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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131974
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】チューブの検査装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/00 20060101AFI20240920BHJP
   B65G 47/90 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
B65G43/00 Z
B65G47/90 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042583
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】善木 智義
【テーマコード(参考)】
3F027
3F072
【Fターム(参考)】
3F027CA04
3F027EA09
3F027FA17
3F072AA25
3F072AA27
3F072GA06
3F072GA10
3F072GB08
3F072KD01
(57)【要約】
【課題】チューブが1本ずつ搬送されているか否かを確認することができる検査装置を提供する。
【解決手段】カメラ10と照明20とを有し、1本のみのチューブ100である基準チューブ110に対して撮像した基準画像210において、基準チューブ110の最も明るい部分の階調を100%、基準チューブ110の最も暗い部分の階調を0%としたとき、基準チューブ110は、階調が20%以上80%以下の範囲の中の所定値よりも高い部分で構成される内方部分211と、所定値よりも低い部分で構成される外方部分212と、を有しており、検査対象のチューブ100である検査チューブ120に対して撮像した検査画像220において、階調が所定値よりも高い部分で構成される内方部分211の検査チューブ120の径方向での最大長さD2が、算出した第1設定値よりも小さい場合に第1搬送不良であると判別する判別部30を有している検査装置1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブの検査装置であって、
前記チューブを撮像するカメラと、
前記チューブを照らす照明と、を有し、
1本のみのチューブである基準チューブに対して、前記照明によって前記基準チューブの外方から光を照射し、前記カメラによって前記基準チューブの側面を撮像した基準画像において、前記基準チューブの最も明るい部分の階調を100%、前記基準チューブの最も暗い部分の階調を0%としたとき、前記基準チューブは、階調が20%以上80%以下の範囲の中の所定値よりも高い部分で構成される内方部分と、前記所定値よりも低い部分で構成される外方部分と、を有しており、
検査対象のチューブである検査チューブに対して、前記照明によって前記検査チューブの外方から光を照射し、前記カメラによって前記検査チューブの側面を撮像した検査画像において、階調が前記所定値よりも高い部分で構成される内方部分の前記検査チューブの径方向での最大長さが、下記の(1)式によって算出した第1設定値よりも小さい場合に第1搬送不良であると判別する判別部を有している検査装置。
第1設定値=前記基準画像における前記内方部分の前記基準チューブの径方向での最大長さ-前記基準画像における前記内方部分の前記基準チューブの径方向での最大長さの10%以上90%以下の範囲の中の所定の値・・・(1)
【請求項2】
前記カメラから前記カメラによって撮像されるチューブへ向かう方向にチューブを2本重ねた状態である重なりチューブに対して、前記照明によって前記重なりチューブの外方から光を照射し、前記カメラによって前記重なりチューブの側面を撮像した不良状態画像において、階調が前記所定値よりも高い部分で構成される内方部分の前記重なりチューブの径方向での最大長さを不良状態値とし、
前記基準画像において、階調が前記所定値よりも高い部分で構成される内方部分の前記基準チューブの径方向での最大長さを基準状態値とし、
前記判別部は、前記検査画像における階調が前記所定値よりも高い部分で構成される内方部分の前記検査チューブの径方向での最大長さが、前記不良状態値と前記基準状態値との間に設定された閾値を下回った場合に第1搬送不良であると判別する請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記判別部は、前記検査画像における前記検査チューブの外形の径方向での最大長さが、下記の(2)式によって算出した第2設定値よりも大きい場合に第2搬送不良であると判別する請求項1または2に記載の検査装置。
第2設定値=前記基準画像における前記基準チューブの外形の径方向での最大長さ+前記基準画像における前記基準チューブの外形の径方向での最大長さの1%以上90%以下の範囲の中の所定の値・・・(2)
【請求項4】
前記判別部は、前記第2搬送不良であると判別しなかった前記検査チューブについて、前記第1搬送不良の判別を行う請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
チューブの検査装置であって、
前記チューブを撮像するカメラと、
前記チューブを照らす照明と、を有し、
1本のみの前記チューブである基準チューブに対して、前記照明によって前記基準チューブの外方から光を照射し、前記カメラによって前記基準チューブの側面を撮像した基準画像において、前記基準チューブの最も明るい部分の階調を100%、前記基準チューブの最も暗い部分の階調を0%としたとき、前記基準チューブは、階調が20%以上80%以下の範囲の中の所定値よりも高い部分で構成される内方部分と、前記所定値よりも低い部分で構成される外方部分と、を有しており、
検査対象のチューブである検査チューブに対して、前記照明によって前記検査チューブの外方から光を照射し、前記カメラによって前記検査チューブの側面を撮像した検査画像において、階調が前記所定値よりも高い部分で構成される内方部分の面積が、下記の(3)式によって算出した第3設定値よりも小さい場合に第3搬送不良であると判別する判別部を有している検査装置。
第3設定値=前記基準画像における前記内方部分の面積-前記基準画像における前記内方部分の面積の10%以上90%以下の範囲の中の所定の値・・・(3)
【請求項6】
前記カメラから前記カメラによって撮像されるチューブへ向かう方向にチューブを2本重ねた状態である重なりチューブに対して、前記照明によって前記重なりチューブの外方から光を照射し、前記カメラによって前記重なりチューブの側面を撮像した不良状態画像において、階調が前記所定値よりも高い部分で構成される内方部分の面積を不良状態値とし、
前記基準画像において、階調が前記所定値よりも高い部分で構成される内方部分の面積を基準状態値とし、
前記判別部は、前記検査画像における階調が前記所定値よりも高い部分で構成される内方部分の面積が、前記不良状態値と前記基準状態値との間に設定された閾値を下回った場合に第3搬送不良であると判別する請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
前記判別部は、前記検査画像における前記検査チューブの外形の面積が、下記の(4)式によって算出した第4設定値よりも大きい場合に第4搬送不良であると判別する請求項5または6に記載の検査装置。
第4設定値=前記基準画像における前記基準チューブの外形の面積+前記基準画像における前記基準チューブの外形の面積の1%以上90%以下の範囲の中の所定の値・・・(4)
【請求項8】
前記判別部は、前記第4搬送不良であると判別しなかった前記検査チューブについて、前記第3搬送不良の判別を行う請求項7に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブの搬送状態を検査する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カテーテルのような医療用チューブ等を製造するにあたり、樹脂製のチューブを金型のような加工部に挿入して加工し、医療用チューブ等の成形を行うことがある。成形を効率的に行うため、ロボットハンド等を用いてチューブを保持し、チューブを搬送することが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、一方端と他方端とを備え、可撓性を有する長尺物を他方側から一方側へ搬送する搬送路と、前記搬送路の一方端に配置されている吸引部と、前記搬送路の他方端に配置されている吹き出し部と、前記長尺物を保持する保持部と、前記長尺物を検知するセンサと、前記センサを固定するセンサ固定部と、を有し、前記センサ固定部は、前記長尺物の長手軸を取り囲む形状であって、かつ前記長尺物を退避させる退避通路を備えている長尺物搬送装置が記載されている。また、特許文献2には、複数の長尺物を載置する載置面を有する載置部と、前記載置面よりも上側に設けられ、前記長尺物の長手方向を一方側部と他方側部とその間の中間部に三等分割したときの前記中間部を保持して前記載置部から前記長尺物を取り出す保持部と、前記載置面よりも上側に設けられ、前記長尺物の長手方向に平行な水平方向成分を含む第1方向に所定範囲で移動可能であり、前記保持した長尺物の延在方向を調整する方向調整部と、前記載置面よりも上側に設けられ、前記水平方向成分を含む第2方向に所定範囲で移動可能であり、前記保持した長尺物を支持する支持部と、を有し、前記支持部を前記水平方向において前記保持部から最も離れるように移動させたときの第2位置が、前記方向調整部を前記水平方向において前記保持部から最も離れるように移動させたときの第1位置よりも前記保持部側に位置する長尺物の搬送装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-138496号公報
【特許文献2】特開2021-143064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
医療用チューブ等の成形においてチューブを1本ずつ加工部に挿入するため、チューブを1本ずつ搬送する必要がある。加工前のチューブは、複数のチューブが載置されて山積みの状態となっていることが一般的である。しかし、特許文献1および2に記載されているような装置では、複数のチューブを保持して搬送してしまうことがあり、改善の余地があった。
【0006】
特に、載置されて山積みの状態となっている複数のチューブから特許文献1および2に記載されているような装置によってチューブを保持すると、複数のチューブの外形が重なり合った状態で保持されやすい傾向にある。外形が重なり合った状態の複数のチューブは、チューブが1本であるか否かを外観から判別することが困難である。
【0007】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、チューブが1本ずつ搬送されているか否かを確認することができる検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決することができた本発明の実施の形態に係る第1の検査装置は、以下の通りである。
[1]チューブの検査装置であって、
前記チューブを撮像するカメラと、
前記チューブを照らす照明と、を有し、
1本のみのチューブである基準チューブに対して、前記照明によって前記基準チューブの外方から光を照射し、前記カメラによって前記基準チューブの側面を撮像した基準画像において、前記基準チューブの最も明るい部分の階調を100%、前記基準チューブの最も暗い部分の階調を0%としたとき、前記基準チューブは、階調が20%以上80%以下の範囲の中の所定値よりも高い部分で構成される内方部分と、前記所定値よりも低い部分で構成される外方部分と、を有しており、
検査対象のチューブである検査チューブに対して、前記照明によって前記検査チューブの外方から光を照射し、前記カメラによって前記検査チューブの側面を撮像した検査画像において、階調が前記所定値よりも高い部分で構成される内方部分の前記検査チューブの径方向での最大長さが、下記の(1)式によって算出した第1設定値よりも小さい場合に第1搬送不良であると判別する判別部を有している検査装置。
第1設定値=前記基準画像における前記内方部分の前記基準チューブの径方向での最大長さ-前記基準画像における前記内方部分の前記基準チューブの径方向での最大長さの10%以上90%以下の範囲の中の所定の値・・・(1)
[2]前記カメラから前記カメラによって撮像されるチューブへ向かう方向にチューブを2本重ねた状態である重なりチューブに対して、前記照明によって前記重なりチューブの外方から光を照射し、前記カメラによって前記重なりチューブの側面を撮像した不良状態画像において、階調が前記所定値よりも高い部分で構成される内方部分の前記重なりチューブの径方向での最大長さを不良状態値とし、
前記基準画像において、階調が前記所定値よりも高い部分で構成される内方部分の前記基準チューブの径方向での最大長さを基準状態値とし、
前記判別部は、前記検査画像における階調が前記所定値よりも高い部分で構成される内方部分の前記検査チューブの径方向での最大長さが、前記不良状態値と前記基準状態値との間に設定された閾値を下回った場合に第1搬送不良であると判別する[1]に記載の検査装置。
[3]前記判別部は、前記検査画像における前記検査チューブの外形の径方向での最大長さが、下記の(2)式によって算出した第2設定値よりも大きい場合に第2搬送不良であると判別する[1]または[2]に記載の検査装置。
第2設定値=前記基準画像における前記基準チューブの外形の径方向での最大長さ+前記基準画像における前記基準チューブの外形の径方向での最大長さの1%以上90%以下の範囲の中の所定の値・・・(2)
[4]前記判別部は、前記第2搬送不良であると判別しなかった前記検査チューブについて、前記第1搬送不良の判別を行う[3]に記載の検査装置。
【0009】
また、前記課題を解決することができた本発明の実施の形態に係る第2の検査装置は、以下の通りである。
[5]チューブの検査装置であって、
前記チューブを撮像するカメラと、
前記チューブを照らす照明と、を有し、
1本のみの前記チューブである基準チューブに対して、前記照明によって前記基準チューブの外方から光を照射し、前記カメラによって前記基準チューブの側面を撮像した基準画像において、前記基準チューブの最も明るい部分の階調を100%、前記基準チューブの最も暗い部分の階調を0%としたとき、前記基準チューブは、階調が20%以上80%以下の範囲の中の所定値よりも高い部分で構成される内方部分と、前記所定値よりも低い部分で構成される外方部分と、を有しており、
検査対象のチューブである検査チューブに対して、前記照明によって前記検査チューブの外方から光を照射し、前記カメラによって前記検査チューブの側面を撮像した検査画像において、階調が前記所定値よりも高い部分で構成される内方部分の面積が、下記の(3)式によって算出した第3設定値よりも小さい場合に第3搬送不良であると判別する判別部を有している検査装置。
第3設定値=前記基準画像における前記内方部分の面積-前記基準画像における前記内方部分の面積の10%以上90%以下の範囲の中の所定の値・・・(3)
[6]前記カメラから前記カメラによって撮像されるチューブへ向かう方向にチューブを2本重ねた状態である重なりチューブに対して、前記照明によって前記重なりチューブの外方から光を照射し、前記カメラによって前記重なりチューブの側面を撮像した不良状態画像において、階調が前記所定値よりも高い部分で構成される内方部分の面積を不良状態値とし、
前記基準画像において、階調が前記所定値よりも高い部分で構成される内方部分の面積を基準状態値とし、
前記判別部は、前記検査画像における階調が前記所定値よりも高い部分で構成される内方部分の面積が、前記不良状態値と前記基準状態値との間に設定された閾値を下回った場合に第3搬送不良であると判別する[5]に記載の検査装置。
[7]前記判別部は、前記検査画像における前記検査チューブの外形の面積が、下記の(4)式によって算出した第4設定値よりも大きい場合に第4搬送不良であると判別する[5]または[6]に記載の検査装置。
第4設定値=前記基準画像における前記基準チューブの外形の面積+前記基準画像における前記基準チューブの外形の面積の1%以上90%以下の範囲の中の所定の値・・・(4)
[8]前記判別部は、前記第4搬送不良であると判別しなかった前記検査チューブについて、前記第3搬送不良の判別を行う[7]に記載の検査装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の検査装置によれば、検査対象のチューブである検査チューブに対して、照明によって検査チューブの外方から光を照射し、カメラによって検査チューブの側面を撮像した検査画像において、階調が所定値よりも高い部分で構成される内方部分の検査チューブの径方向での最大長さが、(1)式によって算出した第1設定値よりも小さい場合に第1搬送不良であると判別する判別部を有していることにより、外観からは判別が困難である外形が重なり合った状態の複数のチューブを判別することができる。その結果、チューブが1本ずつ搬送されているか否かの検査を精度よく行いやすくなる。
【0011】
また、本発明の第2の検査装置によれば、検査対象のチューブである検査チューブに対して、照明によって検査チューブの外方から光を照射し、カメラによって検査チューブの側面を撮像した検査画像において、階調が前記所定値よりも高い部分で構成される内方部分の面積が、(3)式によって算出した第3設定値よりも小さい場合に第3搬送不良であると判別する判別部を有していることにより、外観からは判別が困難である外形が重なり合った状態の複数のチューブを判別することができ、チューブが1本であるかどうかを精度よく検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態における検査装置において、基準チューブを撮像する状態の模式図を表す。
図2図1に示した状態での基準画像の模式図を表す。
図3図1に示した検査装置において、第1搬送不良と判別される検査チューブを撮像する状態の模式図を表す。
図4図3に示した状態での検査画像の模式図を表す。
図5図1に示した検査装置において、第2搬送不良と判別される検査チューブを撮像する状態の模式図を表す。
図6図5に示した状態での検査画像の模式図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0014】
まず、第1の検査装置について説明する。
【0015】
図1は本発明の一実施の形態における検査装置1の模式図であり、検査装置1において基準チューブ110を撮像する状態の模式図である。図1は、検査装置1をチューブ100の断面方向から見た模式図である。図1に示すように、検査装置1は、チューブ100の検査装置1であって、チューブ100を撮像するカメラ10と、チューブ100を照らす照明20と、を有している。図1において、紙面の上側が上方であり、紙面の下側が下方である。つまり、図1に示す検査装置1では、チューブ100の上方にカメラ10が位置しており、チューブ100の下方に照明20が位置している。
【0016】
検査装置1は、チューブ100の検査を行う装置である。詳細には、検査装置1は、チューブ100が1本ずつ搬送されているか、または、チューブ100が正常に搬送されているか等のチューブ100の搬送状態を検査するための装置である。
【0017】
チューブ100は、内腔を有しており、長手方向に延在している長尺物である。チューブ100は、チューブ100の内腔とチューブ100の外部とが連通する開口部を両端に有していることが好ましい。チューブ100の長手方向に垂直な断面の形状は、例えば、円形、楕円形、長円形、多角形、またはこれらを組み合わせた形状等が挙げられる。
【0018】
チューブ100は、バルーンカテーテルのバルーンやカテーテルシャフト等の医療用チューブの加工や成形に用いられるものであることが好ましい。中でも、チューブ100は、ブロー成形によってバルーンカテーテルのバルーンを成形するための長尺物であることが好ましい。具体的には、バルーンを成形するための長尺物は、ブロー成形のパリソンを長手方向に延伸したものであることが好ましい。チューブ100がバルーンを成形するための長尺物であることにより、例えば、ブロー成形の金型にチューブ100を挿入する際にチューブ100が複数本である等によってチューブ100の加工が正常に行えない場合に、検査装置1によってチューブ1の搬送不良を検出することができる。その結果、医療用チューブの加工や成形を効率的に行うことができる。
【0019】
チューブ100を構成する材料としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル等のポリオレフィン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、天然ゴム等が挙げられる。チューブ100を用いて医療用チューブの加工や成形を行う場合、チューブ100を構成する材料として、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、およびフッ素系樹脂等を用いることができる。
【0020】
チューブ100は、光が通過可能である材料から構成されていることが好ましい。つまり、チューブ100は、透明であることが好ましい。チューブ100が透明であることにより、検査装置1が有している照明20から照射された光がチューブ100を通過しやすく、検査装置1による搬送状態の検査が行いやすくなる。
【0021】
図1に示すように、検査装置1は、チューブ100を撮像するカメラ10と、チューブ100を照らす照明20と、を有している。照明20によってチューブ100に光を照射し、照らされたチューブ100をカメラ10によって撮像する。
【0022】
図1に示すように、チューブ100は、カメラ10と照明20との間に位置することが好ましい。つまり、チューブ100が搬送される経路が、カメラ10と照明20との間に位置していることが好ましい。検査装置1において、チューブ100がカメラ10と照明20との間に位置していることにより、照明20によって照らされたチューブ100をカメラ10にて鮮明に撮像しやすくなる。その結果、チューブ100の搬送状態の検査を精度よく行いやすくすることができる。
【0023】
チューブ100、カメラ10、および照明20の位置関係は、図1に示すように、チューブ100の上方にカメラ10が位置しており、チューブ100の下方に照明20が位置していてもよく、図示していないが、チューブ100の上方に照明20が位置しており、チューブ100の下方にカメラ10が位置していてもよい。また、図示していないが、チューブ100よりも奥側にカメラ10が位置しており、チューブ100よりも手前側に照明20が位置していてもよく、チューブ100よりも奥側に照明20が位置しており、チューブ100よりも手前側にカメラ10が位置していてもよい。
【0024】
カメラ10によるチューブ100の撮像は、チューブ100の側面の少なくとも一部を撮像することが好ましく、チューブ100の側面の全体を撮像することがより好ましい。カメラ10によるチューブ100の撮像は、図1に示すようにチューブ100の延在方向が水平方向となる状態にて行われてもよく、鉛直方向となる状態にて行われてもよく、その他の方向となる状態にて行われてもよい。
【0025】
カメラ10は、チューブ100をチューブ100の外方から撮像するものである。検査装置1が有しているカメラ10の数は、1つであってもよく、複数であってもよい。カメラ10は、照明20と対向する位置に配置されていることが好ましい。カメラ10が照明20と対向する位置に配置されていることにより、カメラ10を用いたチューブ100の撮像において、チューブ100が照明20によって明るく照らされやすくなり、チューブ100の搬送状態の検査を効率的に行うことが可能となる。
【0026】
図示していないが、検査装置1が有しているカメラ10は、レンズと、レンズから入ってきた光を電気信号に変換する撮像素子と、を有していることが好ましい。撮像素子としては、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等が挙げられる。撮像素子からの電気信号を、例えば外部のビデオプロセッサ等の画像表示機に伝達することにより、カメラ10にて撮像した映像を画像表示機にて確認することができる。
【0027】
照明20は、チューブ100をチューブ100の外方から照らすものである。検査装置1が有している照明20の数は、1つであってもよく、複数であってもよい。照明20は、カメラ10と対向する位置に配置されていることが好ましい。照明20がカメラ10と対向する位置に配置されていることにより、照明20によってチューブ100を明るく照らしやすく、カメラ10によるチューブ100の撮像が行いやすくなる。その結果、検査装置1によるチューブ100の搬送状態の検査を効率的に行うことができる。
【0028】
照明20は、光を照射するものであればよい。照明20としては、例えば、発光ダイオード(LED)や有機発光ダイオード(有機EL)、半導体レーザー等の半導体発光素子、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等の放電ランプ、白熱電球等を使用することができる。
【0029】
照明20は、電気エネルギーを光エネルギーに変換するものであることが好ましい。つまり、図示していないが、照明20は、配線を介して照明20に電気を供給する電源装置が接続されている構成であることが好ましい。照明20が配線を介して電源装置に接続されていることにより、電気が電源装置から配線を介して照明20に供給され、照明20の光源が発光し、照明20が光を照射することが可能となる。
【0030】
図示していないが、照明20が光ファイバーを有していてもよい。照明20として光ファイバーが用いられる場合、LEDやキセノンランプ、有機EL等の光源装置に光ファイバーの一方端が接続されていることが好ましい。光ファイバーの一方端が光源装置に接続されていることにより、光源装置から射出された光が光ファイバーの一方端から入射し、入射した光が光ファイバーのコアを通って、光ファイバーの他方端から射出される。その結果、照明20が光を照射することが可能となる。
【0031】
図2図1に示した状態での基準画像210の模式図である。図1および図2に示すように、1本のみのチューブ100である基準チューブ110に対して、照明20によって基準チューブ110の外方から光を照射し、カメラ10によって基準チューブ110の側面を撮像した基準画像210において、基準チューブ110の最も明るい部分の階調を100%、基準チューブ110の最も暗い部分の階調を0%としたとき、基準チューブ110は、階調が20%以上80%以下の範囲の中の所定値よりも高い部分で構成される内方部分211と、所定値よりも低い部分で構成される外方部分212と、を有している。
【0032】
図1および図2に示すように、1本のみのチューブ100である基準チューブ110に対して、照明20によって基準チューブ110の外方から光を照射し、カメラ10によって基準チューブ110の側面を撮像した画像を基準画像210とする。基準画像210の一例の模式図を図2に示す。基準画像210は、1本のみのチューブ100である基準チューブ110について撮像したものであり、チューブ100が1本ずつ搬送されているという正常な搬送状態を模したものである。
【0033】
図2に示すように、基準画像210において、基準チューブ110は内方部分211および外方部分212を有している。内方部分211は、基準画像210において、基準チューブ110の最も明るい部分の階調を100%とし、基準チューブ110の最も暗い部分の階調を0%としたとき、階調が20%以上80%以下の範囲の中の所定値よりも高い部分で構成される部分である。外方部分212は、基準画像210において、基準チューブ110の最も明るい部分の階調を100%とし、基準チューブ110の最も暗い部分の階調を0%としたとき、階調が20%以上80%以下の範囲の中の所定値よりも低い部分で構成される部分である。
【0034】
基準画像210において、基準チューブ110が有している内方部分211および外方部分212を定義する階調の所定値は、20%以上80%以下の階調の範囲の中から、カメラ10の撮像の状態や照明20の明るさ、基準画像210の状態等に応じて設定することができる。内方部分211および外方部分212を定義する階調の所定値は、20%以上80%以下の範囲内にあればよく、25%以上75%以下の範囲内にあることが好ましく、30%以上70%以下の範囲内にあることがより好ましく、35%以上65%以下の範囲内にあることがさらに好ましい。内方部分211および外方部分212を定義する階調の所定値を上記の範囲に設定することにより、基準画像210における基準チューブ110の内方部分211と外方部分212を明確に区別しやすくなり、後述する第1搬送不良や第2搬送不良の判別を精度よく行うことが可能となる。
【0035】
図3は検査装置1において、第1搬送不良と判別される検査チューブ120を撮像する状態の模式図であり、図4図3に示した状態での検査画像220の模式図である。図3は、検査装置1をチューブ100の断面方向から見た模式図である。図3において、紙面の上側が上方であり、紙面の下側が下方である。図3に示した状態では、カメラ10から照明20に向かう方向に検査チューブ120が2本重なり合っている。換言すると、2本の検査チューブ120は、鉛直方向に2本重なり合っており、2本の検査チューブ120のうち、カメラ10に近い側に位置している検査チューブ120はカメラ10側から視認できるが、照明20に近い側に位置している検査チューブ120はカメラ10側から視認できない状態となっている。つまり、図3に示した状態は、カメラ10側から検査チューブ120を見て、2本の検査チューブ120のうち、カメラ10に近い側に位置している検査チューブ120の外形と、照明20に近い側に位置している検査チューブ120の外形とが重なり合うような状態となっている。
【0036】
図3に示したような検査チューブ120が2本重なり合った状態は、載置されて山積みの状態となっている複数のチューブ100からロボットハンド等によってチューブ100を保持した際に、複数のチューブ100が静電気によって互いに引きつけ合う等して発生しやすい。従来、図3に示したような複数のチューブ100の外形が重なり合った状態となっている場合には、チューブ100の外観からチューブ100の数が1本であるか複数であるかを判別することが困難であった。
【0037】
図3および図4に示すように、検査装置1は、検査対象のチューブ100である検査チューブ120に対して、照明20によって検査チューブ120の外方から光を照射し、カメラ10によって検査チューブ120の側面を撮像した検査画像220において、階調が所定値よりも高い部分で構成される内方部分211の検査チューブ120の径方向での最大長さD2が、下記の(1)式によって算出した第1設定値よりも小さい場合に第1搬送不良であると判別する判別部30を有している。
第1設定値=基準画像210における内方部分211の基準チューブ110の径方向での最大長さD1-基準画像210における内方部分211の基準チューブ110の径方向での最大長さD1の10%以上90%以下の範囲の中の所定の値・・・(1)
【0038】
図3に示すように、検査対象のチューブ100である検査チューブ120に対して、照明20によって検査チューブ120の外方から光を照射し、カメラ10によって検査チューブ120の側面を撮像した画像を検査画像220とする。検査画像220の一例の模式図を図4に示す。検査画像220は、搬送状態の検査を行うチューブ100である検査チューブ120について撮像したものである。
【0039】
検査画像220における内方部分211は、基準画像210において基準チューブ110の内方部分211および外方部分212の定義に用いた階調の所定値よりも高い階調の部分で構成されるものである。つまり、基準画像210における内方部分211および外方部分212の定義に用いられる階調の所定値と、検査画像220における内方部分211および外方部分212の定義に用いられる階調の所定値とは、同じ値である。
【0040】
判別部30は、図4に示すように、検査画像220において、検査チューブ120の径方向における検査チューブ120の内方部分211の最大長さD2が、(1)式によって算出した第1設定値よりも小さい場合に第1搬送不良であると判別する。
【0041】
判別部30による第1搬送不良の判別は、検査画像220における検査チューブ120の内方部分211の最大長さD2が、第1設定値よりも小さいか否かを判定することにより行う。第1設定値は、下記の(1)式により算出される。
第1設定値=基準画像210における内方部分211の基準チューブ110の径方向での最大長さD1-基準画像210における内方部分211の基準チューブ110の径方向での最大長さD1の10%以上90%以下の範囲の中の所定の値・・・(1)
【0042】
つまり、第1設定値は、基準画像210における内方部分211の基準チューブ110の径方向での最大長さD1から、基準画像210における内方部分211の基準チューブ110の径方向での最大長さD1の10%以上90%以下の範囲の中の所定の値を引いた値である。
【0043】
第1設定値を算出する(1)式において用いられる、基準画像210における内方部分211の基準チューブ110の径方向での最大長さD1の10%以上90%以下の範囲の中の所定の値は、チューブ100の製造における寸法の誤差、カメラ10によるチューブ100の撮像の位置等の条件や照明20の照度等の条件に起因する誤差等によって、検査チューブ120に対する第1搬送不良の判定に誤りが生じにくくするための値である。(1)式にて用いられる所定の値は、基準画像210における内方部分211の基準チューブ110の径方向での最大長さD1の10%以上90%以下の範囲の中から、チューブ100の寸法や材質、カメラ10の撮像の状態や照明20の明るさ、基準画像210の状態等に応じて設定することができる。
【0044】
第1設定値を算出する(1)式において用いられる、基準画像210における内方部分211の基準チューブ110の径方向での最大長さD1から引く所定の値は、基準画像210における内方部分211の基準チューブ110の径方向での最大長さD1の10%以上90%以下の範囲の中の値である。所定の値は、基準画像210における内方部分211の最大長さD1の10%以上90%以下の範囲内にあればよく、12%以上88%以下の範囲内にあることが好ましく、15%以上85%以下の範囲内にあることがより好ましく、17%以上83%以下の範囲内にあることがさらに好ましい。第1設定値を算出する(1)式に用いられる所定の値を上記の範囲に設定することにより、検査チューブ120に対する第1搬送不良の判定の誤りを防ぎながら、第1搬送不良の判定を高い精度によって行いやすくすることができる。
【0045】
検査画像220における検査チューブ120の内方部分211の最大長さD2が第1設定値よりも小さい場合、1本のみのチューブ100である基準チューブ110を撮像した基準画像210における内方部分211の最大長さよりも、検査画像220における内方部分211の最大長さD2が小さくなっていることを意味する。検査画像220における内方部分211の最大長さD2が基準画像210における内方部分211の最大長さD1よりも小さくなっていることは、図3に示すように、カメラ10から照明20へ向かう方向にそれぞれの外形が重なり合った状態にて複数のチューブ100が撮像されていることを示す。
【0046】
詳細には、カメラ10から照明20へ向かう方向に複数のチューブ100の外形が重なり合った状態にて撮像すると、チューブ100の外方からチューブ100の内腔を通って、チューブ100を横断する光が、チューブ100を構成する壁部によって減衰される。そのため、検査画像220において、階調が所定値よりも高い部分で構成される内方部分211の最大長さD2が減少することとなる。その結果、基準画像210における内方部分211の最大長さよりも検査画像220における内方部分211の最大長さD2が小さくなり、検査画像220における内方部分211の最大長さD2が第1設定値よりも小さくなる。
【0047】
そのため、検査画像220における検査チューブ120の内方部分211の最大長さD2が第1設定値よりも小さい場合、検査チューブ120がカメラ10から照明20へ向かう方向に複数のチューブ100の外形が重なった状態になっていると判別することができる。その結果、検査チューブ120が、複数のチューブ100がカメラ10から照明20へ向かう方向に重なっている第1搬送不良であると判定することができる。従来、チューブ100の外観からは、複数のチューブ100がカメラ10から照明20へ向かう方向に重なっている状態であることを判別しにくいものであったが、検査画像220における検査チューブ120の内方部分211を用いて第1搬送不良であるか否かを確認することにより、チューブ100が1本であるか複数であるかを判別することが行いやすくすることができる。
【0048】
検査対象のチューブ100である検査チューブ120は、静止している状態のチューブ100であってもよく、動いている状態のチューブ100であってもよい。具体的には、検査チューブ120はロボットハンド等によって保持され、ある地点から別の地点に向かって移動する経路の途中で停止している状態のチューブ100であってもよく、ある地点から別の地点に向かって移動している状態のチューブ100であってもよい。
【0049】
図3に示すように、カメラ10から、カメラ10によって撮像されるチューブ100へ向かう方向にチューブ100を2本重ねた状態である重なりチューブ130に対して、照明20によって重なりチューブ130の外方から光を照射し、カメラ10によって重なりチューブ130の側面を撮像した不良状態画像230において、階調が所定値よりも高い部分で構成される内方部分211の重なりチューブ130での径方向での最大長さD3を不良状態値とし、基準画像210において、階調が所定値よりも高い部分で構成される内方部分211の基準チューブ110での径方向の最大長さD1を基準状態値とし、判別部30は、検査画像220における階調が所定値よりも高い部分で構成される内方部分211の検査チューブ120の径方向での最大長さD2が、不良状態値と基準状態値との間に設定された閾値を下回った場合に第1搬送不良であると判別することが好ましい。
【0050】
不良状態値は、不良状態画像230における、内方部分211の重なりチューブ130での径方向での最大長さD3の値である。基準状態値は、基準画像210における、内方部分211の基準チューブ110での径方向の最大長さD1である。重なりチューブ130は、チューブ100が2本重なった状態であるため、チューブ100の外方からチューブ100の内腔を通って、チューブ100を横断する光が、チューブ100を構成する壁部によって減衰される。その結果、不良状態画像230における内方部分211の重なりチューブ130での径方向での最大長さD3は、基準画像210における内方部分211の基準チューブ110での径方向の最大長さD1よりも減少することとなる。
【0051】
判別部30が、検査画像220における内方部分211の最大長さD2が、不良状態値と基準状態値との間に設定された閾値を下回った場合に第1搬送不良であると判別することにより、チューブ100の外観からは判別しにくい、カメラ10からチューブ100へ向かう方向にチューブ100が2本重なった状態である重なりチューブ130を精度よく判別することが可能となる。その結果、搬送されているチューブ100が1本であるか複数であるか、チューブ100の状態の検査が行いやすくなる。
【0052】
第1搬送不良の判別に用いる閾値は、不良状態値と基準状態値との間に設定された値である。つまり、第1搬送不良の判別に用いる閾値は、不良状態画像130における内方部分211の重なりチューブ130での径方向での最大長さD3の値を超えるものであって、かつ、基準画像210における内方部分211の基準チューブ110での径方向の最大長さD1の値未満であることが好ましい。第1搬送不良の判別に用いる閾値は、チューブ100の寸法や材質、カメラ10の撮像の状態や照明20の明るさ等に応じて設定することができる。
【0053】
図5は検査装置1において、第2搬送不良と判別される検査チューブ120を撮像する状態の模式図であり、図6図5に示した状態での検査画像220の模式図である。図5は、検査装置1をチューブ100の断面方向から見た模式図である。図5において、紙面の上側が上方であり、紙面の下側が下方である。図5に示した状態では、カメラ10側から検査チューブ120を見て、2本の検査チューブ120のうち、カメラ10に近い側に位置している検査チューブ120だけでなく、照明20に近い側に位置している検査チューブ120も視認できる状態となっている。
【0054】
前述の通り、載置されて山積みの状態となっている複数のチューブ100からロボットハンド等によってチューブ100を保持した際、カメラ10から照明20に向かう方向に検査チューブ120が2本重なり合った状態にてチューブ100が保持されやすい傾向にある。しかし、チューブ100の載置の状態等によっては、カメラ10から照明20に向かう方向と垂直な方向へもチューブ100が重なり合った状態でチューブ100が保持されることもあり得る。図5に示すように、カメラ10から照明20に向かう方向と垂直な方向に複数のチューブ100が重なっている場合、チューブ100を構成する壁部によって、チューブ100の外方からチューブ100の内腔を通ってチューブ100を横断する光の減衰がなくなるか軽減されることがある。そのため、図5に示すように、検査画像220における内方部分211の最大長さD2は、基準画像210における内方部分211の最大長さD1と同程度となることがある。この場合、判別部30が第1搬送不良と判別できず、複数のチューブ100が重なり合った状態となっていることを判断できない可能性がある。
【0055】
そのため、図5および図6に示すように、判別部30は、検査画像220における検査チューブ120の外形の径方向での最大長さD5が、下記の(2)式によって算出した第2設定値よりも大きい場合に第2搬送不良であると判別することが好ましい。
第2設定値=基準画像210における基準チューブ110の外形の径方向での最大長さD4+基準画像210における基準チューブ110の外形の径方向での最大長さD4の1%以上90%以下の範囲の中の所定の値・・・(2)
【0056】
(2)式によって算出される第2設定値は、換言すると、基準画像210における基準チューブ110の外形の径方向での最大長さD4に、基準画像210における基準チューブ110の外形の径方向での最大長さD4の1%以上90%以下の範囲の中の所定の値を加えた値である。
【0057】
第2設定値を算出する(2)式において用いられる、基準画像210における基準チューブ110の外形の径方向での最大長さD4の1%以上90%以下の範囲の中の所定の値は、チューブ100の製造における寸法の誤差、カメラ10によるチューブ100の撮像の位置等の条件や照明20の照度等の条件に起因する誤差等によって、検査チューブ120に対する第2搬送不良の判定に誤りが生じにくくするための値である。(2)式にて用いられる所定の値は、基準チューブ110の外形の径方向での最大長さD4の1%以上90%以下の範囲の中から、チューブ100の寸法や材質、カメラ10の撮像の状態や照明20の明るさ、基準画像210の状態等に応じて設定することができる。
【0058】
第2設定値を算出する(2)式において用いられる、基準画像210における基準チューブ110の外形の径方向での最大長さD4に加える所定の値は、基準画像210における基準チューブ110の外形の径方向での最大長さD4の1%以上90%以下の範囲の中の値である。所定の値は、基準画像210における基準チューブ110の外形の最大長さD4の1%以上90%以下の範囲内にあればよく、3%以上80%以下の範囲内にあることが好ましく、5%以上75%以下の範囲内にあることがより好ましく、10%以上50%以下の範囲内にあることがさらに好ましい。第2設定値を算出する(2)式に用いられる所定の値を上記の範囲に設定することにより、検査チューブ120に対する第2搬送不良の判定の誤りが生じにくく、精度よく第2搬送不良の判定を行うことができる。
【0059】
検査画像220における検査チューブ120の外形の径方向での最大長さD5が第2設定値よりも大きい場合、1本のみのチューブ100である基準チューブ110を撮像した基準画像210における基準チューブ110の外形の最大長さD4よりも、検査画像220における検査チューブ120の外形の最大長さD5が大きくなっていることを意味する。検査画像220における検査チューブ120の外形の最大長さD5が基準画像210における基準チューブ110の外形の最大長さD4よりも大きくなっていることは、図5に示すように、カメラ10から照明20に向かう方向と垂直な方向に複数のチューブ100が重なった状態にて撮像されていることを示す。
【0060】
詳細には、カメラ10から照明20に向かう方向と垂直な方向に複数のチューブ100が重なった状態にて撮像すると、検査画像220において、複数のチューブ100のそれぞれの外形が撮像される。その結果、基準画像210における基準チューブ110の外形の径方向での最大長さD4よりも、検査画像220における検査チューブ120の外形の最大長さD5が大きくなり、検査画像220における検査チューブ120の外形の最大長さD5が第2設定値よりも大きくなる。
【0061】
そのため、検査画像220における検査チューブ120の外形の最大長さD5が第2設定値よりも大きい場合、カメラ10から照明20に向かう方向と垂直な方向に複数のチューブ100が重なった状態になっていると判別することができる。その結果、検査チューブ120が、複数のチューブ100がカメラ10から照明20に向かう方向と垂直な方向に重なっている第2搬送不良であると判定することができる。
【0062】
判別部30は、検査チューブ120について、第1搬送不良の判別と第2搬送不良の判別の両方を行うことが好ましい。判別部30が検査チューブ120について第1搬送不良および第2搬送不良の両方の判別を行うことにより、様々な重なり状態のチューブ100についての搬送状態の判定を行うことができ、複数のチューブ100を搬送していることを検出しやすい検査装置1とすることができる。
【0063】
中でも、判別部30は、第2搬送不良であると判別しなかった検査チューブ120について、第1搬送不良の判別を行うことが好ましい。つまり、判別部30は、まず、検査チューブ120について第2搬送不良であるか否かの判定を行い、第2搬送不良ではないと判定した検査チューブ120について、次に第1搬送不良であるか否かの判定を行うことが好ましい。判別部30が第2搬送不良であると判別しなかった検査チューブ120について第1搬送不良の判別を行うことにより、検査チューブ120について、第1搬送不良の判別よりも判定しやすく誤判定が生じにくい第2搬送不良の判別をまず行うこととなる。そのため、検査チューブ120の搬送状態の検査を効率的に行うことが可能となる。
【0064】
次に、第2の検査装置について説明する。なお、下記の説明において、上記の説明と重複する部分は説明を省略する。
【0065】
図1および図2に示すように、チューブ100の検査装置1であって、チューブ100を撮像するカメラ10と、チューブ100を照らす照明20と、を有し、1本のみのチューブ100である基準チューブ110に対して、照明20によって基準チューブ110の外方から光を照射し、カメラ10によって基準チューブ110の側面を撮像した基準画像210において、基準チューブ110の最も明るい部分の階調を100%、基準チューブ110の最も暗い部分の階調を0%としたとき、基準チューブ110は、階調が20%以上80%以下の範囲の中の所定値よりも高い部分で構成される内方部分211と、所定値よりも低い部分で構成される外方部分212と、を有しており、検査対象のチューブ100である検査チューブ120に対して、照明20によって検査チューブ120の外方から光を照射し、カメラ10によって検査チューブ120の側面を撮像した検査画像220において、階調が所定値よりも高い部分で構成される内方部分211の面積が、下記の(3)式によって算出した第3設定値よりも小さい場合に第3搬送不良であると判別する判別部30を有している。
第3設定値=基準画像210における内方部分211の面積-基準画像210における内方部分211の面積の10%以上90%以下の範囲の中の所定の値・・・(3)
【0066】
つまり、第3設定値は、基準画像210における内方部分211の面積から、基準画像210における内方部分211の面積の10%以上90%以下の範囲の中の所定の値を引いた値である。
【0067】
第3設定値を算出する(3)式において用いられる、基準画像210における内方部分211の面積の10%以上90%以下の範囲の中の所定の値は、チューブ100の製造時の寸法誤差、カメラ10によるチューブ100の撮像の位置や照明20の照度等の条件による誤差等によって、検査チューブ120に対する第3搬送不良の判定に誤りが生じにくくするための値である。(3)式にて用いられる所定の値は、基準画像210における内方部分211の面積の10%以上90%以下の範囲の中から、チューブ100の寸法や材質、カメラ10の撮像の状態や照明20の明るさ、基準画像210の状態等によって適宜設定することができる。
【0068】
内方部分211の面積は、内方部分211のチューブ100の径方向での長さに、チューブ100の延在方向における内方部分211の長さをかけることにより求めることができる。搬送状態の判別に内方部分211の面積を用いることにより、チューブ100の製造時の寸法誤差や撮像の条件による誤差等によって、搬送不良の判定に誤りが発生することを防止しやすくなる。
【0069】
第3設定値を算出する(3)式において用いられる、基準画像210における内方部分211の面積から引く所定の値は、基準画像210における内方部分211の面積の10%以上90%以下の範囲の中の値である。所定の値は、基準画像210における内方部分211の面積の10%以上90%以下の範囲内にあればよく、12%以上88%以下の範囲内にあることが好ましく、15%以上85%以下の範囲内にあることがより好ましく、17%以上83%以下の範囲内にあることがさらに好ましい。第3設定値を算出する(3)式に用いられる所定の値を上記の範囲に設定することにより、検査チューブ120に対する第3搬送不良の判定の誤りが起こりにくく、高い精度にて第3搬送不良の判定を行いやすくすることができる。
【0070】
検査画像220における検査チューブ120の内方部分211の面積が第3設定値よりも小さい場合、1本のみのチューブ100である基準チューブ110を撮像した基準画像210における内方部分211の面積よりも、検査画像220における内方部分211の面積が小さくなっていることを意味する。検査画像220における内方部分211の面積が基準画像210における内方部分211の面積よりも小さくなっていることは、図3に示すように、カメラ10から照明20へ向かう方向にそれぞれの外形が重なり合った状態にて複数のチューブ100が撮像されていることを示す。
【0071】
詳細には、カメラ10から照明20へ向かう方向に複数のチューブ100の外形が重なり合った状態にて撮像すると、チューブ100の外方からチューブ100の内腔を通って、チューブ100を横断する光が、チューブ100を構成する壁部によって減衰される。そのため、検査画像220において、階調が所定値よりも高い部分で構成される内方部分211の検査チューブ120の径方向での長さが減少することとなる。そのため、検査画像220における検査チューブ120の内方部分211の面積も減少し、検査画像220における内方部分211の面積が第3設定値よりも小さくなる。
【0072】
検査画像220における検査チューブ120の内方部分211の面積が第3設定値よりも小さい場合、検査チューブ120がカメラ10から照明20へ向かう方向に複数のチューブ100の外形が重なった状態になっていると判別することができる。その結果、検査チューブ120が、複数のチューブ100がカメラ10から照明20へ向かう方向に重なっている第3搬送不良であると判定することが可能である。従来では、複数のチューブ100がカメラ10から照明20へ向かう方向に重なっている状態であることはチューブ100の外観から判別しにくいものであったが、検査画像220における検査チューブ120の内方部分211を用いて第3搬送不良であるか否かを確認することにより、チューブ100が1本であるか複数重なり合った状態であるかを容易に判別することが可能となる。
【0073】
図3に示すように、カメラ10から、カメラ10によって撮像されるチューブ100へ向かう方向にチューブ100を2本重ねた状態である重なりチューブ130に対して、照明20によって重なりチューブ130の外方から光を照射し、カメラ10によって重なりチューブ130の側面を撮像した不良状態画像230において、階調が所定値よりも高い部分で構成される内方部分211の面積を不良状態値とし、基準画像210において、階調が所定値よりも高い部分で構成される内方部分211の面積を基準状態値とし、判別部30は、検査画像220における階調が所定値よりも高い部分で構成される内方部分211の面積が、不良状態値と基準状態値との間に設定された閾値を下回った場合に第3搬送不良であると判別することが好ましい。
【0074】
不良状態値は、不良状態画像230における内方部分211の面積の値である。基準状態値は、基準画像210における内方部分211の面積である。重なりチューブ130は、チューブ100が2本重なった状態であるため、チューブ100の外方からチューブ100の内腔を通って、チューブ100を横断する光が、チューブ100を構成する壁部によって減衰される。その結果、不良状態画像230における内方部分211の重なりチューブ130での径方向での長さが減少し、不良状態画像230における内方部分211の面積も減少する。そのため、不良状態画像230における内方部分211の面積が、基準画像210における内方部分211の面積よりも減少する。
【0075】
判別部30が、検査画像220における内方部分211の面積が、不良状態値と基準状態値との間に設定された閾値を下回った場合に第3搬送不良であると判別することにより、チューブ100の外観からは判別しにくい重なりチューブ130を判別しやすくなる。そのため、搬送されているチューブ100が1本であるか複数であるかの検査を容易に行うことができる。
【0076】
第3搬送不良の判別に用いる閾値は、不良状態値と基準状態値との間に設定された値である。つまり、第3搬送不良の判別に用いる閾値は、不良状態画像230における内方部分211の面積の値を超えるものであって、かつ、基準画像210における内方部分211の面積の値未満であることが好ましい。第3搬送不良の判別に用いる閾値は、チューブ100の寸法や材質、カメラ10の撮像の状態や照明20の明るさ等に合わせて設定することができる。
【0077】
図5および図6に示すように、判別部30は、検査画像220における検査チューブ120の外形の面積が、下記の(4)式によって算出した第4設定値よりも大きい場合に第4搬送不良であると判別することが好ましい。
第4設定値=基準画像210における基準チューブ110の外形の面積+基準画像210における基準チューブ110の外形の面積の1%以上90%以下の範囲の中の所定の値・・・(4)
【0078】
(4)式によって算出される第4設定値は、換言すると、基準画像210における基準チューブ110の外形の面積に、基準画像210における基準チューブ110の外形の面積の1%以上90%以下の範囲の中の所定の値を加えた値である。
【0079】
第4設定値を算出する(4)式において用いられる、基準画像210における基準チューブ110の外形の面積の1%以上90%以下の範囲の中の所定の値は、チューブ100の製造時の寸法誤差、カメラ10によるチューブ100の撮像や照明20の照度等の条件による誤差等によって、検査チューブ120に対する第2搬送不良の判定に誤りが生じにくくするための値である。(4)式にて用いられる所定の値は、基準チューブ110の外形の面積の1%以上90%以下の範囲の中から、チューブ100の寸法や材質、カメラ10の撮像の状態や照明20の明るさ、基準画像210の状態等に合わせて設定することができる。
【0080】
第4設定値を算出する(4)式において用いられる、基準画像210における基準チューブ110の外形の面積に加える所定の値は、基準画像210における基準チューブ110の外形の面積の1%以上90%以下の範囲の中の値である。所定の値は、基準画像210における基準チューブ110の外形の面積の1%以上90%以下の範囲内にあればよく、3%以上80%以下の範囲内にあることが好ましく、5%以上75%以下の範囲内にあることがより好ましく、10%以上50%以下の範囲内にあることがさらに好ましい。第4設定値を算出する(4)式に用いられる所定の値を上記の範囲に設定することにより、検査チューブ120に対する第4搬送不良の判定の誤りが生じにくく、第4搬送不良の判定の精度を高めることができる。
【0081】
検査画像220における検査チューブ120の外形の面積が第4設定値よりも大きい場合、1本のみのチューブ100である基準チューブ110を撮像した基準画像210における基準チューブ110の外形の面積よりも、検査画像220における検査チューブ120の外形の面積が大きくなっていることを意味する。検査画像220における検査チューブ120の外形の面積が基準画像210における基準チューブ110の外形の面積よりも大きくなっていることは、図5に示すように、カメラ10から照明20に向かう方向と垂直な方向に複数のチューブ100が重なった状態にて撮像されていることを示す。
【0082】
詳細には、カメラ10から照明20に向かう方向と垂直な方向に複数のチューブ100が重なった状態にて撮像すると、検査画像220において、複数のチューブ100のそれぞれの外形が撮像される。その結果、検査画像220における検査チューブ120の外形の長さが、基準画像210における基準チューブ110の外形の径方向での長さよりも大きくなる。そのため、検査画像220における検査チューブ120の外形の面積も、基準画像210における基準チューブ110の外形の面積よりも大きくなり、検査画像220における検査チューブ120の外形の面積が第4設定値よりも大きくなる。
【0083】
検査画像220における検査チューブ120の外形の面積が第4設定値よりも大きい場合、カメラ10から照明20に向かう方向と垂直な方向に複数のチューブ100が重なった状態になっていると判別することができる。その結果、検査チューブ120が、複数のチューブ100がカメラ10から照明20に向かう方向と垂直な方向に重なっている第4搬送不良であると判定することが可能となる。
【0084】
判別部30は、検査チューブ120について、第3搬送不良の判別と第4搬送不良の判別の両方を行うことが好ましい。判別部30が検査チューブ120について第3搬送不良および第4搬送不良の両方の判別を行うことにより、様々な状態にて重なっているチューブ100の搬送状態について判定を行うことが可能となり、検査装置1が複数のチューブ100を搬送していることを検出しやすくすることができる。
【0085】
中でも、判別部30は、第4搬送不良であると判別しなかった検査チューブ120について、第3搬送不良の判別を行うことが好ましい。つまり、判別部30は、まず、検査チューブ120について第4搬送不良であるか否かの判定を行い、第4搬送不良ではないと判定した検査チューブ120について、第3搬送不良であるか否かの判定を行うことが好ましい。判別部30が第4搬送不良であると判別しなかった検査チューブ120について第3搬送不良の判別を行うことにより、第3搬送不良の判別よりも判定が容易であって誤判定が起こりにくい第4搬送不良の判別を検査チューブ120について行うこととなる。そのため、検査チューブ120の搬送状態の検査を効率的に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0086】
1:検査装置
10:カメラ
20:照明
30:判別部
100:チューブ
110:基準チューブ
120:検査チューブ
130:重なりチューブ
210:基準画像
211:内方部分
212:外方部分
220:検査画像
230:不良状態画像
D1:基準画像における内方部分の基準チューブの径方向での最大長さ
D2:検査画像における内方部分の検査チューブの径方向での最大長さ
D3:不良状態画像における内方部分の重なりチューブの径方向での最大長さ
D4:基準画像における基準チューブの外形の径方向での最大長さ
D5:検査画像における検査チューブの外形の径方向での最大長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6