(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132014
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】屋上用目地カバー装置
(51)【国際特許分類】
E04B 1/68 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042633
(22)【出願日】2023-03-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DH31
2E001FA04
2E001FA18
2E001FA54
2E001GA13
2E001PA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】目地部が狭くなった場合でも、端部カバー等が破損することなく地震による揺れ動きを吸収でき、かつ防水性能を向上させることができる屋上用目地カバー装置を提供すること。
【解決手段】屋上用目地カバー装置1は、一方の躯体3のパラペット5とパラペットの上部に設けられた水切りカバー6と水切りカバーの上方に位置し、かつ他方の躯体4の垂直壁面に取付けられた取付け用基端部の反対側の突出端部がパラペットの上部側に位置する目地カバー7とこの目地カバーと水切りカバーの間に設けられた防水手段8と一方の躯体の目地部側壁面に一端部が取り付けられ、かつ他方の躯体4の目地部側壁面に他端部が取り付けられた壁面用目地装置9と前記目地部側壁面にヒンジ部材を介してそれぞれ回動可能に設けられているとともに、目地カバーの前後方向の両側部を塞ぎ、かつ壁面用目地装置が略当接するように設けられた前後の端部カバー11とで構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の躯体間の目地部を塞ぐ屋上用目地カバー装置であって、
一方の躯体のパラペットと、前記パラペットの上部に設けられた水切りカバーと、前記水切りカバーの上方に位置し、かつ、他方の躯体の壁面に取付けられた基端部の反対側の突出端部が前記パラペットの上部側に位置する目地カバーと、この目地カバーと前記水切りカバーの間に設けられた防水手段と、前記一方の躯体の壁面に一端部が取り付けられ、かつ、前記他方の躯体の壁面に他端部が取り付けられた壁面用目地装置と、前記他方の躯体の壁面にヒンジ部材を介してそれぞれ回動可能に設けられているとともに、前記目地カバーの前後方向の両側部を塞ぎ、かつ、前記壁面用目地装置が略当接するように設けられた前後の端部カバーとで構成され、
前記端部カバーは、天板部に接続する側壁部の下端が前記パラペットの上部の上面よりも下方に突出する端部カバー本体と、前記端部カバー本体の側壁部に形成さけた切り欠き部と、前記端部カバー本体に設けられたガイド部と、前記ガイド部に左右方向に摺動可能に取り付けられ、前記切り欠き部を塞ぐ伸縮パネルとで構成され、
前記伸縮パネルは、複数個のパネル部材と、隣り合う前記パネル部材の間に隙間が生じないように前記パネル部材の位置を調節する位置調節手段とで構成され、
前記切り欠き部は、地震で前記目地部が狭くなった場合に、前記他方の躯体が前記端部カバー本体に衝突しない屋上用目地カバー装置。
【請求項2】
前記複数個のパネル部材は、上端部に前記ガイド部に左右方向に摺動可能に取り付けられる滑動部材を備え、下端部が略溝形鋼状に形成されていると共に、隣り合う前記パネル部材が入れ子構造であることを特徴とする請求項1に記載の屋上用目地カバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は左右の躯体の間の目地部を塞ぐ屋上用目地カバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の屋上用目地カバー装置は、一方の建物のパラペットに取付けられた目地部側が略垂直上方へ突出する防水カバー支持片が形成されたクランク状の水切りカバーと、この水切りカバーの上部を略覆うように高い他方の建物の外壁に一端部が取付けられ、かつ、他端部に下方へ突出する側板を有する目地カバーと、この目地カバーの前記側板と前記水切りカバーとの間より内部に水が浸入するのを阻止する防水手段と、目地カバーの前後方向の側面に設けられ、先端部が外方へ回動できる端部カバーとで構成されたものが開示されている(特許文献1)。
このような屋上用目地カバー装置では、左右の躯体が互いに異なる前後方向に揺れ動きた場合には、端部カバーがヒンジ部材を支点に回動し、揺れ動きを吸収するものである。
【0003】
しかしながら、地震時に目地部が狭くなった場合には、端部カバーが他方の躯体の壁面に衝突するおそれがあるため、パラペットの上端よりも下方の目地部を端部カバーで覆うことができなかった。
【0004】
そのため、壁面用目地装置を用いた場合に、壁面用目地装置の上部付近を端部カバーで覆うことが難しく、端部カバーと壁面用目地装置との間から雨水等が侵入するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、目地部が狭くなった場合であっても、端部カバー等が破損することなく地震による揺れ動きを吸収でき、かつ、防水性能を向上させることができる屋上用目地カバー装置を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の屋上用目地カバー装置は、左右の躯体間の目地部を塞ぐ屋上用目地カバー装置であって、一方の躯体のパラペットと、前記パラペットの上部に設けられた水切りカバーと、前記水切りカバーの上方に位置し、かつ、他方の躯体の壁面に取付けられた基端部の反対側の突出端部が前記パラペットの上部側に位置する目地カバーと、この目地カバーと前記水切りカバーの間に設けられた防水手段と、前記一方の躯体の壁面に一端部が取り付けられ、かつ、前記他方の躯体の壁面に他端部が取り付けられた壁面用目地装置と、前記他方の躯体の壁面にヒンジ部材を介してそれぞれ回動可能に設けられているとともに、前記目地カバーの前後方向の両側部を塞ぎ、かつ、前記壁面用目地装置が略当接するように設けられた前後の端部カバーとで構成され、前記端部カバーは、天板部に接続する側壁部の下端が前記パラペットの上部の上面よりも下方に突出する折り曲げ形状の端部カバー本体と、前記端部カバー本体の側壁部に形成さけた切り欠き部と、前記端部カバー本体に設けられたガイド部と、前記ガイド部に左右方向に摺動可能に取り付けられ、前記切り欠き部を塞ぐ伸縮パネルとで構成され、前記伸縮パネルは、複数個のパネル部材と、隣り合う前記パネル部材の間に隙間が生じないように前記パネル部材の位置を調節する位置調節手段とで構成され、前記切り欠き部は、地震で前記目地部が狭くなった場合に、前記他方の躯体が前記端部カバー本体に衝突しないことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の屋上用目地カバー装置の前記複数個のパネル部材は、上端部に前記ガイド部に左右方向に摺動可能に取り付けられる滑動部材を備え、下端部が略溝形鋼状に形成されており、隣り合う前記パネル部材が入れ子構造であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1に記載の発明においては、前後の端部カバーが、天板部と、該天板部に接続すると共に切り欠き部を有する側壁部から成る端部カバー本体と、前記側壁部の切り欠き部を塞ぐ複数個のパネル部材及パネル部材位置調節手段とから成る伸縮パネルを備えているので、地震時に前後の端部カバーを破損することなく、かつ、壁面用目地装置の上端部を端部カバー本体と伸縮パネルで覆うことができることから、防水性能をより一層高めることができる。
(2)請求項2に記載の発明においても、前記(1)と同様な効果が得られると共に、パネル部材の摺動をスムーズにすることができ、かつ、雨水等が侵入することをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1乃至
図9は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
【
図8】地震で目地部が狭くなった正面視側からの動作説明図。
【
図9】地震で目地部が広くなった正面視側からの動作説明図。の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1乃至
図9に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して設けられた一方の躯体3と他方の躯体4間に設置された屋上用目地カバー装置である。
【0013】
なお、左右方向とは
図1(平面視)における左右方向であり、前後方向とは
図1における上下方向、上下方向とは
図2における上下方向をいう。
【0014】
また、本発明において躯体とは、建物、道路、スラブ、エレベーターシャフト等の目地プレートを設置可能な建造物をいい、出入口とはドアや扉の設けられた出入口だけではなく、人や車両等が通行できる通路も含むものである。
【0015】
本実施形態の屋上用目地カバー装置1は、例えば
図1乃至
図3に示すように、一方の躯体3の段差状のパラペット5の上部の一部に設けられた水切りカバー6(
図1参照)と、該水切りカバー6の一方の躯体3側の端部付近にその突出端部7aが位置し、他方の躯体4の壁面4aに取付け用の基端部7bが固定された目地カバー7と、この目地カバー7と前記水切りカバー6の間に設けられた防水手段8と、前記一方の躯体3の壁面3aに一端部が取り付けられ、前記他方の躯体4の壁面4aに他端部が取り付けられた壁面用目地装置9と、前記他方の躯体の壁面4aにヒンジ部材10を介してそれぞれ回動可能に設けられているとともに、前記目地カバー7の前後方向の両側部を塞ぎ、かつ、前記壁面用目地装置9の上部側がその内壁面に所定の長さ略当接するように設けられた前後1対の端部カバー11とで構成されている。
【0016】
付言すると、屋上用目地カバー装置1は、例えば
図3で示すように、一方の躯体3のパラペット5と、パラペットの上部に設けられた水切りカバー6と、水切りカバーの上方に位置し、かつ、他方の躯体4の垂直壁面4aに取付けられた取付け用基端部7aの反対側の突出端部7aがパラペットの上部側に位置する目地カバー7と、この目地カバー7と水切りカバー6の間に設けられた防水シート16を有する防水手段8と、一方の躯体3の目地部側壁面3aに一端部が取り付けられ、かつ、他方の躯体4の目地部側壁面4aに他端部が取り付けられた壁面用目地装置9と、前記目地部側壁面4aにヒンジ部材を介してそれぞれ回動可能に設けられているとともに、目地カバー7の前後方向の両側部を塞ぎ、かつ、壁面用目地装置9が略当接するように設けられた前後の端部カバー11とで構成されている。
【0017】
ここで略当接するとは、接触している状態だけでなく、僅かな間隙を有して接近している状態も含むものである。
【0018】
さて、水切りカバー6は、
図4に示すように、一方の躯体3の目地部2側の上面、本実施形態においては、一方の躯体3のパラペット5の上部の右下がり傾斜状上面に固定され、その上面6cが前記傾斜状上面に対応してやや傾斜面状に形成されている。この水切りカバー6の一方の躯体3側(目地部2の反対側)の端部に誘導側壁6aが下方へ突出するように接続し、該誘導側壁6aはパラペット5の内側壁面5aに当接する。一方、水切りカバー6は、目地部2側の端部の側面に略垂直に上方へ突出する状態で延在する側壁6bを有している。
【0019】
本実施形態では、例えば
図3で示すように、パラペット5の一部がやや上方へ突出するように段差状に形成されており、この上方に突出した部位に前述した水切りカバー6が配設されている。
【0020】
この水切りカバー6は、パラペット5の上部に複数本のアンカーボルト等で、所定間隔を隔てて複数個設けられた水切りカバー取付具12を介して方の躯体3のパラペット5の傾斜状上面に固定される。
【0021】
目地カバー7は、
図5に示すように、他方の躯体4の壁面4aに複数本のタッピングビス等によって所定間隔で固定された複数個の支持アーム13支持されるとともに、他方の躯体4の壁面4aに基端部7bが固定され、目地部2をカバーするものである。この目地カバー7の基端部7bは、断面視において略クランク状に形成されており、このような形状にすることにより、基端部7b付近の防水性能を向上させることができる。
【0022】
また目地カバー7は、例えば
図5で示すように、上面が傾斜面状に形成されており、その突出端部7aは、本実施形態においては水切りカバー6の垂直端部6aの上方付近に位置する。また目地カバー7の突出端部7aには、略垂直に下方に突出する側壁14が設けられている。この側壁14には、水切りカバー6の上面に当接する弾性部材としてのゴム製のカバー片15を設けることが望ましい。
【0023】
防水手段8は、本実施形態においては目地カバー7の傾斜状天板部(番号なし)の内面に垂下状に取り付けられたホース状の防水シート16と、この防水シート16を水切りカバー6の上面に当接させるおもり17とで構成されている。なお、防水手段8は、その他の公知の防水手段8を用いることができる。
【0024】
目地カバー7の前後方向の両側部には、ヒンジ部材10を介して回動する1対の端部カバー11が設けられており、これらの端部カバー11は、その内側面(目地カバー側の側面)に当接するように1対の壁面用目地装置9が設けられている。
この端部カバー11は、
図6に示すように、例えば端面アングル形状の端部カバー本体18を有している。したがって、端部カバー本体18は、例えば矩形形状の天板部18aと、この天板部の長手方向の端部に下方に接続する側板部18bを有し、前記側板部18bの略中央部から下端に至る部分が、左側の一部を除き、切欠されている。
【0025】
さらに、付言すると、この端部カバー11は、目地カバー7の前後方向の側部を覆うことができ、前記他方の躯体4の壁面4aにヒンジ部材10を介してそれぞれ前後方向に回動可能に設けられ、かつ、前記パラペット5の上端よりも下方に突出する1対の端部カバー本体18と、前記端部カバー本体18の前方側又は後方側の側面の突出端部側に設けられた切り欠き部19と、前記端部カバー本体18に設けられ、左右方向に延在するレール状のガイド部20と、前記ガイド部20に滑動部材21を介して左右方向に摺動可能に取り付けられ、前記切り欠き部19を塞ぐように設けられた伸縮パネル22とで構成されている。
【0026】
端部カバー本体18は、平面視略方形状で側面視においては略アングル状に形成されている。また、前方側又は後方側(目地カバー7の端部側)の側面には、切り欠き部19が形成されている。この切り欠き部19は、地震によって目地部2が狭くなった際に、他方の躯体4(パラペット5や他方の躯体4の壁面4a)が端部カバー本体18に衝突しないような形状に形成されている。すなわち、切り欠き部19の左右方向の寸法は地震時の最大揺れ動き幅よりも大きくなるように形成されている。なお、本実施形態においては、端部カバー本体18の切り欠き部19が形成されていない部分の下端部を略アングル状、略溝形鋼状等に形成(図示せず)しており、この部分で伸縮パネル22のパネル部材23の底部を受けられるようにしている。
【0027】
この切り欠き部19には、切り欠き部19を塞ぐように伸縮パネル22が設けられており、パラペット5の上端部よりも下方に突出した端部カバー本体18と他方の躯体4の壁面4aとの間の隙間を塞いでいる。
【0028】
ガイド部20は切り欠き部19の上部に設けられた略チャンネル鋼状のレール部材であり、このガイド部に伸縮パネル22のパネル部材23がローラーやベアリング、すべり材等の滑動部材21を介して摺動可能に取り付けられる。
【0029】
この伸縮パネル22は複数個、本実施形態においては3個のパネル部材23と、隣り合う前記パネル部材23の間に隙間が生じないようにパネル部材23の位置を調節する位置調節手段24とで構成されており、常時切り欠き部19を塞いでいる。
【0030】
パネル部材23は、
図7に示すように、本実施形態では、上端部に前記ガイド部材に左右方向に摺動可能に取り付けられるローラー状の滑動部材21を備えており、下端部が略溝形鋼状に形成された金属板等の部材で、隣り合う前記パネル部材23が入れ子構造で、かつ、略当接状態で摺動可能となるように形成されている。説明の便宜上、端部カバー本体18の取付端部側に近い方に配置されるパネル部材23を一方のパネル部材23a、中間に位置するパネル部材23を中間パネル部材23b、他方の躯体4の壁面4aと常時当接するパネル部材23を他方のパネル部材23cとして説明する。本実施形態においては、端部カバー本体18の下端部で一方のパネル部材23aの底部を受けることができ、パネル部材23が入れ子構造に形成されているため、摺動時に互いにガイドすることが可能であり、滑動部材21は各パネルに1つだけ設けられているが、各パネル部材23に複数個の滑動部材21を設けてもよい。
【0031】
このパネル部材23は位置調節手段24によって端部カバー本体18と一方のパネル部材23aの間、隣り合うパネル部材23の間及び他方のパネル部材23cと他方の躯体4の壁面4aとの間に常時隙間が生じないように制御されている。なお、パネル部材23同士の摺動をスムーズにするために、パネル部材23の底部や側部等に滑動部材等を設けてもよい。
【0032】
位置調節手段24は、
図7に示すように、本実施形態においては、他方の躯体4や地震時に他方の躯体4と同調して揺れ動く水切りカバー等に一端部が固定され、他端部が他方のパネル部材23cに接続され、他方のパネル部材23cを常時他方の躯体4の壁面4aに当接するように付勢する弾発部材としての付勢スプリング25と、前記他方のパネル部材23cと中間パネル部材23b、中間パネル部材23bと一方のパネル部材23a及び一方のパネル部材23aと端部カバー本体18もしくは一方の躯体3の壁面3aとをそれぞれ接続する所定長のワイヤー26とで構成されている。
【0033】
なお、位置調節手段24としては、他方のパネル部材23を付勢する付勢スプリング25と、他方のパネル部材23cと中間パネル部材23b、中間パネル部材23bと一方のパネル部材23a及び一方のパネル部材23aと端部カバー本体18がそれぞれ脱落しないように係止する係止片とから構成してもよい。
【0034】
また、パンタグラフ状のリンク部材を用い、リンク部材の枢支部とパネル部材23を接続して位置調節手段24としてもよい。
【0035】
ところで、端部カバー11は、通常状態において目地カバー7の前後方向の側面に当接するように、付勢スプリング等(図示せず)で付勢されている。
【0036】
この端部カバー11の下部には、左右方向に伸縮する壁面用目地装置9を設けている。この壁面用目地装置9は公知の壁面用目地装置を用いることができ、端部カバー11の前方側又は後方側の内壁面と所定の長さが略当接するように設けられている。すなわち、端部カバー11の下部側と壁面用目地装置9の上部側が面接触状態で略当接するように設けられている。
【0037】
なお、端部カバー11の前方側又は後方側の壁面とは伸縮パネル22の壁面も含むものである。本実施形態においては、端部カバー本体18の下端部側やパネル部材23の下端部側を略溝形鋼状に形成しているため、この略溝形鋼状に形成された部位が壁面用目地装置9と略当接する。
【0038】
上記構成において、地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が狭くなると、例えば
図8に示すように、目地カバー7が一方の躯体3側へ突出するようにスライド移動し、地震による揺れ動きを吸収する。この時伸縮パネル22は、パネル部材23の重なり幅が大きくなるように摺動し、揺れ動きを吸収する。
【0039】
一方、地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が広くなると、
図9に示すように、目地カバー7が他方の躯体4側へスライド移動し、地震による揺れ動きを吸収することができる。この時伸縮パネル22は、付勢スプリング25の付勢力によって他方のパネル部材23cが他方の躯体4の壁面4aに当接したまま、各パネル部材23の重なり幅が小さくなるように摺動し、揺れ動きを吸収する。
地震で左右の躯体3、4が異なる前後方向に揺れ動いた場合には、端部カバー11が壁面用目地装置9に押圧されることにより、ヒンジ部材10を支点に前後方向へ回転して地震による揺れ動きを吸収する。
【0040】
なお、パネル部材については入れ子構造となる下端部が略溝形鋼状のものについて説明したが、平板形状のパネル部材を複数個用いて切り欠き部を塞いでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は屋上用目地カバー装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0042】
1:屋上用目地カバー装置、 2:目地部、
3:一方の躯体、 4:他方の躯体、
5:パラペット、 6:水切りカバー、
7:目地カバー、 8:防水手段、
9:壁面用目地装置、 10:ヒンジ部材、
11:端部カバー、 12:水切りカバー取付具、
13:支持アーム、 14:側壁、
15:カバー片、 16:防水シート、
17:おもり、 18:端部カバー本体、
19:切り欠き部、 20:ガイド部、
21:滑動部材、 22:伸縮パネル、
23:パネル部材、 24:位置調節手段、
25:付勢スプリング、 26:ワイヤー。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の躯体間の目地部を塞ぐ屋上用目地カバー装置であって、
一方の躯体のパラペットと、前記パラペットの上部に設けられた水切りカバーと、前記水切りカバーの上方に位置し、かつ、他方の躯体の壁面に取付けられた基端部の反対側の突出端部が前記パラペットの上部側に位置する目地カバーと、この目地カバーと前記水切りカバーの間に設けられた防水手段と、前記一方の躯体の壁面に一端部が取り付けられ、かつ、前記他方の躯体の壁面に他端部が取り付けられた壁面用目地装置と、前記他方の躯体の壁面にヒンジ部材を介してそれぞれ回動可能に設けられているとともに、前記目地カバーの前後方向の両側部を塞ぎ、かつ、前記壁面用目地装置が略当接するように設けられた前後の端部カバーとで構成され、
前記端部カバーは、天板部に接続する側壁部の下端が前記パラペットの上部の上面よりも下方に突出する端部カバー本体と、前記端部カバー本体の側壁部に形成された切り欠き部と、前記端部カバー本体に設けられたガイド部と、前記ガイド部に左右方向に摺動可能に取り付けられ、前記切り欠き部を塞ぐ伸縮パネルとで構成され、
前記伸縮パネルは、複数個のパネル部材と、隣り合う前記パネル部材の間に隙間が生じないように前記パネル部材の位置を調節する位置調節手段とで構成され、
前記切り欠き部は、地震で前記目地部が狭くなった場合に、前記他方の躯体が前記端部カバー本体に衝突しない屋上用目地カバー装置。
【請求項2】
前記複数個のパネル部材は、上端部に前記ガイド部に左右方向に摺動可能に取り付けられる滑動部材を備え、下端部が略溝形鋼状に形成されていると共に、隣り合う前記パネル部材が入れ子構造であることを特徴とする請求項1に記載の屋上用目地カバー装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は左右の躯体の間の目地部を塞ぐ屋上用目地カバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の屋上用目地カバー装置は、一方の建物のパラペットに取付けられた目地部側が略垂直上方へ突出する防水カバー支持片が形成されたクランク状の水切りカバーと、この水切りカバーの上部を略覆うように高い他方の建物の外壁に一端部が取付けられ、かつ、他端部に下方へ突出する側板を有する目地カバーと、この目地カバーの前記側板と前記水切りカバーとの間より内部に水が浸入するのを阻止する防水手段と、目地カバーの前後方向の側面に設けられ、先端部が外方へ回動できる端部カバーとで構成されたものが開示されている(特許文献1)。
このような屋上用目地カバー装置では、左右の躯体が互いに異なる前後方向に揺れ動きた場合には、端部カバーがヒンジ部材を支点に回動し、揺れ動きを吸収するものである。
【0003】
しかしながら、地震時に目地部が狭くなった場合には、端部カバーが他方の躯体の壁面に衝突するおそれがあるため、パラペットの上端よりも下方の目地部を端部カバーで覆うことができなかった。
【0004】
そのため、壁面用目地装置を用いた場合に、壁面用目地装置の上部付近を端部カバーで覆うことが難しく、端部カバーと壁面用目地装置との間から雨水等が侵入するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、目地部が狭くなった場合であっても、端部カバー等が破損することなく地震による揺れ動きを吸収でき、かつ、防水性能を向上させることができる屋上用目地カバー装置を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の屋上用目地カバー装置は、左右の躯体間の目地部を塞ぐ屋上用目地カバー装置であって、一方の躯体のパラペットと、前記パラペットの上部に設けられた水切りカバーと、前記水切りカバーの上方に位置し、かつ、他方の躯体の壁面に取付けられた基端部の反対側の突出端部が前記パラペットの上部側に位置する目地カバーと、この目地カバーと前記水切りカバーの間に設けられた防水手段と、前記一方の躯体の壁面に一端部が取り付けられ、かつ、前記他方の躯体の壁面に他端部が取り付けられた壁面用目地装置と、前記他方の躯体の壁面にヒンジ部材を介してそれぞれ回動可能に設けられているとともに、前記目地カバーの前後方向の両側部を塞ぎ、かつ、前記壁面用目地装置が略当接するように設けられた前後の端部カバーとで構成され、前記端部カバーは、天板部に接続する側壁部の下端が前記パラペットの上部の上面よりも下方に突出する折り曲げ形状の端部カバー本体と、前記端部カバー本体の側壁部に形成された切り欠き部と、前記端部カバー本体に設けられたガイド部と、前記ガイド部に左右方向に摺動可能に取り付けられ、前記切り欠き部を塞ぐ伸縮パネルとで構成され、前記伸縮パネルは、複数個のパネル部材と、隣り合う前記パネル部材の間に隙間が生じないように前記パネル部材の位置を調節する位置調節手段とで構成され、前記切り欠き部は、地震で前記目地部が狭くなった場合に、前記他方の躯体が前記端部カバー本体に衝突しないことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の屋上用目地カバー装置の前記複数個のパネル部材は、上端部に前記ガイド部に左右方向に摺動可能に取り付けられる滑動部材を備え、下端部が略溝形鋼状に形成されており、隣り合う前記パネル部材が入れ子構造であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1に記載の発明においては、前後の端部カバーが、天板部と、該天板部に接続すると共に切り欠き部を有する側壁部から成る端部カバー本体と、前記側壁部の切り欠き部を塞ぐ複数個のパネル部材及パネル部材位置調節手段とから成る伸縮パネルを備えているので、地震時に前後の端部カバーを破損することなく、かつ、壁面用目地装置の上端部を端部カバー本体と伸縮パネルで覆うことができることから、防水性能をより一層高めることができる。
(2)請求項2に記載の発明においても、前記(1)と同様な効果が得られると共に、パネル部材の摺動をスムーズにすることができ、かつ、雨水等が侵入することをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1乃至
図9は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
【
図8】地震で目地部が狭くなった正面視側からの動作説明図。
【
図9】地震で目地部が広くなった正面視側からの動作説明図。の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1乃至
図9に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して設けられた一方の躯体3と他方の躯体4間に設置された屋上用目地カバー装置である。
【0013】
なお、左右方向とは
図1(平面視)における左右方向であり、前後方向とは
図1における上下方向、上下方向とは
図2における上下方向をいう。
【0014】
また、本発明において躯体とは、建物、道路、スラブ、エレベーターシャフト等の目地プレートを設置可能な建造物をいい、出入口とはドアや扉の設けられた出入口だけではなく、人や車両等が通行できる通路も含むものである。
【0015】
本実施形態の屋上用目地カバー装置1は、例えば
図1乃至
図3に示すように、一方の躯体3の段差状のパラペット5の上部の一部に設けられた水切りカバー6(
図1参照)と、該水切りカバー6の一方の躯体3側の端部付近にその突出端部7aが位置し、他方の躯体4の壁面4aに取付け用の基端部7bが固定された目地カバー7と、この目地カバー7と前記水切りカバー6の間に設けられた防水手段8と、前記一方の躯体3の壁面3aに一端部が取り付けられ、前記他方の躯体4の壁面4aに他端部が取り付けられた壁面用目地装置9と、前記他方の躯体の壁面4aにヒンジ部材10を介してそれぞれ回動可能に設けられているとともに、前記目地カバー7の前後方向の両側部を塞ぎ、かつ、前記壁面用目地装置9の上部側がその内壁面に所定の長さ略当接するように設けられた前後1対の端部カバー11とで構成されている。
【0016】
付言すると、屋上用目地カバー装置1は、例えば
図3で示すように、一方の躯体3のパラペット5と、パラペットの上部に設けられた水切りカバー6と、水切りカバーの上方に位置し、かつ、他方の躯体4の垂直壁面4aに取付けられた取付け用基端部7aの反対側の突出端部7aがパラペットの上部側に位置する目地カバー7と、この目地カバー7と水切りカバー6の間に設けられた防水シート16を有する防水手段8と、一方の躯体3の目地部側壁面3aに一端部が取り付けられ、かつ、他方の躯体4の目地部側壁面4aに他端部が取り付けられた壁面用目地装置9と、前記目地部側壁面4aにヒンジ部材を介してそれぞれ回動可能に設けられているとともに、目地カバー7の前後方向の両側部を塞ぎ、かつ、壁面用目地装置9が略当接するように設けられた前後の端部カバー11とで構成されている。
【0017】
ここで略当接するとは、接触している状態だけでなく、僅かな間隙を有して接近している状態も含むものである。
【0018】
さて、水切りカバー6は、
図4に示すように、一方の躯体3の目地部2側の上面、本実施形態においては、一方の躯体3のパラペット5の上部の右下がり傾斜状上面に固定され、その上面6cが前記傾斜状上面に対応してやや傾斜面状に形成されている。この水切りカバー6の一方の躯体3側(目地部2の反対側)の端部に誘導側壁6aが下方へ突出するように接続し、該誘導側壁6aはパラペット5の内側壁面5aに当接する。一方、水切りカバー6は、目地部2側の端部の側面に略垂直に上方へ突出する状態で延在する側壁6bを有している。
【0019】
本実施形態では、例えば
図3で示すように、パラペット5の一部がやや上方へ突出するように段差状に形成されており、この上方に突出した部位に前述した水切りカバー6が配設されている。
【0020】
この水切りカバー6は、パラペット5の上部に複数本のアンカーボルト等で、所定間隔を隔てて複数個設けられた水切りカバー取付具12を介して方の躯体3のパラペット5の傾斜状上面に固定される。
【0021】
目地カバー7は、
図5に示すように、他方の躯体4の壁面4aに複数本のタッピングビス等によって所定間隔で固定された複数個の支持アーム13支持されるとともに、他方の躯体4の壁面4aに基端部7bが固定され、目地部2をカバーするものである。この目地カバー7の基端部7bは、断面視において略クランク状に形成されており、このような形状にすることにより、基端部7b付近の防水性能を向上させることができる。
【0022】
また目地カバー7は、例えば
図5で示すように、上面が傾斜面状に形成されており、その突出端部7aは、本実施形態においては水切りカバー6の垂直端部6aの上方付近に位置する。また目地カバー7の突出端部7aには、略垂直に下方に突出する側壁14が設けられている。この側壁14には、水切りカバー6の上面に当接する弾性部材としてのゴム製のカバー片15を設けることが望ましい。
【0023】
防水手段8は、本実施形態においては目地カバー7の傾斜状天板部(番号なし)の内面に垂下状に取り付けられたホース状の防水シート16と、この防水シート16を水切りカバー6の上面に当接させるおもり17とで構成されている。なお、防水手段8は、その他の公知の防水手段8を用いることができる。
【0024】
目地カバー7の前後方向の両側部には、ヒンジ部材10を介して回動する1対の端部カバー11が設けられており、これらの端部カバー11は、その内側面(目地カバー側の側面)に当接するように1対の壁面用目地装置9が設けられている。
この端部カバー11は、
図6に示すように、例えば端面アングル形状の端部カバー本体18を有している。したがって、端部カバー本体18は、例えば矩形形状の天板部18aと、この天板部の長手方向の端部に下方に接続する側板部18bを有し、前記側板部18bの略中央部から下端に至る部分が、左側の一部を除き、切欠されている。
【0025】
さらに、付言すると、この端部カバー11は、目地カバー7の前後方向の側部を覆うことができ、前記他方の躯体4の壁面4aにヒンジ部材10を介してそれぞれ前後方向に回動可能に設けられ、かつ、前記パラペット5の上端よりも下方に突出する1対の端部カバー本体18と、前記端部カバー本体18の前方側又は後方側の側面の突出端部側に設けられた切り欠き部19と、前記端部カバー本体18に設けられ、左右方向に延在するレール状のガイド部20と、前記ガイド部20に滑動部材21を介して左右方向に摺動可能に取り付けられ、前記切り欠き部19を塞ぐように設けられた伸縮パネル22とで構成されている。
【0026】
端部カバー本体18は、平面視略方形状で側面視においては略アングル状に形成されている。また、前方側又は後方側(目地カバー7の端部側)の側面には、切り欠き部19が形成されている。この切り欠き部19は、地震によって目地部2が狭くなった際に、他方の躯体4(パラペット5や他方の躯体4の壁面4a)が端部カバー本体18に衝突しないような形状に形成されている。すなわち、切り欠き部19の左右方向の寸法は地震時の最大揺れ動き幅よりも大きくなるように形成されている。なお、本実施形態においては、端部カバー本体18の切り欠き部19が形成されていない部分の下端部を略アングル状、略溝形鋼状等に形成(図示せず)しており、この部分で伸縮パネル22のパネル部材23の底部を受けられるようにしている。
【0027】
この切り欠き部19には、切り欠き部19を塞ぐように伸縮パネル22が設けられており、パラペット5の上端部よりも下方に突出した端部カバー本体18と他方の躯体4の壁面4aとの間の隙間を塞いでいる。
【0028】
ガイド部20は切り欠き部19の上部に設けられた略チャンネル鋼状のレール部材であり、このガイド部に伸縮パネル22のパネル部材23がローラーやベアリング、すべり材等の滑動部材21を介して摺動可能に取り付けられる。
【0029】
この伸縮パネル22は複数個、本実施形態においては3個のパネル部材23と、隣り合う前記パネル部材23の間に隙間が生じないようにパネル部材23の位置を調節する位置調節手段24とで構成されており、常時切り欠き部19を塞いでいる。
【0030】
パネル部材23は、
図7に示すように、本実施形態では、上端部に前記ガイド部材に左右方向に摺動可能に取り付けられるローラー状の滑動部材21を備えており、下端部が略溝形鋼状に形成された金属板等の部材で、隣り合う前記パネル部材23が入れ子構造で、かつ、略当接状態で摺動可能となるように形成されている。説明の便宜上、端部カバー本体18の取付端部側に近い方に配置されるパネル部材23を一方のパネル部材23a、中間に位置するパネル部材23を中間パネル部材23b、他方の躯体4の壁面4aと常時当接するパネル部材23を他方のパネル部材23cとして説明する。本実施形態においては、端部カバー本体18の下端部で一方のパネル部材23aの底部を受けることができ、パネル部材23が入れ子構造に形成されているため、摺動時に互いにガイドすることが可能であり、滑動部材21は各パネルに1つだけ設けられているが、各パネル部材23に複数個の滑動部材21を設けてもよい。
【0031】
このパネル部材23は位置調節手段24によって端部カバー本体18と一方のパネル部材23aの間、隣り合うパネル部材23の間及び他方のパネル部材23cと他方の躯体4の壁面4aとの間に常時隙間が生じないように制御されている。なお、パネル部材23同士の摺動をスムーズにするために、パネル部材23の底部や側部等に滑動部材等を設けてもよい。
【0032】
位置調節手段24は、
図7に示すように、本実施形態においては、他方の躯体4や地震時に他方の躯体4と同調して揺れ動く水切りカバー等に一端部が固定され、他端部が他方のパネル部材23cに接続され、他方のパネル部材23cを常時他方の躯体4の壁面4aに当接するように付勢する弾発部材としての付勢スプリング25と、前記他方のパネル部材23cと中間パネル部材23b、中間パネル部材23bと一方のパネル部材23a及び一方のパネル部材23aと端部カバー本体18もしくは一方の躯体3の壁面3aとをそれぞれ接続する所定長のワイヤー26とで構成されている。
【0033】
なお、位置調節手段24としては、他方のパネル部材23を付勢する付勢スプリング25と、他方のパネル部材23cと中間パネル部材23b、中間パネル部材23bと一方のパネル部材23a及び一方のパネル部材23aと端部カバー本体18がそれぞれ脱落しないように係止する係止片とから構成してもよい。
【0034】
また、パンタグラフ状のリンク部材を用い、リンク部材の枢支部とパネル部材23を接続して位置調節手段24としてもよい。
【0035】
ところで、端部カバー11は、通常状態において目地カバー7の前後方向の側面に当接するように、付勢スプリング等(図示せず)で付勢されている。
【0036】
この端部カバー11の下部には、左右方向に伸縮する壁面用目地装置9を設けている。この壁面用目地装置9は公知の壁面用目地装置を用いることができ、端部カバー11の前方側又は後方側の内壁面と所定の長さが略当接するように設けられている。すなわち、端部カバー11の下部側と壁面用目地装置9の上部側が面接触状態で略当接するように設けられている。
【0037】
なお、端部カバー11の前方側又は後方側の壁面とは伸縮パネル22の壁面も含むものである。本実施形態においては、端部カバー本体18の下端部側やパネル部材23の下端部側を略溝形鋼状に形成しているため、この略溝形鋼状に形成された部位が壁面用目地装置9と略当接する。
【0038】
上記構成において、地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が狭くなると、例えば
図8に示すように、目地カバー7が一方の躯体3側へ突出するようにスライド移動し、地震による揺れ動きを吸収する。この時伸縮パネル22は、パネル部材23の重なり幅が大きくなるように摺動し、揺れ動きを吸収する。
【0039】
一方、地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が広くなると、
図9に示すように、目地カバー7が他方の躯体4側へスライド移動し、地震による揺れ動きを吸収することができる。この時伸縮パネル22は、付勢スプリング25の付勢力によって他方のパネル部材23cが他方の躯体4の壁面4aに当接したまま、各パネル部材23の重なり幅が小さくなるように摺動し、揺れ動きを吸収する。
地震で左右の躯体3、4が異なる前後方向に揺れ動いた場合には、端部カバー11が壁面用目地装置9に押圧されることにより、ヒンジ部材10を支点に前後方向へ回転して地震による揺れ動きを吸収する。
【0040】
なお、パネル部材については入れ子構造となる下端部が略溝形鋼状のものについて説明したが、平板形状のパネル部材を複数個用いて切り欠き部を塞いでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は屋上用目地カバー装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0042】
1:屋上用目地カバー装置、 2:目地部、
3:一方の躯体、 4:他方の躯体、
5:パラペット、 6:水切りカバー、
7:目地カバー、 8:防水手段、
9:壁面用目地装置、 10:ヒンジ部材、
11:端部カバー、 12:水切りカバー取付具、
13:支持アーム、 14:側壁、
15:カバー片、 16:防水シート、
17:おもり、 18:端部カバー本体、
19:切り欠き部、 20:ガイド部、
21:滑動部材、 22:伸縮パネル、
23:パネル部材、 24:位置調節手段、
25:付勢スプリング、 26:ワイヤー。