IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミサワホーム株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-排水利用システム 図1
  • 特開-排水利用システム 図2
  • 特開-排水利用システム 図3
  • 特開-排水利用システム 図4
  • 特開-排水利用システム 図5
  • 特開-排水利用システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132015
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】排水利用システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04746 20160101AFI20240920BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20240920BHJP
【FI】
H01M8/04746
H01M8/04313
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042634
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 達
(72)【発明者】
【氏名】梅田 博之
(72)【発明者】
【氏名】太田 勇
(72)【発明者】
【氏名】大竹 正裕
(72)【発明者】
【氏名】水野 敬太
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 惇
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AB02
5H127AB23
5H127AC15
5H127BA02
5H127BA12
5H127BA13
5H127BA24
5H127BA33
5H127BB02
5H127BB18
5H127CC07
5H127DB86
5H127DB92
5H127DC87
5H127DC91
(57)【要約】
【課題】燃料電池からの排水を有効利用する。
【解決手段】燃料電池(燃料電池装置3)によって生成された水を利用する排水利用システム1であって、水を使用する設備機器4に燃料電池によって生成された水を供給するための給水ポンプ6と、制御部10と、を備え、制御部10は、所定条件が成立した場合に給水ポンプ6を制御して燃料電池によって生成された水を設備機器4に供給する。さらに、給水ポンプ6によって供給される水の供給先を第一設備機器(加湿器46)と第二設備機器(冷却装置47)との間で切り替えるための供給先切替部7を備え、制御部10は、所定条件のうちの第一使用条件が成立した場合に供給先切替部7及び給水ポンプ6を制御して燃料電池によって生成された水を第一設備機器に供給し、所定条件のうちの第二使用条件が成立した場合に供給先切替部7及び給水ポンプ6を制御して燃料電池によって生成された水を第二設備機器に供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池によって生成された水を利用する排水利用システムであって、
水を使用する設備機器に、前記燃料電池によって生成された水を供給するための給水ポンプと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、所定条件が成立した場合に、前記給水ポンプを制御して、前記燃料電池によって生成された水を前記設備機器に供給することを特徴とする排水利用システム。
【請求項2】
請求項1に記載の排水利用システムにおいて、
前記給水ポンプによって供給される水の供給先を、前記設備機器のうちの第一設備機器と第二設備機器との間で切り替えるための供給先切替部を備え、
前記所定条件には、前記第一設備機器の使用条件である第一使用条件と、前記第二設備機器の使用条件である第二使用条件と、があり、
前記制御部は、
前記第一使用条件が成立した場合に、前記供給先切替部及び前記給水ポンプを制御して、前記燃料電池によって生成された水を前記第一設備機器に供給し、
前記第二使用条件が成立した場合に、前記供給先切替部及び前記給水ポンプを制御して、前記燃料電池によって生成された水を前記第二設備機器に供給することを特徴とする排水利用システム。
【請求項3】
請求項2に記載の排水利用システムにおいて、
前記第一設備機器は、建物の屋内に設置された加湿器であり、
前記第二設備機器は、前記建物の屋外に設置された冷却装置であり、
前記第一使用条件及び前記第二使用条件のうち少なくとも一つは、気象情報に基づき成立したか否か判定可能な条件であることを特徴とする排水利用システム。
【請求項4】
請求項1に記載の排水利用システムにおいて、
前記燃料電池の排熱を利用して、前記給水ポンプによって前記設備機器に供給される水を加温することを特徴とする排水利用システム。
【請求項5】
請求項1に記載の排水利用システムにおいて、
前記制御部は、前記燃料電池によって生成された水を貯留するタンクの貯水量を表示部に表示することを特徴とする排水利用システム。
【請求項6】
請求項5に記載の排水利用システムにおいて、
前記制御部は、前記タンクの貯水量と、前記設備機器を1回使用した場合に消費する水の使用量と、を前記表示部に表示することを特徴とする排水利用システム。
【請求項7】
請求項1に記載の排水利用システムにおいて、
前記設備機器は、水を洗浄に使用する設備機器を少なくとも含むことを特徴とする排水利用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池からの排水を利用する排水利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料電池と、燃料電池の発電に伴って生成された水を貯留する貯水タンクと、を有する燃料電池ユニットが開示されている。この燃料電池ユニットでは、排水弁を閉じて水排出路を閉じることで、貯水タンクに水が貯留され、排水弁を開いて水排出路を開くことで、貯水タンクに貯留された水が外部へ排出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-009572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、燃料電池からの排水を、有効利用することが望まれている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、燃料電池からの排水を有効利用することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、例えば図1図6に示すように、燃料電池(燃料電池装置3)によって生成された水を利用する排水利用システム1であって、
水を使用する設備機器4に、前記燃料電池によって生成された水を供給するための給水ポンプ6と、
制御部10と、を備え、
前記制御部10は、所定条件が成立した場合に、前記給水ポンプ6を制御して、前記燃料電池によって生成された水を前記設備機器4に供給することを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、燃料電池によって生成された水(純水)が設備機器4で使用されるので、燃料電池からの排水を有効利用することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、例えば図1図2に示すように、請求項1に記載の排水利用システム1において、
前記給水ポンプ6によって供給される水の供給先を、前記設備機器4のうちの第一設備機器と第二設備機器との間で切り替えるための供給先切替部7を備え、
前記所定条件には、前記第一設備機器の使用条件である第一使用条件と、前記第二設備機器の使用条件である第二使用条件と、があり、
前記制御部10は、
前記第一使用条件が成立した場合に、前記供給先切替部7及び前記給水ポンプ6を制御して、前記燃料電池によって生成された水を前記第一設備機器に供給し、
前記第二使用条件が成立した場合に、前記供給先切替部7及び前記給水ポンプ6を制御して、前記燃料電池によって生成された水を前記第二設備機器に供給することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、第一使用条件が成立した場合には、燃料電池によって生成された水(純水)を第一設備機器で使用でき、第二使用条件が成立した場合には、燃料電池によって生成された水(純水)を第二設備機器で使用できるので、燃料電池からの排水を有効利用することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、例えば図1図2に示すように、請求項2に記載の排水利用システム1において、
前記第一設備機器は、建物2の屋内に設置された加湿器46であり、
前記第二設備機器は、前記建物2の屋外に設置された冷却装置47であり、
前記第一使用条件及び前記第二使用条件のうち少なくとも一つは、気象情報に基づき成立したか否か判定可能な条件であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、燃料電池によって生成された水(純水)の利用法を、気象情報に応じて変更できるので、燃料電池からの排水を有効利用することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、例えば図1図2図6に示すように、請求項1に記載の排水利用システム1において、
前記燃料電池(燃料電池装置3)の排熱を利用して、前記給水ポンプ6によって前記設備機器4に供給される水を加温することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、燃料電池からの排水だけでなく、燃料電池の排熱も有効利用することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、例えば図4に示すように、請求項1に記載の排水利用システム1において、
前記制御部10は、前記燃料電池によって生成された水を貯留するタンク5の貯水量を表示部(操作表示部11)に表示することを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、ユーザーは、表示部(操作表示部11)を見るだけでタンク5の貯水量を把握できるので、使い勝手が良い。また、燃料電池装置3によって生成された水を、タンク5に溜めておくことで、設備機器4に利用できるだけでなく、災害時に水資源として緊急利用することが可能となる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、例えば図4に示すように、請求項5に記載の排水利用システム1において、
前記制御部10は、前記タンク5の貯水量と、前記設備機器4を1回使用した場合に消費する水の使用量と、を前記表示部(操作表示部11)に表示することを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、ユーザーは、表示部(操作表示部11)を見るだけで、タンク5内の水を利用できるか否か、すなわち設備機器4の使用にあたって現時点におけるタンク5内の水で事足りるか否かを、把握することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、例えば図3図5に示すように、請求項1に記載の排水利用システム1において、
前記設備機器4は、水を洗浄に使用する設備機器を少なくとも含むことを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、燃料電池によって生成された水、すなわち純水を洗浄に使用できるので、効果的な洗浄が可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、燃料電池からの排水を有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態:排水利用システムの構成の一例を示す図である。
図2】第1実施形態:排水利用システムにおける動作の一例を示すフローチャートである。
図3】第2実施形態:排水利用システムの構成の一例を示す図である。
図4】第2実施形態:純水メーター確認画面の一例を示す図である。
図5】第2実施形態:排水利用システムにおける動作の一例を示すフローチャートである。
図6】第1変形例:排水利用システムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。ただし、本発明の範囲は以下に開示された実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で以下に開示の実施形態から設計変更された実施形態も本発明の範囲に含まれる。図面は例示のために提供されるため、本発明の範囲は図面の例示に限定されない。
【0022】
<第1実施形態>
排水利用システム1は、住宅等の建物2に設置された燃料電池装置3からの排水を、建物2において利用するためのシステムである。
第1実施形態の排水利用システム1は、例えば図1(a),(b)に示すように、燃料電池装置3と、建物2に設置された、水を使用する設備機器4と、燃料電池装置3からの排水を貯留するタンク5と、タンク5に貯留されている水を設備機器4に供給する給水ポンプ6と、給水ポンプ6によって供給する水の供給先を切り替える供給先切替部7と、燃料電池装置3からの排熱を回収して熱媒体を加熱する熱回収装置81と、熱回収装置81から供給された熱媒体の熱を、タンク5から設備機器4へ供給される水に放出する加熱部82と、熱回収装置81と加熱部82との間で熱媒体を循環させる循環ポンプ83と、制御部10と、操作表示部11と、を備えて構成されている。
【0023】
燃料電池装置3は、燃料電池(例えば家庭用燃料電池)を用いたコジェネレーションシステムであり、燃料ガスの化学エネルギーを電気エネルギーに変換する。燃料電池装置3が発生した電力は、建物2に供給される。
具体的には、燃料電池装置3は、例えば改質器及び燃料電池スタックを有し、改質器によって燃料ガスを水素に改質し、燃料電池スタックによって水素から電気エネルギーを生成する。あるいは、燃料電池装置3は、パイプラインや着脱自在な水素カートリッジから水素を直接供給するものでもよい。
燃料電池装置3で燃料ガスから電気エネルギーが生成される過程において、水(純水)が生じる。その水は、ドレン管を介して燃料電池装置3からタンク5へと移動する。
【0024】
給水ポンプ6は、タンク5内の水、すなわち燃料電池装置3によって生成された水(純水)を建物2へと送る送液ポンプである。
タンク5は、燃料電池装置3の発電によって生成された水(純水)を貯留する排水タンクである。タンク5には、当該タンク5に貯留されている水の量を検出する貯水量検出手段5aが設けられており、貯水量検出手段5aによる検出データは制御部10へ出力される。
【0025】
本実施形態のタンク5には、タンク5に貯留されている水の量を検出する貯水量検出手段5aに加えて、タンク5に貯留されている水を外部へ排出させるためのオーバーフロー手段5bが設けられている。
オーバーフロー手段5bは、例えば開閉弁であり、制御部10は、所定のタイミングでオーバーフロー手段5bを制御して、タンク5に貯留されている水の一部又は全部を、排水利用システム1外に排出する(設備機器4で使用しない)ようになっている。
【0026】
本実施形態の建物2には、水を使用する設備機器4として、加湿器46、冷却装置47等が設置されている。
加湿器46は、建物2の屋内に設置されている。
冷却装置47は、建物2の屋外に設置されている。冷却装置47は、供給された水の気化熱によって表面及び周囲の空気を冷却する冷却機能を具備するパッシブクーリング(例えばドリップルーバー)である。
【0027】
供給先切替部7は、例えば三方弁である。制御部10は、供給先切替部7を制御して、給水ポンプ6からの水を供給する供給先を、加湿器46(建物2の屋内)と冷却装置47(建物2の屋外)との間で切り替える。
【0028】
燃料電池装置3で燃料ガスから電気エネルギーが生成される過程において、熱が生じる。その熱(排熱)は、熱回収装置81によって回収されて、熱媒体に移動される。
加熱部82は、ラジエーター等のような熱交換器からなり、熱回収装置81から供給された熱媒体の熱を、供給先切替部7から加湿器46へと供給される水に放出する。すなわち、加熱部82は、供給先切替部7から加湿器46へと供給される水を加熱する。
【0029】
循環ポンプ83は、当該循環ポンプ83と熱回収装置81と加熱部82とを接続する配管内に充填されている熱媒体を、熱回収装置81と加熱部82との間で循環させる。すなわち、循環ポンプ83は、熱回収装置81で加熱された熱媒体を加熱部82へと送るとともに、加熱部82で冷却された熱媒体を熱回収装置81へと送る。
【0030】
制御部10は、例えば、CPU、記憶部(RAM、ROM、不揮発性メモリ、ハードディスクドライブ等)、通信ユニット、入出力インターフェース、信号処理回路、表示制御回路等を有するコンピューター(又はサーバー)であり、排水利用システム1における各部の動作を集中制御する。
【0031】
操作表示部11は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイと、当該ディスプレイと一体的に形成されたタッチパネルと、を備えており、制御部10から出力された表示制御信号に基づく画像を当該ディスプレイに表示するとともに、ユーザーからの操作入力を受け付けて、操作入力に応じた操作信号を制御部10へと出力する。
なお、本実施形態では、表示部と操作部とが一体になっているが、これに限られるものではない。すなわち、表示部と操作部とは別体であってもよい。
【0032】
本実施形態の排水利用システム1は、図示しない気象情報サーバーと通信ネットワークを介して接続されており、制御部10は、当該気象情報サーバーから、気象情報データを取得する。具体的には、気象情報サーバーは、例えば、ユーザー(建物2の居住者等)とは異なる外部の管理者である気象庁等(気象庁やその他気象情報団体)によって管理されるものであり、気象情報データは気象庁等が管理・発表する際にも利用されるものである。
【0033】
図2は、第1実施形態の排水利用システム1における動作の一例を示すフローチャートである。
制御部10は、貯水量検出手段5aからの検出データに基づいて、タンク5の貯水量が、予め定められた所定量以上であると判定した場合に(ステップS21;Yes)、気象情報サーバーから取得した気象情報データに基づいて、建物2がある地域における現在の気温が30度以上であるか否か判定する(ステップS22)。
【0034】
ステップS22で、現在の気温が30度以上であると判定した場合には(ステップS22;Yes)、制御部10は、供給先切替部7を制御して、タンク5に貯留されている水の供給先を冷却装置47へと切り替えるとともに(ステップS23)、給水ポンプ6を制御して給水ポンプ6の作動を開始する(ステップS24)。これにより、燃料電池装置3によって生成された水が、冷却装置47へと供給されて、建物2の屋外に設置されている冷却装置47周辺の空間が冷やされることとなる。
一方、ステップS22で、現在の気温が30度以上でないと判定した場合には(ステップS22;No)、制御部10は、気象情報サーバーから取得した気象情報データに基づいて、建物2がある地域における現在の湿度が40%未満であるか否か判定する(ステップS25)。
【0035】
ステップS25で、現在の湿度が40%未満であると判定した場合には(ステップS25;Yes)、制御部10は、供給先切替部7を制御して、タンク5に貯留されている水の供給先を加湿器46へと切り替えるとともに(ステップS26)、給水ポンプ6及び循環ポンプ83を制御して、給水ポンプ6及び循環ポンプ83の作動を開始する(ステップS27)。また、制御部10は、ステップS27において、熱回収装置81及び加熱部82を制御して、熱回収装置81及び加熱部82の作動も開始する。これにより、温水(燃料電池装置3からの排水を、燃料電池装置3からの排熱で加熱したもの)が、加湿器46へと供給されて、建物2の屋内が加湿されることとなる。
ここで、本実施形態の加湿器46は、スチーム式の加湿器であり、供給された水を加熱して沸騰させることによって、蒸気を発生する。したがって、加湿器46に供給する排水を、燃料電池装置3からの排熱で予め加熱しておくことで、加湿器46の消費電力を抑えることができる。
【0036】
ステップS24又はステップS27の処理が終了すると、制御部10は、貯水量検出手段5aからの検出データに基づいて、タンク5の貯水量が0(ゼロ)になったか否か判定する(ステップS28)。
ステップS28で、タンク5の貯水量が0(ゼロ)になっていないと判定した場合には(ステップS28;No)、ステップS28の処理を繰り返し行う。
【0037】
一方、ステップS28で、タンク5の貯水量が0(ゼロ)になったと判定した場合には(ステップS28;Yes)、ポンプ6,83を制御してポンプ6,83の作動を停止して(ステップS29)、本フローを終了する。
具体的には、ステップS29において、ステップS24を行った後にステップS28を経て当該ステップS29が行われている場合には、給水ポンプ6が制御されて給水ポンプ6の作動が停止される。
一方、ステップS27を行った後にステップS28を経て当該ステップS29が行われている場合には、給水ポンプ6及び循環ポンプ83が制御されて給水ポンプ6及び循環ポンプ83の作動が停止される。また、その際、熱回収装置81及び加熱部82も制御されて、熱回収装置81及び加熱部82の作動も停止される。
【0038】
また、ステップS25で、現在の湿度が40%未満でないと判定した場合には(ステップS25;No)、制御部10は、オーバーフロー手段5bを制御して、タンク5に貯留されている水の一部又は全部を排出して(ステップS30)、本フローを終了する。
タンク5内の水、すなわち燃料電池装置3によって生成された水は純水であり、塩素処理されていないため、長期保存に向かない。よって、本実施形態のように、タンク5内の水の量が所定量に達した場合であって、加湿器46にも冷却装置47にも使用されない場合に、タンク5内の水を排出することで、タンク5内の衛生を保つことがが可能となる。また、タンク5内の水の排出先を、例えば、夏場とそれ以外とで切り替えて、夏場は、タンク5から排出される水を打ち水として利用することも可能である。
【0039】
なお、制御部10がオーバーフロー手段5bを制御するタイミングは、タンク5の貯水量が所定量に達したタイミング(ステップS21;Yes)に限られない。例えば、タンク5の貯水量が、当該所定量(設備機器4の使用条件)とは異なる特定量に達した場合にオーバーフロー手段5bを制御してもよいし、あるいは、定期的に(所定の周期で)オーバーフロー手段5bを制御してもよい。
【0040】
<第2実施形態>
次に、図3図5を参照して本発明の第2実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上記の第1実施形態と共通する要素については共通の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0041】
第2実施形態の排水利用システム1は、例えば図3(a),(b)に示すように、燃料電池装置3と、建物2に設置された、水を使用する設備機器4と、燃料電池装置3からの排水を貯留するタンク5と、タンク5に貯留されている水を設備機器4に供給する給水ポンプ6と、制御部10と、操作表示部11と、を備えて構成されている。
【0042】
本実施形態の建物2には、水を使用する設備機器4として、トイレ41、洗濯機42、食器洗い機43、ミスト噴霧装置44等が設置されている。
なお、本実施形態の設備機器4は、建物2の屋内に設置される設備機器であるが、これに限られるものではない。設備機器4は、建物2用の設備機器であれば任意であり、例えば、建物2の屋外に設置されていてもよい。
【0043】
本実施形態の排水利用システム1は、設備機器4へ水を供給する供給元を切り替えるための供給元切替部9を備えている。具体的には、例えば、設備機器4に水を供給するための給水管は、当該給水管の入口側が供給元切替部9(例えば三方弁)を介して水道側とタンク5側とに分岐している。
そして、制御部10は、供給元切替部9を制御して、設備機器4へ水を供給する供給元を、水道とタンク5との間で切り替える。また、制御部10は、例えば設備機器4へ水を供給する供給元をタンク5側に切り替える際に、給水ポンプ6を制御して給水ポンプ6を作動させる。
【0044】
したがって、例えば、供給元がタンク5側となっているときにトイレ41の洗浄レバーが操作される(あるいは自動洗浄機能がONになる)と、タンク5内の水がトイレ41に供給されることとなる。
また、供給元がタンク5側となっているときに洗濯機42が運転を開始すると、タンク5内の水が洗濯機42に供給されることとなる。
また、供給元がタンク5側となっているときに食器洗い機43が運転を開始すると、タンク5内の水が食器洗い機43に供給されることとなる。
また、供給元がタンク5側となっているときにミスト噴霧装置44が運転を開始すると、タンク5内の水がミスト噴霧装置44に供給されるようになっている。ここで、ミスト噴霧装置44は、浴室内にミストを噴霧する装置である。
【0045】
タンク5内の水(すなわち燃料電池装置3からの排水)は純水であり、カルシウムイオンやマグネシウムイオンなどのミネラル分を含んでいない。
ミネラル分は、界面活性剤と結合してその活性を消失させる。よって、洗濯機42や食器洗い機43などのように、洗浄に洗剤を使用する設備機器4の場合は特に、水道水を利用する場合よりもタンク5内の水を利用した場合の方が、高い洗浄性が得られる。
また、浴室は水垢が特に気になる場所であるが、水垢の原因は水道水に含まれるミネラル分である。よって、浴室の使用後にミスト噴霧装置44を使用して、タンク5内の水(純水)をミスト化して噴霧することで、浴室内に付着しているミネラル分を洗い流すことができるので、水垢が発生しにくくなる。
【0046】
本実施形態においては、例えば、ユーザーが操作表示部11を操作して、純水メーター確認画面を表示するよう指示すると、制御部10は、例えば図4に示すように、操作表示部11に純水メーター確認画面を表示する。
純水メーター確認画面には、タンク5に設けられている貯水量検出手段5aからの検出データに基づき作成された、現在の貯水量を示す純水メーター画像G1が表示される。また、純水メーター画像G1に隣接して、設備機器4を1回使用したときに消費する水の使用量(例えば最大使用量)を示す可能ライン画像G2が表示される。
【0047】
なお、図4に示す例では、可能ライン画像G2として、設備機器4のうちの洗濯機42を1回使用したときに消費する水の使用量を示す「洗濯」可能ライン画像G21と、設備機器4のうちの食器洗い機43を1回使用したときに消費する水の使用量を示す「食洗」可能ライン画像G22と、が表示されているが、これに限られるものではない。例えば、可能ライン画像G2として、設備機器4のうちのトイレ41を1回使用したときに消費する水の使用量を示す「トイレ」可能ライン画像を表示することも可能であるし、設備機器4のうちのミスト噴霧装置44を1回使用したときに消費する水の使用量を示す「ミスト」可能ライン画像を表示することも可能である。
したがって、ユーザーは、純水メーター確認画像を見ることによって、タンク5内の水を利用できる設備機器4、すなわち、現時点におけるタンク5内の水で事足りる設備機器4を把握することができる。
【0048】
また、純水ユーザー確認画面には、「はい」ボタンB1と「いいえ」ボタンB2が表示されている。
ユーザーが操作表示部11を操作して、「はい」ボタンB1をタップすると、制御部10は、例えば、設備機器4へ水を供給する供給元をタンク5側へと切り替える。また、ユーザーが操作表示部11を操作して、「いいえ」ボタンB2をタップすると、制御部10は、例えば純水メーター確認画面の表示を終了する。
【0049】
図5は、第2実施形態の排水利用システム1における動作の一例を示すフローチャートである。
制御部10は、純水メーター確認画面の「はい」ボタンB1が操作(タップ)されたと判定した場合に(ステップS11;Yes)、供給元切替部9を制御して、設備機器4へ水を供給する供給元をタンク5側へと切り替えるとともに(ステップS12)、給水ポンプ6を制御して給水ポンプ6の作動を開始する(ステップS13)。なお、給水ポンプ6の作動を開始した後に、供給元をタンク5側へと切り替えてもよい。
【0050】
次いで、制御部10は、貯水量検出手段5aからの検出データに基づいて、タンク5の貯水量が減少したか否か判定する(ステップS14)。ステップS14では、例えば、タンク5に貯留されている水の減少量が、所定の設備機器4を1回使用したときに消費する水の使用量以上である場合に、タンク5の貯水量が減少したと判定する。
ステップS14で、タンク5の貯水量が減少していないと判定した場合(ステップS14;No)、すなわち、設備機器4が、まだ使用されていないと判定した場合には、ステップS14の処理を繰り返し行う。
【0051】
一方、ステップS14で、タンク5の貯水量が減少したと判定した場合(ステップS14;Yes)、すなわち、設備機器4が使用されて、タンク5内の水が利用されたと判定した場合には、給水ポンプ6を制御して給水ポンプ6の作動を停止するとともに(ステップS15)、供給元切替部9を制御して、設備機器4へ水を供給する供給元を水道側へと切り替えて(ステップS16)、本フローを終了する。なお、供給元を水道側へと切り替えた後に、給水ポンプ6の作動を停止してもよい。
【0052】
<効果>
上記の実施形態によれば、以下のような優れた効果を奏する。
具体的には、第1実施形態及び第2実施形態の排水利用システム1は、燃料電池(燃料電池装置3)によって生成された水を利用する排水利用システムであって、水を使用する設備機器4に、燃料電池によって生成された水を供給するための給水ポンプ6と、制御部10と、を備えており、制御部10は、所定条件が成立した場合に、給水ポンプ6を制御して、燃料電池によって生成された水を設備機器4に供給する。
したがって、燃料電池(燃料電池装置3)によって生成された水(純水)が設備機器4で使用されるので、燃料電池からの排水を有効利用することができる。
【0053】
なお、第2実施形態における「所定条件が成立した場合」は、純水メーター確認画面の「はい」ボタンB1が操作された場合であるが、これに限られるものではない。例えば、タンク5の貯水量が予め定められた所定量に達した場合に、所定条件が成立したと判定して、燃料電池によって生成された水を設備機器4へ供給するようにしてもよい。
また、設備機器4の種類毎に、所定条件を異ならせてもよい。具体的には、例えば、ミスト噴霧装置44に燃料電池によって生成された水を供給するための条件は、建物2における消費電力が低下した(みんなが寝静まった)という条件であってもよい。具体的には、例えば、制御部10は、建物2における消費電力を監視して、消費電力が所定の閾値を下回った場合に、給水ポンプ6やミスト噴霧装置44を制御して、燃料電池によって生成された水をミスト化して噴霧し、浴室内に付着しているミネラル分を洗い流すようにしてもよい。また、ミスト噴霧装置44に燃料電池によって生成された水を供給するための条件は、所定の時間(例えばユーザーが予め指定した時間)になったという条件であってもよい。
【0054】
また、第2実施形態の排水利用システム1において、制御部10は、燃料電池(燃料電池装置3)によって生成された水を貯留するタンク5の貯水量を表示部(操作表示部11)に表示することが可能である。
このように構成することによって、ユーザーは、タンク5まで確認しに行かなくても、表示部(操作表示部11)を見るだけで、タンク5の貯水量を把握できるので、使い勝手が良い。また、燃料電池装置3によって生成された水を、タンク5に溜めておくことで、設備機器4に利用できるだけでなく、災害時に水資源として緊急利用することが可能となる。
【0055】
また、第2実施形態の排水利用システム1において、制御部10は、タンク5の貯水量と、設備機器4を1回使用した場合に消費する水の使用量と、を表示部(操作表示部11)に表示することが可能である。
このように構成することによって、ユーザーは、表示部(操作表示部11)を見るだけで、タンク5内の水を利用できるか否か、すなわち設備機器4の使用にあたって現時点におけるタンク5内の水で事足りるか否かを、把握することができる。
なお、図4に示す例では、タンク5の貯水量と、水の使用量と、が表示されているが、これに限られるものではなく、少なくともタンク5の貯水量が表示されればよい。
【0056】
また、第2実施形態の排水利用システム1において、設備機器4は、水を洗浄に使用する設備機器である。
このように構成することによって、燃料電池(燃料電池装置3)によって生成された水、すなわち純水を洗浄に使用できるので、効果的な洗浄が可能となる。
【0057】
なお、第2実施形態では、設備機器4(水を洗浄に使用する設備機器)として、トイレ41、洗濯機42、食器洗い機43、ミスト噴霧装置44を用いたが、これに限られるものではない。
また、第2実施形態の設備機器4は、水を洗浄に使用する設備機器に限られるものではない。すなわち、第2実施形態の設備機器4は、水を洗浄に使用する設備機器であってもよいし、水を洗浄に使用しない設備機器であってもよい。また、第2実施形態において複数の設備機器4を用いる場合には、複数の設備機器4のうち、一部が水を洗浄に使用する設備機器であり、残りが水を洗浄に使用しない設備機器であってもよい。
また、第2実施形態で用いる設備機器4は、複数の設備機器ではなく、一の設備機器であってもよい。
【0058】
また、第1実施形態において、排水利用システム1は、給水ポンプ6によって供給される水の供給先を、設備機器のうちの第一設備機器(加湿器46)と第二設備機器(冷却装置47)との間で切り替えるための供給先切替部7を備えている。そして、所定条件には、第一設備機器の使用条件である第一使用条件と、第二設備機器の使用条件である第二使用条件と、があり、制御部10は、第一使用条件が成立した場合に、供給先切替部7及び給水ポンプ6を制御して、燃料電池(燃料電池装置3)によって生成された水を第一設備機器に供給し、第二使用条件が成立した場合に、供給先切替部7及び給水ポンプ6を制御して、燃料電池(燃料電池装置3)によって生成された水を第二設備機器に供給することが可能である。
【0059】
このように構成することによって、第一使用条件が成立した場合には、燃料電池によって生成された水(純水)を第一設備機器で使用でき、第二使用条件が成立した場合には、燃料電池によって生成された水(純水)を第二設備機器で使用できるので、燃料電池からの排水を有効利用することができる。
【0060】
また、第1実施形態の排水利用システム1において、第一設備機器は、建物2の屋内に設置された加湿器46であり、第二設備機器は、建物2の屋外に設置された冷却装置47であり、第一使用条件及び第二使用条件のうち少なくとも一つを、気象情報(気象情報データ)に基づき成立したか否か判定可能な条件とすることが可能である。
【0061】
このように構成することによって、燃料電池によって生成された水(純水)の利用法を、気象情報に応じて変更できるので、燃料電池からの排水を有効利用することができる。
また、加湿器内は水垢が特に気になる場所であるが、水垢の原因は水道水に含まれるミネラル分である。よって、加湿器46で使用する水として、燃料電池によって生成された水(純水)を用いることで、加湿器46内に水垢が付着しなくなり、好適である。
また、ドリップルーバー等の冷却装置47の表面は、人目に付く箇所であるので、水垢が特に気になる箇所であるが、冷却装置47で使用する水として、燃料電池によって生成された水(純水)を用いることで、冷却装置47に水垢が付着しなくなり、好適である。
【0062】
なお、第1実施形態の設備機器4は、建物2の屋内に設置された加湿器46と、建物2の屋外に設置された冷却装置47と、に限られるものではない。
すなわち、第一設備機器は、加湿器46に限られるものではない。また、第一設備機器は、建物2の屋内に設置された設備機器に限られるものではない。
また、第二設備機器は、冷却装置47に限られるものではない。また、第二設備機器は、建物2の屋外に設置された設備機器に限られるものではない。
【0063】
また、第1実施形態の排水利用システム1は、燃料電池(燃料電池装置3)の排熱を利用して、給水ポンプ6によって設備機器4(加湿器46)に供給される水を加温することが可能である。
このように構成することによって、燃料電池からの排水だけでなく、燃料電池の排熱も有効利用することができる。
【0064】
なお、図6に示すように、燃料電池(燃料電池装置3)によって生成された水をタンク5に溜めずに、すぐに加熱して加湿器46に供給するようにしてもよい。
また、加熱部82によって水蒸気を発生させてもよい。すなわち、給水ポンプ6から設備機器4へと供給される水(燃料電池装置3によって生成された水)を、加熱部82で加熱することで蒸気化して、すぐに建物2内へと放出するようにしてもよい。この場合、水蒸気を建物2内に放出する放出口が、設備機器4となる。
また、排熱を利用して加温(加熱)された排水の供給先は、加湿器46に限られるものではなく、その他の設備機器4(例えば給湯設備)でもよい。また、第2実施形態の設備機器4に、排熱を利用して加温(加熱)された排水を供給してもよい。
【0065】
また、第1実施形態において、制御部10は、外部サーバー(気象情報サーバー)から取得した気象情報データを用いて、現在の湿度が40%未満であるか否か判定するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、建物2の屋内に設置した湿度計からのデータを気象情報とし、当該気象情報(湿度計からのデータ)を用いて、現在の湿度が40%未満であるか否か判定するようにしてもよい。
また、第1実施形態において、制御部10は、外部サーバー(気象情報サーバー)から取得した気象情報データを用いて、現在の気温が30度以上であるか否か判定するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、建物2の屋外に設置した温度計からのデータを気象情報とし、当該気象情報(温度計からのデータ)を用いて、現在の気温が30度以上であるか否か判定するようにしてもよい。
【0066】
また、第1実施形態における「所定条件が成立した場合」のうち「第一使用条件が成立した場合」は、タンク5の貯水量が所定量に達していることと、現在の湿度が40%未満であることと、の両方を満たしている場合であるが、これに限られるものではない。例えば、タンク5の貯水量が所定量に達していることと、現在の湿度が40%未満であることと、のうち一方を満たしている場合に、第一使用条件が成立してもよい。あるいは、例えば、現在が冬場(例えば冬至から春分までの期間)である場合に、第一使用条件が成立してもよいし、ユーザーが操作表示部11において所定の操作を行った場合に、第一使用条件が成立してもよい。
【0067】
また、第1実施形態における「所定条件が成立した場合」のうち「第二使用条件が成立した場合」は、タンク5の貯水量が所定量に達していることと、現在の気温が30度以上であることと、の両方を満たしている場合であるが、これに限られるものではない。例えば、タンク5の貯水量が所定量に達していることと、現在の気温が30度以上であることと、のうち一方を満たしている場合に、第二使用条件が成立してもよい。あるいは、例えば、現在が夏場(例えば夏至から秋分までの期間)である場合に、第二使用条件が成立してもよいし、ユーザーが操作表示部11において所定の操作を行った場合に、第二使用条件が成立してもよい。
すなわち、第一使用条件及び第二使用条件は、気象情報(気温や湿度など)に基づき成立したか判定可能な条件でなくてもよい。
【0068】
第2実施形態における設備機器4は、トイレ41、洗濯機42、食器洗い機43、ミスト噴霧装置44に限られるものではなく、例えば、加湿器46、冷却装置47等であってもよい。
また、第1実施形態における設備機器4(第一設備機器、第二設備機器)は、加湿器46、冷却装置47に限られるものではなく、例えば、トイレ41、洗濯機42、食器洗い機43、ミスト噴霧装置44等であってもよい。また、第一設備機器は、一の設備機器4ではなく、複数の設備機器4であってもよい。また、第二設備機器は、一の設備機器4ではなく、複数の設備機器4であってもよい。
【0069】
例えば、第1実施形態において、加湿器46の使用条件を満たさない場合であり、かつ、冷却装置47の使用条件を満たさない場合には、加湿器46及び冷却装置47以外の設備機器4で、燃料電池によって生成された水を使用するようにしてもよい。すなわち、タンク5の貯水量が所定量以上であるが(ステップS21;Yes)、気温が30度以上でなく(ステップS22;No)、湿度が40%未満でもない(ステップS25;No)場合には、ステップS30の処理を行う代わりに、タンク5内の水を、トイレ41、洗濯機42、食器洗い機43、ミスト噴霧装置44等で使用できるように、供給先切替部7(この場合は、例えば四方弁)を切り替えるようにしてもよい。
【0070】
また、第1実施形態及び第2実施形態における設備機器4は、トイレ41、洗濯機42、食器洗い機43、ミスト噴霧装置44、加湿器46、冷却装置47以外のその他の設備機器4であってもよい。その他の設備機器4としては、例えば、前述した給湯設備であってもよいし、シャワーヘッド等のファインバブル発生装置であってもよいし、建物2の外壁を洗浄する洗浄装置であってもよいし、建物2の屋外に設置されている散水栓や立水栓であってもよい。
また、キッチン用の水栓や洗面台用の水栓として、燃料電池によって生成された水専用の水栓(設備機器4)を設けてもよい。その場合、燃料電池によって生成された水専用の水栓の蛇口に、洗剤を充填できるようにしておき、燃料電池によって生成された水が、洗剤を含む水として蛇口から出てくるようにしてもよい。また、キッチン用の水栓や洗面台用の水栓として、蛇口から出てくる水を、例えば、水道水と、浄水(浄水器を通過した水道水)と、洗剤を含む純水(燃料電池によって生成された水に、洗剤を添加したもの)と、の間で切り替えることができる水栓(設備機器4)を設けてもよい。
【0071】
また、第1実施形態と第2実施形態を組み合わせてもよい。
具体的には、例えば、第2実施形態の排水利用システム1に、供給先切替部7を設けて、給水ポンプ6によって供給される水の供給先を、複数の設備機器4の間で切り替えるようにしてもよい。
また、第2実施形態の排水利用システム1に、オーバーフロー手段5bを設けて、所定のタイミングで、タンク5の貯留されている水の一部又は全部を、排水利用システム1外に排出する(設備機器4で使用しない)ようにしてもよい。
また、例えば、第1実施形態の排水利用システム1に、供給元切替部9を設けて、設備機器4へ水を供給する供給元を、水道とタンク5との間で切り替えるようにしてもよい。
また、第1実施形態の排水利用システム1において、操作表示部11に、タンク5の貯水量(及び設備機器4を1回使用した場合に消費する水の使用量)等を表示可能としてもよい。
【0072】
また、供給元切替部9は、純水(燃料電池によって生成された水)と水道水とを混ぜた混合水を、設備機器4へ供給できるものであってもよい。すなわち、第2実施形態の供給元切替部9は、純水と水道水の割合が、純水:水道水=100:0の水又は純水:水道水=0:100の水を設備機器4へ供給するが、これに限られるものではなく、例えば、純水:水道水=n:100-n(0≦n≦100)の水を設備機器4へ供給できるものであってもよい。また、その際、純水の割合を、例えばタンク5の貯水量に応じて調整できるようにしてもよい。
【0073】
近年、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)が求められており、建築業界においても、建物を二酸化炭素排出量の少ない木造とする取り組みが進められている。第1実施形態及び第2実施形態の排水利用システム1では、エネルギー変換装置(燃料電池装置3)からの排水を、水を使用する設備機器4で利用できるので、水道水の使用量を抑えることができる。よって、排水利用システム1は、カーボンニュートラルの推進と脱炭素社会の実現と持続可能な開発目標の達成とに貢献できる。
【符号の説明】
【0074】
1 排水利用システム
2 建物
3 燃料電池装置(燃料電池)
4 設備機器
5 タンク
6 給水ポンプ
7 供給先切替部
10 制御部
11 操作表示部(表示部)
46 加湿器(第一設備機器)
47 冷却装置(第二設備機器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6