(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131914
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】移動体の位置検出システム
(51)【国際特許分類】
G01S 5/02 20100101AFI20240920BHJP
B66C 13/22 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
B66C13/22 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042485
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001553
【氏名又は名称】アセンド弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】東 昂佑
【テーマコード(参考)】
3F204
5J062
【Fターム(参考)】
3F204AA02
3F204CA01
3F204DB02
3F204DC04
5J062CC15
5J062CC18
(57)【要約】
【課題】発信機と受信機の総数を抑制でき、且つ移動体の位置検出を高精度に行える移動体の位置検出システムを提供する。
【解決手段】位置検出システム(1)は、行路(3)に沿う方向に間隔(DM)をあけて移動体(2)に設けられた第1受信機(RM1)及び第2受信機(RM2)と、行路(3)に沿って第1受信機(RM1)と第2受信機(RM2)との間隔(DM)よりも大きい間隔(DF)をあけて設置された3つ以上の発信機(TF1,TF2,TF3)と、第1受信機(RM1)及び第2受信機(RM2)に接続された検出装置(4)とを備える。検出装置(4)は、第1受信機(RM1)及び第2受信機(RM2)で受信した電波の情報を取得し、第1受信機(RM1)及び第2受信機(RM2)の位置を算出して、移動体(2)の位置を決定する処理を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定められた行路を走行する移動体の位置検出システムであって、
前記行路に沿う方向に間隔をあけて前記移動体に設けられ、電波を受信する第1受信機及び第2受信機と、
前記行路に沿って前記第1受信機と前記第2受信機との間隔よりも大きい間隔をあけて設置され、前記行路における各々の位置に対応付けられた発信機位置情報を含む電波を発信する3つ以上の発信機と、
前記第1受信機及び前記第2受信機に接続された検出装置であって、前記発信機位置情報を格納するとともに、前記移動体における前記第1受信機及び前記第2受信機の各々の位置に対応付けられた受信機位置情報を格納した前記検出装置と、を備え、
前記検出装置は、
前記第1受信機及び前記第2受信機で受信した電波の情報を取得する処理と、
前記3つ以上の発信機が発信して前記第1受信機で受信した前記電波のうちで最も強度レベルの高い第1電波を選定する処理と、
前記3つ以上の発信機が発信して前記第2受信機で受信した前記電波のうちで最も強度レベルの高い第2電波を選定する処理と、
前記第1電波に含まれる情報、及び前記発信機位置情報より、前記3つ以上の発信機のうちで前記第1電波を発信した第1発信機を特定する処理と、
前記第2電波に含まれる情報、及び前記発信機位置情報より、前記3つ以上の発信機のうちで前記第2電波を発信した第2発信機を特定する処理と、
前記第1電波の強度レベルと前記第2電波の強度レベルを比較する処理と、
比較した強度レベルの大小関係、前記発信機位置情報、及び前記受信機位置情報に基づき、前記第1発信機及び前記第2発信機に対する前記第1受信機及び前記第2受信機の位置を算出して、前記移動体の位置を決定する処理と、を実行するように構成される、移動体の位置検出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の移動体の位置検出システムであって、
前記3つ以上の発信機がビーコンである、移動体の位置検出システム。
【請求項3】
請求項1に記載の移動体の位置検出システムであって、
前記3つ以上の発信機の間隔が相互に等しい、移動体の位置検出システム。
【請求項4】
請求項1に記載の移動体の位置検出システムであって、
前記3つ以上の発信機の間隔は、前記第1受信機と前記第2受信機との間隔の1.5~2.5倍である、移動体の位置検出システム。
【請求項5】
定められた行路を走行する移動体の位置検出システムであって、
前記行路に沿う方向に間隔をあけて前記移動体に設けられ、前記移動体における各々の位置に対応付けられた発信機位置情報を含む電波を発信する第1発信機及び第2発信機と、
前記行路に沿って前記第1発信機と前記第2発信機との間隔よりも大きい間隔をあけて設置され、前記電波を受信する3つ以上の受信機と、
前記3つ以上の受信機に接続された検出装置であって、前記発信機位置情報を格納するとともに、前記行路における前記3つ以上の受信機の各々の位置に対応付けられた受信機位置情報を格納した前記検出装置と、を備え、
前記検出装置は、
前記3つ以上の受信機で受信した電波の情報を取得する処理と、
前記第1発信機が発信して前記3つ以上の受信機で受信した前記電波のうちで最も強度レベルの高い第1電波を選定する処理と、
前記第2発信機が発信して前記3つ以上の受信機で受信した前記電波のうちで最も強度レベルの高い第2電波を選定する処理と、
前記第1電波に含まれる情報、及び前記受信機位置情報より、前記3つ以上の受信機のうちで前記第1電波を受信した第1受信機を特定する処理と、
前記第2電波に含まれる情報、及び前記受信機位置情報より、前記3つ以上の受信機のうちで前記第2電波を受信した第2受信機を特定する処理と、
前記第1電波の強度レベルと前記第2電波の強度レベルを比較する処理と、
比較した強度レベルの大小関係、前記受信機位置情報、及び前記発信機位置情報に基づき、前記第1受信機及び前記第2受信機に対する前記第1発信機及び前記第2発信機の位置を算出して、前記移動体の位置を決定する処理と、を実行するように構成される、移動体の位置検出システム。
【請求項6】
請求項5に記載の移動体の位置検出システムであって、
前記第1発信機及び前記第2発信機がビーコンである、移動体の位置検出システム。
【請求項7】
請求項5に記載の移動体の位置検出システムであって、
前記3つ以上の受信機の間隔が相互に等しい、移動体の位置検出システム。
【請求項8】
請求項5に記載の移動体の位置検出システムであって、
前記3つ以上の受信機の間隔は、前記第1発信機と前記第2発信機との間隔の1.5倍~2.5倍である、移動体の位置検出システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の移動体の位置検出システムであって、
前記移動体が天井クレーンであり、前記行路が直線状のレールである、移動体の位置検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、定められた行路を走行する移動体の位置検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
定められた行路を走行する移動体として、天井クレーンや列車などが挙げられる。この種の移動体は、行路内で走行と停止を繰り返す。また、移動体の進行方向は、行路の途中や端で切り替わる。そのため、行路における移動体の位置を検出することが求められる。移動体の位置を検出する技術は、例えば、特許第6976624号公報(特許文献1)及び特開2017-81257号公報(特許文献2)に記載されている。
【0003】
特許文献1の技術は、天井クレーンの運転制御システムであり、この運転制御システムは測位装置を備える。この測位装置は、測位対象物となる天井クレーンに取り付けられたビーコン発信部と、建屋の予め定められた複数の位置にそれぞれ設置され、ビーコン発信部から発信されたビーコン信号を受信する受信部と、を備える。測位装置は、複数の受信部よりビーコン信号の測定値を取得し、複数の当該測定値に基づき、ビーコン発信部、つまり天井クレーンの位置を特定する。
【0004】
特許文献2の技術は、移動体として列車を想定した移動体位置検出システムである。この移動体位置検出システムは、移動体に搭載された移動体無線機と、ルートに沿って間隔を開けて配置された複数の固定無線機と、存在区間検出部とを含む。存在区間検出部は、複数の固定無線機から送信された無線信号の移動体無線機による受信レベル又は移動体無線機から送信された無線信号の複数の固定無線機による受信レベルに基づいて、ルート上における移動体の存在区間を検出する。このシステムにおいて、移動体無線機は、移動体の前部に配置された前部無線機と、移動体の後部に配置された後部無線機と、を含む場合がある。この場合、存在区間検出部は、前部無線機による受信レベルが最大となる無線信号を送信した固定無線機又は当該固定無線機から移動体の前方n番目に位置する固定無線機を第1固定無線機とすると共に、後部無線機による受信レベルが最大となる無線信号を送信した固定無線機又は当該固定無線機から移動体の後方m番目に位置する固定無線機を第2固定無線機とし、第1固定無線機と第2固定無線機とに挟まれたルート上の区間を移動体の存在区間として検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6976624号公報
【特許文献2】特開2017-81257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のような技術では、移動体の行路に沿って多数の受信部が設置され、移動体にビーコン発信部が1つ取り付けられている。この技術の場合、行路において、移動体が任意の受信部に対して上流側又は下流側のどちらに偏って位置しているのかを判別することはできない。したがって、移動体の位置を検出するのに高い精度は望めない。
【0007】
特許文献2のような技術において、移動体無線機が、移動体の前部に配置された前部無線機と、移動体の後部に配置された後部無線機と、を含む場合、複数の固定無線機は、前部無線機と後部無線機との間隔よりも小さい間隔をあけて、行路に沿って配置される。このため、行路に設置する固定無線機が多くならざるを得ない。したがって、固定無線機と移動体無線機の総数が多い。
【0008】
本開示は、上記の実情に鑑みてなされたものである。本開示の目的は、発信機と受信機の総数を抑制でき、且つ移動体の位置検出を高精度に行える移動体の位置検出システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る位置検出システムは、定められた行路を走行する移動体の位置検出システムである。当該位置検出システムは、第1受信機及び第2受信機と、3つ以上の発信機と、検出装置とを備える。第1受信機及び第2受信機は、行路に沿う方向に間隔をあけて移動体に設けられる。第1受信機及び第2受信機は、電波を受信する。3つ以上の発信機は、行路に沿って第1受信機と第2受信機との間隔よりも大きい間隔をあけて設置される。3つ以上の発信機は、行路における各々の位置に対応付けられた発信機位置情報を含む電波を発信する。検出装置は、第1受信機及び第2受信機に接続されている。検出装置は、発信機位置情報を格納するとともに、移動体における第1受信機及び第2受信機の各々の位置に対応付けられた受信機位置情報を格納している。検出装置は、以下の処理を実行するように構成される。
・第1受信機及び第2受信機で受信した電波の情報を取得する処理;
・3つ以上の発信機が発信して第1受信機で受信した電波のうちで最も強度レベルの高い第1電波を選定する処理;
・3つ以上の発信機が発信して第2受信機で受信した電波のうちで最も強度レベルの高い第2電波を選定する処理;
・第1電波に含まれる情報、及び発信機位置情報より、3つ以上の発信機のうちで第1電波を発信した第1発信機を特定する処理;
・第2電波に含まれる情報、及び発信機位置情報より、3つ以上の発信機のうちで第2電波を発信した第2発信機を特定する処理;
・第1電波の強度レベルと第2電波の強度レベルを比較する処理;及び
・比較した強度レベルの大小関係、発信機位置情報、及び受信機位置情報に基づき、第1発信機及び第2発信機に対する第1受信機及び第2受信機の位置を算出して、移動体の位置を決定する処理。
【0010】
本開示に係る位置検出システムは、定められた行路を走行する移動体の位置検出システムである。当該位置検出システムは、第1発信機及び第2発信機と、3つ以上の受信機と、検出装置とを備える。第1発信機及び第2発信機は、行路に沿う方向に間隔をあけて移動体に設けられる。第1発信機及び第2発信機は、移動体における各々の位置に対応付けられた発信機位置情報を含む電波を発信する。3つ以上の受信機は、行路に沿って第1発信機と第2発信機との間隔よりも大きい間隔をあけて設置される。3つ以上の受信機は、電波を受信する。検出装置は、3つ以上の受信機に接続されている。検出装置は、発信機位置情報を格納するとともに、行路における3つ以上の受信機の各々の位置に対応付けられた受信機位置情報を格納している。検出装置は、以下の処理を実行するように構成される。
・3つ以上の受信機で受信した電波の情報を取得する処理;
・第1発信機が発信して3つ以上の受信機で受信した電波のうちで最も強度レベルの高い第1電波を選定する処理;
・第2発信機が発信して3つ以上の受信機で受信した電波のうちで最も強度レベルの高い第2電波を選定する処理;
・第1電波に含まれる情報、及び受信機位置情報より、3つ以上の受信機のうちで第1電波を受信した第1受信機を特定する処理;
・第2電波に含まれる情報、及び受信機位置情報より、3つ以上の受信機のうちで第2電波を受信した第2受信機を特定する処理;
・第1電波の強度レベルと第2電波の強度レベルを比較する処理;及び
・比較した強度レベルの大小関係、受信機位置情報、及び発信機位置情報に基づき、第1受信機及び第2受信機に対する第1発信機及び第2発信機の位置を算出して、移動体の位置を決定する処理。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る移動体の位置検出システムによれば、発信機と受信機の総数を抑制することができ、且つ移動体の位置検出を高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る移動体の位置検出システムの模式図である。
【
図2】
図2は、検出装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、検出装置が実行する処理を説明するフローチャートである。
【
図4】
図4は、行路に対する移動体の位置の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、行路に対する移動体の位置の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る移動体の位置検出システムの模式図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態において検出装置が実行する処理を説明するフローチャートである。
【
図8】
図8は、第2実施形態において行路に対する移動体の位置の一例を示す模式図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態において行路に対する移動体の位置の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、本開示の実施形態について例を挙げて説明するが、本開示は以下で説明する例に限定されない。以下の説明において特定の数値や特定の材料を例示する場合があるが、本開示はそれらの例示に限定されない。
【0014】
本開示の実施形態に係る位置検出システムは、定められた行路を走行する移動体の位置検出システムである。当該位置検出システムは、第1受信機及び第2受信機と、3つ以上の発信機と、検出装置とを備える。第1受信機及び第2受信機は、行路に沿う方向に間隔をあけて移動体に設けられる。第1受信機及び第2受信機は、電波を受信する。3つ以上の発信機は、行路に沿って第1受信機と第2受信機との間隔よりも大きい間隔をあけて設置される。3つ以上の発信機は、行路における各々の位置に対応付けられた発信機位置情報を含む電波を発信する。検出装置は、第1受信機及び第2受信機に接続されている。検出装置は、発信機位置情報を格納するとともに、移動体における第1受信機及び第2受信機の各々の位置に対応付けられた受信機位置情報を格納している。検出装置は、以下の処理を実行するように構成される。
・第1受信機及び第2受信機で受信した電波の情報を取得する処理;
・3つ以上の発信機が発信して第1受信機で受信した電波のうちで最も強度レベルの高い第1電波を選定する処理;
・3つ以上の発信機が発信して第2受信機で受信した電波のうちで最も強度レベルの高い第2電波を選定する処理;
・第1電波に含まれる情報、及び発信機位置情報より、3つ以上の発信機のうちで第1電波を発信した第1発信機を特定する処理;
・第2電波に含まれる情報、及び発信機位置情報より、3つ以上の発信機のうちで第2電波を発信した第2発信機を特定する処理;
・第1電波の強度レベルと第2電波の強度レベルを比較する処理;及び
・比較した強度レベルの大小関係、発信機位置情報、及び受信機位置情報に基づき、第1発信機及び第2発信機に対する第1受信機及び第2受信機の位置を算出して、移動体の位置を決定する処理(第1の構成)。
【0015】
第1の構成の位置検出システムでは、第1受信機及び第2受信機という2つの受信機が、行路に沿う方向に間隔をあけて移動体に設けられる。3つ以上の発信機が、行路に沿って第1受信機と第2受信機との間隔よりも大きい間隔をあけて設置される。つまり、行路において隣接する発信機同士の間隔は、移動体における第1受信機と第2受信機との間隔よりも大きい。移動体に2つの受信機が設けられることにより、移動体の位置検出の精度が高まる。また、隣接する発信機同士の間隔が、第1受信機と第2受信機との間隔よりも大きいことにより、設置する発信機の数が低減する。したがって、第1の構成の位置検出システムによれば、発信機と受信機の総数を抑制することができ、且つ移動体の位置検出を高精度に行うことができる。
【0016】
第1の構成において、好ましくは、3つ以上の発信機がビーコンである(第2の構成)。この場合、発信機の調達コストを抑えることができ、移動体の位置検出を安定して行うことができる。
【0017】
第1の構成又は第2の構成において、好ましくは、3つ以上の発信機の間隔が相互に等しい(第3の構成)。
【0018】
第1の構成から第3の構成のいずれか1つにおいて、好ましくは、3つ以上の発信機の間隔は、第1受信機と第2受信機との間隔の1.5倍~2.5倍である(第4の構成)。上記の通り、行路において隣接する発信機同士の間隔は、移動体における第1受信機と第2受信機との間隔よりも大きい。これにより、移動体の位置をより効率よく特定することができる。
【0019】
本開示の実施形態に係る位置検出システムは、定められた行路を走行する移動体の位置検出システムである。当該位置検出システムは、第1発信機及び第2発信機と、3つ以上の受信機と、検出装置とを備える。第1発信機及び第2発信機は、行路に沿う方向に間隔をあけて移動体に設けられる。第1発信機及び第2発信機は、移動体における各々の位置に対応付けられた発信機位置情報を含む電波を発信する。3つ以上の受信機は、行路に沿って第1発信機と第2発信機との間隔よりも大きい間隔をあけて設置される。3つ以上の受信機は、電波を受信する。検出装置は、3つ以上の受信機に接続されている。検出装置は、発信機位置情報を格納するとともに、行路における3つ以上の受信機の各々の位置に対応付けられた受信機位置情報を格納している。検出装置は、以下の処理を実行するように構成される。
・3つ以上の受信機で受信した電波の情報を取得する処理;
・第1発信機が発信して3つ以上の受信機で受信した電波のうちで最も強度レベルの高い第1電波を選定する処理;
・第2発信機が発信して3つ以上の受信機で受信した電波のうちで最も強度レベルの高い第2電波を選定する処理;
・第1電波に含まれる情報、及び受信機位置情報より、3つ以上の受信機のうちで第1電波を受信した第1受信機を特定する処理;
・第2電波に含まれる情報、及び受信機位置情報より、3つ以上の受信機のうちで第2電波を受信した第2受信機を特定する処理;
・第1電波の強度レベルと第2電波の強度レベルを比較する処理;及び
・比較した強度レベルの大小関係、受信機位置情報、及び発信機位置情報に基づき、第1受信機及び第2受信機に対する第1発信機及び第2発信機の位置を算出して、移動体の位置を決定する処理(第5の構成)。
【0020】
第5の構成の位置検出システムでは、第1発信機及び第2発信機という2つの発信機が、行路に沿う方向に間隔をあけて移動体に設けられる。3つ以上の受信機が、行路に沿って第1発信機と第2発信機との間隔よりも大きい間隔をあけて設置される。つまり、行路において隣接する受信機同士の間隔は、移動体における第1発信機と第2発信機との間隔よりも大きい。移動体に2つの発信機が設けられることにより、移動体の位置検出の精度が高まる。また、隣接する受信機同士の間隔が、第1発信機と第2発信機との間隔よりも大きいことにより、設置する受信機の数が低減する。したがって、第5の構成の位置検出システムによれば、発信機と受信機の総数を抑制することができ、且つ移動体の位置検出を高精度に行うことができる。
【0021】
第5の構成において、好ましくは、第1発信機及び第2発信機がビーコンである(第6の構成)。この場合、第2の構成と同様の理由により、第1発信機及び第2発信機の調達コストを抑えることができ、移動体の位置検出を安定して行うことができる。
【0022】
第5の構成又は第6において、好ましくは、3つ以上の受信機の間隔が相互に等しい(第7の構成)。
【0023】
第5の構成から第7の構成のいずれか1つにおいて、好ましくは、3つ以上の受信機の間隔は、第1発信機と第2発信機との間隔の1.5倍~2.5倍である(第8の構成)。上記の通り、行路において隣接する受信機同士の間隔は、移動体における第1発信機と第2発信機との間隔よりも大きい。これにより、移動体の位置をより効率よく特定することができる。
【0024】
第1の構成から第8の構成のいずれか1つにおいて、例えば、移動体が天井クレーンであり、行路が直線状のレールである(第9の構成)。この場合、天井クレーンの位置検出を高精度に行うことができる。
【0025】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。各図において同一又は相当の構成については同一符号を付し、重複する説明を繰り返さない。
【0026】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る移動体の位置検出システム1の模式図である。
図1に示すように、位置検出システム1における移動体2は、定められた行路3を走行する。本実施形態の例において、移動体2は天井クレーン2Aである。移動体2となる天井クレーン2Aは、行路3となる一対のレール3A上を走行する。一対のレール3Aは直線状であり、屋内又は屋外に架設されている。
【0027】
図1を参照して、位置検出システム1は、第1受信機RM1及び第2受信機RM2と、3つ以上の発信機TF1,TF2,TF3と、検出装置4とを備える。第1受信機RM1及び第2受信機RM2は、移動体2(天井クレーン2A)に取り付けられている。移動体2において、第1受信機RM1及び第2受信機RM2は、行路3(レール3A)に沿う方向に間隔DMをあけて設けられている。例えば、第1受信機RM1は、移動体2の行路3に沿う方向の一方端に配置され、第2受信機RM2は、その移動体2の他方端に配置されている。第1受信機RM1は、第2受信機RM2に対して行路3の上流側に配置されている。また、両受信機RM1,RM2は、移動体2の幅方向(行路3に沿う方向に垂直な水平方向)の一方側に配置されている。第1受信機RM1の高さ方向の位置は、第2受信機RM2の高さ方向の位置と実質的に等しい。
【0028】
第1受信機RM1及び第2受信機RM2は、各発信機TF1,TF2,TF3から発信された電波を受信することができる。また、両受信機RM1,RM2は、受信した電波の情報を検出装置4に送出することができる。さらに、第1受信機RM1は、移動体2における自身の位置に対応付けられた受信機位置情報を検出装置4に送出することができ、第2受信機RM2は、移動体2における自身の位置に対応付けられた受信機位置情報を検出装置4に送出することができる。
【0029】
発信機TF1,TF2,TF3は、行路3に沿って間隔DFをあけて設置されている。隣接する発信機TF1,TF2,TF3同士の間隔DFは、第1受信機RM1と第2受信機RM2との間隔DMよりも大きい。例えば、発信機TF1は、発信機TF2に対して行路3の上流側に配置され、発信機TF3は、発信機TF2に対して行路3の下流側に配置されている。本実施形態の例において、隣接する発信機TF1,TF2,TF3同士の間隔DFは、相互に等しい。それらの間隔DFは、実質的に等しければよい。ただし、それらの間隔DFは、相互に異なっていてもよい。間隔DFは、例えば、10mである。第1受信機RM1と第2受信機RM2との間隔DMは、例えば、5mである。間隔DFは、間隔DMよりも大きければ特に限定されない。間隔DFは、間隔DMの1.5倍~2.5倍とすることができる。発信機TF1,TF2,TF3の高さ方向の位置は、相互に実質的に等しくて、第1受信機RM1及び第2受信機RM2の高さ方向の位置と実質的に等しい。
【0030】
発信機TF1,TF2,TF3は、電波を発信する。本実施形態の例において、発信機TF1,TF2,TF3はビーコンであり、電波としてビーコン信号を発信する。発信機TF1,TF2,TF3から発信される電波は、行路3における発信機TF1,TF2,TF3各々の位置に対応付けられた発信機位置情報を含む。発信機位置情報は、発信機TF1,TF2,TF3の地点情報を含む。
【0031】
検出装置4は、第1受信機RM1及び第2受信機RM2に接続されている。本実施形態の例において、検出装置4は、移動体2の外に設置されている。検出装置4は、アンテナ41と、表示装置42とを含む。検出装置4は、アンテナ41を介し、第1受信機RM1及び第2受信機RM2と無線で通信可能に接続されている。ただし、検出装置4は、第1受信機RM1及び第2受信機RM2と有線で通信可能に接続されていてもよい。検出装置4が各受信機RM1,RM2と有線で接続されている場合、検出装置4は移動体2上に設置されていてもよい。
【0032】
検出装置4は、第1受信機RM1及び第2受信機RM2から送出された電波の情報に基づいて、各種の処理を実行するように構成される。すなわち、検出装置4は、電波の情報を取得する処理、第1電波を選定する処理、第2電波を選定する処理、第1発信機を特定する処理、第2発信機を特定する処理、第1電波と第2電波の強度レベルを比較する処理、及び移動体の位置を決定する処理を実行するように構成される。検出装置4は、例えば、それらの処理を実行するプログラムがインストールされたコンピュータである。
【0033】
図2は、検出装置4のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、検出装置4は、CPU(Central Processing Unit)43と、主記憶装置44と、インタフェース(I/F)45と、補助記憶装置46と、を含む。CPU43、主記憶装置44、インタフェース45、及び補助記憶装置46は、バス47により互いに通信可能に接続されている。
【0034】
主記憶装置44は、CPU43のワークエリア等になるRAM(Random Access Memory)等である。インタフェース45は、アンテナ41、及び表示装置42に接続される。補助記憶装置46は、各種データやプログラム等が記憶されるHDD(Hard Disk Drive)である。補助記憶装置46は、SSD(Solid State Drive)等のような記憶媒体であってもよい。補助記憶装置46には、上記の処理を実行するプログラム、行路3における発信機TF1,TF2,TF3各々の位置に対応付けられた発信機位置情報、及び移動体2における第1受信機RM1及び第2受信機RM2の各々の位置に対応付けられた受信機位置情報が格納されている。各種のプログラムが主記憶装置44にロードされて、CPU43がプログラムを実行し、その結果が表示装置42に表示される。
【0035】
以下、
図1、
図3、
図4及び
図5を参照して、検出装置4による処理を詳細に説明する。
図3は、検出装置4が実行する処理を説明するフローチャートである。
図4及び
図5は、それぞれ、行路3に対する移動体2の位置の一例を示す模式図である。
【0036】
図3に示すように、検出装置4は、電波の情報を取得する処理(#5)、第1電波を選定する処理(#10)、第2電波を選定する処理(#15)、第1発信機を特定する処理(#20)、第2発信機を特定する処理(#25)、第1電波と第2電波の強度レベルを比較する処理(#30)、及び移動体の位置を決定する処理(#35)を実行するように構成される。
【0037】
まず、
図3のステップ#5に示すように、検出装置4は、第1受信機RM1及び第2受信機RM2で受信した電波の情報を取得する。具体的には、検出装置4は、第1受信機RM1によって受信された各発信機TF1,TF2,TF3の電波の情報を取得するとともに、第2受信機RM2によって受信された各発信機TF1,TF2,TF3の電波の情報を取得する。各情報には、各発信機TF1,TF2,TF3の地点情報、各電波の強度レベルの情報が含まれている。このとき、第1受信機RM1から遠い位置にある発信機TF1,TF2,TF3の電波は、第1受信機RM1に到達しない。第2受信機RM2から遠い位置にある発信機TF1,TF2,TF3の電波は、第2受信機RM2に到達しない。そのため、第1受信機RM1は、第1受信機RM1に近い発信機TF1,TF2,TF3からの電波を受信し、第2受信機RM2は、第2受信機RM2に近い発信機TF1,TF2,TF3からの電波を受信する。
【0038】
例えば、
図4に示すように、移動体2が発信機TF2と重なる位置にある場合、第1受信機RM1は、発信機TF1と発信機TF2との間に位置し、第2受信機RM2は、発信機TF2と発信機TF3との間に位置している。この場合、第1受信機RM1は、第1受信機RM1に近い2つの発信機TF1,TF2からの電波を受信し、第2受信機RM2は、第2受信機RM2に近い2つの発信機TF2,TF3からの電波を受信する。検出装置4は、第1受信機RM1で受信した発信機TF1,TF2からの電波の情報を取得し、第2受信機RM2で受信した発信機TF2,TF3からの電波の情報を取得する。
【0039】
また、例えば、
図5に示すように、移動体2が発信機TF1と発信機TF2との間に位置している場合、第1受信機RM1及び第2受信機RM2はいずれも、発信機TF1と発信機TF2との間に位置している。この場合、両受信機RM1,RM2は、2つの発信機TF1,TF2からの電波を受信する。検出装置4は、第1受信機RM1で受信した発信機TF1,TF2からの電波の情報を取得し、第2受信機RM2で受信した発信機TF1,TF2からの電波の情報を取得する。
【0040】
次に、
図3のステップ#10に示すように、検出装置4は、各発信機TF1,TF2,TF3が発信して第1受信機RM1で受信した電波のうちで最も強度レベルの高い第1電波W1を選定する。具体的には、検出装置4は、第1受信機RM1から取得した電波の情報に基づき、第1受信機RM1で受信した発信機TF1,TF2,TF3からの電波の強度レベルを比較し、最も高い強度レベルの電波を第1電波W1とする。
【0041】
例えば、
図4に示すように、移動体2が発信機TF2と重なる位置にある場合、第1受信機RM1は、発信機TF1よりも発信機TF2に近い。このため、第1受信機RM1で受信した電波の強度レベルは、発信機TF1からの電波よりも発信機TF2からの電波のほうが高い。検出装置4は、第1受信機RM1で受信した電波のうち、発信機TF2からの電波を第1電波W1とする。
【0042】
また、例えば、
図5に示すように、移動体2が発信機TF1と発信機TF2との間に位置している場合、第1受信機RM1は、発信機TF2よりも発信機TF1に近い。このため、第1受信機RM1で受信した電波の強度レベルは、発信機TF2からの電波よりも発信機TF1からの電波のほうが高い。検出装置4は、第1受信機RM1で受信した電波のうち、発信機TF1からの電波を第1電波W1とする。
【0043】
図3のステップ#15に示すように、検出装置4は、各発信機TF1,TF2,TF3が発信して第2受信機RM2で受信した電波のうちで最も強度レベルの高い第2電波W2を選定する。具体的には、検出装置4は、第2受信機RM2から取得した電波の情報に基づき、第2受信機RM2で受信した発信機TF1,TF2,TF3からの電波の強度レベルを比較し、最も高い強度レベルの電波を第2電波W2とする。
【0044】
例えば、
図4に示すように、移動体2が発信機TF2と重なる位置にある場合、第2受信機RM2は、発信機TF3よりも発信機TF2に近い。このため、第2受信機RM2で受信した電波の強度レベルは、発信機TF3からの電波よりも発信機TF2からの電波のほうが高い。検出装置4は、第2受信機RM2で受信した電波のうち、発信機TF2からの電波を第2電波W2とする。
【0045】
また、例えば、
図5に示すように、移動体2が発信機TF1と発信機TF2との間に位置している場合、第2受信機RM2は、発信機TF1よりも発信機TF2に近い。このため、第2受信機RM2で受信した電波の強度レベルは、発信機TF1からの電波よりも発信機TF2からの電波のほうが高い。検出装置4は、第2受信機RM2で受信した電波のうち、発信機TF2からの電波を第2電波W2とする。
【0046】
続いて、
図3のステップ#20に示すように、検出装置4は、第1電波W1に含まれる情報、及び発信機位置情報より、発信機TF1,TF2,TF3のうちで第1電波W1を発信した第1発信機TFAを特定する。具体的には、検出装置4は、第1受信機RM1で受信した第1電波W1に含まれる発信機TF1,TF2,TF3の情報と、補助記憶装置46(
図2参照)に格納されている発信機位置情報とを照合し、照合により合致する発信機を第1発信機TFAとする。
【0047】
例えば、
図4に示すように、移動体2が発信機TF2と重なる位置にある場合、第1電波W1は、第1受信機RM1で受信した電波のうち発信機TF2からの電波である。このため、検出装置4は、第1電波W1を発信した発信機TF2を第1発信機TFAとする。
【0048】
また、例えば、
図5に示すように、移動体2が発信機TF1と発信機TF2との間に位置している場合、第1電波W1は、第1受信機RM1で受信した電波のうち発信機TF1からの電波である。このため、検出装置4は、第1電波W1を発信した発信機TF1を第1発信機TFAとする。
【0049】
図3のステップ#25に示すように、検出装置4は、第2電波W2に含まれる情報、及び発信機位置情報より、発信機TF1,TF2,TF3のうちで第2電波W2を発信した第2発信機TFBを特定する。具体的には、検出装置4は、第2受信機RM2で受信した第2電波W2に含まれる発信機TF1,TF2,TF3の情報と、補助記憶装置46(
図2参照)に格納されている発信機位置情報とを照合し、照合により合致する発信機を第2発信機TFBとする。
【0050】
例えば、
図4に示すように、移動体2が発信機TF2と重なる位置にある場合、第2電波W2は、第2受信機RM2で受信した電波のうち発信機TF2からの電波である。このため、検出装置4は、第2電波W2を発信した発信機TF2を第2発信機TFBとする。この場合、第1発信機TFAが発信機TF2であることから、第2発信機TFBは、第1発信機TFAと同じになっている。すなわち、第1発信機TFAと第2発信機TFBは共通する。
【0051】
また、例えば、
図5に示すように、移動体2が発信機TF1と発信機TF2との間に位置している場合、第2電波W2は、第2受信機RM2で受信した電波のうち発信機TF2からの電波である。このため、検出装置4は、第2電波W2を発信した発信機TF2を第2発信機TFBとする。この場合、第1発信機TFAが発信機TF1であることから、第2発信機TFBは、第1発信機TFAと異なっている。
【0052】
次に、
図3のステップ#30に示すように、検出装置4は、第1電波W1の強度レベルと第2電波W2の強度レベルを比較する。この場合、比較対象は、第1受信機RM1で受信した電波のうち第1電波W1を発信した第1発信機TFAからの電波の強度レベルと、第2受信機RM2で受信した電波のうち第2電波W2を発信した第2発信機TFBからの電波の強度レベルである。
【0053】
例えば、
図4に示すように、移動体2が発信機TF2と重なる位置にある場合、検出装置4は、第1受信機RM1で受信した第1発信機TFA(発信機TF2)からの第1電波W1の強度レベルと、第2受信機RM2で受信した第2発信機TFB(発信機TF2)からの第2電波W2の強度レベルとを比較する。
【0054】
また、例えば、
図5に示すように、移動体2が発信機TF1と発信機TF2との間に位置している場合、検出装置4は、第1受信機RM1で受信した第1発信機TFA(発信機TF1)からの第1電波W1の強度レベルと、第2受信機RM2で受信した第2発信機TFB(発信機TF2)からの第2電波W2の強度レベルとを比較する。
【0055】
そして、
図3のステップ#35に示すように、検出装置4は、比較した強度レベルの大小関係、発信機位置情報、及び受信機位置情報に基づき、第1発信機TFA及び第2発信機TFBに対する第1受信機RM1及び第2受信機RM2の位置を算出して、移動体2の位置を決定する。具体的には、検出装置4は、第1電波W1の強度レベルと第2電波W2の強度レベルとの比較に基づき、強度レベルに関して第1電波W1と第2電波W2との大小関係を算出するとともに、両者の強度レベル差を算出する。電波の強度レベルは、受信機と発信機との距離に実質的に反比例する。検出装置4は、それらの強度レベルの大小関係と強度レベル差、及び補助記憶装置46(
図2参照)に格納されている発信機位置情報及び受信機位置情報に基づき、第1電波W1を発信した第1発信機TFA、及び第2電波W2を発信した第2発信機TFBに対する第1受信機RM1及び第2受信機RM2の位置を算出する。そして、検出装置4は、算出した第1受信機RM1及び第2受信機RM2の位置により、移動体2の位置を決定する。これにより、行路3における移動体2の位置を検出することができる。さらに、検出装置4は、その検出結果を表示装置42に表示させることができる。
【0056】
例えば、
図4に示すように、移動体2が発信機TF2と重なる位置にある場合、共通する第1発信機TFA及び第2発信機TFB(発信機TF2)は、第1受信機RM1と第2受信機RM2との間に位置している。第2受信機RM2で受信した第2電波W2の強度レベルは、第1受信機RM1で受信した第1電波W1の強度レベルよりも高い。この場合、検出装置4は、第1電波W1の強度レベルと第2電波W2の強度レベルとの比較に基づき、そのような電波の強度レベルの大小関係を算出するとともに、強度レベル差を算出する。
【0057】
検出装置4は、それらの強度レベルの大小関係と強度レベル差、並びに発信機位置情報及び受信機位置情報に基づき、第1発信機TFA及び第2発信機TFBに対する第1受信機RM1及び第2受信機RM2の位置を算出する。そして、検出装置4は、算出した第1受信機RM1及び第2受信機RM2の位置により、移動体2が第1発信機TFA及び第2発信機TFB(発信機TF2)と重なる位置にあると決定する。その際、第2電波W2の強度レベルが第1電波W1の強度レベルよりも高いため、第2電波W2を受信した第2受信機RM2と発信機TF2(第1発信機TFA及び第2発信機TFB)との距離は、第1電波W1を受信した第1受信機RM1と発信機TF2との距離よりも小さい。この場合、検出装置4は、移動体2が発信機TF2と重なりつつ、発信機TF1側に偏った位置にあると決定する。
【0058】
また、例えば、
図5に示すように、移動体2が発信機TF1と発信機TF2との間に位置している場合、第1発信機TFA(発信機TF1)は第1受信機RM1の近くに位置し、第2発信機TFB(発信機TF2)は第2受信機RM2の近くに位置している。第2受信機RM2で受信した第2電波W2の強度レベルは、第1受信機RM1で受信した第1電波W1の強度レベルよりも高い。この場合、検出装置4は、第1電波W1の強度レベルと第2電波W2の強度レベルとの比較に基づき、そのような電波の強度レベルの大小関係を算出するとともに、強度レベル差を算出する。
【0059】
検出装置4は、それらの強度レベルの大小関係と強度レベル差、並びに発信機位置情報及び受信機位置情報に基づき、第1発信機TFA及び第2発信機TFBに対する第1受信機RM1及び第2受信機RM2の位置を算出する。そして、検出装置4は、算出した第1受信機RM1及び第2受信機RM2の位置により、移動体2が発信機TF1と発信機TF2との間に位置していると決定する。その際、第2電波W2の強度レベルが第1電波W1の強度レベルよりも高いため、第2電波W2を受信した第2受信機RM2と発信機TF2(第2発信機TFB)との距離は、第1電波W1を受信した第1受信機RM1と発信機TF1(第1発信機TFA)との距離よりも小さい。この場合、検出装置4は、移動体2が発信機TF1と発信機TF2との間に位置しつつ、発信機TF2側に偏った位置にあると決定する。
【0060】
[効果]
本実施形態に係る位置検出システム1では、第1受信機RM1及び第2受信機RM2という2つの受信機RM1,RM2が、行路3に沿う方向に間隔DMをあけて移動体2に設けられる。3つ以上の発信機TF1,TF2,TF3が、行路3に沿って第1受信機RM1と第2受信機RM2との間隔DMよりも大きい間隔DFをあけて設置される。つまり、行路3において隣接する発信機TF1,TF2,TF3同士の間隔DFは、移動体2における第1受信機RM1と第2受信機RM2との間隔DMよりも大きい。移動体2に2つの受信機RM1,RM2が設けられることにより、移動体2の位置検出の精度が高まる。また、隣接する発信機TF1,TF2,TF3同士の間隔DFが、第1受信機RM1と第2受信機RM2との間隔DMよりも大きいことにより、設置する発信機の数が低減する。したがって、第1の構成の位置検出システム1によれば、発信機と受信機の総数を抑制することができ、且つ移動体2の位置検出を高精度に行うことができる。
【0061】
本実施形態では、発信機TF1,TF2,TF3がビーコンである。ビーコンは、様々な発信機の中でも比較的安価であり、市場で多く流通している。また、ビーコンが発信するビーコン信号は、屋内及び屋外を問わずに安定している。そのため、発信機TF1,TF2,TF3の調達コストを抑えることができ、移動体2の位置検出を安定して行うことができる。
【0062】
本実施形態に係る位置検出システム1の場合、隣接する発信機TF1,TF2,TF3同士の間隔DFは、第1受信機RM1と第2受信機RM2との間隔DMの1.5倍~2.5倍である。最も好ましくは、間隔DFは、間隔DMの2倍である。以下、その理由を説明する。
【0063】
本実施形態では、行路3において、移動体(第1受信機RM1及び第2受信機RM2)と発信機との位置関係は、以下に示す(1)又は(2)のいずれかの状態のとなる。
(1)
図4に示されるような、第1受信機RM1と第2受信機RM2が、ともに同じ発信機からの電波を最も強い電波として受信する状態
(2)
図5に示されるような、第1受信機RM1と第2受信機RM2が、隣接する異なる発信機からの電波を最も強い電波としてそれぞれ受信する状態
【0064】
ここで、行路3において、上記(2)の位置関係となる区間は、各発信機の電波出力が互いに等しいとすれば、第1受信機RM1が隣接する発信機同士の中点にある状態の位置から第2受信機RM2が前記中点にある状態の位置までである。したがって、この区間の長さは、第1受信機RM1と第2受信機RM2の間隔DM(
図1参照)と等しい。つまり、第1受信機RM1と第2受信機RM2の間隔DMをa、発信機同士の間隔DF(
図1参照)をL(一定。L>a)とすると、Lのうち、上記(2)の位置関係となる区間の長さはaであり、上記(1)の位置関係となる区間の長さは(L-a)である。(1)の位置関係にある区間の長さ(L-a)と(2)の位置関係にある区間の長さaが等しい場合、すなわちL=2×aの条件が満たされる場合、移動体の位置を最も効率よく特定することができる。つまり、間隔DFが間隔DMの2倍である場合、移動体の位置を最も効率よく特定することができる。
【0065】
実際には、発信機を設置する位置は発信機の個数の都合等のため、L=2×aの条件を満たす一定の間隔で発信機を設置することが難しいことも考えられる。その場合、受信機の間隔aは、移動体の大きさによってできるだけL=2×aの条件に近い間隔(たとえば1.5×a<L<2.5×aの範囲)になるように、受信機を移動体に設置するのが好ましい。具体的には、間隔DFは間隔DMの1.5倍~2.5倍であることが好ましい。なお、L<2×aの場合は、可能なら移動体側の受信機の間隔DMをやや狭めて(仮にa’とする)、L≒2×a’の条件を満たすように、受信機を移動体に設置することも好ましい。
【0066】
<第2実施形態>
以下に、
図6~
図9を参照して、第2実施形態に係る移動体2の位置検出システム1Aを説明する。第2実施形態に係る位置検出システム1Aは、第1発信機TM1及び第2発信機TM2を移動体2に設けるとともに、3つ以上の受信機RF1,RF2,RF3を行路3に設置した点で、上記した第1実施形態に係る位置検出システム1と異なる。以下、第1実施形態と重複する構成についての説明は適宜省略する。
【0067】
図6は、第2実施形態に係る移動体の位置検出システム1Aの模式図である。
図6を参照して、位置検出システム1Aは、第1発信機TM1及び第2発信機TM2と、3つ以上の受信機RF1,RF2,RF3と、検出装置4とを備える。第1発信機TM1及び第2発信機TM2は、移動体2(天井クレーン2A)に取り付けられている。移動体2において、第1発信機TM1及び第2発信機TM2は、行路3(レール3A)に沿う方向に間隔DMをあけて設けられている。例えば、第1発信機TM1は、移動体2の行路3に沿う方向の一方端に配置され、第2発信機TM2は、その移動体2の他方端に配置されている。第1発信機TM1は、第2発信機TM2に対して行路3の上流側に配置されている。また、両発信機TM1,TM2は、移動体2の幅方向(行路3に沿う方向に垂直な水平方向)の一方側に配置されている。第1発信機TM1の高さ方向の位置は、第2発信機TM2の高さ方向の位置と実質的に等しい。
【0068】
第1発信機TM1及び第2発信機TM2は、電波を発信する。本実施形態の例において、第1発信機TM1及び第2発信機TM2はビーコンであり、電波としてビーコン信号を発信する。第1発信機TM1及び第2発信機TM2から発信される電波は、移動体2における第1発信機TM1及び第2発信機TM2の各々の位置に対応付けられた発信機位置情報を含む。
【0069】
受信機RF1,RF2,RF3は、行路3に沿って間隔DFをあけて設置されている。隣接する受信機RF1,RF2,RF3同士の間隔DFは、第1発信機TM1と第2発信機TM2との間隔DMよりも大きい。例えば、受信機RF1は、受信機RF2に対して行路3の上流側に配置され、受信機RF3は、受信機RF2に対して行路3の下流側に配置されている。本実施形態の例において、隣接する受信機RF1,RF2,RF3同士の間隔DFは、相互に等しい。それらの間隔DFは、実質的に等しければよい。ただし、それらの間隔DFは、相互に異なっていてもよい。間隔DFは、例えば、10mである。第1発信機TM1と第2発信機TM2との間隔DMは、例えば、5mである。間隔DFは、間隔DMよりも大きければ特に限定されない。間隔DFは、間隔DMの1.5倍~2.5倍とすることができる。受信機RF1,RF2,RF3の高さ方向の位置は、相互に実質的に等しくて、第1発信機TM1及び第2発信機TM2の高さ方向の位置と実質的に等しい。
【0070】
受信機RF1,RF2,RF3は、第1発信機TM1及び第2発信機TM2から発信された電波を受信することができる。また、各受信機RF1,RF2,RF3は、受信した電波の情報を検出装置4に送出することができる。さらに、各受信機RF1,RF2,RF3は、行路3における受信機RF1,RF2,RF3各々の位置に対応付けられた受信機位置情報を検出装置4に送出することができる。受信機位置情報は、受信機RF1,RF2,RF3の地点情報を含む。
【0071】
検出装置4は、各受信機RF1,RF2,RF3に接続されている。本実施形態の例において、検出装置4は、移動体2の外に設置されている。検出装置4は、アンテナ41を介し、各受信機RF1,RF2,RF3と無線で通信可能に接続されている。ただし、検出装置4は、各受信機RF1,RF2,RF3と有線で通信可能に接続されていてもよい。
【0072】
検出装置4は、各受信機RF1,RF2,RF3から送出された電波の情報に基づいて、各種の処理を実行するように構成される。すなわち、検出装置4は、電波の情報を取得する処理、第1電波を選定する処理、第2電波を選定する処理、第1受信機を特定する処理、第2受信機を特定する処理、第1電波と第2電波の強度レベルを比較する処理、及び移動体の位置を決定する処理を実行するように構成される。検出装置4は、例えば、それらの処理を実行するプログラムがインストールされたコンピュータである。
【0073】
上記の処理を実行するプログラム、行路3における受信機RF1,RF2,RF3各々の位置に対応付けられた受信機位置情報、及び移動体2における第1発信機TM1及び第2発信機TM2の各々の位置に対応付けられた発信機位置情報は、検出装置4の補助記憶装置46(
図2参照)に格納されている。
【0074】
以下、
図6、
図7、
図8及び
図9を参照して、検出装置4による処理を詳細に説明する。
図7は、検出装置4が実行する処理を説明するフローチャートである。
図8及び
図9は、それぞれ、行路3に対する移動体2の位置の一例を示す模式図である。
【0075】
図7に示すように、検出装置4は、電波の情報を取得する処理(#105)、第1電波を選定する処理(#110)、第2電波を選定する処理(#115)、第1受信機を特定する処理(#120)、第2受信機を特定する処理(#125)、第1電波と第2電波の強度レベルを比較する処理(#130)、及び移動体の位置を決定する処理(#135)を実行するように構成される。
【0076】
まず、
図7のステップ#105に示すように、検出装置4は、各受信機RF1,RF2,RF3で受信した電波の情報を取得する。具体的には、検出装置4は、各受信機RF1,RF2,RF3によって受信された第1発信機TM1の電波の情報を取得するとともに、各受信機RF1,RF2,RF3によって受信された第2発信機TM2の電波の情報を取得する。各情報には、各受信機RF1,RF2,RF3の地点情報、各電波の強度レベルの情報が含まれている。このとき、第1発信機TM1の電波は、第1発信機TM1から遠い位置にある受信機RF1,RF2,RF3に到達しない。第2発信機TM2の電波は、第2発信機TM2から遠い位置にある受信機RF1,R2,RF3に到達しない。そのため、受信機RF1,RF2,RF3は、当該受信機RF1,RF2,RF3に近い第1発信機TM1からの電波を受信し、当該受信機RF1,RF2,RF3に近い第2発信機TM2からの電波を受信する。
【0077】
例えば、
図8に示すように、移動体2が受信機RF2と重なる位置にある場合、第1発信機TM1は、受信機RF1と受信機RF2との間に位置し、第2発信機TM2は、受信機RF2と受信機RF3との間に位置している。この場合、第1発信機TM1に近い2つの受信機RF1,RF2は、第1発信機TM1からの電波を受信し、第2発信機TM2に近い2つの受信機RF2,RF3は、第2発信機TM2からの電波を受信する。検出装置4は、受信機RF1で受信した第1発信機TM1からの電波の情報を取得し、受信機RF2で受信した第1発信機TM1及び第2発信機TM2からの電波の情報を取得し、受信機RF3で受信した第2発信機TM2からの電波の情報を取得する。
【0078】
また、例えば、
図9に示すように、移動体2が受信機RF1と受信機RF2との間に位置している場合、第1発信機TM1及び第2発信機TM2はいずれも、受信機RF1と受信機RF2との間に位置している。この場合、両受信機RF1,RF2は、第1発信機TM1及び第2発信機TM2からの電波を受信する。検出装置4は、受信機RF1で受信した第1発信機TM1及び第2発信機TM2からの電波の情報を取得し、受信機RF2で受信した第1発信機TM1及び第2発信機TM2からの電波の情報を取得する。
【0079】
次に、
図7のステップ#110に示すように、検出装置4は、第1発信機TM1が発信して各受信機RF1,RF2,RF3で受信した電波のうちで最も強度レベルの高い第1電波W1を選定する。具体的には、検出装置4は、各受信機RF1,RF2,RF3から取得した電波の情報に基づき、各受信機RF1,RF2,RF3で受信した第1発信機TM1からの電波の強度レベルを比較し、最も高い強度レベルの電波を第1電波W1とする。
【0080】
例えば、
図8に示すように、移動体2が受信機RF2と重なる位置にある場合、第1発信機TM1は、受信機RF1よりも受信機RF2に近い。このため、第1発信機TM1からの電波について、受信機RF2で受信した電波の強度レベルは、受信機RF1で受信した電波の強度レベルよりも高い。検出装置4は、第1発信機TM1が発信して各受信機RF1,RF2,RF3で受信した電波のうち、受信機RF2から送出された電波を第1電波W1とする。
【0081】
また、例えば、
図9に示すように、移動体2が受信機RF1と受信機RF2との間に位置している場合、第1発信機TM1は、受信機RF2よりも受信機RF1に近い。このため、第1発信機TM1からの電波について、受信機RF1で受信した電波の強度レベルは、受信機RF2で受信した電波の強度レベルよりも高い。検出装置4は、第1発信機TM1が発信して各受信機RF1,RF2,RF3で受信した電波のうち、受信機RF1から送出された電波を第1電波W1とする。
【0082】
図7のステップ#115に示すように、検出装置4は、第2発信機TM2が発信して各受信機RF1,RF2,RF3で受信した電波のうちで最も強度レベルの高い第2電波W2を選定する。具体的には、検出装置4は、各受信機RF1,RF2,RF3から取得した電波の情報に基づき、各受信機RF1,RF2,RF3で受信した第2発信機TM2からの電波の強度レベルを比較し、最も高い強度レベルの電波を第2電波W2とする。
【0083】
例えば、
図8に示すように、移動体2が受信機RF2と重なる位置にある場合、第2発信機TM2は、受信機RF3よりも受信機RF2に近い。このため、第2発信機TM2からの電波について、受信機RF2で受信した電波の強度レベルは、受信機RF3で受信した電波の強度レベルよりも高い。検出装置4は、第2発信機TM2が発信して各受信機RF1,RF2,RF3で受信した電波のうち、受信機RF2から送出された電波を第2電波W2とする。
【0084】
また、例えば、
図9に示すように、移動体2が受信機RF1と受信機RF2との間に位置している場合、第2発信機TM2は、受信機RF1よりも受信機RF2に近い。このため、第2発信機TM2からの電波について、受信機RF2で受信した電波の強度レベルは、受信機RF1で受信した電波の強度レベルよりも高い。検出装置4は、第2発信機TM2が発信して各受信機RF1,RF2,RF3で受信した電波のうち、受信機RF2から送出された電波を第2電波W2とする。
【0085】
続いて、
図7のステップ#120に示すように、検出装置4は、第1電波W1に含まれる情報、及び受信機位置情報より、受信機RF1,RF2,RF3のうちで第1電波W1を受信した第1受信機RFAを特定する。具体的には、検出装置4は、第1電波W1に含まれる受信機RF1,RF2,RF3の情報と、補助記憶装置46(
図2参照)に格納されている受信機位置情報とを照合し、照合により合致する受信機を第1受信機RFAとする。
【0086】
例えば、
図8に示すように、移動体2が受信機RF2と重なる位置にある場合、第1電波W1は、第1発信機TM1から発信された電波のうち受信機RF2が受信した電波である。このため、検出装置4は、第1電波W1を受信した受信機RF2を第1受信機RFAとする。
【0087】
また、例えば、
図9に示すように、移動体2が受信機RF1と受信機RF2との間に位置している場合、第1電波W1は、第1発信機TM1から発信された電波のうち受信機RF1が受信した電波である。このため、検出装置4は、第1電波W1を受信した受信機RF1を第1受信機RFAとする。
【0088】
図7のステップ#125に示すように、検出装置4は、第2電波W2に含まれる情報、及び受信機位置情報より、受信機RF1,RF2,RF3のうちで第2電波W2を受信した第2受信機RFBを特定する。具体的には、検出装置4は、第2電波W2に含まれる受信機RF1,RF2,RF3の情報と、補助記憶装置46(
図2参照)に格納されている受信機位置情報とを照合し、照合により合致する受信機を第2受信機RFBとする。
【0089】
例えば、
図8に示すように、移動体2が受信機RF2と重なる位置にある場合、第2電波W2は、第2発信機TM2から発信された電波のうち受信機RF2が受信した電波である。このため、検出装置4は、第2電波W2を受信した受信機RF2を第2受信機RFBとする。この場合、第1受信機RFAが受信機RF2であることから、第2受信機RFBは、第1受信機RFAと同じになっている。すなわち、第1受信機RFAと第2受信機RFBは共通する。
【0090】
また、例えば、
図9に示すように、移動体2が受信機RF1と受信機RF2との間に位置している場合、第2電波W2は、第2発信機TM2から発信された電波のうち受信機RF2が受信した電波である。このため、検出装置4は、第2電波W2を受信した受信機RF2を第2受信機RFBとする。この場合、第1受信機RFAが受信機RF1であることから、第2受信機RFBは、第1受信機RFAと異なっている。
【0091】
次に、
図7のステップ#130に示すように、検出装置4は、第1電波W1の強度レベルと第2電波W2の強度レベルを比較する。この場合、比較対象は、各受信機RF1,RF2,RF3で受信した電波のうち第1電波W1を受信した第1受信機RFAからの電波の強度レベルと、各受信機RF1,RF2,RF3で受信した電波のうち第2電波W2を受信した第2受信機RFBからの電波の強度レベルである。
【0092】
例えば、
図8に示すように、移動体2が受信機RF2と重なる位置にある場合、検出装置4は、第1受信機RFA(受信機RF2)で受信した第1発信機TM1からの第1電波W1の強度レベルと、第2受信機RFB(受信機RF2)で受信した第2発信機TM2からの第2電波W2の強度レベルとを比較する。
【0093】
また、例えば、
図9に示すように、移動体2が受信機RF1と受信機RF2との間に位置している場合、検出装置4は、第1受信機RFA(受信機RF1)で受信した第1発信機TM1からの第1電波W1の強度レベルと、第2受信機RFB(受信機RF2)で受信した第2発信機TM2からの第2電波W2の強度レベルとを比較する。
【0094】
そして、
図7のステップ#135に示すように、検出装置4は、比較した強度レベルの大小関係、受信機位置情報、及び発信機位置情報に基づき、第1受信機RFA及び第2受信機RFBに対する第1発信機TM1及び第2発信機TM2の位置を算出して、移動体2の位置を決定する。具体的には、検出装置4は、第1電波W1の強度レベルと第2電波W2の強度レベルとの比較に基づき、強度レベルに関して第1電波W1と第2電波W2との大小関係を算出するとともに、両者の強度レベル差を算出する。電波の強度レベルは、発信機と受信機との距離に実質的に反比例する。検出装置4は、それらの強度レベルの大小関係と強度レベル差、及び補助記憶装置46(
図2参照)に格納されている受信機位置情報及び発信機位置情報に基づき、第1電波W1を受信した第1受信機RFA、及び第2電波W2を受信した第2受信機RFBに対する第1発信機TM1及び第2発信機TM2の位置を算出する。そして、検出装置4は、算出した第1発信機TM1及び第2発信機TM2の位置により、移動体2の位置を決定する。これにより、行路3における移動体2の位置を検出することができる。さらに、検出装置4は、その検出結果を表示装置42に表示させることができる。
【0095】
例えば、
図8に示すように、移動体2が受信機RF2と重なる位置にある場合、共通する第1受信機RFA及び第2受信機RFB(受信機RF2)は、第1発信機TM1と第2発信機TM2との間に位置している。第2発信機TM2が発信した第2電波W2の強度レベルは、第1発信機TM1が発信した第1電波W1の強度レベルよりも高い。この場合、検出装置4は、第1電波W1の強度レベルと第2電波W2の強度レベルとの比較に基づき、そのような電波の強度レベルの大小関係を算出するとともに、強度レベル差を算出する。
【0096】
検出装置4は、それらの強度レベルの大小関係と強度レベル差、並びに受信機位置情報及び発信機位置情報に基づき、第1受信機RFA及び第2受信機RFBに対する第1発信機TM1及び第2発信機TM2の位置を算出する。そして、検出装置4は、算出した第1発信機TM1及び第2発信機TM2の位置により、移動体2が第1受信機RFA及び第2受信機RFB(受信機RF2)と重なる位置にあると決定する。その際、第2電波W2の強度レベルが第1電波W1の強度レベルよりも高いため、第2電波W2を発信した第2発信機TM2と受信機RF2(第1受信機RFA及び第2受信機RFB)との距離は、第1電波W1を受信した第1発信機TM1と受信機RF2との距離よりも小さい。この場合、検出装置4は、移動体2が受信機RF2と重なりつつ、受信機RF1側に偏った位置にあると決定する。
【0097】
また、例えば、
図9に示すように、移動体2が受信機RF1と受信機RF2との間に位置している場合、第1受信機RFA(受信機RF1)は第1発信機TM1の近くに位置し、第2受信機RFB(受信機RF2)は第2発信機TM2の近くに位置している。第2発信機TM2が発信した第2電波W2の強度レベルは、第1発信機TM1が発信した第1電波W1の強度レベルよりも高い。この場合、検出装置4は、第1電波W1の強度レベルと第2電波W2の強度レベルとの比較に基づき、そのような電波の強度レベルの大小関係を算出するとともに、強度レベル差を算出する。
【0098】
検出装置4は、それらの強度レベルの大小関係と強度レベル差、並びに発信機位置情報及び受信機位置情報に基づき、第1受信機RFA及び第2受信機RFBに対する第1発信機TM1及び第2発信機TM2の位置を算出する。そして、検出装置4は、算出した第1発信機TM1及び第2発信機TM2の位置により、移動体2が受信機RF1と受信機RF2との間に位置していると決定する。その際、第2電波W2の強度レベルが第1電波W1の強度レベルよりも高いため、第2電波W2を発信した第2発信機TM2と受信機RF2(第2受信機RFB)との距離は、第1電波W1を発信した第1発信機TM1と受信機RF1(第1受信機RFA)との距離よりも小さい。この場合、検出装置4は、移動体2が受信機RF1と受信機RF2との間に位置しつつ、受信機RF2側に偏った位置にあると決定する。
【0099】
[効果]
本実施形態に係る位置検出システム1Aでは、第1発信機TM1及び第2発信機TM2という2つの発信機TM1,TM2が、行路3に沿う方向に間隔DMをあけて移動体2に設けられる。3つ以上の受信機RF1,RF2,RF3が、行路3に沿って第1発信機TM1と第2発信機TM2との間隔DMよりも大きい間隔DFをあけて設置される。つまり、行路3において隣接する受信機RF1,RF2,RF3同士の間隔DFは、移動体2における第1発信機TM1と第2発信機TM2との間隔DMよりも大きい。移動体2に2つの発信機TM1,TM2が設けられることにより、移動体2の位置検出の精度が高まる。また、隣接する受信機RF1,RF2,RF3同士の間隔DFが、第1発信機TM1と第2発信機TM2との間隔DMよりも大きいことにより、設置する発信機の数が低減する。したがって、第1の構成の位置検出システム1Aによれば、発信機と受信機の総数を抑制することができ、且つ移動体2の位置検出を高精度に行うことができる。
【0100】
本実施形態では、受信機RF1,RF2,RF3がビーコンである。そのため、上記第1実施形態と同様に、受信機RF1,RF2,RF3の調達コストを抑えることができ、移動体2の位置検出を安定して行うことができる。
【0101】
本実施形態に係る位置検出システム1Aの場合、隣接する受信機RF1,RF2,RF3同士の間隔DFは、第1発信機TM1と第2発信機TM2との間隔DMの1.5倍~2.5倍である。最も好ましくは、間隔DFは、間隔DMの2倍である。以下、その理由を説明する。
【0102】
本実施形態では、行路3において、移動体(第1発信機TM1及び第2発信機TM2)と受信機との位置関係は、以下に示す(3)又は(4)のいずれかの状態のとなる。
(3)
図8に示されるような、第1発信機TM1と第2発信機TM2が、ともに同じ受信機に電波を最も強い電波として発信する状態
(4)
図9に示されるような、第1発信機TM1と第2発信機TM2が、隣接する異なる受信機に電波を最も強い電波としてそれぞれ発信する状態
【0103】
ここで、行路3において、上記(4)の位置関係となる区間は、各発信機の電波出力が互いに等しいとすれば、第1発信機TM1が隣接する受信機同士の中点にある状態の位置から第2発信機TM2が前記中点にある状態の位置までである。したがって、この区間の長さは、第1発信機TM1と第2発信機TM2の間隔DM(
図6参照)と等しい。つまり、第1発信機TM1と第2発信機TM2の間隔DMをa、受信機同士の間隔DF(
図6参照)をL(一定。L>a)とすると、Lのうち、上記(4)の位置関係となる区間の長さはaであり、上記(3)の位置関係となる区間の長さは(L-a)である。(3)の位置関係にある区間の長さ(L-a)と(4)の位置関係にある区間の長さaが等しい場合、すなわちL=2×aの条件が満たされる場合、移動体の位置を最も効率よく特定することができる。つまり、間隔DFが間隔DMの2倍である場合、移動体の位置を最も効率よく特定することができる。
【0104】
実際には、受信機を設置する位置は受信機の個数の都合等のため、L=2×aの条件を満たす一定の間隔で受信機を設置することが難しいことも考えられる。その場合、発信機の間隔aは、移動体の大きさによってできるだけL=2×aの条件に近い間隔(たとえば1.5×a<L<2.5×aの範囲)になるように、発信機を移動体に設置するのが好ましい。具体的には、間隔DFは間隔DMの1.5倍~2.5倍であることが好ましい。なお、L<2×aの場合は、可能なら移動体側の発信機の間隔DMをやや狭めて(仮にa’とする)、L≒2×a’の条件を満たすように、発信機を移動体に設置することも好ましい。
【0105】
以上、本開示の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本開示を実施するための例示に過ぎない。したがって、本開示は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
【0106】
例えば、行路3は、直線状に限定されず、曲線状であってもよいし、ループ状に無端となっていてもよい。また、移動体2は列車であってもよい。
【符号の説明】
【0107】
1:位置検出システム
RM1:第1受信機
RM2:第2受信機
TF1,TF2,TF3:発信機
TFA:第1発信機
TFB:第2発信機
2:移動体
3:行路
4:検出装置
DF:間隔
DM:間隔
W1:第1電波
W2:第2電波
1A:位置検出システム
TM1:第1発信機
TM2:第2発信機
RF1,RF2,RF3:受信機
RFA:第1受信機
RFB:第2受信機