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特開2024-131783光検出素子、測距方法、及び測距システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131783
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】光検出素子、測距方法、及び測距システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/484 20060101AFI20240920BHJP
   G01S 17/10 20200101ALI20240920BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01S7/484
G01S17/10
G01C3/06 120Q
G01C3/06 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042243
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】関口 拓也
【テーマコード(参考)】
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112BA04
2F112CA05
2F112CA12
2F112DA25
2F112DA28
2F112DA32
2F112EA05
2F112EA11
2F112FA45
2F112GA01
5J084AA05
5J084AC02
5J084AD01
5J084AD05
5J084BA02
5J084BA04
5J084BA07
5J084BA36
5J084BA40
5J084CA03
5J084CA31
5J084CA32
5J084CA65
5J084DA07
5J084DA08
5J084EA40
(57)【要約】
【課題】本開示では、より短時間、且つよりすくない消費電力での測定が可能な光検出素子、測定方法、及び測距システムを提供する。
【解決手段】本開示によれば、照射光が物体で反射した光を受ける複数の受光素子を有する受光部と、Nフレームにおける複数の受光素子の反応状態に基づいて、N以降のフレームにおける発光方法を制御する情報を含む情報信号を、照射光を発光する発光部を制御する照射制御部に送信する制御回路と、を備える、光検出素子が提供される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射光が物体で反射した光を受ける複数の受光素子を有する受光部と、
Nフレームにおける前記複数の受光素子の反応状態に基づいて、N以降のフレームにおける発光方法を制御する情報を含む情報信号を、前記照射光を発光する発光部を制御する照射制御部に送信する制御回路と、
を備える、光検出素子。
【請求項2】
前記発光方法は、前記発光の発数を制限することである、請求項1に記載の光検出素子。
【請求項3】
前記制御回路は、前記発光部の領域毎に前記発数を制限する、請求項2に記載の光検出素子。
【請求項4】
前記発光方法は、前記発光を所定期間において停止することである、請求項1に記載の光検出素子。
【請求項5】
前記制御回路は、前記発光部の領域毎に前記発光を停止する、請求項4に記載の光検出素子。
【請求項6】
前記照射光は、所定の回数で照射され、
前記複数の受光素子の受光回数が所定の閾値を超えた状態になると、前記制御回路は、復帰信号を主制御部に出力する、請求項1に記載の光検出素子。
【請求項7】
前記受光回数は、前記照射光の照射タイミングから所定の時間範囲に設定される、請求項6に記載の光検出素子。
【請求項8】
前記所定の時間範囲は、測距レンジに応じて設定される、請求項7に記載の光検出素子。
【請求項9】
前記照射光は、レーザー光であり、前記反射した光は、フォトンである、請求項1に記載の光検出素子。
【請求項10】
前記発光部は複数の発光素子を有し、
前記受光部の受光面は、複数の素子群領域に分けられており、
前記複数の発光素子は、その位置に基づき、前記複数の素子群領域に対応づけられ、
前記複数の素子群領域に対応づけられた前記発光素子毎に、前記発光の発数を制限する、請求項1に記載の光検出素子。
【請求項11】
前記制御回路は、前記複数の素子群領域ごとの反応状態に基づいて、前記複数の素子群領域に対応づけられた前記発光素子毎の発数を制限する、請求項10に記載の光検出素子。
【請求項12】
前記発光部は複数の発光素子を有し、
前記受光部の受光面は、複数の素子群領域に分けられており、
前記複数の発光素子は、その位置に基づき、前記複数の素子群領域に対応づけられ、
前記複数の素子群領域に対応づけられた素子毎に、前記発光を停止する、請求項1に記載の光検出素子。
【請求項13】
前記制御回路は、前記複数の素子群領域ごとの反応状態に基づいて、前記複数の素子群領域に対応づけられた素子毎の発光を停止する、請求項12に記載の光検出素子。
【請求項14】
前記照射光は、所定の回数で照射され、
前記複数の受光素子の受光回数が所定の閾値を超えた状態になると、前記制御回路は、復帰信号を主制御部に出力する、請求項1に記載の光検出素子。
【請求項15】
前記照射光は、所定の回数で照射され、
前記複数の受光素子それぞれの受光回数を前記照射光の照射タイミングからの経過時間に応じて加算し、
前記加算した加算数が所定の閾値を超えた状態になると、
前記制御回路は、前記発光の発数を制限する、請求項2に記載の光検出素子。
【請求項16】
前記照射光は、所定の回数で照射され、
前記複数の受光素子それぞれの受光回数を前記照射光の照射タイミングからの経過時間に応じて加算し、
前記加算した加算数が所定の閾値を超えた状態になると、
前記制御回路は、前記発光を所定期間において停止する、請求項4に記載の光検出素子。
【請求項17】
前記フレームは、所定の制御期間に対応する、請求項1に記載の光検出素子。
【請求項18】
照射光が物体で反射した光を複数の受光素子が受光する工程と、
Nフレームにおける前記複数の受光素子の反応状態に基づいて、N以降のフレームにおける発光方法を制御する情報を含む情報信号を、前記照射光を発光する発光部を制御する照射制御部に送信する制御工程と、
を備える、測距方法。
【請求項19】
照射光を発光する発光部を有する発光部と、
前記発光部を制御する照射制御部と、
光検出部と、
を備える測距システムであって、
前記光検出部は、
照射光が物体で反射した光を受ける複数の受光素子を有する受光部と、
Nフレームにおける前記複数の受光素子の反応状態に基づいて、N以降のフレームにおける発光方法を制御する情報を含む情報信号を、前記照射光を発光する発光部を制御する照射制御部に送信する制御回路と、
を有する、測距システム。
【請求項20】
前記光検出部を制御可能である主制御部を更に備え、
前記主制御部は、前記受光部が、前記発光方法を制御する場合に、省電力状態となる、請求項19に記載の測距システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光検出素子、測距方法、及び測距システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物体(対象物)までの距離をToF(Time of Flight)に基づいて計測する測距システムが一般に知られている。TOFには、一般に、直接TOF(dTOF)と間接TOF(iTOF)とがある。直接ToFは、レーザーアレイから複数のパルス光を発射し、パルス光それぞれが照射された物体からの反射光をSPAD(Single Photon Avalanche Diode)と呼ばれる受光素子でフォトンを検出する。
【0003】
これにより発生したキャリアを、アバランシェ増倍を用いて電気信号パルスに変換して、これをTDC(Time to Digital Converter)に入力することで反射光の到来時刻を計測し、物体までの距離を算出する技術である。一方、間接ToFは、受光素子からパルス光を発射し、物体からの反射光により発生した電荷の検出及びその蓄積量が光の到来タイミングに依存して変化する半導体素子構造を利用して、光の飛行時間を計測する。このSPADを用いた測距システムを監視システムに組み込むことが試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-120630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、測距レンジにおける対象物の領域(ROI)の抽出に、2次元の観察画像が必要となる。このため、ホストコンピュータが常に動作状態となり、消費電力が大きくなったり、2次元の観察画像とSPADを用いた距離画像との融合処理に時間がかかったりしてしまう恐れがある。
【0006】
そこで、本開示では、より短時間、且つよりすくない消費電力での測定が可能な光検出素子、測距方法、及び測距システムが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示によれば、
照射光が物体で反射した光を受ける複数の受光素子を有する受光部と、
Nフレームにおける前記複数の受光素子の反応状態に基づいて、N以降のフレームにおける発光方法を制御する情報を含む情報信号を、前記照射光を発光する発光部を制御する照射制御部に送信する制御回路と、
を備える、光検出素子が提供される。
【0008】
前記発光方法は、前記発光の発数を制限してもよい。
【0009】
前記制御回路は、前記発光部の領域毎に前記発数を制限してもよい。
【0010】
前記発光方法は、前記発光を所定期間において停止してもよい。
【0011】
前記制御回路は、前記発光部の領域毎に前記発光を停止してもよい。
【0012】
前記照射光は、所定の回数で照射され、
前記複数の受光素子の受光回数が所定の閾値を超えた状態になると、前記制御回路は、復帰信号を主制御部に出力してもよい。
【0013】
受光回数は、前記照射光の照射タイミングから所定の時間範囲に設定されてもよい。
【0014】
前記所定の時間範囲は、測距レンジに応じて設定されてもよい。
【0015】
前記照射光は、レーザー光であり、前記反射した光は、フォトンであってもよい。
【0016】
前記発光部は複数の発光素子を有し、
前記受光部の受光面は、複数の素子群領域に分けられており、
前記複数の発光素子は、その位置に基づき、前記複数の素子群領域に対応づけられ、
前記複数の素子群領域に対応づけられた素子毎に、前記発光の発数を制限してもよい。
【0017】
前記制御回路は、前記複数の素子群領域ごとの反応状態に基づいて、前記複数の素子群領域に対応づけられた素子毎の発数を制限してもよい。
【0018】
前記発光部は複数の発光素子を有し、
前記受光部の受光面は、複数の素子群領域に分けられており、
前記複数の発光素子は、その位置に基づき、前記複数の素子群領域に対応づけられ、
前記複数の素子群領域に対応づけられた素子毎に、前記発光を停止してもよい。
【0019】
前記制御回路は、前記複数の素子群領域ごとの反応状態に基づいて、前記複数の素子群領域に対応づけられた素子毎の発光を停止してもよい。
【0020】
前記照射光は、所定の回数で照射され、
前記複数の受光素子の受光回数が所定の閾値を超えた状態になると、前記制御回路は、復帰信号を主制御部に出力してもよい。
【0021】
前記照射光は、所定の回数で照射され、
前記複数の受光素子それぞれの受光回数を前記照射光の照射タイミングからの経過時間に応じて加算し、
前記加算した加算数が所定の閾値を超えた状態になると、
前記制御回路は、前記発光の発数を制限してもよい。
【0022】
前記照射光は、所定の回数で照射され、
前記複数の受光素子それぞれの受光回数を前記照射光の照射タイミングからの経過時間に応じて加算し、
前記加算した加算数が所定の閾値を超えた状態になると、
前記制御回路は、前記発光を所定期間において停止してもよい。
【0023】
前記フレームは、所定の制御期間に対応してもよい。
【0024】
上記の課題を解決するために、本開示によれば、照射光が物体で反射した光を複数の受光素子が受光する工程と、
Nフレームにおいて前記複数の受光素子の反応状態に基づいて、N以降のフレームにおける発光方法を制御する情報を含む情報信号を、前記照射光を発光する発光部を制御する照射制御部に送信する制御工程と、
を備える、測距方法が提供される。
【0025】
上記の課題を解決するために、本開示によれば、照射光を発光する発光部を有する発光部と、
前記発光部を制御する照射制御部と、
光検出部と、
を備える測距システムであって、
前記光検出部は、
照射光が物体で反射した光を受ける複数の受光素子を有する受光部と、
Nフレームにおける前記複数の受光素子の反応状態に基づいて、N以降のフレームにおける発光方法を制御する情報を含む情報信号を、前記照射光を発光する発光部を制御する照射制御部に送信する制御回路と、
を有する、測距システムが提供される。
【0026】
前記光検出部を制御可能である主制御部を更に備え、
前記主制御部は、前記受光部が、前記発光方法を制御する場合に、省電力状態となってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本技術の一実施形態における測距システムの構成の一例を示すブロック図。
図2】発光部の構成例を示す図。
図3】発光制御装置と、光検出部との詳細を説明するブロック図。
図4】素子アレイ部の平面模式図。
図5】バンク例を示す図。
図6】レーザートリガ信号とヒストグラムとの関係を示す図。
図7】バンク0に対応する領域に被写がある例を模式的に示す図。
図8】第1モードを模式的に説明する図。
図9】第1モードの更に詳細な制御シーケンス例を示す図。
図10】第2モードを模式的に説明する図。
図11】第2モードの更に詳細な制御シーケンス例を示す図。
図12】レジスタに記憶されるレジスタ構成の例を示す図。
図13】停止情報生成回路が生成する情報信号のデータ構成例を示す図。
図14】素子群ごとに各フレームで生成したヒストグラム例を示す図。
図15】素子群ごとに各フレームで生成したヒストグラム例のピーク有りを示す図。
図16】判定情報をレジスタに記録した例を示す図。
図17】レジスタに記録した復帰させない判定情報例を示す図。
図18】AP復帰処理を含むシーケンス例を示す図。
図19】本実施形態に係る処理例を示すフローチャート。
図20】近距離の場合のピーク検出範囲を示す図。
図21】遠距離の場合のピーク検出範囲を示す図。
図22】遠距離の場合の強度変更例を示す図。
図23】処理回路の判定処理を示す図。
図24】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図。
図25】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、光検出素子、測距方法、及び測距システムの実施形態について説明する。以下では、光検出素子、測距方法、及び測距システムの主要な構成部分を中心に説明するが、光検出装置及び測距システムには、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外するものではない。
【0029】
(第1実施形態)
図1は、本技術の一実施形態における測距システムの構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る測距システム1は、パルス光を発射し、パルス光が照射された物体Objからの反射光に基づいて、物体Obj(対象物ないしは被写体)が監視領域に存在するか否かを判定可能なシステムである。すなわち、この測距システム1は、例えば、発光部100と、発光制御部(LDD)200と、光検出部300と、撮像部400と、主制御部(AP)500と、を備える。
【0030】
図2は、発光部100の構成例を示す図である。図2に示すように、発光部100は、例えばレーザーアレイ部であり、発光面に沿って2次元状に配置された複数の発光素子110を有する。発光部100は、レーザー光を照射光として物体Objに照射可能である。この照射光は、複数の発光素子110の発光により生成され、所定の方向に照射される。
【0031】
各発光素子110は、発光制御部200による駆動制御に従い、所定のパルス繰返し周期(PRI周期ともいう)で所定波長のレーザー光(照射光ともいう)を出力する。各発光素子110には、例えば、垂直共振器面発光レーザー(Vertical Cavity Surface Emitting LASER:VCSEL)を用いることができる。ただし、これに限定されず、所定波長の光を出射することが可能な種々の光源を用いることが可能である。
【0032】
また、複数の発光素子110の中の複数の発光素子110mは、後述する素子群MP0~MP13(図4参照)の各位置に対応付けられている。これらの複数の発光素子110mは、MP0~MP13(図4参照)の各位置に対応して、選択的に発光可能である。
【0033】
再び図1に示すように、発光制御部(LDD)200は、例えば、レーザーダイオードドライバ(LDD:Laser Diode Drivers)であり、光検出部300、或いは、主制御部500の制御に従い、発光部100の発光素子の領域、及び発光タイミングを制御する。すなわち、この発光制御部200は、発光部100の各発光素子110を駆動制御する。この発光制御部200は、個々の発光素子110を独立して駆動可能に構成されていてもよいし、或いは、エリアごとに発光素子110の独立駆動を可能に構成されていてもよい。或いは、行ごと、列ごとに個々の発光素子110の独立駆動を可能とする。なお、発光制御部200の詳細も後述する。また、発光部100と発光制御部200との組合せを光源と称する場合がある。
【0034】
光検出部300は、例えば直接TOF型測距部である。この光検出部300は、反射光をSPAD(Single Photon Avalanche Diode)と呼ばれる受光素子で受光することにより得られる電気信号パルスに基づいて、距離画像を生成することなく、物体Obj(対象物ないしは被写体)の領域(ROI:Region of Interest)を検出可能である。また、光検出部300は、受光素子の反応状態に基づいて、発光方法を制御する情報を発光制御部200に出力する。さらにまた、光検出部300は、物体Objまでの距離を測定し、距離画像を生成可能である。
【0035】
本実施形態は、直接TOF型測距部を例にして説明されるが、これに限定されない。例えば間接TOF型測距部に対しても同様に適用することが可能である。発光制御部200、及び光検出部300は、例えば、CMOS LSIのようなシステム・オン・チップ(SoC)として一体的に構成することが可能であるが、これに限定されない。例えば、発光制御部200、及び光検出部300は、いくつかのコンポーネントが別体のLSIとして構成されてもよい。なお、本実施系形態に係る光検出部300が光検出素子に対応する。また、光検出部300の詳細も後述する。
【0036】
撮像部400は、例えばカメラであり、可視光又は赤外光での2次元の観察画像の撮像が可能である。撮像部400は、2次元の観察画像を主制御部500に出力する。
【0037】
主制御部500は、例えばアプリケーションプロセッサ(AP)であり、測距システム1全体の制御を実行する。例えば、主制御部500は、発光制御部200、光検出部300、及び撮像部400の制御を実行する。これらの撮像部400、及び主制御部500は、発光部100、発光制御部200、及び光検出部300が監視モードである場合に、電力消費を制限した省電力モードに移行可能である。また、これらの撮像部400、及び主制御部500は、光検出部300が、物体Objを検出した場合に、省電力モードから通常モードに移行可能である。さらにまた、主制御部500は、撮像部400が撮像した2次元画像と、光検出部300が生成した物体Objの領域(ROI)の融合処理、或いは、2次元画像と距離画像との融合処理などが可能である。なお、主制御部500は、ホストコンピュータと称する場合がある。
【0038】
ここで、図3を用いて、発光制御部200と、光検出部300との詳細を説明する。図3は、発光制御部200と、光検出部300との詳細を説明するブロック図である。図3に示すように、発光制御部200は、光検出部300から供給される情報信号SPIに基づき、発光部100の各発光素子110mの発光方法を制御する。すなわち、この発光制御部200は、制御回路210と、駆動回路220と、外部インターフェース(IF)230とを有する。更に、制御回路210は、レジスタ210aと、レーザー発数閾値制御回路210bと、を有する。
【0039】
光検出部300は、受光部310と、TDC320と、処理回路330と、制御回路340と、レーザートリガ生成回路350と、停止情報生成回路360と、外部インターフェース(IF)370とを有する。更に、受光部310は、素子アレイ部310aと、検出回路310bとを有する。また、処理回路330は、ヒストグラム生成回路330a、判定回路330b、及び距離演算回路330cを有し、制御回路340は、レジスタ340aを有する。また、制御ユニットU100は、各発光素子110mの発光方法を制御する場合に、主として制御に用いられるユニットである。
【0040】
上述のように、本実施形態に係る測距システム1は、監視モードと、通常モードとを有する。上述のように、監視モードでは、撮像部400、及び主制御部500は、省電力モードに移行することが可能である。
【0041】
上述のように、監視モードでは、発光部100、発光制御部200、及び光検出部300が、主制御部500から独立して、監視状態となる。つまり、本実施形態に係る測距システム1は、撮像部400が撮像した2次元画像を用いることなく、光検出部300の情報に基づき、監視領域内に物体Objが存在するか、否かを判定可能である。この場合、2次元の距離画像の生成も不要となる。このため、高速且つ、省電力での観察が可能となる。更に、本実施形態に係る監視モードでは、光検出部300の制御に従い、2つのモードを有する。
【0042】
第1モードは、フレーム間引きモードである。第1モードは、物体Objからの反射光のない領域に対応する発光部100の発光素子110m、及び光検出部300の受光素子を停止させ、定期的に発光素子110m、及び/受光素子を復帰させて物体Objからの反射光があるか否かをチェックするモードである。すなわち、第1モードでは、一定期間において、物体Objからの反射光のない領域に対応する発光部100の発光素子110mの発光を停止する。このように、一定期間において、物体Objからの反射光のない領域に対応する発光部100の発光素子110mの発光を停止するように、発光方法が制御される。
【0043】
第2モードは、発数制限モードである。第2モードは、物体Objからの反射光のない領域に対応する発光部100の発光素子110mの発数を削減するモードである。第2モードでは、光検出部300の受光素子は、駆動状態を維持する。このため、第1モードよりも、光検出部300における判定の応答速度がより早くなる。すなわち、第2モードでは、一定期間において、物体Objからの反射光のない領域に対応する発光部100の発光素子110mの発数が制限される。このように、一定期間において、物体Objからの反射光のない領域に対応する発光部100の発光素子110mの発数を制限するように、発光方法が制御される。
【0044】
図3に示すように、制御回路210は、例えば、光検出部300又は主制御部500からの制御に従い、駆動回路120を制御する。光検出部300は、監視モードでは、光検出部300における受光素子の反応状態に基づいて、制御回路210を介して発光部100を制御する。
【0045】
レジスタ210aは、ユーザの設定に基づき、各制御モードでの、制御パラメータを記憶する。例えば、レジスタ210aは、第2モードでのレーザー発数の閾値を記憶する。レーザー発数閾値制御回路210bは、レジスタ210aの情報に従い、駆動回路220を介して発光部100の単位時間あたりの発数を制御する。
【0046】
駆動回路220は、制御回路210の制御に従い、発光部100の発光素子110の発光を制御する。この駆動回路120は、例えば、発光素子110それぞれに対して一対一に設けられた複数の駆動回路を含み得る。その場合、発光部100には、例えば、個々の発光素子110と個々の駆動回路とが対応するように構成される。
【0047】
図4は、受光部310の素子アレイ部310aの平面模式図である。素子アレイ部310aは、受光面に沿って2次元アレイ状に配置された複数の受光素子311を有する。更に、素子アレイ部310aは、検出回路310bを有する。この受光素子311は、SPADを含み構成される。
【0048】
検出回路310bは、例えば、各受光素子311に対して一対一に対応する読出し回路を備えており、各受光素子311によるフォトンの検出を読み出して出力する。すなわち、本実施形態に係る受光素子311は、受光素子311内のSPAD素子とこれに接続された検出回路310bの読出し回路とで構成される。なお、受光素子311は、画素と称する場合がある。
【0049】
図4では、複数の受光素子311の中から素子群MP0~MP13として選択された受光素子311のみを模式的に図示している。このように、受光部310の受光面は、素子群MP0~MP13の領域に分けられている。
【0050】
各素子群MP0~MP13は、例えば複数の受光素子311を含み構成されたCMOSイメージセンサである。すなわち、素子アレイ部310aは、2次元アレイ状に配置された複数のSPADを含み構成されたCMOSイメージセンサである。また、各受光素子311は、飛来した光(フォトン)を検出し、これにより発生したキャリアを、アバランシェ増倍を用いて電気信号パルスに変換する。なお、隣接する幾つかのSPADの集合体(SPAD群)を素子と称し得る。例えば、本実施形態に係る素子群MP0~MP13は、隣接する2×3素子の集合体により構成される。監視モードでは、複数の素子群MP0~MP13ごとにヒストグラムを生成可能である。
【0051】
また、通常の距離画像を生成する場合には、受光素子311ごとに距離値の生成が可能である。なお、複数の素子群MP0~MP13を、隣接する2×3素子の集合体により構成するがこれに限定されない。例えば、複数の素子群MP0~MP13は、隣接する2×2、3×2、3×3、6×6、9×9といった任意の数の配列(アレイパターン)からなる受光素子311の集合体により構成されてもよい。また、複数の素子群MP0~MP13の数も、14に限定されないものである。
【0052】
上述のように、検出回路310bは、例えば、各受光素子311に対して一対一に対応する読出し回路を備えており、各受光素子311によるフォトンの検出を読み出して出力する。各読出し回路は、例えば、各受光素子311がフォトンを検出してクエンチ状態に入ることを検知する機能と、各受光素子311を素早く元の状態にリチャージさせる機能とを備える。また、各受光素子311がフォトンを検出したタイミングを立ち上がりとするパルス(検出信号PXOUT)を出力する。
【0053】
TDC320は、例えば、発光部100が発光してから反射光がSPAD素子で検出されるまでのフォトンの飛行時間を計測し、計測された時間をデジタルの出力値TDCOUTとして出力する。すなわち、受光素子311が出力する検出信号PXOUTの生成タイミングと、後述するレーザートリガ(Laser Trigger)信号の生成タイミングとの時間差を出力値TDCOUTとして出力する。
【0054】
このように、TDC320は、素子ごとにTDC回路を備え、後述するレーザートリガ(Laser Trigger)信号の生成タイミング又は照射光の照射タイミングから反射光の検出タイミングまでの経過時間を素子ごとに高分解能(例えば、100ps(ピコ秒)周期程度)で計測し、それにより得られた時間をデジタルの出力値TDCOUTとして出力する。なお、本実施形態における素子とは、複数の素子群MP0~MP13それぞれを1つの素子として扱った場合の各素子であってもよいし、1つのSPAD素子を1つの素子として扱った場合の各素子であってもよい。
【0055】
監視モードでは、処理回路330は、例えば、TDC320から出力された各素子群MP0~MP13の出力値TDCOUTに基づいて、各素子群MP0~MP13に対応する領域ごとに物体Objが存在するか否かを判定する。また、処理回路330は、通常の距離画像を生成する場合には、TDC320から出力された受光素子311ごとの被写体までの距離情報を計算する。
【0056】
より詳細には、監視モードでは、ヒストグラム生成回路330aは、TDC320から出力された各素子群MP0~MP13の出力値TDCOUTに基づいて、素子群MP0~MP13ごとのヒストグラムを生成する。例えば、ヒストグラム生成回路330aは、TDC320から素子群MP0~MP13ごとに出力された出力値TDCOUTを、サンプリング周期に対応するビン(BIN)に格納されているカウント値(累積値)に加算することで、素子群MP0~MP13ごとのヒストグラムを生成する。
【0057】
また、通常の撮像モードでは、ヒストグラム生成回路330aは、TDC320から出力された各受光素子311の出力値TDCOUTに基づいて、受光素子311ごとのヒストグラムを生成する。例えば、ヒストグラム生成回路330aは、TDC320から受光素子311ごとに出力された出力値TDCOUTを、サンプリング周期に対応するビン(BIN)に格納されているカウント値(累積値)に加算することで、受光素子311ごとのヒストグラムを生成する。すなわち、ヒストグラム生成回路330aは、所定の受光素子110の受光回数を、照射光の照射タイミングからの経過時間に応じて加算する。
【0058】
判定回路330bは、ヒストグラム生成回路330aが生成した素子群MP0~MP13ごとのヒストグラムに基づき、素子群MP0~MP13ごとの対応領域に、物体Objが存在するか否かを判定する。例えば、判定回路330bは、ヒストグラム生成回路330aが生成した素子群MP0~MP13ごとのヒストグラムの形状に基づき、素子群MP0~MP13ごとの対応領域に、物体Objが存在するか否かを判定する。
【0059】
より具体的には、判定回路330bは、ヒストグラム生成回路330aが生成した素子群MP0~MP13ごとのヒストグラムに所定のピーク、すなわち、フォトンの検出回数の所定のピークが存在する場合に、素子群MP0~MP13ごとの対応領域に、物体Objが存在すると判定する。このように、ストグラム生成回路330aが所定の受光素子110の受光回数を、照射光の照射タイミングからの経過時間に応じて加算し、判定回路330bは、加算した加算数が所定の閾値を超えた状態になると、物体Objが存在すると判定する。
【0060】
また、監視モードでは、ヒストグラム生成回路330aは、素子群MP0~MP13の中の後述するバンク0~3毎に集合化された複数の素子群毎にヒストグラムを生成することも可能である。この場合。判定回路330bは、ヒストグラム生成回路330aが生成したバンク0~3ごとのヒストグラムの形状に基づき、バンク0~3ごとの対応領域に、物体Objが存在するか否かを判定する。
【0061】
距離演算回路330cは、ヒストグラム生成回路330aにより生成されたヒストグラムに基づいて、各受光素子311の距離情報を計算する。例えば、距離演算回路は、各ヒストグラムの累積値のピーク(すなわち、フォトンの検出回数のピーク)を特定し、特定したピークのビン番号に基づいて、素子ごとの距離情報を生成する。なお、累積値のピークとして複数のビン番号を特定した場合には、例えば、特定したビンとその累積値とから求まる重心(平均)に基づいて、当該素子の距離情報が算出されてもよい。また、距離演算回路330cは、ヒストグラム生成回路330aにより生成されたヒストグラムに基づいて、素子群MP0~MP13ごとの距離情報を計算することも可能である。同様に、また、距離演算回路330cは、ヒストグラム生成回路330aにより生成されたヒストグラムに基づいて、バンク0~3ごとの距離情報を計算することも可能である。
【0062】
制御回路340は、監視モードでは、主制御部500から独立した制御が可能である。すなわち、監視モードでは、制御回路340は、光検出部300の各構成を制御する。制御回路340は、判定回路330bの判定情報に基づき、素子群MP0~MP13ごとの駆動制御、素子群MP0~MP13に対応する発光素子群110mごとの駆動制御、TDC320、及び処理回路330の制御が可能である。
【0063】
また、制御回路340は、監視モードでは、省電モードの主制御部500を通常モードに復帰させることが可能である。すなわち、制御回路340は、素子群MP0~MP13の反射光に対する反応状態が、所定の状態になった場合に、主制御部50に復帰信号を送信する。
【0064】
また、制御回路340は、通常モードでは、距離演算回路330cで生成された各受光素子311の距離情報から1フレーム分の測距画像を生成し、生成した距画像を外部I/F370を介して主制御部500へ出力することが可能である。レジスタ340aは、素子群MP0~MP13の組み合わせを示すバンク0~3の識別情報(図5図12参照)を含め、各制御パラメータが記憶される。
【0065】
レーザートリガ生成回路350は、例えば、制御回路340からの制御に従い、発光部100に照射光を出力させるレーザートリガ(Laser Trigger)信号を生成する。上述のように、停止情報生成回路360は、例えば、制御回路340からの制御に従い、後述するバンク0~バンク3に対応する発光素子110mの発光を停止、或いは、発数を制限させる情報信号SPIを、外部I/F370、230を介して、制御回路210に出力する。また、停止情報生成回路360は、例えば、制御回路340からの制御に従い、後述するバンク0~バンク3に対応する発光素子110mの発光を通常状態に戻す情報信号SPIを、外部I/F370、230を介して、制御回路210に出力する。なお、外部I/F370、230間は、例えばI2C(Inter-Integrated Circuit)、SPI(Stateful Packe Inspection)での通信が可能である。
【0066】
[バンクについて]
図5は、バンク例を示す図である。各発光素子110m(図2参照)には、発光面上の位置に応じてバンク0~3がアサインされている。横軸は、時間を示す。また、上から順にバンク(Bank)情報、発光部100の発光素子110mの位置を模式的に示す図、受光部310の受光素子311の位置を模式的に示す図である。なお、本実施形態に係るバンク0~3の数は、4であるがこれに限定されない。例えば、バンクの数は8、12、24などでもよい。
【0067】
本実施形態に係るバンクとは、例えば、複数の発光素子110m、及び複数の受光素子311のうちの駆動対象を特定するための識別情報である。例えば、バンク0は、素子群MP0~MP13(図4、後述する図14参照)のうちのMP0、MP2、MP4、及びMP5の識別情報を示す。また、バンク0は、このMP0、MP2、MP4、及びMP5に対応させて発光する発光素子110m(図2参照)の識別情報を示す。
【0068】
同様に、例えば、バンク1は、素子群MP0~MP13(図4参照)のうちのMP1、MP3、及びMP6の識別情報を示す。また、バンク1は、このMP1、MP3、及びMP6に対応させて発光する発光素子110mの識別情報を示す。同様に、例えば、バンク2は、素子群MP0~MP13(図4参照)のうちのMP8、MP9、及びMP12の識別情報を示す。また、バンク2は、このMP8、MP9、及びMP12に対応させて発光する発光素子110mの情報を示す。同様に、例えば、バンク3は、素子群MP0~MP13(図4参照)のうちのMP10、MP11、及びMP13の識別情報を示す。また、バンク3は、このMP10、MP11、及びMP13に対応させて発光する発光素子110mの識別情報を示す。これらのバンク0~3の識別情報は、レジスタ340aに記憶される。
【0069】
図5に示すように、本実施形態では、バンク0~3に対応する発光素子110m、及び受光素子311を時系列に制御する。すなわち、バンク0に対応する発光素子110m、及び受光素子を駆動する場合には、バンク1~3に対応する発光素子110m、及び受光素子は、駆動を停止している。これにより、電力消費が抑制可能となる。また、本実施形態では、時系列な、バンク0~3の制御シーケンスを、1フレームと称する。例えば1フレームは、バンク0~3の制御シーケンスが1回繰り返されることを意味する。
【0070】
[レーザートリガ信号とヒストグラムの関係]
図6は、レーザートリガ(Laser Trigger)信号とヒストグラム(Histogram)との関係を示す図である。図6(a)は、監視モードでのバンク0(Bank0)でのレーザートリガ(Laser Triger)信号を示す。横軸は時間taを示し、縦軸は、レーザートリガ信号を示す。レーザートリガ信号が、ハイレベルであるときに、バンク0に対応付けられる発光素子110mが発光する。例えば、レーザートリガ生成回路350は、バンク0に対応付けられる発光素子110mに対して、時間t10の間に例えば数千回のレーザートリガ信号を出力する。すなわち、1つのハイレベル信号が出力され、次のハイレベル信号が出力されまでの期間が、発光部100のPRI周期に対応する。なお、図6は、上述の情報信号SPIに停止情報も、発数の制限情報も含まれていない場合の例である。
【0071】
図6(b)は、監視モードでのバンク0(Bank0)でのヒストグラム例を示す。横軸が時間taを示し、縦軸が、TDC320が計測した、素子群MP0で検出されフォトンの飛行時間の出現頻度に対応する。また、時間軸taと、時間軸tbのスケールは異なる。例えば、ヒストグラムの時間幅は、PRI周期に対応する。
【0072】
上述のように、ヒストグラム生成回路330aは、TDC320から出力された素子群MP0、MP2、MP4、及びMP5それぞれの出力値TDCOUTに基づいて、素子群MP0、MP2、MP4、及びMP5それぞれのヒストグラムを生成する。例えば、ヒストグラム生成回路330aは、TDC320から素子群MP0、MP2、MP4、及びMP5ごとに出力された出力値TDCOUTを、サンプリング周期に対応するビン(BIN)に格納されているカウント値(累積値)に加算することで、バンク0の各ヒストグラムを生成する。同様に、ヒストグラム生成回路330aは、バンク1~3ごとのヒストグラムも各バンク1~3に対応する素子群ごとに出力された出力値TDCOUTを、サンプリング周期に対応するビン(BIN)に格納されているカウント値(累積値)に加算することにより、生成する。
【0073】
ヒストグラムのビンの時間幅は、例えばサンプリング周期に対応する。サンプリング周期とは、発光部100が照射光を出射してから受光部310で反射光の入射が検出されるまでの時間(飛行時間)を計測する周期である。このサンプリング周期には、発光部100のPRI周期よりも短い周期が設定される。例えば、サンプリング周期をより短くすることで、より高い時間分解能で、発光部100から出射して被写体で反射したフォトンの飛行時間を推定又は算出することが可能となる。これは、サンプリング周波数をより高くすることで、より高い測距分解能で被写体までの距離を推定又は算出することが可能となることを意味している。すなわち、ヒストグラムの時間幅を、レーザートリガ信号の1つのハイレベル信号が出力され、次のハイレベル信号が出力されまでの期間とする場合に、ビンの時間幅は、1つのハイレベル信号が出力され、次のハイレベル信号が出力されまでの期間をビンの数で除算した数に対応する。
【0074】
図7は、バンク0に対応する領域に被写体Obj10がある例を模式的に示す図である。例えば、バンク0に対応する領域に被写体Obj10があると、図6(b)に示すように、被写体Obj10に対応する距離にヒストグラムのピークP10が出現する。すなわち、このピークP10は、被写体Obj10までの距離に対応する。
【0075】
例えば、距離演算回路330cは、距離演算を行う場合に、ピークP10に対応する時間をtとすると、光速Cが一定(C≒300、000、000m(メートル)/s(秒)であることから、被写体までの距離Lは、以下の式(1)ように推定又は算出する。
L=C×t/2 (1)
【0076】
[第1モード]
図8、及び図9を用いて、第1モードのシーケンス例を説明する。上述のように、第1モードは、フレーム間引きモードである。図8、及び図9の処理例では、バンク0~3ごとに生成されたヒストグラムに基づき、判定回路330bが、ヒストグラムのピークの有無を判定する判定処理を行う。なお、後述するように、判定回路330bは、素子群MP0~MP13ごとの判定処理を並行して行うことも可能である。例えば、バンク0の判定処理を行う場合に、バンク0に含まれる素子群MP0、MP2、MP4、及びMP5ごとのヒストグラムのピークの有無を判定する判定処理を行うことが可能である。
【0077】
図8は、第1モードを模式的に説明する図である。図8(a)、(c)は、第1モードでのバンク0(Bank0)でのレーザートリガ(Laser Triger)信号を示す。横軸は時間taを示し、縦軸は、レーザートリガ信号を示す。図8(a)は、例えばフレームN=nであり、図8(c)は、例えばフレームN=n+1である。図8(b)、(d)は、第1モードでのバンク0(Bank0)でのヒストグラム例を示す。横軸が時間taを示し、縦軸が、TDC320が計測した、素子群MP0、MP2、MP4、及びMP5で検出されフォトンの飛行時間の出現頻度に対応する。図8(b)は、例えばフレームN=nであり、図8(d)は、例えばフレームN=n+1である。
【0078】
図8(b)に示すように、例えば判定回路330b(図2参照)は、フレームN=nにおいて、ピークP10が存在しないので、バンク0に対応する領域に被写体が存在しないと判定する。この場合、制御回路330は、停止情報生成回路360を介して、フレームN=n+1において、バンク0に対応する発光素子群の駆動を停止させる情報信号SPIを制御回路210に出力する。このように、制御回路330は、素子群MP0~MP13の反応状態に基づいて、N=n以降のフレームにおける発光部100の発光方法を制御する情報である情報信号SPIを制御回路210に出力する。この場合の発光方法は、発光を所定期間において停止することである。
【0079】
この情報信号SPIにより、図8(c)に示すように、フレームN=n+1では、発光部100の発光が停止される。この場合、図8(d)に示すように、フレームN=n+1では、ヒストグラムの生成も停止される。すなわち、制御回路330は、バンク0に対応する複数の受光素子311の受光回数が所定の閾値を超えた状態になると、発光部100の対応する発光素子110mの発光を所定期間において停止する。また、制御回路330は、バンク0~3に対応する発光部100の領域毎に、所定期間において発光を停止する制御を実行する。
【0080】
図9は、第1モードの更に詳細な制御シーケンス例を示す図である。ここでは、フレームN=nにおいて、ピークP10が存在しないバンクに対応する発光素子の発光を、N=n+1、n+2において、停止する例を説明する。横軸は時間であり、上からバンク0~3を繰り返すシーケンス(Bankシーケンス)の回数N、バンク(Bank)の種類、発光部100、及び光検出部300の受光素子、及び発光素子の模式的位置、レーザートリガ生成回路350の出力するレーザートリガ(Laser Triger)信号の出力タイミング、停止情報生成回路360の出力する情報信号SPIの出力タイミング、制御回路330のチェック状態、各バンクに対応する発光素子の発光タイミング(レーザー)、光検出部300の反射光の受光状態(SPAD反射光状態)、ヒストグラム生成回路330aの駆動状態(Enable)、判定回路330bの判定状態(ピーク検出)を示す。
【0081】
まず、バンクシーケンスN=0では、バンク0~3の順で、レーザートリガ信号の出力タイミングに同期して、バンク0~3で規定される発光素子群が時系列に発光する。ことき、バンク0~3で規定される受光素子群も時系列に駆動する。
【0082】
ヒストグラム生成回路330aは、バンク0~3で規定される受光素子群に対応するヒストグラムを時系列に生成する。すなわち、制御回路330は、バンク0~3で規定される受光素子群に対応するEnable信号として、有効信号をヒストグラム生成回路330aに出力する。判定回路330bは、バンク0~3に対応するヒストグラムが全て有効であるので、各ヒストグラムに対して、所定のピークがあるか否か、すなわち、被写体Objが存在するか否かを判定する。バンク2、3に対応する受光素子の領域には、被写体Objからの反射光がないので、バンク2、3に対応する各ヒストグラムには、所定のピークが生成されない。このため、判定回路330bは、バンク2、3に対応する各ヒストグラムに対して、所定のピークがないと判定する。
【0083】
そして、制御回路330は、判定回路330bの判定結果の情報を含む情報信号SPIを、停止情報生成回路360を介して、フレームN=nと、フレームN=n+1の間に、制御回路210に出力する。この情報信号SPIには、バンク2、3には所定のピークがないので、バンク2、3に対応する発光素子群の発光を停止させる情報が含まれている。
【0084】
本実施形態では、情報信号SPIを出力するフレームをチェックフレームと称し、情報信号SPIを出力しないフレームをチェックスキップ(チェックSkip)と称する。つまり、図9で示す第1モードでは、フレーム3回に1回の割合で情報信号SPIを出力し、続くフレームN=1、2では、N=0で出力された情報信号SPIにしたがった制御が行われる。チェックスキップするフレーム数は、監視対象となる被写体Objの移動速度に応じて、設定可能である。
【0085】
次に、バンクシーケンスN=1では、チェックスキップフレームであるので、制御回路210側はバンクシーケンスN=0での情報信号SPIにしたがった制御を実行する。すなわち、バンク0~1の順で、レーザートリガ信号の出力タイミングに同期して、バンク0~1で規定される発光素子群が時系列に発光する。ことき、バンク0~1で規定される受光素子群も時系列に駆動する。一方で、情報信号SPIに含まれる停止情報に基づき、バンク2~3で規定される発光素子群の発光は停止される。ことき、バンク2~3で規定される受光素子群も駆動停止する。これにより、被写体Objが存在しない領域に対応する発光素子群及び受光素子群の駆動を停止可能となり、省電力化が可能となる。一方で、被写体Objが存在した領域に対応する発光素子群及び受光素子群の駆動を継続するので、被写体Objが存在した領域に、引き続き被写体Objが存在するか否かの判定が可能となる。
【0086】
ヒストグラム生成回路330aは、制御回路330の制御に従い、バンク0~1で規定される受光素子群に対応するヒストグラムを時系列に生成する。すなわち、制御回路330は、バンク0~1で規定される受光素子群に対応するEnable信号として、有効信号をヒストグラム生成回路330aに出力する。一方で、制御回路330は、バンク2~3で規定される受光素子群に対応するEnable信号として、無効信号をヒストグラム生成回路330aに出力する。
【0087】
判定回路330bは、バンク0~1に対応するヒストグラムは有効であるので、各ヒストグラムに対して、所定のピークがあるか否か、すなわち、被写体Objが存在するか否かを判定する。バンク0、1に対応する受光素子の領域には、被写体Objからの反射光がないので、バンク0、1に対応する各ヒストグラムには、所定のピークが生成されない。このため、判定回路330bは、バンク0、1に対応する各ヒストグラムに対して、所定のピークがないと判定する。
【0088】
一方で、判定回路330bは、バンク2~3に対応するヒストグラムは無効であるので、各ヒストグラムに対しての判定を行なわないものである。判定回路330bは、判定を行なわない場合に、デフルト出力として、所定のピークがないことを示す出力をしてもよい。
【0089】
次に、バンクシーケンスN=2は、チェックスキップフレームであるので、制御回路210側はバンクシーケンスN=0での情報信号SPIにしたがった制御を実行する。すなわち、バンク0~1の順で、レーザートリガ信号の出力タイミングに同期して、バンク0~1で規定される発光素子群が時系列に発光する。ことき、バンク0~1で規定される受光素子群も時系列に駆動する。一方で、情報信号SPIに含まれる停止情報に基づき、バンク2~3で規定される発光素子群の発光は停止される。ことき、バンク2~3で規定される受光素子群も駆動停止する。これにより、被写体Objが存在しない領域に対応する発光素子群及び受光素子群の駆動を停止可能となり、省電力化が可能となる。一方で、被写体Objが存在した領域に対応する発光素子群及び受光素子群の駆動を継続するので、被写体Objが存在した領域に対して、引き続き被写体Objが存在するか否かの判定が可能となる。
【0090】
ヒストグラム生成回路330aは、制御回路330の制御に従い、バンク0~1で規定される受光素子群に対応するヒストグラムを時系列に生成する。すなわち、制御回路330は、バンク0~1で規定される受光素子群に対応するEnable信号として、有効信号をヒストグラム生成回路330aに出力する。一方で、制御回路330は、バンク2~3で規定される受光素子群に対応するEnable信号として、無効信号をヒストグラム生成回路330aに出力する。
【0091】
判定回路330bは、バンク0~1に対応するヒストグラムは有効であるので、各ヒストグラムに対して、所定のピークがあるか否か、すなわち、被写体Objが存在するか否かを判定する。バンク0に対応する受光素子の領域には、被写体Objからの反射光がないので、バンク0に対応するヒストグラムには、所定のピークが生成されない。このため、判定回路330bは、バンク0に対応する各ヒストグラムに対して、所定のピークがないと判定する。一方で、バンク1に対応する受光素子の領域には、被写体Objからの反射光があるので、バンク1に対応するヒストグラムには、所定のピークが生成される。このため、判定回路330bは、バンク1に対応する各ヒストグラムに対して、所定のピークがあると判定する。
【0092】
次に、バンクシーケンスN=3は、バンクシーケンスN=0と同様に、チェックフレームであるので、バンクシーケンスN=0と同様の制御が行われる。このように、予め定められたバンクシーケンスがチェックフレームとなり、チェックフレームに続く所定回数のバンクシーケンスが、チェックスキップするフレームとなる。上述のように、チェックスキップするフレームでは、チェックフレームの判定に基づく監視状態が反映され、被写体Objが存在しない領域に対応する発光素子群及び受光素子群の駆動を停止可能となり、省電力化が可能となる。
【0093】
このように、制御回路330は、チェックフレーム(N=0、3など)での受光素子311(図4参照)の反応状態に基づいて、チェックフレームに続くチェックスキップフレーム(N=1、2、4、5など)における発光方法を制御する情報信号SPIを発光制御部200に出力する。これにより、発光制御部200は、被写体Objが存在する領域に対応する発光素子群を効率的に発光させることが可能となり、被写体Objの追跡精度の低下を抑制しつつ省電力化が可能となる。
【0094】
[第2モード]
図10、及び図11を用いて、第2モードのシーケンス例を説明する。上述のように、第2モードは、発数制限モードである。図10、及び図11の処理例では、バンク0~3ごとに生成されたヒストグラムに基づき、判定処理を行う。なお、後述するように、素子群MP0~MP13ごとの判定処理を並行して行うことも可能である。例えば、バンク0の判定処理を行う場合に、バンク0に含まれる素子群MP0、MP2、MP4、及びMP5ごとの判定処理を並行して行うことも可能である。
【0095】
図10は、第2モードを模式的に説明する図である。図10(a)、(c)は、第2モードでのバンク0(Bank0)でのレーザートリガ(Laser Triger)信号を示す。横軸は時間taを示し、縦軸は、レーザートリガ信号を示す。図10(a)は、例えばフレームN=nであり、図9(c)は、例えばフレームN=n+1である。図10(b)、(d)は、第2モードでのバンク0(Bank0)でのヒストグラム例を示す。横軸が時間taを示し、縦軸が、TDC320が計測した、素子群MP0、MP2、MP4、及びMP5で検出されフォトンの飛行時間の出現頻度に対応する。図10(b)は、例えばフレームN=nであり、図10(d)は、例えばフレームN=n+1である。
【0096】
図10(b)に示すように、例えば判定回路330b(図2参照)は、フレームN=nにおいて、ピークP10が存在しないので、バンク0に対応する領域に被写体Objが存在しないと判定する。この場合、制御回路330は、停止情報生成回路360を介して、フレームN=n+1において、バンク0に対応する発光素子群の発数を制限させる情報信号SPIを制御回路210に出力する。このように、制御回路330は、素子群MP0~MP13の反応状態に基づいて、N=n以降のフレームにおける発光部100の発光方法を制御する情報である情報信号SPIを制御回路210に出力する。この場合の発光方法は、発光の発数を制限することである。
【0097】
この情報信号SPIにより、図10(c)に示すように、フレームN=n+1では、発光部100のレーザー発数が制限される。すなわち、制御回路210のレーザー発数閾値制御回路210bは、情報信号SPIに応じて、レジスタ210aに規定される発光回数に、レーザー発数を制限する。すなわち、通常であれば時間t10に対応する発光回数であるのに対して、時間t10aに対応する発光回数に制限される。第2モードでは、回数は制限されるが、レーザー光は発光されるので、バンク0に対応する領域の受光素子は、時間t10aに対応する間は駆動する。
【0098】
これにより、図10(d)に示すように、ヒストグラムが生成される。すなわち、ヒストグラム生成回路330aは、バンク0に対応する領域のヒストグラムを生成可能である。このため、判定回路330bは、被写体が存在するか、否かを判定可能となる。つまり、第2モードでは、被写体Objが存在する領域には、より多くの回数のレーザー光を照射し、被写体が存在するか、否かの判定を行う。一方で、被写体Objが存在しない領域には、レーザー光の発数を制限し、省電力化を可能とする。なお、モード2では、レーザーの発数が制限されるので、例えばヒストグラム生成回路330aは、頻度を正規化して、ヒストグラムを生成する。すなわち、制御回路330は、バンク0に対応する複数の受光素子311の受光回数が所定の閾値を超えた状態になると、発光部100の対応する発光素子110mの発光の発数を制限する。また、制御回路330は、バンク0~3に対応する発光部100の領域毎に、所定期間において発光の発数を制限する制御を実行する。
【0099】
図11は、第2モードの更に詳細な制御シーケンス例を示す図である。ここでは、フレームN=0から制御を開始する例を説明する。図9と同様に、横軸は時間であり、上からバンク0~3を繰り返すシーケンス(Bankシーケンス)の回数N、バンク(Bank)の種類、発光部100、及び光検出部300の受光素子、及び発光素子の模式的位置、レーザートリガ生成回路350の出力するレーザートリガ(Laser Triger)信号の出力タイミング、停止情報生成回路360の出力する情報信号SPIの出力タイミング、各バンクに対応する発光素子の発光タイミング(レーザー)、光検出部300の反射光の受光状態(SPAD反射光状態)、ヒストグラム生成回路330aの駆動状態(Enable)、判定回路330bの判定状態(ピーク検出)を示す。
【0100】
まず、バンクシーケンスN=0では、バンク0~3の順で、レーザートリガ信号の出力タイミングに同期して、バンク0~3で規定される発光素子群が時系列に発光する。ことき、バンク0~3で規定される受光素子群も時系列に発光する。
【0101】
ヒストグラム生成回路330aは、バンク0~3で規定される受光素子群に対応するヒストグラムを時系列に生成する。すなわち、制御回路330は、バンク0~3で規定される受光素子群に対応するEnable信号として、有効信号をヒストグラム生成回路330aに出力する。判定回路330bは、バンク0~3に対応するヒストグラムが全て有効であるので、各ヒストグラムに対して、所定のピークがあるか否か、すなわち、被写体Objが存在するか否かを判定する。バンク2、3に対応する受光素子の領域には、被写体Objからの反射光がないので、バンク2、3に対応する各ヒストグラムには、所定のピークが生成されない。このため、判定回路330bは、バンク2、3に対応する各ヒストグラムに対して、所定のピークがないと判定する。
【0102】
そして、制御回路330は、判定回路330bの判定結果の情報を含む情報信号SPIを、停止情報生成回路360を介して、フレームN=0と、フレームN=1の間に、制御回路210に出力する。この情報信号SPIには、バンク2、3には所定のピークがないので、バンク2、3に対応する発光素子群の発光を制限させる情報が含まれている。
【0103】
次に、バンクシーケンスN=1では制御回路210側はバンクシーケンスN=0での情報信号SPIにしたがった制御を実行する。すなわち、バンク0~1の順で、レーザートリガ信号の出力タイミングに同期して、バンク0~1で規定される発光素子群が時系列に発光する。ことき、バンク0~1で規定される受光素子群も時系列に駆動する。一方で、情報信号SPIに含まれる制限情報に基づき、バンク2~3で規定される発光素子群の発数は制限される。ことき、バンク2~3で規定される受光素子群も駆動が制限される。これにより、被写体Objが存在しない領域に対応する発光素子群及び受光素子群の駆動を制限可能となり、省電力化が可能となる。
【0104】
ヒストグラム生成回路330aは、制御回路330の制御に従い、バンク0~3で規定される受光素子群に対応するヒストグラムを時系列に生成する。すなわち、制御回路330は、バンク0~3で規定される受光素子群に対応するEnable信号として、有効信号をヒストグラム生成回路330aに出力する。
【0105】
判定回路330bは、バンク0~3に対応するヒストグラムは有効であるので、各ヒストグラムに対して、所定のピークがあるか否か、すなわち、被写体Objが存在するか否かを判定する。バンク0~3に対応する受光素子の領域には、被写体Objからの反射光がないので、バンク0~3に対応する各ヒストグラムには、所定のピークが生成されない。このため、判定回路330bは、バンク0~3に対応する各ヒストグラムに対して、所定のピークがないと判定する。
【0106】
そして、制御回路330は、判定回路330bの判定結果の情報を含む情報信号SPIを、停止情報生成回路360を介して、フレームN=1と、フレームN=2の間に、制御回路210に出力する。この情報信号SPIには、バンク0~3には所定のピークがないので、バンク0~3に対応する発光素子群の発光を制限させる情報が含まれている。
【0107】
次に、バンクシーケンスN=2では、制御回路210側はバンクシーケンスN=1での情報信号SPIにしたがった制御を実行する。すなわち、バンク0~3の順で、レーザートリガ信号の出力タイミングに同期して、バンク0~3で規定される発光素子群が時系列に発光する。ことき、情報信号SPIに含まれる制限情報に基づき、バンク0~3で規定される発光素子群の発数は制限される。バンク0~3で規定される受光素子群も駆動時間が制限される。これにより、被写体Objが存在しない領域に対応する発光素子群及び受光素子群の駆動を制限可能となり、省電力化が可能となる。
【0108】
ヒストグラム生成回路330aは、制御回路330の制御に従い、バンク0~3で規定される受光素子群に対応するヒストグラムを時系列に生成する。すなわち、制御回路330は、バンク0~3で規定される受光素子群に対応するEnable信号として、有効信号をヒストグラム生成回路330aに出力する。
【0109】
判定回路330bは、バンク0~3に対応するヒストグラムは有効であるので、各ヒストグラムに対して、所定のピークがあるか否か、すなわち、被写体Objが存在するか否かを判定する。バンク0、2、3に対応する受光素子の領域には、被写体Objからの反射光がないので、バンク0、2、3に対応する各ヒストグラムには、所定のピークが生成されない。このため、判定回路330bは、バンク0、2、3に対応する各ヒストグラムに対して、所定のピークがないと判定する。
【0110】
一方で、バンク1に対応する受光素子の領域には、被写体Objからの反射光があるので、バンク1に対応するヒストグラムには、所定のピークが生成される。このため、判定回路330bは、バンク1に対応するヒストグラムに対して、所定のピークがあると判定する。そして、制御回路330は、判定回路330bの判定結果の情報を含む情報信号SPIを、停止情報生成回路360を介して、フレームN=2と、フレームN=3の間に、制御回路210に出力する。この情報信号SPIには、バンク0、2、3には所定のピークがないので、バンク0、2、3に対応する発光素子群の発光を制限させる情報が含まれている。
【0111】
次に、バンクシーケンスN=3では、制御回路210側はバンクシーケンスN=2での情報信号SPIにしたがった制御を実行する。すなわち、バンク0~3の順で、レーザートリガ信号の出力タイミングに同期して、バンク0~3で規定される発光素子群が時系列に発光する。ことき、情報信号SPIに含まれる制限情報に基づき、バンク0、2、3で規定される発光素子群の発数は制限される。バンク0、2、3で規定される受光素子群も駆動時間が制限される。一方で、バンク1で規定される発光素子群の発数は制限されず、バンク1で規定される受光素子群も駆動時間が制限されない。これにより、被写体Objが存在しない領域に対応する発光素子群及び受光素子群の駆動を制限可能となり、省電力化が可能となる。一方で、被写体Objが存在する領域に対応する発光素子群及び受光素子群の駆動は制限されないので、より精度の高い追跡が可能となる。
【0112】
ヒストグラム生成回路330aは、制御回路330の制御に従い、バンク0~3で規定される受光素子群に対応するヒストグラムを時系列に生成する。すなわち、制御回路330は、バンク0~3で規定される受光素子群に対応するEnable信号として、有効信号をヒストグラム生成回路330aに出力する。
【0113】
判定回路330bは、バンク0~3に対応するヒストグラムは有効であるので、各ヒストグラムに対して、所定のピークがあるか否か、すなわち、被写体Objが存在するか否かを判定する。バンク0~3に対応する受光素子の領域には、被写体Objからの反射光があるので、バンク0~3に対応する各ヒストグラムには、所定のピークが生成される。このため、判定回路330bは、バンク0から3に対応する各ヒストグラムに対して、所定のピークがあると判定する。そして、制御回路330は、判定回路330bの判定結果の情報を含む情報信号SPIを、停止情報生成回路360を介して、フレームN=3と、フレームN=4の間に、制御回路210に出力する。この情報信号SPIには、バンク0~3には所定のピークがあるので、バンク0~3に対応する発光素子群の発光を制限させない情報が含まれている。
【0114】
次に、バンクシーケンスN=4では、制御回路210側はバンクシーケンスN=3での情報信号SPIにしたがった制御を実行する。すなわち、バンク0~3の順で、レーザートリガ信号の出力タイミングに同期して、バンク0~3で規定される発光素子群が時系列に発光する。このとき、情報信号SPIに含まれる制限情報には制限がないことを示す情報が含まれる。これにより、バンク0~3で規定される発光素子群の発数は制限されず、バンク0~3で規定される受光素子群も駆動時間も制限されないものである。これにより、被写体Objが存在する領域に対応する発光素子群及び受光素子群の駆動は制限されないので、より精度の高い追跡が可能となる。
【0115】
ヒストグラム生成回路330aは、制御回路330の制御に従い、バンク0~3で規定される受光素子群に対応するヒストグラムを時系列に生成する。すなわち、制御回路330は、バンク0~3で規定される受光素子群に対応するEnable信号として、有効信号をヒストグラム生成回路330aに出力する。
【0116】
判定回路330bは、バンク0~3に対応するヒストグラムは有効であるので、各ヒストグラムに対して、所定のピークがあるか否か、すなわち、被写体Objが存在するか否かを判定する。バンク0~3に対応する受光素子の領域には、被写体Objからの反射光があるので、バンク0~3に対応する各ヒストグラムには、所定のピークが生成される。このため、判定回路330bは、バンク0から3に対応する各ヒストグラムに対して、所定のピークがあると判定する。そして、制御回路330は、判定回路330bの判定結果の情報を含む情報信号SPIを、停止情報生成回路360を介して、フレームN=4と、フレームN=5の間に、制御回路210に出力する。この情報信号SPIには、バンク0~3には所定のピークがあるので、バンク0~3に対応する発光素子群の発光を制限させない情報が含まれている。
【0117】
このように、制御回路330は、バンクシーケンスでの受光素子311(図4参照)の反応状態に基づいて、バンクシーケンスに続くバンクシーケンスにおける発光方法を制御する情報信号SPIを発光制御部200に出力する。これにより、発光制御部200は、被写体Objが存在する領域に対応する発光素子群を効率的に発光させることが可能となり、被写体Objの追跡精度の低下を抑制しつつ省電力化が可能となる。
【0118】
図12は、光検出部300のレジスタ340aに記憶されるレジスタ構成の例を示す図である。図4を参照しつつ、図12に示すように、各Bank0~3の素子群MP0~13ごとにMPX(X座標)、MPY(Y座標)、MPBM(BITMAP)をもつレジスタ構成である。MPX(X座標)、MPY(Y座標)は、受光素子311の範囲を示す。MPBM(BITMAP)は、Bank0~3に含まれるか否かを示す情報である。制御回路340は、これらのMPX(X座標)、MPY(Y座標)、及びMPBM(BITMAP)の情報を参照することにより、Bank0~3ごとに駆動すべき、受光素子311を制御可能となる。
【0119】
図13は、停止情報生成回路360が生成する情報信号SPIのデータ構成例を示す図である。BankIDには、バンク0~3のいずれかの情報が、例えば2bitで割り振られる。また、MP番号には、対応するMP0~13のいずれかの情報が、例えば4bitで割り振られる。Enableには、レーザー停止閾値制御を行うか否かのコードが、例えば1bitで割り振られる。例えばEnableが0であれ第1モード(通常)であり、例えばEnableが1であれば第2モード(停止閾値制御)である。これらがバンク0~3の数×素子群MP0~13の数=56個分が構成される。レーザー発光数閾値の欄には、第1モードの場合、例えば0が30bitで規定され、第2モードの場合、例えばレーザー発光する回数が例えば30bitで規定される。
【0120】
[APの復帰処理]
本実施形態では、制御回路340は、被写体Objが存在すると判定される場合に、所定の条件にしたがい、監視モードから通常モードに測距システム1を復帰させる。すなわち、本実施形態では、ヒストグラム生成回路330aが、所定の受光素子311それぞれの受光回数を発光部100における照射光の照射タイミングからの経過時間に応じて加算し、制御回路340は、加算した加算数(頻度)が所定の閾値を超えた状態になると、主制御部500に復帰信号を送信する。このように、本実施形態では、所定の期間内に、例えば素子群MP0~13ごとに生成されるヒストグラムにおけるピークが所定の閾値を超える状態に応じて、制御回路340は、主制御部500に復帰信号を送信する。
【0121】
なお、主制御部500は、AP復帰通知レジスタを有して構成してもよい。この場合、制御回路340は、外部インターフェース370を介して、例えばI2Cを用いてAP復帰通知レジスタにアクセスし、発光方法を制御する情報を通知してもよい。この場合、主制御部500は、監視モードでは省電力状態であるが、外部インターフェース370を介して、I2C通信は可能な状態に維持される。これにより、主制御部500は、AP復帰通知レジスタを定期的にリードしてAP復帰したかを観測してもよい。これらから分かるように、省電力を維持しつつ、主制御部500を通常モードに復帰させることが可能である。
【0122】
通常モードでは、上述のように、撮像部400と、主制御部500が通常の監視状態に復帰する。例えば、通常モードでは、上述のように、撮像部400による2次元画像の撮像、及び2次元画像と、距離画像の合成処理などが可能となる。
【0123】
図14乃至図17を用いて、本実施形態における復帰処理例の詳細を以下に説明する。図14は、ヒストグラム生成回路330aが素子群MP0~13ごとに各フレームN=0~3で生成したヒストグラム例を示す図である。例えば、図14(a)は、素子群MP0のフレームN=0でのヒストグラムであり、図14(b)は、素子群MP0のフレームN=1でのヒストグラムであり、図14(c)は、素子群MP0のフレームN=2でのヒストグラムであり、図14(d)は、素子群MP0のフレームN=3でのヒストグラムである。判定回路330bは、ピークP10が閾値Cthを超えたか否かを判定し、超えたフレームの番号と、素子群MP0~MP13の情報をレジスタ340aに記録する。例えば、判定回路330bは、連続で閾値Cthを超えた数が、所定回数を超えると、ピークアリと判定する。これにより、判定回路330bは、被写体Objが、監視領域に、連続的に存在する場合に、被写体Objありと判定が可能となる。換言すると、判定回路330bは、鳥などがたまたま通過した場合などのように、被写体Objの通過速度が、想定される監視対象より速い場合などに存在ありと判定しないものである。これにより、監視対象外の物体Objによる誤判定が抑制される。
【0124】
同様に、図15は、ヒストグラム生成回路330aが素子群MP0~13ごとに各フレームN=0~3で生成したヒストグラム例を示す図である。例えば、図15(a)は、素子群MP3のフレームN=0でのヒストグラムであり、図15(b)は、素子群MP3のフレームN=1でのヒストグラムであり、図15(c)は、素子群MP3のフレームN=2でのヒストグラムであり、図15(d)は、素子群MP3のフレームN=3でのヒストグラムである。判定回路330bは、ピークP10が閾値Cthを超えたか否かを判定し、超えたフレームの番号と、素子群MP0~MP13の情報をレジスタ340aに記録する。例えば、判定回路330bは、連続で閾値Cthを超えた数が所定回数(例えば3)を超えたので、ピーク有りと判定する。すなわち、素子群MP3の対応する領域に被写体Objありと判定する。
【0125】
図16は、判定情報をレジスタ340aに記録した例を示す図である。横軸がフレームN=0~4を示し、縦軸が素子群MP0~MP13を示す。図15では、ピークアリと判定された素子群MP0~MP13を〇で、ピークアリと判定されない素子群MP0~MP13を×で示す。例えばAP復帰閾値Thap=6が予めレジスタ340aに設定される。図16の例では、〇の数が8個であり、AP復帰閾値Thap=6を超えるので、制御回路340は、監視モードから通常モードに測距システム1を復帰させる復帰信号を主制御部500に送信する。
【0126】
図17は、レジスタ340aに記録した復帰させない判定情報例を示す図である。横軸がフレームN=0~4を示し、縦軸が素子群MP0~MP13を示す。図16では、ピークアリと判定された素子群MP0~MP13を〇で、ピークアリと判定されない素子群MP0~MP13を×で示す。図16の例では、〇の数が4個であり、AP復帰閾値Thap=6を超えないので、制御回路340は、監視モードを維持させる。つまり、制御回路340は、復帰信号を主制御部500に送信しないものである。
【0127】
図18は、AP復帰処理を含むシーケンス例を示す図である。横軸は時間であり、上から監視モード(dToF-ROI)であるか、通常モード(AP復帰)であるかを示す全体の制御モード(State)、監視モードの中の制御モード、AP復帰判定結果を示すコード、バンク0~3を繰り返すシーケンス(Bankシーケンス)の回数N、バンク(Bank)の種類、レーザートリガ生成回路350の出力するレーザートリガ(Laser Triger)信号の出力タイミング、停止情報生成回路360の出力する情報信号SPIの出力タイミング、制御回路330の出力するAP復帰通知信号、発光停止する場合の発光タイミング(レーザー(1))、発光停止しない場合の発光タイミング(レーザー(2))を示す。
【0128】
まず、バンクシーケンスN=nでは、測距システム1は、監視モード(dToF-ROI)で制御されている。このときの制御モードは、第1モード(MODE=間引きモード)であり、間引き回数DECは3である。つまり、1回のチェックフレーム(N=n)の後に2回のチェックスキップフレームが続く例である。例えば判定回路330bは、バンク0~1に対応する領域に被写体Objが存在すると判定し、バンク2~3に対応する域に被写体Objが存在しないと判定している。これにより、制御回路330は、判定回路330bの判定結果の情報を含む情報信号SPIを、停止情報生成回路360を介して、フレームN=nと、フレームN=n+1の間に、制御回路210に出力する。この情報信号SPIには、バンク2、3には所定のピークがないので、バンク2、3に対応する発光素子群の発光を停止させる情報が含まれている。
【0129】
次に、バンクシーケンスN=n+1では、チェックスキップフレームであるので、制御回路210側はバンクシーケンスN=nでの情報信号SPIにしたがった制御を実行する。すなわち、バンク0~1の順で、レーザートリガ信号の出力タイミングに同期して、バンク0~1で規定される発光素子群が時系列に発光する。ことき、バンク0~1で規定される受光素子群も時系列に駆動する。一方で、情報信号SPIに含まれる停止情報に基づき、バンク2~3で規定される発光素子群の発光は停止される。ことき、バンク2~3で規定される受光素子群も駆動停止する。
【0130】
一方で、バンクシーケンスN=n+1が終了した時点で、例えば図16に示すように連続する4フレームN=n―2、n―1、n、n+1で、ピークアリと判定された素子群MP0~MP13が閾値である6を超えたので、制御回路330は、通常モード(AP復帰)の制御を実行する。このとき、情報信号SPIも停止するので、バンクシーケンスN=n+1の発光素子110m、及び受光素子311の駆動制御状態が維持される。例えば、(レーザー(1))の例では、バンク2、3に対応する発光素子110mの発光が停止される。例えば、(レーザー(2))の例では、停止される発光素子110は、ない例である。
【0131】
このように、通常モード(AP復帰)の制御を実行する場合にも、被写体Objが存在する領域に対応する発光素子群、及び受光素子群の駆動は制限されないので、より精度の高い追跡が可能となる。一方で、被写体Objが存在しない領域に対応する発光素子群及び受光素子群の駆動は停止するので省電力化が可能となる。このように、通常モード(AP復帰)の制御を実行する場合にも、制御回路330は、バンクシーケンスでの受光素子の反応状態に基づいて、バンクシーケンスに続くバンクシーケンスにおける発光方法を制御する情報信号SPIを発光制御部200に出力する。これにより、通常モード(AP復帰)の制御を実行する場合にも、被写体Objが存在する領域に対応する発光素子群及び受光素子群の駆動は制限されないので、より精度の高い追跡が可能となる。一方で、被写体Objが存在しない領域に対応する発光素子群及び受光素子群の駆動は停止するので省電力化が可能となる。
【0132】
図19は、本実施形態に係る処理例を示すフローチャートである。先ず、操作者は、制御パラメータを、光検出部300の操作部を介して制御回路330のレジスタ340aに設定する(ステップS100)。すなわち、レジスタ340aには、制御モードがフレーム間引きモード(第1モード)であるか、発数制限モード(第2モード)であるかが設定される。また、フレーム間引きモードでは、間引き回数DECが設定される。間引き回数DEC-1の回数がチェックスキップフレームの回数に対応する。さらにまた、レーザー発数閾値Thがレジスタ210aに設定される。本例では、第1モードでのレーザー発数閾値Thは0である。ここでは、情報信号SPIのない初回のフレームN=0では、デフォルト設定での制御がされることとする。
【0133】
次に、制御回路330は、バンクシーケンスの回数N=0を設定し(ステップS102)、バンク番号NB=0を設定し、バンクシーケンスの制御を開始する(ステップS104)。次に、制御回路330は、所定のバンクシーケンスが完了したか否かを判定する(ステップS106)。例えば、バンク番号NB=0~3であれば完了していないと判定(ステップS106のNo)し、レーザー発数閾値制御回路210bは、バンクシーケンスのバンクNBのレーザー発数をレーザー発数閾値Thに従い制御する(ステップS108)。すなわち、フレーム間引きモードであれば、0かデフォルト設定値が情報信号SPIに従いレーザー発数として設定される。一方で、発数制限モードであれば、レーザー発数閾値Thか、デフォルト設定値がレーザー発数として設定される。なお、上述のように、N=0では、発数は、デフォルト設定値となる。
【0134】
次に、ヒストグラム生成回路330aは、バンクNBに対応する領域のヒストグラムを生成し、判定回路330bは、ヒストグラムに基づき、所定のピークを検出する(ステップS110)。判定回路330bは、所定のピークが検出されない場合にバンクNBに対応する領域のアドレス情報を、レジスタ340aに記憶する(ステップS112)。制御回路330は、バンク番号NBに1を加算する(ステップS114)。続けて、ステップS106からの処理を繰り返し、制御回路330は、例えば、バンク番号NB=4であればバンクシーケンスが終了したと判定する(ステップS106のYES)。
【0135】
次に、制御回路330は、制御モードが、フレーム間引きモードであるか、発数制限モードであるかを判定する(ステップS116)。フレーム間引きモードである場合(ステップS116のYes)、制御回路330は、バンクシーケンスの回数Nを判定する(ステップS118)。
【0136】
バンクシーケンスの回数N=0であれば、チェックフレームとしての制御として、ステップS114の情報に従い、制御回路330は、レーザーを停止する発光素子110mのアドレスを情報信号SPIに設定し(ステップS122)、レーザー発数値設定=0を含む情報信号SPIを停止情報生成回路360を生成させ、レーザー発数閾値制御回路210bに出力する(ステップS122)。続けて、ステップS114の情報に従い、駆動を停止するバンクに対応する素子群を素子群MP0~MP13の中から、レジスタ340aに記憶する(ステップS124)、そして、制御回路330は、バンクシーケンスの回数N=N+1として(ステップS126)、ステップS106からの処理を繰り返す。
【0137】
一方で、バンクシーケンスの回数Nが1~(DEC-2)であれば、チェックスキップフレームなので、制御状態を変更せずに、(ステップS126)からの処理を繰り返す。一方で、バンクシーケンスの回数N=(DEC-2)であれば、最終のチェックスキップフレームなので、チェックフレームとしての制御を次のフレームで開始するため、発光素子の停止アドレス設定をオフ(OFF)にし(ステップS128)、素子群MP0~MP13の停止アドレス設定をオフ(OFF)にして(ステップS130)、ステップS126からの処理を繰り返す。
【0138】
一方で、制御回路330は、制御モードが発数制限モードである場合、(ステップS116のNo)、制御回路330は、レーザーを停止する発光素子110mのアドレスを情報信号SPIに設定し(ステップS132)、レーザー発数値設定=Thを含む情報信号SPIを、停止情報生成回路360に生成させ、レーザー発数閾値制御回路210bに出力する(ステップS134)。そして、ステップS126からの処理を繰り返す。
【0139】
以上説明したように、本実施形態によれば、制御回路330は、バンクシーケンスでの受光素子の反応状態に基づいて、バンクシーケンスに続くバンクシーケンスにおける発光方法を制御する情報信号SPIを発光制御部200に出力することとした。これにより、被写体Objが存在する領域に対応する発光素子群及び受光素子群の駆動は制限されないので、より精度の高い被写体Objの追跡が可能となる。一方で、被写体Objが存在しない領域に対応する発光素子群及び受光素子群の駆動は停止または制限するので省電力化が可能となる。
【0140】
(第1実施形態の変形例1)
第1実施形態の変形例1に係る測距システム1は、監視対象とする被写体Objの距離範囲に応じて、ヒストグラム生成回路330aが生成したヒストグラムの判定範囲を変更する点で、第1実施形態に係る測距システム1と相違する。以下では、第1実施形態に係る測距システム1と相違する点を説明する。
【0141】
第1実施形態の変形例1に係る測距システム1では、光検出部300の操作部を介して制御回路330のレジスタ340aにピーク検出範囲を設定する。図20は、近距離の場合のピーク検出範囲tn0を示す図である。図20(a)、(b)は、ヒストグラム生成回路330aが生成したヒストグラムを示す。横軸は時間であり、縦軸は頻度である。図20(a)は、ピーク検出範囲tn0にピークがない場合であり、図20(b)は、ピーク検出範囲tn0にピークがある場合である。判定回路330bは、ピーク検出範囲tn0からピークの有無を判定する。それ以外の処理は、第1実施形態に係る測距システム1と同等である。
【0142】
図21は、遠距離の場合のピーク検出範囲tf0を示す。図21(a)、(b)は、ヒストグラム生成回路330aが生成したヒストグラムを示す。横軸は時間であり、縦軸は頻度である。図21(a)は、ピーク検出範囲tf0にピークがない場合であり、図21(b)は、ピーク検出範囲tf0にピークがある場合である。判定回路330bは、ピーク検出範囲tf0からピークの有無を判定する。すなわち、受光部100における受光回数の加算による頻度演算は、発光部110の照射光の照射タイミングから所定の時間範囲に設定される。これらの時間範囲は、測距レンジに応じて設定される。それ以外の処理は、第1実施形態に係る測距システム1と同等である。
【0143】
以上説明したように、第1実施形態の変形例1に係る測距システム1では、監視対象とする被写体Objの距離範囲に応じて、ヒストグラムにおけるピークの検出範囲を設定することとした。これにより、目的とする距離範囲の被写体Objの監視領域に存在するか否かを判定可能となる。
【0144】
(第1実施形態の変形例2)
第1実施形態の変形例2に係る測距システム1は、監視対象とする被写体Objが存在しないと判定された場合に、発光部100のレーザー強度を変更可能である点で第1実施形態の変形例1に係る測距システム1と相違する。以下では、第1実施形態の変形例1に係る測距システム1と相違する点を説明する。
【0145】
図22は、遠距離の場合の強度変更例を示す図である。図22(a)、(b)は、ヒストグラム生成回路330aが生成したヒストグラムを示す。横軸は時間であり、縦軸は頻度である。図22(a)は、ピーク検出範囲tf0にピークがない場合であり、図22(b)は、制御回路340の制御に従い、制御回路210にレーザー強度を増加させる制御を行った例を示す。レーザー強度を増加させることにより、判定回路330bは、ピーク検出範囲tf0からピークがあることを判定可能となる。それ以外の処理は、第1実施形態の変形例1に係る測距システム1と同等である。
【0146】
以上説明したように、第1実施形態の変形例2に係る測距システム1では、監視対象とする被写体Objが存在しないと判定された場合に、発光部100のレーザー強度を変更可能することとした。これにより、反射率の低い被写体Objからの反射光を検出可能となり、反射率の低い被写体Objが監視領域に存在するか否かを判定可能となる。
【0147】
(第1実施形態の変形例3)
第1実施形態の変形例3に係る測距システム1は、処理回路330の判定処理が第1実施形態の変形例1に係る測距システム1と相違する。以下では、第1実施形態の変形例1に係る測距システム1と相違する点を説明する。
【0148】
図23は、処理回路330の判定処理を示す図である。制御回路340は、フレームN=0で、発光部100に発光させる。この場合、バンク0~3のいずれかに対応する発光素子110mを発光させることが可能である。処理回路330は、各SPAD素子がフォトンを検出したタイミングを立ち上がりとするパルス(検出信号PXOUT)をバンク0~3のなかの対応する素子群から取得し、検出信号PXOUTの数の合計をカウント値A[count]とする。一方で、処理回路330は、発光部100を停止させて状態での、各SPAD素子がフォトンを検出したタイミングを立ち上がりとするパルス(検出信号PXOUT)をバンク0~3のなかの対応する素子群から取得し、検出信号PXOUTの数の合計をカウント値B[count]とする。
【0149】
処理回路330は、カウント値A[count]から環境光に相当するカウント値B[count]を減算し、所定値をこえると、バンク0~3の中の監視対象とした素子群に対応する領域に被写体が存在すると判定する。それ以外の処理は、第1実施形態に係る測距システム1と同等である。このように、環境光の影響を低減させた状態で、処理回路330は、監視対象領域に被写体が存在するか否かの判定が可能となる。
【0150】
<<応用例>>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される部として実現されてもよい。
【0151】
図24は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システム7000の概略的な構成例を示すブロック図である。車両制御システム7000は、通信ネットワーク7010を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図24に示した例では、車両制御システム7000は、駆動系制御ユニット7100、ボディ系制御ユニット7200、バッテリ制御ユニット7300、車外情報検出ユニット7400、車内情報検出ユニット7500、及び統合制御ユニット7600を備える。これらの複数の制御ユニットを接続する通信ネットワーク7010は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)又はFlexRay(登録商標)等の任意の規格に準拠した車載通信ネットワークであってよい。
【0152】
各制御ユニットは、各種プログラムにしたがって演算処理を行うマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータにより実行されるプログラム又は各種演算に用いられるパラメータ等を記憶する記憶部と、各種制御対象の部を駆動する駆動回路とを備える。各制御ユニットは、通信ネットワーク7010を介して他の制御ユニットとの間で通信を行うためのネットワークI/Fを備えるとともに、車内外の部又はセンサ等との間で、有線通信又は無線通信により通信を行うための通信I/Fを備える。図24では、統合制御ユニット7600の機能構成として、マイクロコンピュータ7610、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660、音声画像出力部7670、車載ネットワークI/F7680及び記憶部7690が図示されている。他の制御ユニットも同様に、マイクロコンピュータ、通信I/F及び記憶部等を備える。
【0153】
駆動系制御ユニット7100は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する部の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット7100は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生部、駆動力を車輪に伝送するための駆動力伝送機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動部等の制御部として機能する。駆動系制御ユニット7100は、ABS(Antilock Brake System)又はESC(Electronic Stability Control)等の制御部としての機能を有してもよい。
【0154】
駆動系制御ユニット7100には、車両状態検出部7110が接続される。車両状態検出部7110には、例えば、車体の軸回転運動の角速度を検出するジャイロセンサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、あるいは、アクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、ステアリングホイールの操舵角、エンジン回転数又は車輪の回転速度等を検出するためのセンサのうちの少なくとも一つが含まれる。駆動系制御ユニット7100は、車両状態検出部7110から入力される信号を用いて演算処理を行い、内燃機関、駆動用モータ、電動パワーステアリング部又はブレーキ部等を制御する。
【0155】
ボディ系制御ユニット7200は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種部の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット7200は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ部、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御部として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット7200には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット7200は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック部、パワーウィンドウ部、ランプ等を制御する。
【0156】
バッテリ制御ユニット7300は、各種プログラムにしたがって駆動用モータの電力供給源である二次電池7310を制御する。例えば、バッテリ制御ユニット7300には、二次電池7310を備えたバッテリ部から、バッテリ温度、バッテリ出力電圧又はバッテリの残存容量等の情報が入力される。バッテリ制御ユニット7300は、これらの信号を用いて演算処理を行い、二次電池7310の温度調節制御又はバッテリ部に備えられた冷却部等の制御を行う。
【0157】
車外情報検出ユニット7400は、車両制御システム7000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット7400には、撮像部7410及び車外情報検出部7420のうちの少なくとも一方が接続される。撮像部7410には、ToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ及びその他のカメラのうちの少なくとも一つが含まれる。車外情報検出部7420には、例えば、現在の天候又は気象を検出するための環境センサ、あるいは、車両制御システム7000を搭載した車両の周囲の他の車両、障害物又は歩行者等を検出するための周囲情報検出センサのうちの少なくとも一つが含まれる。
【0158】
環境センサは、例えば、雨天を検出する雨滴センサ、霧を検出する霧センサ、日照度合いを検出する日照センサ、及び降雪を検出する雪センサのうちの少なくとも一つであってよい。周囲情報検出センサは、超音波センサ、レーダ部及びLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)部のうちの少なくとも一つであってよい。これらの撮像部7410及び車外情報検出部7420は、それぞれ独立したセンサないし部として備えられてもよいし、複数のセンサないし部が統合された部として備えられてもよい。
【0159】
ここで、図25は、撮像部7410及び車外情報検出部7420の設置位置の例を示す。撮像部7910、7912、7914、7916、7918は、例えば、車両7900のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部のうちの少なくとも一つの位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部7910及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として車両7900の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部7912、7914は、主として車両7900の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部7916は、主として車両7900の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0160】
なお、図25には、それぞれの撮像部7910、7912、7914、7916の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲aは、フロントノーズに設けられた撮像部7910の撮像範囲を示し、撮像範囲b、cは、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部7912、7914の撮像範囲を示し、撮像範囲dは、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部7916の撮像範囲を示す。例えば、撮像部7910、7912、7914、7916で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両7900を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0161】
車両7900のフロント、リア、サイド、コーナ及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920、7922、7924、7926、7928、7930は、例えば超音波センサ又はレーダ部であってよい。車両7900のフロントノーズ、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920、7926、7930は、例えばLIDAR部であってよい。これらの車外情報検出部7920~7930は、主として先行車両、歩行者又は障害物等の検出に用いられる。
【0162】
図24に戻って説明を続ける。車外情報検出ユニット7400は、撮像部7410に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像データを受信する。また、車外情報検出ユニット7400は、接続されている車外情報検出部7420から検出情報を受信する。車外情報検出部7420が超音波センサ、レーダ部又はLIDAR部である場合には、車外情報検出ユニット7400は、超音波又は電磁波等を発信させるとともに、受信された反射波の情報を受信する。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、降雨、霧又は路面状況等を認識する環境認識処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、車外の物体までの距離を算出してもよい。
【0163】
また、車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等を認識する画像認識処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに対して歪補正又は位置合わせ等の処理を行うとともに、異なる撮像部7410により撮像された画像データを合成して、俯瞰画像又はパノラマ画像を生成してもよい。車外情報検出ユニット7400は、異なる撮像部7410により撮像された画像データを用いて、視点変換処理を行ってもよい。
【0164】
車内情報検出ユニット7500は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット7500には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部7510が接続される。運転者状態検出部7510は、運転者を撮像するカメラ、運転者の生体情報を検出する生体センサ又は車室内の音声を集音するマイク等を含んでもよい。生体センサは、例えば、座面又はステアリングホイール等に設けられ、座席に座った搭乗者又はステアリングホイールを握る運転者の生体情報を検出する。車内情報検出ユニット7500は、運転者状態検出部7510から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。車内情報検出ユニット7500は、集音された音声信号に対してノイズキャンセリング処理等の処理を行ってもよい。
【0165】
統合制御ユニット7600は、各種プログラムにしたがって車両制御システム7000内の動作全般を制御する。統合制御ユニット7600には、入力部7800が接続されている。入力部7800は、例えば、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ又はレバー等、搭乗者によって入力操作され得る部によって実現される。統合制御ユニット7600には、マイクロフォンにより入力される音声を音声認識することにより得たデータが入力されてもよい。入力部7800は、例えば、赤外線又はその他の電波を利用したリモートコントロール部であってもよいし、車両制御システム7000の操作に対応した携帯電話又はPDA(Personal Digital Assistant)等の外部接続機器であってもよい。入力部7800は、例えばカメラであってもよく、その場合搭乗者はジェスチャにより情報を入力することができる。あるいは、搭乗者が装着したウェアラブル部の動きを検出することで得られたデータが入力されてもよい。さらに、入力部7800は、例えば、上記の入力部7800を用いて搭乗者等により入力された情報に基づいて入力信号を生成し、統合制御ユニット7600に出力する入力制御回路などを含んでもよい。搭乗者等は、この入力部7800を操作することにより、車両制御システム7000に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
【0166】
記憶部7690は、マイクロコンピュータにより実行される各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、及び各種パラメータ、演算結果又はセンサ値等を記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。また、記憶部7690は、HDD(Hard Disc Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等によって実現してもよい。
【0167】
汎用通信I/F7620は、外部環境7750に存在する様々な機器との間の通信を仲介する汎用的な通信I/Fである。汎用通信I/F7620は、GSM(登録商標)(Global System of Mobile communications)、WiMAX(登録商標)、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)若しくはLTE-A(LTE-Advanced)などのセルラー通信プロトコル、又は無線LAN(Wi-Fi(登録商標)ともいう)、Bluetooth(登録商標)などのその他の無線通信プロトコルを実装してよい。汎用通信I/F7620は、例えば、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク(例えば、インターネット、クラウドネットワーク又は事業者固有のネットワーク)上に存在する機器(例えば、アプリケーションサーバ又は制御サーバ)へ接続してもよい。また、汎用通信I/F7620は、例えばP2P(Peer To Peer)技術を用いて、車両の近傍に存在する端末(例えば、運転者、歩行者若しくは店舗の端末、又はMTC(Machine Type Communication)端末)と接続してもよい。
【0168】
専用通信I/F7630は、車両における使用を目的として策定された通信プロトコルをサポートする通信I/Fである。専用通信I/F7630は、例えば、下位レイヤのIEEE802.11pと上位レイヤのIEEE1609との組合せであるWAVE(Wireless Access in Vehicle Environment)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、又はセルラー通信プロトコルといった標準プロトコルを実装してよい。専用通信I/F7630は、例えば、車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、車両と家との間(Vehicle to Home)の通信及び歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信のうちの1つ以上を含む概念であるV2X通信を遂行する。
【0169】
測位部7640は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からのGNSS信号(例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号)を受信して測位を実行し、車両の緯度、経度及び高度を含む位置情報を生成する。なお、測位部7640は、無線アクセスポイントとの信号の交換により現在位置を特定してもよく、又は測位機能を有する携帯電話、PHS若しくはスマートフォンといった端末から位置情報を取得してもよい。
【0170】
ビーコン受信部7650は、例えば、道路上に設置された無線局等から発信される電波あるいは電磁波を受信し、現在位置、渋滞、通行止め又は所要時間等の情報を取得する。なお、ビーコン受信部7650の機能は、上述した専用通信I/F7630に含まれてもよい。
【0171】
車内機器I/F7660は、マイクロコンピュータ7610と車内に存在する様々な車内機器7760との間の接続を仲介する通信インターフェースである。車内機器I/F7660は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)又はWUSB(Wireless USB)といった無線通信プロトコルを用いて無線接続を確立してもよい。また、車内機器I/F7660は、図示しない接続端子(及び、必要であればケーブル)を介して、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface、又はMHL(Mobile High-definition Link)等の有線接続を確立してもよい。車内機器7760は、例えば、搭乗者が有するモバイル機器若しくはウェアラブル機器、又は車両に搬入され若しくは取り付けられる情報機器のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。また、車内機器7760は、任意の目的地までの経路探索を行うナビゲーション部を含んでいてもよい。車内機器I/F7660は、これらの車内機器7760との間で、制御信号又はデータ信号を交換する。
【0172】
車載ネットワークI/F7680は、マイクロコンピュータ7610と通信ネットワーク7010との間の通信を仲介するインターフェースである。車載ネットワークI/F7680は、通信ネットワーク7010によりサポートされる所定のプロトコルに則して、信号等を送受信する。
【0173】
統合制御ユニット7600のマイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、各種プログラムにしたがって、車両制御システム7000を制御する。例えば、マイクロコンピュータ7610は、取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生部、ステアリング機構又は制動部の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット7100に対して制御指令を出力してもよい。例えば、マイクロコンピュータ7610は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行ってもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生部、ステアリング機構又は制動部等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行ってもよい。
【0174】
マイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、車両と周辺の構造物や人物等の物体との間の3次元距離情報を生成し、車両の現在位置の周辺情報を含むローカル地図情報を生成してもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される情報に基づき、車両の衝突、歩行者等の近接又は通行止めの道路への進入等の危険を予測し、警告用信号を生成してもよい。警告用信号は、例えば、警告音を発生させたり、警告ランプを点灯させたりするための信号であってよい。
【0175】
音声画像出力部7670は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力部へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図24の例では、出力部として、オーディオスピーカ7710、表示部7720及びインストルメントパネル7730が例示されている。表示部7720は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。表示部7720は、AR(Augmented Reality)表示機能を有していてもよい。出力部は、これらの部以外の、ヘッドホン、搭乗者が装着する眼鏡型ディスプレイ等のウェアラブルデバイス、プロジェクタ又はランプ等の他の部であってもよい。出力部が表示部の場合、表示部は、マイクロコンピュータ7610が行った各種処理により得られた結果又は他の制御ユニットから受信された情報を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。また、出力部が音声出力部の場合、音声出力部は、再生された音声データ又は音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力する。
【0176】
なお、図24に示した例において、通信ネットワーク7010を介して接続された少なくとも二つの制御ユニットが一つの制御ユニットとして一体化されてもよい。あるいは、個々の制御ユニットが、複数の制御ユニットにより構成されてもよい。さらに、車両制御システム7000が、図示されていない別の制御ユニットを備えてもよい。また、上記の説明において、いずれかの制御ユニットが担う機能の一部又は全部を、他の制御ユニットに持たせてもよい。つまり、通信ネットワーク7010を介して情報の送受信がされるようになっていれば、所定の演算処理が、いずれかの制御ユニットで行われるようになってもよい。同様に、いずれかの制御ユニットに接続されているセンサ又は部が、他の制御ユニットに接続されるとともに、複数の制御ユニットが、通信ネットワーク7010を介して相互に検出情報を送受信してもよい。
【0177】
なお、図1を用いて説明した本実施形態に係る測距システム1の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを、いずれかの制御ユニット等に実装することができる。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供することもできる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0178】
以上説明した車両制御システム7000において、図1を用いて説明した本実施形態に係る測距システム1は、図24に示した応用例の統合制御ユニット7600に適用することができる。例えば、測距システム1は、撮像部7410に相当する。
【0179】
なお、本技術は以下のような構成を取ることができる。
【0180】
(1)
照射光が物体で反射した光を受ける複数の受光素子を有する受光部と、
Nフレームにおける前記複数の受光素子の反応状態に基づいて、N以降のフレームにおける発光方法を制御する情報を含む情報信号を、前記照射光を発光する発光部を制御する照射制御部に送信する制御部と、
を備える、光検出素子。
【0181】
(2)
前記発光方法は、前記発光の発数を制限することである、(1)に記載の光検出素子。
【0182】
(3)
前記制御回路は、前記発光部の領域毎に前記発数を制限する、(2)に記載の光検出素子。
【0183】
(4)
前記発光方法は、前記発光を所定期間において停止することである、(1)に記載の光検出素子。
【0184】
(5)
前記制御回路は、前記発光部の領域毎に前記発光を停止する、(4)に記載の光検出素子。
【0185】
(6)
前記照射光は、所定の回数で照射され、
前記複数の受光素子の受光回数が所定の閾値を超えた状態になると、前記制御回路は、復帰信号を主制御部に出力する、(1)に記載の光検出素子。
【0186】
(7)
受光回数は、前記照射光の照射タイミングから所定の時間範囲に設定される、(6)に記載の光検出素子。
【0187】
(8)
前記所定の時間範囲は、測距レンジに応じて設定される、(7)に記載の光検出素子。
【0188】
(9)
前記照射光は、レーザー光であり、前記反射した光は、フォトンである、(1)に記載の光検出素子。
【0189】
(10)
前記発光部は複数の発光素子を有し、
前記受光部の受光面は、複数の素子群領域に分けられており、
前記複数の発光素子は、その位置に基づき、前記複数の素子群領域に対応づけられ、
前記複数の素子群領域に対応づけられた前記発光素子毎に、前記発光の発数を制限する、(1)に記載の光検出素子。
【0190】
(11)
前記制御回路は、前記複数の素子群領域ごとの反応状態に基づいて、前記複数の素子群領域に対応づけられた素子毎の発数を制限する、(10)に記載の光検出素子。
【0191】
(12)
前記発光部は複数の発光素子を有し、
前記受光部の受光面は、複数の素子群領域に分けられており、
前記複数の発光素子は、その位置に基づき、前記複数の素子群領域に対応づけられ、
前記複数の素子群領域に対応づけられた素子毎に、前記発光を停止する、(1)に記載の光検出素子。
【0192】
(13)
前記制御回路は、前記複数の素子群領域ごとの反応状態に基づいて、前記複数の素子群領域に対応づけられた素子毎の発光を停止する、(12)に記載の光検出素子。
【0193】
(14)
前記照射光は、所定の回数で照射され、
前記複数の受光素子の受光回数が所定の閾値を超えた状態になると、前記制御回路は、復帰信号を主制御部に出力する、(1)に記載の光検出素子。
【0194】
(15)
前記照射光は、所定の回数で照射され、
前記複数の受光素子それぞれの受光回数を前記照射光の照射タイミングからの経過時間に応じて加算し、
前記加算した加算数が所定の閾値を超えた状態になると、
前記制御回路は、前記発光の発数を制限する、(2)に記載の光検出素子。
【0195】
(16)
前記照射光は、所定の回数で照射され、
前記複数の受光素子それぞれの受光回数を前記照射光の照射タイミングからの経過時間に応じて加算し、
前記加算した加算数が所定の閾値を超えた状態になると、
前記制御回路は、前記発光を所定期間において停止する、(4)に記載の光検出素子。
【0196】
(17)
前記フレームは、所定の制御期間に対応する、(1)に記載の光検出素子。
【0197】
(18)
照射光が物体で反射した光を複数の受光素子が受光する工程と、
Nフレームにおいて前記複数の受光素子の反応状態に基づいて、N以降のフレームにおける発光方法を制御する情報を含む情報信号を、前記照射光を発光する発光部を制御する照射制御部に送信する制御工程と、
を備える、測距方法。
【0198】
(19)
照射光を発光する発光部を有する発光部と、
前記発光部を制御する照射制御部と、
光検出部と、
を備える測距システムであって、
前記光検出部は、
照射光が物体で反射した光を受ける複数の受光素子を有する受光部と、
Nフレームにおいて前記複数の受光素子の反応状態に基づいて、N以降のフレームにおける発光方法を制御する情報を含む情報信号を、前記照射光を発光する発光部を制御する照射制御部に送信する制御回路と、
を有する、測距システム。
【0199】
(20)
前記光検出部を制御可能である主制御部を更に備え、
前記主制御部は、前記受光部が、前記発光方法を制御する場合に、省電力状態となる、(19)に記載の測距システム。
【0200】
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0201】
1:測距システム、100:発光部、200:発光制御部、300:光検出部(光検出素子)、310:受光部、340:制御回路、500:主制御部。
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