(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131868
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】情報処理装置及びメモリシステム
(51)【国際特許分類】
G11C 11/56 20060101AFI20240920BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20240920BHJP
G11C 15/04 20060101ALI20240920BHJP
G06F 12/00 20060101ALI20240920BHJP
G06F 17/16 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G11C11/56 220
G11C16/04 170
G11C15/04 601R
G11C15/04 631F
G06F12/00 592
G06F17/16 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042356
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(72)【発明者】
【氏名】川澄 篤
(72)【発明者】
【氏名】前田 高志
(72)【発明者】
【氏名】滋賀 秀裕
【テーマコード(参考)】
5B056
5B160
5B225
【Fターム(参考)】
5B056BB37
5B160AC15
5B225BA01
5B225BA19
5B225DA01
5B225EA05
(57)【要約】
【課題】演算結果を迅速かつ精度よく読み出すことができるようにする。
【解決手段】情報処理装置は、第1配線に接続されるとともに、複数の第2配線に接続されるストリングを備え、ストリングは、一端が第1配線に接続される電流経路に沿って直列に接続される複数のトランジスタ対を有し、各トランジスタ対は、電流経路に沿って直列に接続される第1トランジスタ及び第2トランジスタを有し、各ゲートには、それぞれ異なる第2配線が接続され、第1トランジスタは、第1ベクトルの対応する第1要素を表す第1データに応じた第1閾値に設定され、第2トランジスタは、第1データの補数データである第2データに応じた第2閾値に設定され、第1トランジスタのゲートに接続される第2配線には、第2ベクトルの対応する第2要素を表す第3データに応じた電圧が印加され、第2トランジスタのゲートに接続される第2配線には、第3データの補数データである第4データに応じた電圧が印加される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1要素を含む第1ベクトルと、前記複数の第1要素に対応する複数の第2要素を含む第2ベクトルとの間で、対応する前記第1要素及び前記第2要素が一致又は類似するか否かを検出する情報処理装置であって、
第1配線に接続されるとともに、複数の第2配線に接続されるストリングを備え、
前記ストリングは、一端が前記第1配線に接続される電流経路に沿って直列に接続される複数のトランジスタ対を有し、
前記複数のトランジスタ対のそれぞれは、前記電流経路に沿って直列に接続される第1トランジスタ及び第2トランジスタを有し、
前記複数のトランジスタ対のそれぞれにおける前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタのゲートには、それぞれ異なる前記第2配線が接続され、
前記第1トランジスタは、前記第1ベクトルの対応する前記第1要素を表す第1データに応じた第1閾値に設定され、
前記第2トランジスタは、前記第1データの補数データである第2データに応じた第2閾値に設定され、
前記第1トランジスタのゲートに接続される前記第2配線には、前記第2ベクトルの対応する前記第2要素を表す第3データに応じた電圧が印加され、
前記第2トランジスタのゲートに接続される前記第2配線には、前記第3データの補数データである第4データに応じた電圧が印加される、
情報処理装置。
【請求項2】
前記ストリングは、前記第1ベクトル及び前記第2ベクトルの対応する前記第1要素及び前記第2要素がすべて一致又は類似するときに、前記複数のトランジスタ対におけるすべての前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタがオンし、前記第1配線との間の電流に応じて、前記第1配線の電圧を変化させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数のトランジスタ対のそれぞれにおける前記第1トランジスタは、対応する前記第3データに応じた電圧と対応する前記第1データに応じた前記第1閾値との関係に応じてオン又はオフし、
前記複数のトランジスタ対のそれぞれにおける前記第2トランジスタは、対応する前記第4データに応じた電圧と対応する前記第2データに応じた前記第2閾値との関係に応じてオン又はオフする、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記複数のトランジスタ対のそれぞれを構成する前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの間に接続され、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタのゲート電圧よりも高い所定の電圧がゲートに印加されてオン動作する第3トランジスタを備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1ベクトルは、それぞれ前記複数の第1要素を含む第3ベクトル及び第4ベクトルを有し、
前記第2ベクトルは、それぞれ前記複数の第2要素を含む第5ベクトル及び第6ベクトルを有し、
前記ストリングは、前記ストリング内の前記電流経路に沿って直列に接続された複数のトランジスタを用いて、前記第3ベクトルにおける前記複数の第1要素と前記第5ベクトルにおける前記複数の第2要素との一致又は類似の検出と、前記第4ベクトルにおける前記複数の第1要素と前記第6ベクトルにおける前記複数の第2要素との一致又は類似の検出と、を交互に行う、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ストリングは、
前記ストリング内の前記電流経路に沿って直列に接続された複数のトランジスタのうち、前記第1配線に近い側から奇数番目に順に接続された2つ以上のトランジスタからなる第1トランジスタ群に、前記第1ベクトルの前記複数の第1要素を表す前記第1データに応じた前記第1閾値を設定するとともに、前記第1トランジスタ群を構成する各トランジスタのゲートに前記第2ベクトルの前記複数の第2要素を表す前記第3データに応じた電圧を印加し、かつ前記第1配線に近い側から偶数番目に接続された各トランジスタのゲートに前記第3データに応じた電圧よりも大きい所定の電圧レベルの電圧を印加する第1動作と、
前記ストリング内の前記電流経路に沿って直列に接続された複数のトランジスタのうち、前記第1配線に近い側から偶数番目に順に接続された2つ以上のトランジスタからなる第2トランジスタ群に、前記第1ベクトルの前記第1データの補数データである前記第2データに応じた前記第2閾値を設定するとともに、前記第2トランジスタ群を構成する各トランジスタのゲートに前記第2ベクトルの第3データの補数データである前記第4データに応じた電圧を印加し、かつ前記第1配線に近い側から奇数番目に接続された各トランジスタのゲートに前記第4データに応じた電圧よりも大きい所定の電圧レベルの電圧を印加する第2動作と、を交互に行う、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
複数の前記第1配線が配置され、
前記複数の第1配線のそれぞれには、少なくとも1つの前記ストリングの一端が接続される、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第1配線には、複数の前記ストリングのそれぞれの一端が接続され、
前記複数のストリングのそれぞれは、それぞれ異なる前記第1ベクトルと、共通の前記第2ベクトルとの間で、対応する前記第1要素及び前記第2要素のすべてが一致又は類似するか否かを検出し、
前記第1配線の電圧は、前記複数のストリングのうち、対応する前記第1要素及び前記第2要素のすべてが一致又は類似するストリングの数が多いほど、より大きく引き下げられる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1配線の電圧を記憶する配線電圧記憶部を備え、
前記複数のストリングは、それぞれ異なるタイミングで、対応する前記第1ベクトル及び前記第2ベクトルの対応する前記第1要素及び前記第2要素がすべて一致又は類似するか否かを検出し、
前記配線電圧記憶部は、前記複数のストリングのそれぞれにおいて、対応する前記第1ベクトル及び前記第2ベクトルの対応する前記第1要素及び前記第2要素がすべて一致又は類似することが検出されるたびに、記憶される電圧を引き下げる、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1トランジスタは、前記第3データに応じた電圧が前記第1データに応じた前記第1閾値の電圧以上のときにオンし、
前記第2トランジスタは、前記第4データに応じた電圧が前記第2データに応じた前記第2閾値の電圧以上のときにオンする、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第1トランジスタは、前記第3データに応じた電圧が前記第1データに応じた前記第1閾値の電圧から第1電圧だけ低い電圧以上のときにオンし、
前記第2トランジスタは、前記第4データに応じた電圧が前記第2データの補数に応じた前記第2閾値の電圧から前記第1電圧だけ低い電圧以上のときにオンする、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
複数の前記第1配線が配置され、
前記複数の第1配線のそれぞれには、少なくとも1つの前記ストリングの一端が接続され、
前記複数の第1配線に接続された複数の前記ストリングに接続される前記複数の第2配線の電圧を連続的又は段階的に変化させている期間内に、最も早く電圧レベルが低下した前記第1配線に接続されたストリングにおいて、前記第1ベクトル及び前記第2ベクトルの類似度が最も高いと決定される、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
第1トランジスタ及び第2トランジスタと、
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの各一端に接続される第1配線と、
前記第1トランジスタのゲートに接続される第2配線と、
前記第2トランジスタのゲートに接続される第3配線と、を備え、
前記第1トランジスタは、第1データに応じた第1閾値に設定され、
前記第2トランジスタは、前記第1データの補数データである第2データに応じた第2閾値に設定され
前記第2配線には、第3データに応じた電圧が印加され、
前記第3配線には、前記第3データの補数データである第4データに応じた電圧が印加される、
情報処理装置。
【請求項14】
前記第1配線は、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタがともにオフするときに、前記第1トランジスタ又は前記第2トランジスタの少なくとも一方がオンするときよりも高い電圧に引き上げられた状態となる、
請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記第1トランジスタは、前記第2配線上の前記第3データに応じた電圧が前記第1閾値以下のときにオフし、
前記第2トランジスタは、前記第3配線上の前記第4データに応じた電圧が前記第2閾値以下のときにオフする、
請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記第1トランジスタは、前記第2配線上の前記第3データに応じた電圧から第1電圧だけ低い電圧が前記第1閾値以下のときにオフし、
前記第2トランジスタは、前記第3配線上の前記第4データに応じた電圧より前記第1電圧だけ低い電圧が前記第2閾値以下のときにオフする、
請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項17】
複数の第1要素を含む第1ベクトルと、前記複数の第1要素に対応する複数の第2要素を含む第2ベクトルとの間で、対応する前記第1要素及び前記第2要素のすべてが一致又は類似することを検出可能な複数の前記第1配線と、
前記複数の第1配線のそれぞれに一端が接続される複数の第1トランジスタ対と、を備え、
前記複数の第1トランジスタ対のそれぞれごとに、前記第2配線及び前記第3配線が設けられ、
前記複数の第1トランジスタ対のそれぞれは、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタを有する、
請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記複数の第1配線を所定の電圧レベルに設定し、前記複数の第1トランジスタ対のゲート電圧を初期設定した状態から、前記ゲート電圧を連続的又は段階的に変化させている期間内に、前記複数の第1配線のうち、最も遅く電圧レベルが前記所定の電圧レベルから低下した前記第1配線に接続された前記第1トランジスタ対において、前記第1ベクトル及び前記第2ベクトルの類似度が最も高いと決定される、
請求項17に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記第1配線の電圧を記憶する配線電圧記憶部を備え、
前記第1配線には、複数の第2トランジスタ対が接続され、
前記複数の第2トランジスタ対のそれぞれは、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタを有し、
前記複数の第2トランジスタ対は、それぞれ異なるタイミングで、第1ベクトル及び第2ベクトルの対応する第1要素及び第2要素のすべてが一致又は類似するか否かを検出し、
前記配線電圧記憶部は、前記複数の第2トランジスタ対のそれぞれが、対応する前記第1ベクトル及び前記第2ベクトルの対応する前記第1要素及び前記第2要素のすべてが一致又は類似することを検出するたびに、記憶される電圧を引き上げる、
請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項20】
複数の第1要素を含む第1ベクトルと、前記複数の第1要素に対応する複数の第2要素を含む第2ベクトルとの間で、対応する前記第1要素及び前記第2要素が一致又は類似するか否かを検出するメモリシステムであって、
第1配線及び複数の第2配線を有する不揮発性メモリと、
前記第1配線上の電圧信号をセンスするセンスアンプと、
前記センスアンプでセンスされた電圧信号に基づいて、前記第1ベクトル及び前記第2ベクトルの間で、対応する前記第1要素及び前記第2要素のすべてが一致又は類似するか否かを決定する決定部と、を備え、
前記不揮発性メモリは、
前記第1配線に接続されるとともに、前記複数の第2配線に接続されるストリングを備え、
前記ストリングは、一端が前記第1配線に接続される電流経路に沿って直列に接続される複数のトランジスタ対を有し、
前記複数のトランジスタ対のそれぞれは、前記電流経路に沿って直列に接続される第1トランジスタ及び第2トランジスタを有し、
前記複数のトランジスタ対のそれぞれにおける前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタのゲートには、それぞれ異なる前記第2配線が接続され、
前記第1トランジスタは、前記第1ベクトルの対応する前記第1要素を表す第1データに応じた第1閾値に設定され、
前記第2トランジスタは、前記第1データの補数データである第2データに応じた第2閾値に設定され、
前記第1トランジスタのゲートに接続される前記第2配線には、前記第2ベクトルの対応する前記第2要素を表す第3データに応じた電圧が印加され、
前記第2トランジスタのゲートに接続される前記第2配線には、前記第3データの補数データである第4データに応じた電圧が印加され、
前記ストリングは、前記第1ベクトル及び前記第2ベクトルの対応する前記第1要素及び前記第2要素がすべて一致又は類似するときに、前記複数のトランジスタ対におけるすべての前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタがオンし、前記第1配線との間の電流に応じて、前記第1配線の電圧を変化させる、
メモリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、情報処理装置及びメモリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
積和演算などの大量の演算処理を、半導体メモリを用いて高速に実行するCIM(Computation In Memory)が注目されている。
【0003】
CIMでは、例えば、演算処理に用いられる第1入力データを例えばメモリセルに記憶し、ワード線に第2入力データに応じた電圧信号を与えて、メモリセルに接続されるビット線の電圧レベルを演算結果に応じて変化させる。
【0004】
最近の半導体メモリは微細化が進んでおり、ビット線の電圧範囲も小さくなっており、ビット線の電圧レベルがノイズ及びリーク電圧の影響を受けやすくなっている。よって、ビット線の電圧値から演算結果を正しく検出するのは容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0407595号明細書
【特許文献2】米国特許公報第9595330号
【特許文献3】米国特許公報第9001545号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の実施形態では、演算結果を精度よく読み出すことが可能な情報処理装置及びメモリシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態によれば、複数の第1要素を含む第1ベクトルと、前記複数の第1要素に対応する複数の第2要素を含む第2ベクトルとの間で、対応する前記第1要素及び前記第2要素が一致又は類似するか否かを検出する情報処理装置であって、
第1配線に接続されるとともに、複数の第2配線に接続されるストリングを備え、
前記ストリングは、一端が前記第1配線に接続される電流経路に沿って直列に接続される複数のトランジスタ対を有し、
前記複数のトランジスタ対のそれぞれは、前記電流経路に沿って直列に接続される第1トランジスタ及び第2トランジスタを有し、
前記複数のトランジスタ対のそれぞれにおける前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタのゲートには、それぞれ異なる前記第2配線が接続され、
前記第1トランジスタは、前記第1ベクトルの対応する前記第1要素を表す第1データに応じた第1閾値に設定され、
前記第2トランジスタは、前記第1データの補数データである第2データに応じた第2閾値に設定され、
前記第1トランジスタのゲートに接続される前記第2配線には、前記第2ベクトルの対応する前記第2要素を表す第3データに応じた電圧が印加され、
前記第2トランジスタのゲートに接続される前記第2配線には、前記第3データの補数データである第4データに応じた電圧が印加される、
情報処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る情報処理装置の主要部の回路図。
【
図2】ストリング内の1つのトランジスタ対を構成する第1トランジスタと第2トランジスタを抜き出した図。
【
図3】
図2のキーと第1トランジスタの第1閾値と第2トランジスタの第2閾値との対応関係を示す図。
【
図4】第1トランジスタと第2トランジスタのゲートにワード線を介して印加されるクエリのビット値と電位レベルとの対応関係を示す図。
【
図5A】第1トランジスタのクエリ又はキーがXの場合のクエリとキーの電圧レベルを示す図。
【
図5B】第2トランジスタのクエリ又はキーがXの場合のクエリとキーの電圧レベルを示す図。
【
図7】クエリとキーが多値データである例を示す図。
【
図8】クエリとキーが3ビットの多値データである場合のストリング内の第1トランジスタと第2トランジスタを示す図。
【
図9】第1トランジスタと第2トランジスタの閾値とゲート電圧との関係を示す図。
【
図10A】複数本のビット線のそれぞれに1つのストリングが接続される第1例に係るメモリセルアレイの模試的な平面レイアウト図。
【
図10B】複数本のビット線のそれぞれに複数のストリングが接続される第2例に係るメモリセルアレイの模式的な平面レイアウト図。
【
図10C】複数本のビット線のそれぞれに複数のストリングが接続される第3例に係るメモリセルアレイの模試的な平面レイアウト図。
【
図11】第2の実施形態に係る情報処理装置の主要部の回路図。
【
図13A】第3の実施形態に係る情報処理装置の主要部の回路図。
【
図14】
図13のキーと第1トランジスタの第1閾値と第2トランジスタの第2閾値との対応関係を示す図。
【
図15】第1トランジスタと第2トランジスタのゲートにワード線を介して印加されるクエリのビット情報と電位レベルとの対応関係を示す図。
【
図16A】
図13Aの第1トランジスタが2ビットのデータを記憶する場合の第1トランジスタの閾値分布を示す図。
【
図17A】第1トランジスタのクエリQ及びキーKがXの場合の閾値分布とゲート電圧の関係を示す図。
【
図17B】第2トランジスタのクエリ/Q及びキー/KがXの場合の閾値分布とゲート電圧の関係を示す図。
【
図18A】第3の実施形態に係る情報処理装置が有する第1例に係るメモリセルアレイの模式的な平面レイアウト図。
【
図18B】第2例に係るメモリセルアレイの模式的な平面レイアウト図。
【
図18C】第3例に係るメモリセルアレイの模式的な平面レイアウト図。
【
図19】類似検索を行うことが可能な情報処理装置の回路図。
【
図20】式(11)のクエリQとキーKの関係を説明する図。
【
図22】第4の実施形態に係る情報処理装置の回路図。
【
図23】第4の実施形態に係る情報処理装置が有するメモリセルアレイの平面レイアウト図。
【
図24】第4の実施形態の一変形例に係る情報処理装置の主要部の回路図。
【
図25A】
図24の情報処理装置が有するメモリセルアレイの第1例の平面レイアウト図。
【
図25B】
図24の情報処理装置が有するメモリセルアレイの第2例の平面レイアウト図。
【
図26】第1、第2、第3又は第4の実施形態に係る情報処理装置を備えるメモリシステムのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、情報処理装置及びメモリシステムの実施形態について説明する。以下では、情報処理装置及びメモリシステムの主要な構成部分を中心に説明するが、情報処理装置及びメモリシステムには、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外するものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係る情報処理装置1の主要部の回路図である。
図1の情報処理装置1は、複数の第1要素を含む第1ベクトルと、複数の第1要素に対応する複数の第2要素を含む第2ベクトルとの間で、対応する第1要素及び第2要素が一致又は類似するか否かを検出する。
【0011】
図1の情報処理装置1は、第1配線に接続されるとともに、複数の第2配線に接続されるストリング2を備える。以下では、第1配線をビット線BL、第2配線をワード線WL1~WLnと呼ぶが、第1配線をワード線WL1~WLn、第2配線をビット線BLとしてもよい。本明細書では、複数のワード線WL1~WLnを総称して、単にWLと呼ぶことがある。
【0012】
ストリング2は、一端がビット線BLに接続されて、それぞれがカスコード接続される複数のトランジスタ対3を有する。
図1では、1本のビット線BLに1つのストリング2のみが接続されているが、後述するように、1本のビット線BLに複数のストリング2が接続される構成も取り得る。また、後述するように、複数のビット線BLのそれぞれに1つ以上のストリング2が接続される構成も取り得る。ストリング2の他端は基準電圧ノード(例えば接地ノード)に接続されている。
【0013】
複数のトランジスタ対3のそれぞれは、カスコード接続される第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2を有する。複数のトランジスタ対3のそれぞれにおける第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2のゲートには、それぞれ異なるワード線WL、/WLが接続される。本明細書では、あるデータAの補数データを/Aと表記する。補数データ/Aは、データAの各ビットを反転させたデータである。
【0014】
第1トランジスタQ1は、第1ベクトルの対応する第1要素を表す第1データに応じた第1閾値に設定される。第2トランジスタQ2は、第1データの補数データである第2データに応じた第2閾値に設定される。第1データの補数データとは、第1データの各ビット値を反転させたデータである。このように、第1データと第2データは、各ビットが互いに反転している。
【0015】
第1トランジスタQ1のゲートに接続されるワード線WLには、第2ベクトルの対応する第2要素を表す第3データに応じた電圧が印加される。第2トランジスタQ2のゲートに接続されるワード線/WLには、第3データの補数データである第4データに応じた電圧が印加される。第3データの補数データとは、第3データの各ビット値を反転させたデータである。
【0016】
ストリング2は、第1ベクトル及び第2ベクトルの対応する第1要素及び第2要素がすべて一致するときに、複数のトランジスタ対3におけるすべての第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2がオンし、ビット線BLからの電流を引き込んで、ビット線BLの電圧を引き下げる。
【0017】
このように、第1ベクトルと第2ベクトルの対応する第1要素及び第2要素がすべて一致した場合のみ、ビット線BLの電圧が低下する。よって、ビット線BLの電圧をモニタリングすることで、第1ベクトルと第2ベクトルの対応する第1要素及び第2要素がすべて一致したか否かを簡易かつ迅速に検出できる。
【0018】
ストリング2を構成する複数のトランジスタ対3は、例えばメモリセルアレイに設けられる。メモリセルアレイは、例えばNANDフラッシュメモリセルアレイである。
【0019】
各ストリング2内の複数のトランジスタ対3のそれぞれを構成する第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2は、1ビット以上のビット数のキーKを記憶するために用いられる。まずは、キーKが2値(0又は1)の例を説明する。なお、本明細書では、上述した第1データをキーKと称する場合がある。第1データの補数データである第2データはキーKの補数データに対応する。キーKの補数データは/Kと表記される。
【0020】
ストリング2内の第1トランジスタQ1は、キーKのビット値を記憶し、第1トランジスタQ1にカスコード接続される第2トランジスタQ2は、キーKの補数データを記憶する。キーKの補数データとは、キーKのビット値を反転したデータである。例えば、第1トランジスタQ1が0を記憶する場合は、第2トランジスタQ2は1を記憶する。
【0021】
本明細書において、第1トランジスタQ1が0を記憶するとは、第1トランジスタQ1の閾値を0に設定することを意味する。実際には、第1トランジスタQ1の閾値は0に対応する電圧レベルに設定されるが、本明細書では、簡略化のために、閾値を0に設定するものとして説明する。
【0022】
ストリング2内の複数のトランジスタ対3のそれぞれには、2本のワード線WL、/WLが接続されている。より詳細には、複数のトランジスタ対3のそれぞれごとに、別々の2本のワード線(WL1、/WL1)、…、(WLn、/WLn)が接続されている。2本のワード線WL、/WLには、それぞれ第3データ及び第4データに応じた電圧が印加される。本明細書では、各トランジスタ対3を構成する第1トランジスタQ1のゲートにワード線WLが接続され、第2トランジスタQ2のゲートにワード線/WLが接続され、ワード線WLに第3データが印加され、ワード線/WLに第4データが印加されるものとする。
【0023】
第3データ及び第4データはそれぞれ複数ビットからなり、第4データは、第3データの補数データである。第3データと第4データのビット数は任意であるが、まずは、第3データと第4データが2値(0又は1)の例を説明する。
【0024】
本実施形態に係る情報処理装置1は、ストリング2内の複数のトランジスタ対3のそれぞれごとに、外部から入力される1ビット以上のビット数のクエリQが、各トランジスタ対3に記憶されたキーKに一致するか否かを検出する。なお、本明細書では、上述した第3データをクエリQと称する場合がある。第3データの補数データである第4データはクエリQの補数データに対応する。クエリQの補数データは/Qと表記される。
【0025】
本実施形態では、各ストリング2内の複数のトランジスタ対3のそれぞれにおける第1トランジスタQ1にキーK(第1データ)を記憶し、第2トランジスタQ2にキーKの補数データ(第2データ)を記憶する。各ストリング2内の第1トランジスタQ1の各ゲートに接続されるワード線WL1~WLnからクエリQ(第3データ)を入力し、各ストリング2内の第2トランジスタQ2の各ゲートに接続されるワード線/WL1~/WLnからクエリQの補数データ/Q(第4データ)を入力する。ストリング2内の第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2で、クエリQとキーKを比較する。
【0026】
図2はストリング2内の1つのトランジスタ対3を構成する第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2を抜き出した図である。
図2に示すように、第1トランジスタQ1に記憶されるキーK(第1データ)と、第2トランジスタQ2に記憶されるキー/K(第2データ)は、互いに補数の関係にある。例えば、キーKが0の場合、キー/Kは1である。このように、第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2には、互いに補数の関係にある第1データ及び第2データに応じた電圧が書き込まれることから、第1トランジスタQ1の閾値と第2トランジスタQ2の閾値は互いに異なる値になる。第1トランジスタQ1の閾値は第1閾値であり、第2トランジスタQ2の閾値は第2閾値である。
【0027】
図3は、
図2のキーK(第1データ)と、第1トランジスタQ1の第1閾値と、第2トランジスタQ2の第2閾値との対応関係を示す図である。
図3の例では、キーKは1ビットの2値データである。
図3に示すように、キーKが0の場合、第1トランジスタQ1の第1閾値はVth_low、第2トランジスタQ2の第2閾値はVth_highに設定される。キーKが1の場合、第1トランジスタQ1の第1閾値はVth_high、第2トランジスタQ2の第2閾値はVth_lowに設定される。Vth_highは、Vth_lowよりも高い電位レベルである。なお、キーKがXの場合は、第1トランジスタQ1の第1閾値と第2トランジスタQ2の第2閾値のいずれも、例えばVth_lowに設定される。Xはドントケア又は不定の場合に対応する。
【0028】
このように、キーK(第1データ)が1の場合、0の場合よりも第1トランジスタQ1の第1閾値が大きくなる。同様に、キー/K(第2データ)が1の場合、0の場合よりも第2トランジスタQ2の第2閾値が大きくなる。
【0029】
図4は第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2のゲートにワード線WL、/WLを介して印加されるクエリQ(第3データ)のビット値と電位レベルとの対応関係を示す図である。クエリQは1ビット以上のビット数を有する。
図4では、クエリQが2値(0又は1)を有する例を示す。クエリQに応じた電圧(第3データ)がワード線WLを介して第1トランジスタQ1のゲートに印加される。同様に、クエリQの補数データに応じた電圧(第4データ)がワード線/WLを介して第2トランジスタQ2のゲートに印加される。
【0030】
図4に示すように、クエリQが0のときは、第1トランジスタQ1のゲートには電圧Vcgr1(第3データ)が印加され、第2トランジスタQ2のゲートには電圧Vcgr2(第4データ)が印加される。クエリQが1のときは、第1トランジスタQ1のゲートには電圧Vcrg2(第3データ)が印加され、第2トランジスタQ2のゲートには電圧Vcgr1(第4データ)が印加される。Vcgr2>Vcgr1である。
【0031】
このように、第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2の各ゲートに接続されるワード線WL、/WLは、Vcgr1又はVcgr2の電位レベルになる。なお、クエリQがXの場合は、第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2のゲートに接続されるワード線WL、/WLのいずれも、例えばVcgr2の電位レベルに設定される。Xはドントケア又は不定の場合に対応する。
【0032】
図5Aは第1トランジスタQ1のクエリQ又はキーKがX(ドントケア又は不定)の場合のクエリQとキーKの電圧レベルを示す図である。
図5Aは第1トランジスタQ1が2ビットの閾値分布を有する例を示す。
図5Aに示すように、キーK又はクエリQがXの場合、クエリQの電圧レベルを第1トランジスタQ1の閾値よりも高くすることで、第1トランジスタQ1を必ずオンさせることができる。
【0033】
図5Bは第2トランジスタQ2のクエリQ又はキーKがX(ドントケア又は不定)の場合のクエリQとキーKの電圧レベルを示す図である。
図5Bは第2トランジスタQ2が2ビットの閾値分布を有する例を示す。
図5Bに示すように、キーK又はクエリQがXの場合、クエリQの電圧レベルを第2トランジスタQ2より高くすることで、第2トランジスタQ2を必ずオンさせることができる。
【0034】
図6はクエリQとキーKのビット値の全組合せを示す図である。
図6は、クエリQとキーKが2値データの例を示している。なお、
図6には、クエリQとキーKのビット値が0と1だけでなく、X(ドントケア又は不定)の場合も示している。
【0035】
図6には、第1トランジスタQ1のオン又はオフの情報と、第2トランジスタQ2のオン又はオフの情報と、ストリング2内に電流が流れる場合(オン)、又は流れない場合(オフ)の情報とが記載されている。
図6の各欄の上段には第1トランジスタQ1のオン又はオフと、第2トランジスタQ2のオン又はオフがスラッシュ”/”の両側に記載されている。各欄の下段にはストリング2内に電流が流れるか否かの情報がオン(電流が流れる)又はオフ(電流が流れない)で記載されている。
【0036】
例えば、クエリQとキーKが共にゼロの場合は、第1トランジスタQ1がオンで、かつ第2トランジスタQ2がオンするため、対応するストリング2に電流が流れる(オン)。一方、クエリQが1で、キーKが0の場合は、第1トランジスタQ1がオンで、かつ第2トランジスタQ2がオフするため、対応するストリング2に電流が流れない(オフ)。
【0037】
図6からもわかるように、第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2がともにオンするときのみ、対応するストリング2に電流が流れる。第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2がともにオンするのは、クエリQとキーKがともに1の場合か、ともに0の場合である。
【0038】
図3、
図4、及び
図6では、クエリQとキーKの各ビットが2値データである例を示したが、各ビットの2値データ同士を比較するだけでは、単純なバイナリデータ同士の比較しかできない。最近の不揮発性メモリでは、メモリセル内に3値以上の多値データを記憶できるようにして、不揮発性メモリの記憶容量を増やしている。このような多値データを記憶可能な不揮発性メモリを利用することで、クエリQとキーKが多値データであっても、クエリQとキーKの比較を行うことができ、本実施形態に係る情報処理装置1の適用範囲を広げることができる。
【0039】
図7はクエリQとキーKが多値データである例を示す図である。
図7の例では、クエリQとキーKは4ビットで構成され、クエリQの4ビットがq0,q1,q2,q3である例を示している。キーKがk00,k10,k20,k30、又はk01,k11,k21,k31、又はk02,k12,k22,k32、又はk03,k13,k23,k33とすると、クエリQとキーKのビットごとの比較は、以下の式(1)で表される。
【数1】
【0040】
式(1)では、クエリQとキーKをビットごとに否定排他的論理和(ExNOR)を計算して、ビットごとに足し合わせた値/MDiを計算する。クエリQとキーKが多値データの場合は、多値データごとに否定排他的論理和を演算する。
【0041】
図8はクエリQとキーKが3ビットの多値データである場合のストリング2内の第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2を示す図である。
図8の場合、クエリQとキーKは3ビットからなる8通りの電位レベルを取りうる。第1トランジスタQ1に記憶されるキーK(第1トランジスタQ1の第1閾値)と、第2トランジスタQ2に記憶されるキー/K(第2トランジスタQ2の第2閾値)は、互いに補数の関係にあり、第1トランジスタQ1の第1閾値をKとすると、第2トランジスタQ2の第2閾値は7-Kとなる。
【0042】
同様に、第1トランジスタQ1のゲートに入力されるクエリQと第2トランジスタQ2のゲートに入力されるクエリ/Qは、互いに補数の関係にあるため、第1トランジスタQ1のゲートに入力されるクエリQをQとすると、第2トランジスタQ2のゲートに入力されるクエリ/Qは7-Qで表される。
【0043】
図9は、第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2の閾値とゲート電圧との関係を示す図である。各ストリング2内の第1トランジスタQ1の第1閾値は、ビット線BLを介して入力されるキーKに応じた値である。
【0044】
トランジスタごとに閾値の電圧レベルに若干のばらつきがあるため、
図9に示すように、第1トランジスタQ1の第1閾値の電位レベルは所定の範囲内で変動する。この変動範囲は閾値分布と呼ばれる。第1トランジスタQ1のゲートに印加されるクエリQの電位レベルが、この閾値分布よりも大きい場合に第1トランジスタQ1はオンし、閾値分布よりも小さい場合にオフする。第2トランジスタQ2も同様である。
【0045】
図8及び
図9より、第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2は以下の式(2)と式(3)を両方とも満たすときのみ、ともにオンする。
Q≧K …(2)
7-Q≧7-K …(3)
【0046】
式(3)を変形すると、式(4)が得られる。
Q≦K …(4)
【0047】
式(2)と式(4)の両方を満たす条件は、式(5)で表される。
Q=K …(5)
【0048】
このように、各ストリング2内の第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2をともにオンさせるには、クエリQとキーKの多値データ同士が一致するときだけである。この関係は3ビット以外のデータでも当てはまる。
【0049】
図1のストリング2内の複数のトランジスタ対3のそれぞれにおける第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2は、
図8に示すように多値データを記憶してもよい。第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2が2値データ又は多値データを記憶する場合でも、
図1のストリング2内のすべてのトランジスタ対3における第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2のクエリQとキーKが一致する場合のみ、ストリング2に電流が流れて、ビット線BLの電圧レベルを引き下げることができる。
【0050】
図1の情報処理装置1は、メモリセルアレイを用いて構成することができる。
図10Aは、複数本のビット線BLのそれぞれに1つのストリング2が接続される第1例に係るメモリセルアレイ4の模試的な平面レイアウト図である。
図10Aの丸は、ビット線BLから紙面の裏面側に延びるストリング2を表す。本明細書では、同一のワード線群WL1~WLnに接続される複数のストリング2をブロック5と呼ぶ。
【0051】
各ビット線BLに接続された各ストリング2は、それぞれ別個に、クエリQとキーKの一致検出を行う。1つのストリング2内のすべてのトランジスタでクエリQとキーKの一致が検出されると、このストリング2に接続されたビット線BLの電圧レベルが引き下げられる。よって、ビット線BLの電圧レベルをモニタリングすることで、ストリング2内のすべてのトランジスタでクエリQとキーKが一致したか否かを検出できる。
【0052】
図10Bは、複数本のビット線BL1~BLnのそれぞれに複数のストリング2が接続される第2例に係るメモリセルアレイ4の模式的な平面レイアウト図である。この場合、
図10Bに示すように、それぞれ異なるワード線WL1~WLn群からなる複数のブロック5が設けられる。
【0053】
図10Bでは、各ビット線BLに複数のストリング2が接続される。各ストリング2は、すべてのトランジスタのクエリQとキーKが一致したときにビット線BLの電圧レベルを引き下げる。よって、すべてのトランジスタのクエリQとキーKが一致したストリング2の数が多いほど、ビット線BLの電圧レベルがより低下する。したがって、各ビット線BLの電圧レベルをモニタリングすることで、すべてのトランジスタのクエリQとキーKが一致したストリング2の数を検出できる。
【0054】
図10Bに示す複数のブロック5は、必ずしも同時に動作させる必要はなく、ブロック5ごとに時間をずらして動作させてもよい。
【0055】
図10Cは、複数本のビット線BL1~BLnのそれぞれに複数のストリング2が接続される第3例に係るメモリセルアレイ4の模試的な平面レイアウト図である。
図10Cでは、ブロック5ごとに時間をずらして順に、ブロック5内のすべてのストリング2でクエリQとキーKの一致検出を行い、すべてのトランジスタのクエリQとキーKが一致したストリング2が接続されるビット線BLの電圧レベルは、ビット線電圧記憶部6に記憶される。ビット線電圧記憶部6は、例えば、ビット線BLをセンスするセンスアンプ&カラム選択回路7に接続される。ビット線電圧記憶部6に記憶されたビット線BLの電圧レベルは、新たなブロック5についての一致検出結果がビット線BLに現れたときに上書きされる。
【0056】
このように、第1の実施形態では、ビット線BLに接続されたストリング2内に複数のトランジスタ対3を設け、各トランジスタ対3にて、第1ベクトルの第1要素と第2ベクトルの第2要素とが一致するか否かを検出する。第1ベクトルのすべての第1要素が第2ベクトルの対応する第2要素と一致する場合のみ、ビット線BLの電圧レベルが引き下げられるため、ビット線BLの電圧レベルにより、第1ベクトルのすべての第1要素が第2ベクトルの対応する第2要素と一致したか否かを簡易かつ迅速に検出できる。これにより、要素数の多い2つのベクトル同士の比較を、メモリセルアレイ4を利用して迅速に検出できる。
【0057】
(第2の実施形態)
図1の情報処理装置1では、キーKと比較するためのクエリQは、ストリング2内の各トランジスタ対3を構成する第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2のゲートに接続されたワード線WL1~WLn、ワード線/WL1~/WLnにより印加される。クエリQとキーKの一致検出を行う際に設定されるワード線WL1~WLn、ワード線/WL1~/WLnの電圧レベルは、それほど高くないため、
図1のストリング2内の隣接する2つのトランジスタ対3を繋ぐ信号経路にチャネルが十分に形成されず、結果として、キーKとクエリQが一致したとしても、ストリング2内に想定通りの電流が流れないおそれがある。ストリング2内に想定通りの電流が流れない場合は、ビット線BLの電圧レベルが十分に下がらず、第1ベクトルと第2ベクトルの要素ごとの比較結果を正しく検出できなくなるおそれがある。以下に説明する第2の実施形態に係る情報処理装置1は、上述した不具合を解消することを特徴とする。
【0058】
図11は第2の実施形態に係る情報処理装置1の主要部の回路図である。
図11の情報処理装置1は、ビット線BLに一端が接続されるストリング2を備える点では
図1と共通するが、ストリング2内の各トランジスタの接続形態が
図1のストリング2とは異なる。
【0059】
図11のストリング2では、ストリング2の電流経路に沿って直列に接続される複数のトランジスタ対3のそれぞれを構成する第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2が隣接して配置されておらず、別の1個のトランジスタ(以下、第3トランジスタと呼ぶ)Q3を挟んで配置されている。例えば、
図11の例では、ストリング2内のビット線BL側から1番目の第1トランジスタQ1と3番目の第2トラジスタとで1個のトランジスタ対3が構成される。ストリング2内のビット線BL側から2番目のトランジスタ(第3トランジスタQ3)のゲートには、ビット線BL側から1番目と3番目のトランジスタのゲートに印加される電圧よりも、はるかに大きい電圧レベルである電圧Vreadが印加される。よって、第3トランジスタQ3は確実にオンする。
【0060】
後述するように、ストリング2内の各トランジスタは、一致検出を行うたびに、交互に第1トランジスタQ1又は第3トランジスタQ3として動作するか、あるいは、交互に第2トランジスタQ2又は第3トランジスタQ3として動作する。
【0061】
トランジスタ対3を構成する第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2の間に、ゲートにVreadが印加される別の第3トランジスタQ3を接続することにより、第1トランジスタQ1と第3トランジスタQ3とを接続する電流経路と、第3トランジスタQ3と第2トランジスタQ2を接続する電流経路とに、チャネルが確実に形成される。よって、トランジスタ対3を構成する第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2のそれぞれでクエリQとキーKの一致が検出されたときに、第1トランジスタQ1のドレインから第3トランジスタQ3を介して第2トランジスタQ2のソースに安定した電流を流すことができる。
【0062】
このように、
図11のストリング2では、電流経路に沿って直列に複数のトランジスタ対3を接続する点では、
図1のストリング2と共通するものの、各トランジスタ対3を構成する第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2が電流経路に沿って隣接して接続されておらず、ゲートにVreadが印加される別の第3トランジスタQ3を挟んで第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2が直列に接続されている。
【0063】
また、第2の実施形態に係る情報処理装置1では、2つのベクトル同士の比較を、ストリング2内の異なるトランジスタ対3を利用して交互に行う。以下では、第1ベクトルがそれぞれ複数の第1要素を含む第3ベクトル及び第4ベクトルを有し、第2ベクトルがそれぞれ複数の第1要素を含む第5ベクトル及び第6ベクトルを有する例を説明する。
【0064】
図11のストリング2は、ストリング2内の電流経路に沿って直列に接続された複数のトランジスタを用いて、第3ベクトルにおける複数の第1要素と第5ベクトルにおける複数の第2要素との一致検出と、第4ベクトルにおける複数の第1要素と第6ベクトルにおける複数の第2要素との一致検出と、を交互に行う。
【0065】
例えば、第3ベクトルと第5ベクトルの要素ごとの一致検出は、
図11のビット線BL側から1番目の第1トランジスタQ1と3番目の第2トランジスタQ2を有するトランジスタ対3を含めて、ビット線BL側から奇数番目に配置された第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2をそれぞれ有する複数のトランジスタ対3を用いて行われる。この場合、ストリング2内のビット線BL側から偶数番目に配置された各トランジスタのゲートには、Vreadが印加される。
【0066】
第4ベクトルと第6ベクトルの要素ごとの一致検出は、
図11のビット線BL側から2番目の第1トランジスタQ1と4番目の第2トランジスタQ2を有するトランジスタ対3を含めて、ビット線BL側から偶数番目に配置された第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2をそれぞれ有する複数のトランジスタ対3を用いて行われる。この場合、ストリング2内のビット線BL側から奇数番目に配置された各トランジスタのゲートには、Vreadが印加される。
【0067】
このように、
図11のストリング2内の各トランジスタのゲートには、クエリQに応じた電圧とVreadが交互に印加される。すなわち、ストリング2内の複数のトランジスタのうち、上から奇数番目に接続された2以上のトランジスタを用いたクエリQとキーKの一致検出と、上から偶数番目に接続された2以上のトランジスタを用いたクエリQとキーKの一致検出とが交互に行われる。上から奇数番目に接続された2以上のトランジスタを用いたクエリQとキーKの一致検出を行う場合は、上から偶数番目に接続された2以上のトランジスタの各ゲートにはVreadが印加される。また、上から偶数番目に接続された2以上のトランジスタを用いたクエリQとキーKの一致検出を行う場合は、上から奇数番目に接続された2以上のトランジスタの各ゲートにはVreadが印加される。
【0068】
図12は
図11の一変形例に係る情報処理装置1の回路図である。
図12の情報処理装置1は、
図11の情報処理装置1とはストリング2の構成が異なる。
【0069】
図12のストリング2内の各トランジスタのゲートには、第2ベクトルの複数の第2要素を表す第3データに応じた電圧と、第2ベクトルの第3データの補数データである第4データに応じた電圧とが交互に入力される。
【0070】
より詳細には、ストリング2は、第1ベクトルに関する第1データと第2ベクトルに関する第3データとの比較を行う第1動作と、第1ベクトルに関する第2データと第2ベクトルに関する第4データとの比較を行う第2動作とを交互に行う。
【0071】
第1動作では、ストリング2内の電流経路に沿って直列に接続された複数のトランジスタのうち、第1配線に近い側から奇数番目に順に接続された2つ以上のトランジスタからなる第1トランジスタ群に、第1ベクトルの複数の第1要素を表す第1データに応じた第1閾値を設定するとともに、第1トランジスタ群を構成する各トランジスタのゲートに第2ベクトルの複数の第2要素を表す第3データに応じた電圧を印加し、かつ第1配線に近い側から偶数番目に接続された各トランジスタのゲートに第3データに応じた電圧よりも大きい所定の電圧レベルの電圧Vreadを印加する。
【0072】
第2動作では、ストリング2内の電流経路に沿って直列に接続された複数のトランジスタのうち、第1配線に近い側から偶数番目に順に接続された2つ以上のトランジスタからなる第2トランジスタ群に、第1ベクトルの第1データの補数データである第2データに応じた第2閾値を設定するとともに、第2トランジスタ群を構成する各トランジスタのゲートに第2ベクトルの第3データの補数データである第4データに応じた電圧を印加し、かつ第1配線に近い側から奇数番目に接続された各トランジスタのゲートに第4データに応じた電圧よりも大きい所定の電圧レベルの電圧Vreadを印加する。
【0073】
電圧Vreadは、例えばNANDフラッシュメモリセルアレイ4において、ストリング2内の読み出し対象のメモリセルトランジスタを読み出す場合に、読み出し非対象のメモリセルトランジスタのゲートに印加される電圧と同程度の電圧である。
【0074】
なお、
図12では、ストリング2内の複数のトランジスタのゲート電圧を2回に分けて、時間をずらして印加する例を示したが、ストリング2の電流経路に沿って配置された複数のトランジスタを複数のトランジスタ群に分割して、トランジスタ群ごとに時間をずらしてゲート電圧を印加してもよい。このように、ストリング2内のすべてのトランジスタのゲート電圧を印加し終わるまでに3回以上に時間をずらしてもよい。
【0075】
第2の実施形態に係る情報処理装置1においても、
図10Aのように複数本のビット線BLのそれぞれに1つのストリング2を接続してもよいし、また、
図10Bのように複数本のビット線BL1~BLnのそれぞれに、複数のストリング2を接続してもよいし、
図10Cのように複数のブロック5のそれぞれごとに時間をずらして一致検出を行ってもよい。
【0076】
このように、第2の実施形態では、ストリング2内の複数のトランジスタを、ビット線BL側から奇数番目に接続されたトランジスタ群と偶数番目に接続されたトラジスタ群とに分けて、時間をずらして交互に、クエリQとキーKの一致検出を行う。そして、奇数番目に接続されたトランジスタ群の一致検出を行う際には、偶数番目に接続されたトランジスタのゲートにクエリQの第3データ又は第4データに応じた電圧よりもはるかに高い電圧Vreadを印加する。同様に、偶数番目に接続されたトランジスタ群の一致検出を行う際には、奇数番目に接続されたトランジスタのゲートに電圧Vreadを印加する。これにより、ストリング2内の隣接する2つのトランジスタを繋ぐ電流経路に確実にチャネルが形成され、ストリング2に流れる電流のばらつきを抑制できる。
【0077】
(第3の実施形態)
図13Aは第3の実施形態に係る情報処理装置1の主要部の回路図である。
図13Aの情報処理装置1は、ビット線(第1配線)BLに一端がそれぞれ接続される第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2を備える。第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2の導電型は問わないが、以下では、第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2がともにN型MOSトランジスタの例を説明する。第1トランジスタQ1のドレインと第2トランジスタQ2のドレインはビット線BLに接続され、第1トランジスタQ1のソースと第2トランジスタQ2のソースは基準電圧ノード(例えば接地ノード)に接続されている。
【0078】
第1トランジスタQ1のゲートWLには、クエリQ(第3データ)に応じた電圧が印加される。第2トランジスタQ2のゲート/WLには、クエリQの補数データ(第4データ)に応じた電圧が印加される。第1トランジスタQ1は、キーK(第1データ)に応じた閾値に設定される。第2トランジスタQ2は、キーKの補数データ(第2データ)に応じた閾値に設定される。
【0079】
図13Aの第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2がともにオフする条件は、以下の式(6)と式(7)の両方を満たす場合である。なお、第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2は2ビットのデータを記憶可能であるものとする。
Q≦K …(6)
3-Q≦3-K …(7)
【0080】
式(6)と式(7)をともに満たす条件は、以下の式(8)で表される。
Q=K …(8)
【0081】
式(8)に示すように、
図13Aの情報処理装置1では、クエリQとキーKが一致する場合のみ、第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2がともにオフする。この関係は2ビット以外のデータでも当てはまる。第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2がともにオフすると、ビット線BLの電圧レベルは引き上げられた状態となる。
【0082】
図13Bは
図13Aの第1トランジスタQ1の閾値分布を示す図である。図示のように、第1トランジスタQ1は、キーKに対応する閾値分布を有する。閾値分布の中心値の電圧レベルiよりも大きい電圧が第1トラジスタのゲートに印加されると第1トランジスタQ1はオンし、閾値分布の中心値の電圧レベルi以下の電圧が第1トランジスタQ1のゲートに印加されると第1トランジスタQ1はオフする。
【0083】
図14は、
図13のキーK(第1データ)と、第1トランジスタQ1の第1閾値と、第2トランジスタQ2の第2閾値との対応関係を示す図である。
図14の例では、キーKは1ビットの2値データである。
【0084】
図14に示すように、キーKが0の場合、第1トランジスタQ1の第1閾値はVth_low、第2トランジスタQ2の第2閾値はVth_highに設定される。キーKが1の場合、第1トランジスタQ1の第1閾値はVth_high、第2トランジスタQ2の第2閾値はVth_lowに設定される。Vth_highは、Vth_lowよりも高い電位レベルである。なお、キーKがXの場合は、第1トランジスタQ1の第1閾値、第2トランジスタQ2の第2閾値のいずれもVth_lowである。Xはドントケア又は不定の場合に対応する。
【0085】
このように、キーK(第1データ)が1の場合、0の場合よりも第1トランジスタQ1の第1閾値が大きくなる。同様に、キー/K(第2データ)が1の場合、0の場合よりも第2トランジスタQ2の第2閾値が大きくなる。
【0086】
図15は第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2のゲートにワード線WL、/WLを介して印加されるクエリQ(第3データ)のビット情報と電位レベルとの対応関係を示す図である。クエリQは1ビット以上のビット数を有する。
図15では、クエリQが2値(0又は1)を有する例を示す。クエリQの第3データに応じた電圧が第1トランジスタQ1のゲートに印加される。第2トランジスタQ2のゲートには、第3データの補数データである第4データに応じた電圧が印加される。
【0087】
図15に示すように、クエリQが0のときは、第1トランジスタQ1のゲートには電圧レベルVcgr1の電圧(第3データ)が印加され、第2トランジスタQ2のゲートには電圧レベルVcgr2の電圧(第4データ)が印加される。クエリQが1のときは、第1トランジスタQ1のゲートには電圧レベルVcgr2の電圧(第3データ)が印加され、第2トランジスタQ2のゲートには電圧レベルVcgr1の電圧(第4データ)が印加される。
図15に示すように、Vcgr2>Vcgr1である。
【0088】
このように、第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2のゲートに接続されるワード線WL、/WLは、Vcgr1又はVcgr2の電位レベルになる。なお、クエリQがXの場合は、第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2のゲートに接続されるワード線WL、/WLのいずれもVcgr1に設定される。Xはドントケア又は不定の場合に対応する。
【0089】
図16Aは、
図13Aの第1トランジスタQ1が2ビットのデータを記憶する場合の第1トランジスタQ1の閾値分布を示す図である。
図16Aに示すように、第1トランジスタQ1のキーKの値によって、それぞれ異なる閾値分布が形成される。第1トランジスタQ1がオフする条件は、Q≦Kのときであり、クエリQに応じたゲート電圧が、キーKに応じた閾値電圧以下のときである。
【0090】
図16Bは
図13Aの第2トランジスタQ2の閾値分布を示す図である。
図16Bに示すように、第2トランジスタQ2では、3-Kの値によって、それぞれ異なる閾値分布が形成される。第2トランジスタQ2がオフする条件は、3-Q≦3-Kのときであり、クエリQに応じたゲート電圧が、キーKに応じた閾値電圧以上のときである。
【0091】
図17Aは第1トランジスタQ1のクエリQ及びキーKがX(ドントケア又は不定)の場合の閾値分布とゲート電圧の関係を示す図、
図17Bは第2トランジスタQ2のクエリ/Q及びキー/KがX(ドントケア又は不定)の場合の閾値分布とゲート電圧の関係を示す図である。
【0092】
図17Aに示すように、クエリQとキーKがXの場合、第1トランジスタQ1の閾値分布よりも低い電圧レベルにゲート電圧が設定されることになり、第1トランジスタQ1はオフする。
図17Bも同様であり、クエリ/Qとキー/KがXの場合、第2トランジスタQ2の閾値分布よりも低い電圧レベルにゲート電圧が設定され、第2トランジスタQ2はオフする。
【0093】
図18Aは第3の実施形態に係る情報処理装置1が有する第1例に係るメモリセルアレイ4の模式的な平面レイアウト図である。
図18Aでは、複数本のビット線BL1~BLnのそれぞれに、第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2の各一端が接続されている。各ビット線BLにおいて、第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2がともにオフになると、対応するビット線BLの電圧レベルは引き上げられた状態となる。よって、各ビット線BLの電圧レベルをモニタリングすることで、第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2がともにオフになったか否かを検出できる。
図18Aでは、同一のワード線群WL1~WLnに接続される複数のトランジスタ群をブロック5と呼ぶ。なお、各トランジスタ群は、第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2を有する。
【0094】
図18Bは第2例に係るメモリセルアレイ4の模式的な平面レイアウト図である。
図18Bでは、ビット線BL方向に配置される複数のブロック5を備える。各ビット線BLに接続される複数のトランジスタ群のうち、第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2がともにオフするトランジスタ群の数が多いほど、ビット線BLの電圧レベルは引き上げられた状態となる。
【0095】
図18Cは第3例に係るメモリセルアレイ4の模式的な平面レイアウト図である。
図18Cのメモリセルアレイ4は、
図18Bと同様に、複数本のビット線BL1~BLn方向に接続された複数のブロック5を備え、各ブロック5はビット線BLごとに第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2からなるトランジスタ群を有する。
【0096】
図18Cのメモリセルアレイ4では、各ブロック5は、時間をずらして動作する。よって、1つのブロック5内の各ビット線BLに接続される第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2がともにオフする場合に、そのビット線BLの電圧レベルは引き上げられた状態となる。ビット線BLの電圧レベルは、例えばセンスアンプ&カラム選択回路7に接続されたビット線電圧記憶部6に記憶される。各ブロック5内の各ビット線BLに接続される第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2がともにオフするたびに、ビット線電圧記憶部6に記憶される電圧レベルは更新される。
【0097】
このように、第3の実施形態では、ビット線BLにそれぞれの一端が接続される第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2を備えるため、ビット線BLの電圧レベルが引き上げられた状態となると、第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2がともにオフしたと判断できる。これにより、ビット線BLをモニタリングすることで、第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2がともにオフしたことを簡易かつ迅速に検出できる。
【0098】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、類似検索を行うことを特徴とする。
図19は類似検索を行うことが可能な情報処理装置1の回路図である。
図19の情報処理装置1は、ビット線BLに一端が接続されるストリング2を備える。ストリング2の他端は、例えば基準電圧ノード(例えば接地ノード)に接続される。ストリング2は、電流経路に沿って直列に接続される第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2を有する。
図19は、第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2は、3ビットのデータを記憶することができる例を示すが、第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2が記憶するビット数は問わない。
【0099】
第1トランジスタQ1のゲートには、クエリQを表す第3データに応じた電圧よりも、クエリの1単位に相当する電圧だけ高い電圧が印加される。第1トランジスタQ1は、キーKを表す第1データに応じた閾値を有する。第2トランジスタQ2のゲートには、クエリQの補数データを表す第4データに応じた電圧よりも、クエリの1単位に相当する電圧だけ高い電圧が印加される。第2トランジスタQ2は、キーKの補数データを表す第2データに応じた閾値を有する。
【0100】
図19の第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2がともにオンする条件は、以下の式(9)と式(10)の条件をともに満たす場合である。
Q+1≧K …(9)
7-(Q-1)≧7-K …(10)
【0101】
式(9)と式(10)の両方を満たす条件は、式(11)で表される。
Q-1≦K≦Q+1 …(11)
【0102】
図20は、式(11)のクエリQとキーKの関係を説明する図である。
図20に示すように、クエリQとキーKが必ずしも一致しなくても、クエリQとキーKの差分の絶対値が1以下であれば、
図19のストリング2に電流が流れてビット線BLの電圧レベルが引き下げられる。よって、ビット線BLをモニタリングし、ビット線BLの電圧が引き下げられれば、クエリQとキーKが類似していると判断できる。このように、クエリQとキーKが類似しているか否かを検出することを本明細書では、類似検索と呼ぶ。
【0103】
図21は類似検索の範囲を一般化した回路図である。
図21のストリング2(内の第1トランジスタQ1のゲートには、クエリQを表す第3データに応じた電圧よりも、クエリのα単位に相当する電圧だけ高い電圧が印加される。
図21のストリング2内の第2トランジスタQ2のゲートには、クエリQの補数データを表す第4データに応じた電圧よりも、クエリのα単位に相当する電圧だけ高い電圧が印加される。αは、任意の実数である。
【0104】
図21の第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2がともにオンする条件は、以下の式(12)と式(13)の条件をともに満たす場合である。
Q+α≧K …(12)
7-(Q-α)≧7-K …(13)
【0105】
式(12)と式(13)の両方を満たす条件は、式(14)で表される。
Q-α≦K≦Q+α …(14)
【0106】
式(14)に示すように、クエリQとキーKの差分の絶対値がα以下の場合には、クエリQとキーKが類似していると判断され、ビット線BLの電圧レベルが引き下げられる。
【0107】
図22は第4の実施形態に係る情報処理装置1の回路図である。
図22の情報処理装置1は、ビット線BLに一端が接続されたストリング2を備える。ストリング2は、電流経路に沿って直列に接続された複数のトランジスタ対3を有する。各トランジスタ対3は、
図19と同様に、電流経路に沿って直列に接続された第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2を有する。
【0108】
図22の情報処理装置1は、複数の第1要素を有する第1ベクトルと、複数の第2要素を有する第2ベクトルとの間で、対応する第1要素と第2要素が一致又は類似するか否かを検索し、対応する第1要素と第2要素のすべてが一致又は類似するときに、類似度合が最も低いトランジスタ対3に応じてビット線BLの電圧を引き下げるものである。
【0109】
図22は、ストリング2内の電流経路に沿って、直列に接続されたn個のトランジスタ対3を設ける例を示すが、nの値は1以上の任意の整数である。
【0110】
ストリング2内の各トランジスタ対3を構成する第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2は、式(11)に示すように、クエリQとキーKの差分の絶対値が1以下のときに、ともにオンする。
【0111】
n個のトランジスタ対3のそれぞれは、クエリQとキーKの類似度合により、第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2に流せる最大電流量が相違する。具体的には、クエリQとキーKがより似通っているほど、最大電流量が増大する。ただし、
図22のストリング2内には、複数のトランジスタ対3が直列に接続されているため、ストリング2に流れる電流は、複数のトランジスタ対3のうち、最も類似度合が低いトランジスタ対3に流れる最大電流量によって制限される。このことは、式(15)及び式(16)で表される。
【数2】
【0112】
式(16)は
図22のストリング2内の各トランジスタ対3におけるクエリQとキーKの類似度を足し合わせた式である。式(15)は、ストリング2内の複数のトランジスタ対3のうち、クエリQとキーKの類似度が最も低いトランジスタ対3の類似度を表す式である。
【0113】
式(15)と式(16)からわかるように、ストリング2内に直列に接続された複数のトランジスタ対3に流れる電流は、クエリQとキーKの類似度が最も低いトランジスタ対3を流れる電流によって決まる。
【0114】
このように、複数の第1要素を有する第1ベクトルと、複数の第2要素を有する第2ベクトルとで、対応する第1要素と第2要素の類似度合を比較したときに、類似度合が最も低い第1要素及び第2要素により、ストリング2内に流れる電流とビット線BLの電圧レベルが決定される。
【0115】
図23は、第4の実施形態に係る情報処理装置1が有するメモリセルアレイ4の平面レイアウト図である。
図23のメモリセルアレイ4は、複数のビット線BLに接続される複数のストリング2を有する。各ストリング2は、
図22と同様に構成され、
図23の紙面の表面側から裏面側に延びている。
【0116】
ストリング2内のすべてのトランジスタ対3において、対応する第1要素と第2要素が一致又は類似するときに、類似度合が最も低いトランジスタ対3によって、ストリング2を流れる電流が決定される。
図23に示すブロック5内の複数のストリング2のうち、流れる電流が最大のストリング2が最も早くビット線BLの電圧レベルを引き下げる。
【0117】
よって、クエリの変動分αをα=0を初期値として連続的又は段階的に変化させるスイープ動作期間中に
図23の複数のビット線BLをモニタリングし、最も早く電圧レベルが下がったビット線BLに接続されたストリング2が最も類似度が高いと判断することができる。
【0118】
このように、複数のビット線BLに接続された複数のストリング2のそれぞれで、第1ベクトルと第2ベクトルの類似検索を同時に行う場合に、電圧レベルが最も早く低下したビット線BLに接続されたストリング2において、第1ベクトルと第2ベクトルの類似度が最も高いことがわかる。なお、
図22の情報処理装置1の構成の代わりに
図11或いは
図12の情報処理装置1の構成を用いることも可能である。
【0119】
図24は第4の実施形態の一変形例に係る情報処理装置1の主要部の回路図である。
図24の情報処理装置1は、
図13Aと同様に、ビット線BLに一端がそれぞれ接続される第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2を備える。
図13Aでは、第1トランジスタQ1のゲートにクエリQに応じた電圧を印加したが、
図24では、第1トランジスタQ1のゲートには、クエリQに応じた電圧よりも、クエリのα単位に相当する電圧だけ低い電圧が印加される。同様に、第2トランジスタQ2のゲートには、クエリQの補数データに応じた電圧よりも、クエリのα単位に相当する電圧だけ低い電圧が印加される。
図24の第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2は、例えば2ビットのデータを記憶する。
【0120】
図24の情報処理装置1において、第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2がともにオフする条件は、以下の式(17)と式(18)をともに満たす場合である。
Q-α≦K …(17)
3-(Q+α)≦3-K …(18)
【0121】
式(17)と式(18)の両方を満たす条件は、式(19)で表される。
Q-α≦K≦Q+α …(19)
【0122】
図25Aは
図24の情報処理装置1が有するメモリセルアレイ4の第1例の平面レイアウト図である。
図25Aのメモリセルアレイ4は、複数のビット線BLに接続されるブロック5を備える。ブロック5と複数のビット線BLとが交差する各場所には、第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2を含むトランジスタ対3が配置される。このように、ブロック5は、複数のビット線BLに接続される複数のトランジスタ対3を有する。トランジスタ対3ごとに、2本のワード線WL、/WLを有する。
【0123】
図25Aのブロック5では、複数の第1要素を含む第1ベクトルと複数の第2要素を含む第2ベクトルとの間で、対応する第1要素及び第2要素のすべてが一致又は類似することを検出することができる。
【0124】
第1ベクトルの複数の第1要素のそれぞれは、対応するトランジスタ対3の閾値を設定するために用いられる。より詳細には、トランジスタ対3を構成する第1トランジスタQ1は、第1要素を表す第1データに応じた第1閾値に設定され、第2トランジスタQ2は、第1データの補数データである第2データに応じた第2閾値に設定される。
【0125】
第2ベクトルの複数の第2要素のそれぞれは、対応する2本のワード線WL、/WLを介して、対応するトランジスタ対3のゲートに印加される。より詳細には、トランジスタ対3を構成する第1トランジスタQ1のゲートには、対応する第2要素を表す第3データに応じた電圧よりも、クエリのα1単位に相当する電圧だけ低い電圧が印加される。また、トランジスタ対3を構成する第2トランジスタQ2のゲートには、第3データの補数データに応じた第4データに応じた電圧よりも、クエリのα1単位に相当する電圧だけ低い電圧が印加される。
【0126】
複数のビット線BLを所定の電圧レベルに設定し、複数のトランジスタ対3のゲート電圧を初期設定した状態から、αの絶対値が徐々に小さくなるように複数のトラジスタ対3のゲート電圧を走査(スイープ)させている期間内に、複数のビット線BLのうち、最も遅く電圧レベルが前記所定の電圧レベルから低下したビット線BLに接続されたトランジスタ対3の第1トランジスタQ1及び第2トランジスタQ2において、第1ベクトルと第2ベクトルの類似度が最も高いと決定することができる。
【0127】
図25Bは
図24の情報処理装置1が有するメモリセルアレイ4の第2例の平面レイアウト図である。
図25Bのメモリセルアレイ4は、1本のワード線WLに接続される複数のトランジスタ対3と、ビット線BLの電圧を記憶するビット線電圧記憶部6とを有する。各トランジスタ対3は、
図24の第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2を有する。
【0128】
複数のトランジスタ対3は、それぞれ異なるタイミングで、対応する第1ベクトル及び第2ベクトルの対応する第1要素及び第2要素のすべてが一致又は類似するか否かを検出する。
【0129】
ビット線電圧記憶部6は、複数のトランジスタ対のそれぞれが、対応する第1ベクトル及び第2ベクトルの対応する第1要素及び第2要素のすべてが一致又は類似することを検出するたびに、記憶される電圧を引き上げる。
【0130】
このように、第4の実施形態では、ビット線BLに一端が接続されたストリング2内の各トランジスタのゲート電圧を調整することで、クエリQとキーKの類似検索を行うことができる。また、複数のビット線BLに複数のストリング2の各一端を接続し、各ストリング2内の各トランジスタのゲート電圧を走査(スイープ)させながらビット線BLの電圧レベルをモニタリングすることで、最も遅くビット線BLの電圧レベルが低下したストリング2において、最も類似度の高い第1ベクトルと第2ベクトルを検出できる。
【0131】
また、第4の実施形態では、ビット線BLに一端が接続された第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2の各ゲート電圧を調整することで、クエリQとキーKの類似検索を行うことができる。また、第4の実施形態では、複数のビット線BLに接続されたトランジスタ対3でクエリQとキーKの類似検索を行い、複数のトランジスタ対3のゲート電圧を走査(スイープ)させながら、ビット線BLの電圧をモニタリングすることで、類似度が最も高いトランジスタ対3を決定できる。
【0132】
(第5の実施形態)
図26は、第1、第2、第3又は第4の実施形態に係る情報処理装置1を備えるメモリシステム11のブロック図である。
図26のメモリシステム11は、メモリセルアレイ4と、ロウ選択回路12と、センスアンプ&カラム選択回路7と、データ入出力バッファ14と、制御部15と、一致/類似決定部16とを備える。このうち、一致/類似決定部16以外が情報処理装置1を構成する。
【0133】
メモリセルアレイ4は、例えばNANDフラッシュメモリセルアレイ4である。あるいは、メモリセルアレイ4は、NANDフラッシュメモリ以外の不揮発メモリを用いたメモリセルアレイ4でもよいし、DRAM(Dynamic Random Access Memory)又はSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発メモリを用いたメモリセルアレイ4でもよい。
【0134】
メモリセルアレイ4には、複数のワード線WL1~WLnと、複数のビット線BLと、複数のメモリセルトランジスタとを有する。メモリセルアレイ4は、第1~第4の実施形態で説明した処理手順に基づいて、ビット線BLを介して供給されるキーKと、ワード線WL1~WLnを介して供給されるクエリQとが一致するか否かを示すデータをビット線BLに供給する。
【0135】
ロウ選択回路12は、メモリセルアレイ4の複数のワード線WL1~WLnのうち少なくとも一部を選択して駆動する。ロウ選択回路12は、外部から入力されたクエリQに基づいて、駆動対象のワード線WL1~WLnの電圧レベルを設定する。
【0136】
センスアンプ&カラム選択回路7は、メモリセルアレイ4の複数のビット線BLの少なくとも一部を選択してセンスする。データ入出力バッファ14は、メモリセルアレイ4から読み出されてセンスアンプ&カラム選択回路7でセンスされたデータをバッファリングするとともに、外部から入力されたキーKをセンスアンプ&カラム選択回路7に伝送する。
【0137】
一致/類似決定部16は、例えば第1ベクトルと第2ベクトルの各要素が一致するか否かを示す信号を出力する。また、一致/類似決定部16は、複数のビット線BLのうち、最も類似度が高い第1ベクトル及び第2ベクトルに対応するストリングに関する情報を出力できる。
【0138】
このように、第5の実施形態では、既存のメモリシステムの内部構成を一部変更するだけで、情報処理装置1を構築することができ、設計変更に要する時間を短縮できるとともに、メモリセルアレイ4のビット線及びワード線を増やすことで、多次元の一致/類似検索を容易に行うことができる。
[付記]
【0139】
[項目1]
複数の第1要素を含む第1ベクトルと、前記複数の第1要素に対応する複数の第2要素を含む第2ベクトルとの間で、対応する前記第1要素及び前記第2要素が一致又は類似するか否かを検出する情報処理装置であって、
第1配線に接続されるとともに、複数の第2配線に接続されるストリングを備え、
前記ストリングは、一端が前記第1配線に接続される電流経路に沿って直列に接続される複数のトランジスタ対を有し、
前記複数のトランジスタ対のそれぞれは、前記電流経路に沿って直列に接続される第1トランジスタ及び第2トランジスタを有し、
前記複数のトランジスタ対のそれぞれにおける前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタのゲートには、それぞれ異なる前記第2配線が接続され、
前記第1トランジスタは、前記第1ベクトルの対応する前記第1要素を表す第1データに応じた第1閾値に設定され、
前記第2トランジスタは、前記第1データの補数データである第2データに応じた第2閾値に設定され、
前記第1トランジスタのゲートに接続される前記第2配線には、前記第2ベクトルの対応する前記第2要素を表す第3データに応じた電圧が印加され、
前記第2トランジスタのゲートに接続される前記第2配線には、前記第3データの補数データである第4データに応じた電圧が印加される、
情報処理装置。
[項目2]
前記ストリングは、前記第1ベクトル及び前記第2ベクトルの対応する前記第1要素及び前記第2要素がすべて一致又は類似するときに、前記複数のトランジスタ対におけるすべての前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタがオンし、前記第1配線との間の電流に応じて、前記第1配線の電圧を変化させる、
項目1に記載の情報処理装置。
[項目3]
前記複数のトランジスタ対のそれぞれにおける前記第1トランジスタは、対応する前記第3データに応じた電圧と対応する前記第1データに応じた前記第1閾値との関係に応じてオン又はオフし、
前記複数のトランジスタ対のそれぞれにおける前記第2トランジスタは、対応する前記第4データに応じた電圧と対応する前記第2データに応じた前記第2閾値との関係に応じてオン又はオフする、
項目1又は2に記載の情報処理装置。
[項目4]
前記複数のトランジスタ対のそれぞれを構成する前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの間に接続され、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタのゲート電圧よりも高い所定の電圧がゲートに印加されてオン動作する第3トランジスタを備える、
項目1乃至3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目5]
前記第1ベクトルは、それぞれ前記複数の第1要素を含む第3ベクトル及び第4ベクトルを有し、
前記第2ベクトルは、それぞれ前記複数の第2要素を含む第5ベクトル及び第6ベクトルを有し、
前記ストリングは、前記ストリング内の前記電流経路に沿って直列に接続された複数のトランジスタを用いて、前記第3ベクトルにおける前記複数の第1要素と前記第5ベクトルにおける前記複数の第2要素との一致又は類似の検出と、前記第4ベクトルにおける前記複数の第1要素と前記第6ベクトルにおける前記複数の第2要素との一致又は類似の検出と、を交互に行う、
項目4に記載の情報処理装置。
[項目6]
前記ストリングは、
前記ストリング内の前記電流経路に沿って直列に接続された複数のトランジスタのうち、前記第1配線に近い側から奇数番目に順に接続された2つ以上のトランジスタからなる第1トランジスタ群に、前記第1ベクトルの前記複数の第1要素を表す前記第1データに応じた前記第1閾値を設定するとともに、前記第1トランジスタ群を構成する各トランジスタのゲートに前記第2ベクトルの前記複数の第2要素を表す前記第3データに応じた電圧を印加し、かつ前記第1配線に近い側から偶数番目に接続された各トランジスタのゲートに前記第3データに応じた電圧よりも大きい所定の電圧レベルの電圧を印加する第1動作と、
前記ストリング内の前記電流経路に沿って直列に接続された複数のトランジスタのうち、前記第1配線に近い側から偶数番目に順に接続された2つ以上のトランジスタからなる第2トランジスタ群に、前記第1ベクトルの前記第1データの補数データである前記第2データに応じた前記第2閾値を設定するとともに、前記第2トランジスタ群を構成する各トランジスタのゲートに前記第2ベクトルの前記第3データの補数データである前記第4データに応じた電圧を印加し、かつ前記第1配線に近い側から奇数番目に接続された各トランジスタのゲートに前記第4データに応じた電圧よりも大きい所定の電圧レベルの電圧を印加する第2動作と、を交互に行う、
項目4に記載の情報処理装置。
[項目7]
複数の前記第1配線が配置され、
前記複数の第1配線のそれぞれには、少なくとも1つの前記ストリングの一端が接続される、
項目1乃至6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目8]
前記第1配線には、複数の前記ストリングのそれぞれの一端が接続され、
前記複数のストリングのそれぞれは、それぞれ異なる前記第1ベクトルと、共通の前記第2ベクトルとの間で、対応する前記第1要素及び前記第2要素のすべてが一致又は類似するか否かを検出し、
前記第1配線の電圧は、前記複数のストリングのうち、対応する前記第1要素及び前記第2要素のすべてが一致又は類似するストリングの数が多いほど、より大きく引き下げられる、
項目1乃至7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目9]
前記第1配線の電圧を記憶する配線電圧記憶部を備え、
前記複数のストリングは、それぞれ異なるタイミングで、対応する前記第1ベクトル及び前記第2ベクトルの対応する前記第1要素及び前記第2要素がすべて一致するか否かを検出し、
前記配線電圧記憶部は、前記複数のストリングのそれぞれにおいて、対応する前記第1ベクトル及び前記第2ベクトルの対応する前記第1要素及び前記第2要素がすべて一致することが検出されるたびに、記憶される電圧を引き下げる、
項目8に記載の情報処理装置。
[項目10]
前記第1トランジスタは、前記第3データに応じた電圧が前記第1データに応じた前記第1閾値の電圧以上のときにオンし、
前記第2トランジスタは、前記第4データに応じた電圧が前記第2データに応じた前記第2閾値の電圧以上のときにオンする、
項目1乃至9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目11]
前記第1トランジスタは、前記第3データに応じた電圧が前記第1データに応じた前記第1閾値の電圧から第1電圧だけ低い電圧以上のときにオンし、
前記第2トランジスタは、前記第4データに応じた電圧が前記第2データの補数に応じた前記第2閾値の電圧から前記第1電圧だけ低い電圧以上のときにオンする、
項目1乃至9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目12]
複数の前記第1配線が配置され、
前記複数の第1配線のそれぞれには、少なくとも1つの前記ストリングの一端が接続され、
前記複数の第1配線に接続された複数の前記ストリングに接続される前記複数の第2配線の電圧を連続的又は段階的に変化させている期間内に、最も早く電圧レベルが低下した前記第2配線に接続されたストリングにおいて、前記第1ベクトル及び前記第2ベクトルの類似度が最も高いと決定される、
項目11に記載の情報処理装置。
[項目13]
第1トランジスタ及び第2トランジスタと、
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの各一端に接続される第1配線と、
前記第1トランジスタのゲートに接続される第2配線と、
前記第2トランジスタのゲートに接続される第3配線と、を備え、
前記第1トランジスタは、第1データに応じた第1閾値に設定され、
前記第2トランジスタは、前記第1データの補数データである第2データに応じた第2閾値に設定され、
前記第2配線には、第3データに応じた電圧が印加され、
前記第3配線には、前記第3データの補数データである第4データに応じた電圧が印加される、
情報処理装置。
[項目14]
前記第1配線は、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタがともにオフするときに、前記第1トランジスタ又は前記第2トランジスタの少なくとも一方がオンするときよりも高い電圧に引き上げられた状態となる、
項目13に記載の情報処理装置。
[項目15]
前記第1トランジスタは、前記第2配線上の前記第3データに応じた電圧が前記第1閾値以下のときにオフし、
前記第2トランジスタは、前記第3配線上の前記第4データに応じた電圧が前記第2閾値以下のときにオフする、
項目14に記載の情報処理装置。
[項目16]
前記第1トランジスタは、前記第2配線上の前記第3データに応じた電圧から第1電圧だけ低い電圧が前記第1閾値以下のときにオフし、
前記第2トランジスタは、前記第3配線上の前記第4データに応じた電圧より前記第1電圧だけ低い電圧が前記第2閾値以下のときにオフする、
項目14に記載の情報処理装置。
[項目17]
複数の第1要素を含む第1ベクトルと、前記複数の第1要素に対応する複数の第2要素を含む第2ベクトルとの間で、対応する前記第1要素及び前記第2要素のすべてが一致又は類似しないことを検出可能な複数の前記第1配線と、
前記複数の第1配線のそれぞれに一端が接続される複数の第1トランジスタ対と、を備え、
前記複数の第1トランジスタ対のそれぞれごとに、前記第2配線及び前記第3配線が設けられ、
前記複数の第1トランジスタ対のそれぞれは、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタを有する、
項目13乃至16のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目18]
前記複数の第1配線を所定の電圧レベルに設定し、前記複数の第1トランジスタ対のゲート電圧を初期設定した状態から、前記ゲート電圧を連続的又は段階的に変化させている期間内に、前記複数の第1配線のうち、最も遅く電圧レベルが前記所定の電圧レベルから低下した前記第1配線に接続された前記第1トランジスタ対において、前記第1ベクトル及び前記第2ベクトルの類似度が最も高いと決定される、
項目17に記載の情報処理装置。
[項目19]
前記第1配線の電圧を記憶する配線電圧記憶部を備え、
前記第1配線には、複数の第2トランジスタ対が接続され、
前記複数の第2トランジスタ対のそれぞれは、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタを有し、
前記複数の第2トランジスタ対は、それぞれ異なるタイミングで、第1ベクトル及び第2ベクトルの対応する第1要素及び第2要素のすべてが一致又は類似するか否かを検出し、
前記配線電圧記憶部は、前記複数の第2トランジスタ対のそれぞれが、対応する前記第1ベクトル及び前記第2ベクトルの対応する前記第1要素及び前記第2要素のすべてが一致又は類似することを検出するたびに、記憶される電圧を引き上げる、
項目13乃至18のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目20]
複数の第1要素を含む第1ベクトルと、前記複数の第1要素に対応する複数の第2要素を含む第2ベクトルとの間で、対応する前記第1要素及び前記第2要素が一致又は類似するか否かを検出するメモリシステムであって、
第1配線及び複数の第2配線を有する不揮発性メモリと、
前記第1配線上の電圧信号をセンスするセンスアンプと、
前記センスアンプでセンスされた電圧信号に基づいて、前記第1ベクトル及び前記第2ベクトルの間で、対応する前記第1要素及び前記第2要素のすべてが一致又は類似するか否かを決定する決定部と、を備え、
前記不揮発性メモリは、
前記第1配線に接続されるとともに、前記複数の第2配線に接続されるストリングを備え、
前記ストリングは、一端が前記第1配線に接続される電流経路に沿って直列に接続される複数のトランジスタ対を有し、
前記複数のトランジスタ対のそれぞれは、前記電流経路に沿って直列に接続される第1トランジスタ及び第2トランジスタを有し、
前記複数のトランジスタ対のそれぞれにおける前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタのゲートには、それぞれ異なる前記第2配線が接続され、
前記第1トランジスタは、前記第1ベクトルの対応する前記第1要素を表す第1データに応じた第1閾値に設定され、
前記第2トランジスタは、前記第1データの補数データである第2データに応じた第2閾値に設定され、
前記第1トランジスタのゲートに接続される前記第2配線には、前記第2ベクトルの対応する前記第2要素を表す第3データに応じた電圧が印加され、
前記第2トランジスタのゲートに接続される前記第2配線には、前記第3データの補数データである第4データに応じた電圧が印加され、
前記ストリングは、前記第1ベクトル及び前記第2ベクトルの対応する前記第1要素及び前記第2要素がすべて一致又は類似するときに、前記複数のトランジスタ対におけるすべての前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタがオンし、前記第1配線との間の電流に応じて、前記第1配線の電圧を変化させる、
メモリシステム。
【0140】
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0141】
1 情報処理装置、2 ストリング、3 トランジスタ対、4 NANDフラッシュメモリセルアレイ、4 メモリセルアレイ、5 ブロック、6 ビット線電圧記憶部、7 カラム選択回路、11 メモリシステム、12 ロウ選択回路、14 データ入出力バッファ、15 制御部、16 類似決定部