(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131867
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】局部洗浄システム
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20240920BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
E03D9/08 B
G01B11/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042355
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒川 祐輝
(72)【発明者】
【氏名】藤田 恵亮
(72)【発明者】
【氏名】関 大輝
【テーマコード(参考)】
2D038
2F065
【Fターム(参考)】
2D038GA00
2D038JA05
2D038JB08
2D038JC01
2D038JC03
2D038JF00
2D038JH18
2D038JH19
2D038KA02
2D038KA03
2D038KA06
2D038KA27
2F065AA03
2F065CC16
2F065FF01
2F065FF42
(57)【要約】
【課題】利用者の局部洗浄を適切に実行すること。
【解決手段】実施形態に係る局部洗浄システムは、人体の局部を洗浄する局部洗浄装置を制御する局部洗浄システムであって、利用者の排泄物を受けるボウル部と、1回当たりの排便行為により排泄された排泄物が撮像された画像の画像情報を取得する取得部と、落下中の大便が撮像された前記画像情報に含まれる大便の輪郭を抽出する抽出部と、前記抽出部により抽出された前記大便の輪郭を示す輪郭情報に基づいて、前記大便の落下する方向に交差する水平方向における前記利用者の肛門の位置を算出する算出部と、前記算出部により算出された前記利用者の肛門の位置に基づいて、前記局部洗浄装置による洗浄位置を制御する制御部と、を備え、前記算出部は、前記大便の中心位置を算出し、前記利用者の肛門の位置を算出する第1処理を実行するものであって、前記算出部は、前記大便の曲がりの大きさが所定の条件を満たした場合、処理を前記第1処理から第2処理へ変更する。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の局部を洗浄する局部洗浄装置を制御する局部洗浄システムであって、
利用者の排泄物を受けるボウル部と、
1回当たりの排便行為により排泄された排泄物が撮像された画像の画像情報を取得する取得部と、
落下中の大便が撮像された前記画像情報に含まれる大便の輪郭を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された前記大便の輪郭を示す輪郭情報に基づいて、前記大便の落下する方向に交差する水平方向における前記利用者の肛門の位置を算出する算出部と、
前記算出部により算出された前記利用者の肛門の位置に基づいて、前記局部洗浄装置による洗浄位置を制御する制御部と、
を備え、
前記算出部は、前記大便の中心位置を算出し、前記利用者の肛門の位置を算出する第1処理を実行するものであって、
前記算出部は、前記大便の曲がりの大きさが所定の条件を満たした場合、処理を前記第1処理から第2処理へ変更する
ことを特徴とする局部洗浄システム。
【請求項2】
前記算出部は、
前記第2処理として、前記大便の中心線の曲率が所定の値以上変化した時点より以前に撮像された画像の画像情報を用いて、前記利用者の肛門の位置を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の局部洗浄システム。
【請求項3】
前記算出部は、
前記第2処理として、前記大便のうち、前記大便の中心線の曲率が所定の値以上変化した時点より前の時点に対応する位置の部分の情報を用いて、前記利用者の肛門の位置を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の局部洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、局部洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレの利用者が排泄した大便(以下「便」ともいう)の落下位置を基に利用者の肛門位置を推定し、肛門位置に狙い定めて吐水し洗浄(局部洗浄)を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第107794991号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の技術には改善の余地がある。上述した従来技術では、単に便の落下位置の鉛直上が利用者の肛門位置であるとしているに過ぎず、例えば利用者が排泄した便が複数ある場合や便の形状が落下方向に対して曲がっている場合等、利用者の肛門位置を適切に推定することが難しく、利用者の局部洗浄を適切に実行することが出来ない場合が生じ得る。そのため、利用者の局部洗浄を適切に実行することが望まれている。
【0005】
開示の実施形態は、利用者の局部洗浄を適切に実行する局部洗浄システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る局部洗浄システムは、人体の局部を洗浄する局部洗浄装置を制御する局部洗浄システムであって、利用者の排泄物を受けるボウル部と、1回当たりの排便行為により排泄された排泄物が撮像された画像の画像情報を取得する取得部と、落下中の大便が撮像された前記画像情報に含まれる大便の輪郭を抽出する抽出部と、前記抽出部により抽出された前記大便の輪郭を示す輪郭情報に基づいて、前記大便の落下する方向に交差する水平方向における前記利用者の肛門の位置を算出する算出部と、前記算出部により算出された前記利用者の肛門の位置に基づいて、前記局部洗浄装置による洗浄位置を制御する制御部と、を備え、前記算出部は、前記大便の中心位置を算出し、前記利用者の肛門の位置を算出する第1処理を実行するものであって、前記算出部は、前記大便の曲がりの大きさが所定の条件を満たした場合、処理を前記第1処理から第2処理へ変更することを特徴とする。
【0007】
従来、局部洗浄機能を操作するリモコン等の操作装置はボタンが多く、操作が煩雑で、デザイン性が低く、操作性とデザイン性を両立するには、局部洗浄機能の自動操作が求められる。そのため、自動的に利用者の肛門位置を検知(推定)して、推定した肛門位置に応じて局部洗浄機能による吐水を実行する技術が開発されている。例えば、大便(便)の形状については、肛門から便器(ボウル部)内に向かって真っすぐ伸びて落下する大便(直便ともいう)であれば、肛門位置を検出するのも容易であるが、例えば、ボウル部に大便の先端が接触することで、接触した大便は形状が大きく変わった大便(曲がり便ともいう)となり、肛門位置の検出が困難になる。そのため、曲がり便についても直便と同じ肛門位置の算出処理を行うと、肛門位置の算出精度が低下するとい問題がある。そこで、実施形態の一態様に係る局部洗浄システムによれば、直便用の第1処理を実行するものであって、大便の形状が所定以上に曲がった場合、曲がり便と判断して、曲がり便用の第2処理を実行することで、精度よく肛門位置を算出することができる。これにより、大便の形状が曲がり便になった場合であっても適切に局部洗浄装置による洗浄位置を制御することができる。したがって、局部洗浄システムは、利用者の局部洗浄を適切に実行することができる。さらに、局部洗浄システムは、局部洗浄機能での位置操作を自動的に行う事が可能となり、操作系をシンプルにすることができる。
【0008】
実施形態の一態様に係る局部洗浄システムにおいて、前記算出部は、前記第2処理として、前記大便の中心線の曲率が所定の値以上変化した時点より以前に撮像された画像の画像情報を用いて、前記利用者の肛門の位置を算出する。
【0009】
実施形態の一態様に係る局部洗浄システムによれば、ボウル部に衝突するに撮像された画像を利用して、肛門位置を算出することにより、精度よく肛門位置を算出することができる。したがって、局部洗浄システムは、利用者の局部洗浄を適切に実行することができる。
【0010】
実施形態の一態様に係る局部洗浄システムにおいて、前記算出部は、前記第2処理として、前記大便のうち、前記大便の中心線の曲率が所定の値以上変化した時点より前の時点に対応する位置の部分の情報を用いて、前記利用者の肛門の位置を算出する。
【0011】
実施形態の一態様に係る局部洗浄システムによれば、ボウル部に衝突する前の直便部分を肛門位置の算出に使用することで、直便と曲がり便の境目を出すために曲率の値を利用して、肛門位置を算出することにより、精度よく肛門位置を算出することができる。したがって、局部洗浄システムは、利用者の局部洗浄を適切に実行することができる。
【発明の効果】
【0012】
実施形態の一態様によれば、利用者の局部洗浄を適切に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係るトイレルーム内の構成の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る局部洗浄システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る便座装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る便座装置の構成の一例を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る便座装置の構成の一部を示す平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る便座装置の構成の一部を示す正面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、データの取得方法の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、肛門位置に基づく吐水制御フローを示す概念図である。
【
図10】
図10は、局部洗浄システムによる処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、情報処理装置による処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、複数便における肛門検知制御の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、複数便における中心位置算出の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、複数便における中心位置算出の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、便の除外に基づく肛門検知制御の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、曲がり便における肛門検知制御の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、便の曲がりが所定の条件を満たす場合の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、便の曲がりが所定の条件を満たさない場合の一例を示す図である。
【
図23】
図23は、変形例に係る便座装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図24】
図24は、変形例に係る便座装置の構成の一部を示す平面図である。
【
図25】
図25は、変形例に係る肛門位置の算出例を示す図である。
【
図26】
図26は、変形例に係る肛門位置の算出例を示す図である。
【
図27】
図27は、変形例に係る肛門位置の算出例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する局部洗浄システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。例えば、以下では便画像を撮像する構成(撮像手段)にラインセンサ(一次元のイメージセンサ)を用いる場合を一例として説明するが、撮像手段はラインセンサに限らず、いわゆるカメラのようなエリアセンサ(二次元のイメージセンサ)等の各種のセンサが用いられてもよい。以下では、利用者の肛門位置の算出に関する処理やその処理を行うための構成について説明するが、最初に前提となる局部洗浄システムやトイレルーム内の構成などの各種構成を説明する。
【0015】
<1.局部洗浄システムの構成>
まず、実施形態に係る局部洗浄システムの構成について
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、実施形態に係るトイレルーム内の構成の一例を示す斜視図である。
図2は、実施形態に係る局部洗浄システムの構成例を示す図である。
【0016】
まず、
図1を用いて局部洗浄システム1のうちトイレルームR内の構成例について説明する。
図1に示すように、トイレルームRには、床面Fに、洋式大便器(以下「便器」と記載する)7が設置される。なお、以下では、床面FからトイレルームRの空間内に臨む向きを上と記載する。便座装置2は、便器7の上部に設けられる。
【0017】
便器7は、例えば、陶器製である。便器7には、ボウル部8が形成される。ボウル部8は、下方に凹んだ形状であり、利用者(使用者)の排泄物を受ける部位である。なお、便器7は、図示のような床置き式に限らず、局部洗浄システム1を適用可能であれば、どのような形式でもよく、壁掛け式等のような形式であってもよい。便器7には、ボウル部8が臨む開口の端部の全周にわたってリム部9が設けられる。トイレルームRには、例えば、便器7付近に洗浄水を貯留する洗浄水タンクが設置されてもよいし、洗浄水タンクが設置されない、いわゆるタンクレス式でもよい。
【0018】
例えば、トイレルームRに設けられた洗浄用の洗浄操作部(図示省略)が利用者により操作されると、便器7のボウル部8への洗浄水の供給による便器洗浄が実施される。洗浄操作部は操作レバーや、操作装置10に表示された便器洗浄オブジェクトに対するタッチ操作であってもよい。なお、洗浄操作部は、操作レバーなどのような利用者の手動によって便器洗浄を実施させるものに限らず、着座センサのような利用者を検知するセンサの人体検知によって便器洗浄を実施させるものでもよい。
【0019】
便座装置2は、便器7の上部に取り付けられ、本体部3と、便蓋4と、便座5と、洗浄ノズル6とを備える。便座装置2は、排泄物を受けるボウル部8が形成された便器7の上部に載置される。便座装置2は、洗浄ノズル6が洗浄水を噴射する前にボウル部8に進出するように便器7の上部に載置される。なお、便座装置2は、便器7に対して着脱可能に取り付けられてもよいし、便器7と一体化するように取り付けられてもよい。
【0020】
図1に示すように、便座5は、中央に開口50を有する環状に形成され、リム部9に沿って、便器7の開口に重なる位置に配置される。便座5は、利用者が着座する。便座5は、着座した利用者の臀部を支持する着座部として機能する。また、
図1に示すように、便蓋4及び便座5は、それぞれの一端部が本体部3に軸支され、本体部3の軸支部分を中心として回動可能(開閉可能)に取り付けられる。なお、便蓋4は、便座装置2に必要に応じて取り付けられ、便座装置2は、便蓋4を有しなくてもよい。
【0021】
洗浄ノズル6は、洗浄用の水を吐水するためのノズルである。洗浄ノズル6は、洗浄水を噴射可能である。洗浄ノズル6は、利用者に向けて洗浄水を噴射可能である。洗浄ノズル6は、局部洗浄用のノズルである。洗浄ノズル6は、電動モータなどの駆動源(
図3中のノズルモータ61等)の駆動により、本体部3の筐体である本体カバー30に対して進退可能に構成される。また、洗浄ノズル6は、図示しない水道管などの水源に接続される。そして、洗浄ノズル6は、
図1に示すように、本体部3の筐体である本体カバー30に対して進出した位置(以下「進出位置」ともいう)にあるときに、水源からの水を利用者の身体へ噴出させて局部を洗浄する。
【0022】
図1では、洗浄ノズル6が進出位置にある状態を示す。なお、詳細は後述するが、洗浄ノズル6は、
図3に示すように局部洗浄装置60に含まれ、制御部34により洗浄位置が制御される。洗浄ノズル6は、水を噴出する部位の向きを変更したり、進出位置を変更したりすることにより、洗浄位置を変更可能である。これにより、洗浄ノズル6は、利用者の肛門の位置に応じて洗浄位置を変更可能となる。また、洗浄ノズル6は、便器7(ボウル部8等)内の洗浄用にも共用されてもよい。洗浄ノズル6は、利用者の局部を洗浄する局部洗浄モードと、便器7内に水を撒く便器洗浄モードとを切り替え可能に用いられてもよい。例えば、洗浄ノズル6は、便座装置2の制御部34(
図3参照)による制御に応じて、局部洗浄モードと便器洗浄モードとを切り替え可能に用いられてもよい。
【0023】
操作装置10は、トイレルームR内に設けられる。操作装置10は、利用者が操作可能な位置に設けられる。操作装置10は、利用者が便座5に着座時において、操作可能な位置に設けられる。
図1に示す例において、操作装置10は、便座5に着座した利用者から見て右側方の壁面Wに配置される。なお、操作装置10は、便座5に着座した利用者が利用可能であれば、壁面に限らず、種々の態様により配置されてもよい。例えば、操作装置10は、便座装置2と一体に設けられてもよい。
【0024】
局部洗浄システム1は、例えば人体の局部を洗浄する局部洗浄装置60を制御するシステムである。
図2に示すように、局部洗浄システム1は、便座装置2と、操作装置10と、情報処理装置400とが含まれる。局部洗浄システム1には、複数の情報処理装置400や、複数の便座装置2や、複数の操作装置10が含まれてもよい。
【0025】
便座装置2は、トイレルームR内に配置される装置である。便座装置2は、取得した便画像情報(単に「画像」ともいう)を情報処理装置400へ送信する。便座装置2は、情報処理装置400から受信した利用者の肛門の位置を示す情報に基づいて、局部洗浄装置60による洗浄位置を制御する。なお、便座装置2の構成等の詳細は後述する。
【0026】
操作装置10は、便座装置2や情報処理装置400と所定のネットワーク(ネットワークN)を介して、有線または無線により通信可能に接続される。例えば、便座装置2と操作装置10とは、情報の送受信が可能であれば、どのような接続であってもよく、有線により通信可能に接続されてもよいし、無線により通信可能に接続されてもよい。
【0027】
操作装置10は、例えばタッチパネル機能により表示面(例えば表示画面11)を介して利用者からの各種操作を受け付ける。また、操作装置10は、スイッチやボタンを備え、スイッチやボタン等により各種操作を受け付けてもよい。表示画面11は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現されるタブレット端末等の表示画面であり、各種情報を表示するための表示装置である。つまり、操作装置10は、表示画面11により利用者の入力を受け付け、利用者への出力も行う。表示画面11は、各種情報を表示する表示装置である。
【0028】
操作装置10は、便座装置2により実行中の制御を止めるためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、便座装置2による局部洗浄の実行を開始するためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、利用者による洗浄ノズル6への指示を受け付ける。操作装置10は、局部洗浄システム1が算出した利用者の肛門の位置に応じて洗浄ノズル6による洗浄位置を変更可能であるため、従来のリモコンよりもシンプルな構成であってもよい。例えば、操作装置10は、局部洗浄システム1が算出した利用者の肛門の位置に応じて洗浄ノズル6による洗浄位置を変更可能であるため、従来のリモコンのボタンよりも少ないボタンで構成されてもよい。
【0029】
例えば、操作装置10は、上述したユーザの操作を受け付けるオブジェクトを表示画面11に表示し、表示したオブジェクトに対するユーザの接触に応じて、各種処理を実行してもよい。例えば、操作装置10は、上述したユーザの操作を受け付けるスイッチやボタン等を有し、スイッチやボタン等に対するユーザの接触に応じて、各種処理を実行してもよい。なお、上記は一例であり、操作装置10は、各種処理を実行するユーザによる操作を受け付けてもよい。
【0030】
情報処理装置400は、落下中の大便が撮像された画像に含まれる複数の大便の輪郭を抽出し、抽出した複数の大便の輪郭を示す輪郭情報に基づいて、複数の大便の落下する方向に交差する水平方向における利用者の肛門の位置を算出するコンピュータである。情報処理装置400は、利用者の肛門の位置を算出する算出処理を実行する。情報処理装置400は、利用者の肛門の前後左右方向(
図5、
図6参照)の位置を算出する。例えば、情報処理装置400は、大便の落下する方向、すなわち重力方向に交差する方向である水平方向における利用者の肛門の位置を算出する。なお、水平方向は、便座5の着座面に対して平行な方向であってもよい。
【0031】
情報処理装置400は、算出した利用者の肛門の位置を示す情報を便座装置2へ送信する。便座装置2が取得した便画像を用いて、利用者の肛門の位置を算出する。情報処理装置400は、便座装置2や操作装置10と、インターネット等の所定のネットワーク(ネットワークN)を介して、有線または無線により通信可能に接続される。なお、情報処理装置400は、情報の送受信が可能であれば、便座装置2や操作装置10とどのようなに接続されてもよく、有線により通信可能に接続されてもよいし、無線により通信可能に接続されてもよい。
【0032】
なお、上記は一例に過ぎず、便座装置2や操作装置10と通信し、処理が実現可能であれば、情報処理装置400の装置構成及び配置は任意の形態が採用可能である。例えば、情報処理装置400は、局部洗浄システム1の管理者等が携帯可能なノートパソコン等の携帯端末(デバイス)であってもよい。また、情報処理装置400は、トイレルームR内に配置されてもよい。
【0033】
また、情報処理装置400は、便座装置2と一体であってもよい。この場合、便座装置2が算出処理を行う情報処理装置として機能する。例えば、便座装置2の制御部34(
図3)が算出処理を行ってもよい。また、情報処理装置400は、所定のネットワーク(例えばネットワークN)の中継器(ゲートウェイ)と一体であってもよい。この場合、中継器が算出処理を行う情報処理装置として機能する。すなわち、算出処理を行う情報処理装置は、局部洗浄システム1に含まれるいずれの装置であってもよい。なお、上記のシステム構成は一例に過ぎず、利用者の肛門位置の算出が可能であれば、局部洗浄システム1はどのようなシステム構成であってもよい。
【0034】
<2.便座装置の機能構成>
次に、便座装置2の機能構成について
図3を参照して説明する。
図3は、実施形態に係る便座装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、便座装置2は、人体検知センサ32と、着座検知センサ33と、制御部34と、通信部35と、局部洗浄装置60と、電磁弁71と、光学ユニット100A、光学ユニット100Bとを備える。なお、
図3では、
図1で説明した便座装置2の構成の一部(本体部3や便座5や便器7等)についての図示を省略する。
【0035】
光学ユニット100A及び光学ユニット100Bを区別せずに説明する場合、「光学ユニット100」と記載する。
図3に示す例では、便座装置2は、2つの光学ユニット100を備える。なお、局部洗浄システム1では、1つの光学ユニット100のみが用いられてもよいが、この場合の構成例については後述する。
【0036】
例えば、人体検知センサ32や着座検知センサ33や制御部34は便座装置2の本体部3に設けられる。また、本体部3には、制御部34外に記憶部を有してもよい。この場合、便座装置2は、制御部34から記憶部にデータを送信し、データを記憶部に格納してもよい。
【0037】
人体検知センサ32は、人体を検知する機能を有する。例えば、人体検知センサ32は、赤外線信号を用いた焦電センサ等により実現される。例えば、人体検知センサ32は、μ(マイクロ)波センサ等により実現されてもよい。なお、上記は一例であり、人体検知センサ32は、上記に限らず、種々の手段により人体を検知してもよい。例えば、人体検知センサ32は、トイレルームR(
図1参照)内に入室した人(利用者など)を検知する。人体検知センサ32は、検知信号を制御部34へ出力する。
【0038】
着座検知センサ33は、便座装置2への人の着座を検知する機能を有する。着座検知センサ33は、利用者が便座5に着座したことを検知する。着座検知センサ33は、便座5に対する利用者による着座を検知可能である。着座検知センサ33は、利用者による便座5からの離座を検知する離座検知センサとしても機能する。着座検知センサ33は、便座5に対する利用者の着座状態を検知する。
【0039】
例えば、着座検知センサ33は、荷重センサにより利用者が便座5に着座したことを検知する。例えば、着座検知センサ33は、赤外線投受光式の測距センサであり、人(利用者)が便座5に着座する直前において便座5の付近に存在する人体や、便座5に着座した利用者を検知してもよい。なお、上記は一例であり、着座検知センサ33は、上記に限らず、種々の手段により便座装置2への人の着座を検知してもよい。着座検知センサ33は、着座検知信号を制御部34へ出力する。
【0040】
通信部35は、通信装置、通信回路等によって実現され、情報処理装置400や操作装置10等と通信する。そして、通信部35は、インターネット等の所定のネットワーク(ネットワークN)と有線または無線で接続され、情報処理装置400や操作装置10等との間で情報の送受信を行う。通信部35は、制御部34の制御に応じて、情報処理装置400と通信する。通信部35は、光学ユニット100による検知により取得した便画像を情報処理装置400へ送信する。例えば、通信部35は、制御部34により生成された便画像を情報処理装置400へ送信する。また、通信部35は、操作装置10から利用者の操作を示す操作情報の受信を行う。
【0041】
制御部34は、情報処理装置400により算出された利用者の肛門の位置に基づいて、局部洗浄装置60による洗浄位置を制御する。例えば、制御部34は、局部洗浄装置60のみに限らず、各種構成や処理を制御する制御装置である。制御部34は、局部洗浄装置60や電磁弁71や光学ユニット100を制御する。制御部34は、操作装置10から送信された信号に基づいて、局部洗浄装置60や電磁弁71や光学ユニット100を制御する。制御部34は、操作装置10から送信された局部洗浄に関する制御指示の信号に基づいて、局部洗浄装置60を制御する。制御部34は、局部洗浄装置60の洗浄ノズル6を進退させるためにノズルモータ61を制御する。制御部34は、電磁弁71の開閉を制御する。制御部34は、発光部120の点灯や消灯を制御するための制御情報を光学ユニット100に送信する。
【0042】
制御部34は、受光部130の電子シャッタの機能を制御するための制御情報を光学ユニット100に送信する。なお、受光部130の電子シャッタは、いわゆるレンズシャッタのような機械的なシャッタとは異なり、受光素子132(撮像素子)を電子的に制御して露光を読み出すシャッタ方式である。すなわち、受光部130の電子シャッタは、いわゆる電子式シャッタや電子制御式シャッタである。制御部34は、有線により、局部洗浄装置60や電磁弁71や光学ユニット100に制御情報を送信する。なお、制御部34は、無線により、局部洗浄装置60や電磁弁71や光学ユニット100に制御情報を送信してもよい。
【0043】
制御部34は、光学ユニット100に発光及び受光を行わせる。制御部34は、光学ユニット100を制御して、発光部120に光を照射させ、受光部130により受光を行わせる。制御部34は、着座検知センサ33によって利用者による便座5への着座が検知されている期間において、光学ユニット100に発光及び受光を行わせる。
【0044】
制御部34は、発光部120による光の照射を制御する。制御部34は、発光素子121への通電、及び受光素子132に対する電圧の印加を制御する。制御部34は、受光素子132に対して、電子シャッタを開く制御指示を送り、発光素子121に通電することで、大便からの反射光を受光可能とする受光制御を行う。制御部34は、一の受光制御の実行開始後、一の受光制御の次の受光制御を実行するまでの間隔を、制御処理が可能な範囲内で任意の時間(例えば0.2ミリ秒以上等)に制御する。なお、上記は一例に過ぎず、光学ユニット100が所望の発光及び受光が可能であれば、制御部34による制御態様はどのような態様であってもよい。また発光部120から照射される光が1波長帯である場合、発光部120からの光を受光制御に合わせて点滅させなくてもよく、連続的に照射してもよい。また、後述のようなカラー方式の受光素子を使う場合は、発光部120から照射される光が複数波長帯である場合でも、連続的に照射してもよい。
【0045】
また、制御部34は、
図1に示すような便蓋4や便座5を制御する。制御部34は、操作装置10から送信された信号に基づいて、便蓋4や便座5を制御する。制御部34は、操作装置10から送信された便蓋開閉に関する制御指示の信号に基づいて、便蓋4を制御する。制御部34は、操作装置10から送信された着座部開閉に関する制御指示の信号に基づいて、便座5を制御する。制御部34は、有線により、便蓋4や便座5に制御情報を送信する。なお、制御部34は、無線により、便蓋4や便座5に制御情報を送信してもよい。
【0046】
制御部34は、人体検知センサ32による利用者の入室が検知されたか否かを判定する。制御部34は、人体検知センサ32によるトイレルームRへの利用者の入室が検知されたか否かを判定する。制御部34は、着座検知センサ33による利用者の着座が検知されたか否かを判定する。制御部34は、着座検知センサ33による便座5への利用者の着座が検知されたか否かを判定する。制御部34は、上述した制御に関する演算を実行する演算部や記憶部等の各種の構成を有する。例えば、制御部34は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のプロセッサや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路等の種々の手段により実現される。
【0047】
ここで、制御部34の構成の一例について説明する。制御部34は、ADConverterや演算処理装置やROM(Read Only Memory)や第1のメモリを有する。
【0048】
ADConverterは、いわゆるA/Dコンバータ(アナログ-デジタル変換回路)であり、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換の機能を有する。ADConverterは、アナログ-デジタル変換回路であってもよい。例えば、ADConverterは、受光部130が受光(検知)したアナログデータをデジタルデータに変換する。ADConverterは、アナログデータのうち、所定の範囲のデータを削除したアナログデータをデジタルデータに変換してもよい。例えば、ADConverterは、予め設定された範囲(例えば中央の所定の範囲)の画素に対応するデータだけを残し、残りの範囲の画素に対応するデータを削除してもよい。なお、受光素子132に排泄物検知用に画素数等が設定されたラインセンサ等の専用のセンサが用いられる場合、ADConverterは、所定の範囲のデータの削除を行うことなく、アナログデータ全体をデジタルデータに変換する。
【0049】
演算処理装置は、CPUやマイコン等の種々の手段により実現され、各種の処理を実行する。例えば、演算処理装置は、ADConverterにより変換されたデジタルデータを用いた各種処理を実行する。演算処理装置は、ROMに記憶されたプログラム(例えば便の検知プログラム等の検知処理に関連する各種プログラム)により各種処理を実行する。例えば、演算処理装置は、ROMに記憶されたプログラムが演算処理装置内の一時的に使用される記憶領域等を作業領域として実行されることにより実現される。
【0050】
演算処理装置は、データを解析する。演算処理装置は、第1のメモリに一時的に記憶されたデータを解析する。演算処理装置は、第1のメモリへの受光部130が受光したデータの転送、第1のメモリに記憶されたデータの解析及び削除を実行する。
【0051】
ROMは、例えば便の検知プログラム等の便の検知処理に関連する各種プログラムを記憶する。
【0052】
第1のメモリは、各種データを一時的に格納する内部メモリ(記憶装置)である。第1のメモリは、受光部130が受光したデータを記憶する。第1のメモリは、ADConverterにより変換されたデジタルデータを格納する。例えば、第1のメモリは、SRAM(Static Random Access Memory)である。なお、第1のメモリは、SRAMに限らず、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の他のRAM(Random Access Memory)やPROM(Programmable Read Only Memory)等の高速処理が可能なROMが用いられる。
【0053】
第1のメモリは、演算処理装置による制御に応じて、データを格納する。例えば、第1のメモリには、96キロバイトや512キロバイト等の記憶容量の記憶装置が用いられる。第1のメモリに一時的に記憶される受光部130が受光したデータには、受光部130により検知された生データ(アナログデータ)や、A/D変換されることによって加工されたデータ(デジタルデータ)が含まれる。
【0054】
なお、上述した制御部34の構成は一例に過ぎず、所望の処理が可能な構成であれば、制御部34はどのような構成であってもよい。また、便座装置2は、第2のメモリを有する。便座装置2は、制御部34により取得されたデータを第2のメモリに格納する。
【0055】
例えば、第2のメモリは、各種データを格納する外部メモリ(記憶装置)である。第2のメモリは、制御部34から取得したデジタルデータを格納する。例えば、第2のメモリは、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等が用いられる。第2のメモリは、SD(Secure Digital)カードメモリや、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の種々の記憶装置(メモリ)であってもよい。
【0056】
第2のメモリは、第1のメモリに記憶されたデータを転送可能である。第2のメモリは、第1のメモリよりも記憶領域が大きい。例えば、第2のメモリには、4ギガバイト等、第1のメモリと比べて記憶容量が大きい記憶装置が用いられる。第2のメモリに記憶されたデータは、外部装置に送信されてもよい。局部洗浄システム1は、便座装置2の通信装置等により、第2のメモリに記憶されたデータを無線により、利用者が利用する端末装置等の外部装置に送信してもよい。
【0057】
なお、第2のメモリは、便座装置2内や便座装置2外等のいずれに設けられてもよい。例えば、第2のメモリは、便座装置2内のMicroSDであってもよいし、便座装置2外にあり、便座装置2とWi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)等により通信する外部メモリであってもよい。この場合、演算処理装置は、第1のメモリに一時的に記憶されているデータを、第1のメモリよりも記憶領域が大きい外部メモリである第2のメモリとの通信により、第2のメモリに転送する。なお、第2のメモリと便座装置2との通信は、Wi-Fi(登録商標)に限らず、種々の通信規格、例えばZigBee(登録商標)やBluetooth(登録商標)等による通信であってもよい。
【0058】
例えば、制御部34は、光学ユニット100により検知された情報を基に便画像を生成する。制御部34は、複数の素子が直線状に配置されたラインセンサである受光素子132により、所定時間間隔で経時的に取得されたデータである一次元データ(線状の静止画)を時系列に複数並べて1つの二次元画像を生成する。例えば、制御部34は、光学ユニット100により検知された一次元画像を基に二次元の便画像を生成するがこの点については
図8で説明する。
【0059】
局部洗浄装置60は、人体の局部を洗浄する。局部洗浄装置60は、洗浄ノズル6と、ノズルモータ61とを有する。ノズルモータ61は、洗浄ノズル6を進退駆動する駆動源(モータ)である。ノズルモータ61は、洗浄ノズル6を本体部3の本体カバー30に対して進退させる制御を実行する。ノズルモータ61は、制御部34からの指示に応じて洗浄ノズル6を進退させる制御を実行する。なお、洗浄ノズル6は、進退方向(例えば前後方向)の位置の変更のみに限らず、進退方向に交差する横方向(例えば左右方向)の位置も変更可能であってもよい。この場合、ノズルモータ61は、洗浄ノズル6の位置を変更させる駆動源であり、洗浄ノズル6は、ノズルモータ61の駆動に応じて、例えば前後左右方向に位置を変更可能である。このように、洗浄ノズル6は、前後方向のみに限らず、左右方向に移動可能であってもよい。
【0060】
電磁弁71は、流体の流れを電磁的方法により制御する弁(バルブ)の機能を有する。電磁弁71は、例えば給水管からの水道水の供給および停止を切り替える。電磁弁71は、制御部34からの指示に応じて開閉の制御を実行する。
【0061】
光学ユニット100は、発光部120と、受光部130とを備える。光学ユニット100は、落下中の便を検知するために複数の素子が直線状に配置された受光素子132を有する検知部(検知装置)として機能する。例えば、光学ユニット100Aは、発光部120Aと、受光部130Aとを備える。光学ユニット100Bは、発光部120Bと、受光部130Bとを備える。
【0062】
発光部120は、光を照射する。発光部120は、光を照射する発光素子121を有する。例えば、発光部120Aは、光を照射する発光素子121Aを有する。例えば、発光部120Bは、光を照射する発光素子121Bを有する。発光部120は、利用者によって排泄される排泄物に対して光を照射する。発光部120は、利用者によって排泄される大便に対して光を照射する。発光部120は、落下中の大便に対して光を照射する。
【0063】
発光部120は、光を照射する発光素子121が設けられる。発光部120は、前方に光を照射する発光素子121が設けられる。発光部120は、利用者によって排泄される排泄物に向けて前方に光を照射する発光素子121が設けられる。例えば、発光素子121は、LED(Light Emitting Diode)である。なお、発光素子121は、LEDに限らず、種々の素子が用いられてもよい。
【0064】
発光部120は、前方に光を照射する。発光部120は、利用者によって排泄される大便に向けて前方に光を照射する。発光部120は、複数の発光素子121を備える。発光部120は、光を照射する発光素子121を複数備える。発光部120は、利用者によって排泄される落下中の大便に対して光を照射する。発光部120は、異なる波長の光を照射するための複数の発光素子121を備える。なお、上記は一例に過ぎず、発光部120の発光素子121については、所望の発光が可能であれば、その数及び発光する波長については任意の構成が採用可能である。
【0065】
受光部130は、光を受光する。受光部130は、レンズ131や光を受光する受光素子132を有する。例えば、受光部130Aは、レンズ131Aや光を受光する受光素子132Aを有する。受光部130Bは、レンズ131Bや光を受光する受光素子132Bを有する。受光部130は、発光部120により照射された光に対する排泄物からの反射光を受光する。受光部130は、発光部120により照射された光に対する大便からの反射光を受光する。受光部130は、発光部120により照射された光に対する落下中の大便からの反射光を受光する。
【0066】
受光部130は、光を受光する受光素子132が設けられる。受光部130は、落下中の便を検知するために複数の素子が直線状に配置された受光素子132を有する。例えば、受光素子132は、ラインセンサである。例えば、受光素子132は、CCD(Charge Coupled Device)センサ、またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサが一列に並べられたラインセンサである。なお、受光素子132は、一次元のラインセンサ(一次元のイメージセンサ)に限らず、ラインが二列以上並んだラインセンサや、エリアセンサ(二次元のイメージセンサ)等の各種のセンサが用いられてもよい。
【0067】
受光部130は、受光素子132の前方に光を集光するためのレンズ131を備える。受光素子132の周囲には、受光素子132の前方以外からの光の入射を抑制するためのカバーであるケースが設けられている。受光素子132の周囲には、前方に配置されたレンズ131を通過する光以外が受光素子132に入射することを抑制するためのカバーであるケースが設けられている。受光素子132の周囲には、受光素子132の側部方向からの光の入射を抑制するためのカバーであるケースが設けられている。
【0068】
ケースは、受光素子132の前方以外からの光を遮断したり、減衰したりする入射抑制カバーとして機能する。ケースは、例えば黒等の光を反射しにくい色に着色されることで、ケース自体からの反射光が受光素子に入ることを抑制する。なお、ケースには、所望の形状に形成可能であれば、樹脂等、種々の材料が用いられてもよい。受光部130は、発光部120により照射された光に対する大便からの反射光を受光する。受光部130は、発光部120により照射された光に対する落下中の大便からの反射光を受光する。受光部130は、発光部120により照射された光に対する大便からの反射光を受光する。
【0069】
<3.便座装置の構成>
次に、便座装置2の構成について
図4~
図6を参照して説明する。
図4は、実施形態に係る便座装置の構成の一例を示す斜視図である。
図4は、便座5を上げた状態を示す図である。
図5は、実施形態に係る便座装置の構成の一部を示す平面図である。例えば、
図5は、本体部3を上方から見た平面図である。
図5中の物体OBは、便の位置の一例を仮想的に示す。
図6は、実施形態に係る便座装置の構成の一部を示す正面図である。例えば、
図6は、便座5の開口50を通り、前後方向に直交する平面による正面断面図である。
図5及び
図6では、光学ユニット100A及び光学ユニット100Bの各々の撮像範囲を示す。
【0070】
図4~
図6に示すように、光学ユニット100Aの発光部120Aや受光部130Aは、本体カバー30の開口31Aから露出する。開口31Aは、本体部3の左右方向の中心から若干左方側に寄せて設けられる。すなわち、光学ユニット100Aは、本体部3の左右方向の中心から若干左方側に寄せて配置される。発光部120Aは、便器7内の排泄物に向けて光を照射可能であり、受光部130Aは、便器7内の排泄物からの反射光を受光可能となる。
【0071】
図5及び
図6中の受光領域AR1は、光学ユニット100Aの受光部130Aが光を受光する領域を示す。このように、光学ユニット100Aは、物体OBから左方側へ反射される光を受光する。すなわち、光学ユニット100Aは、物体OBを左方側から撮像する。なお、
図5及び
図6では、受光領域AR1を延びる方向の途中まで図示するが、受光領域AR1の延びる方向の最先端はボウル部8に表面に達してもよい。
【0072】
また、光学ユニット100Bの発光部120Bや受光部130Bは、本体カバー30の開口31Bから露出する。開口31Bは、本体部3の左右方向の中心から右方側に寄せて設けられる。すなわち、光学ユニット100Bは、本体部3の左右方向の中心から右方側に寄せて配置される。発光部120Bは、便器7内の排泄物に向けて光を照射可能であり、受光部130Bは、便器7内の排泄物からの反射光を受光可能となる。
【0073】
図5及び
図6中の受光領域AR2は、光学ユニット100Bの受光部130Bが光を受光する領域を示す。このように、光学ユニット100Bは、物体OBから右方側へ反射される光を受光する。すなわち、光学ユニット100Bは、物体OBを右方側から撮像する。なお、
図5及び
図6では、受光領域AR2を延びる方向の途中まで図示するが、受光領域AR2の延びる方向の最先端はボウル部8に表面に達してもよい。
【0074】
このように、光学ユニット100A及び光学ユニット100Bは、上方から見た場合のボウル部8内の便座5の開口50に重なる空間を異なる方向から臨む位置に配置される。これにより、光学ユニット100A及び光学ユニット100Bは、上方から見た場合のボウル部8内の便座5の開口50に重なる空間を異なる方向から撮像する。
【0075】
光学ユニット100Aが撮像した画像(「第1画像」ともいう)は、水平方向において、光学ユニット100Aの受光部130Aから第1画像中の便に基づく中心位置(「第1中心位置」ともいう)へ延びる直線(「第1直線」ともいう)上のどこかに位置することを示す。また、光学ユニット100Bが撮像した画像(「第2画像」ともいう)は、水平方向において、光学ユニット100Bの受光部130Bから第2画像中の便に基づく中心位置(「第2中心位置」ともいう)へ延びる直線(「第2直線」ともいう)上のどこかに位置することを示す。
【0076】
これにより、局部洗浄システム1は、第1画像及び第2画像を用いることにより、水平方向において、第1直線と第2直線との交点の位置を便の位置と推定することができる。そして、局部洗浄システム1は、推定した便の水平方向の位置を、利用者の肛門の水平方向の位置として算出する。
【0077】
また、局部洗浄システム1は、算出した便の水平方向の位置の鉛直線と、肛門の上下方向(高さ方向)の肛門基準面(単に「基準面」ともいう)とが交わる点に着水位置を合わせる。基準面は、利用者の肛門が位置すると推定される上下方向(高さ方向)の位置を示す水平面である。例えば、基準面は、リム部9の上面から上方に所定の長さの位置の水平面であってもよい。例えば、基準面は、便座5の上面等を基に決定される位置の水平面であってもよい。局部洗浄システム1は、基準面を基に利用者の肛門の高さ方向の位置を推定することにより、利用者の肛門の3次元空間の位置を算出してもよい。なお、
図4~
図6に示す光学ユニット100A及び光学ユニット100Bの配置位置は一例に過ぎず、撮像された画像により肛門の位置の算出が可能であれば、光学ユニット100A及び光学ユニット100Bは任意の位置に配置されてもよい。
【0078】
また、
図4では、洗浄ノズル6(
図1参照)が本体カバー30内に収納される位置(以下「収納位置」ともいう)にある状態を示す。
図4に示すように、洗浄ノズル6が収納位置にある場合、ノズル用蓋65は閉じられており、洗浄ノズル6は、ノズル用蓋65の裏に隠されている。洗浄ノズル6による洗浄が行われる場合、ノズル用蓋65が開放するとともに、本体カバー30の開口(
図4の閉鎖状態であるノズル用蓋65が塞ぐ開口)から洗浄ノズル6が突出し、洗浄ノズル6は、進出状態に移行する。
【0079】
<4.情報処理装置の機能構成>
次に、情報処理装置の機能構成について
図7を参照して説明する。
図7は、実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。具体的には、
図7は、情報処理装置の一例である情報処理装置400の構成の一例を示すブロック図である。
【0080】
図7に示すように、情報処理装置400は、通信部410と、記憶部420と、制御部430とを有する。なお、情報処理装置400は、情報処理装置400の管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0081】
通信部410は、例えば、通信回路等によって実現される。通信部410は、ネットワークN(
図2参照)と有線または無線で接続され、外部の情報処理装置との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部410は、ネットワークN(
図2参照)と有線または無線で接続され、便座装置2や操作装置10等との間で情報の送受信を行う。
【0082】
記憶部420は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。例えば、記憶部420は、画像中の便の輪郭を抽出する輪郭抽出プログラムや利用者の肛門の位置を算出する肛門位置算出プログラムによって使用されるデータ等を非一時的に記録するコンピュータが読み取り可能な記録媒体である。実施形態に係る記憶部420は、
図7に示すように、処理用情報記憶部421を有する。なお、記憶部420は、処理用情報記憶部421に限らず、様々な情報を記憶する。
【0083】
処理用情報記憶部421は、算出処理に用いる様々な情報を記憶する。処理用情報記憶部421は、便座装置2における光学ユニット100Aの配置位置を示す情報を記憶する。処理用情報記憶部421は、便座装置2における光学ユニット100Aの受光部130Aの配置位置を示す情報を記憶する。処理用情報記憶部421は、便座装置2における光学ユニット100Bの受光部130Bの配置位置を示す情報を記憶する。また、処理用情報記憶部421は、光学ユニット100Aと光学ユニット100Bとの相対的な位置関係を示す情報を記憶してもよい。
【0084】
例えば、処理用情報記憶部421は、算出処理に用いる関数を記憶する。例えば、処理用情報記憶部421は、受光部130と画像中の便の領域に対応する位置とを通る直線を示す式を導出する関数を記憶する。また、例えば、処理用情報記憶部421は、水平方向における位置を導出する関数を記憶する。処理用情報記憶部421は、2つの直線からその2つの直線が水平方向において交わる位置を導出する関数を記憶する。
【0085】
処理用情報記憶部421は、検知された便(排泄物)に関する情報を記憶する。処理用情報記憶部421は、便画像を記憶する。処理用情報記憶部421は、同じタイミング(例えば同時刻)で2つの光学ユニット100A、100Bの各々が撮像した便画像を対応付けて記憶する。処理用情報記憶部421は、便画像に対応する便を基に算出した利用者の肛門の位置を示す情報を、便画像に対応付けて記憶する。また、処理用情報記憶部421は、便画像が取得された日時、便画像に対応する便の排泄を行った利用者を識別する情報等を、便画像に対応付けて記憶してもよい。なお、上記は一例に過ぎず、処理用情報記憶部421は、便に関する様々な情報を記憶する。
【0086】
制御部430は、例えば、CPUやGPU(Graphics Processing Unit)等によって、情報処理装置400内部に記憶されたプログラム(例えば、本開示に係る輪郭抽出プログラムや肛門位置算出プログラム等)がRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部430は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
【0087】
図7に示すように、制御部430は、取得部431と、抽出部432と、算出部433と、送信部434とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部430の内部構成は、
図7に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0088】
取得部431は、情報を取得する。取得部431は、便画像を取得する。取得部431は、記憶部420から各種情報を取得する。取得部431は、便座装置2や操作装置10から各種情報を受信する。取得部431は、便座装置2から便に関する情報を受信する。取得部431は、便座装置2から便画像(データ)を受信する。取得部431は、1回当たりの排便行為により排泄された排泄物が撮像された画像の画像情報を取得する。
【0089】
例えば、取得部431は、排泄物を受けるボウル部8が形成された便器7の上部に載置される便座装置2に設けられ、落下中の便を検知するために複数の素子が直線状に配置された受光素子132を有する光学ユニット100からの情報に基づく便画像を取得する。取得部431は、取得した便画像を処理用情報記憶部421に格納する。
【0090】
抽出部432は、情報を抽出する抽出処理を実行する。抽出部432は、記憶部420に記憶された情報を用いて抽出処理を実行する。抽出部432は、便画像から情報を抽出する。抽出部432は、画像中の便の輪郭を抽出する。抽出部432は、落下中の大便が撮像された画像情報に含まれる大便の輪郭を抽出する。抽出部432は、落下中の大便が撮像された画像情報に含まれる複数の大便の輪郭を抽出する。
【0091】
算出部433は、各種の算出処理を実行する。算出部433は、利用者の肛門位置を算出する算出処理を実行する。算出部433は、便座装置2から取得された情報を用いて、利用者の肛門位置を算出する算出処理を行う。算出部433は、記憶部420に記憶された情報を用いて、利用者の肛門位置を算出する算出処理を行う。算出部433は、抽出部432により抽出された情報を用いて、利用者の肛門位置を算出する算出処理を行う。
【0092】
算出部433は、抽出部432により抽出された大便の輪郭を示す輪郭情報に基づいて、大便の落下する方向に交差する水平方向における利用者の肛門の位置を算出する。算出部433は、抽出部432により抽出された複数の大便の輪郭を示す輪郭情報に基づいて、複数の大便の落下する方向に交差する水平方向における利用者の肛門の位置を算出する。
【0093】
算出部433は、複数の大便の輪郭情報を用いた平均化処理により複数の大便の中心位置を算出し、中心位置に基づいて、水平方向における利用者の肛門の位置を算出する。算出部433は、画像情報に含まれる少なくとも1つの便群を特定し、特定した便群の中心位置を算出する。
【0094】
算出部433は、便群の端部を示す端部情報を用いて中心位置を算出する。算出部433は、便群の端部を示す端部情報と、光強度を用いて中心位置を算出する。算出部433は、所定の条件を満たしていない便を除外して端部を特定する。算出部433は、所定のサイズ未満の便を除外して端部を特定する。
【0095】
算出部433は、一の便群に含まれる大便の各々の中心位置を算出し、算出した大便の各々の中心位置を用いて、一の便群の中心位置を算出する。算出部433は、便群のうち、最新の便群の中心位置を算出し、最新の便群の中心位置に基づいて、水平方向における利用者の肛門の位置を算出する。算出部433は、排便の間隔が所定時間内であるか否か応じて、画像情報に含まれる便群を特定する。
【0096】
算出部433は、大便の中心位置を算出し、利用者の肛門の位置を算出する第1処理を実行する。算出部433は、大便の曲がりの大きさが所定の条件を満たした場合、処理を第1処理から第2処理へ変更する。算出部433は、第2処理として、大便の中心線の曲率が所定の値以上変化した時点より以前に撮像された画像の画像情報を用いて、利用者の肛門の位置を算出する。算出部433は、第2処理として、大便のうち、大便の中心線の曲率が所定の値以上変化した時点より前の時点に対応する位置の部分の情報を用いて、利用者の肛門の位置を算出する。
【0097】
例えば、算出部433は、便座装置2における光学ユニット100Aの配置位置と、光学ユニット100Aが撮像した第1画像における便に基づく第1中心位置を用いて、光学ユニット100Aに対応する第1直線を算出する。例えば、算出部433は、便座装置2における光学ユニット100Bの配置位置と、光学ユニット100Bが撮像した第2画像における便に基づく第2中心位置を用いて、光学ユニット100Bに対応する第2直線を算出する。
【0098】
例えば、算出部433は、光学ユニット100Aが撮像した第1画像を用いて、水平方向において、光学ユニット100Aの受光部130Aから第1画像中の便に基づく第1中心位置へ延びる第1直線(
図9及び
図12では直線LN1)を算出する。算出部433は、光学ユニット100Bが撮像した第2画像を用いて、水平方向において、光学ユニット100Bの受光部130Bから第2画像中の便に基づく第2中心位置へ延びる第2直線(
図9及び
図12では直線LN2)を算出する。
【0099】
算出部433は、第1直線と第2直線とが交わる位置を便の落下位置と推定する。算出部433は、第1直線と第2直線との交点の位置を、水平方向における利用者の肛門の水平方向の位置(
図9及び
図12では位置PS)として算出する。算出部433は、上下方向(高さ方向)における基準面を利用者の肛門の高さ方向の位置として推定し、利用者の肛門の3次元空間の位置を算出する。なお、算出部433による利用者の肛門の位置の算出処理の例については後述する。
【0100】
例えば、算出部433は、便画像に含まれる便のサイズ(面積)を算出する。例えば、算出部433は、便画像から抽出した輪郭情報を基に便のサイズを算出する。例えば、算出部433は、便の幅については、長さ方向にわたっての平均(値)を用いてもよい。そして、算出部433は、便の長さ方向にわたっての幅の平均(値)を用いて便のサイズを導出する。また例えばサイズは、便の落下方向(長さ方向)を所定間隔(例えば10画素)ごとに区切り、所定間隔での便の幅の平均値を算出し、所定間隔の長さと掛け合わせた値(所定間隔ごとのサイズ)を、積算して導出してもよい。
【0101】
なお、上記は一例に過ぎず、便のサイズは便画像の長さや画像(便画像)に含まれる便の幅の平均等の便の幅に基づく値である便画像の幅を用いることなく導出されてもよい。例えば、算出部433は、便画像中の便の輪郭内の画素数を数える(カウントする)ことにより便画像のサイズを算出してもよい。
【0102】
送信部434は、情報を送信する。送信部434は、外部の情報処理装置へ情報を送信する。例えば、送信部434は、便座装置2を使用する利用者の携帯端末(ユーザ端末)や操作装置10や便座装置2へ各種情報を送信する。送信部434は、算出部433により算出された情報を便座装置2へ送信する。送信部434は、算出部433が算出した利用者の肛門の位置を示す情報を便座装置2へ送信する。
【0103】
<5.便画像のデータ取得方法>
ここで、便画像(データ)の取得方法の具体的動作について
図8を参照して説明する。
図8は、データの取得方法の一例を示す図である。上述した点と同様の点については適宜説明を省略する。
【0104】
図8に示す各要素について説明する。対象物OB1は、検知(測定)対象とする大便(排泄物)を模式的に示す。また、受光装置PDは、例えばラインセンサ等の受光素子132を有する受光部130である。
【0105】
また、発光装置LEは、発光素子121を有する発光部120である。なお、
図8では、説明を簡単にするために、発光装置LEが1つの波長を照射する場合を一例として説明するが、発光装置LEは異なる波長の光を照射してもよい。
【0106】
図8の例では、落下中の対象物OB1に対して発光装置LEからの光を照射し、受光装置PDによる受光の結果を基に便画像(二次元画像)を取得(生成)する処理を概念的に示す。発光装置LEから対象物OB1へ伸びる点線は、発光装置LEから対象物OB1への光の照射を模式的に示し、対象物OB1から受光装置PDへ伸びる点線は、受光装置PDが受光する対象物OB1からの反射光を模式的に示す。また、対象物OB1に重なる矩形枠は、対応する発光及び受光で検知される対象物OB1の範囲(一次元)を模式的に示す。例えば、対象物OB1への光の照射及び反射が行われる位置が、
図8の便器7の上面(リム部9)から下方に80mm付近の位置になるように、発光部120及び受光部130が配置される。また、ここでは、対象物OB1への光の照射及び反射が行われる位置を
図8の便器7の上面(リム部9)から下方に80mm付近の位置としたが、対象物OB1への光の照射及び反射が行われる位置であればよく、適宜変更してもよい。
【0107】
図8の例では、シーンSN1は、時間t
1において、落下中の対象物OB1に対して発光装置LEからの光を照射し、受光装置PDによる受光の処理を概念的に示す。シーンSN1(時間t
1)において取得されたデータは、二次元画像EIのうち、一次元画像PI1に対応する。すなわち、シーンSN1(時間t
1)での発光及び受光により、便座装置2は、一次元画像PI1を取得(検知)する。
【0108】
また、時間t2において取得されたデータは、二次元画像EIのうち、一次元画像PI2に対応する。すなわち、時間t2での発光及び受光により、便座装置2は、一次元画像PI2を取得(検知)する。時間t2のデータは、時間t1のデータの次に取得されたデータである。そのため、便座装置2は、一次元画像PI1に連続させて一次元画像PI2を並べて配置することにより、二次元画像EIを生成する。
【0109】
また、シーンSNiは、時間tiにおいて、落下中の対象物OB1に対して発光装置LEからの光を照射し、受光装置PDによる受光の処理を概念的に示す。シーンSNi(時間ti)において取得されたデータは、二次元画像EIのうち、一次元画像PIiに対応する。すなわち、シーンSNi(時間ti)での発光及び受光により、便座装置2は、一次元画像PIiを取得(検知)する。
【0110】
また、シーンSNjは、時間tjにおいて、落下中の対象物OB1に対して発光装置LEからの光を照射し、受光装置PDによる受光の処理を概念的に示す。シーンSNj(時間tj)において取得されたデータは、二次元画像EIのうち、一次元画像PIjに対応する。すなわち、シーンSNj(時間tj)での発光及び受光により、便座装置2は、一次元画像PIjを取得(検知)する。
【0111】
便座装置2は、一次元画像(受光データ)が取得された時間の順序に沿って一次元画像を並べて配置することにより、二次元画像(便情報)を生成する。
図8では、便座装置2は、一次元画像PI1、PI2…、PIi…、PIj…の順に並べて配置することにより、二次元画像EIを生成する。
【0112】
なお、
図8に示す例では、時間が前の方を下側に配置し、時間経過に応じて上側に並べた二次元画像(「第1種別の画像」ともいう)を生成する場合を示したが、局部洗浄システム1は、時間が前の方を上側に配置し、時間経過に応じて下側に並べた二次元画像(「第2種別の画像」ともいう)を生成してもよい。すなわち、第1種別の画像及び第2種別の画像のいずれの画像化方法であるかによって画像の上下(時間軸)が反転する。
【0113】
例えば、第1種別の画像は、上から画像化、すなわち時間経過ごとに上から積層した画像である。第1種別の画像は、画像の上側に行くほど時間が進む、すなわち画像の上側程、時間が新しい種別の画像である。
【0114】
また、例えば、第2種別の画像は、下から画像化、すなわち時間経過ごとに下から積層した画像である。第2種別の画像は、画像の下側に行くほど時間が進む、すなわち画像の下側程、時間が新しい種別の画像である。なお、第1種別の画像及び第2種別の画像の上下方向を揃える場合、積層開始位置を上側と称してもよい。この場合、第1種別の画像では積層開始位置(
図8では下側)を上側と称してもよい。
【0115】
また、上述した処理は一例であり、局部洗浄システム1は、複数の波長の発光を行う複数の発光素子121を用い、発光させた波長ごとに経時的に取得したデータ(一次元画像)を時系列で並べて便情報(二次元画像)を生成してもよいが、詳細な説明は省略する。
【0116】
<6.肛門位置に基づく吐水制御フロー>
次に、局部洗浄システム1による肛門位置に基づく吐水制御フローについて、
図9を参照して説明する。
図9は、肛門位置に基づく吐水制御フローを示す概念図である。
図9では、利用者が利用者Uである場合を一例として説明する。
【0117】
まず、局部洗浄システム1は、トイレルームR内の便座装置2の便座5への利用者Uの着座を検知する(ステップS1)。局部洗浄システム1は、着座検知センサ33による着座検知を基に、トイレルームR内の便座5への利用者Uの着座を検知する。
【0118】
そして、局部洗浄システム1は、撮影を開始する(ステップS2)。局部洗浄システム1は、便座5への利用者Uの着座の検知に応じて、撮影を開始する。
【0119】
そして、利用者Uは、排便を行う(ステップS3)。これにより、局部洗浄システム1は、利用者Uが排便行為により体外へ排出した便を撮影する。例えば、局部洗浄システム1は、利用者Uが排泄し、ボウル部8内を落下する便を撮影することにより、便画像LFを取得する。便画像LFは、画像の下側程、時間が新しい第2種別の画像(「第2種別の便画像」ともいう)である。
【0120】
そして、局部洗浄システム1は、利用者Uの肛門の位置検出を実行する(ステップS4)。例えば、局部洗浄システム1は、取得した便画像から抽出したデータDT等を用いて、利用者Uの肛門の位置を算出する算出処理を実行する。例えば、局部洗浄システム1は、光学ユニット100Aが撮像した第1画像と光学ユニット100Bが撮像した第2画像とを用いて、利用者Uの肛門の位置を算出する。
【0121】
例えば、局部洗浄システム1は、光学ユニット100Aが撮像した第1画像を用いて、水平方向において、光学ユニット100Aの受光部130Aから第1画像中の便に基づく第1中心位置へ延びる第1直線である直線LN1を算出する。算出部433は、光学ユニット100Bが撮像した第2画像を用いて、水平方向において、光学ユニット100Bの受光部130Bから第2画像中の便に基づく第2中心位置へ延びる第2直線である直線LN2を算出する。局部洗浄システム1は、直線LN1と直線LN2とが交わる位置を便の落下位置と推定し、直線LN1と直線LN2との交点の位置を、水平方向における利用者の肛門の水平方向の位置PSとして算出する。
【0122】
そして、局部洗浄システム1は、局部洗浄装置60による吐水を制御する(ステップS5)。局部洗浄システム1は、算出した利用者の肛門の水平方向の位置PSに基づいて、局部洗浄装置60による洗浄位置を制御する。例えば、局部洗浄システム1は、利用者の肛門の水平方向の位置PSに基づいて、局部洗浄装置60から噴出される水(液体)が、位置PSを通る鉛直線が基準面に重なる位置を通るように局部洗浄装置60による洗浄位置を制御する。これにより、局部洗浄システム1は、利用者Uの局部洗浄を適切に実行することができる。
【0123】
<7.処理フロー例>
次に、肛門位置に基づく吐水制御に関連する具体的動作について
図10及び
図11を参照して説明する。
図10は、局部洗浄システムによる処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図11は、情報処理装置による処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0124】
まず、
図10を参照して局部洗浄システム1による処理の流れについて説明する。以下では、局部洗浄システム1を処理主体として説明するが、各処理は、局部洗浄システム1に含まれる装置構成に応じて、便座装置2、情報処理装置400等のいずれの装置が行ってもよい。
【0125】
図10に示すように、局部洗浄システム1は、便座装置2の便座5への利用者Uの着座の検知に応じて処理を開始する。まず、局部洗浄システム1は、落下便画像の撮影を開始する(ステップS101)。例えば、便座装置2は、光学ユニット100により利用者が排泄した便の便画像の撮影を開始する。
【0126】
局部洗浄システム1は、落下便画像の撮影を終了する(ステップS102)。例えば、便座装置2は、所定時間経過後に落下便画像の撮影を終了する。
【0127】
局部洗浄システム1は、便画像内の全便の輪郭を抽出する(ステップS103)。例えば、便座装置2は、光学ユニット100から通信部35を介して、情報処理装置400へ便画像を送信する。情報処理装置400は、便座装置2から便画像を取得部431により取得し、抽出部432で便画像内のすべての便の輪郭を抽出する。
【0128】
局部洗浄システム1は、最新の便群を特定する(ステップS104)。例えば、情報処理装置400は、抽出部432で輪郭を抽出した便を算出部433で便群ごとに仕分ける。例えば、情報処理装置400は、最新の便群のみを残して、その他の便については中心位置の算出対象から除外する。なお、便群とは、1回の排便動作において排出される1つ以上の便である。例えば、情報処理装置400は、個々の便から便までの時間間隔が所定の閾値以内の便の集団を1つの便群と特定(判定)する。例えば、便群の特定に用いる所定の閾値は、例えば1.8秒等であってもよい。なお、上記は一例に過ぎず、便群の特定に用いる所定の閾値は、任意の値が設定可能である。また、1回の排便動作とは、第1波、第2波のような排便行動全体における一つの波であってもよい。
【0129】
局部洗浄システム1は、算出部433で得た最新の便群から便群の輪郭を用いて中心位置を算出する。
図10に示すように、局部洗浄システム1は、中心位置の算出については、ステップS105a、S106aに示す第1の算出態様、及びステップS105b、S106bに示す第2の算出態様のうちいずれかを実行する。
【0130】
第1の算出態様で中心位置を算出する場合、局部洗浄システム1は、最新の便群内の個々の便の輪郭を用いて、それぞれの便の中心位置を判別する(ステップS105a)。例えば、局部洗浄システム1は、最新の便群内の個々の便の輪郭を用いて、それぞれの便の中心位置を算出する。そして、局部洗浄システム1は、それぞれの便の中心位置を用いて平均化処理を行い、便群での中心位置として算出する(ステップS106a)。例えば、平均化処理とは、個々の便の長さに対して加重平均を行う処理であってもよい。例えば、平均化処理とは、長さが長い程重みを重くして加重平均を行う処理であってもよい。なお、平均化処理は、加重平均以外でもよく、単純に個数のみで行ってもよい。
【0131】
第2の算出態様で中心位置を算出する場合、局部洗浄システム1は、最新の便群内の個々の便の輪郭を用いて、便画像の時間方向(上下方向)に沿う長手側方向に時間経過の順に便の両端(左右端等)を更新する(ステップS105b)。そして、局部洗浄システム1は、便群内の両端(左右端等)から中心位置を計算する(ステップS106b)。例えば、局部洗浄システム1は、便群内の両端(左右端等)から中心位置を算出する。
【0132】
局部洗浄システム1は、2つの中心位置から水平方向における肛門の位置を特定する(ステップS107)。例えば、局部洗浄システム1は、算出部433によって得られた2つの光学ユニット100からの中心位置を用いて、水平方向での肛門位置を算出する。
【0133】
次に、
図11を参照して情報処理装置による処理の流れについて説明する。
図11に示すように、情報処理装置400は、第1の通信処理を実行する(ステップS201)。例えば、情報処理装置400は、通信部410を介して光学ユニット100により撮影された便画像を受信する。
【0134】
情報処理装置400は、取得処理を実行する(ステップS202)。例えば、情報処理装置400は、通信部410を介して送信されてきた便画像を取得部431にて取得する。
【0135】
情報処理装置400は、抽出処理を実行する(ステップS203)。例えば、情報処理装置400は、得られた便画像を抽出部432にて便画像内のすべての便の輪郭を抽出する。
【0136】
情報処理装置400は、算出処理を実行する(ステップS204)。例えば、情報処理装置400は、抽出部432で輪郭を抽出した便を算出部433で便群ごとに仕分ける。この時、情報処理装置400は、最新の便群のみを残して、そのほかは中心位置計算から除外する。情報処理装置400は、算出部433で得た最新の便群から便群の輪郭を用いて中心位置を算出する。情報処理装置400は、算出部433によって得られた2つの中心位置を用いて、水平方向での肛門位置を算出する。
【0137】
情報処理装置400は、第2の通信処理を実行する(ステップS205)。例えば、情報処理装置400は、通信部410を介して算出部で算出した肛門位置情報を便座装置2に送信する。
【0138】
<8.肛門位置の算出処理例>
ここから、局部洗浄システム1による肛門位置の算出処理についての例を説明する。例えば、以下で説明する便の量の算出処理については、局部洗浄システム1の情報処理装置400が行う。なお、上述した点と同様の点については適宜説明を省略する。
【0139】
<8-1.複数便における肛門検知制御例>
まず、
図12を用いて複数便における肛門検知制御例を説明する。
図12は、複数便における肛門検知制御の一例を示す図である。具体的には、
図12は、利用者の1回の排便行為での排便に複数の便が含まれる場合の処理の一例を示す。例えば、
図12は、利用者の1回の排便行為で4つに分離された便が落下した場合の肛門位置の算出及び吐水制御の一例を示す。
【0140】
図12では、局部洗浄システム1は、便画像LF1を取得する。例えば、便画像LF1は、光学ユニット100Aにより撮影された便画像(第1画像)である。例えば、光学ユニット100Aは、ボウル部8内を落下する便の便画像LF1を撮影する。
図12中の便画像LF1では、便が複数の塊(
図12では4つの便)に分離して落下する。
【0141】
局部洗浄システム1は、便画像LF1を対象として輪郭情報を抽出する抽出処理を実行する(ステップS41)。例えば、局部洗浄システム1は、便画像LF1内のすべての便の輪郭を抽出する。
図12では、局部洗浄システム1は、4つの便の各々に対応する輪郭TG1、TG2、TG3、TG4を含む輪郭情報OD1を生成する。
【0142】
局部洗浄システム1は、輪郭情報OD1を基に中心位置を算出する(ステップS42)。例えば、局部洗浄システム1は、輪郭情報OD1に含まれる4つの便の各々に対応する輪郭TG1、TG2、TG3、TG4を用いて中心位置(第1中心位置)を算出する。
図12では、局部洗浄システム1は、4つの便の各々に対応する輪郭TG1、TG2、TG3、TG4を基に算出した中心位置CL1を示す中心位置情報LD1を生成する。なお、中心位置CL1の導出例については後述する。また、サイズが小さい便の輪郭(
図12では輪郭TG1、TG2等)については、中心位置の算出に用いる情報から除外してもよいが、この点については後述する。
【0143】
局部洗浄システム1は、利用者の肛門位置を算出する算出処理を実行する(ステップS43)。例えば、局部洗浄システム1は、中心位置情報LD1が示す中心位置CL1と、光学ユニット100Aの配置位置とに基づいて、第1直線である直線LN1を算出する。
図12では、局部洗浄システム1は、中心位置CL1と、光学ユニット100Aの受光素子132Aの位置とを結ぶ直線LN1を、第1直線として算出する。
【0144】
また、
図12では、局部洗浄システム1は、光学ユニット100Bが撮像した便画像(第2画像)を用いて直線LN2を、第2直線として算出する。なお、光学ユニット100Bにより撮影された第2画像についても、第1画像の場合と同様に、輪郭情報、中心位置情報が生成され、第2直線が算出されるが、撮影する位置が異なる点以外は光学ユニット100Aの場合と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0145】
局部洗浄システム1は、直線LN1と直線LN2とが交わる位置を便の落下位置と推定し、直線LN1と直線LN2との交点の位置を、水平方向における利用者の肛門の水平方向の位置PSとして算出する。
【0146】
そして、局部洗浄システム1は、局部洗浄装置60による吐水を制御する(ステップS44)。局部洗浄システム1は、算出した利用者の肛門の水平方向の位置PSに基づいて、局部洗浄装置60による洗浄位置を制御する。
図12では、局部洗浄システム1は、利用者の肛門の水平方向の位置PSに基づいて、局部洗浄装置60から噴出される水(液体)が、直線LN1と直線LN2との交点である位置PSを通る鉛直線が基準面に重なる位置を通るように局部洗浄装置60を制御する。
【0147】
上述のように、局部洗浄システム1は、便輪郭に基づき、水平方向の肛門位置を検出し、ノズル位置・吐水方向を変更する。局部洗浄システム1は、2方向の光学ユニット100での便画像の中心位置から水平方向での肛門位置を算出することにより、利用者Uの局部洗浄を適切に実行することができる。
【0148】
例えば、1回の排便行為において、複数の便が排出された場合、各々の便のずれの影響を受け、肛門の位置が精度良く検出できない場合がある。局部洗浄システム1は、上述した処理を実行することにより、1回あたりの排便行為において、複数の便が排出されることで個々の便に拡散・ちぎれの影響が発生したとしても、精度よく肛門位置を検出することができる。
【0149】
<8-2.複数便における中心位置算出>
ここで、
図13及び
図14を用いて複数便における中心位置算出を説明する。なお、上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0150】
まず、
図13を用いて第1の中心位置算出を説明する。
図13は、複数便における中心位置算出の一例を示す図である。
図13に示す第1の中心位置算出は、
図10中のステップS105b及びステップS106bに示す第2の算出態様での中心位置の算出に対応する。局部洗浄システム1は、便群内の便両端から中心位置を算出する。
【0151】
局部洗浄システム1は、最新の便群内の個々の便の輪郭を用いて、便画像の長手側方向に全便での左右端を更新する。これにより、
図13では、局部洗浄システム1は、端部情報ED1に示すように、第1端FE1(
図13中では左端)及び第2端SE1(
図13中では右端)を算出する。
【0152】
局部洗浄システム1は、便群内の左右端を用いて中心位置を算出する。
図13では、局部洗浄システム1は、第1端FE1及び第2端SE1を基に算出した中心位置CL1を示す中心位置情報LD1を生成する。例えば、局部洗浄システム1は、第1端FE1と第2端SE1との間の中央の位置を中心位置CL1として算出する。
【0153】
次に、
図14を用いて第2の中心位置算出を説明する。
図14は、複数便における中心位置算出の一例を示す図である。
図14に示す第2の中心位置算出は、
図10中のステップS105a及びステップS106aに示す第1の算出態様での中心位置の算出に対応する。局部洗浄システム1は、便群内の各便の中心位置を平均化処理により算出する。
【0154】
局部洗浄システム1は、最新便群内の個々の便の輪郭を用いて、便画像の長手側方向に個々の便の中心線を引いていく。
図14では、局部洗浄システム1は、輪郭TG1、TG2、TG3、TG4の各々に対応する4つの便の各々の中心線LN11、LN12、LN13、LN14を含む輪郭情報OD11を生成する。例えば、局部洗浄システム1は、輪郭TG3に対応する便について、その輪郭TG3の左右方向の中心を通る中心線LN13を算出し、中心線LN13を含む輪郭情報OD11を生成する。局部洗浄システム1は、中心線LN11、LN12、LN14についても、中心線LN13と同様に算出する。
【0155】
局部洗浄システム1は、個々の便での中心位置を算出する。
図14では、局部洗浄システム1は、輪郭TG1、TG2、TG3、TG4の各々に対応する4つの便の各々の中心点CT11、CT12、CT13、CT14を含む輪郭情報OD12を生成する。例えば、局部洗浄システム1は、輪郭TG3に対応する便の中心線LN13の左右方向の平均を基に中心点CT13を算出し、中心点CT13を含む輪郭情報OD12を生成する。局部洗浄システム1は、中心点CT11、CT12、CT14についても、中心点CT13と同様に算出する。
【0156】
局部洗浄システム1は、各便の中心位置を平均化処理することにより、中心位置を算出する。
図14では、局部洗浄システム1は、輪郭TG1、TG2、TG3、TG4の各々に対応する4つの便の各々の中心点CT11、CT12、CT13、CT14を平均化処理することにより、中心位置CL11を示す中心位置情報LD11を生成する。なお、中心位置CL11は、中心位置CL1と同じであってもよく、この場合、中心位置情報LD11は、中心位置情報LD1と同じであってもよい。また、平均化処理とは加重平均であってもよいし、個数で平均化する処理であってもよい。
【0157】
<8-3.便の除外例>
上述したように、局部洗浄システム1は、便画像に含まれる便のうち一部の便を除外して中心位置を算出してもよい。第1の中心位置算出の場合、局部洗浄システム1は、便画像に含まれる便のうち一部の便を除外して中心位置を算出してもよい。例えば、局部洗浄システム1は、所定の条件を満たしていない便を除外してもよい。例えば、局部洗浄システム1は、中心位置を算出に影響大の便を除外してもよい。影響大の便とは、例えばちぎれ・拡散の影響を大きく受けた便である。
【0158】
この点について、
図15を用いて説明する。
図15は、便の除外に基づく肛門検知制御の一例を示す図である。なお、上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。例えば、
図15では、ステップS51の輪郭情報OD1を生成する処理までは、
図12のステップS41の処理を同様であるため、説明を省略する。
【0159】
局部洗浄システム1は、サイズが小さい便を、中心位置算出に用いる情報から除外する除外処理を実行する(ステップS52)。例えば、局部洗浄システム1は、比較的小さい便を除外してもよい。例えば、局部洗浄システム1は、便画像LF1に含まれる複数の便のうち、サイズが小さい方から順に選択した便を除外する。例えば、局部洗浄システム1は、便のサイズ順の下位80%かつ最大便に対して25%以下の長さの便を除外する。
【0160】
図15では、局部洗浄システム1は、便画像LF1中の4つの便のうち、サイズが小さいほうから80%以下かつ最大便に対して25%以下の長さの便、すなわち2つの便を除外する。局部洗浄システム1は、便画像LF1中の4つの便のうち、サイズが小さい2つの便の各々に対応する輪郭TG1、TG2を除外した輪郭情報OD2を生成する。なお、上述した処理は一例に過ぎず、局部洗浄システム1は、例えば全便の平均サイズに基づく閾値より小さい便等、任意の基準により選択した便を除外してもよい。
【0161】
局部洗浄システム1は、輪郭TG1、TG2を除外後の輪郭情報OD2を用いて、便画像の両端(補正後両端)の位置を算出する(ステップS53)。これにより、
図15では、局部洗浄システム1は、端部情報ED2に示すように、第1端FE2(
図15中では左端)及び第2端SE2(
図15中では右端)を算出する。
【0162】
局部洗浄システム1は、便群内の左右端を用いて中心位置(補正後中心位置)を算出する。
図15では、局部洗浄システム1は、第1端FE2及び第2端SE2を基に算出した中心位置CL2を示す中心位置情報LD2を生成する。例えば、局部洗浄システム1は、第1端FE2と第2端SE2との間の中央の位置を中心位置CL2として算出する。
【0163】
中心位置を算出した後の利用者の肛門位置を算出する算出処理、及び局部洗浄装置60による吐水を制御の処理は、肛門位置の算出基準となる中心位置が異なる点以外は
図12と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0164】
<8-4.便群の特定例>
次に、処理に用いる便群の特定例を説明する。なお、上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。まず、
図16を用いて、便群の概念について説明する。
図16は、便群の特定を示す概念図である。なお、
図16中の臀部EGは、利用者が便座5に着座した際の利用者の臀部の位置を仮想的に示す。
【0165】
図16に示す第1便群SG1は、最初の排便(「第1波排便」ともいう)により利用者が排泄した便群を示す。第1便群SG1は、小さい塊の便と長細い便の複数の便を含む。
図16に示す第2便群SG2は、第1波排便の後の排便(「第2波排便」ともいう)により利用者が排泄した便群を示す。第2便群SG2は、長細い便の1つの便を含む。このように、便群は、利用者の排便行為に応じて特定されるものであり、複数の便を含む場合に限らず、1つの便のみを含むものであってもよい。
【0166】
ここで、便群は経過時間により分割される。局部洗浄システム1は、ある便(「第1便」ともいう)から、その第1便の次の便(「第2便」ともいう)までの時間間隔が所定の閾値を超える場合、その第1便とその第2便とを異なる便群として特定する。
図16では、第1便群SG1の最後の便の末端と、第2便群SG2の最初の便の先端との間の経過時間ETが、所定の閾値(1.8秒等)よりも長い為、第1便群SG1及び第2便群SG2は便群として特定される。
【0167】
ここで、利用者が排泄した便は、肛門の鉛直下方向に落下する。このように、利用者が排泄した便は、重力の影響により、肛門から下方向(落下方向)に落下する。一方で、排便時の利用者のいきみ等によって、肛門位置が微妙にずれる傾向がある。そこで、局部洗浄システム1は、複数の便群のうち、最新の便群を用いて肛門位置を算出する。
【0168】
図16に示すように、利用者の排便が第1波排便及び第2波排便の2つである場合、最新の排便である第2波排便の第2便群SG2が最新の便群として特定される。この場合、局部洗浄システム1は、第2便群SG2を最新の便群として特定し、特定した第2便群SG2の情報を用いて肛門位置を算出する。すなわち、局部洗浄システム1は、第2便群SG2以外の便群(
図16では第1便群SG1)の便を除外して、第2便群SG2の情報を用いて肛門位置を算出する。
【0169】
なお、利用者の排便は第2排便までに限らず、利用者の排便行為に応じて、第3排便以上であってもよい。例えば、第2波排便の次の排便は、第3波排便として、その第3波排便における便は第3便群として特定される。この場合、最新の排便である第3波排便の第3便群が最新の便群として特定される。
【0170】
ここから、
図17を用いて、便群の特定の具体例を説明する。
図17は、便群の特定の一例を示す図である。
【0171】
図17では、局部洗浄システム1は、輪郭TG11、TG12、TG13、TG14を含む輪郭情報OD3を生成する。
図17に図示するように、輪郭情報OD3は、画像の下側に行くほど時間が進む、すなわち画像の下側程、時間が新しい種別の情報である。
【0172】
局部洗浄システム1は、輪郭TG11、TG12、TG13、TG14の各々に対応する4つ便の間の経過時間に基づいて、便群を特定する。例えば、局部洗浄システム1は、輪郭TG11と輪郭TG12との間の長さに基づいて、輪郭TG11に対応する便と輪郭TG12に対応する便との間の経過時間ET11を推定し、その経過時間ET11と所定の閾値とを比較する。
図17では、局部洗浄システム1は、経過時間ET11が所定の閾値よりも長いと判定し、輪郭TG11に対応する便と輪郭TG12に対応する便とを異なる便群として特定する。
【0173】
例えば、局部洗浄システム1は、輪郭TG12と輪郭TG13との間の長さに基づいて、輪郭TG12に対応する便と輪郭TG13に対応する便との間の経過時間ET12を推定し、その経過時間ET12と所定の閾値とを比較する。
図17では、局部洗浄システム1は、経過時間ET12が所定の閾値以下であると判定し、輪郭TG12に対応する便と輪郭TG13に対応する便とを同じ便群として特定する。同様に、局部洗浄システム1は、輪郭TG13に対応する便と輪郭TG14に対応する便との間の経過時間が所定の閾値以下であると判定し、輪郭TG13に対応する便と輪郭TG14に対応する便とを同じ便群として特定する。
【0174】
これにより、局部洗浄システム1は、輪郭TG11に対応する便のみを第1便群SG11とし、輪郭TG12に対応する便、輪郭TG13に対応する便及び輪郭TG13に対応する便の3つの便を第2便群SG12として特定する。この場合、局部洗浄システム1は、第2便群SG12を最新の便群として特定し、特定した第2便群SG12の情報を用いて肛門位置を算出する。すなわち、局部洗浄システム1は、第2便群SG12以外の便群(
図17では第1便群SG11)の便を除外して、第2便群SG12の情報を用いて肛門位置を算出する。
【0175】
<8-5.曲がり便における肛門検知制御例>
ここから、曲がり便における肛門検知制御例について説明する。なお、上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。例えば、落下便が便器に衝突すると、便が変形し肛門の位置が精度良く検出できない場合がある。例えば、落下する便の先頭側が便器7のボウル部8の内周面に接触し、滑る過程で便の後尾側(上部)もずれ、撮影された画像中では曲がった状態になる場合がある。そこで、局部洗浄システム1は、以下のような処理を実行することにより、便器に衝突して便の変形を伴う場合にも精度よく肛門位置を算出することを可能にする。
【0176】
まず、
図18を用いて曲がり便における肛門検知制御の概要を説明する。
図18は、曲がり便における肛門検知制御の一例を示す図である。具体的には、
図18は、落下中の便が便器7のボウル部8内に接触し、撮像された便画像中の便が曲がった場合の処理の一例を示す。
【0177】
図18では、局部洗浄システム1は、便画像LF21を取得する。例えば、便画像LF21は、光学ユニット100Aにより撮影された便画像(第1画像)である。例えば、光学ユニット100Aは、ボウル部8内を落下する便の便画像LF21を撮影する。
図18中の便画像LF21では、落下中の便が便器7のボウル部8内に接触し、接触の影響を受けつつ便が落下する。
【0178】
局部洗浄システム1は、便画像LF21を対象として輪郭情報を抽出する抽出処理を実行する(ステップS61)。例えば、局部洗浄システム1は、便画像LF21内のすべての便の輪郭を抽出する。
図18では、局部洗浄システム1は、1つの便に対応する輪郭TG21を含む輪郭情報OD21を生成する。
【0179】
局部洗浄システム1は、輪郭情報OD21を基に便の中心線を算出する(ステップS62)。局部洗浄システム1は、1ピクセルごとに中心位置を算出することにより、輪郭TG21に対応する1つの便の中心線を生成する。
図18中の輪郭情報OD22の中心線LN20は、輪郭TG21に対応する1つの便の中心線の生成中の状態を示す。例えば、局部洗浄システム1は、輪郭TG21に対応する便について、その輪郭TG21の左右方向の中心を通る中心線LN21を算出し、中心線LN21を含む輪郭情報OD23を生成する。
【0180】
局部洗浄システム1は、導出した中心線LN21の情報を用いて処理を切り替える。例えば、局部洗浄システム1は、導出した中心線LN21が示す輪郭TG21に対応する便の曲がりの大きさが所定の条件を満たすか否かに応じて、処理を切り替える。例えば、局部洗浄システム1は、便の曲がりの情報として、便の中心線に基づく便の曲率を用いる。
【0181】
局部洗浄システム1は、便の曲がりの大きさが所定の条件を満たさない場合、曲がった部分も含めた情報を用いて中心位置を算出し、肛門位置を算出する処理(「第1処理」ともいう)を実行する。一方、局部洗浄システム1は、便の曲がりの大きさが所定の条件を満たす場合、曲がった部分を含まない情報を用いて中心位置を算出し、肛門位置を算出する処理(「第2処理」ともいう)を実行する。
【0182】
図18では、時点TM21以降で中心線LN21の曲率が所定値以上であり続ける場合を示す。この場合、時点TM21が曲率変化点となる。このように、局部洗浄システム1は、時点TM21よりも後の時点の部分(
図18では下方)の曲がりの大きさが所定の条件を満たすため、局部洗浄システム1は、処理を第1処理から第2処理へ変更する。第2処理では、局部洗浄システム1は、曲がりの大きさが所定の条件を満たす部分の情報を含まない情報を用いて、便の中心位置を算出する。
【0183】
図18では、局部洗浄システム1は、中心線LN21のうち、時点TM21以降の部分の情報を除いて、輪郭TG21に対応する便の中心位置を算出する。このように、局部洗浄システム1は、曲率が所定値以上であり続ける時点TM21以降の部分の情報を除いて、輪郭TG21に対応する便の中心位置を算出する。すなわち、局部洗浄システム1は、中心線LN21のうち時点TM21以降より前の時点(
図18では上側)の部分の情報を用いて、輪郭TG21に対応する便の中心位置を算出する。なお、上記は一例に過ぎず、他の第2処理の例については、
図19で説明する。
【0184】
中心位置を算出した後の利用者の肛門位置を算出する算出処理、及び局部洗浄装置60による吐水を制御の処理は、肛門位置の算出基準となる中心位置が異なる点以外は
図12と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0185】
<8-5-1.他の第2処理例>
なお、上述した第2処理は一例に過ぎず、第2処理は、局部洗浄システム1のシステム構成等に応じて適宜決定されてもよい。例えば、便を撮影する構成にカメラのようなエリアセンサ(二次元のイメージセンサ)が用いられる場合、
図19に示すような第2処理を実行してもよい。
図19は、他の第2処理例を示す図である。
【0186】
図19に示す他の第2処理例では、局部洗浄システム1は、便器衝突前の画像を用いる。局部洗浄システム1は、便の曲がりの大きさが所定の条件を満たす便画像を、その便画像よりも前に撮像された便の曲がりの大きさが所定の条件を満たさない便画像に変更する(ステップS60)。すなわち、局部洗浄システム1は、便画像LF21に代えて、便画像LF21よりも前に撮像された便画像(「変更後便画像」ともいう)を用いる。この場合、局部洗浄システム1は、変更後便画像(
図19では輪郭情報OD20に対応する便画像)を用いて、輪郭の抽出、中心位置の算出、肛門位置の算出等の処理(第2処理)を実行する。
【0187】
<8-5-2.便の曲がりと条件の関係例>
次に、
図20及び
図21を用いて便の曲がりと条件の関係例を説明する。まず、
図20を用いて、便の曲がりが所定の条件を満たす場合について説明する。
図20は、便の曲がりが所定の条件を満たす場合の一例を示す図である。なお、上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0188】
図20に示す輪郭情報OD23は、
図18中の輪郭情報OD23と同様であり、軌跡情報TR21は、中心線LN21に対応する。例えば、曲率は縦横で標準化される。所定の条件は、縦横標準化曲率が所定値以上となり、かつ、その曲率が所定値以上となった以降から終点まで横変位量が大きくなり続けることであってもよい。例えば、所定の条件は、縦横標準化曲率が1.4×10
-6以上を満たし、かつ、その曲率を満たした以降から終点まで横変位量が大きくなり続けることであってもよい。
【0189】
なお、上記の所定の条件は、一例に過ぎず、便の曲がりに関する所定の条件には、任意の条件が含まれてもよい。例えば、所定の条件は、便の曲がり判定の対象が便全体のうち半分以降の便(すなわち時間方向の半分以降の部分)であることが含まれてもよい。この場合、局部洗浄システム1は、全体の半分より前の便の曲がりが大きくても所定の条件を満たさないと判定してもよい。
【0190】
図20では、時点TM21の時点で縦横標準化曲率が所定値以上となり、かつ、その曲率が所定値以上となった以降から終点まで横変位量が大きくなり続けているため、局部洗浄システム1は、便の曲がりが所定の条件を満たすと判定する。この場合、局部洗浄システム1は、中心線LN21のうち、時点TM21以降の部分の情報を除いて、輪郭TG21に対応する便の中心位置を算出する。
【0191】
次に、
図21を用いて、便の曲がりが所定の条件を満たす場合について説明する。
図21は、便の曲がりが所定の条件を満たさない場合の一例を示す図である。
【0192】
図21に示す輪郭情報OD25中の輪郭TG25は、便の曲がりが一方向のみではなく左右方向にうねるような形状の便の輪郭を示す、軌跡情報TR25は、輪郭TG25の中心線に対応する。
【0193】
図21では、例えば時点TM25以降において曲がりの方向が変わっており、局部洗浄システム1は、便の曲がりが所定の条件を満たさないと判定する。この場合、局部洗浄システム1は、輪郭TG25の中心線全体の情報を除いて、輪郭TG25に対応する便の中心位置を算出する。
【0194】
<8-6.便画像例>
なお、上述した例では第2種別の便画像を用いる場合を一例として説明したが、局部洗浄システム1が用いる便画像の種別は第2種別に限られない。この点について
図22を用いて説明する。
図22は、便画像の一例を示す図である。
【0195】
図22中の便画像LF22は、画像の上側程、時間が新しい第1種別の画像(「第1種別の便画像」ともいう)である。局部洗浄システム1は、第1種別の便画像を用いて、利用者の肛門の位置を算出してもよい。この場合、局部洗浄システム1は、便画像LF22の上側程、時間が新しいものとして便画像を用いた処理を実行する。なお、第1種別の便画像を用いる場合であっても、画像における時間方向が逆である点以外は、第2種別の便画像を用いる場合と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0196】
<9.変形例>
上述した局部洗浄システム1は、一例に過ぎず、利用者の肛門の位置が推定可能であれば、任意の装置構成が採用可能である。例えば、受光機能を有する光学ユニット100は1つであってもよい。この場合の構成や処理について、以下説明する。変形例に係る局部洗浄システム1は、便座装置2に代えて、便座装置2Aを有する。
【0197】
<9-1.便座装置の構成>
まず、便座装置2Aの構成について
図23及び
図23を参照して説明する。
図23は、変形例に係る便座装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図24は、変形例に係る便座装置の構成の一部を示す平面図である。なお、
図3で説明した便座装置2の構成の同様の点については適宜説明を省略する。
【0198】
図23に示すように、便座装置2Aは、人体検知センサ32と、着座検知センサ33と、制御部34と、通信部35と、局部洗浄装置60と、電磁弁71と、光学ユニット100A、発光装置125Aと、発光装置125Bと、発光装置125Cとを備える。発光装置125A、発光装置125B及び発光装置125Cを区別せずに説明する場合、「発光装置125」と記載する。
図23に示す例では、便座装置2Aは、3つの発光装置125を備える。
【0199】
発光装置125は、光を発行する装置である。発光装置125は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光素子を有する。発光装置125の発光素子としては、指向性の高い発光素子が用いられる。なお、発光装置125の数は3に限らず任意の数であってもよく、変形例に係る局部洗浄システム1では、3つよりも少ない発光装置125が用いられてもよいが、3つよりも多い発光装置125が用いられてもよい。
【0200】
発光装置125Aは、所定の光を照射する第1の発光装置(「LED#1」ともいう)である。発光装置125Bは、所定の光を照射する第2の発光装置(「LED#2」ともいう)である。発光装置125Cは、所定の光を照射する第3の発光装置(「LED#3」ともいう)である。
【0201】
なお、発光装置125の各々の発光素子は、同じ種別であってもよいし、異なる種別であってもよい。発光装置125の各々は、同じ波長の光を照射してもよいし、異なる波長の光を照射してもよい。また、発光装置125の発光素子は、発光部120A(以下「LEDLS」ともいう)の発光素子121と同じ種別であってもよい。
【0202】
図24の例では、発光装置125A、発光装置125B及び発光装置125Cは、便座装置2における光学ユニット100Bに対応する位置に配置される。発光装置125A、発光装置125B及び発光装置125Cは、本体部3の左右方向の中心から右方側に寄せて配置される。例えば、発光装置125A、発光装置125B及び発光装置125Cは、後方側から順に並べて配置される。このように、発光装置125を光学ユニット100A(LEDLS)の画角の奥行方向に配置する。
【0203】
例えば、発光装置125A、発光装置125B及び発光装置125Cは、本体カバー30に設けられた開口から露出するように配置される。なお、
図24に示す発光装置125の配置は一例に過ぎず、発光装置125は、所望の検知が可能であれば、任意の位置に配置されてもよい。
【0204】
図24中の照射領域ER1は、発光装置125A(の発光素子)からの光が照射される領域を示す。また、
図24中の照射領域ER2は、発光装置125B(の発光素子)からの光が照射される領域を示す。
図24中の照射領域ER3は、発光装置125C(の発光素子)からの光が照射される領域を示す。このように、発光装置125A、発光装置125B及び発光装置125Cは、隣り合う発光装置125の照射領域の一部が重なるように配置される。
【0205】
このように、便座装置2Aでは、光学ユニット100Bに代えてLED#1、LED#2及びLED#3を追加し、各出力比を取ることで奥行位置を推測する。便座装置2Aは、LEDLS、LED#1、LED#2及びLED#3を順次点灯し、各LEDの点灯時にラインセンサである受光素子132を露光し、データを取得する。変形例に係る局部洗浄システム1は、LED#1、LED#2及びLED#3を追加し、各LEDの点灯時のラインセンサである受光素子132の出力の比に基づいて、肛門の奥行位置を推定(算出)する。
【0206】
<9-2.肛門位置の算出例>
ここから、便座装置2Aによる検知に応じた肛門位置の算出例を説明する。なお、上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0207】
まず、
図25を用いて便が手前にある場合の肛門位置の算出例を示す。
図25は、変形例に係る肛門位置の算出例を示す図である。
図25の例では、便である物体OBが発光装置125Aの照射領域ER1を落下する場合を示す。
【0208】
測定結果RS1は、
図25での光学ユニット100Aによる測定結果を示す。測定結果RS1中のLEDLSの下部に位置する波形は、発光部120Aの発光時の測定値VL01を示す。測定結果RS1中のLED#1の下部に位置する波形は、発光装置125Aの発光時の測定値VL11を示す。測定結果RS1中のLED#2の下部に位置する波形は、発光装置125Bの発光時の測定値VL21を示す。測定結果RS1中のLED#3の下部に位置する波形は、発光装置125Cの発光時の測定値VL31を示す。
図25の測定結果RS1は、測定値VL11が大きく、測定値VL21が小さく、測定値VL31が極めて小さい場合を示す。
【0209】
変形例に係る局部洗浄システム1は、測定結果RS1を基に、物体OBの奥行位置(前後方向)が発光装置125A側、すなわち後方側であると推定する。すなわち、局部洗浄システム1は、測定結果RS1を基に、利用者の肛門の位置が発光装置125A側、すなわち後方側であると推定する。
【0210】
次に、
図26を用いて便が奥にある場合の肛門位置の算出例を示す。
図26は、変形例に係る肛門位置の算出例を示す図である。
図26の例では、便である物体OBが発光装置125Cの照射領域ER3を落下する場合を示す。
【0211】
測定結果RS2は、
図26での光学ユニット100Aによる測定結果を示す。測定結果RS2中のLEDLSの下部に位置する波形は、発光部120Aの発光時の測定値VL02を示す。測定結果RS2中のLED#1の下部に位置する波形は、発光装置125Aの発光時の測定値VL12を示す。測定結果RS2中のLED#2の下部に位置する波形は、発光装置125Bの発光時の測定値VL22を示す。測定結果RS2中のLED#3の下部に位置する波形は、発光装置125Cの発光時の測定値VL32を示す。
図26の測定結果RS2は、測定値VL12が極めて小さく、測定値VL22が小さく、測定値VL32が大きい場合を示す。
【0212】
変形例に係る局部洗浄システム1は、測定結果RS2を基に、物体OBの奥行位置(前後方向)が発光装置125A側、すなわち後方側であると推定する。すなわち、局部洗浄システム1は、測定結果RS2を基に、利用者の肛門の位置が発光装置125C側、すなわち前方側であると推定する。
【0213】
次に、
図27を用いて便が中途半端な位置である場合の肛門位置の算出例を示す。
図27は、変形例に係る肛門位置の算出例を示す図である。
図27の例では、便である物体OBが発光装置125Aの照射領域ER1及び発光装置125Bの照射領域ER2の両方に跨る位置を落下する場合を示す。
【0214】
測定結果RS3は、
図27での光学ユニット100Aによる測定結果を示す。測定結果RS3中のLEDLSの下部に位置する波形は、発光部120Aの発光時の測定値VL03を示す。測定結果RS3中のLED#1の下部に位置する波形は、発光装置125Aの発光時の測定値VL13を示す。測定結果RS3中のLED#2の下部に位置する波形は、発光装置125Bの発光時の測定値VL23を示す。測定結果RS3中のLED#3の下部に位置する波形は、発光装置125Cの発光時の測定値VL33を示す。
図27の測定結果RS3は、測定値VL13が中程度であり、測定値VL23が中程度であり、測定値VL33が極めて小さい場合を示す。
【0215】
変形例に係る局部洗浄システム1は、測定結果RS3を基に、物体OBの奥行位置(前後方向)が発光装置125Aの照射領域ER1及び発光装置125Bの照射領域ER2に跨る位置であると推定する。すなわち、局部洗浄システム1は、測定結果RS3を基に、利用者の肛門の位置が発光装置125Aの照射領域ER1及び発光装置125Bの照射領域ER2に跨る位置であると推定する。例えば、局部洗浄システム1は、物体OBの奥行位置(前後方向)が測定値VL13及び測定値VL23の比率を基に、値が大きい側に寄った位置あると推定してもよい。
【0216】
なお、上述してきた各実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0217】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【0218】
上述してきた各実施形態及び変形例について、以下のような構成であってもよいが、以下には限られない。
(1)
人体の局部を洗浄する局部洗浄装置を制御する局部洗浄システムであって、
利用者の排泄物を受けるボウル部と、
1回当たりの排便行為により排泄された排泄物が撮像された画像の画像情報を取得する取得部と、
落下中の大便が撮像された前記画像情報に含まれる大便の輪郭を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された前記大便の輪郭を示す輪郭情報に基づいて、前記大便の落下する方向に交差する水平方向における前記利用者の肛門の位置を算出する算出部と、
前記算出部により算出された前記利用者の肛門の位置に基づいて、前記局部洗浄装置による洗浄位置を制御する制御部と、
を備え、
前記算出部は、前記大便の中心位置を算出し、前記利用者の肛門の位置を算出する第1処理を実行するものであって、
前記算出部は、前記大便の曲がりの大きさが所定の条件を満たした場合、処理を前記第1処理から第2処理へ変更する
ことを特徴とする局部洗浄システム。
(2)
前記算出部は、
前記第2処理として、前記大便の中心線の曲率が所定の値以上変化した時点より以前に撮像された画像の画像情報を用いて、前記利用者の肛門の位置を算出する
ことを特徴とする(1)に記載の局部洗浄システム。
(3)
前記算出部は、
前記第2処理として、前記大便のうち、前記大便の中心線の曲率が所定の値以上変化した時点より前の時点に対応する位置の部分の情報を用いて、前記利用者の肛門の位置を算出する
ことを特徴とする(1)に記載の局部洗浄システム。
【符号の説明】
【0219】
R トイレルーム
1 局部洗浄システム
2 便座装置
3 本体部
30 本体カバー
31A、31B 開口
32 人体検知センサ
33 着座検知センサ
34 制御部(制御装置)
4 便蓋
5 便座
6 洗浄ノズル
65 ノズル用蓋
7 洋式大便器(便器)
71 電磁弁
8 ボウル部
9 リム部
10 操作装置
11 表示画面
100A、100B 光学ユニット
120A、120B 発光部
121A、121B 発光素子
130A、130B 受光部
131A、131B レンズ
132A、132B 受光素子
400 情報処理装置
410 通信部
420 記憶部
421 処理用情報記憶部
430 制御部
431 取得部
432 抽出部
433 算出部
434 送信部