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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131805
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】サーボシステム
(51)【国際特許分類】
   H02P 5/46 20060101AFI20240920BHJP
   G05B 19/19 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H02P5/46 D
G05B19/19 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042274
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】由良 元澄
【テーマコード(参考)】
3C269
5H572
【Fターム(参考)】
3C269AB01
3C269BB01
3C269GG01
3C269KK06
5H572AA14
5H572CC05
5H572DD02
5H572EE04
5H572HA08
5H572HC01
5H572HC04
5H572HC07
5H572JJ17
5H572JJ30
(57)【要約】
【課題】上位制御装置からの指令に応じて、電源ユニットの制御を自在に可変できるサーボシステムを安価な通信インターフェイスを用いて提供する。
【解決手段】サーボユニットは、上位制御装置3と、前記上位制御装置3からの指令に応じて、互いに異なるモータを制御する複数のインバータユニット2a,2b,2cと、前記複数のインバータユニット2a,2b,2cそれぞれに直流電力を供給するとともに前記複数のインバータユニット2a,2b,2cとパラレルで通信可能な電源ユニット1と、を備え、前記複数のインバータ2a,2b,2cは、一つの親局インバータユニット2aを含み、前記上位制御装置3および前記電源ユニット1は、前記親局インバータユニット2aを中継して、互いに通信し、前記電源ユニット1は、前記上位制御装置3から送信された電源制御指令に基づいて電力供給を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位制御装置と、
前記上位制御装置からの指令に応じて、互いに異なるモータを制御する複数のインバータユニットと、
前記複数のインバータユニットそれぞれに直流電力を供給するとともに前記複数のインバータユニットとパラレルで通信可能な電源ユニットと、
を備え、
前記複数のインバータは、一つの親局インバータユニットを含み、
前記上位制御装置および前記電源ユニットは、前記親局インバータユニットを中継して、互いに通信し、
前記電源ユニットは、前記上位制御装置から送信された電源制御指令に基づいて電力供給を制御する、
ことを特徴とするサーボシステム。
【請求項2】
前記上位制御装置は、通信インターフェイスを含む制御回路を有し、
前記インバータユニットは、前記上位制御装置と通信する第一の通信インターフェイスと前記電源ユニットと通信する第二の通信インターフェイスと予め固有のID番号を記憶したID番号保持部とを含む制御回路と、インバータと、を有し、
前記電源ユニットは、前記複数のインバータユニットと通信する通信インターフェイスを含む制御回路と、電力変換回路と、を有し、
前記電源ユニットの制御回路は、
前記複数のインバータユニットへの呼出し番号の同時送信を、予め規定された初期値から予め規定された最終値まで前記呼出し番号を順次変更しながら、繰り返し、
前記呼出し番号の送信に対して前記複数のインバータユニットの一つから所定の応答が返信された際の前記呼出し番号を実在番号として一時記憶し、
1以上の前記実在番号の一つを親局ID番号として特定し、
前記親局ID番号と一致する前記呼出し番号に対して前記所定の応答を返信したインバータユニットを前記親局インバータユニットとして決定するとともに、前記親局ID番号を、前記複数のインバータに送信する、
ように構成されており、
前記インバータの制御回路は、
前記ID番号保持部に記憶された前記ID番号と一致する前記呼出し番号を前記電源ユニットから受信した場合に、前記所定の応答を、前記電源ユニットに送信し、
前記ID番号保持部に記憶された前記ID番号と一致する前記親局ID番号を前記電源ユニットから受信した場合に、自身の識別情報を、親局情報として前記上位制御装置に送信し、
前記上位制御装置から前記電源制御指令を受けた場合に、前記電源制御指令を前記電源ユニットに送信する、
ように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のサーボシステム。
【請求項3】
前記電源ユニットの前記通信インターフェイスと、前記複数のインバータユニットの前記第二の通信インターフェイスは、前者をマスタ、後者をスレイブとして、バス接続されており、
前記複数のインバータユニットは、前記電源ユニットから送信された信号を互いに実質的に同じタイミングで受信し、
前記上位制御装置の通信インターフェイスおよび前記複数のインバータユニットの前記第一の通信インターフェイスは、デイジーチェーン方式で接続されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のサーボシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、工作機械の送り軸を駆動する送り軸モータや主軸を駆動する主軸モータを制御するサーボシステムを開示する。
【背景技術】
【0002】
工作機械のサーボシステムにおいて、上位制御装置であるNC装置からインバータユニットへの指令は、一般的にモータの位置指令、速度指令、トルク指令などであり、また、インバータユニットからNC装置への応答は、一般的にモータの位置検出値、速度検出値などであり、これらは高精密な機械制御を実現するために高速かつ大容量の通信インターフェイスが使用される。具体的な例としてはイーサネット技術を利用した10M~100Mbps程度の通信が使用される。
【0003】
一方、インバータユニットと電源ユニット間の通信は、例えば停電発生時に迅速に機械を停止させて機械破損を防ぐ目的から、複数のインバータユニットに対して電源ユニットから同時送信で1対N通信(Nはインバータユニットの個数)を行うことが一般的である。また、インバータユニットから電源ユニットに伝送する内容は、従来はインバータ側のエラーのみのためハードワイア信号を使用し、よってインバータユニットと電源ユニット間は一方向通信を使用することが一般的である。通信されるデータは電源ユニットの制御状態や、電源ユニットが出力しているDC電圧の電圧値などであり、データ容量は比較的小さい。具体的な通信インターフェイスの例としては、RS485などを利用した10k~100kbps程度の通信が使用される。
【0004】
図3は、従来技術による一般的なサーボシステムの構成図である。電源ユニット1は、交流電力を直流に変換してインバータユニット2a,2b,2cに供給する。インバータユニット2a,2b,2cは、上位制御装置であるNC装置3から、通信インターフェイス4a,4b,4cを介して位置指令、速度指令、トルク指令などを受信し、これら指令に応じて送り軸モータ、主軸モータを制御する。また、通信インターフェイス4a,4b,4cは、双方向通信であり、インバータユニット2a,2b,2cからNC装置(上位制御装置)に対して位置検出値、速度検出値などを送信する。本図では、デイジーチェーン方式によって接続する例を示しているが、他の接続方式としてはバス接続方式がある。バス接続方式では、NC装置3とインバータユニット2a,2b,2cは時分割で通信経路を使用して双方向通信を行う。
【0005】
インバータユニット2a,2b,2cが送り軸モータ、主軸モータの電流を制御するために、電源ユニット1の出力するDC電圧情報が必要である。そのため、電源ユニット1は通信インターフェイス5を介してDC電圧値をインバータユニット2a,2b,2cに送信する。インバータユニットの通信インターフェイス6a,6b,6cは、このDC電圧値を受信するインターフェイスであり、受信動作のみを行う。
【0006】
また、停電発生時、電源ユニット1は、検出した停電信号(図示しない)を通信インターフェイス5から送信する。インバータユニット2a,2b,2cは、停電信号を同時に受信して各モータを迅速に停止させ、機械の破損等を防いでいる。
【0007】
省エネルギ実現のためサーボシステム全体の電力制御の高機能化が求められており、上位制御装置であるNC装置からの指令に応じて電源ユニットの制御を可変できることが求められている。例えば、機械全体の負荷、つまり所要電力が小さい場合には、インバータユニットに供給するDC電圧を下げてインバータの損失を低減する。しかし、図3の構成の場合、電源ユニット1からインバータユニット2a,2b,2cへの一方向通信であった。そのため、電源ユニット1が、通信を受信できなかったので、電源ユニット1の制御を可変することができなかった。
【0008】
そこで、電源ユニットの制御可変を実現するために、特許文献1および特許文献2では、電源ユニットとインバータユニットを同一のネットワークで接続し、電源ユニットの通信としてインバータユニットと同等の高性能な双方向通信インターフェイスを採用している。
【0009】
図4は、特許文献1または特許文献2におけるサーボシステムの構成を示す図である。電源ユニット1は交流電力を直流に変換してインバータユニット2a,2b,2cに供給する。インバータユニット2a,2b,2cは上位制御装置であるNC装置3から、バス接続方式による双方向通信インターフェイス4a,4b,4cを介して位置指令、速度指令、トルク指令などを受信し、これら指令に応じて送り軸モータ、主軸モータを制御する。
【0010】
電源ユニット1に設けた通信インターフェイス5は、インバータユニットの通信インターフェイス4a,4b,4cと同等性能で同列に接続されている点が図3の例とは異なる。NC装置3はインバータユニットに指令を送信することと同様に電源ユニット1にも指令を送信し、様々な機能を実行する。図4に示す構成の場合、電源ユニット1に、高性能な双方向通信を採用しなければならず、コストが増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003-348892
【特許文献2】特開2014-096929
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、上位制御装置からの指令に応じて、電源ユニットの制御を自在に可変できるサーボシステムを安価な通信インターフェイスを用いて提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本明細書で開示するサーボシステムは、上位制御装置と、前記上位制御装置からの指令に応じて、互いに異なるモータを制御する複数のインバータユニットと、前記複数のインバータユニットそれぞれに直流電力を供給するとともに前記複数のインバータユニットとパラレルで通信可能な電源ユニットと、を備え、前記複数のインバータは、一つの親局インバータユニットを含み、前記上位制御装置および前記電源ユニットは、前記親局インバータユニットを中継して、互いに通信し、前記電源ユニットは、前記上位制御装置から送信された電源制御指令に基づいて電力供給を制御する、ことを特徴とする。
【0014】
かかる構成とすることで、上位制御装置からの指令に応じて、電源ユニットの制御を自在に可変できるサーボシステムを安価な通信インターフェイスを用いて提供できる。
【0015】
この場合、前記上位制御装置は、通信インターフェイスを含む制御回路を有し、前記インバータユニットは、前記上位制御装置と通信する第一の通信インターフェイスと前記電源ユニットと通信する第二の通信インターフェイスと予め固有のID番号を記憶したID番号保持部とを含む制御回路と、インバータと、を有し、前記電源ユニットは、前記複数のインバータユニットと通信する通信インターフェイスを含む制御回路と、電力変換回路と、を有し、前記電源ユニットの制御回路は、前記複数のインバータユニットへの呼出し番号の同時送信を、予め規定された初期値から予め規定された最終値まで前記呼出し番号を順次変更しながら、繰り返し、前記呼出し番号の送信に対して前記複数のインバータユニットの一つから所定の応答が返信された際の前記呼出し番号を実在番号として一時記憶し、1以上の前記実在番号の一つを親局ID番号として特定し、前記親局ID番号と一致する前記呼出し番号に対して前記所定の応答を返信したインバータユニットを前記親局インバータユニットとして決定するとともに、前記親局ID番号を、前記複数のインバータに送信する、ように構成されており、前記インバータの制御回路は、前記ID番号保持部に記憶された前記ID番号と一致する前記呼出し番号を前記電源ユニットから受信した場合に、前記所定の応答を、前記電源ユニットに送信し、前記ID番号保持部に記憶された前記ID番号と一致する前記親局ID番号を前記電源ユニットから受信した場合に、自身の識別情報を、親局情報として前記上位制御装置に送信し、前記上位制御装置から前記電源制御指令を受けた場合に、前記電源制御指令を前記電源ユニットに送信する、ように構成されていてもよい。
【0016】
かかる構成とすることで、電源ユニットとインバータユニットの組合せが変更された場合でも、上位制御装置は、親局インバータユニットを特定できる。結果として、上位制御装置に、親局インバータユニットを特定するための複雑な構成を設ける必要がなく、上位制御装置の構成を簡易化できる。
【0017】
また、前記電源ユニットの前記通信インターフェイスと、前記複数のインバータユニットの前記第二の通信インターフェイスと、前者をマスタ、後者をスレイブとして、バス接続されており、前記複数のインバータユニットは、前記電源ユニットから送信された信号を互いに実質的に同じタイミングで受信し、前記上位制御装置の通信インターフェイスおよび前記複数のインバータユニットの前記第一の通信インターフェイスは、デイジーチェーン方式で接続されていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本明細書で開示する技術によれば、上位制御装置からの指令に応じて、電源ユニットの制御を自在に可変できるサーボシステムを安価な通信インターフェイスを用いて提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】は本発明の一実施例によるサーボシステムの構成を示す図である。
図2】は本発明の一実施例において、電源ユニットがNC装置との通信を確立するまでの処理を示すフローチャートである。
図3】は本発明の背景となる従来技術によるサーボシステム構成の一例を示す図である。
図4】は本発明の背景となる従来技術によるサーボシステム構成の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、サーボシステムの構成図である。電源ユニット1は、交流電源8から供給される交流電力を直流電力に変換し、この直流電力をインバータユニット2a,2b,2cにDCリンク9によって供給している。以下の説明では、複数のインバータユニット2a,2b,2cを区別しない場合、符号のアルファベットを省略して、「インバータユニット2」と呼ぶ。各インバータユニット2が有する構成要素についても同様である。また、説明簡素化のためインバータユニット2が3つの場合を図示しているが、これに限定されない。インバータユニット2の個数は、ハードウェア上の制約によって決まる最大数が上限となる。以下の説明では、この上限をNとする。
【0021】
電源ユニット1の内部の電力変換回路20は、主軸モータや送り軸モータが減速する際には運動エネルギが電力として回生されるため、可逆変換可能なインバータ回路となっている。よって、このインバータ(すなわち電力変換回路20)の制御によってDCリンク9のDC電圧を自由に可変制御することができる。また、電源ユニット1は、電力変換回路20に加え、制御回路22を有する。制御回路22は、例えば、プロセッサ(図示せず)と、メモリ(図示せず)と、通信インターフェイス5と、を有するコンピュータである。
【0022】
複数のインバータユニット2a,2b,2cは、デイジーチェーン方式の通信インターフェイス4a,4b,4cを介して、NC装置3から送り軸モータや主軸モータの位置指令、速度指令、トルク指令などを受け、これらモータを制御する。この通信インターフェイス4a,4b,4cは、NC装置3(すなわち上位制御装置)と通信する第一の通信インターフェイスに対応する。
【0023】
インバータユニット2は、インバータ11と、制御回路12と、を有する。制御回路12は、二種類の通信インターフェイス4,6と、ID番号保持部7と、を有する。ID番号保持部7には、固有のID番号が記憶、保持されている。このID番号は、NC装置3との通信において指令対象の認識のために参照される。なお、制御回路は、例えば、プロセッサとメモリと通信インターフェイスとを有するコンピュータで構成される。
【0024】
NC装置3(すなわち上位制御装置)は、通信インターフェイス32を含む制御回路30を有する。制御回路30は、例えば、プロセッサ(図示せず)と、メモリ(図示せず)と、通信インターフェイス32と、を有するコンピュータである。
【0025】
工作機械を制御するサーボシステムにおいて、停電等の交流電源の異常が発生した場合、いち早く送り軸や主軸の制御を停止させ、機械の破損等の事故を防ぐ必要がある。そのため、電源ユニット1は、交流電源8の電圧を常時監視し、異常が検出された場合には通信インターフェイス5を介して停電信号を複数のインバータユニット2の通信インターフェイス6に送信する。この通信インターフェイス5,6は、通信インターフェイス5をマスタとし、通信インターフェイスをスレイブとするバス接続となっている。なお、通信インターフェイス6は、電源ユニット1と通信する第二の通信インターフェイスに対応する。複数のインバータユニット2の通信インターフェイス6は、停電信号を互いに同じタイミングに受信する。そして、制御回路12は、停電信号を受信したら即座に各モータの停止処理を実行する。
【0026】
本システムにおいて、後述する処理により、複数のインバータユニット2のうちの一つが、親局インバータユニットに設定される。NC装置3から電源ユニット1に対して、例えばDC電圧の変更や、制御パラメータの変更などの指令を行う場合は、NC装置3は、後述する処理によって親局インバータユニットを認識し、電源ユニット1への指令を当該親局インバータユニットに送信する。図1の例では、インバータユニット2aが親局インバータユニットである。NC装置3からの指令は、通信インターフェイス4aを介して親局インバータユニット2aに伝送され、通信インターフェイス6aで中継されて、電源ユニット1の通信インターフェイス5が受信する。
【0027】
前述した親局インバータユニットを決定し、NC装置3が認識するまでのプロセスを図2のフローチャートを参照して説明する。
【0028】
〔ステップ0〕
電源ユニット1は、呼出し番号xを初期化し、x=1とする。
【0029】
〔ステップ1〕
続いて、電源ユニット1は、全てのインバータユニット2に対して、呼出し番号xを送信する。全てのインバータユニット2は、電源ユニット1から送信された呼出し番号xを、実質的に同時に受信する。
【0030】
〔ステップ2〕
インバータユニット2は、受信した呼出し番号xをID番号保持部7に記憶されている自軸ID番号と比較する。呼出し番号xが自軸ID番号と一致していたら、インバータユニット2は、電源ユニット1に対して所定の応答を返信する。例えば、ID番号が「a」のインバータユニットは、x=aの呼出し番号を受信したときに所定の応答を電源ユニット1に返信する。
【0031】
〔ステップ3〕
電源ユニット1は、呼出し番号xに対してインバータユニット2から所定の応答が返信された場合に、その呼出し番号xを実在番号として記憶する。
【0032】
〔ステップ4〕
電源ユニット1は、呼出し番号xを1つ増やし、呼出し番号xが、規定の上限値Nを越えたか否かを確認する。確認の結果、x≦Nの場合、再度、ステップ1~3を実行する。x>Nの場合、ステップ5に進む。すなわち、ステップ1~4の処理を、呼出し番号xが、上限値Nになるまで繰り返す。ここで、上限値Nは、ハードウェア上の制約によって最大接続できるインバータの個数である。なお、ここでは、呼出し番号xの初期値を1としている。しかし、呼出し番号xの初期値および終了値は、適宜、変更されてもよい。例えば、呼出し番号xは、上限値Nを初期値とし、ステップ1~4を繰り返すたびに、呼出し番号xをデクリメントしてもよい。
【0033】
〔ステップ5〕
電源ユニット1は、1~Nまでの呼出し番号に対して、ステップ3で記憶した実在番号の中から任意の番号を親局ID番号として選択する。図2に示した例では番号「a」を親局ID番号として選択する。親局ID番号を選択する際の選定方法は限定しない。例えば、数値が最小の番号とする等、電源ユニット1が、予備的な情報を必要とせずに親局ID番号を選定してもよい。電源ユニット1は、選択した親局ID番号を全てのインバータユニット2に対して送信する。すなわち図2に示した例では、特定の数値「a」を送信する。全てのインバータユニット2は親局ID番号「a」を同時に受信する。
【0034】
〔ステップ6〕
インバータユニット2は、受信した親局ID番号「a」が、ID番号保持部7に記憶されている自軸ID番号と一致しているか判定する。一致していた場合は、NC装置3に対して、自身が親局に指定されたことを通知する。すなわち、図2に示した例ではID番号が「a」のインバータユニット2が、自身の識別情報を親局情報としてNC装置3に通知し、ID番号が「a」でないインバータユニット2は、通知しない。NC装置3は、ID番号が「a」のインバータユニット2からの通知を受け、親局インバータユニットは、ID番号が「a」のインバータユニット2であることを認識する。
【0035】
〔ステップ7〕
NC装置3は、電源ユニット1に対するコマンド等の指令(以下「電源制御指令」という)をID番号が「a」のインバータユニット2に対して送信する。ID番号が「a」のインバータユニット2は、電源制御指令を中継して電源ユニット1に送信し、電源ユニット1は、この中継されたNC装置3からの電源制御指令を受信する。また、図示しないが、電源ユニット1からNC装置3への応答は上記同様にID番号が「a」のインバータユニット2、すなわち、親局インバータユニットが中継する。
【0036】
ID番号保持部7が軸ID番号を記憶する具体的手段は、例えばディップスイッチのような人手によって設定するものでもよいし、制御回路12上のメモリであって、予め上位制御装置、または外部装置から入力されたデータを記憶するものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、工作機械のように複数のモータによって駆動される装置を制御するサーボシステムに適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 電源ユニット、2 インバータユニット、3 NC装置、4 インバータユニットの第一の通信インターフェイス、5 電源ユニットの通信インターフェイス、6 インバータユニットの第二の通信インターフェイス、7 ID番号保持部、8 交流電源、9 DCリンク、11 インバータ、12 インバータユニットの制御回路、20 電力変換回路、22 電源ユニットの制御回路、30 上位制御装置の制御回路、32 上位制御装置の通信インターフェイス。
図1
図2
図3
図4