(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131851
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】警報器及び警報器の初期化方法
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240920BHJP
G08B 21/16 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G08B17/00 C
G08B21/16
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042329
(22)【出願日】2023-03-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊
(72)【発明者】
【氏名】柏谷 康介
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 和也
【テーマコード(参考)】
5C086
5G405
【Fターム(参考)】
5C086AA01
5C086AA02
5C086DA10
5G405AB01
5G405AB02
5G405AB03
5G405AD09
5G405CA32
(57)【要約】
【課題】内部状態の変化によって一部機能が不能状態の警報器をユーザーなどの意志の下で正常に機能し得る状態に復帰させることを可能にする。
【解決手段】実施形態の警報器100は、少なくとも火災若しくはガスのいずれか一方を検知可能である検知部50と、検知部50の検知結果に基づいて警報を発する警報機能を制御する第1処理部1と、少なくとも警報機能以外の所定の機能を制御する第2処理部2と、手動操作を受け付ける受付部70と、を備えている。実施形態の警報器100は、所定の手動操作が受付部70に対して行われることによって第2処理部2の所定の初期化動作を実行するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも火災若しくはガスのいずれか一方を検知可能である検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて警報を発する警報機能を制御する第1処理部と、
少なくとも前記警報機能以外の所定の機能を制御する第2処理部と、
手動操作を受け付ける受付部と、
を備え、
所定の手動操作が前記受付部に対して行われることによって前記第2処理部の所定の初期化動作を実行するように構成されている警報器。
【請求項2】
前記所定の手動操作以外の手動操作を前記受付部で受け付けると、前記所定の初期化動作以外の動作を実行するように構成されている、請求項1記載の警報器。
【請求項3】
前記所定の初期化動作により、前記第2処理部に内蔵されているソフトウェアが初期化される、請求項1又は2記載の警報器。
【請求項4】
前記ソフトウェアの初期化用データを保管する記憶手段をさらに備え、
前記所定の初期化動作において、前記初期化用データを用いて前記ソフトウェアが書き換えられる、請求項3記載の警報器。
【請求項5】
前記所定の初期化動作において、前記警報器の稼働開始後に変更された、前記第2処理部を構成する部品の内部の状態が、前記変更をされる前の特定の時点の状態に戻される、請求項1又は2記載の警報器。
【請求項6】
前記所定の手動操作は、互いに異なる態様の操作である第1操作と第2操作とを含み、
前記第1操作の実行による前記所定の初期化動作により、前記第2処理部に内蔵されているソフトウェアが初期化され、
前記第2操作の実行による前記所定の初期化動作により、前記部品の内部の状態が、前記特定の時点の状態に戻される、請求項5記載の警報器。
【請求項7】
商用電源に接続される電源プラグをさらに備え、
前記受付部に対する前記所定の手動操作、及び、前記電源プラグと前記商用電源との接続又は分離が行われることによって、前記所定の初期化動作を実行するように構成されている、請求項1又は2記載の警報器。
【請求項8】
少なくとも火災若しくはガスのいずれか一方を検知可能である検知部と、前記検知部の検知結果に基づいて警報を発する警報機能を制御する第1処理部と、少なくとも前記警報機能以外の所定の機能を制御する第2処理部と、手動操作を受け付ける受付部と、を備える警報器の初期化方法であって、
前記警報器に初期化以外の動作の実行を指示する操作とは異なる態様の所定の手動操作を前記受付部に行うことによって前記第2処理部を初期化することを含んでいる、警報器の初期化方法。
【請求項9】
前記受付部に対する前記所定の手動操作の前、若しくは後に、又は前記所定の手動操作と同時に、前記警報器の電源プラグと商用電源とを接続又は分離することをさらに含んでいる、請求項8記載の警報器の初期化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報器、及び警報器の初期化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、周囲環境を温度センサやガスセンサで監視して、異常な状態の検出に応じて警報を発してユーザーに危険を報せる警報器が、一般家庭や、商業施設、及び工場などで用いられている。このような警報器は、ユーザーの安全確保のために重要な役割を果たしている。近年、このような警報器では、単純なビープ音だけでなく、多様な情報を伝えるメッセージを発し得るように、音声信号の処理装置や、スピーカなどの発声手段が備えられている。
【0003】
さらに、得られた情報を警報器の周囲だけでなく遠方の関係者にも伝えられるように、通信機能を有する警報器が普及している。そして、そのような通信機能を有する警報器は、特定の通信先との交信だけではなく、広く情報を発信できるように、また、多くの情報を外部から入手して警報器の周囲のユーザーの便益を高められるように、インターネットのようなネットワーク回線に接続可能なものも存在する。例えば、特許文献1には、警報メッセージを発するスピーカ、及び、インターネットへの接続を可能にするLANポートを備える警報器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の警報器では、前述したスピーカやLANポート、さらに、周囲環境を監視して警報機能を担うCOセンサなどの各種センサが、一つの信号処理回路に接続されている。そして、この一つの信号処理回路によって、警報器の主機能である警報機能に加えて、通信機能も制御されている。しかしこのような構成の場合、一つの信号処理回路で報知機能も通信機能も制御しているが故に、主機能である警報機能に支障を来たすことがある。例えば、新たな制御方式の取り込みやセキュリティレベルの向上のために繰り返される通信プロトコルのバージョンアップによって警報機能が影響を受けることがある。すなわち、このようなバージョンアップに伴って必要となる通信機能に関するソフトウェアのアップデート中に警報機能が機能停止に陥ったり、そのアップデートの不具合によって信号処理回路全体が動作不能に陥ったりすることが考えられる。
【0006】
このようなリスクを軽減する手段として、警報機能を制御する主処理装置と、通信機能などの副次的機能を制御する副処理装置とを、互いに独立して個別に設けることが考えられる。しかしこのように処理装置を機能ごとに個別に設けて動作させると、例えば外部機器との通信が、その内容次第で、主機能たる警報機能に影響を及ぼすことがある。例えば、音声情報が外部機器から送られてその情報が警報機能と共用のスピーカによって発せられる場合には、音声による警報が、副処理装置の制御の下で発せられる音声で阻害される虞がある。
【0007】
警報が阻害されないように、主処理装置に副処理装置の動作を制御させ、警報の発報時には、副処理装置による発声を制限することも可能である。しかし、主処理装置の制御の下で動作すべき副処理装置が、主処理装置の制御通りに動作し得ない状態に陥ることも考えられる。例えば、上記のように警報器が外部の機器と通信で接続されていると、その通信によって、通信を制御する副処理装置の内部の状態、例えば内部のメモリの記憶内容が変更されることがある。また、前述したように、通信を制御する副処理装置内のソフトウェアが通信を介してアップデートされることもある。このような副処理装置の内部状態の変更やソフトウェアのアップデートが適切に行われれば問題はないが、主処理装置による制御に支障が生じ得る状態に変更されたり、アップデート用のデータがバグを含んでいたりすることも考えられる。そのような場合、上記のように、主処理装置の制御が副処理装置に及ばないような状態も生じ得る。その結果、ユーザーの意図した環境下で警報が発せられなかったり、ソフトウェアのバグに至っては、警報機能が根本的に阻害されて全く機能しなくなったりすることも起こり得る。
【0008】
このような場合、警報器が意図通り又は全く動作していないことがユーザーには感知可能であるにも関わらず、対処手段がないために、業者による修理や交換まで不具合状態が長く継続してしまうということも起こり得る。このような事態は、ユーザーなどの安全が脅かされることとなり、ユーザーなどの安全確保という役割を担う警報器にとって好ましくない。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、内部状態の変化によって警報器の一部が機能しない状態に陥っても、ユーザーなどの意志の下で、正常に機能し得る状態に復帰させ得る警報器、及び警報器の初期化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の警報器は、少なくとも火災若しくはガスのいずれか一方を検知可能である検知部と、前記検知部の検知結果に基づいて警報を発する警報機能を制御する第1処理部と、少なくとも前記警報機能以外の所定の機能を制御する第2処理部と、手動操作を受け付ける受付部と、を備え、所定の手動操作が前記受付部に対して行われることによって前記第2処理部の所定の初期化動作を実行するように構成されている警報器である。
【0011】
上記警報器は、前記所定の手動操作以外の手動操作を前記受付部で受け付けると、前記所定の初期化動作以外の動作を実行するように構成されていてもよい。
【0012】
前記所定の初期化動作により、前記第2処理部に内蔵されているソフトウェアが初期化されてもよい。
【0013】
上記警報器は、前記ソフトウェアの初期化用データを保管する記憶手段をさらに備えていてもよく、前記所定の初期化動作において、前記初期化用データを用いて前記ソフトウェアが書き換えられてもよい。
【0014】
前記所定の初期化動作において、前記警報器の稼働開始後に変更された、前記第2処理部を構成する部品の内部の状態が、前記変更をされる前の特定の時点の状態に戻されてもよい。
【0015】
前記所定の手動操作は、互いに異なる態様の操作である第1操作と第2操作とを含み、前記第1操作の実行による前記所定の初期化動作により、前記第2処理部に内蔵されているソフトウェアが初期化され、前記第2操作の実行による前記所定の初期化動作により、前記部品の内部の状態が、前記特定の時点の状態に戻されてもよい。
【0016】
上記警報器は、商用電源に接続される電源プラグをさらに備え、前記受付部に対する前記所定の手動操作、及び、前記電源プラグと前記商用電源との接続又は分離が行われることによって、前記所定の初期化動作を実行するように構成されていてもよい。
【0017】
本発明の警報器の初期化方法は、少なくとも火災若しくはガスのいずれか一方を検知可能である検知部と、前記検知部の検知結果に基づいて警報を発する警報機能を制御する第1処理部と、少なくとも前記警報機能以外の所定の機能を制御する第2処理部と、手動操作を受け付ける受付部と、を備える警報器の初期化方法であって、前記警報器に初期化以外の動作の実行を指示する操作とは異なる態様の所定の手動操作を前記受付部に行うことによって前記第2処理部を初期化することを含んでいる。
【0018】
上記警報器の初期化方法は、前記受付部に対する前記所定の手動操作の前、若しくは後に、又は前記所定の手動操作と同時に、前記警報器の電源プラグと商用電源とを接続又は分離することをさらに含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、内部状態の変化によって警報器の一部が機能しない状態に陥っても、ユーザーなどの意志の下で、正常に機能し得る状態に復帰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態の警報器の構成の概略を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態の警報器における受付部と第2処理装置との接続形態及び所定の初期化動作の処理の一例を示すブロック図である。
【
図4】一実施形態の警報器における受付部と第2処理装置との接続形態の他の例を示すブロック図である。
【
図5】一実施形態の警報器における受付部と第2処理装置との接続形態のさらに他の例を示すブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態の警報器の初期化方法における手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る警報器及び警報器の初期化方法を説明する。但し、以下に説明される実施形態及び添付の図面は、本発明に係る警報器又は警報器の初期化方法の一例を示しているに過ぎない。本発明に係る警報器及び警報器の初期化方法の構成及び作用は、以下に説明される実施形態及び添付の図面に例示される構成及び作用に限定されない。
【0022】
<一実施形態の警報器の構成及び作用>
図1には、本発明の一実施形態の警報器100の主要な構成要素がブロック図で示されている。一実施形態の警報器100は、例えば、住居や工場などに設置されたり、ユーザーに携帯されたりして、警報器100の周囲の環境を監視する。そして、警報器100は、周囲の環境が特定の状態にある場合にはそれを検知して、例えば、警報を発したり、信号を送ったりして、周囲環境が特定の状態、例えば人体や物的資産に危害が及び得る異常な状態にあることを周囲の人や所定の機器に報せる。警報器100は、特定の状態として、少なくとも火災の発生及びガス漏れのいずれか一方を検知する。警報器100が他に検知し得る特定の状態としては、一酸化炭素の濃度の上昇、煙の充満、及び過剰な温湿度、などが例示されるが、警報器100が検知し得る特定の状態は、これらに限定されない。
【0023】
警報器100は、
図1に示されるように、検知部50と、第1処理部1及び第2処理部2と、出力部40と、警報器100に対する手動操作を受け付ける受付部70と、を備えている。さらに
図1の警報器100は、例えばフラッシュメモリなどの各種メモリで構成されて警報器100で必要とされる任意の情報を記憶する記憶手段30、及び、商用電源に接続される電源プラグ61を備えている。警報器100は筐体60を有しており、第1処理部1、第2処理部2、及び検知部50などの構成要素が筐体60内に収められている。
【0024】
第1処理部1は、検知部50の検知結果に基づいて、出力部40から警報を発する警報機能を制御する。第2処理部2は、少なくとも、第1処理部1が制御する警報機能以外の所定の機能を制御する。
図1の例において第2処理部2は、警報器100の通信機能を制御する。すなわち、
図1の例において警報器100は通信機能を有していて、外部機器Eとの間で信号を送受する。そのため
図1の警報器100は、外部機器Eとの間で信号を送受する通信部21も備えている。
【0025】
検知部50は、警報器100の周囲の監視対象領域の物理現象を監視して監視データを出力する1以上の各種のセンサで構成される。上記の通り検知部50が筐体60内に配置されているので、検知部50を構成する各種のセンサは、警報器100の近傍の領域を監視することができる。検知部50を構成する各種のセンサは、たとえば、一酸化炭素ガス(CO)、メタンガス(CH4)又はプロパンガス(C3H8)を検知する各種ガスセンサ、サーミスタなどからなる温度センサ、湿度センサ、煙センサ、臭気センサ、又は、部外者の立ち入りを検知する侵入センサなどであってよい。検知部50は、これらセンサの1つ又は複数で構成され得る。本実施形態の警報器において検知部50は、少なくとも火災若しくはガスのいずれか一方を検知可能である。例えば、各種のガスセンサによって警報器100の周囲の空間におけるガス漏れが検知される。また、温度センサ及び煙センサなどによって、警報器100の周囲での火災の発生が検知される。
【0026】
出力部40は、第1処理部1の制御の下で、検知部50による周囲環境の異常の検知に応じて光の放射や音の放出によって警報を発する。出力部40は、警報を発する以外にも、警報器100の状態や、警報を発するに至らない監視領域の環境に関する情報をユーザーなどに伝えるために動作してもよい。また出力部40は、第2処理部2の制御の下で、第2処理部2によって制御される機能で必要とされる光や音を発してもよい。前述したように
図1の例において第2処理部2は通信機能を制御しているので、例えば外部機器Eから送られる情報に基づく音声が出力部40から発せられてもよい。出力部40は、例えば、スピーカ及び/又はブザーなどのような音声の発生装置を含み得る。出力部40は、音声の発生装置以外にも、警報や、通信で得られる情報を、警報器100のユーザーの視覚を通じて伝える発光ダイオードやディスプレイなどの表示装置を含んでいてもよい。
【0027】
記憶手段30は、警報器100が所定の機能を果たすために、取得、処理、使用、又は出力される任意の情報を記憶する。記憶手段30に記憶される情報は、第1処理部1及び/又は第2処理部2によって書き込まれてもよく、第1処理部1及び/又は第2処理部2によって読み出されてもよい。記憶手段30は、例えば、警報器100が従う命令が記述されたプログラムなどのソフトウェアを記憶してもよい。記憶手段30は、例えば、ROM、PROM(プログラマブルROM)、EPROM(イレーサブルPROM)、EEPROM(エレクトリカリー・イレーサブルPROM)、又はフラッシュメモリなどで構成される。
【0028】
<第1処理部>
第1処理部1は、第1処理装置10を含んでいる。第1処理部1は、主に第1処理装置10で構成され、例えば第1処理装置10及びその周辺部品(図示せず)で構成される。第1処理装置10は、マイコンやASICなどの半導体装置からなり、例えば内蔵されたプログラムに従って動作する。第1処理装置10は、好ましくは、演算機能、比較機能、記憶機能などを有しており、検知部50で取得される検知情報に基づいて出力部40から警報を発報する警報機能を全体的に制御する。
【0029】
第1処理装置10は、例えば、検知部50による周囲環境の監視動作の開始や停止を制御する。また、第1処理装置10は、検知部50から送られる検知情報が示す、一酸化炭素やガスの濃度、周囲の温度、及び、煙の濃度などが、所定の閾値を超えているか否かを判断する。そして、温度や濃度などが閾値を超えている場合には、例えばその超過の程度に応じて警報の態様(音声の鳴動の仕方や、前述した発光ダイオードにおける発光の仕方など)を決定し、決定した方法で、出力部40に警報を発報させる。第1処理装置10は、一例として、出力部40に、警報や各種の情報を伝える音声を発しさせる。
【0030】
<第2処理部>
第2処理部2は、第2処理装置20を含んでいる。第2処理部2は、主に第2処理装置20で構成され、例えば第2処理装置20及びその周辺部品(図示せず)で構成される。通信機能を制御する
図1の例の第2処理部2において第2処理装置20は、警報器100と外部機器Eとの通信に必要な動作を全体的に制御する。第2処理装置20は、マイコンやASICなどの半導体装置からなり、好ましくは、演算機能や記憶機能、及び比較機能などを有している。第2処理装置20は、外部機器Eのような通信先から、光や映像で伝えるべき情報、又は音声で伝えるべき情報を受信すると、出力部40に光や音声を発しさせて受信情報を報知する。
【0031】
図1の第2処理装置20は、記憶手段20aを有しており、ソフトウェアSWが記憶手段20aに書き込まれている。ソフトウェアSWは、第2処理装置20が行う動作に関する命令が記述された制御プログラムなどのソフトウェアを含んでいる。第2処理装置20は、ソフトウェアSWが含む命令に従って動作する。記憶手段20aは、例えば、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、又はフラッシュメモリなどの各種のメモリで構成される。
【0032】
通信部21は、無線通信又は有線通信によって外部機器Eとの間で信号を送受する。通信部21は、外部機器Eと警報器100との間で電気信号を送受するように構成された、集積回路装置や個々の部品からなる電気回路などのハードウェアにより構成される。通信部21は、外部機器Eとの通信に必要となる、アナログ/デジタル変換やレベル変換、増幅、合成、分解、変調、復調などの信号処理、リンクの設定、及び/又は誤り制御、などを行う。通信部21は、このような信号処理を行うように設計されたASICなどからなる通信制御IC、又はモデムIC、及びその周辺回路で構成されていてもよい。通信部21は、第2処理装置20と一体の集積回路装置として構成されていてもよい。
【0033】
図1の警報器100において第2処理部2が制御する通信は、無線回線又は有線回線を介した外部機器Eとの間の直接的な通信であってもよく、無線回線又は有線回線で接続された、例えばインターネットやローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワークNを介した外部機器Eとの間での通信であってもよい。外部機器Eとしては、警報器100以外の同種、又は検知対象の異なる警報器、並びに、警報器100の動作を監視若しくは制御する、及び/又は、警報器100での検知結果若しくは警報発報経過を収集して統計処理若しくは解析するサーバーのような情報処理装置が例示される。さらに、インターネットなどのネットワークNに繋がり得る警報器100にとって、外部機器Eは、各者各様の情報を提供する任意の個人又は機関がネットワークNに接続可能な態様で設置する、サーバー、データベース、及び/又は情報処理装置などであり得る。
【0034】
<受付部>
受付部70は、例えば警報器100のユーザーや管理者などによる警報器100に対する手動操作を受け付ける(以下では、受付部70に対する手動操作の行為者を単に「操作者」と総称する)。受付部70は、警報器100に対して種々の所定の動作の実行を指示すべく操作者が行う手動操作を受け付ける。受付部70への手動操作による指示は、電気信号などに変換されて第1処理装置10及び/又は第2処理装置20に伝えられる。その手動操作によって指示される動作が、いずれか又は両方の処理装置で実行される。
図1の警報器100は一つの受付部70を備えている。しかし、本実施形態の警報器100は、互いに独立した手動操作が可能な1以上の任意の数の受付部70を備え得る。
【0035】
<第2処理部の初期化>
このように本実施形態の警報器100は、操作者の手動操作を受け付ける受付部70を備えている。そして、本実施形態の警報器100は、所定の手動操作が受付部70に対して行われることによって第2処理部2の所定の初期化動作を実行するように構成されている。なお、本明細書において、警報器100、第1処理装置10、又は第2処理装置20が特定の動作又は処理を行うように(又は行わないように)「構成されている」は、警報器100、第1処理装置10、及び/又は第2処理装置20にその特定の動作又は処理を行わせる(又は行わせない)命令が、各処理装置の動作や処理を記述するプログラムに含まれていることを含んでいる。
【0036】
本実施形態では、このように受付部70に対して所定の手動操作が行われると第2処理部2の所定の初期化動作が実行される。第2処理部2の「初期化」は、第2処理部2の構成要素の一部又は全部を、警報器100の製造工場からの出荷時の状態、警報器100の稼働開始時の状態、又は、警報器100とネットワークNとが接続される前の状態に戻すことであり得る。或いは、第2処理部2の「初期化」は、第2処理部2の構成要素の一部又は全部を、第2処理部2の適切な初期化後の状態として第2処理部2内(例えば記憶手段20a内)や記憶手段30内に記憶されている特定の状態にすることであってもよい。
【0037】
すなわち、第2処理部2は、所定の手動操作による初期化によって、警報器100の工場出荷時から稼働開始時までの状態、又は適切な状態として予め用意された状態などへと遷移する。例えば、第2処理装置20に内蔵されているソフトウェアSWがバグを含むアップデート用データでアップデート(すなわち変更)されて正常に動作し得ない状態に陥っている場合は、初期化によって第2処理装置20がそのアップデート前の状態(変更前の状態)へと戻される。第2処理装置20の不適切な動作によって第1処理部1による警報機能が阻害される状況に陥っていても、その阻害が解消される。本実施形態の警報器100は、このように操作者による所定の手動操作によって第2処理部2の初期化が可能なように構成されているので、警報機能を適切に発揮し得る状態に復帰することができる。
【0038】
このような本実施形態の警報器がもたらす効果について詳述すると、警報器100では、
図1に示されるように第2処理装置20は、警報機能を制御する第1処理装置10と別個に設けられている。そのため、例えば通信プロトコルのバージョンアップなどに応じて第2処理装置20のソフトウェアSWがアップデートされる場合、そのアップデートの不具合から直接影響を受けて警報機能が停止するようなことは起こり難い。また、第1処理装置10が、警報機能以外の機能を制御する負荷から解放される。
【0039】
一方、第2処理装置20が独自に動作すると、例えば外部機器Eとの通信に基づいて第2処理部2が出力部40に発しさせる音声で、警報などの音声が阻害されることがある。第2処理装置20が第1処理装置10の制御を受ける構成ではこのような事態が回避され易いが、例えば前述したようなアップデートの不具合で、第2処理装置20が第1処理装置10の制御から逸脱してしまうことも起こり得る。また、外部のネットワークNと繋がり得る第2処理装置20では、このような第1処理装置10の制御からの離反が、ネットワークNに繋がる任意の外部機器Eからの好ましくない情報の受信の結果としてもたらされることもある。さらに、第1処理装置10の制御を受け付けるべく設けられている第2処理装置20の特定の入力ポートが故障することも考えられる。
【0040】
このように第2処理装置20が第1処理装置10の制御から離反している状態では、第1処理装置10は正常であるにも拘わらず、第2処理装置20側での処理によって警報機能が意図通りに発揮されなくなることがある。例えば、前述したように音声による警報が、通信に基づく音声に掻き消されてユーザーなどに届かない、若しくは聴取され難くなることがある。すなわち、第1処理装置10と第2処理装置20とが別個に設けられているにも拘わらず、警報器100の稼働開始後の第2処理装置20の状態の変化によって、警報機能が適切に発揮されない状態に陥ることがある。特に第2処理装置20が第1処理装置10の制御を受け付けない状態にまで至っていると、第1処理装置10では第2処理装置20を正常な状態に戻し得ない。そもそも第1処理装置10は第2処理装置20の異常に気付き得ない。従って警報器100自身で、警報機能を適切に発揮し得る状態に復旧するのは困難である。そのため、警報器の交換や、業者による修理が必要になり易く、その交換や修理が終わるまでの間、実質的に無監視の環境下にユーザーなどが置かれることになり易い。
【0041】
このように警報器100自身で警報機能に不具合が生じていることに気付かず、故に自律的に正常状態に復旧できないときでも、ユーザーなどは出力部40の音声や表示によって警報機能の不具合に気づき得るときがある。しかし、その不具合に気づいたユーザーなどが不具合解消のために取り得る手段が備わっていないと、やはり警報機能の不具合の早期解消は困難なままである。
【0042】
そこで、本実施形態の警報器100は、手動操作を受け付ける受付部70を備え、所定の手動操作が受付部70に対して行われると、第2処理装置20を含む第2処理部2の所定の初期化動作を実行するように構成されている。警報器100が正常に動作していないことに気づいた操作者は、所定の手動操作を受付部70に行うことによって、第2処理部2を、例えば警報器100の稼働開始前の状態に戻すこと、又は、適切な状態として予め用意された状態へと移行させることができる。警報器100の稼働開始時に第2処理装置20が第1処理装置10の制御に従っていたのであれば、第2処理装置20に対する第1処理装置10の制御が有効な状態に警報器100を戻すことができる。例えば警報の発報時に音声を発しないように第1処理装置10が第2処理装置20を制御するような構成の場合は、第2処理装置20は警報時に音声を出力部40に発しさせない。
【0043】
従って音声による警報を、阻害されることなく聴取し易い状態で、ユーザーに届けることができる。すなわち、第2処理部2の動作によって警報機能が阻害される状況に陥っていても、さらに、第2処理部2が自律的に又は第1処理部1による制御の下で正常な状態に復帰できない状態になっていても、その阻害を解消することができる。このように本実施形態の警報器では、所定の手動操作による第2処理部2の初期化が可能なので、内部状態の変化によって第2処理部2のような警報器の一部が機能しない状態に陥っても、ユーザーなどの操作者の意志の下で、警報器を正常に機能し得る状態に復帰させることができる。
【0044】
<手動操作>
図2には、受付部70が受け付ける手動動作の幾つかの例として、家屋内に設置された警報器100への手動操作が模式的に示されている。一例として、受付部70は、
図2に示されるように、受付部70に触れるような操作者の物理的操作Mを受け付ける。その場合、受付部70は、操作者による接触、押し込み若しくは引き出し、又は、ずらし、などの物理的操作が可能なような態様で、例えば筐体60などに設けられる。このように物理的な手動操作を受け付ける受付部70の構成要素としては、外部から視認及び接触可能に警報器100に設けられる各種のスイッチが例示される。受付部70がスイッチで構成される場合、そのスイッチの操作される部分が、筐体60から露出して設けられる操作ボタンに連結されてもよい。受付部70として用いられるスイッチとしては、押し釦スイッチやトグルスイッチなどが例示されるが、これらに限定されない。例えば、受付部70は、タッチパネルやキーパッドのような入力装置であってもよい。
【0045】
受付部70として用いられる押し釦スイッチは、操作中のみ押し込まれて、操作が終了すると自動復帰するタクタイルスイッチが好ましいことがある。受付部70がタクタイルスイッチで構成されている場合、押し込まれる時間の長さや一定時間内に繰り返される押し込みの回数の違いによって、異なる動作の実行が警報器100に指示されてもよい。そして、任意に選択された特定の時間に渡る押し込みが、第2処理部2に初期化動作の実行を指示する「所定の手動操作」であってもよく、任意に選択された特定の時間内に繰り返される特定の回数の押し込みが「所定の手動操作」であってもよい。
【0046】
また、受付部70は、受付部70に直接触れるような警報器100に対する操作者の直接的な物理的操作ではなく、光などの電磁波、音波、又は電波などの媒体を介する手動操作を受け付けてもよい。すなわち、受付部70は、警報器100に指示を与えるべく警報器100と別個の機器に対して行われる手動操作で発せられる光、音、又は電波などを、所定の動作の実行を指示する手動操作として受け付けてもよい。この場合、受付部70は、光を電気信号に変換するフォトダイオードなどの光電変換素子、音を電気信号に変換するマイクロホンのような音感素子、又は、電波を受信するアンテナなどを有する受信素子で構成されてもよい。電波を受け付ける受付部70は、通信部21(
図1参照)で代用されてもよい。
【0047】
電波や光などで媒介される手動操作を受付部70が受け付ける場合、操作者は、その手動操作として、例えば近距離通信で警報器100と結ばれた、警報器100の付属リモコンのような専用端末に対して直接的な手動操作を行うことができる。また、操作者は、受付部70に対する手動操作として、アプリケーションプログラムによって専用端末化されて近距離通信で警報器100と結ばれた、スマートフォンなどの各種の汎用携帯端末に対して直接的な手動操作を行うことも可能である(以下では、専用端末と専用端末化された汎用携帯端末は「専用端末類」と総称され、
図2には符号「Pn」を添えて示されている)。専用端末類Pnが用いる近距離通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信、又は、IrDAなどの光無線通信であり得るが、これらに限定されない。さらに、操作者は、受付部70に対する手動操作として、ネットワークNや通信事業者の基地局Bを介して警報器100の通信部21と有線通信や無線通信で結ばれている外部機器Eや、遠方のスマートフォンなどの端末Prに対して直接的な手動操作を行うことも可能である。
【0048】
このように受付部70に対する「手動操作」は、警報器100とは別個の機器に対して行われてもよい。一方、操作者がその生起に介在せずに警報器100の内部で生じるか又は外部で生じて警報器100に送られる、警報器100に特定の動作をさせる指示の生成は、「手動操作」に含まれない。例えば警報器100の内蔵プログラムや外部機器Eの制御プログラムに記述された、警報器100に特定の動作の実行を命ずる命令の実行は「手動操作」に含まれない。
【0049】
<所定の手動操作>
第2処理部2に初期化動作を実行させる「所定の手動操作」は、前述された、受付部70が受け付ける「手動操作」のうちから任意に選択された特定の態様の操作であり得る。一例として、受付部70が前述したタクタイルスイッチである場合、受付部70であるタクタイルスイッチの例えば5秒以上の押し込みが「所定の手動操作」であってよく、例えば5秒以内の5回以上の押し込みが「所定の手動操作」であってもよい。他の例として受付部70がトグルスイッチである場合も、トグルスイッチを2つの状態のうちの一方の状態に特定の時間以上置くことが「所定の手動操作」であってよく、2つの状態間でトグルスイッチを特定時間内に特定回数以上切り替えることが「所定の手動操作」であってもよい。
【0050】
また「所定の手動操作」は、受付部70がタッチパネルである場合、タッチパネルに表示される特定のアイコンをタッチすることであってもよく、指先やタッチペンで予め定められた特定の軌跡をタッチパネル上で描くことであってもよい。また「所定の手動操作」は、受付部70がキーパッドである場合、予め定められた特定のパターンのタイピングを行うことであり得る。さらに、所定の手動操作が、前述した専用端末類Pn、又はインターネットなどを介して警報器100と接続された外部機器Eに対する直接的な手動操作によって行われる場合は、「所定の手動操作」は、専用端末類Pn又は外部機器Eから、予め選択された、特定のコマンド、特定のメッセージ、又は、特定のプロトコルデータユニットを警報器100に送ることであってもよい。このような「所定の手動操作」を受付部70が受け付けると、第2処理部2において初期化が実行される。
【0051】
本実施形態の警報器100は、受付部70に対する「所定の手動操作」だけでなく、「所定の手動操作」と共に、受付部70に対する操作以外の操作が行われるときに、第2処理部2の所定の初期化動作を行うように構成されていてもよい。この場合、第2処理部2の初期化が意図せず誤って実行されることを防止できることがある。例えば、電源プラグ61を備える
図1の例の警報器100は、受付部70に対する「所定の手動操作」、及び、電源プラグ61と商用電源との接続又は分離が行われることによって、第2処理部2の所定の初期化動作を実行するように構成されていてもよい。すなわち、受付部70に対する「所定の手動操作」と共に、警報器100への電力の供給の開始又は停止が行われるときに、第2処理部2の初期化が行われてもよい。
【0052】
例えば、電源プラグ61が、商用電源に接続されたプラグソケット(コンセント、図示せず)に接続されていない状態で、受付部70として設けられているタクタイルスイッチが押し込まれ、その状態で電源プラグ61がコンセントに差し込まれると、第2処理部2の所定の初期化動作が実行されてもよい。或いは、電源プラグ61がプラグソケットに接続された状態で「所定の手動操作」が行われる。それだけでは第2処理部2の初期化は実行されないが、「所定の手動操作」が行われている状態で、コンセントから一旦電源プラグ61が分離されて、「所定の手動操作」が停止されてから(若しくは継続されたまま)再度接続されると、第2処理部2の所定の初期化動作が実行されてもよい。
【0053】
この場合、警報器100には、電源プラグ61がコンセントから分離されたときに「所定の手動操作」が行われていたという電力供給停止時の受付部70の状態を記憶する、EEPROMのような不揮発性メモリが備えられる。電力供給時停止時の受付部70の状態は、
図1の例の警報器100にあっては、記憶手段30、第2処理装置20内の記憶手段20a、又は第1処理装置10がEEPOMなどの記憶手段を備える場合はその記憶手段に、記憶され得る。
【0054】
本実施径形態における受付部70は、上記に例示される「所定の手動操作」に加えて、「所定の手動操作」とは異なる態様の手動操作を受け付けるように構成されていてもよい。そして本実施径形態の警報器100は、「所定の手動操作」以外の手動操作を受付部70で受け付けると、第2処理部20の「所定の初期化動作」以外の動作を実行するように構成されていてもよい。このように構成される警報器100では、僅かな数の受付部70を備えるだけで、第2処理部2の初期化を含む2以上の種類の動作の実行を警報器100に指示することができる。受付部70が「所定の手動操作」以外の手動操作を受け付けたときに実行される動作は、例えば警報器100の自主点検、発報中の警報の停止、動作モードの切り替え(例えば通常モードと省電力モード)、警報音の音量の変更、などであり得るが、これらに限定されない。
【0055】
「所定の手動操作」以外の手動操作は、「所定の手動操作」以外の任意の手動操作であり得る。例えば、受付部70が前述したタクタイルスイッチである場合、「所定の手動操作」以外の手動操作は、「所定の手動操作」としての押し込み時間よりも短い(例えば5秒未満の)タクタイルスイッチの押し込みであり得る。或いは、特定時間(例えば5秒)以内の「所定の手動操作」としての押し込み回数よりも少ない回数の押し込みが「所定の手動操作」以外の手動操作であってもよい。受付部70がトグルスイッチである場合も、「所定の手動操作」としてのトグルスイッチの2つの状態間での切り替え態様と異なる態様でトグルスイッチを2つの状態間で切り替えることが「所定の手動操作」以外の手動操作であり得る。
【0056】
また受付部70がタッチパネルである場合、「所定の手動操作」以外の手動操作は、「所定の手動操作」として表示されるアイコン以外のアイコンをタッチすることであってもよく、「所定の手動操作」として描かれるべき軌跡と異なる軌跡を指先などで描くことであってもよい、また、受付部70がキーパッドである場合、「所定の手動操作」以外の手動操作は、「所定の手動操作」としてタイプされるパターンと異なるパターンでタイピングを行うことであり得る。同様に、所定の手動操作が前述した専用端末類Pnや外部機器Eに対する直接的な手動操作によって行われる場合は、「所定の手動操作」として送られるコマンドやメッセージなどと異なるコマンドやメッセージを送ることが「所定の手動操作」以外の手動操作であり得る。
【0057】
上記のように、受付部70が第2処理部2の所定の初期化動作以外の動作(例えば発報中の警報の停止)の実行の指示にも用いられる場合、「所定の手動操作」は、第2処理部2の所定の初期化動作以外の動作を指示するための操作よりも、煩雑若しくは難度の高い操作であることが好ましい。また、上記と異なり第2処理部2の所定の初期化動作を指示する「所定の手動操作」だけを受付部70が受け付ける構成の場合、受付部70は、筐体60においてユーザーにとって操作し難い位置に設けられてもよい。例えば、受付部70を含むユーザーによる操作が可能な複数の受付部が筐体60に備えられる場合、好ましくは、「所定の手動操作」のみを受け付ける受付部70は、他の受付部よりも操作し難い位置に設けられる。ユーザーの不注意などによる意図せぬ初期化動作の実行を防止できることがある。
【0058】
第2処理部2の「所定の初期化動作」において現に初期化される第2処理部2の具体的な構成要素は、初期化されることによって第2処理部2を警報器100の稼働開始前の状態に戻すこと、又は、適切な状態として予め用意された状態へと移行させることができるものであれば、特に限定されない。前述したように、第2処理部2は主に第2処理装置20で構成される。従って、第2処理部2の「所定の初期化動作」として、好ましくは、第2処理装置20が初期化される。第2処理装置20の初期化では、第2処理装置20の内部の状態が、警報器100の稼働開始前の状態に戻されるか、適切な状態として予め用意された状態へと移行される。
【0059】
<第2処理部の所定の初期化動作の一例:ソフトウェアの初期化>
一例として、受付部70への所定の手動操作によって実行される第2処理部2の所定の初期化動作により、第2処理部2に内蔵されているソフトウェアSWが初期化されてもよい。
図1の例において、ソフトウェアSWは、具体的には第2処理装置20の記憶手段20aに内蔵されている。前述したように、第2処理装置20は、記憶部20aに記憶されているソフトウェアSWが含む命令に従って動作する。第2処理装置20が従う命令を含むソフトウェアSWを、例えば警報器100の工場出荷時や警報器100の稼働開始時の状態に戻すことによって、稼働開始後の状態変化などによって不具合が生じている第2処理装置20を正常な状態に復帰させ得ることがある。
【0060】
記憶部20aのような第2処理装置20のメモリに書き込まれているソフトウェアSWは、第2処理装置20についてのファームウェアであり得る。初期化されるソフトウェアが、第2処理装置20の内部回路や装置などの基本的な制御を司る機能を持つファームウェアであれば、その初期化によって、より確実に、第2処理装置20を不具合を抱えた状態から正常状態へと戻すことができる。ソフトウェアSWが初期化される場合、好ましくは、記憶部20aは、EEPROMやフラッシュメモリのような、容易に書き換え可能なメモリで構成される。
【0061】
<第2処理部の所定の初期化動作の他の例:内部状態の再現(リセット)>
本実施形態の警報器100では、第2処理部2の所定の初期化動作において、上述したソフトウェアSWの初期化の他に、警報器100の稼働開始後に変更された、第2処理部2の構成部品の内部状態、例えば第2処理装置20の内部の状態が、その変更をされる前の特定の時点の状態に戻されてもよい。すなわち、第2処理装置20内の各構成要素の状態、例えば、記憶手段20a内の特定の記憶領域の内容や、入出力ポートの状態、第2処理装置20で次に実行される命令のアドレスを示すプログラムカウンタの値などは、警報器100の稼働開始後に、随時変更され、又は変化する。これら構成要素の状態が、第2処理部2の「所定の初期化動作」において、その変更や変化の前の特定の時点の状態に戻される。
【0062】
「特定の時点」は、例えば、警報器100の工場出荷時、警報器100の稼働開始時、警報器100がネットワークNに接続される前の時点、又は、第2処理装置20の各構成要素に加えられた変更のうちのいずれかの変更の前の任意の時点であり得る。第2処理装置20内の如何なる構成要素が如何なる状態に戻されるかは、第2処理装置20が実行する命令が記述されているソフトウェアSW内に記述されているか、又は、記憶手段20a若しくは記憶手段30に記憶されていてもよい。
【0063】
一例として、第2処理部2の所定の初期化動作において、プログラムカウンタの値がゼロに設定(クリア)されるか、若しくは、予め決められた特定の値に設定されてもよい。また、第2処理部2の所定の初期化動作において、第2処理装置20が備えるRAMや各種レジスタのような一時記憶領域の記憶内容がクリアだれたり、一時記憶領域に予め決められた情報が記憶されたりしてもよい。さらに、第2処理部2の所定の初期化動作において、第2処理装置20が備えるタイマーや入出力ポートが予め決められた状態へ設定されたり、第2処理装置20全ての割り込み処理の禁止モードへ移行したりしてもよい。第2処理装置20に上記のようなプログラムカウンタのクリアや一時記憶領域のクリアなどを実行させることによって、第2処理装置20の内部の状態が、警報器100の稼働開始後に加えられた変更や変化の前の特定の時点の状態に戻し得ることがある。その結果、稼働開始後の状態変化などによって不具合が生じている第2処理装置20を正常な状態に復帰させ得ることがある。
【0064】
なお、第2処理装置20は、特定の入力端子(外部リセット端子)の特定のレベルへの設定による外部リセット、及びパワーオンリセットなどの各種リセット処理の実行機能を備え得る。第2処理部2の所定の初期化動作において、第2処理装置20内の各構成要素が戻される特定の時点の状態は、これら各種リセット処理のいずれかの実行後の第2処理装置20の内部の状態と同じであってもよい。すなわち、第2処理部2の所定の初期化動作において、上記のような第2処置装置20に備えられた各種リセット処理のいずれかが実行されてもよい。
【0065】
本実施形態の警報器100は、受付部70への所定の手動操作の態様に応じて、第2処理部2の所定の初期化動作として行う処理を選択するように構成されていてもよい。すなわち、受付部70が受け付ける「所定の手動操作」は、互いに異なる態様の操作である複数種の手動操作を含んでいてもよい。そして、複数種の手動操作それぞれに応じた、第2処理部2の所定の初期化動作が実行されてもよい。
【0066】
例えば、複数種の手動操作のうちの一つである第1操作の実行を受けて行う所定の初期化動作により、第2処理部2に内蔵されているソフトウェアSWが初期化される。そして、複数種の手動操作のうちの一つであって第1操作とは異なる第2操作の実行を受けて行う所定の初期化動作により、警報器100の稼働開始後に変更された第2処理装置20の内部の状態が、その変更をされる前の特定の時点の状態に戻されてもよい。このように、複数種の所定の手動操作それぞれに応じて第2処理部2の初期化動作が実行されると、例えば警報器100が現に露呈している不具合状態に応じた適切な第2処理部2の初期化動作を、操作者が選択することができる。
【0067】
一例として、前述したように受付部70であるタクタイルスイッチの5秒以上の押し込みが「所定の手動操作」である場合、例えば5秒以上10秒以内の押し込みが第1操作であり、10秒以上の押し込みが第2操作であり得る。また、受付部70であるタクタイルスイッチの5秒以内の5回以上の押し込みが「所定の手動操作」である場合、3秒以内の5回以上の押し込みが第1操作であり、3秒から5秒以内の5回以上の押し込みが第2操作であり得る。また、受付部70がタッチパネルである場合、タッチパネルに所定の手動操作として表示される複数のアイコンの一つである第1アイコンをタッチすることが第1操作であり、第2アイコンをタッチすることが第2操作であり得る。
【0068】
<受付部への手動操作による第2処理部の初期化動作の例>
受付部70、第2処理装置20、及び記憶手段30を抜粋して示す
図3を参照して、受付部70から第2処理装置20への初期化動作の実行指示の伝達、及び第2処理装置20の初期化動作として行われる具体的な処理の例について説明する。
【0069】
図3に示される例において受付部70は、第2処理装置20が備える入力ポート200に接続されている。第2処理装置20は、入力ポート200が所定のレベル(例えばGND電位のようなロウレベル)に設定されると、第2処理装置20の所定の初期化動作を実行するように構成されている。受付部70が所定の手動操作を受け付けると、受付部70からは、所定のレベルの信号が出力される。第2処理装置20は、入力ポート200が所定のレベルに設定されるので、所定の初期化動作として、例えば、警報器100の稼働開始後に変更された第2処理装置20の内部の状態を、その変更をされる前の特定の時点の状態に戻す。前述したように第2処理部2の所定の初期化動作において、第2処理装置20に備えられた各種リセット処理のうちの外部リセットが実行される場合、入力ポート200は、第2処理装置20に備えられて外部からのリセット動作の実行要求を受け付ける外部リセット端子であってもよい。
【0070】
また、第2処理部2の所定の初期化動作において、第2処理装置20に備えられたパワーオンリセットが実行される場合は、一例として、
図3に二点鎖線で示されるように、受付部70への所定の手動操作によって、スイッチ10bの開閉状態が制御される。スイッチ10bは、第2処理装置20の電源端子Vccへの電源電圧VDDの供給ラインに配置されている。受付部70に対して所定の手動操作が行われると、スイッチ10bが、一旦、非導通状態へと制御される。電源VDDの供給が一旦絶たれた後に再開されるので、第2処理装置20のパワーオンリセットが実行される。この場合のパワーオンリセットは、パワーオンリセットの実行による一連の処理によって、第2処理装置20の変更された内部の状態をその変更をされる前の特定の時点の状態に戻すようにソフトウェアSWにおいてプログラムされている。パワーオンリセットの実行によって、変更された第2処理装置20の内部の状態が、その変更をされる前の特定の時点の状態に戻される。
【0071】
また、
図3の例において第2処理装置20が従うソフトウェアSWには、入力ポート200に所定の信号が入力されるとソフトウェアSWの初期化を実行するように命じる命令が記述されていてもよい。この場合、受付部70は、所定の手動操作を受け付けると、例えば、ハイレベル、若しくはロウレベル、又は、ハイレベルとロウレベルの一方から他方への遷移、などの所定の信号を送出する。その結果、第2処理装置20においてソフトウェアSWの初期化が実行される。
【0072】
図3の例において第2処理装置20は、記憶手段20aの特定の記憶領域である第1領域A1にソフトウェアSWを内蔵している。そして、第1領域A1とは異なる記憶手段20aの特定の記憶領域である第n領域には、初期化用データとして用意されたソフトウェアSWiが保管されている。ソフトウェアSWiは、例えば、警報器100の製造工場からの出荷時や稼働開始時に第2処理装置20が従うように用意された制御プログラムを含んでいる。一例として、ソフトウェアSWiは、警報器100の製造工場の出荷時や稼働開始時に第1領域A1に記憶されていたソフトウェアと同じソフトウェアであってもよく、初期化用に別途用意されたソフトウェアであってもよい。
【0073】
第2処理装置20は、入力ポート200への所定の信号の入力を受けてソフトウェアSWの初期化を行うときには、ソフトウェアSWに代わってソフトウェアSWiが実行されるように、第1領域A1の記憶内容を、第n領域AnのソフトウェアSWiで書き換えてもよい。その結果、第2処理装置20は、ソフトウェアSWiに記述された命令に従って動作するようになる。一例として、このようにソフトウェアSWの初期化による第2処理装置20の初期化が行われてもよい。
【0074】
第2処理部2の所定の初期化動作として行われる第2処理装置20のソフトウェアSWの初期化は、第2処理装置20内に保管された初期化用データを用いて行われなくてもよい。例えば
図3の例において、初期化用データとして用意されたソフトウェアSWiは、警報器100が第2処理装置20とは別個に備える記憶手段30にも保管されている。入力ポート200への所定の信号の入力により、第2処理部2の所定の初期化動作としてソフトウェアSWの初期化が行われるときに、第2処理装置20内のソフトウェアSWが、記憶手段30に保管されている初期化用データであるソフトウェアSWiを用いて書き換えられてもよい。このように、記憶手段20aや記憶手段30などの警報器100の内部のメモリに保管された初期化用データを用いてソフトウェアSWの初期化が行われると、警報器100の外部から初期化用データが供給される場合と比べて、速やかに第2処理部2を正常な状態に復帰させ得ることがある。
【0075】
第2処理装置20に内蔵されるソフトウェアSWの初期化は、第2処理装置20が備える、第2処理装置20の起動用プログラムで制御されるブートローダを用いて行われてもよい。この場合、第2処理装置20は、外部からのリブートの指示を受け付けるように構成され、さらに、そのリブート指示の受信時に特定のポートが所定の状態にある場合にソフトウェアSWの初期化を実行するように構成される。ブートローダがソフトウェアSWの初期化に用いられる場合、
図3の例の第2処理装置20は、入力ポート201でリブートを指示する所定の信号(以下、「リブート指示信号」と称する)を受け付けるように構成され、リブート指示信号の受信時に入力ポート200が、例えばロウレベルやハイレベルなどの所定のリブート指示レベルに設定されている場合に、ソフトウェアSWの初期化を実行するように構成される。
【0076】
受付部70は、所定の手動操作を受け付けると、例えば、ハイレベルとロウレベルの一方のレベルから、リブート指示レベルである他方のレベルへと遷移する所定のリブート指示信号を入力ポート200へと送出する。リブート指示信号の入力後、入力ポート200は、リブート指示信号の遷移後のレベルであるリブート指示レベルに設定される。一方、入力ポート201と受付部70との間には、遅延回路71が設けられている。遅延回路71は、例えばコンデンサと抵抗器とによって構成され、リブート指示信号のレベル遷移の時期を一定時間遅延させる。そのため、リブート指示信号が入力ポート201に入力されるときには、入力ポート200は、既に、ソフトウェアSWの初期化を実行させるリブート指示レベルに設定されている。そのため、第2処理装置20において、ソフトウェアSWの初期化が実行される。第2処理装置20が単なるソフトウェアSWの実行によってソフトウェアSWを初期化できないような状態に陥っていても、起動用プログラムで制御されるブートローダを用いることによって、ソフトウェアSWの初期化を実行できることがある。
【0077】
なお、第2処理部2の初期化として実行される、第2処理装置20に内蔵のソフトウェアの初期化は、記憶手段20aの記憶内容を書き換えずに、単に第2処理装置20が実行するプログラムを切り替えることによって行われてもよい。すなわち、
図3の例において、受付部70が所定の手動操作を受け付けると、第2処理装置20が、第1領域A1に記憶されているソフトウェアSWではなく、第n領域Anに記憶されているソフトウェアSWiに含まれている命令に従って動作するように構成されていてもよい。
【0078】
図4には、受付部70から第2処理装置20への初期化動作の実行指示の伝達態様の他の例が示されている。
図4の例は、識別部72が受付部70と第2処理部20との間に設けられている点で、
図3の例と異なっている。
図4(及び後に参照する
図5)において
図3と同様の構成要素には、
図3に付された符号と同じ符号が
図3(又はX
図5)に付され、それら同様の構成要素についての繰り返しとなる説明は省略される。
【0079】
識別部72は、前述したように、受付部70が「所定の手動操作」以外の手動操作も受け付ける場合に、受付部70に対して行われる手動操作の中から「所定の手動操作」を識別する。識別部72は、一例として、経過時間をカウントするタイマーや、受付部70に対して行われた操作の回数をカウントするカウンタなどで構成される。この場合、例えば前述したように受付部70であるタクタイルスイッチの押し込み時間の長さや特定時間内に繰り返される押し込みの回数などが、所定の手動操作の要件を満たしているか否かが、識別部72で判別される。識別部72は、受付部70から送られる信号が、所定の手動操作の要件を満たしているかを、基準信号との比較によって判別する比較回路で構成されていてもよい。
【0080】
所定の手動操作としての要件が満たされている場合、識別部72は、受付部70に対して行われている手動操作が所定の手動操作であると識別し、第2処理装置20の入力ポート200を所定のレベルに設定したり、所定の信号を送ったり、入力ポート200、201にリブート指示信号を送ったりする。識別部72は、識別結果に応じて、スイッチ10bの開閉状態を制御してもよい。一方、所定の手動操作以外の手動操作は、第2処理装置20の入力ポート202に伝えられ、その手動操作に応じた動作が、第2処理装置20において実行される。
【0081】
図5には、受付部70から第2処理装置20への初期化動作の実行指示の伝達態様のさらに他の例が示されている。
図5の例では、受付部70に対して行われる手動動作は、第1処理装置10に伝えられ、第1処理装置10によって、所定の手動操作か否かが識別される。そして、受付部70に対して行われる手動操作が所定の手動操作である場合、第1処理装置10によって第2処理装置20に所定の初期化動作の実行が指示される。
【0082】
図5に示される例において第1処理装置10は、第2処理装置20の初期化のための出力ポート101を備えており、出力ポート101は、
図3の例と同様に機能する第2処理装置20の入力ポート200に接続されている。すなわち第2処理装置20は、入力ポート200が所定のレベルに設定されると、第2処理装置20の所定の初期化動作を実行するように構成されている。第1処理装置10は、受付部70に対して所定の手動操作が行われると、出力ポート101から所定のレベルの信号を入力ポート200に出力する。第2処理装置20は、入力ポート200が所定のレベルに設定されるので、所定の初期化動作として、例えば、警報器100の稼働開始後に変更された第2処理装置20の内部の状態を、その変更をされる前の特定の時点の状態に戻す。また、第1処理装置20は、受付部70に対する所定の手動操作に応じて、出力ポート102から適切な制御信号を出力してスイッチ10bの開閉状態を制御してもよい。そのようなスイッチ10bの開閉状態の制御によって、第2処理装置20に備えられたパワーオンリセット機能を用いて第2処理装置20の所定の初期化動作が実行されてもよい。
【0083】
また、
図5の例において、入力ポート200に所定の信号が入力されるとソフトウェアSWの初期化を実行するように第2処理装置20に命じる命令がソフトウェアSWに記述されている場合は、受付部70が所定の手動操作を受け付けると、第1処理装置10は、入力ポート200に所定の信号を送出してもよい。その結果、第2処理装置20においてソフトウェアSWの初期化が実行される。
【0084】
第1処理装置10は、第2処理装置20が備えるブートローダを用いて、第2処理装置20に内蔵されるソフトウェアSWの初期化を第2処理装置20に行わせてもよい。この場合、
図3を参照して前述したように、第2処理装置20は、外部からリブート指示信号を受け付けるように構成される。
図5の例において第2処理装置20は、入力ポート200でリブート指示信号を受け付け、リブート指示信号の受信時に入力ポート201が、例えばロウレベルやハイレベルなどの所定のリブート指示レベルに設定されている場合に、ソフトウェアSWの初期化を実行するように構成されている。第1処理装置10は、第2処理部2の初期化としてソフトウェアSWの初期化を実行させるときには、入力ポート200に接続された出力ポート101から、所定のリブート指示信号を送出する。第1処理装置10は、さらに、そのリブート指示信号の送出と同時に、又は先立って、第2処理装置20の入力ポート201に接続された出力ポート103をリブート指示レベルに設定する。その結果、第2処理装置20において、ソフトウェアSWの初期化が実行される。
【0085】
<実施形態の警報器の初期化方法>
図6、並びに、
図1を適宜再度参照して、本発明の一実施形態の警報器の初期化方法を、
図1に例示の警報器100を例に以下に説明する。
図6は、本実施形態の警報器の初期化方法における手順の一例を示すフローチャートである。
図6において二点鎖線L1よりも左側には、本実施形態の警報器の初期化方法の各ステップにおいて実行される処理が示されている。また、二点鎖線L1の右側には、本実施形態の警報器の初期化方法における各ステップに関連して行われる処理を含む、第2処理部2で行われる処理が示されている。なお、
図1~
図5を参照して説明された警報器100が有する構成要素、及び、それら各構成要素が有する機能や作用は、本実施形態の警報器の初期化方法で初期化される警報器、及び、その構成要素も、同様に有し得る。また、
図1~
図5を参照して説明された警報器100に対して行われる操作や処理は、本実施形態の警報器の初期化方法に、その一連の手順の一部として含まれていてもよい。
【0086】
本実施形態の警報器の初期化方法は、一例として
図1に示されるような、検知部50と、第1処理部1と、第2処理部2と、手動操作を受け付ける受付部70と、を備える警報器100のような警報器の初期化方法である。ここで、検知部50は、少なくとも火災若しくはガスのいずれか一方を検知可能である。第1処理部1は、検知部50の検知結果に基づいて警報を発する警報機能を制御する。第2処理部2は、少なくとも第1処理部1が制御する警報機能以外の所定の機能を制御する。なお、本実施形態の警報器の初期化方法において警報器の初期化は、具体的には、第2処理部2の初期化であり得る。そして、本実施形態の警報器の初期化方法は、先に
図1及び
図2を参照して説明されたように、警報器の初期化以外の動作の実行を指示する操作とは異なる態様の所定の手動操作を受付部70に行うことによって第2処理部2を初期化することを含んでいる(
図6のステップS11、S22)。
【0087】
本実施形態の警報器の初期化方法によれば、警報器のユーザーなどの手動操作によって、警報器の第2処理部2の初期化が実行される。第2処理部2の初期化は、第2処理部2の構成要素の一部又は全部を、警報器の製造工場からの出荷時の状態、警報器の稼働開始時の状態、又は、警報器と外部の通信ネットワークとが接続される前の状態に戻すことであり得る。或いは、第2処理部2の「初期化」は、第2処理部2の構成要素の一部又は全部を、第2処理部2の適切な初期化後の状態として用意されている特定の状態にすることであり得る。従って、内部状態の変化によって第2処理部2のような警報器の一部が機能しない状態に陥っても、ユーザーなどの操作者の意志の下で、警報器を正常に機能し得る状態に復帰させることができる。
【0088】
また、本実施形態の警報器の初期化方法では、初期化以外の動作の実行を指示する操作とは異なる態様の所定の手動操作を受付部70に対して行うことによって第2処理部2が初期化される。すなわち、本実施形態の警報器の初期化方法で初期化される警報器の受付部は、第2処理部2の初期化以外の動作の実行を指示する操作も受け付ける。従って、僅かな数の受付部70、例えば一つの受付部70を備えるだけの警報器に、第2処理部2の初期化を含む2以上の種類の動作の実行を指示することができる。
【0089】
本実施形態の警報器の初期化方法で実行される第2処理部2の初期化は、一実施形態の警報器100について前述されたように、一例として、第2処理部2に内蔵されているソフトウェアSWの初期化であってよい。また第2処理部2の初期化は、警報器の稼働開始後に変更された、第2処理部2を構成する第2処理装置20の内部の状態をその変更をされる前の特定の時点の状態に戻すことであり得る。本実施形態の警報器の初期化方法で実行される「所定の手動動作」は、一実施形態の警報器100について例示された「所定の手動操作」と同様であり得、例えば受付部70であるタクタイルスイッチの特定時間以上の押し込みや、特定時間以内の特定回数以上の押し込み操作などであり得る。また、本実施形態の警報器の初期化方法において「警報器の初期化以外の動作の実行を指示する操作」は、「所定の手動操作」以外の、受付部70に対する任意の態様の操作であり得る。
【0090】
図6において、第2処理部2では、所定の手動操作とは異なる態様の受付部70への手動操作によって初期化以外の動作、例えば、警報器の自主点検として外部機器Eとの通信や外部機器Eとのリンク設定などが行われる(ステップS21)。警報器のユーザーなどは、警報器の不具合に気づくと、警報器の初期化以外の動作の実行を指示する操作とは異なる態様の所定の手動操作を受付部70に対して行う(ステップS11)。所定の手動操作によって、第2処理部2において初期化が実行される(ステップS22)。
【0091】
図6に示されるように、本実施形態の警報器の初期化方法は、さらに、受付部70に対する所定の手動操作と共に、警報器の電源プラグ61と商用電源とを接続又は分離することを含んでいてもよい(ステップS12)。電源プラグ61と商用電源との接続又は分離は、受付部70に対する所定の手動操作の前に行われてもよく、所定の手動操作の後に行われてもよく、又は所定の手動操作と同時に行われてもよい。好ましくは、所定の手動操作が行なわれている状態で、電源プラグ61と商用電源との接続又は分離が行われることによって、第2処理部2が初期化される。第2処理部2の初期化が意図せず誤って実行されることを防止できることがある。
【0092】
図6において、ステップS11が行われない限り、又は、ステップS11と共にステップS12が行われない限り、第2処理部2は、例えば通信機能や受信情報に基づく音声の発声機能のような、警報機能以外の機能の制御機能を継続して発揮している。加えて第2処理部2は、警報器の初期化以外の動作の実行を指示する操作が受付部70に対して行われると、その都度、その操作で指示された、初期化以外の動作を実行する(ステップS21)。
【0093】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0094】
例えば、
図1の変形例として、警報器100は、例えばマイコンやASICなどの半導体装置からなる三つの処理装置を備えていてもよい。その場合、その三つの処理装置のうちの一つが、第1処理装置10のように警報機能を担う第1サブ処理装置であり、他の一つが、第2処理装置20のように通信機能を担う第2サブ処理装置であり、残りの一つが、他の二つを制御するメイン処理装置であってもよい。
【0095】
また、
図1の警報器100は、その変形例において、音声による警報の発報中に、受信情報に基づく第2処理装置20の制御による音声が発せられてしまうような、第1処理装置10の制御からの第2処理装置20の離反などによる警報機能の不具合を検知する手段(図示せず)を備えていてもよい。そして、第1処理装置10は、そのような検知手段で不具合が検知されると、その不具合を例えば出力部40から報知させて、ユーザーの対処を促してもよい。その報知を受けたユーザーは、その不具合の解消手段として第2処理部2の所定の初期化動作を実行すべく、受付部70に対して所定の手動操作を行うことができる。
【0096】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、実施形態の警報器の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、警報器の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動及びフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0097】
100 警報器
1 第1処理部
10 第1処理装置
2 第2処理部
20 第2処理装置
20a 記憶手段(第2処理装置内)
30 記憶手段
40 出力部
50 検知部
61 電源プラグ
70 受付部
SW ソフトウェア
SWi ソフトウェア(初期化用データ)
【手続補正書】
【提出日】2023-07-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも火災若しくはガスのいずれか一方を検知可能である検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて警報を発する警報機能を制御する第1処理部と、
内蔵するソフトウェアに含まれる命令に従って動作して少なくとも前記警報機能以外の所定の機能を制御する第2処理部と、
手動操作を受け付ける受付部と、
を備え、
所定の手動操作が前記受付部に対して行われることによって前記第2処理部の所定の初期化動作を実行するように構成されている警報器であって、
前記所定の初期化動作は前記ソフトウェアの初期化を含んでいる、警報器。
【請求項2】
前記所定の手動操作以外の手動操作を前記受付部で受け付けると、前記所定の初期化動作以外の動作を実行するように構成されている、請求項1記載の警報器。
【請求項3】
前記ソフトウェアの初期化用データを保管する記憶手段をさらに備え、
前記所定の初期化動作において、前記初期化用データを用いて前記ソフトウェアが書き換えられる、請求項1又は2記載の警報器。
【請求項4】
前記所定の初期化動作は、さらに、前記警報器の稼働開始後に変更された、前記第2処理部を構成する部品の内部の状態を、前記変更をされる前の特定の時点の状態に戻すことを含んでいる、請求項1又は2記載の警報器。
【請求項5】
前記所定の手動操作は、互いに異なる態様の操作である第1操作と第2操作とを含み、
前記第1操作の実行によって前記ソフトウェアが初期化され、
前記第2操作の実行によって前記部品の内部の状態が、前記特定の時点の状態に戻される、請求項4記載の警報器。
【請求項6】
商用電源に接続される電源プラグをさらに備え、
前記受付部に対する前記所定の手動操作、及び、前記電源プラグと前記商用電源との接続又は分離が行われることによって、前記所定の初期化動作を実行するように構成されている、請求項1又は2記載の警報器。
【請求項7】
少なくとも火災若しくはガスのいずれか一方を検知可能である検知部と、前記検知部の検知結果に基づいて警報を発する警報機能を制御する第1処理部と、内蔵するソフトウェアに含まれる命令に従って動作して少なくとも前記警報機能以外の所定の機能を制御する第2処理部と、手動操作を受け付ける受付部と、を備える警報器の初期化方法であって、
前記警報器に初期化以外の動作の実行を指示する操作とは異なる態様の所定の手動操作を前記受付部に行うことによって、前記ソフトウェアを初期化することを含む前記第2処理部の初期化を行うことを含んでいる、警報器の初期化方法。
【請求項8】
前記第2処理部の初期化を行うことは、前記受付部に対する前記所定の手動操作、及び、前記警報器の電源プラグと商用電源との接続又は分離を行うことを含み、
前記電源プラグと前記商用電源との接続又は分離は、前記受付部に対する前記所定の手動操作の前、若しくは後に、又は前記所定の手動操作と同時に、行われる、請求項7記載の警報器の初期化方法。