(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131849
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理システムの保守方法
(51)【国際特許分類】
H04L 12/46 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H04L12/46 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042327
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000233295
【氏名又は名称】株式会社日立情報通信エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 正光
(72)【発明者】
【氏名】坂本 将行
(72)【発明者】
【氏名】増田 陸
(72)【発明者】
【氏名】川原 健太
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033BA11
5K033CB02
5K033DA06
5K033DA15
5K033DB17
5K033DB18
(57)【要約】
【課題】多数のIoT-GWを必要とする大規模環境に好適な情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理システムの保守方法を提供する。
【解決手段】IoTゲートウェイデバイスに接続される情報処理装置(200)であって少なくとも1以上のIoTゲートウェイデバイスから、当該IoTゲートウェイデバイスが用いるIoTネットワーク通信プロトコルに沿ったフォーマットで送信されたセンサデータを受信するIoTネットワーク通信処理部(310)と、上位システム(400)が用いる通信プロトコルに沿ったフォーマットにセンサデータのデータ形式を変換して、送信用センサデータを生成するセンサデータ受信加工部(330)と、送信用センサデータを上位システムに送信処理する送信処理部(340)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IoTゲートウェイデバイスに接続される情報処理装置であって、
少なくとも1以上のIoTゲートウェイデバイスから、当該IoTゲートウェイデバイスが用いるIoTネットワーク通信プロトコルに沿ったフォーマットで送信されたセンサデータを受信するIoTネットワーク通信処理部と、
上位システムが用いる通信プロトコルに沿ったフォーマットに前記センサデータのデータ形式を変換して、送信用センサデータを生成するセンサデータ受信加工部と、
前記送信用センサデータを前記上位システムに送信処理する送信処理部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記センサデータ受信加工部が前記センサデータから前記送信用センサデータに加工処理をする際に用いるデータ記憶するデータ受信設定ファイル記憶部を更に備え、
前記データ受信設定ファイル記憶部は、
前記情報処理装置に接続されたIoTゲートウェイデバイスの種類を分類する受信フィルタ、
前記上位システムが用いる通信プロトコルのフォーマットを定義した送信設定ファイル、
前記センサデータを前記上位システムが用いる通信プロトコルのフォーマットに沿って変換する際に用いるフォーマット変換データ、
及び前記フォーマットを変換したセンサデータを前記送信用センサデータに成型する際に使用するメッセージ成型データ、を含む、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
少なくとも1つ以上のセンサにIoT通信ネットワークを介して接続された少なくとも1つ以上のIoTゲートウェイデバイスと、
上位システムと、
前記1つ以上のIoTゲートウェイデバイスと前記上位システムとの間を中継する情報処理装置と、を備えた情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記少なくとも1以上のIoTゲートウェイデバイスから、当該IoTゲートウェイデバイスが用いるIoTネットワーク通信プロトコルに沿ったフォーマットで送信されたセンサデータを受信するIoTネットワーク通信処理部と、
前記上位システムが用いる通信プロトコルに沿ったフォーマットに前記センサデータのデータ形式を変換して、送信用センサデータを生成するセンサデータ受信加工部と、
前記送信用センサデータを前記上位システムに送信処理する送信処理部と、を含む、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理システムで実行される情報処理システムの保守方法であって、
前記上位システムの稼働中に、前記情報処理装置が新たに追加するIoTゲートウェイデバイスで用いられるIoTネットワーク通信プロトコルのデータを前記情報処理装置に追加して記憶するステップを含む、
ことを情報処理システムの保守方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理システムの保守方法に関する。
【背景技術】
【0002】
市場流通品のセンサやIoT-GWの中には、上位システム送信に対応し収集データを直接送信可能な機器も存在することから、これらのセンサやIoT-GWを用いてデータ収集システムを構築するケースが増えている。その一例として、特許文献1には「複数のセンサと通信可能な情報処理装置であって、関連するセンサを特定する特定手段と、前記特定手段で特定されたセンサの接続先の情報処理装置を決定する決定手段と、前記特定手段で特定されたセンサのセンサデータを、前記決定手段で決定された情報処理装置に送信させるべく、前記特定手段で特定された複数のセンサに対して、前記決定手段で決定された情報処理装置を接続先とする変更制御を実行する変更制御手段とを備える(要約抜粋)」情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多数のIoT-GWを必要とする大規模環境では(1)センサ、IoT-GWのマルチベンダ対応収容、増設・新設に対する対策、及び(2)IoT-GWごとの公共ネットワーク接続への接続、それに伴う脆弱性への対策が必要となる
【0005】
上記(1)の対策のために、使用機器が送信先の上位システムに非対応であった場合に、機器の再選定や上位システム側に対してインタフェース作成や検討が必要となる。そのため大規模な環境でデータ収集を行う場合には使用するセンサ等の機器の種類や数が増え、それぞれに対応、検討を行う必要があるため工数が増大するという課題がある。
【0006】
また、利用環境や要件等から代替機器を選択できない場合や顧客指定の機器を使用する場合には、上位システム側のインタフェース変更の検討が必要となるが、上位システムによってはインタフェースが変更できない場合も想定される。
【0007】
また、運用中にセンサ追加や変更を行う際に、インタフェースの追加や変更に伴い、上位システム側のインタフェース変更が必要となる。それによりシステム全体を停止する必要があるため、運用停止に備えた準備やその間にサービスを利用することができないことから、運用中におけるセンサ追加、変更は運用面での負荷が大きいという課題がある。
【0008】
また上記(2)の対策のために、IoT-GWから上位システムに送信する場合には、機器ごとに公共ネットワークへ接続を行うことから、それぞれに対してセキュリティ対策を検討・実施する必要がある。そのため、1つ目の課題と同様に、各々対応が必要となるため工数が増大する課題がある。
【0009】
特許文献1の情報処理装置は、関連するセンサを特定し収集する装置に割り当て、センサデータ処理の効率化を図っているが、異なる種類のセンサや機器間のインタフェースには言及していないため、上記課題を解決できていない。
【0010】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、多数のIoT-GWを必要とする大規模環境に好適な情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理システムの保守方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は特許請求の範囲に記載の構成を備える。その一例をあげるならば、IoTゲートウェイデバイスに接続される情報処理装置であって、少なくとも1以上のIoTゲートウェイデバイスから、当該IoTゲートウェイデバイスが用いるIoTネットワーク通信プロトコルに沿ったフォーマットで送信されたセンサデータを受信するIoTネットワーク通信処理部と、上位システムが用いる通信プロトコルに沿ったフォーマットに前記センサデータのデータ形式を変換して、送信用センサデータを生成するセンサデータ受信加工部と、前記送信用センサデータを前記上位システムに送信処理する送信処理部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、多数のIoT-GWを必要とする大規模環境に好適な情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理システムの保守方法を提供することができる。なお、上述した以外の目的、構成、効果については以下の実施形態において明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係るエッジデバイス集約システムの概略構成図である。
【
図3】エッジデバイス集約装置のハードウェア構成図である。
【
図4】エッジデバイス集約装置の機能ブロックについて説明する。
【
図5】受信フィルタのデータ構成例を示す図である。
【
図6】エッジデバイス集約装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。全図と通じて同一の構成には同一の符号を付し、重複説明を省略する。
【0015】
図1は、本実施形態に係るエッジデバイス集約システムの概略構成図である。
【0016】
図1のエッジデバイス集約システム10は、設備や制御機器に設置し動作状況を取得するセンサ101~105が検知したセンサデータを、IoT-GW(IoTゲートウェイデバイス)A1、B2、B3、エッジデバイス集約装置300を介して上位クラウドシステム(以下、上位システム)400に送信するシステムである。エッジデバイス集約システム10は、IoT-GWA1、B2、B3と上位システム400との間にエッジデバイス集約装置300を介在させ、エッジデバイス集約装置300にてIoT-GWA1、B2、B3の夫々から各IoT-GWA1、B2、B3が採用するプロトコル(以下「GWプロトコル」という)に従って送信されたセンサデータを受信し、上位システムが用いる通信プロトコルに沿ったフォーマットにセンサデータのデータ形式を変換して上位システム400に送信処理する情報方処理装置である。
【0017】
図1の上段では、エッジデバイス集約装置300に2台のIoT-GWA1、B1が接続されている。この状態で
図1の下段に示すようにエッジデバイス集約装置300に2IoT-B2を新たにエッジデバイス集約装置300に追加する際は、エッジデバイス集約装置300に追加するIoT-GWB2が用いるGWプロトコル3を追加すればよく、上位システム400の仕様変更は必要ない。よって、上位システム400の稼働を止めることなくIoT-GW、ひいてはその先に追加されるセンサを追加することできる点に、本実施形態に係るエッジデバイス集約システム10の特徴がある。
【0018】
センサ101~105及びIoT-GWA1、B2、B3間のIoTネットワーク通信プロトコル(以下「GWプロトコル」と称する)は、低消費電力、低通信負荷でデータの送受信が行えるプロトコル、例えば、6LowPANやCoAPが用いられる。
【0019】
センサ101~105は、設備や制御機器に設置し動作状況を取得するセンサである。例えば、センサ101~106は、温度センサ、湿度センサ、照度センサ、振動センサ、加速度センサ、方位センサ、測位センサ、カメラ、LiDAR、ミリ波レーダ、赤外線センサ等、種類を問わない。
【0020】
IoT-GWA1、B2、B3は、センサ101~105のそれぞれからセンサデータを受信し、外部機器にセンサデータを中継するデータ中継器である。1台のIoT-GWが複数のセンサに無線接続して各センサからセンサデータを取得することで、IoT-GWは複数のセンサを集約してセンサデータを収集する役割も果たす。
【0021】
従来はIoT-GWに外部機器として上位システム400に公共ネットワーク、例えばWAN、各通信キャリアの通信網、インターネットを介して接続していたため、上位システム400に送信するのに適した上位プロトコル、例えばTCP/IPに変換していた。
【0022】
本実施形態では外部機器としてエッジデバイス集約装置300に接続する。そこでIoT-GWA1、B2、B3とエッジデバイス集約装置300との間を各IoT-GWにおいて適用されているGWプロトコルを用いる。本明細書でいう「GWプロトコル」とは、IoT-GWに組み込まれ、IoT-GWとエッジデバイス集約装置300間で使用するプロトコルであって、ある特定のプロトコルに限定する意図ではなく使用する機器に合わせて組み込まれた任意のプロトコルを意味する。よって、GWプロトコルは、例えば、MQTT(Message Queuing Telemetry Transport)のような軽量プロトコルでもよい。
【0023】
【0024】
センサ101~105の夫々は、検出部107、プロセッサとしてのMCU108、及び無線通信I/F109を備える。無線通信I/F109は、IoT-GWA1、B2、B3の何れかと無線通信する為の無線通信I/Fである。
【0025】
図3は、エッジデバイス集約装置300のハードウェア構成図である。
【0026】
エッジデバイス集約装置300は、プロセッサ301、RAM(Random Access Memory)302、ROM(Read Only Memory)303、不揮発性メモリ304、IoTネットワーク通信I/F305、公衆ネットワーク通信I/F306、入力I/F307、及びビデオプロセッサ308を含み、これらがシステムバス309を介して互いに接続された情報処理装置を用いて構成される。
【0027】
プロセッサ301は、CPU(Central Processing Unit)でもよく、演算機能を実行するデバイスであれば種類を問わない。また、エッジデバイス集約装置300のハードウェア構成は上記に限定されず、制御回路と記憶装置との組み合わせにより構成されてもよい。
【0028】
IoTネットワーク通信I/F305は、IoT-GWA1、B2、B3と通信するIoTネットワークの通信インタフェースである。IoTネットワーク通信I/F305は、GWプロトコルを用いてIoT-GWからセンサデータを受信する。
【0029】
公衆ネットワーク通信I/F306は、公衆ネットワークを介して上位システム400と通信するための通信インタフェースである。よって、送信処理部に相当する。
【0030】
入力I/F307には、例えばマウス、キーボード、タッチパネル等の入力デバイス317が接続される。
【0031】
ビデオプロセッサ308には、例えばLCD、有機パネル等のディスプレイ319が接続される。
【0032】
図4は、エッジデバイス集約装置300の機能ブロックについて説明する。
【0033】
エッジデバイス集約装置300は、IoTネットワーク通信処理部310、データ受信設定ファイル記憶部320、センサデータ受信加工処理部330、センサデータ記憶部340、公衆ネットワーク通信処理部350を備える。
【0034】
データ受信設定ファイル記憶部320は、受信フィルタ321、送信設定データ322、フォーマット変換データ323、メッセージ成型データ324を記憶する。
【0035】
受信フィルタ321は、エッジデバイス集約装置300に接続されたIoTゲートウェイデバイスの種類を分類するフィルタである。
【0036】
送信設定データ322は、上位システム400が用いる通信プロトコルのフォーマットを定義した送信設定ファイルである。
【0037】
フォーマット変換データ323は、センサデータを上位システム400が用いる通信プロトコルのフォーマットに沿って変換する際に用いるデータである。
【0038】
メッセージ成型データ324は、フォーマットを変換したセンサデータを送信用センサデータに成型する際に使用するデータである。
【0039】
IoT-GWを増設する場合は、上位システム400を稼働した状態で、センサデータ受信加工処理部330が新たに接続するセンサやIoT-GWのGWプロトコルをデータ受信設定ファイル記憶部320に記憶された「データ受信設定ファイル」に追記する。これにより上位システム400の稼働を止めることなく、IoT-GWの増設が行なえる。
【0040】
図5は、受信フィルタ321のデータ構成例を示す図である。
【0041】
受信フィルタ321は、IoT-GWに接続されたセンサ種類ごとにタグを生成し、これ以降に行うフォーマット変換やメッセージの成形にこれらのタグを使用する。
【0042】
図6は、エッジデバイス集約装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【0043】
エッジデバイス集約装置300は、IoT-GWからのデータ受信をトリガーにセンサデータ受信加工処理部330を起動する(S1)。
【0044】
センサデータ受信加工処理部330は、例えばマクロプログラムを用いて構成されており、このマクロプログラムが起動することで「データ受信設定ファイル」に記述された受信・加工を行うデータやフォーマットの形式に従い、センサデータを加工する(S2)。
【0045】
センサデータ受信加工処理部330は、センサデータが設定ファイルに記載のないフォーマットの場合(S3:No)は、受信したデータを破棄し(S4)、フォーマットに記載がある場合(S3:Yes)には、エッジデバイスソフト上で取り扱う共通的なフォーマット、例えばTCP/IPを用いて送信用センサデータに加工し、センサデータ記憶部340へ格納する(S5)。
【0046】
公衆ネットワーク通信処理部は、センサデータ記憶部340へ格納したセンサデータを上位システム400へ送信する(S6)。
【0047】
本実施形態に係るエッジデバイス集約装置によれば、エッジデバイス集約装置上でセンサやIoT-GWから受信したデータを加工・変換処理を行う設定ファイルやマクロを定義し組み合わせて処理を行うことで、受信元のセンサやIoT-GWと送信先の上位システムとの互換性を向上させ、増設時や新設時に柔軟な対応が可能となる。
【0048】
また、センサやIoT-GWのデータ受信をエッジデバイス集約装置に集約することによってエッジデバイス集約装置のみの変更で、上位システムには変更を加えないため、変更の無い拠点は運用を継続することができ、影響範囲を局所化することが可能となる。
【0049】
また複数の異なるインタフェースのIoT-GWをエッジデバイス集約装置にて収容し公共ネットワークへ接続する回線を一本化することで、効率的な回線の利用やそれぞれのIoT-GWを公共ネットワークから隠蔽することが可能となる。
【0050】
更にエッジデバイス集約装置にて、受信するIoT-GWのインタフェースやデータフォーマットから設定ファイルやマクロを作成し、センサデータのフォーマットを合わせることで、センサやIoT-GWのインタフェースによる違いを吸収する。また、これらの設定ファイルやマクロを複数定義し、組み合わせることによって、異なるインタフェースのセンサやIoT-GWのインタフェースに対応することができる。
【符号の説明】
【0051】
10 :エッジデバイス集約システム
101~106 :センサ
107 :検出部
109 :無線通信I/F
300 :エッジデバイス集約装置
301 :プロセッサ
304 :不揮発性メモリ
305 :IoTネットワーク通信I/F
306 :公衆ネットワーク通信I/F
307 :入力I/F
308 :ビデオプロセッサ
309 :システムバス
310 :IoTネットワーク通信処理部
317 :入力デバイス
319 :ディスプレイ
320 :データ受信設定ファイル記憶部
321 :受信フィルタ
322 :送信設定データ
323 :フォーマット変換データ
324 :メッセージ成型データ
330 :センサデータ受信加工処理部
340 :センサデータ記憶部
350 :公衆ネットワーク通信処理部
400 :上位システム