(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131941
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】耐火構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/94 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
E04B1/94 A
E04B1/94 L
E04B1/94 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042521
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅呂
(72)【発明者】
【氏名】杉田 敏之
(72)【発明者】
【氏名】高岡 知菜美
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 健一
(72)【発明者】
【氏名】寺原 英昭
(72)【発明者】
【氏名】西森 正樹
(72)【発明者】
【氏名】三津橋 歩
(72)【発明者】
【氏名】六車 典子
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001FA02
2E001FA03
2E001GA12
2E001HA03
2E001HC01
(57)【要約】
【課題】燃えしろ層となる木材を固定する際の施工性を向上させる。
【解決手段】建物の耐火構造であって、建物構造体10と、燃えしろ層を形成する燃えしろ材5と、を備え、燃えしろ材5は、建物構造体10の出隅部を被覆する平面視L字状のL型燃えしろ材51を少なくとも含む。また、燃えしろ材5の端部に、切欠部50を設けて、一方の燃えしろ材5の切欠部50と、当該一方の燃えしろ材5に隣接する他方の燃えしろ材5の切欠部50と、によって座彫り部11を形成することが可能である。また、燃えしろ材5を建物構造体10に固定するための固定材6を、切欠部50から建物構造体10を構成する芯材(框材A、補助桟材B、柱材、梁材、調整材3等)に向かって設けることが可能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の耐火構造であって、
建物構造体と、
燃えしろ層を形成する燃えしろ材と、を備え、
前記燃えしろ材は、前記建物構造体の出隅部を被覆する平面視L字状のL型燃えしろ材を少なくとも含むことを特徴とする耐火構造。
【請求項2】
請求項1に記載の耐火構造において、
前記燃えしろ材の端部には、切欠部が設けられており、
一方の前記燃えしろ材の前記切欠部と、当該一方の燃えしろ材に隣接する他方の前記燃えしろ材の前記切欠部と、によって座彫り部が形成されていることを特徴とする耐火構造。
【請求項3】
請求項2に記載の耐火構造において、
前記燃えしろ材を前記建物構造体に固定するための固定材が、前記切欠部から前記建物構造体を構成する芯材に向かって設けられていることを特徴とする耐火構造。
【請求項4】
請求項3に記載の耐火構造において、
前記L型燃えしろ材は、
前記出隅部を形成する一方の面に対向する第一対向部と、
当該出隅部を形成する他方の面に対向する第二対向部と、を備えており、
前記第二対向部のうち前記切欠部を除く部分の長さは、
前記第一対向部の前記切欠部から設けられる前記固定材の長さと、当該切欠部の厚さと、の差よりも長いことを特徴とする耐火構造。
【請求項5】
請求項2に記載の耐火構造において、
前記座彫り部には、当該座彫り部に嵌る目地カバーが装着されており、
前記目地カバーは、前記燃えしろ材を被覆する化粧材に予め固定されていることを特徴とする耐火構造。
【請求項6】
請求項1に記載の耐火構造において、
前記建物構造体と、前記燃えしろ材と、の間には当該間に隙間を形成するためのスペーサーが設けられていることを特徴とする耐火構造。
【請求項7】
請求項6に記載の耐火構造において、
前記建物構造体は、前記建物の躯体を構成する木製の躯体構造材と、当該躯体を被覆する耐火被覆材と、を備えており、
前記スペーサーは、
不燃性の部材であり、
直交する前記耐火被覆材同士の境目を塞ぐ位置に配設されていることを特徴とする耐火構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の耐火構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木材からなる荷重支持部と、荷重支持部を被覆する燃えしろ層(燃えしろ層となる木材)と、荷重支持部と燃えしろ層との間に設けられた燃え止まり層(石膏ボード)と、燃え止まり層と燃えしろ層との間に設けられた加熱発泡材と、加熱発泡材が設けられる部分に配設された複数のスペーサーと、を有する木製建築部材が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、燃えしろ層となる木材が矩形形状を有する板材であり、また、当該木材を位置決めするための部材等も設けられておらず、燃えしろ層となる木材は、矩形棒状のスペーサーを介して燃え止まり層に固定されているだけである。したがって、燃えしろ層となる木材を所定の位置に固定する作業が困難である。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、燃えしろ層となる木材を固定する際の施工性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば
図1~
図14に示すように、建物の耐火構造であって、
建物構造体10と、
燃えしろ層を形成する燃えしろ材5と、を備え、
前記燃えしろ材5は、前記建物構造体10の出隅部を被覆する平面視L字状のL型燃えしろ材51を少なくとも含むことを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、燃えしろ材5は、建物構造体10の出隅部に当接させるだけで位置決めすることができるL型燃えしろ材51を少なくとも含む。したがって、L型燃えしろ材51を建物構造体10の出隅部に当接(直接当接、あるいはスペーサー9等を介して当接)させた状態で当該L型燃えしろ材51の固定作業を行うだけで、燃えしろ材5を所定の位置に固定できるので、燃えしろ層となる木材(燃えしろ材5)を固定する際の施工性を向上させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば
図1~
図14に示すように、請求項1に記載の耐火構造において、
前記燃えしろ材5の端部には、切欠部50が設けられており、
一方の前記燃えしろ材5の前記切欠部50と、当該一方の燃えしろ材5に隣接する他方の前記燃えしろ材5の前記切欠部50と、によって座彫り部11が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、座彫り加工等を行うことなく、燃えしろ材5の端部に切欠加工を施すだけで、座彫り部11を設けることができるので、容易に座彫り部11を形成できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば
図4、
図5、
図6、
図9、
図10、
図12、
図13、
図14に示すように、請求項2に記載の耐火構造において、
前記燃えしろ材5を前記建物構造体10に固定するための固定材6が、前記切欠部50から前記建物構造体10を構成する芯材(框材A、補助桟材B、柱材、梁材、調整材3等)に向かって設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、燃えしろ材5が、建物構造体10のうちの芯材に固定されるので、燃えしろ材5を強固に固定することができ、また、その強固な固定状態を維持することが可能となる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば
図6に示すように、請求項3に記載の耐火構造において、
前記L型燃えしろ材51は、
前記出隅部を形成する一方の面に対向する第一対向部51aと、
当該出隅部を形成する他方の面に対向する第二対向部51bと、を備えており、
前記第二対向部51bのうち前記切欠部50を除く部分の長さL2は、
前記第一対向部51aの前記切欠部50から設けられる前記固定材6の長さと、当該切欠部50の厚さL3と、の差L4よりも長いことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、第一対向部51aの切欠部50から設けられる固定材6と、第二対向部51bの切欠部50から設けられる固定材6と、が衝突することがない。したがって、固定材6を設ける際に当該衝突を考慮する必要がないので、燃えしろ層となる木材(燃えしろ材5)を固定する際の施工性を向上させることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば
図2、
図4、
図5、
図7、
図9、
図10、
図12、
図13、
図14に示すように、請求項2に記載の耐火構造において、
前記座彫り部11には、当該座彫り部11に嵌る目地カバー7が装着されており、
前記目地カバー7は、前記燃えしろ材5を被覆する化粧材8に予め固定されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、化粧材8に固定されている目地カバー7を座彫り部11に嵌めるだけで、当該化粧材8を位置決めすることができるので、化粧材8の燃えしろ材5に対する位置決めが容易である。
【0016】
請求項6に記載の発明は、例えば
図11~
図14に示すように、請求項1に記載の耐火構造において、
前記建物構造体10と、前記燃えしろ材5と、の間には当該間に隙間を形成するためのスペーサー9が設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、建物構造体10及び燃えしろ材5を乾燥状態に保ちやすくなる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、例えば
図11~
図14に示すように、請求項6に記載の耐火構造において、
前記建物構造体10は、前記建物の躯体を構成する木製の躯体構造材(建築用パネル(建築用壁パネル2等)、柱材、梁材、調整材3等)と、当該躯体を被覆する耐火被覆材4と、を備えており、
前記スペーサー9は、
不燃性の部材であり、
直交する前記耐火被覆材4同士の境目を塞ぐ位置に配設されていることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、木製の躯体構造材が耐火被覆材4によって被覆されているので、耐火性能が高い。
さらに、不燃性のスペーサー9が、互いに直交する耐火被覆材4同士の境目を塞ぐ位置に配設されているので、耐火性能が高い。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、燃えしろ層となる木材(燃えしろ材5)を固定する際の施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】化粧材を取り付ける前の状態の壁の一例を示す斜視図である。
【
図2】化粧材を取り付けた後の状態の壁の一例を示す斜視図である。
【
図4】化粧材を取り付ける前の状態の壁の一例を示す横断面図である。
【
図5】化粧材を取り付けた後の状態の壁の一例を示す横断面図である。
【
図8】第1変形例:壁の一例を示す分解横断面図である。
【
図9】第1変形例:化粧材を取り付ける前の状態の壁の一例を示す横断面図である。
【
図10】第1変形例:化粧材を取り付けた後の状態の壁の一例を示す横断面図である。
【
図11】第2変形例:壁の一例を示す分解横断面図である。
【
図12】第2変形例:化粧材を取り付ける前の状態の壁の一例を示す横断面図である。
【
図13】第2変形例:化粧材を取り付けた後の状態の壁の一例を示す横断面図である。
【
図14】第2変形例:化粧材を取り付けた後の状態の壁の他の一例を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態(及び変形例)や図示例に限定するものではない。なお、以下の実施形態(及び変形例)や図示例における方向(前後方向、左右方向、上下方向)は、あくまでも説明の便宜上設定したものである。
【0023】
図1~
図5において符号1は、建物の壁を示す。建物は、壁1や床や屋根といった建物の構成要素を予め工場でパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てて構築するパネル工法で構築されるが、これに限られるものではなく、従来の軸組工法、壁式工法、ツーバイフォー工法等で構築されるものとしてもよい。
また、パネルとは、建築用パネルであり、縦横の框材Aが矩形状に組み立てられて矩形枠が構成され、この矩形枠の内部に補助桟材Bが縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面もしくは片面に面材Cが貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。その内部中空部(面材Cの裏側)には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填される。
【0024】
すなわち、本実施形態において、建物の躯体は、建築用壁パネル2や建築用床パネルや建築用屋根パネルなどの建築用パネル、柱、梁、調整材3等によって構成されている。そして、躯体を構成する躯体構造材(建築用パネル、柱(柱材)、梁(梁材)、調整材3等)は、耐火被覆材4によって被覆されて建物の壁や床や天井を構成している。
本実施形態の耐火被覆材4は、強化石膏ボードであるが、これに限られるものではなく、その他の種類の耐火被覆材であってもよい。
また、本実施形態において、建物の躯体は、一枚の耐火被覆材4によって被覆されているが、これに限られるものではなく、複数枚重ねた状態の耐火被覆材4によって被覆されていてもよい。
【0025】
本実施形態の壁1は、建物の躯体を構成する木製の躯体構造材(建築用壁パネル2、柱、調整材3等)と当該躯体を被覆する耐火被覆材4とを有する建物構造体10と、燃えしろ層を形成する木製の燃えしろ材5と、を備えて構成される。
燃えしろ材5(燃えしろ層)の厚さ寸法は、公知の燃えしろ設計を用いて決定された寸法に設定されている。
【0026】
燃えしろ材5には、少なくとも、平面視L字状のL型燃えしろ材51と、平面視I字状のI型燃えしろ材52と、の二種類がある。
燃えしろ材5の端部(他の燃えしろ材5と隣接する端部)は、平面視L字状に切欠形成されている(切欠形成された部位(肉薄部分)を、以下「切欠部50」と称する)。すなわち、燃えしろ材5の端部には、当該端部に沿って(本実施形態においては上下方向に沿って)切欠部50が設けられている。そして、隣接する二つの燃えしろ材5のうち、一方の燃えしろ材5における切欠部50と、他方の燃えしろ材5における切欠部50と、によって外側に向けて開口する凹溝状の座彫り部11が形成される。
【0027】
すなわち、燃えしろ材5を建物構造体10に固定するための固定材6(ビス等)は、燃えしろ材5の切欠部50から建物構造体10に向かって打ち込まれる。固定材6の打ち込み先は、建物構造体10(躯体構造材、耐火被覆材4)のうち躯体構造材が好ましく、躯体構造材を構成する芯材がより好ましい。芯材とは、建築用パネルの框材Aや補助桟材B、柱(柱材)、梁(梁材)、調整材3等である。燃えしろ材5を芯材に固定することによって、燃えしろ材5を強固に固定できるとともに、その強固な固定状態を維持することが可能となる。
【0028】
I型燃えしろ材52は、建物構造体10の表面(左面、右面)を被覆する。
一方、L型燃えしろ材51は、建物構造体10の出隅部を被覆する。すなわち、L型燃えしろ材51は、建物構造体10の出隅部を形成する一方の面(前端面)に対向する第一対向部51aと、建物構造体10の出隅部を形成する他方の面(左面、右面)に対向する第二対向部51bと、からなる。
【0029】
したがって、建物構造体10における一方の出隅部(左側の出隅部)を被覆するL型燃えしろ材52を建物構造体10に固定する際には、L型燃えしろ材52の第一対向部51aを当該一方の出隅部を形成する一方の面(前端面)に接触させるとともに、L型燃えしろ材52の第二対向部51bを当該一方の出隅部を形成する他方の面(左面)に接触させた状態で固定する。また、建物構造体10における他方の出隅部(右側の出隅部)を被覆するL型燃えしろ材52を建物構造体10に固定する際には、L型燃えしろ材52の第一対向部51aを当該他方の出隅部を形成する一方の面(前端面)に接触させるとともに、L型燃えしろ材52の第二対向部51bを当該他方の出隅部を形成する他方の面(右面)に接触させた状態で固定する。
【0030】
このように、L型燃えしろ材52は、当該L型燃えしろ材52の第一対向部51a及び第二対向部52bを建物構造体10の出隅部に当接させるだけで、位置決めできる。したがって、他の部材や目印等を利用することなく、L型燃えしろ材52自体で、当該L型燃えしろ材52を位置決めすることができるので、燃えしろ材5を建物構造体10に固定する作業を楽に行うことができる。
なお、
図1~
図5において、I型燃えしろ材52と、L型燃えしろ材51とは反対側(後側)で隣接する燃えしろ材5は、建物構造体10の形状に応じて、I型燃えしろ材52の場合もあるし、L型燃えしろ材51の場合もある。
【0031】
図6に示すように、L型燃えしろ材51の第一対向部51aにおける内側の長さ寸法L1は、建物構造体10の出隅部を形成する一方の面(前端面)の幅寸法L0の半分以下(L1≦L0/2)に設定されており、幅寸法L0の半分未満(L1<L0/2)に設定することが好ましい。すなわち、長さ寸法L1は、建物構造体10における、一方の出隅部を被覆するL型燃えしろ材51と、他方の出隅部を被覆するL型燃えしろ材51と、の間に隙間ができる寸法が好ましい。
幅寸法L0は設計寸法であり、長さ寸法L1を幅寸法L0の半分未満に設定することで、建物構造体10における、一方の出隅部を被覆するL型燃えしろ材51と、他方の出隅部を被覆するL型燃えしろ材51と、の間に隙間が形成され、その隙間によって建物構造体10の誤差を吸収できることとなる。
【0032】
具体的には、例えば、耐火被覆材4の寸法誤差や施工誤差によって、建物構造体10の出隅部を形成する一方の面(前端面)の幅寸法に設計時との誤差が生じて、実際の幅寸法が幅寸法L0よりも長くなった場合には、一方の出隅部を被覆するL型燃えしろ材51(第一対向部51a及び第二対向部52bが一方の出隅部に当接している状態のL型燃えしろ材51)と、他方の出隅部を被覆するL型燃えしろ材51(第一対向部51a及び第二対向部52bが他方の出隅部に当接している状態のL型燃えしろ材51)と、の間に形成される実際の隙間が設計上の隙間よりも広くなる。
【0033】
また、耐火被覆材4の寸法誤差や施工誤差によって、建物構造体10の出隅部を形成する一方の面(前端面)の幅寸法に設計時との誤差が生じて、実際の幅寸法が幅寸法L0よりも短くなった場合には、一方の出隅部を被覆するL型燃えしろ材51(第一対向部51a及び第二対向部52bが一方の出隅部に当接している状態のL型燃えしろ材51)と、他方の出隅部を被覆するL型燃えしろ材51(第一対向部51a及び第二対向部52bが他方の出隅部に当接している状態のL型燃えしろ材51)と、の間に形成される実際の隙間が設計上の隙間よりも狭くなる。
【0034】
したがって、例えば、長さ寸法L1が幅寸法L0の半分に設定されている場合(L1=L0/2)において、実際の幅寸法が幅寸法L0よりも短くなった際には、一方の出隅部を被覆するL型燃えしろ材51の第二対向部52bを当該一方の出隅部に当接させると、他方の出隅部を被覆するL型燃えしろ材51の第二対向部52bを当該他方の出隅部に当接させることができない。すなわち、他方の出隅部を被覆するL型燃えしろ材52を所定の位置に据えた状態(位置決めした状態)で固定することができない。
このように、長さ寸法L1を幅寸法L0の半分未満(L1<L0/2)に設定することで、耐火被覆材4の寸法誤差や施工誤差が生じた場合であっても、建物構造体10における一方の出隅部を被覆するL型燃えしろ材52と、他方の出隅部を被覆するL型燃えしろ材52と、の双方を所定の位置に据えた状態(位置決めした状態)で固定することが可能となるので、燃えしろ材5を建物構造体10に固定する作業を容易に行うことができる。
【0035】
また、L型燃えしろ材51の第二対向部51bにおける切欠部50を除いた部分の内側の長さ寸法L2は、当該L型燃えしろ材51の第一対向部51aにおける切欠部50から打ち込む固定材6の長さ寸法と、当該L型燃えしろ材51の第一対向部51aにおける切欠部50の厚さ寸法L3と、の差L4よりも長く設定されている(L2>L4)。
これにより、L型燃えしろ材51における第一対向部51aの切欠部50から打ち込む固定材6(以下「第一固定材」という)と、当該L型燃えしろ材51における第二対向部51bの切欠部50から打ち込む固定材6(以下「第二固定材」という)と、が接触することがない。したがって、第一固定材及び第二固定材のうち、一方の固定材を打ち込んだ後に他方の固定材を打ち込む際には、既に打ち込まれている一方の固定材の位置等を考慮することなく、他方の固定材を打ち込むことができるので、燃えしろ材5を建物構造体10に固定する作業を容易に行うことができる。
【0036】
本実施形態では、(1)固定材6の打ち込み先を芯材とする、(2)長さ寸法L2が差L4よりも長い、という2つの条件を満たすために、建築用壁パネル2の前端面(出隅部側の側端面、すなわち柱や他の建築用壁パネル2と接していない側端面)に接する位置に調整材3(角材等)を設置している。
具体的には、本実施形態においては、建築用壁パネル2の框材Aの厚さ寸法(前後方向の長さ)と、建築用壁パネル2の前端面に対向する耐火被覆材4の厚さ寸法(前後方向の長さ)と、の和が長さ寸法L2よりも短い。したがって、調整材3を設置しない場合には、条件(1)を満たすことができない。すなわち、調整材3を設置しない場合であって、条件(2)を満たす場合は、第一固定材を芯材(框材A)に打ち込むことはできるが、第二固定材を芯材(框材A)に打ち込むことができない。そこで、本実施形態では、第一固定材が打ち込まれる芯材の厚さ寸法(前後方向の長さ)と、建築用壁パネル2の前端面に対向する耐火被覆材4の厚さ寸法(前後方向の長さ)と、の和が長さ寸法L2以上となるように、第一固定材が打ち込まれる芯材として、框材Aよりも厚い調整材3を設置している。これにより、条件(2)を満たしたうえで、条件(1)を満たすこと(すなわち、第一固定材及び第二固定材の打ち込み先が芯材(調整材3)であること)が可能となる。
【0037】
座彫り部11は、開口面が目地カバー7によって塞がれている。目地カバー7は、座彫り部11に嵌合可能(収容可能)なサイズに形成された蓋部材であり、凹溝状の座彫り部11に沿って配設される。
目地カバー7は、燃えしろ材5を被覆する化粧材8(壁クロス等)に固定されており、化粧材8に固定された状態で、座彫り部11に装着されるようになっている。したがって、座彫り部11に目地カバー7を装着する(嵌める)だけで、化粧材8を位置決めすることができるので、燃えしろ材5を化粧材8で被覆する作業を楽に行うことができる。
【0038】
《壁の施工方法》
次に、壁1の施工方法の一例を説明する。
まず、壁用の躯体構造材(建築用壁パネル2、柱、調整材3等)を図示しない下部構造部の上面に立設する。
次いで、壁用の躯体構造材を耐火被覆材4によって被覆して、建物構造体10を形成する。
【0039】
次いで、
図4に示すように、建物構造体10の出隅部をL型燃えしろ材51で被覆する。
具体的には、L型燃えしろ材51を二つ用意して、一方のL型燃えしろ材51における第一対向部51a及び第二対向部51bの裏面(建物構造体10側の面)を、建物構造体10における一方の出隅部(左側の出隅部)に当接させた状態で、当該一方のL型燃えしろ材51における切欠部50から当該建物構造体10の芯材に向けて固定材6を打ち込む。また、他方のL型燃えしろ材51における第一対向部51a及び第二対向部51bの裏面(建物構造体10側の面)を、当該建物構造体10における他方の出隅部(右側の出隅部)に当接させた状態で、当該他方のL型燃えしろ材51における切欠部50から当該建物構造体10の芯材に向けて固定材6を打ち込む。これにより、L型燃えしろ材51を位置決めした状態で建物構造体10に固定することができる。
【0040】
次いで、建物構造体10の表面(左面、右面)を、I型燃えしろ材52で被覆する。
具体的には、I型燃えしろ材52の裏面(建物構造体10側の面)を建物構造体10の表面に当接させるとともに、当該I型燃えしろ材52の側端面(切欠部50)を、既に固定されているL型燃えしろ材51における第二対向部51bの側端面(切欠部50)に当接させた状態で、当該I型燃えしろ材51の切欠部50から当該建物構造体10の芯材に向けて固定材6を打ち込む。これにより、I型燃えしろ材51を位置決めした状態で建物構造体10に固定することができる。
【0041】
すなわち、I型燃えしろ材51は、既に固定されているL型燃えしろ材51によって位置決めすることができる。したがって、建物構造体10の表面(例えば左面)を前後方向に並ぶ複数のI型燃えしろ材51によって被覆する際には、L型燃えしろ材51(例えば建物構造体10における左側の出隅部を被覆するL型燃えしろ材51)を固定した後に、複数のI型燃えしろ材51のうち当該L型燃えしろ材51に隣接するI型燃えしろ材51から順次固定していくことで、複数のI型燃えしろ材51をそれぞれ位置決めした状態で建物構造体10に固定することが可能となる。
【0042】
最後に、燃えしろ材5の表面(建物構造体10とは反対側の面)を、化粧材8で被覆する。
具体的には、例えば燃えしろ材5の表面や座彫り部11の内部に接着剤を塗布して、目地カバー付き化粧材(目地カバー7が固定されている状態の化粧材8)を貼り付ける。その際、目地カバー7が座彫り部11に嵌る位置で貼り付ける。これにより、化粧材8(目地カバー付き化粧材)を位置決めした状態で燃えしろ材5の表面に固定することができる。その後、目地カバーなし化粧材(目地カバー7が固定されていない状態の化粧材8)の端面を、既に固定されている目地カバー付き化粧材の端面に当接させた状態で、当該目地カバーなし化粧材を貼り付ける。これにより、化粧材8(目地カバーなし化粧材)を位置決めした状態で燃えしろ材5の表面に固定することができる。このようにして、燃えしろ材5を化粧材8で覆っていく。
【0043】
なお、
図7に示すように、幅広の化粧材8に目地カバー7を固定して、目地カバーなし化粧材を用いないようにすることも可能である。後述する変形例においても同様である。
【0044】
《第1変形例》
上記実施形態では、L型燃えしろ材51を固定するための第一固定材及び第二固定材を同一の芯材(調整材3)に向けて打ち込むようにしたが、これに限られるものではない。
すなわち、上記の条件(1)と条件(2)との両方を満たすのであれば、例えば
図8~
図10に示すように、L型燃えしろ材51を固定するための第一固定材及び第二固定材を異なる芯材に向けて打ち込むようにしてもよい。
【0045】
具体的には、第1変形例の壁1は、
図8~
図10に示すように、調整材3が設けられていない。そして、第一固定材(すなわち、L型燃えしろ材51の第一対向部51aにおける切欠部50から打ち込む固定材6)は、建築用壁パネル2の框材Aに向けて打ち込まれており、第二固定材(すなわち、L型燃えしろ材51の第二対向部51bにおける切欠部50から打ち込む固定材6)は、当該建築用壁パネル2の補助桟材Bに向けて打ち込まれている。
【0046】
《第2変形例》
例えば
図11~
図13に示すように、建物構造体10と燃えしろ材5との間にスペーサー9を設けて、建物構造体10と燃えしろ材5との間に隙間を設けるようにしてもよい。これにより、建物構造体10(建物構造体10における燃えしろ材5と対向する面)及び燃えしろ材5(燃えしろ材5における建物構造体10と対向する面)を乾燥状態に保ちやすくなる。
なお、スペーサー9は、複数の板状部材を重ね合わせた積層体であってもよい。
【0047】
また、スペーサー9として、不燃性の部材を用いるとともに、スペーサー9を、互いに直交する耐火被覆材4同士の境界を被覆する位置に設けることで、より高い耐火性能を得ることが可能となる。互いに直交する耐火被覆材4同士の境界(境目)は、建物構造体10の外部から内部(躯体構造材)に亘って連続して形成されるので、火災時等に、外部と内部を繋ぐ伝熱経路となり得る。よって、当該伝熱経路の入口を閉塞する位置に不燃性のスペーサー9を設けることで、内部(躯体構造材)へと熱が伝わることを抑制することが可能となる。
【0048】
図11~
図13に示す例では、建物構造体10の表面(左面、右面)と、燃えしろ材5と、の間にスペーサー9を設けている。そして、そのスペーサー9によって、互いに直交する耐火被覆材4同士の境界を被覆するために、納まりで勝ち側が建築用壁パネル2の側端面(前端面)を被覆する耐火被覆材4となり、負け側が建築用壁パネル2の表面(左面、右面)を被覆する耐火被覆材4となるように、耐火被覆材4を配置している。すなわち、建築用壁パネル2の側端面(前端面)を被覆する耐火被覆材4の側端面(左端面、右端面)が、建築用壁パネル2の表面(左面、右面)を被覆する耐火被覆材4の表面(左面、右面)と略面一の状態となるように耐火被覆材4を配置している。
【0049】
第2変形例において、建物構造体10における一方の出隅部(左側の出隅部)を被覆するL型燃えしろ材52を建物構造体10に固定する際には、L型燃えしろ材52の第一対向部51aを当該一方の出隅部を形成する一方の面(前端面)に接触させるとともに、L型燃えしろ材52の第二対向部51bを当該一方の出隅部を形成する他方の面(左面)に固定されているスペーサー9に接触させた状態で固定する。また、建物構造体10における他方の出隅部(右側の出隅部)を被覆するL型燃えしろ材52を建物構造体10に固定する際には、L型燃えしろ材52の第一対向部51aを当該他方の出隅部を形成する一方の面(前端面)に接触させるとともに、L型燃えしろ材52の第二対向部51bを当該他方の出隅部を形成する他方の面(右面)に固定されているスペーサー9に接触させた状態で固定する。
【0050】
なお、
図14に示すように、建物構造体10の出隅部を形成する一方の面(前端面)と、燃えしろ材5と、の間にスペーサー9を設けてもよい。
図14に示す例では、耐火被覆材4の納まりが、実施形態及び第1変形例の納まりと同一となっている。すなわち、納まりで負け側が建築用壁パネル2の側端面(前端面)を被覆する耐火被覆材4となり、勝ち側が建築用壁パネル2の表面(左面、右面)を被覆する耐火被覆材4となるように、耐火被覆材4を配置している。そして、建物構造体10の出隅部を形成する一方の面(前端面)と、燃えしろ材5と、の間に設けられるスペーサー9によって、互いに直交する耐火被覆材4同士の境界が被覆されている。
【0051】
《効果》
上記の実施形態及び変形例によれば、以下のような優れた効果を奏する。
具体的には、建物の耐火構造であって、建物構造体10と、燃えしろ層を形成する燃えしろ材5と、を備えており、燃えしろ材5は、建物構造体10の出隅部を被覆する平面視L字状のL型燃えしろ材51を少なくとも含んでいる。
すなわち、燃えしろ材5は、建物構造体10の出隅部に当接させるだけで位置決めすること(所定の位置に据えること)ができるL型燃えしろ材51を少なくとも含む。したがって、L型燃えしろ材51を建物構造体10の出隅部に当接(直接当接、あるいはスペーサー9等を介して当接)させた状態で当該L型燃えしろ材51の固定作業を行うだけで、燃えしろ材5を所定の位置に固定できるので、燃えしろ層となる木材(燃えしろ材5)を固定する際の施工性を向上させることができる。
なお、建物構造体10は、二つの出隅部を有するものでなく、一つの出隅部を有するものであってもよい。
【0052】
また、燃えしろ材5の端部に、切欠部50を設けて、一方の燃えしろ材5の切欠部50と、当該一方の燃えしろ材5に隣接する他方の燃えしろ材5の切欠部50と、によって座彫り部11を形成することが可能である。
このように構成することで、座彫り加工等を行うことなく、燃えしろ材5の端部に切欠加工を施すだけで、座彫り部11を設けることができるので、容易に座彫り部11を形成できる。
【0053】
また、燃えしろ材5を建物構造体10に固定するための固定材6を、切欠部50から建物構造体10を構成する芯材(框材A、補助桟材B、柱材、梁材、調整材3等)に向かって設けることが可能である。
このように構成することで、燃えしろ材5が、建物構造体10のうちの芯材に固定されるので、燃えしろ材5を強固に固定することができ、また、その強固な固定状態を維持することが可能となる。
【0054】
また、L型燃えしろ材51を、出隅部を形成する一方の面に対向する第一対向部51aと、当該出隅部を形成する他方の面に対向する第二対向部51bと、を備えるものとし、第二対向部51bのうち切欠部50を除く部分の長さL2(長さ寸法L2)を、第一対向部51aの切欠部50から設けられる固定材6の長さ(長さ寸法)と、当該切欠部50の厚さL3(厚さ寸法L3)と、の差L4よりも長くすることが可能である。
このように構成することで、第一対向部51aの切欠部50から設けられる固定材6(第一固定材)と、第二対向部51bの切欠部50から設けられる固定材6(第二固定材)と、が衝突することがない。したがって、固定材6を設ける際(例えば固定材6を打ち込む際)に当該衝突を考慮する必要がないので、燃えしろ層となる木材(燃えしろ材5)を固定する際の施工性を向上させることができる。
【0055】
また、座彫り部11に嵌る目地カバー7を、燃えしろ材8を被覆する化粧材8に予め固定しておくことが可能である。
このように構成することで、化粧材8に予め固定されている目地カバー7を座彫り部11に嵌めるだけで、当該化粧材8を位置決めすることができるので、化粧材8の燃えしろ材5に対する位置決めが容易となる。
【0056】
また、第2変形例のように、建物構造体10と燃えしろ材5との間に、当該間に隙間を形成するためのスペーサー9を設けることが可能である。
このように構成することで、建物構造体10及び燃えしろ材5を乾燥状態に保ちやすくなる。
なお、第2変形例では、第1変形例の耐火構造(すなわち、L型燃えしろ材51を固定するための第一固定材及び第二固定材を異なる芯材に向けて打ち込むタイプの耐火構造)に対してスペーサー9を設けたが、これに限られるものではない。実施形態の耐火構造(すなわち、L型燃えしろ材51を固定するための第一固定材及び第二固定材を同一の芯材に向けて打ち込むタイプの耐火構造)に対してスペーサー9を設けることも可能である。
【0057】
また、建物構造体10を、建物の躯体を構成する木製の躯体構造材(建築用パネル(建築用壁パネル2等)、柱材、梁材、調整材3等)と、当該躯体を被覆する耐火被覆材4と、からなるものとすることが可能である。
このように構成することで、木製の躯体構造材が耐火被覆材4によって被覆されるので、耐火性能が高くなる。
【0058】
また、スペーサー9を、不燃性の部材とするとともに、直交する耐火被覆材4同士の境目(境界)を塞ぐ位置に配設することが可能である。
このように構成することで、不燃性のスペーサー9が、互いに直交する耐火被覆材4同士の境目を塞ぐ位置に配設されるので、耐火性能が高くなる。
【0059】
なお、上記の実施形態及び変形例では、躯体構造材として、建築用壁パネル2や調整材3を用いたが、これに限られるものではない。すなわち、躯体構造材は、建築用壁パネル2以外の建築用パネル(建築用床パネルや建築用屋根パネルなど)であってもよいし、柱(柱材)であってもよいし、梁(梁材)であってもよい。躯体構造材が建築用パネルの場合は、芯材は、框材Aや補助桟材Bである。また、躯体構造材が柱(柱材)である場合には、芯材は、当該躯体構造材そのもの(柱材)である。また、躯体構造材が梁(梁材)である場合には、芯材は、当該躯体構造材そのもの(梁材)である。躯体構造材が調整材3である場合には、芯材は、当該躯体構造材そのもの(調整材3)である。
また、上記の実施形態及び変形例では、壁1の耐火構造を示したが、これに限られるものではない。すなわち、本発明の耐火構造は、壁1の耐火構造、床の耐火構造、天井の耐火構造、柱の耐火構造、梁の耐火構造等、いずれであってもよい。
【0060】
また、近年、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGs(Sustainable Development Goals)の目標達成が求められており、建築業界においても、建物を二酸化炭素排出量の少ない木造とする取り組みが進められている。上記の実施形態及び変形例における耐火構造は、木造建物の耐火構造であるので、カーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGsの目標達成に貢献できる。
なお、上記の実施形態及び変形例は、適宜組み合わせ可能である。
【符号の説明】
【0061】
2 建築用壁パネル(躯体構造材)
3 調整材(躯体構造材)
4 耐火被覆材
5 燃えしろ材
6 固定材
7 目地カバー
8 化粧材
10 建物構造体
11 座彫り部
50 切欠部
51 L型燃えしろ材
51a 第一対向部
52b 第二対向部
L2 第二対向部のうち切欠部を除く部分の長さ
L4 第一対向部の切欠部から設けられる固定材の長さと、当該切欠部の厚さと、の差