IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オービックの特許一覧

特開2024-131811商品管理装置、商品管理方法、および商品管理プログラム
<>
  • 特開-商品管理装置、商品管理方法、および商品管理プログラム 図1
  • 特開-商品管理装置、商品管理方法、および商品管理プログラム 図2
  • 特開-商品管理装置、商品管理方法、および商品管理プログラム 図3
  • 特開-商品管理装置、商品管理方法、および商品管理プログラム 図4
  • 特開-商品管理装置、商品管理方法、および商品管理プログラム 図5
  • 特開-商品管理装置、商品管理方法、および商品管理プログラム 図6
  • 特開-商品管理装置、商品管理方法、および商品管理プログラム 図7
  • 特開-商品管理装置、商品管理方法、および商品管理プログラム 図8
  • 特開-商品管理装置、商品管理方法、および商品管理プログラム 図9
  • 特開-商品管理装置、商品管理方法、および商品管理プログラム 図10
  • 特開-商品管理装置、商品管理方法、および商品管理プログラム 図11
  • 特開-商品管理装置、商品管理方法、および商品管理プログラム 図12
  • 特開-商品管理装置、商品管理方法、および商品管理プログラム 図13
  • 特開-商品管理装置、商品管理方法、および商品管理プログラム 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131811
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】商品管理装置、商品管理方法、および商品管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20240920BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042283
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 勝喜
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB72
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】個別品の在庫を適切に管理することで不良在庫の発生を抑制することができる商品管理装置、商品管理方法、および商品管理プログラムを提供する。
【解決手段】特定の顧客に対して納入する個別品の在庫を管理する商品管理装置であって、個別品ごとの売上情報と在庫情報に基づいて個別品の在庫管理を行う制御部を備え、制御部は、売上情報と在庫情報に基づいて個別品の今後の在庫量を推定する第1在庫予測量算出部を有する
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の顧客に対して納入する個別品の在庫を管理する商品管理装置であって、
前記個別品ごとの売上情報と在庫情報に基づいて前記個別品の在庫管理を行う制御部を備え、
前記制御部は、前記売上情報と前記在庫情報に基づいて前記個別品の今後の在庫量を推定する第1在庫予測量算出部を有する、
商品管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前年の前記売上情報と前記在庫情報に基づいて前記個別品の今後の在庫量を推定する第2在庫予測量算出部を有する、
請求項1に記載の商品管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、推定した前記在庫量が予め設定されたしきい値以下であるときに警告を出力する判定部を有する、
請求項1または請求項2に記載の商品管理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記売上情報と前記在庫情報から第1式(月末金額/売上金額)に基づいて前記個別品の在庫率を算出する在庫率算出部を有する、
請求項1に記載の商品管理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記売上情報と前記在庫情報から第2式((売上単価-月末単価)/売上単価)に基づいて前記個別品の利益率を算出する利益率算出部を有する、
請求項1に記載の商品管理装置。
【請求項6】
特定の顧客に対して納入する個別品の在庫を管理する商品管理方法であって、
前記個別品ごとの売上情報と在庫情報に基づいて前記個別品の在庫管理を行い、
前記売上情報と前記在庫情報に基づいて前記個別品の今後の在庫量を推定するステップを有する、
商品管理方法。
【請求項7】
特定の顧客に対して納入する個別品の在庫を管理する商品管理プログラムであって、
前記個別品ごとの売上情報と在庫情報に基づいて前記個別品の在庫管理を行い、
前記売上情報と前記在庫情報に基づいて前記個別品の今後の在庫量を推定するステップを実行させる、
商品管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品管理装置、商品管理方法、および商品管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、商社は、顧客から商品の受注を受けて製造会社から商品を仕入れ、仕入れた商品を顧客に納入する。ここで、商社は、顧客から商品の定期的な受注があることを考慮すると、商品の在庫が発生する。すなわち、商社は、再度、顧客から商品の受注を受けると、在庫管理している商品を顧客に納入する。在庫管理に関する出願としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-211870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特定の顧客だけに納品する商品として、個別品がある。個別品は、特定の顧客から受注して納品するものであり、他の顧客に対して販売することができない。そのため、個別品に対して、特定の顧客からの受注がないと、個別品(商品)が在庫として残り、不良在庫が発生してしまうという課題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、個別品の在庫を適切に管理することで不良在庫の発生を抑制することができる商品管理装置、商品管理方法、および商品管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る商品管理装置は、特定の顧客に対して納入する個別品の在庫を管理する商品管理装置であって、前記個別品ごとの売上情報と在庫情報に基づいて前記個別品の在庫管理を行う制御部を備え、前記制御部は、前記売上情報と前記在庫情報に基づいて前記個別品の今後の在庫量を推定する第1在庫予測量算出部を有する。
【0007】
なお、本発明に係る商品管理装置において、前記制御部は、前年の前記売上情報と前記在庫情報に基づいて前記個別品の今後の在庫量を推定する第2在庫予測量算出部を有していてもよい。
【0008】
また、本発明に係る商品管理装置において、前記制御部は、推定した在庫量が予め設定されたしきい値以下であるときに警告を出力する判定部を有していてもよい。
【0009】
また、本発明に係る商品管理装置において、前記制御部は、前記売上情報と前記在庫情報から第1式(月末金額/売上金額)に基づいて前記個別品の在庫率を算出する在庫率算出部を有していてもよい。
【0010】
また、本発明に係る商品管理装置において、前記制御部は、前記売上情報と前記在庫情報から第2式((売上単価-月末単価)/売上単価)に基づいて前記個別品の利益率を算出する利益率算出部を有していてもよい。
【0011】
また、本発明に係る商品管理方法は、特定の顧客に対して納入する個別品の在庫を管理する商品管理方法であって、前記個別品ごとの売上情報と在庫情報に基づいて前記個別品の在庫管理を行い、前記売上情報と前記在庫情報に基づいて前記個別品の今後の在庫量を推定するステップを有する。
【0012】
また、本発明に係る商品管理プログラムは、特定の顧客に対して納入する個別品の在庫を管理する商品管理プログラムであって、前記個別品ごとの売上情報と在庫情報に基づいて前記個別品の在庫管理を行い、前記売上情報と前記在庫情報に基づいて前記個別品の今後の在庫量を推定するステップを実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、個別品の在庫を適切に管理することで不良在庫の発生を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、商品管理装置の構成の一例を示すブロック構成図である。
図2図2は、商品管理装置による処理の流れの一例を示す図である。
図3図3は、商品マスタの一例を示す図である。
図4図4は、商品の売上データの一例を示す図である。
図5図5は、商品の在庫データの一例を示す図である。
図6図6は、商品管理装置による得意先別在庫データの生成処理の流れの一例を示す図である。
図7図7は、個別品の得意先別在庫データの分析結果の一例を示す図である。
図8図8は、商品マスタの一例を示す図である。
図9図9は、商品の受注データの一例を示す図である。
図10図10は、商品の売上データの一例を示す図である。
図11図11は、商品の在庫データの一例を示す図である。
図12図12は、商品管理装置による売上在庫予測データの生成処理の流れの一例を示す図である。
図13図13は、個別品Aの売上在庫予測データの分析結果の一例を示す図である。
図14図14は、個別品Bの売上在庫予測データの分析結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る商品管理装置、商品管理方法、および商品管理プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0016】
[商品管理装置]
図1は、商品管理装置の構成の一例を示すブロック構成図である。
【0017】
商品管理装置10は、自社が特定の顧客(得意先)だけに納品する商品としての個別品の在庫を管理するものである。この場合、顧客(得意先)は、他社であるが、自社内の製造部門などであってもよい。
【0018】
商品管理装置10は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータを基に構築したものである。なお、商品管理装置10は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置を基に構築したものに限らず、市販のノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォンまたはタブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置を基に構築したものであってもよい。
【0019】
商品管理装置10は、制御部11と、通信インターフェース部12と、記憶部13と、入出力インターフェース部14とを備える。商品管理装置10が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続される。
【0020】
通信インターフェース部12は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、商品管理装置10をネットワーク100に通信可能に接続される。通信インターフェース部12は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク100は、商品管理装置10とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、記憶部13に格納されるデータは、例えば、サーバ200に格納されてもよい。
【0021】
入出力インターフェース部14は、入力装置21と、出力装置22が接続される。入力装置21は、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。出力装置22は、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。なお、以下では、入力装置21をキーボードまたはマウスとし、出力装置22をモニタとして記載する場合がある。
【0022】
記憶部13は、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部13は、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0023】
記憶部13は、商品マスタ31と、受注データ32と、売上データ33と、在庫データ34とが格納される。商品マスタ31は、商品である個別品の詳細データである。受注データ32は、自社が受注した個別品のデータである。売上データ33は、自社が売り上げた個別品の売り上げデータである。在庫データ34は、自社に残っている個別品の数量である。
【0024】
制御部11は、商品管理装置10を統括的に制御するCPU等である。制御部11は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0025】
制御部11は、情報処理として、記憶部13に記憶された各種データに基づいて在庫管理処理を実行する。制御部11は、在庫管理処理として、在庫率、利益率、在庫予測量を算出する。
【0026】
制御部11は、個別品ごとの売上情報と在庫情報に基づいて個別品の在庫管理を行う。ここで、売上情報は、受注データ32および売上データ33であり、在庫情報は、在庫データ34である。
【0027】
制御部11は、在庫率算出部41と、利益率算出部42と、第1在庫予測量算出部43と、第2在庫予測量算出部44と、判定部45とを有する。
【0028】
在庫率算出部41は、売上情報と在庫情報から第1式(月末金額/売上金額)に基づいて個別品の在庫率を算出する。利益率算出部42は、売上情報と在庫情報から第2式((売上単価-月末単価)/売上単価)に基づいて個別品の利益率を算出する。
【0029】
第1在庫予測量算出部43は、売上情報と在庫情報に基づいて個別品の今後の在庫量を推定する。第2在庫予測量算出部44は、前年の売上情報と在庫情報に基づいて個別品の今後の在庫量を推定する。
【0030】
判定部45は、在庫率算出部41や利益率算出部42が算出した在庫率や利益率が推定した在庫量が予め設定されたしきい値以上であるときに警告を出力する。判定部45は、第1在庫予測量算出部43や第2在庫予測量算出部44が推定した在庫量が予め設定されたしきい値以下であるときに警告を出力する。
【0031】
[商品管理装置による処理方法]
図2は、商品管理装置による処理の流れの一例を示す図である。
【0032】
図2に示すように、自社は、特定の顧客との間で各種の項目に対する契約を行う。すなわち、個別品の仕様を確定し、個別品の想定出荷数を確認し、個別品の取引価格を設定する。また、個別品の取引期間を設定し、個別品の価格見直しの設定を行う。ここで、個別品の取引期間の設定は、取引期間の終了時における在庫品の買取の設定である。また、個別品の価格見直しの設定は、資材や原材料の高騰による値上げなどの設定である。
【0033】
自社の社員は、入力装置21を用いて個別品の受注情報を商品管理装置10に入力すると、商品管理装置10は、記憶部13の受注情報や在庫情報が書き替えられる。また、社員は、入力装置21を用いて個別品の売上情報を商品管理装置10に入力すると、商品管理装置10は、記憶部13の売上情報や在庫情報が書き替えられる。社員は、入力装置21を用いて個別品の仕入情報を商品管理装置10に入力すると、商品管理装置10は、記憶部13の仕入情報や在庫情報が書き替えられる。また、社員は、入力装置21を用いて個別品の商品マスタを商品管理装置10に入力すると、商品管理装置10は、記憶部13の商品マスタが書き替えられる。そして、商品管理装置10の制御部11は、記憶部13に記憶された各種の情報に基づいて得意先別の各種の情報を分析する。
【0034】
[得意先別在庫データの分析方法]
図3は、商品マスタの一例を示す図である。図3に示すように、商品としての個別品の商品マスタ31は、商品コードと、商品名と、商品区分と、得意先コードと、得意先名と、品種コードと、品種名と、在庫適正値(上限)と、在庫適正値(下限)とを有する。
【0035】
図4は、商品の売上データの一例を示す図である。図4に示すように、商品としての個別品の売上データ33は、売上番号と、行番号と、売上日と、得意先コードと、得意先名と、商品コードと、商品名と、売上数量と、売上単価と、売上金額とを有する。
【0036】
図5は、商品の在庫データの一例を示す図である。図5に示すように、商品としての個別品の在庫データ34は、会計年月と、商品コードと、商品名と、月初数量と、月初単価と、月初金額と、出庫数と、入庫数と、月末数量と、月末単価と、月末金額とを有する。
【0037】
図6は、商品管理装置による得意先別在庫データの生成処理の流れの一例を示す図である。図1および図6に示すように、制御部11を構成する在庫率算出部41と利益率算出部42は、商品マスタ31の商品コードと在庫データ34の商品コードとを紐づけ、商品マスタ31の商品コードと売上データ33の商品コードとを紐づけ、売上日を月単位としてデータを結合し、得意先別在庫データを出力する。出力する得意先別在庫データは、商品コード、商品名、会計年月、月末単価、月末数量、月末金額、売上単価、売上金額などを有する。
【0038】
図7は、個別品の得意先別在庫データの分析結果の一例を示す図である。
【0039】
図1および図7に示すように、制御部11を構成する在庫率算出部41と利益率算出部42は、売上データ33と在庫データ34に基づいて分析を行い、出力装置22(図1参照)よりディスプレイに出力する。出力装置22は、ディスプレイに、ヘッダ部(条件指定)として、会計年月と、得意先コードと、商品コードと、品種コードを表示し、個別品A001と、個別品A002のデータを表示する。また、出力装置22は、ディスプレイに、明細部として、商品コード、商品名、月末単価、月末数量、売上単価、売上金額、在庫率、利益率を表示する。ここで、出力装置22は、ディスプレイに、先月である2022年10月の得意先別在庫データと、当先月である2022年11月の得意先別在庫データを表示する。なお、ここで、出力装置22は、2か月のデータを表示したが、1か月のデータであってもよく、3か月以上のデータであってもよい。
【0040】
ここで、在庫率算出部41は、第1式を用いて個別品の在庫率を算出する。
在庫率=(月末金額/売上金額)×100
そのため、個別品A001,A002の10月と11月の在庫率は、以下となる。
個別品A001の10月の在庫率=(120/120)×100=100.0(%)
個別品A001の11月の在庫率=(540/120)×100=450.0(%)
個別品A002の10月の在庫率=(700/300)×100=233.3(%)
個別品A002の11月の在庫率=(350/750)×100=53.3(%)
【0041】
得意先別在庫データにて、在庫率は、50%~200%が適正範囲であり、この範囲がしきい値となる。判定部45は、個別品A001,A002の在庫率をしきい値と比較する。すなわち、判定部45は、個別品A001における11月の在庫率がしきい値より高い450.0%であり、個別品A002における10月の在庫率がしきい値より高い233.3%であり、個別品A002における11月の在庫率がしきい値より低い46.7%であると判定する。
【0042】
そして、判定部45は、個別品A001における11月の在庫率450.0%に対して警告を出し、個別品A002における10月の在庫率233.3%と11月の在庫率46.7%に対して警告を出す。この場合、個別品A001における11月の在庫率450.0%と、個別品A002における10月の在庫率233.3%は、在庫量が多すぎて不良在庫になる可能性がある。そのため、判定部45は、該当する在庫率の表示位置を黄色で表示する。このとき、担当者は、得意先に今後の個別品A001,A002の需要計画を確認する必要がある。また、個別品A002は、10月の在庫率233.3%から11月の在庫率46.7に大きく変動しており、納品できずに機会損失が発生する可能性がある。そのため、判定部45は、該当する在庫率の表示位置を赤色で表示する。このとき、担当者は、得意先に今後の個別品A001,A002の需要計画を確認し、在庫量を増やすことを検討する必要がある。
【0043】
また、利益率算出部42は、第2式を用いて個別品の利益率を算出する。
利益率=(売上単価-月末単価)/売上単価)×100
そのため、個別品A001,A002の10月と11月の利益率は、以下となる。
個別品A001の10月の利益率=(600-60)/600×100=50.0(%)
個別品A001の11月の利益率=(120-60)/120×100=50.0(%)
個別品A002の10月の利益率=(150-70)/150×100=53.3(%)
個別品A002の11月の利益率=(150-70)/150×100=53.3(%)
【0044】
得意先別在庫データにて、利益率は、50%以上が適正範囲であり、この範囲がしきい値となる。判定部45は、個別品A001,A002の利益率をしきい値と比較する。判定部45は、個別品A001,A002における10月および11月の利益率がしきい値以上であると判定し、警告は出さない。但し、個別品A001,A002における10月および11月の利益率がしきい値より低かったとき、在庫率と同様に、警告を出す。そして、担当者は、得意先に対して価格の上昇を交渉する必要がある。
【0045】
[売上在庫予測データの分析方法]
図8は、商品マスタの一例を示す図である。図8に示すように、商品としての個別品の商品マスタ31は、商品コードと、商品名と、商品区分と、得意先コードと、得意先名と、契約終了予定日と、発注ロットと、発注点と、品種コードと、品種名とを有する。
【0046】
図9は、商品の受注データの一例を示す図である。図9に示すように、商品としての個別品の受注データ32は、受注番号と、行番号と、受注日と、売上予定日と、得意先コードと、得意先名と、商品コードと、商品名と、受注数量と、受注単価と、受注金額とを有する。
【0047】
図10は、商品の売上データの一例を示す図である。図10に示すように、商品としての個別品の売上データ33は、売上番号と、行番号と、売上日と、得意先コードと、得意先名と、商品コードと、商品名と、売上数量と、売上単価と、売上金額とを有する。
【0048】
図11は、商品の在庫データの一例を示す図である。図11に示すように、商品としての個別品の在庫データ34は、会計年月と、商品コードと、商品名と、月初数量と、月初単価と、月初金額と、出庫数と、入庫数と、月末数量と、月末単価と、月末金額とを有する。
【0049】
図12は、商品管理装置による得意先別在庫データの生成処理の流れの一例を示す図である。図1および図12に示すように、制御部11を構成する第1在庫予測量算出部43および第2在庫予測量算出部44は、商品マスタ31の商品コードと在庫データ34の商品コードとを紐づけ、商品マスタ31の商品コードと売上データ33の商品コードとを紐づけ、商品マスタ31の商品コードと受注データ32の受注数量とを紐づけ、売上日および売上予定日を月単位としてデータを結合し、売上在庫予測データを出力する。出力する売上在庫予測データは、商品コード、商品名、契約終了予定日、発注ロット、発注点、会計年月などを有する。そして、第1在庫予測量算出部43および第2在庫予測量算出部44は、在庫数、売上数量、売上予定数量、前年売上数量、在庫予測予定、在庫予測昨年の実績と予測を出力する。
【0050】
図13は、個別品Aの売上在庫予測データの分析結果の一例を示す図である。
【0051】
図1および図13に示すように、制御部11を構成する第1在庫予測量算出部43および第2在庫予測量算出部44は、受注データ32と売上データ33と在庫データ34に基づいて分析を行い、出力装置22(図1参照)よりディスプレイに出力する。出力装置22は、ディスプレイに、ヘッダ部(条件指定)として、会計年月と、商品コードと、品種コードとを表示し、個別品A001と、個別品A002のデータを表示する。また、出力装置22は、ディスプレイに、明細部として、商品コード、商品名、契約終了予定日、発注ロット、発注点を表示すると共に、在庫数、売上数量、売上予定数量、前年売上数量、在庫予測予定、在庫予測昨年を表示する。ここで、出力装置22は、ディスプレイに、今月である2022年11月の売上在庫予測データと、契約終了月となる2022年12月の売上在庫予測データを表示する。なお、指定した期間よりも契約終了予定日が手前の場合、契約終了予定日までの表示となる。
【0052】
ここで、11月の在庫数は、実績であり、指定開始日の当月末在庫数である。12月の在庫数は、予測であり、実績に売上予定数量を加味した在庫数である。売上数量は、月単位の売上数量である。売上予定数量は、月単位の受注数量(未出荷分)である。前年売上数量は、昨年同月の月単位の売上数量である。在庫予測予定は、在庫数から売上数量を減算し、売上予定数量を加味した数量である。在庫予測昨年は、在庫数から前年売上数量を減算し、前年売上数量を加味した数量である。
【0053】
売上在庫予測データにて、契約終了月時点での在庫予測予定および在庫予測昨年は、0が適正値であり、しきい値となる。売上在庫予測データにて、在庫予測予定4は、しきい値より高く、契約終了月時点で、個別品A001の在庫が発生していることを表すものであり、判定部45は、不良在庫になる可能性が高いと判定する。また、売上在庫予測データにて、在庫予測昨年2は、しきい値より高く、契約終了月時点で、個別品A001の在庫が発生していることを表すものであり、判定部45は、不良在庫になる可能性が高いと判定する。そのため、判定部45は、該当する在庫予測予定4および在庫予測昨年2の表示位置を黄色で表示する。このとき、担当者は、得意先に個別品A001の在庫が残りそうであることを連絡し、得意先で個別品A001を使用する計画の早期立案を提案する必要がある。
【0054】
図14は、個別品Bの売上在庫予測データの分析結果の一例を示す図である。
【0055】
図1および図14に示すように、制御部11を構成する第1在庫予測量算出部43および第2在庫予測量算出部44は、受注データ32と売上データ33と在庫データ34に基づいて分析を行い、出力装置22(図1参照)よりディスプレイに出力する。出力装置22は、ディスプレイに、ヘッダ部(条件指定)として、会計年月と、商品コードと、品種コードとを表示し、個別品B001のデータを表示する。また、出力装置22は、ディスプレイに、明細部として、商品コード、商品名、契約終了予定日、発注ロット、発注点を表示すると共に、在庫数、売上数量、売上予定数量、前年売上数量、在庫予測予定、在庫予測昨年を表示する。ここで、出力装置22は、ディスプレイに、今月である2022年11月の売上在庫予測データと、来月以降となる2022年12月以降の複数月(本実施形態では、5か月)の売上在庫予測データを表示する。
【0056】
ここで、11月の在庫数は、実績であり、指定開始日の当月末在庫数である。12月以降の在庫数は、予測であり、実績に売上予定数量を加味した在庫数である。売上数量、売上予定数量、前年売上数量、在庫予測予定、在庫予測昨年は、上述したものと同様である。
【0057】
売上在庫予測データにて、12月以降の在庫予測予定および在庫予測昨年は、発注点5が適正値であり、しきい値となる。売上在庫予測データにて、2023年1月以降の在庫予測予定4は、しきい値より低いことを表すものであり、判定部45は、個別品A001の在庫不足になる可能性が高いと判定する。また、売上在庫予測データにて、2023年1月以降の在庫予測昨年4や在庫予測昨年1は、しきい値より低いことを表すものであり、判定部45は、個別品A001の在庫不足になる可能性が高いと判定する。そのため、判定部45は、該当する複数の在庫予測予定4および在庫予測昨年2や在庫予測昨年1の表示位置を黄色で表示する。
【0058】
さらに、売上在庫予測データにて、2023年3月以降の在庫予測昨年14や在庫予測昨年15は、しきい値よりさらに低いことを表すものであり、判定部45は、個別品A001の在庫不足になる可能性がさらに高いと判定する。この場合、発注点5より低い値をしきい値とする。そのため、判定部45は、該当する在庫予測昨年-4や在庫予測昨年-5の表示位置を赤色で表示する。このとき、担当者は、得意先に個別品B001の在庫がなくなりそうであることを連絡し、得意先に対して個別品A001の追加受注の有無を確認し、得意先の要望に応じて個別品A001の在庫数量を増やすことを計画する。
【0059】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の商品管理装置10は、特定の顧客に対して納入する個別品の在庫を管理する商品管理装置10であって、個別品ごとの売上情報と在庫情報に基づいて個別品の在庫管理を行う制御部11を備え、制御部11は、売上情報と在庫情報に基づいて個別品の今後の在庫量を推定する第1在庫予測量算出部43を有する。
【0060】
本実施形態の商品管理装置10は、売上情報と在庫情報に基づいて個別品の今後の在庫量を推定するため、個別品の在庫を適切に管理することで不良在庫の発生を抑制することができる。
【0061】
すなわち、商品管理装置10は、特定の顧客先向けの個別品について、商品ごとに得意先を設定することで、得意先別商品別の在庫管理が可能となる。商品管理装置10は、商品マスタ31に分析用の項目として、得意先情報、契約期間、発注点などを追加し、受注データ32、売上データ33、在庫データ34の情報を組み合わせて在庫管理の分析を行う。そのため、得意先別の在庫を把握することができるようになり、在庫がある場合、得意先に対して在庫の買取を依頼したり、契約の更新時に在庫の買取を含んだ契約に変更したりすることか可能となる。一方、商品管理装置10は、個別品が計画通りまたは計画以上に順調に出荷ができている場合は、保持する個別品の在庫数を増やす提案を行うことができ、欠品を抑制するための適切な出荷可能在庫を管理することができる。その結果、不良在庫になるリスクを低減することができ、さらに欠品を防ぐためのサービスの向上を図ることができる。
【0062】
本実施形態の商品管理装置10は、制御部11は、前年の売上情報と在庫情報に基づいて個別品の今後の在庫量を推定する第2在庫予測量算出部44を有する。そのため、前年の売上情報と在庫情報とを比較することで、個別品の今後の在庫量を精度良く推定することができる。
【0063】
本実施形態の商品管理装置10は、制御部11は、推定した在庫量が予め設定されたしきい値以下であるときに警告を出力する判定部45を有する。そのため、担当者は、個別品における在庫の過不足状態を容易に把握することができる。
【0064】
本実施形態の商品管理装置10は、制御部11は、売上情報と在庫情報から第1式(月末金額/売上金額)に基づいて個別品の在庫率を算出する在庫率算出部41を有する。そのため、個別品の在庫率を把握することで、個別品の在庫に対する対応を早期に実施することができる。
【0065】
本実施形態の商品管理装置10は、制御部11は、売上情報と在庫情報から第2式((売上単価-月末単価)/売上単価)に基づいて個別品の利益率を算出する利益率算出部42を有する。そのため、個別品の利益率に応じて顧客に対する価格調整を早期に実施することができる。
【0066】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8および9に貢献することが可能となる。
【0067】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13および15に貢献することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0069】
[他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0070】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0071】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0072】
また、商品管理装置10に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0073】
例えば、商品管理装置10が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて商品管理装置10に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0074】
また、このコンピュータプログラムは、商品管理装置10に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0075】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0076】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0077】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0078】
また、商品管理装置10は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、商品管理装置10は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0079】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、個別品を納入する会社において有用である。
【符号の説明】
【0081】
10 商品管理装置
11 制御部
12 通信インターフェース部
13 記憶部
14 入出力インターフェース部
21 入力装置
22 出力装置
31 商品マスタ
32 受注データ
33 売上データ
34 在庫データ
41 在庫率算出部
42 利益率算出部
43 第1在庫予測量算出部
44 第2在庫予測量算出部
45 判定部
100 ネットワーク
200 サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14