(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131972
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/40 20180101AFI20240920BHJP
【FI】
G16H20/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042581
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】500409219
【氏名又は名称】学校法人関西医科大学
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今田 崇裕
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA00
(57)【要約】
【課題】透析治療内容を変更する際の医療従事者の負担を軽減する。
【解決手段】取得部151は、第1時系列データおよび第2時系列データの少なくとも一方の時系列データを取得する。表示制御部152は、取得された上記時系列データを表示部に表示させる。入力受付部は、表示部に表示された上記時系列データにおいて、上記複数の項目のうちの少なくとも一つの項目について複数日における複数の数値の選択を受け付ける。取得部151は、処方される薬剤または透析条件に関する少なくとも一つの変更項目候補を含む複数の変更項目グループのうちから、上記複数の数値に応じて選択された変更項目グループを取得する。表示制御部152は、取得された上記変更項目グループに含まれる少なくとも一つの変更項目候補を表示部162に表示させる。入力受付部153は、表示部162に表示された上記少なくとも一つの変更項目候補に関する変更指示を受け付ける。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数日に実施された患者の血液検査に関する複数の項目を含む血液データを時系列に並べた第1時系列データ、および、複数日に前記患者に対して実施された透析に関する複数の項目を含む透析データを時系列に並べた第2時系列データの、少なくとも一方の時系列データを取得する取得部と、
取得された前記時系列データを表示部に表示させる表示制御部と、
前記表示部に表示された前記時系列データにおいて、前記複数の項目のうちの少なくとも一つの項目について複数日における複数の数値の選択を受け付ける入力受付部とを備え、
前記取得部は、処方される薬剤または透析条件に関する少なくとも一つの変更項目候補を含む複数の変更項目グループのうちから、前記複数の数値に応じて選択された変更項目グループを取得し、
前記表示制御部は、取得された前記変更項目グループに含まれる少なくとも一つの変更項目候補を前記表示部に表示させ、
前記入力受付部は、前記表示部に表示された前記少なくとも一つの変更項目候補に関する変更指示を受け付ける、情報処理装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記少なくとも一つの変更項目候補を優先順位の高い変更項目候補から順に表示させる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記取得部は、選択された前記複数の数値が入力されることによって変更指示候補を出力する学習済モデルから、前記変更指示候補を取得する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記学習済モデルは、第1学習済モデル、第2学習済モデルおよび第3学習済モデルを含み、
前記第1学習済モデルは、前記血液データおよび前記透析データと前記変更指示とに関する患者毎の集積データに基づいて生成されており、
前記第2学習済モデルは、前記血液データおよび前記透析データと前記変更指示とに関する施設毎の複数の患者の集積データに基づいて生成されており、
前記第3学習済モデルは、前記血液データおよび前記透析データと前記変更指示とに関する複数の施設の複数の患者の集積データに基づいて生成されている、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記学習済モデルを記憶するサーバ装置と通信可能に構成されており、
前記取得部は、前記サーバ装置から前記変更指示候補を取得する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記入力受付部が受け付けた前記血液データおよび前記透析データと前記変更指示とを前記サーバ装置に送信する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
複数日に実施された患者の血液検査に関する血液データを時系列に並べた第1時系列データ、および、複数日に前記患者に対して実施された透析に関する透析データを時系列に並べた第2時系列データの、少なくとも一方の時系列データを取得するステップと、
取得された前記時系列データを表示するステップと、
表示した前記時系列データにおいて、少なくとも一つの項目について複数日における複数の数値の選択を受け付けるステップと、
選択された前記複数の数値に応じて、処方される薬剤または透析条件に関する少なくとも一つの変更項目候補を含む変更項目グループを取得するステップと、
取得された前記変更項目グループに含まれる少なくとも一つの変更項目候補を表示するステップと、
表示した前記少なくとも一つの変更項目候補に関する変更指示を受け付けるステップとを備える、情報処理方法。
【請求項8】
複数日に実施された患者の血液検査に関する複数の項目を含む血液データを時系列に並べた第1時系列データ、および、複数日に前記患者に対して実施された透析に関する複数の項目を含む透析データを時系列に並べた第2時系列データの、少なくとも一方の時系列データを取得するするステップと、
取得された前記時系列データを表示するステップと、
表示した前記時系列データにおいて、前記複数の項目のうちの少なくとも一つの項目について複数日における複数の数値の選択を受け付けるステップと、
処方される薬剤または透析条件に関する少なくとも一つの変更項目候補を各々含む複数の変更項目グループのうちから前記複数の数値に応じて選択された変更項目グループを取得するステップと、
取得された前記変更項目グループに含まれる少なくとも一つの変更項目候補を表示するステップと、
表示した前記少なくとも一つの変更項目候補に関する変更指示を受け付けるステップとを、
プロセッサに実行させる、プログラム。
【請求項9】
複数日に実施された患者の血液検査に関する複数の項目を含む血液データを時系列に並べた第1時系列データ、および、複数日に前記患者に対して実施された透析に関する複数の項目を含む透析データを時系列に並べた第2時系列データを、記憶したサーバ装置と、
前記サーバ装置から、前記第1時系列データおよび前記第2時系列データの少なくとも一方の時系列データを取得する情報処理装置とを備え、
前記情報処理装置は、
取得された前記時系列データを表示し、
表示した前記時系列データにおいて、前記複数の項目のうちの少なくとも一つの項目について複数日における複数の数値の選択を受け付け、
処方される薬剤または透析条件に関する少なくとも一つの変更項目候補を各々含む複数の変更項目グループのうちから前記複数の数値に応じて選択された変更項目グループを取得し、
取得された前記変更項目グループに含まれる少なくとも一つの変更項目候補を表示し、
表示した前記少なくとも一つの変更項目候補に関する変更指示を受け付ける、情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
透析管理システムの構成を開示した先行技術文献として、特開2017-10165号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された透析管理システムは、記憶部と、取得部と、画面生成部とを備える。記憶部は、透析治療方法毎に、当該透析治療方法用の画面に表示する表示情報を記憶する。取得部は、入力された患者IDに対応する透析治療方法を取得する。画面生成部は、取得した透析治療方法に対応する表示情報を表示情報記憶部から読み出し、読み出した表示情報を用いて透析治療方法用の画面を生成し、表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
透析治療において治療経過に応じて治療内容を変更する際に、多数の治療項目の選択肢の中から一つの治療項目を選択することは、医師などの医療従事者の負担が大きい。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、透析治療内容を変更する際の医療従事者の負担を軽減することができる、情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の局面に基づく情報処理装置は、取得部と、表示制御部と、入力受付部とを備える。取得部は、複数日に実施された患者の血液検査に関する複数の項目を含む血液データを時系列に並べた第1時系列データ、および、複数日に上記患者に対して実施された透析に関する複数の項目を含む透析データを時系列に並べた第2時系列データの、少なくとも一方の時系列データを取得する。表示制御部は、取得された上記時系列データを表示部に表示させる。入力受付部は、表示部に表示された上記時系列データにおいて、上記複数の項目のうちの少なくとも一つの項目について複数日における複数の数値の選択を受け付ける。取得部は、処方される薬剤または透析条件に関する少なくとも一つの変更項目候補を含む複数の変更項目グループのうちから、上記複数の数値に応じて選択された変更項目グループを取得する。表示制御部は、取得された上記変更項目グループに含まれる少なくとも一つの変更項目候補を表示部に表示させる。入力受付部は、表示部に表示された上記少なくとも一つの変更項目候補に関する変更指示を受け付ける。
【0007】
本発明の一形態においては、表示制御部は、上記少なくとも一つの変更項目候補を優先順位の高い変更項目候補から順に表示させる。
【0008】
本発明の一形態においては、取得部は、選択された上記複数の数値が入力されることによって変更指示候補を出力する学習済モデルから、上記変更指示候補を取得する。
【0009】
本発明の一形態においては、上記学習済モデルは、第1学習済モデル、第2学習済モデルおよび第3学習済モデルを含む。第1学習済モデルは、上記血液データおよび上記透析データと上記変更指示とに関する患者毎の集積データに基づいて生成されている。第2学習済モデルは、上記血液データおよび上記透析データと上記変更指示とに関する施設毎の複数の患者の集積データに基づいて生成されている。第3学習済モデルは、上記血液データおよび上記透析データと上記変更指示とに関する複数の施設の複数の患者の集積データに基づいて生成されている。
【0010】
本発明の一形態においては、学習済モデルを記憶するサーバ装置と通信可能に構成されている。取得部は、上記サーバ装置から上記変更指示候補を取得する。
【0011】
本発明の一形態においては、入力受付部が受け付けた上記血液データおよび上記透析データと上記変更指示とを上記サーバ装置に送信する。
【0012】
本発明の第2の局面に基づく情報処理方法は、複数日に実施された患者の血液検査に関する血液データを時系列に並べた第1時系列データ、および、複数日に上記患者に対して実施された透析に関する透析データを時系列に並べた第2時系列データの、少なくとも一方の時系列データを取得するステップと、取得された上記時系列データを表示するステップと、表示した上記時系列データにおいて、少なくとも一つの項目について複数日における複数の数値の選択を受け付けるステップと、選択された上記複数の数値に応じて、処方される薬剤または透析条件に関する少なくとも一つの変更項目候補を含む変更項目グループを取得するステップと、取得された上記変更項目グループに含まれる少なくとも一つの変更項目候補を表示するステップと、表示した上記少なくとも一つの変更項目候補に関する変更指示を受け付けるステップとを備える。
【0013】
本発明の第3の局面に基づくプログラムは、複数日に実施された患者の血液検査に関する複数の項目を含む血液データを時系列に並べた第1時系列データ、および、複数日に上記患者に対して実施された透析に関する複数の項目を含む透析データを時系列に並べた第2時系列データの、少なくとも一方の時系列データを取得するするステップと、取得された上記時系列データを表示するステップと、表示した上記時系列データにおいて、上記複数の項目のうちの少なくとも一つの項目について複数日における複数の数値の選択を受け付けるステップと、処方される薬剤または透析条件に関する少なくとも一つの変更項目候補を各々含む複数の変更項目グループのうちから上記複数の数値に応じて選択された変更項目グループを取得するステップと、取得された上記変更項目グループに含まれる少なくとも一つの変更項目候補を表示するステップと、表示した上記少なくとも一つの変更項目候補に関する変更指示を受け付けるステップとを、プロセッサに実行させる。
【0014】
本発明の第4の局面に基づくシステムは、サーバ装置と、情報処理装置とを備える。サーバ装置は、複数日に実施された患者の血液検査に関する複数の項目を含む血液データを時系列に並べた第1時系列データ、および、複数日に上記患者に対して実施された透析に関する複数の項目を含む透析データを時系列に並べた第2時系列データを、記憶している。情報処理装置は、サーバ装置から、上記第1時系列データおよび上記第2時系列データの少なくとも一方の時系列データを取得する。情報処理装置は、取得された上記時系列データを表示し、表示した上記時系列データにおいて、上記複数の項目のうちの少なくとも一つの項目について複数日における複数の数値の選択を受け付け、処方される薬剤または透析条件に関する少なくとも一つの変更項目候補を各々含む複数の変更項目グループのうちから上記複数の数値に応じて選択された変更項目グループを取得し、取得された上記変更項目グループに含まれる少なくとも一つの変更項目候補を表示し、表示した上記少なくとも一つの変更項目候補に関する変更指示を受け付ける。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、透析治療内容を変更する際の医療従事者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るネットワークシステムの概略構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るサーバ装置のハードウェア構成例を示した図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る血液浄化装置のハードウェア構成例を示した図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の機能的構成を説明するための機能ブロック図である。
【
図6】複数の変更項目グループのリストデータの概略構成を示す図である。
【
図7】ネットワークシステムにおいて実行される処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
【
図8】上記選択指示を受信したサーバ装置が複数の変更項目グループのうちから上記複数の数値に応じた変更項目グループを選択して情報処理装置に送信する処理の流れを説明するためのフロー図である。
【
図9】情報処理装置の表示部に表示された患者の血液データ(第1時系列データ)において、複数の項目のうちの3つの項目について複数日における複数の数値が選択された状態の表示画面である。
【
図10】情報処理装置の表示部に表示された患者の透析データ(第2時系列データ)において、複数の項目のうちの2つの項目について複数日における複数の数値が選択された状態の表示画面である。
【
図11】情報処理装置の表示部に、取得された変更項目グループに含まれる一つの変更項目候補が表示された表示画面である。
【
図14】変更項目グループのさらに他の一例である。
【
図15】情報処理装置の表示部に表示された変更項目候補に関する変更指示が入力された状態の表示画面である。
【
図16】情報処理装置の表示部に表示された、変更指示を電子カルテに転記するための表示画面である。
【
図17】情報処理装置の表示部に表示された透析管理画面である。
【
図18】本発明の一実施形態に係る学習済モデルの構成を示す図である。
【
図19】情報処理装置の表示部に、取得された変更指示候補が表示された表示画面である。
【
図20】変形例に係るネットワークシステムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよびシステムについて図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0018】
<A.システム構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るネットワークシステムの概略構成を示す図である。
図1に示すように、ネットワークシステム1は、情報処理装置100と、透析情報を管理するサーバ装置20と、電子カルテを管理するサーバ装置30と、複数の血液浄化装置40と、学習済モデルを記憶するサーバ装置50とを備える。なお、サーバ装置20およびサーバ装置30は、1つのサーバ装置で構成されていてもよい。
【0019】
本実施形態においては、病院などの施設10毎に、情報処理装置100、サーバ装置20、サーバ装置30および少なくとも1つの血液浄化装置40が配置されている。サーバ装置50は、複数の施設10とネットワークを介して接続されている。
【0020】
情報処理装置100は、サーバ装置20に、患者毎の透析指示および血液浄化装置40の動作条件などを送信するとともに、患者毎の血液データおよび透析データを受信する。情報処理装置100は、サーバ装置30に、患者毎の透析指示を送信する。情報処理装置100は、ネットワークを介してサーバ装置50と通信可能に接続されている。
【0021】
サーバ装置20は、各血液浄化装置40に透析指示を送信するとともに、各血液浄化装置40から透析データを受信する。サーバ装置20は、サーバ装置30に、患者毎の透析指示および透析データを送信する。
【0022】
サーバ装置20は、複数日に実施された患者の血液検査に関する複数の項目を含む血液データを時系列に並べた第1時系列データ、および、複数日に上記患者に対して実施された透析に関する複数の項目を含む透析データを時系列に並べた第2時系列データを、記憶している。サーバ装置20は、複数の患者の各々の第1時系列データおよび第2時系列データを、患者ID(identification)と紐付けて記憶している。
【0023】
図1に示すように、情報処理装置100は、ディスプレイ140およびキーボード117を備えている。情報処理装置100は、汎用のパソコンまたはタブレットによって実現される。情報処理装置100は、サーバ装置20から、上記第1時系列データおよび上記第2時系列データの少なくとも一方の時系列データを取得する。
【0024】
情報処理装置100は、取得された上記時系列データをディスプレイ140に表示し、表示した上記時系列データにおいて、上記複数の項目のうちの少なくとも一つの項目について複数日における複数の数値の選択を受け付け、処方される薬剤または透析条件に関する少なくとも一つの変更項目候補を各々含む複数の変更項目グループのうちから上記複数の数値に応じて選択された変更項目グループを取得し、取得された上記変更項目グループに含まれる少なくとも一つの変更項目候補をディスプレイ140に表示し、表示した上記少なくとも一つの変更項目候補に関する変更指示を受け付ける。
【0025】
<B.装置構成>
ネットワークシステム1を構成する、情報処理装置100、サーバ装置20,30,50および血液浄化装置40の各々の具体的構成について説明する。
【0026】
(b1.情報処理装置)
図2は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示した図である。
図2に示すように、情報処理装置100は、プロセッサ111と、メモリ112と、通信インターフェイス113と、入力インターフェイス114と、出力インターフェイス115と、メディアドライブ116とを備える。プロセッサ111と、メモリ112と、通信インターフェイス113と、入力インターフェイス114と、出力インターフェイス115と、メディアドライブ116とは、典型的には、マザーボード(図示せず)に取り付けられている。
【0027】
メモリ112は、ROM(Read Only Memory)121、RAM(Random Access Memory)122、および、ハードディスク123などの記憶媒体で構成される。
【0028】
通信インターフェイス113は、サーバ装置20,30,50との間で通信するためのインターフェイスである。
【0029】
プロセッサ111が、メモリ112に記憶されたオペレーティングシステム(図示せず)および各種のアプリケーションプログラム(図示せず)を実行することにより、情報処理装置100は各種の動作を実行する。
【0030】
入力インターフェイス114は、キーボード117と接続されている。プロセッサ111は、入力インターフェイス114を介して、キーボード117からの入力を受け付ける。
【0031】
出力インターフェイス115は、ディスプレイ140と接続されている。プロセッサ111は、出力インターフェイス115を介して、ディスプレイ140の表示を制御する。
【0032】
ディスプレイ140とキーボード117とは、タッチパネルによって実現されてもよい。この場合、入力インターフェイス114および出力インターフェイス115は、タッチパネルと通信するためのインターフェイスとして機能する。
【0033】
メディアドライブ116には、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)119、USB(Universal Serial Bus)メモリ、その他の記録媒体が装着されうる。
【0034】
(b2.サーバ装置)
図3は、本発明の一実施形態に係るサーバ装置のハードウェア構成例を示した図である。
図3に示すように、サーバ装置20,30,50は、プロセッサ211と、メモリ212と、通信インターフェイス213と、入力装置214と、ディスプレイ215とを備える。プロセッサ211と、メモリ212と、通信インターフェイス213とは、典型的には、マザーボード(図示せず)に取り付けられている。
【0035】
メモリ212は、ROM221、RAM222、および、ハードディスク223などの記憶媒体で構成される。メモリ212は、サーバ装置20,30,50のオペレーティングシステムおよび各種のアプリケーションプログラム、および、患者毎の各種データなどを記憶している。
【0036】
プロセッサ211は、サーバ装置20,30,50の全体的な動作を制御する。プロセッサ211は、メモリ212に記憶された、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行することによって、各種の処理を実現する。
【0037】
(b3.血液浄化装置)
図4は、本発明の一実施形態に係る血液浄化装置のハードウェア構成例を示した図である。
図4に示すように、血液浄化装置40は、制御ユニット41と、ディスプレイ42と、通信インターフェイス43と、操作入力部44と、駆動部45とを備える。制御ユニット41は、プロセッサ411と、メモリ412とを含む。プロセッサ411と、メモリ412と、通信インターフェイス43とは、典型的には、マザーボード(図示せず)に取り付けられている。
【0038】
メモリ412は、RAM、ROMおよびフラッシュメモリなどの記憶媒体で構成される。制御ユニット41は、血液浄化装置40の全体的な動作を制御する。具体的には、プロセッサ411が、メモリ412に記憶されたオペレーティングシステム(図示せず)および各種のアプリケーションプログラム(図示せず)を実行することにより、血液浄化装置40は各種の動作を実行する。
【0039】
通信インターフェイス43は、サーバ装置20と通信するためのインターフェイスである。通信インターフェイス43によって、血液浄化装置40は、サーバ装置20から送信された透析指示を受信することができるとともに、サーバ装置20に透析データを送信することができる。透析データには、透析中の血圧および循環血液量(BMS)の推移を示す変化データも含まれる。送信された透析データは、サーバ装置20のハードディスク223に自動的に記録される。
【0040】
操作入力部44は、医療従事者による操作を受け付ける。受け付けた操作内容に応じた指示が制御ユニット41に送られる。
【0041】
駆動部45は、血液浄化装置40の、血液ポンプ、補液ポンプ、透析液ポンプおよび排液ポンプなどの各種ポンプである。駆動部45は、制御ユニット41からの指令により動作する。具体的には、制御ユニット41からの指令により、各種ポンプにおける、流量調整、および、運転状態と停止状態との稼働状態の切り替えなどが行なわれる。
【0042】
ディスプレイ42は、プロセッサ411からの出力に基づき、各種の画面を表示する。ディスプレイ42には、各種ポンプにおける、流量および稼働状態が表示される。
【0043】
<C.機能的構成>
図5は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の機能的構成を説明するための機能ブロック図である。
図5に示すように、情報処理装置100は、制御部150と、受信部160と、記憶部161と、表示部162と、入力部163と、送信部164とを備える。記憶部161は、アプリケーションデータおよびオペレーティングシステムなどを記憶している。
【0044】
記憶部161は、メモリ112に対応する。表示部162、入力部163、送信部164は、それぞれ、ディスプレイ140、キーボード117、通信インターフェイス113に対応する。
【0045】
受信部160は、サーバ装置20,30,50から送信された情報を受信する。受信部160は、通信インターフェイス113に対応する。
【0046】
制御部150は、プロセッサ111がメモリ112に記憶されたオペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行することにより実現される機能ブロックである。
【0047】
制御部150は、取得部151、表示制御部152および入力受付部153を含む。取得部151は、上記時系列データ、および、複数の変更項目グループのうちから選択された変更項目グループを取得する。制御部150は、後述するサーバ装置20から取得した患者毎の透析管理データをQRコード(登録商標)などに変換して出力可能である。若しくは、制御部150は、サーバ装置20から患者毎の透析管理データを取得するための患者IDをQRコード(登録商標)などに変換して出力可能であってもよい。
【0048】
本実施形態においては、取得部151は、受信部160が受信した患者IDに応じた患者毎の上記時系列データをサーバ装置20から取得する。また、取得部151は、受信部160が受信した上記複数の数値に応じた変更項目グループをサーバ装置20から取得する。
【0049】
表示制御部152は、取得部151によって取得された上記時系列データを表示部162に表示させる。また、表示制御部152は、取得部151によって取得された上記変更項目グループに含まれる少なくとも1つの変更項目候補を表示部162に表示させる。表示制御部152は、透析管理データまたは患者IDが変換されたQRコード(登録商標)を表示部162に表示させる。
【0050】
入力受付部153は、表示部162に表示された上記時系列データにおいて、上記複数の項目のうちの少なくとも一つの項目について複数日における複数の数値の選択を受け付ける。また、入力受付部153は、表示部162に表示された上記少なくとも一つの変更項目候補に関する変更指示を受け付ける。
【0051】
送信部164は、上記変更指示を含む透析指示をサーバ装置20,30に送信する。
<D.データ>
図6は、複数の変更項目グループのリストデータの概略構成を示す図である。
図6に示すように、複数の変更項目グループのリストデータD1は、時系列データの種類と各項目とに関連付けて、少なくとも一つの変更項目候補を含む。
【0052】
図6に示すように、たとえば、血液データ(第1時系列データ)のHb、Fe、TIBCの3項目に対して、変更項目候補として造血剤が関連付けられている。血液データ(第1時系列データ)の血清Pに対して、変更項目候補としてP吸着薬が関連付けられている。血液データ(第1時系列データ)のIntact-PTHに対して、変更項目候補としてビタミンD剤が関連付けられている。透析データ(第2時系列データ)の心胸郭比、血圧変化率の2項目に対して、変更項目候補としてドライウエイトおよび降圧剤が関連付けられている。
【0053】
<E.処理の流れ>
図7は、ネットワークシステムにおいて実行される処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
図7に示すように、シーケンスSQ1において、情報処理装置100は、サーバ装置20から、複数日に実施された患者の血液検査に関する血液データを時系列に並べた第1時系列データ、および、複数日に上記患者に対して実施された透析に関する透析データを時系列に並べた第2時系列データの、少なくとも一方の時系列データを取得する。
【0054】
シーケンスSQ2において、情報処理装置100は、取得された上記時系列データをディスプレイ140に表示する。シーケンスSQ3において、情報処理装置100は、表示した上記時系列データにおいて、少なくとも一つの項目について複数日における複数の数値を選択する選択指示を受け付ける。
【0055】
シーケンスSQ4において、情報処理装置100は、上記選択指示をサーバ装置20に送信する。シーケンスSQ5において、情報処理装置100は、サーバ装置20から、選択された上記複数の数値に応じて、処方される薬剤または透析条件に関する少なくとも一つの変更項目候補を含む変更項目グループを取得する。
【0056】
シーケンスSQ6において、情報処理装置100は、取得された上記変更項目グループに含まれる少なくとも一つの変更項目候補をディスプレイ140に表示する。シーケンスSQ7において、情報処理装置100は、表示した上記少なくとも一つの変更項目候補に関する変更指示を受け付ける。
【0057】
シーケンスSQ8において、情報処理装置100は、上記変更指示をサーバ装置20に送信する。シーケンスSQ9において、サーバ装置20は、上記変更指示を記録する。
【0058】
シーケンスSQ10において、サーバ装置20は、上記変更指示をサーバ装置30に送信する。シーケンスSQ11において、サーバ装置30は、上記変更指示を記録する。
【0059】
このような構成によれば、透析治療内容を変更する際の医療従事者の負担を軽減することができる。
【0060】
図8は、上記選択指示を受信したサーバ装置が複数の変更項目グループのうちから上記複数の数値に応じた変更項目グループを選択して情報処理装置に送信する処理の流れを説明するためのフロー図である。
【0061】
図8に示すように、ステップS1において、サーバ装置20は、上記時系列データにおいて少なくとも一つの項目について複数日における複数の数値を選択する選択指示を情報処理装置100から受信する。
【0062】
ステップS2において、サーバ装置20は、上記複数の数値が血液データ(第1時系列データ)に関する項目の数値か否かを判断する。サーバ装置20は、ステップS2において、上記複数の数値が血液データ(第1時系列データ)に関する項目の数値であると判断した場合、ステップS3において、複数の変更項目グループのリストデータD1に基づいて特定された、血液データ(第1時系列データ)の上記複数の数値に応じた変更項目グループを情報処理装置100に送信する。
【0063】
サーバ装置20は、ステップS2において、上記複数の数値が血液データ(第1時系列データ)に関する項目の数値でないと判断した場合、ステップS4において、複数の変更項目グループのリストデータD1に基づいて特定された、透析データ(第2時系列データ)の上記複数の数値に応じた変更項目グループを情報処理装置100に送信する。
【0064】
本実施形態に係るプログラムは、上記のシーケンスをプロセッサ111に実行させ、上記のステップをサーバ装置20のプロセッサ211に実行させる。上記プログラムは、ハ-ドディスク123,223に予め記憶されている場合がある。また、上記プログラムは、記録媒体に格納されて流通している場合がある。あるいは、上記プログラムは、インターネットを通じてダウンロード可能に提供される場合がある。上記プログラムは、プロセッサ111,211により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラムなども含みえる。
【0065】
<F.表示画面>
図9は、情報処理装置の表示部に表示された患者の血液データ(第1時系列データ)において、複数の項目のうちの3つの項目について複数日における複数の数値が選択された状態の表示画面である。
【0066】
図9に示すように、透析指示を検討する際に、情報処理装置100のディスプレイ140には、複数日に実施された患者の血液検査に関する複数の項目を含む血液データを時系列に並べた第1時系列データ141、処方変更ボタン143、AI提案ボタン144および確定ボタン145などが表示される。
【0067】
第1時系列データ141において、複数の項目のうちの少なくとも一つの項目について複数日における複数の数値を選択することができる。ここで選択される数値は、患者に処方される薬剤を変更する透析指示をするうえで考慮すべき数値である。すなわち、現在の薬剤の処方と血液検査における数値との関係から処方変更すべきか判断するうえで、現在の薬剤の処方がされている時期に検査された数値の中から問題視される数値が含まれるように複数の数値が選択されることになる。そのため、現在の処方とは異なる処方がされていた時期に検査された数値は、考慮から除外される数値、すなわち選択されない数値となる。
【0068】
血液データ(第1時系列データ)における複数日における複数の数値を選択することにより、1回だけのイレギュラーな数値に基づいた誤った変更内容の透析指示が行われる可能性を低減している。
【0069】
図9に示す例では、ハッチングが付されている数値が選択されており、Hbの項目における7月15日の数値である11.7および8月1日の数値である12.3と、Feの項目における7月15日の数値である72および8月1日の数値である75と、TIBCの項目における7月15日の数値である209および8月1日の数値である210とが選択されている。
【0070】
なお、各項目において選択される数値は、2つに限られず、3つ以上でもよい。また、項目名が選択されることにより、選択された当該項目の全ての数値が選択されてもよい。たとえば、項目名であるHbが選択されることにより、Hbの項目の全ての日における全ての数値が選択されてもよい。選択される項目は、複数に限られず、1つであってもよい。
【0071】
図10は、情報処理装置の表示部に表示された患者の透析データ(第2時系列データ)において、複数の項目のうちの2つの項目について複数日における複数の数値が選択された状態の表示画面である。
【0072】
図10に示すように、透析指示を検討する際に、情報処理装置100のディスプレイ140には、複数日に患者に対して実施された透析に関する複数の項目を含む透析データを時系列に並べた第2時系列データ142、処方変更ボタン143、AI提案ボタン144および確定ボタン145などが表示される。
【0073】
第2時系列データ142において、複数の項目のうちの少なくとも一つの項目について複数日における複数の数値を選択することができる。ここで選択される数値は、透析条件を変更する透析指示をするうえで考慮すべき数値である。すなわち、現在の透析条件と透析記録における数値との関係から条件変更すべきか判断するうえで、現在の透析条件で治療されている時期の検査数値の中から問題視される数値が含まれるように複数の数値が選択されることになる。そのため、現在の透析条件とは異なる透析条件で治療がされていた時期に検査された数値は、考慮から除外される数値、すなわち選択されない数値となる。
【0074】
透析データ(第2時系列データ)における複数日における複数の数値を選択することにより、1回だけのイレギュラーな数値に基づいた誤った変更内容の透析指示が行われる可能性を低減している。
【0075】
図10に示す例では、ハッチングが付されている数値が選択されており、心胸郭比の項目における9月1日の数値である55および10月1日の数値である56と、透析中血圧変化率の項目における9月1日の数値である-5%および10月1日の数値である+2%とが選択されている。
【0076】
なお、各項目において選択される数値は、2つに限られず、3つ以上でもよい。また、項目名が選択されることにより、選択された当該項目の全ての数値が選択されてもよい。たとえば、項目名であるBNPが選択されることにより、BNPの項目の全ての日における全ての数値が選択されてもよい。選択される項目は、複数に限られず、1つであってもよい。
【0077】
さらに、第1時系列データ141および第2時系列データ142の両方の項目についてそれぞれ複数の数値が選択されてもよい。
【0078】
図11は、情報処理装置の表示部に、取得された変更項目グループに含まれる一つの変更項目候補が表示された表示画面である。
図9に示すように上記複数の数値が選択された状態において処方変更ボタン143が選択されると、処方される薬剤または透析条件に関する少なくとも一つの変更項目候補を含む複数の変更項目グループのうちから、上記複数の数値に応じて選択された変更項目グループG1が取得され、
図11に示すように表示される。
【0079】
図12は、変更項目グループの一例である。
図12に示すように、変更項目グループG1は、変更項目候補R1として造血剤であるダルベポエチンアルファの処方、および、変更項目候補R2として造血剤である含糖酸化鉄の処方を含んでいる。
【0080】
図11においては、変更項目グループG1のうち、優先順位の高い変更項目候補R1のみが表示されている。このように、表示制御部152は、変更項目グループG1に含まれる少なくとも一つの変更項目候補を優先順位の高い変更項目候補R1から順に表示させてもよい。薬品分類の表示欄にて上下にスクロール操作することにより、変更項目候補R1に代えて変更項目候補R2を表示させることができる。
【0081】
図11に示す表示画面の初期画面においては、変更項目候補R1に関する現時点での治療内容が表示される。
図11に示す例では、患者に毎週土曜日に造血剤としてダルベポエチンアルファを30μg投与されるように現時点で処方されている。増減の表示欄にて、上側にスクロール操作することにより増量と表示され、下側にスクロール操作することにより減量と表示される。容量の表示欄にて0を選択すると、増減の表示欄に中止と表示される。
図12に示すように、新規の薬剤として含糖酸化鉄の処方を開始する場合は、増減の表示欄に開始と表示される。
【0082】
図13は、変更項目グループの他の一例である。
図13に示すように、変更項目グループG2は、変更項目候補R1としてP吸着薬の処方、および、変更項目候補R2としてCa受容体作動薬の処方を含んでいる。たとえば、
図9に示す血液データ(第1時系列データ)において、血清Pの項目が選択された際に、変更項目グループG2が取得され、変更項目グループG2のうち、優先順位の高い変更項目候補R1であるP吸着薬のみが表示される。
【0083】
図14は、変更項目グループのさらに他の一例である。
図14に示すように、変更項目グループG3は、変更項目候補R1として透析条件を含んでいる。たとえば、
図10に示す透析データ(第2時系列データ)において、Kt/vの項目が選択された際に、変更項目グループG3が取得され、変更項目候補R1である透析条件が表示される。
【0084】
なお、選択された複数の項目のなかで予め決められた項目が最初に選択された場合に、特定の変更項目グループが取得されるように設定されていてもよい。各変更項目グループの中での表示の優先順位は、患者毎に設定されていてもよい。また、各変更項目グループの中での表示の優先順位は、適宜入れ替え可能である。
【0085】
図15は、情報処理装置の表示部に表示された変更項目候補に関する変更指示が入力された状態の表示画面である。
図15に示すように、たとえば、変更項目候補R1の造血剤であるダルベポエチンアルファの投与量を20μgに減量する変更指示が入力された状態で、確定ボタン145が選択されると、情報処理装置100から上記変更指示がサーバ装置20に送信され、サーバ装置20のハードディスク223は上記変更指示を記録する。また、情報処理装置100のディスプレイ140は、上記変更指示を電子カルテに転記するための表示画面に自動的に切り替わる。
【0086】
図16は、情報処理装置の表示部に表示された、変更指示を電子カルテに転記するための表示画面である。
図16に示すように、情報処理装置100のディスプレイ140には、透析指示の変更理由となった各項目の数値の推移および変更内容が記載される指示内容欄146、患者同意確認ボタン147、転記実行ボタン148、および、転記停止ボタン149などが表示される。
【0087】
患者同意確認ボタン147が選択されると、指示内容欄146に、患者に説明し同意を得た旨の表記が記載される。転記実行ボタン148が選択されると、サーバ装置20は、上記変更指示をサーバ装置30に送信し、サーバ装置30のハードディスク223は上記変更指示を記録する。転記停止ボタン149が選択されると、上記変更指示は電子カルテに転記されない。
【0088】
なお、サーバ装置20による上記変更指示の記録と連動してサーバ装置30による上記変更指示の記録が行われるように、ネットワークシステムが構成されていてもよい。さらに、透析指示の変更日および変更期間などは、情報処理装置100のディスプレイ140にカレンダーが表示されて、当該カレンダー上で設定可能に情報処理装置100が構成されていてもよい。
【0089】
図17は、情報処理装置の表示部に表示された透析管理画面である。
図17に示すように、透析管理画面に表示される透析管理データにおいては、患者IDと紐付けられて、血液データ(第1時系列データ141)、透析データ(第2時系列データ142)、透析指示、並びに担当医師などの情報が記録されている。
【0090】
施設10毎の複数の患者の透析管理データは、サーバ装置20に集積される。
図1に示すように、複数の施設10の複数の患者の透析管理データは、学習済モデルを記憶するサーバ装置50に集積される。
【0091】
患者の透析管理データは、患者IDによって透析条件および投薬内容とともに自動読み込みが可能なQRコード(登録商標)61、またはUSBなどの記録媒体によって、他の施設10に移行可能に構成されていてもよい。たとえば、
図17に示すように、ディスプレイ140に、患者毎の透析管理データまたは患者IDがQRコード(登録商標)61に変換されて表示されてもよい。
【0092】
QRコード(登録商標)61を用いて患者の透析管理データを複数の施設10で利用する場合は、他の施設10の情報処理装置100に接続されている
図1に示すコードリーダ60によってQRコード(登録商標)61を読み取ることにより、患者IDなどを取得して当施設10のサーバ装置20から患者の透析管理データを他の施設10の情報処理装置100に移行させることができる。これにより、患者が他の施設10に転院した際などに、容易に転院先で透析を行なうことができる。また、転院先で行われた透析の記録が、他の施設10のサーバ装置20に記憶されている患者IDと紐付けられた患者の透析管理データに更新されるため、転院前の病院で透析治療を受ける際には、患者IDを用いて他の施設10のサーバ装置20から患者の透析管理データを当施設10のサーバ装置20に移行させることができる。これにより、転院先の病院で行われた透析治療の内容なども含めた過去の治療履歴に基づいて、透析条件などを決定することができる。
【0093】
なお、QRコード(登録商標)61に透析管理データ自体が情報として担持されている場合には、各施設10が独自に使用している設定および風袋の取り決め(Dry Weightが風袋を含むか否かなど)については排除されて、統一された基準に基づいた透析管理データとして担持されることにより、いずれの施設10でも使用可能なように汎用性が担保される。コードリーダ60は、情報処理装置100に接続されているものに限られず、各種端末に接続されていることにより、いずれの場所からも透析管理データを読み込むことが可能である。
【0094】
図18は、本発明の一実施形態に係る学習済モデルの構成を示す図である。
図18に示すように、サーバ装置50に記憶される学習済モデル500は、血液データ(第1時系列データ141)および透析データ(第2時系列データ142)の中から選択された上記複数の数値が入力されることによって変更指示候補Aを出力する。情報処理装置100は、サーバ装置50と通信可能に構成されており、情報処理装置100の取得部151は、サーバ装置50から変更指示候補Aを取得する。
【0095】
本実施形態においては、学習済モデル500は、第1学習済モデル510、第2学習済モデル520および第3学習済モデル530を含む。
【0096】
第1学習済モデル510は、血液データ(第1時系列データ141)および透析データ(第2時系列データ142)と上記変更指示とに関する患者毎の集積データFcに基づいて生成されている。第1学習済モデル510は、1人の患者の血液データ(第1時系列データ141)および透析データ(第2時系列データ142)の中から選択された上記複数の数値が入力されることによって第1変更指示候補A1を出力する。なお、集積データFcにおいて特定の医師の変更指示に関するデータに限定して第1学習済モデル510が生成されていてもよい。
【0097】
第2学習済モデル520は、血液データ(第1時系列データ141)および透析データ(第2時系列データ142)と上記変更指示とに関する施設10毎の複数の患者の集積データFcに基づいて生成されている。第2学習済モデル520は、1つの施設10の複数の患者の血液データ(第1時系列データ141)および透析データ(第2時系列データ142)の中から選択された上記複数の数値が入力されることによって第2変更指示候補A2を出力する。
【0098】
第3学習済モデル530は、血液データ(第1時系列データ141)および透析データ(第2時系列データ142)と上記変更指示とに関する複数の施設10の複数の患者の集積データFcに基づいて生成されている。第3学習済モデル530は、複数の施設10の複数の患者の血液データ(第1時系列データ141)および透析データ(第2時系列データ142)の中から選択された上記複数の数値が入力されることによって第3変更指示候補A3を出力する。
【0099】
なお、各施設10において不必要な患者情報を除いて暗号化された後にサーバ装置50に送信された大規模データである集積データFcに基づいて、第3学習済モデル530が生成されていてもよい。
【0100】
図19は、情報処理装置の表示部に、取得された変更指示候補が表示された表示画面である。
図10に示すように上記複数の数値が選択された状態においてAI提案ボタン144が選択されると、第1変更指示候補A1、第2変更指示候補A2および第3変更指示候補A3を含む変更指示候補Aが取得され、
図19に示すように表示される。
【0101】
第1変更指示候補A1においては、DW(Dry Weight)減量かつ降圧剤維持の変更指示が提案されている。第2変更指示候補A2においては、DW維持かつ降圧剤増量の変更指示が提案されている。第3変更指示候補A3においては、DW減量かつ降圧剤増量の変更指示が提案されている。
【0102】
図19において、第1変更指示候補A1、第2変更指示候補A2および第3変更指示候補A3のいずれか1つを選択すると、
図15に示すような変更指示の入力画面に切り替わり、選択された変更指示候補が表示される。
【0103】
たとえば、
図19において第1変更指示候補A1のDW減量かつ降圧剤維持の変更指示が選択された場合には、変更指示の入力画面において変更項目候補であるDWを含む変更項目グループが表示される。
図19において第2変更指示候補A2のDW維持かつ降圧剤増量の変更指示が選択された場合には、変更指示の入力画面において変更項目候補である降圧剤を含む変更項目グループが表示される。
図19において第3変更指示候補A3のDW減量かつ降圧剤増量の変更指示が選択された場合には、変更指示の入力画面において変更項目候補であるDWを含む変更項目グループが表示され、DWに関する変更指示が入力された後、変更指示の入力画面において変更項目候補である降圧剤を含む変更項目グループが表示される。
【0104】
このように、AI提案を選択した場合には、透析治療内容を変更する際の医療従事者の負担を軽減することができる。なお、
図19に示すように、表示された変更指示候補が取得される際に時系列データから選択された項目が、70%以上または95%以上の施設において時系列データから選択されている項目に対して不足している場合は、当該不足項目を認識可能に表示されてもよい。この不足項目は、自施設で実施していない項目であってもよい。
図19に示す例では、
図10に示すように心胸郭比および透析中血圧変化率が選択されて第1変更指示候補A1においてDWの変更指示が取得されているが、70%以上の施設において時系列データにおける心胸郭比、BNPおよびHANPの項目が選択されてDWの変更指示が取得されている場合は、時系列データにおけるBNPおよびHANPの選択が不足していること認識可能に表示されている。このように表示することにより、時系列データから適した項目を再度選択して変更指示候補を取得することが可能となり、AI提案の精度を向上することができる。集積データFcに、第3学習済モデル530における上記の変更指示候補と時系列データから選択された項目との相関関係が累積的に集積されていることにより、上記の不足項目が表示可能に構成されている。
【0105】
以下、マイナンバーカード一体型健康保険証を用いて患者の透析管理データの施設10同士の間の移行が可能な変形例について説明する。
【0106】
図20は、変形例に係るネットワークシステムの概略構成を示す図である。
図20に示すように、本変形例に係るネットワークシステム1においては、血液浄化装置40の透析システムとは異なる透析システムを採用している血液浄化装置の透析管理データが集約されるサーバ装置70、オンライン資格確認等システムを搭載したサーバ装置80、および、マイナンバーカード一体型健康保険証91を読み取り可能なカードリーダ90をさらに備えている。本変形例においては、カードリーダ90は、情報処理装置100に接続されているが、これに限られず、ネットワークシステム1に含まれるように接続されていればよく、たとえば、サーバ装置70に接続されていてもよい。なお、血液浄化装置の製造メーカが異なることによって、上記のように透析システムが互いに異なることがある。
【0107】
オンライン資格確認等システムを搭載したサーバ装置80には、各医療機関および薬局などの薬剤情報および診療情報などが記憶されている。すなわち、各施設10のサーバ装置20およびサーバ装置70に記憶されている診療情報などは、サーバ装置80に集約される。カードリーダ90によってマイナンバーカード一体型健康保険証91を読み込むことにより、マイナンバーカードのICチップ内の電子証明書を用いて患者の資格情報を取得することができる。取得した患者の資格情報を用いてサーバ装置80にアクセスすることにより、患者の薬剤情報および診療情報などを閲覧および取得することができるため、他の医療機関の情報を活用して円滑な医療の提供を行なうことができる。
【0108】
なお、患者IDを取得するためのQRコード(登録商標)61の代わりに、マイナンバーカード一体型健康保険証91を用いてもよい。この場合、顔認証による患者の本人確認と、マイナンバーカードを用いた本人確認とを一緒に行なってもよい。患者IDを取得するためにマイナンバーカード一体型健康保険証91を用いた場合、互いに異なる透析システムで構築された透析管理データを含む診療情報を、サーバ装置80を介してサーバ装置20とサーバ装置70との間で移行可能にすることができる。上記のように、マイナンバーカード一体型健康保険証91を読み取ることにより、患者の透析情報が入手可能となり、入院時、転院時および災害時などに広く利用することができる。また、サーバ装置30が管理する電子カルテおよび処方情報と、マイナンバーカード一体型健康保険証91を用いて取得される患者IDとが紐付けられていてもよい。
【0109】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0110】
1 ネットワークシステム、10 施設、20,30,50,70,80 サーバ装置、40 血液浄化装置、41 制御ユニット、42,140,215 ディスプレイ、43,113,213 通信インターフェイス、44 操作入力部、45 駆動部、60 コードリーダ、 90 カードリーダ、91 マイナンバーカード一体型健康保険証、100 情報処理装置、111,211,411 プロセッサ、112,212,412 メモリ、114 入力インターフェイス、115 出力インターフェイス、116 メディアドライブ、117 キーボード、123,223 ハードディスク、141 第1時系列データ、142 第2時系列データ、143 処方変更ボタン、144 提案ボタン、145 確定ボタン、146 指示内容欄、147 患者同意確認ボタン、148 転記実行ボタン、149 転記停止ボタン、150 制御部、151 取得部、152 表示制御部、153 入力受付部、160 受信部、161 記憶部、162 表示部、163 入力部、164 送信部、214 入力装置、221 ROM、222 RAM、500 学習済モデル、510 第1学習済モデル、520 第2学習済モデル、530 第3学習済モデル、2017 特開、A 変更指示候補、A1 第1変更指示候補、A2 第2変更指示候補、A3 第3変更指示候補。