(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131951
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】遠隔制御システム、制御装置、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20240920BHJP
B60R 25/01 20130101ALI20240920BHJP
【FI】
E05B49/00 J
B60R25/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042532
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 雅巳
(72)【発明者】
【氏名】福田 迪彦
(72)【発明者】
【氏名】林 直樹
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB04
2E250BB08
2E250BB10
2E250DD06
2E250EE12
2E250FF35
2E250GG13
2E250HH01
2E250JJ48
2E250LL01
2E250SS09
2E250TT01
(57)【要約】
【課題】保持コードをローリングコードに高いセキュリティで再同期させる。
【解決手段】本開示に係る遠隔制御システムは、制御装置と、第1送信装置と、第2送信装置とを備える。第1送信装置は、ローリングコードを記憶し、ローリングコードおよび制御コマンドを制御装置に無線送信する。第2送信装置は、同期許可コマンドを制御装置に無線送信する。制御装置は、第1送信装置から、記憶している保持コードに対する増加量が許可範囲内であるローリングコードおよび制御コマンドを受信した場合、受信したローリングコードを保持コードとして記憶し、対象装置に制御コマンドに応じた動作をさせる。制御装置は、第1送信装置から所定値ずつ増加するローリングコードおよび制御コマンドを所定回連続して受信した後に、第2送信装置から同期許可コマンドを受信した場合、第1送信装置から受信したローリングコードを保持コードとして記憶する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置と、
ローリングコードを記憶し、ユーザにより予め定められた制御操作がされた場合、記憶している前記ローリングコードを所定値増加させるとともに、前記ローリングコードおよび前記制御操作に応じた制御コマンドを前記制御装置に無線送信する第1送信装置と、
ユーザにより予め定められた許可操作がされた場合、予め定められた同期許可コマンドを前記制御装置に無線送信する第2送信装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記第1送信装置から、記憶している保持コードに対する増加量が予め定められた許可範囲内である前記ローリングコードおよび前記制御コマンドを受信した場合、受信した前記ローリングコードを前記保持コードとして記憶し、対象装置に前記制御コマンドに応じた動作をさせ、
前記第1送信装置から前記所定値ずつ増加する前記ローリングコードおよび前記制御コマンドを所定回連続して受信した後に、前記第2送信装置から前記同期許可コマンドを受信した場合、前記第1送信装置から受信した前記ローリングコードを前記保持コードとして記憶する再同期処理を実行する
遠隔制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第1送信装置から前記所定値ずつ増加する前記ローリングコードであって、前記許可範囲内の値でなく且つ予め定められた再同期範囲内の値である前記ローリングコードを所定回連続して受信した後に、前記第2送信装置から前記同期許可コマンドを受信した場合、前記再同期処理を実行する
請求項1に記載の遠隔制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記再同期処理において、前記第1送信装置から最後に受信した前記ローリングコードを前記保持コードとして記憶する
請求項2に記載の遠隔制御システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記再同期処理とともに、前記対象装置に前記制御コマンドに応じた動作をさせる
請求項2に記載の遠隔制御システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記保持コードに対する増加量が前記許可範囲および前記再同期範囲外の値である前記ローリングコードを受信した場合、前記対象装置に前記制御コマンドに応じた動作を実行させない
請求項4に記載の遠隔制御システム。
【請求項6】
前記ローリングコードは、予め定められた最小値から予め定められた最大値までの範囲の値であり、前記所定値増加されたことにより前記最大値より大きくなる場合、前記最小値に値が戻る巡回値である
請求項2に記載の遠隔制御システム。
【請求項7】
前記許可範囲は、前記所定値以上、前記最大値より小さい第1値以下の範囲である
請求項6に記載の遠隔制御システム。
【請求項8】
前記再同期範囲は、前記第1値に前記所定値を加えた値以上、前記最大値より小さい第2値以下の範囲である
請求項7に記載の遠隔制御システム。
【請求項9】
前記制御装置は、車両に設けられ、
前記第1送信装置および前記第2送信装置のそれぞれは、ユーザに保持される
請求項1から8の何れか1項に記載の遠隔制御システム。
【請求項10】
前記対象装置は、前記車両のドアをロックおよびアンロックさせるドアロック機構であり、
前記制御コマンドに応じた動作は、前記ドアをロックまたはアンロックさせる動作である
請求項9に記載の遠隔制御システム。
【請求項11】
第1送信装置および第2送信装置から無線受信した情報に基づき、対象装置の動作を制御する制御装置であって、
前記第1送信装置は、ローリングコードを記憶し、ユーザにより予め定められた制御操作がされた場合、記憶している前記ローリングコードを所定値増加させるとともに、前記ローリングコードおよび前記制御操作に応じた制御コマンドを前記制御装置に無線送信し、
前記第2送信装置は、ユーザにより予め定められた許可操作がされた場合、予め定められた同期許可コマンドを前記制御装置に無線送信し、
前記制御装置は、
前記第1送信装置から、記憶している保持コードに対する増加量が予め定められた許可範囲内である前記ローリングコードおよび前記制御コマンドを受信した場合、受信した前記ローリングコードを前記保持コードとして記憶し、前記対象装置に前記制御コマンドに応じた動作をさせ、
前記第1送信装置から前記所定値ずつ増加する前記ローリングコードおよび前記制御コマンドを所定回連続して受信した後に、前記第2送信装置から前記同期許可コマンドを受信した場合、前記第1送信装置から受信した前記ローリングコードを前記保持コードとして記憶する再同期処理を実行する
制御装置。
【請求項12】
第1送信装置および第2送信装置から無線受信した情報に基づき、対象装置の動作を制御する制御装置における制御方法であって、
前記第1送信装置は、ローリングコードを記憶し、ユーザにより予め定められた制御操作がされた場合、記憶している前記ローリングコードを所定値増加させるとともに、前記ローリングコードおよび前記制御操作に応じた制御コマンドを前記制御装置に無線送信し、
前記第2送信装置は、ユーザにより予め定められた許可操作がされた場合、予め定められた同期許可コマンドを前記制御装置に無線送信し、
前記制御装置が、
前記第1送信装置から、記憶している保持コードに対する増加量が予め定められた許可範囲内である前記ローリングコードおよび前記制御コマンドを受信した場合、受信した前記ローリングコードを前記保持コードとして記憶し、前記対象装置に前記制御コマンドに応じた動作をさせ、
前記第1送信装置から前記所定値ずつ増加する前記ローリングコードおよび前記制御コマンドを所定回連続して受信した後に、前記第2送信装置から前記同期許可コマンドを受信した場合、前記第1送信装置から受信した前記ローリングコードを前記保持コードとして記憶する再同期処理を実行する
制御方法。
【請求項13】
情報処理装置を、第1送信装置および第2送信装置から無線受信した情報に基づき、対象装置の動作を制御する制御装置として機能させるためのプログラムであって、
前記第1送信装置は、ローリングコードを記憶し、ユーザにより予め定められた制御操作がされた場合、記憶している前記ローリングコードを所定値増加させるとともに、前記ローリングコードおよび前記制御操作に応じた制御コマンドを前記制御装置に無線送信し、
前記第2送信装置は、ユーザにより予め定められた許可操作がされた場合、予め定められた同期許可コマンドを前記制御装置に無線送信し、
前記情報処理装置を、
前記第1送信装置から、記憶している保持コードに対する増加量が予め定められた許可範囲内である前記ローリングコードおよび前記制御コマンドを受信した場合、受信した前記ローリングコードを前記保持コードとして記憶し、対象装置に前記制御コマンドに応じた動作をさせ、
前記第1送信装置から前記所定値ずつ増加する前記ローリングコードおよび前記制御コマンドを所定回連続して受信した後に、前記第2送信装置から前記同期許可コマンドを受信した場合、前記第1送信装置から受信した前記ローリングコードを前記保持コードとして記憶する再同期処理を実行する
ように機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御システム、制御装置、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ローリングコード方式の車両用キーレスシステムが知られている。ローリングコード方式の車両用キーレスシステムは、ユーザが、キーの代わりとなる送信装置を保持する。送信装置は、ユーザによりキーボタンが押される毎に、ローリングコードを更新し、更新したローリングコードを車両に無線送信する。車両は、記憶しているコードに対して、送信装置から送信されたローリングコードの増加量が一定範囲内である場合に、ドアをロックしたり、アンロックしたりする。
【0003】
特許文献1には、前に発信装置から発信されかつ記憶手段により記憶された先行コード番号と、その後記憶手段に記憶された次のコード番号とを比較して、このコード番号が先行コード番号に対し所定の順序で累進変更されているときにロック装置へ解錠信号を発生する遠隔操作ロック制御装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、操作スイッチが操作されるとその操作毎に加算値が順次加算される送信用計数コードを送信する送信装置と、受信した送信用計数コードの値が、照合用計数コードの値に対してこれよりも大であって第1の許容範囲内の値であるときに一致信号を出力する受信装置とを備える車両用負荷の遠隔操作装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許2534097号公報
【特許文献2】特許3208037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このようなローリングコード方式の車両用キーレスシステムでは、送信装置が例えばバック等に入った状態において、キーボタンが意図せずに大量に空押しされてしまう場合があった。このような場合、車両が記憶しているコードに対するローリングコードの増加量が一定範囲外となってしまう。このため、ユーザは、このようにキーボタンが意図せずに大量に空押しされた場合、送信装置を用いて、ドアをロックしたり、アンロックしたりすることができなくなってしまっていた。
【0007】
従って、このような車両用キーレスシステムでは、悪意の第三者による不正な操作を排除しつつ、車両が記憶しているコードに対して送信装置が記憶しているローリングコードの増加量が一定範囲外となった場合に、車両が記憶しているコードと、送信装置が記憶しているローリングコードとを一致させる再同期処理を実行する必要があった。
【0008】
本開示の目的は、制御装置が記憶する保持コードを送信装置が記憶するローリングコードに高いセキュリティで再同期させることができる遠隔制御システム、制御装置、制御方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る遠隔制御システムは、制御装置と、第1送信装置と、第2送信装置とを備える。前記第1送信装置は、ローリングコードを記憶し、ユーザにより予め定められた制御操作がされた場合、記憶している前記ローリングコードを所定値増加させるとともに、前記ローリングコードおよび前記制御操作に応じた制御コマンドを前記制御装置に無線送信する。前記第2送信装置は、ユーザにより予め定められた許可操作がされた場合、予め定められた同期許可コマンドを前記制御装置に無線送信する。前記制御装置は、前記第1送信装置から、記憶している保持コードに対する増加量が予め定められた許可範囲内である前記ローリングコードおよび前記制御コマンドを受信した場合、受信した前記ローリングコードを前記保持コードとして記憶し、対象装置に前記制御コマンドに応じた動作をさせる。前記制御装置は、前記第1送信装置から前記所定値ずつ増加する前記ローリングコードおよび前記制御コマンドを所定回連続して受信した後に、前記第2送信装置から前記同期許可コマンドを受信した場合、前記第1送信装置から受信した前記ローリングコードを前記保持コードとして記憶する再同期処理を実行する。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る遠隔制御システム、制御装置、制御方法およびプログラムによれば、制御装置が記憶する保持コードを送信装置が記憶するローリングコードに高いセキュリティで再同期させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る遠隔制御システムを示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る送信装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、送信装置における制御コマンドの送信処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る制御装置の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る遠隔制御システムを示す図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る第2送信装置の構成を示す図である。
【
図8】
図8は、制御コマンドを含む送信信号を示す図である。
【
図9】
図9は、同期許可コマンドを含む送信信号を示す図である。
【
図10】
図10は、送信装置における同期許可コマンドの送信処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係る制御装置の構成を示す図である。
【
図12】
図12は、ローリングコードと保持コードとの関係を示す図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、第2実施形態に係る制御装置の再同期処理の流れを示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、第2実施形態に係る遠隔制御システムの処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る遠隔制御システム10の実施形態について説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、実施形態に係る遠隔制御システム10を示す図である。第1実施形態に係る遠隔制御システム10は、車両20と、送信装置22とを備える。
【0014】
送信装置22は、ユーザから車両20に対する制御操作を受け付け、ユーザによる操作に応じて車両20を制御するための制御コマンドを含む送信信号を無線送信する。送信装置22は、車両20と予めペアリングされている。車両20は、ペアリングされている送信装置22から送信された送信信号に含まれる制御コマンドに応じて動作を行う。
【0015】
本実施形態において、送信装置22は、車両20のキーの代わりに用いられる。本実施形態において、送信装置22は、車両20のドアをロックさせる制御操作を受け付けるロックボタン24と、車両20のドアをアンロックさせる制御操作を受け付けるアンロックボタン26とを有する。送信装置22は、ロックボタン24が押された場合、ロックコマンドを含む送信信号を無線送信する。ロックコマンドは、車両20のドアをロックして外部からドアが開かないようにさせるための制御コマンドである。送信装置22は、アンロックボタン26が押された場合、アンロックコマンドを含む送信信号を送信する。アンロックコマンドは、車両20のドアをアンロックして外部からドアが開くようにさせるための制御コマンドである。
【0016】
車両20は、制御装置30と、対象装置32とを有する。
【0017】
制御装置30は、ECU(Electronic Control Unit)等を含み、車両20内における機器の制御および情報処理を実行する。対象装置32は、車両20内に設けられる機器の一つである。制御装置30と対象装置32とは、例えばCAN(Controller Area Network)等の車載機器を接続するためのネットワークを介して接続される。対象装置32は、制御装置30からネットワークを介して指示を受け取り、受け取った指示に応じた動作を実行する。
【0018】
制御装置30は、送信装置22から送信信号を受信する。制御装置30は、受信した送信信号が正常である場合、対象装置32に対して送信信号に含まれる制御コマンドに応じた指示を対象装置32に与えて、対象装置32に制御コマンドに応じた動作をさせる。
【0019】
本実施形態において、対象装置32は、車両20のロックおよびアンロックさせるドアロック機構である。制御装置30は、送信装置22からロックコマンドを含む送信信号を受信し、受信した送信信号が正常である場合、対象装置32にドアをロックさせる指示を与えて、対象装置32に車両20のドアをロックして外部からドアが開かないように動作させる。制御装置30は、送信装置22からアンロックコマンドを含む送信信号を受信し、受信した送信信号が正常である場合、対象装置32にドアをアンロックさせる指示を与えて、対象装置32に車両20のドアをアンロックして外部からドアが開くように動作させる。
【0020】
なお、対象装置32は、車両20のドアのロックまたはアンロックをするための機器に限らず、他の機器であってもよい。また、遠隔制御システム10は、車両20に限らず、他の装置を遠隔から制御するシステムに適用されてもよい。
【0021】
図2は、第1実施形態に係る送信装置22の構成を示す図である。送信装置22は、操作部40と、識別情報メモリ42と、ローリングコードメモリ44と、送信制御部46と、無線送信部48とを有する。
【0022】
操作部40は、ユーザから制御操作を受け付け、受け付けた制御操作がされたことを示す情報を送信制御部46に与える。本実施形態において、操作部40は、ロックボタン24およびアンロックボタン26を含む。操作部40は、ロックボタン24が押された場合には、ドアをロックする操作がされたことを示す情報を送信制御部46に与え、アンロックボタン26が押された場合には、ドアをアンロックする操作がされたことを示す情報を送信制御部46に与える。
【0023】
識別情報メモリ42は、送信装置22に対して固有に割り当てられた識別情報を記憶する。識別情報メモリ42は、例えば工場出荷時またはメンテナンス時等において、割り当てられた識別情報が書き込まれる。
【0024】
ローリングコードメモリ44は、ローリングコードを記憶する。ローリングコードは、所定の桁数の数値である。より詳しくは、ローリングコードは、予め定められた最小値から予め定められた最大値までの範囲の値であり、所定値増加されたことにより最大値より大きくなる場合、最小値に値が戻る巡回値である。ローリングコードは、例えば2進数、10進数または16進数で表され、1ずつインクリメントされる。例えば、ローリングコードは、最小値が“0000”(10進数)であり、最大値が“9999”(10進数)である場合、“9999”を超えると、“0000”に戻る。
【0025】
送信制御部46は、例えば情報処理機能を有するマイクロコントローラにより実現される。送信制御部46は、例えばプログラムを実行して、予め定められた処理を実行する。送信制御部46は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により実現されてもよい。
【0026】
無線送信部48は、送信制御部46から送信信号を受け取り、受け取った送信信号を無線送信する。例えば、無線送信部48は、所定方式で変調した電磁波の送信信号を送信する。
【0027】
送信制御部46は、ユーザにより予め定められた制御操作がされた場合、ローリングコードメモリ44に記憶されているローリングコードを所定値増加させる。さらに、送信制御部46は、ユーザにより予め定められた制御操作がされた場合、所定値増加された後のローリングコード、制御操作に応じた制御コマンド、および、識別情報メモリ42に記憶されている識別情報を含む送信信号を生成する。そして、送信制御部46は、生成した送信信号を無線送信部48に与え、無線送信部48に送信信号を無線送信させる。
【0028】
例えば、送信制御部46は、ロックボタン24が押された場合、ローリングコードメモリ44に記憶しているローリングコードに+1を加算し、+1を加算したローリングコード、ロックコマンドおよび識別情報を含む送信信号を生成する。また、送信制御部46は、アンロックボタン26が押された場合、ローリングコードメモリ44に記憶されているローリングコードに+1を加算し、+1を加算したローリングコード、アンロックコマンドおよび識別情報を含む送信信号を生成する。
【0029】
図3は、送信装置22における制御コマンドの送信処理の流れを示すフローチャートである。制御操作がされた場合、送信装置22は、
図3に示す流れで、処理を実行する。
【0030】
まず、S11において、送信装置22は、制御操作がされたか否か、例えばロックボタン24またはアンロックボタン26が押されたか否かを判断する。制御操作がされていない場合(S11のNo)、送信装置22は、処理をS11で待機する。制御操作がされた場合(S11のYes)、送信装置22は、処理をS12に進める。
【0031】
S12において、送信装置22は、識別情報メモリ42から識別情報を読み出す。続いて、S13において、送信装置22は、ローリングコードメモリ44からローリングコードを読み出す。続いて、S14において、送信装置22は、読み出したローリングコードを所定値、例えば+1増加させる。続いて、S15において、送信装置22は、所定値増加させたローリングコードをローリングコードメモリ44に書き込む。
【0032】
続いて、S16において、送信装置22は、制御操作に応じた制御コマンドを生成する。例えば、送信装置22は、ロックボタン24が押された場合、ロックコマンドを生成する。例えば、送信装置22は、アンロックボタン26が押された場合、アンロックコマンドを生成する。
【0033】
続いて、S17において、送信装置22は、プリアンブル、ローリングコード、制御コマンドおよび識別情報を含む送信信号を生成する。そして、S18において、送信装置22は、生成した送信信号を車両20の制御装置30に無線送信する。
【0034】
以上のように、送信装置22は、ローリングコードを記憶し、ユーザにより予め定められた制御操作がされた場合、記憶しているローリングコードを所定値増加させる。さらに、送信装置22は、ユーザにより予め定められた制御操作がされた場合、ローリングコード、制御操作に応じた制御コマンドおよび識別情報を、車両20の制御装置30に無線送信する。
【0035】
図4は、第1実施形態に係る制御装置30の構成を示す図である。制御装置30は、無線受信部50と、登録識別情報メモリ52と、保持コードメモリ54と、車両制御部56とを有する。
【0036】
無線受信部50は、送信装置22から送信された送信信号を受信する。無線受信部50は、受信した送信信号を車両制御部56に与える。
【0037】
登録識別情報メモリ52は、ペアリングされた送信装置22を識別する識別情報を記憶する。例えば工場出荷時またはメンテナンス時等において、車両20は、何れかの送信装置22とペアリングする処理が行われる。これにより、登録識別情報メモリ52は、ペアリングされた送信装置22を識別する識別情報を記憶することができる。
【0038】
保持コードメモリ54は、保持コードを記憶する。保持コードは、ローリングコードと同一の形式および桁数の数値である。
【0039】
車両制御部56は、例えばECU等のマイクロコントローラにより実現され、制御装置30を情報処理装置として機能させる。車両制御部56は、例えばプログラムを実行して、予め定められた処理を実行する。車両制御部56は、FPGA等により実現されてもよい。
【0040】
車両制御部56は、無線受信部50により受信された送信信号を受け取る。車両制御部56は、送信信号が受信された場合、送信信号に含まれるローリングコード、制御コマンドおよび識別情報を復号する。
【0041】
車両制御部56は、送信信号を受信した場合、送信信号に含まれる識別情報と登録識別情報メモリ52に予め記憶された識別情報とが一致するか否かを判断する。車両制御部56は、識別情報が一致しない場合、何ら処理を実行しない。これにより、車両制御部56は、車両20とペアリングがされていない送信装置22から送信された制御コマンドに応じた動作をしないようにすることができる。
【0042】
車両制御部56は、識別情報が一致した場合、さらに、保持コードメモリ54に記憶されている保持コードに対する、受信した送信信号に含まれるローリングコードの増加量が予め定められた許可範囲内であるか否かを判断する。保持コードに対するローリングコードの増加量が許可範囲内でない場合、車両制御部56は、再同期処理を実行する場合を除き、何ら処理を実行しない。これにより、車両制御部56は、正常なローリングコードを記憶していない送信装置22から送信された制御コマンドに応じて、対象装置32を動作させないようにすることができる。
【0043】
保持コードに対するローリングコードの増加量が許可範囲内である場合、車両制御部56は、対象装置32に、受信した送信信号に含まれる制御コマンドに応じた動作をさせる。これにより、車両制御部56は、ペアリングがされ、且つ、正常なローリングコードを保持する送信装置22から送信された制御コマンドに応じて、対象装置32を動作させることができる。
【0044】
さらに、保持コードに対するローリングコードの増加量が許可範囲内である場合、車両制御部56は、受信した送信信号に含まれるローリングコードを保持コードとして保持コードメモリ54に記憶させる。これにより、車両制御部56は、ペアリングされた送信装置22から次に送信信号を受信した場合、保持コードに対するローリングコードの増加量を許可範囲内として、対象装置32に次に受信した送信信号に含まれる制御コマンドに応じた動作をさせることができる。
【0045】
また、車両制御部56は、保持コードに対するローリングコードの増加量が許可範囲内でない場合であっても、所定値ずつ増加するローリングコードを含む送信信号を、所定回連続して受信した場合には、最後に受信したローリングコードを保持コードとして記憶する再同期処理を実行する。保持コードに対するローリングコードの増加量は、車両20に送信信号が届かない状態において送信装置22に対して制御操作がされることにより、すなわち、空の制御操作がされることにより、許可範囲外となってしまう場合がある。このような場合であっても、車両制御部56は、再同期処理を実行することにより、再度、保持コードに対するローリングコードの増加量を許可範囲内に戻すことができる。
【0046】
図5は、第1実施形態に係る制御装置30の処理の流れを示すフローチャートである。制御装置30は、
図5に示す流れで処理を実行する。
【0047】
まず、S21において、制御装置30は、送信信号を受信してデータを復号できたか否かを判断する。制御装置30は、送信信号を受信していない、または、受信した送信信号からデータを復号できない場合(S21のNo)、制御装置30は、処理をS21で待機する。制御装置30は、送信信号を受信して、送信信号に含まれるデータを復号できた場合(S21のYes)、処理をS22に進める。
【0048】
続いて、S22において、制御装置30は、送信信号に含まれる識別情報が登録識別情報メモリ52に記憶された識別情報と一致するか否かを判断する。制御装置30は、一致しない場合(S22のNo)、処理をS21に戻し、S21から処理を繰り返す。
【0049】
制御装置30は、送信信号に含まれる識別情報が登録識別情報メモリ52に記憶された識別情報と一致する場合(S22のYes)、処理をS23に進める。S23において、制御装置30は、保持コードメモリ54に記憶されている保持コードに対する、送信信号に含まれるローリングコードの増加量を算出する。続いて、S24において、制御装置30は、増加量が、許容範囲内であるか否かを判断する。
【0050】
制御装置30は、増加量が許容範囲内である場合(S24のYes)、処理をS25に進める。増加量が許容範囲内でない場合(S24のNo)、処理をS27に進める。
【0051】
S25において、制御装置30は、送信信号に含まれるローリングコードを、保持コードとして保持コードメモリ54に記憶させる。
【0052】
続いて、S26において、制御装置30は、対象装置32に、送信信号に含まれる制御コマンドに応じた動作をさせる。例えば、制御装置30は、送信信号にロックコマンドが含まれる場合、対象装置32にドアをロックさせる指示を与えて、ドアをロックさせる。また、例えば、制御装置30は、送信信号にアンロックコマンドが含まれる場合、対象装置32にドアをアンロックさせる指示を与えて、ドアをアンロックさせる。そして、S26の処理を終えると、制御装置30は、処理をS21に戻し、S21から処理を繰り返す。
【0053】
また、S27において、制御装置30は、同一の識別情報および所定値ずつ増加するローリングコードを含む送信信号を、所定回連続して受信したか否かを判断する。例えば、制御装置30は、同一の識別情報、および、+1ずつ増加するローリングコードを含む送信信号を、5回連続して受信したか否かを判断する。すなわち、制御装置30は、同一の送信装置22に対して、制御操作、例えばロックボタン24またはアンロックボタン26を押す操作が、所定回連続して行われたか否かを判断する。
【0054】
同一の識別情報および所定値ずつ増加するローリングコードを含む送信信号を、所定回連続して受信していない場合(S27のNo)、制御装置30は、処理をS21に戻し、S21から処理を繰り返す。同一の識別情報および所定値ずつ増加するローリングコードを含む送信信号を、所定回連続して受信した場合(S27のYes)、制御装置30は、処理をS28に進める。
【0055】
S28において、制御装置30は、制御装置30は、最後に受信した送信信号に含まれるローリングコードを、保持コードとして保持コードメモリ54に記憶させる。
【0056】
続いて、S29において、制御装置30は、対象装置32に、最後に受信した送信信号に含まれる制御コマンドに応じた動作をさせる。例えば、制御装置30は、最後に受信した送信信号にロックコマンドが含まれる場合、対象装置32にドアをロックさせる指示を与えて、ドアをロックさせる。また、例えば、制御装置30は、最後に受信した送信信号にアンロックコマンドが含まれる場合、対象装置32にドアをアンロックさせる指示を与えて、ドアをアンロックさせる。
【0057】
そして、S29の処理を終えると、制御装置30は、処理をS21に戻し、S21から処理を繰り返す。
【0058】
以上のように、第1実施形態に係る遠隔制御システム10は、送信装置22から、記憶している保持コードに対する増加量が予め定められた許可範囲内であるローリングコードおよび制御コマンドを受信した場合、受信したローリングコードを保持コードとして記憶し、対象装置32に制御コマンドに応じた動作をさせる。これにより、第1実施形態に係る遠隔制御システム10によれば、空の制御操作がされることにより制御装置30が記憶する保持コードと、送信装置22が記憶するローリングコードとが一致しなくなった場合であっても、許容範囲内の回数の空の制御操作であれば、対象装置32に制御コマンドに応じた動作をさせることができる。
【0059】
さらに、第1実施形態に係る遠隔制御システム10は、同一の送信装置22から所定値ずつ増加するローリングコードおよび制御コマンドを所定回連続して受信した場合、送信装置22から最後に受信したローリングコードを保持コードとして記憶する再同期処理を実行する。これにより、第1実施形態に係る遠隔制御システム10によれば、許容範囲を超えた回数の空の制御操作がされた場合であっても、再度、制御装置30が保持する保持コードと、送信装置22が保持するローリングコードとを一致させることができる。
【0060】
(第2実施形態)
つぎに、第2実施形態に係る遠隔制御システム10について説明する。なお、第2実施形態に係る遠隔制御システム10の説明において、第1実施形態と略同一の機能を有する構成要素については同一の符号を付けて、相違点を除き詳細な説明を省略する。
【0061】
図6は、実施形態に係る遠隔制御システム10を示す図である。第2実施形態に係る遠隔制御システム10は、車両20と、複数の送信装置22とを備える。
【0062】
例えば、第2実施形態に係る遠隔制御システム10は、複数の送信装置22として、第1送信装置22-1と、第2送信装置22-2とを備える。第1送信装置22-1および第2送信装置22-2のそれぞれは、同一の車両20に対してペアリングがされている。従って、車両20は、第1送信装置22-1および第2送信装置22-2のそれぞれから送信された送信信号に含まれる制御コマンドに応じて動作を行う。例えば、第1送信装置22-1および第2送信装置22-2は、一方がユーザによりメインで利用されるキーに代えて用いられ、他方がユーザにより予備として保持されるキーに代えて用いられる。
【0063】
第2実施形態において、送信装置22は、制御操作、例えばロックボタン24を単独で押す操作およびアンロックボタン26を単独で押す操作に加えて、同期許可操作をユーザから受け付ける。同期許可操作は、車両20に記憶された保持コードをローリングコードに再同期させるための操作である。送信装置22は、例えばロックボタン24およびアンロックボタン26の両方が同時に押された場合、同期許可操作を受け付ける。なお、送信装置22は、ロックボタン24およびアンロックボタン26とは別個に、同期許可操作を受け付けるための許可ボタンが設けられていてもよい。
【0064】
図7は、第2実施形態に係る送信装置22の構成を示す図である。
【0065】
第2実施形態において、操作部40は、制御操作であるロックボタン24を単独で押す操作およびアンロックボタン26を単独で押す操作に加えて、ユーザからの同期許可操作を受け付ける。例えば、操作部40は、ロックボタン24およびアンロックボタン26を同時に押す操作を、同期許可操作として受け付ける。操作部40は、同期許可操作を受け付けた場合、同期許可操作がされたことを示す情報を送信制御部46に与える。
【0066】
送信制御部46は、ユーザにより同期許可操作がされた場合、ローリングコードメモリ44に記憶されているローリングコード、同期許可操作に応じた同期許可コマンド、および、識別情報メモリ42に記憶されている識別情報を含む送信信号を生成する。そして、送信制御部46は、同期許可コマンドを含む送信信号を無線送信部48に与え、無線送信部48に送信信号を無線送信させる。
【0067】
図8は、制御コマンドを含む送信信号を示す図である。送信装置22は、ユーザにより制御操作がされた場合、例えばロックボタン24またはアンロックボタン26のそれぞれが単独で押された場合、予め定められたフォーマットの送信信号を生成する。例えば、送信制御部46は、先頭から、プリアンブル、ローリングコード、制御コマンド、および、識別情報を含む送信信号を生成する。
【0068】
プリアンブルは、送信信号の先頭を示す予め定められたデータ列である。制御装置30は、プリアンブルを検出することにより、送信信号をフォーマットを認識して、送信信号からデータを復号することができる。また、制御コマンドには、例えばロックコマンドまたはアンロックコマンドが含まれる。
【0069】
なお、
図8の例は、第1送信装置22-1から送信される制御コマンドを含む送信信号を示している。RCaは、第1送信装置22-1が記憶するローリングコードを表す。IDaは、第1送信装置22-1に割り当てられた識別情報を表す。
【0070】
図9は、同期許可コマンドを含む送信信号を示す図である。送信装置22は、ユーザにより同期許可操作がされた場合、例えばロックボタン24またはアンロックボタン26が同時に押された場合、予め定められたフォーマットの送信信号を生成する。例えば、送信制御部46は、先頭から、プリアンブル、ローリングコード、同期許可コマンド、および、識別情報を含む送信信号を生成する。
【0071】
プリアンブルは、制御コマンドを送信する場合と同様である。なお、
図9の例は、第2送信装置22-2から送信される同期許可コマンドを含む送信信号を示している。RCbは、第2送信装置22-2が記憶するローリングコードを表す。IDbは、第2送信装置22-2に割り当てられた識別情報を表す。
【0072】
図10は、送信装置22における同期許可コマンドの送信処理の流れを示すフローチャートである。同期許可操作がされた場合、送信装置22は、
図10に示す流れで、処理を実行する。なお、制御操作がされた場合には、送信装置22は、
図3に示した第1実施形態と同一の流れで処理を実行する。
【0073】
まず、S41において、送信装置22は、同期許可操作がされたか否か、例えばロックボタン24またはアンロックボタン26が同時に押されたか否かを判断する。同期許可操作がされていない場合(S41のNo)、送信装置22は、処理をS41で待機する。同期許可操作がされた場合(S41のYes)、送信装置22は、処理をS42に進める。
【0074】
S42において、送信装置22は、識別情報メモリ42から識別情報を読み出す。続いて、S43において、送信装置22は、ローリングコードメモリ44からローリングコードを読み出す。続いて、S44において、送信装置22は、同期許可操作に応じた同期許可コマンドを生成する。
【0075】
続いて、S45において、送信装置22は、プリアンブル、ローリングコード、同期許可コマンドおよび識別情報を含む送信信号を生成する。そして、S46において、送信装置22は、生成した送信信号を車両20の制御装置30に無線送信する。
【0076】
以上のように、送信装置22は、ユーザにより予め定められた同期許可操作がされた場合、ローリングコード、同期許可操作に応じた同期許可コマンドおよび識別情報を、車両20の制御装置30に無線送信する。
【0077】
図11は、第2実施形態に係る制御装置30の構成を示す図である。第2実施形態に係る制御装置30は、第1実施形態の構成に加えて、状態メモリ66をさらに有する。
【0078】
状態メモリ66は、制御装置30の状態を表す状態情報を記憶する。より具体的には、状態メモリ66は、第1状態、第2状態または第3状態の何れかを表す状態情報を記憶する。第1状態は、通常処理時の状態を表す。第2状態は、制御装置30が再同期可能な状態を表す。第3状態は、制御装置30が同期許可コマンドを受付可能な状態を表す。また、状態メモリ66は、複数の送信装置22のそれぞれ毎に、状態情報を記憶する。
【0079】
登録識別情報メモリ52は、車両20とペアリングがされた複数の送信装置22のそれぞれについて、識別情報を記憶する。例えば、登録識別情報メモリ52は、第1送信装置22-1の識別情報としてIDaを記憶し、第2送信装置22-2の識別情報としてIDbを記憶する。
【0080】
保持コードメモリ54は、車両20とペアリングがされた複数の送信装置22のそれぞれについて、保持コードを記憶する。例えば、保持コードメモリ54は、第1送信装置22-1の保持コードとしてRCa_Mを記憶し、第2送信装置22-2の保持コードとしてRCb_Mを記憶する。
【0081】
車両制御部56は、制御コマンドを含む送信信号を受け取った場合、送信信号に含まれるローリングコード、制御コマンドおよび識別情報を復号する。また、車両制御部56は、同期許可コマンドを含む送信信号を受け取った場合、送信信号に含まれるローリングコード、同期許可コマンドおよび識別情報を復号する。
【0082】
車両制御部56は、送信信号を受信した場合、送信信号に含まれる識別情報と登録識別情報メモリ52に予め記憶された識別情報とが一致するか否かを判断する。車両制御部56は、識別情報が一致しない場合、何ら処理を実行しない。これにより、車両制御部56は、車両20とペアリングがされていない送信装置22から送信されたコマンドに応じた動作をしないようにすることができる。
【0083】
さらに、車両制御部56は、送信信号に含まれる識別情報が第1送信装置22-1の識別情報であり、第1送信装置22-1から制御コマンドを含む送信信号が送信された場合、次の処理を実行する。
【0084】
車両制御部56は、第1送信装置22-1から、保持コードメモリ54に記憶されている保持コードに対する、受信した送信信号に含まれるローリングコードの増加量が予め定められた許可範囲内であるか否かを判断する。保持コードに対するローリングコードの増加量が許可範囲内でない場合、車両制御部56は、再同期処理を実行する場合を除き、何ら処理を実行しない。これにより、車両制御部56は、第1送信装置22-1が正常なローリングコードを記憶していない場合、対象装置32に制御コマンドに応じた動作をさせないようにすることができる。
【0085】
車両制御部56は、第1送信装置22-1から、保持コードメモリ54が記憶している保持コードに対する増加量が許可範囲内であるローリングコードおよび制御コマンドを受信した場合、対象装置32に制御コマンドに応じた動作をさせる。これにより、車両制御部56は、第1送信装置22-1に空の制御操作がされていた場合であっても、許容範囲内の回数の空の制御操作であれば、制御コマンドを正常であるとして受け取って、対象装置32に制御コマンドに応じた動作をさせることができる。
【0086】
さらに、車両制御部56は、第1送信装置22-1から、記憶している保持コードに対する増加量が許可範囲内であるローリングコードおよび制御コマンドを受信した場合、受信した送信信号に含まれるローリングコードを保持コードとして保持コードメモリ54に記憶させる。これにより、車両制御部56は、第1送信装置22-1から次に送信信号を受信した場合、保持コードに対するローリングコードの増加量を許可範囲内として、対象装置32に次に受信した送信信号に含まれる制御コマンドに応じた動作をさせることができる。
【0087】
また、さらに、車両制御部56は、第1送信装置22-1から所定値ずつ増加するローリングコードであって、許可範囲内の値でなく且つ予め定められた再同期範囲内の値であるローリングコードおよび制御コマンドを所定回連続して受信した後に、第2送信装置22-2から同期許可コマンドを受信した場合、第1送信装置22-1から受信した送信信号に含まれるローリングコードを保持コードとして保持コードメモリ54に記憶させる再同期処理を実行する。
【0088】
これにより、車両制御部56は、第1送信装置22-1に対して大量の空の制御操作がされてしまった場合であっても、再同期範囲の回数の空の制御操作であれば、記憶している保持コードを、第1送信装置22-1が記憶しているローリングコードに一致させることができる。さらに、車両制御部56は、第1送信装置22-1とは異なる第2送信装置22-2から同期許可コマンドを受信することを条件に再同期処理を実行するので、悪意のある第三者が再同期処理をする可能性を低くすることができる。
【0089】
また、さらに、車両制御部56は、記憶している保持コードに対する増加量が許可範囲および再同期範囲外の値であるローリングコードを受信した場合、対象装置32に制御コマンドに応じた動作を実行させない。これにより、車両制御部56は、空の制御操作がされたとしても現実的に想定されないような値となっているローリングコードを受信した場合には、対象装置32に動作をさせないようにすることができる。これにより、車両制御部56は、ローリングコードが例えば悪意のある第三者に改ざん等されたような場合に、対象装置32に動作をさせないようにすることができる。
【0090】
図12は、ローリングコード、保持コード、許可範囲および再同期範囲の関係を示す図である。
【0091】
ローリングコードは、送信装置22に記憶される。ローリングコードは、所定の桁数の数値である。例えば、ローリングコードは、予め定められた最小値から、予め定められた最大値までの範囲の整数であり、制御操作がされる毎に所定値ずつ増加される。
【0092】
図12の例においては、最小値は“0000”(10進数)である。また、最大値は、“9999”(10進数)である。また、
図12の例においては、ローリングコードは、ユーザによりロックボタン24またはアンロックボタン26を押す操作が1回行われた場合、送信装置22により+1増加される。
【0093】
また、ローリングコードは、所定値増加されることにより最大値を超えた場合に、最小値に戻る巡回値である。例えば、
図12の例においては、ローリングコードは、“9999”に+1増加された場合、“0000”に戻る。
【0094】
保持コードは、制御装置30に記憶される。保持コードは、直前に送信されたローリングコードと同一の値である。
【0095】
許可範囲は、所定値以上、第1値以下の範囲である。所定値は、1回の制御操作によって増加させるローリングコードの増加量である。第1値は、最大値より小さい値である。
【0096】
図12の例においては、保持コードは、0001である。所定値は、1である。また、第1値は、100である。従って、
図12の例においては、ローリングコードが“0002”以上、“0101”以下である場合、制御装置30は、ローリングコードが許可範囲内であると判断する。
【0097】
再同期範囲は、第1値に所定値を加えた値以上、第2値以下の範囲である。第2値は、最大値より小さい値である。
図12の例においては、第2値は、400である。従って、
図12の例においては、ローリングコードが“0102”以上、“0501”以下である場合、制御装置30は、ローリングコードが再同期範囲内であると判断する。
【0098】
ローリングコードが取り得る値の全範囲のうち、許可範囲および再同期範囲を除く範囲は、再同期処理が不可となる範囲である。
図12の例においては、ローリングコードが“0502”以上“9999”以下の範囲、および、“0000”以上“0001”以下の範囲が、再同期処理が不可となる範囲である。
【0099】
図13は、第2実施形態に係る制御装置30の処理の流れを示すフローチャートである。制御装置30は、
図13に示す流れで処理を実行する。
【0100】
まず、S61において、制御装置30は、状態メモリ66に記憶される複数の送信装置22のそれぞれについての状態情報を第1状態に設定する。
【0101】
続いて、S62において、制御装置30は、制御コマンドを含む送信信号を受信して、制御コマンドを復号できたか否かを判断する。制御装置30は、制御コマンドを含む送信信号を受信していない場合(S62のNo)、制御装置30は、処理をS62で待機する。制御装置30は、制御コマンドを含む送信信号を受信して、送信信号に含まれる制御コマンドを復号できた場合(S62のYes)、処理をS63に進める。
【0102】
続いて、S63において、制御装置30は、送信信号に含まれる識別情報が、登録識別情報メモリ52に記憶された何れかの識別情報と一致するか否かを判断する。制御装置30は、送信信号に含まれる識別情報が、登録識別情報メモリ52に記憶された何れの識別情報とも一致しない場合(S63のNo)、処理をS62に戻し、S62から処理を繰り返す。
【0103】
制御装置30は、送信信号に含まれる識別情報が、登録識別情報メモリ52に記憶された何れかの識別情報と一致する場合(S63のYes)、処理をS63に進める。なお、以降の説明においては、識別情報にIDaが含まれており、制御装置30がS62で第1送信装置22-1から制御コマンドを含む送信信号を受信したものとして説明する。
【0104】
続いて、S64において、制御装置30は、保持コードメモリ54から、第1送信装置22-1に対応する保持コードを読み出す。そして、制御装置30は、第1送信装置22-1に対応する保持コードに対する、送信信号に含まれるローリングコードの増加量を算出する。
【0105】
なお、ローリングコードは、同期処理において一致するが、同期処理後においては、保持コードより先行して増加される。そして、ローリングコードは、最大値より大きくなる場合に最小値に値が戻る巡回値である。従って、制御装置30は、ローリングコードが保持コードより大きい場合、送信信号に含まれるローリングコードから、対応する保持コードを減算することにより、増加量を算出する。また、ローリングコードが保持コード以下の場合には、制御装置30は、ローリングコードの最大値から保持コードを減算した値と、送信信号に含まれるローリングコードとを加算した値を、増加量として算出する。
【0106】
続いて、S65において、制御装置30は、S64で算出した増加量が、許容範囲内であるか否かを判断する。許容範囲は、例えば、1以上、100以下である。制御装置30は、増加量が許容範囲内である場合(S65のYes)、処理をS66に進める。増加量が許容範囲内でない場合(S65のNo)、処理をS69に進める。
【0107】
S66において、制御装置30は、送信信号に含まれるローリングコードを、第1送信装置22-1に対応する保持コードとして保持コードメモリ54に記憶させる同期処理を実行する。
【0108】
続いて、S67において、制御装置30は、対象装置32に、第1送信装置22-1から受信した送信信号に含まれる制御コマンドに応じた動作をさせる。例えば、制御装置30は、受信した送信信号にロックコマンドが含まれる場合、対象装置32にドアをロックさせる指示を与えて、対象装置32にドアをロックさせる。また、例えば、制御装置30は、受信した送信信号にアンロックコマンドが含まれる場合、対象装置32にドアをアンロックさせる指示を与えて、対象装置32にドアをアンロックさせる。
【0109】
続いて、S68において、制御装置30は、状態メモリ66に記憶される、第1送信装置22-1についての状態情報を第1状態に設定する。そして、S68の処理を終えると、制御装置30は、処理をS62に戻し、S62から処理を繰り返す。
【0110】
また、S69において、制御装置30は、第1送信装置22-1についての状態情報が、第1状態であるか否かを判断する。制御装置30は、第1送信装置22-1についての状態情報が第1状態である場合(S69のYes)、処理をS70に進める。制御装置30は、第1送信装置22-1についての状態情報が第1状態ではない場合(S69のNo)、処理をS72に進める。
【0111】
S70において、制御装置30は、S64で算出した増加量が、再同期範囲内であるか否かを判断する。再同期範囲は、例えば、101以上、500以下である。制御装置30は、S64で算出した増加量が、再同期範囲内では無い場合(S70のNo)、処理をS62に戻し、S62から処理を繰り返す。制御装置30は、S64で算出した増加量が、再同期範囲内である場合(S70のYes)、処理をS71に進める。
【0112】
S71において、制御装置30は、状態メモリ66に記憶される第1送信装置22-1についての状態情報を、第1状態から第2状態に変更する。
【0113】
続いて、S72において、制御装置30は、再同期処理を実行する。なお、再同期処理については、
図14を参照して後述する。そして、S72の処理を終えると、制御装置30は、処理をS62に戻し、S62から処理を繰り返す。
【0114】
図14は、第2実施形態に係る制御装置30における、S72の再同期処理の流れを示すフローチャートである。制御装置30は、
図13で示したS72において、
図14に示す流れで処理を実行する。
【0115】
まず、S81において、制御装置30は、第1送信装置22-1についての状態情報が、第2状態であるか否かを判断する。制御装置30は、第1送信装置22-1についての状態情報が第2状態ではない場合(S81のNo)、処理をS84に進める。制御装置30は、第1送信装置22-1についての状態情報が第2状態である場合(S81のYes)、処理をS82に進める。
【0116】
S82において、制御装置30は、第1送信装置22-1を識別する識別情報および所定値ずつ増加するローリングコードを含む送信信号を、所定回連続して受信したか否かを判断する。例えば、制御装置30は、第1送信装置22-1を識別する第1識別情報(IDa)および1ずつ増加するローリングコードを含む送信信号を、5回連続して受信したか否かを判断する。すなわち、制御装置30は、第1送信装置22-1に対して制御操作、例えばロックボタン24またはアンロックボタン26を押す操作が、5回連続して行われたか否かを判断する。
【0117】
第1送信装置22-1を識別する識別情報および所定値ずつ増加するローリングコードを含む送信信号を、所定回連続して受信していない場合(S82のNo)、制御装置30は、
図14のフローを抜けて、処理を
図13に示すS62に戻す。第1送信装置22-1を識別する識別情および所定値ずつ増加するローリングコードを含む送信信号を、所定回連続して受信した場合(S82のYes)、制御装置30は、処理をS83に進める。
【0118】
S83において、制御装置30は、第1送信装置22-1についての状態情報を、第2状態から第3状態に変更する。制御装置30は、S83を終えると、処理をS84に進める。
【0119】
S84において、制御装置30は、第1送信装置22-1についての状態情報が、第3状態であるか否かを判断する。第1送信装置22-1についての状態情報が第3状態ではない場合(S84のNo)、制御装置30は、
図14のフローを抜けて、処理を
図13に示すS62に戻す。第1送信装置22-1についての状態情報が第2状態である場合(S84のYes)、制御装置30は、処理をS85に進める。
【0120】
続いて、S85において、制御装置30は、送信信号を受信した場合、送信信号を復号する。そして、制御装置30は、第1送信装置22-1とは異なる送信装置22から、同期許可コマンドを含む送信信号を受信したか否かを判断する。
【0121】
第1送信装置22-1とは異なる送信装置22から、同期許可コマンドを含む送信信号を受信していない場合(S85のNo)、制御装置30は、処理をS85で待機する。第1送信装置22-1とは異なる送信装置22から、同期許可コマンドを含む送信信号を受信した場合(S85のYes)、制御装置30は、処理をS86に進める。
【0122】
S86において、制御装置30は、第1送信装置22-1から受信した所定回連続して受信した送信信号のうち、最後に受信した送信信号に含まれるローリングコードを、保持コードとして保持コードメモリ54に記憶させる再同期処理を実行する。
【0123】
続いて、S87において、制御装置30は、対象装置32に、第1送信装置22-1から受信した所定回連続して受信した送信信号のうち、最後に受信した送信信号に含まれる制御コマンドに応じた動作をさせる。例えば、制御装置30は、最後に受信した送信信号にロックコマンドが含まれる場合、対象装置32にドアをロックさせる指示を与えて、対象装置32にドアをロックさせる。また、例えば、制御装置30は、最後に受信した送信信号にアンロックコマンドが含まれる場合、対象装置32にドアをアンロックさせる指示を与えて、対象装置32にドアをアンロックさせる。
【0124】
続いて、S88において、制御装置30は、第1送信装置22-1についての状態情報を第1状態に設定する。そして、S88の処理を終えると、制御装置30は、
図14のフローを抜けて、処理を
図13に示すS62に戻す。
【0125】
図15は、第2実施形態に係る遠隔制御システム10の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。第2実施形態に係る遠隔制御システム10は、一例として、
図15に示すような流れで処理を実行する。
【0126】
まず、第1送信装置22-1は、ローリングコード(RCa)として、“0001”を記憶しているとする。また、制御装置30は、第1送信装置22-1についての保持コード(RCa_M)として“0001”を記憶しているとする。
【0127】
このような状況において、第1送信装置22-1は、ロックボタン24またはアンロックボタン26が押された場合、ローリングコード(RCa)を+1増加して、“0002”とする。そして、第1送信装置22-1は、“0002”のローリングコードとともに、制御コマンドであるロックコマンドまたはアンロックコマンドを車両20の制御装置30に送信する(S101)。
【0128】
第1送信装置22-1から送信された“0002”のローリングコード(RCa)は、制御装置30が記憶している第1送信装置22-1についての保持コード(RCa_M)からの増加量が“+1”である。従って、制御装置30は、増加量が許容範囲(例えば1以上、100以下)内であるので、受信したローリングコード(RCa)を保持コード(RCa_M)として記憶する同期処理を実行する(S102)。続いて、制御装置30は、対象装置32に、制御コマンドに応じた動作である、ドアのロックまたはアンロックを実行させる(S103)。
【0129】
続いて、第1送信装置22-1は、制御装置30に送信信号が届かない状態において、ロックボタン24またはアンロックボタン26の空押しが多数回行われ、例えば、記憶しているローリングコード(RCa)が“0401”となったとする(S104)。
【0130】
このような状況において、第1送信装置22-1は、ロックボタン24またはアンロックボタン26が押された場合、ローリングコード(RCa)を+1増加して、“0402”とする。そして、第1送信装置22-1は、“0402”のローリングコードとともに、制御コマンドであるロックコマンドまたはアンロックコマンドを車両20の制御装置30に送信する(S105)。しかし、制御装置30は、保持コード(RCa_M)に対するローリングコード(RCa)の増加量が許容範囲(例えば1以上、100以下)内ではないので、同期処理を実行せず、対象装置32に動作も実行させない。
【0131】
第1送信装置22-1は、さらにロックボタン24またはアンロックボタン26が3回連続して押された場合、それぞれの操作毎に、ローリングコード(RCa)を+1増加し、ローリングコードおよび制御コマンドを送信する(S106、S107、S108)。しかし、この場合も、制御装置30は、保持コード(RCa_M)に対するローリングコード(RCa)の増加量が許容範囲内ではないので、同期処理も実行せず、対象装置32に動作も実行させない。
【0132】
第1送信装置22-1は、さらにロックボタン24またはアンロックボタン26が1回押された場合、ローリングコード(RCa)を+1増加し、ローリングコードおよび制御コマンドを送信する(S109)。この場合、制御装置30は、保持コード(RCa_M)に対するローリングコード(RCa)の増加量が許容範囲内ではないが、第1送信装置22-1から+1ずつ増加するローリングコードを5回連続して受信したので、第1送信装置22-1について同期許可コマンドを受付可能な状態に遷移する。
【0133】
続いて、第1送信装置22-1とは異なる第2送信装置22-2は、ロックボタン24およびアンロックボタン26が同時に押された場合、同期許可コマンドを制御装置30に送信する(S110)。制御装置30は、第1送信装置22-1について同期許可コマンドを受付可能な状態において、第1送信装置22-1とは異なる第2送信装置22-2から同期許可コマンドを受信した場合、再同期処理を実行する(S111)。再同期処理において、制御装置30は、5回連続して受信したローリングコードのうちの最後に受信したローリングコードである“0406”を、保持コード(RCa_M)として記憶する。そして、制御装置30は、対象装置32に、5回連続して受信した制御コマンドのうちの最後に受信した制御コマンドに応じた動作である、ドアのロックまたはアンロックを実行させる(S112)。
【0134】
以上のように、制御装置30は、第1送信装置22-1から、記憶している保持コードに対する増加量が許可範囲内であるローリングコードおよび制御コマンドを受信した場合、対象装置32に制御コマンドに応じた動作をさせる。これにより、制御装置30は、車両20に送信信号が届かない状態において第1送信装置22-1に対して制御操作がされた場合であっても、許容範囲内の回数の制御操作であれば、制御コマンドを正常であるとして受け取って、対象装置32に制御コマンドに応じた動作をさせる。これにより、遠隔制御システム10によれば、許容範囲の回数の空の制御操作を許容することができるので、ユーザの使い勝手を良くすることができる。
【0135】
さらに、制御装置30は、第1送信装置22-1から、記憶している保持コードに対する増加量が許可範囲内であるローリングコードおよび制御コマンドを受信した場合、受信したローリングコードを保持コードとして記憶する。これにより、制御装置30は、第1送信装置22-1から、次にローリングコードおよび制御コマンドを受信する場合に、受信するローリングコードを許可範囲内とすることができる。
【0136】
また、さらに、制御装置30は、第1送信装置22-1から所定値ずつ増加するローリングコードであって、許可範囲内の値でなく且つ予め定められた再同期範囲内の値であるローリングコードおよび制御コマンドを所定回連続して受信した後に、第2送信装置22-2から同期許可コマンドを受信した場合、第1送信装置22-1から受信したローリングコードを保持コードとして記憶する再同期処理を実行する。
【0137】
これにより、制御装置30は、車両20に送信信号が届かない状態において第1送信装置22-1に対して多数の制御操作がされても、再同期範囲の回数の制御操作であれば、記憶している保持コードを第1送信装置22-1が記憶しているローリングコードに同期させることができる。また、この場合、制御装置30は、第1送信装置22-1とは異なる第2送信装置22-2から同期許可コマンドを受信するので、悪意の第三者が再同期処理をする可能性を低くすることができる。従って、制御装置30は、記憶する保持コードを第1送信装置22-1が記憶するローリングコードに、高いセキュリティで一致させることができる。
【0138】
また、さらに、制御装置30は、記憶している保持コードに対する増加量が許可範囲および再同期範囲外の値であるローリングコードを受信した場合、対象装置32に制御コマンドに応じた動作を実行させない。再同期範囲は、例えば、車両20に送信信号が届かない状態において第1送信装置22-1に対して多数の制御操作がされた場合における、現実的に想定される操作回数の最大量に設定される。従って、第1送信装置22-1を通常どおり使用している限り、ローリングコードは、記憶している保持コードに対する増加量が許可範囲および再同期範囲外となり得ない。このため、記憶している保持コードに対する増加量が許可範囲および再同期範囲外の値であるローリングコードは、例えば悪意の第三者により改ざん等されたものと考えられる。制御装置30は、このようにローリングコードが例えば悪意のある第三者に改ざん等されたような場合に、対象装置32に動作をさせないようにすることができる。
【0139】
その他、上記実施形態は、何れも本開示を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本開示はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0140】
10 遠隔制御システム、20 車両、22 送信装置、22-1 第1送信装置、22-2 第2送信装置、24 ロックボタン、26 アンロックボタン、30 制御装置、32 対象装置、40 操作部、42 識別情報メモリ、44 ローリングコードメモリ、46 送信制御部、48 無線送信部、50 無線受信部、52 登録識別情報メモリ、54 保持コードメモリ、56 車両制御部、66 状態メモリ