IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミサワホーム株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-建物 図1
  • 特開-建物 図2
  • 特開-建物 図3
  • 特開-建物 図4
  • 特開-建物 図5
  • 特開-建物 図6
  • 特開-建物 図7
  • 特開-建物 図8
  • 特開-建物 図9
  • 特開-建物 図10
  • 特開-建物 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131984
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】建物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/76 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
E04B1/76 500Z
E04B1/76 400F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042600
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】青木 亮
(72)【発明者】
【氏名】飯田 和仁
(72)【発明者】
【氏名】片桐 徹
(72)【発明者】
【氏名】川上 隆士
(72)【発明者】
【氏名】竹迫 利喜也
(72)【発明者】
【氏名】土屋 奈美子
(72)【発明者】
【氏名】東山 純也
(72)【発明者】
【氏名】藤塚 亮太
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001FA21
2E001HD01
2E001HF01
2E001HF05
(57)【要約】
【課題】外張断熱構造とされた外壁と基礎との間に形成される段差を極力目立たなくし、建物の見栄えを向上させる。
【解決手段】基礎1と、基礎1の上に設けられた外壁P2(壁パネルP2)と、外壁P2の屋外側面に形成された外張断熱構造部と、を備える建物において、外張断熱構造部の屋外側面6aと基礎1の屋外側面1aとの間に生じた段差に隣接して外壁P2の屋外側面よりも基礎1側に位置する空間S1に、当該空間S1を補填するための空間補填部が配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎と、
前記基礎の上に設けられた外壁と、
前記外壁の屋外側面に形成された外張断熱構造部と、を備える建物において、
前記外張断熱構造部の屋外側面と前記基礎の屋外側面との間に生じた段差に隣接して前記外壁の屋外側面よりも前記基礎側に位置する空間に、当該空間を補填するための空間補填部が配置されていることを特徴とする建物。
【請求項2】
請求項1に記載の建物において、
前記空間補填部は、前記基礎の屋外側面に接した状態で設けられて固定されていることを特徴とする建物。
【請求項3】
請求項2に記載の建物において、
前記基礎は鉄筋コンクリート構造とされており、
前記空間補填部は、鉄筋コンクリート構造とされた板状の付加基礎部材であり、
前記付加基礎部材は、連結部材によって前記基礎に連結されて固定されていることを特徴とする建物。
【請求項4】
請求項2に記載の建物において、
前記外張断熱構造部は、前記建物における外周の前記外壁に設けられており、
前記基礎は鉄筋コンクリート構造とされており、
前記空間補填部は、鉄筋コンクリート構造とされた板状の付加基礎部材であり、
前記付加基礎部材は、前記建物における外周の前記基礎の屋外側面に接した状態に設けられ、前記付加基礎部材の周囲には、補強繊維材が、前記付加基礎部材の屋外側面に密着した状態で巻き回されていることを特徴とする建物。
【請求項5】
請求項2に記載の建物において、
前記外張断熱構造部は、当該外張断熱構造部のうち最も屋外側に設けられて、当該外張断熱構造部の屋外側面を構成する外装材を有しており、
前記空間補填部は、板状に形成された付加断熱パネルとされ、
前記付加断熱パネルは、
本体である板状断熱材と、
前記板状断熱材の屋外側面に設けられていて、前記外張断熱構造部の前記外装材と同一の種類とされた基礎用外装材と、を備えることを特徴とする建物。
【請求項6】
請求項2に記載の建物において、
前記外張断熱構造部は、当該外張断熱構造部のうち最も屋外側に設けられて、当該外張断熱構造部の屋外側面を構成する外装材を有し、
前記外装材は、下端部が下方に延出して形成されており、
前記空間補填部は、板状に形成された付加断熱パネルとされ、
前記付加断熱パネルの屋外側面は、前記外装材の下端部によって被覆されていることを特徴とする建物。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の建物において、
前記付加断熱パネルの下端部は、防蟻材によって保護された状態で地面に埋められていることを特徴とする建物。
【請求項8】
請求項2に記載の建物において、
前記空間補填部は、前記基礎の屋外側面から屋外側に離間した位置に設けられたカバー材とされ、当該カバー材には、複数の通気孔が形成されていることを特徴とする建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁の屋外側面に形成された外張断熱構造部を備える建物に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物における断熱性能を向上させる目的で設けられる外張断熱構造の一例として、特許文献1に記載のものが知られている。
特許文献1に記載の外張断熱構造においては、複数のふかし材が、外壁を構成する壁体の構造材に沿って配置されるとともに壁体における屋外側の表面に固定されている。すなわち、ふかし材は、壁体の表面から突出した状態に設けられている。そして、外張断熱材が、ふかし材に当接した状態で壁体の表面に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-072190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外張断熱構造は、壁体の表面に外張断熱材が設けられているため、外壁は、少なくとも、ふかし材の突出寸法分又は外張断熱材の厚み分以上、屋外側に厚みを増した状態となる。このように外壁の厚みが増すと、外壁の断熱性能が向上し、建物の断熱性を向上させることができる、という利点がある。
ところが、外壁の厚みが増してしまうと、その分だけ基礎の屋外側面との間に大きな段差が生じてしまうため、この段差を極力目立たなくしたいという要望があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、外張断熱構造とされた外壁と基礎との間に形成される段差を極力目立たなくし、建物の見栄えを向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば図1図9に示すように、
基礎1と、
前記基礎1の上に設けられた外壁P2(壁パネルP2)と、
前記外壁P2の屋外側面に形成された外張断熱構造部と、を備える建物において、
前記外張断熱構造部の屋外側面6aと前記基礎1の屋外側面1aとの間に生じた段差に隣接して前記外壁P2の屋外側面よりも前記基礎1側に位置する空間S1に、当該空間S1を補填するための空間補填部が配置されていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、外張断熱構造部の屋外側面6aと基礎1の屋外側面1aとの間に生じた段差に隣接して外壁P2の屋外側面よりも基礎1側に位置する空間S1に、当該空間S1を補填するための空間補填部が配置されているので、この空間補填部によって空間S1を満たすか、又は満たすように見せることができる。これにより、外張断熱構造部の屋外側面6aと基礎1の屋外側面1aとの間に生じた段差を極力目立たなくし、建物の見栄えを向上させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図1図8に示すように、請求項1に記載の建物において、
前記空間補填部は、前記基礎1の屋外側面1aに接した状態で設けられて固定されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、空間補填部は、基礎1の屋外側面1aに接した状態で設けられて固定されているので、空間補填部を安定した状態で空間S1内に配置し、強固な設置状態とすることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば図2に示すように、請求項2に記載の建物において、
前記基礎1は鉄筋コンクリート構造とされており、
前記空間補填部は、鉄筋コンクリート構造とされた板状の付加基礎部材10であり、
前記付加基礎部材10は、連結部材11によって前記基礎1に連結されて固定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、鉄筋コンクリート構造とされた板状の付加基礎部材10が、連結部材11によって基礎1に連結されて固定されているので、基礎1をふかした状態にすることができる。これにより、空間S1を付加基礎部材10によって満たすことが可能となるので、外張断熱構造部の屋外側面6aと基礎1の屋外側面1aとの間に生じた段差を極力目立たなくし、建物の見栄えを向上させることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば図3図5に示すように、請求項2に記載の建物において、
前記外張断熱構造部は、前記建物における外周の前記外壁P2に設けられており、
前記基礎1は鉄筋コンクリート構造とされており、
前記空間補填部は、鉄筋コンクリート構造とされた板状の付加基礎部材10であり、
前記付加基礎部材10は、前記建物における外周の前記基礎1の屋外側面1aに接した状態に設けられ、前記付加基礎部材10の周囲には、補強繊維材12が、前記付加基礎部材10の屋外側面に密着した状態で巻き回されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、鉄筋コンクリート構造とされた板状の付加基礎部材10が、建物における外周の基礎1の屋外側面1aに接した状態に設けられ、付加基礎部材10の周囲に、補強繊維材12が、付加基礎部材10の屋外側面に密着した状態で巻き回されているので、付加基礎部材10を、補強繊維材12によって基礎1の屋外側面1aに押し付けて固定することができる。これにより、空間S1を付加基礎部材10によって満たすことが可能となるので、外張断熱構造部の屋外側面6aと基礎1の屋外側面1aとの間に生じた段差を極力目立たなくし、建物の見栄えを向上させることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば図6に示すように、請求項2に記載の建物において、
前記外張断熱構造部は、当該外張断熱構造部のうち最も屋外側に設けられて、当該外張断熱構造部の屋外側面6aを構成する外装材6を有しており、
前記空間補填部は、板状に形成された付加断熱パネル15とされ、
前記付加断熱パネル15は、
本体である板状断熱材15aと、
前記板状断熱材15aの屋外側面に設けられていて、前記外張断熱構造部の前記外装材6と同一の種類とされた基礎用外装材15bと、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、空間補填部が、板状に形成された付加断熱パネル15とされ、この付加断熱パネル15は、板状断熱材15aと、板状断熱材15aの屋外側面に設けられていて、外張断熱構造部の外装材6と同一の種類とされた基礎用外装材15bと、を備えるので、空間S1を付加断熱パネル15によって満たすことが可能となる。これにより、外張断熱構造部の屋外側面6aと基礎1の屋外側面1aとの間に生じた段差を極力目立たなくし、建物の見栄えを向上させることができる。また、付加断熱パネル15によって基礎1を被覆できるので、床下の断熱性を向上させることができる。
しかも、付加断熱パネル15は、外張断熱構造部の外装材6と同一の種類とされた基礎用外装材15bによって基礎1の仕上げ面を形成できる。そして、このような仕上げ面を有する付加断熱パネル15によって、外張断熱構造部の外装材6を基礎1側にも連続させたように見せることができるので、建物の見栄えを向上させることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、例えば図7に示すように、請求項2に記載の建物において、
前記外張断熱構造部は、当該外張断熱構造部のうち最も屋外側に設けられて、当該外張断熱構造部の屋外側面6aを構成する外装材6を有し、
前記外装材6は、下端部が下方に延出して形成されており、
前記空間補填部は、板状に形成された付加断熱パネル17とされ、
前記付加断熱パネル17の屋外側面は、前記外装材6の下端部によって被覆されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、空間補填部が、板状に形成された付加断熱パネル17とされているので、空間S1を付加断熱パネル17によって満たすことが可能となる。また、付加断熱パネル17によって基礎1を被覆できるので、床下の断熱性を向上させることができる。そして、外張断熱構造部の屋外側面6aを構成する外装材6の下端部が下方に延出して形成されており、付加断熱パネル17の屋外側面は、外装材6の下端部によって被覆されているので、外装材6を、基礎1側にも連続させた状態とすることができ、建物の見栄えを向上させることができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、例えば図6図7に示すように、請求項5又は6に記載の建物において、
前記付加断熱パネル15,17の下端部は、防蟻材16によって保護された状態で地面に埋められていることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、付加断熱パネル15,17の下端部は、防蟻材16によって保護された状態で地面に埋められているので、付加断熱パネル15,17の下端部を防蟻処理された状態とすることができる。これにより、地面に埋められた付加断熱パネル15,17の下端部から基礎1側へのシロアリ等の害虫の進入を極力食い止めることができるので、建物の保護を図ることができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、例えば図8に示すように、請求項2に記載の建物において、
前記空間補填部は、前記基礎1の屋外側面1aから屋外側に離間した位置に設けられたカバー材18とされ、当該カバー材18には、複数の通気孔が形成されていることを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、空間補填部は、基礎1の屋外側面1aから屋外側に離間した位置に設けられたカバー材18とされているので、このカバー材18によって空間S1を満たすように見せることができる。これにより、外張断熱構造部の屋外側面6aと基礎1の屋外側面1aとの間に生じた段差を極力目立たなくし、建物の見栄えを向上させることができる。
さらに、このカバー材18には、複数の通気孔が形成されているので、基礎1側への通気を確保することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、外張断熱構造とされた外壁と基礎との間に形成される段差を極力目立たなくし、建物の見栄えを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】建築用木質パネルの構造を示す斜視図である。
図2】外装材と基礎との間の段差に付加基礎部材が設けられた状態の例を示す断面図である。
図3】外装材と基礎との間の段差に付加基礎部材が設けられた状態の例を示す断面図である。
図4図3の例を平面視した場合を示す概略図である。
図5】付加基礎部材同士の連結方法の一例を示す部分拡大平面図である。
図6】外装材と基礎との間の段差に付加断熱パネルが設けられた状態の例を示す断面図である。
図7】外装材と基礎との間の段差に付加断熱パネルが設けられた状態の例を示す断面図である。
図8】外装材と基礎との間の段差にカバー材が設けられた状態の例を示す断面図である。
図9】基礎を偏心させた場合の例を示す断面図である。
図10】外装材と基礎との間の段差に室外機が設けられた状態の例を示す断面図である。
図11】外装材と基礎との間の段差に立水栓が設けられた状態の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。なお、以下の実施形態及び図示例における方向は、あくまでも説明の便宜上設定したものである。
【0025】
<第1実施形態>
本実施形態の建物は、壁や床、屋根といった建物の構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てて構築するパネル工法で構築されるが、従来の軸組工法や壁式工法の木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の建物にも適用することができる。
【0026】
また、このパネル(以下、建築用木質パネル)とは、図1に例示されるように、縦横の框材Fmが矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助桟材Cpが縦横に組み付けられて枠体Fが構成され、この枠体Fの両面もしくは片面に、合板等の面材Bdが貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。さらに、その内部中空な部分には、グラスウールやロックウール等の断熱材(以下、繊維系断熱材In1)、発泡プラスチック断熱材が適宜選択されて装填される。
【0027】
本実施形態においては、図2に示すように、建築用木質パネルとして、建物の床を構成する床パネルP1と、建物の壁を構成する壁パネルP2が用いられる。
床パネルP1は、枠体Fの上面にのみ面材Bが設けられている。そして、基礎1の上面に、床下換気を可能とする換気台輪2を介在させた状態で設置される。
壁パネルP2は、枠体Fの両面に面材Bが設けられている。また、壁パネルP2は、床パネルP1の上面に載せられて設置される。壁パネルP2が、屋外側に位置する外壁の場合は、半土台3の上面及び床パネルP1における屋外側端部の上面に跨って設けられる。
【0028】
基礎1は、本実施形態においては布基礎とされているが、これに限られるものではなく、べた基礎でもよい。基礎1の立ち上がり部は地面よりも上方に突出しており、立ち上がり部の上面に、換気台輪2が設けられている。
また、基礎1は、図示はしないが、上面から上方に突出するアンカーボルトを有する。アンカーボルトは、基礎1上に設けられた換気台輪2、半土台3、床パネルP1、及び壁パネルP2における下端部の框材Fmを貫通した状態になっている。そして、アンカーボルトの先端には座金やナットが設けられ、このナットが締め付けられることにより、基礎1から、換気台輪2、半土台3及び床パネルP1を経て、壁パネルP2までが一体化する構成となっている。
【0029】
以上のような基本構造を有する建物の外壁には、図2に示すように、ふかし材4及び外張断熱材5が設けられることにより、外張断熱構造部が形成されている。
より詳細に説明すると、建物の外壁は、屋外側に位置する壁パネルP2を主として構成されている。また、建物の外壁には、壁パネルP2の直下に位置し、かつ、壁パネルP2と床パネルP1との取り合い部に位置する半土台3が含まれてもよい。さらに、図示はしないが、壁パネルP2の直上に位置する上部構造(例えば梁、上階の床パネルP1及び半胴差、他の壁パネルP2、調整材など)が含まれてもよい。そして、本実施形態において建物の外壁は、屋外側に位置する壁パネルP2と、その直下に位置する半土台3と、を含んで構成されている。
このような外壁の屋外側面、すなわち、外壁の表面に、外張断熱構造部が形成されている。外張断熱構造部は、ふかし材4と、外張断熱材5と、縦胴縁と、外装材6と、を少なくとも備えている。
なお、本実施形態の外張断熱構造部は、建物における外周(全周)の外壁に形成されているものとする。
【0030】
ふかし材4は、木材であることが好ましく、本実施形態においては、例えば角材によって構成されている。形状は、角材に限られるものではなく、板材であってもよい。
また、ふかし材4は、外壁のうち半土台3や壁パネルP2における框材Fm又は/及び補助桟材Cpに沿って配置されている。そして、ふかし材4は、最小限の数のビス等の固定材によって、半土台3及び壁パネルP2における框材Fm又は/及び補助桟材Cpに固定されている。固定材は、半土台3や框材Fm、補助桟材Cpを狙って設けられているものとする。また、ふかし材4は、面材Bに対して接着剤により接着されてもよい。
【0031】
このようなふかし材4は、半土台3に沿って、かつ水平方向(横方向)に配置される横ふかし材4aと、壁パネルP2に沿って、かつ垂直方向(縦方向)に配置される縦ふかし材4bと、を有する。
縦ふかし材4bは、その下端面が、横ふかし材4aの上面に接した状態となっている。
なお、建物の外壁に、壁パネルP2の直上に位置する上部構造が含まれる場合、その上部構造の表面にも横ふかし材4aが固定されてよい。その場合、縦ふかし材4bの上端面が、上側の横ふかし材4aの下面に接した状態となる。
また、縦ふかし材4bは、一本の横ふかし材4aに対して複数本が用いられるものとする。これにより、外壁の表面には、横ふかし材4aと縦ふかし材4bからなる凹型又はロ字型の枠組みが形成されることとなる。
【0032】
外張断熱材5は、横ふかし材4a及び縦ふかし材4bからなる枠組みの内側に収まるようにして、外壁の表面に設けられている。すなわち、外張断熱材5は、横ふかし材4aの上面、縦ふかし材4bの側面及び外壁の表面に接した状態となっている。
本実施形態の外張断熱材5は、発泡プラスチック断熱材(発泡系断熱材)によって構成されている。
また、外張断熱材5は、ふかし材4に固定された複数の押さえ材(図示省略)によって外壁の表面に押さえ付けられて保持されている。複数の押さえ材に代えて接着剤を用い、外張断熱材5を外壁の表面やふかし材4に接着してもよい。
なお、外張断熱材5は、ふかし材4に対して予め固定されて、一つのパネルとして取り扱えるようにしてもよい。これにより、輸送時や施工時の効率を良くすることができる。
また、外張断熱材5の屋外側面に合板等の面材を予め貼り付けて一体化し、一つのパネルとして取り扱えるようにしてもよい。
【0033】
ふかし材4及び押さえ材の表面には、防水透湿シート(図示省略)が貼られ、その上から複数の縦胴縁(図示省略)が設けられている。そして、これら複数の縦胴縁に外装材6が取り付けられている。これにより、ふかし材4及び外張断熱材5の表面と、外装材6の裏面との間には、縦胴縁の厚み分の隙間が形成されることとなる。
なお、横ふかし材4aの表面には水切り材7が設けられている。
【0034】
ここで、例えばふかし材4の厚みが100mmだとすると、その表面には縦胴縁が設けられ、更にその表面に外装材6が設けられている。そのため、外壁の表面から外装材6の表面6a(すなわち、外張断熱構造部の屋外側面6a)までの出寸法は、優に100mmを超えることとなる。
さらに、仮に、基礎1の立ち上がり部における屋外側面1a(以下、基礎1の屋外側面1a)と外壁の表面が、同一鉛直面上に位置していたとすると、外装材6の表面6aは、基礎1の屋外側面1aからも優に100mm以上、屋外側に位置していることとなる。図2に示す例においては、基礎1の屋外側面1aは、外壁の表面よりも屋内側(床下側)に位置しているため、より大きな間隔が空いた状態となっている。
【0035】
すなわち、外張断熱構造部が形成された外壁のうち、最も屋外側に位置する部位である外装材6の表面6aと、基礎1の屋外側面1aとの間には、大きな段差が形成されることとなる。
より詳細に説明すると、外装材6の表面6aにおける下端部から下方に、二点鎖線(図2等参照)で表した仮想的な垂直線L1を延ばし、その垂直線L1から基礎1の屋外側面1aまでの間には空間S1が形成されている。すなわち、その空間S1は、基礎1の立ち上がり部における屋外側面1aの屋外側であって、かつ、地面と外張断熱構造部との間に形成されている。
すなわち、外装材6の表面6aと基礎1の屋外側面1aとの間に段差が形成されると、空間S1も同時に形成されることとなり、両者は不可分の関係にある。そして、段差が大きくなればなるほど、空間S1も前後(屋内外)方向に広くなり、建物を見たときに非常に目立つようになる。
【0036】
そこで、本実施形態においては、上記の空間S1に、段差を解消するための空間補填部が配置されている。
なお、「補填」とは、一般的には不足をうずめ補うことを意味し、ここでは空間S1に配置されて当該空間S1を満たす、又は満たすように見せることを指すものとする。すなわち、空間補填部は、空間S1に配置されることで、当該空間S1を満たすか、満たすように見せることができる。これにより、外装材6の表面6aと基礎1の屋外側面1aとの間に生じた段差を解消することができる。
【0037】
本実施形態の空間補填部は、付加基礎部材10によって構成されている。この付加基礎部材10は、基礎1と同様にRC(鉄筋コンクリート)構造とされた板状体であり、基礎1のフーチング部の上面に載せられるとともに立ち上がり部の屋外側面1aに接した状態に配置されている。
付加基礎部材10の厚みは、垂直線L1から基礎1の屋外側面1aまでの寸法と略等しく設定されている。また、付加基礎部材10の高さ寸法は、基礎1の立ち上がり部における高さ寸法と略等しく設定されている。
なお、長さが長くなると重量が増す。そのため、付加基礎部材10の長さ寸法は、フーチング部に載せられた付加基礎部材10を人手で移動できる程度の重量となる長さに設定されているものとする。人力で移動させることができれば、リフォーム工事での対応が可能となる。
【0038】
付加基礎部材10は、図2図5に示すように、基礎1に対して固定されている。
【0039】
図2に示す例においては、付加基礎部材10と基礎1とが連結部材11によって連結されていて、これにより、付加基礎部材10が基礎1に固定された状態となっている。
連結部材11は、ボルト11a及びナット11bとされており、付加基礎部材10側にナット11bが埋め込まれている。ナット11bは、付加基礎部材10内部の鉄筋に溶接されていることが好ましく、屋内側面に露出した状態となるように埋め込まれている。
基礎1の立ち上がり部には、ナット11bの位置に対応して貫通孔が形成されている。ボルト11aは、座金を介在させた状態で、基礎1の立ち上がり部における屋内側から貫通孔に通されて、ナット11bにねじ込まれている。
なお、基礎1の立ち上がり部と付加基礎部材10との間には、接着剤による接着層が設けられてもよい。つまり、付加基礎部材10は、接着剤によって基礎1の屋外側面1aに接着されてもよい。
また、連結部材11は、ボルト11aが基礎1の屋内側から貫通孔に通される構成となっているが、ボルト11aが基礎1の屋外側から貫通孔に通される構成となっていてもよい。
図2に示す例においては、このようにして付加基礎部材10が基礎1に対して固定されて一体化している。
【0040】
図3図5に示す例においては、基礎1の外周(全周)に沿って連続する複数の付加基礎部材10の周囲に補強繊維材12が巻かれていて、これにより、付加基礎部材10が基礎1に固定された状態となっている。
なお、基礎1の立ち上がり部と付加基礎部材10との間には、接着剤による接着層が設けられてもよい。つまり、付加基礎部材10は、接着剤によって基礎1の屋外側面1aに接着されてもよい。
【0041】
付加基礎部材10は、例えば図4に示すように、直線部分用の付加基礎部材10aと、コーナー部分用の付加基礎部材10bと、を有している。
これら直線部分用の付加基礎部材10aとコーナー部分用の付加基礎部材10bは、図5に示すように、連結用鉄筋13と開口部14とによって構成された連結構造により連結されている。又は、図示はしないが、複数の直線部分用の付加基礎部材10a同士も、この連結構造により連結されてもよい。
【0042】
連結用鉄筋13は、コーナー部分用の付加基礎部材10bにおける両端面から突出している。この連結用鉄筋13は、開口部14に挿入可能な形状であればよく、図示例のように単に棒状に形成されてもよいし、側面視においてU字状に形成されてもよい。
また、複数の直線部分用の付加基礎部材10a同士を連結する場合における連結用鉄筋13は、一方の直線部分用の付加基礎部材10aにおける一端面から突出している。
【0043】
開口部14は、直線部分用の付加基礎部材10aにおける両端面に形成されており、当該付加基礎部材10aにおける長さ方向の外方と、上下方向に向かって開口している。
また、複数の直線部分用の付加基礎部材10a同士を連結する場合における開口部14は、他方の直線部分用の付加基礎部材10aにおける他端面に形成されている。
【0044】
直線部分用の付加基礎部材10aとコーナー部分用の付加基礎部材10b、又は複数の直線部分用の付加基礎部材10a同士は、連結用鉄筋13が、直線部分用の付加基礎部材10aにおける開口部14に挿入されたうえで、開口部14に現場打ちのコンクリートが打設され、当該コンクリートが固まることで連結される。
【0045】
補強繊維材12は、高強度繊維として知られるアラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、ポリエチレン繊維、液晶ポリマー繊維等によって構成されている。なお、本実施形態においては炭素繊維が採用されており、かつ、シート状に形成されている。
【0046】
このような補強繊維材12は、各付加基礎部材10(10a,10b)同士が連結された後で、これら各付加基礎部材10の周囲に巻き回される。すなわち、補強繊維材12が、各付加基礎部材10の屋外側面に密着した状態となる。このとき、各付加基礎部材10を締め付けるように補強繊維材12を巻き回すことで、付加基礎部材10を基礎1に強く固定することができる。
なお、補強繊維材12は、接着剤によって各付加基礎部材10の屋外側面に接着されてもよい。
図3図5に示す例においては、このようにして付加基礎部材10が基礎1に対して固定されて一体化している。
【0047】
以上のように、本実施形態の空間補填部である付加基礎部材10は、基礎をふかす役割を持つ「基礎ふかし部」とも言うべきものである。ここで言う「ふかす」とは、仕上げ面や仕上げ線などを大きくして前に出す、迫り出させることを指し、主に装飾や機能を加味する目的で行われる。すなわち、「基礎ふかし部」とも言うべき空間補填部は、空間S1に設けられることで、基礎1の屋外側面1aよりも屋外側に仕上げ面を形成することを目的とする建物の部位を指すものとする。
【0048】
本実施形態によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、外張断熱構造部の屋外側面6aと基礎1の屋外側面1aとの間に生じた段差に隣接して外壁P2の屋外側面よりも基礎1側に位置する空間S1に、当該空間S1を補填するための空間補填部が配置されているので、この空間補填部によって空間S1を満たすか、又は満たすように見せることができる。これにより、外張断熱構造部の屋外側面6aと基礎1の屋外側面1aとの間に生じた段差を極力目立たなくし、建物の見栄えを向上させることができる。
【0049】
また、空間補填部は、基礎1の屋外側面1aに接した状態で設けられて固定されているので、空間補填部を安定した状態で空間S1内に配置し、強固な設置状態とすることができる。
【0050】
また、鉄筋コンクリート構造とされた板状の付加基礎部材10が、連結部材11によって基礎1に連結されて固定されているので、基礎1をふかした状態にすることができる。これにより、空間S1を付加基礎部材10によって満たすことが可能となるので、外張断熱構造部の屋外側面6aと基礎1の屋外側面1aとの間に生じた段差を極力目立たなくし、建物の見栄えを向上させることができる。
【0051】
また、鉄筋コンクリート構造とされた板状の付加基礎部材10が、建物における外周の基礎1の屋外側面1aに接した状態に設けられ、付加基礎部材10の周囲に、補強繊維材12が、付加基礎部材10の屋外側面に密着した状態で巻き回されているので、付加基礎部材10を、補強繊維材12によって基礎1の屋外側面1aに押し付けて固定することができる。これにより、空間S1を付加基礎部材10によって満たすことが可能となるので、外張断熱構造部の屋外側面6aと基礎1の屋外側面1aとの間に生じた段差を極力目立たなくし、建物の見栄えを向上させることができる。
【0052】
また、近年、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGs(Sustainable Development Goals)の目標達成が求められており、建築業界においても、建物を二酸化炭素排出量の少ない木造とする取り組みが進められている。本実施形態の建物は、建築用木質パネルによるパネル工法によって構築されているので、カーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGsの目標達成に貢献できる。
【0053】
<第2実施形態>
次に、図面を参照して本発明の第2実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上記の第1実施形態との共通する要素については共通の符号を付して説明を省略又は簡略し、上記の第1実施形態とは異なる構成部分に重点を置いて説明する。
【0054】
本実施形態の空間補填部は、図6に示すように、付加断熱パネル15であり、全体として板状に形成されている。この付加断熱パネル15は、本体である板状断熱材15aと、板状断熱材15aの一側面に設けられた基礎用外装材15bと、を備えている。
【0055】
板状断熱材15aは、本実施形態においては板状に形成された発泡系断熱材によって構成されている。
基礎用外装材15bは、外張断熱構造部における外装材6と同一の種類の外装材とされており、接着剤によって板状断熱材15aの屋外側面に接着されて一体化している。これにより、板状断熱材15aと基礎用外装材15bは、一つの付加断熱パネル15として機能することになる。
【0056】
このような付加断熱パネル15は、基礎1のフーチング部の上面に載せられるとともに立ち上がり部の屋外側面1aに接した状態に配置されている。基礎用外装材15bは、屋外側に向けられており、板状断熱材15aは、接着剤によって基礎1の屋外側面1aに接着されている。
【0057】
また、付加断熱パネル15は、上記のように、基礎1のフーチング部の上面に載せられているため、下端部は、地面に埋められた状態となっている。そのため、付加断熱パネル15の下端部は、防蟻材16によって保護された状態で地面に埋められている。
本実施形態の防蟻材16は、防蟻シートが採用されているが、これに限られるものではなく、防蟻薬剤によって付加断熱パネル15の下端部の保護を図ってもよい。なお、防蟻材16である防蟻シートは、防湿・防水の機能も有しているものとする。
【0058】
本実施形態によれば、外張断熱構造部の屋外側面6aと基礎1の屋外側面1aとの間に生じた段差を極力目立たなくし、建物の見栄えを向上させることができる。さらに、空間補填部を安定した状態で空間S1内に配置し、強固な設置状態とすることができる、といった共通の効果はもちろんのこと、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、空間補填部が、板状に形成された付加断熱パネル15とされ、この付加断熱パネル15は、板状断熱材15aと、板状断熱材15aの屋外側面に設けられていて、外張断熱構造部の外装材6と同一の種類とされた基礎用外装材15bと、を備えるので、空間S1を付加断熱パネル15によって満たすことが可能となる。これにより、外張断熱構造部の屋外側面6aと基礎1の屋外側面1aとの間に生じた段差を極力目立たなくし、建物の見栄えを向上させることができる。また、付加断熱パネル15によって基礎1を被覆できるので、床下の断熱性を向上させることができる。
しかも、付加断熱パネル15は、外張断熱構造部の外装材6と同一の種類とされた基礎用外装材15bによって基礎1の仕上げ面を形成できる。そして、このような仕上げ面を有する付加断熱パネル15によって、外張断熱構造部の外装材6を基礎1側にも連続させたように見せることができるので、建物の見栄えを向上させることができる。
【0059】
また、付加断熱パネル15の下端部は、防蟻材16によって保護された状態で地面に埋められているので、付加断熱パネル15の下端部を防蟻処理された状態とすることができる。これにより、地面に埋められた付加断熱パネル15の下端部から基礎1側へのシロアリ等の害虫の進入を極力食い止めることができるので、建物の保護を図ることができる。
さらに、床下換気を、換気台輪2からではなく、図示しない他の箇所から行うことで、付加断熱パネル15として、ふかし材4及び半土台3に達する高さのものを使用することができる。これにより、付加断熱パネル15の上方に、換気台輪2による換気用に開けていた隙間を閉じることができるので、床下断熱性を向上させることができる。換気台輪2も、換気機能を有しない台輪でよいものとする。
【0060】
<第3実施形態>
次に、図面を参照して本発明の第3実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上記の各実施形態との共通する要素については共通の符号を付して説明を省略又は簡略し、上記の各実施形態とは異なる構成部分に重点を置いて説明する。
【0061】
本実施形態の空間補填部は、図7に示すように、付加断熱パネル17であり、全体として板状に形成されている。この付加断熱パネル17は、本体である板状断熱材によって構成されている。板状断熱材は、本実施形態においては板状に形成された発泡系断熱材によって構成されている。
【0062】
このような付加断熱パネル17は、基礎1のフーチング部の上面に載せられるとともに立ち上がり部の屋外側面1aに接した状態に配置されている。また、基礎1側の面が、接着剤によって基礎1の屋外側面1aに接着されている。
【0063】
また、付加断熱パネル17は、上記のように、基礎1のフーチング部の上面に載せられているため、下端部は、地面に埋められた状態となっている。そのため、付加断熱パネル17の下端部は、防蟻材16によって保護された状態で地面に埋められている。
【0064】
そして、本実施形態における建物の場合、外張断熱構造部の屋外側面6aを構成する外装材6の下端部が下方に延出して形成されている。なお、図示しない縦胴縁も同様に、その下端部が下方に延出しているものとする。縦胴縁の下端部は、付加断熱パネル17の表面に、例えば接着剤によって接着されるなどして固定されており、外装材6の下端部は、このような縦胴縁に対して固定されている。
【0065】
付加断熱パネル17の屋外側面は、下方に延出する外装材6の下端部によって被覆されている。外装材6の下端部は、地面に近い位置まで延出している。そのため、外壁を正面から見ると、外装材6が、あたかも地面から建物の上方まで伸びているかのように見せることができる。
なお、外装材6の下端部と地面との間には、僅かな隙間が形成されるが、例えば地面の上に砂利などを敷くことによって、その隙間を隠すことができる。このようにすると、外装材6と地面との境界が見えにくくなるため、より一層、外装材6が地面から伸びているように見せやすくなる。
【0066】
本実施形態によれば、外張断熱構造部の屋外側面6aと基礎1の屋外側面1aとの間に生じた段差を極力目立たなくし、建物の見栄えを向上させることができる。さらに、空間補填部を安定した状態で空間S1内に配置し、強固な設置状態とすることができる、といった共通の効果はもちろんのこと、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、空間補填部が、板状に形成された付加断熱パネル17とされているので、空間S1を付加断熱パネル17によって満たすことが可能となる。また、付加断熱パネル17によって基礎1を被覆できるので、床下の断熱性を向上させることができる。そして、外張断熱構造部の屋外側面6aを構成する外装材6の下端部が下方に延出して形成されており、付加断熱パネル17の屋外側面は、外装材6の下端部によって被覆されているので、外装材6を、基礎1側にも連続させた状態とすることができ、建物の見栄えを向上させることができる。
【0067】
また、付加断熱パネル17の下端部は、防蟻材16によって保護された状態で地面に埋められているので、付加断熱パネル17の下端部を防蟻処理された状態とすることができる。これにより、地面に埋められた付加断熱パネル17の下端部から基礎1側へのシロアリ等の害虫の進入を極力食い止めることができるので、建物の保護を図ることができる。
さらに、床下換気を、換気台輪2からではなく、図示しない他の箇所から行うことで、付加断熱パネル17として、ふかし材4及び半土台3に達する高さのものを使用することができる。これにより、付加断熱パネル17の上方に、換気台輪2による換気用に開けていた隙間を閉じることができるので、床下断熱性を向上させることができる。換気台輪2も、換気機能を有しない台輪でよいものとする。
【0068】
<第4実施形態>
次に、図面を参照して本発明の第4実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上記の各実施形態との共通する要素については共通の符号を付して説明を省略又は簡略し、上記の各実施形態とは異なる構成部分に重点を置いて説明する。
【0069】
本実施形態の空間補填部は、図8に示すように、カバー材18とされている。このカバー材18には、複数の通気孔が形成されている。本実施形態においては、カバー材18として、例えばパンチングメタルが採用されている。すなわち、このカバー材18は、板状に形成されていて、その板の厚み方向に貫通する多数の貫通孔を備えている。そのため、屋外側の空気は、貫通孔を通じて、カバー材18よりも基礎1側に流入するようになっている。
【0070】
カバー材18は、上端部が、横ふかし材4aの屋外側面に固定されている。このカバー材18の上端部は、水切り材7と同様に屋外側に折曲形成されていて、雨水等を下方に流すことが可能となっている。
【0071】
また、カバー材18は、当該カバー材18の下端部に連結されて、基礎1の屋外側面1aに固定される固定部18aを備えている。
固定部18aは、図8に示すように断面コ字状に形成されており、屋外側縁が、例えばリベットや小ねじ等の連結材によってカバー材18の下端部に連結されている。屋内側縁は、コンクリートビス等の固定材によって基礎1の屋外側面1aに固定されている。
【0072】
なお、本実施形態のカバー材18は、パンチングメタルによって構成されるものとしたが、これに限られるものではなく、例えば、貫通孔としてスリットが形成されたカバー材が採用されてもよいし、複数の羽板を有するルーバーパネルが採用されてもよい。また、不織布等のシート・布によるカバー材が採用されてもよい。
【0073】
本実施形態によれば、外張断熱構造部の屋外側面6aと基礎1の屋外側面1aとの間に生じた段差を極力目立たなくし、建物の見栄えを向上させることができる。さらに、空間補填部を安定した状態で空間S1内に配置し、強固な設置状態とすることができる、といった共通の効果はもちろんのこと、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、空間補填部は、基礎1の屋外側面1aから屋外側に離間した位置に設けられたカバー材18とされているので、このカバー材18によって空間S1を満たすように見せることができる。これにより、外張断熱構造部の屋外側面6aと基礎1の屋外側面1aとの間に生じた段差を極力目立たなくし、建物の見栄えを向上させることができる。
さらに、このカバー材18には、複数の通気孔が形成されているので、基礎1側への通気を確保することができる。
【0074】
<第5実施形態>
次に、図面を参照して本発明の第5実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上記の各実施形態との共通する要素については共通の符号を付して説明を省略又は簡略し、上記の各実施形態とは異なる構成部分に重点を置いて説明する。
【0075】
本実施形態の空間補填部は、図9に示すように、基礎1そのものである。より詳細に説明すると、本実施形態の基礎1は、上記の各実施形態における基礎(図9の二点鎖線を参照。)よりも屋外側に位置している。すなわち、本実施形態の基礎1は、重心がずれた偏心基礎であり、屋外側面1aが、屋外側に迫り出した状態となっている。換言すれば、立ち上がり部の位置が屋外側にずれている。これにより、空間S1を満たすことができるようになっている。
なお、屋外側面1aをより屋外側に迫り出させるために、基礎1の立ち上がり部の厚みを、より大きく形成してもよい。
【0076】
本実施形態によれば、基礎1立ち上がり部の位置が屋外側にずれている分、空間S1を満たすことができるので、外張断熱構造部の屋外側面6aと基礎1の屋外側面1aとの間に生じた段差を極力目立たなくし、建物の見栄えを向上させることができる。
【0077】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。また、以下の各変形例において、上述の実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
【0078】
外張断熱構造部の屋外側面6aと基礎1の屋外側面1aとの間に生じた段差に隣接して外壁P2の屋外側面よりも基礎1側に位置する空間S1には、図10図11に示すように、物品や設備が設置されてもよい。
【0079】
図10は、エアコンの室外機19を空間S1に設置した場合の例である。室外機19の全体は空間S1に納まりきれていないものの、より多くの部分が納められることで、垂直線L1よりも屋外側に突出する分を小さくすることができる。
【0080】
図11は、立水栓20及びパン21を空間S1に設置した場合の例である。立水栓20及びパン21も同様に、全体が空間S1に納まりきれていないものの、より多くの部分が納められることで、垂直線L1よりも屋外側に突出する分を小さくすることができる。
【0081】
建物が建築される敷地が狭小である場合、室外機19や立水栓20及びパン21は占有面積が大きく邪魔になりやすい。そのため、空間S1のような凹みスペースに室外機19や立水栓20及びパン21を納めることができれば、敷地の有効利用に繋がる。
なお、室外機19や立水栓20及びパン21と並んで、上記の各実施形態における空間補填部が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 基礎
1a 屋外側面
4 ふかし材
5 外張断熱材
6 外装材
6a 表面(屋外側面)
10 付加基礎部材
11 連結部材
12 補強繊維材
15 付加断熱パネル
17 付加断熱パネル
18 カバー材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11