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特開2024-131891トラッカモジュール、高周波システム及び通信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131891
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】トラッカモジュール、高周波システム及び通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/04 20060101AFI20240920BHJP
   H03F 1/02 20060101ALI20240920BHJP
   H03F 3/24 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H04B1/04 A
H03F1/02 111
H03F3/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042413
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂野 達也
(72)【発明者】
【氏名】廣野 敦
(72)【発明者】
【氏名】平井 和斗
【テーマコード(参考)】
5J500
5K060
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA25
5J500AA42
5J500AC46
5J500AC86
5J500AC92
5J500AF10
5J500AF16
5J500AH24
5J500AH29
5J500AK41
5J500AK49
5J500AK65
5J500AM20
5J500AQ06
5J500AS14
5J500AT01
5J500LV08
5J500RG01
5J500WU03
5K060CC04
5K060DD04
5K060EE05
5K060FF06
5K060HH06
5K060HH11
5K060HH39
5K060JJ23
5K060LL11
(57)【要約】
【課題】小型化を図る。
【解決手段】トラッカモジュール100は、モジュール基板12と、第1ICチップ81と、第2ICチップ82と、を備える。第1ICチップ81は、モジュール基板12に配置されている。第2ICチップ82は、パワーアンプを制御する。第1ICチップ81は、入力電圧に基づいて複数の離散的電圧を生成するように構成されているスイッチトキャパシタ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、複数の離散的電圧のうちの少なくとも1つを選択的にパワーアンプに出力するように構成されている出力スイッチ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、を含む。第2ICチップ82は、第1ICチップ81が配置されているモジュール基板12に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール基板と、
前記モジュール基板に配置されている第1ICチップと、
パワーアンプを制御する第2ICチップと、を備え、
前記第1ICチップは、
入力電圧に基づいて複数の離散的電圧を生成するように構成されているスイッチトキャパシタ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、
前記複数の離散的電圧のうちの少なくとも1つを選択的に前記パワーアンプに出力するように構成されている出力スイッチ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、を含み、
前記第2ICチップは、前記第1ICチップが配置されている前記モジュール基板に配置されている、
トラッカモジュール。
【請求項2】
パワーアンプが配置されている第1モジュール基板とは別体の第2モジュール基板と、
前記第2モジュール基板であるモジュール基板に配置されている第1ICチップと、
前記パワーアンプを制御する第2ICチップと、を備え、
前記第1ICチップは、
入力電圧に基づいて複数の離散的電圧を生成するように構成されているスイッチトキャパシタ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、
前記複数の離散的電圧のうちの少なくとも1つを選択的に前記パワーアンプに出力するように構成されている出力スイッチ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、を含み、
前記第2ICチップは、前記第1ICチップが配置されている前記モジュール基板に配置されている、
トラッカモジュール。
【請求項3】
前記モジュール基板は、互いに対向する第1主面及び第2主面を有し、
前記モジュール基板の前記第2主面に配置されている外部接続端子を更に備え、
前記第1ICチップは、前記モジュール基板の前記第2主面に配置されており、
前記第2ICチップは、前記モジュール基板の前記第1主面に配置されている、
請求項1又は2に記載のトラッカモジュール。
【請求項4】
前記モジュール基板は、互いに対向する第1主面及び第2主面を有し、
前記モジュール基板の前記第2主面に配置されている外部接続端子を更に備え、
前記第1ICチップは、前記モジュール基板の前記第1主面に配置されており、
前記第2ICチップは、前記モジュール基板の前記第2主面に配置されている、
請求項1又は2に記載のトラッカモジュール。
【請求項5】
前記モジュール基板は、互いに対向する第1主面及び第2主面を有し、
前記第1ICチップ及び前記第2ICチップは、前記モジュール基板の前記第1主面又は前記第2主面に配置されている、
請求項1又は2に記載のトラッカモジュール。
【請求項6】
前記第1ICチップと前記第2ICチップとが一体である、
請求項5に記載のトラッカモジュール。
【請求項7】
高周波信号のエンベロープに基づいて前記出力スイッチ回路を制御するための制御信号を生成する信号生成部を更に備え、
前記信号生成部は、前記モジュール基板に配置されている、
請求項1又は2に記載のトラッカモジュール。
【請求項8】
前記信号生成部は、前記第1ICチップに含まれている、
請求項7に記載のトラッカモジュール。
【請求項9】
前記第2ICチップに接続されており、前記パワーアンプを制御するための制御信号を出力する制御端子を更に備える、
請求項1又は2に記載のトラッカモジュール。
【請求項10】
前記制御端子は、前記モジュール基板の厚さ方向で、前記第2ICチップと重なるように前記モジュール基板に配置されている、
請求項9に記載のトラッカモジュール。
【請求項11】
請求項1に記載のトラッカモジュールと、
前記パワーアンプと、を備え、
前記パワーアンプは、前記モジュール基板に配置されている、
高周波システム。
【請求項12】
請求項11に記載の高周波システムと、
前記高周波システムに接続されている信号処理回路と、を備える、
通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にトラッカモジュール、高周波システム及び通信装置に関し、より詳細には、複数のICチップを備えるトラッカモジュール、トラッカモジュールを備える高周波システム、及び高周波システムを備える通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、高周波信号に応じて時間の経過とともに動的に調整された電源電圧をパワーアンプに供給可能な電源制御ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8829993号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された電源制御ユニットの構成をモジュール化した場合、大型化する場合がある。
【0005】
本発明の目的は、小型化を図ることが可能なトラッカモジュール、高周波システム及び通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るトラッカモジュールは、モジュール基板と、第1ICチップと、第2ICチップと、を備える。前記第1ICチップは、前記モジュール基板に配置されている。前記第2ICチップは、パワーアンプを制御する。前記第1ICチップは、入力電圧に基づいて複数の離散的電圧を生成するように構成されているスイッチトキャパシタ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、前記複数の離散的電圧のうちの少なくとも1つを選択的に前記パワーアンプに出力するように構成されている出力スイッチ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、を含む。前記第2ICチップは、前記第1ICチップが配置されている前記モジュール基板に配置されている。
【0007】
本発明の一態様に係るトラッカモジュールは、第2モジュール基板と、第1ICチップと、第2ICチップと、を備える。前記第2モジュール基板は、パワーアンプが配置されている第1モジュール基板とは別体である。前記第1ICチップは、前記第2モジュール基板であるモジュール基板に配置されている。前記第2ICチップは、前記パワーアンプを制御する。前記第1ICチップは、入力電圧に基づいて複数の離散的電圧を生成するように構成されているスイッチトキャパシタ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、前記複数の離散的電圧のうちの少なくとも1つを選択的に前記パワーアンプに出力するように構成されている出力スイッチ回路に含まれる少なくとも1つのスイッチと、を含む。前記第2ICチップは、前記第1ICチップが配置されている前記モジュール基板に配置されている。
【0008】
本発明の一態様に係る高周波システムは、前記トラッカモジュールと、前記パワーアンプと、を備える。前記パワーアンプは、前記モジュール基板に配置されている。
【0009】
本発明の一態様に係る通信装置は、前記高周波システムと、信号処理回路と、を備える。前記信号処理回路は、前記高周波システムに接続されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様に係るトラッカモジュール、高周波システム及び通信装置によれば、小型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1に係るトラッカモジュール、高周波システム及び通信装置の断面図である。
図2図2は、同上の電源回路、高周波システム及び通信装置の回路ブロック図である。
図3図3Aは、デジタルETモードにおける電源電圧の遷移の一例を示す波形図である。図3Bは、アナログETモードにおける電源電圧の遷移の一例を示す波形図である。
図4図4は、同上の電源回路の回路図である。
図5図5は、同上の電源回路におけるデジタル制御回路の回路構成図である。
図6図6は、同上のトラッカモジュールのモジュール基板の底面図である。
図7図7は、実施形態2に係るトラッカモジュール、高周波システム及び通信装置の断面図である。
図8図8は、実施形態3に係るトラッカモジュールの断面図である。
図9図9は、実施形態4に係るトラッカモジュールの断面図である。
図10図10は、参考例1に係るトラッカモジュール、高周波システム及び通信装置の断面図である。
図11図11は、参考例2に係るトラッカモジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態1~4に係るトラッカモジュール、高周波システム及び通信装置について、図面を参照して説明する。また、参考例1,2に係るトラッカモジュール、高周波システム及び通信装置について、図面を参照して説明する。以下の実施形態等において参照する図は、模式的な図であり、図中の構成要素の大きさ及び厚さは必ずしも実際の寸法を反映しているとは限らず、構成要素間における大きさの比及び厚さの比も、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0013】
(実施形態1)
(1)トラッカモジュール
まず、実施形態1に係るトラッカモジュール100について、図面を参照して説明する。
【0014】
実施形態1に係るトラッカモジュール100は、図1及び図2に示すように、モジュール基板12と、第1ICチップ81と、第2ICチップ82と、を備える。第1ICチップ81は、モジュール基板12に配置されている。第2ICチップ82は、パワーアンプ2を制御する。第1ICチップ81は、入力電圧に基づいて複数の離散的電圧を生成するように構成されているスイッチトキャパシタ回路20に含まれる少なくとも1つのスイッチS61~S64,S71,S72(図4参照)と、複数の離散的電圧のうちの少なくとも1つを選択的にパワーアンプ2に出力するように構成されている出力スイッチ回路30に含まれる少なくとも1つのスイッチS51~S54(図4参照)と、を含む。第2ICチップ82は、第1ICチップ81が配置されているモジュール基板12に配置されている。
【0015】
(2)電源回路、高周波システム及び通信装置の回路構成
次に、実施形態1に係る電源回路1、高周波システム200及び通信装置7の回路構成について、図面を参照して説明する。
【0016】
(2.1)高周波システムの回路構成
高周波システム200は、図2に示すように、電源回路1と、パワーアンプ2と、フィルタ3と、複数の外部接続端子と、を備える。複数の外部接続端子は、アンテナ端子T1と、信号入力端子T2と、第1制御端子T3と、電源接続端子T4と、4つ(図2では1つのみ図示)の第2制御端子T5と、を含む。
【0017】
また、高周波システム200は、図示を省略しているが、ローノイズアンプ及び受信フィルタを有する受信経路を備えている。つまり、高周波システム200は、ローノイズアンプと、受信フィルタと、ローノイズアンプと受信フィルタとの間に設けられている入力整合回路と、を更に備える。
【0018】
電源回路1は、エンベロープ信号に基づいて複数の離散的な電圧レベルの中から選択される電圧レベルを有する電源電圧Vccをパワーアンプ2に供給する回路である。
【0019】
電源回路1及びパワーアンプ2を備える通信装置7では、パワーアンプ2において、高周波信号を増幅する際に、エンベロープ・トラッキング方式(以下、「ET方式」という)が用いられる。ET方式には、アナログ・エンベロープ・トラッキング方式(以下、「アナログET方式」という)と、デジタル・エンベロープ・トラッキング方式(以下、「デジタルET方式」という)とがある。
【0020】
デジタルET方式は、1フレーム内で、電圧レベルの異なる複数の離散的電圧を用いて高周波信号(変調波)の包絡線を追跡する方式である。以下、デジタルET方式が電源電圧Vccの生成に適用されるモードをデジタルETモードと呼ぶ。また、アナログET方式は、連続的な電圧レベルを用いて高周波信号の包絡線を追跡する方式である。以下、アナログET方式が電源電圧Vccの生成に適用されるモードをアナログETモードと呼ぶ。
【0021】
フレームとは、高周波信号を構成する単位を表す。例えば、5G NR(5th Generation New Radio)及びLTE(登録商標、Long Term Evolution)では、フレームは、10個のサブフレームを含み、各サブフレームは、複数のスロットを含み、各スロットは、複数のシンボルを含む。各サブフレーム長は1msであり、フレーム長は10msである。
【0022】
ここで、デジタルETモード及びアナログETモードについて、図3A及び図3Bを参照して説明する。
【0023】
デジタルETモードでは、図3Aに示すように、1フレーム内で、複数の離散的な電圧レベルに電源電圧Vccを変動させることで高周波信号の包絡線を追跡する。その結果、電源電圧Vccの波形は、矩形波状の波形となる。デジタルETモードでは、エンベロープ信号に基づいて、複数の離散的な電圧レベルの中から電源電圧レベルが選択される。
【0024】
アナログETモードでは、図3Bに示すように、電源電圧Vccを連続的に変動させることで高周波信号の包絡線を追跡する。アナログETモードでは、エンベロープ信号に基づいて、電源電圧Vccが決定される。アナログETモードでは、チャネル帯域幅が狭い場合(チャネル帯域幅が例えば60MHz未満である場合)には、電源電圧Vccが高周波信号の包絡線の変化に追随しやすいが、チャネル帯域幅が広い場合(チャネル帯域幅が例えば60MHz以上である場合)には、電源電圧Vccが高周波信号の包絡線の変化に追随しにくくなる。言い換えると、チャネル帯域幅が広い場合には、電源電圧Vccの振幅変化は、高周波信号の包絡線の変化に対して遅れが生じやすくなる。
【0025】
これに対して、チャネル帯域幅が広い場合には、デジタルETモードを適用することで、電源電圧Vccの高周波信号への追随性を改善させることができる。
【0026】
電源回路1は、図2に示すように、プリレギュレータ回路10と、スイッチトキャパシタ回路20と、出力スイッチ回路30と、制御回路4と、を備える。
【0027】
プリレギュレータ回路10は、例えば、通信装置7が備える直流電源71から供給される直流電圧(第1電圧)を第2電圧に変換するDC(Direct Current)/DCコンバータである。プリレギュレータ回路10は、第1電圧の電圧値よりも第2電圧の電圧値を大きくする昇圧動作と、第1電圧の電圧値よりも第2電圧の電圧値を小さくする降圧動作と、を行うように構成されている。つまり、プリレギュレータ回路10は、昇降圧型のDC/DCコンバータである。
【0028】
スイッチトキャパシタ回路20は、プリレギュレータ回路10からの第2電圧を入力電圧とし、複数の離散的電圧(複数の第3電圧)を生成するように構成されている。複数の離散的電圧は、互いに異なる電圧レベルを有する。スイッチトキャパシタ回路20は、スイッチトキャパシタ電圧バランサ(Switched-Capacitor Voltage Balancer)と呼ばれる場合もある。
【0029】
出力スイッチ回路30は、エンベロープ信号に対応するデジタル制御信号に基づいて、スイッチトキャパシタ回路20で生成された複数の離散的電圧(複数の第3電圧)のうちの少なくとも1つを選択的にパワーアンプ2に出力するように構成されている。出力スイッチ回路30は、複数の離散的電圧の中から選択された少なくとも1つの離散的電圧を出力する。電源回路1では、出力スイッチ回路30での離散的電圧の選択を時間の経過とともに繰り返すことで、出力スイッチ回路30の出力電圧(電源電圧Vcc)の電圧レベルを時間の経過とともに変化させることができる。これにより、電源回路1は、パワーアンプ2へ供給する電源電圧Vccの電圧レベルを時間の経過とともに変化させることができる。
【0030】
制御回路4は、第1制御端子T3を介して信号処理回路5のRF信号処理回路51に接続されている。また、制御回路4は、後述の制御端子184を介してパワーアンプ2の制御端子に接続されている。制御回路4は、信号処理回路5のRF信号処理回路51からの制御信号を受けることにより、パワーアンプ2の制御端子へ供給するバイアス電流(又はバイアス電圧)の大きさ及び供給タイミングを制御する。
【0031】
パワーアンプ2は、入力端子、出力端子、電源端子及び制御端子を有する。パワーアンプ2の入力端子は、信号入力端子T2を介して通信装置7の信号処理回路5に接続される。パワーアンプ2の出力端子は、フィルタ3及びアンテナ端子T1を介して通信装置7のアンテナ6に接続される。パワーアンプ2は、信号処理回路5から出力された所定バンドの高周波送信信号(以下、「送信信号」と記す)を増幅して出力する。
【0032】
フィルタ3は、パワーアンプ2の出力端子とアンテナ端子T1との間に接続されている。フィルタ3は、所定バンドの周波数帯域を含む通過帯域を有する。これにより、フィルタ3は、パワーアンプ2で増幅された所定バンドの送信信号を通過させることができる。高周波システム200では、パワーアンプ2から出力される送信信号を、フィルタ3及びアンテナ端子T1を介してアンテナ6へ出力する。
【0033】
(2.2)通信装置
通信装置7は、図2に示すように、高周波システム200と、信号処理回路5と、アンテナ6と、直流電源71と、を備える。信号処理回路5は、高周波システム200に接続されている。
【0034】
直流電源71は、例えば、充電式電池(rechargeable battery)である。なお、直流電源71は、充電式電池に限定されず、他の電池であってもよい。
【0035】
アンテナ6は、アンテナ端子T1から出力される所定バンドの送信信号を送信する。
【0036】
信号処理回路5は、RF信号処理回路51と、ベースバンド信号処理回路52と、を含む。RF信号処理回路51は、例えば、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)であり、高周波信号に対する信号処理を行う。RF信号処理回路51は、例えば、ベースバンド信号処理回路52から出力される高周波信号(送信信号)に対してアップコンバート等の信号処理を行い、信号処理が行われた高周波信号を出力する。ベースバンド信号処理回路52は、例えば、BBIC(Baseband Integrated Circuit)である。ベースバンド信号処理回路52は、ベースバンド信号からI相信号及びQ相信号を生成する。ベースバンド信号は、例えば、外部から入力される音声信号又は画像信号である。ベースバンド信号処理回路52は、I相信号とQ相信号とを合成することでIQ変調処理を行って、送信信号を出力する。この際、送信信号は、所定周波数の搬送波信号を、搬送波信号の周期よりも長い周期で振幅変調される変調信号(IQ信号)として生成される。
【0037】
また、RF信号処理回路51は、電源回路1及びパワーアンプ2を制御する制御部53を有する。RF信号処理回路51の制御部53は、ベースバンド信号処理回路52から入力される高周波入力信号のエンベロープ信号に基づいて、スイッチトキャパシタ回路20で生成された複数の離散的電圧の電圧レベルの中からパワーアンプ2で用いられる電源電圧Vccの電圧レベルを出力スイッチ回路30に選択させる。これにより、電源回路1は、デジタル・エンベロープ・トラッキングに基づいて電源電圧Vccを出力する。エンベロープ信号とは、高周波信号(変調波)の包絡線を示す信号である。エンベロープ値は、例えば(I+Q1/2である。ここで、(I,Q)は、コンスタレーションポイントを表す。コンスタレーションポイントとは、デジタル変調によって変調された信号をコンスタレーションダイヤグラム上で表す点である。(I,Q)は、例えば、送信情報に基づいてベースバンド信号処理回路52で決定される。なお、RF信号処理回路51の制御部53としての機能の一部又は全部は、RF信号処理回路51の外部にあってもよく、例えば、ベースバンド信号処理回路52又は電源回路1がRF信号処理回路51の制御部53としての機能の一部又は全部を備えてもよい。例えば、出力スイッチ回路30に電源電圧Vccの電圧レベルを選択させる制御機能を、RF信号処理回路51が備えず、電源回路1が備えてもよい。
【0038】
(2.3)電源回路
電源回路1は、図4に示すように、プリレギュレータ回路10と、スイッチトキャパシタ回路20と、出力スイッチ回路30と、フィルタ回路40と、バンドセレクトスイッチ回路50と、デジタル制御回路60(図5参照)と、制御回路4(図2参照)と、を備える。
【0039】
(2.4)プリレギュレータ回路
プリレギュレータ回路10は、図4に示すように、入力端子110と、複数(図4の例では4つ)の出力端子111~114と、複数のインダクタ接続端子115,116と、制御端子117と、複数(図4の例では5つ)のスイッチS61~S63,S71,S72と、パワーインダクタL71と、複数(図4の例では4つ)のキャパシタC61~C64と、を備える。パワーインダクタL71は、直流電圧の昇圧及び/又は降圧(昇圧、降圧又は昇降圧)に用いられるインダクタである。
【0040】
入力端子110は、直流電圧の入力端子である。つまり、入力端子110は、直流電源71(図2参照)から入力電圧を受けるための端子である。
【0041】
出力端子111は、電圧V4の出力端子である。つまり、出力端子111は、スイッチトキャパシタ回路20に電圧V4を供給するための端子である。出力端子111は、スイッチトキャパシタ回路20のノードN4に接続されている。
【0042】
出力端子112は、電圧V3の出力端子である。つまり、出力端子112は、スイッチトキャパシタ回路20に電圧V3を供給するための端子である。出力端子112は、スイッチトキャパシタ回路20のノードN3に接続されている。
【0043】
出力端子113は、電圧V2の出力端子である。つまり、出力端子113は、スイッチトキャパシタ回路20に電圧V2を供給するための端子である。出力端子113は、スイッチトキャパシタ回路20のノードN2に接続されている。
【0044】
出力端子114は、電圧V1の出力端子である。つまり、出力端子114は、スイッチトキャパシタ回路20に電圧V1を供給するための端子である。出力端子114は、スイッチトキャパシタ回路20のノードN1に接続されている。
【0045】
インダクタ接続端子115は、パワーインダクタL71の一端(第1端)に接続されている。インダクタ接続端子116は、パワーインダクタL71の他端(第2端)に接続されている。
【0046】
制御端子117は、制御信号Sg1の入力端子である。つまり、制御端子117は、プリレギュレータ回路10を制御するための制御信号Sg1を受けるための端子である。制御信号Sg1は、プリレギュレータ回路10に含まれる複数のスイッチS61~S63,S71,S72のオン/オフを制御するための信号である。
【0047】
スイッチS71は、入力端子110とパワーインダクタL71の一端との間に接続されている。具体的には、スイッチS71は、入力端子110に接続されている第1端子と、インダクタ接続端子115を介してパワーインダクタL71の一端に接続されている第2端子と、を有する。上記の接続構成において、スイッチS71は、オン/オフを切り替えることで、入力端子110とパワーインダクタL71の一端との間の接続及び非接続を切り替える。
【0048】
スイッチS72は、パワーインダクタL71の一端とグランドとの間に接続されている。具体的には、スイッチS72は、インダクタ接続端子115を介してパワーインダクタL71の一端に接続されている第1端子と、グランドに接続されている第2端子と、を有する。上記の接続構成において、スイッチS72は、オン/オフを切り替えることで、パワーインダクタL71の一端とグランドとの間の接続及び非接続を切り替える。
【0049】
スイッチS61は、パワーインダクタL71の他端と出力端子111との間に接続されている。具体的には、スイッチS61は、パワーインダクタL71の他端に接続されている第1端子と、出力端子111に接続されている第2端子と、有する。上記の接続構成において、スイッチS61は、オン/オフを切り替えることで、パワーインダクタL71の他端と出力端子111との間の接続及び非接続を切り替える。
【0050】
スイッチS62は、パワーインダクタL71の他端と出力端子112との間に接続されている。具体的には、スイッチS62は、パワーインダクタL71の他端に接続されている第1端子と、出力端子112に接続されている第2端子と、有する。上記の接続構成において、スイッチS62は、オン/オフを切り替えることで、パワーインダクタL71の他端と出力端子112との間の接続及び非接続を切り替える。
【0051】
スイッチS63は、パワーインダクタL71の他端と出力端子113との間に接続されている。具体的には、スイッチS63は、パワーインダクタL71の他端に接続されている第1端子と、出力端子113に接続されている第2端子と、有する。上記の接続構成において、スイッチS63は、オン/オフを切り替えることで、パワーインダクタL71の他端と出力端子113との間の接続及び非接続を切り替える。
【0052】
キャパシタC61は、出力端子111と出力端子112との間に接続されている。キャパシタC61の2つの電極の一方は、スイッチS61及び出力端子111に接続され、キャパシタC61の2つの電極の他方は、スイッチS62及び出力端子112と、キャパシタC62の2つの電極の一方とに接続されている。
【0053】
キャパシタC62は、出力端子112と出力端子113との間に接続されている。キャパシタC62の2つの電極の一方は、スイッチS62及び出力端子112と、キャパシタC61の2つの電極の他方とに接続され、キャパシタC62の2つの電極の他方は、スイッチS63及び出力端子113と、キャパシタC63の2つの電極の一方とに接続されている。
【0054】
キャパシタC63は、出力端子113と出力端子114との間に接続されている。キャパシタC63の2つの電極の一方は、スイッチS63及び出力端子113と、キャパシタC62の2つの電極の他方とに接続され、キャパシタC63の2つの電極の他方は、出力端子114と、キャパシタC64の2つの電極の一方とに接続されている。
【0055】
キャパシタC64は、出力端子114とグランドとの間に接続されている。キャパシタC64の2つの電極の一方は、出力端子114と、キャパシタC63の2つの電極の他方とに接続され、キャパシタC64の2つの電極の他方は、グランドに接続されている。
【0056】
複数のスイッチS61~S63は、排他的にオンになるように制御される。つまり、スイッチS61~S63のいずれかのみがオンにされ、スイッチS61~S63の残りがオフにされる。スイッチS61~S63のいずれをオンとするかにより、電圧V1~V4の電圧レベルを変化させることが可能となる。
【0057】
上記のように構成されたプリレギュレータ回路10は、複数の出力端子111~114の少なくとも1つを介してスイッチトキャパシタ回路20に電荷を供給する。
【0058】
(2.5)スイッチトキャパシタ回路
スイッチトキャパシタ回路20は、図4に示すように、複数(図4の例では6つ)のキャパシタC11~C16と、複数(図4の例では4つ)のキャパシタC21~C24と、複数(図4の例では16個)のスイッチS11~S14,S21~S24,S31~S34,S41~S44と、制御端子210と、を備える。
【0059】
制御端子210は、デジタル制御回路60(図5参照)からの制御信号Sg2の入力端子である。制御信号Sg2は、スイッチトキャパシタ回路20に含まれる複数のスイッチS11~S14,S21~S24,S31~S34,S41~S44のオン/オフを制御するための信号である。
【0060】
複数のキャパシタC11~C16の各々は、フライングキャパシタ(トランスファキャパシタ)として機能する。つまり、複数のキャパシタC11~C16の各々は、プリレギュレータ回路10から供給される電圧(入力電圧)を昇圧又は降圧するために用いられる。より具体的には、複数のキャパシタC11~C16は、4つのノードN1~N4においてV1:V2:V3:V4=1:2:3:4を満たす電圧V1~V4(グランド電位に対する電圧)が維持されるように、キャパシタC11~C16とノードN1~N4との間で電荷を移動させる。複数の電圧V1~V4は、複数の離散的な電圧レベルをそれぞれ有する複数の離散的電圧に相当する。電圧V1は、ノードN1における電圧であり、電圧V2は、ノードN2における電圧であり、電圧V3は、ノードN3における電圧であり、電圧V4は、ノードN4における電圧である。
【0061】
キャパシタC11は、2つの電極を有する。キャパシタC11の2つの電極の一方は、スイッチS11の一端(第1端)及びスイッチS12の一端(第1端)に接続されている。キャパシタC11の2つの電極の他方は、スイッチS21の一端(第1端)及びスイッチS22の一端(第1端)に接続されている。
【0062】
キャパシタC12は、2つの電極を有する。キャパシタC12の2つの電極の一方は、スイッチS21の一端及びスイッチS22の一端に接続されている。キャパシタC12の2つの電極の他方は、スイッチS31の一端(第1端)及びスイッチS32の一端(第1端)に接続されている。
【0063】
キャパシタC13は、2つの電極を有する。キャパシタC13の2つの電極の一方は、スイッチS31の一端及びスイッチS32の一端に接続されている。キャパシタC13の2つの電極の他方は、スイッチS41の一端(第1端)及びスイッチS42の一端(第1端)に接続されている。
【0064】
キャパシタC14は、2つの電極を有する。キャパシタC14の2つの電極の一方は、スイッチS13の一端(第1端)及びスイッチS14の一端(第1端)に接続されている。キャパシタC14の2つの電極の他方は、スイッチS23の一端(第1端)及びスイッチS24の一端(第1端)に接続されている。
【0065】
キャパシタC15は、2つの電極を有する。キャパシタC15の2つの電極の一方は、スイッチS23の一端及びスイッチS24の一端に接続されている。キャパシタC15の2つの電極の他方は、スイッチS33の一端(第1端)及びスイッチS34の一端(第1端)に接続されている。
【0066】
キャパシタC16は、2つの電極を有する。キャパシタC16の2つの電極の一方は、スイッチS33の一端及びスイッチS34の一端に接続されている。キャパシタC16の2つの電極の他方は、スイッチS43の一端(第1端)及びスイッチS44の一端(第1端)に接続されている。
【0067】
キャパシタC11,C14のセット、キャパシタC12,C15のセット、及びキャパシタC13,C16のセットの各々は、第1フェーズ及び第2フェーズが繰り返されることで相補的に充電及び放電を行うことが可能である。
【0068】
第1フェーズでは、スイッチS12,S13,S22,S23,S32,S33,S42,S43がオンにされる。これにより、例えば、キャパシタC12の2つの電極の一方はノードN3に接続され、キャパシタC12の2つの電極の他方及びキャパシタC15の2つの電極の一方はノードN2に接続され、キャパシタC15の2つの電極の他方はノードN1に接続される。
【0069】
第2フェーズでは、スイッチS11,S14,S21,S24,S31,S34,S41,S44がオンにされる。これにより、例えば、キャパシタC15の2つの電極の一方はノードN3に接続され、キャパシタC15の2つの電極の他方及びキャパシタC12の2つの電極の一方はノードN2に接続され、キャパシタC12の2つの電極の他方は、ノードN1に接続される。
【0070】
第1フェーズ及び第2フェーズが繰り返されることにより、例えば、キャパシタC12,C15の一方がノードN2から充電されているときに、キャパシタC12,C15の他方がキャパシタC23に放電することができる。つまり、キャパシタC12,C15は、相補的に充電及び放電を行うことができる。キャパシタC12,C15は、相補的に充電及び放電を行う一対のフライングキャパシタである。
【0071】
なお、キャパシタC11,C14のセットも、適宜スイッチを切り替えることで、キャパシタC12,C15のセットと同様に、相補的にノードからの充電及び平滑キャパシタへの放電を行う一対のフライングキャパシタとなる。また、キャパシタC13,C16のセットも、適宜スイッチを切り替えることで、キャパシタC12,C15のセットと同様に、相補的にノードからの充電及び平滑キャパシタへの放電を行う一対のフライングキャパシタとなる。
【0072】
複数のキャパシタC21~C24の各々は、平滑キャパシタとして機能する。つまり、キャパシタC21~C24の各々は、ノードN1~N4における電圧V1~V4の保持及び平滑化に用いられる。
【0073】
キャパシタC21は、ノードN1とグランドとの間に接続されている。具体的には、キャパシタC21の2つの電極の一方は、ノードN1に接続されている。一方、キャパシタC21の2つの電極の他方は、グランドに接続されている。
【0074】
キャパシタC22は、ノードN2とノードN1との間に接続されている。具体的には、キャパシタC22の2つの電極の一方は、ノードN2に接続されている。一方、キャパシタC22の2つの電極の他方は、ノードN1に接続されている。
【0075】
キャパシタC23は、ノードN3とノードN2との間に接続されている。具体的には、キャパシタC23の2つの電極の一方は、ノードN3に接続されている。一方、キャパシタC23の2つの電極の他方は、ノードN2に接続されている。
【0076】
キャパシタC24は、ノードN4とノードN3との間に接続されている。具体的には、キャパシタC24の2つの電極の一方は、ノードN4に接続されている。一方、キャパシタC24の2つの電極の他方は、ノードN3に接続されている。
【0077】
スイッチS11は、キャパシタC11の2つの電極の一方とノードN3との間に接続されている。具体的には、スイッチS11の一端(第1端)は、キャパシタC11の2つの電極の一方に接続されている。一方、スイッチS11の他端(第2端)は、ノードN3に接続されている。
【0078】
スイッチS12は、キャパシタC11の2つの電極の一方とノードN4との間に接続されている。具体的には、スイッチS12の一端(第1端)は、キャパシタC11の2つの電極の一方に接続されている。一方、スイッチS12の他端(第2端)は、ノードN4に接続されている。
【0079】
スイッチS21は、キャパシタC12の2つの電極の一方とノードN2との間に接続されている。具体的には、スイッチS21の一端(第1端)は、キャパシタC12の2つの電極の一方及びキャパシタC11の2つの電極の他方に接続されている。一方、スイッチS21の他端(第2端)は、ノードN2に接続されている。
【0080】
スイッチS22は、キャパシタC12の2つの電極の一方とノードN3との間に接続されている。具体的には、スイッチS22の一端(第1端)は、キャパシタC12の2つの電極の一方及びキャパシタC11の2つの電極の他方に接続されている。一方、スイッチS22の他端(第2端)は、ノードN3に接続されている。つまり、スイッチS22の他端は、スイッチS21の他端に接続されている。
【0081】
スイッチS31は、キャパシタC12の2つの電極の他方とノードN1との間に接続されている。具体的には、スイッチS31の一端(第1端)は、キャパシタC12の2つの電極の他方及びキャパシタC13の2つの電極の一方に接続されている。一方、スイッチS31の他端(第2端)は、ノードN1に接続されている。
【0082】
スイッチS32は、キャパシタC12の2つの電極の他方とノードN2との間に接続されている。具体的には、スイッチS32の一端(第1端)は、キャパシタC12の2つの電極の他方及びキャパシタC13の2つの電極の一方に接続される。一方、スイッチS32の他端(第2端)は、ノードN2に接続されている。つまり、スイッチS32の他端は、スイッチS21の他端に接続されている。
【0083】
スイッチS41は、キャパシタC13の2つの電極の他方とグランドとの間に接続されている。具体的には、スイッチS41の一端(第1端)は、キャパシタC13の2つの電極の他方に接続されている。一方、スイッチS41の他端(第2端)は、グランドに接続されている。
【0084】
スイッチS42は、キャパシタC13の2つの電極の他方とノードN1との間に接続されている。具体的には、スイッチS42の一端(第1端)は、キャパシタC13の2つの電極の他方に接続されている。一方、スイッチS42の他端(第2端)は、ノードN1に接続されている。つまり、スイッチS42の他端は、スイッチS31の他端に接続されている。
【0085】
スイッチS13は、キャパシタC14の2つの電極の一方とノードN3との間に接続されている。具体的には、スイッチS13の一端(第1端)は、キャパシタC14の2つの電極の一方に接続されている。一方、スイッチS13の他端(第2端)は、ノードN3に接続されている。つまり、スイッチS13の他端は、スイッチS11の他端及びスイッチS22の他端に接続されている。
【0086】
スイッチS14は、キャパシタC14の2つの電極の一方とノードN4との間に接続されている。具体的には、スイッチS14の一端(第1端)は、キャパシタC14の2つの電極の一方に接続されている。一方、スイッチS14の他端(第2端)は、ノードN4に接続されている。つまり、スイッチS14の他端は、スイッチS12の他端に接続されている。
【0087】
スイッチS23は、キャパシタC15の2つの電極の一方とノードN2との間に接続されている。具体的には、スイッチS23の一端(第1端)は、キャパシタC15の2つの電極の一方及びキャパシタC14の2つの電極の他方に接続される。一方、スイッチS23の他端(第2端)は、ノードN2に接続されている。つまり、スイッチS23の他端は、スイッチS21の他端及びスイッチS32の他端に接続されている。
【0088】
スイッチS24は、キャパシタC15の2つの電極の一方とノードN3との間に接続されている。具体的には、スイッチS24の一端(第1端)は、キャパシタC15の2つの電極の一方及びキャパシタC14の2つの電極の他方に接続されている。一方、スイッチS24の他端(第2端)は、ノードN3に接続されている。つまり、スイッチS24の他端は、スイッチS11の他端、スイッチS22の他端及びスイッチS13の他端に接続されている。
【0089】
スイッチS33は、キャパシタC15の2つの電極の他方とノードN1との間に接続されている。具体的には、スイッチS33の一端(第1端)は、キャパシタC15の2つの電極の他方及びキャパシタC16の2つの電極の一方に接続されている。一方、スイッチS33の他端(第2端)は、ノードN1に接続されている。つまり、スイッチS33の他端は、スイッチS31の他端及びスイッチS42の他端に接続されている。
【0090】
スイッチS34は、キャパシタC15の2つの電極の他方とノードN2との間に接続されている。具体的には、スイッチS34の一端(第1端)は、キャパシタC15の2つの電極の他方及びキャパシタC16の2つの電極の一方に接続されている。一方、スイッチS34の他端(第2端)は、ノードN2に接続されている。つまり、スイッチS34の他端は、スイッチS21の他端、スイッチS32の他端及びスイッチS23の他端に接続されている。
【0091】
スイッチS43は、キャパシタC16の2つの電極の他方とグランドとの間に接続されている。具体的には、スイッチS43の一端(第1端)は、キャパシタC16の2つの電極の他方に接続されている。一方、スイッチS43の他端(第2端)は、グランドに接続されている。
【0092】
スイッチS44は、キャパシタC16の2つの電極の他方とノードN1との間に接続されている。具体的には、スイッチS44の一端(第1端)は、キャパシタC16の2つの電極の他方に接続されている。一方、スイッチS44の他端(第2端)は、ノードN1に接続されている。つまり、スイッチS44の他端は、スイッチS31の他端、スイッチS42の他端及びスイッチS33の他端に接続されている。
【0093】
スイッチS12,S13,S22,S23,S32,S33,S42,S43を含む第1セットのスイッチと、スイッチS11,S14,S21,S24,S31,S34,S41,S44を含む第2セットのスイッチとは、相補的にオン及びオフが切り替えられる。具体的には、第1フェーズでは、第1セットのスイッチがオンにされ、第2セットのスイッチがオフにされる。逆に、第2フェーズでは、第1セットのスイッチがオフにされ、第2セットのスイッチがオンにされる。
【0094】
例えば、第1フェーズ及び第2フェーズの一方において、キャパシタC11~C13からキャパシタC21~C24への充電が実行され、第1フェーズ及び第2フェーズの他方において、キャパシタC14~C16からキャパシタC21~C24への充電が実行される。つまり、キャパシタC21~C24には、常にキャパシタC11~C13又はキャパシタC14~C16から充電されるので、ノードN1~N4から出力スイッチ回路30へ高速で電流が流れてもノードN1~N4に高速で電荷が補充される。これにより、ノードN1~N4の電位変動を抑制できる。
【0095】
上記のように動作することで、スイッチトキャパシタ回路20は、キャパシタC21~C24のそれぞれの両端でほぼ等しい電圧を維持することができる。具体的には、4つのノードN1~N4において、V1:V2:V3:V4=1:2:3:4を満たす電圧V1~V4(グランド電位に対する電圧)が維持される。電圧V1~V4の電圧レベルは、スイッチトキャパシタ回路20によって出力スイッチ回路30に供給される複数の離散的な電圧レベルに対応する。
【0096】
なお、電圧比V1:V2:V3:V4は、1:2:3:4に限定されない。例えば、電圧比V1:V2:V3:V4は、1:2:4:8であってもよい。
【0097】
(2.6)出力スイッチ回路
出力スイッチ回路30は、図4に示すように、複数(図4の例では4つ)の入力端子311~314と、複数(図4の例では4つ)のスイッチS51~S54と、出力端子310と、制御端子315と、を備える。
【0098】
出力端子310は、フィルタ回路40に接続されている。出力端子310は、フィルタ回路40を介してパワーアンプ2に、電圧V1~V4の中から選択された電圧を電源電圧Vccとして供給するための端子である。
【0099】
複数の入力端子311~314は、スイッチトキャパシタ回路20のノードN4~N1にそれぞれ接続されている。複数の入力端子311~314は、スイッチトキャパシタ回路20から電圧V4~V1を受けるための端子である。
【0100】
制御端子315は、デジタル制御回路60(図5参照)からの制御信号Sg3の入力端子である。制御信号Sg3は、出力スイッチ回路30に含まれる複数のスイッチS51~S54のオン/オフを制御するための信号である。出力スイッチ回路30は、制御信号Sg3に基づいて、複数のスイッチS51~S54のオン/オフを制御する。
【0101】
スイッチS51は、入力端子311と出力端子310との間に接続されている。具体的には、スイッチS51は、入力端子311に接続されている第1端子と、出力端子310に接続されている第2端子と、を有する。上記の接続構成において、スイッチS51は、オン/オフを切り替えることで、入力端子311と出力端子310との接続及び非接続を切り替える。
【0102】
スイッチS52は、入力端子312と出力端子310との間に接続されている。具体的には、スイッチS52は、入力端子312に接続されている第1端子と、出力端子310に接続されている第2端子と、を有する。上記の接続構成において、スイッチS52は、オン/オフを切り替えることで、入力端子312と出力端子310との接続及び非接続を切り替える。
【0103】
スイッチS53は、入力端子313と出力端子310との間に接続されている。具体的には、スイッチS53は、入力端子313に接続されている第1端子と、出力端子310に接続されている第2端子と、を有する。上記の接続構成において、スイッチS53は、オン/オフを切り替えることで、入力端子313と出力端子310との接続及び非接続を切り替える。
【0104】
スイッチS54は、入力端子314と出力端子310との間に接続されている。具体的には、スイッチS54は、入力端子314に接続されている第1端子と、出力端子310に接続されている第2端子と、を有する。上記の接続構成において、スイッチS54は、オン/オフを切り替えることで、入力端子314と出力端子310との接続及び非接続を切り替える。
【0105】
複数のスイッチS51~S54は、排他的にオンになるように制御される。つまり、スイッチS51~S54のいずれかのみがオンにされ、スイッチS51~S54の残りがオフにされる。これにより、出力スイッチ回路30は、電圧V1~V4の中から選択された1つの電圧を出力することができる。
【0106】
出力スイッチ回路30は、上記の構成を有することにより、エンベロープ信号に対応するデジタル制御信号が制御端子315から入力され、制御端子315から入力されたデジタル制御信号に基づいて、複数のスイッチS51~S54のオンオフを制御する。これにより、出力スイッチ回路30は、スイッチトキャパシタ回路20で生成される複数の電圧V1~V4のうちの少なくとも1つを選択し、選択された電圧を出力する。
【0107】
出力スイッチ回路30の出力電圧の波形は、複数の離散的電圧のみを含む矩形波ではない場合もある。具体的には、出力スイッチ回路30の出力電圧の波形は、相対的に低い電圧レベルの離散的電圧から相対的に高い電圧レベルの離散的電圧に遷移するときにオーバーシュート電圧(スパイク状の電圧)が発生して矩形波から歪んだ波形となる。また、出力スイッチ回路30の出力電圧の波形は、相対的に高い電圧レベルの離散的電圧から相対的に低い電圧レベルの離散的電圧に遷移するときにアンダーシュート電圧(スパイク状の電圧)が発生して矩形波から歪んだ波形となる。上記のような出力スイッチ回路30の出力電圧の波形の歪は、ノイズの原因となる。スパイク状の電圧の振幅は、電圧変化率(dV/dt)の絶対値が大きいほど大きくなる。
【0108】
(2.7)バンドセレクトスイッチ回路
バンドセレクトスイッチ回路50は、図4に示すように、共通端子510と、複数(図4の例では4つ)のスイッチS81~S84と、複数(図4の例では4つ)の選択端子511~514と、制御端子515と、を備える。
【0109】
バンドセレクトスイッチ回路50の共通端子510は、出力スイッチ回路30の出力端子310に接続されている。複数の選択端子511~514には、例えば、互いに異なる通信バンドに対応した複数のパワーアンプがそれぞれ接続される。図4に示す例では、複数の選択端子511~514のうち1つの選択端子511にフィルタ回路40を介してパワーアンプ2(図2参照)が接続されている。
【0110】
制御端子515は、制御信号Sg4の入力端子である。つまり、制御端子515は、複数の通信バンドのうちの1つを示す制御信号Sg4を受けるための端子である。バンドセレクトスイッチ回路50は、制御信号Sg4が示す通信バンドに対応するパワーアンプが出力スイッチ回路30に接続されるように、複数のスイッチS81~S84のオン/オフを制御する。
【0111】
スイッチS81は、共通端子510と選択端子511との間に接続されている。具体的には、スイッチS81は、共通端子510に接続されている第1端子と、選択端子511に接続されている第2端子と、を有する。上記の接続構成において、スイッチS81は、オン/オフを切り替えることで、共通端子510と選択端子511との接続及び非接続を切り替える。
【0112】
スイッチS82は、共通端子510と選択端子512との間に接続されている。具体的には、スイッチS82は、共通端子510に接続されている第1端子と、選択端子512に接続されている第2端子と、を有する。上記の接続構成において、スイッチS82は、オン/オフを切り替えることで、共通端子510と選択端子512との接続及び非接続を切り替える。
【0113】
スイッチS83は、共通端子510と選択端子513との間に接続されている。具体的には、スイッチS83は、共通端子510に接続されている第1端子と、選択端子513に接続されている第2端子と、を有する。上記の接続構成において、スイッチS83は、オン/オフを切り替えることで、共通端子510と選択端子513との接続及び非接続を切り替える。
【0114】
スイッチS84は、共通端子510と選択端子514との間に接続されている。具体的には、スイッチS84は、共通端子510に接続されている第1端子と、選択端子514に接続されている第2端子と、を有する。上記の接続構成において、スイッチS84は、オン/オフを切り替えることで、共通端子510と選択端子514との接続及び非接続を切り替える。
【0115】
図4の例では、複数のスイッチS81~S84は、排他的にオンになるように制御される。つまり、スイッチS81~S84のいずれか1つのみがオンにされ、スイッチS81~S84の残りがオフにされる。
【0116】
(2.8)フィルタ回路
フィルタ回路40は、図4に示すように、入力端子411と、出力端子412と、複数の機能素子を有する。複数の機能素子は、複数(図4の例では3つ)のインダクタL0,L1,L2及び複数(図4の例では2つ)のキャパシタC1,C2を含む。
【0117】
入力端子411は、出力スイッチ回路30で選択された電圧の入力端子である。つまり、入力端子411は、複数の電圧V1~V4の中から選択された電圧を受けるための端子である。なお、図4の例では、入力端子411は、バンドセレクトスイッチ回路50を介して出力スイッチ回路30の出力端子310に接続されている。
【0118】
出力端子412は、フィルタ回路40によってフィルタリングされた電圧が出力される端子である。フィルタ回路40の出力端子412から出力される電圧は、パワーアンプ2に供給される電源電圧Vccである。
【0119】
インダクタL0は、入力端子411と出力端子412との間に接続されている。より具体的には、インダクタL0の一端(第1端)は、入力端子411に接続され、インダクタL0の他端(第2端)は、出力端子412に接続されている。
【0120】
インダクタL1及びキャパシタC1は、インダクタL0の一端とグランドとの間で直列接続されている。より具体的には、インダクタL1の一端(第1端)は、インダクタL0の一端に接続され、インダクタL1の他端(第2端)は、キャパシタC1の2つの電極の一方に接続され、キャパシタC1の2つの電極の他方は、グランドに接続されている。
【0121】
インダクタL2及びキャパシタC2は、インダクタL0の他端とグランドとの間で直列接続されている。より具体的には、インダクタL2の一端(第1端)は、インダクタL0の他端に接続され、インダクタL2の他端(第2端)は、キャパシタC2の2つの電極の一方に接続され、キャパシタC2の2つの電極の他方は、グランドに接続されている。
【0122】
フィルタ回路40は、出力スイッチ回路30の出力電圧をフィルタリングする。フィルタ回路40は、例えば、ローパスフィルタを含む。これにより、フィルタ回路40は、電源電圧Vccに含まれる高周波成分を低減することができる。例えば、所定バンドが周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)用の周波数バンドである場合、フィルタ回路40は、所定バンドのダウンリンク動作バンドの成分を低減するように構成される。
【0123】
フィルタ回路40のフィルタ特性は、2つの減衰極を有する。2つの減衰極の一方の減衰極の周波数は、第1インダクタL1及び第1キャパシタC1の各々の回路定数によって決まる。また、2つの減衰極の他方の減衰極の周波数は、第2インダクタL2及び第2キャパシタC2の各々の回路定数によって決まる。
【0124】
フィルタ回路40は、出力スイッチ回路30から出力された出力電圧のスパイク状の電圧の振幅を低減させる。つまり、電源回路1は、フィルタ回路40を備えることにより、出力スイッチ回路30から出力された出力電圧の波形歪を低減させることができるので、上記出力電圧の高周波成分を低減させることができる。これにより、電源回路1では、電源電圧Vccに含まれるノイズを低減させることができるので、電源回路1からパワーアンプ2に入るノイズを低減させることができる。
【0125】
(2.9)デジタル制御回路
デジタル制御回路60は、図5に示すように、第1コントローラ61と、第2コントローラ62と、2つのキャパシタC81,C82と、4つの制御端子601~604と、を備える。デジタル制御回路60の4つの制御端子601~604は、高周波システム200が備える4つの第2制御端子T5(図2参照)に一対一に接続される。したがって、デジタル制御回路60の4つの制御端子601~604は、通信装置7のRF信号処理回路51(図2参照)に接続される。
【0126】
第1コントローラ61は、RF信号処理回路51から制御端子601,602を介してソース同期方式のデジタル制御信号を受信し、上記デジタル制御信号を処理して制御信号Sg1及び制御信号Sg2を生成する。
【0127】
第1コントローラ61では、プリレギュレータ回路10及びスイッチトキャパシタ回路20のためのデジタル制御信号として1セットのクロック信号Sg7及びデータ信号Sg8が用いられている。クロック信号Sg7は、制御端子601を介して第1コントローラ61に入力される。データ信号Sg8は、制御端子602を介して第1コントローラ61に入力される。
【0128】
第2コントローラ62は、RF信号処理回路51から制御端子603,604を介して受信したデジタル制御信号であるデジタル制御論理信号DCL1,DCL2を処理して制御信号Sg3を生成する。デジタル制御論理信号DCL1,DCL2は、エンベロープ信号に対応している。
【0129】
デジタル制御論理信号DCL1,DCL2の各々は、1ビット信号である。電圧V1~V4の各々は、2つの1ビット信号の組み合わせによって表される。例えば、V1,V2,V3,V4は、「00」,「01」,「10」,「11」によってそれぞれ表される。電圧レベルの表現には、グレイコード(Gray code)が用いられてもよい。なお、上記の場合には、出力スイッチ回路30の制御に2つのデジタル制御論理信号が用いられているが、デジタル制御論理信号の数は、2つに限定されない。例えば、出力スイッチ回路30が選択可能な電圧レベルの数に応じて1つ又は3つ以上の任意の数のデジタル制御論理信号が用いられてもよい。また、出力スイッチ回路30の制御に用いられるデジタル制御信号は、デジタル制御論理信号に限定されない。
【0130】
キャパシタC81は、第1コントローラ61とグランドとの間に接続されている。例えば、キャパシタC81は、第1コントローラ61に電力を供給する電源ラインとグランドとの間に接続され、バイパスキャパシタとして機能する。キャパシタC82は、第2コントローラ62とグランドとの間に接続されている。例えば、キャパシタC82は、第2コントローラ62に電力を供給する電源ラインとグランドとの間に接続され、バイパスキャパシタとして機能する。
【0131】
(3)トラッカモジュールの構造
トラッカモジュール100は、図1に示すように、モジュール基板12と、モジュール基板12に配置されている複数の回路部品8と、を備える。複数の回路部品8は、第1ICチップ81と、第2ICチップ82と、第1回路部品83と、第2回路部品84と、を含む。また、トラッカモジュール100は、複数の外部接続端子18と、樹脂層14と、シールド電極層16と、を更に備える。
【0132】
(3.1)モジュール基板
モジュール基板12は、図1に示すように、モジュール基板12の厚さ方向D1において互いに対向する第1主面121及び第2主面122を有する。ここにおいて、「対向する」とは物理的ではなく幾何学的に対向することを意味する。モジュール基板12の厚さ方向D1からの平面視で、モジュール基板12の外縁は、例えば、矩形状であるが、矩形状以外の形状であってもよい。モジュール基板12は、例えば、複数の誘電体層及び複数の導電層(図示せず)が積層された多層基板である。各導電層の材料は、例えば、銅である。複数の導電層は、グランド層を含む。モジュール基板12のグランド層は、複数の外部接続端子18に含まれる少なくとも1つの外部グランド端子と、モジュール基板12が有するビア導体部124等を介して電気的に接続されている。
【0133】
モジュール基板12は、例えば、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)基板である。なお、モジュール基板12は、LTCC基板に限らず、例えば、プリント配線板、HTCC(High Temperature Co-fired Ceramics)基板、樹脂多層基板又は部品内蔵基板であってもよい。
【0134】
ここで、モジュール基板12は、後述のモジュール基板13とは別体の基板である。そして、モジュール基板13には、パワーアンプ2を含む第1回路部品91が配置されている。すなわち、実施形態1では、モジュール基板13が第1モジュール基板であり、モジュール基板12が第2モジュール基板である。なお、パワーアンプ2が配置される第1モジュール基板はモジュール基板13に限らず、通信装置7が備えるマザー基板11であってもよい。
【0135】
(3.2)第1ICチップ
第1ICチップ81は、図1に示すように、モジュール基板12に配置されている。「第1ICチップ81が、モジュール基板12に配置されている」とは、第1ICチップ81がモジュール基板12に機械的に接続されていることと、第1ICチップ81がモジュール基板12と電気的に接続されていることと、を含む。第1ICチップ81は、モジュール基板12の第1主面121に配置されている。第1ICチップ81は、例えば、シリコン基板を備えるSi系ICチップである。Si系ICチップは、シリコン基板の代わりにSOI(Silicon on Insulator)基板を備えてもよい。第1ICチップ81は、Si系ICチップに限らず、例えば、GaAs系ICチップ、SiGe系ICチップ又はGaN系ICチップであってもよい。
【0136】
第1ICチップ81の外縁は、モジュール基板12の厚さ方向D1からの平面視で、4つの辺を有する矩形状である。
【0137】
第1ICチップ81は、スイッチトキャパシタ回路20と、出力スイッチ回路30と、を含む。より詳細には、第1ICチップ81は、スイッチトキャパシタ回路20の複数のスイッチS11~S14,S21~S24,S31~S34,S41~S44(図4参照)と、出力スイッチ回路30の複数のスイッチS51~S54(図4参照)と、を含む。
【0138】
第1ICチップ81において、複数のスイッチS11~S14,S21~S24,S31~S34,S41~S44,S51~S54の各々は、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。
【0139】
ここで、トラッカモジュール100は、信号生成部70を更に備える。信号生成部70は、図1に示すように、第1ICチップ81に含まれている。すなわち、信号生成部70は、モジュール基板12に配置されている。より詳細には、信号生成部70は、モジュール基板12の第1主面121に配置されている。信号生成部70は、高周波信号のエンベロープに基づいて出力スイッチ回路30(図2参照)を制御するための制御信号を生成する。信号生成部70は、上述の電源回路1と制御回路4とを最適に制御するアルゴリズムを有する。信号生成部70で生成された制御信号は、出力スイッチ回路30に出力され、この制御信号によって複数のスイッチS51~S54(図4参照)のオン/オフが制御される。
【0140】
(3.3)第2ICチップ
第2ICチップ82は、図1に示すように、モジュール基板12に配置されている。すなわち、第2ICチップ82は、第1ICチップ81が配置されているモジュール基板12に配置されている。より詳細には、第2ICチップ82は、モジュール基板12の第1主面121に配置されている。すなわち、第1ICチップ81及び第2ICチップ82は、モジュール基板12の第1主面121に配置されている。実施形態1では、第1ICチップ81と第2ICチップ82とが一体である。
【0141】
第2ICチップ82の外縁は、モジュール基板12の厚さ方向D1からの平面視で、4つの辺を有する矩形状である。第2ICチップ82は、制御回路4を含む。
【0142】
(3.4)第1回路部品
第1回路部品83は、図1に示すように、モジュール基板12に配置されている。より詳細には、第1回路部品83は、モジュール基板12の第1主面121に配置されている。また、モジュール基板12の厚さ方向D1からの平面視で、第1ICチップ81と第1回路部品83とが隣接している。「第1ICチップ81と第1回路部品83とが隣接している」とは、モジュール基板12の厚さ方向D1からの平面視で、モジュール基板12の第1主面121において、第1ICチップ81と第1回路部品83との間に他の回路部品がなく、第1ICチップ81と第1回路部品83とが配置されていることを意味する。
【0143】
第1回路部品83の外縁は、モジュール基板12の厚さ方向D1からの平面視で、4つの辺を有する矩形状である。
【0144】
第1回路部品83は、例えば、スイッチトキャパシタ回路20のキャパシタC23を含む。第1回路部品83は、例えば、チップキャパシタである。
【0145】
(3.5)第2回路部品
第2回路部品84は、図1に示すように、モジュール基板12に配置されている。より詳細には、第2回路部品84は、モジュール基板12の第1主面121に配置されている。また、モジュール基板12の厚さ方向D1からの平面視で、第1ICチップ82と第2回路部品84とが隣接している。
【0146】
第2回路部品84の外縁は、モジュール基板12の厚さ方向D1からの平面視で、4つの辺を有する矩形状である。
【0147】
第2回路部品84は、例えば、スイッチトキャパシタ回路20のキャパシタC21を含む。第2回路部品84は、例えば、チップキャパシタである。
【0148】
(3.6)外部接続端子
図1に示す複数の外部接続端子18は、入力端子181(図2参照)と、出力端子182(図2参照)と、複数(4つ)の入力制御端子183(図2では1つのみ図示)と、制御端子184と、グランド端子(図示せず)と、を含む。
【0149】
入力端子181は、プリレギュレータ回路10の入力端子110に接続されている。入力端子181は、高周波システム200の電源接続端子T4を介して直流電源71に接続される端子である。つまり、プリレギュレータ回路10の入力端子110は、入力端子181を介して直流電源71に接続される。
【0150】
出力端子182は、フィルタ回路40の出力端子412に接続されている。出力端子182は、電源電圧Vccが出力される端子であり、パワーアンプ2の電源端子に接続される。
【0151】
4つの入力制御端子183は、デジタル制御回路60の制御端子601~604に接続されている。4つの入力制御端子183は、高周波システム200の4つの第2制御端子T5を介して信号処理回路5のRF信号処理回路51に接続される。
【0152】
制御端子184は、制御回路4に接続されている。制御端子184は、パワーアンプ2を制御するための制御信号が出力される端子であり、パワーアンプ2の制御端子に接続される。
【0153】
複数のグランド端子は、グランド電位が与えられる端子である。
【0154】
(3.7)樹脂層
樹脂層14は、図1に示すように、モジュール基板12の第1主面121に配置されており、トラッカモジュール100に含まれる複数の回路部品8の各々の一部及びモジュール基板12の第1主面121を覆っている。複数の回路部品8は、上述したように、第1ICチップ81と、第2ICチップ82と、第1回路部品83と、第2回路部品84と、を含む。樹脂層14は、樹脂(例えば、エポキシ樹脂)を含む。樹脂層14は、樹脂の他にフィラーを含んでいてもよい。樹脂層14は、電気絶縁性を有する。
【0155】
(3.8)シールド電極層
シールド電極層16は、図1に示すように、樹脂層14とモジュール基板12とを覆っている。より詳細には、シールド電極層16は、樹脂層14の主面141及び外周面143と、モジュール基板12の外周面123と、を覆っている。
【0156】
シールド電極層16は、導電性を有する。トラッカモジュール100では、シールド電極層16は、トラッカモジュール100の内外の電磁シールドを目的として設けられているシールド層である。シールド電極層16は、モジュール基板12が有するグランド層の外周面の少なくとも一部と接触している。これにより、シールド電極層16の電位をグランド層の電位と同じにすることができる。シールド電極層16は、複数の金属層が積層された多層構造を有するが、多層構造に限らず、1つの金属層であってもよい。金属層は、1又は複数種の金属を含む。
【0157】
(4)高周波モジュールの構造
高周波モジュール300は、図1に示すように、モジュール基板13と、モジュール基板13に配置されている複数の回路部品9と、を備える。複数の回路部品9は、第1回路部品91と、第2回路部品92と、第3回路部品93と、第4回路部品94と、を含む。また、高周波モジュール300は、複数の外部接続端子19と、第1樹脂層15と、シールド電極層17と、第2樹脂層23と、を更に備える。
【0158】
(4.1)モジュール基板
モジュール基板13は、図1に示すように、モジュール基板13の厚さ方向D1において互いに対向する第1主面131及び第2主面132を有する。モジュール基板13の厚さ方向D1からの平面視で、モジュール基板13の外縁は、例えば、矩形状であるが、矩形状以外の形状であってもよい。モジュール基板13は、例えば、複数の誘電体層及び複数の導電層(図示せず)が積層された多層基板である。各導電層の材料は、例えば、銅である。複数の導電層は、グランド層を含む。モジュール基板13のグランド層は、複数の外部接続端子19に含まれる少なくとも1つの外部グランド端子と、モジュール基板13が有するビア導体部134等を介して電気的に接続されている。
【0159】
モジュール基板13は、例えば、LTCC基板である。なお、モジュール基板13は、LTCC基板に限らず、例えば、プリント配線板、HTCC基板、樹脂多層基板又は部品内蔵基板であってもよい。
【0160】
(4.2)第1回路部品
第1回路部品91は、図1に示すように、モジュール基板13に配置されている。より詳細には、第1回路部品91は、モジュール基板13の第1主面131に配置されている。第1回路部品91は、例えば、パワーアンプ2を含む。第1回路部品91の外縁は、モジュール基板13の厚さ方向D1からの平面視で、4つの辺を有する矩形状である。
【0161】
(4.3)第2回路部品
第2回路部品92は、図1に示すように、モジュール基板13に配置されている。より詳細には、第2回路部品92は、モジュール基板12の第2主面122に配置されている。第2回路部品92は、例えば、上述のローノイズアンプを含む。第2回路部品92の外縁は、モジュール基板13の厚さ方向D1からの平面視で、4つの辺を有する矩形状である。
【0162】
(4.4)第3回路部品
第3回路部品93は、図1に示すように、モジュール基板13に配置されている。より詳細には、第3回路部品93は、モジュール基板13の第1主面131に配置されている。また、モジュール基板12の厚さ方向D1からの平面視で、モジュール基板13の第1主面131において、第1回路部品91と第3回路部品93とが隣接している。第3回路部品93は、例えば、キャパシタを含む。キャパシタは、上述のローノイズアンプと受信フィルタとの間に設けられた入力整合回路の一部を構成するキャパシタである。第3回路部品93の外縁は、モジュール基板13の厚さ方向D1からの平面視で、4つの辺を有する矩形状である。
【0163】
(4.5)第4回路部品
第4回路部品94は、図1に示すように、モジュール基板13に配置されている。より詳細には、第4回路部品94は、モジュール基板13の第2主面132に配置されている。また、モジュール基板13の厚さ方向D1からの平面視で、モジュール基板13の第2主面132において、第2回路部品92と第4回路部品94とが隣接している。第4回路部品94は、例えば、キャパシタを含む。キャパシタは、パワーアンプ2とフィルタ3との間に設けられた出力整合回路(図示せず)の一部を構成するキャパシタである。第4回路部品94の外縁は、モジュール基板13の厚さ方向D1からの平面視で、4つの辺を有する矩形状である。
【0164】
(4.6)外部接続端子
複数の外部接続端子19は、アンテナ端子T1と、信号入力端子T2と、信号出力端子(図示せず)と、複数のグランド端子(図示せず)と、を含む。アンテナ端子T1は、アンテナ6に接続される。信号入力端子T2及び信号出力端子は、信号処理回路5に接続される。複数のグランド端子は、グランド電位が与えられる端子である。
【0165】
複数の外部接続端子19は、モジュール基板13の第2主面132に配置されている。複数の外部接続端子19の各々は、複数の接続端子22のうち対応する接続端子22を介してモジュール基板13に接続されている。
【0166】
(4.7)第1樹脂層
第1樹脂層15は、図1に示すように、モジュール基板13の第1主面131に配置されており、第1回路部品91及び第3回路部品93の各々の一部、及びモジュール基板13の第1主面131を覆っている。第1樹脂層15は、樹脂(例えば、エポキシ樹脂)を含む。第1樹脂層15は、樹脂の他にフィラーを含んでいてもよい。第1樹脂層15は、電気絶縁性を有する。
【0167】
(4.8)シールド電極層
シールド電極層17は、図1に示すように、第1樹脂層15とモジュール基板13とを覆っている。より詳細には、シールド電極層17は、第1樹脂層15の主面151及び外周面153と、モジュール基板13の外周面133と、を覆っている。
【0168】
シールド電極層17は、導電性を有する。高周波モジュール300では、シールド電極層17は、高周波モジュール300の内外の電磁シールドを目的として設けられているシールド層である。シールド電極層17は、モジュール基板13が有するグランド層の外周面の少なくとも一部と接触している。これにより、シールド電極層17の電位をグランド層の電位と同じにすることができる。シールド電極層17は、複数の金属層が積層された多層構造を有するが、多層構造に限らず、1つの金属層であってもよい。金属層は、1又は複数種の金属を含む。
【0169】
(4.9)第2樹脂層
第2樹脂層23は、図1に示すように、モジュール基板13の第2主面132に配置されており、第2回路部品92及び第4回路部品94の各々の外周面、複数の接続端子22の各々の外周面、及びモジュール基板13の第2主面132を覆っている。第2樹脂層23は、樹脂(例えば、エポキシ樹脂)を含む。第2樹脂層23は、樹脂の他にフィラーを含んでいてもよい。第2樹脂層23は、電気絶縁性を有する。なお、第2樹脂層23は、第1樹脂層15と同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
【0170】
(5)高周波システムの構造
高周波システム200は、図1に示すように、マザー基板11と、マザー基板11に配置されている複数の電子部品と、を備える。マザー基板11は、例えば、プリント配線板である。複数の電子部品は、トラッカモジュール100と、高周波モジュール300と、パワーインダクタL71と、RFIC51と、を含む。
【0171】
(5.1)マザー基板
マザー基板11は、図1に示すように、マザー基板11の厚さ方向D1において互いに対向する第1主面101及び第2主面102を有する。マザー基板11の厚さ方向からの平面視で、マザー基板11の外縁は、例えば、矩形状であるが、矩形状以外の形状であってもよい。
【0172】
(5.2)トラッカモジュール
トラッカモジュール100は、マザー基板11に配置されている。より詳細には、トラッカモジュール100は、マザー基板11の第1主面101に配置されている。より具体的には、トラッカモジュール100は、複数の外部接続端子18及び複数のバンプ104を介して、マザー基板11の第1主面101に配置されている。
【0173】
(5.3)高周波モジュール
高周波モジュール300は、マザー基板11に配置されている。より詳細には、高周波モジュール300は、マザー基板11の第1主面101に配置されている。より具体的には、高周波モジュール300は、複数の外部接続端子19及び複数のバンプ104を介して、マザー基板11の第1主面101に配置されている。
【0174】
(5.4)パワーインダクタ
パワーインダクタL71は、マザー基板11に配置されている。より詳細には、パワーインダクタL71は、マザー基板11の第1主面101に配置されている。
【0175】
パワーインダクタL71の外縁は、マザー基板11の厚さ方向D1からの平面視で、4つの辺を有する矩形状である。マザー基板11に配置されている状態で、マザー基板11の厚さ方向D1におけるパワーインダクタL71の高さは、トラッカモジュール100の高さよりも高い。
【0176】
(5.5)RFIC
RFIC51は、マザー基板11に配置されている。より詳細には、RFIC51は、マザー基板11の第1主面101に配置されている。より具体的には、RFIC51は、複数の外部接続端子21を備えており、複数の外部接続端子21及び複数のバンプ104を介して、マザー基板11の第1主面101に配置されている。
【0177】
RFIC51の外縁は、マザー基板11の厚さ方向D1からの平面視で、4つの辺を有する矩形状である。
【0178】
(5.6)レイアウト
トラッカモジュール100、高周波モジュール300、パワーインダクタL71及びRFIC51は、図1に示すように、マザー基板11の第1主面101に配置されている。トラッカモジュール100及び高周波モジュール300は、マザー基板11の厚さ方向である第1方向D1と直交する第2方向D2に並んでいる。パワーインダクタL71は、第2方向D2において、トラッカモジュール100と高周波モジュール300との間に位置している。RFIC51は、第2方向D2において、トラッカモジュール100に対してパワーインダクタL71側とは反対側に位置している。すなわち、トラッカモジュール100、高周波モジュール300、パワーインダクタL71及びRFIC51は、マザー基板11の第1主面101において、第2方向D2における一端側(図1の左側)から他端側(図1の右側)に向けて、RFIC51、トラッカモジュール100、パワーインダクタL71、高周波モジュール300の順に並んでいる。
【0179】
(6)通信装置の構造
通信装置7は、高周波システム200と、高周波システム200のマザー基板11に配置される信号処理回路5と、アンテナ6と、を備える。なお、通信装置7は、高周波システム200のマザー基板11である第1マザー基板とは別に、高周波システム200及び信号処理回路5が配置される第2マザー基板を備えてもよい。
【0180】
(7)トラッカモジュールの外部接続端子のレイアウト
次に、トラッカモジュール100の外部接続端子18のレイアウトについて、図6を参照して説明する。
【0181】
トラッカモジュール100は、上述したように、複数の外部接続端子18を備える。複数の外部接続端子18は、図6に示すように、モジュール基板12の第2主面122において、第2方向D2及び第3方向D3に沿ってマトリクス状に配置されている。複数の外部接続端子18は、制御端子184を含む。制御端子184は、制御回路4に接続されている(図2参照)。第2方向D2及び第3方向D3は、モジュール基板12の厚さ方向D1と直交する方向である。
【0182】
ここで、制御回路4は、上述したように、第2ICチップ82(第1ICチップ81)に含まれている。そして、制御端子184は、図6に示すように、モジュール基板12の厚さ方向D1において、第2ICチップ82と重なっている。「制御端子184は、モジュール基板12の厚さ方向D1において、第2ICチップ82と重なっている」とは、モジュール基板12の厚さ方向D1において、制御端子184の全部と第2ICチップ82の全部とが重なっていることと、制御端子184の全部と第2ICチップ82の一部とが重なっていることと、制御端子184の一部と第2ICチップ82の全部とが重なっていることと、制御端子184の一部と第2ICチップ82の一部とが重なっていることと、を含む。すなわち、「制御端子184は、モジュール基板12の厚さ方向D1において、第2ICチップ82と重なっている」とは、制御端子184の少なくとも一部と第2ICチップ82の少なくとも一部とが重なっていることをいう。これにより、第2ICチップ82(制御回路4)と制御端子184との間の配線長を短くすることが可能となる。
【0183】
(8)効果
実施形態1に係るトラッカモジュール100では、図1に示すように、制御回路4を含む第2ICチップ82(第1ICチップ81)がモジュール基板12に配置されている。これにより、第2ICチップ82がモジュール基板12に配置されていない場合に比べて、パワーアンプ2を含む送信システム全体の小型化を図ることが可能となる。
【0184】
また、実施形態1に係るトラッカモジュール100では、第1ICチップ81及び第2ICチップ82がモジュール基板12の第1主面121に配置されている。これにより、第1ICチップ81と第2ICチップ82とが別々の主面に配置されている場合に比べて、トラッカモジュール100の薄型化を図ることが可能となる。
【0185】
また、実施形態1に係るトラッカモジュール100では、第1ICチップ81と第2ICチップ82とが一体である。これにより、第1ICチップ81と第2ICチップ82とが別体である場合に比べて、モジュール基板12の表面積を小さくすることが可能となる。
【0186】
また、実施形態1に係るトラッカモジュール100では、信号生成部70は、モジュール基板12に配置されている。これにより、信号生成部70がモジュール基板12に配置されていない場合に比べて、パワーアンプ2を含む送信システム全体の小型化を図ることが可能となる。
【0187】
特に、実施形態1に係るトラッカモジュール100では、信号生成部70が第1ICチップ81に含まれているので、パワーアンプ2を含む送信システム全体の更なる小型化を図ることが可能となる。
【0188】
また、実施形態1に係るトラッカモジュール100では、制御端子184は、モジュール基板12の厚さ方向D1で、第2ICチップ82と重なるようにモジュール基板12に配置されている。これにより、第2ICチップ82と制御端子184との間の配線長を短くすることが可能となる。
【0189】
また、実施形態1に係る高周波システム200及び通信装置7は、トラッカモジュール100を備えているので、パワーアンプ2を含む送信システム全体の小型化を図ることが可能となる。
【0190】
(9)実施形態1の変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。
【0191】
ICチップ81は、スイッチトキャパシタ回路20に関して、複数のスイッチS11~S14,S21~S24,S31~S34,S41~S44のうちの少なくとも1つを含んでいればよい。また、ICチップ81は、出力スイッチ回路30に関して、複数のスイッチS51~S54のうちの少なくとも1つを含んでいればよい。
【0192】
また、プリレギュレータ回路10、スイッチトキャパシタ回路20、出力スイッチ回路30、バンドセレクトスイッチ回路50及びフィルタ回路40は、図4に示す回路構成に限定されない。
【0193】
例えば、図4において、スイッチトキャパシタ回路20は、4つの離散的な電圧レベルV1,V2,V3,V4の電圧を供給可能に構成されているが、4つの離散的な電圧レベルの電圧を供給可能に構成されていることに限定されない。スイッチトキャパシタ回路20は、2つ以上の任意の数の離散的な電圧レベルの電圧を供給可能に構成されていてもよい。例えば、2つの離散的な電圧レベルの電圧を供給可能に構成する場合、スイッチトキャパシタ回路20は、少なくとも、キャパシタC12,C15と、スイッチS21,S22,S31,S32,S23,S24,S33,S34と、を備えていればよい。
【0194】
また、出力スイッチ回路30の構成は、図4に示す構成に限定されない。特に、スイッチS51~S54は、4つの入力端子311~314のいずれかを選択して出力端子310に接続できればよく、どのような構成であってもよい。例えば、出力スイッチ回路30は、スイッチS51~S53とスイッチS54及び出力端子310との間に接続されているスイッチを更に備えていてもよい。また、例えば、出力スイッチ回路30は、スイッチS51,S52とスイッチS53,S54及び出力端子310との間に接続されているスイッチを更に備えていてもよい。
【0195】
また、例えば、2つの離散的な電圧レベルの電圧から1つの電圧を選択する場合、出力スイッチ回路30は、少なくとも、スイッチS52,S53を備えていればよい。
【0196】
また、図4に示すフィルタ回路40は、ローパスフィルタを構成しているが、フィルタ回路40は、ローパスフィルタを構成する場合に限らず、バンドパスフィルタ又はハイパスフィルタを構成してもよい。
【0197】
また、第1コントローラ61で処理されるデジタル制御信号は、ソース同期方式のデジタル制御信号に限定されない。例えば、第1コントローラ61は、クロック埋め込み方式のデジタル制御信号を処理してもよい。
【0198】
また、プリレギュレータ回路10及びスイッチトキャパシタ回路20のためのデジタル制御信号として1セットのクロック信号及びデータ信号が用いられているが、プリレギュレータ回路10及びスイッチトキャパシタ回路20のためのデジタル制御信号として、クロック信号及びデータ信号のセットが個別に用いられてもよい。
【0199】
トラッカモジュール100、高周波モジュール300、パワーインダクタL71及びRFIC51の一部がマザー基板11の第1主面101に配置されており、トラッカモジュール100、高周波モジュール300、パワーインダクタL71及びRFIC51の残りがマザー基板11の第2主面102に配置されていてもよい。
【0200】
第1ICチップ81及び第2ICチップ82は、モジュール基板12の第2主面122に配置されていてもよい。すなわち、第1ICチップ81及び第2ICチップ82は、モジュール基板12の第1主面121又は第2主面122に配置されていればよい。
【0201】
上記の各変形例に係るトラッカモジュール100及び高周波システム200においても、実施形態1に係るトラッカモジュール100及び高周波システム200と同様の効果を奏する。
【0202】
(実施形態2)
実施形態2に係るトラッカモジュール100a、高周波システム200a及び通信装置7aについて、図7を参照して説明する。実施形態2に係るトラッカモジュール100a、高周波システム200a及び通信装置7aに関し、実施形態1に係るトラッカモジュール100、高周波システム200及び通信装置7(図1参照)と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0203】
(1)トラッカモジュールの構造
まず、実施形態2に係るトラッカモジュール100aの構造について、図7を参照して説明する。
【0204】
実施形態2に係るトラッカモジュール100aは、図7に示すように、モジュール基板12と、モジュール基板12に配置されている複数の回路部品8と、を備える。複数の回路部品8は、第1ICチップ81Aと、第2ICチップ82Aと、第1回路部品83と、第2回路部品84と、第3回路部品85と、を含む。また、トラッカモジュール100aは、複数の外部接続端子18と、樹脂層14(以下、「第1樹脂層14」ともいう)と、シールド電極層16と、第2樹脂層24と、を更に備える。
【0205】
第1ICチップ81Aは、モジュール基板12の第2主面122に配置されている。第1ICチップ81Aは、スイッチトキャパシタ回路20の複数のスイッチS11~S14,S21~S24,S31~S34,S41~S44と、出力スイッチ回路30の複数のスイッチS51~S54と、信号生成部70と、を含む。
【0206】
第2ICチップ82Aは、モジュール基板12の第1主面121に配置されている。第2ICチップ82Aは、制御回路4を含む。すなわち、実施形態2に係るトラッカモジュール100aでは、第1ICチップ81Aと第2ICチップ82Aとは別体である。
【0207】
第1回路部品83は、モジュール基板12の第1主面121に配置されている。図7の例では、モジュール基板12の第1主面121において、第2ICチップ82Aと第1回路部品83とが隣接している。第1回路部品83は、実施形態1に係る第1回路部品83と同様、例えば、スイッチトキャパシタ回路20のキャパシタC23を含む。
【0208】
第2回路部品84は、モジュール基板12の第2主面122に配置されている。図7の例では、モジュール基板12の第2主面122において、第1ICチップ81Aと第2回路部品84とが隣接している。第2回路部品84は、実施形態1に係る第2回路部品84と同様、例えば、スイッチトキャパシタ回路20のキャパシタC21を含む。
【0209】
第3回路部品85は、モジュール基板12の第1主面121に配置されている。図7の例では、モジュール基板12の第1主面121において、第2ICチップ82Aと第3回路部品85とが隣接している。第3回路部品85は、例えば、パワーアンプ2を含む。なお、第3回路部品85は、パワーアンプ2とともにローノイズアンプを含んでいてもよい。
【0210】
複数の外部接続端子18は、モジュール基板12の第2主面122に配置されている。複数の外部接続端子18の各々は、複数の接続端子25のうち対応する接続端子25を介してモジュール基板12に接続されている。
【0211】
第2樹脂層24は、図7に示すように、モジュール基板12の第2主面122に配置されており、第1ICチップ81A及び第2回路部品84の各々の外周面、接続端子25の外周面、及びモジュール基板12の第2主面122を覆っている。第2樹脂層24は、樹脂(例えば、エポキシ樹脂)を含む。第2樹脂層24は、樹脂の他にフィラーを含んでいてもよい。第2樹脂層24は、電気絶縁性を有する。なお、第2樹脂層24は、第1樹脂層14と同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
【0212】
(2)高周波システムの構造
次に、実施形態2に係る高周波システム200aの構造について、図7を参照して説明する。
【0213】
実施形態2に係る高周波システム200aは、図7に示すように、マザー基板11と、トラッカモジュール100aと、RFIC51と、を備える。
【0214】
トラッカモジュール100aは、マザー基板11の第1主面101に配置されている。RFIC51は、マザー基板11の第1主面101に配置されている。トラッカモジュール100aとRFIC51とは、マザー基板11の第1主面101において第2方向D2に並んでいる。ここで、実施形態2に係る高周波システム200aでは、第3回路部品85に含まれているパワーアンプ2は、モジュール基板12の第1主面121に配置されている。
【0215】
(3)通信装置の構造
通信装置7aは、高周波システム200aと、高周波システム200aのマザー基板11に配置される信号処理回路5(図2参照)と、アンテナ6(図2参照)と、を備える。なお、通信装置7aは、高周波システム200aのマザー基板11である第1マザー基板とは別に、高周波システム200a及び信号処理回路5が配置される第2マザー基板を備えてもよい。
【0216】
(4)効果
実施形態2に係るトラッカモジュール100aでは、制御回路4を含む第2ICチップ82Aがモジュール基板12の第1主面121に配置されている。また、実施形態2に係るトラッカモジュール100aでは、パワーアンプ2を含む第3回路部品85がモジュール基板12の第1主面121に配置されている。これにより、第2ICチップ82A及び第3回路部品85がモジュール基板12に配置されていない場合に比べて、パワーアンプ2を含む送信システム全体の小型化を図ることが可能となる。
【0217】
(実施形態3)
実施形態3に係るトラッカモジュール100bについて、図8を参照して説明する。実施形態3に係るトラッカモジュール100bに関し、実施形態1に係るトラッカモジュール100(図1参照)と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0218】
(1)トラッカモジュールの構造
まず、実施形態3に係るトラッカモジュール100bの構造について、図8を参照して説明する。
【0219】
実施形態3に係るトラッカモジュール100bは、図8に示すように、モジュール基板12と、モジュール基板12に配置されている複数の回路部品8と、を備える。複数の回路部品8は、第1ICチップ81Aと、第2ICチップ82Aと、第1回路部品83と、第2回路部品84と、を含む。また、トラッカモジュール100bは、複数の外部接続端子18と、第1樹脂層14と、シールド電極層16と、第2樹脂層24と、を更に備える。
【0220】
第1ICチップ81Aは、モジュール基板12の第2主面122に配置されている。第1ICチップ81Aは、スイッチトキャパシタ回路20の複数のスイッチS11~S14,S21~S24,S31~S34,S41~S44と、出力スイッチ回路30の複数のスイッチS51~S54と、信号生成部70と、を含む。
【0221】
第2ICチップ82Aは、モジュール基板12の第1主面121に配置されている。第2ICチップ82Aは、制御回路4を含む。すなわち、実施形態3に係るトラッカモジュール100bでは、第1ICチップ81Aと第2ICチップ82Aとは別体である。
【0222】
第1回路部品83は、モジュール基板12の第1主面121に配置されている。図8の例では、モジュール基板12の第1主面121において、第2ICチップ82Aと第1回路部品83とが隣接している。第1回路部品83は、実施形態1に係る第1回路部品83と同様、例えば、スイッチトキャパシタ回路20のキャパシタC23を含む。
【0223】
第2回路部品84は、モジュール基板12の第1主面121に配置されている。図8の例では、モジュール基板12の第1主面121において、第2ICチップ82Aと第2回路部品84とが隣接している。第2回路部品84は、実施形態1に係る第2回路部品84と同様、例えば、スイッチトキャパシタ回路20のキャパシタC21を含む。
【0224】
複数の外部接続端子18は、モジュール基板12の第2主面122に配置されている。複数の外部接続端子18の各々は、複数の接続端子25のうち対応する接続端子25を介してモジュール基板12に接続されている。
【0225】
(2)効果
実施形態3に係るトラッカモジュール100bでは、制御回路4を含む第2ICチップ82Aがモジュール基板12の第1主面121に配置されている。これにより、第2ICチップ82Aがモジュール基板12に配置されていない場合に比べて、パワーアンプ2を含む送信システム全体の小型化を図ることが可能となる。
【0226】
また、実施形態3に係るトラッカモジュール100bによれば、発熱量の多い第1ICチップ81Aをモジュール基板12の第2主面122に配置しているので、第1ICチップ81Aで発生した熱をマザー基板11に放熱することが可能となる。
【0227】
(実施形態4)
実施形態4に係るトラッカモジュール100cについて、図9を参照して説明する。実施形態4に係るトラッカモジュール100cに関し、実施形態1に係るトラッカモジュール100(図1参照)と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0228】
(1)トラッカモジュールの構造
まず、実施形態4に係るトラッカモジュール100cの構造について、図9を参照して説明する。
【0229】
実施形態4に係るトラッカモジュール100cは、図9に示すように、モジュール基板12と、モジュール基板12に配置されている複数の回路部品8と、を備える。複数の回路部品8は、第1ICチップ81Aと、第2ICチップ82Aと、第1回路部品83と、第2回路部品84と、を含む。また、トラッカモジュール100cは、複数の外部接続端子18と、第1樹脂層14と、シールド電極層16と、第2樹脂層24と、を更に備える。
【0230】
第1ICチップ81Aは、モジュール基板12の第1主面121に配置されている。第1ICチップ81Aは、スイッチトキャパシタ回路20の複数のスイッチS11~S14,S21~S24,S31~S34,S41~S44と、出力スイッチ回路30の複数のスイッチS51~S54と、信号生成部70と、を含む。
【0231】
第2ICチップ82Aは、モジュール基板12の第2主面122に配置されている。第2ICチップ82Aは、制御回路4を含む。すなわち、実施形態4に係るトラッカモジュール100cでは、第1ICチップ81Aと第2ICチップ82Aとは別体である。
【0232】
第1回路部品83は、モジュール基板12の第1主面121に配置されている。図9の例では、モジュール基板12の第1主面121において、第1ICチップ81Aと第1回路部品83とが隣接している。第1回路部品83は、実施形態1に係る第1回路部品83と同様、例えば、スイッチトキャパシタ回路20のキャパシタC23を含む。
【0233】
第2回路部品84は、モジュール基板12の第1主面121に配置されている。図9の例では、モジュール基板12の第1主面121において、第1ICチップ81Aと第2回路部品84とが隣接している。第2回路部品84は、実施形態1に係る第2回路部品84と同様、例えば、スイッチトキャパシタ回路20のキャパシタC21を含む。
【0234】
複数の外部接続端子18は、モジュール基板12の第2主面122に配置されている。複数の外部接続端子18の各々は、複数の接続端子25のうち対応する接続端子25を介してモジュール基板12に接続されている。
【0235】
(2)効果
実施形態4に係るトラッカモジュール100cでは、制御回路4を含む第2ICチップ82Aがモジュール基板12の第2主面122に配置されている。これにより、第2ICチップ82Aがモジュール基板12に配置されていない場合に比べて、パワーアンプ2を含む送信システム全体の小型化を図ることが可能となる。
【0236】
また、実施形態4に係るトラッカモジュール100cでは、第1回路部品83の表面を切削することができないため、第1回路部品83はモジュール基板12の第1主面121に配置されることになる。したがって、第1ICチップ81Aをモジュール基板12の第1主面121に配置することで、第1ICチップ81Aと第1回路部品83との間の距離を短くすることが可能となる。
【0237】
(参考例1)
参考例1に係るトラッカモジュール100d、高周波システム200d及び通信装置7dについて、図10を参照して説明する。参考例1に係るトラッカモジュール100d、高周波システム200d及び通信装置7dに関し、実施形態1に係るトラッカモジュール100、高周波システム200及び通信装置7(図1参照)と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0238】
(1)トラッカモジュールの構造
まず、参考例1に係るトラッカモジュール100dの構造について、図10を参照して説明する。
【0239】
参考例1に係るトラッカモジュール100dは、図10に示すように、モジュール基板12と、モジュール基板12に配置されている複数の回路部品8と、を備える。複数の回路部品8は、第1ICチップ81Aと、第1回路部品83と、第2回路部品84と、を含む。また、トラッカモジュール100dは、複数の外部接続端子18と、樹脂層14と、シールド電極層16と、を更に備える。
【0240】
第1ICチップ81Aは、モジュール基板12の第1主面121に配置されている。第1ICチップ81Aは、スイッチトキャパシタ回路20の複数のスイッチS11~S14,S21~S24,S31~S34,S41~S44と、出力スイッチ回路30の複数のスイッチS51~S54と、信号生成部70と、を含む。
【0241】
第1回路部品83は、モジュール基板12の第1主面121に配置されている。図10の例では、モジュール基板12の第1主面121において、第1ICチップ81Aと第1回路部品83とが隣接している。第1回路部品83は、実施形態1に係る第1回路部品83と同様、例えば、スイッチトキャパシタ回路20のキャパシタC23を含む。
【0242】
第2回路部品84は、モジュール基板12の第1主面121に配置されている。図10の例では、モジュール基板12の第1主面121において、第1ICチップ81Aと第2回路部品84とが隣接している。第2回路部品84は、実施形態1に係る第2回路部品84と同様、例えば、スイッチトキャパシタ回路20のキャパシタC21を含む。
【0243】
複数の外部接続端子18は、モジュール基板12の第2主面122に配置されている。
【0244】
(2)高周波モジュール
参考例1に係る高周波モジュール300dは、図10に示すように、モジュール基板13と、モジュール基板13に配置されている複数の回路部品9と、を備える。複数の回路部品9は、第1回路部品91と、第2回路部品92Aと、第3回路部品93と、第4回路部品94と、を含む。
【0245】
第1回路部品91は、モジュール基板13の第1主面131に配置されている。第1回路部品91は、実施形態1に係る第1回路部品91と同様、パワーアンプ2を含む。
【0246】
第2回路部品92Aは、モジュール基板13の第2主面132に配置されている。第2回路部品92Aは、ローノイズアンプ(図示せず)と、制御回路4と、を含む。すなわち、参考例1に係るトラッカモジュール100dは、制御回路4を備えていない。
【0247】
第3回路部品93は、モジュール基板13の第1主面131に配置されている。図10の例では、モジュール基板13の第1主面131において、第1回路部品91と第3回路部品93とが隣接している。第3回路部品93は、実施形態1に係る第3回路部品93と同様、例えば、入力整合回路の一部を構成するキャパシタを含む。
【0248】
第4回路部品94は、モジュール基板13の第2主面132に配置されている。図10の例では、モジュール基板13の第2主面132において、第2回路部品92Aと第4回路部品94とが隣接している。第4回路部品94は、実施形態1に係る第4回路部品94と同様、出力整合回路の一部を構成するキャパシタを含む。
【0249】
(3)高周波システムの構造
次に、参考例1に係る高周波システム200dの構造について、図10を参照して説明する。
【0250】
参考例1に係る高周波システム200dは、図10に示すように、マザー基板11と、トラッカモジュール100dと、高周波モジュール300dと、パワーインダクタL71と、RFIC51と、を備える。
【0251】
トラッカモジュール100d、高周波モジュール300d、パワーインダクタL71及びRFIC51は、図10に示すように、マザー基板11の第1主面101に配置されている。トラッカモジュール100d及び高周波モジュール300dは、マザー基板11の厚さ方向である第1方向D1と直交する第2方向D2に並んでいる。パワーインダクタL71は、第2方向D2において、トラッカモジュール100dと高周波モジュール300dとの間に位置している。RFIC51は、第2方向D2において、トラッカモジュール100dに対してパワーインダクタL71側とは反対側に位置している。すなわち、トラッカモジュール100d、高周波モジュール300d、パワーインダクタL71及びRFIC51は、マザー基板11の第1主面101において、第2方向D2における一端側(図10の左側)から他端側(図10の右側)に向けて、RFIC51、トラッカモジュール100d、パワーインダクタL71、高周波モジュール300dの順に並んでいる。
【0252】
(4)通信装置の構造
通信装置7dは、高周波システム200dと、高周波システム200dのマザー基板11に配置される信号処理回路5(図2参照)と、アンテナ6(図2参照)と、を備える。なお、通信装置7dは、高周波システム200dのマザー基板11である第1マザー基板とは別に、高周波システム200d及び信号処理回路5が配置される第2マザー基板を備えてもよい。
【0253】
(5)効果
参考例1に係る発明では、信号生成部70が第1ICチップ81Aに含まれているので、信号生成部70が第1ICチップ81Aに含まれていない場合に比べて、パワーアンプ2を含む送信システム全体の小型化を図ることが可能となる。
【0254】
(参考例2)
参考例2に係るトラッカモジュール100eについて、図11を参照して説明する。参考例2に係るトラッカモジュール100eに関し、実施形態1に係るトラッカモジュール100(図1参照)と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0255】
(1)トラッカモジュールの構造
まず、参考例2に係るトラッカモジュール100eの構造について、図11を参照して説明する。
【0256】
参考例2に係るトラッカモジュール100eは、図11に示すように、モジュール基板12と、モジュール基板12に配置されている複数の回路部品8と、を備える。複数の回路部品8は、第1ICチップ81Aと、第1回路部品83と、第2回路部品84と、を含む。また、トラッカモジュール100eは、複数の外部接続端子18と、第1樹脂層14と、シールド電極層16と、第2樹脂層24と、を更に備える。
【0257】
第1ICチップ81Aは、モジュール基板12の第2主面122に配置されている。第1ICチップ81Aは、スイッチトキャパシタ回路20の複数のスイッチS11~S14,S21~S24,S31~S34,S41~S44と、出力スイッチ回路30の複数のスイッチS51~S54と、信号生成部70と、を含む。
【0258】
第1回路部品83は、モジュール基板12の第1主面121に配置されている。第1回路部品83は、実施形態1に係る第1回路部品83と同様、例えば、スイッチトキャパシタ回路20のキャパシタC23を含む。
【0259】
第2回路部品84は、モジュール基板12の第1主面121に配置されている。図11の例では、モジュール基板12の第1主面121において、第1回路部品83と第2回路部品84とが隣接している。第2回路部品84は、実施形態1に係る第2回路部品84と同様、例えば、スイッチトキャパシタ回路20のキャパシタC21を含む。
【0260】
複数の外部接続端子18は、モジュール基板12の第2主面122に配置されている。複数の外部接続端子18の各々は、複数の接続端子25のうち対応する接続端子25を介してモジュール基板12に接続されている。
【0261】
このように、参考例2に係るトラッカモジュール100eは、制御回路4を備えていない。
【0262】
(2)効果
参考例2に係る発明では、信号生成部70が第1ICチップ81Aに含まれているので、信号生成部70が第1ICチップ81Aに含まれていない場合に比べて、パワーアンプ2を含む送信システム全体の小型化を図ることが可能となる。
【0263】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0264】
第1の態様に係るトラッカモジュール(100;100a;100b;100c)は、モジュール基板(12)と、第1ICチップ(81;81A)と、第2ICチップ(82;82A)と、を備える。第1ICチップ(81;81A)は、モジュール基板(12)に配置されている。第2ICチップ(82;82A)は、パワーアンプ(2)を制御する。第1ICチップ(81;81A)は、入力電圧に基づいて複数の離散的電圧を生成するように構成されているスイッチトキャパシタ回路(20)に含まれる少なくとも1つのスイッチ(S11~S14,S21~S24,S31~S34,S41~S44)と、複数の離散的電圧のうちの少なくとも1つを選択的にパワーアンプ(2)に出力するように構成されている出力スイッチ回路(30)に含まれる少なくとも1つのスイッチ(S51~S54)と、を含む。第2ICチップ(82;82A)は、第1ICチップ(81;81A)が配置されているモジュール基板(12)に配置されている。
【0265】
この態様によれば、パワーアンプ(2)を制御する第2ICチップ(82;82A)がモジュール基板(12)に配置されているので、第2ICチップ(82;82A)がモジュール基板(12)に配置されていない場合に比べて、パワーアンプ(2)を含む送信システム全体の小型化を図ることが可能となる。
【0266】
第2の態様に係るトラッカモジュール(100;100a;100b;100c)は、第2モジュール基板(12)と、第1ICチップ(81;81A)と、第2ICチップ(82;82A)と、を備える。第2モジュール基板(12)は、パワーアンプ(2)が配置されている第1モジュール基板(13)とは別体である。第1ICチップ(81;81A)は、第2モジュール基板(12)であるモジュール基板(12)に配置されている。第2ICチップ(82;82A)は、パワーアンプ(2)を制御する。第1ICチップ(81;81A)は、入力電圧に基づいて複数の離散的電圧を生成するように構成されているスイッチトキャパシタ回路(20)に含まれる少なくとも1つのスイッチ(S11~S14,S21~S24,S31~S34,S41~S44)と、複数の離散的電圧のうちの少なくとも1つを選択的にパワーアンプ(2)に出力するように構成されている出力スイッチ回路(30)に含まれる少なくとも1つのスイッチ(S51~S54)と、を含む。第2ICチップ(82;82A)は、第1ICチップ(81;81A)が配置されているモジュール基板(12)に配置されている。
【0267】
この態様によれば、パワーアンプ(2)を制御する第2ICチップ(82;82A)がモジュール基板(12)に配置されているので、第2ICチップ(82;82A)がモジュール基板(12)に配置されていない場合に比べて、パワーアンプ(2)を含む送信システム全体の小型化を図ることが可能となる。
【0268】
第3の態様に係るトラッカモジュール(100a;100b)では、第1又は第2の態様において、モジュール基板(12)は、互いに対向する第1主面(121)及び第2主面(122)を有する。トラッカモジュール(100a;100b)は、外部接続端子(18)を更に備える。外部接続端子(18)は、モジュール基板(12)の第2主面(122)に配置されている。第1ICチップ(81A)は、モジュール基板(12)の第2主面(122)に配置されている。第2ICチップ(82A)は、モジュール基板(12)の第1主面(121)に配置されている。
【0269】
この態様によれば、第1ICチップ(81A)で発生する熱をマザー基板(11)に放熱することが可能となる。
【0270】
第4の態様に係るトラッカモジュール(100c)では、第1又は第2の態様において、モジュール基板(12)は、互いに対向する第1主面(121)及び第2主面(122)を有する。トラッカモジュール(100c)は、外部接続端子(18)を更に備える。外部接続端子(18)は、モジュール基板(12)の第2主面(122)に配置されている。第1ICチップ(81A)は、モジュール基板(12)の第1主面(121)に配置されている。第2ICチップ(82A)は、モジュール基板(12)の第2主面(122)に配置されている。
【0271】
この態様によれば、例えば、スイッチトキャパシタ回路(20)のキャパシタ(C23)を含む第1回路部品(83)がモジュール基板(12)の第1主面(121)に配置されている場合には、第1ICチップ(81A)と第1回路部品(83)との間の距離を短くすることが可能となる。
【0272】
第5の態様に係るトラッカモジュール(100)では、第1又は第2の態様において、モジュール基板(12)は、互いに対向する第1主面(121)及び第2主面(122)を有する。第1ICチップ(81)及び第2ICチップ(82)は、モジュール基板(12)の第1主面(121)又は第2主面(122)に配置されている。
【0273】
この態様によれば、第1ICチップ(81)と第2ICチップ(82)とが別々の主面に配置されている場合に比べて、トラッカモジュール(100)の薄型化を図ることが可能となる。
【0274】
第6の態様に係るトラッカモジュール(100)では、第5の態様において、第1ICチップ(81)と第2ICチップ(82)とが一体である。
【0275】
この態様によれば、第1ICチップ(81)と第2ICチップ(82)とが別体である場合に比べて、モジュール基板(12)の表面積を小さくすることが可能となる。
【0276】
第7の態様に係るトラッカモジュール(100;100a;100b;100c)は、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、信号生成部(70)を更に備える。信号生成部(70)は、高周波信号のエンベロープに基づいて出力スイッチ回路(30)を制御するための制御信号を生成する。信号生成部(70)は、モジュール基板(12)に配置されている。
【0277】
この態様によれば、信号生成部(70)がモジュール基板(12)に配置されていない場合に比べて、パワーアンプ(2)を含む送信システム全体の小型化を図ることが可能となる。
【0278】
第8の態様に係るトラッカモジュール(100;100a;100b;100c)では、第7の態様において、信号生成部(70)は、第1ICチップ(81;81A)に含まれている。
【0279】
この態様によれば、信号生成部(70)が第1ICチップ(81;81A)に含まれていない場合に比べて、パワーアンプ(2)を含む送信システム全体の小型化を図ることが可能となる。
【0280】
第9の態様に係るトラッカモジュール(100;100a;100b;100c)は、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、制御端子(184)を更に備える。制御端子(184)は、第2ICチップ(82;82A)に接続されており、パワーアンプ(2)を制御するための制御信号を出力する。
【0281】
この態様によれば、パワーアンプ(2)の制御信号を出力することが可能となる。
【0282】
第10の態様に係るトラッカモジュール(100;100a;100b;100c)では、第9の態様において、制御端子(184)は、モジュール基板(12)の厚さ方向(D1)で、第2ICチップ(82;82A)と重なるようにモジュール基板(12)に配置されている。
【0283】
この態様によれば、第2ICチップ(82;82A)と制御端子(184)との間の配線長を短くすることが可能となる。
【0284】
第11の態様に係る高周波システム(200a)では、第1の態様のトラッカモジュール(100a)と、パワーアンプ(2)と、を備える。パワーアンプ(2)は、モジュール基板(12)に配置されている。
【0285】
この態様によれば、パワーアンプ(2)を含む送信システム全体の小型化を図ることが可能となる。
【0286】
第12の態様に係る通信装置(7a)は、第11の態様に係る高周波システム(200a)と、信号処理回路(5)と、を備える。信号処理回路(5)は、高周波システム(200a)に接続されている。
【0287】
この態様によれば、パワーアンプ(2)を含む送信システム全体の小型化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0288】
1 電源回路
2 パワーアンプ
3 フィルタ
4 制御回路
5 信号処理回路
6 アンテナ
7,7a,7d 通信装置
8,9 回路部品
10 プリレギュレータ回路
11 マザー基板
12,13 モジュール基板
14,15 樹脂層
16,17 シールド電極層
18,19,21 外部接続端子
20 スイッチトキャパシタ回路
22,25 接続端子
23,24 第2樹脂層
30 出力スイッチ回路
40 フィルタ回路
50 バンドセレクトスイッチ回路
51 RF信号処理回路
52 ベースバンド信号処理回路
53 制御部
60 デジタル制御回路
61 第1コントローラ
62 第2コントローラ
70 信号生成部
71 直流電源
81,81A 第1ICチップ
82,82A 第2ICチップ
83,91 第1回路部品
84,92 第2回路部品
85,93 第3回路部品
94 第4回路部品
100,100a,100b,100c,100d,100e トラッカモジュール
101 第1主面
102 第2主面
104 バンプ
110,311,312,313,314,411 入力端子
111,112,113,114,310,412 出力端子
115,116 インダクタ接続端子
117,210,315 制御端子
121,131 第1主面
122,132 第2主面
123,133 外周面
124,134 ビア導体部
141,151,231 主面
143,153,233 外周面
181 入力端子
182 出力端子
183 入力制御端子
184 制御端子
200,200a,200d 高周波システム
300,300d 高周波モジュール
510 共通端子
511,512,513,514 選択端子
515 制御端子
601~604 制御端子
C1,C2,C11,C12,C13,C14,C15,C16,C21,C22,C23,C24,C61,C62,C63,C64,C81,C82 キャパシタ
D1 第1方向(厚さ方向)
D2 第2方向
D3 第3方向
L0,L1,L2 インダクタ
L71 パワーインダクタ
S11,S12,S13,S14,S21,S22,S23,S24,S31,S32,S33,S34,S41,S42,S43,S44,S51,S52,S53,S54,S61,S62,S63,S71,S72,S81,S82,S83,S84 スイッチ
Sg1,Sg2,Sg3,Sg4 制御信号
Sg7 クロック信号
Sg8 データ信号
T1 アンテナ端子
T2 信号入力端子
T3 第1制御端子
T4 電源接続端子
T5 第2制御端子
Vcc 電源電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11