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特開2024-131890電源供給システム、高周波システム、通信装置及びトラッカモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131890
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】電源供給システム、高周波システム、通信装置及びトラッカモジュール
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/02 20060101AFI20240920BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20240920BHJP
   H03F 3/24 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H03F1/02 144
H04B1/04 A
H03F3/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042412
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 祥
(72)【発明者】
【氏名】加藤 棟治
(72)【発明者】
【氏名】山口 浩司
【テーマコード(参考)】
5J500
5K060
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA41
5J500AA58
5J500AC36
5J500AC92
5J500AF10
5J500AF16
5J500AF18
5J500AH10
5J500AH29
5J500AH33
5J500AH39
5J500AK11
5J500AK33
5J500AK42
5J500AK49
5J500AK66
5J500AM22
5J500AQ02
5J500AQ03
5J500AQ04
5J500AQ05
5J500AQ06
5J500AS14
5J500AT06
5J500RG05
5K060AA10
5K060AA14
5K060CC04
5K060DD04
5K060EE05
5K060HH06
5K060HH11
5K060HH32
5K060JJ03
5K060JJ04
5K060JJ21
5K060JJ23
5K060MM00
(57)【要約】
【課題】電源供給システムを小型化する。
【解決手段】電源供給システム300は、第1基板8と、第1基板8に配置されているトラッカモジュール100と、第1基板8に配置されているパワーインダクタL71と、を備える。トラッカモジュール100は、第2基板9と、第2基板9に配置されている少なくとも1つのICチップ80と、を含む。少なくとも1つのICチップ80は、プリレギュレータ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、スイッチトキャパシタ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、出力スイッチ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、を含む。第1基板8の厚さ方向からの平面視において、第2基板9は凹部A03を有し、パワーインダクタL71の少なくとも一部は、凹部A03に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に配置されているトラッカモジュールと、
前記第1基板に配置されているパワーインダクタと、を備え、
前記トラッカモジュールは、
第2基板と、
前記第2基板に配置されている少なくとも1つのICチップと、
を含み、
前記少なくとも1つのICチップは、
前記パワーインダクタを用いて入力電圧を調整電圧に変換するように構成されているプリレギュレータ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、
前記調整電圧に基づいて複数の離散的電圧を生成するように構成されているスイッチトキャパシタ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、
前記複数の離散的電圧の少なくとも1つを選択的にパワーアンプに出力するように構成されている出力スイッチ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、を含み、
前記第1基板の厚さ方向からの平面視において、前記第2基板は凹部を有し、前記パワーインダクタの少なくとも一部は、前記凹部に配置されている、
電源供給システム。
【請求項2】
第1基板と、
前記第1基板に配置されているトラッカモジュールと、
前記第1基板に配置されているパワーインダクタと、を備え、
前記トラッカモジュールは、
第2基板と、
前記第2基板に配置されている少なくとも1つのICチップと、
を含み、
前記少なくとも1つのICチップは、
前記パワーインダクタを用いて入力電圧を調整電圧に変換するように構成されているプリレギュレータ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、
前記調整電圧に基づいて複数の離散的電圧を生成するように構成されているスイッチトキャパシタ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、
前記複数の離散的電圧の少なくとも1つを選択的にパワーアンプに出力するように構成されている出力スイッチ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、を含み、
前記第1基板の厚さ方向からの平面視において、前記トラッカモジュールと前記パワーインダクタとは、前記第1基板の厚さ方向に直交する第1方向に対向し、かつ、前記第1基板の厚さ方向及び前記第1方向に直交する第2方向に対向する、
電源供給システム。
【請求項3】
前記トラッカモジュールは、前記パワーインダクタと接続される接続端子を更に含み、
前記接続端子は、前記第2基板の外縁のうち前記パワーインダクタと対向する部分に隣接している、
請求項1又は2に記載の電源供給システム。
【請求項4】
前記接続端子は、前記プリレギュレータ回路に含まれる前記少なくとも1つのスイッチに接続されている、
請求項3に記載の電源供給システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのICチップは、前記第2基板の外縁のうち前記パワーインダクタと対向する前記部分と隣接している、
請求項3に記載の電源供給システム。
【請求項6】
前記プリレギュレータ回路に含まれる前記少なくとも1つのスイッチは、前記第2基板の外縁のうち前記パワーインダクタと対向する前記部分と隣接している、
請求項5に記載の電源供給システム。
【請求項7】
前記第1基板の厚さ方向からの平面視において、前記トラッカモジュール及び前記パワーインダクタは、矩形状の第1領域の内側に位置している、
請求項1又は2に記載の電源供給システム。
【請求項8】
前記第1基板の厚さ方向からの平面視において、
前記パワーインダクタは、前記第1領域の一部である第2領域の内部に位置しており、
前記第2領域は、前記第1領域の一辺に接している、
請求項7に記載の電源供給システム。
【請求項9】
前記第1基板の厚さ方向からの平面視において、前記第2領域は、前記第1領域の4つの頂点のうちの1つを含む、
請求項8に記載の電源供給システム。
【請求項10】
前記トラッカモジュールは、
前記出力スイッチ回路に接続されるフィルタ回路、を更に含み、
前記フィルタ回路は、少なくとも1つのインダクタを含み、
前記少なくとも1つのインダクタの磁束方向は、前記パワーインダクタの磁束方向と直交する、
請求項1又は2に記載の電源供給システム。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の電源供給システムと、
前記トラッカモジュールに接続されているパワーアンプと、を備える
高周波システム。
【請求項12】
請求項11に記載の高周波システムと、
前記高周波システムに接続されている信号処理回路と、を備える
通信装置。
【請求項13】
モジュール基板と、
前記モジュール基板に配置されている少なくとも1つのICチップと、を備え、
前記少なくとも1つのICチップは、
パワーインダクタを用いて入力電圧を調整電圧に変換するように構成されているプリレギュレータ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、
前記調整電圧に基づいて複数の離散的電圧を生成するように構成されているスイッチトキャパシタ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、
前記複数の離散的電圧の少なくとも1つを選択的にパワーアンプに出力するように構成されている出力スイッチ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、を含み、
前記モジュール基板の厚さ方向からの平面視において、前記モジュール基板は凹部を有し、前記パワーインダクタの少なくとも一部は、前記凹部に配置されている、
トラッカモジュール。
【請求項14】
前記パワーインダクタと接続される接続端子を更に含み、
前記接続端子は、前記モジュール基板の外縁のうち前記パワーインダクタと対向する部分に隣接している、
請求項13に記載のトラッカモジュール。
【請求項15】
前記接続端子は、前記プリレギュレータ回路に含まれる前記少なくとも1つのスイッチに接続されている、
請求項14に記載のトラッカモジュール。
【請求項16】
前記少なくとも1つのICチップは、前記モジュール基板の外縁のうち前記パワーインダクタと対向する前記部分と隣接している、
請求項14に記載のトラッカモジュール。
【請求項17】
前記プリレギュレータ回路に含まれる前記少なくとも1つのスイッチは、前記モジュール基板の外縁のうち前記パワーインダクタと対向する前記部分と隣接している、
請求項16に記載のトラッカモジュール。
【請求項18】
前記モジュール基板の厚さ方向からの平面視において、前記トラッカモジュール及び前記パワーインダクタは、矩形状の第1領域の内側に位置している、
請求項13から17のいずれか1項に記載のトラッカモジュール。
【請求項19】
前記モジュール基板の厚さ方向からの平面視において、
前記パワーインダクタは、前記第1領域の一部である第2領域の内部に位置しており、
前記第2領域は、前記第1領域の一辺に接している、
請求項18に記載のトラッカモジュール。
【請求項20】
前記トラッカモジュールは、
前記出力スイッチ回路に接続されるフィルタ回路、を更に含み、
前記フィルタ回路は、少なくとも1つのインダクタを含み、
前記少なくとも1つのインダクタの磁束方向は、前記パワーインダクタの磁束方向と直交する、
請求項13から17のいずれか1項に記載のトラッカモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電源供給システム、高周波システム、通信装置及びトラッカモジュールに関し、より詳細には、トラッカモジュールを備える電源供給システムと、電源供給システムを備える高周波システム及び通信装置と、トラッカモジュールとに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電源電圧を電力増幅器に供給することができる電源変調回路が開示されている。電源変調回路は、複数の離散的電圧を生成するための構成として、例えば、パワーインダクタを含むプリレギュレータ回路を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公開第2014/0132354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電源変調回路を、トラッカモジュールを含む電源供給システムとして実現する場合、トラッカモジュールがプリレギュレータ回路に含まれるパワーインダクタを含む構成では、トラッカモジュールの小型化が難しい。一方で、電源供給システムがパワーインダクタとトラッカモジュールとを備える場合、パワーインダクタとトラッカモジュールの各々が空間を占有するため、電源供給システムの小型化が難しい場合がある。
【0005】
本開示は、小型化することが可能な電源供給システム、高周波システム、通信装置、及びトラッカモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電源供給システムは、第1基板と、トラッカモジュールと、パワーインダクタと、を備える。前記トラッカモジュールは、前記第1基板に配置されている。前記パワーインダクタは、前記第1基板に配置されている。前記トラッカモジュールは、第2基板と、少なくとも1つのICチップと、を含む。前記少なくとも1つのICチップは、前記第2基板に配置されている。前記少なくとも1つのICチップは、プリレギュレータ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、スイッチトキャパシタ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、出力スイッチ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、を含む。前記プリレギュレータ回路は、前記パワーインダクタを用いて入力電圧を調整電圧に変換するように構成されている。前記スイッチトキャパシタ回路は、前記調整電圧に基づいて複数の離散的電圧を生成するように構成されている。前記出力スイッチ回路は、前記複数の離散的電圧の少なくとも1つを選択的にパワーアンプに出力するように構成されている。前記第1基板の厚さ方向からの平面視において、前記第2基板は凹部を有する。前記第1基板の厚さ方向からの平面視において、前記パワーインダクタの少なくとも一部は、前記凹部に配置されている。
【0007】
本開示の他の一態様に係る電源供給システムは、第1基板と、トラッカモジュールと、パワーインダクタと、を備える。前記トラッカモジュールは、前記第1基板に配置されている。前記パワーインダクタは、前記第1基板に配置されている。前記トラッカモジュールは、第2基板と、少なくとも1つのICチップと、を含む。前記少なくとも1つのICチップは、前記第2基板に配置されている。前記少なくとも1つのICチップは、プリレギュレータ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、スイッチトキャパシタ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、出力スイッチ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、を含む。前記プリレギュレータ回路は、前記パワーインダクタを用いて入力電圧を調整電圧に変換するように構成されている。前記スイッチトキャパシタ回路は、前記調整電圧に基づいて複数の離散的電圧を生成するように構成されている。前記出力スイッチ回路は、前記複数の離散的電圧の少なくとも1つを選択的にパワーアンプに出力するように構成されている。前記第1基板の厚さ方向からの平面視において、前記トラッカモジュールと前記パワーインダクタとは、第1方向に対向し、かつ、第2方向に対向する。前記第1方向は、前記第1基板の厚さ方向に直交する。前記第2方向は、前記第1基板の厚さ方向及び前記第1方向に直交する。
【0008】
本開示の一態様に係る高周波システムは、前記電源供給システムと、パワーアンプと、を備える。前記パワーアンプは、前記トラッカモジュールに接続されている。
【0009】
本開示の一態様に係る通信装置は、前記高周波システムと、信号処理回路と、を備える。前記信号処理回路は、前記高周波システムに接続されている。
【0010】
本開示の一態様に係るトラッカモジュールは、モジュール基板と、少なくとも1つのICチップと、を備える。前記少なくとも1つのICチップは、前記モジュール基板に配置されている。前記少なくとも1つのICチップは、プリレギュレータ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、スイッチトキャパシタ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、出力スイッチ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、を含む。前記プリレギュレータ回路は、パワーインダクタを用いて入力電圧を調整電圧に変換するように構成されている。前記スイッチトキャパシタ回路は、前記調整電圧に基づいて複数の離散的電圧を生成するように構成されている。前記出力スイッチ回路は、前記複数の離散的電圧の少なくとも1つを選択的にパワーアンプに出力するように構成されている。前記モジュール基板の厚さ方向からの平面視において、前記モジュール基板は凹部を有する。前記モジュール基板の厚さ方向からの平面視において、前記パワーインダクタの少なくとも一部は、前記凹部に配置されている。
【発明の効果】
【0011】
上記態様に係る電源供給システム、高周波システム、通信装置及びトラッカモジュールによれば、電源供給システムを小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態1に係る電源供給システムの平面図である。
図2図2は、同上の電源供給システムの概念図である。
図3図3は、同上の電源供給システムを示し、図1のIII-III線断面図である。
図4図4は、実施形態1に係る電源回路、高周波システム及び通信装置の回路ブロック図である。
図5図5Aは、デジタルETモードにおける電源電圧の遷移の一例を示す波形図である。図5Bは、アナログETモードにおける電源電圧の遷移の一例を示す波形図である。
図6図6は、実施形態1に係る電源回路の回路図である。
図7図7は、同上の電源回路におけるデジタル制御回路の回路構成図である。
図8図8は、実施形態2に係るトラッカモジュールの裏面図である。
図9図9は、実施形態3に係る電源供給システムの平面図である。
図10図10は、実施形態4に係るトラッカモジュールの裏面図である。
図11図11は、実施形態5に係る電源供給システムの平面図である。
図12図12は、実施形態6に係るトラッカモジュールの裏面図である。
図13図13は、実施形態7に係る電源供給システムの平面図である。
図14図14は、実施形態8に係るトラッカモジュールの裏面図である。
図15図15は、実施形態9に係る電源供給システムの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態1~9について、図面を参照して説明する。以下の実施形態等において参照する図は、模式的な図であり、図中の構成要素の大きさ及び厚さは必ずしも実際の寸法を反映しているとは限らず、構成要素間における大きさの比及び厚さの比も、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0014】
(実施形態1)
(1)電源供給システム
実施形態1に係る電源供給システム300について、図面を参照して説明する。
【0015】
電源供給システム300は、図1に示すように、第1基板8と、第1基板8に配置されているトラッカモジュール100と、第1基板8に配置されているパワーインダクタL71と、を備える。第1基板8は、例えば、通信装置7(図4参照)のマザー基板であり、プリント配線板である。
【0016】
トラッカモジュール100は、図1図3に示すように、第2基板9と、ICチップ80と、フィルタ回路40(図5及び図7参照)と、を備える。第2基板9は、例えば、モジュール基板である。
【0017】
ICチップ80は、第2基板9に配置されている。フィルタ回路40は、複数の機能素子(図示例では、複数のインダクタL0,L1,L2及び複数のキャパシタC1,C2)を含む。ICチップ80は、入力電圧に基づいて複数の離散的電圧を生成するように構成されているスイッチトキャパシタ回路20(図6参照)に含まれる少なくとも1つのスイッチと、複数の離散的電圧のうちの少なくとも1つを、選択的にフィルタ回路40に出力するように構成されている出力スイッチ回路30(図2及び図6参照)に含まれる少なくとも1つのスイッチと、を含む。フィルタ回路40の複数の機能素子は、ICチップ80に集積化されている少なくとも1つの機能素子を含む。
【0018】
電源供給システム300は、例えば、図4に示すように、通信装置7の備える直流電源70に接続され、通信装置7の備えるパワーアンプ2に電源電圧Vccを供給する構成である。
【0019】
(2)電源回路、高周波システム及び通信装置の回路構成
以下、実施形態1に係る電源回路1、高周波システム200及び通信装置7の回路構成について、図面を参照して説明する。
【0020】
(2.1)高周波システムの回路構成
高周波システム200は、図4に示すように、電源回路1と、パワーアンプ2と、フィルタ3と、制御回路4と、複数の外部接続端子と、を備える。複数の外部接続端子は、アンテナ端子T1と、信号入力端子T2と、第1制御端子T3と、電源接続端子T4と、4つ(図2では1つのみ図示)の第2制御端子T5と、を含む。
【0021】
電源回路1は、エンベロープ信号に基づいて複数の離散的な電圧レベルの中から選択される電圧レベルを有する電源電圧Vccをパワーアンプ2に供給する回路である。
【0022】
電源回路1及びパワーアンプ2を備える通信装置7では、パワーアンプ2において、高周波信号を増幅する際に、エンベロープ・トラッキング方式(以下「ET方式」という)が用いられる。ET方式には、アナログ・エンベロープ・トラッキング方式(以下「アナログET方式」という)と、デジタル・エンベロープ・トラッキング方式(以下「デジタルET方式」という)とがある。
【0023】
デジタルET方式は、1フレーム内で、電圧レベルの異なる複数の離散的電圧を用いて高周波信号(変調波)の包絡線を追跡する方式である。デジタルET方式が電源電圧Vccの生成に適用されるモードをデジタルETモードと呼ぶ。また、アナログET方式は、連続的な電圧レベルを用いて高周波信号の包絡線を追跡する方式である。アナログET方式が電源電圧Vccの生成に適用されるモードをアナログETモードと呼ぶ。
【0024】
フレームとは、高周波信号を構成する単位を表す。例えば5G NR(5th Generation New Radio)及びLTE(Long Term Evolution)(登録商標)では、フレームは、10個のサブフレームを含み、各サブフレームは、複数のスロットを含み、各スロットは、複数のシンボルを含む。サブフレーム長は1msであり、フレーム長は10msである。
【0025】
ここで、デジタルETモード及びアナログETモードについて、図5A及び図5Bを参照して説明する。
【0026】
デジタルETモードでは、図5Aに示すように、1フレーム内で、複数の離散的な電圧レベルに電源電圧Vccを変動させることで高周波信号の包絡線を追跡する。その結果、電源電圧Vccの波形は、矩形波状の波形となる。デジタルETモードでは、エンベロープ信号に基づいて、複数の離散的な電圧レベルの中から電源電圧レベルが選択される。
【0027】
アナログETモードでは、図5Bに示すように、電源電圧Vccを連続的に変動させることで高周波信号の包絡線を追跡する。アナログETモードでは、エンベロープ信号に基づいて、電源電圧Vccが決定される。アナログETモードでは、チャネル帯域幅が狭い場合(チャネル帯域幅が例えば60MHz未満である場合)には、電源電圧Vccが高周波信号の包絡線の変化に追随しやすいが、チャネル帯域幅が広い場合(チャネル帯域幅が例えば60MHz以上である場合)には、電源電圧Vccが高周波信号の包絡線の変化に追随しにくくなる。言い換えると、チャネル帯域幅が広い場合には、電源電圧Vccの振幅変化は、高周波信号の包絡線の変化に対して遅れが生じやすくなる。
【0028】
これに対して、チャネル帯域幅が広い場合には、デジタルETモードを適用することで、電源電圧Vccの高周波信号への追随性を改善させることができる。
【0029】
電源回路1は、プリレギュレータ回路10と、スイッチトキャパシタ回路20と、出力スイッチ回路30と、フィルタ回路40と、を備える。
【0030】
プリレギュレータ回路10は、例えば、通信装置7の備える直流電源70から供給される直流電圧(第1電圧)を第2電圧に変換するDC(Direct Current)/DCコンバータである。プリレギュレータ回路10は、第1電圧の電圧値よりも第2電圧の電圧値を大きくする昇圧動作と、第1電圧の電圧値よりも第2電圧の電圧値を小さくする降圧動作と、を行うように構成されている。つまり、プリレギュレータ回路10は、昇降圧型のDC-DCコンバータである。
【0031】
スイッチトキャパシタ回路20は、プリレギュレータ回路10からの第2電圧を入力電圧とし、複数の離散的電圧(複数の第3電圧)を生成するように構成されている。複数の離散的電圧は、互いに異なる電圧レベルを有する。スイッチトキャパシタ回路20は、スイッチトキャパシタ電圧バランサ(Switched-Capacitor Voltage Balancer)と呼ばれる場合もある。
【0032】
出力スイッチ回路30は、エンベロープ信号に対応するデジタル制御信号に基づいて、スイッチトキャパシタ回路20で生成された複数の離散的電圧(複数の第3電圧)のうちの少なくとも1つを、選択的にフィルタ回路40に出力するように構成されている。出力スイッチ回路30は、複数の離散的電圧の中から選択された少なくとも1つの離散的電圧を出力する。電源回路1では、出力スイッチ回路30での離散的電圧の選択を時間の経過とともに繰り返すことで、出力スイッチ回路30の出力電圧(電源電圧Vcc)の電圧レベルを時間の経過とともに変化させることができる。これにより、電源回路1は、パワーアンプ2へ供給する電源電圧Vccの電圧レベルを時間の経過とともに変化させることができる。
【0033】
フィルタ回路40は、出力スイッチ回路30の出力電圧をフィルタリングする。フィルタ回路40は、例えば、ローパスフィルタを含む。
【0034】
フィルタ回路40は、出力スイッチ回路30から出力された出力電圧のスパイク状の電圧の振幅を低減させる。つまり、電源回路1は、フィルタ回路40を備えることにより、出力スイッチ回路30から出力された出力電圧の波形歪を低減させることができるので、上記出力電圧の高周波成分を低減させることができる。これにより、電源回路1では、電源電圧Vccに含まれるノイズを低減させることができるので、電源回路1からパワーアンプ2に入るノイズを低減させることができる。
【0035】
パワーアンプ2は、入力端子、出力端子、電源端子及び制御端子を有する。パワーアンプ2の入力端子は、信号入力端子T2を介して通信装置7の信号処理回路5に接続される。パワーアンプ2の出力端子は、フィルタ3及びアンテナ端子T1を介して通信装置7のアンテナ6に接続される。パワーアンプ2は、信号処理回路5から出力された所定バンドの高周波送信信号(以下、送信信号と記す)を増幅して出力する。
【0036】
フィルタ3は、パワーアンプ2の出力端子とアンテナ端子T1との間に接続されている。フィルタ3は、所定バンドの周波数帯域を含む通過帯域を有する。これにより、フィルタ3は、パワーアンプ2で増幅された所定バンドの送信信号を通過させることができる。高周波システム200では、パワーアンプ2から出力される送信信号を、フィルタ3及びアンテナ端子T1を介してアンテナ6へ出力する。
【0037】
制御回路4は、第1制御端子T3を介して信号処理回路5のRF信号処理回路51に接続されている。また、制御回路4は、パワーアンプ2の制御端子に接続されている。制御回路4は、信号処理回路5のRF信号処理回路51からの制御信号を受けることにより、パワーアンプ2の制御端子へ供給するバイアス電流(又はバイアス電圧)の大きさ及び供給タイミングを制御する。
【0038】
(2.2)通信装置
通信装置7は、図4に示すように、高周波システム200と、信号処理回路5と、アンテナ6と、直流電源70と、を備える。
【0039】
直流電源70は、例えば、充電式電池(rechargeable battery)である。なお、直流電源70は、充電式電池に限定されず、他の電池であってもよい。
【0040】
アンテナ6は、アンテナ端子T1から出力される所定バンドの送信信号を送信する。
【0041】
信号処理回路5は、RF信号処理回路51と、ベースバンド信号処理回路52と、を含む。RF信号処理回路51は、例えばRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)であり、高周波信号に対する信号処理を行う。RF信号処理回路51は、例えば、ベースバンド信号処理回路52から出力される高周波信号(送信信号)に対してアップコンバート等の信号処理を行い、信号処理が行われた高周波信号を出力する。ベースバンド信号処理回路52は、例えばBBIC(Baseband Integrated Circuit)である。ベースバンド信号処理回路52は、ベースバンド信号からI相信号及びQ相信号を生成する。ベースバンド信号は、例えば、外部から入力される音声信号又は画像信号である。ベースバンド信号処理回路52は、I相信号とQ相信号とを合成することでIQ変調処理を行って、送信信号を出力する。この際、送信信号は、所定周波数の搬送波信号を、搬送波信号の周期よりも長い周期で振幅変調される変調信号(IQ信号)として生成される。
【0042】
また、RF信号処理回路51は、電源回路1及びパワーアンプ2を制御する制御部511を有する。RF信号処理回路51の制御部511は、ベースバンド信号処理回路52から入力される高周波入力信号のエンベロープ信号に基づいて、スイッチトキャパシタ回路20で生成された複数の離散的電圧の電圧レベルの中からパワーアンプ2で用いられる電源電圧Vccの電圧レベルを出力スイッチ回路30に選択させる。これにより、電源回路1は、デジタル・エンベロープ・トラッキングに基づいて電源電圧Vccを出力する。エンベロープ信号とは、高周波信号(変調波)の包絡線を示す信号である。エンベロープ値は、例えば(I+Q1/2である。ここで、(I,Q)は、コンスタレーションポイントを表す。コンスタレーションポイントとは、デジタル変調によって変調された信号をコンスタレーションダイヤグラム上で表す点である。(I,Q)は、例えば送信情報に基づいてベースバンド信号処理回路52で決定される。なお、RF信号処理回路51の制御部511としての機能の一部又は全部は、RF信号処理回路51の外部にあってもよく、例えば、ベースバンド信号処理回路52又は電源回路1がRF信号処理回路51の制御部511としての機能の一部又は全部を備えてもよい。例えば、上記の出力スイッチ回路30に電源電圧Vccの電圧レベルを選択させる制御機能を、RF信号処理回路51が備えず、電源回路1が備えてもよい。
【0043】
(2.3)電源回路
電源回路1は、図6に示すように、プリレギュレータ回路10と、スイッチトキャパシタ回路20と、出力スイッチ回路30と、フィルタ回路40と、バンドセレクトスイッチ回路50と、デジタル制御回路60と、を備える。
【0044】
(2.4)プリレギュレータ回路
プリレギュレータ回路10は、図6に示すように、入力端子110と、複数(図6の例では4つ)の出力端子111~114と、複数のインダクタ接続端子115,116と、制御端子117と、複数(図6の例では5つ)のスイッチS61,S62,S63,S71,S72と、パワーインダクタL71と、複数(図6の例では4つ)のキャパシタC61,C62,C63,C64と、を備える。パワーインダクタL71は、直流電圧の昇圧及び/又は降圧(昇圧、降圧又は昇降圧)に用いられるインダクタである。
【0045】
入力端子110は、直流電圧の入力端子である。つまり、入力端子110は、直流電源70(図4参照)から入力電圧を受けるための端子である。
【0046】
出力端子111は、電圧V4の出力端子である。つまり、出力端子111は、スイッチトキャパシタ回路20に電圧V4を供給するための端子である。出力端子111は、スイッチトキャパシタ回路20のノードN4に接続されている。
【0047】
出力端子112は、電圧V3の出力端子である。つまり、出力端子112は、スイッチトキャパシタ回路20に電圧V3を供給するための端子である。出力端子112は、スイッチトキャパシタ回路20のノードN3に接続されている。
【0048】
出力端子113は、電圧V2の出力端子である。つまり、出力端子113は、スイッチトキャパシタ回路20に電圧V2を供給するための端子である。出力端子113は、スイッチトキャパシタ回路20のノードN2に接続されている。
【0049】
出力端子114は、電圧V1の出力端子である。つまり、出力端子114は、スイッチトキャパシタ回路20に電圧V1を供給するための端子である。出力端子114は、スイッチトキャパシタ回路20のノードN1に接続されている。
【0050】
インダクタ接続端子115は、パワーインダクタL71の一端(第1端)に接続されている。インダクタ接続端子116は、パワーインダクタL71の他端(第2端)に接続されている。
【0051】
制御端子117は、制御信号Sg1の入力端子である。つまり、制御端子117は、プリレギュレータ回路10を制御するための制御信号Sg1を受けるための端子である。制御信号Sg1は、プリレギュレータ回路10に含まれる複数のスイッチS61~S63,S71,S72のオン/オフを制御するための信号である。
【0052】
スイッチS71は、入力端子110とパワーインダクタL71の一端(第1端)との間に接続されている。具体的には、スイッチS71は、入力端子110に接続されている第1端子と、インダクタ接続端子115を介してパワーインダクタL71の一端(第1端)に接続されている第2端子と、を有する。上記の接続構成において、スイッチS71は、オン/オフを切り替えることで、入力端子110とパワーインダクタL71の一端との間の接続及び非接続を切り替える。
【0053】
スイッチS72は、パワーインダクタL71の一端(第1端)とグランドとの間に接続されている。具体的には、スイッチS72は、インダクタ接続端子115を介してパワーインダクタL71の一端(第1端)に接続されている第1端子と、グランドに接続されている第2端子と、を有する。上記の接続構成において、スイッチS72は、オン/オフを切り替えることで、パワーインダクタL71の一端とグランドとの間の接続及び非接続を切り替える。
【0054】
スイッチS61は、パワーインダクタL71の他端(第2端)と出力端子111との間に接続されている。具体的には、スイッチS61は、パワーインダクタL71の他端(第2端)に接続されている第1端子と、出力端子111に接続されている第2端子と、有する。上記の接続構成において、スイッチS61は、オン/オフを切り替えることで、パワーインダクタL71の他端と出力端子111との間の接続及び非接続を切り替える。
【0055】
スイッチS62は、パワーインダクタL71の他端(第2端)と出力端子112との間に接続されている。具体的には、スイッチS62は、パワーインダクタL71の他端(第2端)に接続されている第1端子と、出力端子112に接続されている第2端子と、有する。上記の接続構成において、スイッチS62は、オン/オフを切り替えることで、パワーインダクタL71の他端と出力端子112との間の接続及び非接続を切り替える。
【0056】
スイッチS63は、パワーインダクタL71の他端(第2端)と出力端子113との間に接続されている。具体的には、スイッチS63は、パワーインダクタL71の他端(第2端)に接続されている第1端子と、出力端子113に接続されている第2端子と、有する。上記の接続構成において、スイッチS63は、オン/オフを切り替えることで、パワーインダクタL71の他端と出力端子113との間の接続及び非接続を切り替える。
【0057】
キャパシタC61は、出力端子111と出力端子112との間に接続されている。キャパシタC61の2つの電極の一方は、スイッチS61及び出力端子111に接続され、キャパシタC61の2つの電極の他方は、スイッチS62及び出力端子112と、キャパシタC62の2つの電極の一方とに接続されている。
【0058】
キャパシタC62は、出力端子112と出力端子113との間に接続されている。キャパシタC62の2つの電極の一方は、スイッチS62及び出力端子112と、キャパシタC61の2つの電極の他方とに接続され、キャパシタC62の2つの電極の他方は、スイッチS63及び出力端子113と、キャパシタC63の2つの電極の一方とに接続されている。
【0059】
キャパシタC63は、出力端子113と出力端子114との間に接続されている。キャパシタC63の2つの電極の一方は、スイッチS63及び出力端子113と、キャパシタC62の2つの電極の他方とに接続され、キャパシタC63の2つの電極の他方は、出力端子114と、キャパシタC64の2つの電極の一方とに接続されている。
【0060】
キャパシタC64は、出力端子114とグランドとの間に接続されている。キャパシタC64の2つの電極の一方は、出力端子114と、キャパシタC63の2つの電極の他方とに接続され、キャパシタC64の2つの電極の他方は、グランドに接続されている。
【0061】
複数のスイッチS61~S63は、排他的にオンになるように制御される。つまり、スイッチS61~S63のいずれかのみがオンにされ、スイッチS61~S63の残りがオフにされる。スイッチS61~S63のいずれをオンとするかにより、電圧V1~V4の電圧レベルを変化させることが可能となる。
【0062】
上記のように構成されたプリレギュレータ回路10は、複数の出力端子111~113の少なくとも1つを介してスイッチトキャパシタ回路20に電荷を供給する。
【0063】
(2.5)スイッチトキャパシタ回路
スイッチトキャパシタ回路20は、図6に示すように、複数(図6の例では6つ)のキャパシタC11~C16と、複数(図6の例では4つ)のキャパシタC21~C24と、複数(図6の例では16個)のスイッチS11~S14,S21~S24,S31~S34,S41~S44と、制御端子120と、を備える。
【0064】
制御端子120は、デジタル制御回路60からの制御信号Sg2の入力端子である。制御信号Sg2は、スイッチトキャパシタ回路20に含まれる複数のスイッチS11~S14,S21~S24,S31~S34,S41~S44のオン/オフを制御するための信号である。
【0065】
複数のキャパシタC11~C16の各々は、フライングキャパシタ(トランスファキャパシタ)として機能する。つまり、複数のキャパシタC11~C16の各々は、プリレギュレータ回路10から供給される電圧(入力電圧)を昇圧又は降圧するために用いられる。より具体的には、複数のキャパシタC11~C16は、4つのノードN1~N4においてV1:V2:V3:V4=1:2:3:4を満たす電圧V1~V4(グランド電位に対する電圧)が維持されるように、キャパシタC11~C16とノードN1~N4との間で電荷を移動させる。複数の電圧V1~V4は、複数の離散的な電圧レベルをそれぞれ有する複数の離散的電圧に相当する。電圧V1は、ノードN1における電圧であり、電圧V2は、ノードN2における電圧であり、電圧V3は、ノードN3における電圧であり、電圧V4は、ノードN4における電圧である。
【0066】
キャパシタC11は、2つの電極を有する。キャパシタC11の2つの電極の一方は、スイッチS11の一端(第1端)及びスイッチS12の一端(第1端)に接続されている。キャパシタC11の2つの電極の他方は、スイッチS21の一端(第1端)及びスイッチS22の一端(第1端)に接続されている。
【0067】
キャパシタC12は、2つの電極を有する。キャパシタC12の2つの電極の一方は、スイッチS21の一端(第1端)及びスイッチS22の一端(第1端)に接続されている。キャパシタC12の2つの電極の他方は、スイッチS31の一端(第1端)及びスイッチS32の一端(第1端)に接続されている。
【0068】
なお、スイッチトキャパシタ回路20では、キャパシタC12が第1キャパシタの一例であり、キャパシタC12の2つの電極の一方が第1キャパシタの第1電極を構成し、キャパシタC12の2つの電極の他方が第1キャパシタの第2電極を構成している。
【0069】
キャパシタC13は、2つの電極を有する。キャパシタC13の2つの電極の一方は、スイッチS31の一端(第1端)及びスイッチS32の一端(第1端)に接続されている。キャパシタC13の2つの電極の他方は、スイッチS41の一端(第1端)及びスイッチS42の一端(第1端)に接続されている。
【0070】
キャパシタC14は、2つの電極を有する。キャパシタC14の2つの電極の一方は、スイッチS13の一端(第1端)及びスイッチS14の一端(第1端)に接続されている。キャパシタC14の2つの電極の他方は、スイッチS23の一端(第1端)及びスイッチS24の一端(第1端)に接続されている。
【0071】
キャパシタC15は、2つの電極を有する。キャパシタC15の2つの電極の一方は、スイッチS23の一端(第1端)及びスイッチS24の一端(第1端)に接続されている。キャパシタC15の2つの電極の他方は、スイッチS33の一端(第1端)及びスイッチS34の一端(第1端)に接続されている。
【0072】
なお、スイッチトキャパシタ回路20では、キャパシタC15が第2キャパシタの一例であり、キャパシタC15の2つの電極の一方が第2キャパシタの第3電極を構成し、キャパシタC15の2つの電極の他方が第2キャパシタの第4電極を構成している。
【0073】
キャパシタC16は、2つの電極を有する。キャパシタC16の2つの電極の一方は、スイッチS33の一端(第1端)及びスイッチS34の一端(第1端)に接続されている。キャパシタC16の2つの電極の他方は、スイッチS43の一端(第1端)及びスイッチS44の一端(第1端)に接続されている。
【0074】
キャパシタC11,C14のセットと、キャパシタC12,C15のセットと、キャパシタC13,C16のセットとの各々は、第1フェーズ及び第2フェーズが繰り返されることで相補的に充電及び放電を行うことが可能である。
【0075】
第1フェーズでは、スイッチS12,S13,S22,S23,S32,S33,S42,S43がオンにされる。これにより、例えば、キャパシタC12(第1キャパシタ)の2つの電極の一方(第1電極)はノードN3に接続され、キャパシタC12の2つの電極の他方(第2電極)及びキャパシタC15(第2キャパシタ)の2つの電極の一方(第3電極)はノードN2に接続され、キャパシタC15の2つの電極の他方(第4電極)はノードN1に接続される。
【0076】
第2フェーズでは、スイッチS11,S14,S21,S24,S31,S34,S41,S44がオンにされる。これにより、例えば、キャパシタC15(第2キャパシタ)の2つの電極の一方(第3電極)はノードN3に接続され、キャパシタC15(第2キャパシタ)の2つの電極の他方(第4電極)及びキャパシタC12(第1キャパシタ)の2つの電極の一方(第1電極)はノードN2に接続され、キャパシタC12(第1キャパシタ)の2つの電極の他方(第2電極)は、ノードN1に接続される。
【0077】
第1フェーズ及び第2フェーズが繰り返されることにより、例えばキャパシタC12,C15の一方がノードN2から充電されているときに、キャパシタC12,C15の他方がキャパシタC23に放電することができる。つまり、キャパシタC12,C15は、相補的に充電及び放電を行うことができる。キャパシタC12,C15は、相補的に充電及び放電を行う一対のフライングキャパシタである。
【0078】
なお、キャパシタC11とC14とのセットも、適宜スイッチを切り替えることで、キャパシタC12,C15のセットと同様に、相補的にノードからの充電及び平滑キャパシタへの放電を行う一対のフライングキャパシタとなる。また、キャパシタC13とC16とのセットも、適宜スイッチを切り替えることで、キャパシタC12,C15のセットと同様に、相補的にノードからの充電及び平滑キャパシタへの放電を行う一対のフライングキャパシタとなる。
【0079】
複数のキャパシタC21~C24の各々は、平滑キャパシタとして機能する。つまり、キャパシタC21~C24の各々は、ノードN1~N4における電圧V1~V4の保持及び平滑化に用いられる。
【0080】
キャパシタC21は、ノードN1とグランドとの間に接続されている。具体的には、キャパシタC21の2つの電極の一方は、ノードN1に接続されている。一方、キャパシタC21の2つの電極の他方(第6電極)は、グランドに接続されている。
【0081】
キャパシタC22は、ノードN2とノードN1との間に接続されている。具体的には、キャパシタC22の2つの電極の一方は、ノードN2に接続されている。一方、キャパシタC22の2つの電極の他方は、ノードN1に接続されている。
【0082】
キャパシタC23は、ノードN3とノードN2との間に接続されている。具体的には、キャパシタC23の2つの電極の一方は、ノードN3に接続されている。一方、キャパシタC23の2つの電極の他方は、ノードN2に接続されている。
【0083】
キャパシタC24は、ノードN4とノードN3との間に接続されている。具体的には、キャパシタC24の2つの電極の一方は、ノードN4に接続されている。一方、キャパシタC24の2つの電極の他方は、ノードN3に接続されている。
【0084】
スイッチS11は、キャパシタC11の2つの電極の一方とノードN3との間に接続されている。具体的には、スイッチS11の一端(第1端)は、キャパシタC11の2つの電極の一方に接続されている。一方、スイッチS11の他端(第2端)は、ノードN3に接続されている。
【0085】
スイッチS12は、キャパシタC11の2つの電極の一方とノードN4との間に接続されている。具体的には、スイッチS12の一端(第1端)は、キャパシタC11の2つの電極の一方に接続されている。一方、スイッチS12の他端(第2端)は、ノードN4に接続されている。
【0086】
スイッチS21は、キャパシタC12(第1キャパシタ)の2つの電極の一方(第1電極)とノードN2との間に接続されている。具体的には、スイッチS21の一端(第1端)は、キャパシタC12(第1キャパシタ)の2つの電極の一方(第1電極)及びキャパシタC11の2つの電極の他方に接続されている。一方、スイッチS21の他端(第2端)は、ノードN2に接続されている。なお、スイッチトキャパシタ回路20では、スイッチS21が第1スイッチの一例である。
【0087】
スイッチS22は、キャパシタC12の2つの電極の一方(第1電極)とノードN3との間に接続されている。具体的には、スイッチS22の一端(第1端)は、キャパシタC12の2つの電極の一方(第1電極)及びキャパシタC11の2つの電極の他方に接続されている。一方、スイッチS22の他端(第2端)は、ノードN3に接続されている。なお、スイッチトキャパシタ回路20では、スイッチS22が第3スイッチの一例である。
【0088】
スイッチS31は、キャパシタC12(第1キャパシタ)の2つの電極の他方(第2電極)とノードN1との間に接続されている。具体的には、スイッチS31の一端(第1端)は、キャパシタC12(第1キャパシタ)の2つの電極の他方(第2電極)及びキャパシタC13の2つの電極の一方に接続されている。一方、スイッチS31の他端(第2端)は、ノードN1に接続されている。なお、スイッチトキャパシタ回路20では、スイッチS31が第4スイッチの一例である。
【0089】
スイッチS32は、キャパシタC12(第1キャパシタ)の2つの電極の他方(第2電極)とノードN2との間に接続されている。具体的には、スイッチS32の一端(第1端)は、キャパシタC12の2つの電極の他方(第2電極)及びキャパシタC13の2つの電極の一方に接続される。一方、スイッチS32の他端(第2端)は、ノードN2に接続されている。つまり、スイッチS32の他端(第2端)は、スイッチS21の他端(第2端)に接続されている。なお、スイッチトキャパシタ回路20では、スイッチS32が第2スイッチの一例である。
【0090】
スイッチS41は、キャパシタC13の2つの電極の他方とグランドとの間に接続されている。具体的には、スイッチS41の一端(第1端)は、キャパシタC13の2つの電極の他方に接続されている。一方、スイッチS41の他端(第2端)は、グランドに接続されている。
【0091】
スイッチS42は、キャパシタC13の2つの電極の他方とノードN1との間に接続されている。具体的には、スイッチS42の一端(第1端)は、キャパシタC13の2つの電極の他方に接続されている。一方、スイッチS42の他端(第2端)は、ノードN1に接続されている。つまり、スイッチS42の他端(第2端)は、スイッチS31の他端(第2端)に接続されている。
【0092】
スイッチS13は、キャパシタC14の2つの電極の一方とノードN3との間に接続されている。具体的には、スイッチS13の一端(第1端)は、キャパシタC14の2つの電極の一方に接続される。一方、スイッチS13の他端(第2端)は、ノードN3に接続されている。つまり、スイッチS13の他端(第2端)は、スイッチS11の他端(第2端)及びスイッチS22の他端(第2端)に接続されている。
【0093】
スイッチS14は、キャパシタC14の2つの電極の一方とノードN4との間に接続されている。具体的には、スイッチS14の一端(第1端)は、キャパシタC14の2つの電極の一方に接続されている。一方、スイッチS14の他端(第2端)は、ノードN4に接続されている。つまり、スイッチS14の他端(第2端)は、スイッチS12の他端(第2端)に接続されている。
【0094】
スイッチS23は、キャパシタC15(第2キャパシタ)の2つの電極の一方(第3電極)とノードN2との間に接続されている。具体的には、スイッチS23の一端(第1端)は、キャパシタC15の2つの電極の一方(第3電極)及びキャパシタC14の2つの電極の他方に接続される。一方、スイッチS23の他端(第2端)は、ノードN2に接続されている。つまり、スイッチS23の他端(第2端)は、スイッチS21の他端(第2端)及びスイッチS32の他端(第2端)に接続される。なお、スイッチトキャパシタ回路20では、スイッチS23が第5スイッチの一例である。
【0095】
スイッチS24は、キャパシタC15(第2キャパシタ)の2つの電極の一方(第3電極)とノードN3との間に接続されている。具体的には、スイッチS24の一端(第1端)は、キャパシタC15の2つの電極の一方(第3電極)及びキャパシタC14の2つの電極の他方に接続されている。一方、スイッチS24の他端(第2端)は、ノードN3に接続されている。つまり、スイッチS24の他端(第2端)は、スイッチS11の他端(第2端)、スイッチS22の他端(第2端)及びスイッチS13の他端(第2端)に接続されている。なお、スイッチトキャパシタ回路20では、スイッチS24が第7スイッチの一例である。
【0096】
スイッチS33は、キャパシタC15(第2キャパシタ)の2つの電極の他方とノードN1との間に接続されている。具体的には、スイッチS33の一端(第1端)は、キャパシタC15の2つの電極の他方(第4電極)及びキャパシタC16の2つの電極の一方に接続されている。一方、スイッチS33の他端(第2端)は、ノードN1に接続されている。つまり、スイッチS33の他端(第2端)は、スイッチS31の他端(第2端)及びスイッチS42の他端(第2端)に接続されている。なお、スイッチトキャパシタ回路20では、スイッチS33が第8スイッチの一例である。
【0097】
スイッチS34は、キャパシタC15(第2キャパシタ)の2つの電極の他方(第4電極)とノードN2との間に接続されている。具体的には、スイッチS34の一端(第1端)は、キャパシタC15の2つの電極の他方(第4電極)及びキャパシタC16の2つの電極の一方に接続されている。一方、スイッチS34の他端(第2端)は、ノードN2に接続されている。つまり、スイッチS34の他端(第2端)は、スイッチS21の他端(第2端)、スイッチS32の他端(第2端)及びスイッチS23の他端(第2端)に接続されている。なお、スイッチトキャパシタ回路20では、スイッチS34が第6スイッチの一例である。
【0098】
スイッチS43は、キャパシタC16の2つの電極の他方とグランドとの間に接続されている。具体的には、スイッチS43の一端(第1端)は、キャパシタC16の2つの電極の他方に接続されている。一方、スイッチS43の他端(第2端)は、グランドに接続されている。
【0099】
スイッチS44は、キャパシタC16の2つの電極の他方とノードN1との間に接続されている。具体的には、スイッチS44の一端(第1端)は、キャパシタC16の2つの電極の他方に接続されている。一方、スイッチS44の他端(第2端)は、ノードN1に接続されている。つまり、スイッチS44の他端(第2端)は、スイッチS31の他端(第2端)、スイッチS42の他端(第2端)及びスイッチS33の他端(第2端)に接続される。
【0100】
スイッチS12,S13,S22,S23,S32,S33,S42,S43を含む第1セットのスイッチと、スイッチS11,S14,S21,S24,S31,S34,S41,S44を含む第2セットのスイッチとは、相補的にオン及びオフが切り替えられる。具体的には、第1フェーズでは、第1セットのスイッチがオンにされ、第2セットのスイッチがオフにされる。逆に、第2フェーズでは、第1セットのスイッチがオフにされ、第2セットのスイッチがオンにされる。
【0101】
例えば、第1フェーズ及び第2フェーズに一方において、キャパシタC11~C13からキャパシタC21~C24への充電が実行され、第1フェーズ及び第2フェーズの他方において、キャパシタC14~C16からキャパシタC21~C24への充電が実行される。つまり、キャパシタC21~C24には、常にキャパシタC11~C13又はキャパシタC14~C16から充電されるので、ノードN1~N4から出力スイッチ回路30へ高速で電流が流れても、ノードN1~N4には高速で電荷が補充されるので、ノードN1~N4の電位変動を抑制できる。
【0102】
上記のように動作することで、スイッチトキャパシタ回路20は、キャパシタC21~C24のそれぞれの両端でほぼ等しい電圧を維持することができる。具体的には、4つのノードN1~N4において、V1:V2:V3:V4=1:2:3:4を満たす電圧V1~V4(グランド電位に対する電圧)が維持される。電圧V1~V4の電圧レベルは、スイッチトキャパシタ回路20によって出力スイッチ回路30に供給される複数の離散的な電圧レベルに対応する。
【0103】
なお、電圧比V1:V2:V3:V4は、1:2:3:4に限定されない。例えば、電圧比V1:V2:V3:V4は、1:2:4:8であってもよい。
【0104】
(2.6)出力スイッチ回路
出力スイッチ回路30は、図6に示すように、複数(図6の例では4つ)の入力端子131~134と、複数(図6の例では4つ)のスイッチS51~S54と、出力端子130と、制御端子135と、を備える。
【0105】
出力端子130は、フィルタ回路40に接続されている。出力端子130は、フィルタ回路40を介してパワーアンプ2に、電圧V1~V4の中から選択された電圧を電源電圧Vccとして供給するための端子である。
【0106】
複数の入力端子131~134は、スイッチトキャパシタ回路20のノードN4~N1にそれぞれ接続されている。複数の入力端子131~134は、スイッチトキャパシタ回路20から電圧V4~V1を受けるための端子である。
【0107】
制御端子135は、デジタル制御回路60からの制御信号Sg3の入力端子である。制御信号Sg3は、出力スイッチ回路30に含まれる複数のスイッチS51~S54のオン/オフを制御するための信号である。出力スイッチ回路30は、制御信号Sg3に基づいて、複数のスイッチS51~S54のオン/オフを制御する。
【0108】
スイッチS51は、入力端子131と出力端子130との間に接続されている。具体的には、スイッチS51は、入力端子131に接続されている第1端子と、出力端子130に接続されている第2端子と、を有する。上記の接続構成において、スイッチS51は、オン/オフを切り替えることで、入力端子131と出力端子130との接続及び非接続を切り替える。
【0109】
スイッチS52は、入力端子132と出力端子130との間に接続されている。具体的には、スイッチS52は、入力端子132に接続されている第1端子と、出力端子130に接続されている第2端子と、を有する。上記の接続構成において、スイッチS52は、オン/オフを切り替えることで、入力端子132と出力端子130との接続及び非接続を切り替える。なお、出力スイッチ回路30では、スイッチS52が第10スイッチの一例である。
【0110】
スイッチS53は、入力端子133と出力端子130との間に接続されている。具体的には、スイッチS53は、入力端子133に接続されている第1端子と、出力端子130に接続されている第2端子と、を有する。上記の接続構成において、スイッチS53は、オン/オフを切り替えることで、入力端子133と出力端子130との接続及び非接続を切り替える。なお、出力スイッチ回路30では、スイッチS53が第9スイッチの一例である。
【0111】
スイッチS54は、入力端子134と出力端子130との間に接続されている。具体的には、スイッチS54は、入力端子134に接続されている第1端子と、出力端子130に接続されている第2端子と、を有する。上記の接続構成において、スイッチS54は、オン/オフを切り替えることで、入力端子134と出力端子130との接続及び非接続を切り替える。
【0112】
複数のスイッチS51~S54は排他的にオンになるように制御される。つまり、スイッチS51~S54のいずれかのみがオンにされ、スイッチS51~S54の残りがオフにされる。これにより、出力スイッチ回路30は、電圧V1~V4の中から選択された1つの電圧を出力することができる。
【0113】
出力スイッチ回路30は、上記の構成を有することにより、エンベロープ信号に対応するデジタル制御信号が制御端子135から入力され、制御端子135から入力されたデジタル制御信号に基づいて、複数のスイッチS51~S54のオンオフを制御して、スイッチトキャパシタ回路20で生成される複数の電圧V1~V4のうちの少なくとも1つを選択する。出力スイッチ回路30は、選択された電圧を出力する。
【0114】
出力スイッチ回路30の出力電圧の波形は複数の離散的電圧のみを含む矩形波ではない場合もある。具体的には、出力スイッチ回路30の出力電圧の波形は、相対的に低い電圧レベルの離散的電圧から相対的に高い電圧レベルの離散的電圧に遷移するときにオーバーシュート電圧(スパイク状の電圧)が発生して矩形波から歪んだ波形となる。また、出力スイッチ回路30の出力電圧の波形は、相対的に高い電圧レベルの離散的電圧から相対的に低い電圧レベルの離散的電圧に遷移するときにアンダーシュート電圧(スパイク状の電圧)が発生して矩形波から歪んだ波形となる。上記のような出力スイッチ回路30の出力電圧の波形の歪は、ノイズの原因となる。スパイク状の電圧の振幅は、電圧変化率(dV/dt)の絶対値が大きいほど大きくなる。
【0115】
(2.7)バンドセレクトスイッチ回路
バンドセレクトスイッチ回路50は、図6に示すように、共通端子150と、複数(図6の例では4つ)のスイッチS81~S84と、複数(図6の例では4つ)の選択端子151~154と、制御端子155と、を備える。
【0116】
バンドセレクトスイッチ回路50の共通端子150は、出力スイッチ回路30の出力端子130に接続されている。複数の選択端子151~154には、例えば、互いに異なる通信バンドに対応した複数のパワーアンプがそれぞれ接続される。図6に示す例では、複数の選択端子151~154のうち1つの選択端子151にフィルタ回路40を介してパワーアンプ2が接続される。
【0117】
制御端子155は、制御信号Sg4の入力端子である。つまり、制御端子155は、複数の通信バンドのうちの1つを示す制御信号Sg4を受けるための端子である。バンドセレクトスイッチ回路50は、制御信号Sg4が示す通信バンドに対応するパワーアンプが出力スイッチ回路30に接続されるように、複数のスイッチS81~S84のオン/オフを制御する。
【0118】
スイッチS81は、共通端子150と選択端子151との間に接続されている。具体的には、スイッチS81は、共通端子150に接続されている第1端子と、選択端子151に接続されている第2端子と、を有する。上記の接続構成において、スイッチS81は、オン/オフを切り替えることで、共通端子150と選択端子151との接続及び非接続を切り替える。
【0119】
スイッチS82は、共通端子150と選択端子152との間に接続されている。具体的には、スイッチS82は、共通端子150に接続されている第1端子と、選択端子152に接続されている第2端子と、を有する。上記の接続構成において、スイッチS82は、オン/オフを切り替えることで、共通端子150と選択端子152との接続及び非接続を切り替える。
【0120】
スイッチS83は、共通端子150と選択端子153との間に接続されている。具体的には、スイッチS83は、共通端子150に接続されている第1端子と、選択端子153に接続されている第2端子と、を有する。上記の接続構成において、スイッチS83は、オン/オフを切り替えることで、共通端子150と選択端子153との接続及び非接続を切り替える。
【0121】
スイッチS84は、共通端子150と選択端子154との間に接続されている。具体的には、スイッチS84は、共通端子150に接続されている第1端子と、選択端子154に接続されている第2端子と、を有する。上記の接続構成において、スイッチS84は、オン/オフを切り替えることで、共通端子150と選択端子154との接続及び非接続を切り替える。
【0122】
図6の例では、複数のスイッチS81~S84は排他的にオンになるように制御される。つまり、スイッチS81~S84のいずれか1つのみがオンにされ、スイッチS81~S84の残りがオフにされる。
【0123】
(2.8)フィルタ回路
フィルタ回路40は、図6に示すように、入力端子141と、出力端子142と、複数の機能素子を有する。複数の機能素子は、複数(図6の例では3つ)のインダクタL0,L1,L2及び複数(図6の例では2つ)のキャパシタC1,C2を含む。
【0124】
入力端子141は、出力スイッチ回路30で選択された電圧の入力端子である。つまり、入力端子141は、複数の電圧V1~V4の中から選択された電圧を受けるための端子である。なお、図6の例では、入力端子141は、バンドセレクトスイッチ回路50を介して出力スイッチ回路30の出力端子130に接続されている。
【0125】
出力端子142は、フィルタ回路40によってフィルタリングされた電圧が出力される端子である。フィルタ回路40の出力端子142から出力される電圧は、パワーアンプ2に供給される電源電圧Vccである。
【0126】
インダクタL0は、入力端子141と出力端子142との間に接続されている。より具体的には、インダクタL0の一端(第1端)は、入力端子141に接続され、インダクタL0の他端(第2端)は、出力端子142に接続されている。
【0127】
インダクタL1及びキャパシタC1は、インダクタL0の一端とグランドとの間で直列接続されている。より具体的には、インダクタL1の一端(第1端)は、インダクタL0の一端(第1端)に接続され、インダクタL1の他端(第2端)は、キャパシタC1の2つの電極の一方に接続され、キャパシタC1の2つの電極の他方は、グランドに接続されている。つまり、フィルタ回路40は、インダクタL1(以下、第1インダクタL1ともいう)及びキャパシタC1(以下、第1キャパシタC1ともいう)を含む第1LC直列回路41(図2参照)を有している。
【0128】
インダクタL2及びキャパシタC2は、インダクタL0の他端とグランドとの間で直列接続されている。より具体的には、インダクタL2の一端(第1端)は、インダクタL0の他端(第2端)に接続され、インダクタL2の他端(第2端)は、キャパシタC2の2つの電極の一方に接続され、キャパシタC2の2つの電極の他方は、グランドに接続されている。つまり、フィルタ回路40は、インダクタL2(以下、第2インダクタL2ともいう)及びキャパシタC2(以下、第2キャパシタC2ともいう)を含む第2LC直列回路42(図2参照)を有している。
【0129】
フィルタ回路40は、ローパスフィルタを構成している。これにより、フィルタ回路40は、電源電圧Vccに含まれる高周波成分を低減することができる。例えば、所定バンドが周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)用の周波数バンドである場合、フィルタ回路40は、所定バンドのダウンリンク動作バンドの成分を低減するように構成される。
【0130】
フィルタ回路40のフィルタ特性は、2つの減衰極を有する。2つの減衰極の一方の減衰極の周波数は、第1LC直列回路の第1インダクタL1及び第1キャパシタC1それぞれの回路定数によって決まる。また、2つの減衰極の他方の減衰極の周波数は、第2LC直列回路の第2インダクタL2及び第2キャパシタC2それぞれの回路定数によって決まる。
【0131】
フィルタ回路40は、出力スイッチ回路30から出力された出力電圧のスパイク状の電圧の振幅を低減させる。つまり、電源回路1は、フィルタ回路40を備えることにより、出力スイッチ回路30から出力された出力電圧の波形歪を低減させることができるので、上記出力電圧の高周波成分を低減させることができる。これにより、電源回路1では、電源電圧Vccに含まれるノイズを低減させることができるので、電源回路1からパワーアンプ2に入るノイズを低減させることができる。
【0132】
(2.9)デジタル制御回路
デジタル制御回路60は、図7に示すように、第1コントローラ61と、第2コントローラ62と、2つのキャパシタC81,C82と、4つの制御端子601~604と、を備える。デジタル制御回路60の4つの制御端子601~604は、高周波システム200の備える4つの第2制御端子T5(図4参照)に一対一に接続される。したがって、デジタル制御回路60の4つの制御端子601~604は、通信装置7のRF信号処理回路51(図4参照)に接続される。
【0133】
第1コントローラ61は、RF信号処理回路51から制御端子601,602を介してソース同期方式のデジタル制御信号を受信し、上記デジタル制御信号を処理して制御信号Sg1及び制御信号Sg2を生成する。
【0134】
第1コントローラ61では、プリレギュレータ回路10及びスイッチトキャパシタ回路20のためのデジタル制御信号として1セットのクロック信号Sg7及びデータ信号Sg8が用いられている。クロック信号Sg7は、制御端子601を介して第1コントローラ61に入力される。データ信号Sg8は、制御端子602を介して第1コントローラ61に入力される。
【0135】
第2コントローラ62は、RF信号処理回路51から制御端子603,604を介して受信したデジタル制御信号であるデジタル制御論理信号DCL1,DCL2を処理して制御信号Sg3を生成する。デジタル制御論理信号DCL1,DCL2は、エンベロープ信号に対応している。
【0136】
デジタル制御論理信号DCL1,DCL2の各々は、1ビット信号である。電圧V1~V4の各々は、2つの1ビット信号の組み合わせによって表される。例えば、V1,V2,V3,V4は、「00」,「01」,「10」,「11」によってそれぞれ表される。電圧レベルの表現には、グレイコード(Gray code)が用いられてもよい。なお、上記の場合には、出力スイッチ回路30の制御に2つのデジタル制御論理信号が用いられているが、デジタル制御論理信号の数は、2つに限定されない。例えば、出力スイッチ回路30が選択可能な電圧レベルの数に応じて1つ又は3つ以上の任意の数のデジタル制御論理信号が用いられてもよい。また、出力スイッチ回路30の制御に用いられるデジタル制御信号は、デジタル制御論理信号に限定されない。
【0137】
キャパシタC81は、第1コントローラ61とグランドとの間に接続されている。例えば、キャパシタC81は、第1コントローラ61に電力を供給する電源ラインとグランドとの間に接続され、バイパスキャパシタとして機能する。キャパシタC82は、第2コントローラ62とグランドとの間に接続されている。例えば、キャパシタC82は、第2コントローラ62に電力を供給する電源ラインとグランドとの間に接続され、バイパスキャパシタとして機能する。
【0138】
(3)トラッカモジュールの構造
実施形態1に係るトラッカモジュール100は、図1図3に示すように、第2基板9と、ICチップ80と、スイッチトキャパシタ回路20の複数(図6の例では10個)のキャパシタC11~C16,C21~C24と、プリレギュレータ回路10の複数(図6では4つ)のキャパシタC61~C64と、フィルタ回路40のインダクタL0~L2及びキャパシタC1,C2と、複数の外部接続端子160と、を備える。また、実施形態1に係るトラッカモジュール100は、樹脂層94と、シールド電極層95と、を更に備える。実施形態1に係るトラッカモジュール100は、電源回路1の回路構成からパワーインダクタL71を除いた回路構成を有する。つまり、トラッカモジュール100は、パワーインダクタL71を備えていない。なお、図1では、樹脂層94及びシールド電極層95の図示を省略してある。
【0139】
(3.1)第2基板
第2基板9は、図1及び図3に示すように、第2基板9の厚さ方向D0において互いに対向する第1主面91及び第2主面92を有する。ここにおいて、「対向する」とは物理的ではなく幾何学的に対向することを意味する。第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、第2基板9は、凹部を有する。第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、第2基板9は、例えば、L字型である。
【0140】
トラッカモジュール100における第2基板9の外縁93は、第1辺931と、第2辺932と、第3辺933と、第4辺934と、第5辺935と、第6辺936と、を含む。第1辺931、第2辺932、第3辺933、第4辺934、第5辺935及び第6辺936は、第1辺931、第2辺932、第3辺933、第6辺936、第5辺935、及び第4辺934の順に並んでいる。第1辺931と第3辺933とは互いに平行であり、第1辺931は第3辺933よりも長い。また、第2辺932と第4辺934とは互いに平行であり、第2辺932は第4辺934よりも長い。また、第1辺931と第5辺935とは互いに平行である。また、第2辺932と第6辺936とは互いに平行である。第5辺935及び第6辺936は、凹部に面している。
【0141】
第2基板9は、例えば、複数の誘電体層及び複数の導電層(図示せず)が積層された多層基板である。各導電層の材料は、例えば、銅である。複数の導電層は、グランド層を含む。第2基板9のグランド層は、複数の外部接続端子160に含まれる少なくとも1つの外部グランド端子と、第2基板9の有するビア導体等を介して電気的に接続されている。
【0142】
第2基板9は、例えば、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)基板である。なお、第2基板9は、LTCC基板に限らず、例えば、プリント配線板、HTCC(High Temperature Co-fired Ceramics)基板、樹脂多層基板又は部品内蔵基板であってもよい。
【0143】
(3.2)ICチップ
ICチップ80は、図1図3に示すように、第2基板9に配置されている。「ICチップ80が、第2基板9に配置されている」とは、ICチップ80が第2基板9に機械的に接続されていることと、ICチップ80が第2基板9と電気的に接続されていることと、を含む。ICチップ80は、第2基板9の第1主面91に配置されている。ICチップ80は、例えば、シリコン基板を備えるSi系ICチップである。Si系ICチップは、シリコン基板の代わりにSOI(Silicon on Insulator)基板を備えてもよい。ICチップ80は、Si系ICチップに限らず、例えば、GaAs系ICチップ、SiGe系ICチップ又はGaN系ICチップであってもよい。
【0144】
ICチップ80の外縁800は、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、矩形状である。ICチップ80の外縁800は、第1辺801と、第2辺802と、第3辺803と、第4辺804と、を含む。第1辺801、第2辺802、第3辺803及び第4辺804は、第1辺801、第2辺802、第3辺803及び第4辺804の順に並んでいる。外縁800では、第1辺801と第3辺803とが互いに平行であり、第2辺802と第4辺804とが互いに平行である。
【0145】
ICチップ80は、図1に示すように、PRスイッチ部(第1スイッチ部)101と、SCスイッチ部(第2スイッチ部)102と、SMスイッチ部(第3スイッチ部)103と、BSスイッチ部(第4スイッチ部)104と、デジタル制御部105と、複数の入出力電極81と、を有する。
【0146】
PRスイッチ部101は、プリレギュレータ回路10の複数のスイッチS61~S63,S71,S72(図6参照)を含む。ICチップ80では、PRスイッチ部101は、第1辺801に沿って配置されている。
【0147】
SCスイッチ部102は、スイッチトキャパシタ回路20の複数のスイッチS11,S12,S21,S22,S31,S32,S41,S42(図6参照)を含む。具体的には、SCスイッチ部102は、複数のスイッチS12,S11,S22,S21,S32,S31,S42,S41が、この順に接続されている直列回路を含む。また、SCスイッチ部102は、スイッチトキャパシタ回路20の複数のスイッチS13,S14,S23,S24,S33,S34,S43,S44(図6参照)を含む。具体的には、SCスイッチ部102は、複数のスイッチS14,S13,S24,S23,S34,S33,S44,S43が、この順に接続されている直列回路を含む。ICチップ80では、SCスイッチ部102は、第2辺802に沿って配置されている。
【0148】
SMスイッチ部103は、出力スイッチ回路30の複数のスイッチS51~S54(図6参照)を含む。ICチップ80では、SCスイッチ部102がSMスイッチ部103に隣接するように配置されている。
【0149】
BSスイッチ部104は、バンドセレクトスイッチ回路50に含まれる複数のスイッチS81~S84(図6参照)を含む。ICチップ80では、BSスイッチ部104は、SMスイッチ部103と隣接するように配置されている。BSスイッチ部104がSMスイッチ部103と隣接するように配置されているとは、ICチップ80の平面視において、BSスイッチ部104とSMスイッチ部103との間に、PRスイッチ部101及びSCスイッチ部102のいずれもなく、BSスイッチ部104とSMスイッチ部103が配置されていることを意味する。また、ICチップ80では、BSスイッチ部104は、第4辺804に沿って配置されている。
【0150】
デジタル制御部105は、デジタル制御回路60の第1コントローラ61及び第2コントローラ62(図7参照)を含む。デジタル制御部105は、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、ICチップ80の中央部に配置されており、PRスイッチ部101とSCスイッチ部102とSMスイッチ部103とBSスイッチ部104とによって囲まれている。
【0151】
ICチップ80において、複数のスイッチS11~S14,S21~S24,S31~S34,S41~S44,S51~S54,S61~S63,S71,S72,S81~S84の各々は、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。
【0152】
(3.3)スイッチトキャパシタ回路の複数のキャパシタ及びプリレギュレータ回路の複数のキャパシタ
図1に示すように、スイッチトキャパシタ回路20の複数(図6の例では10個)のキャパシタC11~C16,C21~C24及びプリレギュレータ回路10の複数(図6の例では4つ)のキャパシタC61~C64は、第2基板9に配置されている。より具体的には、複数のキャパシタC11~C16,C21~C24及び複数のキャパシタC61~C64は、第2基板9の第1主面91に配置されている。複数のキャパシタC11~C16,C21~C24及び複数のキャパシタC61~C64の各々は、チップキャパシタである。つまり、複数のキャパシタC11~C16,C21~C24及び複数のキャパシタC61~C64の各々は、表面実装型のキャパシタである。
【0153】
プリレギュレータ回路10において入力端子110とインダクタ接続端子115との間に接続されるキャパシタは、第2基板9の第1主面91のPR容量部901に配置されている。また、プリレギュレータ回路10において、インダクタ接続端子116と出力端子111~114の間に接続されるキャパシタC61~C64は、第2基板9の第1主面91のPR容量部902に配置されている。すなわち、プリレギュレータ回路10に含まれる複数のキャパシタC61~C64は、ICチップ80の第2辺802に沿って配置されている。より詳細には、プリレギュレータ回路10に含まれる複数のキャパシタC61~C64は、ICチップ80に含まれるPRスイッチ部101と隣接している。
【0154】
また、スイッチトキャパシタ回路20に含まれる複数のキャパシタC11~C16及びC21~C24は、第2基板9の第1主面91のSC容量部903に配置されている。すなわち、スイッチトキャパシタ回路20に含まれる複数のキャパシタC11~C16及びC21~C24は、ICチップ80の第2辺802に沿って配置されている。より詳細には、スイッチトキャパシタ回路20に含まれる複数のキャパシタC11~C16及びC21~C24は、ICチップ80に含まれるSCスイッチ部102と隣接している。
【0155】
(3.4)フィルタ回路のインダクタ及びキャパシタ
図1に示すように、フィルタ回路40に含まれる複数(図6の例では3個)のインダクタL0~L2及び1以上(図6の例では2個)のキャパシタC1~C2は、第2基板9に配置されている。より具体的には、複数のインダクタL0~L2及び1以上のキャパシタC1~C2は、第2基板9の第1主面91に配置されている。複数のインダクタL0~L2の各々は、チップインダクタである。つまり、複数のインダクタL0~L2の各々は、表面実装型のインダクタである。また、1以上のキャパシタC1~C2の各々は、チップキャパシタである。つまり、1以上のキャパシタC1~C2の各々は、表面実装型のキャパシタである。
【0156】
フィルタ回路40に含まれる複数のインダクタL0~L2及び1以上のキャパシタC1~C2は、第2基板9のフィルタ回路部904に配置されている。すなわち、フィルタ回路40に含まれる複数のインダクタL0~L2及び1以上のキャパシタC1~C2は、ICチップの第4辺804に沿って配置されている。より詳細には、フィルタ回路40に含まれるインダクタL0は、ICチップのBSスイッチ部104と隣接している。
【0157】
(3.5)入出力電極
複数の入出力電極81は、図3に示すように、第2基板9に形成された配線部又はビア導体部等を介して、第2基板9の第1主面91に配置されているICチップ80以外の回路部品又は第2基板9の第2主面92に配置されている複数の外部接続端子160等に電気的に接続されている。
【0158】
(3.6)外部接続端子
図3に示す複数の外部接続端子160は、入力端子161(図4参照)と、複数(4つ)の入力制御端子165(図4では1つのみ図示)と、出力端子164(図4参照)と、グランド端子(図示せず)と、を含む。入力端子161は、プリレギュレータ回路10の入力端子110に接続されている。入力端子161は、高周波システム200の備える電源接続端子T4を介して直流電源70に接続される端子である。つまり、プリレギュレータ回路10の入力端子110は、入力端子161を介して直流電源70に接続される。4つの入力制御端子165は、4つの第2制御端子T5に接続される端子である。4つの入力制御端子165は、デジタル制御回路60の制御端子601~604に接続されている。出力端子164は、フィルタ回路40の出力端子142に接続されている。出力端子164は、電源電圧Vccが出力される端子であり、パワーアンプ2の電源端子に接続される。複数のグランド端子は、グランド電位が与えられる端子である。
【0159】
(3.7)樹脂層
樹脂層94は、図3に示すように、第2基板9の第1主面91に配置されており、トラッカモジュール100に含まれる複数の回路部品それぞれの一部及び第2基板9の第1主面91を覆っている。複数の回路部品は、ICチップ80と、複数のキャパシタC11~C16と、複数のキャパシタC21~C24と、複数のキャパシタC61~C64と、を含む。樹脂層94は、樹脂(例えば、エポキシ樹脂)を含む。樹脂層94は、樹脂の他にフィラーを含んでいてもよい。樹脂層94は、電気絶縁性を有する。
【0160】
(3.8)シールド電極層
シールド電極層95は、図3に示すように、樹脂層94と第2基板9とを覆っている。より詳細には、シールド電極層95は、樹脂層94の主面941及び外周面943と、第2基板9の外縁93と、を覆っている。
【0161】
シールド電極層95は、導電性を有する。トラッカモジュール100では、シールド電極層95は、トラッカモジュール100の内外の電磁シールドを目的として設けられているシールド層である。シールド電極層95は、第2基板9の有するグランド層の外周面の少なくとも一部と接触している。これにより、シールド電極層95の電位をグランド層の電位と同じにすることができる。シールド電極層95は、複数の金属層が積層された多層構造を有するが、多層構造に限らず、1つの金属層であってもよい。金属層は、1又は複数種の金属を含む。
【0162】
(4)電源供給システムの構造
電源供給システム300は、第1基板8と、第1基板8に配置されている複数の電子部品と、を備える。第1基板8は、例えば、プリント配線板である。第1基板8は、第1基板8の厚さ方向において互いに対向する第3主面82及び第4主面83を有する。複数の電子部品は、トラッカモジュール100と、パワーインダクタL71と、を含む。
【0163】
トラッカモジュール100は、第1基板8の第3主面82に配置されている。ここで、第1基板8の厚さ方向は、トラッカモジュール100の第2基板9の厚さ方向D0と平行である。以下、第1基板8の厚さ方向を、第1基板8の厚さ方向D0という。トラッカモジュール100は、第1基板8を介して、パワーインダクタL71と接続されている。より詳細には、トラッカモジュール100のインダクタ接続端子115はパワーインダクタL71の一端(第1端)と接続されており、トラッカモジュール100のインダクタ接続端子116はパワーインダクタL71の他端(第2端)と接続されている。
【0164】
第1基板8の厚さ方向D0からの平面視で、トラッカモジュール100及びパワーインダクタL71は、矩形状の領域A01の内側に配置されている。領域A01は、第1領域に相当する。
【0165】
より詳細には、領域A01は、矩形状の領域A03と、領域A02とを含む。第1基板8の厚さ方向D0からの平面視で、トラッカモジュール100は、領域A01の一部である領域A02内に位置している。トラッカモジュール100の第2基板9の第5辺935及び第6辺936は、領域A01の一部である領域A03に面している。言い換えると、第1基板8の厚さ方向D0からの平面視で、第2基板9は凹部を有し、凹部は領域A03である。
【0166】
また、第1基板8の厚さ方向D0からの平面視で、パワーインダクタL71は、領域A01の一部である矩形状の領域A03内に位置している。領域A03は、第2領域に相当する。すなわち、第1基板8の厚さ方向D0からの平面視で、パワーインダクタL71は、第2基板9の凹部に配置されている。ここで、領域A03は、矩形状の領域A01の一辺に接している。また、矩形状の領域A03は、矩形状の領域A01の4つの頂点のうちの1つを含む。また、領域A02は、矩形状の領域A01のうち、矩形状の領域A01に含まれない全ての部分を含む。
【0167】
第1基板8の厚さ方向D0からの平面視で、トラッカモジュール100と、パワーインダクタL71とは、第2基板9の厚さ方向D0と直交する方向D1に対向する。ここで、「トラッカモジュール100と、パワーインダクタL71とが方向D1に対向する」とは、物理的ではなく幾何学的に対向していることを意味する。より詳細には、トラッカモジュール100における第2基板9の第5辺935は、方向D1においてパワーインダクタL71と対向する。
【0168】
また、第1基板8の厚さ方向D0からの平面視で、トラッカモジュール100と、パワーインダクタL71とは、方向D2において対向する。方向D2は、第1基板8の厚さ方向D0と直交し、かつ、方向D1と直交する。より詳細には、トラッカモジュール100における第2基板9の第6辺936は、方向D2においてパワーインダクタL71と対向する。なお、トラッカモジュール100の第2基板9の外縁93において、パワーインダクタL71と方向D1に対向する部分(第5辺935)と、パワーインダクタL71と方向D2に対向する部分(第6辺936)とは、同じ部分を含まず、かつ、互いに平行ではない。また、トラッカモジュール100の第2基板9の外縁93において、第5辺935及び第6辺936は、第2基板9の凹部に面している。
【0169】
(5)高周波システムの構造
高周波システム200は、電源供給システム300と、パワーアンプ2と、フィルタ3と、を含む。パワーアンプ2及びフィルタ3は、例えば、通信装置7のマザー基板である第1基板8に配置されている。なお、通信装置7は第1基板8とは別のマザー基板を備えてもよく、高周波システム200は、電源供給システム300と、マザー基板に配置されているパワーアンプ2及びフィルタ3を備える。
【0170】
(6)通信装置の構造
通信装置7は、高周波システム200と、高周波システム200に接続されている信号処理回路5と、アンテナ6と、を備える。信号処理回路5は、例えば、通信装置7のマザー基板である第1基板8に配置されている。なお、通信装置7は第1基板8とは別のマザー基板を備えてもよく、通信装置7は、電源供給システム300と、マザー基板に配置されているパワーアンプ2、フィルタ3及び信号処理回路5と、アンテナ6と、を備える。
【0171】
(7)効果
実施形態1に係る電源供給システム300は、第1基板8と、トラッカモジュール100と、パワーインダクタL71と、を備える。トラッカモジュール100は、第1基板8に配置されている。パワーインダクタL71は、第1基板8に配置されている。トラッカモジュール100は、第2基板9と、1つのICチップ80とを含む。1つのICチップ80は、第2基板9に配置されている。1つのICチップは、プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS61~S63及びS71、S72と、スイッチトキャパシタ回路20に含まれるスイッチS11~S44と、出力スイッチ回路30に含まれるスイッチS51~S54と、を含む。
【0172】
プリレギュレータ回路10は、パワーインダクタL71を用いて入力電圧を調整電圧に変換するよう構成されている。スイッチトキャパシタ回路20は、調整電圧に基づいて複数の離散的電圧を生成するよう構成されている。出力スイッチ回路30は、複数の離散的電圧の少なくとも1つを選択的にパワーアンプ2に出力するよう構成されている。第1基板8の厚さ方向D0からの平面視において、第2基板9は凹部A03を有し、パワーインダクタL71は、凹部A03に配置されている。これにより、パワーインダクタL71及びトラッカモジュール100を含む電源供給300システムを小型化することが可能となる。
【0173】
また、実施形態1に係る電源供給システム300は、第1基板8の厚さ方向D0からの平面視において、トラッカモジュール100とパワーインダクタL71とは、方向D1に対向し、かつ、方向D2に対向する。方向D1は、第1基板8の厚さ方向D0に直交する。方向D2は、第1基板8の厚さ方向D0及び方向D1に直交する。
【0174】
これにより、電源供給システム300において、トラッカモジュール100とパワーインダクタL71との間に不要な空間が生じづらい。したがって、パワーインダクタL71及びトラッカモジュール100を含む電源供給300システムを小型化することが可能となる。
【0175】
また、実施形態1に係る電源供給システム300では、第1基板8の厚さ方向D0からの平面視において、トラッカモジュール100及びパワーインダクタL71は、矩形状の領域A01の内側に位置している。これにより、電源供給システム300において、トラッカモジュール100及びパワーインダクタL71を矩形状の1つのデバイスとみなすことが可能であるため、電源供給システム300を更に小型化することが可能となる。
【0176】
また、実施形態1に係る電源供給システム300では、第1基板8の厚さ方向D0からの平面視において、パワーインダクタL71は、領域A01の一部である領域A03の内部に位置している。領域A03は、領域A01の一辺に接している。これにより、第1基板8の厚さ方向D0からの平面視において、トラッカモジュール100の形状を単純な形状とすることができる。また、パワーインダクタL71の外周面の一部がトラッカモジュール100と対向していないため、パワーインダクタL71の放熱性を確保することが可能となる。
【0177】
また、実施形態1に係る電源供給システム300では、領域A03は、矩形状の領域A01の第1領域の4つの頂点のうちの1つを含む。これにより、第1基板8の厚さ方向D0からの平面視において、トラッカモジュール100の形状をL字型のような単純な形状とすることができる。
【0178】
また、実施形態1に係るトラッカモジュール100は、方向D1にパワーインダクタL71と対向する第5辺935と、方向D2にパワーインダクタL71と対向する第6辺936と、を有する。方向D1は、第2基板9の厚さ方向D0に直交する。方向D2は、第2基板9の厚さ方向D0及び方向D1に直交する。これにより、トラッカモジュール100とパワーインダクタL71とを含む電源供給システム300において、トラッカモジュール100とパワーインダクタL71との位置関係が限定される。したがって、電源供給システム300において、トラッカモジュール100とパワーインダクタL71との間に不要な空間が生じづらい。したがって、パワーインダクタL71及びトラッカモジュール100を含む電源供給システム300を小型化することが可能となる。
【0179】
(実施形態2)
実施形態2に係る電源供給システム300及びトラッカモジュール100では、図8に示すように、外部接続端子160が以下に説明する配置となる。
【0180】
(1)構成
実施形態2に係るトラッカモジュール100では、図8に示すように、外部接続端子160は、複数(図8の例では2個)のインダクタ接続端子115及び116を含む。外部接続端子160は、第2基板9の第2主面92に配置されている。
【0181】
実施形態2に係るトラッカモジュール100では、インダクタ接続端子115及び116が、第2基板9の外縁93のうち、第5辺935に隣接している。すなわち、インダクタ接続端子115及び116は、第2基板9の外縁93のうちパワーインダクタL71と対向する部分に隣接している。ここで、「インダクタ接続端子115が第5辺935と隣接している」とは、第2基板9の第2主面92において、インダクタ接続端子115と第5辺935との間に、外部接続端子160が配置されていないことを言う。同様に、「インダクタ接続端子116が第5辺935と隣接している」とは、第2基板9の第2主面92において、インダクタ接続端子116と第5辺935との間に、外部接続端子160が配置されていないことを言う。
【0182】
(2)効果
実施形態2に係る電源供給システム300では、インダクタ接続端子115及び116が、第2基板9の外縁93のうち、パワーインダクタL71と方向D1に対向する第5辺935に隣接している。したがって、プリレギュレータ回路10において、インダクタ接続端子115とパワーインダクタL71との間の配線長と、インダクタ接続端子116とパワーインダクタL71との間の配線長とをいずれも短くすることが可能となる。したがって、プリレギュレータ回路10の耐ノイズ性能が向上する。
【0183】
また、実施形態2に係る電源供給システム300では、インダクタ接続端子115及び116は、プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS61~S63、S71及びS72に接続されている。したがって、プリレギュレータ回路10の配線長をより短くすることができ、プリレギュレータ回路10の耐ノイズ性能がより向上する。
【0184】
実施形態2に係る電源供給システム300では、トラッカモジュール100は、パワーインダクタL71と接続されるインダクタ接続端子115,116を有する。インダクタ接続端子115,116は、パワーインダクタL71と方向D1に対向する第5辺935に隣接している。これにより、プリレギュレータ回路10において、インダクタ接続端子115とパワーインダクタL71との間の配線長と、インダクタ接続端子116とパワーインダクタL71との間の配線長とをいずれも短くすることが可能となる。したがって、プリレギュレータ回路10の耐ノイズ性能が向上する。
【0185】
また、実施形態2に係る電源供給システム300では、インダクタ接続端子115,116は、プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS61~S63及びS71~S72に接続されている、これにより、プリレギュレータ回路10の耐ノイズ性能が更に向上する。
【0186】
(実施形態3)
(1)構成
実施形態3に係る電源供給システム300及びトラッカモジュール100aでは、図9に示すように、トラッカモジュール100aの形状及び構造が以下の通りである。
【0187】
実施形態3に係るトラッカモジュール100aは、図9に示すように、2個のICチップ80を備える。2個のICチップ80は、ICチップ80a及び80bを含む。
【0188】
2個のICチップ80のうち、ICチップ80aは、図9に示すように、第2基板9の第1主面91に配置されている。ICチップ80aは、PRスイッチ部101を含む。すなわち、ICチップ80aは、プリレギュレータ回路10(図6参照)に含まれるスイッチS61~S63、S71及びS72(図6参照)を含む。
【0189】
2個のICチップ80のうち、ICチップ80bは、図9に示すように、第2基板9の第1主面91に配置されている。ICチップ80bは、SCスイッチ部102と、SMスイッチ部103と、BSスイッチ部104と、デジタル制御部105と、を含む。すなわち、ICチップ80bは、スイッチトキャパシタ回路20(図6参照)に含まれるスイッチS11~S44(図6参照)と、出力スイッチ回路30(図6参照)に含まれるスイッチS51~S54(図6参照)と、を含む。
【0190】
したがって、2個のICチップ80(80a及び80b)は、プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS61~S63、S71及びS72と、スイッチトキャパシタ回路20に含まれるスイッチS11~S44と、出力スイッチ回路30に含まれるスイッチS51~S54と、を含む。
【0191】
(2)効果
実施形態3に係るトラッカモジュール100aでは、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、ICチップ80aは、第2基板9の外縁93のうち、パワーインダクタL71と方向D1に対向する第5辺935に隣接している。また、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、PR容量部901は、ICチップ80aと隣接している。また、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、PR容量部902は、ICチップ80aと隣接している。すなわち、実施形態3に係るトラッカモジュール100aでは、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、ICチップ80aのPRスイッチ部101は、パワーインダクタL71と、PR容量部901及び902とのいずれにも隣接している。これにより、実施形態3に係るトラッカモジュール100aでは、プリレギュレータ回路10に含まれる各機能素子を互いに近接して配置することにより、プリレギュレータ回路10の配線長を短くすることができる。
【0192】
また、実施形態3に係るトラッカモジュール100aでは、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、ICチップ80bは、SC容量部903に隣接している。SCスイッチ部102は、SC容量部903に隣接している。また、SC容量部903は、ICチップ80aとICチップ80bの間に位置している。これにより、実施形態3に係るトラッカモジュール100aでは、プリレギュレータ回路10及びスイッチトキャパシタ回路20の配線長を短くし、効率的な配線とすることができる。より詳細には、ICチップ80aとSC容量部903が隣接していることにより、プリレギュレータ回路10とスイッチトキャパシタ回路20のノードN1~N4(図6参照)との間の配線長を短くすることができる。また、SC容量部903とSCスイッチ部102を含むICチップ80bが隣接していることにより、スイッチトキャパシタ回路20内の配線長を短くすることができる。
【0193】
また、実施形態3に係るトラッカモジュール100aでは、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、フィルタ回路部904は、ICチップ80bに隣接している。ICチップ80bにおいて、BSスイッチ部104は、フィルタ回路部904に隣接している。また、ICチップ80bにおいて、SMスイッチ部103は、SCスイッチ部102と隣接しており、かつ、BSスイッチ部104と隣接している。
【0194】
実施形態3に係る電源供給システム300では、トラッカモジュール100aは、2つのICチップ80a,80bを含む。プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS61~S63,S71~S72と、スイッチトキャパシタ回路20に含まれるスイッチS11~S44と、出力スイッチ回路30に含まれるスイッチS51~S53と、の各々は、ICチップ80a,80bの少なくとも一方に含まれる。この場合においても、実施形態1と同様に、電源供給システム300において、トラッカモジュール100aとパワーインダクタL71との位置関係が限定される。したがって、電源供給システム300において、トラッカモジュール100aとパワーインダクタL71との間に不要な空間が生じづらい。したがって、パワーインダクタL71及びトラッカモジュール100aを含む電源供給システム300を小型化することが可能となる。
【0195】
(実施形態4)
(1)構成
実施形態4に係る電源供給システム300及びトラッカモジュール100aでは、実施形態3のトラッカモジュール100aにおいて、図10に示すように、外部接続端子160が以下に説明する配置となる。
【0196】
実施形態4に係るトラッカモジュール100aでは、外部接続端子160は、複数(図10では2つ)のインダクタ接続端子115及び116を含む。外部接続端子160は図10に示すように、第2基板9の第2主面92に配置されている。
【0197】
実施形態4に係るトラッカモジュール100aでは、複数(図10では2つ)のインダクタ接続端子115及び116が、第2基板9の第6辺936に隣接している。したがって、プリレギュレータ回路10(図6参照)において、インダクタ接続端子115とパワーインダクタL71との間の配線長と、インダクタ接続端子116とパワーインダクタL71との間の配線長とをいずれも短くすることが可能となる。
【0198】
また、実施形態4に係るトラッカモジュール100aでは、図9に示すように、ICチップ80aが、第2基板9の第6辺936に隣接している。また、実施形態4に係るトラッカモジュール100aでは、図9に示すように、PRスイッチ部101が、第2基板9の第6辺936に隣接している。すなわち、プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS61~S63及びS71,S72(図6参照)は、第2基板9の第6辺936に隣接している。したがって、プリレギュレータ回路10において、インダクタ接続端子115とパワーインダクタL71との間の配線長と、インダクタ接続端子116とパワーインダクタL71との間の配線長とを更に短くすることが可能となる。
【0199】
(2)効果
実施形態4に係る電源供給システム300では、トラッカモジュール100aは、パワーインダクタL71と接続されるインダクタ接続端子115,116を有する。インダクタ接続端子115,116は、第2基板9の外縁93のうちパワーインダクタL71と対向する第6辺936に隣接している。これにより、プリレギュレータ回路10において、インダクタ接続端子115とパワーインダクタL71との間の配線長と、インダクタ接続端子116とパワーインダクタL71との間の配線長とをいずれも短くすることが可能となる。したがって、プリレギュレータ回路10の耐ノイズ性能が向上する。
【0200】
また、実施形態4に係る電源供給システム300では、インダクタ接続端子115,116は、プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS61~S63,S71~S72に接続されている、これにより、プリレギュレータ回路10の耐ノイズ性能が更に向上する。
【0201】
また、実施形態4に係る電源供給システム300では、1つのICチップ80aは、第2基板9の外縁93のうちパワーインダクタL71と対向する第6辺936に隣接している。したがって、プリレギュレータ回路10において、インダクタ接続端子115とパワーインダクタL71との間の配線長と、インダクタ接続端子116とパワーインダクタL71との間の配線長とを更に短くすることが可能となる。
【0202】
また、実施形態4に係る電源供給システム300では、インダクタ接続端子115,116は、プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS61~S63,S71~S72に接続されている。これにより、プリレギュレータ回路10の耐ノイズ性能が更に向上する。
【0203】
(実施形態5)
(1)構成
実施形態5に係る電源供給システム300及びトラッカモジュール100bでは、図11に示すように、トラッカモジュール100bの形状及び構造が以下の通りである。
【0204】
実施形態5に係るトラッカモジュール100bは、図11に示すように、2個のICチップ80を備える。2個のICチップは、ICチップ80c及び80dを含む。
【0205】
2個のICチップ80のうち、ICチップ80cは、第2基板9の第1主面91に配置されている。ICチップ80cは、図11に示すように、PRスイッチ部101aと、SCスイッチ部102と、SMスイッチ部103と、BSスイッチ部104と、デジタル制御部105と、を含む。すなわち、ICチップ80cは、プリレギュレータ回路10(図6参照)に含まれるスイッチS61~S63、S71及びS72(図6参照)と、スイッチトキャパシタ回路20(図6参照)に含まれるスイッチS11~S44(図6参照)と、出力スイッチ回路30(図6参照)に含まれるスイッチS51~S54(図6参照)と、を含む。
【0206】
ICチップ80dは、第2基板9の第1主面91に配置されている。ICチップ80dは、図11に示すように、PRスイッチ部101bを含む。すなわち、ICチップ80dは、プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS61~S63、S71及びS72を含む。
【0207】
したがって、2つのICチップ80(80c及び80d)は、プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS61~S63、S71及びS72と、スイッチトキャパシタ回路20に含まれるスイッチS11~S44と、出力スイッチ回路30に含まれるスイッチS51~S54と、を含む。
【0208】
ICチップ80cのPRスイッチ部101aは、プリレギュレータ回路10の複数のスイッチS61~S63,S71,S72(図6参照)の一部を含む。また、ICチップ80cのPRスイッチ部101bは、プリレギュレータ回路10の複数のスイッチS61~S63,S71,S72(図6参照)のうち、PRスイッチ部101aに含まれないスイッチを含む。具体的には、ICチップ80cのPRスイッチ部101aは、プリレギュレータ回路10の複数のスイッチS61~S63を含む。また、ICチップ80dのPRスイッチ部101bは、スイッチS71及びS72を含む。
【0209】
プリレギュレータ回路10のインダクタ接続端子116と出力端子111~114の間に接続されるキャパシタC61~C64(図6参照)は、第2基板9の第1主面91のPR容量部902に配置されている。
【0210】
実施形態5に係るトラッカモジュール100bでは、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、ICチップ80dは、第2基板9の外縁93のうち、パワーインダクタL71と方向D1に対向する第5辺935に隣接している。より詳細には、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、PRスイッチ部101bは、第5辺935に隣接している。また、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、PR容量部901は、ICチップ80dと隣接している。さらに、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、ICチップ80cとICチップ80dとは隣接している。これにより、実施形態5に係るトラッカモジュール100bでは、プリレギュレータ回路10の配線長を短くすることができる。
【0211】
また、実施形態5に係るトラッカモジュール100bでは、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、ICチップ80cは、第2基板9の外縁93のうち、パワーインダクタL71と方向D2に対向する第6辺936に隣接している。より詳細には、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、PRスイッチ部101aは、第6辺936に隣接している。また、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、PR容量部902は、ICチップ80cと隣接している。より詳細には、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、PR容量部902は、ICチップ80cのPRスイッチ部101aと隣接している。これにより、実施形態5に係るトラッカモジュール100bでは、プリレギュレータ回路10の配線長を短くすることができる。
【0212】
また、ICチップ80cにおいて、SCスイッチ部102は、PRスイッチ部101aに隣接している。また、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、SC容量部903は、ICチップ80cのSCスイッチ部102と隣接している。これにより、実施形態5に係るトラッカモジュール100bでは、スイッチトキャパシタ回路20の配線長を短くすることができる。
【0213】
また、ICチップ80cにおいて、SMスイッチ部103は、SCスイッチ部102と隣接している。また、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、ICチップ80dのBSスイッチ部104は、ICチップ80cのSMスイッチ部103と隣接している。また、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、フィルタ回路部904は、ICチップ80dのBSスイッチ部104に隣接している。
【0214】
(2)効果
実施形態5に係る電源供給システム300では、トラッカモジュール100bは、2つのICチップ80c,80dを含む。プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS61~S63,S71~S72と、スイッチトキャパシタ回路20に含まれるスイッチS11~S44と、出力スイッチ回路30に含まれるスイッチS51~S53と、の各々は、ICチップ80c,80dの少なくとも一方に含まれる。この場合においても、実施形態1と同様に、電源供給システム300において、トラッカモジュール100bとパワーインダクタL71との位置関係が限定される。したがって、電源供給システム300において、トラッカモジュール100bとパワーインダクタL71との間に不要な空間が生じづらい。したがって、パワーインダクタL71及びトラッカモジュール100bを含む電源供給システム300を小型化することが可能となる。
【0215】
(実施形態6)
(1)構成
実施形態6に係る電源供給システム300及びトラッカモジュール100bでは、実施形態5のトラッカモジュール100bにおいて、図12に示すように、外部接続端子160が以下に説明する配置となる。
【0216】
実施形態6に係るトラッカモジュール100bでは、外部接続端子160は、複数(図12では2つ)のインダクタ接続端子115及び116を含む。外部接続端子160は図12に示すように、第2基板9の第2主面92に配置されている。
【0217】
実施形態6に係るトラッカモジュール100bでは、インダクタ接続端子115が、第2基板9の外縁93のうち、パワーインダクタL71と対向する第6辺936に隣接している。また、実施形態6に係るトラッカモジュール100bでは、インダクタ接続端子116が、第2基板9の外縁93のうち、パワーインダクタL71に対向する第5辺935に隣接している。したがって、プリレギュレータ回路10において、インダクタ接続端子115とパワーインダクタL71との間の配線長と、インダクタ接続端子116とパワーインダクタL71との間の配線長とをいずれも短くすることが可能となる。したがって、プリレギュレータ回路10の耐ノイズ性能が向上する。
【0218】
また、実施形態6に係るトラッカモジュール100bでは、図11に示すように、ICチップ80cが、第2基板9の外縁93のうちパワーインダクタL71と対向する第6辺936に隣接している。また、実施形態6に係るトラッカモジュール100bでは、図11に示すように、PRスイッチ部101aが、第2基板9の外縁93のうちパワーインダクタL71と対向する第6辺936に隣接している。すなわち、プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS61~S63は、第2基板9の外縁93のうちパワーインダクタL71と対向する第6辺936に隣接している。したがって、プリレギュレータ回路10において、インダクタ接続端子115とパワーインダクタL71との間の配線長と、インダクタ接続端子116とパワーインダクタL71との間の配線長とを更に短くすることが可能となる。
【0219】
また、実施形態6に係るトラッカモジュール100aでは、図11に示すように、ICチップ80dが、第2基板9の外縁93のうちパワーインダクタL71と対向する第5辺935に隣接している。また、実施形態6に係るトラッカモジュール100bでは、図11に示すように、PRスイッチ部101bが、第2基板9の外縁93のうちパワーインダクタL71と対向する第5辺935に隣接している。すなわち、プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS71及びS72は、第2基板9の外縁93のうちパワーインダクタL71と対向する第5辺935に隣接している。したがって、プリレギュレータ回路10において、インダクタ接続端子115とパワーインダクタL71との間の配線長と、インダクタ接続端子116とパワーインダクタL71との間の配線長とを更に短くすることが可能となる。
【0220】
(2)効果
実施形態6に係る電源供給システム300では、トラッカモジュール100bは、パワーインダクタL71と接続されるインダクタ接続端子115,116を有する。インダクタ接続端子115は、第2基板9の外縁93のうちパワーインダクタL71と対向する第6辺936に隣接している。また、インダクタ接続端子116は、第2基板9の外縁93のうちパワーインダクタL71と対向する第5辺935に隣接している。これにより、プリレギュレータ回路10において、インダクタ接続端子115とパワーインダクタL71との間の配線長と、インダクタ接続端子116とパワーインダクタL71との間の配線長とをいずれも短くすることが可能となる。したがって、プリレギュレータ回路10の耐ノイズ性能が向上する。
【0221】
また、実施形態6に係る電源供給システム300では、インダクタ接続端子115,116は、プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS61~S63,S71~S72に接続されている、これにより、プリレギュレータ回路10の耐ノイズ性能が更に向上する。
【0222】
また、実施形態6に係る電源供給システム300では、ICチップ80cは、第2基板9の外縁93のうちパワーインダクタL71に対向する第6辺936に隣接している。さらに、実施形態6に係る電源供給システム300では、ICチップ80dは、第2基板9の外縁93のうちパワーインダクタL71に対向する第5辺935に隣接している。したがって、プリレギュレータ回路10において、インダクタ接続端子115とパワーインダクタL71との間の配線長と、インダクタ接続端子116とパワーインダクタL71との間の配線長とを更に短くすることが可能となる。
【0223】
また、実施形態6に係る電源供給システム300では、プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS61~S63は、第2基板9の外縁93のうちパワーインダクタL71に対向する第6辺936に隣接している。さらに、実施形態6に係る電源供給システム300では、プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS71及びS72は、第2基板9の外縁93のうちパワーインダクタL71に対向する第5辺935に隣接している。したがって、プリレギュレータ回路10において、インダクタ接続端子115とパワーインダクタL71との間の配線長と、インダクタ接続端子116とパワーインダクタL71との間の配線長とを更に短くすることが可能となる。
【0224】
(実施形態7)
(1)構成
実施形態7に係る電源供給システム300及びトラッカモジュール100cでは、図13に示すように、トラッカモジュール100cの形状及び構造が以下の通りである。
【0225】
実施形態7に係るトラッカモジュール100cは、図13に示すように、ICチップ80として、2個のICチップ80e及び80fを備える。
【0226】
2個のICチップ80のうち、ICチップ80eは、第2基板9の第1主面91に配置されている。ICチップ80eは、図13に示すように、PRスイッチ部101と、SCスイッチ部102a及び102bと、デジタル制御部105と、を含む。すなわち、ICチップ80eは、プリレギュレータ回路10(図6参照)に含まれるスイッチS61~S63、S71及びS72(図6参照)と、スイッチトキャパシタ回路20(図6参照)に含まれるスイッチS11~S44(図6参照)と、を含む。
【0227】
ICチップ80fは、第2基板9の第1主面91に配置されている。ICチップ80fは、図13に示すように、SMスイッチ部103と、BSスイッチ部104と、を含む。すなわち、ICチップ80fは、出力スイッチ回路30(図6参照)に含まれるスイッチS51~S54(図6参照)、を含む。
【0228】
したがって、2つのICチップ80(80e及び80f)は、プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS61~S63、S71及びS72と、スイッチトキャパシタ回路20に含まれるスイッチS11~S44と、出力スイッチ回路30に含まれるスイッチS51~S54と、を含む。
【0229】
実施形態7に係るトラッカモジュール100cでは、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、ICチップ80eは、第2基板9の外縁93のうち、パワーインダクタL71と方向D1に対向する第5辺935に隣接している。より詳細には、ICチップ80eにおいて、PRスイッチ部101は、第2基板9の外縁93のうち、パワーインダクタL71と方向D1に対向する第5辺935に隣接している。また、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、PR容量部901及びPR容量部902は、ICチップ80eと隣接している。これにより、実施形態7に係るトラッカモジュール100cでは、プリレギュレータ回路10の配線長を短くすることができる。
【0230】
また、ICチップ80eのSCスイッチ部102aは、スイッチトキャパシタ回路20の複数のスイッチS11~S44(図6参照)の一部を含む。また、ICチップ80dのSCスイッチ部102bは、スイッチトキャパシタ回路20の複数のスイッチS11~S44のうち、SCスイッチ部102aに含まれないスイッチを含む。具体的には、ICチップ80eのSCスイッチ部102aは、スイッチS11,S12,S21,S22,S31,S32,S41及びS42を含む。また、ICチップ80eのSCスイッチ部102bは、スイッチS13,S14,S23,S24,S33,S34,S43及びS44を含む。
【0231】
また、スイッチトキャパシタ回路20に含まれる複数のキャパシタC11~C16及びC21~C24(図6参照)は、第2基板9の第1主面91のSC容量部903aとSC容量部903bとに配置されている。ここで、ICチップ80eのSCスイッチ部102aに含まれるスイッチに接続されるキャパシタC11~C13は、SC容量部903aに配置されている。また、ICチップ80eのSCスイッチ部102bに含まれるスイッチに接続されるキャパシタC14~C16は、SC容量部903bに配置されている。なお、キャパシタC21~C24の各々は、SC容量部903bに配置されている。
【0232】
ICチップ80eにおいて、SCスイッチ部102aは、PRスイッチ部101と隣接している。また、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、ICチップ80eのSCスイッチ部102aは、SC容量部903a及びSC容量部903bと隣接している。また、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、ICチップ80eのSCスイッチ部102bは、SC容量部903a及びSC容量部903bと隣接している。これにより、実施形態7に係るトラッカモジュール100cでは、スイッチトキャパシタ回路20の配線長を短くすることができる。
【0233】
また、ICチップ80fにおいて、SMスイッチ部103は、BSスイッチ部104と隣接している。また、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、ICチップ80fのSMスイッチ部103は、SC容量部903bと隣接している。また、第2基板9の厚さ方向D0からの平面視で、ICチップ80fのBSスイッチ部104は、フィルタ回路部904と隣接している。
【0234】
(2)効果
実施形態7に係る電源供給システム300では、トラッカモジュール100cは、2つのICチップ80e,80fを含む。プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS61~S63,S71~S72と、スイッチトキャパシタ回路20に含まれるスイッチS11~S44と、出力スイッチ回路30に含まれるスイッチS51~S53と、の各々は、ICチップ80e,80fの少なくとも一方に含まれる。この場合においても、実施形態1と同様に、電源供給システム300において、トラッカモジュール100cとパワーインダクタL71との位置関係が限定される。したがって、電源供給システム300において、トラッカモジュール100cとパワーインダクタL71との間に不要な空間が生じづらい。したがって、パワーインダクタL71及びトラッカモジュール100cを含む電源供給システム300を小型化することが可能となる。
【0235】
(実施形態8)
(1)構成
実施形態8に係る電源供給システム300及びトラッカモジュール100cでは、実施形態7のトラッカモジュール100cにおいて、図14に示すように、外部接続端子160が以下に説明する配置となる。
【0236】
実施形態8に係るトラッカモジュール100cでは、外部接続端子160は、複数(図14では2つ)のインダクタ接続端子115及び116を含む。外部接続端子160は図14に示すように、第2基板9の第2主面92に配置されている。
【0237】
実施形態8に係るトラッカモジュール100cでは、インダクタ接続端子115及び116が、第2基板9の外縁93のうち、パワーインダクタL71と方向D1に対向する第5辺935に隣接している。したがって、プリレギュレータ回路10において、インダクタ接続端子115とパワーインダクタL71との間の配線長と、インダクタ接続端子116とパワーインダクタL71との間の配線長とをいずれも短くすることが可能となる。したがって、プリレギュレータ回路10の耐ノイズ性能が向上する。
【0238】
また、実施形態8に係るトラッカモジュール100cでは、図13に示すように、ICチップ80eが、第2基板9の外縁93のうちパワーインダクタL71と対向する第5辺935に隣接している。また、実施形態8に係るトラッカモジュール100cでは、図13に示すように、PRスイッチ部101が、第2基板9の外縁93のうちパワーインダクタL71と対向する第5辺935に隣接している。すなわち、プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS61~S63及びS71,S72は、第2基板9の外縁のうちパワーインダクタL71と対向する第5辺935に隣接している。したがって、プリレギュレータ回路10において、インダクタ接続端子115とパワーインダクタL71との間の配線長と、インダクタ接続端子116とパワーインダクタL71との間の配線長とを更に短くすることが可能となる。
【0239】
(2)効果
実施形態8に係る電源供給システム300では、トラッカモジュール100cは、パワーインダクタL71と接続されるインダクタ接続端子115,116を有する。インダクタ接続端子115,116の各々は、第2基板9の外縁93のうちパワーインダクタL71と方向D1に対向する第5辺935に隣接している。これにより、プリレギュレータ回路10において、インダクタ接続端子115とパワーインダクタL71との間の配線長と、インダクタ接続端子116とパワーインダクタL71との間の配線長とをいずれも短くすることが可能となる。したがって、プリレギュレータ回路10の耐ノイズ性能が向上する。
【0240】
また、実施形態8に係る電源供給システム300では、インダクタ接続端子115,116は、プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS61~S63,S71~S72に接続されている、これにより、プリレギュレータ回路10の耐ノイズ性能が更に向上する。
【0241】
また、実施形態8に係る電源供給システム300では、ICチップ80eは、第2基板9の外縁93のうちパワーインダクタL71と対向する第5辺935に隣接している。したがって、プリレギュレータ回路10において、インダクタ接続端子115とパワーインダクタL71との間の配線長と、インダクタ接続端子116とパワーインダクタL71との間の配線長とを更に短くすることが可能となる。
【0242】
また、実施形態8に係る電源供給システム300では、プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS61~S63は、第2基板9の外縁93のうちパワーインダクタL71と対向する第5辺935に隣接している。したがって、プリレギュレータ回路10において、インダクタ接続端子115とパワーインダクタL71との間の配線長と、インダクタ接続端子116とパワーインダクタL71との間の配線長とを更に短くすることが可能となる。
【0243】
(実施形態9)
実施形態9に係る電源供給システム300及びトラッカモジュール100では、実施形態1のトラッカモジュール100において、図15に示すように、フィルタ回路部904に含まれるインダクタL0~L2が以下に説明する配置となる。
【0244】
実施形態9に係るトラッカモジュール100では、フィルタ回路40(図6参照)に含まれる複数のインダクタL0~L2(図6参照)は、第2基板9の第1主面91のフィルタ回路部904に配置されている。インダクタL0~L2の各々は、磁束方向がパワーインダクタL71の磁束方向と直交している。ここで、「インダクタの磁束方向」とは、インダクタの見解軸の延伸方向を言う。すなわち、「インダクタL0は、磁束方向がパワーインダクタL71の磁束方向と直交している」とは、インダクタL0の巻回軸の延伸方向とパワーインダクタL71の巻回軸の延伸方向とがなす角度と、90°との差の絶対値が20°以下であることを言う。
【0245】
より詳細には、図15に示すように、インダクタL0の巻回軸の延伸方向と、パワーインダクタL71の巻回軸の延伸方向とが直交している。ここで、インダクタL0の巻回軸の延伸方向は、矩形状であるインダクタL0の長手方向と平行であり、例えば、方向D1と平行である。また、パワーインダクタL71の巻回軸の延伸方向は、矩形状であるパワーインダクタL71の長手方向と平行であり、例えば、方向D2と平行である。同様に、インダクタL1の巻回軸の延伸方向と、パワーインダクタL71の巻回軸の延伸方向とが直交している。また、インダクタL2の巻回軸の延伸方向と、パワーインダクタL71の巻回軸の延伸方向とが直交している。これにより、プリレギュレータ回路10に含まれるパワーインダクタL71と、フィルタ回路40に含まれるインダクタL0~L2との磁気結合を低減させることが可能となる。したがって、パワーインダクタL71に起因するフィルタ回路40のフィルタ特性劣化を低減することが可能となる。
【0246】
実施形態9に係る電源供給システム300では、トラッカモジュール100はフィルタ回路40を含む。フィルタ回路40は、出力スイッチ回路30に接続され、パワーアンプ2に電源電圧Vccを出力する。フィルタ回路40は、インダクタL0~L2を含む。インダクタL0~L2の各々の磁束方向は、パワーインダクタL71の磁束方向と直交する。これにより、プリレギュレータ回路10に含まれるパワーインダクタL71と、フィルタ回路40に含まれるインダクタL0~L2との磁気結合を低減させることが可能となる。したがって、パワーインダクタL71に起因するフィルタ回路40のフィルタ特性劣化を低減することが可能となる。
【0247】
(変形例)
以下、実施形態の変形例について説明する。
【0248】
実施形態2及び8では、複数のインダクタ接続端子115及び116が、第2基板9の第5辺935に隣接しているが、複数のインダクタ接続端子115及び116のうち少なくとも一方が第5辺935に隣接していれば、他方が第5辺935に隣接していなくてもよい。また、実施形態4では、複数のインダクタ接続端子115及び116が、第2基板9の第6辺936に隣接しているが、複数のインダクタ接続端子115及び116のうち少なくとも一方が第2基板9の第6辺936に隣接していれば、他方が第6辺936に隣接していなくてもよい。また、実施形態6では、インダクタ接続端子115が第2基板9の第5辺935に隣接し、インダクタ接続端子116が第2基板9の第6辺936に隣接しているが、複数のインダクタ接続端子115及び116のうち少なくとも一方が、第2基板9の第5辺935と第6辺936のいずれかに隣接していれば、他方は第2基板9の第5辺935と第6辺936とのいずれにも隣接していなくてもよい。
【0249】
実施形態1、2及び9では、ICチップ80がプリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS61~S63及びS71、S72を含むが、スイッチS61~S63及びS71、S72の一部を含んでもよい。また、ICチップ80は、スイッチトキャパシタ回路20に含まれるスイッチS11~S44を含むが、スイッチS11~S44の一部を含んでもよい。また、ICチップ80は、出力スイッチ回路30に含まれるスイッチS51~S54を含むが、スイッチS51~S54の一部を含んでもよい。
【0250】
同様に、実施形態3~4において、ICチップ80a及び80bの少なくとも一方が、プリレギュレータ回路10に含まれるスイッチS61~S63及びS71、S72の一部を含めばよい。また、ICチップ80a及び80bの少なくとも一方が、スイッチトキャパシタ回路20に含まれるスイッチS11~S44の一部を含めばよい。また、ICチップ80a及び80bの少なくとも一方が、出力スイッチ回路30に含まれるスイッチS51~S54の一部を含めばよい。実施形態5~8についても同様である。
【0251】
実施形態1、2及び9では、トラッカモジュール100は1つのICチップ80を備えるが、2以上のICチップ80を備えてもよい。同様に、実施形態3~8のトラッカモジュール100a~100cは、2つのICチップ80を備えるが、3以上のICチップ80を備えてもよいし、ICチップ80を1つ備えてもよい。
【0252】
実施形態10では、フィルタ回路40に含まれるインダクタL0~L2の各々の巻回軸とパワーインダクタL71の巻回軸とが直交するが、インダクタL0~L2のうちいずれか1つ又は2つの巻回軸と、パワーインダクタL71の巻回軸とが直交していれば、それ以外のインダクタの巻回軸は、必ずしもパワーインダクタL71の巻回軸とが直交していなくてもよい。
【0253】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0254】
第1の態様に係る電源供給システム(300)は、第1基板(8)と、トラッカモジュール(100~100c)と、パワーインダクタ(L71)と、を備える。トラッカモジュール(100~100c)は、第1基板(8)に配置されている。パワーインダクタ(L71)は、第1基板(8)に配置されている。トラッカモジュール(100~100c)は、第2基板(9)と、少なくとも1つのICチップ(80;80a,80b;80c,80d;80e,80f)と、を含む。少なくとも1つのICチップ(80;80a,80b;80c,80d;80e,80f)は、プリレギュレータ回路(10)に含まれるスイッチ(S61~S63,S71~S72)の少なくとも1つと、スイッチトキャパシタ回路(20)に含まれるスイッチ(S11~S44)の少なくとも1つと、出力スイッチ回路(30)に含まれるスイッチ(S51~S54)の少なくとも1つと、を含む。プリレギュレータ回路(10)は、パワーインダクタ(L71)を用いて入力電圧を調整電圧に変換するように構成されている。スイッチトキャパシタ回路(20)は、調整電圧に基づいて複数の離散的電圧を生成するように構成されている。出力スイッチ回路(30)は、複数の離散的電圧の少なくとも1つを選択的にパワーアンプ(2)に出力するように構成されている。第1基板(8)の厚さ方向(D0)からの平面視において、第2基板(9)は凹部(A03)を有する。パワーインダクタ(L71)の少なくとも一部は、凹部(A03)に配置されている。
【0255】
上記態様に係る電源供給システム(300)によれば、トラッカモジュール(100~100c)及びパワーインダクタ(L71)を含む電源供給システム(300)を小型化することが可能となる。
【0256】
第2の態様に係る電源供給システム(300)は、第1基板(8)と、トラッカモジュール(100~100c)と、パワーインダクタ(L71)と、を備える。トラッカモジュール(100~100c)は、第1基板(8)に配置されている。パワーインダクタ(L71)は、第1基板(8)に配置されている。トラッカモジュール(100~100c)は、第2基板(9)と、少なくとも1つのICチップ(80;80a,80b;80c,80d;80e,80f)と、を含む。少なくとも1つのICチップ(80;80a,80b;80c,80d;80e,80f)は、プリレギュレータ回路(10)に含まれるスイッチ(S61~S63,S71~S72)の少なくとも1つと、スイッチトキャパシタ回路(20)に含まれるスイッチ(S11~S44)の少なくとも1つと、出力スイッチ回路(30)に含まれるスイッチ(S51~S54)の少なくとも1つと、を含む。プリレギュレータ回路(10)は、パワーインダクタ(L71)を用いて入力電圧を調整電圧に変換するように構成されている。スイッチトキャパシタ回路(20)は、調整電圧に基づいて複数の離散的電圧を生成するように構成されている。出力スイッチ回路(30)は、複数の離散的電圧の少なくとも1つを選択的にパワーアンプ(2)に出力するように構成されている。第1基板(8)の厚さ方向(D0)からの平面視において、トラッカモジュール(100~100c)とパワーインダクタ(L71)とは、第1方向(D1)に対向し、かつ、第2方向(D2)に対向する。第1方向(D1)は、第1基板(8)の厚さ方向(D0)に直交する。第2方向(D2)は、第1基板(8)の厚さ方向(D0)及び第1方向(D1)に直交する。
【0257】
上記態様に係る電源供給システム(300)によれば、トラッカモジュール(100~100c)とパワーインダクタ(L71)との間に不要な空間が生じづらい。したがって、トラッカモジュール(100~100c)及びパワーインダクタ(L71)を含む電源供給システム(300)を小型化することが可能となる。
【0258】
第3の態様に係る電源供給システム(300)では、第1又は第2の態様において、トラッカモジュール(100~100c)は、パワーインダクタ(L71)と接続される接続端子(115,116)を更に含む。接続端子(115,116)は、第2基板(9)の外縁(93)のうちパワーインダクタ(L71)と対向する部分(935,936)に隣接している。
【0259】
上記態様に係る電源供給システム(300)によれば、プリレギュレータ回路(10)において、接続端子(115)とパワーインダクタ(L71)との間の配線長と、接続端子(116)とパワーインダクタ(L71)との間の配線長とをいずれも短くすることが可能となる。したがって、プリレギュレータ回路(10)の耐ノイズ性能が向上する。
【0260】
第4の態様に係る電源供給システム(300)では、第3の態様において、接続端子(115,116)は、プリレギュレータ回路(10)に含まれるスイッチ(S61~S63,S71~S72)の少なくとも1つに接続されている。
【0261】
上記態様に係る電源供給システム(300)によれば、プリレギュレータ回路(10)の配線長をより短くできるため、プリレギュレータ回路(10)の耐ノイズ性能が更に向上する。
【0262】
第5の態様に係る電源供給システム(300)では、第3又は第4の態様において、少なくとも1つのICチップ(80;80a;80c,80d;80e)は、第2基板(9)の外縁(93)のうちパワーインダクタ(L71)と対向する部分(935,936)と隣接している。
【0263】
上記態様に係る電源供給システム(300)によれば、プリレギュレータ回路(10)の配線長を更に短くできるため、プリレギュレータ回路(10)の耐ノイズ性能が更に向上する。
【0264】
第6の態様に係る電源供給システム(300)では、第5の態様において、プリレギュレータ回路(10)に含まれる少なくとも1つのスイッチ(S61~S63,S71,S72)は、第2基板(9)の外縁(93)のうちパワーインダクタ(L71)と対向する部分(935,936)と隣接している。
【0265】
上記態様に係る電源供給システム(300)によれば、パワーインダクタ(L71)とプリレギュレータ回路(10)に含まれる少なくとも1つのスイッチ(S61~S63,S71,S72)との間の距離が短いため、プリレギュレータ回路(10)の配線長を更に短くできる。
【0266】
第7の態様に係る電源供給システム(300)では、第1から第6の態様のいずれかにおいて、第1基板(8)の厚さ方向(D0)からの平面視において、トラッカモジュール(100~100c)及びパワーインダクタ(L71)は、矩形状の第1領域(A01)の内側に位置している。
【0267】
上記態様に係る電源供給システム(300)によれば、トラッカモジュール(100~100c)及びパワーインダクタ(L71)を矩形状の1つのデバイスとみなすことが可能であるため、電源供給システム(300)を更に小型化することが可能となる。
【0268】
第8の態様に係る電源供給システム(300)では、第7の態様において、第1基板(8)の厚さ方向(D0)からの平面視において、パワーインダクタ(L71)は、第1領域(A01)の一部である第2領域(A03)の内部に位置している。第1基板(8)の厚さ方向(D0)からの平面視において、第2領域(A03)は、第1領域(A01)の一辺に接している。
【0269】
上記態様に係る電源供給システム(300)によれば、パワーインダクタ(L71)の外周面の一部がトラッカモジュール(100~100c)と対向していないため、パワーインダクタ(L71)の放熱性を確保することが可能となる。
【0270】
第9の態様に係る電源供給システム(300)では、第8の態様において、第1基板(8)の厚さ方向(D0)からの平面視において、第2領域(A03)は、第1領域(A01)の4つの頂点のうちの1つを含む。
【0271】
上記態様に係る電源供給システム(300)によれば、第1基板(8)の厚さ方向(D0)からの平面視において、トラッカモジュール(100~100c)の形状をL字型のような単純な形状とすることができる。
【0272】
第10の態様に係る電源供給システム(300)では、第1から第9の態様のいずれかにおいて、トラッカモジュール(100)は、フィルタ回路(40)、を更に含む。フィルタ回路(40)は、出力スイッチ回路(30)に接続される。フィルタ回路(40)は、少なくとも1つのインダクタ(L0~L2)を含む。インダクタ(L0~L2)の少なくとも1つの磁束方向は、パワーインダクタ(L71)の磁束方向と直交する。
【0273】
上記態様に係る電源供給システム(300)によれば、プリレギュレータ回路(10)に含まれるパワーインダクタ(L71)と、フィルタ回路(40)に含まれるインダクタ(L0~L2)との磁気結合を低減させることが可能となる。したがって、パワーインダクタ(L71)に起因するフィルタ回路(40)のフィルタ特性劣化を低減することが可能となる。
【0274】
第11の態様に係る高周波システム(200)は、第1から第10の態様のいずれかに係る電源供給システム(300)と、パワーアンプ(2)と、を備える。パワーアンプ(2)は、トラッカモジュール(100~100c)と接続されている。
【0275】
上記態様に係る高周波システム(200)によれば、電源供給システム(300)において、トラッカモジュール(100~100c)とパワーインダクタ(L71)との位置関係が限定される。したがって、電源供給システム(300)において、トラッカモジュール(100~100c)との間に不要な空間が生じづらい。したがって、トラッカモジュール(100~100c)及びパワーインダクタ(L71)を含む電源供給システム(300)を小型化することが可能となる。
【0276】
第12の態様に係る通信装置(7)は、第11の態様に係る高周波システム(200)と、信号処理回路(5)と、を備える。信号処理回路(5)は、高周波システム(200)に接続されている。
【0277】
上記態様に係る通信装置(7)によれば、電源供給システム(300)において、トラッカモジュール(100~100c)とパワーインダクタ(L71)との位置関係が限定される。したがって、電源供給システム(300)において、トラッカモジュール(100~100c)との間に不要な空間が生じづらい。したがって、トラッカモジュール(100~100c)及びパワーインダクタ(L71)を含む電源供給システム(300)を小型化することが可能となる。
【0278】
第13の態様に係るトラッカモジュール(100~100c)は、モジュール基板(9)と、少なくとも1つのICチップ(80;80a,80b;80c,80d;80e,80f)と、を備える。少なくとも1つのICチップ(80;80a,80b;80c,80d;80e,80f)は、プリレギュレータ回路(10)に含まれるスイッチ(S61~S63,S71~S72)の少なくとも1つと、スイッチトキャパシタ回路(20)に含まれるスイッチ(S11~S44)の少なくとも1つと、出力スイッチ回路(30)に含まれるスイッチ(S51~S54)の少なくとも1つと、を含む。プリレギュレータ回路(10)は、パワーインダクタ(L71)を用いて入力電圧を調整電圧に変換するように構成されている。スイッチトキャパシタ回路(20)は、調整電圧に基づいて複数の離散的電圧を生成するように構成されている。出力スイッチ回路(30)は、複数の離散的電圧の少なくとも1つを選択的にパワーアンプ(2)に出力するように構成されている。モジュール基板(9)の厚さ方向(D0)からの平面視において、モジュール基板(9)は凹部(A03)を有する。モジュール基板(9)の厚さ方向(D0)からの平面視において、パワーインダクタ(L71)の少なくとも一部は、凹部(A03)に配置されている。
【0279】
上記態様に係るトラッカモジュール(100~100c)によれば、トラッカモジュール(100~100c)及びパワーインダクタ(L71)を含む電源供給システム(300)を小型化することが可能となる。
【0280】
第14の態様に係るトラッカモジュール(100;100a)は、第13の態様において、パワーインダクタ(L71)と接続される接続端子(115,116)を更に含む。接続端子(115,116)は、モジュール基板(9)の外縁(93)のうちパワーインダクタ(L71)と対向する部分(935,936)に隣接している。
【0281】
上記態様に係るトラッカモジュール(100;100a)によれば、プリレギュレータ回路(10)において、接続端子(115)とパワーインダクタ(L71)との間の配線長と、接続端子(116)とパワーインダクタ(L71)との間の配線長とをいずれも短くすることが可能となる。したがって、プリレギュレータ回路(10)の耐ノイズ性能が向上する。
【0282】
第15の態様に係るトラッカモジュール(100;100a)では、第14の態様において、接続端子(115,116)は、プリレギュレータ回路(10)に含まれるスイッチ(S61~S63,S71~S72)の少なくとも1つに接続されている。
【0283】
上記態様に係るトラッカモジュール(100;100a)によれば、プリレギュレータ回路(10)の配線長をより短くできるため、プリレギュレータ回路(10)の耐ノイズ性能が更に向上する。
【0284】
第16の態様に係るトラッカモジュール(100;100a)では、第14又は第15の態様において、少なくとも1つのICチップ(80;80a;80c,80d;80e)は、モジュール基板(9)の外縁(93)のうちパワーインダクタ(L71)と対向する部分(935,936)と隣接している。
【0285】
上記態様に係るトラッカモジュール(100;100a)によれば、プリレギュレータ回路(10)の配線長を更に短くできるため、プリレギュレータ回路(10)の耐ノイズ性能が更に向上する。
【0286】
第17の態様に係るトラッカモジュール(100;100a)では、第16の態様において、プリレギュレータ回路(10)に含まれる少なくとも1つのスイッチ(S61~S63,S71,S72)は、モジュール基板(9)の外縁(93)のうちパワーインダクタ(L71)と対向する部分(935,936)と隣接している。
【0287】
上記態様に係るトラッカモジュール(100;100a)によれば、パワーインダクタ(L71)とプリレギュレータ回路(10)に含まれる少なくとも1つのスイッチ(S61~S63,S71,S72)との間の距離が短いため、プリレギュレータ回路(10)の配線長を更に短くできる。
【0288】
第18の態様に係るトラッカモジュール(100;100a)では、第13から第17の態様のいずれかにおいて、第1基板(8)の厚さ方向(D0)からの平面視において、トラッカモジュール(100~100c)及びパワーインダクタ(L71)は、矩形状の第1領域(A01)の内側に位置している。
【0289】
上記態様に係るトラッカモジュール(100;100a)によれば、トラッカモジュール(100~100c)及びパワーインダクタ(L71)を矩形状の1つのデバイスとみなすことが可能であるため、電源供給システム(300)を更に小型化することが可能となる。
【0290】
第19の態様に係るトラッカモジュール(100;100a)では、第18の態様において、第1基板(8)の厚さ方向(D0)からの平面視において、パワーインダクタ(L71)は、第1領域(A01)の一部である第2領域(A03)の内部に位置している。第1基板(8)の厚さ方向(D0)からの平面視において、第2領域(A03)は、第1領域(A01)の一辺に接している。
【0291】
上記態様に係るトラッカモジュール(100;100a)によれば、パワーインダクタ(L71)の外周面の一部がトラッカモジュール(100~100c)と対向していないため、パワーインダクタ(L71)の放熱性を確保することが可能となる。
【0292】
第20の態様に係るトラッカモジュール(100;100a)は、第13から第19の態様のいずれかにおいて、フィルタ回路(40)、を更に含む。フィルタ回路(40)は、出力スイッチ回路(30)に接続される。フィルタ回路(40)は、少なくとも1つのインダクタ(L0~L2)を含む。インダクタ(L0~L2)の少なくとも1つの磁束方向は、パワーインダクタ(L71)の磁束方向と直交する。
【0293】
上記態様に係るトラッカモジュール(100;100a)によれば、プリレギュレータ回路(10)に含まれるパワーインダクタ(L71)と、フィルタ回路(40)に含まれるインダクタ(L0~L2)との磁気結合を低減させることが可能となる。したがって、パワーインダクタ(L71)に起因するフィルタ回路(40)のフィルタ特性劣化を低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0294】
1 電源回路
2 パワーアンプ
3 フィルタ
4 制御回路
5 信号処理回路
51 RF信号処理回路
511 制御部
52 ベースバンド信号処理回路
6 アンテナ
7 通信装置
10 プリレギュレータ回路
20 スイッチトキャパシタ回路
30 出力スイッチ回路
40 フィルタ回路
41 第1LC直列回路
42 第2LC直列回路
50 バンドセレクトスイッチ回路
60 デジタル制御回路
61 第1コントローラ
62 第2コントローラ
601、602、603、604 制御端子
70 直流電源
80、80a、80b、80c、80d、80e、80f ICチップ
81 入出力電極
800 外縁
801 第1辺
802 第2辺
803 第3辺
804 第4辺
9 第2基板(モジュール基板)
91 第1主面
92 第2主面
93 外縁
931 第1辺
932 第2辺
933 第3辺
934 第4辺
935 第5辺
936 第6辺
94 樹脂層
941 主面
943 外周面
95 シールド電極層
901、902 PR容量部
903、903a、903b SC容量部
904 フィルタ回路部
8 第1基板
82 第3主面
83 第4主面
100、100a、100b、100c トラッカモジュール
101、101a、101b PRスイッチ部(第1スイッチ部)
102、102a、102b SCスイッチ部(第2スイッチ部)
103 SMスイッチ部(第3スイッチ部)
104 BSスイッチ部(第4スイッチ部)
110、131、132、133、134、141 入力端子
111、112、113、114、130、142 出力端子
115、116 インダクタ接続端子(接続端子)
117、120、135 制御端子
150 共通端子
151、152、153、154 選択端子
155 制御端子
160 外部接続端子
161 入力端子
164 出力端子
165 入力制御端子
200 高周波システム
300 電源供給システム
A01 領域(第1領域)
A02 領域
A03 領域(第2領域、凹部)
C1 キャパシタ
C2 キャパシタ
C11、C12、C13、C14、C15、C16、C21、C22、C23、C24、C61、C62、C63、C64 キャパシタ
C81、C82 キャパシタ
L0 インダクタ
L1 インダクタ
L2 インダクタ
L71 パワーインダクタ
S11、S12、S13、S14、S21、S22、S23、S24、S31、S32、S33、S34、S41、S42、S43、S44、S51、S52、S53、S54、S61、S62、S63、S71、S72、S81、S82、S83、S84 スイッチ
Sg1 制御信号
Sg2 制御信号
Sg3 制御信号
Sg4 制御信号
Sg7 クロック信号
Sg8 データ信号
T1 アンテナ端子
T2 信号入力端子
T3 第1制御端子
T4 電源接続端子
T5 第2制御端子
DCL1、DCL2 デジタル制御論理信号
Vcc 電源電圧
N1、N2、N3、N4 ノード
D0 厚さ方向
D1 方向(第1方向)
D2 方向(第2方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15