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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131957
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 23/00 20060101AFI20240920BHJP
   B62J 35/00 20060101ALI20240920BHJP
   B62J 31/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B62J23/00 G
B62J23/00 C
B62J35/00 F
B62J23/00 F
B62J31/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042553
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 悠
(57)【要約】
【課題】リザーバタンクへのアクセス性を確保しつつ外観性を向上させ易い鞍乗り型車両を提供する。
【解決手段】鞍乗り型車両は、燃料タンク(29)と、リザーバタンク(39)と、リザーバタンクステー(130)と、インナーカバー(110)と、インナーカバー(110)を側方から覆うタンクシュラウド(60)と、リザーバタンクステー(130)を側方から覆うサイドカバー(100)と、を備え、タンクシュラウド(60)とサイドカバー(100)との間にはパネル(70)が配置され、インナーカバー(110)は、車体側面視において、リアサブフレーム(20b)に車幅方向外側から重複すると共に、リアサブフレーム(20b)にリザーバタンクステー(130)と共締めされ、インナーカバー(110)には、タンクシュラウド(60)と、パネル(70)と、サイドカバー(100)と、が取り付けられる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインフレーム(19a)の上方に配置される燃料タンク(29)と、前記燃料タンク(29)よりも下方に配置されるリザーバタンク(39)と、前記リザーバタンク(39)を支持するリザーバタンクステー(130)と、前記メインフレーム(19a)および前記燃料タンク(29)の側方に配置されるインナーカバー(110)と、前記インナーカバー(110)を側方から覆うタンクシュラウド(60)と、前記リザーバタンクステー(130)を側方から覆うサイドカバー(100)と、を備える鞍乗り型車両において、
前記タンクシュラウド(60)と前記サイドカバー(100)との間にはパネル(70)が配置され、
前記インナーカバー(110)は、車体側面視において、リアサブフレーム(20b)に車幅方向外側から重複すると共に、前記リアサブフレーム(20b)に前記リザーバタンクステー(130)と共締めされ、
前記インナーカバー(110)には、前記タンクシュラウド(60)と、前記パネル(70)と、前記サイドカバー(100)と、が取り付けられる
ことを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
前記リザーバタンクステー(130)は、車幅方向において、前記インナーカバー(110)と前記サイドカバー(100)との間に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記リザーバタンクステー(130)に支持されるリザーバタンク(39)を備え、
前記リザーバタンク(39)の少なくとも一部は、車体幅方向において、前記インナーカバー(110)と前記パネル(70)との間に配置される
ことを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記サイドカバー(100)と前記パネル(70)とで、前記リザーバタンク(39)内の液量を視認させるための窓(99)が形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記窓(99)は、車体側面視において、前記パネル(70)および前記サイドカバー(100)が互いに隣接する縁(91c、91d、101a、102a)において、前記パネル(70)および前記サイドカバー(100)の少なくともいずれか一方に形成された他方から離間する切り欠き(92)である
ことを特徴とする請求項4に記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
前記パネル(70)は、前記タンクシュラウド(60)と係合するミドルパネル(80)と、前記ミドルパネル(80)の後方に配置されるサイドパネル(90)と、により構成される
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブレーキ液を貯蔵するリザーバタンクを備える鞍乗り型車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、メインフレームとシートレールとサブフレームとの間に配置されたリザーバタンクを、外装カバーで覆う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-132350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、リザーバタンクが、メインフレームとシートレールとサブフレームとの間に配置されており、リザーバタンクが車体の内部に配置され易い。このため、リザーバタンクにアクセスし難いという課題がある。また、鞍乗り型車両の一般的な課題として、車体外観性を良好にすることが望まれる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、リザーバタンクへのアクセス性を確保しつつ外観性を向上させ易い鞍乗り型車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鞍乗り型車両は、メインフレームの上方に配置される燃料タンクと、前記燃料タンクよりも下方に配置されるリザーバタンクと、前記リザーバタンクを支持するリザーバタンクステーと、前記メインフレームおよび前記燃料タンクの側方に配置されるインナーカバーと、前記インナーカバーを側方から覆うタンクシュラウドと、前記リザーバタンクステーを側方から覆うサイドカバーと、を備える鞍乗り型車両において、前記タンクシュラウドと前記サイドカバーとの間にはパネルが配置され、前記インナーカバーは、車体側面視において、リアサブフレームに車幅方向外側から重複すると共に、前記リアサブフレームに前記リザーバタンクステーと共締めされ、前記インナーカバーには、前記タンクシュラウドと、前記パネルと、前記サイドカバーと、が取り付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
リザーバタンクへのアクセス性を確保しつつ外観性を向上させ易い鞍乗り型車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。
図2】燃料タンクの周辺の内部配置を示す鞍乗り型車両の右側面図である。
図3】ヘッドライトユニットの周辺を示す鞍乗り型車両の正面図である。
図4図1の要部拡大図である。
図5図4からタンクシュラウドと外装パネルのサイドパネルとの図示を省略した状態を示す図である。
図6図5から外装パネルのミドルパネルとサイドカバーとの図示を省略した状態を示す図である。
図7】右側のインナーカバーの右側面図である。
図8】右側のインナーカバーの正面図である。
図9図9は、右側のインナーカバーの底面図である。
図10】タンクシュラウド、外装パネル、サイドカバー、インナーカバー、リザーバタンクの組み付け構造を車幅方向内側から見た斜視図である。
図11図4のXI-XI線断面図である。
図12図4のXII-XII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の側面図である。
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるパワーユニット12と、前輪13を操舵自在に支持するフロントフォーク14と、後輪15を支持するスイングアーム16と、乗員用のシート17とを備える車両である。
鞍乗り型車両10は、乗員がシート17に跨るようにして着座する車両である。シート17は、車体フレーム11の後部の上方に設けられる。
【0010】
車体フレーム11は、車体フレーム11の前端部に設けられるヘッドパイプ18と、ヘッドパイプ18の後方に位置するフロントフレーム19と、フロントフレーム19の後方に位置するリアフレーム20とを備える。フロントフレーム19の前端部は、ヘッドパイプ18に接続される。
シート17は、リアフレーム20に支持される。
【0011】
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18によって左右に操舵自在に支持される。前輪13は、フロントフォーク14の下端部に設けられる車軸13aに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル21は、フロントフォーク14の上端部に取り付けられる。
【0012】
スイングアーム16は、車体フレーム11に支持されるピボット軸22に支持される。ピボット軸22は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム16の前端部には、ピボット軸22が挿通される。スイングアーム16は、ピボット軸22を中心に上下に揺動する。
後輪15は、スイングアーム16の後端部に設けられる車軸15aに支持される。
【0013】
パワーユニット12は、前輪13と後輪15との間に配置され、車体フレーム11に支持される。
パワーユニット12は、内燃機関である。パワーユニット12は、クランクケース23と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部24とを備える。シリンダー部24の排気ポートには、排気装置25が接続される。
パワーユニット12の出力は、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材によって後輪15に伝達される。
【0014】
また、鞍乗り型車両10は、前輪13を上方から覆うフロントフェンダー26と、後輪15を上方から覆うリアフェンダー27と、乗員が足を載せるステップ28と、パワーユニット12が使用する燃料を蓄える燃料タンク29とを備える。
フロントフェンダー26は、フロントフォーク14に取り付けられる。リアフェンダー27及びステップ28は、シート17よりも下方に設けられる。燃料タンク29は、車体フレーム11に支持される。
【0015】
図2は、燃料タンク29の周辺の内部配置を示す鞍乗り型車両10の右側面図である。
本実施の形態では、フロントフレーム19は、ヘッドパイプ18から後下方に直線状に延びる一本のメインフレーム19aと、メインフレーム19aの後端部から下方に延びる左右一対のピボットフレーム19bと、メインフレーム19aの後端部から上方に延びるセンターフレーム19cと、を備える。
【0016】
リアフレーム20は、センターフレーム19cの上端部から後上方に車両後端部まで延びる左右一対のシートフレーム20a(図1参照)と、左右のピボットフレーム19bの上端部からシートフレーム20aの前後方向中途部まで車幅方向に間隔を広げながら延びる左右一対のリアサブフレーム20bと、を備える。
【0017】
メインフレーム19aの上方には、燃料タンク29が配置される。燃料タンク29はメインフレーム19aよりも左右幅が大きい。燃料タンク29は、上面に給油口29aを有する。燃料タンク29は、前端部29bでメインフレーム19aの前部上方に固定される。燃料タンク29は、後端部29cでセンターフレーム19cの上端部に固定される。燃料タンク29の上部側面には、カバー締結部29dが設けられている。
なお、本実施の形態において、「締結部」や、「共締部」は、締結部材が締結、固定される孔、あるいは、締結部材が挿通される孔が形成された部位について用いる。締結部材としては、例えば、ボルトや、プッシュリベットである。よって、「締結部」や、「共締部」には、締結部材が係合可能に適宜の孔が形成される。
【0018】
燃料タンク29の下方には、箱状のエアクリーナボックス30が配置される。エアクリーナボックス30は、メインフレーム19aの下方に配置される。エアクリーナボックス30は、上下方向において、メインフレーム19aとシリンダー部24との間に配置される。エアクリーナボックス30は、メインフレーム19aに支持される。エアクリーナボックス30の側面には、カバー締結部30aが形成される。
【0019】
エアクリーナボックス30の後方には、イグニッションコイル31が配置される。イグニッションコイル31は、メインフレーム19aの右側に配置される。イグニッションコイル31には、前方に延びるハイテンションコード32が接続されている。ハイテンションコード32は、前方から下方に湾曲してシリンダー部24の点火プラグ33に接続される。点火プラグ33は、シリンダー部24の右側面に固定されている。
【0020】
センターフレーム19cには、リアサスペンション34が接続される。リアサスペンション34は、左右一対のリアサブフレーム20bの間を通って、下方のスイングアーム16(図1参照)に接続される。スイングアーム16には、後輪15の前上方を覆うハガーフェンダ35が取り付けられている。リアサスペンション34の上方には、シート17が配置される。シート17は、シートフレーム20aに支持される。シート17の下方には、リアカバー36が配置される。リアカバー36は、リアサブフレーム20bに支持される。リアカバー36は、左右のシートフレーム20aの後部および左右のリアサブフレーム20bを下方から覆う。リアサブフレーム20bには、リアカバー36を介してグラブレール37が支持される。グラブレール37は、車体側面視では、シート17の後方に延出する(図1参照)。グラブレール37の下方には、左右一対のリアウインカ38(図1参照)が設けられる。
【0021】
本実施の形態の鞍乗り型車両10は、リアサスペンション34の上端部の右側に対応する位置にリザーバタンク39を備える。リザーバタンク39は、燃料タンク29の後下方に位置する。リザーバタンク39は、ブレーキ液が貯蔵される略直方体の容器である。リザーバタンク39は、車体側面視では、メインフレーム19aの上方において、リアサブフレーム20bとセンターフレーム19cとの間に配置される。リザーバタンク39は、少なくとも一部が透明材料で形成され、内部に貯蔵されたブレーキ液の液面が視認可能に構成される。リザーバタンク39の透明部分には、ブレーキ液の上限を示す筋状の上限部39aと、ブレーキ液の下限を示す筋状の下限部39bと、が設けられる。リザーバタンク39には、ブレーキ液配管40が接続される。ブレーキ液配管40は、リアサブフレーム20bの車幅方向外側を前方から後方に越え、その後、下方に湾曲して、ブレーキ用のマスターシリンダ(不図示)に接続される。
【0022】
図3は、ヘッドライトユニット41の周辺を示す鞍乗り型車両10の正面図である。
鞍乗り型車両10は、左右一対のフロントフォーク14を備える。左右一対のフロントフォーク14は、トップブリッジ14a及びボトムブリッジ14bにより、車幅方向に連結される。トップブリッジ14a及びボトムブリッジ14bの車幅方向中央部には、ヘッドパイプ18に回動可能に連結されるステムシャフト(不図示)が支持される。
【0023】
フロントフォーク14の上部前方には、ヘッドライトユニット41が支持される。ヘッドライトユニット41の下方には、ホーン42が配置される。ヘッドライトユニット41の上方には、左右一対のフロントウインカ43が設けられる。フロントウインカ43の上方には、後上がりに延びる板状のスクリーン44が設けられる。
【0024】
図4は、図1の要部拡大図である。
鞍乗り型車両10は、燃料タンク29の上面を覆うタンクキャップカバー45を有する。タンクキャップカバー45は、上下方向に厚みを有する板状に形成される。タンクキャップカバー45は車幅方向中央に配置され、前後方向に延びる。タンクキャップカバー45は、燃料タンク29の上部前面に配置されるキャップカバー前面部46と、キャップカバー前面部46の上端から後方に延びるキャップカバー本体部47と、キャップカバー本体部47の後端から下方に延びる下方延出部48と、を有する。キャップカバー本体部47には、燃料タンク29の給油口29aの位置に対応して開口47aが形成される。キャップカバー前面部46には、左右一対のタンク前面カバー50(図3参照)が支持される。
【0025】
図2図3において、タンク前面カバー50は、燃料タンク29およびエアクリーナボックス30の前方に配置される。タンク前面カバー50は、左右一対配置される。タンク前面カバー50は、車幅方向外側から車幅方向内側に進むに連れて後方に湾曲する内側側面部51と、内側側面部51の車幅方向内端から車幅方向内側に延びる前面部52と、を有する。内側側面部51の前端には、車幅方向外側に凹んだ縦凹部51aが形成される。縦凹部51aは、上下方向に延びる。縦凹部51aよりも前側において、内側側面部51の車幅方向外端には、複数のシュラウド係合孔53a、53bが形成される(図2参照)。
タンク前面カバー50では、前方から流れる走行風が内側側面部51によって車幅方向内側に案内され、前面部52の開口(不図示)や、左右のタンク前面カバー50の間から、タンク前面カバー50の内側(後方)に導風される。
【0026】
タンク前面カバー50の車幅方向外側には、後方に延びるタンクシュラウド60(図4参照)が配置される。タンクシュラウド60は、タンクキャップカバー45の左右に配置される。タンクシュラウド60は、タンク前面カバー50の内側側面部51の前端からシート17の上部前端部まで延びる。タンクシュラウド60は、ヘッドライトユニット41よりも上下方向の大きさが大きい。具体的には、タンクシュラウド60は、タンクキャップカバー45の側部から下方に延び、エアクリーナボックス30の側方にまで延びる。タンクシュラウド60は、燃料タンク29と、エアクリーナボックス30の上部とを側方から覆う。
【0027】
タンクシュラウド60は、図3に示す正面視において、車幅方向外側に膨出する膨出形状を有する。タンクシュラウド60は、タンクキャップカバー45から車幅方向外側に延びる上面部61と、上面部61の車幅方向外側に接続される側面前部62と、側面前部62の後方に接続される側面後部63(図4参照)と、を備える。図4に示すように、タンクシュラウド60の側面後部63には、カバー後縁部63aが形成される。カバー後縁部63aは、車体側面視で、前上方に凹んだように切り欠かれた形状に形成される。カバー後縁部63aには、外装カバーとしての外装パネル70が配置される。
【0028】
外装パネル70は、シート17の前縁17aおよび、前縁17aの下端から後方に延びる下縁17bに沿って配置される。外装パネル70は、タンクシュラウド60からシート17の前端部まで延びる。外装パネル70は、メインフレーム19aに沿って配置される(図1参照)。外装パネル70は、車体側面視でメインフレーム19aに重複する(図1参照)。外装パネル70の後端部には、前上方に切り欠かれた形状の切り欠き92(図4参照)が形成される。
【0029】
図5は、図4からタンクシュラウド60と外装パネル70のサイドパネル90との図示を省略した状態を示す図である。
本実施の形態では、図4図5に示すように、外装パネル70は、前後方向に分割された分割構造である。外装パネル70は、タンクシュラウド60側のミドルパネル80と、ミドルパネル80の後方に配置されるサイドパネル90と、を有する。
【0030】
ミドルパネル80は、車体側面視では、タンクシュラウド60をおおよそ縮小したような側面形状を有する。詳細には、ミドルパネル80は、車体側面視で、下方側から上方に延びるに連れて、前方に延びた後に後方に延びるように湾曲する。換言すれば、ミドルパネル80は、車体側面視で、略J字状に湾曲する。ミドルパネル80は、上方から後方に曲がる車体側面視で帯状のミドルパネル本体部81を有する。ミドルパネル本体部81の幅方向両側(前後両側、上下両側)には、それぞれ、ミドルパネル本体部81の外表面に対して車幅方向内側に凹んで段差状をなす固定片82、83(図5参照)が形成される。固定片82、83は板状に形成される。
【0031】
図5に示すように、ミドルパネル80の前端部下部には、前方に突出するシュラウド共締部81aが形成される。シュラウド共締部81aの上方には、第1のシュラウド締結部84aが形成される。車体側面視において、第1のシュラウド締結部84aの後上方には、第2のシュラウド締結部84bが形成される。第2のシュラウド締結部84bの後方には、第3のシュラウド締結部84cが形成される。第2のシュラウド締結部84bと第3のシュラウド締結部84cとは、ミドルパネル80の上側の固定片82に形成される。第2のシュラウド締結部84bと第1のシュラウド締結部84aとの間には、後方に凹んだ排風凹部85が形成される。排風凹部85は上下方向において後上方に延びており、前後方向では、固定片82からミドルパネル本体部81に延在する。
【0032】
ミドルパネル80の後側の固定片83の下部には、位置決め孔部86aが形成される。位置決め孔部86aには、円形状の孔が形成される。位置決め孔部86aには、弾性部材としての略円環状のグロメット87が装着される。位置決め孔部86aの後上方には、位置調整孔部86bが形成される。位置調整孔部86bには、前後方向に延びる長孔が形成される。位置調整孔部86bは、固定片83の後部に形成される。位置調整孔部86bには、前後方向に延びる楕円状の第2のグロメット88が装着される。
【0033】
後側の固定片83には、後側の固定片83を車幅方向外側から覆うように、サイドパネル90(図4参照)が装着される。図4に示すように、サイドパネル90は、車体側面視では前後方向に延びる。サイドパネル90は、ミドルパネル本体部81の後縁に沿って上方から後方に湾曲する前上縁91aを有する。
【0034】
前上縁91aの後端(一端)には、シート17の前縁17aおよび下縁17bに沿って延びる後上縁91bが形成される。一方、前上縁91aの下端(他端)には、前上縁91aの下端から後下方に延び且つその後に緩やかに後上方に延びる前下縁91cが形成される。後上縁91bと前下縁91cとの間には、前下縁91cから後上方に延びる後縁91dが形成される。後縁91dと前下縁91cとの接続部は、前上方に切り欠いたような縁形状を成している。すなわち、後縁91dと前下縁91cとの接続部には、切り欠き92が形成される。
【0035】
外装パネル70を、ミドルパネル80とサイドパネル90との分割構造にすることにより、外装パネル70の各部を小型化して取り扱い性を向上させることができる。また、例えば、オプションのミドルパネルやサイドパネルを選択可能にすることにより、外装パネル70の一部だけを交換することが可能となり、外観性の自由度を向上させ易くできる。さらに、外装パネル70の一部のみで交換することが可能となるため、メンテナンス時の交換費用を抑制し易くなっている。
【0036】
外装パネル70の後下方には、サイドカバー100が配置される。サイドカバー100は、車体側面視で、略L字状の屈曲形状を有する。サイドカバー100は、図5に示すように、メインフレーム19a(図2参照)に重複する前部101と、前部101の後部下端からリアサブフレーム20b(図2参照)に重複するように後上方に延出する後部102と、を有する。
【0037】
前部101は、ほぼ水平の上縁101aと、上縁101aの前端から後下方に延びる前下縁101bと、を有する。後部102は、前部101の上縁101aの後端から後上方に延びる後上縁102aと、前部101の前下縁101bの後端から後上方に延びる後下縁102bと、後上縁102aの上端と後下縁102bの上端とを接続する上端縁102cと、を有する。図4に示すように、上縁101aは、サイドパネル90の前下縁91cに対向するように配置され、サイドパネル90の前下縁91cに沿って延びる。後上縁102aは、サイドパネル90の後縁91dに対向するように配置され、サイドパネル90の後縁91dに沿って延びる。上端縁102cは、車体側面視で、シート17の下縁17bに対向し、下縁17bに対して離間する。
【0038】
図5に示すサイドカバー100は、上縁101aおよび後上縁102aに沿って配置された複数のパネル係合片103a、103b、103cを有する。パネル係合片103a~103cには、締結用の孔が形成される。本実施の形態では、パネル係合片103a、103bは、上縁101aに形成される。パネル係合片103cは、後上縁102aに形成される。中央のパネル係合片103bは、リザーバタンク39に車体側面視で重複する。
【0039】
前部101の後部、および後部102の上部には、締結部材により締結される締結部104a、104bが形成される。
【0040】
図6は、図5から外装パネル70のミドルパネル80とサイドカバー100との図示を省略した状態を示す図である。
タンクシュラウド60、外装パネル70、サイドカバー100の車幅方向内側には、インナーカバー110が配置される。タンクシュラウド60、外装パネル70、サイドカバー100は、インナーカバー110を車幅方向外側から覆う。タンクシュラウド60、外装パネル70、サイドカバー100は、インナーカバー110と係合する。
【0041】
図7は、右側のインナーカバー110の右側面図である。
右側のインナーカバー110は、車体幅方向外側に膨出するように湾曲し(図8参照)、且つ、前後方向に延びるインナー本体部111と、車体幅方向内側を経由するように湾曲し(図8参照)、且つ、インナー本体部111の後端部から前下方に延出するステー部121と、を有する。
【0042】
図6に示すように、インナー本体部111は、燃料タンク29の側方に配置される。インナー本体部111は、シート17の前端部から前方に延びており、燃料タンク29の後部を覆う。
図7に示すように、インナー本体部111は、前後方向に延びるインナー下部111aと、インナー下部111aの前後方向中央部から上方に台形状に突出するインナー上部111bとを備える。インナー下部111aの後部上縁と、インナー上部111bの上部後縁とにより、略L字状のシート被覆部111cが形成される。シート被覆部111cは、インナー本体部111の外周側に進むに連れて車幅方向内側に傾斜する。
【0043】
インナー下部111aは水平方向に対してやや後上がりに延びる。インナー下部111aは、上下幅を有しており車体側面視では帯状に延びる。インナー下部111aは、車体側面視では、エアクリーナボックス30からリアサブフレーム20bに重複する位置まで延びる(図6参照)。
【0044】
インナー下部111aの前端には、ボックス締結部112aが形成される。ボックス締結部112aの後部には、段差状に車幅方向内側に凹んだ位置に形成されたシュラウド共締部113aが形成される。シュラウド共締部113aの後方には、矩形孔が形成された第1のミドル係合部114aが形成される。第1のミドル係合部114aの後上方には、矩形孔が形成された第2のミドル係合部114bが形成される。第2のミドル係合部114bの後上方には、矩形孔が形成された第3のミドル係合部114cが形成される。
【0045】
第1のミドル係合部114aと第2のミドル係合部114bとの間には、車幅方向内側に凹んだ差込凹部115aが形成される。差込凹部115aは、円形状に凹んでいる。差込凹部115aは、車体側面視で、ミドルパネル80の位置決め孔部86aと重複するように形成される。
第2のミドル係合部114bの後方であって第3のミドル係合部114cの下方には、略矩形状に開口する差込開口部115bが形成される。差込開口部115bは、車体側面視で、前後方向に延びており、ミドルパネル80の位置調整孔部86bと重複する。
【0046】
第3のミドル係合部114cの前上方には、矩形孔が形成されたシュラウド係合部113bが形成される。
【0047】
インナー本体部111の上部には、締結孔が形成されたカバー締結片116aが形成される。カバー締結片116aの後方には、車幅方向内部に傾斜して締結孔が形成されたカバー締結片116bが形成される。カバー締結片116bの下方には、インナー上部111bとインナー下部111aとの間に対応して、フレーム締結部117aが形成される。フレーム締結部117aはインナー本体部111に対して車幅方向内側に段差状に凹んで形成される(図8参照)。フレーム締結部117aの後方には、フレーム締結部117bが形成される。
【0048】
インナー下部111aの後端には、カバー締結部118aが形成される。カバー締結部には、車幅方向内側に向けて上方に傾斜する貫通孔が形成される。カバー締結部118aの前方において、インナー下部111aの後部には、上方に切り欠かれたリザーバ回避部119が形成される。
【0049】
図8は、右側のインナーカバー110の正面図である。図9は、右側のインナーカバー110の底面図である。
図7図9に示すように、インナー下部111aの後端部には、前下方に延出するステー部121が形成される。ステー部121は、リアサブフレーム20bよりも車幅方向外側に配置される。ステー部121は、リザーバ回避部119よりも後方から前下方に延出する。ステー部121は、リアサブフレーム20bの傾斜形状に対応する傾斜で後下方に延出する。ステー部121は、車体側面視では、リアサブフレーム20bに重複する。
【0050】
ステー部121は、断面略U字状に形成される。詳細には、ステー部121は、車幅方向に厚みを有する板状の内面部121aと、内面部121aの後側の側端から車幅方向外側に突出する壁部121bと、内面部121aの前側の側端から車幅方向外側に突出する壁部121cと、が形成される。内面部121aと、前後の壁部121b、121cとにより、断面略U字状のステー部121が形成される。
【0051】
ステー部121の基端部には、サイド締結部122aが形成される。ステー部121の先端部には、円筒状のサイド締結部122bが形成される。サイド締結部122bは、車体側面視でメインフレーム19aと重複する(図6参照)。
ステー部121の内面部121aの長手方向両端部には、内面部121aを厚み方向に貫通する孔が形成されたステー共締部123a、123bが設けられる。
ステー部121の後側の壁部121bの下部には、車幅方向内側に凹状に切り欠かれた配管通し部124aが形成される。
【0052】
ここで、図6に示すように、インナーカバー110では、ボックス締結部112aが、エアクリーナボックス30のカバー締結部30a(図2参照)に締結される。また、カバー締結片116aが、タンクキャップカバー45と共に燃料タンク29のカバー締結部29dに締結される。さらに、フレーム締結部117aがセンターフレーム19cに締結される。また、フレーム締結部117bがシートフレーム20aに締結される。さらに、カバー締結部118aがリアカバー36に締結される。なお、シート被覆部111cはシート17で上方から覆われる。これにより、インナーカバー110は、燃料タンク29の下部と、エアクリーナボックス30を車幅方向の外方から覆うように車体に支持される。
【0053】
このとき、図6に示すように、インナーカバー110のステー部121には、リザーバタンクステー130が支持される。リザーバタンクステー130は、ステー部121に沿って延びる金属板である。リザーバタンクステー130は、ステー部121の内面部121aよりも幅狭に形成される。リザーバタンクステー130の上下には締結部131、132が形成される。上下一対の締結部131、132の間には、リザーバ取付部133が形成される。
【0054】
リザーバタンクステー130は、上下一対の締結部131、132が、インナーカバー110のステー共締部123a、123b(図7参照)と共に、リアサブフレーム20bに締結される。すなわち、リザーバタンクステー130は、インナーカバー110のステー部121と共に、リアサブフレーム20bに共締めされて固定される。
【0055】
リザーバタンクステー130のリザーバ取付部133には、リザーバタンク39が取付られる。リザーバタンク39は、車幅方向に延びる軸状の固定部材によりリザーバタンクステー130に固定される。これにより、リザーバタンク39は、ステー部121とインナー本体部111との間にリザーバ回避部119に進入した状態で配置される。リザーバタンク39から延びるブレーキ液配管40は、ステー部121の車幅方向外側においてステー部121を前後に跨いで配置される。ブレーキ液配管40は、ステー部121の配管通し部124aを通ってステー部121の後方に延びる。ブレーキ液配管40は、下方のブレーキ用のマスターシリンダ(不図示)に接続される。
【0056】
図10は、タンクシュラウド60、外装パネル70、サイドカバー100、インナーカバー110、リザーバタンク39の組み付け構造を車幅方向内側から見た斜視図である。
本実施の形態の鞍乗り型車両10では、インナーカバー110に、タンクシュラウド60、外装パネル70、サイドカバー100が取り付けられる。
詳細には、タンクシュラウド60と外装パネル70のミドルパネル80とは一体化されて、インナーカバー110に取り付けられる。すなわち、タンクシュラウド60の内面には、外装パネル70のミドルパネル80が予め取り付けられる。ミドルパネル80のシュラウド締結部84a~84cには、車幅方向内面から締結部材が挿通され、これらの締結部材がタンクシュラウド60に締結される。これにより、タンクシュラウド60とミドルパネル80が一体化される。
【0057】
同様に、サイドカバー100と外装パネル70のサイドパネル90とは一体化されて、インナーカバー110に取り付けられる。すなわち、サイドカバー100の内面には、外装パネル70のサイドパネル90が予め取り付けられる。サイドカバー100のパネル締結片103a~103cには、車幅方向内面から締結部材が挿通され、これらの締結部材がサイドパネル90に締結される。これにより、サイドカバー100とサイドパネル90が一体化される。
【0058】
一体化されたタンクシュラウド60およびミドルパネル80において、タンクシュラウド60の内面前端に形成された爪部65a、65b(図4図10参照)が、タンク前面カバー50の前端のシュラウド係合孔53a、53b(図2参照)に係合される。また、タンクシュラウド60の内面後端に形成された差込爪部67a(図4図5参照)がインナーカバー110のシュラウド係合部113bに差し込まれて係合される。また、ミドルパネル80の内面の差込爪部89a、89b、89c(図10参照)が、インナーカバー110のミドル係合部114a、114b、114cに差し込まれて係合する。これにより、インナーカバー110に、一体化されたタンクシュラウド60およびミドルパネル80が仮止めされる。
【0059】
そして、タンクシュラウド60は、タンク前面カバー50の上下の締結部54a、54b(図2参照)に、タンクシュラウド60の内面前端の被締結部66a、66b(図10参照)が締結される。また、タンクシュラウド60の外表面において、前側の締結部64aが、ミドルパネル80のシュラウド共締部81aと共に、インナーカバー110のシュラウド共締部113aに締結される。さらに、タンクシュラウド60は、後側の締結部64bが、タンクキャップカバー45に締結される。これにより、タンクシュラウド60およびミドルパネル80が、インナーカバー110に取り付けられた状態で車体に固定される。なお、このとき、ミドルパネル80の前側の固定片82はタンクシュラウド60に覆われる。このとき、排風凹部85はタンクシュラウド60と共に開口形状を形成し、タンクシュラウド60の内側に進入した走行風排風する排風口として機能する。
【0060】
また、一体化されたサイドパネル90およびサイドカバー100において、ミドルパネル80の位置決め孔部86a(図4参照)と位置調整孔部86b(図4参照)とには、サイドパネル90の内面の差込部94a、94b(図4参照)がそれぞれ差し込まれる。差込部94a、94bは、サイドパネル90の内面から車幅方向内側に突出し且つ先端が膨出した形状である。前側の差込部94aは、位置決め孔部86aの円形のグロメット87に差し込まれて、先端の膨出形状により仮抜け止め状態となる。同様に、後側の差込部94bは、位置調整孔部86bの楕円形の第2のグロメット88に差し込まれて、先端の膨出形状により仮抜け止め状態となる。これにより、インナーカバー110に、一体化されたサイドパネル90およびサイドカバー100が、ミドルパネル80を介して仮止めされる。
【0061】
ここで、前側の差込部94aは、先端(内端)が、インナーカバー110の円形の差込凹部115aに突き当て可能である。よって、差込部94aの先端をインナーカバー110の差込凹部115aに突き当てることにより、インナーカバー110に対して位置決めされる。これに対して、後側の差込部94bは、位置調整孔部86bの楕円形の第2のグロメット88に挿入されると共に、インナーカバー110の差込開口部115bを貫通可能である。よって、仮に、サイドパネル90に形状誤差があり、前後の差込部94a、94bの距離などに形状誤差があっても、後側の差込部94bが楕円形の第2のグロメット88内を移動した状態で装着される。よって、形状誤差を吸収してサイドパネル90をミドルパネル80に係合させ易くなっている。
【0062】
サイドカバー100の締結部104a、104bは、インナーカバー110のサイド締結部122a、122bに締結される。これにより、サイドパネル90およびサイドカバー100が、インナーカバー110に取り付けられた状態で車体に固定される。
【0063】
したがって、本実施の形態では、インナーカバー110は、インナー本体部111とステー部121とを一体に備えることにより、車体外側面を形成するタンクシュラウド60、外装パネル70、および、サイドカバー100を、一つのインナーカバー110を起点にして車体に取り付けることができる。よって、複数の外装カバーを有する構成であっても、カバー同士の形状誤差を目立ち難くできる。
【0064】
本実施の形態では、インナーカバー110に、タンクシュラウド60、外装パネル70、サイドカバー100が取り付けられると、リザーバタンク39は、図4に示すように、外装パネル70およびサイドカバー100に覆われる。本実施の形態では、リザーバタンク39は、車体側面視で、外装パネル70とサイドカバー100との境界部に重複する。具体的には、外装パネル70におけるサイドパネル90の前下縁91cおよび後下縁91dと、サイドカバー100の上縁101aおよび後上縁102aと、により形成される境界部に、リザーバタンク39は車体側面視で重複する。サイドパネル90には、切り欠き92が形成されており、切り欠き92とサイドカバー100の上縁101aと後上縁102aとで囲まれた開口状の窓99が形成されている。窓99を通じて、リザーバタンク39が車幅方向外側に露出する。本実施の形態では、車体側面視において、窓99の内側にはリザーバタンク39の下限部39bが位置し、下限部39bの上方部分が窓99を通じて車幅方向外側から視認可能である(図4参照)。
【0065】
図11は、図4のXI-XI線断面図である。図12は、図4のXII-XII線断面図である。
リザーバタンク39は、正面視で、インナーカバー110のリザーバ回避部119に進入した状態で配置される。リザーバタンク39の左部(車幅方向内側部)は、正面視で、インナーカバー110のインナー下部111aとステー部121との間に進入した状態で配置される。リザーバタンク39は、厚み中心(左右幅の中心)39Lが、インナーカバー110と交差するように配置される。すなわち、リザーバタンク39は、インナーカバー110に対して車幅方向外側に偏った状態で配置される。インナーカバー110と、その車幅方向外側のサイドカバー100との間に生じるスペースを、リザーバタンク39の配置スペースとして有効活用することができる。また、リザーバタンク39をインナーカバー110に対して車幅方向外側に偏らせて配置することにより、インナーカバー110よりも車幅方向内側の空間を他の部品配置スペースとして活用し易くできる。本実施の形態では、リザーバタンク39の車幅方向内側には、電気ハーネスが接続される電装部品140が配置される。
リザーバタンク39は、車体フレーム11よりも車幅方向外側に配置されており、車幅方向外側から作業者がアクセスし易くなっている。
【0066】
以上説明したように、本発明を適用した本実施の形態によれば、メインフレーム19aの上方に配置される燃料タンク29と、燃料タンク29よりも下方に配置されるリザーバタンク39と、リザーバタンク39を支持するリザーバタンクステー130と、メインフレーム19aおよび燃料タンク29の側方に配置されるインナーカバー110と、インナーカバー110を側方から覆うタンクシュラウド60と、リザーバタンクステー130を側方から覆うサイドカバー100と、を備える鞍乗り型車両10において、タンクシュラウド60とサイドカバー100との間には外装パネル70が配置され、インナーカバー110は、車体側面視において、リアサブフレーム20bに車幅方向外側から重複すると共に、リアサブフレーム20bにリザーバタンクステー130と共締めされ、インナーカバー110には、タンクシュラウド60と、外装パネル70と、サイドカバー100と、が取り付けられる。
【0067】
この構成によれば、リザーバタンクステー130が、リアサブフレーム20bよりも車幅方向外側に位置するインナーカバー110に取付けられるため、リザーバタンクステー130がリアサブフレーム20bよりも車幅方向外側に配置され易い。よって、リザーバタンクステー130に支持されるリザーバタンク39に、車幅方向外側からアクセスし易くできる。また、インナーカバー110が、リザーバタンクステー130と共締めされる形状であるために、リザーバタンクステー130を覆うサイドカバー100をインナーカバー110に取り付ける構成とすることができる。
【0068】
よって、鞍乗り型車両10に、タンクシュラウド60や、外装パネル70、サイドカバー100等の外装カバーを多用する場合であっても、取付箇所を、インナーカバー110の一部品に集約できるので、インナーカバー110を基準として、各外装カバーの位置決めを行って外装カバーの累積的な公差を抑制することができる。よって、取付後の外装カバー間の位置ズレによる隙間等、意匠性を損ない難くできる。また、カスタマイズ等で外装カバーをオプション品に変更する場合であっても、取付箇所をインナーカバー110の一部品に集約できるので、取替え作業を容易にできる。さらに、インナーカバー110はステー部112が一体形状であり、リアサブフレーム20bの溶接跡・締結箇所等を隠しつつ、リアサブフレーム20bに他部品としてのリザーバタンクステー130と共締めされるので、ステー部112が別体である場合に比べて部品点数削減に伴う組立性向上と、意匠性向上と、を両立できる。
以上より、本実施の形態では、リザーバタンク39へのアクセス性を確保しつつ外観性を向上させ易い鞍乗り型車両10を提供することができる。
【0069】
本実施の形態では、リザーバタンクステー130は、車幅方向において、インナーカバー110とサイドカバー100との間に配置される。
この構成によれば、リザーバタンクステー130を、インナーカバー110とサイドカバー100との間に配置するので、インナーカバー110とサイドカバー100との間の空間を、リザーバタンクステー130の機器搭載スペースとして有効活用でき、鞍乗り型車両10のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0070】
また、本実施の形態では、リザーバタンクステー130に支持されるリザーバタンク39を備え、リザーバタンク39は、車体幅方向において、インナーカバー110と外装パネル70との間に少なくとも一部が配置される。
この構成によれば、リザーバタンク39の少なくとも一部を、インナーカバー110とサイドカバー100との間に配置するので、インナーカバー110とサイドカバー100との間の空間を、リザーバタンク39の機器搭載スペースとして有効活用でき、鞍乗り型車両10のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0071】
また、本実施の形態では、サイドカバー100と外装パネル70とで、リザーバタンク39内の液量を視認させるための窓99が形成される。
この構成によれば、外装カバーに、リザーバタンク39内の液量を視認させるための窓99が形成されるので、外装カバーでリザーバタンク39が覆われる構成であっても、簡単に液量を確認でき、メンテナンス性を高めることができる。
【0072】
また、本実施の形態では、窓99は、車体側面視において、外装パネル70のサイドパネル90およびサイドカバー100が互いに隣接する縁91c、91d、101a、102aにおいて、外装パネル70のサイドパネル90に形成されたサイドカバー100から離間する切り欠き92である。
この構成によれば、外装パネル70のサイドパネル90の縁91c、91dに切り欠き92を設けることで、窓99を簡単に構成できる。
【0073】
また、本実施の形態では、外装パネル70は、タンクシュラウド60と係合するミドルパネル80と、ミドルパネル80の後方に配置されるサイドパネル90と、により構成される。
この構成によれば、外装パネル70は、前側のタンクシュラウド60と後側のサイドカバー100との間に配置されるために、車体側面視で目立ち易いが、この外装パネル70を、ミドルパネル80とサイドパネル90との複数のパネルにより構成することで、外観性の向上を期待できる。
【0074】
[他の実施の形態]
上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0075】
上記実施の形態では、外装パネル70は、ミドルパネル80とサイドパネル90とを有し、前後に二分割される構造を説明したが、これに限定されない。例えば、外装パネル70は、ミドルパネル80とサイドパネル90とが一体の形状でもよく、ミドルパネル80とサイドパネル90との位置決め孔部85aや位置調整孔部85bが省略されてもよい。また、ミドルパネル80とサイドパネル90とが一体に形成された外装パネル70においては、タンクシュラウド60や、サイドカバー100との接続部に、位置決め孔部85aや位置調整孔部85bを設けてもよい。
【0076】
また、上記実施の形態では、窓99は、車体側面視において、外装パネル70のサイドパネル90に形成された切り欠き92である構成を説明したが、窓99の構成はこれに限定されない。例えば、窓99は、車体側面視において、外装パネル70のサイドパネル90およびサイドカバー100が互いに隣接する縁91c、91d、101a、102aにおいて、サイドカバー100に形成された外装パネル70から離間する切り欠きでもよい。また、外装パネル70およびサイドカバー100の両方に切り欠きを設け、両方の切り欠きが対向することで、窓を形成してもよい。
【0077】
上記実施の形態では、鞍乗り型車両10として前輪13と後輪15とを有する自動二輪車を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を2つ備えた3輪の鞍乗り型車両や4輪以上を備えた鞍乗り型車両に適用可能である。
【0078】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0079】
(構成1)メインフレームの上方に配置される燃料タンクと、前記燃料タンクよりも下方に配置されるリザーバタンクと、前記リザーバタンクを支持するリザーバタンクステーと、前記メインフレームおよび前記燃料タンクの側方に配置されるインナーカバーと、前記インナーカバーを側方から覆うタンクシュラウドと、前記リザーバタンクステーを側方から覆うサイドカバーと、を備える鞍乗り型車両において、前記タンクシュラウドと前記サイドカバーとの間にはパネルが配置され、前記インナーカバーは、車体側面視において、リアサブフレームに車幅方向外側から重複すると共に、前記リアサブフレームに前記リザーバタンクステーと共締めされ、前記インナーカバーには、前記タンクシュラウドと、前記パネルと、前記サイドカバーと、が取り付けられることを特徴とする鞍乗り型車両。
この構成によれば、リザーバタンクステーが、リアサブフレームよりも車幅方向外側に位置するインナーカバーに取付けられるため、リザーバタンクステーがリアサブフレームよりも車幅方向外側に配置され易い。よって、リザーバタンクステーに支持されるリザーバタンクに車幅方向外側からアクセスし易くできる。また、インナーカバーが、リザーバタンクステーと共締めされる形状であるために、リザーバタンクステーを覆うサイドカバーをインナーカバーに取り付ける構成とすることができる。
よって、鞍乗り型車両の外装に複数のカバー・パネルを多用する場合であっても、取付箇所をインナーカバーの一部品に集約できるので、取付後のカバー・パネル間のズレ・隙間等を抑制でき、意匠性を損なうことを抑制できる。また、カスタマイズ等でカバー・パネル等を変更する場合であっても、取付箇所をインナーカバーの一部品に集約できるので、取替え作業を容易にできる。さらに、インナーカバーは、リアサブフレームに車幅方向外側から重複する形状であるため、リアサブフレームの溶接跡・締結箇所等を隠しつつ、リアサブフレームに他部品としてのリザーバタンクステーと共締めされるので、部品点数削減に伴う組立性向上と、意匠性向上と、を両立できる。
よって、この構成によれば、リザーバタンクへのアクセス性を確保しつつ外観性を向上させ易くできる。
【0080】
(構成2)前記リザーバタンクステーは、車幅方向において、前記インナーカバーと前記サイドカバーとの間に配置されることを特徴とする構成1に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、リザーバタンクステーを、インナーカバーとサイドカバーとの間に配置するので、インナーカバーとサイドカバーとの間の空間を、リザーバタンクステーの機器搭載スペースとして有効活用でき、鞍乗り型車両のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0081】
(構成3)前記リザーバタンクステーに支持されるリザーバタンクを備え、前記リザーバタンクの少なくとも一部は、車体幅方向において、前記インナーカバーと前記パネルとの間に配置されることを特徴とする構成1または2に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、リザーバタンクの少なくとも一部を、インナーカバーとサイドカバーとの間に配置するので、インナーカバーとサイドカバーとの間の空間を、リザーバタンクの機器搭載スペースとして有効活用でき、鞍乗り型車両のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0082】
(構成4)前記サイドカバーと前記パネルとで、前記リザーバタンク内の液量を視認させるための窓が形成されることを特徴とする構成1から3のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、外装カバーに、リザーバタンク内の液量を視認させるための窓が形成されるので、外装カバーでリザーバタンクが覆われる構成であっても、簡単に液量を確認でき、メンテナンス性を高めることができる。
【0083】
(構成5)前記窓は、車体側面視において、前記パネルおよび前記サイドカバーが互いに隣接する縁において、前記パネルおよび前記サイドカバーの少なくともいずれか一方に形成された他方から離間する切り欠きであることを特徴とする構成4に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、カバー、パネルの少なくともいずれか一方の縁に切り欠きを設けることで、窓を簡単に構成できる。
【0084】
(構成6)前記パネルは、前記タンクシュラウドと係合するミドルパネルと、前記ミドルパネルの後方に配置されるサイドパネルと、により構成されることを特徴とする構成1から5のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、パネルは、前側のタンクシュラウドと後側のサイドカバーとの間に配置されるために、車体側面視で目立ち易いが、このパネルを、ミドルパネルとサイドパネルとの複数のパネルにより構成することで、外観性の向上を期待できる。
【符号の説明】
【0085】
10 鞍乗り型車両
19a メインフレーム
20b リアサブフレーム
29 燃料タンク
39 リザーバタンク
60 タンクシュラウド
70 外装パネル(パネル)
80 ミドルパネル
90 サイドパネル
91c 縁
91d 縁
92 切り欠き
99 窓
100 サイドカバー
101a 縁
102a 縁
110 インナーカバー
130 リザーバタンクステー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12