(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131932
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】建物
(51)【国際特許分類】
E04B 1/76 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
E04B1/76 500F
E04B1/76 400F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042510
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】青木 亮
(72)【発明者】
【氏名】飯田 和仁
(72)【発明者】
【氏名】片桐 徹
(72)【発明者】
【氏名】川上 隆士
(72)【発明者】
【氏名】竹迫 利喜也
(72)【発明者】
【氏名】土屋 奈美子
(72)【発明者】
【氏名】東山 純也
(72)【発明者】
【氏名】藤塚 亮太
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001FA04
2E001FA32
2E001HD01
2E001HF01
2E001HF04
(57)【要約】
【課題】建物の断熱性の向上を図りつつ、外壁に対して付帯機能を持たせて建物の付加価値を高める。
【解決手段】建物本体の外周に設けられて屋内側の部屋に隣接配置された外壁に、窓開口部が形成されるとともに、外壁を構成する壁体P2の屋外側面に、窓開口部を避けて付加断熱パネル10が設けられることで付加断熱構造部が形成され、外壁には、屋内側に位置して壁体P2に固定される窓枠16と、窓枠16よりも屋外側に位置する窓サッシ15が窓開口部の縁部に沿って設けられ、窓枠16は、壁体P2のうち窓開口部の側縁部に相当する部位に固定される側枠16cと、窓開口部の下縁部に相当する部位の上面に固定され、側枠16cよりも屋内側に突出する窓カウンター用の板材20と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物本体の外周に設けられて屋内側の部屋に隣接して配置された外壁を備えており、
前記外壁には、屋内と屋外とを連通する窓開口部が形成されるとともに、前記外壁を構成する壁体の屋外側面に、前記窓開口部を避けて付加断熱パネルが設けられることで付加断熱構造部が形成され、
前記外壁には、屋内側に位置して前記壁体に固定される窓枠と、前記窓枠よりも屋外側に位置する窓サッシと、が前記窓開口部の縁部に沿って設けられ、
前記窓枠は、前記壁体のうち、前記窓開口部の側縁部に相当する部位に固定される側枠と、前記窓開口部の下縁部に相当する部位の上面に固定され、前記側枠よりも屋内側に突出する窓カウンター用の板材と、を有していることを特徴とする建物。
【請求項2】
請求項1に記載の建物において、
前記窓カウンター用の板材は、前記壁体のうち前記窓開口部の下縁部に相当する部位の上面に固定された第一カウンター板と、前記第一カウンター板に連結された第二カウンター板と、を有し、
前記第二カウンター板は、前記第一カウンター板の上面に重ねられた状態から、前記第一カウンター板の突出方向に並んだ状態に移動可能となっていることを特徴とする建物。
【請求項3】
請求項1に記載の建物において、
前記窓カウンター用の板材に付属する収納棚を更に備え、
前記収納棚は、前記窓カウンター用の板材の下面と、前記外壁の屋内側面の双方に固定されていることを特徴とする建物。
【請求項4】
建物本体の外周に設けられて屋内側の部屋に隣接して配置された外壁を備えており、
前記外壁には、屋内と屋外とを連通する窓開口部が形成されるとともに、前記外壁を構成する壁体の屋外側面に、前記窓開口部を避けて付加断熱パネルが設けられることで付加断熱構造部が形成され、
前記外壁には、屋内側に位置して前記壁体に固定される窓枠と、前記窓枠よりも屋外側に位置する窓サッシと、が前記窓開口部の縁部に沿って設けられ、
前記窓枠は、前記壁体のうち、前記窓開口部の側縁部に相当する部位に固定される側枠と、前記窓開口部の下縁部に相当する部位の上面に固定され、前記側枠よりも屋内側に突出するベンチ用の板材と、を有していることを特徴とする建物。
【請求項5】
建物本体の外周に設けられて屋内側の部屋に隣接して配置された外壁を備えており、
前記外壁には、屋内と屋外とを連通する窓開口部が形成されるとともに、前記外壁を構成する壁体の屋外側面又は/及び屋内側面に、前記窓開口部を避けて付加断熱パネルが設けられることで付加断熱構造部が形成され、
前記外壁には、屋内側に位置する窓枠と、前記窓枠よりも屋外側に位置する窓サッシと、が前記窓開口部の縁部に沿って設けられ、
前記外壁は、前記窓枠に隣接して設けられ、室内の温度調節を行う温度調節手段を有していることを特徴とする建物。
【請求項6】
建物本体の外周に設けられて屋内側の部屋に隣接して配置された外壁を備えており、
前記外壁には、屋内と屋外とを連通する窓開口部が形成されるとともに、前記外壁を構成する壁体の屋外側面又は/及び屋内側面に、前記窓開口部を避けて付加断熱パネルが設けられることで付加断熱構造部が形成され、
前記外壁には、屋内側に位置する窓枠と、前記窓枠よりも屋外側に位置する窓サッシと、が前記窓開口部の縁部に沿って設けられ、
前記外壁は、前記窓枠の直下に位置して前記窓枠の下枠が固定される横架材を備え、前記横架材の下方は、室内側に開口する凹部とされていることを特徴とする建物。
【請求項7】
建物本体の外周に設けられて屋内側の部屋に隣接して配置された外壁を備えており、
前記外壁には、屋内と屋外とを連通する窓開口部が形成されるとともに、前記外壁を構成する壁体の屋外側面又は/及び屋内側面に、前記窓開口部を避けて付加断熱パネルが設けられることで付加断熱構造部が形成され、
前記外壁には、屋内側に位置する窓枠と、前記窓枠よりも屋外側に位置する窓サッシと、が前記窓開口部の縁部に沿って設けられ、
前記窓枠は、前記壁体又は前記付加断熱パネルのうち、前記窓開口部の側縁部に相当する部位に固定される側枠と、前記窓開口部の上縁部に相当する部位の下面に固定されるカーテンボックスと、を有していることを特徴とする建物。
【請求項8】
建物本体の外周に設けられて屋内側の部屋に隣接して配置された外壁を備えており、
前記外壁には、屋内と屋外とを連通する窓開口部が形成されるとともに、前記外壁を構成する壁体の屋外側面に、前記窓開口部を避けて付加断熱パネルが設けられることで付加断熱構造部が形成され、
前記外壁には、屋外側に位置して前記窓開口部を閉塞するサッシ障子を有する窓サッシと、前記窓サッシよりも屋内側に位置する窓枠と、が前記窓開口部の縁部に沿って設けられ、
前記サッシ障子は、前記壁体の屋外側面に設けられた前記付加断熱パネルよりも屋内側に配置されていることを特徴とする建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物における断熱性能を向上させる目的で設けられる付加断熱構造の一例として、特許文献1に記載のものが知られている。
特許文献1に記載の付加断熱構造においては、複数のふかし材が、外壁を構成する壁体の構造材に沿って配置されるとともに壁体における屋外側の表面に固定されている。すなわち、ふかし材は、壁体の表面から突出した状態に設けられている。そして、付加断熱パネルが、ふかし材に当接した状態で壁体の表面に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、付加断熱構造は、壁体の表面に付加断熱パネルが設けられているため、外壁は、少なくとも、ふかし材の突出寸法分又は付加断熱パネルの厚み分以上、屋外側に厚みを増した状態となる。このように外壁の厚みが増すと、外壁の断熱性能が向上し、建物の断熱性を向上させることができる、という利点がある。
さらに、付加断熱構造が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用し、外壁に、付帯機能を持たせて建物の付加価値を高めたいという要望がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、建物の断熱性の向上を図りつつ、外壁に対して付帯機能を持たせて建物の付加価値を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、建物であって、例えば
図2~
図4に示すように、建物本体の外周に設けられて屋内側の部屋に隣接して配置された外壁を備えており、
前記外壁には、屋内と屋外とを連通する窓開口部が形成されるとともに、前記外壁を構成する壁体P2の屋外側面に、前記窓開口部を避けて付加断熱パネル10が設けられることで付加断熱構造部が形成され、
前記外壁には、屋内側に位置して前記壁体P2に固定される窓枠16と、前記窓枠16よりも屋外側に位置する窓サッシ15と、が前記窓開口部の縁部に沿って設けられ、
前記窓枠16は、前記壁体P2のうち、前記窓開口部の側縁部に相当する部位に固定される側枠16cと、前記窓開口部の下縁部に相当する部位の上面に固定され、前記側枠16cよりも屋内側に突出する窓カウンター用の板材20,21,22と、を有していることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、外壁には、付加断熱パネル10が設けられることで付加断熱構造部が形成されているので、外壁の断熱性能が向上し、結果的に、建物の断熱性の向上を図ることができる。その上で、窓カウンター用の板材20,21,22が、壁体P2のうち、窓開口部の下縁部に相当する部位の上面に固定されているので、窓カウンター用の板材20,21,22における設置安定性を向上させることができる。そして、このような窓カウンター用の板材20,21,22は、窓枠16の側枠16cよりも屋内側に突出しているので、窓カウンター用の板材20,21,22の上面を、一時的に物を置いて収納する収納台や、勉強や仕事、テレワーク等に使用できる机などとして機能させることができる。すなわち、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用して窓カウンター用の板材20,21,22を設けることができるので、これにより、外壁に、収納台や机としての付帯機能を持たせることができ、建物の付加価値を高めることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば
図3,
図4に示すように、請求項1に記載の建物において、
前記窓カウンター用の板材21,22は、前記壁体P2のうち前記窓開口部の下縁部に相当する部位の上面に固定された第一カウンター板21a,22aと、前記第一カウンター板21a,22aに連結された第二カウンター板21b,22bと、を有し、
前記第二カウンター板21b,22bは、前記第一カウンター板21a,22aの上面に重ねられた状態から、前記第一カウンター板21a,22aの突出方向に並んだ状態に移動可能となっていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、第二カウンター板21b,22bは、第一カウンター板21a,22aの上面に重ねられた状態から、第一カウンター板21a,22aの突出方向に並んだ状態に移動可能となっているので、窓カウンター用の板材21,22の使用時には、第二カウンター板21b,22bを、第一カウンター板21a,22aの突出方向に並んだ状態に移動させて室内側に大きく突出させることができる。一方、不使用時には、第二カウンター板21b,22bを、第一カウンター板21a,22aの上面に重ねて収納できるので邪魔にならない。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば
図12に示すように、請求項1に記載の建物において、
前記窓カウンター用の板材20に付属する収納棚30を更に備え、
前記収納棚30は、前記窓カウンター用の板材20の下面と、前記外壁の屋内側面の双方に固定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、窓カウンター用の板材20に付属する収納棚30を更に備えているので、外壁に、収納スペースの拡張という追加機能を付与することができる。また、この収納棚30は、窓カウンター用の板材20の下面と、外壁の屋内側面の双方に固定されているので、窓カウンター用の板材20を下方から安定的に支持できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、建物であって、例えば
図5に示すように、建物本体の外周に設けられて屋内側の部屋に隣接して配置された外壁を備えており、
前記外壁には、屋内と屋外とを連通する窓開口部が形成されるとともに、前記外壁を構成する壁体P2の屋外側面に、前記窓開口部を避けて付加断熱パネル10が設けられることで付加断熱構造部が形成され、
前記外壁には、屋内側に位置して前記壁体P2に固定される窓枠16と、前記窓枠16よりも屋外側に位置する窓サッシ15と、が前記窓開口部の縁部に沿って設けられ、
前記窓枠16は、前記壁体P2のうち、前記窓開口部の側縁部に相当する部位に固定される側枠16cと、前記窓開口部の下縁部に相当する部位の上面に固定され、前記側枠16cよりも屋内側に突出するベンチ用の板材23と、を有していることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、外壁には、付加断熱パネル10が設けられることで付加断熱構造部が形成されているので、外壁の断熱性能が向上し、結果的に、建物の断熱性の向上を図ることができる。その上で、ベンチ用の板材23が、壁体P2のうち、窓開口部の下縁部に相当する部位の上面に固定されているので、ベンチ用の板材23における設置安定性を向上させることができる。そして、このようなベンチ用の板材23は、窓枠16の側枠16cよりも屋内側に突出しているので、ベンチ用の板材23の上面を、一時的に物を置いて収納する収納台やベンチとして機能させることができる。すなわち、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用してベンチ用の板材23を設けることができるので、これにより、外壁に、収納台やベンチとしての付帯機能を持たせることができ、建物の付加価値を高めることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、建物であって、例えば
図6,
図7,
図10に示すように、建物本体の外周に設けられて屋内側の部屋に隣接して配置された外壁を備えており、
前記外壁には、屋内と屋外とを連通する窓開口部が形成されるとともに、前記外壁を構成する壁体P2の屋外側面又は/及び屋内側面に、前記窓開口部を避けて付加断熱パネル10が設けられることで付加断熱構造部が形成され、
前記外壁には、屋内側に位置する窓枠16と、前記窓枠16よりも屋外側に位置する窓サッシ15と、が前記窓開口部の縁部に沿って設けられ、
前記外壁は、前記窓枠16に隣接して設けられ、室内の温度調節を行う温度調節手段を有していることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、外壁には、付加断熱パネル10が設けられることで付加断熱構造部が形成されているので、外壁の断熱性能が向上し、結果的に、建物の断熱性の向上を図ることができる。その上で、室内の温度調節を行う温度調節手段が、窓枠16に隣接して設けられているので、外気温の影響を受けやすい窓開口部付近における室内の温度調節を行い、室内の居住快適性を向上させることができる。すなわち、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用して温度調節手段を設けることができるので、これにより、外壁に、室内の温度調節手段としての付帯機能を持たせることができ、建物の付加価値を高めることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、建物であって、例えば
図8に示すように、建物本体の外周に設けられて屋内側の部屋に隣接して配置された外壁を備えており、
前記外壁には、屋内と屋外とを連通する窓開口部が形成されるとともに、前記外壁を構成する壁体P2の屋外側面又は/及び屋内側面に、前記窓開口部を避けて付加断熱パネル10が設けられることで付加断熱構造部が形成され、
前記外壁には、屋内側に位置する窓枠16と、前記窓枠16よりも屋外側に位置する窓サッシ15と、が前記窓開口部の縁部に沿って設けられ、
前記外壁は、前記窓枠16の直下に位置して前記窓枠16の下枠16aが固定される横架材26aを備え、前記横架材26aの下方は、室内側に開口する凹部26とされていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、外壁には、付加断熱パネル10が設けられることで付加断熱構造部が形成されているので、外壁の断熱性能が向上し、結果的に、建物の断熱性の向上を図ることができる。その上で、外壁は、窓枠16の直下に位置して窓枠16の下枠16aが固定される横架材26aを備えるので、窓枠16の下枠16aを横架材26aによって支持することができる。そして、横架材26aの下方は、室内側に開口する凹部26とされているので、凹部26を収納空間として使用したり、部屋の容積を凹部26の分だけ広く確保したりすることができる。すなわち、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用して凹部26を形成することができるので、これにより、外壁に、部屋の空間を拡張する空間拡張手段としての付帯機能を持たせることができ、建物の付加価値を高めることができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、建物であって、例えば
図9に示すように、建物本体の外周に設けられて屋内側の部屋に隣接して配置された外壁を備えており、
前記外壁には、屋内と屋外とを連通する窓開口部が形成されるとともに、前記外壁を構成する壁体P2の屋外側面又は/及び屋内側面に、前記窓開口部を避けて付加断熱パネル10が設けられることで付加断熱構造部が形成され、
前記外壁には、屋内側に位置する窓枠16と、前記窓枠16よりも屋外側に位置する窓サッシ15と、が前記窓開口部の縁部に沿って設けられ、
前記窓枠16は、前記壁体P2又は前記付加断熱パネル10のうち、前記窓開口部の側縁部に相当する部位に固定される側枠16cと、前記窓開口部の上縁部に相当する部位の下面に固定されるカーテンボックス27と、を有していることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、外壁には、付加断熱パネル10が設けられることで付加断熱構造部が形成されているので、外壁の断熱性能が向上し、結果的に、建物の断熱性の向上を図ることができる。その上で、外壁は、壁体P2又は付加断熱パネル10のうち、窓開口部の上縁部に相当する部位の下面に固定されるカーテンボックス27を有するので、カーテンが吊り下げられるカーテンレールと、カーテンの上端を遮蔽することができる。すなわち、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用してカーテンボックス27を設けることができるので、これにより、外壁に、カーテンレール収納手段としての付帯機能を持たせることができ、建物の付加価値を高めることができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、建物であって、例えば
図11に示すように、建物本体の外周に設けられて屋内側の部屋に隣接して配置された外壁を備えており、
前記外壁には、屋内と屋外とを連通する窓開口部が形成されるとともに、前記外壁を構成する壁体P2の屋外側面に、前記窓開口部を避けて付加断熱パネル10が設けられることで付加断熱構造部が形成され、
前記外壁には、屋外側に位置して前記窓開口部を閉塞するサッシ障子17dを有する窓サッシ17と、前記窓サッシ17よりも屋内側に位置する窓枠18と、が前記窓開口部の縁部に沿って設けられ、
前記サッシ障子17dは、前記壁体P2の屋外側面に設けられた前記付加断熱パネル10よりも屋内側に配置されていることを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、外壁には、付加断熱パネル10が設けられることで付加断熱構造部が形成されているので、外壁の断熱性能が向上し、結果的に、建物の断熱性の向上を図ることができる。その上で、外壁には、屋外側に位置して窓開口部を閉塞するサッシ障子17dを有する窓サッシ17と、窓サッシ17よりも屋内側に位置する窓枠18と、が窓開口部の縁部に沿って設けられ、サッシ障子17dは、壁体P2の屋外側面に設けられた付加断熱パネル10よりも屋内側に配置されているので、サッシ障子17dを、付加断熱構造部よりも屋内側にセットバックさせて配置でき、陰影のあるファサードを形成できて建物の意匠性を高めることができる。すなわち、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用して窓サッシ17のサッシ障子17dを、付加断熱構造部よりも屋内側の奥まった位置に設けることができるので、これにより、外壁に、建物の外観強調手段としての付帯機能を持たせることができ、建物の付加価値を高めることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、建物の断熱性の向上を図りつつ、外壁に対して付帯機能を持たせて建物の付加価値を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】建築用木質パネルの構造を示す斜視図である。
【
図2】窓カウンターが設けられた外壁を示す断面図である。
【
図3】スライド式の窓カウンターが設けられた外壁を示す断面図である。
【
図4】折りたたみ式の窓カウンターが設けられた外壁を示す断面図である。
【
図5】ベンチが設けられた外壁を示す断面図である。
【
図6】ヒーターが内蔵された外壁を示す断面図である。
【
図7】蓄熱材が内蔵された外壁を示す断面図である。
【
図9】カーテンレールが設けられた外壁を示す断面図である。
【
図10】送風機が設けられた外壁を示す断面図である。
【
図11】窓サッシがセットバックした状態の外壁を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。なお、以下の実施形態及び図示例における方向は、あくまでも説明の便宜上設定したものである。
【0025】
本実施形態の建物は、壁や床、屋根といった建物の構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てて構築するパネル工法で構築されるが、従来の軸組工法や壁式工法の木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の建物にも適用することができる。
【0026】
また、このパネル(以下、建築用木質パネル)とは、
図1に例示されるように、縦横の框材Fmが矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助桟材Cpが縦横に組み付けられて枠体Fが構成され、この枠体Fの両面もしくは片面に、合板等の面材Bdが貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。さらに、その内部中空な部分には、グラスウールやロックウール等の断熱材(以下、繊維系断熱材In1)、発泡プラスチック断熱材が適宜選択されて装填される。
【0027】
本実施形態においては、
図2~
図11に示すように、建築用木質パネルとして、建物の床を構成する床パネルP1と、建物の壁を構成する壁パネルP2が用いられる。
床パネルP1は、枠体Fの上面にのみ面材Bdが設けられている。そして、基礎1の上面に、床下換気を可能とする換気台輪2を介在させた状態で設置される。
壁パネルP2は、枠体Fの両面に面材Bdが設けられている。また、壁パネルP2は、床パネルP1の上面に載せられて設置される。壁パネルP2が、屋外側に位置する外壁の場合は、半土台3の上面及び床パネルP1における屋外側端部の上面に跨って設けられる。
【0028】
基礎1は、本実施形態においては布基礎とされているが、これに限られるものではなく、べた基礎でもよい。基礎1の立ち上がり部は地面よりも上方に突出しており、立ち上がり部の上面に、換気台輪2が設けられている。
また、基礎1は、図示はしないが、上面から上方に突出するアンカーボルトを有する。アンカーボルトは、基礎1上に設けられた換気台輪2、半土台3、床パネルP1、及び壁パネルP2における下端部の框材Fmを貫通した状態になっている。そして、アンカーボルトの先端には座金やナットが設けられ、このナットが締め付けられることにより、基礎1から、換気台輪2、半土台3及び床パネルP1を経て、壁パネルP2までが一体化する構成となっている。
【0029】
以上のような基本構造を有する建物の外壁のうち、断熱性の向上を図りたい外壁には、付加断熱構造部が形成されている。特に、屋内側に部屋が形成された建物本体の外周に設けられて、屋内側の部屋に隣接して配置された外壁に、付加断熱構造部が形成される。例えば、カーポートにのみ隣接して屋内の部屋には隣接しない外壁などには付加断熱構造部が形成されなくてもよい。
【0030】
建物の外壁について、より詳細に説明すると、この外壁は、屋外側に位置する壁パネルP2を主として構成されている。また、外壁には、壁パネルP2の直下に位置し、かつ、壁パネルP2と床パネルP1との取り合い部に位置する半土台3が含まれてもよい。さらに、図示はしないが、壁パネルP2の直上に位置する上部構造(例えば梁、上階の床パネルP1及び半胴差、他の壁パネルP2、調整材など)が含まれてもよい。本実施形態において建物の外壁は、屋外側に位置する壁パネルP2と、その直下に位置する半土台3と、を含んで構成されている。
さらに、建物の外壁は、屋外側に付加断熱構造部が形成されるか否かにかかわらず、外装材6によって被覆されている。なお、建物の外壁の屋内側は、石膏ボード12及び内装仕上げ材(図示省略)によって被覆されている。
【0031】
本実施形態において、付加断熱構造部は、外壁の屋外側面に形成されている。
より詳細に説明すると、外壁を構成する壁パネルP2の屋外側面に、付加断熱パネル10が付加されて、付加断熱構造部が形成されている。
付加断熱パネル10は、発泡プラスチック断熱材(発泡系断熱材)によって構成されていて、ふかし材11と共に、外壁の屋外側面に設けられている。また、付加断熱パネル10及びふかし材11の屋外側には、縦胴縁(図示省略)が設けられるとともに外装材6が設けられている。すなわち、本実施形態の付加断熱構造部は、付加断熱パネル10と、ふかし材11と、縦胴縁と、外装材6と、を少なくとも備えている。
【0032】
ふかし材11は、木材であることが好ましく、本実施形態においては、例えば角材によって構成されている。形状は、角材に限られるものではなく、板材であってもよい。
また、ふかし材11は、外壁を構成する半土台3や壁パネルP2における框材Fm又は/及び補助桟材Cpに沿って配置されている。そして、ふかし材11は、最小限の数のビス等の固定材によって、半土台3及び壁パネルP2における框材Fm又は/及び補助桟材Cpに固定されている。固定材は、半土台3や框材Fm、補助桟材Cpを狙って設けられているものとする。また、ふかし材11は、面材Bdに対して接着剤により接着されてもよい。
【0033】
このようなふかし材11は、半土台3に沿って、かつ水平方向(横方向)に配置される横ふかし材11aと、壁パネルP2に沿って、かつ垂直方向(縦方向)に配置される縦ふかし材11bと、を有する。
縦ふかし材11bは、その下端面が、横ふかし材11aの上面に接した状態となっている。
なお、外壁に、壁パネルP2の直上に位置する上部構造が含まれる場合、その上部構造の表面にも横ふかし材11aが固定されてよい。その場合、縦ふかし材11bの上端面が、上側の横ふかし材11aの下面に接した状態となる。
また、縦ふかし材11bは、一本の横ふかし材11aに対して複数本が用いられるものとする。これにより、外壁の表面には、横ふかし材11aと縦ふかし材11bからなる凹型又はロ字型の枠組みが形成されることとなる。
【0034】
付加断熱パネル10は、横ふかし材11a及び縦ふかし材11bからなる枠組みの内側に収まるようにして、外壁の表面に設けられている。すなわち、付加断熱パネル10は、横ふかし材11aの上面、縦ふかし材11bの側面及び壁パネルP2の表面に接した状態となっている。
また、付加断熱パネル10は、ふかし材11に固定された複数の押さえ材(図示省略)によって壁パネルP2の表面に押さえ付けられて保持されている。複数の押さえ材に代えて接着剤を用い、付加断熱パネル10を壁パネルP2の表面やふかし材11に接着してもよい。
なお、付加断熱パネル10は、ふかし材11に対して予め固定されて、一つのパネルとして取り扱えるようにしてもよい。これにより、輸送時や施工時の効率を良くすることができる。
また、付加断熱パネル10の屋外側面に合板等の面材を予め貼り付けて一体化し、一つのパネルとして取り扱えるようにしてもよい。
【0035】
ふかし材11及び押さえ材の表面には、防水透湿シート(図示省略)が貼られ、その上から複数の縦胴縁が設けられている。そして、これら複数の縦胴縁に外装材6が取り付けられている。これにより、ふかし材11及び付加断熱パネル10の表面と、外装材6の裏面との間には、縦胴縁の厚み分の隙間が形成されることとなる。
なお、横ふかし材11aの表面には水切り材7が設けられている。
【0036】
また、外壁には、窓開口部が形成されており、付加断熱構造部は、窓開口部周りにも形成されている。
外壁のうち窓開口部側の端縁部には、角材によって構成された調整材8が取り付けられている。そして、この調整材8に対し、ふかし材11、窓サッシ15(後述する第二窓サッシ17に対して第一窓サッシ15としてもよい。)及び窓枠16が固定材によって固定されている。
【0037】
窓開口部の上下には、横ふかし材11aが、窓サッシ15に接した状態で設けられている。また、図示はしないが、窓開口部の側方には、縦ふかし材11bが、窓サッシ15に接した状態で設けられている。窓サッシ15は、調整材8だけでなく、縦横のふかし材11a,11bにも固定されているものとする。
なお、窓サッシ15のサッシ障子15dは、上下の横ふかし材11a間であって、かつ左右の縦ふかし材11b間に配置されている。
【0038】
そして、窓開口部周囲の各ふかし材11には、当該各ふかし材11a,11bに接した状態で、付加断熱パネル10が設けられている。これにより、外壁に窓や出入口等の開口部があっても、それを避けて付加断熱パネル10を配置でき、壁一面に付加断熱構造部を形成できる。
なお、窓サッシ15(後述するサッシ障子15d)には、複層ガラスを採用して窓の断熱性を向上させることが望ましい。
【0039】
窓サッシ15は、サッシ下枠15a、サッシ上枠15b、サッシ側枠15c、サッシ障子15dと、を備えている。
サッシ下枠15a及びサッシ上枠15bは、サッシ障子15dの上下フレームに形成された溝(戸車)に嵌まるレールが一体形成されている。これらサッシ下枠15a及びサッシ上枠15bの両端部間にサッシ側枠15cが設けられて、第一窓サッシ15は枠状に形成されている。なお、サッシ障子15dの開閉方式は、引違い式とされている。
【0040】
窓枠16は、窓サッシ15の屋内側端部及び調整材8を被覆しており、複数の枠材(後述する下枠16a等、上枠、側枠16c)によって枠状に形成されている。
また、窓枠16は、窓サッシ15よりも屋内側に配置されており、部屋の中に位置している。より詳細に説明すると、窓サッシ15は、サッシ障子15dが、付加断熱パネル10の延長線上に位置するように配置されており、窓枠16は、窓サッシ15のサッシ障子15dよりも屋内側に配置されている。換言すれば、窓サッシ15は、サッシ障子15dが、壁パネルP2よりも屋外側に配置されており、窓枠16は、窓サッシ15のサッシ障子15dよりも屋内側に配置されている。
さらに、窓枠16は、屋内側から屋外側にかけての方向に沿う寸法(奥行寸法)が、壁パネルP2の厚さ寸法と同等か、それ以上の長さに設定されている。換言すれば、窓枠16を構成する各枠材における長さ方向と直交する幅方向の寸法を、壁パネルP2の壁厚よりも長く確保することができる。
【0041】
なお、本実施形態においては、窓サッシ15の屋内側に位置する構成として窓枠16が採用されているが、これに代えて、窓台が採用されてもよい。
窓台は、図示はしないが、以下に説明する窓枠16の下側部分(下枠16a)のみの構成と略同様とされており、窓枠16の上側部分や側方部分は、外壁の屋内側面と同様に、石膏ボード12及び内装仕上げ材によって構成される。
【0042】
また、本実施形態においては、付加断熱構造部は、外壁の屋外側面に形成されているものとしたが、これに限られるものではなく、外壁の屋内側面に形成されるものとしてよいし、外壁の屋外側面と屋内側面の双方に形成されるものとしてもよい。
外壁の屋内側面に付加断熱構造部が形成される場合は、付加断熱パネルが壁パネルP2の屋内側面に設けられ、さらに、その付加断熱パネルの屋内側面に、下地枠を介して石膏ボード12及び内装仕上げ材が設けられる。
外壁の屋外側面と屋内側面の双方に付加断熱構造部が形成される場合は、付加断熱パネル10よりも厚さ寸法が半分程度に設定された付加断熱パネルが、壁パネルP2の屋外側面と屋内側面の双方に設けられる。屋外と屋外の仕上げは、屋外側面のみの場合と屋内側面のみの場合の仕上げが適用される。
【0043】
そして、以上のような窓枠16自体もしくは窓枠16の周囲には、付帯機能が追加されている。以下、この付帯機能について、複数の実施例を挙げて説明する。なお、以下の実施例において、共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
また、以下の実施例において、付帯機能が追加されることによって外壁に、部分的に断熱性能が低下する箇所が生じる場合があるが、建物全体のUA値が基準をクリアしていればよい。
UA値とは、外皮平均熱貫流率であり、建物の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値を指している。つまり、UA値とは、熱損失の合計を建物の外皮等面積で除した値で、値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことを示している。
したがって、一つの外壁における一部に断熱性能が低い箇所があっても、建物におけるその他の壁等によって熱損失を抑えることができれば、UA値の基準をクリアすることができる。なお、UA値の基準は、建物が建築される地域によって異なる。
【0044】
(実施例1)
本実施例の窓枠16は、
図2に示すように、窓枠16の下枠に相当する窓カウンター20を備えている。さらに、窓枠16は、上枠(図示省略)と、側枠16cと、を備えている。そして、窓カウンター20及び上枠の両端部間に側枠16cが設けられて、窓枠16は枠状に形成されている。
【0045】
本実施例の窓カウンター20は、板材であり、上枠や側枠16cよりも奥行寸法が長く設定され、室内側に大きく突出している。これにより、窓カウンター20の上面は、物を置いて収納する収納台としての機能や、机としての機能を有する。
すなわち、窓カウンター20は、その奥行寸法が例えば上枠や側枠16cと等しく設定されている場合よりも室内側への突出寸法が長く、上面の面積が広く確保されている。そのため、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用して窓カウンター20を設けることにより、外壁に、収納台や机としての付帯機能を持たせることができるようになっている。しかも、窓カウンター20は、外壁に対して一体形成された状態となっているため、安定性に優れる。
【0046】
なお、図示はしないが、床上に、窓カウンター20の突出方向先端部を支持する支持脚を設置して、窓カウンター20の安定性をより一層向上させるようにしてもよい。
【0047】
(実施例2)
本実施例の窓枠16は、
図3に示すように、窓枠16の下枠に相当するスライド式の窓カウンター21を備えている。さらに、窓枠16は、上枠と、側枠16cと、を備えている。そして、スライド式の窓カウンター21及び上枠の両端部間に側枠16cが設けられて、窓枠16は枠状に形成されている。
【0048】
窓カウンター21は、第一カウンター板21aと、第二カウンター板21bと、スライド部材(図示省略)と、を備えている。
【0049】
第一カウンター板21aは、壁パネルP2のうち窓開口部の下縁部に相当する部位の上面に固定されている。この第一カウンター板21aは、上枠や側枠16cよりも奥行寸法が長く設定され、室内側に若干突出しているが、上枠や側枠16cと同等の奥行寸法に設定されてもよい。
【0050】
第二カウンター板21bは、スライド部材を介して第一カウンター板21aに連結されている。この第二カウンター板21bは、奥行寸法が、第一カウンター板21aと略等しく設定されている。そして、スライド前の状態においては、第一カウンター板21aの上に重ねられて配置され、スライド後の状態においては、第一カウンター板21aの突出方向に並んだ状態に配置される。
【0051】
スライド部材は、第二カウンター板21bを、第一カウンター板21aに対してスライド自在に連結するための部材であり、スライドレールと、スライダーと、を有している。
本実施例においては、スライドレールが第二カウンター板21bの下面に設けられ、スライダーが第一カウンター板21aの突出方向先端部に回転自在に取り付けられている。
【0052】
窓カウンター21をスライド移動させる場合は、第二カウンター板21bが第一カウンター板21aの上に重ねられた状態から、第二カウンター板21bを室内側に引っ張り出し、第一カウンター板21aの先端部まで移動させる。その状態から第二カウンター板21bを更に引っ張り出そうとすると、第一カウンター板21aの突出方向先端部に取り付けられたスライダーが下方に回転するので、第二カウンター板21bを一段下げて、第一カウンター板21aの突出方向に並んだ状態に配置できるようになっている。
元の状態に戻す場合は、手順を逆にして行う。
第二カウンター板21bにおける屋外側端部の下面側は丸みを帯びて形成され、スライド移動させやすくなっている。
【0053】
なお、本実施例においては、スライドレールが第二カウンター板21bの下面に設けられ、スライダーが第一カウンター板21aの突出方向先端部に回転自在に取り付けられるものとしたが、スライドレールが第一カウンター板21aの上面に設けられ、スライダーが第二カウンター板21bの突出方向とは反対側の端部に回転自在に取り付けられてもよい。
【0054】
本実施例の窓カウンター21は、使用時にはスライド移動させて広く使うことができるので利便性が高く、不使用時には元の位置に戻して収納できるので邪魔にならない。そして、使用時には、上枠や側枠16cよりも奥行寸法が長く設定され、室内側に大きく突出している。これにより、窓カウンター21の上面は、一時的に物を置いて収納する収納台としての機能や、机としての機能を有する。すなわち、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用して窓カウンター21を設けることにより、外壁に、収納台や机としての付帯機能を持たせることができるようになっている。
【0055】
なお、外壁の屋内側面には、受け金具21dが設けられている。受け金具21dの基端部は、外壁の屋内側面に回転自在に取り付けられ、先端部は、第二カウンター板21bの下面にある受け部に当接するようになっている。この受け金具21dによって第二カウンター板21bを安定的に支持することができる。
また、受け金具21dに代えて、第二カウンター板21bを支持する支持脚を採用してもよい。その場合、支持脚は着脱式とされ、窓カウンター21をスライドさせて伸展した時のみ第二カウンター板21bの下面に取り付けられる。
【0056】
(実施例3)
本実施例の窓枠16は、
図4に示すように、窓枠16の下枠に相当する折りたたみ式の窓カウンター22を備えている。さらに、窓枠16は、上枠と、側枠16cと、を備えている。そして、折りたたみ式の窓カウンター22及び上枠の両端部間に側枠16cが設けられて、窓枠16は枠状に形成されている。
【0057】
窓カウンター22は、第一カウンター板22aと、第二カウンター板22bと、連結部22cと、を備えている。
【0058】
第一カウンター板22aは、壁パネルP2のうち窓開口部の下縁部に相当する部位の上面に固定されている。この第一カウンター板22aは、上枠や側枠16cよりも奥行寸法が長く設定され、室内側に若干突出しているが、上枠や側枠16cと同等の奥行寸法に設定されてもよい。
【0059】
第二カウンター板22bは、連結部22cを介して第一カウンター板22aに連結されている。この第二カウンター板22bは、奥行寸法が、第一カウンター板22aと略等しく設定されている。そして、折りたたみ状態においては、第一カウンター板22aの上に重ねられて配置され、展開後の状態においては、第一カウンター板22aの突出方向に並んだ状態に配置される。
【0060】
連結部22cは、第二カウンター板22bを、第一カウンター板22aに対して回転自在に連結するための部材であり、連結部本体と、第一回転軸と、第二回転軸と、を有している。
本実施例においては、第一カウンター板22aの突出方向先端部と、連結部本体の一端部とが、第一回転軸によって回転自在に連結されている。また、第二カウンター板22bの連結部22c側の端部と、連結部本体の他端部とが、第二回転軸によって回転自在に連結されている。
【0061】
窓カウンター22を展開させる場合は、第二カウンター板22bが第一カウンター板22aの上に重ねられた状態から、第二カウンター板22bを上方に引っ張り上げて回転させる。そのまま更に回転させて、第二カウンター板22bを、第一カウンター板22aの突出方向に並んだ状態となるまで回転させる。
元の状態に戻す場合は、手順を逆にして行う。
第一カウンター板22aにおける突出方向先端部の上面側は丸みを帯びた状態に形成され、第二カウンター板22bにおける連結部22c側の端部の下面側(展開時の上面側)も丸みを帯びた状態に形成されている。これにより、第二カウンター板22bを回転移動させやすくなる。
また、第一カウンター板22aにおける突出方向先端部の下面側は直角に形成され、第二カウンター板22bにおける連結部22c側の端部の上面側(展開時の下面側)も直角に形成されている。これにより、窓カウンター22を展開させたときに、第二カウンター板22bが、水平状態よりも下方に回転することを防ぐことができる。
【0062】
なお、本実施例においては、第二カウンター板22bを、第一カウンター板22aに対して回転自在に連結するための部材として連結部22cが用いられているが、これに代えて、ヒンジ部材が採用されてもよい。
【0063】
本実施例の窓カウンター22は、使用時には展開させて広く使うことができるので利便性が高く、不使用時には元の位置に戻して収納できるので邪魔にならない。そして、使用時には、上枠や側枠16cよりも奥行寸法が長く設定され、室内側に大きく突出している。これにより、窓カウンター22の上面は、一時的に物を置いて収納する収納台としての機能や、机としての機能を有する。すなわち、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用して窓カウンター22を設けることにより、外壁に、収納台や机としての付帯機能を持たせることができるようになっている。
【0064】
なお、外壁の屋内側面には、上記の受け金具21dと同様の機能を有する受け金具22dが設けられている。また、受け金具22dに代えて、第二カウンター板22bを支持する支持脚を採用してもよい。
【0065】
(実施例4)
本実施例の窓枠16は、
図5に示すように、窓枠16の下枠に相当するベンチ座板23を備えている。さらに、窓枠16は、上枠と、側枠16cと、を備えている。そして、ベンチ座板23及び上枠の両端部間に側枠16cが設けられて、窓枠16は枠状に形成されている。
【0066】
ベンチ座板23は、人が着座するための板材であり、平均的な身長の成人が腰掛けたときに無理のない姿勢で座ることが可能な高さに設定されている。換言すれば、壁パネルP2のうち窓開口部の下縁部に相当する部位の高さが、いわゆる腰高窓の場合よりも低く設定されており、そのような壁パネルP2の部位の上面にベンチ座板23が固定されて設けられている。
なお、いわゆる腰高窓の場合、壁パネルP2のうち窓開口部の下縁部に相当する部位の高さは、平均的な身長の成人だと容易に跨ぐことができない高さに設定される。一方、本実施例の窓開口部は、腰高窓よりも下縁部が低く、平均的な身長の成人であれば容易に跨ぐことが可能な高さに設定されている。また、本実施例の窓開口部は、人の通行を想定した開口高さに設定されているものとする。
【0067】
ベンチ座板23は、上枠や側枠16cよりも奥行寸法が長く設定され、室内側に大きく突出している。これにより、ベンチ座板23の上面は、人の臀部や大腿部を支持する機能を有する。また、ベンチ座板23は、物を置いて収納する収納台としての機能も有するものとする。
すなわち、ベンチ座板23は、その奥行寸法が例えば上枠や側枠16cと等しく設定されている場合よりも室内側への突出寸法が長く、上面の面積が広く確保されている。そのため、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用してベンチ座板23を設けることにより、外壁に、ベンチや収納台としての付帯機能を持たせることができるようになっている。しかも、ベンチ座板23は、外壁に対して一体形成された状態となっているため、安定性に優れる。
【0068】
なお、ベンチ座板23は、床上に立設された支持脚によって突出方向先端部が支持されている。これにより、ベンチ座板23の安定性がより一層向上するので、人が快適に座ることができる。
【0069】
(実施例5)
本実施例の窓枠16は、
図6に示すように、下枠16aと、上枠と、側枠16cと、を備えている。そして、下枠16aと上枠の両端部間に側枠16cが設けられて、窓枠16は枠状に形成されている。下枠16a、上枠、側枠16cの各枠は、奥行寸法が等しく設定されている。
そして、外壁は、窓枠16における下枠16aの直下に形成された収納空間S1を有しており、その収納空間S1に、ヒーター24が設置されている。換言すれば、外壁の窓下に、ヒーター24が内蔵されている。また、このヒーター24は、窓枠16の下枠16aに隣接又は隣り合って配置されている。
【0070】
収納空間S1は、外壁を構成する壁パネルP2の上面と、壁パネルP2の屋外側面に設けられた付加断熱構造部の屋内側面と、窓枠16における下枠16aの下面と、に囲まれた位置に形成されている。
また、収納空間S1の幅方向両側には、図示はしないが、調整材又は壁パネルP2に隣接する他の壁パネルが設けられており、収納空間S1の側方を閉塞している。つまり、収納空間S1は、当該収納空間S1の側方を閉塞する側方閉塞部によって閉塞されている。
【0071】
さらに、収納空間S1の下面及び屋外側面は、例えば石膏ボードによって構成された被覆材24aによって被覆されている。これにより、ヒーター24の熱が、壁パネルP2側と付加断熱構造部側には伝わりにくくなっている。
【0072】
収納空間S1の室内側には開口部が形成されている。開口部は、カバー材24bによって閉塞できるようになっている。カバー材24bは、着脱自在の状態で開口部に嵌め込まれており、カバー材24bを取り外すと開口部を開放できる。ヒーター24は、開口部から出し入れしてメンテナンス作業を行うことができる。
【0073】
ヒーター24は、外壁の幅方向に沿って長尺に形成された窓下内蔵ヒーターである。ヒーター24の設置範囲は、窓サッシ15の幅寸法と同等に設定されている。これにより、冬場の冷気が窓サッシ15のサッシ障子15dを通じて屋内側に伝わるのを防ぐことができる。
すなわち、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用してヒーター24を設けることにより、外壁に、冬場における室内の温度調節手段としての付帯機能を持たせることができるようになっている。しかも、ヒーター24は、外壁に内蔵されて遮蔽されるため、屋外側からも屋内側からも遮蔽できて見栄えを良くすることができる。
【0074】
なお、図示はしないが、収納空間S1内には、ヒーター24の電源を取るためのコンセントが設けられているものとする。
【0075】
(実施例6)
本実施例の窓枠16は、
図7に示すように、下枠16aと、上枠と、側枠16cと、を備えている。そして、下枠16aと上枠の両端部間に側枠16cが設けられて、窓枠16は枠状に形成されている。下枠16a、上枠、側枠16cの各枠は、奥行寸法が等しく設定されている。
そして、外壁は、窓サッシ15におけるサッシ下枠15a及び窓枠16における下枠16aの直下に形成された収納空間S2を有しており、その収納空間S2に、蓄熱材25が設置されている。換言すれば、外壁の窓下に、蓄熱材25が内蔵されている。また、この蓄熱材25は、窓枠16の下枠16aに隣接又は隣り合って配置されている。
【0076】
収納空間S2は、外壁を構成する壁パネルP2の上面と、壁パネルP2の屋外側面に設けられた付加断熱構造部の上面と、窓サッシ15におけるサッシ下枠15aの下面と、窓枠16における下枠16aの下面と、に囲まれた位置に形成されている。
また、収納空間S2の幅方向両側には、図示はしないが、調整材又は壁パネルP2に隣接する他の壁パネルが設けられており、収納空間S2の側方を閉塞している。つまり、収納空間S2は、当該収納空間S2の側方を閉塞する側方閉塞部によって閉塞されている。
【0077】
収納空間S2の屋外側は外装材6によって覆われており、屋内側は石膏ボード12によって閉塞されている。ただし、これに限られるものではなく、収納空間S2の屋外側は、閉塞部材によって閉塞され、屋内側には開口部が形成されるとともにカバー材によって閉塞できるようになっていてもよい。
【0078】
蓄熱材25は、例えば潜熱蓄熱材とされており、冬場は日中のうちに蓄熱して夜間に放熱し、夏場は夜間のうちに蓄冷して日中に放熱する。これにより、室温を安定させることに貢献できるので、空調機等のランニングコストを低減することができる。
すなわち、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用して蓄熱材25を設けることにより、外壁に、室内の温度調節手段としての付帯機能を持たせることができるようになっている。しかも、蓄熱材25は、外壁に内蔵されて遮蔽されるため、屋外側からも屋内側からも遮蔽できて見栄えを良くすることができる。
【0079】
(実施例7)
本実施例の窓枠16は、
図8に示すように、下枠16aと、上枠と、側枠16cと、を備えている。そして、下枠16aと上枠の両端部間に側枠16cが設けられて、窓枠16は枠状に形成されている。下枠16a、上枠、側枠16cの各枠は、奥行寸法が等しく設定されている。
そして、外壁は、壁パネルP2に代えて、窓枠16の直下に位置する横架材26aを備えており、横架材26aの下方に、凹部26が形成されている。外壁の屋内側面は、この凹部26が形成されることで、室内側から見た場合に凹んだ状態に形成されている。
【0080】
横架材26aは、外壁の幅方向両側に位置する図示しない他の壁パネル間に架け渡されて、両端部が、これら他の壁パネルに固定されている。また、窓下の付加断熱構造部は、ふかし材11も付加断熱パネル10も、横架材26aの屋外側面に固定されている。
また、横架材26aの上面には、窓枠16の下枠16aが隣接して固定されている。
横架材26aの屋内側面と、下面と、凹部26の奥側面(ふかし材11又は/及び付加断熱パネル10の屋内側面)と、凹部26の側面(他の壁パネル側の面)は、石膏ボード12及び内装仕上げ材によって被覆されている。また、凹部26の下側面は、床パネルP1と同様の床仕上げ材(図示省略)によって被覆される。
【0081】
凹部26は、室内側から家具等の収納空間として使用したり、部屋の容積を凹部26の分だけ広く確保したりすることができる。
すなわち、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用して凹部26を形成することにより、外壁に、部屋の空間拡張手段としての付帯機能を持たせることができるようになっている。
なお、凹部26は、図示しないカバー材によって閉塞できるようになっていてもよい。
【0082】
(実施例8)
本実施例の窓枠16は、
図9に示すように、窓枠16の上枠に相当するカーテンボックス27を備えている。さらに、窓枠16は、下枠16aと、側枠16cと、を備えている。そして、下枠16a及びカーテンボックス27の両端部間に側枠16cが設けられて、窓枠16は枠状に形成されている。換言すれば、カーテンボックス27は、窓枠16の側枠16cに隣接している。
【0083】
カーテンボックス27は、窓開口部を蔽遮するカーテンを収納するためのものであり、ボックス天井部27aと、ボックス壁部27bと、を備えている。なお、ボックス天井部27aとボックス壁部27bは、一体的に形成されている。
【0084】
ボックス天井部27aは、壁パネルP2のうち窓開口部側の端縁部に取り付けられた調整材8に固定されている。ボックス天井部27aの下面には、カーテンレールが取り付けられる。
【0085】
ボックス壁部27bは、ボックス天井部27aの屋外側縁部に沿って一体形成された屋外側のボックス壁部27bと、ボックス天井部27aの屋内側縁部に沿って一体形成された屋内側のボックス壁部27bと、を有する。
【0086】
ふかし材11のうち、窓サッシ15の上方に位置する横ふかし材11aは、壁パネルP2のうち窓開口部の上方に位置する部位よりも下方に位置し、当該壁パネルP2の部位には固定されていないが、隣接する他の壁パネルの屋外側面には固定されている。
また、ふかし材11のうち、窓サッシ15の上方に位置する縦ふかし材11bは、壁パネルP2の屋外側面に固定されている。そのため、縦ふかし材11bに固定された横ふかし材11aの取り付け状態は安定的な状態となっている。
【0087】
窓サッシ15の上方に位置する横ふかし材11aと、壁パネルP2のうち窓開口部の上方に位置する部位との間には段差が形成されており、この段差部分に、カーテンボックス27が取り付けられている。
カーテンボックス27における屋内側のボックス壁部27bは、カーテンレールを遮蔽している。一方、屋外側のボックス壁部27bは、窓サッシ15のサッシ上枠15bと窓サッシ15上方に位置するふかし材11(横ふかし材11a)に接し、ふかし材11に対して固定されている。
【0088】
カーテンボックス27は、窓サッシ15の上方に位置する横ふかし材11aと、壁パネルP2のうち窓開口部の上方に位置する部位との間に形成された段差部分の空間を補填するようにして設けられ、壁パネルP2側と付加断熱構造部側に固定されている。
すなわち、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用してカーテンボックス27が設けられることにより、外壁に、カーテンレール収納手段としての付帯機能を持たせることができるようになっている。
【0089】
(実施例9)
本実施例の窓枠16は、
図10に示すように、窓枠16の上枠に相当する位置に設けられた送風機28を備えている。さらに、窓枠16は、下枠16aと、側枠16cと、を備えている。そして、送風機28は、下枠16aの両端部に隣接して設けられた左右の側枠16cにおける上端部間に設けられている。そのため、窓枠16は、送風機28を含んだ状態で枠状に形成されている。
なお、窓枠16は上枠を備えてもよく、その場合、送風機28は、上枠の下面に設けられるものとする。
【0090】
送風機28は、吹出口から吹き出す空気によって窓際の空気を室内側に送り、室内の空気を撹拌することで室内の温度調節を行うためのものであり、図示しない電源に接続されている。
【0091】
ふかし材11のうち、窓サッシ15の上方に位置する横ふかし材11aは、壁パネルP2のうち窓開口部の上方に位置する部位よりも下方に位置している。窓サッシ15の上方に位置する横ふかし材11aと、壁パネルP2のうち窓開口部の上方に位置する部位との間には段差が形成されており、この段差部分に、送風機28が配置されている。そして、送風機28の上面部は、壁パネルP2の調整材8に固定され、屋外側部は、横ふかし材11aに固定されている。
【0092】
送風機28は、窓サッシ15の上方に位置する横ふかし材11aと、壁パネルP2のうち窓開口部の上方に位置する部位との間に形成された段差部分の空間を補填するようにして設けられ、壁パネルP2側と付加断熱構造部側に固定されている。
すなわち、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用して送風機28が設けられることにより、外壁に、室内の温度調節手段としての付帯機能を持たせることができるようになっている。
【0093】
(実施例10)
窓開口部に設けられる窓サッシは、上記窓サッシ15(第一窓サッシ15)のように、サッシ障子15dが、壁パネルP2よりも屋外側に配置される形態に限られない。すなわち、
図11に示すように、サッシ障子17dが付加断熱パネル10よりも屋内側に配置される形態の第二窓サッシ17が設けられてもよい。
【0094】
第二窓サッシ17は、窓開口部の屋外側縁から屋内側縁まで奥行のある状態に形成されたものであり、サッシ下枠17a、サッシ上枠17b、サッシ側枠17c、サッシ障子17dと、を備えている。
サッシ下枠17a及びサッシ上枠17bは、サッシ障子17dの上下フレームに形成された溝(戸車)に嵌まるレールが一体形成されている。当該レールは、屋内側に寄せて配置されている。そして、サッシ下枠17a及びサッシ上枠17bの両端部間にサッシ側枠17cが設けられて、第二窓サッシ17は枠状に形成されている。なお、サッシ障子17dの開閉方式は、引違い式とされている。
【0095】
また、第二窓サッシ17における屋内側端部は、化粧枠18によって覆われて化粧されている。化粧枠18は、下枠18aと、上枠18bと、側枠18cと、を備えている。そして、下枠18a及び上枠18bの両端部間に側枠18cが設けられて、化粧枠18は枠状に形成されている。
【0096】
窓開口部の上下には、横ふかし材11aが、第二窓サッシ17に接した状態で設けられている。また、図示はしないが、窓開口部の側方には、縦ふかし材11bが、第二窓サッシ17に接した状態で設けられている。第二窓サッシ17は、調整材8だけでなく、縦横のふかし材11a,11bにも固定されているものとする。
【0097】
第二窓サッシ17のサッシ障子17dは、上下の調整材8間に配置されている。そのため、サッシ障子17dは、付加断熱パネル10よりも屋内側に奥まった位置に配置されることとなる。つまり、サッシ障子17dをセットバックさせて配置できるので、陰影のあるファサードを形成できて建物の意匠性を高めることができる。
すなわち、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用して第二窓サッシ17が、付加断熱構造部よりも屋内側の奥まった位置に設けられることにより、外壁に、外観強調手段としての付帯機能を持たせることができるようになっている。
【0098】
(実施例11)
本実施例は、
図12に示すように、部屋Rmを構成する複数の外壁に、上記の各実施例において説明した付帯機能や、その他の付帯機能を持たせた状態を示している。つまり、部屋Rmを構成する複数の外壁に様々な付帯機能が追加されている。
【0099】
部屋Rmは、床100と、四方の壁101,102,103と、天井104と、を備えている。四方の壁101,102,103のうち、正面の第一壁101と、その左側に位置する第二壁102が外壁とされ、右側の第三壁103は部屋Rmとその他の部屋とを仕切る間仕切壁とされている。
そして、外壁である第一壁101及び第二壁102の屋外側には、付加断熱構造部が形成されている。
【0100】
第一壁101には、いわゆる腰高窓(窓開口部)が形成されている。第一壁101のうち窓開口部側の端縁部には、角材によって構成された調整材8が取り付けられている。そして、この調整材8に対し、ふかし材11、窓サッシ15及び窓枠16が固定材によって固定されている。
【0101】
本実施例の窓枠16は、窓枠16の下枠に相当する窓カウンター20と、窓枠16の上枠に相当するカーテンボックス27を備えている。さらに、窓枠16は、側枠16cを備えている。そして、窓カウンター20及びカーテンボックス27の両端部間に側枠16cが設けられて、窓枠16は枠状に形成されている。
【0102】
窓カウンター20の下面には、収納棚30が取り付けられている。より詳細に説明すると、収納棚30は、窓カウンター20のうち第一壁101の屋内側面よりも室内側に突出した部分の下面と、第一壁101の屋内側面と、に固定されている。
また、収納棚30は、室内側に開放された状態となっている。ただし、これに限られるものではなく、開閉扉が設けられてもよい。
すなわち、第一壁101は、付加断熱構造部が形成されて壁厚が増したことを利用して窓カウンター20が設けられることにより、収納台や机としての付帯機能を持たせた状態となっている。その上で、窓カウンター20に、付属物である収納棚30が設けられている。これにより、第一壁101に、収納スペースの拡張という追加機能を持たせることができる。
【0103】
なお、第一壁101には、付加断熱構造部が形成されて壁厚が増したことを利用して換気扇31が埋め込み設置されている。
また、第一壁101には、付加断熱構造部が形成されて壁厚が増したことを利用してスイッチ類やドアホン、コントローラー、コンセント等の各種機器32が埋め込み設置されている。
【0104】
第二壁102には、凹部26が形成されている。図示例の凹部26は、窓開口部の下方に形成されるものではないが、窓枠16の直下に横架材26aを設け、この横架材26aの下方に、凹部26を形成するようにしてもよい。
なお、本実施例の凹部26は、下縁部の高さ位置が、床100よりも高い位置にある状態となっている。
【0105】
凹部26は、本実施例においては、壁面収納型のベッド33の収納空間として利用されている。そのため、凹部26の下縁部又は/及び側縁部には、ベッド33を回転移動させる機構を有し、凹部26とベッド33とを連結する連結金具が設けられている。
すなわち、第二壁102は、付加断熱構造部が形成されて壁厚が増したことを利用して凹部26を形成することにより、部屋Rmの空間拡張手段としての付帯機能を持たせた状態となっている。その上で、凹部26に、付属物であるベッド33が設けられて、凹部26に収納可能となっている。これにより、ベッド33を収納したときの部屋Rmのスペースを広く確保することができる。つまり、第二壁102に、追加機能を持たせることができる。
なお、ベッド33は、支持脚を有するものとする。
【0106】
本実施例の部屋Rmは、以上のような形態に限られるものではなく、上記の各実施例における他の付帯機能が適宜追加されてもよい。
【0107】
(効果の説明)
本実施形態によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、外壁には、付加断熱パネル10が設けられることで付加断熱構造部が形成されているので、外壁の断熱性能が向上し、結果的に、建物の断熱性の向上を図ることができる。その上で、窓カウンター用の板材20,21,22が、壁体P2のうち、窓開口部の下縁部に相当する部位の上面に固定されているので、窓カウンター用の板材20,21,22における設置安定性を向上させることができる。そして、このような窓カウンター用の板材20,21,22は、窓枠16の側枠16cよりも屋内側に突出しているので、窓カウンター用の板材20,21,22の上面を、一時的に物を置いて収納する収納台や、勉強や仕事、テレワーク等に使用できる机などとして機能させることができる。すなわち、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用して窓カウンター用の板材20,21,22を設けることができるので、これにより、外壁に、収納台や机としての付帯機能を持たせることができ、建物の付加価値を高めることができる。
【0108】
また、第二カウンター板21b,22bは、第一カウンター板21a,22aの上面に重ねられた状態から、第一カウンター板21a,22aの突出方向に並んだ状態に移動可能となっているので、窓カウンター用の板材21,22の使用時には、第二カウンター板21b,22bを、第一カウンター板21a,22aの突出方向に並んだ状態に移動させて室内側に大きく突出させることができる。一方、不使用時には、第二カウンター板21b,22bを、第一カウンター板21a,22aの上面に重ねて収納できるので邪魔にならない。
【0109】
また、窓カウンター用の板材20に付属する収納棚30を更に備えているので、外壁に、収納スペースの拡張という追加機能を付与することができる。また、この収納棚30は、窓カウンター用の板材20の下面と、外壁の屋内側面の双方に固定されているので、窓カウンター用の板材20を下方から安定的に支持できる。
【0110】
また、外壁には、付加断熱パネル10が設けられることで付加断熱構造部が形成されているので、外壁の断熱性能が向上し、結果的に、建物の断熱性の向上を図ることができる。その上で、ベンチ用の板材23が、壁体P2のうち、窓開口部の下縁部に相当する部位の上面に固定されているので、ベンチ用の板材23における設置安定性を向上させることができる。そして、このようなベンチ用の板材23は、窓枠16の側枠16cよりも屋内側に突出しているので、ベンチ用の板材23の上面を、一時的に物を置いて収納する収納台やベンチとして機能させることができる。すなわち、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用してベンチ用の板材23を設けることができるので、これにより、外壁に、収納台やベンチとしての付帯機能を持たせることができ、建物の付加価値を高めることができる。
【0111】
また、外壁には、付加断熱パネル10が設けられることで付加断熱構造部が形成されているので、外壁の断熱性能が向上し、結果的に、建物の断熱性の向上を図ることができる。その上で、室内の温度調節を行う温度調節手段が、窓枠16に隣接して設けられているので、外気温の影響を受けやすい窓開口部付近における室内の温度調節を行い、室内の居住快適性を向上させることができる。すなわち、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用して温度調節手段を設けることができるので、これにより、外壁に、室内の温度調節手段としての付帯機能を持たせることができ、建物の付加価値を高めることができる。
【0112】
また、外壁には、付加断熱パネル10が設けられることで付加断熱構造部が形成されているので、外壁の断熱性能が向上し、結果的に、建物の断熱性の向上を図ることができる。その上で、外壁は、窓枠16の直下に位置して窓枠16の下枠16aが固定される横架材26aを備えるので、窓枠16の下枠16aを横架材26aによって支持することができる。そして、横架材26aの下方は、室内側に開口する凹部26とされているので、凹部26を収納空間として使用したり、部屋の容積を凹部26の分だけ広く確保したりすることができる。すなわち、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用して凹部26を形成することができるので、これにより、外壁に、部屋の空間を拡張する空間拡張手段としての付帯機能を持たせることができ、建物の付加価値を高めることができる。
【0113】
また、外壁には、付加断熱パネル10が設けられることで付加断熱構造部が形成されているので、外壁の断熱性能が向上し、結果的に、建物の断熱性の向上を図ることができる。その上で、外壁は、壁体P2又は付加断熱パネル10のうち、窓開口部の上縁部に相当する部位の下面に固定されるカーテンボックス27を有するので、カーテンが吊り下げられるカーテンレールと、カーテンの上端を遮蔽することができる。すなわち、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用してカーテンボックス27を設けることができるので、これにより、外壁に、カーテンレール収納手段としての付帯機能を持たせることができ、建物の付加価値を高めることができる。
【0114】
また、外壁には、付加断熱パネル10が設けられることで付加断熱構造部が形成されているので、外壁の断熱性能が向上し、結果的に、建物の断熱性の向上を図ることができる。その上で、外壁には、屋外側に位置して窓開口部を閉塞するサッシ障子17dを有する窓サッシ17と、窓サッシ17よりも屋内側に位置する窓枠18と、が窓開口部の縁部に沿って設けられ、サッシ障子17dは、壁体P2の屋外側面に設けられた付加断熱パネル10よりも屋内側に配置されているので、サッシ障子17dを、付加断熱構造部よりも屋内側にセットバックさせて配置でき、陰影のあるファサードを形成できて建物の意匠性を高めることができる。すなわち、付加断熱構造部が形成されて外壁の壁厚が増したことを利用して窓サッシ17のサッシ障子17dを、付加断熱構造部よりも屋内側の奥まった位置に設けることができるので、これにより、外壁に、建物の外観強調手段としての付帯機能を持たせることができ、建物の付加価値を高めることができる。
【0115】
また、近年、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGs(Sustainable Development Goals)の目標達成が求められており、建築業界においても、建物を二酸化炭素排出量の少ない木造とする取り組みが進められている。本実施形態の建物は、建築用木質パネルによるパネル工法によって構築されているので、カーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGsの目標達成に貢献できる。
【符号の説明】
【0116】
10 付加断熱パネル
11 ふかし材
15 窓サッシ
15a サッシ下枠
15b サッシ上枠
15c サッシ側枠
15d サッシ障子
16 窓枠
16a 下枠
16c 側枠
17 第二窓サッシ
18 化粧枠
20 窓カウンター
21 窓カウンター
22 窓カウンター
23 ベンチ座板
24 ヒーター
25 蓄熱材
26 凹部
27 カーテンボックス
28 送風機