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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131810
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】コルク成形品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20240920BHJP
   C08L 97/00 20060101ALI20240920BHJP
   B29C 49/02 20060101ALI20240920BHJP
   B29C 51/10 20060101ALI20240920BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C08L101/00
C08L97/00
B29C49/02
B29C51/10
B29C45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042282
(22)【出願日】2023-03-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ・展示会名 第2回サステナブルマテリアル展 開催場所 幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区中瀬2丁目1) 展示日 令和4年12月7日~令和4年12月9日 公開者 リケンテクノス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000225359
【氏名又は名称】内山工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】松木 克則
【テーマコード(参考)】
4F206
4F208
4J002
【Fターム(参考)】
4F206AB11
4F206AF01
4F206AR12
4F206AR13
4F206JA07
4F206JL02
4F206JN27
4F206JQ81
4F208AB11
4F208AB19
4F208AC03
4F208LA09
4F208LG01
4F208MA01
4F208MB01
4F208MC01
4F208MG11
4J002AA011
4J002AH002
4J002FD012
(57)【要約】
【課題】コルク粒子による凹凸感が出やすいコルク成形品を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係るコルク成形品(1)は、100重量部の熱可塑性樹脂(R)に対して、粒径が0.1mm以上5mm以下であるコルク粒子(K)を5重量部以上100重量部以下の割合で含有し、算術平均粗さが1μm以上20μm以下である微細凹凸面(14)を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コルク粒子を熱可塑性樹脂で固定化したコルク成形品であって、
100重量部の前記熱可塑性樹脂に対して、粒径が0.1mm以上5mm以下である前記コルク粒子を5重量部以上100重量部以下の割合で含有し、
算術平均粗さが1μm以上20μm以下である微細凹凸面を含むコルク成形品。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂は、バイオマス由来の樹脂及び化石資源由来の樹脂の少なくとも一方を含む請求項1に記載のコルク成形品。
【請求項3】
コルク粒子を熱可塑性樹脂で固定化したコルク成形品の製造方法であって、
100重量部の前記熱可塑性樹脂に対して、粒径が0.1mm以上5mm以下である前記コルク粒子を5重量部以上100重量部以下の割合で混練された樹脂組成物を成形して、算術平均粗さが1μm以上20μm以下である微細凹凸面を含むコルク成形品を成形する成形工程を含むコルク成形品の製造方法。
【請求項4】
前記成形工程にて、前記樹脂組成物から形成したパリソンに気体を吹き込んで前記樹脂組成物を金型に密着させるブロー成形、または前記樹脂組成物から形成した一次成形品を加熱し気体を吹き込んで前記樹脂組成物を金型に密着させるブロー成形によって前記コルク成形品を成形する請求項3に記載のコルク成形品の製造方法。
【請求項5】
前記成形工程にて、前記樹脂組成物から形成したシートと金型との間を減圧して前記樹脂組成物を前記金型に密着させる真空成形によって前記コルク成形品を成形する請求項3に記載のコルク成形品の製造方法。
【請求項6】
前記成形工程にて、前記樹脂組成物を金型の開口部から押し出して徐冷する押出成形によって前記コルク成形品を成形する請求項3に記載のコルク成形品の製造方法。
【請求項7】
前記成形工程にて、前記樹脂組成物を金型に射出し、前記樹脂組成物が固化する前に前記金型を解放して前記微細凹凸面に対応する側を空気に曝す射出成形によって前記コルク成形品を成形する請求項3に記載のコルク成形品の製造方法。
【請求項8】
前記成形工程にて、前記樹脂組成物を金型へ充填後、ガスを注入して前記樹脂組成物を前記金型に密着させるガスインジェクション成形、または前記樹脂組成物を金型に充填後、水を注入して前記樹脂組成物を前記金型に密着させるウォーターインジェクション成形によって前記コルク成形品を成形する請求項3に記載のコルク成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コルク成形品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コルク粒子をバインダ樹脂で固定化したコルク成形品が知られている。この種の技術に関し、特許文献1及び2には、バインダ樹脂として生分解性の樹脂を用いたコルク成形品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-342073号公報
【特許文献2】特開2002-309096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、コルク成形品の表面形状が平坦に近くなり、コルク粒子の特性を活かした好ましい質感(凹凸感)が得られないという課題があった。
【0005】
本開示の一態様は、前記従来の課題に鑑みてなされたものであって、コルク粒子による凹凸感が出やすいコルク成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の一態様に係るコルク成形品は、コルク粒子を熱可塑性樹脂で固定化したコルク成形品であって、100重量部の前記熱可塑性樹脂に対して、粒径が0.1mm以上5mm以下である前記コルク粒子を5重量部以上100重量部以下の割合で含有し、算術平均粗さが1μm以上20μm以下である微細凹凸面を含む。
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の一態様に係るコルク成形品の製造方法は、コルク粒子を熱可塑性樹脂で固定化したコルク成形品の製造方法であって、100重量部の前記熱可塑性樹脂に対して、粒径が0.1mm以上5mm以下である前記コルク粒子を5重量部以上100重量部以下の割合で混練された樹脂組成物を成形して、算術平均粗さが1μm以上20μm以下である微細凹凸面を含むコルク成形品を成形する成形工程を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、コルク粒子による凹凸感が出やすいコルク成形品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1に係るコルク成形品を示す平面図である。
図2図1に示されるコルク成形品のA-A矢視断面図である。
図3図2に示されるコルク成形品の断面構造を示す模式図である。
図4図1に示されるコルク成形品の製造方法における成形工程(真空成形工程)の一例を示す断面図である。
図5図4の4003に示される成形後の樹脂組成物を示す平面図である。
図6図5に示される非成形部の断面構造を示す模式図である。
図7】本発明の実施形態2に係るコルク成形品を示す斜視図である。
図8図7に示されるコルク成形品のB-B矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図1図6に基づいて説明する。本実施形態では、真空成形によってコルク成形品を成形する一例について説明する。ただし、以下の説明は、本発明に係るコルク成形品及びその製造方法の例示であり、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。
【0011】
[コルク成形品1の構成]
先ず、図1図3を参照して、本実施形態に係るコルク成形品1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係るコルク成形品1を示す平面図である。図2は、図1に示されるコルク成形品1のA-A矢視断面図である。コルク成形品1は、コルク粒子を熱可塑性樹脂(バインダ樹脂)で固定化した成形品である。
【0012】
本実施形態に係るコルク成形品1は、真空成形によって成形される。図1及び図2に示すように、コルク成形品1は、平面視で矩形形状を有する。コルク成形品1は、その中央部が上面側へ半球状に隆起した球面部12と、球面部12を囲む平面部13とを含む。このコルク成形品1の形状は、真空成形時に使用する金型の形状によって定まる。コルク成形品1の形状は、特に限定されず、その用途などに応じて適宜変更可能である。
【0013】
図3は、図2に示されるコルク成形品1の断面構造を示す模式図である。図3に示すように、コルク成形品1は、コルク粒子Kを熱可塑性樹脂Rで固定化した構造を有する。
【0014】
コルク粒子Kは、例えば天然コルクを粉砕したものである。コルク粒子Kは、その粒径が、0.1mm以上5mm以下であることが好ましく、0.5mm以上1.2mm以下であることがより好ましい。また、コルク成形品1は、100重量部の熱可塑性樹脂Rに対して、前述した粒径のコルク粒子Kを、5重量部以上100重量部以下の割合で含有することが好ましく、20重量部以上30重量部以下の割合で含有することがより好ましい。
【0015】
これにより、後述するように、コルク成形品1の真空成形時の圧力(負圧)によって熱可塑性樹脂Rの肉厚が減少し、コルク成形品1の上面及び下面(以下、表面と称する場合がある。)にコルク粒Kが浮き出る。このため、コルク成形品1の表面の少なくとも一部に微細凹凸面14が形成され、コルク成形品1にコルク粒子Kによる凹凸感が出やすくなる。
【0016】
この微細凹凸面14の算術平均粗さは、1μm以上20μm以下であることが好ましい。これにより、コルク粒子Kによる凹凸感がコルク成形品1に現れ、コルク成形品1の質感を向上させることができる。なお、本発明において「算術平均粗さ」は、JISB0601に準拠した方法で測定される値を指す。
【0017】
熱可塑性樹脂Rは、一定の温度以上で可塑性を有する樹脂である。熱可塑性樹脂Rは、バイオマス由来の樹脂及び化石資源由来の樹脂の少なくとも一方を含むことができる。これにより、バイオマス由来の樹脂から成る熱可塑性樹脂R、化石資源由来の樹脂から成る熱可塑性樹脂R、またはバイオマス由来の樹脂と化石資源由来の樹脂との組合せから成る熱可塑性樹脂Rを、バインダ樹脂として使用しコルク成形品1を成形することができる。この熱可塑性樹脂Rは、微生物により分解されて最終的に二酸化炭素と水になる生分解性の樹脂であってもよい。
【0018】
バイオマス由来の樹脂は、原料に生物由来の再生可能な有機資源を使用した樹脂である。バイオマス由来の樹脂の代表的な原料としては、サトウキビ、トウモロコシ、イモ(キャッサバ)などが挙げられる。バイオマス由来の樹脂として、例えば、ポリ乳酸樹脂、バイオポリエチレン、バイオポリプロピレン、及びバイオポリエチレンテレフタレートなどを使用することができる。
【0019】
化石資源由来の樹脂は、原料に石油などの化石資源を使用した樹脂である。化石資源由来の樹脂の代表的な原料としては、石油のほか、石炭などが挙げられる。化石資源由来の樹脂として、例えば、スチレン系樹脂及びオレフィン系樹脂などを好適に使用することができる。スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン、α-スチレンなどの単独重合体やこれらの共重合体、またはこれらと共重合可能な不飽和単量体との共重合体などが挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ブタジエン-イソプレン共重合体、ポリイソプレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-プロピレン共重合体(EPR)、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー、スチレン-ブタジエンブロック共重合体水素化物(SEB)、またはこれら樹脂の少なくとも2種以上の混合物が挙げられる。
【0020】
[コルク成形品1の製造方法]
次に、図4図6を参照して、コルク成形品1の製造方法を説明する。本実施形態に係るコルク成形品1の製造方法は、混練工程、シート化工程、成形工程及び切除工程を含む。
【0021】
コルク成形品1の製造方法では、先ずコルク粒子Kと熱可塑性樹脂Rとを混練する混練工程を行う。混練工程では、100重量部の熱可塑性樹脂Rに対して、粒径が0.1mm以上5mm以下であるコルク粒子Kを5重量部以上100重量部以下の割合で混練し、樹脂組成物2(図4参照)を調製する。コルク粒子Kと熱可塑性樹脂Rとの混練には、例えば、ターンブルミキサーまたはヘンシェルミキサーなどの高速ミキサーを使用することができる。
【0022】
なお、混練工程にて調製した樹脂組成物2をペレット状に加工したコルクペレットを作製し、このコルクペレットを樹脂組成物2として次工程で使用してもよい。これにより、樹脂組成物2をその都度調製する必要性がなく、保管しておくことができる。
【0023】
次に、混練工程にて得られた樹脂組成物2をシート状にするシート化工程を行う。樹脂組成物2をシート化する方法は公知の方法を採用することができる。シート化工程では、例えば、樹脂組成物2から作製したコルクペレットを溶融し、シート状にプレス加工する。これにより、コルクペレットを使用してシート状の樹脂組成物2を得ることができる。
【0024】
なお、樹脂組成物2をシート化する方法はプレス加工に限定されず、プレス加工以外の公知の方法を採用してもよい。
【0025】
次に、シート化工程にて得られたシート状の樹脂組成物2を真空成形によって成形する成形工程を行う。図4は、コルク成形品1の製造方法における成形工程(真空成形工程)の一例を示す断面図である。
【0026】
図4の4001に示すように、成形工程では、ヒータなどで加熱して軟化させたシート状の樹脂組成物2を金型3にセットする。この金型3には、コルク成形品1の形状に応じた凹部31、及び真空引きのための複数の真空穴32が形成される。なお、凹部31を有する凹型の金型3に代えて、コルク成形品1の形状に応じた凸部を有する凸型の金型を使用してもよい。
【0027】
シート状の樹脂組成物2を金型3にセットした後、図4の4002に示すように、金型3から空気を吸引し、シート状の樹脂組成物2と金型3との間を減圧して樹脂組成物2を金型3に密着させる。これにより、金型3の形状に応じて樹脂組成物2が成形される。この真空成形時に、圧力(負圧)によりシート状の樹脂組成物2が膨張する過程で熱可塑性樹脂Rの肉厚が減少する。このため、コルク粒子Kが表面に浮き出た状態になる。
【0028】
真空引きした後、図4の4003に示すように、樹脂組成物2を冷却して離型する。これにより、成形後の樹脂組成物2を金型3から取り出す。
【0029】
次に、成形工程にて得られた成形後の樹脂組成物2から不要な部分を取り除く切除工程を行う。切除工程にて、例えば、成形後の樹脂組成物2を型抜きまたはトリミングすることで、不要な部分を取り除く。これもより、微細凹凸面14を含むコルク成形品1を製造することができる。
【0030】
図5は、図4の4003に示される成形後の樹脂組成物2を示す平面図である。図5に示すように、成形後の樹脂組成物2は、真空成形された成形部21と、真空成形されていない非成形部22とを含む。
【0031】
成形部21は、シート状の樹脂組成物2のうち、コルク成形品1に対応する形状に真空成形された部分である。成形部21は、球面部12及び平面部13を含むと共に、その表面は、コルク成形品1と同様に算術平均粗さが1μm以上20μm以下の微細凹凸面14を含む(図3参照)。
【0032】
一方、非成形部22は、シート状の樹脂組成物2のうち、真空成形によって成形されていない部分である。つまり、非成形部22は、シート状の樹脂組成物2が成形工程にて真空成形されずにそのまま残った部分であり、切除工程にて取り除かれる部分である。
【0033】
図6は、図5に示される非成形部22の断面構造を示す模式図である。図6に示すように、非成形部22の上面221及び下面222は、コルク粒子Kが表面に浮き出た状態になっておらず、平坦に近くなっている。上面221及び下面222は、算術平均粗さが1μm未満であり、微細凹凸面14になっていない。これは、非成形部22では、成形部21と異なり真空成形による熱可塑性樹脂Rの厚みの減少が生じていないため、上面221及び下面222にコルク粒子Kによる凹凸感が出にくいためである。
【0034】
[コルク成形品1のまとめ]
以上のように、本実施形態に係るコルク成形品1は、コルク粒子Kを熱可塑性樹脂Rで固定化したコルク成形品1であって、100重量部の熱可塑性樹脂Rに対して、粒径が0.1mm以上5mm以下であるコルク粒子Kを5重量部以上100重量部以下の割合で含有し、算術平均粗さが1μm以上20μm以下である微細凹凸面14を含む。
【0035】
コルク成形品1では、100重量部の熱可塑性樹脂Rに対して、粒径が0.1mm以上5mm以下であるコルク粒子Rを5重量部以上100重量部以下の割合で含有させている。これにより、算術平均粗さが1μm以上20μm以下である微細凹凸面14をコルク成形品1に形成しやすくなる。従って、本実施形態によれば、コルク粒子Kによる凹凸感が出やすいコルク成形品1を実現することができる。
【0036】
[変形例]
前述した実施形態では、コルク成形品1の成形方法の一例として真空成形を挙げて説明した。しかしながら、コルク成形品1の成形方法は、真空成形に限定されず、コルク粒子Kが表面に浮き出るようにコルク成形品1を成形可能なものであれば採用することができる。
【0037】
(ブロー成形法)
コルク成形品1の成形工程にて、ブロー成形法を採用してもよい。例えば、コルク成形品1の成形工程にて、樹脂組成物2から形成したパリソンに気体を吹き込んで樹脂組成物2を金型に密着させるブロー成形によってコルク成形品1を成形してもよい。また、コルク成形品1の成形工程にて、樹脂組成物2から形成した一次成形品を加熱し気体を吹き込んで樹脂組成物2を金型に密着させるブロー成形によってコルク成形品1を成形してもよい。
【0038】
ブロー成形では、気体(流体)の圧力によってパリソンまたは一次成形品が膨張する過程で熱可塑性樹脂Rの肉厚が減少し、コルク粒子Kが表面に浮き出る。従って、コルク粒子Kによる凹凸感が出やすいコルク成形品1をブロー成形によって成形することができる。
【0039】
(押出成形法)
コルク成形品1の成形工程にて、押出成形法を採用してもよい。例えば、コルク成形品1の成形工程にて、樹脂組成物2を金型(ダイ)の開口部から押し出して徐冷する押出成形によってコルク成形品1を成形してもよい。
【0040】
押出成形では、金型の開口部から押し出した樹脂組成物2を空気中または水中で徐冷することにより熱可塑性樹脂Rが収縮し、コルク粒子Kが表面に浮き出る。特に樹脂組成物2を空気中で緩やかに徐冷することによりコルク粒子Kが表面に浮き出やすくなる。従って、コルク粒子Kによる凹凸感が出やすいコルク成形品1を押出成形によって成形することができる。
【0041】
(射出成形法)
コルク成形品1の成形工程にて、射出成形法を採用してもよい。例えば、コルク成形品1の成形工程にて、樹脂組成物2を金型に射出し、樹脂組成物2が固化する前に金型を解放して微細凹凸面14に対応する側を空気に曝す射出成形によってコルク成形品1を成形してもよい。
【0042】
射出成形では、樹脂組成物2の固化が完結する前に金型を開いて大気開放させて冷却することで、熱可塑性樹脂Rが収縮することによりコルク粒子Kが表面に浮き出る。従って、コルク粒子Kによる凹凸感が出やすいコルク成形品1を射出成形によって成形することができる。
【0043】
なお、射出成形の場合、冷媒などを用いて金型内で樹脂組成物2を急冷すると、コルク粒子Kが表面に浮き出にくくなる。このため、樹脂組成物2が固化する前に金型を解放して微細凹凸面14に対応する側を空気に曝すことで、樹脂組成物2を穏やかに冷却することが好ましい。
【0044】
(ガスインジェクション成形法)
コルク成形品1の成形工程にて、ガスインジェクション成形(ガスアシスト射出成形)法を採用してもよい。例えば、成形工程にて、樹脂組成物2を金型へ充填後、ガスを注入して樹脂組成物2を金型に密着させるガスインジェクション成形によってコルク成形品1を成形してもよい。
【0045】
ガスインジェクション成形では、ガス(例えば、窒素ガス)の圧力によって樹脂組成物2が膨張する過程で熱可塑性樹脂Rの肉厚が減少し、コルク粒子Kが表面に浮き出る。従って、コルク粒子Kによる凹凸感が出やすいコルク成形品1をガスインジェクション成形によって成形することができる。
【0046】
(ウォーターインジェクション成形法)
コルク成形品1の成形工程にて、ウォーターインジェクション成形(水アシスト射出成形)法を採用してもよい。例えば、成形工程にて、樹脂組成物2を金型へ充填後、水を注入して樹脂組成物2を金型に密着させるウォーターインジェクション成形によってコルク成形品1を成形してもよい。
【0047】
ウォーターインジェクション成形では、水の圧力によって樹脂組成物2が膨張する過程で熱可塑性樹脂Rの肉厚が減少し、コルク粒子Kが表面に浮き出る。従って、コルク粒子Kによる凹凸感が出やすいコルク成形品1をウォーターインジェクション成形によって成形することができる。
【0048】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図7及び図8に基づいて説明する。本実施形態では、押出成形によってコルク成形品を成形する一例について説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0049】
[コルク成形品11の構成]
先ず、図7及び図8を参照して、本実施形態に係るコルク成形品11の構成を説明する。図7は、本実施形態に係るコルク成形品11を示す斜視図である。図8は、図7に示されるコルク成形品11のB-B矢視断面図である。コルク成形品11は、コルク粒子を熱可塑性樹脂(バインダ樹脂)で固定化した成形品である。
【0050】
本実施形態に係るコルク成形品11は、押出成形によって成形される。図1及び図2に示すように、コルク成形品11は、その内部に空間11Aが形成される管状形状を有する。
【0051】
コルク成形品11は、100重量部の熱可塑性樹脂Rに対して、粒径が0.1mm以上5mm以下であるコルク粒子Kを5重量部以上100重量部以下の割合で含有する。これにより、コルク成形品11の押出成形時に金型(ダイ)の開口部から押し出した樹脂組成物2を徐冷することにより熱可塑性樹脂Rが収縮し、コルク成形品11の外周面及び内周面(以下、表面と称する場合がある。)にコルク粒子Kが浮き出た状態になる。このため、コルク成形品11の表面の少なくとも一部に1μm以上20μm以下である微細凹凸面14が形成され、コルク成形品11にコルク粒子Kによる凹凸感が出やすくなる。
【0052】
[コルク成形品11の製造方法]
次に、コルク成形品11の製造方法を説明する。本実施形態に係るコルク成形品11の製造方法は、混練工程、成形工程及び切断工程を含む。
【0053】
先ずコルク粒子Kと熱可塑性樹脂Rとを混練する混練工程を行う。この混練工程は前記実施形態1で示した混練工程と同一であるため、その説明を省略する。
【0054】
次に、混練工程にて得られた樹脂組成物2を押出成形によって成形する成形工程を行う。成形工程では、例えば、樹脂組成物2を用いて作製したコルクペレットを押出機へ投入し、押出機の金型に形成された環状の開口部(ダイ)から溶融した樹脂組成物2を押し出す。これにより、開口部の形状に応じて樹脂組成物2が成形される。この押出成形時に金型の開口部から押し出した樹脂組成物2を空気中で穏やかに徐冷することにより熱可塑性樹脂Rが収縮する。これにより、コルク粒子Kが表面に浮き出た状態を維持したまま、コルク粒子Kが熱可塑性樹脂Rで固定化される。
【0055】
次に、成形工程にて得られた成形後の樹脂組成物2を所定サイズに切断する切除工程を行う。切断工程にて、成形後の樹脂組成物2を例えば製品サイズに切断する。これにより、微細凹凸面14を含むコルク成形品11を製造することができる。
【0056】
上述したコルク成形品11の製造方法によって製造したコルク成形品11では、コルク成形品11の外周面及び内周面に1μm以上20μm以下である微細凹凸面14が形成され、コルク成形品11にコルク粒子Kによる凹凸感が出やすくなっている(図7参照)。このため、コルク粒子Kによる凹凸感がコルク成形品11に現れ、コルク成形品11の質感を向上させることができる。
【0057】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るコルク成形品は、コルク粒子を熱可塑性樹脂で固定化したコルク成形品であって、100重量部の前記熱可塑性樹脂に対して、粒径が0.1mm以上5mm以下である前記コルク粒子を5重量部以上100重量部以下の割合で含有し、算術平均粗さが1μm以上20μm以下である微細凹凸面を含む。
【0058】
本発明の態様2に係るコルク成形品では、前記態様2において、前記熱可塑性樹脂は、植物由来の樹脂及び石油由来の樹脂の少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0059】
本発明の態様3に係コルク成形品の製造方法は、コルク粒子を熱可塑性樹脂で固定化したコルク成形品の製造方法であって、100重量部の前記熱可塑性樹脂に対して、粒径が0.1mm以上5mm以下である前記コルク粒子を5重量部以上100重量部以下の割合で混練された樹脂組成物を成形して、算術平均粗さが1μm以上20μm以下である微細凹凸面を含むコルク成形品を成形する成形工程を含む。
【0060】
本発明の態様4に係コルク成形品の製造方法では、前記態様3において、前記成形工程にて、前記樹脂組成物から形成したパリソンに気体を吹き込んで前記樹脂組成物を金型に密着させるブロー成形、または前記樹脂組成物から形成した一次成形品を加熱し気体を吹き込んで前記樹脂組成物を金型に密着させるブロー成形によって前記コルク成形品を成形してもよい。
【0061】
本発明の態様5に係コルク成形品の製造方法では、前記態様3において、前記成形工程にて、前記樹脂組成物から形成したシートと金型との間を減圧して前記樹脂組成物を前記金型に密着させる真空成形によって前記コルク成形品を成形してもよい。
【0062】
本発明の態様6に係コルク成形品の製造方法では、前記態様3において、前記成形工程にて、前記樹脂組成物を金型の開口部から押し出して徐冷する押出成形によって前記コルク成形品を成形してもよい。
【0063】
本発明の態様7に係コルク成形品の製造方法では、前記態様3において、前記成形工程にて、前記樹脂組成物を金型に射出し、前記樹脂組成物が固化する前に前記金型を解放して前記微細凹凸面に対応する側を空気に曝す射出成形によって前記コルク成形品を成形してもよい。
【0064】
本発明の態様8に係コルク成形品の製造方法では、前記態様3において、前記成形工程にて、前記樹脂組成物を金型へ充填後、ガスを注入して前記樹脂組成物を前記金型に密着させるガスインジェクション成形、または前記樹脂組成物を金型に充填後、水を注入して前記樹脂組成物を前記金型に密着させるウォーターインジェクション成形によって前記コルク成形品を成形してもよい。
【0065】
本発明は前述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1、11:コルク成形品
2:樹脂組成物(シート)
3:金型
14:微細凹凸面
K:コルク粒子
R:熱可塑性樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8