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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131830
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】座席用ヒータ装置
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/74 20060101AFI20240920BHJP
   B60N 2/56 20060101ALI20240920BHJP
   A47C 27/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A47C7/74 B
B60N2/56
A47C27/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042306
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 孔
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3B096
【Fターム(参考)】
3B084JA06
3B084JF02
3B087DE09
3B096AC14
(57)【要約】
【課題】着座部にかけられた液体から制御基板を保護する。
【解決手段】座席200の着座面213の下方に広がって配置されるシート状の基材110と、基材110の少なくとも着座部分101に配線されるヒータ線120と、基材110の着座部分の外に配置される制御基板130と、を備え、ヒータ線120は、着座部分101と制御基板130とが並んだ方向である前後方向と交差する左右方向に沿った複数の主部122と、複数の主部122の各々の端部にて折り返す複数の折返し部123と、を有し、複数の主部122は、所定の鈍角で屈曲する屈曲部124を有し、屈曲部124は、前後方向において制御基板130とは反対側に突出するように屈曲している座席用ヒータ装置100。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の座席の着座面の下方に広がって配置されるシート状の基材と、
前記基材の少なくとも着座部分に配線されるヒータ線と、
前記基材の前記着座部分の外に配置される制御基板と、を備え、
前記ヒータ線は、
前記着座部分と前記制御基板とが並んだ方向である前後方向と交差する左右方向に沿った複数の主部と、複数の前記主部の各々の端部にて折り返す複数の折返し部と、を有し、
複数の前記主部は、所定の鈍角で屈曲する屈曲部を有し、
前記屈曲部は、前記前後方向において前記制御基板とは反対側に突出するように屈曲している
座席用ヒータ装置。
【請求項2】
移動体の座席の着座面の下方に広がって配置されるシート状の基材と、
前記基材の少なくとも着座部分に配線されるヒータ線と、
前記基材の前記着座部分の外に配置される制御基板と、を備え、
前記基材は、
前記着座部分と前記制御基板との間に厚さ方向に貫通する貫通孔を備える
座席用ヒータ装置。
【請求項3】
前記貫通孔は、
前記着座部分と前記制御基板とが並んだ方向と交差する左右方向において少なくとも前記制御基板の一端部から他端部まで延在する
請求項2に記載の座席用ヒータ装置。
【請求項4】
前記基材は、複数の前記貫通孔を有し、
前記貫通孔は、
左右方向において少なくとも前記制御基板の一端部から他端部まで分布する
請求項2に記載の座席用ヒータ装置。
【請求項5】
移動体の座席の着座面の下方に広がって配置されるシート状の基材と、
前記基材の少なくとも着座部分に配線されるヒータ線と、
前記基材の前記着座部分の外に配置される制御基板と、
前記着座部分と前記制御基板との間に、前記着座部分と前記制御基板とが並んだ方向と交差する左右方向において前記制御基板の一端部から他端部にまで配線される防護ヒータ線と、
を備える座席用ヒータ装置。
【請求項6】
前記防護ヒータ線は、
波状に配線される
請求項5に記載の座席用ヒータ装置。
【請求項7】
前記基材は、
前記着座部分と前記制御基板との間に厚さ方向に貫通する貫通孔を備える
請求項1に記載の座席用ヒータ装置。
【請求項8】
前記着座部分と前記制御基板との間に、左右方向において前記制御基板の一端部から他端部にまで配線される防護ヒータ線を備える
請求項1または7に記載の座席用ヒータ装置。
【請求項9】
前記着座部分と前記制御基板との間に、前記着座部分と前記制御基板とが並んだ方向と交差する左右方向において前記制御基板の一端部から他端部にまで配線される防護ヒータ線を備える
請求項2~4のいずれか1項に記載の座席用ヒータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば車両に装備されている座席を温めるヒータ線と制御基板とを備える座席用ヒータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、座席用のヒータが配置された平面内に、ヒータを制御するための集積化された制御基板を備えた座席用のヒータ装置が開示されている。このようなヒータ装置は、ヒータと一体化された制御基板により、座面の温度依存性を向上(温度検出精度を向上)させると共に、座席への取り付けが簡単になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2001-524705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、座席に制御基板が配置される構成では、座席の表面から水などの液体が染みこんだ場合に制御基板が濡れる可能性があり、制御基板に搭載される電気部品の電気的短絡などで故障する可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、座面から水が染みこんできた場合でも制御基板が濡れるのを可及的に防止する座席用ヒータ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る座席用ヒータ装置は、移動体の座席の着座面の下方に広がって配置されるシート状の基材と、前記基材の少なくとも着座部分に配線されるヒータ線と、前記基材の前記着座部分の外に配置される制御基板と、を備え、前記ヒータ線は、前記着座部分と前記制御基板とが並んだ方向である前後方向と交差する左右方向に沿った複数の主部と、複数の前記主部の各々の端部にて折り返す複数の折返し部と、を有し、複数の前記主部は、所定の鈍角で屈曲する屈曲部を有し、前記屈曲部は、前記前後方向において前記制御基板とは反対側に突出するように屈曲している。
【0007】
また、本開示の一態様に係る座席用ヒータ装置は、移動体の座席の着座面の下方に広がって配置されるシート状の基材と、前記基材の少なくとも着座部分に配線されるヒータ線と、前記基材の前記着座部分の外に配置される制御基板と、を備え、前記基材は、前記着座部分と前記制御基板との間に厚さ方向に貫通する貫通孔を備える。
【0008】
また、本開示の一態様に係る座席用ヒータ装置は、移動体の座席の着座面の下方に広がって配置されるシート状の基材と、前記基材の少なくとも着座部分に配線されるヒータ線と、前記基材の前記着座部分の外に配置される制御基板と、前記着座部分と前記制御基板との間に、前記着座部分と前記制御基板とが並んだ方向と交差する左右方向において前記制御基板の一端部から他端部にまで配線される防護ヒータ線と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の座席用ヒータ装置は、座面から液体が染みこんできた場合でも、制御基板に液体が到達し難いという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】座席用ヒータ装置が取り付けられた座席の概要を示す図である。
図2】座席用ヒータ装置が取り付けられた座席の断面図である。
図3】実施の形態1に係る座席用ヒータ装置を示す平面図である。
図4】実施の形態2に係る座席用ヒータ装置を示す平面図である。
図5】実施の形態2に係る座席用ヒータ装置の別例を示す平面図である。
図6】実施の形態3に係る座席用ヒータ装置を示す平面図である。
図7】実施の形態3に係る座席用ヒータ装置の別例を示す平面図である。
図8】座席用ヒータ装置の実施の形態の組み合わせ1を示す平面図である。
図9】座席用ヒータ装置の実施の形態の組み合わせ2を示す平面図である。
図10】座席用ヒータ装置の実施の形態の組み合わせ3を示す平面図である。
図11】座席用ヒータ装置の実施の形態の組み合わせ4を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る座席用ヒータ装置の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本開示を説明するために一例を挙示するものであり、本開示を限定する主旨ではない。例えば、以下の実施の形態において示される形状、構造、材料、構成要素、相対的位置関係、接続状態、数値、数式、方法における各段階の内容、各段階の順序などは、一例であり、以下に記載されていない内容を含む場合がある。また、平行、直交などの幾何学的な表現を用いる場合があるが、これらの表現は、数学的な厳密さを示すものではなく、実質的に許容される誤差、ずれなどが含まれる。また、同時、同一などの表現も、実質的に許容される範囲を含んでいる。
【0012】
また、図面は、本開示を説明するために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状、位置関係、および比率とは異なる。また、図中に示す場合があるX軸、Y軸、Z軸は、図の説明のために任意に設定した直交座標を示している。つまりZ軸は、鉛直方向に沿う軸とは限らず、X軸、Y軸は、水平面内に存在するとは限らない。
【0013】
また、以下では複数の発明を一つの実施の形態として包括的に説明する場合がある。また、以下に記載する内容の一部は、本開示に関する任意の構成要素として説明している。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる座席用ヒータ装置100が取り付けられた座席200の概要を示す図である。図2は、実施の形態1に係る座席用ヒータ装置100が取り付けられた座席200の断面図である。座席200は、移動体に備えられ、人が着座する椅子である。移動体とは、自動車、列車などを含む車両、飛行機、船舶等である。本実施の形態1では、座席200として、自動車の運転席を例示して説明する。なお、座席200は、助手席、後部座席であってもよい。
【0015】
座席200は、着座部材210と、背もたれ部材220と、枕部材230と、を備えている。着座部材210は、座席200に着座するユーザの臀部及び大腿部を支持する座席200の構成部材の一つである。背もたれ部材220は、座席200に着座するユーザの背部を支持する座席200の構成部材の一つである。枕部材230は、座席200に着座するユーザの頭部を衝撃発生時などに拘束する座席200の構成部材の1つである。着座部材210、背もたれ部材220、枕部材230は、皮(合成皮革含む)、樹脂、布帛などで形成された表皮部材211と、表皮部材211で覆われたクッション部材212と、を備えている。
【0016】
図3は、実施の形態1に係る座席用ヒータ装置100を示す平面図である。座席用ヒータ装置100は、座席200に着座したユーザの身体の少なくとも臀部を温める機能を有する。座席用ヒータ装置100は、着座部材210の着座面に沿って配置されるシート状の装置であり、本実施の形態1の場合、着座部材210のクッション部材212の上面と、表皮部材211との間に配置されている。座席用ヒータ装置100は、基材110と、ヒータ線120と、制御基板130と、を備えている。
【0017】
基材110は、座席200の着座面213の下方において着座面213に沿って広がって配置され、ヒータ線120を所定の配線形状で保持するシート状の部材である。基材110を構成する材料は、特に限定されるものではなく、ポリエステルなど化学繊維や天然繊維からなる布、ポリエステルなど化学繊維や天然繊維からなる不織布、発泡樹脂(例えば発泡ウレタン)製のシートなど、柔軟性を備えたシートを例示することができる。
【0018】
本実施の形態1の場合、座席200の着座面213は、着座部材210の後方(座席200が取り付けられる車両の後方、図中Y-側)に配置される背もたれ部材220の下方にまで延在している。また、着座面213は、背もたれ部材220に向かって徐々に下がるように傾斜しており、基材110も着座面213に沿って後方に向かって徐々に下がるように傾斜した状態で配置されている。
【0019】
制御基板130は、基材110の着座部分101の外の領域である非着座部分102に配置され、接続されたヒータ線120による熱の発生状態を制御する。制御基板130は、背もたれ部材220の下方に配置されるため、着座したユーザの圧力が直接的に付与されない。従って、制御基板130はユーザに硬さを感じさせず、また着座したユーザの重さによって撓みにくい。
【0020】
制御基板130による制御方法は、限定されるものではない。例えば制御基板130は、ヒータ線120による発熱のON・OFFを制御するものでもよい。また、制御基板130は、着座部分101に取り付けられたサーミスタなどの温度検知素子(不図示)から温度情報を取得し、ヒータ線120の発熱により昇温する着座部材210の温度を所定の範囲内に維持するよう制御してもかまわない。つまり制御基板130は、ヒータ線120に投入する電力の制御などを所定の制御をプログラムに基づき実現することができるプロセッサなどを含む電子回路を備えてもかまわない。なお、制御基板130は、デジタル回路、およびアナログ回路の少なくとも一方を備えてもかまわない。
【0021】
本実施の形態1の場合、制御基板130は、基材110に対しヒータ線120が配線される面と同じ面に取り付けられている。なお、制御基板130は、基材110に対しヒータ線120が配線される面と逆の面に取り付けられてもかまわない。また、制御基板130は、電力が投入される入力端子131を備えている。
【0022】
ヒータ線120は、基材110の少なくとも着座部分101に配線され、電流(または電圧)を印加することにより着座部材210に着座したユーザの臀部、大腿部などを温めるための熱を発生させる線状の部材である。なお、ヒータ線120は、制御基板130と接続するため非着座部分102にも配線される。ヒータ線120の種類は、限定されるものではなく、例えば銀及び銅等を含む合金により形成される撚り線、カーボン繊維などを例示することができる。ヒータ線120を基材110の表面に取り付け、所定のパターンに配線する方法は、限定されるものではないが、縫い付ける方法、接着剤による接着などを例示することができる。
【0023】
本実施の形態1の場合、着座部分101に配置されるヒータ線120は、以下のように配線される。着座部分101と制御基板130とが並んだ方向である前後方向(着座部分101と制御基板130が配置される非着座部分102とが並んだ方向、図中Y軸方向)と交差する左右方向(図中X軸方向)に沿った複数の主部122と、複数の主部122の各々の端部にて折り返す複数の折返し部123と、を有し、複数の主部122は、所定の鈍角で屈曲する屈曲部124を有し、屈曲部124は、前後方向において制御基板130とは反対側に突出するように屈曲している。さらに、本実施の形態1では前後方向おいて、制御基板130の前側(図中Y+側)に配置されるヒータ線120の少なくとも一部は、前後方向と交差する左右方向(図中X軸方向)において制御基板130の一端部132から他端部133に向かうに従い制御基板130から一旦遠ざかり、途中から制御基板130に近づくように配線される。つまり、前後方向において、制御基板130の少なくとも一端部132から他端部133までの間に対応するヒータ線120の少なくとも一部は、前方に向かって突出する山形、または傘形に配線されている。本実施の形態1の場合、前後方向において、制御基板130の一端部132から他端部133までの間に対応する全てのヒータ線120は、前方に向かって突出する山形、または傘形に配線されている。なお、ヒータ線120は、前側に向かって突出する円弧、または曲線でもかまわない。また、ヒータ線120は、左右方向に並んで配線される二つの主部122を備えており、いずれの主部122も前方に向かって突出する山形、または傘形である。なお、屈曲部124は、直角または所定の鋭角で屈曲していてもよい。
【0024】
実施の形態1に係る座席用ヒータ装置100によれば、ユーザが着座面にこぼした液体が基材110の着座部分101に到達し、基材110に沿って制御基板130側に液体がつたってきた場合でも、ヒータ線120の配線により左右方向において制御基板130の外側に向かって液体を誘導することができ、液体が制御基板130に到達して制御基板130に不具合が発生する事態を可及的に回避することができる。
【0025】
(実施の形態2)
座席用ヒータ装置100の他の実施の形態である実施の形態2について説明する。なお、前記実施の形態1と同様の作用や機能、同様の形状や機構や構造を有するもの(部分)には同じ符号を付して説明を省略する場合がある。また、以下では実施の形態1と異なる点を中心に説明し、同じ内容については説明を省略する場合がある。
【0026】
図4は、実施の形態2に係る座席用ヒータ装置100を示す平面図である。実施の形態2に係る座席用ヒータ装置100は、基材110と、ヒータ線120と、制御基板130と、を備えている。実施の形態2に係る座席用ヒータ装置100の実施の形態1と異なる点は、着座部分101と制御基板130との間に厚さ方向に貫通する貫通孔140が基材110に設けられている点である。また、ヒータ線120は、山形を呈しておらず、制御基板130の着座部分101側の辺にそった直線状の主部122が基材110の左右方向における一端部から他端部にわたった状態で配置されている。
【0027】
基材110に設けられた貫通孔140によれば、ユーザが着座面にこぼした液体が基材110の着座部分101に到達し、基材110に沿って制御基板130側に液体がつたってきた場合でも、液体を、貫通孔140を通してクッション部材212に落下させることができる。従って、基材110をつたって来た液体が制御基板130に到達して制御基板130に不具合が発生する事態を可及的に回避することができる。
【0028】
貫通孔140は、左右方向(図中X軸方向)において少なくとも制御基板130の一端部132から他端部133までの間に対応する長さで延在している。これによれば、基材110をつたって制御基板130に向かって来た液体のほとんどを貫通孔140からクッション部材212に落とすことができ、制御基板130に液体が付着して短絡などが発生するなどの不具合を回避することができる。
【0029】
なお、基材110は、貫通孔140を、一つではなく、複数個備えてもかまわない。図5に示すように、複数の貫通孔140は、左右方向において少なくとも制御基板130の一端部132から他端部133まで分布させ、前後方向においては、貫通孔140の少なくとも一部が重複するように分布させてもかまわない。これによれば、基材110の強度の低下を抑制することができる。かつ、基材110に沿って制御基板130に向かって液体がつたってきた場合でも、液体を、貫通孔140を通してクッション部材212に落下させることができる。特に、図5に示すように、複数の貫通孔140を千鳥配置にすることにより、基材110をつたって来た液体のほとんどを貫通孔140からクッション部材212に落とすことができ、貫通孔140による基材110の強度の低下を抑制することができる。
【0030】
(実施の形態3)
座席用ヒータ装置100の他の実施の形態である実施の形態3について説明する。なお、前記実施の形態1、2と同様の作用や機能、同様の形状や機構や構造を有するもの(部分)には同じ符号を付して説明を省略する場合がある。また、以下では実施の形態1、2と異なる点を中心に説明し、同じ内容については説明を省略する場合がある。
【0031】
図6は、実施の形態3に係る座席用ヒータ装置100を示す平面図である。実施の形態3に係る座席用ヒータ装置100は、基材110と、ヒータ線120と、制御基板130と、を備えている。実施の形態3に係る座席用ヒータ装置100の実施の形態1、2と異なる点は、着座部分101と制御基板130との間であって、左右方向(図中X軸方向)において少なくとも制御基板130の一端部132から他端部133まで延在する防護ヒータ線121が基材110に設けられている点である。基材110に設けられた防護ヒータ線121によれば、ユーザが着座面にこぼした液体が基材110の着座部分101に到達し、基材110に沿って制御基板130側に液体がつたってきた場合でも、液体を防護ヒータ線121の熱により蒸発させることができる。従って、基材110をつたって来た液体が制御基板130に到達して制御基板130に不具合が発生する事態を可及的に回避することができる。
【0032】
さらに、防護ヒータ線121は、波状に配線されている。防護ヒータ線121を波状に配線することにより、防護ヒータ線121の配線密度を向上させることができ、防護ヒータ線121に到達した液体を効率よく蒸発させることができる。また、図6に示すように、防護ヒータ線121は、制御基板130の一部を囲む様に配線することが好ましい。これによれば、制御基板130に向かって斜めにつたってくる液体も効果的に蒸発させることができる。
【0033】
なお、図6において、防護ヒータ線121をのこぎり波状に記載しているが、防護ヒータ線121は、波状であれば、パルス波状、サイン波状など任意の形状を採用してもかまわない。また、防護ヒータ線121は、複数の波の形状を組み合わせてもかまわない。
【0034】
また、図6において、防護ヒータ線121とヒータ線120とが直列に接続される場合が記載されているが、図7に示すように、防護ヒータ線121とヒータ線120とは別系統として制御基板130に別々に並列接続されてもかまわない。
【0035】
なお、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本開示の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本開示の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本開示に含まれる。
【0036】
例えば、図8に示すように、座席用ヒータ装置100の基材110には、制御基板130の前方に配置される山形に配線されたヒータ線120が配置され、かつ山形のヒータ線120と制御基板130との間に貫通孔140が設けられてもかまわない。これによれば、山形のヒータ線120による効果と貫通孔140による効果を重畳させることができる。
【0037】
また、図9に示すように、座席用ヒータ装置100の基材110には、制御基板130の前方に配置される山形に配線されたヒータ線120が配置され、山形のヒータ線120と制御基板130との間に貫通孔140が設けられ、かつ左右方向において制御基板130の一端部132から他端部133にまで配線される防護ヒータ線121が配置されてもかまわない。
【0038】
また、図10に示すように、座席用ヒータ装置100の基材110には、制御基板130の前側の辺と平行なヒータ線120が配線される。また、ヒータ線120と制御基板130との間には、貫通孔140が設けられ、かつ左右方向において制御基板130の一端部132から他端部133にまで配線される防護ヒータ線121が配置されてもかまわない。
【0039】
また、図11に示すように、座席用ヒータ装置100の基材110には、制御基板130の前方に配置される山形に配線されたヒータ線120が配置され、貫通孔140は設けられず、かつ左右方向において制御基板130の一端部132から他端部133にまで配線される防護ヒータ線121が配置されてもかまわない。
【0040】
(まとめ)
以上述べたように、第一の態様に係る座席用ヒータ装置100は、座席200の着座面213の下方に広がって配置されるシート状の基材110と、基材110の少なくとも着座部分101に配線されるヒータ線120と、基材110の着座部分の外に配置される制御基板130と、を備え、着座部分101と制御基板130とが並んだ方向を前後方向とした場合、制御基板130の前側に配置されるヒータ線120の少なくとも一部は、前後方向と交差する左右方向において制御基板130の一端部132から他端部133に向かうに従い制御基板130から遠ざかり、途中から制御基板に近づくように配線される。
【0041】
これによれば、ユーザが着座面にこぼした液体が基材110の着座部分101に到達し、基材110に沿って制御基板130に向かって液体がつたってきた場合でも、ヒータ線120の配線により左右方向において制御基板130の外側に向かって液体を誘導することができ、液体が制御基板130に到達して制御基板130に不具合が発生する事態を可及的に回避することができる。
【0042】
また、第二の態様に係る座席用ヒータ装置100は、座席200の着座面213の下方に広がって配置されるシート状の基材110と、基材110の少なくとも着座部分101に配線されるヒータ線120と、基材110の着座部分101の外に配置される制御基板130と、を備え、基材110は、着座部分101と制御基板130との間に厚さ方向に貫通する貫通孔140を備える。
【0043】
これによれば、ユーザが着座面にこぼした液体が基材110の着座部分101に到達し、基材110に沿って制御基板130側に液体がつたってきた場合でも、液体を、貫通孔140を通してクッション部材212に落下させることができる。従って、基材110をつたって来た液体が制御基板130に到達して制御基板130に不具合が発生する事態を可及的に回避することができる。
【0044】
また、第三の態様に係る座席用ヒータ装置100は、第二の態様を含み、貫通孔140は、着座部分101と制御基板130とが並んだ方向と交差する左右方向において少なくとも制御基板130の一端部132から他端部133まで延在する。
【0045】
これによれば、基材110をつたって制御基板130に向かって来た液体のほとんどを貫通孔140からクッション部材212に落とすことができ、制御基板130に液体が付着して短絡などが発生するなどの不具合を回避することができる。
【0046】
また、第四の態様に係る座席用ヒータ装置100は、第二の態様を含み、基材110は複数の貫通孔140を有し、貫通孔140は、左右方向において少なくとも制御基板130の一端部132から他端部133まで分布する。
【0047】
これによれば、基材110の強度の低下を抑制することができる。かつ、基材110に沿って制御基板130側に液体がつたってきた場合でも、液体を、貫通孔140を通してクッション部材212に落下させることができる。
【0048】
また、第五の態様に係る座席用ヒータ装置100は、座席200の着座面213の下方に広がって配置されるシート状の基材110と、基材110の少なくとも着座部分101に配線されるヒータ線120と、基材110の着座部分101の外に配置される制御基板130と、着座部分101と制御基板130との間に、着座部分101と制御基板130とが並んだ方向と交差する左右方向において制御基板130の一端部132から他端部133にまで配線される防護ヒータ線121と、を備える。
【0049】
これによれば、ユーザが着座面にこぼした液体が基材110の着座部分101に到達し、基材110に沿って制御基板130に向かって液体がつたってきた場合でも、液体を防護ヒータ線121の熱により蒸発させることができる。従って、基材110をつたって来た液体が制御基板130に到達して制御基板130に不具合が発生する事態を可及的に回避することができる。
【0050】
また、第六の態様に係る座席用ヒータ装置100は、第五の態様を含み、防護ヒータ線121は、波状に配線される。
【0051】
これによれば、防護ヒータ線121の配線密度を向上させることができ、防護ヒータ線121に到達した液体を効率よく蒸発させることができる。
【0052】
また、第七の態様に係る座席用ヒータ装置100は、第一の態様を含み、基材110は、着座部分101と制御基板130との間に厚さ方向に貫通する貫通孔140を備える。
【0053】
これによれば、屈曲部124を備えるヒータ線12の効果と貫通孔140の効果を重畳させることができる。
【0054】
また、第八の態様に係る座席用ヒータ装置100は、第一の態様、または第七の態様を含み、基材110は、着座部分101と制御基板130との間に、左右方向において制御基板130の一端部132から他端部133にまで配線される防護ヒータ線121を備える。
【0055】
また、第九の態様に係る座席用ヒータ装置100は、第二の態様~第四の態様のいずれか1つを含み、基材110は、着座部分101と制御基板130との間に厚さ方向に貫通する貫通孔140と、を備える。
【0056】
これらによれば、それぞれの効果を重畳させることができる。
【0057】
また、第二の態様に係る座席用ヒータ装置100の着座部分101と制御基板130との間に、左右方向において制御基板130の一端部132から他端部133にまで配線される防護ヒータ線121を備える。
【0058】
これによれば、貫通孔140による効果と、防護ヒータ線121による効果を重畳させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本開示は、ユーザが着座する着座部を備えた座席を温める座席用ヒータ装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0060】
100 座席用ヒータ装置
101 着座部分
102 非着座部分
110 基材
120 ヒータ線
121 防護ヒータ線
122 主部
123 折り返し部
124 屈曲部
130 制御基板
131 入力端子
132 一端部
133 他端部
140 貫通孔
200 座席
210 着座部材
211 表皮部材
212 クッション部材
213 着座面
220 背もたれ部材
230 枕部材
図1
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