(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131826
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ガス検知器及びネットワーク構築方法
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H04Q9/00 321D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042302
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】東 慎士
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 信二
(72)【発明者】
【氏名】八束 大地
(72)【発明者】
【氏名】吉田 一貴
(72)【発明者】
【氏名】城井 哲史
(72)【発明者】
【氏名】宮岡 環
【テーマコード(参考)】
5K048
【Fターム(参考)】
5K048BA21
5K048BA34
5K048DA07
5K048DC01
5K048EB10
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA03
(57)【要約】
【課題】ガス検知器が広域な爆発性雰囲気下の区画内に存在する場合でも、爆発性雰囲気外の区画に存在する通信機器にガス検知器による所定ガスの検出結果をより確実に通信することができるガス検知器及びネットワーク構築方法を提供する。
【解決手段】ガス検知器(30)は、爆発性雰囲気下の区画で使用可能であって、センサ部(SM)と、報知部(31H)と、通信部(31T)と、制御部(31C)と、を備える。制御部(31C)は、通信部(31T)が、爆発性雰囲気下の区画で使用される他のガス検知器による所定の検出結果である第2検出結果を受信したか否かについて判別する判別処理と、判別処理において、第2検出結果を受信したことを判別した場合、通信部(31T)を介して受信した第2検出結果を、爆発性雰囲気外の区画に存在する通信機器に送信する送信処理と、を実行する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定ガスを検出するためのセンサ部と、
前記センサ部の第1検出結果を外部に報知する報知部と、
他の通信機器との間でデータを通信する通信部と、
制御部と、を備える、爆発性雰囲気下の区画で使用可能なガス検知器であって、
前記制御部は、
前記通信部が、前記爆発性雰囲気下の区画で使用される他のガス検知器による所定の検出結果である第2検出結果を受信したか否かについて判別する判別処理と、
前記判別処理において、前記第2検出結果を受信したことを判別した場合、前記通信部を介して受信した前記第2検出結果を、爆発性雰囲気外の区画に存在する通信機器に送信する送信処理と、を実行する、ガス検知器。
【請求項2】
複数のガス検知器を含む、爆発性雰囲気下の区画と爆発性雰囲気外の区画との間でネットワークを構築するネットワーク構築方法であって、
前記爆発性雰囲気下の区画で使用される第1ガス検知器と第2ガス検知器とを通信可能に設定する第1処理工程と、
前記第2ガス検知器と前記爆発性雰囲気外の区画で使用される第3ガス検知器とを通信可能に設定する第2処理工程と、を含む、ネットワーク構築方法。
【請求項3】
複数のガス検知器を含む、爆発性雰囲気下の区画と爆発性雰囲気外の区画との間でネットワークを構築するネットワーク構築方法であって、
前記爆発性雰囲気下の区画で使用される複数のガス検知器が前記爆発性雰囲気下の区画内で通信可能となっており、前記爆発性雰囲気下の区画内において前記複数のガス検知器の内の少なくとも1つのガス検知器は前記複数のガス検知器の自機以外のガス検知器と通信可能であり、
前記爆発性雰囲気下の区画で使用される前記複数のガス検知器の内の少なくとも1つのガス検知器と、前記爆発性雰囲気外の区画で使用される第3ガス検知器とを通信可能に設定する処理工程と、を含む、ネットワーク構築方法。
【請求項4】
前記第3ガス検知器は、制御部と、他のガス検知器から受信した受信情報を報知する報知手段をさらに備え、
前記制御部は、
前記他のガス検知器が前記爆発性雰囲気下の区画で使用されるガス検知器かを判別する判別処理、を実行する、請求項2または3に記載のネットワーク構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガス検知器及びこれを用いたネットワーク構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス検知システムには、モバイルガス検知器と、モバイルガス検知器から送られるガス検出データを受信する受信管理部との間で通信を行うものが知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のガス検知システムでは、爆発性雰囲気下の区画で使用されるガス検知器による所定ガスの検出結果を爆発性雰囲気外の区画に存在する通信機器に送信することが困難となることがあった。特に、爆発性雰囲気下の区画が広い場合、爆発性雰囲気下に存在するガス検知器と、爆発性雰囲気外の区画に存在する通信機器との距離が遠く、電波が届かなかったり、当該ガス検知器からの検出結果を正確に受信できなかったりするなど、当該ガス検知器との通信自体を行えないことがあり、広域なネットワークを構築することが難しかった。
【0005】
本開示は、ガス検知器が広域な爆発性雰囲気下の区画内に存在する場合でも、爆発性雰囲気外の区画に存在する通信機器にガス検知器による所定ガスの検出結果をより確実に通信することができるガス検知器及びネットワーク構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の第1態様のガス検知器は、所定ガスを検出するためのセンサ部と、前記センサ部の第1検出結果を外部に報知する報知部と、他の通信機器との間でデータを通信する通信部と、制御部と、を備える、爆発性雰囲気下の区画で使用可能なガス検知器であって、前記制御部は、前記通信部が、前記爆発性雰囲気下の区画で使用される他のガス検知器による所定の検出結果である第2検出結果を受信したか否かについて判別する判別処理と、前記判別処理において、前記第2検出結果を受信したことを判別した場合、前記通信部を介して受信した前記第2検出結果を、爆発性雰囲気外の区画に存在する通信機器に送信する送信処理と、を実行する。
【0007】
上記構成によれば、爆発性雰囲気下の区画で使用可能なガス検知器において、その制御部は、判別処理により、爆発性雰囲気下の区画で使用される他のガス検知器からの第2検出結果を受信したことを判別した場合、通信部を介して受信した第2検出結果を爆発性雰囲気外の区画に存在する通信機器に送信する送信処理を実行する。これにより、ガス検知器が広域な爆発性雰囲気下の区画内に存在する場合でも、爆発性雰囲気外の区画に存在する通信機器にガス検知器による所定ガスの検出結果をより確実に通信することができる。
【0008】
本開示の第2態様のネットワーク構築方法は、複数のガス検知器を含む、爆発性雰囲気下の区画と爆発性雰囲気外の区画との間でネットワークを構築するネットワーク構築方法であって、前記爆発性雰囲気下の区画で使用される第1ガス検知器と第2ガス検知器とを通信可能に設定する第1処理工程と、前記第2ガス検知器と前記爆発性雰囲気外の区画で使用される第3ガス検知器とを通信可能に設定する第2処理工程と、を含む。
【0009】
上記構成によれば、第1処理工程により、爆発性雰囲気下の区画で使用される第1ガス検知器と第2ガス検知器とを通信可能とする。第2処理工程により、第2ガス検知器と爆発性雰囲気外の区画で使用される第3ガス検知器とを通信可能とする。これにより、第3ガス検知器は、第1ガス検知器または第2ガス検知器の少なくとも一方との間で通信することができる。この結果、第1ガス検知器または第2ガス検知器が広域な爆発性雰囲気下の区画内に存在する場合でも、爆発性雰囲気外の区画に存在する第3ガス検知器に第1ガス検知器または第2ガス検知器による所定ガスの検出結果をより確実に通信することができる。
【0010】
本開示の第3態様のネットワーク構築方法は、複数のガス検知器を含む、爆発性雰囲気下の区画と爆発性雰囲気外の区画との間でネットワークを構築するネットワーク構築方法であって、前記爆発性雰囲気下の区画で使用される複数のガス検知器が前記爆発性雰囲気下の区画内で通信可能となっており、前記爆発性雰囲気下の区画内において前記複数のガス検知器の内の少なくとも1つのガス検知器は前記複数のガス検知器の自機以外のガス検知器と通信可能であり、前記爆発性雰囲気下の区画で使用される前記複数のガス検知器の内の少なくとも1つのガス検知器と、前記爆発性雰囲気外の区画で使用される第3ガス検知器とを通信可能に設定する処理工程と、を含む。
【0011】
上記構成によれば、処理工程により、爆発性雰囲気下の区画で使用される少なくとも1つのガス検知器と、爆発性雰囲気外の区画で使用される第3ガス検知器とを通信可能とする。これにより、第3ガス検知器は、少なくとも1つのガス検知器との間で通信することができる。この結果、少なくとも1つのガス検知器が広域な爆発性雰囲気下の区画内に存在する場合でも、爆発性雰囲気外の区画に存在する第3ガス検知器に少なくとも1つのガス検知器による所定ガスの検出結果をより確実に通信することができる。
【0012】
本開示の第4態様のネットワーク構築方法は、第2態様または第3態様のネットワーク構築方法において、前記第3ガス検知器は、制御部と、他のガス検知器から受信した受信情報を報知する報知手段をさらに備え、前記制御部は、前記他のガス検知器が前記爆発性雰囲気下の区画で使用されるガス検知器かを判別する判別処理、を実行する。
【0013】
上記構成によれば、第3ガス検知器は、爆発性雰囲気下の区画に配置されている他のガス検知器からの受信情報を報知することができる。これにより、他のガス検知器が広域な爆発性雰囲気下の区画内に存在する場合でも、爆発性雰囲気外の区画に存在する第3ガス検知器に他のガス検知器による所定ガスの検出結果をより確実に通信することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示の一態様によれば、ガス検知器が広域な爆発性雰囲気下の区画内に存在する場合でも、爆発性雰囲気外の区画に存在する通信機器にガス検知器による所定ガスの検出結果をより確実に通信することができるガス検知器及びネットワーク構築方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の一実施形態に係るガス検知器を用いたガス検知システムを説明する図である。
【
図2】
図1に示したガス検知器を示す平面図である。
【
図3】
図1に示したガス検知器の電気的な構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図1に示したガス検知器の動作例を示すフローチャートである。
【
図5】
図1に示したガス検知システムでのネットワーク構築方法の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図1に示したガス検知システムでのネットワーク構築方法の処理の別の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔一実施形態〕
<ガス検知システム>
以下、本開示の一実施形態のガス検知器10、20、及び30及びこれらを用いたガス検知システム100について
図1~
図3を用いて具体的に説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係るガス検知器10、20、及び30を用いたガス検知システム100を説明する図である。
図2は、
図1に示したガス検知器10、20、及び30を示す平面図である。
図3は、
図1に示したガス検知器30の電気的な構成を示す機能ブロック図である。
【0017】
なお、以下の説明では、通信ネットワークとして、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信を用いたメッシュネットワークを用いて実現したガス検知システム100を例示して説明する。また、ガス検知システム100では、上記通信ネットワークでのノード、リレーノード、及びプロキシノードとして、複数のガス検知器が用いられる。
【0018】
具体的にいえば、ガス検知システム100には、
図1に示すように、複数、例えば、7つのガス検知器10a、10b、10c、10d、10e、10f、及び10g(以下、“10”で総称する。)と、複数、例えば、3つのガス検知器20a、20b、及び20c(以下、“20”で総称する。)と、例えば、1つのガス検知器30とが設けられている。そして、ガス検知システム100において、ガス検知器10、20、及び30は、それぞれ上記通信ネットワークでのノード、リレーノード、及びプロキシノードを構成している。
【0019】
より詳細にいえば、ガス検知システム100では、
図1に両矢印にて示すように、ガス検知器20aは、ガス検知器10a、10b、及び10cとガス検知器20bとの各間で双方向のデータ通信を行うよう構成されている。また、ガス検知器20bは、ガス検知器10d及び10eとガス検知器20aとガス検知器30との各間で双方向のデータ通信を行うよう構成されている。また、ガス検知器20cは、ガス検知器10f及び10gとガス検知器30との各間で双方向のデータ通信を行うよう構成されている。なお、この説明以外に、ガス検知器20aが、ガス検知器30との間において、直接的に双方向のデータ通信を行う構成でもよい。
【0020】
また、ガス検知システム100では、ガス検知器30は、例えば、GATT(Generic Attribute Profile)通信を用いて、タブレットやスマートフォンなどの携帯情報端末MTとの間で双方向のデータ通信を行う。これにより、ガス検知システム100では、携帯情報端末MTに対するユーザーの指示が当該携帯情報端末MTからガス検知器30、20、及び10に伝達可能に構成されている。また、携帯情報端末MTは、ガス検知器10、20、及び30からの各検出結果などの所定情報を取得可能に構成されている。
【0021】
さらに、ガス検知システム100では、携帯情報端末MTは、例えば、メール通信などを用いて、サーバー、例えば、クラウドCLとの間で双方向のデータ通信を行うよう構成されている。そして、携帯情報端末MTは、ユーザーの操作指示に応じて、取得した所定情報(例えば、ガス検出器10、20、または30の位置情報やその検出結果に含まれるガス濃度情報など)をクラウドCLに保存させたり、クラウドCLに保存されている情報を読み出したりする。
【0022】
また、ガス検知システム100では、ガス検知器10及び20は、爆発性雰囲気下の区画BA内に存在している。また、ガス検知器30、携帯情報端末MT、及びクラウドCLは、爆発性雰囲気外の区画NBA内に存在している。なお、ここでいう爆発性雰囲気とは、該当区画内の雰囲気において、爆発を生じる可能性がある雰囲気であることを示している。換言すれば、爆発を発生し得る、ガス濃度以上の可燃性ガスを含む雰囲気をいう。また、爆発性雰囲気下の区画BAとは、爆発性雰囲気が発生する可能性がある区画を含み、例えば、防爆構造規格(例えば、国際規格「IEC 60079-0:2017」及び「IEC 60079-1:2014」)において爆発性雰囲気が発生する頻度や時間に応じて分類されているいずれの区画を含むものであってもよい。
【0023】
<ガス検知器>
本実施形態のガス検知器10は、
図2の201に示すように、例えば、四角形状に構成された本体部11を備える。本体部11は、例えば、合成樹脂製の箱体を有しており、当該箱体は作業者等のユーザーの手で持ち運び可能に構成されている。換言すれば、ガス検知器10は、携帯可能なモバイル端末として機能するようになっている。
【0024】
また、ガス検知器10においては、例えば、1つのセンサ部SMを設置するための設置領域12が、例えば、本体部11の正面側に設けられている。この設置領域12には、例えば、円形状に開口された開口部を備える、スロット12aが設けられている。そして、ガス検知器10では、センサ部SMがスロット12aに着脱可能に取り付けられている。
【0025】
また、ガス検知器10においては、音声出力部13が、例えば、本体部11の正面側に設けられている。音声出力部13は、スピーカなどを含んでおり、センサ部SMの第1検出結果を外部に報知する報知部を構成している。また、本体部11には、ガス検知器10に所望の動作を行わせるために、電源ボタンなどのユーザーからの操作を受け付ける操作受付部が設けられている(図示せず)。
【0026】
同様に、本実施形態のガス検知器20は、
図2の202に示すように、例えば、四角形状に構成された本体部21を備える。本体部21は、例えば、合成樹脂製の箱体を有しており、当該箱体は作業者等のユーザーの手で持ち運び可能に構成されている。換言すれば、ガス検知器20は、携帯可能なモバイル端末として機能するようになっている。
【0027】
また、ガス検知器20においては、例えば、2つのセンサ部SMを設置するための設置領域22が、例えば、本体部21の正面側に設けられている。この設置領域22には、例えば、円形状に各々開口された開口部を備える、スロット22a及び22bが設けられている。そして、ガス検知器20では、2つのセンサ部SMがそれぞれスロット22a及び22bに着脱可能に取り付けられている。
【0028】
また、ガス検知器20においては、音声出力部23が、例えば、本体部21の正面側に設けられている。音声出力部23は、スピーカなどを含んでおり、センサ部SMの第1検出結果を外部に報知する報知部を構成している。また、本体部21には、ガス検知器20に所望の動作を行わせるために、電源ボタンなどのユーザーからの操作を受け付ける操作受付部が設けられている(図示せず)。
【0029】
また、ガス検知器20においては、表示部24が、例えば、本体部21の正面側に設けられている。表示部24は、例えば、液晶ディスプレイパネルを用いて構成されており、センサ部SMの第1検出結果を外部に報知する報知部を構成している。なお、この説明以外に、表示部24に対して、タッチパネル機能を付与して、当該表示部24を操作受付部としてもよい。
【0030】
同様に、本実施形態のガス検知器30は、
図2の203に示すように、例えば、四角形状に構成された本体部31を備える。本体部31は、例えば、合成樹脂製の箱体を有しており、当該箱体は作業者等のユーザーの手で持ち運び可能に構成されている。換言すれば、ガス検知器30は、携帯可能なモバイル端末として機能するようになっている。
【0031】
また、ガス検知器30においては、例えば、5つのセンサ部SMを設置するための設置領域32が、例えば、本体部31の正面側に設けられている。この設置領域32には、例えば、円形状に各々開口された開口部を備える、スロット32a、32b、32c、32d、及び32eが設けられている。そして、ガス検知器30では、5つのセンサ部SMがそれぞれスロット32a、32b、32c、32d、及び32eに着脱可能に取り付けられている。
【0032】
また、ガス検知器30においては、音声出力部33が、例えば、本体部31の正面側に設けられている。音声出力部33は、スピーカなどを含んでおり、センサ部SMの第1検出結果を外部に報知する報知部を構成している。また、本体部31には、ガス検知器30に所望の動作を行わせるために、電源ボタンなどのユーザーからの操作を受け付ける操作受付部が設けられている(図示せず)。
【0033】
また、ガス検知器30においては、表示部34が、例えば、本体部31の正面側に設けられている。表示部34は、例えば、液晶ディスプレイパネルを用いて構成されており、センサ部SMの第1検出結果を外部に報知する報知部を構成している。なお、この説明以外に、表示部34に対して、タッチパネル機能を付与して、当該表示部34を操作受付部としてもよい。
【0034】
また、ガス検知器10、20、及び30は、上記爆発性雰囲気下の区画で使用可能なガス検知器である。具体的にいえば、これらの各ガス検知器10、20、及び30は、例えば、防爆構造規格(例えば、国際規格「IEC 60079-0:2017」及び「IEC 60079-1:2014」)に適合する構造体に構成されている。換言すれば、各ガス検知器10、20、及び30は、爆発性雰囲気下の区画内で所定ガスを検出可能であるとともに、たとえ、当該区画内でガス爆発が生じたとしても損傷の発生を極力抑制して動作を維持できたり、自機が着火源にならず爆発を防止したりするように構成されている。
【0035】
<ガス検知器の電気的な構成>
次に、
図3を参照して、ガス検知器10、20、及び30の電気的な構成について具体的に説明する。なお、以下の説明では、センサ部SMの設置数と表示部の設置有無が異なる、ガス検知器10、20、及び30において、ガス検知器30の電気的な構成を例示して説明する。
【0036】
図3に示すように、ガス検知器30は、センサ部SMと、本体部31と、を備える。ガス検知器30においては、
図2の203に示すように、5つのセンサ部SMが設けられている。各センサ部SMは、ガス検知器10及び20と共用可能であって、所定ガスを検出するためのガスセンサモジュールとしてモジュール化されたものである。具体的にいえば、センサ部SMは、例えば、定電位電解式センサ、NDIR(Non-Dispersive Infrared)センサ、接触燃焼式センサ、半導体式センサ、またはMEMS(Micro Electro Mechanical System)型のセンサエレメントを含んでいる。また、センサ部SMは、上記センサエレメントでのセンシング形式等に応じて、所定ガスとして、例えば、メタンガス、水素ガス、二酸化炭素ガス、酸素ガス、一酸化炭素ガス、硫化水素ガス、二酸化硫黄ガス、塩素ガス、またはアンモニアガスのいずれかを検出するよう構成されている。また、センサ部SMは、所定ガスの検出結果について、当該センサ部SMに予め記憶されている校正データを用いた所定演算部を施す演算部を備えており、所定演算結果をガス検知器30に対して送信可能となるように構成されている。センサ部SMがこのように構成されていることで、ガス検知器31では、センサ部SMの交換作業を容易に行うことができる。
【0037】
なお、例えば、ガス検知器30において、5つのセンサ部SMのうち、2つのセンサ部SMを用いて、同一種類の所定ガスを検出してもよいし、互いに異なる種類の所定ガスを検出してもよい(ガス検知器20においても同様。)。
【0038】
また、ガス検知器30においては、本体部31は、制御部31Cと、通信部31Tと、報知部31Hと、を備えており、当該本体部31に着脱可能なセンサ部SMと互いに独立して構成されている。報知部31Hは、上述したように、表示部34と、音声出力部33と、を含んでいる。
【0039】
制御部31Cは、例えば、CPU、MCU(Micro Controller Unit)、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを含んで構成されている。また、制御部31Cには、所定の制御プログラムを保持した記憶部(図示せず)を備えており、当該制御プログラムに従って、ガス検知器30の各部の制御を行う。制御部31Cは、センサ部SMから受信した所定演算結果を上記第1検出結果として報知部31Hに報知させる。
【0040】
通信部31Tは、例えば、I/Oポート(入出力回路)を備えた通信インターフェース部を含み、センサ部SMのセンシング形式によらず共通の構造となるよう構成されている。通信部31Tは、制御部31Cからの指示に従って、上記第1検出結果などのセンサ部SMの検出結果を外部に送信する。なお、ガス検知器30においては、通信部31Tを操作受付部として機能させることもできる。換言すれば、ガス検知器30に対して、携帯情報端末MCからユーザーの指示を含んだ指示データを操作受付部としての通信部31Tによって受信して、制御部31Cが当該指示データを基にガス検知器30の各部を制御してもよい(ガス検知器10及び20においても同様。)。
【0041】
<ガス検知器の動作例>
次に、
図4も参照して、本実施形態のガス検知器の動作例について具体的に説明する。
図4は、
図1に示したガス検知器20bの動作例を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、ガス検知器10、20、及び30のうち、ガス検知器20bの動作を例示して説明する。
【0042】
図4のステップS1に示すように、本実施形態のガス検知器20bにおいては、その制御部は通信部が上記爆発性雰囲気下の区画BAで使用される他のガス検知器による所定の検出結果である第2検出結果を受信したか否かについて判別する判別処理を実行する。具体的にいえば、ガス検知器20bにおいては、ガス検知器10d、10e、または20aから、そのセンサ部SMの所定の検出結果である第2検出結果を受信したか否かについて判別される。換言すれば、この判別処理は、ガス検知器20bにおいて、その制御部がガス検知器10d、10e、または20aなどの他のガス検知器からのデータが通信部によって受信されて、その受信データにガス検出結果(第2検出結果)のデータが含まれていることを認識したときに実行される。そして、ガス検知器20bにおいて、第2検出結果を受信していないことを判別した場合(S1でNO)、ガス検知器20bは待機状態となる。
【0043】
次に、ステップS2に示すように、本実施形態のガス検知器20bにおいては、その制御部が上記判別処理において第2検出結果を受信したことを判別した場合(S1でYES)、制御部は通信部を介して受信した第2検出結果を、爆発性雰囲気外の区画NBAに存在する通信機器としての、ガス検知器30に送信する送信処理を実行する。また、ガス検知器20bは、ガス検知器30を介して携帯情報端末MTやクラウドCLなどの爆発性雰囲気外の区画NBAに存在する通信機器に受信した第2検出結果を送信してもよい。
【0044】
なお、上記の説明では、ガス検知器20bがガス検知器10d、10e、または20aからの第2検出結果をガス検知器30に送信する場合について説明した。しかしながら、本開示はこれに限定されない。例えば、ガス検知器20aにおいて、ガス検知器10a、10b、または10cからの第2検出結果を受信した場合、ガス検知器20aは、ガス検知器20bに第2検出結果を送信し、ガス検知器20bは受信した第2検出結果をガス検知器30に送信する。
【0045】
<ガス検知システムの動作例>
次に、
図5及び
図6も参照して、本実施形態のガス検知システム100の動作例について具体的に説明する。
図5は、
図1に示したガス検知システム100でのネットワーク構築方法の処理の一例を示すフローチャートである。
図6は、
図1に示したガス検知システムでのネットワーク構築方法の処理の別の一例を示すフローチャートである。
【0046】
図5のステップS11に示すように、本実施形態のガス検知システム100では、爆発性雰囲気下の区画BAで使用される第1ガス検知器と第2ガス検知器とを通信可能に設定する第1処理工程が実行される。具体的にいえば、ガス検知システム100では、まず例えば、第1ガス検知器としてのガス検知器10fと、第2ガス検知器としてのガス検知器20cとを通信可能に設定する第1処理工程が行われる。
【0047】
次に、ステップS12に示すように、本実施形態のガス検知システム100では、第2ガス検知器と爆発性雰囲気外の区画NBAで使用される第3ガス検知器とを通信可能に設定する第2処理工程が実行される。具体的にいえば、ガス検知システム100では、例えば、第2ガス検知器としてのガス検知器20cと、第3ガス検知器としてのガス検知器30とを通信可能に設定する第2処理工程が行われる。
【0048】
なお、ステップS11に示される第1処理工程で行われる通信設定と、ステップS12に示される第2処理工程で行われる通信設定とに、特段違いを設ける必要はない。具体的には、通信設定をする際に、例えば、ガス検知器10f、ガス検知器20c及びガス検知器30に対して、各々の役割を割り当て、同一グループであるという設定を行っている。
【0049】
また、上記の説明以外に、上記第1処理工程と第2処理工程とが同時に行われてもよいし、別々のタイミングで行われてもよく、更には、第1処理工程と第2処理工程との順序を逆の順序とすることもできる。
【0050】
また、本実施形態のガス検知システム100では、
図1に示したように、爆発性雰囲気下の区画BA内において複数のガス検知器10及び20の内の少なくとも1つのガス検知器は複数のガス検知器10及び20の自機以外のガス検知器10または20と通信可能である。さらに、本実施形態のガス検知システム100では、上記第2処理工程において、爆発性雰囲気下の区画BAで使用される複数のガス検知器10及び20の内の少なくとも1つのガス検知器と、爆発性雰囲気外の区画NBAで使用される第3ガス検知器としてのガス検知器30を通信可能に設定する処理工程が行われる。
【0051】
具体的にいえば、本実施形態のガス検知システム100では、爆発性雰囲気下の区画BA内においては、例えば、無線形式で相互に通信可能な複数のガス検知器10a~10c及び20aを含んだ既存のガス検知システムが含まれている。また、本実施形態のガス検知システムでは、例えば、無線形式で、上記既存のガス検知システムの各ガス検知器10a~10c及び20aと、爆発性雰囲気外の区画NBAに存在するガス検知器30との双方に通信可能なガス検知器20bが設置されている。これにより、本実施形態のガス検知システム100では、第2処理工程により、ガス検知器30は、ガス検知器20b及び当該ガス検知器20bを介してガス検知器10a~10c及び20aとデータ通信が可能に設定される。
【0052】
なお、上記の説明以外に、例えば、上記既存のガス検知システムにおいて、各ガス検知器10a~10c及び20aを有線形式で相互に通信可能とするとともに、例えば、ガス検知器20bとガス検知器30とを無線形式で相互に通信可能としてもよい。
【0053】
また、
図6のステップS21に示すように、本実施形態のガス検知システム100では、第3ガス検知器は、他のガス検知器が爆発性雰囲気下の区画BAに配置されているかを判別する判別処理を行う。具体的にいえば、第3ガス検知器としてのガス検知器30は、ガス検知器20bまたは20cから直接的に受信情報を受信した場合、またはガス検知器20bまたは20cを介してガス検知器10または20aから間接的に受信情報を受信した場合、当該受信情報に含まれている、送信元の他のガス検知器の位置情報(ID(識別子)情報などの特定情報によって特定可能な位置情報を含む。)を基に、当該他のガス検知器が爆発性雰囲気下の区画BAに配置されているかを判別する。
【0054】
具体的にいえば、ガス検知器30は、第3ガス検知器での判別処理として、例えば、他のガス検知器から当該他のガス検知器が設置されている位置情報を受信して、当該位置情報に基づいて、当該他のガス検知器が爆発性雰囲気下の区画BAに配置されているかを判別する。なお、この説明以外に、第3ガス検知器には、例えば、他のガス検知器の機器番号を予め登録するとともに、他のガス検知器から通信される情報に上記機器番号に関するデータを含める。そして、第3ガス検知器での判別処理として、当該第3ガス検知器は、上記データに基づき当該他のガス検知器が爆発性雰囲気下の区画BAに配置されているかを判別してもよい。
【0055】
次に、ステップS22に示すように、ガス検知器30は、上記判別処理において、他のガス検知器10または20が爆発性雰囲気下の区画BAに配置されているかに応じて、所定の処理を行う。ガス検知器30は、例えば、受信した受信情報を、報知手段としての報知部31Hによって報知する報知処理を実行してもよく。報知手段は、報知部31Hによる報知及び通信部31Tによる外部への送信を含んでもよく、報知部31Hによる報知のみを含んでもよい。
【0056】
なお、上記の説明以外に、上記所定の処理として、ガス検知器30は、他のガス検知器(例えば、ガス検知器20b)からの情報とそれ以外のガス検知器(例えば、カス検知器20c)からの情報について、異なる処理を実行してもよいし、上記所定の処理として、他のガス検知器とそれ以外のガス検知器に関わらず、受信した情報の送信元のガス検知器の機器番号とともに、受信した情報を記憶する記憶処理を実行してもよい。
【0057】
以上のように構成された本実施形態のガス検知器10、20、及び30は、爆発性雰囲気下の区画BAで使用可能であって、センサ部SMと、報知部31Hと、通信部31Tと、制御部31Cと、を備える。制御部31Cは、通信部31Tが、爆発性雰囲気下の区画BAで使用される他のガス検知器による所定の検出結果である第2検出結果を受信したか否かについて判別する判別処理を行う。また、制御部31Cは、判別処理において、第2検出結果を受信したことを判別した場合、通信部31Tを介して受信した第2検出結果を、爆発性雰囲気外の区画NBAに存在する通信機器(例えば、携帯情報端末MT)に送信する送信処理を実行する。
【0058】
以上の構成によれば、本実施形態では、爆発性雰囲気下の区画BAで使用可能なガス検知器10、20、及び30において、その制御部は、判別処理により、爆発性雰囲気下の区画BAで使用される他のガス検知器からの第2検出結果を受信したことを判別した場合、通信部を介して受信した第2検出結果を爆発性雰囲気外の区画NBAに存在する通信機器に送信する送信処理を実行する。これにより、本実施形態では、ガス検知器10または20が広域な爆発性雰囲気下の区画BA内に存在する場合でも、爆発性雰囲気外の区画NBAに存在する通信機器(ガス検知器30、携帯情報端末MT、またはクラウドCL)にガス検知器10または20による所定ガスの検出結果をより確実に通信することができる。
【0059】
また、本実施形態のガス検知システム100では、
図5のステップS11及びS12にそれぞれ示したように、第1処理工程と第2処理工程とが実行されて、複数のガス検知器10、20、及び30を含む、爆発性雰囲気下の区画BAと爆発性雰囲気外の区画NBAとの間でネットワークを構築するネットワーク構築方法が行われる。この結果、本実施形態のネットワーク構築方法では、第1処理工程により、爆発性雰囲気下の区画BAで使用されるガス検知器10または20とガス検知器10同士、ガス検知器10と20、またはガス検知器20同士とを通信可能とする。第2処理工程により、ガス検知器10または20と爆発性雰囲気外の区画NBAで使用されるガス検知器30とを通信可能とする。これにより、ガス検知器30は、ガス検知器10または20の少なくとも一方との間で通信することができる。この結果、ガス検知器10または20が広域な爆発性雰囲気下の区画BA内に存在する場合でも、爆発性雰囲気外の区画NBAに存在するガス検知器30にガス検知器10または20による所定ガスの検出結果をより確実に通信することができる。
【0060】
また、本実施形態のガス検知システム100では、上述したように、上記第2処理工程において、爆発性雰囲気下の区画BAで使用される複数のガス検知器10及び20の内の少なくとも1つのガス検知器と、爆発性雰囲気外の区画NBAで使用されるガス検知器30を通信可能に設定する処理工程が実行されて、複数のガス検知器10、20、及び30を含む、爆発性雰囲気下の区画BAと爆発性雰囲気外の区画NBAとの間でネットワークを構築するネットワーク構築方法が行われる。この結果、本実施形態のネットワーク構築方法では、処理工程により、爆発性雰囲気下の区画BAで使用される少なくとも1つのガス検知器10または20と、爆発性雰囲気外の区画NBAで使用されるガス検知器30とを通信可能とする。これにより、ガス検知器30は、少なくとも1つのガス検知器10または20との間で通信することができる。この結果、少なくとも1つのガス検知器10または20が広域な爆発性雰囲気下の区画BA内に存在する場合でも、爆発性雰囲気外の区画NBAに存在するガス検知器30に少なくとも1つのガス検知器10または20による所定ガスの検出結果をより確実に通信することができる。
【0061】
また、本実施形態のガス検知システム100では、
図6のステップS21及びS22にそれぞれ示したように、ガス検知器30において、位置判別処理と報知処理とが実行されて、複数のガス検知器10、20、及び30を含む、爆発性雰囲気下の区画BAと爆発性雰囲気外の区画NBAとの間でネットワークを構築するネットワーク構築方法が行われる。この結果、本実施形態のネットワーク構築方法では、ガス検知器30は爆発性雰囲気下の区画BAに配置されている他のガス検知器10または20からの受信情報を報知することができる。これにより、他のガス検知器10または20が広域な爆発性雰囲気下の区画BA内に存在する場合でも、爆発性雰囲気外の区画NBAに存在するガス検知器30に他のガス検知器10または20による所定ガスの検出結果をより確実に通信することができる。
【0062】
また、上記の説明では、ガス検知器10、20、及び30がそれぞれガス検知システム100でのノード、リレーノード、及びプロキシノードを構成した場合について説明した。しかしながら、本開示はノードと、ノードからのデータを他のノード(リレーノードやプロキシノードを含む)リレーノードと、携帯情報端末などの情報端末を介して上位システムとデータ通信可能なプロキシノードを備えたものであれば何等限定されない。ガス検知器10、20、及び30のうち、例えば、ガス検知器30のみを用いて、ガス検知システム100を構成してもよい。
【0063】
また、上記の説明では、ガス検知器10、20、及び30において、モバイル端末を構成して、ユーザーに移動可能に保持される構成を説明した。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではなく、例えば、すくなくとも1つのガス検知器10、20、または30を所定箇所に固定した据置型のガス検知器として定点のガス検知を行わせる構成でもよい。
【0064】
本開示は前述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10 ガス検知器(第1ガス検知器、第2ガス検知器)
20a、20b、20c、20 ガス検知器(第1ガス検知器、第2ガス検知器)
30 ガス検知器(第3ガス検知器、通信機器)
31C 制御部
31T 通信部
31H 報知部
BA 爆発性雰囲気下の区画
NBA 爆発性雰囲気外の区画
MT 携帯情報端末(通信機器)
CL クラウド(通信機器)