IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新コスモス電機株式会社の特許一覧

特開2024-131833報知装置及び報知装置における不具合検知方法
<>
  • 特開-報知装置及び報知装置における不具合検知方法 図1
  • 特開-報知装置及び報知装置における不具合検知方法 図2
  • 特開-報知装置及び報知装置における不具合検知方法 図3A
  • 特開-報知装置及び報知装置における不具合検知方法 図3B
  • 特開-報知装置及び報知装置における不具合検知方法 図4A
  • 特開-報知装置及び報知装置における不具合検知方法 図4B
  • 特開-報知装置及び報知装置における不具合検知方法 図4C
  • 特開-報知装置及び報知装置における不具合検知方法 図4D
  • 特開-報知装置及び報知装置における不具合検知方法 図4E
  • 特開-報知装置及び報知装置における不具合検知方法 図5
  • 特開-報知装置及び報知装置における不具合検知方法 図6
  • 特開-報知装置及び報知装置における不具合検知方法 図7
  • 特開-報知装置及び報知装置における不具合検知方法 図8
  • 特開-報知装置及び報知装置における不具合検知方法 図9A
  • 特開-報知装置及び報知装置における不具合検知方法 図9B
  • 特開-報知装置及び報知装置における不具合検知方法 図9C
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131833
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】報知装置及び報知装置における不具合検知方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 23/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G08B23/00 520D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042310
(22)【出願日】2023-03-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊
(72)【発明者】
【氏名】石野 智敬
【テーマコード(参考)】
5C087
【Fターム(参考)】
5C087AA32
5C087AA37
5C087DD04
5C087DD05
5C087DD07
5C087DD08
5C087EE14
5C087FF04
5C087GG07
5C087GG66
5C087GG79
(57)【要約】
【課題】互いに独立した制御により発せられる二つの音声のいずれか一方の優先的な発声を容易に可能にする報知装置、及び、そのような優先的な発声に関する不具合を検知する、報知装置における不具合検知方法を提供する。
【解決手段】実施形態の報知装置100は、第1音声V1の発声を制御する第1処理手段10と、第2音声V2の発声を制御する第2処理手段20と、第1音声V1及び第2音声V2を発する出力手段40と、を備えていて、第1音声V1が第2音声V2よりも優先して出力手段40から発せられる。第1処理手段10と第2処理手段20とは出力手段40との接続経路CL1、CL2が異なっており、第2処理手段20と出力手段40との間の接続経路CL2の状態を検知することによって第2処理手段20から出力手段40に第2音声V2の発声指示I2が送られていることを検知する検知手段30をさらに備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1音声の発声を制御する第1処理手段と、
第2音声の発声を制御する第2処理手段と、
前記第1音声及び前記第2音声を発する出力手段と、
を備えていて、前記第1音声が前記第2音声よりも優先して前記出力手段から発せられる報知装置であって、
前記第1処理手段と前記第2処理手段とは前記出力手段との接続経路が異なっており、
前記第2処理手段と前記出力手段との間の接続経路の状態を検知することによって前記第2処理手段から前記出力手段に前記第2音声の発声指示が送られていることを検知する検知手段をさらに備えている報知装置。
【請求項2】
周囲環境の監視手段をさらに備え、
前記第1音声が、前記監視手段によって前記周囲環境の異常が検知されたことを報せる警報である、請求項1記載の報知装置。
【請求項3】
前記第2処理手段は、前記発声指示を前記出力手段に送ることを報せる通知を前記第1処理手段に送るように構成されており、
前記第1処理手段は、前記通知、及び前記検知手段の検知結果に基づいて、音声の発声に関する前記第2処理手段の動作の正常性を判断する、請求項1又は2記載の報知装置。
【請求項4】
前記第1処理手段は、前記通知が前記第2処理手段から送られていないときに前記発声指示が前記検知手段によって検知されると、前記第1音声の優先的な発声に関する不具合が生じていると判断するように構成されている、請求項3記載の報知装置。
【請求項5】
前記第1処理手段は、前記第1音声を前記出力手段に発しさせることを前記第2処理手段に通知するように構成され、且つ、前記第1音声の発声中に前記発声指示が前記検知手段によって検知されると、前記第1音声の優先的な発声に関する不具合が生じていると判断するように構成されている、請求項1又は2記載の報知装置。
【請求項6】
前記第1処理手段は、前記不具合が生じているとの判断に基づく報知を、前記出力手段を用いて行うように構成されている、請求項4記載の報知装置。
【請求項7】
第1音声を制御する第1処理手段及び第2音声を制御する第2処理手段と、互いに異なる接続経路で前記第1処理手段及び前記第2処理手段それぞれと接続されていて前記第1音声及び前記第2音声を発する出力手段と、を備えている報知装置における不具合検知方法であって、
前記第2処理手段から前記出力手段に送られる前記第2音声の発声指示を、前記第2処理手段と前記出力手段との接続経路の状態を検知する検知手段に検知させることと、
前記第1処理手段及び前記第2処理手段の少なくとも一方に、前記出力手段に音声を発しさせるときに他方へと通知を送らせることと、
前記第1処理手段と前記第2処理手段との間で交わされる前記通知と、前記検知手段による前記発声指示の検知結果との組み合わせに基づいて、前記第2音声よりも優先される前記第1音声の発声に関する不具合の有無を前記第1処理手段に判断させることと、を含む、報知装置における不具合検知方法。
【請求項8】
前記不具合の有無の判断によって検知された不具合の報知を、前記出力手段を用いて行うことをさらに含んでいる、請求項7記載の報知装置における不具合検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、報知装置及び報知装置における不具合検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、センサなどによって得られる各種の情報をユーザーに報せる報知装置が、一般家庭や、商業施設、及び工場などで用いられている。例えば、周囲環境を温度センサやガスセンサで監視して、異常な状態の検出に応じて警報を発してユーザーに危険を報せる警報器は、ユーザーの安全確保のために重要な役割を果たしている。近年、このような報知装置では、単純なビープ音だけでなく、多様な情報を伝えるメッセージを発し得るように、音声信号の処理装置や、スピーカなどの発声手段が備えられている。
【0003】
さらに、得られた情報を報知装置の周囲だけでなく遠方の関係者にも伝えられるように、通信機能を有する報知装置が普及している。そして、そのような通信機能を有する報知装置は、特定の通信先との交信だけではなく、広く情報を発信できるように、また、多くの情報を外部から入手して報知装置の周囲のユーザーの便益を高められるように、インターネットのようなネットワーク回線に接続可能なものも存在する。例えば、特許文献1には、警報メッセージを発するスピーカ、及び、インターネットへの接続を可能にするLANポートを備える警報器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-326360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の警報器では、前述したスピーカやLANポート、さらに、周囲環境を監視して警報機能を担うCOセンサなどの各種センサが、一つの信号処理回路に接続されている。そして、この一つの信号処理回路によって、二つの機能、すなわち、警報器である報知装置の主機能である警報の報知機能と通信機能とが制御されている。しかし、このような構成の場合、一つの信号処理回路で二つの機能を制御しているが故に、主機能である報知機能に支障を来たすことがある。例えば、新たな制御方式の取り込みやセキュリティレベルの向上のために繰り返される通信プロトコルのバージョンアップに伴って必要となる通信機能に関するソフトウェアのアップデート中に報知機能が機能停止に陥ったり、そのアップデートの不具合によって信号処理回路全体が動作不能に陥ったりすることが考えられる。このような報知機能の不具合は、ユーザーなどの安全確保という役割も担い得る報知装置にとって、至って好ましくない。
【0006】
このようなリスクを軽減する手段として、機能ごとに信号処理装置を互いに独立して個別に設けることが考えられる。しかし、信号処理装置を単に個別に設けて動作させると、一方の機能から発せられる音声の伝達が、他方の機能から発せられる音声で阻害されることがある。例えば、音声情報が外部機器から送られてその情報が報知機能と共用のスピーカによって発せられる場合には、報知装置の本質的機能に関わるため優先されるべきである音声による警報が阻害されることがある。
【0007】
このように、個別に設けられた信号処理装置が互いに独立して動作するように構成されていると、各信号処理装置の制御の下で発せられる音声の一方の発声を他方の発声よりも優先させることが困難なことがある。すなわち、優先して発せられるべき音声の発声を制御する信号処理装置が、他方の信号処理装置の制御による音声が発せられていることに気づかずに、優先されるべき音声を発声させ続けることがある。その結果、スピーカなどから、二つの音声が両方とも発せられ、そのため、優先されるべき音声、たとえば、報知装置の本質的機能である報知機能を果たすための音声が、十分に聞き取られ得る程度に、報知装置の周囲のユーザーなどに伝わらないことがある。このような場合も、ユーザーなどの安全が脅かされることになり兼ねない。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、互いに独立した制御により発せられる二つの音声のいずれか一方の優先的な発声を容易に可能にする報知装置、及び、そのような優先的な発声に関する不具合を検知する、報知装置における不具合検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の報知装置は、第1音声の発声を制御する第1処理手段と、第2音声の発声を制御する第2処理手段と、前記第1音声及び前記第2音声を発する出力手段と、を備えていて、前記第1音声が前記第2音声よりも優先して前記出力手段から発せられる報知装置であって、前記第1処理手段と前記第2処理手段とは前記出力手段との接続経路が異なっており、前記第2処理手段と前記出力手段との間の接続経路の状態を検知することによって前記第2処理手段から前記出力手段に前記第2音声の発声指示が送られていることを検知する検知手段をさらに備えている。
【0010】
周囲環境の監視手段をさらに備え、前記第1音声が、前記監視手段によって前記周囲環境の異常が検知されたことを報せる警報であってもよい。
【0011】
前記第2処理手段は、前記発声指示を前記出力手段に送ることを報せる通知を前記第1処理手段に送るように構成されており、前記第1処理手段は、前記通知、及び前記検知手段の検知結果に基づいて、音声の発声に関する前記第2処理手段の動作の正常性を判断してもよい。
【0012】
前記第1処理手段は、前記通知が前記第2処理手段から送られていないときに前記発声指示が前記検知手段によって検知されると、前記第1音声の優先的な発声に関する不具合が生じていると判断するように構成されていてもよい。
【0013】
前記第1処理手段は、前記第1音声を前記出力手段に発しさせることを前記第2処理手段に通知するように構成され、且つ、前記第1音声の発声中に前記発声指示が前記検知手段によって検知されると、前記第1音声の優先的な発声に関する不具合が生じていると判断するように構成されていてもよい。
【0014】
前記第1処理手段は、前記不具合が生じているとの判断に基づく報知を、前記出力手段を用いて行うように構成されていてもよい。
【0015】
本発明の報知装置における不具合検知方法は、第1音声を制御する第1処理手段及び第2音声を制御する第2処理手段と、互いに異なる接続経路で前記第1処理手段及び前記第2処理手段それぞれと接続されていて前記第1音声及び前記第2音声を発する出力手段と、を備えている報知装置における不具合検知方法であって、前記第2処理手段から前記出力手段に送られる前記第2音声の発声指示を、前記第2処理手段と前記出力手段との接続経路の状態を検知する検知手段に検知させることと、前記第1処理手段及び前記第2処理手段の少なくとも一方に、前記出力手段に音声を発しさせるときに他方へと通知を送らせることと、前記第1処理手段と前記第2処理手段との間で交わされる前記通知と、前記検知手段による前記発声指示の検知結果との組み合わせに基づいて、前記第2音声よりも優先される前記第1音声の発声に関する不具合の有無を前記第1処理手段に判断させることと、を含む。
【0016】
前記不具合の有無の判断によって検知された不具合の報知を、前記出力手段を用いて行うことをさらに含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、互いに独立した制御により発せられる二つの音声のいずれか一方の優先的な発声を容易に可能にする報知装置、及び、そのような優先的な発声に関する不具合を検知し得ることがある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態の報知装置の構成の概略を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態の報知装置に用いられ得る、検知手段を示す回路図である。
図3A】本発明の一実施形態の報知装置における検知情報に基づく異常の検知の一例を示すタイミングチャートである。
図3B】本発明の一実施形態の報知装置における検知情報に基づく異常の検知の他の例を示すタイミングチャートである。
図4A】本発明の一実施形態の報知装置における不具合検知方法の一例を示すフローチャートである。
図4B】本発明の一実施形態の報知装置における不具合検知方法における第1音声の優先的な発声の例を示すフローチャートである。
図4C】本発明の一実施形態の報知装置における不具合検知方法における不具合検出の例を示すフローチャート(その1)である。
図4D】本発明の一実施形態の報知装置における不具合検知方法における不具合検出の例を示すフローチャート(その2)である。
図4E】本発明の一実施形態の報知装置における不具合検知方法における不具合検出の例を示すフローチャート(その3)である。
図5】本発明の一実施形態の報知装置における不具合検知方法の第1変形例を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態の報知装置における不具合検知方法の第2変形例を示すフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態の報知装置の第1変形例の概略構成を示すブロック図である。
図8】本発明の一実施形態の報知装置の第2変形例の概略構成を示すブロック図である。
図9A】本発明の一実施形態の報知装置の第2変形例に用いられ得る、阻害手段の第1例を示す回路図である。
図9B】本発明の一実施形態の報知装置の第2変形例に用いられ得る、阻害手段の第2例を示す回路図である。
図9C】本発明の一実施形態の報知装置の第2変形例に用いられ得る、阻害手段の第3例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る報知装置、及び報知装置における不具合検知方法を説明する。但し、以下に説明される実施形態及び添付の図面は、本発明に係る報知装置、及び報知装置における不具合検知方法の一例を示しているに過ぎない。本発明に係る報知装置、及び報知装置における不具合検知方法の構成及び作用は、以下に説明される実施形態及び添付の図面に例示される構成及び作用に限定されない。
【0020】
<一実施形態の報知装置の構成及び作用>
図1には、本発明の一実施形態の報知装置の一例である報知装置100の主要な構成要素がブロック図で示されている。一実施形態の報知装置100は、一例として、住居や工場などに設置されたり、ユーザーに携帯されたりして、報知装置100の周囲の環境を検知する。そして、報知装置100は、周囲の環境が特定の状態にある場合にはそれを検知して、例えば、警報を発したり信号を送ったりして、周囲環境が特定の状態、例えば人体や物的資産に危害が及び得る異常な状態にあることを周囲の人や所定の機器に報せる。すなわち、本実施形態の報知装置100は、一態様において警報器であり得る。この態様での報知装置100は、特定の状態として、例えば、火災の発生及びガス漏れのいずれか一方、又は両方を検知する。警報器である報知装置100が他に検知し得る特定の状態としては、一酸化炭素の濃度上昇、煙の充満、及び過剰な温湿度、などが例示されるが、警報器として機能する報知装置100が検知し得る特定の状態は、これらに限定されない。
【0021】
本実施形態の報知装置100は、周囲環境の状態の検知に基づく監視情報以外にも、取得される任意の情報をユーザーなどに報せるために機能し得る。例えば、報知装置100は、報知装置100自身の特定の状態への遷移や報知装置100における特定の処理の完了、又は、報知装置100と協働する別個の機器における特定の状態への遷移や特定の処理の完了、若しくはそのような別個の機器に対する人的操作、などを検知して、その検知によって取得された検知情報を、報知装置100の周囲のユーザーなどに報せてもよい。例えば、報知装置100は、建物の外壁に設置された被操作器への人的操作の検知に基づいて、人の来訪を報せてもよい。また、報知装置100は、予め設定された時刻の到来や電話の着信などを報知してもよく、例えば調理機器における自動調理などのような、家庭用電化機器における所定の自動動作の開始や終了を報知してもよい。また、報知装置100は、工場などにおいて、故障や供給材料の枯渇などによる設備の停止や、各製造ロットのバッチ処理の終了などを報知してもよい。
【0022】
このように、本実施形態の報知装置100は、報知装置100の実際の用途に応じて、取得される任意の監視情報に基づく報知を実行し得る。以下の説明には、報知装置100が警報器である場合についての例示が多く含まれるが、報知装置100は、報知装置100自らが取得する、又は報知装置100とは別個の機器が取得する、任意の監視情報に基づく報知を行なう装置であり得る。例えば、報知装置100は、警報器の他、携帯電話などの携帯機器、固定電話の親機、情報取得に関する付随機能を有する音響機器、各種家庭用電化機器と共に提供される発声機能を有する付属器、又は、ビル内や工場内の各種管理システムに組み込まれる発声機器として、具現化されることがある。
【0023】
報知装置100は、図1に示されるように、報知部1及び通信部2を備えている。報知部1は、報知装置100の内部又は外部で取得される監視情報をユーザーなどに報せる機能を担っている。報知装置100が警報器である場合、報知部1は、周囲環境の検知から監視結果に基づく警報の発報までの機能を含む警報機能を担っている。また、報知装置100が携帯電話である場合、報知部1は、例えば携帯電話の内部状態の変化や携帯電話が備えるセンサなどの検知結果を報せる機能を担い得る。また、報知装置100が家庭用電化機器の付属器である場合、報知部1は、本体の家庭用電化機器における内部状態の変化や自動動作の進行状況に関して検知された情報を報せる機能を担い得る。また、報知装置100が工場に設置される管理システムに組み込まれる場合、報知部1は、工場内の各種設備の稼働状況に関して検知された情報を報せる機能を担い得る。
【0024】
報知装置100は、さらに通信機能を有しており、通信部2は、報知装置100の通信機能を担っている。通信部2は、少なくとも報知装置100の外部からの信号を受信し、さらに、報知装置100の外部へと信号を送信してもよい。図1の例において、報知装置100は、外部機器Eとの間で信号を送受する。
【0025】
報知装置100は、さらに、出力手段40を備えている。出力手段40は、報知部1から送られる指示に従って第1音声V1を発する。出力手段40は、さらに、通信部2から送られる指示に従って第2音声V2を発する。本開示において「音声」は、ヒトが声として発する音やヒトの声を模して人工的に生成された音だけでなく、楽曲の音、及び、雨風や波、又はヒト以外の生物などによって自然界で生成される特段の意味を有さない音、並びに、それらの録音後の再生音、などのあらゆる音を含んでいる。
【0026】
報知装置100は、さらに、検知手段30を備えている。検知手段30は、通信部2と出力手段40との間の接続経路CL2の状態を検知することによって、第2音声V2の発声指示を検知する。報知装置100は、報知装置100の構成部品を収容する筐体60を有しており、報知部1、通信部2、検知手段30、及び出力手段40は、筐体60の中に収められている。
【0027】
<報知部>
報知部1は、第1処理手段10を含んでいる。図1の報知部1は、さらに監視手段11を含んでいる。図1の報知部1は、主に第1処理手段10及び監視手段11で構成され、例えば第1処理手段10及び監視手段11と、それらの周辺部品(図示せず)とで構成される。監視手段11は、報知装置100の周囲環境の監視情報を取得し、第1処理手段10は、取得される監視情報に基づいて発報する報知機能を制御する。図1の報知装置100では、第1処理手段10によって制御される報知機能が基づく監視情報は、監視手段11によって取得されるか、或いは、監視情報源Isで取得又は生成される。監視情報源Isは、報知装置100と別個に、すなわち、筐体60の外部に設けられている。なお、監視情報源Isは、必ずしも設けられなくてもよい。
【0028】
第1処理手段10は、マイコンやASICなどの半導体装置からなり、内蔵されたプログラム、又は、報知部1が備える、第1処理手段10の外部のROMなどの記憶装置(図示せず)に格納されたプログラムに従って動作する。図1の例では、第1処理手段10は、1つの処理装置P1を構成している。第1処理手段10は、好ましくは、演算機能、比較機能、記憶機能などを有しており、監視手段11の動作を含む報知部1の動作を全体的に制御すると共に、必要に応じて出力手段40に第1音声V1を発しさせる。すなわち、第1処理手段10は、監視手段11又は監視情報源Isによって得られる監視情報に基づく第1音声V1の発声指示I1を出力手段40に送るように構成されている。
【0029】
このように、第1処理手段10は、監視手段11による報知装置100の内部状態や周囲の状態などに関する検知動作及びそれに伴う監視情報の取得、並びに監視情報源Isからの監視情報の取得から、それら監視情報に基づく発報に至る動作を全体的に制御する。例えば報知装置100が警報器である場合、第1処理手段10は、周囲環境の検知動作中に、監視手段11による周囲環境の検知から、例えば出力手段40による警報の発報のような異常の報知に至る動作を全体的に制御する。
【0030】
なお、本明細書において、第1処理手段10若しくは報知装置100(又は、後述される第2処理手段20)が特定の動作又は処理を行うように(又は行わないように)「構成されている」は、各処理手段又は報知装置100にその特定の動作又は処理を行わせる(又は行わせない)命令が、各処理手段の動作や処理を記述するプログラムに含まれていることを含んでいる。
【0031】
監視手段11は、報知装置100の内部若しくは周囲における状態の変化や特定の状態への到達、又は報知装置100の内部での処理の進行状態を検知して検知結果に基づく情報(監視情報)を生成する。例えば、監視手段11は、報知部1において特定の処理が開始してからの所定時間の経過を検知するタイマーであり得る。監視手段11は、報知部1の内外における状態の変化や、報知部1の内部での特定の処理の進捗に伴って生成又は受信される所定の信号を検知する、電圧若しくは電流検知器であってもよい。これらの例において所定時間の経過や所定の信号を検知すると、監視手段11は、検知をしたことやその検知内容を示す信号を監視情報として第1処理手段10に提供する。
【0032】
監視手段11は、報知装置100の周囲の物理現象について特定の変化や特定の状態の出現を検知してもよい。特に、報知装置100が警報器である場合、監視手段11は、報知装置100の周囲環境を検知する1以上の各種のセンサであり得る。センサとしての監視手段11は、周囲環境の検知を通じて検知データとして得られる、検知領域の物理現象に関する監視情報を取得する。監視手段11が複数のセンサである場合、第1処理手段10は、複数のセンサにそれぞれ対応する専用の複数の処理手段(処理装置)を含んでいてもよい。図1の例の報知装置100において監視手段11は、報知部1及び通信部2の構成要素並びに出力手段40と共に、筐体60内に設けられている。そのため、監視手段11は、報知装置100の近傍の領域を検知することができる。
【0033】
報知装置100の監視手段11として機能する各種のセンサは、たとえば、一酸化炭素ガス(CO)、メタンガス(CH4)又はプロパンガス(C38)を検知する各種ガスセンサ、サーミスタなどからなる温度センサ、湿度センサ、煙センサ、臭気センサ、又は、部外者の立ち入りを検知する侵入センサなどであってよい。監視手段11は、これらセンサの1つ又は複数で構成され得る。報知装置100において監視手段11は、好ましくは、少なくとも火災若しくはガスのいずれか一方を検知可能である。例えば、各種のガスセンサによって、報知装置100の周囲の空間におけるガス漏れが検知される。また、温度センサ及び煙センサなどによって、報知装置100の周囲での火災の発生が検知される。
【0034】
報知装置100が警報器である場合、第1処理手段10は、例えば、監視手段11による周囲環境の検知動作の開始や停止を制御する。また、第1処理手段10は、監視手段11から送られる監視情報が示す、一酸化炭素やガスの濃度、周囲の温度、及び、煙の濃度などが、所定の閾値を超えているか否かを判断する。そして、温度や濃度などが閾値を超えている場合には、例えばその超過の程度に応じて警報の態様(音声の鳴動の仕方や、後述する発光ダイオード等の発光部における発光の仕方など)を決定し、決定した方法で、出力手段40に警報を発報させる。
【0035】
監視情報源Isは、報知装置100と協働する別個の機器EEの内部若しくは周囲における状態の変化や特定の状態への到達、又は、別個の機器EEの内部での処理の進行状態を検知して、検知結果に基づく情報(監視情報)を生成する。すなわち、監視情報源Isは、監視手段11の例示として前述されたような、所定時間の経過を検知したり、別個の機器EEの内外における状態の変化や、特定の処理の進捗に伴う信号の生成を検知したりして、その監視情報を第1処理手段10に提供する、電圧などの検知器やタイマーなどであり得る。また、監視情報源Isは、別個の機器EEに設けられて周囲の物理現象を検知するセンサであってもよい。さらに、監視情報源Isは、別個の機器EEに対する人的な操作を検知してその操作に基づく信号を生成し、監視情報として第1処理手段10に提供する各種の入力手段であってもよい。すなわち、監視情報源Isは、別個の機器EEに備えられた各種のスイッチや操作ボタン、キーボード、又はタッチパネルなどであってもよい。
【0036】
<通信部>
通信部2は、第2処理手段20及び通信手段21を含んでいる。通信部2は、主に第2処理手段20及び通信手段21で構成され、例えば第2処理手段20及び通信手段21と、それらの周辺部品(図示せず)とで構成される。図1の例において、第2処理手段20は、第1処理手段10と別個に設けられている。すなわち、図1の第2処理手段20は、第1処理手段10とは別の1つの処理装置P2を構成している。第2処理手段20は、報知装置100と外部機器Eとの通信を制御する。第2処理手段20は、マイコンやASICなどの半導体装置からなり、内蔵されたプログラム、又は、通信部2が備える、第2処理手段20の外部のROMなどの記憶装置(図示せず)に格納されたプログラムに従って動作する。第2処理手段20は、好ましくは、演算機能や記憶機能、及び比較機能などを有し、報知装置100の動作中に通信手段21で行われる、報知装置100と外部機器Eとの間での通信に必要な動作を全体的に制御する。
【0037】
また、第2処理手段20は、外部機器Eのような外部機器と報知装置100との間の通信に基づく第2音声V2の発声指示I2を出力手段40に送るように構成されている。第1音声V1又は第2音声V2を発しさせるべく、第1処理手段10又は第2処理手段20から出力手段40に送られる発声指示I1、I2は、発せられる音の音量、長さ、音調、及び/又は音質などの情報を含む電気信号であり得る(以下では、このような電気信号を「音声信号」とも称する)。発声指示I1、I2の音声信号は、例えばアナログ信号である。なお、発声指示I1、I2の音声信号は、デジタル信号であってもよい。出力手段40から発せられる音声の音量は、一例として、出力手段40に入力される音声信号の振幅で制御される。例えば、第1処理手段10及び第2処理手段20は、発しさせる音声に対応する適切な音声信号を、発声指示I1又は発声指示I2として出力手段40に送信する。或いは、音声信号の送信に先行して、信号レベル、振幅、及び/又は、周波数などについて予め定められた特定の値や変化パターンを有する信号が、発声指示I1又は発声指示I2として出力手段40に送られてもよい。第1処理手段10及び第2処理手段20は、シリアル通信及び/又はパラレル通信が可能な通信経路CLによって互いに通信可能となっている。
【0038】
通信手段21は、無線通信又は有線通信によって外部機器Eとの間で信号を送受する。通信手段21は、外部機器Eと報知装置100との間で電気信号を送受するように構成された、集積回路装置や個々の部品からなる電気回路などのハードウェアにより構成される。通信手段21は、外部機器Eとの通信に必要となる、信号の変換(アナログ/デジタル変換や信号のレベル変換など)、信号の増幅、信号の合成及び分解、信号の変調及び復調、外部機器Eとの間のリンクの設定、及び/又は誤り制御、などを行うように構成され得る。例えば、通信手段21は、外部機器Eとの通信に必要な信号処理を行うように設計されたASICなどからなる通信制御IC、又はモデムIC、及びその周辺回路で構成されていてもよい。通信手段21は、第2処理手段20と一体の集積回路装置として構成されていてもよい。
【0039】
報知装置100において通信部2は、無線回線又は有線回線を介して外部機器Eとの間で直接送受信を行ってもよく、無線回線又は有線回線で接続された、例えばインターネットやローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワークNを介して外部機器Eとの間で信号の送受信を行ってもよい。例えば、通信部2が外部機器Eと直接送受信し、且つ、ネットワークNを介して外部機器Eと送受信する場合、通信部2は、外部機器Eとの直接送受信専用の処理手段(処理装置)及び通信手段(通信装置)と、ネットワークNを介した外部機器Eとの送受信専用の処理手段(処理装置)及び通信手段(通信装置)を別々に含んでいてもよい。外部機器Eとしては、報知装置100以外の同種、又は検知対象の異なる警報器、並びに、報知装置100の動作を検知若しくは制御する、及び/又は、報知装置100での検知結果若しくは警報発報経過を収集して統計処理若しくは解析するサーバーのような情報処理装置が例示される。また、外部機器Eは、ネットワークNから情報を入手して、報知装置100で報知させる情報を取捨選択したり、必要な処理や加工を施したりして、報知装置100に向けて送信する情報処理装置であってもよい。さらに、インターネットなどのネットワークNに繋がり得る報知装置100にとって、外部機器Eは、各者各様の情報を提供する任意の個人又は機関がネットワークNに接続可能な態様で設置する、サーバー、データベース、及び/又は情報処理装置などであり得る。
【0040】
<出力手段>
出力手段40は、第1処理手段10の制御により、監視手段11や監視情報源Isで取得される監視情報に基づく第1音声V1を発する。出力手段40はさらに、第2処理手段20の制御により、通信部2における通信に基づく第2音声V2を発する。従って出力手段40は、少なくとも、例えば、スピーカ及び/又はブザーなどのような音声の発生装置を含んでいる。第1処理手段10は、接続経路CL1によって出力手段40と接続されており、第1音声V1の発声指示I1は、接続経路CL1を介して出力手段40に送られる。第2処理手段20は、接続経路CL2によって出力手段40と接続されており、第2音声V2の発声指示I2は、接続経路CL2を介して出力手段40に送られる。すなわち、第1処理手段10の接続経路CL1と第2処理手段20の接続経路CL2とは異なっている。出力手段40は、スピーカなどの音声発生装置を1つだけ含んでいてもよく、複数の音声発声装置を含んでいてもよい。出力手段40は、音声発声装置から発声される音量及び音質を調整する、及び/又は音声信号を増幅させるための増幅器を含んでいてもよく、音声信号がデジタル信号である場合には、デジタルアナログ変換器を含んでいてもよい。
【0041】
報知装置100が警報器である場合、出力手段40は、監視手段11で周囲環境の異常が検知されると、第1処理手段10の制御に従って、鳴動、及び/又は音響を発することにより警報を発する。すなわち、警報器として機能する報知装置100では、第1音声V1は、監視手段11によって周囲環境の異常が検知されたことを報せる警報音であり得る。また、出力手段40は、警報を発する以外にも、報知装置100の状態や、警報を発するに至らない検知領域の環境に関する情報をユーザーなどに伝えるために動作してもよい。なお、報知装置100は、図1に示される、音声を発する出力手段40以外にも、報知装置100のユーザーの視覚を通じて検知情報を伝える、発光ダイオードやディスプレイなどの報知手段(図示せず)を含んでいてもよい。
【0042】
例えば、警報器として機能する報知装置100では、第1音声V1は、監視手段11によって報知装置100の周囲環境の異常が検知されたことを報せる警報であり得る。すなわち、第1音声V1は、緊急度の高い情報の報知であり得る。一方、第2音声V2は、第1音声V1よりも報知装置100の周囲環境との関連性の低い情報の報知であり得る。すなわち、第2音声V2、比較的、緊急度の低い情報の報知であり得る。そのため、本実施形態の報知装置100では、常に、監視手段11による検知情報に基づく第1音声V1を、通信により得られる情報に基づく第2音声V2よりもユーザーに優先して報知することが要求されることがある。そのため、本実施形態の報知装置100は、出力手段40に、第1処理手段10からの発声指示I1による第1音声V1を第2処理手段20からの発声指示I2による第2音声V2よりも優先して発しさせる。
【0043】
第1音声V1によって発せられる監視情報は、例えば報知装置100が警報器である場合、ガスセンサや温度センサである監視手段11で検知されるガス漏れや火災の発生についての情報であり得る。また、第1音声V1によって発せられる監視情報は、例えば、ある程度までの高温や高湿度が単独で温度センサ又は湿度センサで検出されたことに伴う熱中症リスクの一定程度の上昇についての情報であり得る。第1音声V1によって発せられる監視情報は、例えば、監視情報源Isによる家庭用電化機器における自動動作の終了などに関する情報であってもよい。
【0044】
第2音声V2によって発せられる、外部機器Eとの通信により得られる情報は、例えば、荒天による各種気象警報の発令などに関する情報であり得る。また、外部機器Eとの通信により得られる情報は、例えば、通信により得られる情報のうち、最寄りの交通機関の運休などに関する情報であり得る。外部機器Eとの通信により得られる情報は、単なる時事ニュースなどについての情報であってもよい。
【0045】
<検知手段>
上述のように、本実施形態の報知装置100において、第1処理手段10からの発声指示I1による第1音声V1は、第2処理手段20からの発声指示I2による第2音声V2よりも優先して、出力手段40から発せられる。このような第1音声V1の優先的な発声は、第1音声V1の発声中であるにも拘らず、第2処理手段20が誤って第2音声V2を出力手段40に発しさせることによって妨げられることがある。このような第2処理手段20による第2音声V2の誤制御が第1音声V1に与える影響をなくすために、本実施形態の報知装置100では、第2処理手段20から出力手段40への第2音声V2の発声指示I2を検知する検知手段30が設けられている。検知手段30は、第2処理手段20と出力手段40との間の接続経路CL2の状態を検知することによって、第2処理手段20から出力手段40に第2音声V2の発声指示I2が送られていることを検知する。
【0046】
図1の報知装置100において、検知手段30は、第2処理手段20と出力手段40との間の接続経路CL2と、第1処理装置10とを接続する接続経路CL3に配置されている。接続経路CL2を介して、第2音声V2の発声指示I2が検知手段30に入力され、発声指示I2の検知結果が第1処理手段10に出力される(以下、第2音声V2の発声指示I2を検出した場合の第1処理手段10への出力は「検知通知ND1」とも称され、第2音声V2の発声指示I2の検出を終了した場合の第1処理手段10への出力は「検知終了通知ND2」とも称される)。なお、検知手段30は、第1処理手段10に組み込まれていてもよい。
【0047】
検知手段30は、第2処理手段20から出力手段40に第2音声V2の発声指示I2が送られていることを検知できるものであれば、特に限定されず、任意の態様を有し得る。図2には、図1の検知手段30の一例として、比較回路31が示されている。比較回路31は、発声指示I2の電圧である入力電圧VINと所定の基準電圧VREFとを入力し、入力電圧VINと基準電圧VREFとの比較結果を出力電圧VOUTとして出力するコンパレータであり得る。比較回路31は、基準電圧を入力する第1入力端子311と、基準電圧と比較する比較対象の電圧を入力する第2入力端子312と、基準電圧に対する比較対象の電圧の大小を比較結果として出力する出力端子313と、を有している。図1の報知装置100では、比較回路31が、入力電圧VINが基準電圧VREF以上であるとの比較結果を出力したときに、第1処理手段10は、検知通知ND1があったとして、出力手段40に第2音声V2の発声指示I2が送られていると判断する。また、比較回路31が、入力電圧VINが基準電圧VREF未満であるとの比較結果を出力したときに、第1処理手段10は、検知通知ND1がないとして、出力手段40に第2音声V2の発声指示I2が送られていないと判断する。比較回路31が、入力電圧VINが基準電圧VREF以上であるとの比較結果を出力した後に、入力電圧VINが基準電圧VREF未満であるとの比較結果を出力したときに、第1処理手段10は、検知終了通知ND2があったとして、出力手段40に第2音声V2の発声指示I2が送られていないと判断する。
【0048】
図3Aには、比較回路31の動作の一例が示されている。図3Aでは、第2音声V2の発声指示I2は、アナログ信号である。図3Aの例では、比較回路31は、第2入力端子312に入力される入力電圧VINである第2音声V2の発声指示I2と、第1入力端子311に入力される基準電圧VREFと、を比較し、「VIN≧VREF」の場合に、ハイレベル電圧(以下、比較回路31のハイレベル電圧の出力は「1」と称される)を出力し、「VIN<VREF」の場合に、ロウレベル電圧(以下、比較回路31のロウレベル電圧の出力は「0」と称される)を出力する。基準電圧VREFは、アナログ信号が伝送し得る最大音量に対応する最大電圧VMAX(デジタル信号から変換されたアナログ信号の場合、デジタル信号での0dBFSに対応する電圧)と、無音量に対応する最小電圧VMINとの間の任意の電圧に設定され得る。基準電圧VREFは、例えば、入力電圧VINであるアナログ信号の振幅のn%にオフセット電圧を加えた電圧(|最大電圧VMAX-最小電圧VMIN|×n/100+最小電圧VMINであり、nは、例えば、1、5、10、20など)であり得る。
【0049】
図3Aの例では、例えば、第1処理手段10は、「1」の出力が送られた時刻TA1に、検知通知ND1があったと判断してもよく、時刻TA1から所定時間経過した時刻TA2までの間に連続して「1」の出力が送られたときに、検知通知ND1があったと判断してもよい。後者の場合、発声指示I2に含まれ得るノイズによって、発声指示I2があったと誤判断することが抑制される。時刻TA1から時刻TA2までの時間は、発声指示I2である音声信号に元来含まれる最小周波数の周期より小さいことが好ましい。また、例えば、第1処理手段10は、「1」の出力から「0」の出力に遷移した時刻TA3に、検知終了通知ND2があったと判断してもよく、時刻TA3から所定時間経過した時刻TA4までの間に連続して「0」の出力が送られたときに、検知終了通知ND2があったと判断してもよい。後者の場合、発声指示I2のない状態が含まれ得るノイズによって、発声指示I2があったと誤判断することが抑制される。時刻TA3から時刻TA4までの時間は、発声指示I2である音声信号に元来含まれる最小周波数の周期より小さいことが好ましい。
【0050】
なお、第2音声V2の発声指示I2は、デジタル信号であってもよい。図3Bには、第2音声V2の発声指示I2がデジタル信号である場合の、比較回路31の動作の一例が示されている。図3Bの例では、比較回路31は、図3Aと同様に、第2入力端子312に入力される入力電圧VINである第2音声V2の発声指示I2と、第1入力端子311に入力される基準電圧VREFと、を比較し、「VIN≧VREF」の場合に、「1」を出力し、「VIN<VREF」の場合に、「0」を出力する。基準電圧VREFは、デジタル信号のハイレベル電圧VHとロウレベル電圧VLとの間の任意の電圧に設定され得る。基準電圧VREFは、例えば、ハイレベル電圧VHとロウレベル電圧VLとの中央値であり得る。基準電圧VREFは、デジタル信号の論理回路において、ハイレベル電圧VHとロウレベル電圧VLとを検知するために設定されている閾値電圧であってもよい。また、図3Bの例では、発声指示I2が正論理のデジタル信号として示されているが、発声指示I2は、負論理のデジタル信号であってもよい。発声指示I2が負論理のデジタル信号であり、出力電圧VOUT図3Bと同じ論理である場合、比較回路31は、「VIN≧VREF」のときに「0」を出力し、「VIN<VREF」のときに「1」を出力する。
【0051】
図3Bの例では、例えば、第1処理手段10は、1回目の「1」の出力が送られた時刻TB1に、検知通知ND1があったと判断してもよく、発声指示I2の信号の所定の周期内(例えば、50周期~100周期)又は所定の時間内(例えば、0.1~0.5秒)で、n回目の「1」の出力が送られた時刻TB2に検知通知ND1があったと判断してもよい。後者の場合、発声指示I2を高精度に判断することができる(図3Bの例では、n=3)。検知通知ND1があったと判断する「1」の出力の数(n)は、好ましくは2~10であり、より好ましくは2~5である。また、例えば、第1処理手段10は、発声指示I2の信号の所定の周期内(例えば、50周期~100周期)又は所定の時間内(例えば、0.1~0.5秒)で、「0」の出力が連続して送られたとき(図3Bでは、時刻TB3)に、検知終了通知ND2があったと判断してもよい。
【0052】
検知手段30は、発声指示I2の電圧波形が、予め登録されている波形と一致するか否かを判定するパターン照合回路であってもよい。例えば報知装置100が警報器であり、第2音声V2が、「大雨警報が発令されています」又は「暴風警報が発令されています」などである場合、これらの第2音声V2に対応する発声指示I2の電圧波形が、検知手段30に予め登録される。この例では、検知手段30は、発声指示I2の電圧波形と、予め登録された波形と、を比較し、両者が一致する場合には、第2処理手段20から出力手段40に第2音声V2の発声指示I2が送られていると判断する。
【0053】
<第1処理手段と第2処理手段との間の交信>
第1音声V1が第2音声V2よりも優先して発せられるように、第1処理手段10及び第2処理手段20は、第1音声V1及び第2音声V2の発声に関する情報の交信を行ってもよい。第1処理手段10は、例えば、通信経路CLを介して、第1音声V1の発声指示I1を出力手段40に送ることを第2処理手段20に通知する(以下、この通知は「発声通知N11」とも称される)。第1処理手段10は、例えば、通信経路CLを介して、発声指示I1の出力手段40への送信を終了したことを第2処理手段20に通知してもよい(以下、この通知は「発声終了通知N12」とも称される)。一方、第2処理手段20は、例えば、通信経路CLを介して、第2音声V2の発声指示I2を出力手段40に送ることを第1処理手段10に通知する(以下、この通知は「発声通知N21」とも称される)。第2処理手段20は、例えば、通信経路CLを介して、発声指示I2の出力手段40への送信を終了したことを第1処理手段10に通知してもよい(以下、この通知は「発声終了通知N22」とも称される)。このように、互いにそれぞれの音声を発することを通知し合うことで、第1処理手段10及び第2処理手段20の一方が、他方の制御によって第1音声V1又は第2音声V2が発せられていることを把握することができる。本実施形態の報知装置100では、上述のように、出力手段40から第1音声V1を優先的に発しさせるために、第2処理手段20は、第1処理手段10から発声通知N11が送られているときに、出力手段40に第2音声V2の発声指示I2を送らないようにする。
【0054】
<報知装置の不具合検知>
しかし、第2処理手段20の制御に異常が発生すると、第1処理手段10から第2処理手段20に発声通知N11が送られている場合であっても、第2処理手段20が、誤って、出力手段40に第2音声V2の発声指示I2を送ってしまうことがある。そのため、本実施形態の報知装置100では、第1処理手段10は、第1音声V1の優先的な発声に関する不具合の有無を判断する機能を有している。例えば、第1処理手段10は、第2処理手段20からの発声通知N21、及び検知手段30の検知結果(具体的には、検知通知ND1の有無)に基づいて、音声の発声に関する第2処理手段20の動作の正常性を判断する。
【0055】
第1処理手段10は、第1音声V1の発声中に、音声の発声に関する第2処理手段20の動作の正常性を判断してもよい。第1音声V1の発声中に、第2処理手段20からの発声通知N21及び検知手段30からの検知通知ND1があると、第1音声V1の発声を優先せずに、出力手段40からの第2音声V2が発せられることが予想される。そのため、第1処理手段10は、第1音声V1の優先的な発声に対して不具合が生じていると判断することができる。
【0056】
第1処理手段10は、第2処理手段20からの発声通知N21、又は検知手段30からの検知通知ND1のいずれかが送られてきたときに、音声の発声に関する第2処理手段20の動作の正常性を判断してもよい。第1処理手段10が第2処理手段20からの発声通知N21及び検知手段30からの検知通知ND1のいずれか一方のみを受けている場合、発声通知N21及び検知通知ND1のうちの一方は、第2音声V2が発生されていると通知しており、他方は、第2音声V2が発生されていることを通知していない。すなわち、第2処理手段20からの発声通知N21及び検知手段30からの検知通知ND1の通知内容が互いに一致していない。これらの場合、第2処理手段20が、第1処理手段10への発声通知N21を怠っているか、又は、第2音声V2の発声指示I2を出力手段40に送っていないにも拘らず、発声通知N21を第1処理手段10に送っていることが予想される。すなわち、第2処理手段20の制御に異常が生じていることが予想されるため、第2処理手段20の制御異常が、第1音声V1の優先的な発声に支障を生じることも予想される。そのため、このような場合、第1処理手段10は、第1音声V1の優先的な発声に対して不具合が生じていると判断してもよい。
【0057】
第1音声V1の優先的な発声に対して不具合が生じていると判断した場合、第1処理手段10は、不具合が生じているとの判断に基づく報知を出力手段40に発しさせてもよい。そうすることで、ユーザーなどに不具合の発生を気付かせることができる。また、第1処理手段10が第1音声V1の優先的な発声に対して不具合が生じていると判断した場合、第1処理手段10は、出力手段40から第2音声V2が発せられないように第2処理手段20を制御する制御信号Sc1を第2処理手段20に送ってもよい。そうすることで、緊急度の高い情報の報知であり得る第1音声V1を、第2音声V2によって妨げられることなく、ユーザーなどに聴取させることができる。制御信号Sc1は、出力手段40から第2音声V2が発せられないように第2処理手段20を制御可能であれば、特に限定されない。例えば、制御信号Sc1は、第2処理手段20への電源電圧の供給を遮断する信号であってもよく、第2処理手段20の起動状態を停止する信号であるか、又は第2処理手段20の起動状態を断続的に中断する信号であってもよい。
【0058】
本実施形態の報知装置100では、このように、検知手段30が、第2処理手段20と出力手段40との間の接続経路CL2の状態を検知することによって、第2処理手段20から出力手段40に第2音声V2の発声指示I2が送られていることを検知するように構成されている。報知装置100がこのような検知手段30を有することで、優先されるべき第1音声V1の発声中に、第2処理手段20が第2音声V2の発声指示I2を出力手段40に送るような第2処理手段20の制御異常が発生した場合であっても、検知手段30が発声指示I2を検知する。そのため、第1処理手段10は、検知手段30からの検知通知ND1に基づいて、第1音声V1の優先的な発声に関する第2処理手段20の動作の正常性を判断することができる。第1処理手段10が、検知手段30からの検知通知ND1に加え、第2処理手段20からの発声通知N21に基づいて、第1音声V1の優先的な発声に関する第2処理手段20の動作の正常性を判断する場合には、第1処理手段10は、検知手段30の検知通知ND1と第2処理手段20からの発声通知N21との整合性から、第2処理手段20の制御異常を判断することができる。
【0059】
第2処理手段20の制御異常との判断によって、例えば第1処理手段10が出力手段40に不具合の発生を発しさせる場合には、ユーザーなどに不具合の発生を気付かせることができる。また、第2処理手段20の制御異常との判断によって、例えば第1処理手段10が出力手段40から第2音声V2が発せられないように第2処理手段20を制御する場合には、緊急度の高い情報の報知であり得る第1音声V1を、第2音声V2によって妨げられることなく、ユーザーに聴取させることができる。
【0060】
<報知装置における不具合検知方法の一例>
図4A図4Eを参照して、第1音声V1の優先的な発声に関する不具合検知方法の一例を説明する。図4Aには、第1音声V1及び第2音声V2が発せられるときの各処理手段での処理の手順が示されており、図4Bには、第1音声V1の優先的な発声の例が示されており、図4C図4Eには、不具合検出の例が示されている。なお、図4A図4Eにおいて、二点鎖線L1から左側には、第1処理手段10による処理が示され、右側には、第2処理手段20による処理が示されている。
【0061】
図4Aの例において、例えば監視手段11(図1参照)で、火災の発生などが検知され、監視手段11からの監視情報が第1処理手段10で取得されると(図4AのステップS10)、第1処理手段10は、第2処理手段20に第1音声V1の発声通知N11を送る(ステップS101)とともに、第1音声V1の発声指示I1を出力手段40に送る(ステップS102)。第1音声V1の発声通知N11を受けた第2処理手段20は、優先されるべき第1音声V1が発声されており、第2音声V2を発声できないことを把握する。その後、監視情報に基づく第1音声V1の発声が終了すると(図4AのステップS103)、第1処理手段10は、第2処理手段20に第1音声V1の発声終了通知N12を送る(図4AのステップS104)。第1音声V1の発声終了通知N12を受けた第2処理手段20は、優先されるべき第1音声V1が発声されていないため、第2音声V2を発声できることを把握する。
【0062】
一方、通信部2(図1参照)による通信で時事ニュースなどに関する音声情報を第2処理手段20が取得すると(図4AのステップS20)、第2処理手段20は、第1処理手段10に第2音声V2の発声通知N21に送るとともに(図4AのステップS201)、第2音声V2の発声指示I2を出力手段40に送る(ステップS202)。第2音声V2の発声通知N21を受けた第1処理手段10は、第2音声V2が発声されていることを把握する。また、第1処理手段10は、検知手段30(図1参照)から第2音声V2の発声指示I2の検知通知ND1を受ける(図4AのステップS111)。第2音声V2の発声指示I2の検知通知ND1を受けた第1処理手段10は、第2音声V2が発声されていることを把握する。
【0063】
第1処理手段10は、第2処理手段20からの発声通知N21及び検知手段30からの検知通知ND1の両方を受けた場合、第1音声V1の優先的な発声に関する不具合が生じていないと判断する(図4AのステップS121において「Y」)。図4Aの例では、第2処理手段20からの発声通知N21及び検知手段30からの検知通知ND1は、第2音声V2が発生されているとの通知で一致しているため、第1処理手段10は、第1音声V1の優先的な発声に関する不具合が生じていないと判断する(図4AのステップS121において「N」)。第1処理手段10は、発声に関する不具合を生じていないと判断した場合、第1音声V1の発声を制御し続ける(図4AのループL101)。
【0064】
一方、第2処理手段20は、音声情報に基づく第2音声V2の発声が終了すると(図4AのステップS203)、第2処理手段20は、第1処理手段10に第2音声V2の発声終了通知N22を送る(図4AのステップS204)。第2音声V2の発声終了通知N22を受けた第1処理手段10は、第2音声V2が発声されていないことを把握する。なお、図4Aの例では、第2処理手段20は、第1処理手段10が発声に関する不具合を生じていないと判断した場合には、第1処理手段10に制御されず(図4AのステップS21において「N」)、第2音声V2の発声を制御し続ける(図4AのループL20)。
【0065】
第1音声V1の優先的な発声に不具合が生じておらず、第1処理手段10が第1音声V1を発声させようとするときに、第2処理手段20が第2音声V2を発声させている場合には、各処理手段は、例えば、図4Bに示される手順で処理を行う。第2処理手段20が第2音声V2を発声させている(図4BのステップS201及びS202)場合に、第1処理手段10が第1音声V1の発声通知N11を送る(図4BのステップS101)と、第2処理手段20は、第2音声V2の発声指示I2の出力手段40への送信を中断又は停止することによって、第2音声V2の発声を終了する(図4BのステップS203)。第1処理手段10は、第2処理手段20からの第2音声V2の発声終了通知N22(図4BのステップS204)を受信すると、第1音声V1の発声指示I1を出力手段40に送る(図4BのステップS102)。そうすることで、第1音声V1が優先的に発声される。その後、第1処理手段10は、第1音声V1の発声を終了すると(図4BのステップS103)、第2処理手段20に第1音声V1の発声終了通知N12を送り(図4BのステップS104)、第2処理手段20は、必要に応じて、中断又は停止した第2音声V2の発声指示I2を出力手段40に送る(図4BのステップS202)。
【0066】
これに対して、第1音声V1の優先的な発声に不具合が生じている場合がある。例えば、図4Cの例のように、第1処理手段10が、第1音声V1の発声中(図4CのステップS101及びS102)に、検知手段30からの検知通知ND1(図4CのステップS111)及び第2処理手段20からの発声通知N21(図4CのステップS201)の少なくともいずれかを受けたときには、第1音声V1の優先的な発声を前提としているにも拘らず、第2音声V2が第1音声V1に重畳して発声されることになる。そうすると、緊急度の高い情報の報知であり得る第1音声V1が、第2音声V2によって妨げられ、ユーザーなどに聴取させないことがある。そのため、第1処理手段10は、第1音声V1の優先的な発声に関する不具合が生じていると判断する(図4AのステップS121において「Y」)。
【0067】
また、例えば、図4Dの例のように、検知手段30からの検知通知ND1(図4DのステップS111)があり、第2処理手段20からの発声通知N21(図4DのステップS201)がないときには、第2処理手段20が、第1処理手段10への発声通知N21を怠って、第2音声V2の発声指示I2を出力手段40(図1参照)に送っていることが予想される。すなわち、この場合、第2処理手段20の制御に異常が生じていることが予想されるため、第2処理手段20の制御異常が、第1音声V1の優先的な発声に支障を生じることも予想される。この場合、第1処理手段10は、第1音声V1の優先的な発声に対して不具合が生じていると判断する(図4AのステップS121において「Y」)。
【0068】
また、例えば、図4Eの例のように、検知手段30からの発声指示I2の検知通知ND1(図4EのステップS111)がなく、第2処理手段20からの発声通知N21(図4EのステップS201)があるときには、第2処理手段20が、第2音声V2の発声指示I2を出力手段40(図1参照)に送っていないにも拘らず、第1処理手段10に発声通知N21を送っていることが予想される。すなわち、この場合、第2処理手段20の制御に異常が生じていることが予想されるため、第2処理手段20の制御異常が、第1音声V1の優先的な発声に支障を生じることも予想される。この場合にも、第1処理手段10は、第1音声V1の優先的な発声に対して不具合が生じていると判断してもよい(図4AのステップS121において「Y」)。
【0069】
図4C図4Eの例のように、不具合が生じていると判断される場合(図4AのステップS121において「Y」)、第1処理手段10は、不具合が生じているとの判断に基づく報知を出力手段40(図1参照)に発しさせてもよい(図4AのステップS15)。そうすることで、ユーザーなどに不具合の発生を気付かせることができる。報知装置100が警報器である場合、不具合が生じているとの判断に基づく報知は、「警報器に故障が発生しています」などの発声であり得る。
【0070】
また、図4C図4Eの例のように、不具合が生じていると判断される場合(図4AのステップS121において「Y」)、第1処理手段10は、第2音声V2が発せられないように、第2処理手段20又はその周辺機器などを制御する制御信号Sc1を送ってもよい(図4AのステップS16)。そうすることで、緊急度の高い情報の報知であり得る第1音声V1を、第2音声V2によって妨げられることなく、ユーザーなどに聴取させることができる。第1処理手段10による第2処理手段20の又はその周辺機器などの制御は、例えば、第2処理手段20への電源電圧の遮断、第2処理手段20の起動状態の停止、又は第2処理手段20の起動状態の断続的な中断であり得る。第2処理手段20への電源電圧の遮断は、第1処理手段10が第2処理手段20の電源を制御するか、又は第2処理手段20の電源の第2処理手段20への電力供給経路を制御することによって実行され得る。これらの例のような第2音声V2の発声の阻害を受けると(図4AのステップS21において「Y」)、第2処理手段20は、電源電圧の遮断、起動状態の停止又は断続的に中断によって、第2音声V2の制御を停止又は中断し(図4AのステップS22)、その後も、第1処理手段10は、第1音声V1の発声を制御し続ける(図4AのループL11)。
【0071】
<報知装置の不具合検知の変形例>
図5及び図6には、第1音声V1の優先的な発声に関する不具合検知方法の変形例がフローチャートで示されている。図5及び図6において、図4A図4Eの例の不具合検知方法のステップと同様のステップについては、図4A図4Eに付された符号と同じ符号が付されるか省略され、そのステップに関する繰り返しとなる説明は省略される。図5及び図6の変形例の不具合検知方法では、第1音声V1の優先的な発声に不具合が生じているか否かの判断時点が、図4A図4Eの例の不具合検知方法と異なっている。
【0072】
図4A図4Eの例の不具合検知方法では、検知手段30からの検知通知ND1(図4AのステップS111)及び第2処理手段20からの発声通知N21(図4AのステップS201)のいずれかを受信したときに、第1処理手段10は、第1音声V1の優先的な発声に不具合が生じているか否かを判断している(図4AのステップS121)。しかし、図5に示される変形例1のように、第1音声V1を発声させる(図5のステップS101及びS102)前、第1処理手段10は、第1音声V1の優先的な発声に不具合が生じているか否かを判断してもよい(図5のステップS121)。例えば、不具合が生じていないと判断した場合(図5のステップS121において「N」)、第1処理手段10は、第1音声V1を発声させる(図5のステップS101及びS102)。例えば、不具合が生じていると判断した場合(図5のステップS121において「Y」)、第1処理手段10は、図4A図4Eの例と同様に、第1処理手段10は、不具合が生じているとの判断に基づく報知を出力手段40に発しさせてもよく(図5のステップS15)、第2音声V2が発せられないように、第2処理手段20又はその周辺機器などを制御してもよい(図5のステップS16)。
【0073】
また、図6に示される変形例2のように、第2処理手段20からの第2音声V2の発声終了通知N22(図6のステップS204)及び検知手段30からの検知終了通知ND2(図6のステップS112)の有無に基づいて、第1処理手段10は、音声の発声に関する第2処理手段20の動作の正常性を判断してもよい(図6のステップS121及びステップS122)。例えば、第1処理手段10は、第2処理手段20からの発声終了通知N22及び検知手段30からの検知終了通知ND2の両方を受けた場合、第1音声V1の優先的な発声に関する不具合が生じていないと判断する(図6のステップS121において「N」、及び、ステップS122において「N」)。例えば、第2処理手段20からの発声終了通知N22及び検知手段30からの検知終了通知ND2のいずれか一方でも受けていない場合に、第1音声V1の優先的な発声に関する不具合が生じていないと判断する(図6のステップS121において「Y」、又は、ステップS122において「Y」)。
【0074】
第1音声V1の優先的な発声に不具合が生じているか否かの判断時点は、図4A図4Eの例、図5の変形例1、及び図6の変形例2に限定されず、第1処理手段10は、任意の時点で、第1音声V1の優先的な発声に不具合が生じているか否かを判断してもよい。
【0075】
<一実施形態の報知装置の第1変形例>
図7には、一実施形態の報知装置の第1変形例である報知装置101の主要な構成要素がブロック図で示されている。図7において、図1の例の報知装置100の構成要素と同様の構成要素については、図1に付された符号と同じ符号が付されるか省略され、その構成要素に関する繰り返しとなる説明は省略される。図7の報知装置101では、報知部1に含まれる第1処理手段10及び通信部2に含まれる第2処理手段20が、1つの処理装置Pの内部で区分されている点で、図1に示される報知装置100と異なっている。
【0076】
報知装置101の処理装置Pでは、処理装置Pを構成するCPUやメモリなどの各ハードウェア資源が、第1処理手段10及び第2処理手段20のいずれかに割り当てられていてもよい。また、処理装置Pでは、各ハードウェア資源が、第1処理手段10及び第2処理手段20に割り当てられるのではなく、ハードウェア資源それぞれの内部が、第1処理手段10を担う部分と第2処理手段20を担う部分とに仕切られていてもよい。報知装置101において処理装置Pは、CPUに複数のコアを有するマルチコアタイプのマイコンであってもよく、複数のコアの一つが報知機能に宛てがわれ、他の一つが通信機能に宛てがわれてもよい。そのようにして、処理装置Pの内部が、第1処理手段10を担う部分と第2処理手段20を担う部分とに区分されていてもよい。
【0077】
図7の報知装置101は、このように、第1処理手段10及び第2処理手段20が単一の処理装置Pで構成され、単一の処理装置Pの内部が、第1処理手段10を担う部分と第2処理手段20を担う部分とに区分されている。そのため、報知装置101では、報知部1の第1処理手段10及び通信部2の第2処理手段20が単一の処理装置Pで主に構成されているので、第1処理手段10と第2処理手段20とを跨ぐような処理が高速に行われると考えられる。
【0078】
図7の報知装置101における不具合検知方法は、図1の報知装置100の不具合検知方法と同様であるため、ここでは説明は省略される。
【0079】
<一実施形態の報知装置の第2変形例>
図8には、一実施形態の報知装置の第2変形例である報知装置102の主要な構成要素がブロック図で示されている。図8において、図1の例の報知装置100の構成要素と同様の構成要素については、図1に付された符号と同じ符号が付されるか省略され、その構成要素に関する繰り返しとなる説明は省略される。図8の報知装置102では、第2処理手段20から出力手段40への発声指示I2を阻害する阻害手段60が設けられている点で、図1に示される報知装置100と異なっている。なお、図8の報知装置102において、図1における監視情報源Is及び監視情報源Isを構成する機器EEの図示は省略されている。
【0080】
図8の報知装置102では、阻害手段60は、発声指示I2を伝達する、第2処理手段20と出力手段40との間の接続経路CL2に配置されている。阻害手段60は、制御端子60cと、入力端子60a及び出力端子60bと、を有している。第1処理手段10は、阻害手段60の制御端子60cに接続されており、第2処理手段20は、入力端子60aに接続されており、出力手段40は、出力端子60bに接続されている。第1処理手段10は、制御端子60cに所定の制御信号Scを送って、第2処理手段20から入力端子60aに入力される発声指示I2を制御して、出力端子60bから出力手段40への発声指示I2の出力を阻害する。
【0081】
図9Aは、阻害手段60の一例として、スイッチ回路61を示している。スイッチ回路61は、第1処理手段10は、第1処理手段10から制御端子60cに入力される制御信号Scに従って、第2処理手段20側の入力端子60aと、出力手段40側の出力端子60bとの間を、導通状態と非導通状態(すなわち絶縁状態)との間で切り替え得る構造を有している。なお「導通状態」は、一例として50Ω未満の電気抵抗を有する状態であり得、「非導通状態」は、1MΩ以上の電気抵抗を有する状態であり得る。スイッチ回路61は、第1処理手段10の制御信号Scに基づいて、入力端子60aと出力端子60bとの間を非導通状態へと制御することによって、出力手段40への発声指示I2を阻害する。
【0082】
スイッチ回路61は、第1処理手段10の制御により、接続経路CL2の導通状態と非導通状態を切り替え可能であれば特に限定されず、任意の態様を有し得る。スイッチ回路61は、例えば、バイポーラトランジスタ、電界効果型トランジスタ、及びサイリスタなどの、スイッチング機能を有する個別半導体素子、電磁リレー、半導体リレー、並びに、アナログスイッチとして集積された半導体集積回路装置、などのスイッチング素子であり得る。
【0083】
出力手段40への発声指示I2の阻害は、上述したような、第2処理手段20と出力手段40との間の導通状態(電気抵抗値)を切り替える回路とは異なる構成の回路によって行われてもよい。例えば、出力手段40への発声指示I2の阻害は、出力手段40への信号の入力を不能にする回路によって防止されてもよい。図9Bには、出力手段40への信号の入力を不能にする回路の例である、出力手段40の入力の接地回路62が示されている。
【0084】
接地回路62は、トランジスタ及び抵抗Rを含んでいる。接地回路62は、図9Aのスイッチ回路61の代わりに配置され得る。すなわち、接地回路62の入力端子60aが第2処理手段20に、出力端子60bが出力手段40に、そして制御端子60cが第1処理手段10に、それぞれ接続される。そして、第1処理手段10によってトランジスタTのベース電流が制御される。すなわち、第1処理手段10は、監視手段11などで取得される監視情報に基づく第1音声V1を発しさせようとするときは、トランジスタTをオンさせる電流をトランジスタTのベースに供給する。トランジスタTがオン状態となって、トランジスタTのコレクタ、すなわち出力端子60bがGNDに電気的に接続されるので、出力手段40への発声指示I2の到達が防止される。なお、図9Bの接地回路62は、報知装置102に備えられ得る、出力手段40への信号の入力を不能にする回路の一例に過ぎない。出力手段40への信号の入力を不能にする回路は、特に図9Bの例の回路に限定されない。
【0085】
出力手段40への発声指示I2の阻害は、ユーザーなどによって第1音声V1を明確に聴取され得る程度に、第2音声V2の音量を小さくするように、発声指示I2を減衰させることによって行われてもよい。すなわち、この場合、出力手段40は、第1音声V1及び第2音声V2の両方を同時に発する。図9Cには、出力手段40への信号の入力を減衰させる回路の例である、出力手段40への入力の減衰回路63が示されている。
【0086】
減衰回路63は、トランジスタT及び抵抗R1、R2を含んでいる。減衰回路63は、図9Aのスイッチ回路61の代わりに配置され得る。すなわち、減衰回路63の入力端子60aが第2処理手段20に、出力端子60bが出力手段40に、そして制御端子60cが第1処理手段10に、それぞれ接続される。直列接続された抵抗R1と抵抗R2の一端が入力端子60aに接続され、他端がトランジスタTのコレクタに接続され、抵抗R1と抵抗R2との接続点が出力端子60bに接続されている。トランジスタTのエミッタが接地され、ベースが制御端子60cに接続されている。トランジスタTはスイッチング素子として動作し、トランジスタTが非導通の状態では、第2処理手段20から送られる発声指示I2は、抵抗R1だけを通って、出力手段40に入力される。
【0087】
ユーザーなどによって第1音声V1を明確に聴取され得る程度に、第2音声V2の音量を小さくするように、発声指示I2を減衰させるために、第1処理手段10は、トランジスタTを導通状態にする制御信号Scを制御端子60cに出力する。制御信号Scによってトランジスタが導通状態となり、出力端子60bからは、抵抗R1の抵抗値と抵抗R2の抵抗値との比率による分圧で減衰された大きさの振幅を有する発声指示I2が出力され、出力手段40へと送られる。出力手段40からは、減衰された振幅に応じた、トランジスタTが非導通状態であるときよりも低い音量の第2音声V2が発せられる。このようにして、減衰回路63によって第2音声V2の音量が低下される。
【0088】
減衰回路63によって音量が低下された第2音声V2の音量は、一例として、第1音声V1の音量の1/100以上、1/10以下の音量であり得る。なお、図9Cの減衰回路63は、報知装置102に備えられ得る減衰手段の一例に過ぎない。減衰回路63は、第2音声V2の音量を低下させ得るものであれば、特に図9Cの例の回路に限定されない。
【0089】
図8の報知装置102における不具合検知方法では、図4Aのフローチャートとは異なり、第2処理手段D20は、起動状態を停止又は中断されることなく、第2音声V2の発声を制御し続ける。すなわち、図8の報知装置102における不具合検知方法は、図4AのフローチャートにおけるステップS21及びS22を有さずに、ループL20で第2音声V2の発声を制御し続ける。そうすることで、第2処理手段D20の起動状態の回復などの作業を要することなく、報知装置102を動作させ続けることができる。
【0090】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0091】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、実施形態の警報器の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、警報器の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動及びフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 報知部
10 第1処理手段
100、101、102 報知装置
11 監視手段
2 通信部
20 第2処理手段
21 通信手段
30 検知手段
40 出力手段
CL1、CL2、CL3 接続経路
I1、I2 発声指示
N11、N21 発声通知
N12、N22 発生終了通知
ND 検知通知
Sc、Sc1 制御信号
V1 第1音声
V2 第2音声
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
【手続補正書】
【提出日】2023-08-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1音声の発声を制御する第1処理手段と、
第2音声の発声を制御する第2処理手段と、
前記第1音声及び前記第2音声を発する出力手段と、
を備えていて、前記第1音声が前記第2音声よりも優先して前記出力手段から発せられる報知装置であって、
前記第1処理手段と前記第2処理手段とは前記出力手段との接続経路が異なっており、
前記第2処理手段と前記出力手段との間の接続経路の状態を検知することによって前記第2処理手段から前記出力手段に前記第2音声の発声指示が送られていることを検知する検知手段を前記第2処理手段とは別に備えている報知装置。
【請求項2】
前記検知手段は、前記第2処理手段と前記出力手段との間の接続経路の電圧を用いて、前記第2処理手段から前記出力手段に前記第2音声の発声指示が送られていることを検知する、請求項1記載の報知装置。
【請求項3】
第1音声の発声を制御する第1処理手段と、
第2音声の発声を制御する第2処理手段と、
前記第1音声及び前記第2音声を発する出力手段と、
を備えていて、前記第1音声が前記第2音声よりも優先して前記出力手段から発せられる報知装置であって、
前記第1処理手段と前記第2処理手段とは前記出力手段との接続経路が異なっており、
前記第2処理手段と前記出力手段との間の接続経路の状態を検知することによって前記第2処理手段から前記出力手段に前記第2音声の発声指示が送られていることを検知する検知手段をさらに備え、
前記第2処理手段は、前記発声指示を前記出力手段に送ることを報せる通知を前記第1処理手段に送るように構成されており、
前記第1処理手段は、前記通知、及び前記検知手段の検知結果に基づいて、音声の発声に関する前記第2処理手段の動作の正常性を判断する、報知装置。
【請求項4】
第1音声の発声を制御する第1処理手段と、
第2音声の発声を制御する第2処理手段と、
前記第1音声及び前記第2音声を発する出力手段と、
を備えていて、前記第1音声が前記第2音声よりも優先して前記出力手段から発せられる報知装置であって、
前記第1処理手段と前記第2処理手段とは前記出力手段との接続経路が異なっており、
前記第2処理手段と前記出力手段との間の接続経路の状態を検知することによって前記第2処理手段から前記出力手段に前記第2音声の発声指示が送られていることを検知する検知手段をさらに備え、
前記第1処理手段は、前記発声指示を前記出力手段に送ることを報せる通知が前記第2処理手段から送られていないときに前記発声指示が前記検知手段によって検知されると、前記第1音声の優先的な発声に関する不具合が生じていると判断するように構成されている、報知装置。
【請求項5】
第1音声の発声を制御する第1処理手段と、
第2音声の発声を制御する第2処理手段と、
前記第1音声及び前記第2音声を発する出力手段と、
を備えていて、前記第1音声が前記第2音声よりも優先して前記出力手段から発せられる報知装置であって、
前記第1処理手段と前記第2処理手段とは前記出力手段との接続経路が異なっており、
前記第2処理手段と前記出力手段との間の接続経路の状態を検知することによって前記第2処理手段から前記出力手段に前記第2音声の発声指示が送られていることを検知する検知手段をさらに備え、
前記第1処理手段は、前記第1音声を前記出力手段に発しさせることを前記第2処理手段に通知するように構成され、且つ、前記第1音声の発声中に前記発声指示が前記検知手段によって検知されると、前記第1音声の優先的な発声に関する不具合が生じていると判断するように構成されている、報知装置。
【請求項6】
前記第1処理手段は、前記不具合が生じているとの判断に基づく報知を、前記出力手段を用いて行うように構成されている、請求項4記載の報知装置。
【請求項7】
第1音声を制御する第1処理手段及び第2音声を制御する第2処理手段と、互いに異なる接続経路で前記第1処理手段及び前記第2処理手段それぞれと接続されていて前記第1音声及び前記第2音声を発する出力手段と、を備えている報知装置における不具合検知方法であって、
前記第2処理手段から前記出力手段に送られる前記第2音声の発声指示を、前記第2処理手段と前記出力手段との接続経路の状態を検知する検知手段に検知させることと、
前記第1処理手段及び前記第2処理手段の少なくとも一方に、前記出力手段に音声を発しさせるときに他方へと通知を送らせることと、
前記第1処理手段と前記第2処理手段との間で交わされる前記通知と、前記検知手段による前記発声指示の検知結果との組み合わせに基づいて、前記第2音声よりも優先される前記第1音声の発声に関する不具合の有無を前記第1処理手段に判断させることと、を含む、報知装置における不具合検知方法。
【請求項8】
前記不具合の有無の判断によって検知された不具合の報知を、前記出力手段を用いて行うことをさらに含んでいる、請求項7記載の報知装置における不具合検知方法。