(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013193
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】フィルタ製造装置、及びフィルタ製造方法
(51)【国際特許分類】
B01D 39/00 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
B01D39/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049829
(22)【出願日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】P 2022114670
(32)【優先日】2022-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北尾 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】松本 祐典
【テーマコード(参考)】
4D019
【Fターム(参考)】
4D019BB03
4D019CA02
4D019CB06
4D019CB07
(57)【要約】
【課題】プリーツフィルタのピッチを簡便に調節できるフィルタ製造装置およびフィルタの製造方法を提供する。
【解決手段】フィルタ製造装置は、プリーツ形成部(40)と、プリーツ形成部(40)の第1方向の下流側に配置され、第1方向に向かってフィルタ基材(1)の山及び谷を圧縮する一対の第1ベルト部(50)と、第1ベルト部(50)の第1方向側の下流側に配置され、隣り合う山と山との間、または谷と谷との間を所定のピッチに形成する第2ベルト部(60)と、第2ベルト部(60)の走行速度を制御する制御部(200)とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ基材(1)を第1方向に送ると共に、該フィルタ基材(1)を山と谷とに交互に連続して折り曲げるプリーツ形成部(40)と、
前記プリーツ形成部(40)の前記第1方向の下流側に配置され、前記フィルタ基材(1)の山及び谷にそれぞれに接することで、前記第1方向に向かって前記フィルタ基材(1)の山及び谷を圧縮する第1ベルト部(50)と、
前記第1ベルト部(50)の前記第1方向の下流側に配置され、前記フィルタ基材(1)の山と谷とを前記第1方向に引っ張ることで、隣り合う山と山との間、または谷と谷との間を所定のピッチに形成する第2ベルト部(60)と、
前記第2ベルト部(60)の走行速度を制御する制御部(200)とを備える
ことを特徴とするフィルタ製造装置。
【請求項2】
前記制御部(200)は、前記第2ベルト部(60)を通過した前記フィルタ基材(1)のピッチの状態に基づいて、ピッチを小さくする場合、前記第2ベルト部(60)の走行速度を低下させ、ピッチを大きくする場合、前記第2ベルト部(60)の走行速度を上昇させる
ことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ製造装置。
【請求項3】
前記プリーツ形成部(40)は、前記フィルタ基材(1)を挟んで配置され、かつ、互いに噛み合うことで前記フィルタ基材(1)の山及び谷を形成する一対のギア(40a,40b)を有し、
前記制御部(200)は、前記第1ベルト部(50)に進入する前の前記フィルタ基材(1)のプリーツ量に基づいて、プリーツ量を多くする場合、前記一対のギア(40a,40b)の回転速度を上昇させ、プリーツ量を少なくする場合、前記一対のギア(40a,40b)の回転速度を低下させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタ製造装置。
【請求項4】
前記第2ベルト部(60)の走行面には、前記フィルタ基材(1)の山及び谷を引っかける引っかけ機構(64)が設けられる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタ製造装置。
【請求項5】
前記引っかけ機構(64)は、前記第2ベルト部(60)の走行面に設けられ、かつ、前記第1方向に向かって凹凸が交互に連続するように形成される
ことを特徴とする請求項4に記載のフィルタ製造装置。
【請求項6】
前記引っかけ機構(64)は、前記フィルタ基材(1)の山または谷の斜面に沿うように形成されるテーパ面(65)を備える
ことを特徴とする請求項5に記載のフィルタ製造装置。
【請求項7】
前記プリーツ形成部(40)の上流側に配置され、前記フィルタ基材(1)の張力を調整する調整装置(30)が設けられる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタ製造装置。
【請求項8】
前記第1ベルト部(50)は、前記第1方向に隣り合って配置される第1上流ベルト部(50a)と第1下流ベルト部(50b)とを含み、
前記第1上流ベルト部(50a)は、前記第1下流ベルト部(50b)よりも前記第1方向の上流側に配置され、
前記制御部(200)は、前記第1上流ベルト部(50a)の走行速度を前記第1下流ベルト部(50b)よりも大きくする
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタ製造装置。
【請求項9】
前記制御部(200)は、前記第1上流ベルト部(50a)を通過した前記フィルタ基材(1)の所定期間あたりの山または谷の数を示す第1値に基づいて、前記第1上流ベルト部(50a)の走行速度を制御する
ことを特徴とする請求項8に記載のフィルタ製造装置。
【請求項10】
第1方向にフィルタ基材(1)を送り、該フィルタ基材(1)を山と谷とに交互に折り曲げるプリーツ形成工程と、
プリーツが形成された前記フィルタ基材(1)の山と谷とを、前記第1方向に向かって圧縮する圧縮工程と、
圧縮された前記フィルタ基材(1)の引っ張る速度を制御することで、該フィルタ基材(1)の隣り合う山と山または谷と谷とのピッチを調節するピッチ形成工程とを有する
ことを特徴とするフィルタ製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フィルタ製造装置、及びフィルタ製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フィルタとなる濾材シートにプリーツを形成するフィルタ製造装置が開示されている。このフィルタ製造装置はプリーターを備え、プリーターが濾材シートに山と谷とを交互に折り目を入れることによってプリーツが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなプリーツを有するフィルタ(プリーツフィルタ)では、フィルタの種類によってプリーツの山と山、または谷と谷との間の距離(ピッチ)が異なる。そのため、プリーツフィルタの製造においてピッチを調節することは重要であるが、ピッチ調節の簡便化はこれまで検討されてこなかった。
【0005】
本開示の目的は、プリーツフィルタのピッチを簡便に調節できるフィルタ製造装置及びフィルタの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、
フィルタ基材(1)を第1方向に送ると共に、該フィルタ基材(1)を山と谷とに交互に連続して折り曲げるプリーツ形成部(40)と、
前記プリーツ形成部(40)の前記第1方向の下流側に配置され、前記フィルタ基材(1)の山及び谷にそれぞれに接することで、前記第1方向に向かって前記フィルタ基材(1)の山及び谷を圧縮する第1ベルト部(50)と、
前記第1ベルト部(50)の前記第1方向の下流側に配置され、前記フィルタ基材(1)の山と谷とを前記第1方向に引っ張ることで、隣り合う山と山との間、または谷と谷との間を所定のピッチに形成する第2ベルト部(60)と、
前記第2ベルト部(60)の走行速度を制御する制御部(200)とを備えるフィルタ製造装置である。
【0007】
第1の態様では、第2ベルト部(60)の走行面の走行速度を低下させることでピッチを狭くでき、該走行速度を上昇させることでピッチを広くできる。このように、制御部(200)が第2ベルト部(60)の走行速度を調節することで、所望のピッチを有するプリーツフィルタを製造できる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、
前記制御部(200)は、前記第2ベルト部(60)を通過した前記フィルタ基材(1)のピッチの状態に基づいて、ピッチを小さくする場合、前記第2ベルト部(60)の走行速度を低下させ、ピッチを大きくする場合、前記第2ベルト部(60)の走行速度を上昇させる。
【0009】
第2の態様では、第2ベルト部(60)から排出されるフィルタ基材(1)のピッチの状態に基づいて、第2ベルト部(60)の走行速度が調節される。このことで、ピッチのばらつきを抑え、各ピッチを一定にできる。
【0010】
第3の態様は、第1または第2の態様において、
前記プリーツ形成部(40)は、前記フィルタ基材(1)を挟んで配置され、かつ、互いに噛み合うことで前記フィルタ基材(1)の山及び谷を形成する一対のギア(40a,40b)を有し、
前記制御部(200)は、前記第1ベルト部(50)に進入する前の前記フィルタ基材(1)のプリーツ量に基づいて、プリーツ量を多くする場合、前記一対のギア(40a,40b)の回転速度を上昇させ、プリーツ量を少なくする場合、前記一対のギア(40a,40b)の回転速度を低下させる。
【0011】
第1ベルト部(50)の走行速度を一定とした場合、一対のギアの回転速度が速くなるとフィルタ基材(1)の第1ベルト部(50)へ進入するプリーツ量が多くなって、第1ベルト部(50)内での山及び谷の圧縮量が過密になる。一方、一対のギアの回転速度が遅くなるとフィルタ基材(1)の第1ベルト部(50)へ進入するプリーツ量が少なくなって、第1ベルト部(50)内での山及び谷の圧縮が不十分となる。そこで、第3の態様では、第1ベルト部(50)に進入する前のフィルタ基材(1)のプリーツの量に基づいて、一対のギア(40a,40b)の回転速度が調節される。このことで、第1ベルト部(50)に進入するフィルタ基材(1)のプリーツ量が安定し、第1ベルト部(50)内で圧縮される山または谷の圧縮ムラが生じることを抑制できる。ひいては、フィルタ基材(1)の厚みによる圧縮量の差も抑えることができる。
【0012】
第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、
前記第2ベルト部(60)の走行面には、前記フィルタ基材(1)の山及び谷を引っかける引っかけ機構(64)が設けられる。
【0013】
第4の態様では、引っかけ機構(64)により、第2ベルト部(60)においてピッチ形成が損なわれることを抑制できる。加えて、フィルタ基材の山または谷が第2ベルト部(60)の走行面を滑ってしまうことを抑制でき、ピッチが不揃いになることを抑えることができる。
【0014】
第5の態様は、第4の態様において、
前記引っかけ機構(64)は、前記第2ベルト部(60)の走行面に設けられ、前記第1方向に向かって凹凸が交互に連続するように形成される。
【0015】
第5の態様では、第2ベルト部(60)の走行面に凹凸を形成させるだけで、簡便に第2ベルト部(60)に引っかけ機構(64)を設けることができる。
【0016】
第6の態様は、第5の態様において、
前記引っかけ機構(64)は、前記フィルタ基材(1)の山または谷の斜面に沿うように形成されるテーパ面(65)を備える。
【0017】
第6の態様では、第2ベルト部(60)は、引っかけ機構(64)のテーパ面(65)がフィルタ基材(1)の山及び谷の斜面にフィットするようにフィルタ基材(1)を引っ張る。このことで、山および谷が破損することが抑制され、安定してプリーツを形成できる。
【0018】
第7の態様は、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、
前記プリーツ形成部(40)の上流側に配置され、前記フィルタ基材(1)の張力を調整する調整装置(30)が設けられる。
【0019】
第7の態様では、フィルタ基材(1)の張力が安定することで、フィルタ基材(1)を弛ませることなくプリーツ形成部(40)に供給できる。このことで、プリーツ形成部(40)は、フィルタ基材(1)の山の頂部から谷の底部までの長さ(山または谷の斜辺の長さ)が不均一となることを抑制できる。
【0020】
第8の態様は、第1または第2の態様において、
前記第1ベルト部(50)は、前記第1方向に隣り合って配置される第1上流ベルト部(50a)と第1下流ベルト部(50b)とを含み、
前記第1上流ベルト部(50a)は、前記第1下流ベルト部(50b)よりも前記第1方向の上流側に配置され、
前記制御部(200)は、前記第1上流ベルト部(50a)の走行速度を前記第1下流ベルト部(50b)よりも大きくする。
【0021】
第8の態様では、第1上流ベルト部(50a)のフィルタ基材(1)を圧縮する力は、第1下流ベルト部(50b)のフィルタ基材(1)を圧縮する力よりも小さい。そのため、第1上流ベルト部(50a)でフィルタ基材(1)を予備的に圧縮できる。このような予備的な圧縮工程を設けることで、第1ベルト部(50)におけるプリーツの品質低下を抑制できる。
【0022】
第9の態様は、第8の態様において、
前記制御部(200)は、前記第1上流ベルト部(50a)を通過した前記フィルタ基材(1)の所定期間あたりの山または谷の数を示す第1値に基づいて、前記第1上流ベルト部(50a)の走行速度を制御する。
【0023】
第9の態様では、第1上流ベルト部(50a)で形成される山または谷の数を一定にできる。
【0024】
第10の態様は、
第1方向にフィルタ基材(1)を送り、該フィルタ基材(1)を山と谷とに交互に折り曲げるプリーツ形成工程と、
プリーツが形成された前記フィルタ基材(1)の山と谷とを、前記第1方向に向かって圧縮する圧縮工程と、
圧縮された前記フィルタ基材(1)の引っ張る速度を制御することで、隣り合う山と山または谷と谷とのピッチを制御するピッチ形成工程とを有するフィルタ製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本実施形態のフィルタ製造装置の構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、アンコイラーユニットの第1制御部と各種の機器との関係を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1ベルト部によりフィルタ基材が圧縮される様子を示した図である。
【
図4】
図4は、第2ベルト部によりフィルタ基材にピッチが形成される様子を示した図である。
【
図5】
図5は、引っかけ機構を第2ベルト部の走行面を正面にして見た図である。
【
図6】
図6は、第2制御部と各種の機器との関係を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、フィルタの製造方法を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第1フィードバック制御を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第1フィードバック制御により、プリーツ量が調整される様子を示した図である。
図9(A)は、スターギアの回転速度を低下させた場合のフィルタ基材の様子を示す。
図9(B)は、スターギアの回転速度を上昇させた場合のフィルタ基材の様子を示す。
【
図10】
図10は、第2フィードバック制御を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、張力制御によるダンサーローラの動きを示した図である。
【
図13】
図13は、変形例にかかる第1ベルト部によりフィルタ基材が圧縮される様子を示した
図3に相当する図である。
【
図14】
図14は、第3フィードバック制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。また、以下に説明する各実施形態、変形例、その他の例等の各構成は、本発明を実施可能な範囲において、組み合わせたり、一部を置換したりできる。
【0027】
(1)フィルタ製造装置の全体構成
図1に示すように、本実施形態のフィルタ製造装置(10)は、フィルタ基材(1)にプリーツを形成する装置である。フィルタ製造装置(10)により製造されたフィルタは、例えばダクト空調の吹出口に取り付ける一般家庭用もしくは業務用フィルタとして利用される。フィルタ製造装置(10)は、供給ロール(20)、アンコイラーユニット(30)、スターギア(40)、第1ベルト部(50)、第2ベルト部(60)、第1センサ(70)、及び第2センサ(80)を備える。第1方向に向かって順に供給ロール(20)、アンコイラーユニット(30)、スターギア(40)、第1ベルト部(50)及び第2ベルト部(60)が配置される。第1方向は、
図1に示す太矢印が示す方向である(
図1の右方向)。以下の説明において、「上流」は、第1方向における上流を意味し、「下流」は、第1方向における下流を意味する。「上」、「下」、「左」、「右」は、フィルタ製造装置(10)を正面から見たときの各方向を示す(
図1参照)。各図における曲線で示す矢印は、各種の機器の動作方向を示す。
【0028】
(1-1)供給ロール
供給ロール(20)には、シート状のフィルタ基材(1)が巻き取られている。本実施形態のフィルタ基材(1)は、不織布にアルミニウムまたはスチールのワイヤーを貼り合わせた濾材である。供給ロール(20)の回転により、フィルタ基材(1)の一端が第1方向へ繰り出される。供給ロール(20)から繰り出されたフィルタ基材(1)は、アンコイラーユニット(30)に供給される。
【0029】
(1-2)アンコイラーユニット
アンコイラーユニット(30)は、フィルタ基材(1)の張力を調整する。アンコイラーユニット(30)は、スターギア(40)の上流に配置される。具体的に、アンコイラーユニット(30)は、供給ロール(20)からスターギアへ供給されるフィルタ基材(1)の張力を調整する。アンコイラーユニット(30)は、調整装置(30)の一例である。
【0030】
アンコイラーユニット(30)は、フレーム部(31)、繰り出しローラ(32)、ダンサーローラ(33)、ウェイト部(34)、位置センサ(36)、及び第1制御部(100)を備える。フレーム部(31)には、繰り出しローラ(32)、ダンサーローラ(33)、及びウェイト部(34)が第1方向に向かって順に設けられている。また、フレーム部(31)には、ダンサーローラ(33)とウェイト部(34)の間には、第1方向に進むフィルタ基材(1)の下面を支持する支持ローラ(35)が設けられる。
【0031】
(1-2-1)繰り出しローラ
繰り出しローラ(32)は、第1ローラ(32a)及び第2ローラ(32b)を有する。第1ローラ(32a)及び第2ローラ(32b)は、互いのローラ面がフィルタ基材(1)のフィルタ面を挟み込むように上下方向に隣接して配置される。供給ロール(20)から第1方向へ繰り出されたフィルタ基材(1)は、繰り出しローラ(32)に挟み込まれてさらに第1方向へ送られる。第2ローラ(32b)は、第1ローラ(32a)の下方に配置され、支持ローラ(35)と概ね同じ高さ位置に配置される。第1ローラ(32a)及び第2ローラ(32b)の回転速度は同一になるように制御される。各ローラ(32a,32b)の回転速度は、第1制御部(100)により制御される。
【0032】
(1-2-2)ダンサーローラ
ダンサーローラ(33)は、フィルタ基材(1)の張力を調節する。具体的に説明すると、ダンサーローラ(33)は、第3ローラ(33a)及び支持部材(33b)を有する。
【0033】
支持部材(33b)は、第3ローラ(33a)を支持する部材である。具体的に、支持部材(33b)の上端は、フレーム部(31)に固定される。支持部材(33b)の下端は、第3ローラ(33a)を固定する。このように、支持部材(33b)は、第3ローラ(33a)を吊り下げるように設けられる。
【0034】
第3ローラ(33a)は、一定の張力をフィルタ基材(1)に加えることで、フィルタ基材(1)の弛みを抑制する。具体的に、第3ローラ(33a)は、そのローラ面がフィルタ基材(1)の上面に接するように配置される。第3ローラ(33a)は、任意の高さ位置を基準位置として上下方向に移動する。第3ローラ(33a)の高さ位置は、位置センサ(36)によって検知される。第3ローラ(33a)が基準位置から下降した場合、第3ローラ(33a)を基準位置まで上昇するように繰り出しローラ(32)の回転速度を遅くする。一方、第3ローラ(33a)が基準位置から上昇した場合、第3ローラ(33a)を基準位置まで下降するように繰り出しローラ(32)の回転速度を速くする。このように、第3ローラ(33a)を基準位置に維持することで、フィルタ基材(1)に一定の張力が加えられる。
【0035】
(1-2-3)位置センサ
位置センサ(36)は、ダンサーローラ(33)の第3ローラ(33a)の高さ位置を検知する。位置センサ(36)は、例えば光学センサである。位置センサ(36)は、第3ローラ(33a)の高さ位置を示す信号を第1制御部(100)に送信する。
【0036】
(1-2-4)第1制御部
図2に示すように、第1制御部(100)は、MCU(Micro Control Unit,マイクロコントローラユニット)、電気回路、電子回路を含む。MCUは、CPU(Central Processing Unit,中央演算処理装置)、メモリ、通信インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラムが記憶されている。
【0037】
第1制御部(100)は、アンコイラーユニット(30)の各種の機器を制御する。具体的に、第1制御部(100)は、位置センサ(36)から受信した第3ローラ(33a)の高さ位置を示す信号に基づいて、繰り出しローラ(32)の各ローラ(32a,32b)の回転速度を調節する。第1制御部(100)は、フィルタ基材(1)の張力を制御する張力制御を行う。このように、張力制御は、フィルタ基材(1)の繰り出し量を制御することで行われる。張力制御については後述する。
【0038】
(1-2-5)ウェイト部
図1に示すように、ウェイト部(34)は、ダンサーローラ(33)から支持ローラ(35)を介して搬送されてきたフィルタ基材(1)の張力を調節する錘である。
【0039】
(1-3)スターギア
図1に示すように、スターギア(40)は、フィルタ基材(1)を第1方向へ送ると共に、フィルタ基材(1)を山と谷とに交互に連続して折り曲げる。具体的に、スターギア(40)は、一対のギアである第1ギア(40a)及び第2ギア(40b)を有する。第1ギア(40a)及び第2ギア(40b)のそれぞれは、
図1の紙面奥行方向に回転軸を有し、互いの歯が噛み合うように上下方向に並んで配置される。スターギア(40)は、フィルタ基材(1)を挟んで配置され、かつ、互いに噛み合うことでフィルタ基材(1)の山及び谷を形成する。第1ギア(40a)は、第2ギア(40b)の上方に配置される。スターギア(40)は、プリーツ形成部(40)の一例である。
【0040】
図1のスターギアの一部拡大図(破線で囲った図)に示すように、フィルタ基材(1)が第1ギア(40a)の溝と第2ギア(40b)の歯との間に挟まることで山が形成される。フィルタ基材(1)が第1ギア(40a)の歯と第2ギア(40b)の溝との間に挟まることで谷が形成される。このように、フィルタ基材(1)にはプリーツが形成される。ここで、スターギア(40)により形成される山の頂部aと谷の底部bとの距離d
0は一定である。
【0041】
(1-4)第1ベルト部
図1及び
図3に示すように、第1ベルト部(50)は、スターギア(40)の第1方向の下流側に配置される。第1ベルト部(50)は、フィルタ基材(1)の山及び谷にそれぞれに接することで、第1方向に向かってフィルタ基材(1)の山及び谷を圧縮する。以下、具体的に説明する。
【0042】
第1ベルト部(50)は、一対のベルト(51,52)を有する。第1ベルト部(50)は、第1上ベルト(51)及び第1下ベルト(52)を有する。第1上ベルト(51)及び第1下ベルト(52)は、それぞれの走行面が互いに向かい合うように上下方向に並んで配置される。第1上ベルト(51)の走行面と第1下ベルト(52)の走行面との距離d1は、距離d0よりもやや小さい。以下の説明において、第1ベルト部(50)内は、第1上ベルト(51)及び第1下ベルト(52)の間の空間を指す。
【0043】
第1上ベルト(51)及び第1下ベルト(52)は、樹脂等の弾性部材により構成される。第1上ベルト(51)及び第1下ベルト(52)は、環状に形成される。第1上ベルト(51)及び第1下ベルト(52)のそれぞれの内側には、
図3の紙面奥方向に回転軸を有する複数の第1駆動軸(53)が設けられる。
【0044】
各第1駆動軸(53)は、第1上ベルト(51)及び第1下ベルト(52)の互いに向かい合う走行面を第1方向へ走行させる。各第1駆動軸(53)は、第1上ベルト(51)及び第1下ベルト(52)のそれぞれの走行面の走行速度が同一になるように回転する。第1ベルト部(50)内に進入するフィルタ基材(1)の速度よりも第1ベルト部(50)の走行速度が遅くなるように、各第1駆動軸(53)の回転速度は調節される。
【0045】
次に、フィルタ基材(1)の山及び谷の圧縮について説明する。第1上ベルト(51)の走行面と第1下ベルト(52)の走行面との距離d1は、距離d0よりもやや小さい(距離d1<距離d0)ため、第1ベルト部(50)内では、フィルタ基材(1)の山の頂部aは第1上ベルト(51)の走行面に接した状態を維持したまま第1方向へ移動する。同様に、フィルタ基材(1)の谷の底部bは第1下ベルト(52)の走行面に接した状態を維持したまま第1方向へ移動する。
【0046】
ここで、第1駆動軸(53)の回転速度は、スターギア(40)の回転速度よりも遅いため、第1ベルト部(50)の走行面の走行速度に比べて、第1ベルト部(50)内へ進入するフィルタ基材(1)の速度の方が早い。従って、第1ベルト部(50)内に進入するフィルタ基材(1)は、第1上ベルト(51)及び第2下ベルト(62)により隣り合う山同士及び谷同士が次々に折り重なって第1方向へ移動する。
【0047】
このように圧縮とは、フィルタ基材(1)の隣り合う山同士及び谷同士が折り重なることをいう。別の言い方をすると、圧縮とは、フィルタ基材(1)の隣り合う山と山の間、及び隣り合う谷と谷との間の距離を小さくすることをいう。なお、距離d1<距離d0であるため、第1ベルト部(50)内では、フィルタ基材(1)の山または谷の斜面(フィルタ面)は第1方向に向かって膨出するように湾曲する。
【0048】
(1-5)第2ベルト部
図1及び
図4に示すように、第2ベルト部(60)は、第1ベルト部(50)の第1方向の下流側に配置される。第2ベルト部(60)は、フィルタ基材(1)の山と谷とを第1方向に引っ張ることで、隣り合う山と山との間、または谷と谷との間を所定のピッチに形成する。以下、具体的に説明する。
【0049】
第2ベルト部(60)は、一対のベルト(61,62)を有する。第2ベルト部(60)は、第2上ベルト(61)及び第2下ベルト(62)を有する。第2上ベルト(61)及び第2下ベルト(62)は、それぞれの走行面が互いに向かい合うように上下方向に並んで配置される。第2上ベルト(61)の走行面と第2下ベルトの走行面との距離d2は、距離d1と概ね同一である。以下の説明において、第2ベルト部(60)内は、第2上ベルト(61)及び第2下ベルト(62)の間の空間を指す。
【0050】
第2上ベルト(61)及び第2下ベルト(62)は、樹脂等の弾性部材により構成される。第2上ベルト(61)及び第2下ベルト(62)は、環状に形成される。第2上ベルト(61)及び第2下ベルト(62)のそれぞれの内側には、
図4の紙面奥方向に回転軸を有する複数の第2駆動軸(63)が設けられる。
【0051】
各第2駆動軸(63)は、第2上ベルト(61)及び第2下ベルトの互いに向かい合う走行面を第1方向へ走行させる。各第2駆動軸(63)は、第2上ベルト(61)及び第2下ベルトのそれぞれの走行面の走行速度が同一になるように駆動される。各第2駆動軸(63)の回転速度は、各第1駆動軸(53)の回転速度よりも速い。
【0052】
次に、フィルタ基材(1)のピッチの形成について説明する。ピッチは、隣り合う山と山の間、及び隣り合う谷と谷との間の距離である。
【0053】
図4及び
図5に示すように、第2ベルト部(60)の走行面には、フィルタ基材(1)の山及び谷を引っかける引っかけ機構(64)が設けられる。本実施形態の引っかけ機構(64)は、第2ベルト部(60)の走行面に設けられ、かつ、第1方向に向かって凹凸が交互に連続するように形成される。
【0054】
具体的に、引っかけ機構(64)は、概ね四角錘に形成される複数の凸部(66)を有する。凸部(66)は、第2ベルト部(60)の走行面において、第1方向と第1方向に直交する方向とに向かって連続して設けられる。
【0055】
引っかけ機構(64)は、フィルタ基材(1)の山または谷の斜面に沿うように形成されるテーパ面(65)を備える。フィルタ基材(1)の山または谷の斜面とは、山の頂部aから谷の底部bに亘って傾斜するフィルタ面である。テーパ面(65)は、第1方向に並ぶ凸部(66)の角錘面(側面)である。第2上ベルト(61)のテーパ面(65)及び第2下ベルト(62)のテーパ面(65)のそれぞれの垂直方向に対する角度は互いに等しい。
【0056】
ここで、各第2駆動軸(63)の回転速度は、各第1駆動軸(53)の回転速度よりも速いため、第2ベルト部(60)の走行面の走行速度は、第1ベルト部(50)の走行速度よりも速い。このため、第1ベルト部(50)から排出されたフィルタ基材(1)が第2ベルト部(60)に進入すると、引っかけ機構(64)によりフィルタ基材(1)の山および谷が第1方向に向かって引っ張られる。このことで、隣り合う山の頂部a及び谷の底部bの距離が開き、所定のピッチが形成される。
【0057】
第2駆動軸(63)の回転速度は、後述する第2制御部(200)により制御される。具体的に、第2駆動軸(63)の回転速度を上げると、第2ベルト部(60)の走行速度が速くなり、より大きなピッチを有するプリーツフィルタが製造される。一方、第2駆動軸(63)の回転速度を下げると、第2ベルト部(60)の走行速度が遅くなり、より小さなピッチを有するプリーツフィルタが製造される。このように、第2ベルト部(60)の走行速度を調節することで、所望のピッチを有するプリーツフィルタを製造できる。
【0058】
(1―6)第1センサ及び第2センサ
図1に示すように、第1センサ(70)は、スターギア(40)の下流側、かつ、第1ベルト部(50)の上流側に配置される。第1センサ(70)は、第1ベルト部(50)に進入する直前のフィルタ基材(1)の状態を検知する。本実施形態の第1センサ(70)は、画像センサである。第1センサ(70)は、第1ベルト部(50)に進入する直前のフィルタ基材(1)の一部を撮像して、その画像データを後述する第2制御部(200)に送信する。この画像データは、後述する第1フィードバック制御に使用される。
【0059】
第2センサ(80)は、第2ベルト部(60)の下流側に配置される。第2センサ(80)は、第2ベルト部(60)から第1方向へ排出された直後のフィルタ基材(1)の状態を検知する。本実施形態の第2センサ(80)は、画像センサである。第2センサ(80)は、第2ベルト部(60)から第1方向へ排出された直後のフィルタ基材(1)の一部を撮像し、その画像データを後述する第2制御部(200)に送信する。この画像データは、後述する第2フィードバック制御に使用される。
【0060】
(1-7)第2制御部
図6に示すように、フィルタ製造装置(10)は、第2制御部(200)を有する。第2制御部(200)は、制御部(200)の一例である。第2制御部(200)は、MCU(Micro Control Unit,マイクロコントローラユニット)、電気回路、電子回路を含む。MCUは、CPU(Central Processing Unit,中央演算処理装置)、メモリ、通信インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラムが記憶されている。第2制御部(200)は、フィルタ製造装置(10)の各種の機器を制御する。以下、具体的に説明する。
【0061】
(1-7-1)スターギアの制御
第2制御部(200)は、第1ベルト部(50)に進入する前のフィルタ基材(1)のプリーツ量に基づいて、プリーツ量を多くする場合、スターギア(40)の回転速度を上昇させ、プリーツ量を少なくする場合、スターギア(40)の回転速度を低下させる。
【0062】
具体的に説明すると、第2制御部(200)は、第1センサ(70)から受信した画像データに基づいて、第1ベルト部(50)へ供給されるフィルタ基材(1)のプリーツ量が基準の範囲内に収まるように、スターギア(40)の回転速度を調節する。基準の範囲とは、基準値から許容される範囲(例えば誤差範囲)を指す(以下同様)。プリーツ量は、フィルタ基材(1)に形成される山および谷の数を指す(
図9参照)。このように、第2制御部(200)は、プリーツ量に基づいて、スターギアの回転速度を制御する第1フィードバック制御を行う。第1フィードバック制御の詳細は後述する。
【0063】
(1-7-2)第1ベルト部の制御
第2制御部(200)は、第1駆動軸(53)を一定の回転速度に制御する。このことで、第1ベルト部(50)の各ベルト(51,52)の走行速度は一定に保持される。
【0064】
(1-7-3)第2ベルト部の制御
第2制御部(200)は、第2ベルト部(60)を通過したフィルタ基材(1)のピッチの状態に基づいて、ピッチを小さくする場合、第2ベルト部(60)の走行速度を低下させ、ピッチを大きくする場合、第2ベルト部(60)の走行速度を上昇させる。
【0065】
具体的に説明すると、第2制御部(200)は、第2センサ(80)から受信した画像データに基づいて、第2ベルト部(60)内で形成されるピッチが基準の範囲に収まるように、第2駆動軸(63)の回転速度を調節する。このように、第2制御部(200)は、プリーツのピッチの状態に基づいて、第2ベルト部(60)の走行速度を制御する第2フィードバック制御を行う。第2フィードバック制御の詳細は後述する。
【0066】
(2)フィルタ製造装置の運転
(2-1)フィルタ製造方法
図7を参照しながら、本実施形態のフィルタの製造方法の一例について説明する。本実施形態のフィルタ製造方法には、第1フィードバック制御、第2フィードバック制御、及び張力制御を含む。なお、フィルタ基材(1)は、フィルタ製造装置(10)の運転前に、作業者の操作によって供給ロール(20)からフィルタ基材(1)の一端が繰り出され、アンコイラーユニット(30)を経由してスターギア(40)に噛ませた状態となっている。
【0067】
ステップS11では、第2制御部(200)は、プリーツ形成工程を実行する。プリーツ形成工程は、フィルタ基材(1)を第1方向に送り、該フィルタ基材(1)を山と谷とに交互に連続して折り曲げる工程である。具体的に、プリーツ形成工程では、第2制御部(200)によりスターギア(40)が回転することで、フィルタ基材(1)にプリーツが形成される。
【0068】
ステップS12では、第2制御部(200)は、圧縮工程を実行する。圧縮工程は、プリーツが形成されたフィルタ基材(1)の山と谷とを第1方向に向かって圧縮する工程である。具体的に、第2制御部(200)は、第1ベルト部(50)の走行速度が、第1ベルト部(50)に進入するフィルタ基材(1)の進入速度よりも遅くなるように第1駆動軸(53)の回転速度を一定に維持する。
【0069】
ステップS13では、第2制御部(200)は、ピッチ形成工程を実行する。ピッチ形成工程は、圧縮されたフィルタ基材(1)の引っ張る速度を制御することで、該フィルタ基材(1)の隣り合う山と山または谷と谷とのピッチが調節する工程である。具体的に、第2制御部(200)は、ピッチが基準の範囲内となるように第2ベルト部(60)の走行速度(第2駆動軸(63)の回転速度)を制御する。
【0070】
例えば、第1ピッチを有するフィルタ(第1フィルタとする。)を製造した後、第1ピッチよりもピッチの大きい第2ピッチを有するフィルタ(第2フィルタとする。)を製造する場合、第2制御部(200)は、第2ベルト部(60)の走行速度を第2ピッチに対応する速度まで上げる。このことで、第1ピッチから第2ピッチに変更され、第1フィルタの製造から第2フィルタの製造に切り換えられる。同様に、第2フィルタを製造した後、第1フィルタを製造する場合、第2制御部(200)は、第2ベルト部(60)の第1ピッチに対応する速度まで下げる。このことで、第2ピッチから第1ピッチに変更され、第2フィルタの製造から第1フィルタの製造に切り換えられる。
【0071】
(2-2)第1フィードバック制御
第1フィードバック制御は、フィルタ製造装置(10)の運転中常に行われる。
図8及び
図9を参照して、具体的に説明する。
【0072】
ステップS21では、第2制御部(200)は、第1センサ(70)からフィルタ基材(1)の画像データを受信する。
【0073】
ステップS22では、第2制御部(200)は、画像データに基づいて、フィルタ基材(1)に形成されたプリーツ量が基準の範囲内にあるか判定する。プリーツ量が基準の範囲内にあると判定された場合(ステップS22のYES)、再びステップS21へリターンする。プリーツ量が基準の範囲内にないと判定された場合(ステップS22のNO)、ステップS23が実行される。
【0074】
ステップS23では、第2制御部(200)は、プリーツ量が基準の範囲より多いか否かを判定する。プリーツ量が基準の範囲よりも多いと判定された場合(ステップS23のYES)、ステップS24へ移行する。プリーツ量が基準の範囲よりも多くないと判定された場合(ステップS23のNO)、プリーツ量は基準の範囲よりも少ないと判断され、ステップS25が実行される。
【0075】
ステップS24では、第2制御部(200)は、プリーツ量が基準の範囲内に収まるようにスターギア(40)の回転速度を低下させる。このことで、フィルタ基材(1)の第1方向への進行速度が抑えられ、フィルタ基材(1)の第1ベルト部(50)内への進入速度も抑えられる。このことにより、プリーツ量が減少することで、第1ベルト部(50)内のフィルタ基材(1)の山及び谷の圧縮量が過密になることが抑制され、適度な圧縮量に調節される(
図9(A)参照)。なお、圧縮量は、第1ベルト部(50)により圧縮されたプリーツの量、または第1ベルト部(50)内のプリーツの量を意味する。
【0076】
ステップS25では、第2制御部(200)は、プリーツ量が基準の範囲内に収まるようにスターギア(40)の回転速度を上昇させる。このことで、フィルタ基材(1)の第1方向への進行速度が上昇し、フィルタ基材(1)の第1ベルト部(50)内への進入速度も上昇する。このことにより、プリーツ量が増加することで、第1ベルト部(50)内のフィルタ基材(1)の山及び谷の圧縮が不十分になって圧縮ムラが生じることが抑制され、適度な圧縮量に調節される(
図9(B)参照)。
【0077】
(2-3)第2フィードバック制御
第2フィードバック制御は、フィルタ製造装置(10)の運転中常に行われる。
図10を参照して、具体的に説明する。
【0078】
ステップS31では、第2制御部(200)は、第2センサ(80)からフィルタ基材(1)の画像データを受信する。
【0079】
ステップS32では、第2制御部(200)は、画像データに基づいて、プリーツのピッチが基準の範囲内にあるか否かを判定する。ピッチが基準の範囲内にあると判定された場合(ステップS32のYES)、再びステップS31へリターンする。ピッチが基準の範囲内にないと判定された場合(ステップS32のNO)、ステップS33が実行される。
【0080】
ステップS33では、第2制御部(200)は、ピッチが基準の範囲より大きいか否かを判定する。ピッチが基準の範囲よりも大きいと判定された場合(ステップS33のYES)、ステップS34が実行される。ピッチが基準の範囲よりも大きくないと判定された場合(ステップS33のNO)、ピッチは基準の範囲よりも小さいと判断され、ステップS35が実行される。
【0081】
ステップS34では、第2制御部(200)は、ピッチが基準の範囲内に収まるように第2駆動軸(63)の回転速度を低下させる。このことで、第2ベルト部(60)の走行速度が低下し、引っかけ機構(64)が第1ベルト部(50)から排出されたフィルタ基材(1)の山と谷とを引っ張る速度が抑えられる。その結果、第2ベルト部(60)内で形成されるピッチの幅も狭まり、ピッチは基準の範囲内に収まる。
【0082】
ステップS35では、第2制御部(200)は、ピッチが基準の範囲内に収まるように第2駆動軸(63)の回転速度を上昇させる。このことで、第2ベルト部(60)の走行速度を上昇し、引っかけ機構(64)が第1ベルト部(50)から排出されたフィルタ基材(1)の山と谷とを引っ張る速度が上昇する。その結果、第2ベルト部(60)内で形成されるピッチの幅も広がり、ピッチは基準の範囲内に収まる。
【0083】
(2-4)張力制御
張力制御は、フィルタ製造装置(10)の運転中常に行われる。
図11及び
図12を参照して、具体的に説明する。
【0084】
ステップS41では、第1制御部(100)は、位置センサ(36)からフィルタ基材(1)の高さ位置を示す第1信号を受信する。
【0085】
ステップS42では、第1制御部(100)は、第1信号に基づいて、フィルタ基材(1)の高さ位置を示す第1値が、基準の範囲内にあるか否かを判定する。基準の範囲とは、基準位置を含む高さ位置の範囲を意味する。第1値が基準の範囲内にあると判定された場合(ステップS42のYES)、再びステップS41へリターンする。第1値が基準の範囲内にないと判定された場合(ステップS42のNO)、ステップS43が実行される。
【0086】
ステップS43では、第1制御部(100)は、第1値が基準の範囲よりも高いか否かを判定する。ここで、第1値が基準の範囲よりも高いとは、第3ローラ(33a)の高さ位置が基準位置よりも高い状態をいう。この状態では、フィルタ基材(1)の張力は比較的高い。第1値が基準の範囲よりも高いと判定された場合(ステップS43のYES)、ステップS44が実行される。第1値が基準の範囲よりも高くないと判定された場合(ステップS44のNO)、第1値は基準の範囲よりも低いと判断され、ステップS45が実行される。第1値が基準の範囲よりも低いとは、第3ローラ(33a)の高さ位置が基準位置よりも低い状態をいう。この状態では、フィルタ基材(1)の張力が比較的低い。
【0087】
ステップS44では、第1制御部(100)は、第1値が基準の範囲内に収まるように繰り出しローラ(32)の各ローラ(32a,32b)の回転速度を上昇させる。このことで、第3ローラ(33a)は基準位置まで下降する(
図12参照)と共に、フィルタ基材(1)の張力は低下する。その結果、フィルタ基材(1)の張力は一定に保たれる。
【0088】
ステップS45では、第1制御部(100)は、第1値が基準の範囲内に収まるように繰り出しローラ(32)の各ローラ(32a,32b)の回転速度を低下させる。このことで、第3ローラ(33a)は基準位置まで上昇する(
図12参照)と共に、フィルタ基材(1)の張力は上昇する。その結果、フィルタ基材(1)の張力は一定に保たれる。
【0089】
(3)特徴
(3-1)特徴1
本実施形態のフィルタ製造装置(10)では、制御部(200)は、第2ベルト部(60)の走行速度を制御する。このように、第2ベルト部(60)の走行速度を調節するだけで、ピッチを調節できる。その結果、所望のピッチを有するプリーツフィルタを製造できる。
【0090】
特に、本実施形態のような第1ベルト部(50)及び第2ベルト部(60)を備えるフィルタ製造装置(10)において、従来ではピッチに応じて第2ベルト部(60)の2つのベルト(61,62)の位置を変更する作業を要していた。具体的に、第2上ベルト(61)と第2下ベルト(62)との距離d2を狭めることでピッチを比較的狭くできるが、この場合第2上ベルト(61)及び第2下ベルト(62)の少なくとも一方の位置を変更し、その高さを調節する作業が必要になる。しかし、本実施形態によると、第2ベルト部(60)の走行速度を可変とすることで、そのような作業を不要にできる。その結果、各ベルト(61,62)の位置を変更する作業を省くことができ、フィルタの製造効率を上げることができる。
【0091】
(3-2)特徴2
本実施形態のフィルタ製造装置(10)では、制御部(200)は、第2ベルト部(60)を通過したフィルタ基材(1)のピッチの状態に基づいて、ピッチを小さくする場合、第2ベルト部(60)の走行速度を低下させ、ピッチを大きくする場合、第2ベルト部(60)の走行速度を上昇させる。
【0092】
本実施例によると、制御部(200)は、第2フィードバック制御を行うことで、ピッチが基準の範囲内に収まるように、第2ベルト部(60)の走行速度を調節できる。このように、ピッチ情報に基づいて第2ベルト部(60)の走行速度を制御することで、ピッチのばらつきを抑え、各ピッチを一定にできる。ひいては、一定のピッチを有するプリーツフィルタを製造できる。
【0093】
加えて、一定のピッチにすることで、プリーツフィルタの意匠性を向上できる。また、ピッチが、不揃いになるとフィルタの性能が低下するところ、本実施形態によりそのような性能の低下を抑止し、本来のフィルタ性能を発揮できる。
【0094】
(3-3)特徴3
本実施形態のフィルタ製造装置(10)では、制御部(200)は、第1ベルト部(50)に進入する前のフィルタ基材(1)のプリーツ量に基づいて、プリーツ量を多くする場合、スターギア(40)の回転速度を上昇させ、プリーツ量を少なくする場合、スターギア(40)の回転速度を低下させる。
【0095】
本実施例によると、制御部(200)は、第1フィードバック制御を行うことで、第1ベルト部(50)に供給されるフィルタ基材(1)のプリーツ量を一定にすることができる。このようにプリーツ量の情報に基づいて、スターギア(40)の回転速度を調節することで、第1ベルト部(50)内で圧縮が不十分なプリーツが生じるなどの圧縮ムラを抑えることができる。
【0096】
(3-4)特徴4
本実施形態のフィルタ製造装置(10)では、第2ベルト部(60)の走行面には、フィルタ基材(1)の山及び谷を引っかける引っかけ機構(64)が設けられる。
【0097】
本実施形態によると、第1ベルト部(50)により圧縮されたフィルタ基材(1)の山及び谷は、第1ベルト部(50)の引っかけ機構(64)により引っかけられた状態で第1方向に引っ張られる。このように山と谷が引っかけ機構(64)に保持されるため、ピッチ形成が損なわれることを抑制できる。加えて、フィルタ基材(1)の山または谷が第2ベルト部の走行面を滑ってしまうことが抑制され、ピッチが不揃いになることを抑えることができる。
【0098】
(3-5)特徴5
本実施形態のフィルタ製造装置(10)では、引っかけ機構(64)は、第2ベルト部(60)の走行面に設けられ、かつ、第1方向に向かって凹凸が交互に連続するように形成される。第2ベルト部(60)の走行面に凹凸を設けるだけで、簡便に引っかけ機構(64)を設けることができる。
【0099】
(3-6)特徴6
本実施形態のフィルタ製造装置(10)では、引っかけ機構(64)は、フィルタ基材(1)の山または谷の斜面に沿うように形成されるテーパ面(65)を備える。
【0100】
第2ベルト部(60)は、引っかけ機構(64)のテーパ面(65)がフィルタ基材(1)の山及び谷の斜面にフィットするようにフィルタ基材(1)を引っ張る。このことで、山および谷が破損することが抑制され、安定してプリーツを形成できる。
【0101】
(3-7)特徴7
本実施形態のフィルタ製造装置(10)では、スターギア(40)の上流側に配置され、フィルタ基材(1)の張力を調整するアンコイラーユニット(30)(調整装置)が設けられる。
【0102】
本実施形態によると、フィルタ基材(1)の張力が安定することで、フィルタ基材(1)を弛ませることなくスターギア(40)に供給できる。このことで、スターギア(40)は、フィルタ基材(1)の山の頂部から谷の底部までの長さ(山または谷の斜辺の長さ)が不均一となることを抑制できる。
【0103】
(4)変形例
図13を参照しながら、フィルタ製造装置(10)の変形例について説明する。以下では、上記実施形態と異なる構成について説明する。変形例のフィルタ製造装置(10)の第1ベルト部(50)は、第1上流ベルト部(50a)および第1下流ベルト部(50b)から構成される。
【0104】
(4-1)第1上流ベルト部および第1下流ベルト部
第1上流ベルト部(50a)および第1下流ベルト部(50b)のそれぞれの構成は、上記実施形態の第1ベルト部(50)と同じである。第1上流ベルト部(50a)および第1下流ベルト部(50b)は、第1方向に隣り合って配置される。第1上流ベルト部(50a)は、第1下流ベルト部(50b)よりも第1方向の上流側に配置される。第1上流ベルト部(50a)は、スターギア(40)よりも第1方向の下流側に配置される。
【0105】
第1上流ベルト部(50a)は、複数の第1上流駆動軸(53a)を有する。第1上流駆動軸(53a)は、第1上流ベルト部(50a)の第1上ベルトと第1下ベルトとを走行させる。第1下流ベルト部(50b)は、複数の第1下流駆動軸(53b)を有する。第1下流駆動軸(53b)は、第1下流ベルト部(50b)の第1上ベルトと第1下ベルトとを走行させる。第1上流駆動軸(53a)および第1下流駆動軸(53b)は、上記実施形態の第1駆動軸(53)に対応する。第1上流駆動軸(53a)および第1下流駆動軸(53b)のそれぞれの回転速度は、第2制御部(200)により個別に制御される。
【0106】
(4-2)第3センサ
変形例のフィルタ製造装置(10)は、第3センサ(90)を有する。第3センサ(90)は、第1上流ベルト部(50a)と第1下流ベルト部(50b)との間に配置される。第3センサ(90)は、第1上流ベルト部(50a)から排出されたフィルタ基材(1)の状態を検知する。言い換えると、第3センサ(90)は、第1下流ベルト部(50b)に進入する直前のフィルタ基材(1)の状態を検知する。
【0107】
本変形例の第3センサ(90)は画像センサである。第3センサ(90)は、第1上流ベルト部(50a)と第1下流ベルト部(50b)との間を搬送されるフィルタ基材(1)を撮像して、その画像データを第2制御部(200)に送信する。この画像データは、後述する第3フィードバック制御に使用される。
【0108】
(4-3)第1上流ベルト部および第1下流ベルト部の制御
第2制御部(200)は、第1上流ベルト部(50a)の走行速度を第1下流ベルト部(50b)よりも大きくする。具体的に、第2制御部(200)は、第1下流駆動軸(53b)の回転速度を一定に制御する。第2制御部(200)は、第1上流駆動軸(53a)の回転速度を、第1下流駆動軸(53b)の回転速度よりも高くなるように制御する。第2制御部(200)は、第1上流駆動軸(53a)の回転速度を、スターギア(40)の回転速度よりも低くなるように制御する。
【0109】
これにより、スターギア(40)から搬送されたフィルタ基材(1)は第1上流ベルト部(50a)により圧縮され、第1上流ベルト部(50a)により圧縮されたフィルタ基材(1)は、第1下流ベルト部(50b)によりさらに圧縮される。具体的に、第1上流ベルト部(50a)の走行速度は、スターギア(40)の回転速度よりも遅い。すなわち、第1上流ベルト部(50a)に進入するフィルタ基材(1)の速度は、第1上流ベルト部(50a)内を移動する速度よりも速い。そのため、フィルタ基材(1)のプリーツ(山または谷)が第1上流ベルト部(50a)の上流端に接するとフィルタ基材(1)に第1圧縮が生じる。この第1圧縮は、第1上流ベルト部(50a)の上流端からスターギア(40)にかけて生じる。第1圧縮により圧縮されたフィルタ基材(1)は一定のピッチを維持した状態で第1上流ベルト部(50a)内を第1下流ベルト部(50b)に向かって搬送される。
【0110】
次に、第1下流ベルト部(50b)の走行速度は、第1上流ベルト部(50a)の走行速度よりも遅い。すなわち、第1下流ベルト部(50b)に進入するフィルタ基材(1)の速度は、第1下流ベルト部(50b)内を移動する速度よりも速い。そのため、フィルタ基材(1)のプリーツ(山または谷)が第1下流ベルト部(50b)の上流端に接すると、フィルタ基材(1)に第2圧縮が生じる。この第2圧縮は、第1下流ベルト部(50b)の上流端から第1上流ベルト部(50a)の下流端にかけて生じる。第2圧縮により圧縮されたフィルタ基材(1)は一定のピッチを維持した状態で第1下流ベルト部(50b)内を第2ベルト部(60)に向かって搬送される。第2圧縮の方が第1圧縮よりもフィルタ基材(1)を圧縮する力は大きいため、第1下流ベルト部(50b)により形成されるフィルタ基材(1)のピッチは、第1上流ベルト部(50a)により形成されるフィルタ基材(1)のピッチよりも小さくなる。
【0111】
(4-4)第3フィードバック制御
第2制御部(200)は、第3フィードバック制御を行う。具体的に、第2制御部(200)は、第3センサ(90)から出力された画像データに基づいて、第1上流ベルト部(50a)を通過したフィルタ基材(1)の所定期間あたりの山または谷の数を示す第1値を計測する。第2制御部(200)は、第1値に基づいて第1上流ベルト部(50a)の走行速度を制御する。第1値は、所定期間ごとのフィルタ基材(1)の山の数または谷の数を示す値であれば限定はない。本変形例では第1値は、所定期間ごとのフィルタ基材(1)の山の数または谷の数である。以下、
図14を参照しながら第3フィードバック制御について説明する。
【0112】
ステップS51では、第2制御部(200)は、第3センサ(90)からフィルタ基材(1)の画像データを受信する。
【0113】
ステップS52では、第2制御部(200)は、画像データに基づいて、フィルタ基材(1)に形成された山または谷の数が基準の範囲内にあるか判定する。山または谷の数が基準の範囲内にあると判定された場合(ステップS52のYES)、再びステップS51へリターンする。山または谷の数が基準の範囲内にないと判定された場合(ステップS52のNO)、ステップS53が実行される。
【0114】
ステップS53では、第2制御部(200)は、山または谷の数が基準の範囲より多いか否かを判定する。山または谷の数が基準の範囲よりも多いと判定された場合(ステップS53のYES)、ステップS54へ移行する。山または谷の数が基準の範囲よりも多くないと判定された場合(ステップS53のNO)、山または谷の数は基準の範囲よりも少ないと判断され、ステップS55が実行される。
【0115】
ステップS54では、第2制御部(200)は、山または谷の数が基準の範囲内に収まるように第1上流駆動軸(53a)の回転速度を低下させる。このことで、フィルタ基材(1)の第1方向への進行速度が抑えられ、フィルタ基材(1)の第1下流ベルト部(50b)内への進入速度も抑えられる。このことにより、山または谷の数が減少する。なお、制御部(200)は、第1下流駆動軸(53b)の回転速度を下回らないように第1上流駆動軸(53a)の回転速度を制御する。
【0116】
ステップS55では、第2制御部(200)は、山または谷の数が基準の範囲内に収まるように第1上流駆動軸(53a)の回転速度を上昇させる。このことで、フィルタ基材(1)の第1方向への進行速度が上昇し、フィルタ基材(1)の第1下流ベルト部(50b)内への進入速度も上昇する。このことにより、山または谷の数が増加する。なお、制御部(200)は、スターギア(40)の回転速度を上回らないように第1上流駆動軸(53a)の回転速度を制御する。
【0117】
ここで、上記実施形態のフィルタ製造装置(10)において、スターギア(40)の回転速度を第1ベルト部(50)の走行速度よりも速くすることで、フィルタ基材(1)には第1方向への圧力がかかる。この圧力によりフィルタ基材(1)は圧縮されて第1ベルト部(50)内を搬送されていくが、同時にスターギア(40)にはこの圧力に対する反力(応力)が生じる。具体的に、スターギア(40)がフィルタ基材(1)を第1方向に送り出そうする反面、フィルタ基材(1)にはスターギア(40)に戻ろうとする力(第1方向と反対方向へ進もうとする力)が働く。この力は、スターギア(40)の回転速度が第1ベルト部(50)の走行速度よりも速くなるほど大きくなる。この力を大きくし過ぎると、スターギア(40)は上下のギア(40a,40b)に挟み込んだ後のフィルタ基材(1)の送り出しをスムーズに行うことができず、プリーツの形成に不具合が生じる可能性がある。
【0118】
これに対して、本変形例のフィルタ製造装置(10)では、フィルタ基材(1)に対して、第1下流ベルト部(50b)による第1圧縮が行われる前に、第1上流ベルト部(50a)による第2圧縮が行われる。第2圧縮の力は第1圧縮の力よりも小さいため、フィルタ基材(1)がスターギア(40)に戻ろうとする力を抑えることができる。これにより、プリーツの形成不具合の発生を抑制できる。言い換えると、第1上流ベルト部(50a)の走行速度とスターギア(40)の回転速度との差は、第1下流ベルト部(50b)の走行速度とスターギア(40)の回転速度との差よりも小さい。そのため、本変形例では第1上流ベルト部(50a)がない場合(すなわち、第1下流ベルトのみの場合)よりも、フィルタ基材(1)がスターギア(40)に戻ろうとする力が小さくなる。このように第1上流ベルト部(50a)は、フィルタ基材(1)がスターギア(40)に戻ろうとする力を緩衝する機能を有する。
【0119】
また、第1上流ベルト部(50a)を設けることで、スターギア(40)によるプリーツ形成の不具合を抑えられるため、第1下流ベルト部(50b)の走行速度を低下させなくてもよい。これにより、フィルタの製造速度の低下を抑制できる。
【0120】
(5)その他の実施形態
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0121】
プリーツ形成部(40)は、フィルタ基材(1)にプリーツを形成するものであればよく、スターギアに限られない。
【0122】
第2制御部(200)は、第1制御部(100)を含んでもよい。すなわち、第1制御部(100)及び第2制御部(200)は一体であってもよい。
【0123】
第1フィードバック制御及び第2フィードバック制御において、プリーツ量及びピッチが基準の範囲内に収まるように制御しなくてもよい。即ち、第1フィードバック制御及び第2フィードバック制御は、プリーツ量及びピッチが基準値となるように制御してもよい。
【0124】
引っかけ機構(64)は、第1ベルト部(50)から排出されたフィルタ基材(1)の山と谷とを引っかける機構であればよく、凹凸に形成されていなくてもよい。
【0125】
引っかけ機構(64)が凹凸に形成されている場合、引っかけ機構(64)はテーパ面(65)を有してなくてもよい。例えば、引っかけ機構(64)は、曲面を有してもいてもよい。
【0126】
フィルタ製造装置(10)は、アンコイラーユニット(30)を有していなくてもよい。
【0127】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」及び「第2」という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0128】
以上説明したように、本開示は、フィルタ製造装置およびフィルタ製造方法について有用である。
【符号の説明】
【0129】
1 フィルタ基材
10 フィルタ製造装置
30 アンコイラーユニット(調整装置)
40 スターギア(プリーツ形成部)
40a,40b ギア
50 第1ベルト部
50a 第1上流ベルト部
50b 第1下流ベルト部
60 第2ベルト部
64 機構
65 テーパ面
200 第2制御部(制御部)