(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132017
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】無線装置、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 48/14 20090101AFI20240920BHJP
H04W 56/00 20090101ALI20240920BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20240920BHJP
H04W 48/16 20090101ALI20240920BHJP
【FI】
H04W48/14
H04W56/00 130
H04W84/12
H04W48/16 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042636
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】390040187
【氏名又は名称】株式会社バッファロー
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷川 昌也
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA25
5K067CC02
5K067DD25
5K067DD34
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】無線通信の相互接続性の向上を図ること。
【解決手段】アクセスポイント10は、通信用無線I/F14と、ビーコン用無線I/F15と、を備える無線装置である。ビーコン用無線I/F15は、所定のチャンネルで動作する。ビーコン用無線I/F15は、無線端末20から所定のチャンネルへの接続要求があった場合、通信用無線I/F14が動作しているチャンネルへ接続先を変更することを指示する制御信号を無線端末20へ送信する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線インターフェースと、
所定のチャンネルで動作する第2無線インターフェースと、
を備え、
前記第2無線インターフェースは、無線端末から前記所定のチャンネルへの接続要求があった場合、前記第1無線インターフェースが動作しているチャンネルへ接続先を変更することを指示する制御信号を前記無線端末へ送信する、
無線装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線装置であって、
前記第2無線インターフェースは、前記所定のチャンネルで制御用信号のみを定期的に送信する、
無線装置。
【請求項3】
請求項1に記載の無線装置であって、
前記所定のチャンネルは、前記第1無線インターフェースが動作しているチャンネルと同一の周波数帯域に含まれる、
無線装置。
【請求項4】
請求項3に記載の無線装置であって、
前記所定のチャンネルは、前記周波数帯域における、無線端末が優先的にスキャンを行うチャンネルである、
無線装置。
【請求項5】
請求項3に記載の無線装置であって、
前記所定のチャンネルは、前記周波数帯域における、前記第1無線インターフェースが動作しているチャンネルと隣接しないチャンネルである、
無線装置。
【請求項6】
請求項1に記載の無線装置であって、
前記所定のチャンネルはPSC(Preferred Scanning Channel)である、
無線装置。
【請求項7】
請求項1に記載の無線装置であって、
前記第2無線インターフェースは、前記第1無線インターフェースが前記所定のチャンネルで動作している場合に停止する、
無線装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の無線装置であって、
前記無線端末とネットワークの間のデータ通信の中継を行うアクセスポイントであり、
前記第1無線インターフェースによって前記中継を行い、
前記第2無線インターフェースによって前記中継を行わない、
無線装置。
【請求項9】
第1無線インターフェースと、所定のチャンネルで動作する第2無線インターフェースと、を備える無線装置の制御方法であって、
前記無線装置のプロセッサが、
無線端末から前記所定のチャンネルへの接続要求があった場合、前記第1無線インターフェースが動作しているチャンネルへ接続先を変更することを指示する制御信号を前記第2無線インターフェースから前記無線端末へ送信させる、
制御方法。
【請求項10】
第1無線インターフェースと、所定のチャンネルで動作する第2無線インターフェースと、を備える無線装置の制御プログラムであって、
前記無線装置のプロセッサに、
無線端末から前記所定のチャンネルへの接続要求があった場合、前記第1無線インターフェースが動作しているチャンネルへ接続先を変更することを指示する制御信号を前記第2無線インターフェースから前記無線端末へ送信させる、
処理を実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線装置、制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(Local area network)において、従来の2.4GHz及び5GHzの周波数帯域に加えて、高速かつ安定した6GHzの周波数帯域を用いるWi-Fi 6E(登録商標)が知られている。
【0003】
Wi-Fi 6Eにおいては、6GHzのチャンネル数が多く、無線LANの子機が全チャンネルをスキャンすると時間がかかるため、6GHzの一部のチャンネルがPSC(Preferred Scanning Channel)として設定され、無線LANの子機は6GHzにおいてPSCのみをスキャンするという仕様が策定されている。
【0004】
無線LANの子機が6GHzにおいてPSCのみをスキャンする仕様においては、無線LANの子機が、6GHzのチャンネルのうちPSC以外のチャンネルのみで動作しているアクセスポイントを検出できず無線接続できない問題がある。この問題の対策として、6GHzで通信を行うアクセスポイントが2.4GHz又は5GHzのビーコンに6GHzのチャンネル番号を付与して送信するOut-of-band discoveryという仕組みがある(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“The Off-Road Trail to 6 GHz AP Discovery”、Extreme、[online]、[令和5年3月1日検索]、インターネット<URL:https://www.extremenetworks.com/extreme-networks-blog/the-off-road-trail-to-6-ghz-ap-discovery/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えばユーザ設定によりアクセスポイントが使用する周波数帯域が6GHzに限定されていたり、アクセスポイントが6GHz専用の無線装置であったりすることにより、アクセスポイントが6GHzのみで動作している場合には、アクセスポイントが2.4GHz又は5GHzのビーコンに6GHzのチャンネル番号を付与して送信するOut-of-band discoveryの仕組みを利用することができない。この場合はやはり、無線LANの子機が、6GHzのチャンネルのうちPSC以外のチャンネルのみで動作しているアクセスポイントを検出できず接続できない。
【0007】
本発明は、無線通信の相互接続性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示された無線装置は、第1無線インターフェースと、所定のチャンネルで動作する第2無線インターフェースと、を備え、前記第2無線インターフェースは、無線端末から前記所定のチャンネルへの接続要求があった場合、前記第1無線インターフェースが動作しているチャンネルへ接続先を変更することを指示する制御信号を前記無線端末へ送信する、ものである。
【0009】
開示された制御方法は、第1無線インターフェースと、所定のチャンネルで動作する第2無線インターフェースと、を備える無線装置の制御方法であって、前記無線装置のプロセッサが、無線端末から前記所定のチャンネルへの接続要求があった場合、前記第1無線インターフェースが動作しているチャンネルへ接続先を変更することを指示する制御信号を前記第2無線インターフェースから前記無線端末へ送信させる、ものである。
【0010】
開示された制御プログラムは、第1無線インターフェースと、所定のチャンネルで動作する第2無線インターフェースと、を備える無線装置の制御プログラムであって、前記無線装置のプロセッサに、無線端末から前記所定のチャンネルへの接続要求があった場合、前記第1無線インターフェースが動作しているチャンネルへ接続先を変更することを指示する制御信号を前記第2無線インターフェースから前記無線端末へ送信させる、処理を実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、無線通信の相互接続性の向上を図ることのできる無線装置、制御方法、及び制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態であるアクセスポイント10の構成を示す図である。
【
図2】無線端末の一例である無線端末20の構成を示す図である。
【
図3】6GHzの周波数帯域の各チャンネルの一例を示す図である。
【
図4】アクセスポイント10の動作の一例を示す図である。
【
図5】アクセスポイント10のプロセッサ11による処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】アクセスポイント10及び無線端末20の動作例1の一例を示すシーケンス図である。
【
図7】アクセスポイント10及び無線端末20の動作例2の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
(実施の形態)
<アクセスポイント10の構成>
図1は、本発明の一実施形態であるアクセスポイント10の構成を示す図である。
図1に示すアクセスポイント10は、Wi-Fi 6E等の無線LANのアクセスポイントであり、本発明の無線装置の一例である。
【0015】
アクセスポイント10は、プロセッサ11と、メインメモリ12と、補助メモリ13と、通信用無線I/F14と、ビーコン用無線I/F15と、有線I/F16,17と、を備える。
【0016】
プロセッサ11は、信号処理を行う回路であり、例えばアクセスポイント10の全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)である。なお、プロセッサ11は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やDSP(Digital Signal Processor)などの他のデジタル回路により実現されてもよい。また、プロセッサ11は、複数のデジタル回路を組み合わせて実現されてもよい。
【0017】
メインメモリ12は、例えばRAM(Random Access Memory)である。メインメモリ12は、プロセッサ11のワークエリアとして使用される。補助メモリ13は、例えば磁気ディスク、光ディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。補助メモリ13には、アクセスポイント10を動作させる各種のプログラムが記憶されている。補助メモリ13に記憶されたプログラムは、メインメモリ12にロードされてプロセッサ11によって実行される。
【0018】
通信用無線I/F14は、無線端末との間で無線通信を行う通信インターフェースである。通信用無線I/F14は、ユーザの設定により、あるいはアクセスポイント10の仕様により、6GHzの周波数帯域のみを使用して無線通信を行う。通信用無線I/F14は、第1無線インターフェースの一例である。
【0019】
ビーコン用無線I/F15は、無線端末へ無線信号を送信する通信インターフェースである。ビーコン用無線I/F15は、6GHzの周波数帯域でビーコン信号等の制御用信号の無線送信が可能である。ビーコン用無線I/F15は、無線端末との高速データ通信を行わないため、通信用無線I/F14よりも簡易的な(例えばアンテナの数が少ない)通信インターフェースであってもよい。ビーコン用無線I/F15は、第2無線インターフェースの一例である。
【0020】
有線I/F16は、インターネット等のWAN(Wide Area Network)に接続し、WANを介して他の通信装置との通信を行う。有線I/F17は、有線LANを構成し、LANを介して他の通信装置との通信を行う。
【0021】
例えば、アクセスポイント10は、ビーコン用無線I/F15により無線端末と通信を行い、有線I/F16によりWAN側の通信装置と通信を行うことで、無線端末とWAN側の通信装置との間のデータ通信を中継する。すなわち、アクセスポイント10は、無線端末とネットワーク(WAN側の通信装置)の間のデータ通信の中継を通信用無線I/F14によって行う。また、アクセスポイント10は、無線端末とネットワークの間のデータ通信の中継を、ビーコン用無線I/F15によっては行わない。
【0022】
また、アクセスポイント10は、有線I/F17によりLAN側の通信端末と通信を行い、有線I/F16によりWAN側の通信装置と通信を行うことで、LAN側の通信端末とWAN側の通信装置との間のデータ通信を中継する。
【0023】
<無線端末20の構成>
図2は、無線端末の一例である無線端末20の構成を示す図である。
図2に示す無線端末20は、Wi-Fi 6E等の無線LANの無線通信に対応した無線端末である。
【0024】
無線端末20は、プロセッサ21と、メインメモリ22と、補助メモリ23と、通信用無線I/F24と、を備える。
【0025】
プロセッサ21は、信号処理を行う回路であり、例えば無線端末20の全体の制御を司るCPUである。なお、プロセッサ21は、FPGAやDSPなどの他のデジタル回路により実現されてもよい。また、プロセッサ21は、複数のデジタル回路を組み合わせて実現されてもよい。
【0026】
メインメモリ22は、例えばRAMである。メインメモリ22は、プロセッサ21のワークエリアとして使用される。補助メモリ23は、例えば磁気ディスク、光ディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。補助メモリ23には、無線端末20を動作させる各種のプログラムが記憶されている。補助メモリ23に記憶されたプログラムは、メインメモリ22にロードされてプロセッサ21によって実行される。
【0027】
通信用無線I/F24は、無線端末との間で無線通信を行う通信インターフェースである。通信用無線I/F24は、少なくとも6GHzの周波数帯域を使用して無線通信を行うことが可能である。また、通信用無線I/F24は、6GHzに加えて2.4GHz又は5GHzの周波数帯域を使用して無線通信を行うことが可能であってもよい。
【0028】
<6GHzの周波数帯域の各チャンネル>
図3は、6GHzの周波数帯域の各チャンネルの一例を示す図である。
図3の周波数帯域30は、6GHzの周波数帯域であり、例えば5925MHz~6425MHz(500MHz幅)の周波数帯域である。周波数帯域30には多数のチャンネル(…、195ch、…、275ch、…)が設定される。このうち、例えば斜線を付した一部のチャンネル(195ch、211ch、227ch、259ch、275ch、…)がPSCとして設定されているとする。PSCは、本発明における所定のチャンネルの一例である。
【0029】
また、アクセスポイント10は、通信用無線I/F14を用いて、例えば非PSCの263chでデータ通信を行う。無線端末20は、6GHzでアクセスポイント10に無線接続する際に、PSCである195ch、211ch、227ch、259ch、275ch、…を優先的にスキャンする。
【0030】
<アクセスポイント10の動作>
図4は、アクセスポイント10の動作の一例を示す図である。
図4においては、
図1に示したアクセスポイント10の構成のうちプロセッサ11、通信用無線I/F14、及びビーコン用無線I/F15のみを図示している。
【0031】
通信用無線I/F14は、非PSCである263chで動作している。例えば、通信用無線I/F14は、263chで定期的(例えば100ミリ秒毎)にビーコンを送信する。また、通信用無線I/F14は、送信したビーコンに基づいて無線端末(例えば無線端末20)が接続要求信号を送信してきた場合、その無線端末との間で無線接続を行ってデータ通信を行う。
【0032】
ビーコン用無線I/F15は、PSCである195chで動作している。例えば、ビーコン用無線I/F15は、195chで定期的(例えば100ミリ秒毎)にビーコンを送信する。また、ビーコン用無線I/F15は、送信したビーコンに基づいて無線端末(例えば無線端末20)がビーコン用無線I/F15に接続要求信号を送信してきた場合、通信用無線I/F14が動作しているチャンネルへ接続先を変更することを指示するチャンネル切替指示(制御信号)をその無線端末へ送信する。
【0033】
図4の例では、無線端末20がPSCをスキャンしたことにより195chのビーコンを受信し、アクセスポイント10に対して195chでの接続要求を送信する。これに対して、アクセスポイント10は、通信用無線I/F14が動作している263chへ接続先を変更することを指示するチャンネル切替指示を制御信号としてビーコン用無線I/F15から無線端末20へ送信する。チャンネル切替指示には、チャンネル切替指示に関する情報が含まれる。
【0034】
無線端末20は、このチャンネル切替指示に基づいて、アクセスポイント10に対して263chでの接続要求を送信する。これに対して、アクセスポイント10は、通信用無線I/F14により、263chで無線端末20との無線接続を行い、無線端末20との間のデータ通信を行う。
【0035】
このように、 ビーコン用無線I/F15は、6GHzのPSCでビーコン(制御用信号)のみを定期的に送信し、データ通信は行わない。なお、ビーコン用無線I/F15は、定期的に送信する信号としてはビーコン(制御用信号)のみを送信するが、不定期に、上記のチャンネル切替指示等の制御用信号を送信する。
【0036】
<アクセスポイント10のプロセッサ11による処理>
図5は、アクセスポイント10のプロセッサ11による処理の一例を示すフローチャートである。まず、プロセッサ11は、通信用無線I/F14が使用する通信用のチャンネルを選択する(ステップS11)。例えば、プロセッサ11は、予め行われた設定に基づいて、又はユーザからの指示に基づいて、6GHzの各チャンネルの中から通信用のチャンネルを選択する。
【0037】
次に、プロセッサ11は、通信用無線I/F14の動作チャンネルを、ステップS11によって選択したチャンネルに設定する(ステップS12)。次に、プロセッサ11は、ステップS12によって設定した動作チャンネルにより、通信用無線I/F14からのビーコンの送信を開始する制御を行う(ステップS13)。
【0038】
次に、プロセッサ11は、ステップS11によって選択した通信用のチャンネルがPSCか否かを判断する(ステップS14)。チャンネルがPSCである場合(ステップS14:Yes)は、プロセッサ11は、ビーコン用無線I/F15の動作を停止させる制御を行い(ステップS15)、ステップS19へ移行する。ビーコン用無線I/F15の動作の停止とは、例えばビーコン用無線I/F15が無線信号の送受信を行わない状態であり、一例としてはビーコン用無線I/F15に電源が供給されない状態である。なお、ビーコン用無線I/F15の動作が既に停止した状態である場合は、プロセッサ11はステップS15をスキップしてステップS19へ移行する。
【0039】
ステップS14において、チャンネルがPSCでない場合(ステップS14:No)は、プロセッサ11は、PSCの中から、ビーコン用無線I/F15が使用するビーコン用のチャンネルを選択する(ステップS16)。例えば、プロセッサ11は、予め行われた設定に基づいて、又はユーザからの指示に基づいて、PSCの中からビーコン用のチャンネルを選択する。
【0040】
次に、プロセッサ11は、ビーコン用無線I/F15の動作チャンネルを、ステップS16によって選択したチャンネルに設定する(ステップS17)。次に、プロセッサ11は、ステップS16によって設定した動作チャンネルにより、ビーコン用無線I/F15からのビーコンの送信を開始する制御を行う(ステップS18)。
【0041】
次に、プロセッサ11は、ビーコン用無線I/F15で無線端末(例えば無線端末20)からの接続要求信号を受信したか否かを判断する(ステップS19)。ビーコン用無線I/F15で接続要求信号を受信した場合(ステップS19:Yes)は、プロセッサ11は、ビーコン用無線I/F15により、通信用無線I/F14の動作チャンネルへの接続先の切り替えを指示するチャンネル切替指示信号を、接続要求信号の送信元の無線端末へ送信し(ステップS20)、ステップS19へ戻る。
【0042】
チャンネル切替指示信号は、例えば、IEEE 802.11に含まれる802.11k規格や802.11v規格のフレーム、あるいはCSA(Channel Switch Announcement)のフレームを用いて送信することができる。
【0043】
ステップS19において、ビーコン用無線I/F15で接続要求信号を受信していない場合(ステップS19:No)は、プロセッサ11は、通信用無線I/F14で無線端末(例えば無線端末20)からの接続要求信号を受信したか否かを判断する(ステップS21)。通信用無線I/F14で接続要求信号を受信した場合(ステップS21:Yes)は、プロセッサ11は、通信用無線I/F14により、接続要求信号の送信元の無線端末との間で無線接続する接続処理を行い(ステップS22)、ステップS19へ戻る。
【0044】
ステップS21において、通信用無線I/F14で接続要求信号を受信していない場合(ステップS21:No)は、プロセッサ11は、ステップS19へ戻る。
【0045】
<通信用のチャンネルに応じたビーコン用のチャンネルの選択>
ステップS16において、プロセッサ11は、6GHzのPSCの中から、通信用無線I/F14が動作している通信用のチャンネルと隣接しないチャンネルを、ビーコン用のチャンネルとして選択してもよい。これにより、通信用無線I/F14による無線通信と、ビーコン用無線I/F15によるビーコン等の無線送信と、の間の干渉を抑制することができる。
【0046】
なお、通信用のチャンネルと隣接しないチャンネルとは、通信用のチャンネルと間に1つ以上の他のチャンネルが存在するチャンネルである。すなわち、
図3に示したように、6GHzの周波数帯域30においては各チャンネルの中心周波数が離散的に(例えば一定間隔で)設定されており、通信用のチャンネルと隣接しないチャンネルとは、中心周波数が隣でない(間に1つ以上の他の中心周波数が存在する)チャンネルである。
【0047】
例えば、プロセッサ11は、6GHzのPSCのうち、通信用のチャンネルと最も離れた周波数のPSCをビーコン用のチャンネルとして選択する。一例として、通信用のチャンネルが263chである場合、プロセッサ11は、6GHzのPSCのうち、263chと最も離れた周波数のPSC(例えば195ch)をビーコン用のチャンネルとして選択する。
【0048】
<アクセスポイント10及び無線端末20の動作例1>
図6は、アクセスポイント10及び無線端末20の動作例1の一例を示すシーケンス図である。
図6の例では、アクセスポイント10が、通信用のチャンネルとして非PSCの263chを選択したとする。この場合、アクセスポイント10が、通信用無線I/F14により、263chでビーコンの送信を開始する(ステップS31)。このビーコンには、例えば263chのSSID(Service Set Identifier)等の、263chに対して接続要求信号を送信するための情報が含まれる。
【0049】
また、アクセスポイント10は、ビーコン用無線I/F15により、例えばPSCである195chでビーコンの送信を開始する(ステップS32)。このビーコンには、例えば195chのSSID等の、195chに対して接続要求信号を送信するための情報が含まれる。ステップS31,S32は、例えばアクセスポイント10の起動時に実行される。
【0050】
次に、無線端末20が、無線端末20に対するユーザ操作等に基づいて、無線接続画面を表示する(ステップS33)。次に、無線端末20は、無線接続が可能なチャンネルを検出するために、PSC(195ch、211ch、227ch、259ch、275ch、…)のスキャンを行う(ステップS34)。そして、無線端末20は、アクセスポイント10がビーコン用無線I/F15により195chで送信しているビーコンを受信する(ステップS35)。
【0051】
次に、無線端末20は、ステップS35によりビーコンを受信したチャンネルのSSIDを表示し、表示したSSIDの中から接続先のSSIDを受け付ける(ステップS36)。この例では、無線端末20は、ステップS35によって195chのビーコンを受信しているため、195chのSSIDを表示する。また、この例では、195chのSSIDが接続先として選択されたとする。
【0052】
次に、無線端末20は、195chへの接続を要求する接続要求信号を送信する(ステップS37)。次に、アクセスポイント10が、ステップS37によって受信した接続要求信号に応じて、通信用無線I/F14が動作している263chに接続先を切り替えることを指示するチャンネル切替指示信号をビーコン用無線I/F15により無線端末20へ送信する(ステップS38)。このチャンネル切替指示信号には、例えば263chのSSID等の、263chに関する情報が含まれる。
【0053】
次に、無線端末20は、ステップS38によって受信したチャンネル切替指示信号に応じて、接続先を195chから263chに切り替える(ステップS39)。次に、無線端末20は、263chへの接続を要求する接続要求信号を送信する(ステップS40)。次に、アクセスポイント10が、通信用無線I/F14により、無線端末20との間で263chで無線接続する接続処理を行う(ステップS41)。
【0054】
これにより、無線端末20は、263chでアクセスポイント10と無線接続した状態となり、アクセスポイント10の中継によりWAN側の通信装置との間のデータ通信が可能になる。
【0055】
<アクセスポイント10及び無線端末20の動作例2>
図7は、アクセスポイント10及び無線端末20の動作例2の一例を示すシーケンス図である。
図7の例では、アクセスポイント10が、通信用のチャンネルとしてPSCの211chを選択したとする。この場合、まず、アクセスポイント10が、通信用無線I/F14により、211chでビーコンの送信を開始する(ステップS51)。また、アクセスポイント10は、ビーコン用無線I/F15の動作を停止させ、ビーコン用無線I/F15によるビーコンの送信は行わない。
【0056】
次に、無線端末20が、無線端末20に対するユーザ操作等に基づいて、無線接続画面を表示する(ステップS52)。次に、無線端末20は、無線接続が可能なチャンネルを検出するために、PSC(195ch、211ch、227ch、259ch、275ch、…)のスキャンを行う(ステップS53)。そして、無線端末20は、アクセスポイント10が通信用無線I/F14により211chで送信しているビーコンを受信する(ステップS54)。
【0057】
次に、無線端末20は、ステップS54によりビーコンを受信したチャンネルのSSIDを表示し、表示したSSIDの中から接続先のSSIDを受け付ける(ステップS55)。この例では、無線端末20は、ステップS54によって211chのビーコンを受信しているため、211chのSSIDを表示する。また、この例では、211chのSSIDが接続先として選択されたとする。
【0058】
次に、無線端末20は、211chへの接続を要求する接続要求信号を送信する(ステップS56)。次に、アクセスポイント10が、通信用無線I/F14により、無線端末20との間で211chで無線接続する接続処理を行う(ステップS57)。
【0059】
これにより、無線端末20は、211chでアクセスポイント10と無線接続した状態となり、アクセスポイント10の中継によりWAN側の通信装置との間のデータ通信が可能になる。
【0060】
以上説明したように、アクセスポイント10は、6GHzで動作してデータ通信を行う通信用無線I/F14とは別に、6GHzのPSC(所定のチャンネル)で動作するビーコン用無線I/F15を備える。そして、ビーコン用無線I/F15は、そのPSCでビーコンを繰り返し(例えば100ミリ秒毎の定期的に)送信する。また、ビーコン用無線I/F15は、無線端末20からそのPSCへの接続要求があった場合、通信用無線I/F14が動作しているチャンネルへ接続先を変更することを指示するチャンネル切替指示信号(制御信号)を無線端末20へ送信する。
【0061】
これにより、アクセスポイント10の通信用無線I/F14が6GHzの非PSCのチャンネルのみで無線通信を行っていても、無線端末20は6GHzのPSCのスキャンによりアクセスポイント10を検出し、アクセスポイント10からのチャンネル切替指示信号に従って接続先を変更することで、アクセスポイント10の通信用無線I/F14との間で無線接続することができる。このため、無線端末20がアクセスポイント10と無線接続できない状況を減らし、無線通信の相互接続性の向上を図ることができる。
【0062】
また、ビーコン用無線I/F15は通信用無線I/F14と比べて簡易な構成とすることができるため、通信用無線I/F14とは別に通信用の無線インターフェースを設ける構成と比べてアクセスポイント10の構成を簡易化することができる。
【0063】
また、
図5において説明したように、ビーコン用無線I/F15が動作するPSCは、6GHzにおける、通信用無線I/F14が動作しているチャンネルと隣接しないチャンネルとしてもよい。これにより、通信用無線I/F14による無線通信と、ビーコン用無線I/F15によるビーコン等の無線送信と、の間の干渉を抑制することができる。
【0064】
また、
図5や
図7において説明したように、ビーコン用無線I/F15は、通信用無線I/F14がPSCで動作している場合に停止するようにしてもよい。これにより、無線端末20は6GHzのPSCのスキャンによりアクセスポイント10を直接検出可能な状態においては、通信用無線I/F14を省電力化するとともに、無線送信による電波干渉を抑制することができる。
【0065】
(変形例)
アクセスポイント10が有線I/F17を備える構成について説明したが、アクセスポイント10が有線I/F17を備えない構成としてもよい。
【0066】
アクセスポイント10と無線端末20がWi-Fi 6Eによる無線通信を行う構成について説明したが、アクセスポイント10と無線端末20が無線通信に用いる通信規格はWi-Fi 6Eに限らず、例えばWi-Fi 6Eの後継規格等であってもよい。
【0067】
6GHzの周波数帯域である周波数帯域30の各チャンネルの番号が…、195ch、…、275ch、…(191chから始まる番号)である場合について説明したが、周波数帯域30の各チャンネルの番号はこれに限らない。例えば、周波数帯域30の各チャンネルの番号は、1ch、2ch、3ch、…(1chから始まる番号)などであってもよい。
【0068】
また、上述した各実施の形態は、組み合わせて実施することも可能である。
【0069】
(制御プログラムについて)
前述した実施形態で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをコンピュータで実行することにより実現できる。本制御プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録され、記憶媒体から読み出されることによって実行される。また、本制御プログラムは、フラッシュメモリ等の非一過性の記憶媒体に記憶された形で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介して提供されてもよい。本制御プログラムを実行するコンピュータは、無線装置に含まれるものであってもよいし、無線装置と通信可能なスマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等の電子機器に含まれるものでもあってもよいし、これら制御装置及び電子機器と通信可能なサーバ装置に含まれるものであってもよい。
【0070】
以上のように本明細書には以下の事項が開示されている。
【0071】
開示された無線装置は、第1無線インターフェースと、所定のチャンネルで動作する第2無線インターフェースと、を備え、前記第2無線インターフェースが、無線端末から前記所定のチャンネルへの接続要求があった場合、前記第1無線インターフェースが動作しているチャンネルへ接続先を変更することを指示する制御信号を前記無線端末へ送信するものである。
【0072】
開示された無線装置は、前記第2無線インターフェースが、前記所定のチャンネルで制御用信号のみを定期的に送信するものである。
【0073】
開示された無線装置は、前記所定のチャンネルが、前記第1無線インターフェースが動作しているチャンネルと同一の周波数帯域に含まれるものである。
【0074】
開示された無線装置は、前記所定のチャンネルが、前記周波数帯域における、無線端末が優先的にスキャンを行うチャンネルであるものである。
【0075】
開示された無線装置は、前記所定のチャンネルが、前記周波数帯域における、前記第1無線インターフェースが動作しているチャンネルと隣接しないチャンネルであるものである。
【0076】
開示された無線装置は、前記所定のチャンネルはPSC(Preferred Scanning Channel)であるものである。
【0077】
開示された無線装置は、前記第2無線インターフェースが、前記第1無線インターフェースが前記所定のチャンネルで動作している場合に停止するものである。
【0078】
開示された無線装置は、前記無線端末とネットワークの間のデータ通信の中継を行うアクセスポイントであり、前記第1無線インターフェースによって前記中継を行い、前記第2無線インターフェースによって前記中継を行わないものである。
【0079】
開示された制御方法は、第1無線インターフェースと、所定のチャンネルで動作する第2無線インターフェースと、を備える無線装置の制御方法であって、前記無線装置のプロセッサが、無線端末から前記所定のチャンネルへの接続要求があった場合、前記第1無線インターフェースが動作しているチャンネルへ接続先を変更することを指示する制御信号を前記第2無線インターフェースから前記無線端末へ送信させるものである。
【0080】
開示された制御プログラムは、第1無線インターフェースと、所定のチャンネルで動作する第2無線インターフェースと、を備える無線装置の制御プログラムであって、前記無線装置のプロセッサに、無線端末から前記所定のチャンネルへの接続要求があった場合、前記第1無線インターフェースが動作しているチャンネルへ接続先を変更することを指示する制御信号を前記第2無線インターフェースから前記無線端末へ送信させる、処理を実行させるためのものである。
【符号の説明】
【0081】
10 アクセスポイント
11,21 プロセッサ
12,22 メインメモリ
13,23 補助メモリ
14,24 通信用無線I/F
15 ビーコン用無線I/F
16,17 有線I/F
20 無線端末
30 周波数帯域