(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131865
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ドローン
(51)【国際特許分類】
B64U 50/33 20230101AFI20240920BHJP
B64U 10/13 20230101ALI20240920BHJP
B64U 50/19 20230101ALI20240920BHJP
B64D 1/08 20060101ALI20240920BHJP
B64U 101/64 20230101ALN20240920BHJP
【FI】
B64U50/33
B64U10/13
B64U50/19
B64D1/08
B64U101:64
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042353
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】316015888
【氏名又は名称】三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 哲明
(72)【発明者】
【氏名】惠比寿 幹
(57)【要約】 (修正有)
【課題】必要量の燃料を搭載可能としつつ、ドローンの重量増大の抑制を図る。
【解決手段】ドローン10は、ドローン本体11と、ドローン本体11に着脱可能に設けられた貨物ユニット12と、を備える。ドローン本体11は、ドローン機体21と、ドローン機体21へ電力を供給する発電機22と、発電機22の燃料を収容するための第1タンク23と、を含む。貨物ユニット12は、発電機22の燃料を収容するための第2タンク41と、搬送すべき貨物を保持する貨物保持部42と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドローン本体と、前記ドローン本体に着脱可能に設けられた貨物ユニットと、を備え、
前記ドローン本体は、
電気駆動により飛行するドローン機体と、
前記ドローン機体へ電力を供給する発電機と、
前記発電機の燃料を収容するための第1タンクと、を含み、
前記貨物ユニットは、
前記発電機の燃料を収容するための第2タンクと、
搬送すべき貨物を保持する貨物保持部と、を含む、
ドローン。
【請求項2】
前記発電機は、前記貨物ユニットが前記ドローン本体に装着されている場合に、前記第1タンクよりも前記第2タンクからの燃料供給を優先して発電するように構成されている、
請求項1に記載のドローン。
【請求項3】
前記発電機は、前記発電機へ燃料を供給する第1燃料ポンプを含み、
前記貨物ユニットは、前記ドローン本体との接続状態で前記第1燃料ポンプの下側に配置され、
前記貨物ユニットは、前記第2タンクの燃料を前記第1燃料ポンプへ供給する第2燃料ポンプをさらに含む、
請求項2に記載のドローン。
【請求項4】
前記第1タンクは、前記ドローン本体において前記第1燃料ポンプの入口よりも上側となる位置に燃料を収容するように設けられている、
請求項3に記載のドローン。
【請求項5】
前記発電機は、前記第1燃料ポンプから前記発電機に供給される燃料の流量を制御し、余剰の燃料を前記第1タンクに排出する制御弁をさらに備え、
前記第1タンクは、前記第2タンクに接続されるオーバーフロー流路を有する、
請求項3または4に記載のドローン。
【請求項6】
前記ドローン本体は、前記ドローン本体と前記貨物ユニットとの着脱を切り替える着脱機構をさらに含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載のドローン。
【請求項7】
前記第2タンクと前記貨物保持部とを含む前記貨物ユニットを複数備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載のドローン。
【請求項8】
前記貨物ユニットとは別個に、前記ドローン本体に着脱可能に設けられ、前記発電機を始動させる始動ユニットをさらに備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載のドローン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料タンクを搭載したドローンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドローンは、遠隔操作または自動で動作し、操縦手が搭乗しない無人航空機である。このような無人航空機としては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
特許文献1には、メインポンプを介してエンジンに燃料を送るメインタンクと、サブポンプを介してメインタンクに燃料を補給するサブタンクとを備え、メインタンクおよびサブタンクの各燃料残量に基づいて機体を駆動制御する燃料供給装置が搭載された無人ヘリコプターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドローンの航続距離を大きくするためには、上記特許文献1のように燃料タンクの数を増やすか、または燃料タンク容量を大きくする必要がある。しかし、燃料タンクの数を増やしたり燃料タンクを大型化したりするほど、燃料を除いたドローンの重量が増大するため、燃費が悪化してしまう。また、飛行経路が予め決まっている貨物搬送などの用途のドローンでは、必要量よりも多くの燃料をドローンに搭載することは、燃費の悪化原因となる。そこで、貨物の重量と飛行距離とに応じて最適化された必要量の燃料を搭載可能としつつ、ドローンの重量が増大することを抑制して燃費の改善を図ることが望まれる。
【0006】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、必要量の燃料を搭載可能としつつ、ドローンの重量増大の抑制を図るドローンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本開示のドローンは、ドローン本体と、前記ドローン本体に着脱可能に設けられた貨物ユニットと、を備え、前記ドローン本体は、電気駆動により飛行するドローン機体と、前記ドローン機体へ電力を供給する発電機と、前記発電機の燃料を収容するための第1タンクと、を含み、前記貨物ユニットは、前記発電機の燃料を収容するための第2タンクと、搬送すべき貨物を保持する貨物保持部と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示のドローンによれば、必要量の燃料を搭載可能としつつ、ドローンの重量増大の抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態のドローンを表す概略図である。
【
図2】
図2は、ドローン本体から貨物ユニットを外した状態を表す概略図である。
【
図3】
図3は、ドローンに貨物ユニットを複数設けた変形例を表す概略図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態のドローンを表す概略図である。
【
図5】
図5は、発電機および燃料供給系を表す概略図である。
【
図6】
図6は、第3実施形態のドローンを表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0011】
[第1実施形態]
<ドローン>
図1は、第1実施形態のドローンを表す概略図である。
【0012】
図1に示すように、ドローン10は、ドローン本体11と、ドローン本体11に着脱可能に設けられた貨物ユニット12と、を備える。ドローン10は、貨物搬送用ドローンである。ドローン10は、ドローン本体11に装着した貨物ユニット12に、貨物CAを積載して飛行し、積載した貨物CAを目的地まで搬送することができる。ドローン10は、ドローン本体11に貨物ユニット12を装着した状態(
図1参照)およびドローン本体11から貨物ユニット12を分離した状態(
図2参照)のいずれの状態でも飛行することができる。
【0013】
<ドローン本体の構成>
図1に示すように、ドローン本体11は、電気駆動により飛行するドローン機体21と、ドローン機体21へ電力を供給する発電機22と、発電機22の燃料を収容するための第1タンク23と、を含む。
【0014】
ドローン機体21は、電動ドローン装置からなる。ドローン機体21は、複数の回転翼21aと、それぞれの回転翼21aを回転駆動する電動モーター21bとを備える。ドローン機体21は、バッテリー(電池)と、通信部、衛星測位システムなどを用いた位置情報取得部、加速度センサおよびジャイロセンサなどの姿勢情報取得部、カメラ、および、これらの各部を制御するための制御部を内蔵している。電動モーター21bは、バッテリーおよび/または発電機22から供給される電力によって駆動される。このように、ドローン本体11は、バッテリーと発電機22との別々の動力源を組み合わせたハイブリット型の装置である。ドローン機体21は、通信部を介した遠隔操縦と、位置情報取得部を介してあらかじめ設定された経路で飛行する自律飛行とが可能である。
【0015】
ドローン機体21の上面側に複数の回転翼21aがそれぞれ設けられており、ドローン機体21の下面側に、脚部24、発電機22および第1タンク23が設けられている。
【0016】
発電機22は、ブラケットを介してドローン機体21の下面側に固定されている。発電機22は、たとえばガスタービン発電機である。ガスタービン発電機は、発電を行う回転電機と、ガスタービンとを組み合わせた発電機である。ガスタービン発電機は、燃焼器に供給された燃料と圧縮機から供給される圧縮空気との混合気の燃焼で生成された高温ガスによりタービンを回転させ、タービンの回転により回転電機を回転駆動することにより、発電を行う。
【0017】
第1タンク23は、発電機22の側方に設置されている。第1タンク23は、発電機22に供給する燃料を貯留する容器である。燃料は、液体燃料であり、灯油などの石油系燃料でありうる。第1タンク23は、発電機22の燃料ポンプ25に流体的に接続されている。燃料ポンプ25は、第1タンク23内の燃料を発電機22に供給する。なお、発電機22は、貨物ユニット12がドローン本体11に装着されている場合に、第1タンク23よりも後述する第2タンク41からの燃料供給を優先して発電するように構成されている。つまり、発電機22は、貨物ユニット12がドローン本体11から分離されている場合、または、第2タンク41内の燃料が空の場合に、第1タンク23からの燃料供給により発電を行う。
【0018】
発電機22の下面側には、貨物ユニット12をドローン本体11に接続するための接続部31aが設けられている。接続部31aは、貨物ユニット12の接続部31bと機械的連結および連結解除が可能に構成されている。接続部31aと接続部31bとが連結することで、貨物ユニット12がドローン本体11に固定(装着)される。接続部31aと接続部31bとの連結を解除することで、貨物ユニット12がドローン本体11から分離可能となる。
【0019】
ドローン本体11は、
図1および
図2に示すように、ドローン本体11と貨物ユニット12との着脱を切り替える着脱機構30をさらに含む。着脱機構30は、接続部31aを駆動するアクチュエータを含み、接続部31aと接続部31bとの連結および連結解除を切り替える。着脱機構30は、ドローン機体21の制御部を介した制御により、遠隔操作可能であり、かつ、プログラムによる自動着脱動作が可能である。
【0020】
<貨物ユニットの構成>
図1に示すように、貨物ユニット12は、発電機22の燃料を収容するための第2タンク41と、搬送すべき貨物を保持する貨物保持部42と、を含む。貨物ユニット12は、第2タンク41および貨物保持部42が設けられ、上面に接続部31bが設けられたシャーシ40を有する。
【0021】
第2タンク41は、シャーシ40の上部に配置されている。第2タンク41は、発電機22に供給する燃料を貯留する容器である。第2タンク41の容積は、第1タンク23の容積よりも大きくてもよい。第2タンク41は、接続部31bを介して、燃料ポンプ25と接続可能である。すなわち、接続部31aと接続部31bとが連結することに伴い、第2タンク41は燃料ポンプ25と流体的に接続される。
【0022】
貨物保持部42は、シャーシ40の下部(つまり、第2タンク41の下側)に配置されている。貨物保持部42は、貨物CAを設置可能な所定容積の収容空間である。
【0023】
<ドローンの作用>
以下、ドローン10の基本的な作用を説明する。
図1に示すように、ドローン10の使用時には、拠点にいるユーザーが、貨物CAの重量および貨物CAの目的地までの飛行距離に応じた燃料を第2タンク41に収容し、貨物CAを貨物保持部42に設置して、貨物ユニット12をドローン本体11に装着する。なお、第1タンク23には満量の燃料が収容される。
【0024】
ドローン10は、拠点から目的地まで、予め設定された飛行経路で飛行する。貨物ユニット12がドローン本体11に装着されているので、発電機22には、第2タンク41の燃料が供給される。つまり、ドローン10は、拠点から目的地までの往路では、第2タンク41の燃料を使用して飛行する。
【0025】
ドローン10は、目的地に到着すると、着脱機構30により貨物ユニット12とドローン本体11の連結を解除する。ドローン10は、
図2に示すように、貨物ユニット12を分離して、ドローン本体11のみで飛行する。貨物ユニット12がドローン本体11から分離されているので、発電機22には、第1タンク23の燃料が供給される。つまり、ドローン10は、目的地から拠点までの復路では、第1タンク23の燃料を使用して飛行する。復路の飛行時には、貨物ユニット12の分だけドローン10の重量が低減されるため、その分、燃費が改善する。そのため、ドローン10は、第2タンク41よりも容積の小さい第1タンク23に貯留された燃料だけで、目的地から拠点まで飛行できる。
【0026】
<第1実施形態の変形例>
第1実施形態のドローン10は、第2タンク41と貨物保持部42とを含む貨物ユニット12を複数備えることができる。
図3の例では、ドローン10が5つの貨物ユニット12A~12Eを備えている。このドローン10は、たとえば、以下のように運用できる。ドローン10は、貨物ユニット12Aを装着し、貨物ユニット12Aの第2タンク41の燃料を使用して、拠点から目的地Aまで飛行する。ドローン10は、貨物ユニット12Aを分離して貨物ユニット12Bを装着し、貨物ユニット12Bの第2タンク41の燃料を使用して、目的地Aから目的地Bまで飛行する。ドローン10は、貨物ユニット12Bを分離して貨物ユニット12Cを装着し、貨物ユニット12Cの第2タンク41の燃料を使用して、目的地Bから目的地Cまで飛行する。貨物ユニット12D、貨物ユニット12Eも、それぞれ同様にして目的地Cから目的地Dまでの飛行、目的地Dから目的地Eまでの飛行に使用する。最後に、ドローン10は、貨物ユニット12Eを分離して、ドローン本体11のみで、第1タンク23の燃料を使用して、目的地Eから拠点まで帰還する。
【0027】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態のドローン10Aを表す概略図である。なお、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0028】
図4に示すように、ドローン10Aの発電機22は、上記第1実施形態の燃料ポンプ25に代えて、発電機22へ燃料を供給する第1燃料ポンプ51を含む。ドローン10Aの貨物ユニット12は、ドローン本体11との接続状態で第1燃料ポンプ51の下側に配置されている。貨物ユニット12は、第2タンク41の燃料を第1燃料ポンプ51へ供給する第2燃料ポンプ52を含む。
【0029】
なお、第1タンク23は、ドローン本体11において第1燃料ポンプ51の入口よりも上側となる位置に燃料を収容するように設けられている。つまり、第1タンク23内の燃料の液面が第1燃料ポンプ51の入口よりも上側に配置されるため、第1タンク23内の燃料は、揚程差によって第1燃料ポンプ51まで供給される。一方、第2タンク41は第1燃料ポンプ51の下側に配置されているため、第2タンク41から第1燃料ポンプ51まで燃料を汲み上げる必要がある。そこで、第2実施形態では、第2タンク41の燃料が、第2燃料ポンプ52と第1燃料ポンプ51との2段階で発電機22に供給される。
【0030】
第1燃料ポンプ51が燃料の汲み上げを行わずに済むので、第1燃料ポンプ51は、上記第1実施形態の燃料ポンプ25よりも小型、軽量のポンプが採用される。第2燃料ポンプ52は、貨物ユニット12に設けられているので、貨物ユニット12がドローン本体11から分離されると、第2燃料ポンプ52の重量分だけドローン本体11の重量が低減される。
【0031】
図5は、発電機22および燃料供給系を表す概略図である。
【0032】
<発電機の構成>
図5に示すように、発電機22は、回転電機61と、回転電機61に連結されたガスタービン62とを備える。回転電機61は、ローター部61aとステーター部61bとを備える。ガスタービン62は、圧縮機62aと、燃焼器62bと、タービン62cとを有する。圧縮機62a、タービン62c、回転電機61のローター部61aが、回転軸63により一体回転するよう連結されている。
【0033】
圧縮機62aは、回転軸63により回転駆動されて空気を圧縮し、高温・高圧の圧縮空気を燃焼器62bに供給する。燃焼器62bは、圧縮空気に対して燃料ガスを供給して混合気を生成し、混合気を燃焼させることで高温・高圧の燃焼ガスを生成する。タービン62cは、燃焼ガスの膨張により回転することで回転軸63を回転駆動する。回転電機61は、回転軸63によりローター部61aがステーター部61bに対して回転駆動されることにより、発電を行う。回転電機61で発生した電力がドローン機体21に供給される。
【0034】
<燃料供給系の構成>
発電機22は、制御弁64を備える。制御弁64は、第1燃料ポンプ51から発電機22に供給される燃料の流量を制御し、余剰の燃料を第1タンク23に排出する。具体的には、第1燃料ポンプ51の吐出口が、制御弁64を介して燃焼器62bの燃料ノズルに接続している。第1燃料ポンプ51は、燃焼器62b内に燃料を噴射させるための所定の高圧で燃料を吐出する。制御弁64は、さらに、戻り流路71を介して第1タンク23に接続され、余剰の燃料を第1タンク23へ送り出す。第1燃料ポンプ51の入口は、分岐した入口流路72によって第1タンク23と接続部81aとにそれぞれ接続している。
【0035】
第1タンク23は、入口流路72と、戻り流路71とに接続している。また、第1タンク23は、第2タンク41に接続されるオーバーフロー流路73を有する。第1タンク23の上限量を超える燃料が、戻り流路71から第1タンク23に供給されると、上限量を超える分の燃料がオーバーフロー流路73へ排出される。オーバーフロー流路73は、接続部82aに接続している。
【0036】
第2タンク41は、オーバーフロー接続路75を介して接続部82bに接続している。また、貨物ユニット12の第2タンク41は、供給流路74を介して第2燃料ポンプ52の入口に接続している。第2燃料ポンプ52の吐出口は、接続部81bに接続している。第2燃料ポンプ52は、第1燃料ポンプ51へ第2タンク41内の燃料を汲み上げるための所定の低圧で燃料を吐出する。
【0037】
ドローン本体11と貨物ユニット12とが連結されることにより、接続部81a、82aと、対応する接続部81b、82bとが、それぞれ流体的に接続される。これにより、第2タンク41の燃料は、第2燃料ポンプ52、第1燃料ポンプ51および制御弁64を介して燃焼器62bへ供給される。第1タンク23と第1燃料ポンプ51との間の入口流路72には、逆止弁77が設けられており、かつ、第2燃料ポンプ52の吐出圧力は、第1タンク23からの送液圧力(揚程差に相当)よりも高い。そのため、第2燃料ポンプ52から燃料供給を行っている間は、第1タンク23側から燃料が供給されることがなく、第1タンク23よりも第2タンク41からの燃料が優先して供給される。
【0038】
制御弁64から排出される余剰の燃料は、戻り流路71、第1タンク23、およびオーバーフロー流路73を介して第1タンク23に戻される。これにより、貨物ユニット12がドローン本体11に装着されている状態では、第1タンク23の燃料収容量が満量に維持される。
【0039】
ドローン本体11が貨物ユニット12から分離されると、接続部81a、82aは閉鎖する。この状態では、第1タンク23内の燃料が入口流路72を介して第1燃料ポンプ51へ供給され、供給された燃料が第1燃料ポンプ51から制御弁64を介して燃焼器62bへ供給される。
【0040】
第2実施形態のドローン10Aのその他の構成は、第1実施形態のドローン10と同様であり、説明は省略する。
【0041】
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態のドローン10Bを表す概略図である。なお、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0042】
図6に示すように、ドローン10Bは、貨物ユニット12(
図4参照)とは別個に、ドローン本体11に着脱可能に設けられた始動ユニット13をさらに備える。
【0043】
始動ユニット13は、発電機22を始動させるためのユニットである。始動ユニット13には、ガスタービン発電機の始動用の補器類13aが設けられている。
【0044】
補器類13aは、たとえば、イグナイター、エキサイター、始動用電源、電圧変換器を含みうる。イグナイターは、発電機22の燃焼器62b(
図5参照)内の混合気を放電による火花で点火させる点火装置である。エキサイターは、イグナイターに放電電圧を供給する。始動用電源は、たとえばキャパシターを有し、エキサイターに供給する電力を貯蔵する。電圧変換器は、たとえばDC-DCコンバーターを有し、始動用電源の出力電圧をエキサイターの入力電圧に変換する。
【0045】
発電機22(ガスタービン発電機)は、補器類13aによって始動すると、ガスタービン62(
図5参照)を停止させるまでは、燃料供給によって補器類13aを用いずに継続的に運転できる。そのため、発電機22の始動時にのみ始動ユニット13をドローン本体11に装着するだけで、発電機22の始動後は始動ユニット13をドローン本体11から分離させることができる。第3実施形態では、発電機22の始動後、ドローン10が拠点から目的地を経由して拠点に帰還するまで、発電機22が運転状態を継続する。
【0046】
図6に示すように、始動ユニット13には、補器類13aの他に、始動用の燃料を収容した第3タンク13b、および、ドローン機体21に搭載されるバッテリーの交換用の予備バッテリー13cなどを設けることができる。
【0047】
第3実施形態では、拠点にいるユーザーが、ドローン10Bの出発時に、まず始動ユニット13をドローン本体11に装着して、発電機22を始動させる。発電機22の始動後、ユーザーが、始動ユニット13をドローン本体11から分離させ、貨物CAを保持した貨物ユニット12(
図4参照)をドローン本体11に装着する。そして、ドローン10Bが拠点から目的地へ飛行する。始動ユニット13への予備バッテリー13cの搭載は、ドローン10Bの出発時に、ドローン機体21のバッテリー交換を行う場合に利便性が高い。
【0048】
第3実施形態のドローン10Bのその他の構成は、第1実施形態のドローン10と同様であり、説明は省略する。
【0049】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係るドローンは、ドローン本体11と、ドローン本体11に着脱可能に設けられた貨物ユニット12と、を備え、ドローン本体11は、電気駆動により飛行するドローン機体21と、ドローン機体21へ電力を供給する発電機22と、発電機22の燃料を収容するための第1タンク23と、を含み、貨物ユニット12は、発電機22の燃料を収容するための第2タンク41と、搬送すべき貨物CAを保持する貨物保持部42と、を含む。
【0050】
第1の態様に係るドローンによれば、ドローン本体11に貨物ユニット12が装着されている状態では、第2タンク41に収容した燃料により発電して飛行できる。そのため、貨物ユニット12の総重量と貨物CAの目的地までの飛行距離とを考慮して最適化した必要量の燃料を第2タンク41に収容することで、目的地までの往路の飛行ができる。そして、ドローン本体11から貨物ユニット12が分離されている状態では、第1タンク23に収容した燃料により発電して飛行できる。そのため、目的地で貨物ユニット12をドローン本体11から分離して、目的地から拠点までの復路をドローン本体11だけで飛行できる。貨物ユニット12をドローン本体11から分離した状態では、貨物CAの重量および第2タンク41の重量を含んだ貨物ユニット12の全重量がドローン10から除かれる。その結果、復路における燃料消費量は、往路における燃料消費量よりも小さくなり、その分、第1タンク23のサイズおよび第1タンク23に収容される燃料の量を低減できる。第1タンク23のサイズおよび第1タンク23に収容される燃料の量の低減によるドローン10の燃費改善効果は、貨物ユニット12の装着時および分離時のどちらにおいても得ることができる。これらの結果、必要量の燃料を搭載可能としつつ、ドローン10の重量増大の抑制を図ることができる。
【0051】
また、第1の態様に係るドローンによれば、ドローン本体11とは別に、貨物ユニット12に貨物CAと燃料(第2タンク41の燃料)とを予め準備しておくことができる。そのため、ドローン本体11に貨物ユニット12を装着するだけで貨物CAの積み込みと第2タンク41の燃料補給とが完了するので、飛行準備の作業時間を短縮することができるという更なる効果も得られる。
【0052】
第2の態様に係るドローンは、第1の態様に係るドローンであって、発電機22が、貨物ユニット12がドローン本体11に装着されている場合に、第1タンク23よりも第2タンク41からの燃料供給を優先して発電するように構成されている。これにより、目的地までの往路の飛行では、貨物ユニット12の第2タンク41の燃料により発電し、目的地で貨物ユニット12をドローン本体11から分離した後、目的地から拠点までの復路の飛行では、ドローン本体11の第1タンク23の燃料により発電できる。これにより燃料搭載量の最適化が容易となり、不必要に多量の燃料を搭載することを抑制できる。燃料搭載量を抑制することによりドローン10の重量が低減されるので、ドローン10の燃費を改善できる。
【0053】
第3の態様に係るドローンは、第1または第2の態様に係るドローンであって、発電機22が、発電機22へ燃料を供給する第1燃料ポンプ51を含み、貨物ユニット12が、ドローン本体11との接続状態で第1燃料ポンプ51の下側に配置され、貨物ユニット12が、第2タンク41の燃料を第1燃料ポンプ51へ供給する第2燃料ポンプ52をさらに含む。これにより、第2タンク41からの燃料を汲み上げるための第2燃料ポンプ52を貨物ユニット12に搭載してドローン本体11から分離させることができる。その結果、ドローン本体11に燃料を汲み上げるためのポンプを設ける場合と比較して、ドローン本体11の重量を低減できる。ドローン本体11の重量低減により燃費が改善されるので、第1タンク23をさらに小型、軽量化できる。
【0054】
第4の態様に係るドローンは、第3の態様に係るドローンであって、第1タンク23が、ドローン本体11において第1燃料ポンプ51の入口よりも上側となる位置に燃料を収容するように設けられている。これにより、揚程差を利用して第1タンク23内の燃料を第1燃料ポンプ51へ供給できる。そのため、第1タンク23内の燃料を汲み上げるためのポンプをドローン本体11に設ける場合と比べて、ドローン本体11の重量をさらに低減できる。
【0055】
第5の態様に係るドローンは、第3または第4の態様に係るドローンであって、発電機22が、第1燃料ポンプ51から発電機22に供給される燃料の流量を制御し、余剰の燃料を第1タンク23に排出する制御弁64をさらに備え、第1タンク23が、第2タンク41に接続されるオーバーフロー流路73を有する。これにより、流量制御によって余剰となった燃料が、まず制御弁64から第1タンク23へ排出され、第1タンク23が満量になっている場合に、第1タンク23から第2タンク41へ排出される。そのため、貨物ユニット12がドローン本体11に装着されている往路の飛行中に、第1タンク23内を満量の状態に維持できる。その結果、貨物ユニット12をドローン本体11から分離し、第1タンク23内の燃料のみで発電、飛行を行う際に、第1タンク23内が満量の状態で飛行開始できる。
【0056】
第6の態様に係るドローンは、第1~第5のいずれかの態様に係るドローンであって、ドローン本体11が、ドローン本体11と貨物ユニット12との着脱を切り替える着脱機構30をさらに含む。これにより、ドローン本体11と貨物ユニット12との着脱作業を手作業で行う場合と比較して、着脱作業に要する時間を容易に短縮できる。また、発電機22を停止させなくても安全に貨物ユニット12の着脱が行えるので、発電機22の停止および再始動の作業を不要にできる。
【0057】
第7の態様に係るドローンは、第1~第6のいずれかの態様に係るドローンであって、第2タンク41と貨物保持部42とを含む貨物ユニット12を複数備える。これにより、目的地で貨物ユニット12をドローン本体11から分離して拠点に帰還する運用方法だけでなく、複数の貨物ユニット12を付け替えることで単一のドローン本体11により様々な運用方法が実現できる。たとえば、複数の目的地で順次貨物ユニット12を付け替えることで、単一のドローン本体11が複数の目的地を経由して順番に貨物CAを搬送する運用方法を実現できる。この運用方法では、単一の貨物ユニット12(第2タンク41)に搭載した燃料だけでは実現不可能な飛行経路でドローン10を飛行させることができる。
【0058】
第8の態様に係るドローンは、第1~第7のいずれかの態様に係るドローンであって、貨物ユニット12とは別個に、ドローン本体11に着脱可能に設けられ、発電機22を始動させる始動ユニット13をさらに備える。これにより、発電機22の始動時に必要となる始動ユニット13をドローン本体11から分離させることができる。そのため、発電機22の始動時に必要となる補器類13aをドローン本体11に搭載する場合と比べて、ドローン本体11の重量を効果的に低減できる。ドローン本体11の重量低減により燃費が改善されるので、第1タンク23の小型化および軽量化を図ることができる。
【0059】
なお、上述した実施形態では、ドローン機体21の下側に発電機22、第1タンク23および貨物ユニット12を設けたが、ドローン機体21の下側に回転翼21aを配置して、ドローン機体21の上側に発電機22、第1タンク23および貨物ユニット12を配置してもよい。また、貨物ユニット12は、ドローン本体11に対して複数装着可能であってもよい。
【0060】
上述したドローン10の運用方法は、あくまでも一例であり、上述した実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態によれば、ドローン本体11に貨物ユニット12を装着した状態の飛行と、ドローン本体11から貨物ユニット12を分離させた状態の飛行とを組み合わせることで、様々な運用方法が可能であることは明らかである。
【符号の説明】
【0061】
10、10A、10B ドローン
11 ドローン本体
12、12A、12B、12C、12D、12E 貨物ユニット
13 始動ユニット
21 ドローン機体
22 発電機
23 第1タンク
30 着脱機構
42 貨物保持部
51 第1燃料ポンプ
52 第2燃料ポンプ
64 制御弁
73 オーバーフロー流路