(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131985
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】劣化予測装置、劣化予測システム、プログラム及び劣化予測方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20240920BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042602
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】有坂 太志
(72)【発明者】
【氏名】池田 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】菊池 賢
(72)【発明者】
【氏名】木村 優
(72)【発明者】
【氏名】関口 洋嗣
(72)【発明者】
【氏名】林 康治
(72)【発明者】
【氏名】森本 貴之
(72)【発明者】
【氏名】守谷 一希
(72)【発明者】
【氏名】吉永 沙織
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】本発明は、住宅に当たる日射の影響を外装材の劣化度の推移に反映できるようにすることを目的とする。
【解決手段】劣化予測装置が、外装材の劣化度と時間の関係を表した推移を予測し、予測された推移を端末装置に送信する。端末装置が、送信された推移を表示し、ユーザーにより補正開始の指令を受けることによって補正開始の指令を劣化予測装置に送信する。劣化予測装置が、補正開始の指令を受けたら、住宅に設置された太陽光パネルによって生成された電力と、太陽光パネルによって使用開始時から生成された電力量と、太陽光パネルによって生成された電力から換算された日射量と、太陽光パネルによって使用開始時から生成された電力量から換算された積算日射量とのうち何れかの計測量と時間の関係を表した第2推移に基づいて推移を補正し、補正された補正済み推移を端末装置に表示させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の外装材の劣化度と時間の関係を表した推移を予測するコンピューターを備える劣化予測装置であって、
前記コンピューターが、
前記住宅に設置された太陽光パネルによって生成された電力の計測値と、その計測値から算出される電力量と、その計測値から換算された日射量と、その日射量から算出される積算日射量とのうち何れかの計測量と時間の関係を表した第2推移に基づいて前記推移を補正する補正処理と、
前記補正処理によって補正された補正済み推移を表示させる表示処理と、
を実行することを特徴とする劣化予測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の劣化予測装置であって、
前記コンピューターが、前記補正処理によって補正された補正済み推移及び現在時刻に基づいて、前記外装材の補正済み劣化度を予測する予測処理を実行し、
前記コンピューターが、前記表示処理において、前記予測処理によって予測された前記補正済み劣化度を表示させる
ことを特徴とする劣化予測装置。
【請求項3】
請求項1に記載の劣化予測装置であって、
前記コンピューターが、前記補正処理によって補正された補正済み推移及び許容劣化度に基づいて、前記外装材の補正済みメンテナンス時期を予測する予測処理を実行し、
前記コンピューターが、前記表示処理において、前記予測処理によって予測された前記補正済みメンテナンス時期を表示させる
ことを特徴とする劣化予測装置。
【請求項4】
請求項1に記載の劣化予測装置であって、
電力計が、前記太陽光パネルによって生成された電力を周期的に計測し、
電力管理装置が、前記電力計によって電力が計測されるたびに、電力の計測値と計測時刻を前記コンピューターに送信し、
前記コンピューターが、前記電力管理装置から電力の計測値と計測時刻を受信するたびに、電力の計測値と前記計測時刻をストレージ装置に記録することによって、前記計測量としての電力と時間の関係を表した前記第2推移を前記ストレージ装置に蓄積する
ことを特徴とする劣化予測装置。
【請求項5】
請求項1に記載の劣化予測装置であって、
電力計が、前記太陽光パネルによって生成された電力を周期的に計測し、
電力管理装置が、前記電力計によって電力が計測されるたびに、電力の計測値と計測時刻を前記コンピューターに送信し、
前記コンピューターが、前記電力管理装置から電力の計測値と計測時刻を受信するたびに、その計測値をその時までに受けてきた電力の計測値の累計に加算することにより電力量を算出するとともにその電力量と前記計測時刻をストレージ装置に記録することによって、前記計測量としての電力量と時間の関係を表した前記第2推移を前記ストレージ装置に蓄積する
ことを特徴とする劣化予測装置。
【請求項6】
請求項1に記載の劣化予測装置であって、
電力計が、前記太陽光パネルによって生成された電力を周期的に計測し、
電力管理装置が、前記電力計によって電力が計測されるたびに、電力の計測値と計測時刻を前記コンピューターに送信し、
前記コンピューターが、前記電力管理装置から電力の計測値と計測時刻を受信するたびに、その計測値を日射量に換算するとともにその日射量と前記計測時刻をストレージ装置に記録することによって、前記計測量としての日射量と時間の関係を表した前記第2推移を前記ストレージ装置に蓄積する
ことを特徴とする劣化予測装置。
【請求項7】
請求項1に記載の劣化予測装置であって、
電力計が、前記太陽光パネルによって生成された電力を周期的に計測し、
電力管理装置が、前記電力計によって電力が計測されるたびに、電力の計測値と計測時刻を前記コンピューターに送信し、
前記コンピューターが、前記電力管理装置から電力の計測値と計測時刻を受信するたびに、その計測値を日射量に換算して、その日射量をそれまでに算出してきた日射量の積算に加算することによって積算日射量を算出するとともに、その積算日射量と前記計測時刻をストレージ装置に記録することによって、前記計測量としての積算日射量と時間の関係を表した前記第2推移を前記ストレージ装置に蓄積する
ことを特徴とする劣化予測装置。
【請求項8】
劣化予測装置と端末装置とを備える劣化予測システムであって、
前記劣化予測装置がコンピューターを有し、
前記コンピューターが、
住宅の外装材の劣化度と時間の関係を表した推移を予測する予測処理と、
前記予測処理により予測された前記推移を端末装置に送信する送信処理と、を実行し、
前記端末装置が前記送信処理に送信された前記推移を表示し、ユーザーにより補正開始の指令を受けることによって前記補正開始の指令を前記コンピューターに送信し、
前記コンピューターが、
前記補正開始の指令を受けたら、前記住宅に設置された太陽光パネルによって生成された電力と、前記太陽光パネルによって使用開始時から生成された電力量と、前記太陽光パネルによって生成された電力から換算された日射量と、前記太陽光パネルによって使用開始時から生成された電力量から換算された積算日射量とのうち何れかの計測量と時間の関係を表した第2推移に基づいて前記推移を補正する補正処理と、
前記補正処理によって補正された補正済み推移を前記端末装置に表示させる表示処理と、を実行する
ことを特徴とする劣化予測システム。
【請求項9】
住宅の外装材の劣化度と時間の関係を表した推移を予測するコンピューターに、
前記住宅に設置された太陽光パネルによって生成された電力と、前記太陽光パネルによって使用開始時から生成された電力量と、前記太陽光パネルによって生成された電力から換算された日射量と、前記太陽光パネルによって使用開始時から生成された電力量から換算された積算日射量とのうち何れかの計測量と時間の関係を表した第2推移に基づいて前記推移を補正する補正処理と、
前記補正処理によって補正された補正済み推移を表示させる表示処理と、
を実行させるプログラム。
【請求項10】
劣化予測装置と端末装置とを用いた劣化予測方法であって、
前記劣化予測装置が、
住宅の外装材の劣化度と時間の関係を表した推移を予測する予測処理と、
前記予測処理により予測された前記推移を端末装置に送信する送信処理と、を実行し、
前記端末装置が前記送信処理に送信された前記推移を表示し、ユーザーにより補正開始の指令を受けることによって前記補正開始の指令を前記劣化予測装置に送信し、
前記劣化予測装置が、
前記補正開始の指令を受けたら、前記住宅に設置された太陽光パネルによって生成された電力と、前記太陽光パネルによって使用開始時から生成された電力量と、前記太陽光パネルによって生成された電力から換算された日射量と、前記太陽光パネルによって使用開始時から生成された電力量から換算された積算日射量とのうち何れかの計測量と時間の関係を表した第2推移に基づいて前記推移を補正する補正処理と、
前記補正処理によって補正された補正済み推移を前記端末装置に表示させる表示処理と、を実行する
ことを特徴とする劣化予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、劣化予測装置、劣化予測システム、プログラム及び劣化予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2は、住宅メンテナンスシステムを開示する。
【0003】
特許文献1に開示の住宅メンテナンスシステムは、外装材の耐用年数及び建設地の気候条件に基づいて、外装材の経年劣化による外装材の劣化進行を表す第1劣化予測線を算出する。この住宅メンテナンスシステムは、災害予測情報に基づいて、災害による外装材の劣化進行を表す第2劣化予測線を算出する。この住宅メンテナンスシステムは、第1劣化予測線及び第2劣化予測線に基づいて、劣化許容値となる外装材のメンテナンス時期を算出する。この住宅メンテナンスシステムが算出する第1劣化予測線は、気候条件を反映しているが、その気候条件がどのように実測され、収集されたのか不明である。そのため、この住宅メンテナンスシステムが算出するメンテナンス時期は、住宅に当たる実際の日射が外装材の劣化に与える影響を反映していない。
【0004】
特許文献2に開示の住宅メンテナンスシステムは、建物の建設地の環境条件の評価結果に基づいて、建物の屋根部材の経年劣化に応じた劣化度合を算出する。この住宅メンテナンスシステムは、算出した劣化度合いと、屋根部材の耐用年数と、屋根部材の劣化許容値とに基づいて、屋根部材のメンテナンス時期を算出する。実際の環境条件の評価結果が所定期間ごとに変わるため、この住宅メンテナンスシステムは所定期間ごとに屋根部材のメンテナンス時期を再算出する。この住宅メンテナンスシステムが算出する劣化度合は、建物の建設地の環境条件の評価結果を反映するが、その環境条件がどのように実測され、収集されたのか不明である。そのため、この住宅メンテナンスシステムが算出するメンテナンス時期は、住宅に当たる実際の日射が外装材の劣化に与える影響を反映していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-103960号公報
【特許文献2】特開2012-241325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、住宅に当たる日射の影響を外装材の劣化度の推移に反映できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、住宅の外装材の劣化度と時間の関係を表した推移を予測するコンピューター(21)を備える劣化予測装置(20)であって、前記コンピューター(21)が、前記住宅に設置された太陽光パネル(61)によって生成された電力の計測値と、その計測値から算出される電力量と、その計測値から換算された日射量と、その日射量から算出される積算日射量とのうち何れかの計測量と時間の関係を表した第2推移に基づいて前記推移を補正する補正処理と、前記補正処理によって補正された補正済み推移を表示させる表示処理と、を実行することを特徴とする劣化予測装置(20)が提供される。
【0008】
請求項8に係る発明によれば、劣化予測装置(20)と端末装置(10)とを備える劣化予測システムであって、前記劣化予測装置(20)がコンピューター(21)を有し、前記コンピューター(21)が、住宅の外装材の劣化度と時間の関係を表した推移を予測する予測処理と、前記予測処理により予測された前記推移を端末装置(10)に送信する送信処理と、を実行し、前記端末装置(10)が前記送信処理に送信された前記推移を表示し、ユーザーにより補正開始の指令を受けることによって前記補正開始の指令を前記コンピューター(21)に送信し、前記コンピューター(21)が、前記補正開始の指令を受けたら、前記住宅に設置された太陽光パネル(61)によって生成された電力と、前記太陽光パネル(61)によって使用開始時から生成された電力量と、前記太陽光パネル(61)によって生成された電力から換算された日射量と、前記太陽光パネル(61)によって使用開始時から生成された電力量から換算された積算日射量とのうち何れかの計測量と時間の関係を表した第2推移に基づいて前記推移を補正する補正処理と、前記補正処理によって補正された補正済み推移を前記端末装置(10)に表示させる表示処理と、を実行することを特徴とする劣化予測システムが提供される。
【0009】
請求項9に係る発明によれば、住宅の外装材の劣化度と時間の関係を表した推移を予測するコンピューター(21)に、前記住宅に設置された太陽光パネル(61)によって生成された電力と、前記太陽光パネル(61)によって使用開始時から生成された電力量と、前記太陽光パネル(61)によって生成された電力から換算された日射量と、前記太陽光パネル(61)によって使用開始時から生成された電力量から換算された積算日射量とのうち何れかの計測量と時間の関係を表した第2推移に基づいて前記推移を補正する補正処理と、前記補正処理によって補正された補正済み推移を表示させる表示処理と、を実行させるプログラムが提供される。
【0010】
請求項10に係る発明によれば、劣化予測装置(20)と端末装置(10)とを用いた劣化予測方法であって、前記劣化予測装置(20)が、住宅の外装材の劣化度と時間の関係を表した推移を予測する予測処理と、前記予測処理により予測された前記推移を端末装置(10)に送信する送信処理と、を実行し、前記端末装置(10)が前記送信処理に送信された前記推移を表示し、ユーザーにより補正開始の指令を受けることによって前記補正開始の指令を前記劣化予測装置(20)に送信し、前記劣化予測装置(20)が、前記補正開始の指令を受けたら、前記住宅に設置された太陽光パネル(61)によって生成された電力と、前記太陽光パネル(61)によって使用開始時から生成された電力量と、前記太陽光パネル(61)によって生成された電力から換算された日射量と、前記太陽光パネル(61)によって使用開始時から生成された電力量から換算された積算日射量とのうち何れかの計測量と時間の関係を表した第2推移に基づいて前記推移を補正する補正処理と、前記補正処理によって補正された補正済み推移を前記端末装置(10)に表示させる表示処理と、を実行することを特徴とする劣化予測方法が提供される。
【0011】
以上のように請求項1,8,9又は10に係る発明によれば、太陽光パネル(61)が住宅に設置され、太陽光パネル(61)がそれに入射する太陽光のエネルギーから電力を生成することから、太陽光パネル(61)によって生成された電力の計測値は住宅に当たる日射の影響を反映する。電力の計測値から算出される電力量も住宅に当たる日射の影響を反映する。電力の計測値から換算される日射量も住宅に当たる日射の影響を反映する。その日射量から算出される積算日射量も住宅に当たる日射の影響を反映する。外装材の劣化度と時間の関係を表した推移が、電力と電力量と日射量と積算日射量のうち何れかの計測量と時間の関係を表した第2推移に基づいて、補正されるため、補正済み推移は、住宅に当たる日射の影響を反映する。そのため、補正済み推移が正確である。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に記載の劣化予測装置(20)であって、前記コンピューター(21)が、前記補正処理によって補正された補正済み推移及び現在時刻に基づいて、前記外装材の補正済み劣化度を予測する予測処理を実行し、前記コンピューター(21)が、前記表示処理において、前記予測処理によって予測された前記補正済み劣化度を表示させることを特徴とする劣化予測装置(20)が提供される。
【0013】
以上のような請求項2に係る発明によれば、補正済みの劣化度が補正済み推移及び現在時刻に基づいて算出される。そのため、補正済み劣化度が正確である。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、請求項1に記載の劣化予測装置(20)であって、前記コンピューター(21)が、前記補正処理によって補正された補正済み推移及び許容劣化度に基づいて、前記外装材の補正済みメンテナンス時期を予測する予測処理を実行し、前記コンピューター(21)が、前記表示処理において、前記予測処理によって予測された前記補正済みメンテナンス時期を表示させることを特徴とする劣化予測装置(20)が提供される。
【0015】
以上のような請求項3に係る発明によれば、補正済みメンテナンス時期が補正済み推移及び許容劣化度に基づいて算出される。そのため、補正済みメンテナンス時期が正確である。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、請求項1に記載の劣化予測装置(20)であって、電力計(62)が、前記太陽光パネル(61)によって生成された電力を周期的に計測し、電力管理装置(63)が、前記電力計(62)によって電力が計測されるたびに、電力の計測値と計測時刻を前記コンピューター(21)に送信し、前記コンピューター(21)が、前記電力管理装置(63)から電力の計測値と計測時刻を受信するたびに、電力の計測値と前記計測時刻をストレージ装置に記録することによって、前記計測量としての電力と時間の関係を表した前記第2推移を前記ストレージ装置に蓄積することを特徴とする劣化予測装置(20)が提供される。
【0017】
以上のような請求項4に係る発明によれば、電力と時間の関係を表した第2推移がストレージ装置に蓄積される。その第2推移が、劣化度と時間の関係を表した推移の補正に利用される。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、請求項1に記載の劣化予測装置(20)であって、電力計(62)が、前記太陽光パネル(61)によって生成された電力を周期的に計測し、電力管理装置(63)が、前記電力計(62)によって電力が計測されるたびに、電力の計測値と計測時刻を前記コンピューター(21)に送信し、前記コンピューター(21)が、前記電力管理装置(63)から電力の計測値と計測時刻を受信するたびに、その計測値をその時までに受けてきた電力の計測値の累計に加算することにより電力量を算出するとともにその電力量と前記計測時刻をストレージ装置に記録することによって、前記計測量としての電力量と時間の関係を表した前記第2推移を前記ストレージ装置に蓄積することを特徴とする劣化予測装置(20)が提供される。
【0019】
以上のような請求項5に係る発明によれば、電力量と時間の関係を表した第2推移がストレージ装置に蓄積される。その第2推移が、劣化度と時間の関係を表した推移の補正に利用される。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、請求項1に記載の劣化予測装置(20)であって、電力計(62)が、前記太陽光パネル(61)によって生成された電力を周期的に計測し、電力管理装置(63)が、前記電力計(62)によって電力が計測されるたびに、電力の計測値と計測時刻を前記コンピューター(21)に送信し、前記コンピューター(21)が、前記電力管理装置(63)から電力の計測値と計測時刻を受信するたびに、その計測値を日射量に換算するとともにその日射量と前記計測時刻をストレージ装置に記録することによって、前記計測量としての日射量と時間の関係を表した前記第2推移を前記ストレージ装置に蓄積することを特徴とする劣化予測装置(20)が提供される。
【0021】
以上のような請求項6に係る発明によれば、日射量と時間の関係を表した第2推移がストレージ装置に蓄積される。その第2推移が、劣化度と時間の関係を表した推移の補正に利用される。
【0022】
請求項7に係る発明によれば、請求項1に記載の劣化予測装置(20)であって、電力計(62)が、前記太陽光パネル(61)によって生成された電力を周期的に計測し、電力管理装置(63)が、前記電力計(62)によって電力が計測されるたびに、電力の計測値と計測時刻を前記コンピューター(21)に送信し、前記コンピューター(21)が、前記電力管理装置(63)から電力の計測値と計測時刻を受信するたびに、その計測値を日射量に換算して、その日射量をそれまでに算出してきた日射量の積算に加算することによって積算日射量を算出するとともに、その積算日射量と前記計測時刻をストレージ装置に記録することによって、前記計測量としての積算日射量と時間の関係を表した前記第2推移を前記ストレージ装置に蓄積することを特徴とする劣化予測装置(20)が提供される。
【0023】
以上のような請求項7に係る発明によれば、積算日射量と時間の関係を表した第2推移がストレージ装置に蓄積される。その第2推移が、劣化度と時間の関係を表した推移の補正に利用される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、住宅に当たる日射の影響が外装材の劣化度の推移に反映される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、劣化予測システムの全体的な構成を示す図である。
【
図2】
図2は、劣化予測装置及びストレージ装置のブロック図である。
【
図3】
図3は、特性リストデータをデータテーブル形式で示す図である。
【
図4】
図4は、外装材リストデータをデータテーブル形式で示す図である。
【
図5】
図5は、劣化度と時間の関係を表した経年劣化関数のグラフである。
【
図6】
図6は、分布データをデータテーブル形式で示す図である。
【
図7】
図7は、予測結果データをデータテーブル形式で示す図である。
【
図8】
図8は、予測結果の表示画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、劣化度と時間の関係を表した経年劣化関数及び補正済みの経年劣化関数のグラフである。
【
図10】
図10は、補正結果データをデータテーブル形式で示す図である。
【
図11】
図11は、補正結果の表示画面の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、外装材の劣化に関する情報を入力するための入力画面の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、投稿リストデータをデータテーブル形式で示す図である。
【
図14】
図14は、投稿情報の表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。実施形態の特徴及び技術的な効果は、以下の詳細な説明及び図面から理解される。ただし、本発明の範囲は、以下に開示された実施形態に限定されない。図面は例示のみのために提供されるため、本発明の範囲は図面の例示に限定されない。
【0027】
以下の説明において、「第1」及び「第2」などのような序数が共通の名称に付されている場合、序数はそれが付された対象を識別する目的でのみ用いられる。序数はそれが付された対象を特定の対象に限定しない上、序数はそれが付された対象の順番、順位、順序、階級、優先及び劣後などを特定しない。
【0028】
<劣化予測システムの概要>
図1は、劣化予測システム1の全体的な構成を示すブロック図である。劣化予測システム1は、住宅92ごとに、住宅92の外装材の劣化を予測するシステムである。劣化予測システム1は、或る住宅92の或る外装材の劣化に関する情報を、その外装材と同種の外装材を用いた複数の住宅92の間で共有させるシステムである。
【0029】
住宅92は、日本各地に存在する。住宅92は、様々な方角に向けて建てられている。各住宅92の外装は、例えば屋根材、外壁材、ルーフィング及びシーリングなどのような外装材によって仕上げられている。住宅92は、ユーザー91によって所有され、使用され、又は居住される。以下、ユーザー91によって所有され、使用され、又は居住される住宅92のことをユーザー91の住宅92という。住宅92は、新築と中古のどちらであってもよい。住宅92の施工業者は問わない。例えば、全ての住宅92が同一業者によって施工されてもよいし、幾つかの住宅92が異なる業者によって施工されてもよい。
【0030】
劣化予測システム1は、劣化予測装置20、ストレージ装置40、多数の端末装置10、多数の撮像装置11、多数の太陽光パネル61、多数の電力計62及び多数の電力管理装置63を備える。
【0031】
<太陽光パネル>
太陽光パネル61は、住宅92の屋根にそれぞれ敷設されている。太陽光パネル61は、太陽光のエネルギーから電力を生成する。太陽光パネル61は、生成した電力をパワーコンディショナー及び電力計62を介して、住宅92の分電器に出力する。これにより、太陽光パネル61で生成された電力が住宅92内にて消費され、消費しきれなかった余剰電力が送電線に逆潮流されたり、蓄電器に蓄えられたりする。
【0032】
<電力計>
電力計62は、住宅92にそれぞれ設置されている。電力計62は、太陽光パネル61によって生成された電力を非常に短い周期で周期的に計測し、計測のたびに電力の計測値を電力管理装置63に出力する。
【0033】
<電力管理装置>
電力管理装置63は、専用コンピューターシステムから構成される。専用コンピューターシステムとは、住宅92の内壁などに設置されているとともに、住宅92の電気製品の監視又は制御をする機能を有するコンピューターシステムをいう。例えば、専用コンピューターシステムとしては、HEMS(Home Energy Management System)コントローラーが挙げられる。電気製品は、例えば、空調装置、照明器、給湯器、冷蔵庫、テレビ、家庭用電気機器、通信装置、太陽光発電機又は蓄電器である。電気製品の監視とは、例えば、電気製品の状態の監視、電気製品の消費電力の監視若しくは積算、電気製品の発電電力の監視若しくは積算などをいう。
【0034】
電力管理装置63は、電力計62から電力の計測値を受けるたびに、電力の計測値と計測時刻とを対応付けて記憶する。これにより、電力管理装置63は、電力の計測値の時系列データを蓄積する。計測時刻は、電力の計測値が電力管理装置63に入力された時である。
【0035】
電力管理装置63は、インターネットなどのような通信ネットワーク30に接続されている。電力管理装置63は、電力計62から電力の計測値を受けるたびに、通信ネットワーク30を通じて電力の計測値及び計測時刻を劣化予測装置20に送信する。
【0036】
<端末装置及び撮像装置>
端末装置10は、それぞれユーザー91によって使用される。端末装置10は、住宅92内の電気製品を無線又は有線により制御するリモートコントローラに内蔵されてもよい。端末装置10は、汎用コンピューターシステム又は専用コンピューターシステムから構成される。汎用コンピュータシステムとは、汎用OS(Operating System)がインストールされた例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型コンピューター、ラップトップ型コンピューター及びデスクトップ型コンピューターなどのようなコンピューターシステムをいう。汎用OSは、例えば、Windows(登録商標)、Android(登録商標)、iOS(登録商標)、macOS(登録商標)、Linux(登録商標)又はUnix(登録商標)である。端末装置10がHEMSなどのような専用コンピューターシステムから構成される場合、端末装置10が電力管理装置63と同様の機能を有してもよい。この場合、電力管理装置63が住宅92に設けられていなくてもよい。
【0037】
端末装置10は、表示装置を有する。端末装置10は、表示装置により各種の表示をする。端末装置10は、タッチパネル、押しボタン、キー、キーボード、マウス、タッチパッド、スタライス及びポインティングデバイスなどのような入力装置を有する。ユーザー91が入力装置を操作することによって、端末装置10がその操作に応じた指令及び情報などを受け付ける。
【0038】
端末装置10は、携帯電話回線通信モジュール、ネットワークカード及びWiFi(登録商標)子機などのような通信器を有する。端末装置10は、通信器によって、インターネットなどのような通信ネットワーク30に接続されている。端末装置10は、通信ネットワーク30を通じて劣化予測装置20にアクセス可能である。例えばVPN(Virtual Private Network)などのようなセキュアな通信プロトコルが、端末装置10と劣化予測装置20の間の通信に採用されてもよい。
【0039】
例えばインターネットブラウザ及び閲覧プログラムなどのようなアプリケーションプログラムが端末装置10にインストールされている。端末装置10は、アプリケーションプログラムを実行することによって、通信ネットワーク30を通じて劣化予測装置20にアクセスし、ユーザーID(identifier)及びパスワードに基づいて劣化予測装置20にログインし、劣化予測装置20に情報を提供し、劣化予測装置20から情報の提供を受け、提供された情報の内容を表示装置に表示する。ユーザーIDはユーザー91ごとに割り当てられている。各ユーザーIDは一意の値である。ユーザーIDは、何れかの住宅92に対応付けられているとともに、その住宅92の電力管理装置63、電力計62及び電力管理装置63にも対応付けられている。
【0040】
端末装置10は、撮像装置11に接続されている。撮像装置11は、撮影対象を撮像して、撮影対象が写った画像を生成する。端末装置10は、撮像装置11によって生成された画像を記憶する。
【0041】
撮像装置11は、端末装置10に内蔵されてもよいし、有線又は無線により端末装置10に対して外付けされてもよい。撮像装置11は、携帯型であってもよいし、据え付け型であってもよい。撮像装置11は、端末装置10と一緒にユーザー91によって携帯されてもよい。撮像装置11は、住宅92の外構に設置されてもよい。撮像装置11は、住宅92の外に設置された防犯カメラ又は定点カメラであってもよい。撮像装置11は、住宅92の近くを飛行するマルチコプターなどのような飛行体に搭載されてもよく、この場合、飛行体はホバリング可能であることが好ましい。撮像装置11は、住宅92の外において住宅92の外装材に向けられるように設置されてもよい。撮像装置11は、住宅92の向かいの住宅の外壁又は屋根等において住宅92の外装材に向けられて設置されてもよい。撮像装置11の画素数は多いほど好ましい。
【0042】
端末装置10は、住宅92の外装材が写った現物画像13を記憶する。現物画像13は、住宅92の外装材の劣化に関する情報の提供の際に利用される。
【0043】
現物画像13は撮像装置11によって撮像されて、端末装置10に記録されてもよい。現物画像13は、撮像装置11以外の撮像装置によって撮像されて、端末装置10に記録されてもよい。現物画像13は、端末装置10が撮像装置11を自動制御することによって撮像装置11により自動的に撮像されて、端末装置10に記録されてもよい。現物画像13の撮影タイミングは問わず、現物画像13が予め撮像されてもよいし、リアルタイムに撮像されてもよい。現物画像13はできる限り新しくて、現物画像13の撮影時間が現物画像13の利用時刻に近いことが好ましい。現物画像13の撮影時間は、朝、昼、夕及び夜の何れであってもよい。現物画像13に写った外装材は、フラッシュなどのような照明器によって照明されてもよいし、晴天時又は曇天時の日光などのような自然光に当てられてもよい。
【0044】
現物画像13は、Exif(Exchangeable image file format)などのようなメタデータを有してもよい。メタデータとしては、例えば、撮影日時情報、位置情報、撮影方向情報、端末装置10又は撮像装置11のメーカー名の情報、端末装置10又は撮像装置11の機種・モデルの名称の情報、現物画像13の解像度、現物画像12の水平方向の単位あたり解像度、現物画像13の垂直方向の単位あたり解像度、及び、現物画像13の撮影条件に関する情報などがある。現物画像13の撮影条件とは、例えばシャッター速度、絞り、ISO感度、測光モード、フラッシュ使用の有無、露光補正ステップ値、焦点距離及び色空間などのような条件をいう。
【0045】
<劣化予測装置>
劣化予測装置20は、管理者94によって管理されている。管理者94は、住宅92の施工業者であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0046】
劣化予測装置20は、コンピューターシステムにより構成されたサーバー又はホストマシンである。劣化予測装置20は、クラウドコンピューティングシステムであってもよい。
【0047】
図2は、劣化予測装置20のブロック図である。
劣化予測装置20は、コンピューター21、記憶装置22、入力デバイス24、表示デバイス26及び通信器28を備える。
【0048】
コンピューター21は、劣化予測装置20の全体的な制御を司るとともに、時間を計って現在時刻を認識する計時機能を有する。コンピューター21は、メインボード、1又は複数のハードウェアプロセッサー、GPU(Graphics Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)などを有する。メインボードは、バス、バスコントローラ及びインターフェース回路などを有するとともに、ハードウェアプロセッサー、GPU、RAM、記憶装置22、入力デバイス24、表示デバイス26及び通信器28の間で情報を伝送する。ハードウェアプロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)であってもよい。ハードウェアプロセッサーは、各種の演算処理を行う。RAMは、ハードウェアプロセッサーによる演算処理に際して、ハードウェアプロセッサーに記憶領域又は作業領域を提供する。GPUは、ハードウェアプロセッサーよりも高速に行える処理(例えば、画像処理及び行列演算処理)をハードウェアプロセッサーの指令の下で行う。
【0049】
入力デバイス24は、キーボード、マウス、タッチパネル、タッチパッド、スタライス、ポインティングデバイス、キー及び押しボタンなどのような入力装置である。入力デバイス24は、管理者94が入力デバイス24に対して行った操作の内容に応じた信号をコンピューター21に出力する。コンピューター21は、入力デバイス24から転送された信号に従って、管理者94による入力及び指令を認識する。
【0050】
表示デバイス26は、例えば液晶ディスプレイデバイス又は有機ELディスプレイデバイスであってもよい。表示デバイス26は、コンピューター21から入力した映像信号に従った映像を表示する。
【0051】
通信器28は、例えばネットワークカード又はWiFi(登録商標)子機であってもよい。通信器28は、ルーターなどを介して通信ネットワーク30に接続される。
【0052】
記憶装置22は、例えばHDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)などのようなメモリーデバイスであってもよい。OS(Operating System)が記憶装置22に格納され、OSがコンピューター21によって実行されるように劣化予測装置20にインストールされている。記憶装置22には、コンピューター21、特にハードウェアプロセッサーがOS上で実行可能なプログラム23が格納されている。
【0053】
<ストレージ装置>
ストレージ装置40は、半導体記憶装置、磁気記憶装置、NAS(Network Attached Storage)、データサーバー、ファイルサーバー又はクラウドコンピューティングシステムである。劣化予測装置20のコンピューター21は、ストレージ装置40に情報を記録したり、ストレージ装置40に記録された情報を読み込んだりする。ストレージ装置40は、インターフェース回路によりコンピューター21に接続されてもよいし、通信ネットワーク30を介してコンピューター21によってアクセスされてもよい。
【0054】
ストレージ装置40は、半導体記憶装置、磁気記憶装置、NAS(Network Attached Storage)、データサーバー、ファイルサーバー又はクラウドコンピューティングシステムである。劣化予測装置20のコンピューター21は、ストレージ装置40に情報を記録したり、ストレージ装置40に記録された情報を読み込んだりする。
【0055】
ストレージ装置40は、コンピューター21がプログラム23を実行する際に利用される各種のデータを記憶する。ストレージ装置40は、コンピューター21によって算出されたデータを記憶する。以下に、ストレージ装置40が記憶するデータについて詳細に説明する。
【0056】
ストレージ装置40は、ユーザー91ごとに真正なユーザーIDとパスワードを対応付けた照合用データ41を暗号化した状態で記憶する。各ユーザー91は、ユーザーIDとパスワードを利用して、ログインすることができる。
【0057】
ストレージ装置40は、ユーザー91ごとに、ポイントデータ42を記憶する。ポイントデータ42はユーザーIDごとに準備されているため、ポイントデータ42がユーザーIDにそれぞれ対応付けられている。ポイントデータ42は、経済価値のある換金性のポイントを表す。ポイントデータ42の値が高いほど、ポイントの経済価値が高い。
【0058】
ストレージ装置40は、特性リストデータ44を記憶する。
図3に示すように、特性リストデータ44は、外装材の種類ごとの種類ID、種類係数及び許容劣化度からなるリストであり、外装材の種類ごとに種類ID、種類係数及び許容劣化度が互いに対応付けられている。種類IDが外装材の種類にそれぞれ割り当てられている。各種類IDは一意の値であり、外装材の種類がそれに割り当てられた種類IDによって特定される。種類係数とは、外装材の種類及び材料から決まる係数をいう。種類係数は、外装材の種類及び材料が外装材の劣化に及ぼす影響を特定する。種類係数は、例えば実験又はシミュレーションなどのような事前検証によって求められたものである。許容劣化度は外装材が使用に耐え得る最大劣化度であり、外装材の劣化度が許容劣化度を超えた場合には外装材の寿命が尽きる。許容劣化度は、例えば実験又はシミュレーションなどのような事前検証によって求められたものである。外装材の劣化度とは、外装材の劣化の進行度合いを表す指標である。劣化度は、ゼロ以上の値である。外装材の劣化が進行していなければ、その外装材の劣化度がゼロである。外装材がより劣化しているほど、その外装材の劣化度がより高い。劣化度及び許容劣化度は、100分率で表現されてもよいし、100分率による点数で表現されてもよい。
【0059】
ストレージ装置40は、ユーザー91ごとに、外装材リストデータ45を記憶する。外装材リストデータ45がユーザーIDごとに準備されているため、外装材リストデータ45がユーザーIDにそれぞれ対応付けられている。外装材リストデータ45は、ユーザー91の住宅92に使用される外装材を一覧したものである。具体的には、
図4に示すように、外装材リストデータ45は一又は複数の項目からなり、各項目は部材番号、種類ID及び設置係数から構成され、項目ごとに部材番号、種類ID及び設置係数が互いに対応付けられている。各部材番号は一意の値である。部材番号は、ユーザー91の住宅92の外装材に割り当てらている。部材番号は、ユーザー91の住宅92の外装材を特定する。種類IDは、ユーザー91の住宅92の外装材の種類を特定する。設置係数とは、ユーザー91の住宅92の外装材の設置位置及び設置方角と住宅92の立地条件とから決まる係数をいう。設置係数は、ユーザー91の住宅92の外装材の劣化の予測に利用される。設置係数は、外装材の設置位置及び設置方角が外装材の劣化に及ぼす影響を特定する。設置係数は、例えば実験又はシミュレーションなどのような事前検証によって求められたものである。なお、外装材の設置位置及び設置方角が変われば、日光が外装材に入射する状況も変わることから、外装材の設置位置及び設置方角が外装材の劣化に及ぼす。
【0060】
ストレージ装置40は、ユーザー91ごとに、予測結果データ46及び補正結果データ47を記憶する。予測結果データ46及び補正結果データ47はユーザーIDごとにあり、予測結果データ46がユーザーIDにそれぞれ対応付けられ、補正結果データ47がユーザーIDにそれぞれ対応付けられている。予測結果データ46及び補正結果データ47は、コンピューター21によって計算されて記録されたものである。予測結果データ46及び補正結果データ47の詳細については後述する。
【0061】
ストレージ装置40は、ユーザー91ごとに(つまり、ユーザーIDごとに)、使用開始時からの電力の計測値の時系列データ48aを記憶する。時系列データ48aは、時系列で配列された電力の計測値と、電力の計測値にそれぞれ対応付けられた計測時刻とを有する。ここで、コンピューター21は、電力管理装置63から通信ネットワーク30を通じて電力の計測値及び計測時刻を受けるたびに、電力の計測値及び計測時刻を互いに対応付けてストレージ装置40に記録する。これにより、時系列データ48aがストレージ装置40に蓄積される。時系列データ48aは、時間経過に伴う電力の推移を表す。
【0062】
ストレージ装置40は、ユーザー91ごとに、使用開始時からの電力量の時系列データ48bを記憶する。時系列データ48bは、時系列で配列された電力量と、電力量にそれぞれ対応付けられた計測時刻とを有する。ここで、コンピューター21は、電力管理装置63から通信ネットワーク30を通じて電力の計測値及び計測時刻を受けるたびに、その計測値をその時までに受けてきた電力の計測値の累計に加算することによって電力量を算出する。コンピューター21は、算出した電力量と計測時刻を互いに対応付けてストレージ装置40に記録する。これにより、時系列データ48bがストレージ装置40に蓄積される。時系列データ48bは、時間経過に伴う電力量の推移を表す。
【0063】
ストレージ装置40は、ユーザー91ごとに、使用開始時からの日射量の時系列データ48cを記憶する。時系列データ48cは、時系列で配列された日射量と、日射量にそれぞれ対応付けられた計測時刻とを有する。ここで、コンピューター21は、電力管理装置63から通信ネットワーク30を通じて電力の計測値及び計測時刻を受けるたびに、その計測値を太陽光パネル61の面積で除すとともに太陽光パネル61の変換効率等で乗ずることによって、日射量を算出する。これにより、太陽光パネル61によって生成された電力が日射量に換算される。コンピューター21は、算出した日射量と計測時刻を互いに対応付けてストレージ装置40に記録する。これにより、時系列データ48cがストレージ装置40に蓄積される。時系列データ48cは、時間経過に伴う日射量の推移を表す。
【0064】
ストレージ装置40は、ユーザー91ごとに、使用開始時からの積算日射量の時系列データ48dを記憶する。時系列データ48dは、時系列で配列された積算日射量と、積算日射量にそれぞれ対応付けられた計測時刻とを有する。ここで、コンピューター21は、上述のように日射量を算出するたびに、その日射量をその時までに算出してきた日射量の積算に加算することによって積算日射量を算出する。これにより、太陽光パネル61によって生成された使用開始時からの電力量が、使用開始時からの積算日射量に換算される。コンピューター21は、算出した積算日射量と計測時刻を互いに対応付けてストレージ装置40に記録する。これにより、時系列データ48dがストレージ装置40に蓄積される。時系列データ48dは、時間経過に伴う積算日射量の推移を表す。
なお、太陽光パネル61がユーザー91の住宅92に設けられていない場合、そのユーザー91のユーザーIDに対応付けられる時系列データ48a,48b,48c,48dには、他のユーザーIDに対応付けられた時系列データ48a,48b,48c,48dが共用されてもよい。この場合、太陽光パネル61が設けられていない住宅92は、他のユーザーIDを所有するユーザー91の住宅92の近隣にあることが好ましい。
【0065】
ストレージ装置40は、外装材の種類ごとに、分布データ38を記憶する。分布データ38が外装材の種類ごとに準備されているため、分布データ38が種類IDにそれぞれ対応付けられている。
図6に示すように、分布データ38は、地域ごとの、より具体的には都道府県ごとの地域特定情報及び劣化容易性からなるデータである。地域特定情報が地域にそれぞれ割り当てられている。各地域特定情報は一意の値であり、地域がそれに割り当てられた地域特定情報によって特定される。劣化容易性は、地域の気象環境等の影響による外装材の劣化のし易さを表す。劣化容易性は、複数段階、例えば4段階で表現される。地域に割り当てられる劣化容易性は、その地域に存在する住宅92の外装材を調査又は点検することによって統計的に得られた値である。このような分布データ38は、地域ごとの劣化容易性の分布を表す。分布データ38は、新たな点検又は調査の実行によって、管理者94によって更新される。
【0066】
ストレージ装置40は、外装材の種類ごとに、投稿リストデータ39を記憶する。投稿リストデータ39が外装材の種類ごとに準備されているため、投稿リストデータ39が種類IDにそれぞれ対応付けられている。ユーザー91が端末装置10を利用して情報を提供するごとに、提供された情報が投稿リストデータ39に蓄積される。投稿リストデータ39の詳細については後述する。
【0067】
<劣化予測装置及び端末装置の動作(1)>
以下に、端末装置10、劣化予測装置20及びストレージ装置40を用いた劣化予測方法について説明する。併せて、劣化予測装置20のコンピューター21がプログラム23に従って実行する処理の流れについて説明する。端末装置10がアプリケーションプログラムに従って実行する処理の流れについて説明する。劣化予測装置20のコンピューター21と端末装置10の間の連携について説明する。
【0068】
(1) ログイン
ユーザー91が、端末装置10の入力装置を操作することによって、アプリケーションプログラムの実行を端末装置10に指令する。端末装置10がその指令を受けると、端末装置10がアプリケーションプログラムを起動する。そして、端末装置10は、アプリケーショプログラムに従って、通信ネットワーク30を介して劣化予測装置20にアクセスする。そうすると、劣化予測装置20のコンピューター21が、ログイン画面を表示するための情報を端末装置10に送信する。端末装置10がコンピューター21から情報を受け取ると、端末装置10がその情報に従ってログイン画面を表示装置に表示する。ユーザー91が端末装置10の入力装置を操作することによって、自身のユーザーID及びパスワードを端末装置10に入力するとともに、ログインを端末装置10に指令する。そうすると、端末装置10がユーザーID及びパスワードを取得するとともに、ユーザーID及びパスワードを劣化予測装置20に送信する。劣化予測装置20のコンピューター21がユーザーID及びパスワードを受信すると、コンピューター21がユーザーID及びパスワードを照合用データ41と照合する。コンピューター21は、照合によりユーザーID及びパスワードの真正性を認めたら、そのユーザーIDによるログインを許可する。一方、コンピューター21は、照合によりユーザーID及びパスワードの虚偽性を認めたら、ログインを許可しない上、ログイン画面を表示するための情報を端末装置10に再度送信する。そのため、ユーザー91は、再度のログインを試みることができる。
【0069】
(2) メニュー画面の表示
ユーザー91のユーザーIDのログインが許可されたら、コンピューター21が、メニュー画面を表示するための情報を端末装置10に送信する。端末装置10がコンピューター21から情報を受け取ると、端末装置10がその情報に従ってメニュー画面を表示装置に表示する。
【0070】
メニュー画面では、ユーザー91が電子掲示板の開始の指令を行える。つまり、GUI(Graphical User Interface)の要素としての電子掲示板の開始のボタン又はタブがメニュー画面に配置され、ユーザー91が端末装置10の入力装置を操作することによって、電子掲示板の開始を端末装置10に指令することができる。なお、電子掲示板は電子会議室ともいう。
【0071】
メニュー画面では、ユーザー91が劣化予測開始の指令を行える。つまり、GUI(Graphical User Interface)の要素としての劣化予測開始のボタン又はタブがメニュー画面に配置され、ユーザー91が端末装置10の入力装置を操作することによって、劣化予測開始を端末装置10に指令することができる。
【0072】
(3) 劣化度の推移の予測
ユーザー91が端末装置10の入力装置を操作することによって劣化予測開始のボタン又はタブを選択して決定すると、端末装置10が劣化予測開始の指令を認識するとともに、コンピューター21に劣化予測の開始を指令する。
【0073】
コンピューター21が劣化予測の開始の指令を受けると、コンピューター21がログイン許可済みのユーザーIDに対応付けられた外装材リストデータ45を読み込む。更に、コンピューター21は、特性リストデータ44から、外装材リストデータ45の中の種類IDと同じ種類IDに対応付けられた種類係数を読み込む。
【0074】
次に、コンピューター21は、外装材リストデータ45の中の部材番号ごとに(つまり、部材番号によって特定された外装材ごとに)、外装材の種類、材料、設置位置及び設置方角に基づいて、外装材の劣化度の推移を予測する。つまり、コンピューター21は、部材番号によって特定された外装材ごとに、種類係数と設置係数とに基づいて経年劣化関数を算出する。具体的には、コンピューター21は、部材番号によって特定された外装材ごとに、経年劣化関数における係数(以下、経年劣化係数という。)を種類係数及び設置係数から算出することによって、経年劣化関数を算出する。経年劣化関数は、時間の経過に伴う外装材の劣化度の推移を表す。以下、経年劣化関数について詳細に説明する。
【0075】
図5は、経年劣化関数を表したグラフである。
図5において、横軸は、外装材の使用開始時からの時間を表し、縦軸は、外装材の劣化度を表す。外装材の使用開始時は、例えば、ユーザー91の住宅92の竣工時である。
図5から明らかなように、経年劣化関数は、使用開始時からの時間と外装材の劣化度を変数として、経年劣化係数を用いて時間と劣化度の関係を表す。従って、経年劣化関数は、時間経過に伴う外装材の劣化度の推移を表す。経年劣化関数では、時間が経つにつれて劣化度が増加する。グラフでは、経年劣化関数が線で表現され、その線のことを経年劣化線という。経年劣化関数において、時間を表す変数のことを時間変数といい、劣化度を表す変数のことを劣化度変数という。
【0076】
例えば、経年劣化関数は、時間変数の次数及び劣化度変数の次数を1とした1次関数である。その1次関数の係数としての傾きは、種類係数と設置係数からコンピューター21によって算出される経年劣化係数である。その1次関数の係数としての切片「0」は、種類係数と設置係数からコンピューター21によって算出される経年劣化係数である。経年劣化関数における時間の最小単位は、限定されるものではなく、例えば、1秒、1分、1時間、6時間、12時間、24時間、1週間、2週間、1月、3月、6月又は1年である。時間は、暦により表されてもよい。
【0077】
なお、経年劣化関数における経年劣化係数は、種類係数及び設置係数に加えて環境係数も考慮にいれて算出されてもよい。つまり、コンピューター21は、部材番号によって特定された外装材ごとに、経年劣化関数における経年劣化係数を種類係数、設置係数及び環境係数から算出することによって、経年劣化関数を算出してもよい。環境係数は、住宅92が使用開始時から現在までに受けてきた環境の影響に基づいて算出された係数である。環境とは、例えば気象、災害、冷房、暖房、湿気および周辺植物などのように住宅92を劣化させる要因をいう。環境係数は、使用開始時から現在までの気温履歴、風速履歴、風向履歴及び気中塩分濃度などのような気象情報から算出された係数であってもよい。環境係数は、使用開始時から現在までに生じた地震、津波、台風及び豪雨などのような自然災害に関する災害情報(例えば、災害発生日、震度、床下浸水情報、瞬間風速又は瞬間降水量)から算出された係数であってもよい。環境係数は、災害情報および気象情報から算出された係数であってもよい。環境係数は、使用開始時から現在までの屋内温度履歴および屋内湿度履歴などのような屋内環境情報から算出された係数であってもよい。環境係数は、凍害係数又は北風係数であってもよい。環境係数は、屋内温度と屋外温度の差の履歴から算出された係数であってもよい。環境係数は、ストレージ装置40又は記憶装置22に記憶されている。環境係数は、例えばコンピューター21が、通信ネットワーク30に接続された気象情報データベースに蓄積された気象情報又は災害情報を定期的にダウンロードして、気象情報又は災害情報から算出したものでもよい。環境係数は、例えば、管理者94が算出した上で、ストレージ装置40又は記憶装置22に記録したものでもよい。
【0078】
経年劣化関数における経年劣化係数は、種類係数及び設置係数に加えて補修歴係数も考慮にいれて算出されてもよい。つまり、コンピューター21は、部材番号によって特定された外装材ごとに、経年劣化関数における経年劣化係数を種類係数、設置係数及び補修歴係数から算出することによって、経年劣化関数を算出してもよい。補修歴係数は、住宅92の外装材が使用開始時から現在までに受けてきた補修に基づいて算出された係数である。補修とは、例えば外装材の修理及び交換などのように、外装材の劣化度を上昇させたり、外装材の劣化の進行を遅らせたりする要因をいう。補修歴係数は、例えば、管理者94が算出した上で、ストレージ装置40又は記憶装置22に記録したものでもよい。補修歴係数は、ユーザー91が端末装置10に入力して、コンピューター21に送信された情報に基づいて、管理者94又はコンピューター21が算出した上で、ストレージ装置40又は記憶装置22に記録したものでもよい。補修歴係数は、管理者94又はコンピューター21によって、算出のたびに更新されてもよい。補修歴係数が更新されることによって、経年劣化関数が再度の予測の際に補正されて更新される。
【0079】
(4) 現在劣化度の予測
次に、コンピューター21は、現在時刻を認識する。そして、コンピューター21は、部材番号によって特定された外装材ごとに、現在時刻と経年劣化関数に基づいて外装材の現在劣化度を予測する。具体的には、コンピューター21は、現在時刻を経年劣化関数の時間変数に当てはめることによって劣化度を算出し、その劣化度を外装材の現在劣化度とする。なお、経年劣化関数における経年劣化係数が補修歴係数を考慮に入れて算出された場合に算出される現在劣化度は、そうでない場合に算出される現在劣化度よりも低い。
【0080】
(5) メンテナンス時期の予測
次に、コンピューター21は、特性リストデータ44から、外装材リストデータ45の中の種類IDと同じ種類IDに対応付けられた許容劣化度を読み込む。そして、コンピューター21は、部材番号によって特定された外装材ごとに、許容劣化度と経年劣化関数に基づいて外装材のメンテナンス時期を予測する。具体的には、コンピューター21は、許容劣化度を経年劣化関数の劣化度変数に当てはめることによって時刻を算出し、その時刻をメンテナンス時期とする。
【0081】
(6) 予測結果の記録
次に、コンピューター21は、予測結果データ46をストレージ装置40に記録する。つまり、コンピューター21は、部材番号によって特定された外装材ごとに、予測した外装材の劣化度の推移(具体的には、経年劣化関数における経年劣化係数)、現在劣化度及びメンテナンス時期と部材番号とを互いに対応づけて、更にそれらをユーザーIDに対応付けて、部材番号、劣化度の推移、現在劣化度及びメンテナンス時期をストレージ装置40に記録する。
図7に示すように、予測結果データ46は一又は複数の項目からなり、各項目は部材番号、経年劣化関数における経年劣化係数、現在劣化度及びメンテナンス時期からなる。
【0082】
(7) 予測結果の表示
次に、コンピューター21は、部材番号によって特定された外装材ごとに、予測結果データ46に従って、予測結果表示用情報を生成する。予測結果表示用情報とは、予測した外装材の劣化度の推移(経年劣化関数における経年劣化係数)、現在劣化度及びメンテナンス時期を表示するための情報である。次に、コンピューター21は、予測結果表示用情報を端末装置10に送信する。端末装置10がコンピューター21から予測結果表示用情報を受け取ると、端末装置10が、予測結果表示用情報に従って、予測した外装材の劣化度の推移、現在劣化度及びメンテナンス時期を表示装置に表示する。
図8は、その表示の画面100の一例を示す。画面100には、グラフ101、提示部102、提示部103、補正開始ボタン104及びホームボタン105が配置されている。
【0083】
グラフ101は、予測した外装材の劣化度の推移を表す。グラフ101においては、横軸が時間を表し、縦軸が劣化度を表し、経年劣化係数により時間と劣化度の関係を表した経年劣化関数が線により描画されており、その線が経年劣化線である。
提示部102は、現在劣化度の値を文字で表すとともに、現在劣化度の値を矢印でグラフ101に指し示す。
提示部103は、メンテナンス時期の値を文字で表すとともに、メンテナンス時期の値を矢印でグラフ101に指し示す。提示部103は、外装材のメンテナンス方法などを表した文章、画像又は動画を提示してもよい。
補正開始ボタン104は、予測した劣化度の推移、現在劣化度及びメンテナンス時期を補正する処理の開始をコンピューター21に指示するためのGUI要素である。
ホームボタン105は、画面100からメニュー画面への遷移をコンピューター21に指示するためGUI要素である。ユーザー91が端末装置10を操作してホームボタン105を選択して決定した場合には、端末装置10がホームボタン105の決定を認識した上で、画面遷移指令を劣化予測装置20のコンピューター21に送信する。その指令を受けたコンピューター21が、メニュー画面を表示するための情報を端末装置10に送信するため、メニュー画面が端末装置10の表示装置に表示される。
なお、グラフ101、提示部102、提示部103、補正開始ボタン104及びホームボタン105に加えて費用提示部が画面100に配置されてもよい。費用提示部は、第1メンテナンス費用及び第2メンテナンス費用を表示する。第1メンテナンス費用は、現在に外装材をメンテナンスした場合の費用である。第2メンテナンス費用は、現在に外装材をメンテナンスせずに、メンテナンス時期に外装材をメンテナンスした場合の費用である。第1メンテナンス費用及び第2メンテナンス費用は、例えばコンピューター21によって現在劣化度から算出されて、コンピューター21から端末装置10に転送されて、端末装置10によって表示される。
グラフ101、提示部102、提示部103及び補正開始ボタン104に加えて住宅モデル又は外装材モデルが画面100に配置されてもよい。住宅モデル又は外装材モデルは、住宅又は外装材をモデル化したCG(Computer Graphics)の二次元モデル又は三次元モデルである。住宅モデル又は外装材モデルは、住宅又は外装材をキャラクターにより擬人化した二次元モデル又は三次元モデルであってもよい。住宅モデル又は外装材モデルは、住宅又は外装材を状態キャラクターにより擬人化した二次元モデル又は三次元モデルであってもよい。状態キャラクターとは、状態キャラクターの様子が現在劣化度に基づいて表現されるものをいう。例えば、現在劣化度が高くなるにつれて、状態キャラクターの元気が低くなり、端末装置10がそのような様子の状態キャラクタを住宅モデル又は外装材モデルとして生成して、表示装置に表示する。
【0084】
ユーザー91が端末装置10の入力装置を操作することによって他の外装材の予測結果の表示を指令したら、端末装置10の表示が、他の外装材の劣化度の推移、現在劣化度及びメンテナンス時期の表示に切り替わる。
【0085】
なお、コンピューター21が定期的に又は災害発生時にアラーム指令信号を端末装置10に送信してもよい。端末装置10がアラーム指令信号を受けると、端末装置10が音声又は映像によるアラームを出力する。アラームの出力は、表示画面100における補正開始ボタン104の選択決定をユーザー91に催促する。
【0086】
ところで、外装材は、使用開始時から現在までの間に屋外に暴露されている。そのため、外装材の劣化は、使用開始時から現在までの間の日射の影響を受ける。しかしながら、端末装置10に表示された劣化度の推移(具体的にはグラフ101)、現在劣化度(具体的には提示部102)及びメンテナンス時期(具体的には提示部103)が標準的なものであるから、端末装置10に表示された劣化度の推移、現在劣化度及びメンテナンス時期は使用開始時から現在までの間の日射の影響を殆ど反映していない。そこで、使用開始時から現在までの間の日射が反映されるように、端末装置10及びコンピューター21によって補正が行われる。以下、補正について詳細に説明する。
【0087】
(8) 補正
(8-1) 補正開始の指令
予測結果の表示画面100において、ユーザー91が端末装置10の入力装置の操作により補正開始ボタン104を選択して決定すると、端末装置10がその旨を認識する。そうすると、端末装置10は、補正開始の指令をコンピューター21に送信する。これにより、コンピューター21は、補正開始の指令を認識する。
【0088】
(8-2) ポイント加算
コンピューター21が端末装置10から補正開始の指令を受け付けたら、コンピューター21は、ログインが許可されたユーザーIDによって、そのユーザーIDに対応付けられたポイントデータ42を特定する。次に、コンピューター21は、特定されたポイントデータ42のポイントに所定加算ポイントだけ加算する。そして、コンピューター21は、ポイントデータ42のポイントを加算後のポイントに更新する。
【0089】
(8-3) 補正処理
コンピューター21は、電力の時系列データ48a、電力量の時系列データ48b、日射量の時系列データ48c又は積算日射量の時系列データ48dに基づいて、劣化度の推移、現在劣化度及びメンテナンス時期を補正する。その補正の処理は、具体的に以下の(8-3-1)~(8-3-4)の通りである。補正された劣化度の推移を補正済み推移といい、補正された現在劣化度を補正済み劣化度といい、補正されたメンテナンス時期を補正済みメンテナンス時期という。
【0090】
(8-3-1) 補正係数の算出
コンピューター21は、積算日射量の時系列データ48dに基づいて、補正係数を算出する。例えば、コンピューター21は、時間経過に伴う積算日射量の推移を表す時系列データ48dから、単位時間当たりの積算日射量の平均増加量を算出し、それを補正係数としてもよい。例えば、コンピューター21は、時間経過に伴う積算日射量の推移を表す時系列データ48dから、単位時間当たりの積算日射量の平均増加量を算出し、それに所定の係数を乗じた積を補正係数としてもよい。
なお、コンピューター21は、電力の時系列データ48a、電力量の時系列データ48b又は日射量の時系列データ48cに基づいて、補正係数を算出してもよい。
【0091】
(8-3-2) 補正済み推移の予測
次に、コンピューター21は、外装材の種類、材料、設置位置及び設置方角と補正係数とに基づいて、外装材の劣化度の補正済み推移を予測する。つまり、コンピューター21は、種類係数と設置係数と補正係数とに基づいて補正済み経年劣化関数を算出する。具体的には、コンピューター21は、補正済み経年劣化関数における係数(以下、補正済み経年劣化係数という。)を種類係数、設置係数及び補正係数から算出することによって、補正済み経年劣化関数を算出する。補正済み経年劣化関数が外装材の劣化度の補正済み推移に相当する。
【0092】
図9は、補正済み経年劣化関数を実線で表すとともに、補正前の経年劣化関数を破線で表したグラフである。
図9において、横軸は、外装材の使用開始時からの時間を表し、縦軸は、外装材の劣化度を表す。
図9から明らかなように、補正済み経年劣化関数は、使用開始時からの時間と外装材の劣化度を変数として、補正済み経年劣化係数を用いて時間と劣化度の関係を表す。従って、補正済み経年劣化関数は、時間経過に伴う劣化度の推移を表す。補正済み経年劣化関数では、時間が経つにつれて劣化度が増加する。
【0093】
例えば、補正済み経年劣化関数は、時間変数の次数及び劣化度変数の次数を1とした1次関数である。その1次関数の係数としての傾きは、種類係数と設置係数と補正係数からコンピューター21によって算出される補正済み経年劣化係数である。その1次関数の係数としての切片「0」は、種類係数と設置係数と補正係数からコンピューター21によって算出される補正済み経年劣化係数である。
【0094】
時系列データ48dにおける単位時間当たりの積算日射量の平均増加量が標準よりも大きければ、多くの日射が外装材に入射して、外装材が標準よりも劣化していることになる。そのため、
図9の実線201のような補正済み経年劣化関数における傾きは、
図9の破線203のような補正前の経年劣化関数における傾きよりも大きい。
一方、時系列データ48dにおける単位時間当たりの積算日射量の平均増加量が標準よりも小さければ、少ない日射が外装材に入射して、外装材が標準よりも劣化してないことになる。
図9の実線202のような補正済み経年劣化関数における傾きは、
図9の破線203のような補正前の経年劣化関数における傾きよりも小さい。
【0095】
なお、補正済み経年劣化関数における補正済み経年劣化係数は、種類係数、設置係数及び補正係数に加えて補修歴係数も考慮にいれて算出されてもよい。つまり、コンピューター21は、補正済み経年劣化関数における補正済み経年劣化係数を種類係数、設置係数、補正係数及び補修歴係数から算出することによって、補正済み経年劣化関数を算出してもよい。補修歴係数は、住宅92の外装材が使用開始時から現在までに受けてきた補修に基づいて算出された係数である。補修とは、例えば外装材の修理及び交換などのように、外装材の劣化度を上昇させたり、外装材の劣化の進行を遅らせたりする要因をいう。補修歴係数は、例えば、管理者94が算出した上で、ストレージ装置40又は記憶装置22に記録したものでもよい。補修歴係数は、ユーザー91が端末装置10に入力して、コンピューター21に送信された情報に基づいて、管理者94又はコンピューター21が算出した上で、ストレージ装置40又は記憶装置22に記録したものでもよい。補修歴係数は、管理者94又はコンピューター21によって、算出のたびに更新されてもよい。補修歴係数が更新されることによって、補正済み経年劣化関数が再度の予測の際に補正されて更新される。
【0096】
(8-3-3) 補正済み劣化度の予測
次に、コンピューター21は、現在時刻を認識する。そして、コンピューター21は、現在時刻と補正済み経年劣化関数に基づいて外装材の補正済み劣化度を予測する。具体的には、コンピューター21は、現在時刻を補正済み経年劣化関数の時間変数に当てはめることによって劣化度を算出し、その劣化度を外装材の補正済み劣化度とする。なお、補正済み経年劣化関数における補正済み経年劣化係数が補修歴係数を考慮に入れて算出された場合に算出される現在劣化度は、そうでない場合に算出される現在劣化度よりも低い。
【0097】
(8-3-4) 補正済みメンテナンス時期の予測
次に、コンピューター21は、許容劣化度と補正済み経年劣化関数に基づいて外装材の補正済みメンテナンス時期を予測する。具体的には、コンピューター21は、許容劣化度を補正済み経年劣化関数の劣化度変数に当てはめることによって時刻を算出し、その時刻を補正済みメンテナンス時期とする。
【0098】
(8-4) 補正結果の記録
補正処理後、コンピューター21は、補正結果データ47をストレージ装置40に記録する。つまり、コンピューター21は、部材番号によって特定された外装材ごとに、補正済み推移(具体的には、補正済み経年劣化関数における補正済み経年劣化係数)、補正済み劣化度及び補正済みメンテナンス時期と部材番号とを互いに対応づけて、更にそれらをユーザーIDに対応付けて、部材番号、補正済み推移、補正済み劣化度及び補正済みメンテナンス時期をストレージ装置40に記録する。
図10に示すように、補正結果データ47は一又は複数の項目からなり、各項目は部材番号、補正済み経年劣化関数における補正済み経年劣化係数、補正済み劣化度及び補正済みメンテナンス時期からなる。
【0099】
(8-5) 補正結果の表示
次に、コンピューター21は、部材番号によって特定された外装材ごとに、補正結果データ47に従って、補正結果表示用情報を生成する。補正結果表示用情報とは、補正済み推移(補正済み経年劣化関数における補正済み経年劣化係数)、補正済み劣化度及び補正済みメンテナンス時期を表示するための情報である。次に、コンピューター21は、補正結果表示用情報を端末装置10に送信する。端末装置10がコンピューター21から補正結果表示用情報を受け取ると、端末装置10が、補正結果表示用情報に従って、補正済み推移、補正済み劣化度及び補正済みメンテナンス時期を表示装置に表示する。
図11は、その表示の画面120の一例を示す。画面120には、グラフ121、提示部122、提示部123、補正開始ボタン124及びホームボタン125が配置されている。
【0100】
グラフ121は、補正済み推移を表す。グラフ121においては、横軸が時間を表し、縦軸が劣化度を表し、補正済み経年劣化係数により時間と劣化度の関係を表した補正済み経年劣化関数が線により描画されている。
提示部122は、補正済み劣化度の値を文字で表すとともに、補正済み劣化度の値を矢印でグラフ121に指し示す。
提示部123は、補正済みメンテナンス時期の値を文字で表すとともに、補正済みメンテナンス時期の値を矢印でグラフ121に指し示す。
補正開始ボタン124は、補正済み推移、補正済み劣化度及び補正済みメンテナンス時期を補正する処理の開始をコンピューター21に指示するためのGUI要素である。ユーザー91が補正開始ボタン124を選択して決定すると、「(8-1) 補正開始の指令」から「(8-5) 補正結果の表示」までの説明における処理が端末装置10及びコンピューター21によって再度実行される。
ホームボタン125は、画面120からメニュー画面への遷移をコンピューター21に指示するためGUI要素である。ユーザー91が端末装置10を操作してホームボタン125を選択して決定した場合には、端末装置10がホームボタン125の決定を認識した上で、画面遷移指令を劣化予測装置20のコンピューター21に送信する。その指令を受けたコンピューター21が、メニュー画面を表示するための情報を端末装置10に送信するため、メニュー画面が端末装置10の表示装置に表示される。
なお、グラフ121、提示部122、提示部123及び補正開始ボタン124に加えて費用提示部が画面120に配置されてもよい。費用提示部は、第1補正済み費用及び第2補正済み費用を表示する。第1補正済み費用は、現在に外装材をメンテナンスした場合の費用である。第2補正済み費用は、現在に外装材をメンテナンスせずに、メンテナンス時期に外装材をメンテナンスした場合の費用である。第1補正済み費用及び第2補正済み費用は、コンピューター21によって補正済み劣化度から算出されて、コンピューター21から端末装置10に転送されて、端末装置10によって表示される。
グラフ121、提示部122、提示部123及び補正開始ボタン124に加えて住宅モデル又は外装材モデルが画面120に配置されてもよい。住宅モデル又は外装材モデルは、住宅又は外装材をモデル化した二次元モデル又は三次元モデルである。住宅モデル又は外装材モデルは、住宅又は外装材をキャラクターにより擬人化した二次元モデル又は三次元モデルであってもよい。住宅モデル又は外装材モデルは、住宅又は外装材を状態キャラクターにより擬人化した二次元モデル又は三次元モデルであってもよい。状態キャラクターとは、状態キャラクターの様子が補正済み劣化度に基づいて表現されるものをいう。例えばには、補正済み劣化度が高くなるにつれて、状態キャラクターの元気が低くなり、端末装置10がそのような様子の状態キャラクタを住宅モデル又は外装材モデルとして生成して、表示装置に表示する。
【0101】
<有利な効果(1)>
太陽光パネル61が住宅92に設置され、太陽光パネル61がそれに入射する太陽光のエネルギーから電力を生成し、太陽光パネル61によって生成される電力が電力計62によって計測される。電力の時系列データ48aは、電力計62によって計測される電力の計測値と、それに対応付けられる計測時刻とを時系列で配列したものである。電力量の時系列データ48bは、電力計62によって計測される電力の計測値から算出される電力量と、それに対応付けられる計測時刻とを時系列で配列したものである。日射量の時系列データ48cは、電力計62によって計測される電力の計測値から換算される日射量と、それに対応付けられた計測時刻とを時系列で配列したものである。積算日射量の時系列データ48dは、電力計62によって計測される電力から換算される日射量の積算と、それに対応付けられた計測時刻とを時系列で配列したものである。補正係数が電力の時系列データ48a、電力量の時系列データ48b、日射量の時系列データ48c又は積算日射量の時系列データ48dに基づいて算出され、補正済み経年劣化関数における補正済み経年劣化係数が補正係数に基づいて算出される。以上のように補正済み経年劣化関数が算出されるため、補正済み経年劣化関数によって表される外装材の劣化度の推移は、住宅92の太陽光パネル61に当たる日射の影響を反映する。補正済み経年劣化関数及び現在時刻から算出される補正済み劣化度及び補正済みメンテナンス時期も、住宅92の太陽光パネル61に当たる日射の影響を反映する。
【0102】
ユーザーがボタン104,124を選択して決定すると、ポイントデータ42のポイントが加算される。このポイントが経済価値を有する。よって、ポイントの加算は、ボタン104,124の選択及び決定の動機付けをユーザーに与える。よって、経年劣化関数の補正の頻度が上がる上、ユーザーが正確な補正済み劣化関数、補正済み劣化度及び補正済みメンテナンス時期を知る機会が増える。
【0103】
上述のように、画面100,120には、住宅92の外装材の劣化の推移、現在劣化度及びメンテナンス時期が表示される。そのため、ユーザー91が適切なタイミングで外装材をメンテナンスし、又は交換することができる。従って、外装材の過度なメンテナンス、又は交換が防止される。ところで、近年、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)が求められており、建築業界においても、建物を二酸化炭素排出量の少ない木造とする取り組みが進められている。前記画面100,120が外装材のメンテナンス頻度・交換頻度の抑制に貢献するため、この劣化予測システム1が脱炭素社会の実現と持続可能な開発目標の達成とに貢献できる。
【0104】
<劣化予測装置及び端末装置の動作(2)>
上述のように、画面100,120には、住宅92の外装材の劣化の推移、現在劣化度及びメンテナンス時期が表示される。そのため、画面100,120は、ユーザー91に対して住宅92の外装材及びその劣化について興味を持たせる。従って、画面100,120は、住宅92の外装材の点検及びメンテナンスの動機付けをユーザー91に与える。そのユーザー91が自身の住宅92の外装材の点検及びメンテナンスを業者等に依頼して、自身の住宅92の外装材の点検及びメンテナンスが実施されると、ユーザー91が自身の住宅92の外装材の劣化の状況などを知得できる。ユーザー91の住宅92の外装材の劣化に関する情報は、それと同一種類の外装材を用いた他の住宅92を所有等する他のユーザー91にとっても有益な情報である。そこで、劣化予測システム1は、同一種類の外装材を使用する複数のユーザー91の間で情報を共有させる。情報共有のためには、ユーザー91が情報を提供する必要がある。以下、ユーザー91が情報を提供する際に劣化予測装置20のコンピューター21がプログラム23に従って実行する処理の流れについて説明する。併せて、端末装置10がアプリケーションプログラムに従って実行する処理の流れについて説明する。劣化予測装置20のコンピューター21と端末装置10の間の連携について説明するとともに、端末装置10、撮像装置11、劣化予測装置20及びストレージ装置40を用いた情報提供方法について説明する。
【0105】
(1A) ログイン及びメニュー画面
「(1) ログイン」及び「(2) メニュー画面の表示」の説明にあったように、ユーザー91が端末装置10を用いてログインをしたら、メニュー画面が端末装置10の表示装置に表示される。なお、ここでのユーザー91は、「劣化予測装置及び端末装置の動作(1)」におけるユーザー91と同一人・別人を問わない。つまり、ここでログインが許可されたユーザーIDは、「劣化予測装置及び端末装置の動作(1)」においてログインが許可されたユーザーIDと同一・相違を問わない。
【0106】
(2A) 第2メニュー画面の表示
ユーザー91が端末装置10の入力装置を操作することによって電子掲示板の開始のボタン又はタブを選択して決定すると、端末装置10が電子掲示板の開始の指令を認識する。そうすると、端末装置10は、劣化予測装置20のコンピューター21にアクセスするとともに、コンピューター21に電子掲示板の開始を指令する。コンピューター21が電子掲示板の開始の指令を受けると、コンピューター21が、第2メニュー画面を表示するための情報を端末装置10に送信する。端末装置10がコンピューター21から情報を受け取ると、端末装置10がその情報に従って第2メニュー画面を表示装置に表示する。なお、第2メニュー画面の詳細については、前述されている。
【0107】
第2メニュー画面では、ユーザー91が情報提供と情報閲覧の選択を行える。つまり、GUIの要素としての情報提供のボタン又はタブが第2メニュー画面に配置され、ユーザー91が端末装置10の入力装置の操作により情報提供のボタン又はタブを選択して決定すると、情報提供に関する処理の開始を端末装置10に指令することができる。一方、GUIの要素としての情報閲覧のボタン又はタブが第2メニュー画面に配置され、ユーザー91が端末装置10の入力装置の操作により情報閲覧のボタン又はタブを選択して決定すると、情報閲覧に関する処理の開始を端末装置10に指令することができる。
【0108】
(3A) 外装材のリストの表示
ユーザー91が第2メニュー画面において情報提供に関する処理の開始を端末装置10に指令する。そうすると、端末装置10がその指令を認識するとともに、情報提供に関する処理の開始をコンピューター21に指令する。コンピューター21がその指令を受けると、コンピューター21がログイン許可済みのユーザーIDに対応付けられた外装材リストデータ45を読み込む。コンピューター21は、外装材リストデータ45に基づいて、ユーザー91の住宅92に使用される外装材のリストに関するリスト情報を生成する。リスト情報は一又は複数の項目からなり、各項目は部材番号及び種類IDから構成されている。その後、コンピューター21は、リスト情報を端末装置10に送信する。端末装置10がコンピューター21からリスト情報を受けると、端末装置10が部材番号及び種類IDに対応付けられた複数の項目(項目は、ユーザー91の住宅92に使用される外装材に相当する)からなるリストを表示装置に表示する。端末装置10は、リストに加えて、CGの住宅モデルと、項目に相当する外装材が住宅92に設置される位置を住宅モデルに指し示した指示部と、を表示装置に表示してもよい。
【0109】
(4A) 種類IDの特定
ユーザー91が、端末装置10の入力装置を操作することによって、リストの表示画面においてリストの中から何れか1つの項目を選択して決定する。そうすると、端末装置10が、選択・決定された項目に対応付けられた部材番号及び種類IDを特定する。これにより、ユーザー91の住宅92に使用される複数の外装材の中から1つの外装材が選択される。
【0110】
(5A) 入力画面の表示及び入力情報の受付
次に、端末装置10は、ユーザー91が外装材の劣化に関する情報を入力するための入力画面を表示装置に表示する。
図12は、そのような入力画面150の一例を示す。入力画面150には、提示部151a~151g、回答入力部152a~152g及び決定ボタン153が配置されている。提示部151a~151gは、ユーザー91に対する質問をテキストで表す。提示部151aは、外装材の劣化状況を問い合わせる質問を提示する。提示部151bは、外装材の使用期間を問い合わせる質問を提示する。提示部151cは、外装材が用いられる住宅92の所在地を問い合わせる質問を提示する。提示部151dは、外装材が海に近くて塩害を受けやすいか否かを問い合わせる質問を提示する。提示部151eは、外装材が受けてきた気象環境を問い合わせる質問を提示する。提示部151fは、外装材が写った画像の入力を催促する文言を提示する。提示部151gは、外装材及びその劣化・メンテナンス・点検等に関して自由な入力を催促する文言を提示する。
【0111】
回答入力部152a~152gは、提示部151a~151gにそれぞれ対応する。回答入力部152a~152eは、テキストボックス又はドロップダウンリストなどのようなGUI要素である。回答入力部152fは、住宅92の外装材が写った現物画像13を選択するためのダイアログを表示させるためのボタンなどのようなGUI要素である。回答入力部152fは、テキストボックスのようなGUI要素である。
決定ボタン153は、回答入力部152a~152gに入力された情報を確定するためのGUI要素である。
【0112】
入力画面150の表示中にユーザー91が端末装置10の入力装置を操作して、外装材の劣化に関する情報を回答入力部152a~152e,152gに入力する。そうすると、端末装置10は、回答入力部152a~152e,152gに入力された情報を認識して、それら情報を回答入力部152a~152e,152gに表示する。
また、ユーザー91が端末装置10の入力装置を操作して、現物画像13を選択する。そうすると、端末装置10は、選択された現物画像13のファイル名を回答入力部152eに表示する。現物画像13には、住宅92の外装材が写っている。なお、前述のように、現物画像13は、この時点よりも前に予め撮像されてもよいし、この時点でリアルタイムに撮像されてもよい。後者の場合、ユーザー91が端末装置10の入力装置を操作することによって撮像装置11を起動させて、撮像装置11により外装材を撮影すると、撮像装置11が外装材を撮像するとともに、外装材の写った現物画像13を端末装置10に転送し、端末装置10が現物画像13を記憶する。なお、現物画像13に関する幾つかの例示は、上述に記載されている。
【0113】
その後、ユーザー91は、端末装置10の入力装置の操作により、決定ボタン153を選択して決定する。そうすると、端末装置10は、回答入力部152a~152e,152gに入力された情報を確定するとともに、回答入力部152eにおける選択を現物画像13に確定する。これにより、端末装置10は、外装材の劣化に関する情報を受け付ける。外装材の劣化に関する情報は、回答入力部152a~152e,152gにそれぞれ入力された情報と、回答入力部152eにおいて選択された現物画像13とを含む。
回答入力部152aに入力された情報は、ユーザー91又は業者が外装材を点検した結果得られた外装材の劣化状況を表す。回答入力部152aに入力された情報を劣化状況情報という。
回答入力部152bに入力された情報は、外装材の使用期間を表す。回答入力部152bに入力された情報を使用期間情報という。使用期間は、1日単位、1月単位又は1年単位の何れで表現されてもよい。
回答入力部152cに入力された情報は、外装材が用いられる住宅92の所在地を表す。回答入力部152cに入力された情報を所在地情報という。
回答入力部152dに入力された情報は、塩害の有無と、海からの遠近とを表す。回答入力部152dに入力された情報を塩害有無情報又は遠近情報という。
回答入力部152eに入力された情報は、外装材が受けてきた気象環境を表す。回答入力部152eに入力された情報を気象環境情報という。
回答入力部152gに入力された情報はユーザー91により自由に作成される文章であり、その文章は外装材及びその劣化・メンテナンス・点検等に関するものである。回答入力部152eに入力された情報をフリーワード情報という。
【0114】
(6A) 入力情報の送信及び受信
次に、端末装置10は、受け付けた情報、つまり外装材の劣化に関する情報(以下、投稿情報という。)を、「(4A) 種類IDの特定」又は後述の「(4B) 種類IDの特定」において特定した種類IDに対応付ける。更に、端末装置10は、投稿情報を投稿時刻情報に対応付ける。投稿時刻情報とは、ユーザー91が決定ボタン153を選択して決定した時刻を表す。投稿時刻は、1月単位、1分単位、1時間単位、1日単位及び1月単位の何れで表現されてもよい。
そして、端末装置10は、投稿情報と種類IDと投稿時刻情報を劣化予測装置20に送信する。劣化予測装置20のコンピューター21は、端末装置10によって送信された投稿情報、種類ID及び投稿時刻情報を受信する。これにより、コンピューター21は投稿情報、種類ID及び投稿時刻情報を取得する。
なお、端末装置10は、送信後に、「(2A) 第2メニュー画面の表示」に記載されているように、第2メニュー画面を表示装置に表示する。
【0115】
(7A) 入力情報の記録
コンピューター21が投稿情報と種類IDと投稿時刻情報を受信したら、コンピューター21がその種類IDと同一の種類IDに対応付けられた投稿リストデータ39を更新する。具体的には、コンピューター21は、投稿番号、投稿者情報、投稿情報及び投稿時刻情報に互いに対応付けて、その投稿情報及び投稿時刻情報を投稿リストデータ39に追記して、追記後の投稿リストデータ39をストレージ装置40に更新記録する。投稿者情報は、投稿情報を提供したユーザー91を特定するものである。より具体的には、投稿者情報の値は、「(1A) ログイン及びメニュー画面」においてログインが許可されたユーザーIDと同一である。
【0116】
図13は、投稿リストデータ39をデータテーブル形式で示す図である。
図13に示すように、投稿リストデータ39は、複数の投稿情報を一覧したものである。具体的には、投稿リストデータ39は複数の項目からなり、各項目は投稿番号、投稿時刻情報、投稿者情報及び投稿情報から構成され、項目ごとに投稿番号、投稿時刻情報、投稿者情報及び投稿情報が互いに対応付けられている。各投稿番号は一意の値である。投稿番号は、投稿情報に割り当てられている。投稿番号は、投稿情報を特定する。各投稿情報は、提供された劣化状況情報、使用期間情報、所在地情報、塩害有無情報、気象環境情報、フリーワード情報及び現物画像13を含む。
【0117】
(8A) ポイント加算
次に、コンピューター21は、ログインが許可されたユーザーIDによって、そのユーザーIDに対応付けられたポイントデータ42を特定する。次に、コンピューター21は、特定されたポイントデータ42のポイントに所定加算ポイントだけ加算する。そして、コンピューター21は、ポイントデータ42のポイントを加算後のポイントに更新する。
【0118】
<有利な効果(2)>
ユーザー91が自身の端末装置10を操作することによって、外装材の劣化に関する情報を端末装置10に入力すると、その情報が投稿情報として端末装置10に受け付けられて、端末装置10から劣化予測装置20へ送信されて、ストレージ装置40の投稿リストデータ39に追加的に記録される。これにより、ユーザー91が外装材の劣化に関する情報を劣化予測装置20に提供することができ、その情報が他のユーザー91にも共有され得る。
【0119】
ユーザー91が外装材の劣化に関する情報を端末装置10に入力すると、そのユーザー91に割り当てられたユーザーIDに対応付けられたポイントデータ42に所定加算ポイントが加算される。ポイントの加算は、外装材の劣化に関する情報の提供の動機付けをユーザー91に与える。よって、外装材の劣化に関する情報の共有が進みやすい。
【0120】
<劣化予測装置及び端末装置の動作(3)>
上述のように複数のユーザー91が自身の外装材の劣化に関する投稿情報を提供することによって、それらの投稿情報が外装材の種類ごとに投稿リストデータ39に蓄積される。同一種類の外装材を使用する複数のユーザー91が投稿リストデータ39に蓄積された投稿情報を共有できるように、劣化予測装置20のコンピューター21がプログラム23に従って以下のような処理を実行し、端末装置10がアプリケーションプログラムに従って以下のような処理を実行する。
【0121】
(1B) ログイン及びメニュー画面
「(1) ログイン」及び「(2) メニュー画面の表示」の説明にあったように、ユーザー91が端末装置10を用いてログインをしたら、メニュー画面が端末装置10の表示装置に表示される。なお、ここでのユーザー91は、「劣化予測装置及び端末装置の動作(1)」及び「劣化予測装置及び端末装置の動作(2)」におけるユーザー91と同一人・別人を問わない。つまり、ここでログインが許可されたユーザーIDは、「劣化予測装置及び端末装置の動作(1)」及び「劣化予測装置及び端末装置の動作(2)」においてログインが許可されたユーザーIDと同一・相違を問わない。
【0122】
(2B) 第2メニュー画面の表示
ユーザー91が端末装置10の入力装置を操作することによって電子掲示板の開始のボタン又はタブを選択して決定すると、端末装置10が電子掲示板の開始の指令を認識するとともに、コンピューター21に電子掲示板の開始を指令する。コンピューター21が電子掲示板の開始の指令を受けると、コンピューター21が、第2メニュー画面を表示するための情報を端末装置10に送信する。端末装置10がコンピューター21から情報を受け取ると、端末装置10がその情報に従って第2メニュー画面を表示装置に表示する。なお、第2メニュー画面の詳細については、前述されている。
【0123】
(3B) 外装材のリストの表示
ユーザー91が第2メニュー画面において情報閲覧に関する処理の開始を端末装置10に指令する。そうすると、端末装置10がその指令を認識するとともに、情報閲覧に関する処理の開始をコンピューター21に指令する。コンピューター21がその指令を受けると、コンピューター21がログイン許可済みのユーザーIDに対応付けられた外装材リストデータ45を読み込む。コンピューター21は、外装材リストデータ45に基づいて、ユーザー91の住宅92に使用される外装材のリストに関するリスト情報を生成する。リスト情報は一又は複数の項目からなり、各項目は部材番号及び種類IDから構成されている。その後、コンピューター21は、リスト情報を端末装置10に送信する。端末装置10がコンピューター21からリスト情報を受けると、端末装置10が部材番号及び種類IDに対応付けられた複数の項目(項目は、ユーザー91の住宅92に使用される外装材に相当する)からなるリストを表示装置に表示する。端末装置10は、リストに加えて、CGの住宅モデルと、項目に相当する外装材が住宅92に設置される位置を住宅モデルに指し示した指示部と、を表示装置に表示してもよい。
【0124】
(4B) 種類IDの特定
ユーザー91が、端末装置10の入力装置を操作することによって、リストの表示画面においてリストの中から何れか1つの項目を選択して決定する。そうすると、端末装置10が、選択・決定された項目に対応付けられた部材番号及び種類IDを特定する。これにより、ユーザー91の住宅92に使用される複数の外装材の中から1つの外装材が選択される。その後、端末装置10が、特定された種類IDを劣化予測装置20のコンピューター21に送信する。
【0125】
(5B) 投稿リストデータの読み込み
コンピューター21が、特定された種類IDを端末装置10から受信すると、コンピューター21が、特定された種類IDに対応付けられた投稿リストデータ39を読み込む。
【0126】
(6B) 投稿表示用情報の生成
次に、コンピューター21は、投稿リストデータ39に含まれた複数の投稿情報を投稿時刻の新しい順で配列する。そして、コンピューター21は、配列された投稿情報と、これら投稿情報に対応付けられた時刻情報とに基づいて、これら投稿情報及び時刻情報を含んだ投稿表示用情報を生成する。
【0127】
(7B) 投稿表示用情報の送信・受信
次に、コンピューター21は、投稿表示用情報を端末装置10に送信する。端末装置10は、コンピューター21から投稿表示用情報を受信する。
【0128】
(8B) 投稿情報及び投稿時刻の表示
端末装置10がコンピューター21から投稿表示用情報を受け取ると、端末装置10が、投稿表示用情報に従って、複数の投稿情報及び時刻情報を表示装置に表示する。
図14は、その表示の画面160の一例を示す。画面160には、投稿提示部161、ホームボタン163、移行ボタン164、移行ボタン165及び移行ボタン166が配置されている。
【0129】
投稿提示部161には、複数の提示部162が垂直方向に配列されている。各提示部162は、投稿情報を提示する。具体的には、各提示部162は、劣化状況情報、使用期間情報、所在地情報、塩害有無情報、気象環境情報、フリーワード情報及び現物画像13を提示する。ユーザー91が端末装置10の入力装置を操作することによって、端末装置10が投稿提示部161内の提示部162を垂直方向にスクロールさせるように表示画面160を表示する。
【0130】
ホームボタン163は、画面160からメニュー画面への遷移をコンピューター21に指示するためGUI要素である。ユーザー91が端末装置10を操作してホームボタン163を選択して決定した場合には、端末装置10がホームボタン163の決定を認識した上で、画面遷移指令を劣化予測装置20のコンピューター21に送信する。その指令を受けたコンピューター21が、メニュー画面を表示するための情報を端末装置10に送信するため、メニュー画面が端末装置10の表示装置に表示される。
【0131】
移行ボタン164は、画面160から、外装材のリストを表示した画面(「(3B) 外装材のリストの表示」参照)への遷移を端末装置10に指示するためのGUIである。ユーザー91が端末装置10を操作して移行ボタン164を選択して決定した場合には、端末装置10が移行ボタン164の決定を認識した上で、画面遷移指令を劣化予測装置20のコンピューター21に送信する。その指令を受けたコンピューター21の処理は、「(3B) 外装材のリストの表示」に記載の処理に戻る。
【0132】
移行ボタン165は、画面160から、ユーザー91が外装材の劣化に関する情報を入力するための入力画面150への遷移を端末装置10に指示するためのGUIである。ユーザー91が端末装置10を操作して移行ボタン165を選択して決定した場合には、端末装置10が移行ボタン165の決定を認識した上で、端末装置10及びコンピューター21の処理は、「(5A) 入力画面の表示及び入力情報の受付」に記載の処理に戻る。
【0133】
移行ボタン166は、画面160から、分布図を表示する画面への遷移を端末装置10に指示するためのGUIである。
【0134】
(8B) 分布図の表示
ユーザー91が端末装置10を操作して移行ボタン166を選択して決定した場合には、端末装置10が移行ボタン166の決定を認識した上で、画面遷移指令を劣化予測装置20のコンピューター21に送信する。その指令を受けたコンピューター21は、「(4B) 種類IDの特定」において特定された特定された種類IDに対応付けられた分布データ38を読み取る。
【0135】
次に、コンピューター21は、分布データ38に基づいて、地域ごとの劣化容易性の分布を表した分布図を生成する。具体的には、コンピューター21は、分布データ38の全ての地域特定情報によって特定された全地域の地図を生成し、その地図を地域ごとに領域分けし、分布データ38の劣化容易性に応じた色を地図内の各領域に付す。コンピューター21は、生成した分布図を端末装置10に送信し、端末装置10が、分布図を受信する。そして、端末装置10は、分布図を表示装置に表示する。
図15は、その表示の画面170の一例を示す。画面170には、分布
図171及びリターンボタン172が配置されている。
【0136】
分布
図171は、各都道府県の劣化容易性を色で表現するとともに、都道府県ごとの劣化容易性の分布を模様で表す日本地図である。リターンボタン172は、画面170から画面160への遷移を端末装置10に指示するためのGUIである。ユーザー91が端末装置10を操作してリターンボタン172を選択して決定した場合には、端末装置10がリターンボタン172の決定を認識した上で、その指令を受けた端末装置10の処理は、「(8B) 投稿情報及び投稿時刻の表示」に記載の処理に戻る。
【0137】
<有利な効果(3)>
ユーザー91が自身の端末装置10を劣化予測装置20にアクセスさせたら、投稿リストデータ39に含まれる複数の投稿情報が劣化予測装置20から端末装置10に送信されて、端末装置10によって表示される。これにより、そのユーザー91が、投稿リストデータ39に含まれる複数の投稿情報を閲覧することで、他人の住宅92の外装材の劣化に関する情報を知得できる。
【0138】
地域ごとの劣化容易性の分布を表した分布
図171が、端末装置10のユーザー91に提供される。そのため、そのユーザー91は、自身の地域の気象環境が外装材を劣化させるのか否かを知得できる。
【符号の説明】
【0139】
1 劣化予測システム
10 端末装置
20 劣化予測装置
21 コンピューター
22 記憶装置
23 プログラム
40 ストレージ装置
44 特性リストデータ
45 外装材リストデータ
46 予測結果データ
47 補正結果データ
48a 電力の時系列データ
48b 電力量の時系列データ
48c 日射量の時系列データ
48d 積算日射量の時系列データ
61 太陽光パネル
62 電力計
63 電力管理装置
91 ユーザー
92 住宅
101 グラフ
102 提示部
103 提示部
121 グラフ
122 提示部
123 提示部