出力部21は、アラーム管理装置10から送信されたアラーム棚上げフロー画面の表示を制御する。
【0104】
(2-3-2.送受信部22)
送受信部22は、各種情報を送信する。例えば、送受信部22は、対応オペレータOが選択したアラームに対して即時に対応する即時対応操作を、実施可能な対策としてアラーム管理装置10に送信する。また、送受信部22は、対応オペレータOが選択した一定時間対応を保留して一定時間経過後に対応する棚上げ操作を、実施可能な対策としてアラーム管理装置10に送信する。
【0105】
送受信部22は、各種情報を受信する。例えば、送受信部22は、アラーム管理装置10から送信されたアラーム対応フロー画面の画像データを受信する。また、送受信部22は、アラーム管理装置10から送信されたアラーム棚上げフロー画面の画像データを受信する。
【0106】
(2-3-3.通信部23)
通信部23は、他の装置との間でのデータ通信を司る。例えば、通信部23は、ルータ等を介して、各通信装置との間でデータ通信を行う。また、通信部23は、図示しないオペレータの端末との間でデータ通信を行うことができる。
【0107】
(2-4.上位オペレータ端末30の構成例)
図3を用いて、
図1に示した上位オペレータ端末30の一例について説明する。上位オペレータ端末30は、対応オペレータOや共有オペレータCを指揮監督する上位オペレータMが使用する端末であって、入出力部31、送受信部32および通信部33を有する。
【0108】
(2-4-1.入出力部31)
入出力部31は、当該上位オペレータ端末30への各種情報の入力を司る。例えば、入出力部31は、マウスやキーボードやタッチパネル等で実現され、当該上位オペレータ端末30への設定情報等の入力を受け付ける。また、入出力部31は、当該上位オペレータ端末30からの各種情報の表示を制御する。例えば、入出力部31は、ディスプレイ等で実現され、当該上位オペレータ端末30に記憶された設定情報等の表示を制御する。
【0109】
入出力部31は、アラーム管理装置10から送信された、アラームに対して利用者が実施する作業内容の承認を依頼可能な承認依頼画面の表示を制御する。また、入出力部31は、アラーム管理装置10から送信された、アラームに対する棚上げ操作の承認を依頼可能な承認依頼画面の表示を制御する。
【0110】
(2-4-2.送受信部32)
送受信部32は、各種情報を送信する。例えば、送受信部32は、アラーム管理装置10から送信された、アラームに対して利用者が実施する作業内容の承認依頼に対して、承認または却下の応答をアラーム管理装置10に送信する。また、送受信部32は、アラーム管理装置10から送信された、アラームに対する棚上げ操作の承認依頼に対して、承認または却下の応答をアラーム管理装置10に送信する。
【0111】
送受信部32は、各種情報を受信する。例えば、送受信部32は、アラーム管理装置10から送信された、アラームに対して利用者が実施する作業内容の承認依頼画面の画像データを受信する。また、送受信部32は、アラーム管理装置10から送信された、アラームに対する棚上げ操作の承認依頼画面の画像データを受信する。
【0112】
(2-4-3.通信部33)
通信部33は、他の装置との間でのデータ通信を司る。例えば、通信部33は、ルータ等を介して、各通信装置との間でデータ通信を行う。また、通信部33は、図示しないオペレータの端末との間でデータ通信を行うことができる。
【0113】
(2-5.共有オペレータ端末40の構成例)
図3を用いて、
図1に示した共有オペレータ端末40の一例について説明する。共有オペレータ端末40は、アラームに対応する対応オペレータOと状況を共有する共有オペレータCが使用する端末であって、入出力部41、送受信部42および通信部43を有する。
【0114】
(2-5-1.入出力部41)
入出力部41は、当該共有オペレータ端末40への各種情報の入力を司る。例えば、入出力部41は、マウスやキーボードやタッチパネル等で実現され、当該共有オペレータ端末40への設定情報等の入力を受け付ける。また、入出力部41は、当該共有オペレータ端末40からの各種情報の表示を制御する。例えば、入出力部41は、ディスプレイ等で実現され、当該共有オペレータ端末40に記憶された設定情報等の表示を制御する。
【0115】
入出力部41は、アラーム管理装置10から送信された即時対応フロー画面において、即時対応操作の進捗状況、および対応オペレータOによって入力された作業内容が閲覧可能な状況共有画面の表示を制御する。また、入出力部41は、アラーム管理装置10から送信された棚上げ対応フロー画面において、棚上げ操作の進捗状況、および、対応オペレータOによって入力された理由または目的が閲覧可能な状況共有画面の表示を制御する。
【0116】
(2-5-2.送受信部42)
送受信部42は、各種情報を送信する。例えば、送受信部42は、アラーム管理装置10から送信された即時対応フロー画面を介して、対応オペレータOによって入力された作業内容の閲覧要求をアラーム管理装置10に送信する。また、送受信部42は、アラーム管理装置10から送信された棚上げ対応フロー画面を介して、対応オペレータOによって入力された理由または目的の閲覧要求をアラーム管理装置10に送信する。
【0117】
送受信部42は、各種情報を受信する。例えば、送受信部42は、アラーム管理装置10から送信された即時対応フロー画面を介して、即時対応操作の進捗状況、および対応オペレータOによって入力された作業内容が閲覧可能な状況共有画面のテキストデータを受信する。また、送受信部42は、アラーム管理装置10から送信された棚上げ対応フロー画面を介して、棚上げ操作の進捗状況、および、対応オペレータOによって入力された理由または目的が閲覧可能な状況共有画面のテキストデータを受信する。
【0118】
(2-5-3.通信部43)
通信部43は、他の装置との間でのデータ通信を司る。例えば、通信部43は、ルータ等を介して、各通信装置との間でデータ通信を行う。また、通信部43は、図示しないオペレータの端末との間でデータ通信を行うことができる。
【0119】
〔3.アラーム管理システム100の各処理の具体例〕
図6および
図7を用いて、実施形態に係るアラーム管理システム100の各処理の具体例について説明する。以下では、実施形態に係るアラーム管理システム100の基本構成を説明した上で、アラーム管理システム100で実行されるアラーム対応フロー画面管理処理の具体例、アラーム棚上げフロー画面管理処理の具体例、アラーム管理システム100の適用例の順に説明する。
【0120】
(3-1.アラーム管理システム100の基本構成)
以下では、実施形態に係るアラーム管理システム100の基本構成について、フロー画面、オペレータノート機能の順に説明する。
【0121】
(3-1-1.フロー画面)
第1に、実施形態に係るフロー画面について説明する。フロー画面は、アラーム操作(アラームの確認、棚上げ、棚卸し等)ごとに、対応フローがフローチャート形式で示されたフロー画面として表示される。フロー画面は、アラームサマリ画面等から、クリック操作、ダブルクリック操作等の簡易な操作にて表示することができる。
【0122】
フロー画面は、現状、どのプロセスにいるのか一目でわかるように表示されており(例:対応フローを着色)、オンラインマニュアルの表示や、上位オペレータM等との承認依頼画面の表示等の機能が備わっており、システム内で作業を完結することができる。このとき、上位オペレータM等への承認依頼は、システム内通知、または電子メール等の通知を用いて実現することができる。
【0123】
また、フロー画面は、フローの中の各プロセスにおいて、対応オペレータO、上位オペレータM、共有オペレータC等と、後述するオペレータノートを共有することができる。
【0124】
(3-1-2.オペレータノート機能)
第2に、実施形態に係るオペレータノート機能について説明する。オペレータノート機能は、対応オペレータOが残す操作メモを他のオペレータと共有したり、インタラクティブに返信を受信したりする機能である。また、オペレータノート機能では、承認や確認機能も備えることにより、宛先を選んで承認依頼を送信することで、宛先の承認者へ通知(システム内チャットや電子メール等)が届く。上位オペレータM等の承認者は、システムを通じて(または外出中は、メールの返信等)、承認や確認をすることができる。また、オペレータノート機能は、書き込み権限や読み込み権限を利用者ごとに設定できる。
【0125】
また、オペレータノート機能は、フロー画面と連携し、承認やオペレータノートに理由や目的入力を必須とすることで、フローにロックがかかり承認がおりる、または理由や目的の入力が完了するまでフローを進めることができなくなる。なお、オペレータノート機能では、承認が却下された場合、対応オペレータOは、却下理由を確認して、それに応じた対応を行い、再度承認依頼を実施することが可能になる。
【0126】
(3-2.アラーム対応フロー画面管理処理の具体例)
図6を用いて、アラーム管理システム100で実行されるアラーム対応フロー画面管理処理の具体例について説明する。
図6は、実施形態に係るアラーム対応フロー画面管理処理の具体例を示す図である。
【0127】
図6の例では、対応オペレータOは、以下のようにアラーム対応操作を実施する。第1に、対応オペレータOは、対応オペレータ端末20のモニタに表示されたアラームサマリ画面からアラーム発生の有無の確認を実施し、アラームが発生した場合に通常対応(即時対応)を選択する(
図6(1)参照)。第2に、対応オペレータOは、対応オペレータ端末20のモニタに表示された「アラーム対応フロー画面」の「対応マニュアル確認」ボタンをクリック操作し、表示されたオンラインマニュアルの確認を実施する(
図6(2)参照)。第3に、対応オペレータOは、対応オペレータ端末20のモニタに表示された「アラーム対応フロー画面」の「承認依頼」ボタンをクリック操作し、上位オペレータMにアラーム対応の承認依頼を実施する(
図6(3)参照)。このとき、上位オペレータMは、上位オペレータ端末30のモニタに表示された承認依頼画面においてアラーム対応の承認または却下を選択することができる。第4に、対応オペレータOは、対応オペレータ端末20のモニタに表示された「アラーム対応フロー画面」の「対応作業中」ボタンをクリック操作し、実施したアラーム対応の作業内容をオペレータノートに入力する(
図6(4)参照)。第5に、共有オペレータCは、共有オペレータ端末40のモニタに表示された「アラーム対応フロー画面」の「対応作業中」ボタンをクリック操作することによって、対応オペレータOが実施した作業内容を確認することができる(
図6(5)参照)。
【0128】
上記のアラーム対応フロー画面におけるフローは、アラームエンジニアリングとして、利用者ごとにデザインすることができる。また、発生したアラームの種別、発生場所、緊急度等をもとに、所定のフローへの操作(例:「対応マニュアル確認」)を必須の操作として設定することもできる。また、発生したアラームの種別、発生場所、緊急度等をもとに、アラーム対応フロー画面を通さない緊急対応手段を設定することもできる。
【0129】
(3-3.アラーム棚上げフロー画面管理処理の具体例)
図7を用いて、アラーム管理システム100で実行されるアラーム棚上げフロー画面管理処理の具体例について説明する。
図7は、実施形態に係るアラーム棚上げフロー画面管理処理の具体例を示す図である。
【0130】
図7の例では、対応オペレータOは、以下のようにアラーム棚上げ操作を実施する。第1に、対応オペレータOは、対応オペレータ端末20のモニタに表示されたアラームサマリ画面からアラーム発生の有無の確認を実施し、アラームが発生した場合に棚上げを選択する(
図7(1)参照)。第2に、対応オペレータOは、対応オペレータ端末20のモニタに表示された「アラーム棚上げフロー画面」の「理由・目的入力」ボタンをクリック操作し、アラームを棚上げする理由または目的をオペレータノートに入力する(
図7(2)参照)。第3に、対応オペレータOは、対応オペレータ端末20のモニタに表示された「アラーム棚上げフロー画面」の「承認依頼」ボタンをクリック操作し、上位オペレータMにアラーム対応の承認依頼を実施する(
図7(3)参照)。このとき、上位オペレータMは、上位オペレータ端末30のモニタに表示された承認依頼画面において棚上げの承認または却下を選択することができる。第4に、共有オペレータCは、共有オペレータ端末40のモニタに表示された「アラーム対応フロー画面」の「理由・目的入力」ボタンをクリック操作することによって、対応オペレータOが入力した棚上げの理由または目的を確認することができる(
図7(4)参照)。
【0131】
上記のアラーム棚上げフロー画面におけるフローは、アラームエンジニアリングとして、利用者ごとにデザインすることができる。また、発生したアラームの種別、発生場所、緊急度等をもとに、所定のフローへの操作(例:「理由・目的入力」)を必須の操作として設定することもできる。また、発生したアラームの種別、発生場所、緊急度等をもとに、アラーム棚上げフロー画面を通さない緊急対応手段を設定することもできる。
【0132】
(3-4.アラーム管理システム100の適用例)
以下では、実施形態に係るアラーム管理システム100の適用例について、教育サポート、ノウハウの蓄積の順に説明する。
【0133】
(3-4-1.教育サポート)
アラーム管理システム100の適用例として、熟練者から初心者への教育サポートについて説明する。アラーム管理システム100は、プラントの事故状況等を、プラント制御システムにてシミュレーションする機能と組み合わせることにより、経験の浅い初心者に対する教育機能として利用できる。ここで、熟練者の人数が限られているので、現地ではなくリモート環境にしかいない場合も想定される。アラーム管理システム100は、このような場合でもシステムと連携することにより、手厚い教育をサポートすることができる。
【0134】
例えば、アラーム管理システム100は、シミュレータにより事故当日のアラーム発生状況を再現し、リアルタイムで熟練者がオペレータノートを通じてサポートすることができる。参考技術に係るアラーム管理システム100Pでは、承認手続き等のシステム外の予行演習は実施が難しかったが、アラーム管理システム100は、システム内で上記の予行演習を実施することも容易となる。また、アラーム管理システム100は、音声通話機能やビデオチャット機能をフロー画面と連携させることによって、よりインタラクティブなコミュニケーションを取りながら教育を進めることができる。
【0135】
(3-4-2.ノウハウの蓄積)
アラーム管理システム100の適用例として、ノウハウとしてオペレータノートを蓄積する例について説明する。アラーム管理システム100は、アラームに対する対応履歴を残し、誰がどのように対応をしたのか、どのような問題が発生したのか等をオペレータノートに蓄積していくことにより、ノウハウ集として集積することができる。上記のノウハウは、類似ジョブにおいても活用することができ、操業中の参考情報として、または教育資料として活用できる。
【0136】
また、アラーム管理システム100は、対応オペレータOの生の対応履歴を残しておくことにより、実際に事故等が発生した際に、単なるエラーログだけではなく、より効果的な対策を検討することができる。
【0137】
〔4.アラーム管理システム100の各処理の流れ〕
図8および
図9を用いて、実施形態に係るアラーム管理システム100の各処理の流れについて説明する。以下では、実施形態に係るアラーム対応フロー画面管理処理、アラーム棚上げフロー画面管理処理の順に説明する。
【0138】
(4-1.アラーム対応フロー画面管理処理)
図8を用いて、実施形態に係るアラーム管理システム100のアラーム対応フロー画面管理処理の流れについて説明する。
図8は、実施形態に係るアラーム管理システム100のアラーム対応フロー画面管理処理の流れの一例を示すシーケンス図である。以下では、アラーム対応フロー画面管理処理として、アラーム対応選択管理処理、アラーム対応フロー画面管理処理、対応マニュアル管理処理、作業内容承認管理処理、アラーム対応状況共有管理処理の順に説明する。なお、下記のステップS101~S117の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS101~S117の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0139】
(4-1-1.アラーム対応選択管理処理)
アラーム管理システム100は、下記のステップS101~S105の処理で示されるアラーム対応選択管理処理を実行する。
【0140】
第1に、アラーム管理装置10は、アラーム情報作成処理を実行する(ステップS101)。第2に、アラーム管理装置10は、アラーム情報送信処理を実行する(ステップS102)。第3に、対応オペレータ端末20は、アラーム画面表示処理を実行する(ステップS103)。第4に、対応オペレータ端末20は、アラーム対応選択処理を実行する(ステップS104)。第5に、対応オペレータ端末20は、選択情報送信処理を実行する(ステップS105)。
【0141】
(4-1-2.アラーム対応フロー画面管理処理)
アラーム管理システム100は、下記のステップS106~S108の処理で示されるアラーム対応フロー画面管理処理を実行する。
【0142】
第1に、アラーム管理装置10は、アラーム対応フロー画面情報生成処理を実行する(ステップS106)。第2に、アラーム管理装置10はアラーム対応フロー画面情報送信処理を実行する(ステップS107)。第3に、対応オペレータ端末20は、アラーム対応フロー画面表示処理を実行する(ステップS108)。
【0143】
(4-1-3.対応マニュアル管理処理)
アラーム管理システム100は、下記のステップS109~S110の処理で示される対応マニュアル管理処理を実行する。
【0144】
第1に、アラーム管理装置10は、マニュアル情報送信処理を実行する(ステップS109)。第2に、対応オペレータ端末20は、対応マニュアル表示処理を実行する(ステップS110)。
【0145】
(4-1-4.作業内容承認管理処理)
アラーム管理システム100は、下記のステップS111~S113の処理で示される作業内容承認管理処理を実行する。
【0146】
第1に、アラーム管理装置10は、作業内容承認依頼送信処理を実行する(ステップS111)。第2に、上位オペレータ端末30は、作業内容承認処理を実行する(ステップS112)。第3に、上位オペレータ端末30は、作業内容承認送信処理を実行する(ステップS113)。
【0147】
(4-1-5.アラーム対応状況共有管理処理)
アラーム管理システム100は、下記のステップS114~S117の処理で示されるアラーム対応状況共有管理処理を実行する。
【0148】
第1に、対応オペレータ端末20は、対応内容入力処理を実行する(ステップS114)。第2に、対応オペレータ端末20は、入力情報送信処理を実行する(ステップS115)。第3に、アラーム管理装置10は、入力情報保存処理を実行する(ステップS116)。第4に、アラーム管理装置10は、入力情報送信処理を実行する(ステップS117)。
【0149】
(4-2.アラーム棚上げフロー画面管理処理)
図9を用いて、実施形態に係るアラーム管理システム100のアラーム棚上げフロー画面管理処理の流れについて説明する。
図9は、実施形態に係るアラーム管理システム100のアラーム棚上げフロー画面管理処理の流れの一例を示すシーケンス図である。以下では、アラーム棚上げフロー画面管理処理として、アラーム棚上げ選択管理処理、アラーム棚上げフロー画面管理処理、アラーム棚上げ状況共有管理処理、アラーム棚上げ承認管理処理の順に説明する。なお、下記のステップS201~S215の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS201~S215の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0150】
(4-2-1.アラーム棚上げ選択管理処理)
アラーム管理システム100は、下記のステップS201~S205の処理で示されるアラーム棚上げ選択管理処理を実行する。
【0151】
第1に、アラーム管理装置10は、アラーム情報作成処理を実行する(ステップS201)。第2に、アラーム管理装置10は、アラーム情報送信処理を実行する(ステップS202)。第3に、対応オペレータ端末20は、アラーム画面表示処理を実行する(ステップS203)。第4に、対応オペレータ端末20は、アラーム棚上げ選択処理を実行する(ステップS204)。第5に、対応オペレータ端末20は、選択情報送信処理を実行する(ステップS205)。
【0152】
(4-2-2.アラーム棚上げフロー画面管理処理)
アラーム管理システム100は、下記のステップS206~S208の処理で示されるアラーム棚上げフロー画面管理処理を実行する。
【0153】
第1に、アラーム管理装置10は、アラーム棚上げフロー画面情報生成処理を実行する(ステップS206)。第2に、アラーム管理装置10はアラーム棚上げフロー画面情報送信処理を実行する(ステップS207)。第3に、対応オペレータ端末20は、アラーム棚上げフロー画面表示処理を実行する(ステップS208)。
【0154】
(4-2-3.アラーム棚上げ状況共有管理処理)
アラーム管理システム100は、下記のステップS209~S212の処理で示されるアラーム棚上げ状況共有管理処理を実行する。
【0155】
第1に、対応オペレータ端末20は、理由・目的入力処理を実行する(ステップS209)。第2に、対応オペレータ端末20は、入力情報送信処理を実行する(ステップS210)。第3に、アラーム管理装置10は、入力情報保存処理を実行する(ステップS211)。第4に、アラーム管理装置10は、入力情報送信処理を実行する(ステップS212)。
【0156】
(4-2-4.アラーム棚上げ承認管理処理)
アラーム管理システム100は、下記のステップS213~S215の処理で示されるアラーム棚上げ承認管理処理を実行する。
【0157】
第1に、アラーム管理装置10は、アラーム棚上げ承認依頼送信処理を実行する(ステップS213)。第2に、上位オペレータ端末30は、アラーム棚上げ承認処理を実行する(ステップS214)。第3に、上位オペレータ端末30は、アラーム棚上げ承認送信処理を実行する(ステップS215)。
【0158】
〔5.実施形態の効果〕
最後に、実施形態の効果について説明する。以下では、実施形態に係る処理に対応する効果1~8について説明する。
【0159】
(5-1.効果1)
第1に、上述した実施形態に係る処理では、アラーム管理装置10は、監視対象機器のアラームに対して実施可能な対策ごとの操作手順を記憶し、監視対象機器のアラームを送信し、対応オペレータOが選択したアラームに対する対策を受け付け、対応オペレータOが選択した対策に紐付けされた操作手順を取得し、対応オペレータOに出力する。このため、本処理では、対応オペレータOが実施するアラームに対する対策の実施を支援することができる。
【0160】
(5-2.効果2)
第2に、上述した実施形態に係る処理では、アラーム管理装置10は、アラームに対して即時に対応するアラーム対応操作の操作手順が示されるアラーム対応フロー画面、およびアラームに対して一定時間対応を保留して一定時間経過後に対応するアラーム棚上げ操作の操作手順が示されるアラーム棚上げフロー画面を含む操作手順を記憶し、対応オペレータOが選択した対策に紐付けされたアラーム対応フロー画面またはアラーム棚上げフロー画面を取得し、対応オペレータOの対応オペレータ端末20に表示する。このため、本処理では、フロー画面を表示することによって、対応オペレータOが実施するアラームに対する対策の実施を支援することができる。
【0161】
(5-3.効果3)
第3に、上述した実施形態に係る処理では、アラーム管理装置10は、アラーム対応フロー画面またはアラーム棚上げフロー画面において、対応オペレータOの選択に応じて、アラームに対して対応オペレータOが実施する作業内容を示す対応マニュアルを表示する。このため、本処理では、対応マニュアルと紐付けされたフロー画面を表示することによって、対応オペレータOが実施するアラームに対する対策の実施を支援することができる。
【0162】
(5-4.効果4)
第4に、上述した実施形態に係る処理では、アラーム対応フロー画面は、対応オペレータOが実施した対策の作業内容を入力する入力画面を有し、アラーム管理装置10は、対応オペレータOからアラームに対するアラーム対応操作が受け付けられた後、共有オペレータCから同一のアラームに対するアラーム対応操作が受け付けられた場合、アラーム対応操作に対応付けられるアラーム対応フロー画面と、アラーム対応操作の進捗状況と、対応オペレータOがアラーム対応フロー画面の入力画面に入力した作業内容とを表示する。このため、本処理では、対応内容を示すオペレータノートと紐付けされたフロー画面を表示することによって、対応オペレータOが実施するアラームに対する対策の実施を支援することができる。
【0163】
(5-5.効果5)
第5に、上述した実施形態に係る処理では、アラーム棚上げフロー画面は、アラームに対して対応オペレータOがアラーム棚上げ操作を選択した理由または目的を入力する入力画面を有し、アラーム管理装置10は、対応オペレータOからアラームに対するアラーム棚上げ操作が受け付けられた後、共有オペレータCから同一のアラームに対するアラーム棚上げ操作が受け付けられた場合、アラーム棚上げ操作に対応付けられるアラーム棚上げフロー画面と、アラーム棚上げ操作の進捗状況と、対応オペレータOがアラーム棚上げフロー画面の入力画面に入植した理由または目的とを表示する。このため、本処理では、棚上げの理由または目的を示すオペレータノートと紐付けされたフロー画面を表示することによって、対応オペレータOが実施するアラームに対する対策の実施を支援することができる。
【0164】
(5-6.効果6)
第6に、上述した実施形態に係る処理では、アラーム管理装置10は、アラーム対応フロー画面において、アラームに対して対応オペレータOが実施する作業内容の承認を依頼可能な画面を、アラームが発生した監視対象機器を管理する上位オペレータMの上位オペレータ端末30に表示する。このため、本処理では、作業内容の承認依頼画面と紐付けされたフロー画面を表示することによって、対応オペレータOが実施するアラームに対する対策の実施を支援することができる。
【0165】
(5-7.効果7)
第7に、上述した実施形態に係る処理では、アラーム管理装置10は、アラーム棚上げフロー画面において、アラームに対する棚上げ操作の承認を依頼可能な画面を、アラームが発生した監視対象機器を管理する上位オペレータMの上位オペレータ端末30に表示する。このため、本処理では、棚上げの承認依頼画面と紐付けされたフロー画面を表示することによって、対応オペレータOが実施するアラームに対する対策の実施を支援することができる。
【0166】
(5-8.効果8)
第8に、上述した実施形態に係る処理では、アラームは、プラントを制御するプラント制御システムにおいて、プラントまたは監視対象機器の異常を示すアラームである。このため、本処理では、プラント制御システムにおいて、対応オペレータOが実施するアラームに対する対策の実施を支援することができる。
【0167】
〔システム〕
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0168】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0169】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0170】
〔ハードウェア〕
次に、アラーム管理装置であるアラーム管理装置10のハードウェア構成例を説明する。なお、他の装置も同様のハードウェア構成とすることができる。
図10は、実施形態に係るハードウェア構成例を説明する図である。
図10に示すように、アラーム管理装置10は、通信装置10a、ストレージ10b、メモリ10c、プロセッサ10dを有する。また、
図10に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0171】
通信装置10aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他のサーバとの通信を行う。ストレージ10bは、
図3に示した機能を動作させるプログラムやデータベースを記憶する。
【0172】
プロセッサ10dは、
図3に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをストレージ10b等から読み出してメモリ10cに展開することで、
図3等で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、アラーム管理装置10が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ10dは、受信部13a、受付部13b、出力部13c等と同様の機能を有するプログラムをストレージ10b等から読み出す。そして、プロセッサ10dは、受信部13a、受付部13b、出力部13c等と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0173】
このように、アラーム管理装置10は、プログラムを読み出して実行することで各種処理方法を実行する装置として動作する。また、アラーム管理装置10は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施形態と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施形態でいうプログラムは、アラーム管理装置10によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0174】
このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【0175】
〔その他〕
開示される技術特徴の組合せのいくつかの例を以下に記載する。
【0176】
(1)監視対象機器のアラームに対して実施可能な対策ごとの操作手順を記憶する記憶部と、前記監視対象機器のアラームを送信する送信部と、利用者が選択した前記アラームに対する前記対策を受け付ける受付部と、前記利用者が選択した前記対策に紐付けされた前記操作手順を前記記憶部から取得し、前記利用者に出力する出力部と、を備えるアラーム管理装置。
【0177】
(2)前記記憶部は、前記アラームに対して即時に対応する即時対応操作の操作手順が示される即時対応フロー画面、および前記アラームに対して一定時間対応を保留して前記一定時間経過後に対応する棚上げ操作の操作手順が示される棚上げフロー画面を含む前記操作手順を記憶し、前記出力部は、前記利用者が選択した前記対策に紐付けされた前記即時対応フロー画面または前記棚上げフロー画面を前記記憶部から取得し、前記利用者の利用者端末に表示する、(1)に記載のアラーム管理装置。
【0178】
(3)前記出力部は、前記即時対応フロー画面または前記棚上げフロー画面において、前記利用者の選択に応じて、前記アラームに対して前記利用者が実施する作業内容を示す対応マニュアルを表示する、(2)に記載のアラーム管理装置。
【0179】
(4)前記即時対応フロー画面は、第1の利用者が実施した対策の作業内容を入力する入力画面を有し、前記出力部は、前記第1の利用者から前記アラームに対する前記即時対応操作が受け付けられた後、第2の利用者から同一の前記アラームに対する前記即時対応操作が受け付けられた場合、前記即時対応操作に対応付けられる前記即時対応フロー画面と、前記即時対応操作の進捗状況と、前記第1の利用者が前記即時対応フロー画面の前記入力画面に入力した作業内容とを表示する、(2)または(3)に記載のアラーム管理装置。
【0180】
(5)前記棚上げフロー画面は、前記アラームに対して第1の利用者が前記棚上げ操作を選択した理由または目的を入力する入力画面を有し、前記出力部は、前記第1の利用者から前記アラームに対する前記棚上げ操作が受け付けられた後、第2の利用者から同一の前記アラームに対する前記棚上げ操作が受け付けられた場合、前記棚上げ操作に対応付けられる前記棚上げフロー画面と、前記棚上げ操作の進捗状況と、前記第1の利用者が前記棚上げフロー画面の前記入力画面に書き込んだ前記理由または前記目的とを表示する、(2)~(4)のいずれか1つに記載のアラーム管理装置。
【0181】
(6)前記出力部は、前記即時対応フロー画面において、前記アラームに対して前記利用者が実施する作業内容の承認を依頼可能な画面を、前記アラームが発生した前記監視対象機器を管理する管理者の管理者端末に表示する、(2)~(5)のいずれか1つに記載のアラーム管理装置。
【0182】
(7)前記出力部は、前記棚上げフロー画面において、前記アラームに対する前記棚上げ操作の承認を依頼可能な画面を、前記アラームが発生した前記監視対象機器を管理する管理者の管理者端末に表示する、(2)~(6)のいずれか1つに記載のアラーム管理装置。
【0183】
(8)前記アラームは、プラントを制御するプラント制御システムにおいて、前記プラントまたは前記監視対象機器の異常を示すアラームである、(1)~(7)のいずれか1つに記載のアラーム管理装置。
【0184】
(9)コンピュータが、監視対象機器のアラームに対して実施可能な対策ごとの操作手順を保持し、前記監視対象機器のアラームを送信し、利用者が選択した前記アラームに対する前記対策を受け付け、前記利用者が選択した前記対策に紐付けされた前記操作手順を取得し、前記利用者に出力する、処理を実行するアラーム管理方法。
【0185】
(10)コンピュータに、監視対象機器のアラームに対して実施可能な対策ごとの操作手順を保持し、前記監視対象機器のアラームを送信し、利用者が選択した前記アラームに対する前記対策を受け付け、前記利用者が選択した前記対策に紐付けされた前記操作手順を取得し、前記利用者に出力する、処理を実行させるアラーム管理プログラム。
【符号の説明】
【0186】
10 アラーム管理装置
11 通信部
12 記憶部
12a アラーム対応フロー画面記憶部
12b アラーム棚上げフロー画面記憶部
13 制御部
13a 受信部
13b 受付部
13c 出力部
20 対応オペレータ端末
21 入出力部
22 送受信部
23 通信部
30 上位オペレータ端末
31 入出力部
32 送受信部
33 通信部
40 共有オペレータ端末
41 入出力部
42 送受信部
43 通信部
100 アラーム管理システム