(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131903
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】加工プログラム編集支援システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/409 20060101AFI20240920BHJP
B23Q 15/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G05B19/409 C
B23Q15/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042463
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000212566
【氏名又は名称】中村留精密工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】西村 尚貢
(72)【発明者】
【氏名】覚本 雅彦
【テーマコード(参考)】
3C269
【Fターム(参考)】
3C269AB01
3C269BB08
3C269EF39
3C269QB02
3C269QE18
3C269QE24
(57)【要約】
【課題】使用したい機能の先頭にタグを入力するだけで、それに関連した機能の候補をサブメニューとしてポップアップすることで、NC文の知識が少ない者であってもプログラムが簡単にできる加工プログラム編集支援システムの提供を目的とする。
【解決手段】工作機械における加工プログラムの編集支援システムであって、NCプログラム編集画面とガイダンス情報表示画面とを備え、加工プログラムの編集に必要な、一群の機能の登録手段と、一群のマニュアル登録手段と、一群のプログラム作成支援手段と、を有し、前記一群の機能の中から使用したい機能を選択し、前記NCプログラム編集画面に入力し、その機能の先頭にタグを入力すると前記一群のマニュアル登録手段又は前記一群のプログラム作成支援手段の中から前記機能に関連した候補が前記ガイダンス情報表示画面にポップアップ表示されることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械における加工プログラムの編集支援システムであって、
NCプログラム編集画面とガイダンス情報表示画面とを備え、
加工プログラムの編集に必要な、一群の機能の登録手段と、一群のマニュアル登録手段と、一群のプログラム作成支援手段と、を有し、
前記一群の機能の中から使用したい機能を選択し、前記NCプログラム編集画面に入力し、その機能の先頭にタグを入力すると前記一群のマニュアル登録手段又は前記一群のプログラム作成支援手段の中から前記機能に関連した候補が前記ガイダンス情報表示画面にポップアップ表示されることを特徴とする加工プログラム編集支援システム。
【請求項2】
前記一群のマニュアル登録手段には、コードリスト,パラメータリスト,プログラミング説明書,取扱説明書,保守説明書のうち、いずれか1以上が含まれ、
前記一群のプログラム作成支援手段には、対話型プログラミング,プログラム定型文のいずれか1以上が含まれていることを特徴とする請求項1記載の加工プログラム編集支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械のNCプログラムの作成に関し、特にその作成を支援するシステムに係る。
【背景技術】
【0002】
工作機械の分野においては、Gコード,Mコード,Tコード等のNC文を用いた加工プログラムによりNC制御されている。
したがって、NC文に関する知識が不充分であると加工プログラムを作成するのが容易ではない。
【0003】
例えば、特許文献1には固定サイクル選択画面がポップアップされ、大分類,中分類と順次選択すると、その固定サイクルに対応した文言,ピクトグラムが表示される技術を開示する。
しかし、これではやはり、NC文の知識があることが前提になっているので、プログラム作成のためのより容易な支援が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、使用したい機能の先頭にタグを入力するだけで、それに関連した機能の候補をサブメニューとしてポップアップすることで、NC文の知識が少ない者であってもプログラムが簡単にできる加工プログラム編集支援システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る加工プログラム編集支援システムは、工作機械における加工プログラムの編集支援システムであって、NCプログラム編集画面とガイダンス情報表示画面とを備え、加工プログラムの編集に必要な、一群の機能の登録手段と、一群のマニュアル登録手段と、一群のプログラム作成支援手段と、を有し、前記一群の機能の中から使用したい機能を選択し、前記NCプログラム編集画面に入力し、その機能の先頭にタグを入力すると前記一群のマニュアル登録手段又は前記一群のプログラム作成支援手段の中から前記機能に関連した候補が前記ガイダンス情報表示画面にポップアップ表示されることを特徴とする。
【0007】
ここで、一群のマニュアル登録手段には、コードリスト,パラメータリスト,プログラミング説明書,取扱説明書,保守説明書のうち、いずれか1以上が含まれ、前記一群のプログラム作成支援手段には、対話型プログラミング,プログラム定型文のいずれか1以上が含まれているのが好ましい。
【0008】
本発明において、機能の先頭にタグを入力するとは、例えばハッシュタグ「#」等の特定のタグ記号を単語の先頭に入力することで、それに関する候補メニューがポップアップされることをいう。
【0009】
また、このタグを単語の先頭に入力しても候補メニューがポップアップされない等、タグ名称が分からない場合には、タグ一覧表示画面により選択可能になっている。
【0010】
本発明において、コードリストとは、NC制御プログラムにおいて使用されているコードをいい、例えばGコード,Mコード,Tコード等が例として挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、プログラム作成時に使用したい機能に関連した単語の先頭にタグを入力するだけで、それに関連したマニュアルがガイダンス情報表示画面にポップアップされ、その中からさらに必要な情報を選択することができるので、使用したい機能に関連した内容に容易にアクセスできる。
また、プログラム作成支援手段から使用したい機能に関連したプログラムの例や定型文が、ガイダンス情報表示画面にリストアップされるので、その中から必要なものを選択し、プログラム編集の中に取り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】NCプログラム編集画面とガイダンス情報表示画面の例を示す。
【
図2】エアブローの機能を示す「AIR」の先頭にタグを入力した例を示す。
【
図3】#AIRに関連するMコードを選択し、NCプログラム中に挿入する例を示す。
【
図5】#タグ一覧表示画面から「ワーク搬出」を選択し、さらにその中から「#PC-T」を選択する例を示す。
【
図6】「#PC-T」に関連する情報からガイダンス情報表示画面にポップアップされた例を示す。
【
図7】マニュアル表示画面からGコード「G367」を選択し、プログラムに挿入する例を示す。
【
図8】プログラム作成支援画面からプログラム例/定型文をポップアップした例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る加工プログラム編集支援システムを用いて編集したNC制御プログラムの例を以下図に基づいて説明するが、これは一例であって本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
図1に、NCプログラム編集画面とガイダンス情報表示画面の例を示す。
NCプログラム編集画面にてプログラムを編集する際に、関連情報がガイダンス情報表示画面にポップアップされ、その中から必要な情報を選択し、編集しているプログラム中に取り込むことになる。
ここで、NCプログラム編集画面とガイダンス情報表示画面は、1つのディスプレイに表示してもよく、それぞれタブレット等を用いて、別のディスプレイに表示されていてもよい。
【0015】
実施例1として、ワークの機械加工後のエアブローのNCプログラムを作成したい場合を説明する。
図2に示すように、エアブローの機能を示す単語「AIR」の先頭に#タグを入力すると、ガイダンス情報表示画面に関連情報がポップアップされる。
この場合に「AIR」が分からない場合には、#タグ一覧表示をクリック表示し、その中から選択してもよい。
図2に示したガイダンス情報表示画面から、「1.マニュアル表示」を選択し、さらに
図3に示すように、「1-1.Mコード/Gコードリスト」の中から、「固定エアブローON」を選択クリックすると、NCプログラム中に挿入される。
【0016】
実施例2として、加工したワークを搬出する工程のNCプログラムを作成する場合を説明する。
図4に示す画面にてワーク搬出に関するダグ名称が分からない場合には、#タグ一覧表示を選択すると、
図5に示すように#タグ名称一覧表示画面が現れ、その中からワーク搬出を選択し、さらに#タグ名称一覧から「#PC-T」「パーツキャッチャ(Tタレット)タイプ」を選択する。
それにより、
図6に示すようにプログラム編集画面に表示される。
すると、(#PC-T)に関連する情報がガイダンス情報表示画面に表示される。
この中から「1.マニュアル表示」さらに「1-1.Mコード/Gコードリスト」から必要なコードを選択する。
図7では、「G367」を選択した例である。
図8は、「2.プログラム作成支援」手段の中から「2-2.プログラム例/定型文」を選択し、NCプログラム中に挿入した例を示す。
【0017】
また、
図9に示すようにプログラムを修正したい場合には、「1.マニュアル表示」さらに「1-3.プログラミング説明書」を選択し、その説明に基づいてプログラムを修正することもできる。
【0018】
このように、本発明に係る編集支援システムを用いると、NC文を直接覚えていない者であっても、工作機械においてワークの加工手段(加工工程)に従って、実行したい機能をタグに関連付けて入力すると、関連があると思われるマニュアルやプログラムの例/定型文等がガイダンス情報表示画面にポップアップされる。
この中から必要な情報を選択し、選択された情報(第1情報)から、さらに詳しい情報(第2情報)がポップアップされる。
また、第2情報に基づいて、さらに詳細な情報にリンクさせてもよい。
プログラム作成者は、このようにポップアップされた情報の中から必要な指令コードをプログラム編集画面に挿入することで、加工プログラムを編集することができる。