(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131827
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】センサモジュール及びガス検知器
(51)【国際特許分類】
G01N 27/04 20060101AFI20240920BHJP
G01N 27/12 20060101ALI20240920BHJP
G01N 27/16 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01N27/04 K
G01N27/12 D
G01N27/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042303
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】東 慎士
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 信二
(72)【発明者】
【氏名】八束 大地
(72)【発明者】
【氏名】吉田 一貴
(72)【発明者】
【氏名】城井 哲史
(72)【発明者】
【氏名】宮岡 環
(72)【発明者】
【氏名】志賀 栄海
(72)【発明者】
【氏名】浦崎 康司
【テーマコード(参考)】
2G046
2G060
【Fターム(参考)】
2G046AA05
2G046AA07
2G046AA08
2G046AA10
2G046AA11
2G046AA12
2G046AA13
2G046AA19
2G046BH01
2G046DC16
2G046DC17
2G046DC18
2G060AA01
2G060AB03
2G060AB05
2G060AB06
2G060AB07
2G060AB08
2G060AB09
2G060AB11
2G060AB17
2G060AE19
2G060AF07
2G060AF15
2G060BA01
2G060BA03
2G060HC10
2G060HD03
2G060HE02
(57)【要約】
【課題】ガス検出部本体の交換作業を容易に行うことができるセンサモジュール及びこれを用いたガス検知器を提供する。
【解決手段】ガスセンサモジュール(70)は、ガス検知器(1)への装着時に第1の回路基板(H1)に接続される第2の回路基板(H2)と、第2の回路基板(H2)に着脱可能である所定ガスを検出するガス検出部本体(7)と、を含み、ガス検知器(1)への装着時に、ガス検知器(1)に対して第2の回路基板(H2)及びガス検出部本体(7)の順に積層される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回路基板を備えるガス検知器に装着されるセンサモジュールであって、
前記ガス検知器への装着時に前記第1の回路基板に接続される第2の回路基板と、
前記第2の回路基板に着脱可能である所定ガスを検出するガス検出部本体と、を含み、
前記ガス検知器への装着時に、前記ガス検知器に対して前記第2の回路基板および前記ガス検出部本体の順に積層されること、または、
前記第2の回路基板の前記ガス検出部本体が着脱される側とは反対側に前記第1の回路基板が接続されること、を特徴とする、センサモジュール。
【請求項2】
前記第2の回路基板は、前記ガス検出部本体の検出結果に対して所定の処理を行う制御部を備える、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項3】
前記ガス検出部本体は、筐体と、前記筐体内に配置される電解液と、前記筐体内に配置される電極と、前記電極と接続し、少なくとも一部が前記筐体の外部に露出する接続ピンと、を含み、
前記第2の回路基板は、前記筐体の外部に露出している前記接続ピンと接続される、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のセンサモジュールが、着脱可能に装着されるガス検知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサモジュール及びガス検知器に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス検知器は、所定ガスを検出するガスセンサ、その駆動用蓄電池及び出力回路を備えたセンサヘッド部と、ガス検出信号を濃度換算するCPU、ガス濃度を数値表示するLCD、それらの駆動用蓄電池及び操作部を備えた検知器本体部とを備え、これらのセンサヘッド部と検知器本体部とをねじ部材を介在させて物理的に着脱可能としたものが知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のセンサモジュール及びこれを用いたガス検知器では、寿命や劣化などに伴う新たなガス検出部本体への取替や、異なる所定ガスへの変更のためのガス検出部本体の変更などのガス検出部本体の交換作業を行うことが困難であるという問題点を生じることがあった。
【0005】
本開示は、ガス検出部本体の交換作業を容易に行うことができるセンサモジュール及びこれを用いたガス検知器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の第1態様のセンサモジュールは、第1の回路基板を備えるガス検知器に装着されるセンサモジュールであって、前記ガス検知器への装着時に前記第1の回路基板に接続される第2の回路基板と、前記第2の回路基板に着脱可能である所定ガスを検出するガス検出部本体と、を含み、前記ガス検知器への装着時に、前記ガス検知器に対して前記第2の回路基板及び前記ガス検出部本体の順に積層されること、または、前記第2の回路基板の前記ガス検出部本体が着脱される側とは反対側に前記第1の回路基板が接続されること、を特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、センサモジュールはガス検知器に対して第2の回路基板及びガス検出部本体の順に積層、または第2の回路基板のガス検出部本体が着脱される側とは反対側に第1の回路基板の接続を行うことにより、ガス検知器への装着することができる。これにより、ガス検出部本体の交換作業を容易に行うことができる。
【0008】
本開示の第2態様のセンサモジュールは、第1態様のセンサモジュールにおいて、前記第2の回路基板は、前記ガス検出部本体の検出結果に対して所定の処理を行う制御部を備えてもよい。この場合、現地での校正作業などを不要にすることが可能となり、ガス検出部本体の交換作業をより容易に行うことができる。
【0009】
本開示の第3態様のセンサモジュールは、第1態様または第2態様のセンサモジュールにおいて、前記ガス検出部本体は、筐体と、前記筐体内に配置される電解液と、前記筐体内に配置される電極と、前記電極と接続し、少なくとも一部が前記筐体の外部に露出する接続ピンと、を含み、前記第2の回路基板は、前記筐体の外部に露出している前記接続ピンと接続されてもよい。この場合、第2の回路基板に対して、ガス検出部本体に設けられた接続ピンを脱着させることにより、当該ガス検出部本体の交換作業を容易に行うことができる。
【0010】
本開示の第4態様のガス検知器は、第1態様から第3態様のいずれかの態様のセンサモジュールが、着脱可能に装着される。この場合、ガス検知器において、センサモジュールの第2の回路基板及びガス検出部本体の順に積層、または第2の回路基板のガス検出部本体が着脱される側とは反対側に第1の回路基板の接続を行うことにより、ガス検知器へのセンサモジュールの装着を行うことができる。これにより、ガス検出部本体の交換作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様によれば、ガス検出部本体の交換作業を容易に行うことができるセンサモジュール及びこれを用いたガス検知器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施形態に係るガスセンサモジュール及びこれを用いたガス検知器を説明する図である。
【
図2】
図1に示したガスセンサモジュールの電気的な構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔一実施形態〕
以下、本開示の一実施形態について、
図1及び
図2を用いて詳細に説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係るガスセンサモジュール70及びこれを用いたガス検知器1を説明する図である。
図2は、
図1に示したガスセンサモジュール70の電気的な構成を示す機能ブロック図である。
【0014】
なお、以下の説明では、センサモジュールとしてガス検知器1に用いられるガスセンサモジュール70を構成した場合を例示して説明する。また、以下の説明では、まずガスセンサモジュール70を用いたガス検知器1について説明する。
【0015】
<ガス検知器>
本実施形態のガス検知器1は、
図1の101に示すように、例えば、四角形状に構成された本体部2を備える。本体部2は、例えば、合成樹脂製の箱体を有しており、当該箱体は作業者等のユーザーの手で持ち運び可能に構成されている。換言すれば、ガス検知器1は、携帯可能なモバイル端末として機能するようになっている携帯型ガス検知器である。
【0016】
また、ガス検知器1には、少なくとも1つ、例えば、5つのガスセンサモジュール7a、7b、7c、7d、及び7e(以下、“70”で総称する。)が設けられている。これらのガスセンサモジュール7a、7b、7c、7d、及び7eは、各々、同じまたは異なる所定ガスを検出するためのものである。換言すれば、ガス検知器1では、最大5種類の所定ガスを検出するためのガスセンサモジュール70を装着可能となっている。
【0017】
具体的にいえば、ガス検知器1においては、
図1の101に示すように、ガスセンサモジュール70を設置するための設置領域5が、例えば、本体部2の正面側に設けられている。この設置領域5には、例えば、円形状に各々開口された開口部を具備する、5つのスロット6a、6b、6c、6d、及び6e(以下、“6”で総称する。)が設けられている。そして、ガス検知器1では、ガスセンサモジュール7a、7b、7c、7d、及び7eがそれぞれスロット6a、6b、6c、6d、及び6eに着脱可能に取り付けられている。
【0018】
また、ガス検知器1は、ガス吸引手段を備えずに、自然拡散により複数のガスセンサモジュール70の各々に到達したガスのガス濃度を測定する拡散式のガス検知器である。なお、本開示のガス検知器1はこれに限定されるものではなく、ガス吸引手段を備えた吸引式のガス検知器、または吸引式及び拡散式の両方の機能を備えたガス検知器であってもよい。
【0019】
ガス検知器1は、電源を入れると、ガスセンサモジュール70から各種情報、例えば、センシング形式、検出対象の所定ガスの種類、所定ガスの検出結果であるガス濃度の検出範囲、警報設定値、などの情報を取得する。また、ガスセンサモジュール70は、当該ガスセンサモジュール70のベース出力値(検出対象の所定ガスがない状態での出力値)やベース出力値が一定時間内安定しているか、各種端子接続に問題がないか(断線の有無)等を確認し、ガスセンサモジュール70は、異常があればエラー状態である旨をガス検知器1に送信する。
【0020】
また、ガス検知器1の本体部2においては、
図1の101に点線にて示すように、第1の回路基板H1が5つの各スロット6の底部に設置されている。これらの第1の回路基板H1は、互いに同一構造を有しており、各々、例えば、円形状に構成されている。各第1の回路基板H1は、本体部2に設けられた検知器制御部Cに接続されている。また、各第1の回路基板H1は、ガスセンサモジュール70がスロット6に装着されたときに、後に詳述するように、ガスセンサモジュール70に設けられた第2の回路基板H2に接続されるよう構成されている。そして、ガス検知器1では、第1の回路基板H1を介して検知器制御部Cとガスセンサモジュール70とが接続される。
【0021】
なお、この説明では、5つのスロット6を本体部2に設けた構成について説明したが、本開示のガス検知器1はこれに限定されるものではなく、ガスセンサモジュール70を着脱可能な少なくとも1つのスロット6を設けるものであればよい。但し、複数のスロット6を設ける場合の方が、複数種類の所定ガスを検出可能なガス検知器1を容易に構成することができる点で好ましい。
【0022】
<ガス検出部>
また、ガスセンサモジュール70は、
図1の102及び103に示すように、ガス検知器1への装着時に第1の回路基板H1に接続される第2の回路基板H2と、第2の回路基板H2に着脱可能である所定ガスを検出するガス検出部本体7と、を含む。そして、ガスセンサモジュール70では、ガス検知器1への装着時に、ガス検知器1に対して第2の回路基板H2及びガス検出部本体7の順に積層されること、または、第2の回路基板H2のガス検出部本体7が着脱される側とは反対側に第1の回路基板H1が接続される。
【0023】
なお、以下の説明では、ガスセンサモジュール70において、ガス検出部本体7が、例えば、定電位電解式センサを用いて構成した場合を例示して説明する。
【0024】
また、ガス検出部本体7は、
図1の102に示すように、筐体71と、少なくとも一部が筐体71の外部に露出する、例えば、2つの接続ピン72と、筐体71内に配置される電解液71Dと、筐体71内に配置される電極71Eと、を含む。各接続ピン72は、筐体71内で電極71Eと接続している。また、ガス検出部本体7では、各接続ピン72の露出部分が、第2の回路基板H2に設けられた孔部73Aに挿入されることによって、当該第2の回路基板H2に脱着可能に接続されている。
【0025】
なお、上記の説明以外に、例えば、半田付けを用いて、接続ピン72を第2の回路基板H2に接続する構成でもよい。この場合には、孔部73Aの設置を割愛することが可能となる。
【0026】
電解液71Dは、例えば、酸性水溶液または中性塩水溶液等により構成されている。酸性水溶液としては、例えば、硫酸やリン酸等を用いることができる。また、中性塩水溶液としては、例えば、臭化リチウムや塩化カルシウム等を用いることができる。また、電極71Eには、別個に構成された作用電極及び対極が含まれており、2つの接続ピン72にそれぞれ接続されている(図示せず)。なお、この説明以外に、電極71Eが参照電極を備え、さらにガス検出部本体7が参照電極に接続された3つ目の接続ピンを有する構成でもよい。
【0027】
また、上記のような定電位電解式センサを用いた場合、上記電解液71Dの種類などによっては、その交換寿命が一般的に6カ月~1年程度となることがあり得て、例えば、所定のガス検知精度を確保するために、上記交換寿命に応じてガス検出部本体7の交換を行うことが好ましい。
【0028】
また、本実施形態では、例えば、ガス検知器1の本体部2が制御部Cでのクロック信号を用いて、ガスセンサモジュール70への通電時間をカウントし、センサモジュール70に通電時間を伝達する。センサモジュール70では、そのハードウェア上に時刻の機能を備えておらず、後述の電池が搭載されずに、ガス検知器1の本体部2に接続されていない期間は通電時間にカウントされない。センサモジュール70では、後述のモジュール制御部MCが伝達された通電時間が所定の閾値を超えたことを判別した場合にガス検出部本体7及びガスセンサモジュール70が交換寿命に達したと判定する。これにより、使用期限を過ぎた、すなわち交換寿命に達したガスセンサモジュール70の使用を抑制することができる。なお、上記の説明以外に、制御部Cがカウントした通電時間が上記所定の閾値を超えたか否かを判別する判別処理を実行してもよい。
【0029】
また、第2の回路基板H2には、制御部としてのモジュール制御部MCを構成するIC(Integrated Circuit)チップが実装されている。そして、ガスセンサモジュール70では、第2の回路基板H2は筐体71に組付けられて、ガスセンサモジュールとして一体的にモジュール化されている。そして、ガスセンサモジュール70は、モジュール化された状態で、スロット6に着脱可能に構成されている。
【0030】
具体的にいえば、ガスセンサモジュール70においては、例えば、円柱状に構成されたガス検出部本体70と、例えば、円形状に構成された第2の回路基板H2とが、スロット6の上記開口部に対して、第2の回路基板H2及びガス検出部本体7の順番で嵌合可能になっている。また、ガスセンサモジュール70が本体部2のスロット6に装着されたとき、各接続ピン72と接続する第2の回路基板H2に設けられた電極部が、本体部2に設けられた電気部品、例えば、電気回路基板(第1の回路基板H1)のスプリングピン(コンタクトピン)に接続されるようになっている(図示せず)。これにより、ガス検知器1では、上記電極部を介して本体部2に設けられた検知器制御部Cとスロット6に装着されたガスセンサモジュール70との間で双方向のデータ通信を適宜実施し得るように構成されている。
【0031】
また、ガスセンサモジュール70は、
図2に示すように、ガス検出部本体7と、モジュール制御部MCと、電源部12と、を備える。ガス検出部本体7は、筐体71の内部に設けられて、所定ガスを検出するセンサエレメントを含んでいる。具体的にいえば、ガス検出部本体7は、例えば、上記定電位電解式センサ、NDIR(Non-Dispersive Infrared)センサ、接触燃焼式センサ、半導体式センサ、またはMEMS(Micro Electro Mechanical System)型のセンサエレメントを含んでおり、センシング形式により、ガス検出部本体7に含まれる構成が異なる。定電位電解式センサについては上記の通りであるが、例えば、接触燃焼式センサについては、センサ素子と、第2の回路基板H2とは別にセンサ素子と接続する回路基板が含まれており、NDIRセンサについては、赤外線を照射する光源と受光部素子を含み、後述するモジュール制御部MCに含まれる構成の一部(校正データ9aを含む記憶部9、演算部10)をさらに含む構成となっている。また、ガス検出部本体7は、上記センサエレメントでのセンシング形式等に応じて、所定ガスとして、例えば、メタンガス、水素ガス、二酸化炭素ガス、酸素ガス、一酸化炭素ガス、硫化水素ガス、二酸化硫黄ガス、塩素ガス、またはアンモニアガスのいずれかを検出するよう構成されている。
【0032】
また、ガスセンサモジュール70において、ガス検出部本体7に含まれた、上述の接触燃焼式センサ、半導体式センサ、NDIRセンサ、またはMEMS型のセンサは、上記定電位電解式センサと同様に、ガス検出部本体7と、このガス検出部本体7とは別個に構成された第2の回路基板H2とを有している。そして、これらのガス検出部本体7を含んだガスセンサモジュール70では、ガス検知器1への装着時に、ガス検知器1に対して第2の回路基板H2及びガス検出部本体7の順に積層され、第2の回路基板H2のガス検出部本体7が着脱される側とは反対側に第1の回路基板H1が接続される。
【0033】
なお、ガス検知器1では、5つのガスセンサモジュール70のうち、2つのガスセンサモジュール70において、互いに異なるセンシング形式であるガス検出部本体7を用いて、同一種類の所定ガスを検出してもよいし、互いに異なる種類の所定ガスを検出してもよい。
【0034】
モジュール制御部MCは、例えば、マイクロコンピュータを用いて構成されており、記憶部9と、演算部10と、通信部11と、を備える。記憶部9は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体を有している。記憶部9には、スロット6に装着されたガス検出部本体7の出力を校正するための校正データ9aが予め記憶されている。また、記憶部9には、例えば、ガス検出部本体7に関する所定情報(例えば、センサの種類、検出対象ガスの種類、または警報設定値)であって、通信部11を介して本体部2に適宜送信され得る情報が含まれている。演算部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含んで構成されている。そして、演算部10は、ガス検出部本体7の出力から所定ガスの検出結果を演算する。
【0035】
換言すれば、第2の回路基板H2は、ガス検出部本体7の検出結果に対して所定の処理を行うモジュール制御部MC及び電源部12を備えている。これにより、本実施形態のガスセンサモジュール70では、現地での校正作業などを不要にすることが可能となり、ガス検出部本体7の交換作業をより容易に行うことができる。
【0036】
通信部11は、例えば、I/Oポート(入出力回路)を備えた通信インターフェース部を含み、ガス検出部本体7のセンシング形式によらず共通の構造となるよう構成されており、本体部2と通信を行う。具体的にいえば、通信部11は、演算部10で演算された所定ガスの検出結果をデジタル形式で本体部2に送信する。より具体的にいえば、ガスセンサモジュール70では、ガス検出部本体7は、その所定ガスの検出結果をアナログ形式で演算部10に出力する。演算部10では、内蔵するA/Dコンバータ(図示せず)により、入力したアナログ形式の検出結果をデジタル形式の検出結果に変換した後、校正データ9aを用いた所定演算を行う。その後、演算部10は、演算後のデジタル形式の検出結果を通信部11に出力し、通信部11は、入力したデジタル形式の検出結果を所定の情報として本体部2に出力する。このようにガス検知器1において、ガスセンサモジュール70の検出結果がデジタル形式で本体部2に送信されることとなり、当該本体部2で上記検出結果のデータ処理を容易に行うことができる。
【0037】
電源部12は、例えば、LDO(Low Drop Out)レギュレータやDC/DCコンバータなどを含んで構成されている。電源部12は、ガス検出部本体7及びモジュール制御部MCに対して、所定の電力を供給する。ガスセンサモジュール70は、ガス検知器1に装着されると、ガス検知器1の電池から電源が供給される。なお、ガス検知器1が充電状態にあるときも、同様である。
【0038】
また、携帯型のガス検知器1の電源部は、その電源として、例えば、図示しない二次電池を含み得る。換言すれば、携帯型のガス検知器1は、上記二次電池に対する、充電可能な充電式である。但し、本開示はこれに限定されるものではなく、二次電池に代えて、乾電池などの一次電池を用いることもできる。
【0039】
<出力部>
また、本体部2には、
図1の101に示すように、例えば、設置領域5の上方領域において、表示部3と、音声出力部4とが設けられている。また、本体部2の内部には、ガス検知器1全体を統括する制御部Cが設置されている。表示部3は、例えば、液晶ディスプレイパネルを用いて構成されている。また、音声出力部4は、スピーカ(圧電ブザー)を含んでいる。これらの表示部3及び音声出力部4は、各々、スロット6に装着されたガスセンサモジュール70の検出結果に基づく内容を外部に出力する出力部の一例である。なお、この説明以外に、本体部2は、出力部として、表示部3及び音声出力部4のうち、少なくとも一方を備える構成でもよい。但し、表示部3を備える場合の方が、上記内容をユーザーに視認させ易く、ガス検知器1のユーザービリティを容易に向上できる点で好ましい。
【0040】
検知器制御部Cは、例えば、CPU、MCU(Micro Controller Unit)、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを含んで構成されている。検知器制御部Cは、5つのいずれかのガスセンサモジュール70の通信部11から上記所定の情報を受信した場合、受信した所定の情報に基づいて5つの対応するガスセンサモジュール70に応じた制御を行う。具体的にいえば、検知器制御部Cは、上記検出結果のデータ処理として、通信部11からデジタル形式で送信されてきたガスセンサモジュール70の検出結果を表示部3に表示処理させたり、音声出力部4に音声出力させたりする。
【0041】
より具体的にいえば、検知器制御部Cは、5つの各ガスセンサモジュール70の通信部11から、例えば、対応するガスセンサモジュール70の動作状態の情報(例えば、暖機中、調整中、エラー判定中、または通常状態であることを示す情報等)のデータを受信する。また、制御部Cは、ガス検出部本体7のセンシング形式(センサの種類)、ガス検出部本体7でのサンプリング周期、ガス検出部本体7の検出対象の所定ガスの種類、所定ガスの検出結果であるガス濃度、そのガス濃度の単位、及び/またはガス濃度に対する警報設定値のデータを受信する。一方、検知器制御部Cは、例えば、本体部2に設けられた温湿度センサ(図示せず)の検出結果を5つの各ガスセンサモジュール70に送信する。
【0042】
また、検知器制御部Cは、複数のスロット6にそれぞれ装着された複数のガスセンサモジュール70に関する上述の所定の情報を対応する通信部11から受信すると、検知器制御部Cは、受信した所定の情報に基づいて複数の対応するガスセンサモジュール70に応じた制御を行う。具体的にいえば、検知器制御部Cは、一のガスセンサモジュール70の通信部11からガス濃度と警報設定値とを受信すると、受信したガス濃度が受信した警報設定値を超えているか否かの判別処理を実行する。そして、検知器制御部Cは、その判別結果を表示部3及び/または音声出力部4を介して外部に報知させる。このように検知器制御部Cは、各ガスセンサモジュール70からの所定の情報に基づいて、対応するガスセンサモジュール70に応じた制御を行うので、ユーザーが所望する用途に応じた検出動作を容易に行うことが可能なガス検知器1を構成することができる。
【0043】
なお、上記の説明以外に、例えば、ガスセンサモジュール70において、その検出したガス濃度が警報設定値を超えているか否かの判別処理が実行され、検知器制御部Cは、ガスセンサモジュール70からの当該判別処理の判別結果を外部に報知させてもよい。また、上記の説明以外に、検知器制御部Cに含まれた記憶部(図示せず)において、警報設定値の情報を保持し、検知器制御部Cが、当該警報設定値の情報とガスセンサモジュール70から受信したガス濃度の濃度情報との比較を行うことにより、外部に警報として報知するか否かを判断してもよい。
【0044】
また、本体部2には、ガス検知器1に所望の動作を行わせるために、電源ボタンなどのユーザーからの操作を受け付ける操作受付部が設けられている(図示せず)。なお、操作受付部は、ボタンなどのハードウェア構成に限定されるものではなく、ユーザーの操作(指示)を受け付けるものであれば何等限定されない。例えば、表示部3に対して、タッチパネル機能を付与して、当該表示部3を操作受付部としてもよい。また、本体部2に設けられて各ガスセンサモジュール70の通信部11との間で双方向のデータ通信を行うデータ通信部(図示せず)を操作受付部として機能させることもできる。換言すれば、ガス検知器1に対して、ユーザーの指示を送信可能なタブレット等の通信機器を含んだ上位装置(外部装置)からの指示データを操作受付部としての上記データ通信部によって受信して、検知器制御部Cが当該指示データを基にガス検知器1の各部を制御してもよい。
【0045】
以上のように構成された本実施形態では、ガスセンサモジュール70は、ガス検知器1への装着時に第1の回路基板H1に接続される第2の回路基板H2と、第2の回路基板H2に着脱可能である所定ガスを検出するガス検出部本体7と、を含む。また、ガスセンサモジュール70は、ガス検知器1への装着時に、ガス検知器1に対して第2の回路基板H2及びガス検出部本体7の順に積層される、または、第2の回路基板H2のガス検出部本体7が着脱される側とは反対側に第1の回路基板H1が接続される。
【0046】
以上の構成によれば、本実施形態では、ガスセンサモジュール70はガス検知器1に対して第2の回路基板H2及びガス検出部本体7の順に積層、または第2の回路基板H2のガス検出部本体7が着脱される側とは反対側に第1の回路基板H1の接続を行うことにより、ガス検知器1への装着することができる。これにより、本実施形態では、ガス検出部本体7の交換作業を容易に行うことが可能なガスセンサモジュール70及びこれを用いたガス検知器1を構成することができる。これにより、本実施形態では、たとえガス検出部本体7が寿命や劣化などで使えなくなった場合、ガス検出部本体7またはガス検出部本体7の内部に含まれるセンサエレメントの交換作業を簡便に実施することができるので、ガス検出部本体7の交換作業を行う際に、時間及び手間を大幅に小さくすることができる。
【0047】
また、本実施形態では、第2の回路基板H2は筐体71の外部に露出している接続ピン72と接続されているので、第2の回路基板H2に対して、ガス検出部本体70に設けられた接続ピン72を脱着させることにより、当該ガス検出部本体70の交換作業を容易に行うことができる。
【0048】
〔変形例1〕
上記実施形態では、第2の回路基板H2に電源部12とモジュール制御部MCとを含む構成を記載したが、これに限定されるものはでない。例えば、ガス検出部本体7内の回路に電源部12及びモジュール制御部MCの一部の構成を含ませてもよい。
【0049】
〔変形例2〕
また、上記実施形態及び変形例1に代えて、ガス検出部本体7の筐体71の外部において、第2の回路基板H2とは別の基板を設けて、当該別の基板に電源部12及びモジュール制御部MCの一部の構成を設置してもよい。
【0050】
〔変形例3〕
また、上記の説明以外に、ガス検出部本体7を交換する際、上記センサエレメントのみを交換してもよいし、ガス検出部本体7と上記別の基板とを交換するようにしてもよい。
【0051】
〔変形例4〕
また、上記の説明以外に、ガス検知器1を所定箇所に固定した定置型のガス検知器として定点のガス検知を行わせる構成でもよい。
【0052】
本開示は前述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1 ガス検知器
2 本体部
3 表示部(出力部)
4 音声出力部(出力部)
6a、6b、6c、6d、6e、6 スロット
7 ガス検出部本体
7a、7b、7c、7d、7e、70 ガスセンサモジュール
71 筐体
71D 電解液
71E 電極
72 接続ピン
H1 第1の回路基板
H2 第2の回路基板
MC モジュール制御部(制御部)