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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131807
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】電圧検出回路および時計
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/165 20060101AFI20240920BHJP
   G04C 10/00 20060101ALI20240920BHJP
   G04G 19/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01R19/165 D
G04C10/00 A
G04G19/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042279
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】人見 正彦
【テーマコード(参考)】
2F002
2F101
2G035
【Fターム(参考)】
2F002AA01
2F002AE01
2F002AE02
2F101DA05
2F101DB02
2F101DC03
2F101DG04
2F101DJ06
2G035AA17
2G035AB03
2G035AC01
2G035AC16
2G035AC19
2G035AD11
2G035AD12
2G035AD23
2G035AD45
2G035AD47
(57)【要約】
【課題】検出分解能の向上できる電圧検出回路を提供する。
【解決手段】電圧検出回路6は、基準電圧Vrefが入力される第一入力端子3aと、第二入力端子3bと、を有するコンパレータ3と、検出対象と第二入力端子との間に配置された複数の微調整抵抗riと、検出対象と第二入力端子との間に配置された少なくとも一つの粗調整抵抗Rjと、任意の個数の微調整抵抗を検出対象および粗調整抵抗に対して直列に接続する微調整スイッチ部9と、任意の個数の粗調整抵抗を検出対象および微調整抵抗に対して直列に接続する粗調整スイッチ部10と、微調整スイッチ部が有するスイッチの開閉動作、および粗調整スイッチ部が有するスイッチの開閉動作を制御する制御部50と、を備え、粗調整抵抗は、複数の微調整抵抗の抵抗値rを合算した合計値と等しい抵抗値Rの抵抗を含む。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準電圧が入力される第一入力端子と、第二入力端子と、を有するコンパレータと、
検出対象と前記第二入力端子との間に配置された複数の微調整抵抗と、
前記検出対象と前記第二入力端子との間に配置された少なくとも一つの粗調整抵抗と、
任意の個数の前記微調整抵抗を前記検出対象および前記粗調整抵抗に対して直列に接続する微調整スイッチ部と、
任意の個数の前記粗調整抵抗を前記検出対象および前記微調整抵抗に対して直列に接続する粗調整スイッチ部と、
前記微調整スイッチ部が有するスイッチの開閉動作、および前記粗調整スイッチ部が有するスイッチの開閉動作を制御する制御部と、
を備え、
前記粗調整抵抗は、複数の前記微調整抵抗の抵抗値を合算した合計値と等しい抵抗値の抵抗を含む
ことを特徴とする電圧検出回路。
【請求項2】
抵抗値が互いに異なるn個の前記微調整抵抗を有し、
前記nは、2以上の自然数であり、
n個の前記微調整抵抗の抵抗値の最小値は、rであり、
n個の前記微調整抵抗のそれぞれの抵抗値rf(i)(i=1,2,…,n)は、2i-1×rである
請求項1に記載の電圧検出回路。
【請求項3】
抵抗値が互いに異なるm個の前記粗調整抵抗を有し、
前記mは、2以上の自然数であり、
m個の前記粗調整抵抗の抵抗値の最小値は、Rであり、
m個の前記粗調整抵抗のそれぞれの抵抗値Rc(j)(j=1,2,…,m)は、2j-1×Rである
請求項1に記載の電圧検出回路。
【請求項4】
前記コンパレータの前記第二入力端子と接地電位との間の抵抗値を変化させる可変抵抗を有し、
前記第二入力端子には、前記可変抵抗と、前記微調整抵抗および前記粗調整抵抗と、によって分圧された電圧が入力される
請求項1に記載の電圧検出回路。
【請求項5】
前記制御部は、粗調整の検出シーケンスである第一シーケンス、および微調整の検出シーケンスである第二シーケンスを実行し、
前記第一シーケンスは、前記検出対象および前記微調整抵抗に対して直列に接続する前記粗調整抵抗の個数を前記コンパレータの出力が切り替わるまで変化させていくシーケンスであり、
前記第二シーケンスは、前記第一シーケンスで前記コンパレータの出力が切り替わる前後の抵抗値の範囲で、前記検出対象および前記粗調整抵抗に対して直列に接続する前記微調整抵抗の個数を変化させていくシーケンスであり、
前記制御部は、前記第一シーケンスにおいて直列に接続する前記粗調整抵抗の個数を増加させていく場合、前記第二シーケンスにおいて直列に接続する前記微調整抵抗の個数を増加させていき、
前記制御部は、前記第一シーケンスにおいて直列に接続する前記粗調整抵抗の個数を減少させていく場合、前記第二シーケンスにおいて直列に接続する前記微調整抵抗の個数を減少させていく
請求項1に記載の電圧検出回路。
【請求項6】
前記微調整スイッチ部は、前記粗調整抵抗に対して前記検出対象の側に配置される
請求項1に記載の電圧検出回路。
【請求項7】
請求項1に記載の電圧検出回路と、
前記検出対象としての電池と、
を備えた時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧検出回路および時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電圧検出回路がある。特許文献1には、粗調整用可変抵抗回路と微調整用可変抵抗回路を備えた抵抗分圧回路と、粗調整用可変抵抗回路を制御する粗調整部と、微調整用可変抵抗回路を制御する微調整部と、比較回路の検出信号に応じて粗調整部と微調整部を制御する制御部と、を備えた電圧検出回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-016578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電圧検出回路において、回路規模が増大することなく、検出分解能の向上をさせることが望ましい。例えば、抵抗の個数を抑制しつつ検出分解能の向上させることが好ましい。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する電圧検出回路および時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電圧検出回路は、基準電圧が入力される第一入力端子と、第二入力端子と、を有するコンパレータと、検出対象と前記第二入力端子との間に配置された複数の微調整抵抗と、前記検出対象と前記第二入力端子との間に配置された少なくとも一つの粗調整抵抗と、任意の個数の前記微調整抵抗を前記検出対象および前記粗調整抵抗に対して直列に接続する微調整スイッチ部と、任意の個数の前記粗調整抵抗を前記検出対象および前記微調整抵抗に対して直列に接続する粗調整スイッチ部と、前記微調整スイッチ部が有するスイッチの開閉動作、および前記粗調整スイッチ部が有するスイッチの開閉動作を制御する制御部と、を備え、前記粗調整抵抗は、複数の前記微調整抵抗の抵抗値を合算した合計値と等しい抵抗値の抵抗を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電圧検出回路は、複数の微調整抵抗と、検出対象とコンパレータの第二入力端子との間に配置された粗調整抵抗と、任意の個数の微調整抵抗を検出対象および粗調整抵抗に対して直列に接続する微調整スイッチ部と、任意の個数の粗調整抵抗を検出対象および微調整抵抗に対して直列に接続する粗調整スイッチ部と、を備える。粗調整抵抗は、複数の微調整抵抗の抵抗値を合算した合計値と等しい抵抗値の抵抗を含む。本発明に係る電圧検出回路によれば、微調整抵抗と粗調整抵抗との組み合わせにより、検出分解能の向上ができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の時計を示す図である。
図2図2は、実施形態の電圧検出回路を示す図である。
図3図3は、実施形態の電圧検出回路の動作を示すフローチャートである。
図4図4は、実施形態の検出シーケンスの図である。
図5図5は、実施形態の検出シーケンスの図である。
図6図6は、コンパレータの検出特性の図である。
図7図7は、実施形態の第1変形例に係る電圧検出回路の図である。
図8図8は、実施形態の第2変形例に係る電圧検出回路の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る電圧検出回路につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から図6を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、電圧検出回路に関する。図1に示すように、実施形態に係る時計1は、外装ケース2、電池4、風防5、電圧検出回路6、文字板31、秒針32、分針33、および時針34を有する。本実施形態の時計1は、電子時計であり、発振回路によって生成されるクロック信号に基づいて内部時刻を算出する。
【0011】
外装ケース2は、略円筒形状のケース本体21を有する。電池4、電圧検出回路6、文字板31、秒針32、分針33、および時針34は、ケース本体21に収容される。風防5は、外装ケース2における前面側の開口部を閉塞する透明な部材である。外装ケース2における背面側の開口部は、裏蓋によって閉塞される。
【0012】
電池4は、充放電可能な二次電池である。時計1は、電池4から供給される電力によって内部時刻を算出し、かつ秒針32、分針33、および時針34を運針させる。時計1は、ソーラーセル等の発電部を有していてもよい。この場合、発電部によって発電された電力が電池4に蓄電される。
【0013】
電圧検出回路6は、電源VSSとしての電池4の電圧を検出する回路である。図2に示すように、電圧検出回路6は、コンパレータ3と、微調整用の第一抵抗群7と、粗調整用の第二抵抗群8と、微調整スイッチ部9と、粗調整スイッチ部10と、可変抵抗VRと、制御部50と、を有する。
【0014】
コンパレータ3は、比較器であり、第一入力端子3aおよび第二入力端子3bを有する。第一入力端子3aには、予め定められた基準電圧Vrefが入力される。基準電圧Vrefは、電源VSSの出力電圧から生成されてもよい。第二入力端子3bには、入力電圧VMが入力される。入力電圧VMは、電源VSSの電圧が第一抵抗群7、第二抵抗群8、および可変抵抗VRによって分圧された電圧である。接地電位VDDに対する電源VSSの電位は、例えば、負の値である。
【0015】
コンパレータ3は、基準電圧Vrefと入力電圧VMとの比較結果に応じた信号を出力する。本実施形態のコンパレータ3は、基準電圧Vrefの電位に対して入力電圧VMの電位が低い場合に検出信号を出力する。検出信号は、例えば、高レベルのオン信号である。一方、コンパレータ3は、基準電圧Vrefの電位に対して入力電圧VMの電位が高い場合に非検出信号を出力する。非検出信号は、例えば、低レベルのオフ信号である。
【0016】
第一抵抗群7、第二抵抗群8、および可変抵抗VRは、この順番で電源VSSの側から接地電位VDDの側へと直列に配置されている。可変抵抗VRは、複数の抵抗を有する切り替え型の抵抗装置であってもよく、ポテンショメータであってもよい。可変抵抗VRは、第二入力端子3bと接地電位VDDとの間の抵抗値を変化させる。可変抵抗VRは、例えば、制御部50によって制御される。
【0017】
第一抵抗群7および第二抵抗群8は、電源VSSと第二入力端子3bとの間に配置されている。第二抵抗群8は、電源VSSと第二入力端子3bとの間の合計抵抗値を粗調整する抵抗である。第一抵抗群7は、電源VSSと第二入力端子3bとの間の合計抵抗値を微調整する抵抗である。
【0018】
第一抵抗群7は、複数の微調整抵抗ri(i=1,2,…,n)を有する。複数の微調整抵抗riは、同じ抵抗値r[Ω]を有する。複数の微調整抵抗riは、連続的に、かつ直列に接続されている。微調整抵抗r1,r2,…,rnは、この順序で第二抵抗群8から電源VSSに向けて並んでいる。
【0019】
微調整スイッチ部9は、任意の個数の微調整抵抗riを電源VSSおよび第二抵抗群8に対して直列に接続する。微調整スイッチ部9は、複数のスイッチSfi(i=1,2,…,n)を有する。スイッチSfiは、例えば、NMOSトランジスタである。スイッチSf1は、閉じることによって全ての微調整抵抗riをバイパスさせる。つまり、スイッチSf1は、第一抵抗群7の両端を短絡させることができる。スイッチSf2は、閉じることによって微調整抵抗r2から微調整抵抗rnまでをバイパスさせる。つまり、i番目のスイッチSfiは、閉じることによって微調整抵抗riから微調整抵抗rnまでをバイパスさせる。スイッチSfnは、閉じることによって微調整抵抗rnをバイパスさせる。
【0020】
以下の説明では、複数の微調整抵抗riのうち、スイッチSfiによってバイパスされていない抵抗を「有効な抵抗」と称する。第一抵抗群7の抵抗値rsは、有効な微調整抵抗riの抵抗値の合計である。
【0021】
微調整スイッチ部9は、0個からn個まで、任意の個数の微調整抵抗riを電源VSSと第二抵抗群8との間に有効な抵抗として介在させることができる。有効とされる微調整抵抗riが1個である場合、スイッチSf1が開かれ、かつスイッチSf2からスイッチSfnまでが全て閉じられる。つまり、微調整抵抗r1が電源VSSおよび第二抵抗群8に対して直列に接続される。これにより、第一抵抗群7の抵抗値rsは、r[Ω]となる。
【0022】
p個(2<p<n)の微調整抵抗riが有効とされる場合、スイッチSf1からスイッチSfpが開かれ、かつその他のスイッチSfiが全て閉じられる。つまり、微調整抵抗r1,r2,…,rpが電源VSSおよび第二抵抗群8に対して直列に接続される。これにより、第一抵抗群7の抵抗値rsは、p×r[Ω]となる。全ての微調整抵抗riが有効にされる場合、全てのスイッチSfiが開かれる。これにより、第一抵抗群7の抵抗値rsは、n×r[Ω]となる。
【0023】
第二抵抗群8は、少なくとも一つの粗調整抵抗Rj(j=1,2,…,m)を有する。本実施形態の粗調整抵抗Rjは、何れも同じ抵抗値R[Ω]を有する。第二抵抗群8が複数の粗調整抵抗Rjを有する場合、複数の粗調整抵抗Rjは連続的に、かつ直列に接続される。複数の粗調整抵抗R1,R2,…,Rjは、この順序で第一抵抗群7から接地電位VDDに向けて並ぶ。一つの粗調整抵抗Rjの抵抗値R[Ω]は、複数の微調整抵抗riの抵抗値r[Ω]を合算した合計値と等しい。つまり、下記式(1)が成立する。
R=n×r (1)
【0024】
粗調整スイッチ部10は、任意の個数の粗調整抵抗Rjを電源VSSおよび第一抵抗群7に対して直列に接続する。粗調整スイッチ部10は、複数のスイッチScj(j=1,2,…,m)を有する。スイッチScjは、例えば、NMOSトランジスタである。スイッチSc1は、閉じることによって全ての粗調整抵抗Rjをバイパスさせる。つまり、スイッチSc1は、第二抵抗群8の両端を短絡させることができる。スイッチSc2は、閉じることによって粗調整抵抗R2から粗調整抵抗Rmまでをバイパスさせる。つまり、j番目のスイッチScjは、閉じることによって粗調整抵抗Rjから粗調整抵抗Rmまでをバイパスさせる。スイッチScmは、閉じることによって粗調整抵抗Rmをバイパスさせる。
【0025】
以下の説明では、複数の粗調整抵抗Rjのうち、スイッチScjによってバイパスされていない抵抗を「有効な抵抗」と称する。第二抵抗群8の抵抗値Rsは、有効な粗調整抵抗Rjの抵抗値の合計である。
【0026】
粗調整スイッチ部10は、0個からm個まで、任意の個数の粗調整抵抗Rjを第一抵抗群7と接地電位VDDとの間に有効な抵抗として介在させることができる。有効とされる粗調整抵抗Rjが1個である場合、スイッチSc1が開かれ、かつスイッチSc2からスイッチScmまでが全て閉じられる。つまり、粗調整抵抗R1が電源VSSおよび第一抵抗群7に対して直列に接続される。これにより、第二抵抗群8の抵抗値Rsは、R[Ω]となる。
【0027】
q個(2<q<m)の粗調整抵抗Rjが有効とされる場合、スイッチSc1からスイッチScqが開かれ、かつその他のスイッチScjが全て閉じられる。つまり、粗調整抵抗R1,R2,…Rqが電源VSSおよび第一抵抗群7に対して直列に接続される。これにより、第二抵抗群8の抵抗値Rsは、q×R[Ω]となる。全ての粗調整抵抗Rjが有効にされる場合、全てのスイッチScjが開かれる。これにより、第二抵抗群8の抵抗値Rsは、m×R[Ω]となる。
【0028】
制御部50は、電圧検出回路6の動作を制御する。制御部50は、例えば、予め定められた動作をするように構成された制御回路である。制御部50は、微調整スイッチ部9、粗調整スイッチ部10、および可変抵抗VRを制御する。より詳しくは、制御部50は、微調整スイッチ部9が有する各スイッチSfiの開閉動作を制御する。制御部50は、各スイッチSfiの開閉状態を他のスイッチSfiの開閉状態とは独立して制御することができる。また、制御部50は、粗調整スイッチ部10が有する各スイッチScjの開閉動作を制御する。制御部50は、各スイッチScjの開閉状態を他のスイッチScjの開閉状態とは独立して制御することができる。また、制御部50は、コンパレータ3の出力信号を取得する。制御部50は、時計制御部等からの指令に応じて電圧検出動作を実行する。
【0029】
図3には、本実施形態の制御部50による電圧検出動作のフローチャートが示されている。図4には、図3のフローチャートによる電圧検出動作の一例が図示されている。図4において、左側は粗調整の検出シーケンスであり、フローチャートのステップS10からS50に対応する。図4の右側は、微調整の検出シーケンスであり、フローチャートのステップS60からS90に対応する。以下の説明では、粗調整の検出シーケンスを「第一シーケンス」と称し、微調整の検出シーケンスを「第二シーケンス」と称する。
【0030】
図4に示すように、第一シーケンスでは、コンパレータ3の信号が検出から非検出に変化するまで、合計抵抗値がR[Ω]ずつ増加される。合計抵抗値は、第一抵抗群7の抵抗値rsと第二抵抗群8の抵抗値Rsとの合計値である。つまり、合計抵抗値は、電源VSSと第二入力端子3bとの間の抵抗値である。
【0031】
図3のステップS10において、制御部50は、第二抵抗群8の抵抗値Rsを0[Ω]とする。制御部50は、粗調整スイッチ部10の全てのスイッチScjを閉じる。ステップS10が実行されると、ステップS20に進む。
【0032】
ステップS20において、制御部50は、第一抵抗群7の抵抗値rsを最大値であるn×r[Ω]とする。ステップS20は、図4の粗調整の第一シーケンスにおける最初の抵抗値の増加(step1)に対応する。制御部50は、微調整スイッチ部9の全てのスイッチSfiを開く。これにより、互いに直列に接続された微調整抵抗r1,r2,…,rnが電源VSSと第二入力端子3bとの間に有効な抵抗として介在する。従って、合計抵抗値は、R[Ω]となる。ステップS20が実行されると、ステップS30に進む。
【0033】
ステップS30において、制御部50は、コンパレータ3から検出信号を取得しているかを判定する。ステップS30の判定の結果、検出信号を取得していると肯定判定された場合にはステップS40に進み、否定判定された場合にはステップS60に進む。
【0034】
ステップS40において、制御部50は、第二抵抗群8の抵抗値Rsが最大値のm×R[Ω]であるかを判定する。ステップS40の判定の結果、肯定判定された場合には電圧検出が終了し、否定判定された場合にはステップS50に進む。制御部50は、ステップS40で肯定判定されると、第一抵抗群7の抵抗値rsと第二抵抗群8の抵抗値Rsとの合計値が最大値に達しているので電源VSSの電圧が検出可能な上限の閾値Vthよりも大きいと判定して電圧検出を終了する。
【0035】
図3のステップS50において、制御部50は、第二抵抗群8の抵抗値RsをR[Ω]増加させる。すなわち、第二抵抗群8において、第一抵抗群7と第二入力端子3bとの間で有効とされる粗調整抵抗Rjの個数が一つ増やされる。制御部50は、粗調整スイッチ部10において、有効とする粗調整抵抗Rjに対応する一つのスイッチScjを開かせる。
【0036】
ステップS50は、図4の第一シーケンスにおける二回目以降の抵抗値の増加(step2~step5)に対応する。ステップS50が実行されると、ステップS30に移行する。図4の左側の粗調整では、合計抵抗値が4×R[Ω]以下である間はコンパレータ3の出力が検出信号であり、合計抵抗値が5×R[Ω]となると非検出信号に変化する。言い換えると、五回目の抵抗値の増加(step5)によってコンパレータ3の出力が非検出信号に切り替わる。これにより、ステップS30で否定判定されてステップS60に進み、微調整の第二シーケンスが開始される。
【0037】
ステップS60において、制御部50は、第一抵抗群7の抵抗値rsをr[Ω]とする。制御部50は、微調整スイッチ部9のスイッチSf1を開き、その他のスイッチSf2,…,Sfnを閉じる。ステップS60は、図4の右側に示された第二シーケンスにおける最初の抵抗値変化(step1)に対応する。ステップS60が実行されると、ステップS70に進む。
【0038】
ステップS70において、制御部50は、コンパレータ3から検出信号を取得しているかを判定する。ステップS70の判定の結果、検出信号を取得していると肯定判定された場合にはステップS80に進み、否定判定された場合には電圧検出が終了する。
【0039】
制御部50は、ステップS70で否定判定されると、電源VSSの電圧が閾値Vthよりも小さいと判定する。また、制御部50は、合計抵抗値に基づいて電源VSSの電圧値を算出することができる。図4では、第二シーケンスにおいて、三回目の抵抗値変化(step3)でコンパレータ3の出力が非検出信号に切り替わる。この場合、一つ前(step2)の合計抵抗値に基づいて電源VSSの電圧値が算出される。
【0040】
ステップS80において、制御部50は、第一抵抗群7の抵抗値rsが最大値のn×r[Ω]であるかを判定する。ステップS80の判定の結果、肯定判定された場合には電圧検出が終了し、否定判定された場合にはステップS90に進む。第一抵抗群7の抵抗値rsが最大値であってステップS80で肯定判定された場合、図3のフローチャートが再実行されてもよい。この場合、ステップS10に移行し、電圧検出の手順が初めから実行される。
【0041】
ステップS90において、制御部50は、第一抵抗群7の抵抗値rsをr[Ω]増加させる。すなわち、第一抵抗群7において、電源VSSと第二抵抗群8との間に有効な抵抗として介在させる微調整抵抗riの個数が一つ増やされる。制御部50は、微調整スイッチ部9において、有効とする微調整抵抗riに対応する一つのスイッチSfjを開かせる。ステップS90が実行されると、ステップS70に移行する。
【0042】
なお、図3のフローチャートとは逆に、合計抵抗値を減少させながら電圧検出がなされてもよい。図5には、合計抵抗値を減少させながら電圧検出がなされる場合の第一シーケンスおよび第二シーケンスが示されている。この場合、コンパレータ3の出力が非検出信号から検出信号に切り替わることで各検出シーケンスが終了される。
【0043】
図5の左側に示された粗調整の第一シーケンスでは、初めに合計抵抗値が最大とされる(step1)。そして、第二抵抗群8において有効な粗調整抵抗Rjの個数が一つずつ減少される(step2からstep5)。図5の例では、step5でコンパレータ3の出力が検出信号に切り替わり、第一シーケンスが終了して第二シーケンスに移行する。
【0044】
図5の右側の微調整の第二シーケンスでは、初めに、第二抵抗群8において有効な粗調整抵抗Rjの個数が一つ増やされる(step1)。その後、有効な微調整抵抗riの個数が一つずつ減少される(step2からstep3)。図5の例では、step3でコンパレータ3の出力が検出信号に切り替わり、電圧検出が終了する。
【0045】
このように、合計抵抗値を減らしながら電圧検出する場合、粗調整および微調整の両方において抵抗値が減らされる。つまり、粗調整および微調整において、合計抵抗値の増減方向が同じとされる。これにより、ヒステリシスによる検出精度の低下が抑制される。図6には、コンパレータの検出特性が示されている。図6に示すように、非検出から検出に切り替わる場合と、検出から非検出に切り替わる場合とで電圧値にヒステリシスが存在する。本実施形態の電圧検出方法は、このヒステリシスの影響を回避することができる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の電圧検出回路6は、コンパレータ3と、複数の微調整抵抗riと、少なくとも一つの粗調整抵抗Rjと、微調整スイッチ部9と、粗調整スイッチ部10と、を有する。コンパレータ3は、基準電圧Vrefが入力される第一入力端子3aと、第二入力端子3bと、を有する。複数の微調整抵抗riは、検出対象と第二入力端子3bとの間に配置される。粗調整抵抗Rjは、検出対象と第二入力端子3bとの間に配置される。
【0047】
微調整スイッチ部9は、任意の個数の微調整抵抗riを検出対象および粗調整抵抗Rjに対して直列に接続する。粗調整スイッチ部10は、任意の個数の粗調整抵抗Rjを検出対象および微調整抵抗riに対して直列に接続する。粗調整抵抗Rjは、複数の微調整抵抗riの抵抗値を合計した合計値と等しい抵抗値の抵抗を含む。本実施形態では、全ての粗調整抵抗Rjの抵抗値R[Ω]が上記の合計値n×r[Ω]と等しい。本実施形態の電圧検出回路6は、電圧検出分解能を向上することで汎用性を高めることができる。
【0048】
本実施形態の電圧検出回路6は、コンパレータ3の第二入力端子3bと接地電位VDDとの間の抵抗値を変化させる可変抵抗VRを有する。コンパレータ3の第二入力端子3bには、可変抵抗VRと、微調整抵抗riおよび粗調整抵抗Rjと、によって分圧された電圧が入力される。可変抵抗VRは、電圧検出のレンジを変化させることや、電圧検出の分解能を変化させることができる。
【0049】
本実施形態の制御部50は、粗調整の検出シーケンスである第一シーケンス、および微調整の検出シーケンスである第二シーケンスを実行する。第一シーケンスは、検出対象の電源VSSおよび微調整抵抗riに対して直列に接続する粗調整抵抗Rjの個数をコンパレータ3の出力が切り替わるまで変化させていくシーケンスである。第二シーケンスは、第一シーケンスでコンパレータ3の出力が切り替わる前後の抵抗値の範囲で、検出対象の電源VSSおよび粗調整抵抗Rjに対して直列に接続する微調整抵抗riの個数を変化させていくシーケンスである。
【0050】
例えば、図4の左側に示す第一シーケンスでは、合計抵抗値が4×R[Ω]から5×R[Ω]に増加したときにコンパレータ3の出力が検出から非検出に切り替わる。この場合、制御部50は、右側の第二シーケンスにおいて、出力が変化する前の4×R[Ω]と、出力が変化した5×R[Ω]との間の抵抗値の範囲で、有効な微調整抵抗riの個数を変化させる。
【0051】
制御部50は、第一シーケンスにおいて直列に接続する粗調整抵抗Rjの個数を増加させていく場合、第二シーケンスにおいて直列に接続する微調整抵抗riの個数を増加させていく。一方、制御部50は、第一シーケンスにおいて直列に接続する粗調整抵抗Rjの個数を減少させていく場合、第二シーケンスにおいて直列に接続する微調整抵抗riの個数を減少させていく。これにより、コンパレータ3のヒステリシスの影響が回避され、検出精度が向上する。
【0052】
本実施形態の電圧検出回路6では、第一抵抗群7が第二抵抗群8よりも検出対象である電源VSSの側に配置されている。また、微調整スイッチ部9は、粗調整抵抗Rjに対して検出対象である電源VSSの側に配置されている。これにより、電源VSSの電圧検出に対するスイッチSfiの抵抗の影響が軽減される。よって、本実施形態の電圧検出回路6は、電圧の検出精度を向上させることができる。
【0053】
本実施形態の電圧検出回路6は、粗調整の第一シーケンスにおいて、微調整抵抗riを有効にして粗検出を行なう。微調整および粗調整の両方の検出シーケンスにおいて微調整抵抗riを共通して用いることで、検出精度の向上を図ることができる。
【0054】
なお、電圧検出回路6の検出対象は、電源VSSの電圧には限定されない。電圧検出回路6は、時計1における各種の電圧検出に使用可能である。また、電圧検出回路6の適用対象は、時計には限定されない。電圧検出回路6は、携帯用電子機器に適用されてもよく、その他の機器に適用されてもよい。
【0055】
[実施形態の第1変形例]
図7を参照して、実施形態の第1変形例について説明する。図7は、実施形態の第1変形例に係る電圧検出回路の図である。実施形態の第1変形例において、上記実施形態と異なる点は、例えば、第一抵抗群7の抵抗値に重み付けがなされている点である。
【0056】
第1変形例の第一抵抗群7は、抵抗値が互いに異なる4個の微調整抵抗ri(i=1,2,3,4)を有する。第一抵抗群7は、更に、電源VSSに対して常時接続される微調整抵抗r5を有する。微調整抵抗r5は、常に有効な抵抗である。4個の微調整抵抗r1,r2,r3,r4は、電源VSSと第二抵抗群8との間に配置されており、かつ互いに直列に接続されている。また、微調整抵抗r1,r2,r3,r4は、この順序で電源VSSの側から第二抵抗群8に向けて並んでいる。
【0057】
4個の微調整抵抗ri(i=1,2,3,4)は、抵抗値rf(i)を有する。4個の微調整抵抗ri(i=1,2,3,4)の抵抗値rf(i)の最小値は、r[Ω]である。図7では、微調整抵抗r1が最小の抵抗値r[Ω]を有する。微調整抵抗ri(i=1,2,3,4)の抵抗値rf(i)は、下記式(2)のように定められている。
rf(i)=2i-1×r (2)
【0058】
つまり、微調整抵抗r2の抵抗値rf(2)は、2×r[Ω]であり、微調整抵抗r3の抵抗値rf(3)は、4×r[Ω]であり、微調整抵抗r4の抵抗値rf(4)は、8×r[Ω]である。なお、微調整抵抗r5の抵抗値rf(5)は、r[Ω]である。
【0059】
微調整スイッチ部9は、任意の個数の微調整抵抗riを電源VSSおよび第二抵抗群8に対して直列に接続する。第1変形例の微調整スイッチ部9は、複数のスイッチSfi(i=1,2,3,4)を有する。スイッチSfiは、閉じることによって、対応する微調整抵抗riをバイパスさせる。例えば、スイッチSf1は、微調整抵抗r1をバイパスさせる。
【0060】
微調整スイッチ部9は、全てのスイッチSfiを閉じた場合に一個の微調整抵抗r5を有効な抵抗として電源VSSおよび第二抵抗群8に対して直列に接続する。この場合、第一抵抗群7の抵抗値rsは、r[Ω]である。微調整スイッチ部9は、4個の微調整抵抗ri(i=1,2,3,4)のうち、0個から4個までの任意の抵抗を有効な抵抗として電源VSSおよび第二抵抗群8に対して直列に接続することができる。つまり、微調整スイッチ部9は、4個の微調整抵抗ri(i=1,2,3,4)の組み合わせにより、0[Ω]から15×r[Ω]までの合成抵抗を形成することができる。従って、微調整スイッチ部9は、第一抵抗群7の抵抗値rsをr[Ω]から16×r[Ω]まで、r[Ω]ずつ増減させることが可能である。
【0061】
第1変形例の第二抵抗群8は、上記実施形態の第二抵抗群8と同様に、同じ抵抗値R[Ω]を有する少なくとも一つの粗調整抵抗Rj(j=1,2,…,m)を有する。抵抗値R[Ω]は、複数の微調整抵抗riの抵抗値rf(i)を合算した合計値と等しい。すなわち、一つの粗調整抵抗Rjの抵抗値Rは、16×r[Ω]である。
【0062】
粗調整スイッチ部10は、任意の個数の粗調整抵抗Rjを電源VSSおよび第一抵抗群7に対して直列に接続する。第1変形例の粗調整スイッチ部10は、複数のスイッチScj(j=1,2,…,m)を有する。スイッチScjは、閉じることによって、対応する粗調整抵抗Rjをバイパスさせる。例えば、スイッチSc1は、粗調整抵抗R1をバイパスさせる。全てのスイッチScjが閉じている場合、全ての粗調整抵抗Rjがバイパスされる。つまり、粗調整スイッチ部10は、0個からm個まで任意の個数の粗調整抵抗Rjを有効な抵抗として電源VSSおよび第一抵抗群7に対して直列に接続することができる。
【0063】
第1変形例の電圧検出回路6は、上記実施形態の電圧検出回路6と略同様の手順により電源VSSの電圧を検出することができる。図3のフローチャートを参照して、第1変形例の電圧検出回路6の検出手順を説明する。
【0064】
ステップS10において、制御部50は、第二抵抗群8の抵抗値Rsを0[Ω]とし、ステップS20で第一抵抗群7の抵抗値rsを最大値とする。この場合に、制御部50は、第一抵抗群7の全ての微調整抵抗riを有効な抵抗とする。従って、第一抵抗群7の抵抗値rsは、最大値である16×r[Ω]となる。
【0065】
ステップS30からステップS50は、上記実施形態と同様である。制御部50は、コンパレータ3の出力が非検出信号となるまで、第二抵抗群8における有効な粗調整抵抗Rjの個数を増加させていく。コンパレータ3から非検出信号を受信すると、微調整の第二シーケンスに移行する。
【0066】
ステップS60において、制御部50は、微調整スイッチ部9の全てのスイッチSfiを閉じて第一抵抗群7の抵抗値rsをr[Ω]とする。ステップS70でコンパレータ3の出力が検出信号であると肯定判定された場合にはステップS80に進む。
【0067】
ステップS80において、制御部50は、第一抵抗群7の抵抗値rsが最大値の16×r[Ω]であるか判定する。ステップS80で否定判定されてステップS90に進むと、制御部50は、第一抵抗群7の抵抗値rsをr[Ω]増加させる。ステップS80で肯定判定されると、電圧検出が終了する。
【0068】
実施形態の第1変形例の電圧検出回路6は、5個の微調整抵抗ri(i=1,2,…,5)によって第一抵抗群7の抵抗値rsを16段階に変化させることができる。これにより、電圧検出の分解能や精度が向上する。
【0069】
なお、抵抗値が互いに異なる微調整抵抗riの個数nは、4には限定されない。第一抵抗群7は、抵抗値が互いに異なる任意のn個の微調整抵抗riを有することができる。
【0070】
以上説明したように、第1変形例に係る電圧検出回路6は、抵抗値が互いに異なるn個の微調整抵抗riを有する。上記のnは、2以上の自然数である。n個の微調整抵抗riの抵抗値の最小値は、r[Ω]である。n個の微調整抵抗riのそれぞれの抵抗値rf(i)は、2i-1×rである。第1変形例の電圧検出回路6は、微調整用のスイッチSfiの個数増加を抑制しつつ検出分解能を向上させることができる。
【0071】
なお、微調整の第二シーケンスにおいて、有効か否かが切り替えられる微調整抵抗riの個数は、必要な分解能に応じて定められてもよい。図7の第一抵抗群7は、16レベルの抵抗値rsを実現可能である。これに対して、分解能が半分の8レベルでよい場合は、微調整抵抗r1のスイッチSf1がオフ(開放)のままとされてもよい。この場合、スイッチSf2,Sf3,Sf4によって抵抗値rsが8レベルに切り替えられる。これにより、検出結果の確定に至る最大stepが減り、検出時間が短縮される。
【0072】
なお、第一抵抗群7において、微調整抵抗r5が省略されてもよい。この場合、粗調整抵抗Rjの抵抗値は、R=15×r[Ω]とされる。
【0073】
[実施形態の第2変形例]
図8を参照して、実施形態の第2変形例について説明する。図8は、実施形態の第2変形例に係る電圧検出回路の図である。実施形態の第2変形例において、実施形態の第1変形例と異なる点は、例えば、第二抵抗群8の抵抗値に重み付けがなされている点である。第2変形例の第一抵抗群7は、上記第1変形例の第一抵抗群7と同様に、抵抗値が互いに異なる4個の微調整抵抗ri(i=1,2,3,4)と、常時有効な微調整抵抗r5と、を有する。また、第2変形例の微調整スイッチ部9は、上記第1変形例の微調整スイッチ部9と同様に構成されている。
【0074】
第2変形例の第二抵抗群8は、抵抗値が互いに異なるm個の粗調整抵抗Rj(j=1,2,…,m)を有する。m個の粗調整抵抗Rjは、第一抵抗群7と第二入力端子3bとの間に配置されており、かつ直列に接続されている。粗調整抵抗R1,R2,…,Rmは、この順序で電源VSSの側から第二入力端子3bに向けて並んでいる。
【0075】
m個の粗調整抵抗Rj(j=1,2,…,m)は、抵抗値Rc(j)を有する。m個の粗調整抵抗Rjの抵抗値Rc(j)の最小値は、R[Ω]である。図8では、粗調整抵抗R1が最小の抵抗値R[Ω]を有する。粗調整抵抗R1の抵抗値Rは、16×r[Ω]である。粗調整抵抗Rjのそれぞれの抵抗値Rc(j)は、下記式(3)のように定められている。
Rc(j)=2j-1×R (3)
【0076】
つまり、粗調整抵抗R2の抵抗値Rc(2)は、2×R[Ω]であり、粗調整抵抗R3の抵抗値Rc(3)は、4×R[Ω]であり、粗調整抵抗Rmの抵抗値Rc(m)は、2m-1×R[Ω]である。
【0077】
粗調整スイッチ部10は、任意の個数の粗調整抵抗Rjを電源VSSおよび第一抵抗群7に対して直列に接続する。第2変形例の粗調整スイッチ部10は、複数のスイッチScj(j=1,2,…,m)を有する。スイッチScjは、閉じることによって、対応する粗調整抵抗Rjをバイパスさせる。粗調整スイッチ部10は、m個の粗調整抵抗Rjのうち、0個からm個までの任意の粗調整抵抗Rjを有効な抵抗とすることができる。つまり、粗調整スイッチ部10は、m個の粗調整抵抗Rjの組み合わせにより、0[Ω]から(2-1)×R[Ω]までの2種類の合成抵抗を形成することができる。また、粗調整スイッチ部10は、第二抵抗群8の抵抗値Rsを0[Ω]から(2-1)×R[Ω]まで、R[Ω]ずつ増減させることが可能である。
【0078】
第2変形例の電圧検出回路6は、上記実施形態の電圧検出回路6と略同様の手順により電源VSSの電圧を検出することができる。図3のフローチャートを参照して、第2変形例の電圧検出回路6の検出手順を説明する。
【0079】
ステップS10において、制御部50は、第二抵抗群8の抵抗値Rsを0[Ω]とし、ステップS20で第一抵抗群7の抵抗値rsを最大値とする。この場合に、制御部50は、第一抵抗群7の全ての微調整抵抗riを有効な抵抗とする。従って、第一抵抗群7の抵抗値rsは、最大値である16×r[Ω]となる。
【0080】
ステップS30において、制御部50は、コンパレータ3から検出信号を取得しているかを判定する。ステップS30で肯定判定されてステップS40に進むと、制御部50は、第二抵抗群8の抵抗値Rsが最大値の(2-1)×R[Ω]であるかを判定する。ステップS40で否定判定されてステップS50に進むと、制御部50は、第二抵抗群8の抵抗値RsをR[Ω]増加させる。
【0081】
つまり、制御部50は、コンパレータ3の出力が非検出信号となるまで、第二抵抗群8の抵抗値RsをR[Ω]ずつ増加させていく。コンパレータ3から非検出信号を受信すると、微調整の第二シーケンスに移行する。
【0082】
ステップS60において、制御部50は、微調整スイッチ部9の全てのスイッチSfiを閉じて第一抵抗群7の抵抗値rsをr[Ω]とする。ステップS70でコンパレータ3の出力が検出信号であると肯定判定された場合にはステップS80に進む。
【0083】
ステップS80において、制御部50は、第一抵抗群7の抵抗値rsが最大値の16×r[Ω]であるか判定する。ステップS80で否定判定されてステップS90に進むと、制御部50は、第一抵抗群7の抵抗値rsをr[Ω]増加させる。ステップS80で肯定判定されると、電圧検出が終了する。
【0084】
実施形態の第2変形例に係る電圧検出回路6は、m個(2≦m)の粗調整抵抗Rjによって第二抵抗群8の抵抗値Rsを2段階に変化させることができる。これにより、電圧検出のレンジを拡大させることができる。更に、電圧検出回路6は、重み付けされたn個(2≦n)の微調整抵抗riを有することで、第一抵抗群7の抵抗値rsを2段階に変化させることができる。よって、第2変形例の電圧検出回路6は、抵抗の個数を抑えながら、検出範囲のレンジを拡大し、かつ分解能を向上させることができる。
【0085】
以上説明したように、第2変形例に係る電圧検出回路6は、抵抗値が互いに異なるm個の粗調整抵抗Rjを有する。上記のmは、2以上の自然数である。m個の粗調整抵抗Rjの抵抗値の最小値は、R[Ω]である。m個の粗調整抵抗Rjのそれぞれの抵抗値Rc(j)は、2j-1×Rである。第2変形例に係る電圧検出回路6は、粗調整用のスイッチScjの個数増加を抑制しつつ電圧検出のレンジを拡大させることができる。
【0086】
なお、第一抵抗群7において、微調整抵抗r5が省略されてもよい。この場合、粗調整抵抗Rjの抵抗値の最小値は、R=15×r[Ω]とされる。
【0087】
[実施形態の第3変形例]
実施形態の第3変形例について説明する。上記実施形態では、微調整の第二シーケンスにおいて、コンパレータ3の出力が切り替わった場合に電圧検出が終了された。これに代えて、コンパレータ3の出力が切り替わると予測された段階で電圧検出が終了されてもよい。
【0088】
図4を参照して第3変形例の電圧検出方法について説明する。図4の右側に示す微調整の第二シーケンスでは、第一抵抗群7の抵抗値rsが3×r[Ω]まで増加した時点(step3)でコンパレータ3の出力が非検出信号となり、電圧検出が終了する。ここで、抵抗値rsが3×r[Ω]である場合の検出電圧V13が閾値Vthに到達しない場合について検討する。この場合、第一抵抗群7の抵抗値rsを最大値である4×r[Ω]とすれば、コンパレータ3の出力が非検出信号に切り替わると推定される。
【0089】
第3変形例では、抵抗値rsが3×r[Ω]まで増加してもコンパレータ3の出力が検出信号のままである場合に、電圧検出が終了される。この判定は、粗調整の第一シーケンスの結果に基づく。第一シーケンスでは、合計抵抗値が5×R[Ω]となったときにコンパレータ3の検出が非検出信号に切り替わっている。従って、微調整の第二シーケンスでも合計抵抗値が5×R[Ω]となればコンパレータ3の検出が非検出信号に切り替わると予想できる。このように、第一抵抗群7の抵抗値rsが最大値よりも一つ小さい抵抗値である段階でコンパレータ3の出力が切り替わらない場合、電圧検出が終了されてもよい。この場合の電源VSSの検出電圧値は、第一抵抗群7の抵抗値rsを最大としてコンパレータ3の出力が切り替わったと仮定した場合に採用される値である。
【0090】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0091】
1:電子時計、 2:外装ケース
3:コンパレータ、 3a:第一入力端子、 3b:第二入力端子
4:電池、 5:風防、 6:電圧検出回路、 7:第一抵抗群、 8:第二抵抗群
9:微調整スイッチ部、 10:粗調整スイッチ部
21:本体、 22:かん
31:文字板、32:秒針、 33:分針、 34:時針
50:制御部
ri:微調整抵抗、 Rj:粗調整抵抗
Sfi,Scj:スイッチ、 VDD:接地電位、 VSS:電源
Vref:基準電圧、 VR:可変抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8