(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013192
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】ブラックペレット及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C10L 5/44 20060101AFI20240124BHJP
C10L 10/04 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
C10L5/44
C10L10/04
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044098
(22)【出願日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】10-2022-0088875
(32)【優先日】2022-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0005377
(32)【優先日】2023-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】519024348
【氏名又は名称】株式会社ブルーオーシャン産業
【氏名又は名称原語表記】BLUE OCEAN INDUSTRY, INC.
【住所又は居所原語表記】288, Sandandongseo-ro Gunsan-si Jeollabuk-do Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,クウォンホ
(72)【発明者】
【氏名】ミン,ビョン-デ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,サン-ミン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ウンジ
【テーマコード(参考)】
4H015
【Fターム(参考)】
4H015AA12
4H015AA20
4H015AA27
4H015AB01
4H015AB03
4H015AB07
4H015BA13
4H015BB03
4H015BB10
4H015CB01
(57)【要約】
【課題】バイオマス原料を用いて燃料を製造する技術を提供する。
【解決手段】ブラックペレット及びその製造方法が開示される。一実施例によるブラックペレットの製造方法は、バイオマス原料を圧搾する圧搾工程と、前記圧搾工程で圧搾された圧搾物から揮発性成分を除去する揮発性成分除去工程と、前記揮発性成分除去工程で前記揮発性成分が除去された原料を半炭化処理する半炭化工程と、前記半炭化工程で半炭化処理された半炭化物を粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程で粉砕された粉砕物に燃焼用添加剤及びバインダーを添加して混合する混合工程と、前記混合工程で混合された混合物をペレットに作るペレット化工程とを含むことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス原料を圧搾する圧搾工程と、
前記圧搾工程で圧搾された圧搾物から揮発性成分を除去する揮発性成分除去工程と、
前記揮発性成分除去工程で前記揮発性成分が除去された原料を半炭化処理する半炭化工程と、
前記半炭化工程で半炭化処理された半炭化物を粉砕する粉砕工程と、
前記粉砕工程で粉砕された粉砕物に燃焼用添加剤及びバインダーを添加して混合する混合工程と、
前記混合工程で混合された混合物をペレットに作るペレット化工程と、
を含むことを特徴とする、ブラックペレットの製造方法。
【請求項2】
前記揮発性成分除去工程で、前記圧搾物が配置されたチャンバー内に不活性気体を注入し、前記チャンバー内に存在する酸素を除去した状態で200~300℃で前記圧搾物を熱処理し、前記圧搾物から出る揮発性成分を前記チャンバーの外部に排出させることを特徴とする、請求項1に記載のブラックペレットの製造方法。
【請求項3】
前記バイオマス原料は、木材副産物、パーム空果房(Empty Fruit Bunch、EFB)及びパームカーネル殻(Palm Kernel Shell、PKS)のうちから選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載のブラックペレットの製造方法。
【請求項4】
前記燃焼用添加剤はアルミノ珪酸塩であり、前記アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量を前記アルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比が0.65~1.85であることを特徴とする、請求項1に記載のブラックペレットの製造方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された、ブラックペレット。
【請求項6】
パーム空果房が半炭化処理された半炭化物と、
前記半炭化物に混合されたアルミノ珪酸塩と、
を含むことを特徴とする、ブラックペレット。
【請求項7】
前記アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量を前記アルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比が0.65~1.85であることを特徴とする、請求項6に記載のブラックペレット。
【請求項8】
前記ブラックペレットの発熱量は5500cal/g~7000cal/gであることを特徴とする、請求項6に記載のブラックペレット。
【請求項9】
前記ブラックペレットは、炭素に対する水素の原子比が0.8~1.6であり、炭素に対する酸素の原子比が0.2~0.8であることを特徴とする、請求項6に記載のブラックペレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はブラックペレット及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2015年のパリ気候協定以後、地球の平均温度の上昇を制限しようと全世界的な努力が続けられている。このような努力の一環として、地球温暖化の原因の一つである化石燃料の使用量を減らし、新再生エネルギーを使おうとする動きがある。
【0003】
新再生エネルギーとは、既存の化石燃料を変換させて用いるか、日光、水、地熱、雨水、生物有機体などの再生可能なエネルギーを変換させて用いるエネルギーを言う。新再生エネルギーは、化石燃料と違い、再生が可能であって枯渇しない特徴を有し、汚染物質や二酸化炭素の排出が少なくて環境に優しく、化石燃料に比べて比較的地球上に均等に分布している。
【0004】
新再生エネルギーのうち、山林バイオマスは炭素中立エネルギーであり、気候変化を最小化し、化石燃料を代替する、環境に優しい再生エネルギーとして知られている。例えば、木材ペレットは、木を伐採して残った木材、または防腐剤、塗料などの化学物質によって汚染されなかった林業副産物を大鋸屑にした後、一定のサイズに圧縮して加工したものである。これに関連して、韓国登録特許第10-0878051号公報には木材ペレットを製造する方法に対する技術が提示されている。
【0005】
一方、パーム空果房(Empty Fruit Bunch、EFB)はパーム実からパームオイルなどを生産するためにパーム実の果房を除去して残った残物を言う。このようなパーム廃棄物であるパーム空果房は家畜の飼料または堆肥として一部が使われたが、使われなかった部分は焼却するか廃棄しなければならなかった。
【0006】
ところで、パーム空果房は水分含量が多いから腐敗しやすく、パーム空果房が腐敗すれば、温室ガスの一つであるメタンガスが発生する問題があったが、現在多様な規制のためパーム空果房を焼却しにくく、廃棄物処理の際には多大な費用がかかる実情がある。したがって、資源再活用及び環境の側面で見るとき、廃棄される副産物を燃料として活用することができる技術の開発が至急な状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0878051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の技術的思想は上述した問題点を解決するためのものであり、バイオマス原料を用いて燃料を製造する技術を提供することにその目的がある。
【0009】
また、本発明の技術的思想は、従来は焼却するか廃棄していた副産物を燃料として再活用する技術を提供することに更なる目的がある。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は前述した課題に限定されず、言及しなかった他の技術的課題は、後述する内容から、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明らかに理解可能であろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、本発明の一実施形態として、ブラックペレットの製造方法は、バイオマス原料を圧搾する圧搾工程と、前記圧搾工程で圧搾された圧搾物から揮発性成分を除去する揮発性成分除去工程と、前記揮発性成分除去工程で前記揮発性成分が除去された原料を半炭化処理する半炭化工程と、前記半炭化工程で半炭化処理された半炭化物を粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程で粉砕された粉砕物に燃焼用添加剤及びバインダーを添加して混合する混合工程と、前記混合工程で混合された混合物をペレットに作るペレット化工程とを含む。
【0012】
前記揮発性成分除去工程で、前記圧搾物が配置されたチャンバー内に不活性気体を注入し、前記チャンバー内に存在する酸素を除去した状態で200~300℃で前記圧搾物を熱処理し、前記圧搾物から出る揮発性成分を前記チャンバーの外部に排出させることができる。
【0013】
前記バイオマス原料は、木材副産物、パーム空果房(Empty Fruit Bunch、EFB)及びパームカーネル殻(Palm Kernel Shell、PKS)のうちから選択される少なくとも1種とすることができる。
【0014】
前記燃焼用添加剤はアルミノ珪酸塩であり、前記アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量を前記アルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比が0.65~1.85であり得る。
【0015】
前記目的を達成するために、本発明の他の実施形態として、ブラックペレットは前述したブラックペレットの製造方法によって製造されたものであり得る。
【0016】
前記目的を達成するために、本発明のさらに他の実施形態として、ブラックペレットは、パーム空果房が半炭化処理された半炭化物と、前記半炭化物に混合されたアルミノ珪酸塩とを含むことができる。
【0017】
前記アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量を前記アルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比は0.65~1.85であり得る。
【0018】
前記ブラックペレットの発熱量は5500cal/g~7000cal/gであり得る。
【0019】
前記ブラックペレットは、炭素に対する水素の原子比は0.8~1.6であり、炭素に対する酸素の原子比は0.2~0.8であり得る。
【0020】
上述した課題の解決手段は例示的なものに過ぎず、本発明を限定しようとする意図と解釈されるべきではない。上述した例示的な実施例の他にも、図面及び発明の詳細な説明に記載した追加の実施例が存在することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上で説明したように、本発明の多様な実施例によれば、バイオマス原料を用いてブラックペレットを製造することで、環境に優しく発熱量が高い燃料を製造することができる。
【0022】
また、本発明の多様な実施例によるブラックペレットは、石炭火力発電所で石炭との混焼が可能であり、製鉄所でも燃料として活用することができる。
【0023】
そして、本発明の多様な実施例によれば、ブラックペレットの燃焼の際、燃焼用添加剤であるアルミノ珪酸塩がバイオマス原料内に含有されていた特定の成分(例えば、カリウム、ナトリウム、塩素など)と反応して高融点の物質を生成することができる。したがって、バイオマス原料内に存在していた特定の成分によるボイラー内部の熱的不均衡、スラギング及びファウリング現象、及び腐食問題を改善することができる。
【0024】
特に、パーム空果房からブラックペレットを製造する場合、パーム空果房の廃棄物処理による費用を節減することができ、パーム空果房の腐敗によって発生するメタンガスを減らすことができ、ブラックペレットの燃焼の際、パーム空果房に含有されていたカリウムや塩素成分などはアルミノ珪酸塩によって高融点の物質に転換されるため、燃料の完全燃焼に寄与し、ボイラーの内壁を含めた金属表面が腐食されることを事前に防止することができる。
【0025】
本発明の多様な実施例による効果は以上で言及した効果に限定されず、言及しなかった他の効果は請求範囲の記載から当業者に明らかに理解可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施例によるブラックペレットの製造方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の好適な実施例について添付図面を参照してより具体的に説明するが、既に知られている技術的部分に対しては、説明の簡潔性のために、省略するか圧縮する。
【0028】
本明細書で、本発明の「一」または「一つの」実施例についての言及は必ずしも同じ実施例についてのものではなく、これらは少なくとも一つを意味するということに気をつけなければならない。
【0029】
以下の実施例で、単数の表現は、文脈上はっきり他の意味を意味しない限り、複数の表現を含む。
【0030】
以下の実施例で、含むまたは有するなどの用語は明細書上に記載された特徴または構成要素が存在することを意味するものであり、一つ以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性を予め排除するものではない。
【0031】
ある実施例が他に実現可能な場合、特定の工程順序は説明の順序とは異なるように遂行することもできる。例えば、連続して説明する二つの工程は実質的に同時に遂行することもでき、説明する順序と反対の順序に遂行することができる。すなわち、本明細書に記述する方法の各工程は、明細書上で他に言及するかまたは文脈上はっきりと相反することがない限り、任意の順序に適切に実施することができる。
【0032】
本明細書で使用する用語である「ブラックペレット」は黒色を帯びるペレットであり、ペレット製造の際、半炭化工程によって黒色を帯びることができる。
【0033】
本明細書で使用する用語である「木材副産物」は木材を加工するときに必要な用途以外に生産されたものであり、木材を加工する過程で不可避に発生する副産物を言う。例えば、木材副産物は、廃木材、大鋸屑または樹皮であり得る。
【0034】
本発明の一実施例によるブラックペレットの製造方法について
図1を参照して説明し、便宜上順番を付けて説明する。
【0035】
1.圧搾工程<S101>
本工程では、バイオマス原料を圧搾することができる。例えば、本工程では、圧搾機内にバイオマス原料を投入し、一定の圧力をかけてバイオマス原料を圧搾することで、バイオマス原料の体積を減らし、密度を高めることができる。
【0036】
一実施例によれば、本工程で圧搾されるバイオマス原料は、木材副産物、パーム空果房及びパームカーネル殻のうちから選択される少なくとも1種を適用することができる。バイオマス原料は、1種を単独で使うかまたは2種以上を混合して使うこともできる。
【0037】
2.揮発性成分除去工程<S102>
本工程では、工程S101で圧搾された圧搾物から揮発性成分を除去することができる。一実施例によれば、チャンバー内に圧搾物を投入し、チャンバーを密閉した状態で、チャンバー制御部が一定の時間チャンバーの流入口を開放して不活性気体(一例として、二酸化炭素)を注入し、チャンバーの流出口を開放してチャンバー内の気体をチャンバーの外部に流出させることで、チャンバー内に存在する酸素を除去することができる。
【0038】
また、チャンバー制御部は、チャンバー内の酸素濃度が既設定の数値以下の場合、チャンバー内部の温度を200~300℃に維持して圧搾物を熱処理し、圧搾物から出る揮発性成分をチャンバーの外部に排出させることができる。ここで、揮発性成分は、圧搾物を200℃以上に加熱するとき、気体として蒸発しながら圧搾物から除去されることができる成分である。
【0039】
一実施例によれば、本工程で、チャンバー制御部は、10~15分間チャンバー内部の温度を200~300℃に維持した後、チャンバーの流入口に不活性気体を注入し、チャンバーの流出口を開放することで、チャンバー内に残留していた揮発性成分をチャンバーの外部に排出させることができる。揮発性成分がチャンバーから排出された時点から一定の時間が経てば、チャンバー制御部はチャンバーの流出口を閉鎖することができる。
【0040】
3.半炭化工程<S103>
本工程では、工程S102で揮発性成分が除去された原料を半炭化処理することができる。例えば、本工程で、チャンバー制御部は、チャンバーの内部を無酸素または低酸素雰囲気にした状態で、チャンバー内部の温度を300~400℃で20~30分間維持することで原料を半炭化物にすることができる。ここで、無酸素雰囲気または低酸素雰囲気とは、チャンバー内に不活性気体を一定の流量で供給することで、チャンバー内の酸素濃度が既設定の数値以下の状態(または、実質的に酸素が存在しない不活性雰囲気の状態)を意味する。
【0041】
一具体例によれば、チャンバー制御部は、一定の時間チャンバーの流入口を開放して不活性気体(一例として、二酸化炭素)を注入し、チャンバーの流出口を開放してチャンバー内の気体をチャンバーの外部に流出させることで、チャンバー内に存在する酸素を除去し、酸素濃度を既設定の数値以下に調節し、酸素濃度が既設定の数値以下の場合に限り、チャンバー内部の温度を300~400℃で20~30分間維持することで、半炭化工程を遂行することができる。
【0042】
4.粉砕工程<S104>
本工程では、工程S103で半炭化処理された半炭化物を粉砕することができる。例えば、本工程では、半炭化物を粉砕機に投入し、半炭化物が一定の平均粒径の範囲(例えば、0.1~5mm)を有する粒子になるように粉砕することができる。
【0043】
5.混合工程<S105>
本工程では、工程S104で粉砕された粉砕物に燃焼用添加剤及びバインダーを添加して混合することができる。一実施例で、燃焼用添加剤は、アルミノ珪酸塩(aluminosilicate)を適用することができる。本明細書で、アルミノ珪酸塩は、アルミナ(Al2O3)とシリカ(SiO2)とが結合したものを意味する。一実施例によるアルミノ珪酸塩は、アルミニウム(Al)元素に対してシリコン(Si)元素の数が1~5個である構造を有することができる。
【0044】
一実施例で、アルミノ珪酸塩の含量は、粉砕物100重量部当たり0.1~10重量部(例えば、0.1重量部、1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部または10重量部)を適用することができる。
【0045】
本工程で、投入されるバインダーの非制限的な例としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸またはヒマシ油などがある。一実施例によれば、バインダーの投入量は、粉砕物100重量部当たり0.1~15重量部(例えば、0.1重量部、1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部、10重量部、11重量部、12重量部、13重量部、14重量部または15重量部)を適用することができる。
【0046】
6.ペレット化工程<S106>
本工程では、工程S105で混合された混合物をペレットにすることができる。一実施例によれば、工程S105で混合された混合物をペレット成形機に投入して、直径4~10mm、長さ50~70mmのペレットを製造することができる。一具体例によれば、ペレット成形機に投入された混合物は4~10mmの直径を有するように押し出され、押出物を一定の長さに切断してペレットに製造することができる。もちろん、本工程で製造されるペレットの直径及び長さは必要に応じて調節することもできる。
【0047】
<一実施例によるブラックペレットについての説明>
一実施例によるブラックペレットは、半炭化物とアルミノ珪酸塩とを混合し、ペレット化によって製造されたものであり、ブラックペレットは、パーム空果房を半炭化処理した半炭化物、及び半炭化物に混合されたアルミノ珪酸塩を含むことができる。
【0048】
一実施例によるアルミノ珪酸塩は、国際標準化機構ISO 9277:2010規定に従って測定された比表面積が100~180m2/gであり得る。具体的な例として、アルミノ珪酸塩の比表面積は、100m2/g、110m2/g、120m2/g、130m2/g、140m2/g、150m2/g、160m2/g、170m2/gまたは180m2/gを適用することができる。また、アルミノ珪酸塩の比表面積は、前記数値のうちの一つ以上及び前記数値のうちの一つ以下の範囲であり得る。
【0049】
例えば、アルミノ珪酸塩の比表面積範囲は、100m2/g~140m2/g、105m2/g~135m2/g、110m2/g~130m2/g、115m2/g~135m2/g、120m2/g~150m2/g、125m2/g~145m2/g、100m2/g~150m2/gまたは100m2/g~180m2/gであり得る。一実施例によるアルミノ珪酸塩の比表面積の上限は、特に限定されないが、例えば、300m2/g以下、250m2/g以下、200m2/g以下、180m2/g以下または150m2/g以下であり得る。
【0050】
木材副産物、パーム空果房、パームカーネル殻などのバイオマス原料を用いてブラックペレットを製造する場合、バイオマス原料の特性上、アルカリ成分(例えば、K、Na、K2O、Na2Oなど)または塩素(Cl)を一部含有することができる。
【0051】
ブラックペレットが燃焼するとき、バイオマス原料から放出されるアルカリ成分はボイラーの内壁や熱交換部などに付着しながらスラギング及びファウリング現象を引き起こすことができ、バイオマス原料から放出された塩素は高温でアルカリ成分と反応して塩化物(例えば、KCl、NaClなど)を形成しながらボイラー内部の金属を腐食させるおそれがあるが、一実施例では、バイオマス原料とともにアルミノ珪酸塩とを混合してブラックペレットを製造することで、ブラックペレットの燃焼の際、スラギング及びファウリング現象が発生することを防止し、ボイラーの腐食問題を改善することができる。
【0052】
一実施例によれば、アルミノ珪酸塩の比表面積数値が大きいほど、ブラックペレットの燃焼の際に発生するアルカリ成分及び塩化物の吸着が容易であり、金属腐食、スラギング及びファウリング現象を効果的に抑制することができる。アルミノ珪酸塩の比表面積が100m2/g未満の場合には、ブラックペレットの燃焼の際に発生するアルカリ成分及び塩化物を物理的に吸着して捕集する効率が低下するため、スラギング及びファウリング現象を充分に制御することができず、ボイラーの内部に塩化物が付着して金属部品が腐食するおそれがある。
【0053】
そして、一実施例で、アルミノ珪酸塩の平均粒径は、20~500μmを適用することができる。具体的な例として、アルミノ珪酸塩の平均粒径は、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μmまたは500μmを適用することができる。もちろん、実施によっては、アルミノ珪酸塩の平均粒径を燃焼状況別に異なるように調節して使うことも可能である。
【0054】
一実施例で、アルミノ珪酸塩は、二酸化珪素及び酸化アルミニウムを含むことができる。一実施例によるアルミノ珪酸塩は、二酸化珪素及び酸化アルミニウムを除いた残量として不可避な不純物を含むこともできる。
【0055】
一実施例によれば、アルミノ珪酸塩内に含有される酸化アルミニウムの含量は、アルミノ珪酸塩の総重量に対して、20~60重量%を適用することができる。具体的な例として、酸化アルミニウムの含量は、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%または60重量%を適用することができる。また、酸化アルミニウムの含量は、前記数値のうちの一つ以上及び前記数値のうちの一つ以下であり得る。
【0056】
例えば、アルミノ珪酸塩内に含まれた酸化アルミニウムの含量範囲は、20重量%~30重量%、30重量%~40重量%、35重量%~45重量%、40重量%~50重量%または20重量%~60重量%であり得る。一実施例による酸化アルミニウムは、前記範囲でバイオマス原料内に含有されていたアルカリ成分及び塩化物を効果的に制御することができる。
【0057】
仮に、アルミノ珪酸塩内に含まれた酸化アルミニウムが20~60重量%の範囲を外れる場合には、ブラックペレットの燃焼の際、バイオマス原料から放出されるアルカリ成分及び塩化物を効果的に制御することが容易でない。
【0058】
一実施例で、アルミノ珪酸塩内に含有される二酸化珪素の含量は、アルミノ珪酸塩の総重量に対して、40~80重量%を適用することができる。具体的な例として、二酸化珪素の含量は、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%または80重量%を適用することができる。また、二酸化珪素の含量は、前記数値のうちの一つ以上及び前記数値のうちの一つ以下であり得る。
【0059】
例えば、アルミノ珪酸塩内に含まれた二酸化珪素の含量範囲は、40重量%~50重量%、50重量%~60重量%、55重量%~65重量%、60重量%~70重量%、55重量%~70重量%または40重量%~80重量%であり得る。一実施例による二酸化珪素は、前記範囲でバイオマス原料内に含有されていたアルカリ成分及び塩化物を効果的に制御することができる。仮に、アルミノ珪酸塩内に含まれた二酸化珪素が40~80重量%の範囲を外れる場合には、ブラックペレットの燃焼の際、バイオマス原料から放出されるアルカリ成分及び塩化物を効果的に制御することが容易でない。
【0060】
一実施例によれば、ブラックペレットが燃焼するとき、アルミノ珪酸塩がバイオマス原料内に含有されていたアルカリ成分及び塩化物と化学的に反応することで、バイオマス原料から放出されたアルカリ成分や塩化物がカルシライト(KAlSiO4)及びルーサイト(KAlSi2O6)のうちの少なくとも1種に転換されることができる。
【0061】
すなわち、ブラックペレット燃焼の際に発生するアルカリ成分や塩化物はアルミノ珪酸塩と反応して溶融点1600℃以上のカルシライトに転換されるかまたは溶融点1500℃以上のルーサイトに転換されるため、従来はボイラー内でアルカリ成分が溶融して発生したスラギング、ファウリング、凝結の問題を改善することができ、塩化物による金属腐食問題を防止することができる。
【0062】
一方、一実施例によれば、アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量をアルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比は0.65~1.85であり得る。一具体例で、アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素が48重量部であり、アルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムが42重量部であれば、アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量をアルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比は1.14であり得る。
【0063】
具体的な例として、アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量をアルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比は、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.84、0.86、0.88、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.34、1.36、1.38、1.4、1.42、1.44、1.46、1.48、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8、1.81、1.82、1.83、1.84または1.85であり得る。また、アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量をアルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比は、前記数値のうちの一つ以上及び前記数値のうちの一つ以下の範囲であり得る。
【0064】
例えば、アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量をアルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比の範囲は、0.65~1.85、0.78~1.2、0.58~1.2、0.98~1.2、0.9~1.2、0.9~1.3、1~1.2、1~1.4、1.18~1.58、1.2~1.58、1.38~1.58または0.78~1.58であり得る。一実施例によれば、アルミノ珪酸塩に含有された二酸化珪素と酸化アルミニウムの含有量の比を前記範囲で適用するとき、バイオマス原料のアルカリ成分によるスラギングやファウリング現象を効果的に抑制することができる。
【0065】
仮に、アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量をアルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比が0.65~1.85の範囲を外れる場合には、バイオマス原料から放出されるアルカリ成分と反応して高融点物質(例えば、カルシライト、ルーサイトなど)を生成する効率が低下するため、スラギングやファウリング現象を防止することが容易でない。
【0066】
一具体例によれば、X線蛍光分光法を用いて、アルミノ珪酸塩内に含有された二酸化珪素及び酸化アルミニウムの重量を確認することができる。したがって、アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量をアルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比を算出することができる。
【0067】
一方、一実施例によるアルミノ珪酸塩は、400℃から800℃まで昇温するとき、重量減少率が5%以下、4.5%以下、4%以下、3.5%以下、3%以下、2.5%以下、2%以下、1.5%以下、1%以下、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、0.2%以下または0.1%以下であり得る。例えば、400℃から800℃まで、1分間当たり10℃の速度で昇温するとき、アルミノ珪酸塩の重量減少率は5%以下であり得る。ここで、アルミノ珪酸塩の重量減少率は下記の式1によって算出することができる。
【0068】
[数1]
アルミノ珪酸塩の重量減少率(%)=(A-B)/A*100
(ここで、Aは400℃でのアルミノ珪酸塩の重量、Bは800℃でのアルミノ珪酸塩の重量である)
【0069】
一実施例によるアルミノ珪酸塩の重量減少率の下限は、特に限定されないが、例えば、0.001%以上、0.01%以上または0.05%以上であり得る。
【0070】
一実施例によるアルミノ珪酸塩は、カオリン(例えば、カオリナイト、ハロイサイトなど)とは違い、アルミノ珪酸塩内に結晶水を含んでいないため、高温で結晶水が蒸発してアルミノ珪酸塩の総重量が減少する現象がほとんど起こらず、400~800℃で重量減少率が5%以下である。
【0071】
それに比べて、カオリンは、内部に含有された結晶水が400~800℃で蒸発するのに伴って比表面積数値が常温の場合より大きくなることはあるが、結晶水が蒸発する温度に到逹するまではカオリンの比表面積が大きくなりにくいため、バイオマス原料に起因したアルカリ成分を早く吸着して除去することが難しい。
【0072】
しかし、一実施例によるアルミノ珪酸塩は内部に結晶水を含んでいなく、400~800℃でも常温(例えば、20~25℃)と類似したレベルの比表面積(例えば、100~180m2/g)を維持することができるため、カオリンに比べて速かにアルカリ成分を吸着して除去することができる。
【0073】
一実施例で、ブラックペレットの発熱量は、5500cal/g~7000cal/gであり得る。具体的な例として、ブラックペレットの発熱量は、5500cal/g、5600cal/g、5700cal/g、5800cal/g、5900cal/g、6000cal/g、6100cal/g、6200cal/g、6300cal/g、6400cal/g、6500cal/g、6600cal/g、6700cal/g、6800cal/g、6900cal/gまたは7000cal/gを適用することができる。また、ブラックペレットの発熱量は前記数値のうちの一つ以上及び前記数値のうちの一つ以下の範囲であり得る。
【0074】
例えば、ブラックペレットの発熱量の範囲は、5500cal/g~7000cal/g、6000cal/g~7000cal/g、5500cal/g~6000cal/gまたは6500cal/g~7000cal/gであり得る。一実施例によるブラックペレットは、前記発熱量の範囲で優れた燃焼効率を示す。ブラックペレットの発熱量が5500cal/g未満であれば燃焼効率が低下し、7000cal/gを超えるブラックペレットを製造しようとすれば、工程が複雑となり、製造コストが増加する問題がある。
【0075】
一実施例によるブラックペレットは、炭素に対する水素の原子比(atomic H/C ratio)が0.8~1.6であり得る。具体的な例として、ブラックペレットの炭素に対する水素の原子比は、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5または1.6であり得る。また、ブラックペレットの炭素に対する水素の原子比は、前記数値のうちの一つ以上及び前記数値のうちの一つ以下の範囲であり得る。
【0076】
例えば、ブラックペレットの炭素に対する水素の原子比は、0.8~1.6、0.8~1、1~1.6、1~1.5、0.9~1.3または1~1.4の範囲であり得る。一実施例によるブラックペレットの炭素に対する水素の原子比が前記範囲にあるとき、優れた燃焼効率を示す。ブラックペレットの炭素に対する水素の原子比が0.8未満であれば、燃焼効率は優れるが、ペレットの製造工程が複雑になり、製造コストが上昇するおそれがあり、原子比が1.6を超えれば、燃焼効率が低下することがある。
【0077】
一実施例によるブラックペレットは、炭素に対する酸素の原子比(atomic O/C ratio)を0.2~0.8であり得る。具体的な例として、ブラックペレットの炭素に対する酸素の原子比は、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7または0.8であり得る。また、ブラックペレットの炭素に対する酸素の原子比は前記数値のうちの一つ以上及び前記数値のうちの一つ以下の範囲であり得る。
【0078】
例えば、ブラックペレットの炭素に対する酸素の原子比は、0.2~0.8、0.3~0.7、0.4~0.6または0.2~0.5の範囲であり得る。一実施例によるブラックペレットの炭素に対する酸素の原子比が前記範囲であるとき、優れた燃焼効率を現す。ブラックペレットの炭素に対する酸素の原子比が0.2未満であれば、燃焼効率は優れるが、ペレット製造工程が複雑になり、製造コストの上昇するおそれがあり、原子比が0.8を超えれば、燃焼効率が低下することがある。
【0079】
そして、一実施例で、ブラックペレットの原子比(atomic H/C ratio及びatomic O/C ratio)は元素分析装置(一例として、Thermo Scientific社のFlash-EA1112)によって定量的に測定することができる。
【0080】
以下では、具体的な実施例及び実験例に基づいて本発明をより詳細に説明する。下記の実施例及び実験例は本発明の理解を助けるための一例示に過ぎず、本発明の権利範囲がこれに限定されるものではない。
【0081】
実施例及び比較例別のブラックペレットの製造
<実施例1~5及び比較例1~2>
パーム空果房1000kgを圧搾機に投入して圧搾した後、圧搾物をチャンバーに投入した。チャンバーを密閉し、チャンバーの流入口を通して1000sccmの流量で不活性気体である二酸化炭素を注入し、流出口を10分間開放することで、チャンバー内の気体をチャンバーの外部に排出させた。チャンバーの内部を二酸化炭素雰囲気(無酸素条件)に維持した状態で、10~15分間チャンバー内部の温度を200~300℃に設定して圧搾物を熱処理した。熱処理が終了した時点にチャンバーの流入口に二酸化炭素を1000sccmの流量で注入し、チャンバーの流出口を開放することで、チャンバー内に残留していた揮発性成分をチャンバーの外部に10分間排出させた。その後、チャンバーの内部を二酸化炭素雰囲気にした状態で、チャンバー内部の温度を300~400℃で20~30分間維持して原料を半炭化物とし、半炭化物を粉砕機に投入して0.1~5mmの粒子になるように粉砕した。その後、撹拌機に粉砕物100kgとアルミノ珪酸塩10kgとバインダー(ミリスチン酸)10kgとを混合し、300rpmで10時間撹拌した。撹拌が終了した後、混合物をペレット成形機に投入することで、直径6mm、長さ5~7cmのブラックペレットを製造した。
【0082】
ブラックペレットの製造の際に撹拌機に投入された実施例及び比較例別のアルミノ珪酸塩の二酸化珪素及び酸化アルミニウムの重量をX線蛍光分光法器機(Rigaku社のZSX Primus II)で測定し、アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量をアルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比を算出して下記の表1に記載した。
【0083】
【0084】
実施例及び比較例別のブラックペレットのスラギング及びファウリング抑制実験
<実施例1~5及び比較例1~2>
火力発電所の循環流動層ボイラーを模型化したパイロットテスト機に実施例及び比較例別のブラックペレットを投入して燃消させることで、スラギング及びファウリング抑制性能を比較した。ブラックペレットは2.5kg/hrの速度で3時間の間にテスト機に投入し、パイロットテストを実施中は燃焼炉及び測定ロードセルの平均温度をそれぞれ850℃と600℃に維持した。テストが終了した後、ロードセルの重量変化量を測定してロードセルの表面に形成されたスラギング及びファウリング(すなわち、バイオマス原料に含有されていたアルカリ成分が溶融してロードセルの表面にアッシュ粒子とともに付着した状態で固化したもの)の重さを測定し、その結果を表2に記載した。
【0085】
【0086】
表2を参照すると、アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量をアルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比が0.65~1.85の範囲内にある実施例1~5は、比較例1及び2に比べて相対的にスラギング及びファウリング現象の発生が少ないことが分かる。すなわち、実施例1~5によるブラックペレットは、燃焼の際、バイオマス原料内に含有されていたアルカリ成分を効果的に制御してスラギング及びファウリング現象の発生を抑制することができ、アルカリ成分が塩素と反応して塩化物を形成することを防止することができるため、塩化物がボイラーの内壁や金属部品に付着して腐食を引き起こすことを防ぐことができる。
【0087】
BET法による比表面積測定
<実施例1~5>
各実施例に投入されるアルミノ珪酸塩サンプル0.1gを100℃で前処理してサンプル内の表面水を除去した後、MicrotracBEL社のBELSORP-max II機器を用い、標準分析方法ISO 9277:2010に従って各サンプルの比表面積を総3回測定し、その平均値を下記の表3に記載した。
【0088】
【0089】
重量減少率測定
<実施例1~5>
各実施例に使われるアルミノ珪酸塩サンプル200mgを熱重量-示差走査熱量分析器(TA Instruments社のSDT Q600)に投入し、常温(25℃)から1,000℃まで、1分間当たり10℃の速度で昇温し、400℃及び800℃であるときのアルミノ珪酸塩の重量を測定し、サンプル別の重量減少率を前述した式1によって算出し、その結果を下記の表4に記載した。
【0090】
【0091】
上述したように、本発明の多様な実施例によれば、バイオマス原料を用いてブラックペレットを製造することで、環境に優しく発熱量が高い燃料を製造することができる。
【0092】
また、本発明の多様な実施例によるブラックペレットは石炭火力発電所で石炭との混焼が可能であり、製鉄所でも燃料として活用することができる。
【0093】
そして、本発明の多様な実施例によれば、ブラックペレットの燃焼の際、燃焼用添加剤であるアルミノ珪酸塩がバイオマス原料内に含有されていた特定の成分(例えば、カリウム、ナトリウム、塩素など)と反応して高融点の物質を生成することができる。よって、バイオマス原料内に存在していた特定の成分によるボイラー内部の熱的不均衡、スラギング、ファウリング現象及び腐食問題を改善することができる。
【0094】
特に、パーム空果房からブラックペレットを製造する場合、パーム空果房の廃棄物処理による費用を節減することができ、パーム空果房の腐敗によって発生するメタンガスを減らすことができ、ブラックペレットの燃焼の際、パーム空果房に含有されていたカリウムや塩素成分などはアルミノ珪酸塩によって高融点物質に転換されるため、燃料の完全燃焼に寄与し、ボイラーの内壁を含む金属表面が腐食することを事前に防止することができる。
【0095】
そして、本発明の多様な実施例によれば、半炭化工程以前に揮発性成分除去工程によって圧搾物の揮発性成分を除去することで、半炭化処理にかかる時間及びエネルギーを節減することができる。さらに、揮発性成分除去工程及び半炭化工程で二酸化炭素をチャンバーの内部に注入してチャンバーの内部を無酸素条件とすることができるため、他の不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン)を使うことに比べて、低コストで半炭化処理を遂行することができる。
【0096】
また、本発明の多様な実施例によれば、カオリンを使わなくてもバイオマス原料内に含有されていたアルカリ成分を制御することで、アルカリ成分によるスラギング及びファウリング現象を抑制することができる。
【0097】
さらに、本発明の多様な実施例によれば、半炭化物に混合されるアルミノ珪酸塩は高温で重量減少率が小さいため、アルミノ珪酸塩投入量の設定が容易であり、強熱減量による損失が少ないため、カオリンに比べて相対的に少量でもアルカリ成分を制御することができる。
【0098】
また、本発明の多様な実施例によれば、アルミノ珪酸塩は結晶水を含有していないため、400~800℃の高温にアルミノ珪酸塩を熱処理しなくても常温(例えば、20~25℃)で100~180m2/g程度の比表面積を維持することができ、大きな比表面積によって、ブラックペレットの燃焼の際に溶融して出るアルカリ成分を物理的に吸着して除去することができるため、スラギング及びファウリング現象を防止することができる。
【0099】
仮に、アルミノ珪酸塩が結晶水を含有している場合には、高温で熱処理して結晶水を除去することによってのみアルミノ珪酸塩の比表面積が大きくなることがあるが、本発明の多様な実施例によれば、結晶水を別に除去しなくてもアルミノ珪酸塩の比表面積数値が高い特性を有しているため、ブラックペレットの燃焼の際、迅速な吸着反応によってアルカリ成分を制御することができる利点がある。
【0100】
以上で説明したように、本発明についての具体的な説明は実施例に基づいて開示したが、上述した実施例は本発明の好適な例を説明したに過ぎず、本発明が前記実施例にのみ限定されるものと理解されるべきではない。本発明の権利範囲は後述する特許請求の範囲及びその均等な概念と理解されるべきであろう。