(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131878
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】防災表示盤
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240920BHJP
G08B 23/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G08B17/00 L
G08B23/00 510D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042376
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002169
【氏名又は名称】彩雲弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】弘中 康雄
【テーマコード(参考)】
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA25
5C087BB06
5C087BB74
5C087DD04
5C087EE05
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG66
5C087GG84
5G405AA06
5G405CA30
5G405CA31
(57)【要約】
【課題】防災表示盤に表示されている地図と、実際の現場との位置関係をより簡単に把握可能な防災表示盤を提供することを目的とする。
【解決手段】防災表示盤1において、表示部2と、操作部3と、を備えるものとし、表示部2を、監視対象区画の地
図M1の全部又は一部を表示可能に設け、操作部3を操作することによって、地
図M1を、回動可能とする。尚、操作部3を操作することによって、地
図M1を、地
図M1の表示中心Cを回転中心として、回動可能とすることも可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防災表示盤であって、
表示部と、操作部と、を備え、
該表示部は、監視対象区画の地図の全部又は一部を表示可能に設けられており、
該操作部を操作することによって、該地図を、回動可能となっていることを特徴とする防災表示盤。
【請求項2】
前記操作部を操作することによって、前記地図を、該地図の表示中心を回転中心として、回動可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の防災表示盤。
【請求項3】
前記表示部は、第1の表示区画と、第2の表示区画と、を有し、
該第1の表示区画は、前記地図の全部又は一部を表示可能に設けられており、
該第2の表示区画は、該第1の表示区画と並列して設けられ、該第1の表示区画に表示された該地図上の区域の前記監視対象区画全体に対する位置を表示する位置表示図を表示可能に設けられ、
該地図を、該地図の表示中心を回転中心として、回転させると、該位置表示図も、該位置表示図の表示中心を回転中心として、同方向に回転することを特徴とする請求項2に記載の防災表示盤。
【請求項4】
前記地図には、前記監視対象区画内に設置された感知器及び/又は発信機の位置を示すシンボルが表示されており、該シンボルは、該地図が回動しても、向きが変更されないことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の防災表示盤。
【請求項5】
前記地図には、火災位置を表示可能となっており、
前記表示部に、該地図上に定められた所定の起点より該火災位置までの経路を表示可能となっていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の防災表示盤。
【請求項6】
前記地図には、前記監視対象区画内にいる監視員の位置を表示可能となっていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の防災表示盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災表示盤に関し、より詳細には、監視対象区画の地図を表示可能な防災表示盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防災表示盤がある。防災表示盤には、表示部が設けられており、火災報知設備の情報、例えば、火災感知器や発信機等の作動状況を監視対象区画の地図、例えば、建屋平面図上に表示可能に設けられている(例えば、特許文献1及び2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-15410号公報
【特許文献2】特開2009-15411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の防災表示盤は、監視対象区画の地図が、建屋の建築図面に基づいて作成されている場合が多く、その地図の向きも該建築図面の向きに準じる向きに固定されていることが多い。そのため、防災表示盤に表示されている地図の向きと、防災表示盤の表示部を見ている監視員が把握していている実際の現場の向きとは、必ずしも一致するものではないため、該地図上の位置と、実際の現場との位置関係の把握に時間を要する場合がある。
【0005】
そこで、本発明においては、防災表示盤に表示されている地図と、実際の現場との位置関係をより簡単に把握可能な防災表示盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、防災表示盤であって、表示部と、操作部と、を備え、該表示部は、監視対象区画の地図の全部又は一部を表示可能に設けられており、該操作部を操作することによって、該地図を、回動可能となっていることを特徴とする防災表示盤である。
【0007】
更に、本発明は、前記操作部を操作することによって、前記地図を、該地図の表示中心を回転中心として、回動可能とすることが可能である。又、本発明は、前記表示部を、第1の表示区画と、第2の表示区画と、を有するものとし、該第1の表示区画を、前記地図の全部又は一部を表示可能に設け、該第2の表示区画を、該第1の表示区画と並列して設けると共に該第1の表示区画に表示された該地図上の区域の前記監視対象区画全体に対する位置を表示する位置表示図を表示可能に設け、該地図を、該地図の表示中心を回転中心として、回転させると、該位置表示図も、該位置表示図の表示中心を回転中心として、同方向に回転するものとすることが可能である。
【0008】
そして、本発明は、前記地図に、前記監視対象区画内に設置された感知器及び/又は発信機の位置を示すシンボルが表示され、該シンボルを、該地図が回動しても、向きが変更されないものとすることが可能である。又、本発明は、前記地図に、火災位置を表示可能とし、前記表示部に、該地図上に定められた所定の起点より該火災位置までの経路を表示可能とすることが可能である。又、本発明は、前記地図に、前記監視対象区画内にいる監視員の位置を表示可能とすることが可能である。
【0009】
尚、本発明において、「第1の」及び「第2の」という表現を使用しているが、該表現は、発明の各構成を区別するために使用しているに過ぎず、その数字や順番には、特に意味のないものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、防災表示盤を、表示部と、操作部と、を備え、該表示部を、監視対象区画の地図の全部又は一部を表示可能に設け、該操作部を操作することによって、該地図を、回動可能としたため、防災表示盤に表示されている地図と、実際の現場との位置関係をより簡単に把握可能な防災表示盤を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2A】本発明の実施形態における地図表示区画の略図であり、回動前の状態を示す図である。
【
図2B】本発明の実施形態における地図表示区画の略図であり、右方向に90°回転させた状態を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態における位置表示図の略図であり、平面位置表示区画の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を
図1乃至
図3に基づき説明する。防災表示盤1は、表示部2と、操作部3と、備えている。本実施形態においては、防災表示盤1は、自動火災報知設備(図示せず)の一部を構成しており、受信機(図示せず)を介して、感知器(図示せず)及び発信機(図示せず)と接続されている。尚、該自動火災報知設備の具体的な構成については、公知の構成を適宜採用することが可能である。
【0013】
表示部2は、監視対象区画の地
図M1の全部又は一部を表示可能に設けられている。本実施形態においては、表示部2は、少なくとも2つの表示区画を有しており、該表示区画の内、第1の表示区画は、地
図M1の全部又は一部が表示可能に設けられた地図表示区画4に、第2の表示区画は、地図表示区画4と並列して設けられ、地図表示区画4に表示された地
図M1上の区域Zの前記監視対象区画全体に対する位置を表示するための位置表示
図M2を表示可能に設けられた位置表示区画5となっている。
【0014】
尚、本実施形態において、表示部2は、タッチパネルとなっており、後述する階層位置表示区画5Aより階層を選択することで、別の階層の地
図M1も表示可能となっている。又、地
図M1の拡大縮小や移動も可能となっている。尚、表示部2は、必ずしもタッチパネルとする必要はなく、マウス等の操作機器(図示せず)を用いて操作する様にすることも可能である。
【0015】
本実施形態において、位置表示区画5は、階層位置表示区画5Aと、平面位置表示区画5Bと、で構成されている。階層位置表示区画5Aは、地
図M1が、どの階層の地図であるかを表示するために設けられ、平面位置表示区画5Bは、位置表示
図M2を表示するために設けられている。
【0016】
操作部3は、操作部3を操作することで表示部2に表示された地
図M1を回動可能に設けられている。本実施形態においては、操作部3を操作することで、地
図M1を左右各々に回転可能になっていると共に地
図M1をワンクリックで元の状態に戻すことも可能となっており、操作部3には、そのための、左右1対の回転ボタン3a及びデフォルトボタン3bが設けられている。左右1対の回転ボタン3aは、それぞれワンクリックすると地
図M1を90°回転させ、長押しすると回動して任意の角度回転させることができる。デフォルトボタン3bは、ワンクリックすると元の状態に戻すボタンである。
【0017】
又、本実施形態においては、操作部3を操作することによって、地
図M1を、地
図M1の表示中心C、即ち、表示部2に現に表示されている状態における中心を回転中心として、地
図M1を回動可能となっている(
図2Bは、回転ボタン3aの右回転ボタンをワンクリックした状態)。尚、地
図M1は、表示している縮尺を維持して回動する。
【0018】
更に、本実施形態においては、操作部3を操作することによって、地
図M1を、前記表示中心を回転中心として回転させると、位置表示
図M2も、位置表示
図M2の表示中心Cを回転中心として、同方向に回転する様になっている。又、位置表示
図M2は、回動する際に、監視対象区画の全体が表示されるように縮尺を変更される様になっている。
【0019】
地
図M1は、防災表示盤1が、監視の対象としている区画(監視対象区画)の地図である。本実施形態において、地
図M1には、前記感知器の位置を示すシンボルSが表示されている。シンボルSは、操作部3を操作して地
図M1を回動させてもその向きは変更されないものとなっている。尚、
図2A及び
図2B中、一点鎖線で描かれている部分は、地
図M1のうち、地図表示区画4に表示されていない部分を表している。
【0020】
この様にすることで、本実施形態においては、地
図M1を回動させた際のシンボルSの視認性の向上を図っている。尚、本実施形態においては、各文字表記についても、操作部3を操作して地
図M1を回動させてもその向きは変更されないものとなっている。
【0021】
又、本実施形態において、地
図M1には、火災位置Fが表示可能となっており、表示部2には、地
図M1上に定められた所定の起点、例えば、非常階段等の階段や、エレベータホール、非常口等の出入口より火災位置Fまでの経路Rを表示可能になっている。
【0022】
この様にすることで、本実施形態においては、火災確定や初期消火等の対応をより迅速に行える様になっている。尚、本実施形態においては、起動した前記感知器に対応するシンボルSの表示を変える、例えば、点滅させてたり、色を変えたり、することで火災位置Fを地
図M1上に表示している。
【0023】
前記感知器が、起動すると、前記受信機を介して防災表示盤1に火災信号が送信され、その感知器に対応するシンボルSが、火災位置Fとして強調して表示するようになっており、本実施形態では点滅するようになっている。それと同時に、少なくとも火災位置Fが、地図表示区画4に表示される様に地
図M1が地図表示区画4に表示される。この際、位置表示区画5の平面位置表示区画5Bには、位置表示
図M2が表示されており、地図表示区画4に表示されている区域Zの、前記監視対象区画全体に対する位置がわかる様になっている。
【0024】
この際、本実施形態において、階層位置表示区画5Aは、地
図M1を含む階層を強調、例えば、色彩変更等、して表示する様になっている。又、階層位置表示区画5Aは、選択している階層とは別に、警報が発生している階層がある場合、該階層を、他の階層とは、別の色彩で表示する様になっている。この様にすることで、本実施形態においては、地図表示区画4に表示されている階層以外の階層の警報発生の有無が、より分かりやすくなっている。
【0025】
防災表示盤1は、地図表示区画4に表示されている地
図M1の前記起点から火災位置Fまでの経路Rを表示する。監視員は、操作部3の回転ボタン3aを操作することで、地
図M1を回転させ、自分が把握しやすい方向に地
図M1が向く様に調整することができる。この際、本実施形態においては、位置表示
図M2もまた、同方向に回転する。
【0026】
従って、本実施形態の防災表示盤1は、操作部3を操作することで、表示部2に表示された地
図M1を回動可能となっているので、防災表示盤1に表示されている地
図M1と、実際の現場との位置関係をより簡単に把握可能となっている。それによって、特に、感知器が発報して火災確認のために火災発生場所へ監視員が向かう際に、監視員が混乱してしまうことを防止することも可能である。
【0027】
更に、本実施形態の防災表示盤1においては、地
図M1を、表示中心Cを回転中心として回動可能とすることで、防災表示盤1に表示されている地
図M1がどの様に回動しているかがより把握しやすくなっている。
【0028】
以上、本発明を上記実施形態に基づき説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0029】
(1)地
図M1に前記監視対象区画にいる監視員の位置を、表示を表示可能とすることも可能である。該監視員の位置の特定は、例えば、該監視対象区画にビーコン(図示せず)等を配置しておき、該ビーコンからの信号を、該監視員の持つ端末で受けることによって、行うことが可能である。
【0030】
この様にすることで、防災センターにいる監視員が、防災表示盤1に表示されている地
図M1を見ながら現場に向かう監視員に経路を的確に指示可能となる。
【0031】
(2)上記実施形態においては、地
図M1に、感知器の位置を示すシンボルSを表示可能に設けたが、発信機その他の位置を示すシンボル(図示せず)を表示可能とすることも可能である。
【0032】
(3)上記実施形態においては、地
図M1及び位置表示
図M2を、90°毎回動するものとしたが、地
図M1及び位置表示
図M2を、任意の角度で回転可能とすることも可能である。この際、位置表示
図M2は、どの角度においても、位置表示区画5に、その全体が表示される様になっていることが好まく、表示する角度に応じて縮尺を変更してもよいし、あらかじめどの角度でも全体が表示されるような縮尺としてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 防災表示盤 2 表示部 3 操作部
3a 回転ボタン 3b デフォルトボタン 4 地図表示区画
5 位置表示区画 5A 階層位置表示区画 5B 平面位置表示区画
C 表示中心 F 火災位置 M1 地図
M2 位置表示図 R 経路 S シンボル
Z 区域