(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131820
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】車両用外装部品、および車両用外装部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B60R 13/04 20060101AFI20240920BHJP
B32B 3/02 20060101ALI20240920BHJP
B29C 63/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B60R13/04 Z
B32B3/02
B29C63/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042294
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊田 真由佳
(72)【発明者】
【氏名】中林 俊一
(72)【発明者】
【氏名】深水 桃子
(72)【発明者】
【氏名】北島 隆馬
【テーマコード(参考)】
3D023
4F100
4F211
【Fターム(参考)】
3D023AA01
3D023AB03
3D023AC11
3D023AC15
3D023AC22
3D023AD06
3D023AD12
4F100AB01A
4F100AK01A
4F100AK04B
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4F211SC06
4F211SD08
4F211SD11
4F211SP17
(57)【要約】
【課題】 耐候性等の耐性が向上した車両用外装部品を提供する。
【解決手段】 基材と、前記基材の全体を覆って貼着されているフィルムと、を備え、前記フィルムの素材は、開口部を有する袋形状を有し、前記開口部は、前記基材の端縁に沿って閉じられている、車両用外装部品。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の全体を覆って貼着されているフィルムと、を備え、
前記フィルムの素材は、開口部を有する袋形状を有し、する、車両用外装部品。
前記開口部は、前記基材の端縁に沿って閉じられている、車両用外装部品。
【請求項2】
前記フィルムは、前記フィルムの剥離を可能にする切り取り線を備えている、請求項1に記載の車両用外装部品。
【請求項3】
前記フィルムは、複数のフィルムが積層されている複層フィルムである、請求項1に記載の車両用外装部品。
【請求項4】
前記複層フィルムの各フィルムは、前記フィルムの剥離を可能にする切り取り線を備え、前記切り取り線は、隣接するフィルム間で異なる位置に設けられている、請求項3に記載の車両用外装部品。
【請求項5】
前記基材は、塗膜を有さない、請求項1に記載の車両用外装部品。
【請求項6】
前記基材は、鞍乗り型車両のアッパーカウルである、請求項1に記載の車両用外装部品。
【請求項7】
基材の全体を、開口部を有する袋形状のフィルムの素材内に配置する配置工程と、
前記フィルムの素材を緩衝材上に配置し、前記開口部を介して、前記フィルムの素材内から気体を排出して、前記フィルムの素材を前記基材に貼着する貼着工程と、
を備え、
前記貼着工程において、前記開口部が前記基材の端縁に沿って閉じられる、車両用外装部品の製造方法。
【請求項8】
前記貼着工程後に、前記基材に貼着しているフィルムの全体を、開口部を有する袋形状の別のフィルムの素材内に配置する配置工程と、
前記別のフィルムの素材を緩衝材上に配置し、前記開口部を介して、前記別のフィルム内から気体を排出して、前記別のフィルムの素材を前記フィルムに貼着する貼着工程と、
をさらに備える、請求項7に記載の車両用外装部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用外装部品、および車両用外装部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両では、外装部品等の表面に装飾を施すことで美観が高められている。そのような外装部品等の表面を装飾するために、外装部品等の素材に塗装する方法、外装物品等の素材の表面に貼り付けるフィルムに装飾する方法、フィルムと装飾とが一体化した加飾フィルムを外装物品等の素材に貼り付ける方法等が知られている。特許文献1は、基材の露出表面の一部を覆って貼着された装飾フィルムを含む車両の外装用部品を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、車両の外装部品は、雨風や、粉塵等に曝されることが多く、場合によっては、洗車用洗剤等に曝されることもある。そのため、外装用部品を装飾するフィルムは、雨、粉塵、洗車用洗剤等から基材を保護する必要があり、外装部品においては、耐候性等の耐性をさらに向上することが求められている。
【0005】
本発明の目的は、耐候性等の耐性が向上した車両用外装部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
基材と、
前記基材の全体を覆って貼着されているフィルムと、を備え、
前記フィルムの素材は、開口部を有する袋形状を有し、
前記開口部は、前記基材の端縁に沿って閉じられている、車両用外装部品が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、耐候性等の耐性が向上した車両用外装部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2(A)は、一実施形態に係る車両用外装部品の背面図であり、
図2(B)は、一実施形態に係る車両用外装部品のA-A’断面図。
【
図3】別の実施形態に係る車両用外装部品の断面図。
【
図4】フィルムの素材内に配置された基材の概略図。
【
図5】緩衝材上に配置されたフィルムの素材の概略図。
【
図6】一実施形態に係るフィルムの素材に貼着されている基材の概略図。
【
図7】フィルムの素材内に配置された基材の概略図。
【
図8】別の実施形態に係るフィルムの素材に貼着されている基材の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<本実施形態に係る車両用外装部品>
本実施形態に係る車両用外装部品は、基材と、基材の全体を覆って貼着されているフィルムと、を備え、フィルムの素材が開口部を有する袋形状を有するものである。これにより、本実施形態に係る車両用外装部品は、その全体がフィルムにより覆われているので、雨、粉塵、洗車用洗剤等から十分保護され、優れた耐候性等の耐性を有するものである。さらに、本実施形態に係る車両用外装部品は、フィルム素材の開口部が基材の端縁に沿って閉じられている。これにより、開口部が閉じられることによって形成されるシワ等の微小な凹凸が基材の端縁に位置するため、車両用外装部品の美観を良好に維持することができる。
【0011】
(外装部品の対象)
外装部品が配置される車両は、特に限定されるものでないが、自動四輪車、自動二輪車等の鞍乗り型車両、飛行機、船舶等が例示される。一実施形態において、外装部品が配置される車両は、装飾性に加えて、耐候性等が求められる鞍乗り型車両とすることができる。また、鞍乗り型車両の外装部品としては、アッパーカウル、サイドカウル、シートカウル、リアカウル等が例示される。
【0012】
図1は、本実施形態に係る車両用外装部品の概略図である。
図1は、車両用外装部品として鞍乗り型車両のアッパーカウル100を示している。アッパーカウル100は、その表面101および裏面102に凸部、凹部、開口部等有する複雑な形状をしている。アッパーカウル100は、鞍乗り型車両のフロント周りに部品であり、その表面101は、他車両の乗員や歩行者等が車体前方から視認することができる部分であり、アッパーカウル100の裏面102は、車両の乗員等が乗車位置から視認することができる部分である。本実施形態に係るアッパーカウル100は、基材と、基材の全体を覆って貼着されているフィルムと、を備え、フィルム素材の開口部が基材の端縁に沿って閉じられているので、フィルム素材の開口部よって形成されるシワ等の微小な凹凸が基材の端縁に位置するため、他車両の乗員や歩行者等からも、車両の乗員からも、微小な凹凸を視認し難く、アッパーカウルの表面101および裏面102の双方の美観を良好に維持することができる。つまり、車両用外装部品の表面および裏面の双方が乗員等から視認される車両用外装部品である場合、車両用外装部品の美観の観点で、本実施形態は優れている。なお、アッパーカウルを挟んで車両本体と反対側の面を表面101、および車両本体に対向するアッパーカウルの面を裏面102ということがある。
【0013】
(外装部品の構造)
本実施形態に係る車両用外装部品の構造について、理解を容易にするために、車両用外装部品の形状等を簡略化した一実施形態に係る車両用外装部品に基づき説明する。
図2(A)は、一実施形態に係る車両用外装部品の背面図であり、
図2(B)は、一実施形態に係る車両用外装部品のA-A’断面図である。
図2(A)に示す一実施形態に係る車両用外装部品の背面図は、車両用外装部品の裏面102から見た図に相当する。
【0014】
図2(A)および(B)に示すように、一実施形態に係る車両用外装部品200は、基材210と、基材210の全体を覆って貼着されているフィルム220と、を備えている。また、車両用外装部品200は、基材210と、フィルム220との間に接着層230を備えることができる。
【0015】
(フィルム)
図2(B)に示すように、フィルム220は、基材210の全体を覆って貼着されている。これにより、フィルム220内への水等の浸入を防ぐことができる。また、フィルム220が、基材210の全体を覆うことができるように、フィルム220の素材は、開口部を有する袋形状を有しており、そのため、フィルム220は、フィルム220の素材の開口部を閉じた際に形成される閉部221を有している。
【0016】
フィルムの閉部
フィルム220における閉部221は、特に限定されるものでないが、裏面102、または表面101と裏面102との間の面103(以下、「側面」ということもある)に位置するように設けることができる。閉部221は、フィルム220の素材の開口部を閉じた際に形成されるものであるため、シワ等の微小な凹凸を有しているが、裏面102や側面103に、そのような微小な凹凸を配置でき、外観意匠性を維持できる。また、本実施形態において、閉部221は、基材210の面と面とが交差する縁に位置するように設けられる、つまり、基材210の端縁に位置するように設けられる。例えば、
図2(A)および
図2(B)に示すように、閉部221は、基材210の裏面102側の端縁212に沿って設けることができる。これにより、車両の外装部品の美観を良好に維持することができる。
【0017】
また、1つの車両外装部品200に閉部221は、特に限定されるものでないが、一実施形態において、1以上、別の実施形態において、2以上、さらに別の実施形態において、3以上設けることができ、一実施形態において、10以下、別の実施形態において、9以下、さらに別の実施形態において、8以下設けることができる。
【0018】
フィルムの切り取り線
図2(A)に示されるように、フィルム220は、フィルムを切り開き、それの剥離を可能にする切り取り線222を備えることができる。これにより、フィルム220が劣化した場合、フィルム220を基材210から剥離して、車両の外装部品の美観をより良好に維持することができる。また、基材210が塗装されている場合、フィルム220を基材210から剥離することで、車両用外装部品の装飾や色彩等を変更することができる。
【0019】
また、フィルムの切り取り線222は、特に限定されるものでないが、外装部品の美観の観点から、裏面102、または側面103に位置するように設けることができる。フィルムの切り取り線222は、微小な溝または孔を有しているが、裏面102や側面103に、そのような微小な溝または孔を配置でき、外観意匠性を維持できる。一実施形態において、フィルムの切り取り線は、基材210の面と面とが交差する縁に位置するように設けることができ、別の実施形態において、基材210の端縁211、212に位置するように設けることができる。例えば、フィルムの切り取り線222は、基材210の裏面102側の端縁212に沿って設けることができる。これにより、車両の外装部品の美観を良好に維持することができる。ただし、フィルム220の切り取り線222は、閉部221と異なる位置に設けられる。
【0020】
また、1つの車両外装部品200に設けられる切り取り線222の数は、特に限定されるものでないが、外装部品の美観の観点および剥離性の観点から、一実施形態において、1以上、別の実施形態において、2以上、さらに別の実施形態において、3以上とすることができ、一実施形態において、10以下、別の実施形態において、9以下、さらに別の実施形態において、8以下とすることができる。
【0021】
また、フィルムの切り取り線222は、フィルムを切り開き、それの剥離を可能にすることができれば、特に限定されるものでないが、点線、破線、実線等の線のほか、文字、記号等で形成することができる。
【0022】
フィルムの材料
フィルム220の材料は、その素材が開口部を有する袋形状とすることができるものであれば、特に限定されるものでなく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、およびポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)、アクリロニトリル/エチレン-プロピレン-ジエン/スチレン(AES)、ポリウレタンおよびポリメタクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリレート、ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリオレフィン、および、ナイロン等の熱可塑性樹脂を含むものとすることができる。フィルム220は、これらの樹脂を含む単層であっても、複層であってもよい。また、フィルム220は、再利用可能な樹脂とすることによって省資源に寄与することができる。
【0023】
フィルムの厚さ
フィルム220の厚さは、特に限定されるものでないが、一実施形態において、200μm以下、別の実施形態において、100μm以下とすることができる。これにより、基材210に貼着された後のフィルム220に、シワ等の微小な凹凸の発生を抑制することができる。また、フィルム220の厚さは、一実施形態において、50μm以上、別の実施形態において、80μm以上とすることができる。これにより、フィルム220の強度が向上し、基材210の保護性が向上する。フィルム220の厚さの範囲は、一実施形態において、200μm以下50μm以上、別の実施形態において、100μm以下80μm以上とすることができる。
【0024】
他の層
一実施形態において、フィルムは、他の層を含むものであってもよく、例えば、着色層、金属塗装層、光透過層等を含むものであってもよい。着色層は、外装部品の外面として目視可能な色調を与えるために設けられる層であり、例えば、顔料を層内に含むことで所定の色調に設定することができる。金属塗装層は、着色層の表面に金属を成膜したものであり、例えば、銀鏡塗装、アルミニウム等の金属を用いたメッキ等とすることができる。また、着色層よりも基材の外面側に形成される光透過層は、光透過性材料を層内に含むもので、光透過性を有する。光透過層は、保護層として機能し得るもので、着色層よりも外側に光透過層が形成されたとしても、着色層で着色された色調を視認可能とすることができる。
【0025】
(基材)
図1および
図2に示すように、基材210は、車両用外装部品の形状を実質的に画定するものであり、曲面、平面を有するブロックやシート等であり、さらにその表面および/または裏面には、凸部、凹部、開口部等有していてもよい。
【0026】
基材の材料
基材210は、車両用外装部品のベースとして保形性を有することができれば、特に限定されるものでなく、無機材料であっても、有機材料であってもよい。一実施形態において、無機材料としては、金属、合金、セラミックス等とすることができ、例えば、鉄やステンレス等の鋼、アルミニウム合金、銅合金等が例示される。一実施形態において、有機材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂とすることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、およびポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)、アクリロニトリル/エチレン-プロピレン-ジエン/スチレン(AES)、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリレート、ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン等の熱可塑性樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、およびフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が例示される。また、基材210は、塗膜を有さないものとすることで、容易に再利用することができ、省資源に寄与することができる。
【0027】
基材の厚さ
基材210の厚さは、車両用外装部品のベースとして保形性を有することができれば、特に限定されるものでなく、一実施形態において、1mm以上、別の実施形態において、5mm以上、さらに別の実施形態において、10mm以上、さらに別の実施形態において、30mm以上とすることができ、別の実施形態において、一実施形態において、100mm以下、別の実施形態において、90mm以下、さらに別の実施形態において、80mm以下、さらに別の実施形態において、50mm以下とすることができる。基材の厚さの範囲は、一実施形態において、1mm以上100mm以下、別の実施形態において、5mm以上90mm以下、さらに別の実施形態において、10mm以上80mm以下、さらに別の実施形態において、30mm以上50mm以上とすることができる。
【0028】
(接着層)
図2(B)に示すように、一実施形態に係る車両用外装部品は、基材210とフィルム220との間に接着層230を備えることができる。接着層230は、基材210にフィルム220を貼着するものである。接着層230は、基材210とフィルム220との間の全面に設けても、一部に設けてもよい。
【0029】
接着層の材料
接着層230の材料は、基材とフィルムを固定することができれば、特に限定されるものでなく、天然ゴム、SBR、ブチルゴムなどのゴム系、アクリル系、シリコーン系、ジエン系、ポリエチレン系等が例示される。
【0030】
接着層の厚さ
接着層230の厚さは、フィルム220の基材210に対する粘着力を向上させることができれば、特に限定されるものでなく、一実施形態において、10μm以上、別の実施形態において、15μm以上、さらに別の実施形態において、20μm以上とすることができ、別の実施形態において、一実施形態において、50μm以下、別の実施形態において、45μm以下、さらに別の実施形態において、40μm以下とすることができる。接着層の厚さの範囲は、一実施形態において、10μm以上50μm以下、別の実施形態において、15μm以上45μm以下、さらに別の実施形態において、20μm以上40μm以下とすることができる。
【0031】
<別の実施形態に係る車両用外装部品>
別の実施形態に係る車両用外装部品は、
図2に示す車両用外装部品200に、別のフィルムが設けられたものである。以下、一実施形態に係る車両用外装部品200と異なる部分について説明する。また、同一の構成には同一の符号が付与されており、共通する構成の説明は省略する。
【0032】
(外装部品の構造)
図3は、別の実施形態に係る車両用外装部品の断面図であり、
図2(A)に示すような車両用外装部品の背面図のA-A’断面図に相当する。特に、
図3は、
図2(B)に示す車両用外装部品200において、さらに別のフィルム320が設けられたものである。別の実施形態に係る車両用外装部品300は、基材210と、基材210の全体を覆って貼着されているフィルム220と、フィルム220の全体を覆って貼着されている別のフィルム320と、を備えている。また、車両用外装部品300は、基材210と、フィルム220との間の接着層230に加えて、フィルム220と、別のフィルム320との間に接着層330を備えることができる。
【0033】
図3に示す別の実施形態において、別のフィルムが1層設けられているが、車両用外装部品300は、フィルムと接着層とをさらに積層させることもできる。このように、車両用外装部品が複層フィルムを有していると、最外層のフィルムが劣化した場合、そのフィルム全体を剥がすことができ、さらに、複層フィルムの各フィルムが装飾されている場合、最外層のフィルムを剥がすことで、車両用外装部品の装飾や色彩等を維持または変更することができる。
【0034】
(フィルム)
図3に示すように、別のフィルム320は、フィルム220の全体を覆って貼着されている。また、別のフィルム320の素材も、開口部を有する袋形状を有しおり、別のフィルム320は、閉部321を有している。
【0035】
別のフィルムの閉部
別のフィルム320における閉部321は、特に限定されるものでないが、フィルム220と同様に、裏面102、または側面103に位置するように設けることができる。閉部321は、フィルム320の素材の開口部を閉じた際に形成されるものであるため、シワ等の微小な凹凸を有しているが、裏面102や側面103に、そのような微小な凹凸を配置でき、外観意匠性を維持できる。一実施形態において、閉部321は、基材210の面と面とが交差する縁に位置するように設けることができ、別の実施形態において、端縁に位置するように設けることができる。例えば、
図3に示すように、閉部321は、基材210の裏面102側の端縁212に沿って設けることができる。これにより、車両の外装部品の美観をより良好に維持することができる。
【0036】
また、
図3に示すように、別のフィルム320の閉部321は、基材210に対して、フィルム220の閉部221と異なる位置に設けることできる。閉部321における浮きが抑制され、車両の外装部品の美観をより良好に維持することができる。また、車両用外装部品300が、フィルムと接着層とをさらに積層させる場合、フィルムの閉部は、隣接する基材側のフィルム(下層のフィルム)の閉部と異なる位置に設けることできる。
【0037】
フィルムの切り取り線
図3に示されるように、フィルム320は、フィルムを切り開き、それの剥離を可能にする切り取り線322を備えることができる。複層フィルムの各フィルムが装飾されている場合、最外層のフィルムを剥がすことで、車両用外装部品の装飾や色彩等を維持または変更することができる。
【0038】
また、フィルムの切り取り線322は、特に限定されるものでないが、外装部品の美観の観点から、フィルム220と同様に、裏面102、または側面103に位置するように設けることができる。一実施形態において、フィルムの切り取り線322は、基材210の面と面とが交差する縁に位置するように設けることができ、別の実施形態において、基材210の端縁211、212に位置するように設けることができる。例えば、例えば、
図3に示すように、フィルムの切り取り線322は、基材210の裏面102側の端縁212に沿って設けることができる。これにより、車両の外装部品の美観をより良好に維持することができる。
【0039】
また、車両用外装部品300が、フィルムと接着層とをさらに積層させる場合、フィルムの切り取り線は、隣接する基材側のフィルム(下層のフィルム)の切り取り線と異なる位置に設けることできる。例えば、フィルムの切り取り線が、隣接するフィルム間で、裏面102の端縁212中で最も離れた端縁212にそれぞれを設けられるとよい。これにより、フィルムを切り開いてフィルムを剥離させる際に、下層のフィルムの剥離を抑制することができる。また、フィルムが、2以上の複数のフィルムが積層されている複層フィルムである場合、切り取り線は、例えば最外層のフィルムと下層のフィルムとで異なる位置に設けることができる。
【0040】
また、フィルムの切り取り線322は、フィルムを切り開き、それの剥離を可能にすることができれば、特に限定されるものでないが、点線、破線、実線等の線のほか、文字、記号等で形成することができる。
【0041】
フィルムの材料等
フィルム320の材料、フィルム320の厚さ等は、フィルム220と同様のものを使用することができる。
【0042】
他の層
フィルム320に含まれる他の層は、フィルム220と同様のものを使用することができる。
【0043】
(接着層)
接着層330の材料、接着層330の厚さ等は、接着層230と同様のものを使用することができる。
【0044】
<一実施形態に係る車両用外装部品の製造方法>
一実施形態に係る車両用外装部品の製造方法は、基材の全体を、開口部を有する袋形状のフィルムの素材内に配置する配置工程と、フィルムの素材を緩衝材上に配置し、開口部を介して、フィルムの素材内から気体を排出して、フィルムの素材を前記基材に貼着する貼着工程と、を備える。これにより、周囲環境等に対する耐性が向上した車両用外装部品を得ることができる。さらに、本実施形態に係る車両用外装部品の製造方法は、貼着工程において、開口部が基材の端縁に沿って閉じられる。これにより、開口部が閉じられることによって形成されるシワ等の微小な凹凸が基材の端縁に位置するため、車両用外装部品の美観を良好に維持することができる。本実施形態に係る車両用外装部品の製造方法について、
図4から6を参照して説明する。
図4から6は、フィルムの素材と基材の断面図を示しており、
図2(B)に示す基材の断面に相当する断面図である。
【0045】
(基材をフィルムの素材に配置する配置工程)
図4は、フィルムの素材内に配置された基材の概略図を示す。
図4は、フィルムの素材と基材の断面図であり、
図2(B)に示す基材の断面に相当する断面の図である。
図4に示すように、基材210は、フィルムの素材220a内に配置される。
【0046】
基材
基材210は、<本実施形態に係る車両用外装部品>で説明した材料および厚さのものを使用して、車両の外装部品に応じた形状とするように、射出成形、RIM成形、押し出し成形、ラミネート成形、切削加工、打ち抜き加工によって形成することができる。
【0047】
フィルムの素材
フィルムの素材220aは、開口部221aを有する袋形状を有しており、基材210は、開口部221aを介してフィルムの素材220a内に配置され得る。また、フィルムの素材220aは、<本実施形態に係る車両用外装部品>で説明した材料のフィルムを袋形状としたものである。
【0048】
フィルムの素材220aの開口部221aの寸法は、特に限定されるものでなく、基材210の全てをフィルムの素材220a内に入れることができる大きさであればよく、つまり、基材210の最大寸法以上の大きさであればよい。
【0049】
また、開口部221aの数は、特に限定されるものでないが、フィルムの素材220a内からの気体を排出する観点から、一実施形態において、1以上、別の実施形態において、2以上、さらに別の実施形態において、3以上とすることができる。また、開口部221aの数は、外装部品の美観の観点から、一実施形態において、10以下、別の実施形態において、9以下、さらに別の実施形態において、8以下とすることができる。また、フィルムの素材220aが複数の開口部221aを有する場合、複数の開口部221aのうち少なくとも1つが、基材210の全てをフィルムの素材220a内に入れることができる大きさであればよい。
【0050】
接着層の形成
図4では、接着層230は、フィルムの素材220a上に設けられているが、基材210上に設けてもよい。また、接着層230は、フィルムの素材220a内に、基材210を配置する前にフィルムの素材220aに設けても、フィルムの素材220a内に、基材210を配置した後にフィルムの素材220aに設けても、フィルムの素材220a内に、基材210を配置する前に基材210に設けても、フィルムの素材220a内に、基材210を配置した後に基材210に設けてもよい。
【0051】
接着層の形成方法は、特に限定されるものでなく、接着層を形成する粘着剤組成物をスプレーにより塗布する方法が例示される。また、接着層は、乾燥後の厚さが、<本実施形態に係る車両用外装部品>で説明した接着層の厚さになるよう塗布される。
【0052】
(フィルムの素材を緩衝材上に配置する配置工程)
図5は、緩衝材上に配置されたフィルムの素材の概略図を示す。
図5に示すように、基材210を内部に配置されたフィルムの素材220aは、緩衝材240上に配置される。緩衝材240は、フィルムの素材220aを基材210に貼着する際に、車両用外装部品の面(特に表面101)が、損傷しないように設けられる。さらに、緩衝材240は、フィルムの素材220aを基材210に貼着する際に、フィルム220が基材210上にシワ等の微小な凹凸が生じることなく、形成されるように設けられる。
【0053】
なお、フィルムの素材220aを緩衝材240上に配置される前に、開口部221aからフィルムの素材220a内の気体の一部を排気して、フィルムの素材220aにおける緩衝材240と接触する側の面を基材210と貼着させてもよい。これにより、フィルムの素材220aにおける緩衝材240と接触する側の面(表面)にシワ等の微小な凹凸が生じ難くなる。
【0054】
緩衝材
緩衝材240の材料は、車両用外装部品の損傷等を抑制することができるものであれば、特に限定されるものでなく、樹脂発泡体等とすることができる。例えば、緩衝材は、ポリウレタン樹脂発泡体、ポリオレフィン樹脂発泡体、シリコーン樹脂発泡体等が例示される。また、緩衝材240の寸法は、基材210を内部に配置されたフィルムの素材220aをその上に配置することができれば、特に限定されるものでなく、基材210を内部に配置されたフィルムの素材220aにおける緩衝材240と接触する側に面より大きくても小さくてもよい。また、緩衝材240の形状は、基材210を内部に配置されたフィルムの素材220aをその上に安定して配置することができれば、特に限定されるものでなく、直方体状、立方体状、球状等とすることができる。
【0055】
(フィルムの素材を基材に貼着する貼着工程)
図6は、一実施形態に係るフィルムの素材に貼着されている基材の概略図を示す。
図6に示すように、開口部221aを介して、フィルムの素材220a内から、矢印Aのように気体を排出する。気体の排出方法は、特に限定されるものでなく、一実施形態において、フィルムの素材220aにおける緩衝材240と接触する側と反対側の面を押圧部材250により押圧することによって、気体を排出することができる。この場合、フィルムの素材220aの前記反対側の面における、開口部221aから離れた部分から開口部221aに向かって、押圧部材250を押圧しながら移動させることで気体を排出することができる。別の実施形態において、開口部221aに真空ポンプ(図示せず)を接続して、気体を排出することができる。この場合、さらに、開口部221aから離れた部分から開口部221aに向かって、押圧部材250を押圧しながら移動させてもよい。また、フィルムの素材220aが基材210に貼着された後、フィルムの素材220aを加熱して基材210に密着させてもよい。
【0056】
押圧部材
押圧部材250の材料は、基材へ押圧できるものであれば、特に限定されるものでなく、緩衝材240と同じものを採用することができ、これにより基材の損傷が抑制される。また、押圧部材250の寸法は、基材210へのフィルムの素材220aを押圧する観点から、基材210より小さくすることができ、また基材210が凹凸等を有している場合、凹部の寸法と同等またはそれ以下とすることができ、凸部の間の寸法と同等またはそれ以下とすることができる。また、押圧部材250の形状は、特に限定されるものでなく、基材210へのフィルムの素材220aを押圧する観点から、直方体状、立方体状、球状、円筒状、円柱状等とすることができる。例えば、
図6に示すように、押圧部材250をロールとすることで、基材210へのフィルムの素材220aの貼り付けの作業性が向上する。
【0057】
図6に示すように、開口部221aを介して、フィルムの素材220a内から、矢印Aのように気体を排出することで、フィルムの素材220aが基材210に貼着する。フィルムの素材220aが基材210に貼着されると、
図2に示すような車両用外装部品200の構造となり、開口部221aは、基材210の端縁211、221に沿って閉じられ、閉部221となる。このような貼着方法により基材210に貼着したフィルム220における、シワ、ズレ、傾き等が抑制され、良好な美感を有する車両外装部品が得られ、さらに、フィルム220が基材210に良好に接着される。ただし、閉部221がフィルム220の表面から突出している場合は、フィルム220の表面と実質面一となるように切断等の処理をしてもよい。
【0058】
本実施形態に係る車両用外装部品の製造方法は、フィルムの切り取り線を形成する形成工程、および、車両用外装部品の開口に対応した開口をフィルムに形成する形成工程をさらに含むことができる。
【0059】
(フィルムの切り取り線の形成工程)
フィルム220上の切り取り線222は、フィルムの素材220aが基材210に貼着された後、形成され得る。フィルム220上の切り取り線222は、<本実施形態に係る車両用外装部品>で説明した形状および配置となるように形成することができる。切り取り線222の形成方法は、特に限定されるものでなく、ロールカッターや突き刺し針等の切断具などの機械的加工方法、レーザー光線等を用いた熱的加工方法等が使用されることができる。
【0060】
(フィルムに開口を形成する形成工程)
車両用外装部品は、開口を有する場合がある。例えば、
図1に示すアッパーカウル100は、その表面101および裏面102を貫通する開口104を有している。車両用外装部品が開口を有する場合、フィルムの素材220aが基材210に貼着された後で、フィルム220に切り取り線222が形成された後、またはフィルム220に切り取り線222が形成される前に、車両用外装部品の開口に対応した開口をフィルム220に形成することができる。
【0061】
フィルム220への開口の形成方法は、特に限定されるものでなく、カッターや突き刺し針等の切断具などの機械的加工方法、レーザー光線等を用いた熱的加工方法等が使用されることができる。また、その開口はフィルム220の閉部221となるため、<本実施形態に係る車両用外装部品>で説明した閉部221と同様の位置に設けることができる。つまり、開口の閉部も、基材210の裏面102側の端縁に沿って設けることができる。これにより、車両の外装部品の美観をより良好に維持することができる。また、閉部221がフィルム220の表面から突出している場合は、フィルム220の表面と実質面一となるように切断等の処理をしてもよい。
【0062】
<別の実施形態に係る車両用外装部品の製造方法>
別の実施形態に係る車両用外装部品の製造方法は、フィルムの素材を加熱して基材に貼着するものである。一実施形態に係る車両用外装部品の製造方法と異なる部分を中心に説明する。
【0063】
(基材をフィルムの素材に配置する配置工程)
図7は、フィルムの素材内に配置された基材の概略図を示す。
図7は、フィルムの素材と基材の断面図であり、
図2(B)に示す基材の断面に相当する断面の図である。基材210は、フィルムの素材220a内に配置される。基材210は、<本実施形態に係る車両用外装部品>で説明したもの使用することができる。また、フィルムの素材220a、および接着層230の形成方法は、<一実施形態に係る車両用外装部品の製造方法>で説明したもの使用することができる。
【0064】
また、フィルムの素材220aにおける緩衝材240と接触する側の面を加熱してもよい。加熱方法は、特に限定されるものでないが、熱風260による加熱方法や、ランプによる加熱方法とすることができる。加熱されたフィルムの素材220aの面は、収縮して基材210に貼着される。これにより、フィルムの素材220aにおける緩衝材240と接触する側の面(表面)にシワ等の微小な凹凸が生じ難くなる。
【0065】
(フィルムの素材を緩衝材上に配置する配置工程)
基材210を内部に配置されたフィルムの素材220aは、緩衝材240上に配置される。また、緩衝材240の材料、寸法、および形状は、<一実施形態に係る車両用外装部品の製造方法>で説明したもの使用することができる。
【0066】
(フィルムの素材を基材に貼着する貼着工程)
図8は、別の実施形態に係るフィルムの素材に貼着されている基材の概略図を示す。
図8に示すように、開口部221aを介して、フィルムの素材220a内から、矢印Aのように気体を排出する。気体の排出方法は、フィルムの素材220aにおける緩衝材240と接触する側と反対側の面を加熱することができる。これにより加熱されたフィルムの素材220aは、収縮して基材210に貼着される。加熱方法は、特に限定されるものでないが、熱風260による加熱方法や、ランプによる加熱方法とすることができる。
【0067】
図8に示すように、開口部221aを介して、フィルムの素材220a内から、矢印Aのように気体を排出することで、それと同時に、フィルムの素材220aが基材210に貼着する。フィルムの素材220aが基材210に貼着されると、
図2に示すような車両用外装部品200の構造となり、開口部221aは、閉部221となる。このような貼着方法により基材210に貼着したフィルム220に、シワ、ズレ、傾き等が抑制され、良好な美感を有する車両外装部品が得られ、さらに、フィルム220が基材210に良好に接着される。ただし、閉部221がフィルム220の表面から突出している場合は、フィルム220の表面と実質面一となるように切断等の処理をしてもよい。
【0068】
別の実施形態に係る車両用外装部品の製造方法は、<一実施形態に係る車両用外装部品の製造方法>で説明したフィルムに切り取り線を形成する形成工程、および、車両用外装部品の開口に対応した開口をフィルムに形成する形成工程をさらに含むことができる。
【0069】
<さらに別の実施形態に係る車両用外装部品の製造方法>
さらに別の実施形態に係る車両用外装部品の製造方法は、別のフィルムの素材をフィルムに貼着するものである。つまり、一実施形態に係る車両用外装部品の製造方法、および別の実施形態に係る車両用外装部品の製造方法が、別のフィルムの素材をフィルムに配置する配置工程をさらに含むものである。そのため、一実施形態に係る車両用外装部品の製造方法、および別の実施形態に係る車両用外装部品の製造方法に追加される、別のフィルムの素材をフィルムに配置する配置工程について説明する。
【0070】
なお、別のフィルムの素材をフィルムに配置する配置工程は、一実施形態に係る車両用外装部品の製造方法、および別の実施形態に係る車両用外装部品の製造方法における、(基材をフィルムの素材に配置する配置工程)、(フィルムの素材を緩衝材上に配置する貼着工程)、および(フィルムの素材を基材に貼着する貼着工程)における、「フィルムの素材」を「別のフィルムの素材」に、「基材」を「フィルム」に読み替えた工程と実質的に同等であるため、それらと異なる部分を中心に概要を説明する。
【0071】
(フィルムを別のフィルムの素材に配置する配置工程)
フィルム220およびフィルム220に貼着されている基材210が、別のフィルムの素材内に配置される。別のフィルムの素材は、<一実施形態に係る車両用外装部品の製造方法>で説明したもの使用することができ、開口部を有する袋形状を有している。
【0072】
接着層は、別のフィルムの素材上に設けても、フィルム220上に設けてもよい。また、接着層は、別のフィルムの素材内に、基材210およびフィルム220を配置する前に別のフィルムの素材に設けても、別のフィルムの素材内に、基材210およびフィルム220を配置した後に別のフィルムの素材に設けても、別のフィルムの素材220a内に、基材210およびフィルム220を配置する前にフィルム220に設けても、別のフィルムの素材内に、基材210およびフィルム220を配置した後にフィルム220に設けてもよい。接着層の形成方法は、<一実施形態に係る車両用外装部品の製造方法>で説明したもの使用することができる。
【0073】
また、別の実施形態に係る車両用外装部品の製造方法のように、フィルムの素材を加熱して基材に貼着する場合、別のフィルムの素材220aにおける緩衝材240と接触する側の面を加熱する。加熱方法は、<別の実施形態に係る車両用外装部品の製造方法>で説明したもの使用することができる。
【0074】
(別のフィルムの素材を緩衝材上に配置する配置工程)
基材210およびフィルム220を内部に配置された別のフィルムの素材は、緩衝材240上に配置される。緩衝材の材料、寸法、および形状は、<一実施形態に係る車両用外装部品の製造方法>で説明したもの使用することができる。
【0075】
(別のフィルムの素材をフィルムに貼着する貼着工程)
気体の排出方法は、<一実施形態に係る車両用外装部品の製造方法>で説明したもの、または<別の実施形態に係る車両用外装部品の製造方法>で説明したもの使用することができる。
【0076】
これにより、開口部221aを介して、別のフィルムの素材内から、気体を排出することで、別のフィルムの素材がフィルム220に貼着する。別のフィルムの素材がフィルム220に貼着されると、
図3に示すような車両用外装部品300の構造となり、開口部は、閉部321となる。ただし、開口部が別のフィルムの表面から突出している場合は、別のフィルムの表面と実質面一となるように切断等の処理をしてもよい。
【0077】
さらに別の実施形態に係る車両用外装部品の製造方法は、<一実施形態に係る車両用外装部品の製造方法>で説明したフィルムに切り取り線を形成する形成工程、および、車両用外装部品の開口に対応した開口をフィルムに形成する形成工程をさらに含むことができる。
【0078】
また、車両用外装部品の開口104に対応した開口を別のフィルムに形成する形成工程は、基材210にフィルム220を形成した後に、開口をフィルム220に形成し、フィルム220に別のフィルムを形成した後に、開口を別のフィルムに順次形成してもよく、または基材210にフィルム220、次に、別のフィルムを形成した後に、開口をフィルム220と別のフィルムに同時に形成してもよい。
【0079】
<実施形態のまとめ>
上記実施形態は、少なくとも以下の車両用外装部品および車両用外装部品の製造方法を開示する。
【0080】
1.上記実施形態の車両用外装部品(100、200、300)は、
基材(210)と、
前記基材(210)の全体を覆って貼着されているフィルム(220)と、を備え、
前記フィルムの素材(210a)は、開口部(221a)を有する袋形状を有し、
前記開口部(221a)は、前記基材(210)の端縁(211、221)に沿って閉じられている。
この実施形態によれば、雨、粉塵、洗車用洗剤等から十分保護され、優れた耐性を有するとともに、車両の外装部品の美観をより良好に維持することができるものとすることができる。
【0081】
2.上記実施形態では、
前記フィルム(220)は、前記フィルム(220)の剥離を可能にする切り取り線(222)を備えている。
この実施形態によれば、車両用外装部品の装飾や色彩等を変更することができる。
【0082】
3.上記実施形態では、
前記フィルム(220)は、複数のフィルム(220、320)が積層されている複層フィルムである。
この実施形態によれば、車両用外装部品の装飾や色彩等を変更することができる。
【0083】
4.上記実施形態では、
前記複層フィルムの各フィルム(220、320)は、前記フィルム(220、320)の剥離を可能にする切り取り線(222、322)を備え、前記切り取り線(222、322)は、隣接するフィルム間で異なる位置に設けられている。
この実施形態によれば、フィルムを切り開いてフィルムを剥離させる際に、下層のフィルムの剥離を抑制することができる。
【0084】
5.上記実施形態では、
前記基材(210)は、塗膜を有さない。
この実施形態によれば、基材を容易に再利用することができ、省資源に寄与することができる。
【0085】
6.上記実施形態では、
前記基材(210)は、鞍乗り型車両のアッパーカウルである。
この実施形態によれば、美観の優れた車両を得ることができる。また、車両用外装部品が鞍乗り型車両のフロントのアッパーカウルの場合は、裏面が乗員から見えるが、開口部を基材の端縁に沿って閉じているので、外側の意匠面と、裏側の面において、シワやフィルムの端部が視認し難くすることができる。
【0086】
7.上記実施形態の車両用外装部品の製造方法は、
基材(210)の全体を、開口部(221a)を有する袋形状のフィルムの素材(220a)内に配置する配置工程と、
前記フィルムの素材(220a)を緩衝材(240)上に配置し、前記開口部(221a)を介して、前記フィルムの素材(220a)内から気体を排出して、前記フィルムの素材(220a)を前記基材(210)に貼着する貼着工程と、
を備え、
前記貼着工程において、前記開口部(221a)が前記基材(210)の端縁(211、221)に沿って閉じられる。
この実施形態によれば、雨、粉塵、洗車用洗剤等から十分保護され、優れた耐性を有するとともに、車両の外装部品の美観をより良好に維持することができる。
【0087】
8.上記実施形態では、
前記貼着工程後に、前記基材(210)に貼着しているフィルム(220)の全体を、開口部(221a)を有する袋形状の別のフィルムの素材内に配置する配置工程と、
前記別のフィルムの素材を緩衝材(240)上に配置し、前記開口部を介して、前記別のフィルム内から気体を排出して、前記別のフィルムの素材を前記フィルム(220)に貼着する貼着工程と、
をさらに備える。
この実施形態によれば、車両用外装部品の装飾や色彩等を変更することができるものを得ることができる。
【0088】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態に係る車両用外装部品として、鞍乗り型車両のアッパーカバーを例示したが、車両用外装部品は、表面および裏面(外側および内側)が乗員等から視認される部位に用いるサイドカウルや、鞍乗り型車両以外の三輪や四輪バギー等のフロント周り等とすることもできる。
【符号の説明】
【0089】
100、200、300 車両用外装部品、101 表面、102 裏面、103 側面、210 基材、211、212 端縁、220、320 フィルム、220a フィルムの素材、221、321 閉部、221a 開口部、222、322 切り取り線、230、330 接着層、240緩衝材、250 ロール、260 熱風