(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013202
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】支持金具及び遮光装置
(51)【国際特許分類】
A01G 9/22 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
A01G9/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082502
(22)【出願日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2022114571
(32)【優先日】2022-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000221568
【氏名又は名称】東都興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 悠
(72)【発明者】
【氏名】海老原 瑞己
(72)【発明者】
【氏名】澤田 明
【テーマコード(参考)】
2B029
【Fターム(参考)】
2B029LA01
(57)【要約】
【課題】
本発明では、簡易構築物に設置されると巻取軸の駆動に必要な力の低減やシートの劣化の抑制を達成できるバンドの支持金具の提供と、巻取軸の駆動に必要な力の低減や遮光用シートの劣化の抑制を達成できる遮光装置の提供を目的とする。
【解決手段】
前記課題を解決するための手段は、奥行方向に並べて配置される複数のアーチパイプP1と、アーチパイプP1を頂部から側部にかけて覆う遮光用シート2と、アーチパイプP1の奥行方向に沿って遮光用シート2の下端に取り付けられて、アーチパイプP1上を転動して遮光用シート2を巻取る巻取軸3と、アーチパイプP1の長手方向に沿って設置されて上方から遮光用シート2をアーチパイプ側へ押さえつけ可能なバンド4とを備えたビニールハウスHに設置されてバンド4を支持する支持金具5であって、アーチパイプP1の頂部からバンド4を上方側に離間した位置で支持する支持部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
奥行方向に並べて配置される複数のアーチパイプと、
前記アーチパイプを頂部から側部にかけて覆う第1シートと、
前記アーチパイプの奥行方向に沿って前記第1シートの下端に取り付けられて、前記アーチパイプ上を転動して前記第1シートを巻取りおよび繰り出す巻取軸と、
前記アーチパイプの長手方向に沿って設置されて上方から前記第1シートを前記アーチパイプ側へ押さえつけ可能なバンドとを備えた簡易構築物に設置されて前記バンドを支持する支持金具であって、
前記アーチパイプの頂部から前記バンドを上方側に離間した位置で支持する支持部を備えた
ことを特徴とする支持金具。
【請求項2】
前記アーチパイプの頂部の両側にそれぞれ前記簡易構築物の奥行方向に沿って配置されるとともに、前記アーチパイプの頂部を境にして幅方向に分割されて前記第1シートよりも前記アーチパイプ側に展張される第2シートの頂部側端の定着が可能な一対の第2シート定着フレームを備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の支持金具。
【請求項3】
前記第1シートを保持するとともに、前記第2シート定着フレームよりも前記アーチパイプから見て上方に配置される前記簡易構築物の奥行方向に沿う第1シート定着フレームを備え、
前記第1シートは、遮光用シートである
ことを特徴とする請求項2に記載の支持金具。
【請求項4】
前記第2シート定着フレームから前記第1シート定着フレームまでの高さ方向の幅が、前記巻取軸によって最大限巻き取られた前記第1シートのロールの半径以上である
ことを特徴とする請求項3に記載の支持金具。
【請求項5】
前記アーチパイプの奥行き方向に沿うとともに前記アーチパイプの頂部を挟んで両側に配置されるとともに前記アーチパイプに固定される一対の取付部を備えた
ことを特徴とする請求項3に記載の支持金具。
【請求項6】
前記第1シート定着フレームと一方の前記第2シート定着フレームとを連結する一方側斜板と、
前記第1シート定着フレームと他方の前記第2シート定着フレームとを連結する他方側斜板とを備え、
前記一方側斜板と前記他方側斜板は、第1シート定着フレーム側端同士の幅よりも第2シート定着フレーム側端同士の幅が広くなるように傾斜している
ことを特徴とする請求項5に記載の支持金具。
【請求項7】
前記第2シート定着フレームは、前記第2シートの内部への挿入を可能とする開口を形成する一対の側壁片を有し、
前記アーチパイプの頂部側の前記側壁片は、前記第2シートの頂部側端と前記第2シート定着フレームの前記開口までの余長部分の長さが前記開口の幅よりも長くなるように前記第2シートを前記第2シート定着フレームに定着した状態で、前記余長部分によって前記開口が覆われるように前記余長部分を前記アーチパイプの側部側に向けて折り返す
ことを特徴とする請求項6に記載の支持金具。
【請求項8】
前記第1シートが遮光用シートであって、
前記アーチパイプ上を転動して前記第1シートを巻取り又は繰り出し可能な巻取軸と、
前記アーチパイプの長手方向に沿って設置されて上方から前記第1シートを前記アーチパイプ側へ押さえつけ可能なバンドと、
前記アーチパイプの頂部に取付けられる請求項1から7のいずれか一項に記載の支持金具とを備える
ことを特徴とする遮光装置。
【請求項9】
前記簡易構築物の側部における前記巻取軸によって最大限繰り出された状態の前記第1シートの下端よりも下方に設けられ前記バンドの一端を前記簡易構築物の側部から屋外側に離間した位置で支持する第2支持金具を備える
ことを特徴とする請求項8に記載の遮光装置。
【請求項10】
前記第2支持金具は、前記簡易構築物の側部に定着される定着部と、弾性を有して前記定着部から前記簡易構築物の屋外側に向けて起立する起立部と、前記起立部の先端に設けられて前記バンドの一端を支持する支え部とを有し、
前記起立部の先端が前記起立部の基端を通る前記アーチパイプの法線よりも上方に位置する
ことを特徴とする請求項9に記載の遮光装置。
【請求項11】
前記アーチパイプにおける少なくとも前記巻取軸が転動可能な範囲に装着されて前記巻取軸に当接する保護部材を備え、
前記保護部材は、複数の前記アーチパイプのうち少なくとも2つの前記アーチパイプに装着される
ことを特徴とする請求項8に記載の遮光装置。
【請求項12】
前記保護部材は、ゴム製であって短手方向の中央に反アーチパイプ側に向けて膨らんで前記アーチパイプとの間に隙間を形成する凸部を有する
ことを特徴とする請求項11に記載の遮光装置。
【請求項13】
前記保護部材は、ゴム製であって、前記アーチパイプの上面に沿って延びる底部と、前記底部の短手方向の一端から起立して前記底部との間に所定の間隔を空けて前記底部を覆うカバー部とを有し、
前記間隔が、前記底部を貫通して前記アーチパイプにねじ込まれるビスの頭部の高さ寸法以上である
ことを特徴とする請求項11に記載の遮光装置。
【請求項14】
前記支持金具の前記支持部に支持されつつ前記第1シートと前記第2シートとの間に配置されて少なくとも一方の前記第2シート定着フレームを覆う防水シートを備え、
前記支持金具が請求項2から7のいずれか一項に記載の支持金具である
ことを特徴とする請求項8に記載の遮光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、支持金具及び遮光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遮光装置としては、ビニールハウスや温室、簡易型の倉庫等の簡易構築物に設置されて、簡易構築物内に入る日差しの量を調整するものがある。
【0003】
具体的には、遮光装置は、簡易構築物の屋根に定着された屋根シート上に被せられるとともにアーチパイプの頂部から側部にかけて覆うシートと、シートの下端に取付けられてアーチパイプ上で転動してシートを巻取り及び繰り出す巻取軸と、巻取軸を駆動する駆動装置とを備えている(例えば、特許文献1)。
【0004】
このような遮光装置では、強風時にシートがバタつくのを防止するために、上方からシートをアーチパイプ側に押え付け可能なバンドを設ける場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなバンドは、一端が簡易構築物の頂部に、他端が簡易構築物の側部にそれぞれ定着されるか、各端部が簡易構築物の両側側部にそれぞれ定着されて簡易構築物の頂部を跨いで設置されるが、シートを押さえつける必要がある。そのため、バンドとアーチパイプとの間の隙間が狭くなっており、巻取軸に巻き取られたロール状のシートがバンドによってアーチパイプ側に強く押え付けられる。
【0007】
特に巻取軸が簡易構築物の頂部側に転動するとロール状のシートの直径が大きくなるので、シートがバンドによってアーチパイプ側により強く押さえつけられる。
【0008】
このようにロール状のシートがバンドから受ける押付力が強いとバンドとシートとの間の摩擦力及びシートと巻取軸との間の摩擦力が大きくなって、巻取軸の駆動に必要な力の増大や、シートの劣化を招く。
【0009】
そこで、本発明は、簡易構築物に設置されると、巻取軸の駆動に必要な力の低減やシートの劣化の抑制を達成できるバンドの支持金具の提供と、巻取軸の駆動に必要な力の低減や遮光用シートの劣化の抑制を達成できる遮光装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成させるため、本発明の支持金具は、奥行方向に並べて配置される複数のアーチパイプと、前記アーチパイプを頂部から側部にかけて覆う第1シートと、前記アーチパイプの奥行方向に沿って前記第1シートの下端に取り付けられて前記アーチパイプ上を転動して前記第1シートを巻取りおよび繰り出す巻取軸と、前記アーチパイプの長手方向に沿って設置されて上方から前記第1シートを前記アーチパイプ側へ押さえつけ可能なバンドとを備えた簡易構築物に設置されて前記バンドを支持するものであって、前記アーチパイプの頂部から前記バンドを上方側に離間した位置で支持する支持部を備えることを特徴とする。この構成によると、支持金具がアーチパイプの頂部に取付けられると、バンドをアーチパイプから離間できるため、第1シートをアーチパイプ側に押え付けるバンドの力が小さくなる。
【0011】
本発明の支持金具は、前記アーチパイプの頂部の両側にそれぞれ前記簡易構築物の奥行方向に沿って配置されるとともに、前記アーチパイプの頂部を境にして幅方向に分割されて前記第1シートよりも前記アーチパイプ側に展張される第2シートの頂部側端の定着が可能な一対の第2シート定着フレームを備えてもよい。この構成によると、アーチパイプの頂部を境にして幅方向に分割して第2シートをアーチパイプに展張できるため、第2シートの一部が劣化や破損した場合に、劣化や破損のある一方の第2シートのみを張り替えれば済む。よって、簡易構築物の屋根面を1枚のシートで覆う場合に比べて、第2シートの張り替えの手間や材料費等の張り替えコストを削減できる。
【0012】
また、本発明の支持金具は、前記第1シートを保持するとともに、前記第2シート定着フレームよりも前記アーチパイプから見て上方に配置される前記簡易構築物の奥行方向に沿う第1シート定着フレームを備え、前記第1シートを遮光用シートとしてもよい。この構成によると、巻取軸が第2シート定着フレームの上方に位置するまで第1シートを巻き取ることができるので、第2シートの張り替え時に第1シートを取り外す必要がなく、第2シートの張り替え作業の作業効率が向上する。
【0013】
また、本発明の支持金具では、前記第2シート定着フレームから前記第1シート定着フレームまでの高さ方向の幅が、前記巻取軸によって最大限巻き取られた前記第1シートのロールの半径以上であってもよい。このように構成された支持金具がアーチパイプの頂部に取付けられていると、アーチパイプの頂部側に格納された状態の遮光用シートのロールが強風に煽られても、支持金具が防壁となって遮光用シートのロールがアーチパイプの頂部を挟んで反対側の側部側に移動してしまうのを確実に防止できる。
【0014】
また、本発明の支持金具は、前記アーチパイプの奥行き方向に沿うとともに前記アーチパイプの頂部を挟んで両側に配置されるとともに前記アーチパイプに固定される一対の取付部を備えてもよい。この構成によると、支持金具に対して奥行方向から見て左右に倒すような力が作用しても、支持金具はアーチパイプに安定して支持され倒れることがない。
【0015】
また、本発明の支持金具は、前記第1シート定着フレームと一方の前記第2シート定着フレームとを連結する一方側斜板と、前記第1シート定着フレームと他方の前記第2シート定着フレームとを連結する他方側斜板とを備え、前記一方側斜板と前記他方側斜板は、第1シート定着フレーム側端同士の幅よりも第2シート定着フレーム側端同士の幅が広くなるように傾斜していてもよい。この構成によると、第1シートがアーチパイプの頂部側に格納された状態から、第1シートを巻取軸から繰り出す際に、巻取軸のアーチパイプの側部側への移動が斜板によってガイドされるため、第1シートを速やかに展開できる。
【0016】
また、本発明の支持金具では、前記第2シート定着フレームは、前記第2シートの内部への挿入を可能とする開口を形成する一対の側壁片を有し、前記アーチパイプの頂部側の前記側壁片は、前記第2シートの頂部側端と前記第2シート定着フレームの前記開口までの余長部分の長さが前記開口の幅よりも長くなるように前記第2シートを前記第2シート定着フレームに定着した状態で、前記余長部分によって前記開口が覆われるように前記余長部分を前記アーチパイプの側部側に向けて折り返すようにしてもよい。この構成によると、第2シートの余長部分によって第2シート定着フレームの開口が覆われるので、雨水等が開口内に侵入するのを防止できる。さらに、第1シートの格納時と展開時において、巻取軸が第2シートの余長部分上を転動するので、巻取軸に巻き付けられた第1シートが第2シート定着フレームの側壁片の端部によって傷つけられるのを防止できる。
【0017】
また、本発明の遮光装置は、前記第1シートが遮光用シートであって、前記アーチパイプ上を転動して前記第1シートを巻取り又は繰り出し可能な巻取軸と、前記アーチパイプの長手方向に沿って設置されて上方から前記第1シートを押さえつけ可能なバンドと、前記アーチパイプの頂部に取付けられる前記支持金具とを備えることを特徴とする。この構成によると、バンドがアーチパイプの頂部から離間した位置で支持されて、バンドがアーチパイプから離間するため、第1シートをアーチパイプ側に向けて押さえつけるバンドの力が小さくなる。
【0018】
また、本発明の遮光装置は、前記簡易構築物の側部における前記巻取軸によって最大限繰り出された状態の前記第1シートの下端よりも下方に設けられて前記バンドの一端を前記簡易構築物の側部から離間した位置で支持する第2支持金具を備えてもよい。この構成によると、バンドの一端が第2支持金具によって簡易構築物の側部から離間した位置で支持されるので、アーチパイプの側部付近においてもバンドが第1シートをビニールハウス側に向けて押さえつける力が小さくなる。よって、遮光装置が、第1シートを展開又は格納する際に、第1シートと巻取軸との間で生じる摩擦をさらに低減できるので、第1シートの劣化をより抑制できる。加えて、遮光装置が、第1シートを展開又は格納する際に、巻取軸の駆動に必要な力をより低減できる。
【0019】
また、本発明の遮光装置では、前記第2支持金具は、前記簡易構築物の側部に定着される定着部と、弾性を有して前記定着部から前記簡易構築物の屋外側に向けて起立する起立部と、前記起立部の先端に設けられて前記バンドの一端を支持する支え部とを有し、前記起立部の先端を前記起立部の基端を通るアーチパイプの法線よりも上方に位置させてもよい。この構成によると、起立部の先端に設けられてバンドを直接支持している支え部が起立部の基端を通るアーチパイプの法線よりも簡易構築物の頂部寄りに位置している。そのため、支え部は、バンドの張力を受けてアーチパイプへ向けて押圧されるが、支え部がバンドから受ける押付力の作用線が直線片の軸方向とずれるので、起立部は、バンドの押付力によって、基端を支点として簡易構築物の頂部側へ向けて倒すモーメントを受ける。したがって、第1シートの格納時に第1シートのロールの直径が大きくなってバンドの押付力が一定以上の大きさとなると、起立部がアーチパイプの頂部側に向けて倒れるように弾性変形して、バンドの一端を支持する支え部がバンドのアーチパイプの頂部と対向する部分を支持する支持金具の支持部側に接近し、その分だけバンドが緩むので、バンドの押付力が小さくなる。よって、この構成によると、第1シートの格納時におけるバンドの押付力が特に大きくなる際に、バンドの押付力を小さくできるので、バンドと第1シートとの間で生じる摩擦力及び第1シートと巻取軸との間で生じる摩擦力を効果的に低減できる。
【0020】
また、本発明の遮光装置は、前記アーチパイプにおける少なくとも前記巻取軸が転動可能な範囲に装着されて前記巻取軸に当接する保護部材を備え、前記保護部材は、複数の前記アーチパイプのうち少なくとも2つの前記アーチパイプに装着されてもよい。この構成によると第1シートの展開又は格納時において、巻取軸が保護部材を介してアーチパイプ上を転動するので、巻取軸に巻き付けられた第1シートがアーチパイプや第2シートに擦れて劣化するのを抑制できる。また、保護部材が少なくとも2つのアーチパイプに装着されているので、少なくとも巻取軸の軸方向で中央から略等距離にある部分を支持するアーチパイプに保護部材を装着すれば、巻取軸が保護部材によって傾くのを防止できる。
【0021】
また、本発明の遮光装置では、前記保護部材は、ゴム製であって短手方向の中央に反アーチパイプ側に向けて膨らんで前記アーチパイプとの間に隙間を形成する凸部を有してもよい。この構成によると、凸部を貫通してアーチパイプにビスをねじ込んで、保護部材をアーチパイプに連結すると、ビスの頭部が凸部を押し潰して変形させるので、頭部が凸部に埋め込まれて隠れた状態となる。したがって、ビスの頭部によって第1シートが傷つけられてしまう恐れがない。
【0022】
また、本発明の遮光装置では、前記保護部材は、ゴム製であって、前記アーチパイプの上面に沿って延びる底部と、前記底部の短手方向の一端から起立して前記底部との間に所定の間隔を空けて前記底部を覆うカバー部とを有し、前記間隔が、前記底部を貫通して前記アーチパイプにねじ込まれるビスの頭部の高さ寸法以上であるとしてもよい。この構成によると、底部を貫通してアーチパイプにビスをねじ込んで、保護部材をアーチパイプに連結した場合に、ビスの頭部はカバー部によって覆われた状態となるので、ビスの頭部によって第1シートが傷付けられてしまう恐れがない。加えて、底部とカバー部の間隔がビスの頭部の高さ寸法以上とされているので、ビスの頭部によってカバー部が押し上げられて、保護部材上を走行する巻取軸が傾いてしまう恐れがない。
【0023】
また、本発明の遮光装置は、前記支持金具の前記支持部に支持されつつ前記第1シートと前記第2シートとの間に配置されて少なくとも一方の前記第2シート定着フレームを覆う防水シートを備えてもよい。この構成によると、支持金具の第2シート定着フレームが防水シートによって覆われるので、第2シート定着フレームの開口内に雨水等が侵入するのを確実に防止できる。よって、第2シート定着フレームの開口内に侵入し雨水等が、第2シート定着フレームにおけるビニールハウスの屋内側の面である内側面に回って、簡易構築物内に雨水が侵入する恐れがない。
【発明の効果】
【0024】
本発明の支持金具によれば、簡易構築物に設置されると、巻取軸の駆動に必要な力の低減やシートの劣化の抑制を達成できる。また、本発明の遮光装置によれば、巻取軸の駆動に必要な力の低減や遮光用シートの劣化の抑制を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図3】本実施の形態の簡易構築物の屋根部分の一部拡大正面図である。
【
図4】変形例の遮光装置が設けられた簡易構築物の屋根部分の一部拡大正面図である。
【
図5】本実施の形態のバンドの端部の簡易構築物への定着部分を拡大して示す斜視図である。
【
図6】本実施の形態の第2支持金具の斜視図である。
【
図8】変形例の第2支持金具の簡易構築物への設置部分を拡大して示す斜視図である。
【
図9】(A)は変形例の第2支持金具の簡易構築物への定着部分を拡大して示す正面図である。(B)変形例の第2支持金具の簡易構築物への定着部分を拡大して示す正面図であって、第2支持金具の起立部がアーチパイプの頂部側に向けて倒れる状態を示す図である。
【
図10】(A)は本実施の形態の保護部材をアーチパイプ上に被せた状態を示す拡大断面図である。(B)は保護部材をビスを介してアーチパイプに固定した状態を示す拡大断面図である。
【
図11】変形例の保護部材をビスを介してアーチパイプに固定した状態を示す拡大断面図である。
【
図12】本実施の形態の駆動装置のモータの設置箇所を拡大して示す斜視図である。
【
図13】本実施の形態の伸縮ロッドの分解斜視図である。
【
図14】本実施の形態の変換機の部分を拡大して示す斜視図と、変換機の内部の構造を示す一部断面図である。
【
図15】本実施の形態の簡易構築物の正面図であって、
図1に示す状態から遮光用シートの展開又は格納状態を切り替えた状態を示す図である。
【
図16】本実施の形態の簡易構築物の正面図であって、駆動装置のモータを簡易構築物の妻面に設置した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、図面を参照しながら本実施の形態について説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は同じ部品を示す。
【0027】
簡易構造物は、本実施の形態ではビニールハウスHとされている。ビニールハウスHは、
図1に示すように、奥行方向に並べて配置される複数のアーチパイプP1と、アーチパイプP1上に直接展張される透光シートSと、透光シートSを上から覆う遮光用シート2を巻取りおよび繰り出し可能なシート巻取り装置としての遮光装置1を備えている。
【0028】
本実施の形態の遮光装置1は、
図1,
図2に示すように、アーチパイプP1の頂部に設置されてアーチパイプP1の一方の側部から頂部を跨いで他方の側部にかけて覆う遮光用シート2と、アーチパイプP1の奥行方向に沿って遮光用シート2の下端に取付けられてアーチパイプP1上を転動して遮光用シート2を巻取りおよび繰り出す巻取軸3と、アーチパイプP1の長手方向に沿って設置されて遮光用シート2の上方から遮光用シート2をアーチパイプP1側へ押さえつけ可能なバンド4と、アーチパイプP1の頂部に取付けられてアーチパイプP1の頂部からバンド4を上方側に離間した位置で支持する支持金具5とを備える。
【0029】
以下、本実施の形態のビニールハウスHの各部について詳細に説明する。本実施の形態のアーチパイプP1は、地面Gから直線状に起立する一対の起立部P1aと、各起立部P1aの上端同士を繋ぐ略円弧状のアーチ部P1bとを有している。そして、以下の説明では、アーチパイプP1の頂点の部分をアーチパイプP1の頂部とし、アーチパイプP1の起立部P1aとアーチ部P1bとの境である肩部をアーチパイプP1の側部としている。
【0030】
さらに、奥行方向から見てビニールハウスHの正面側をビニールハウスHの妻面とし、奥行方向から見てビニールハウスHの側面側であってアーチパイプP1の起立部P1aの範囲の面をビニールハウスHの側面とし、奥行方向から見てアーチパイプP1のアーチ部P1bの範囲の面をビニールハウスHの屋根面とする。
【0031】
本実施の形態では、アーチパイプP1に展張される透光シートSは、
図1,
図2に示すように、ビニールハウスHの左右の側面をそれぞれ覆う側面シートS1と、ビニールハウスHの前後の妻面をそれぞれ覆う妻側シートS2と、アーチパイプP1の頂部を境にして幅方向に分割してアーチパイプP1の頂部から各側部にかけてそれぞれ展張されてビニールハウスHの屋根面を覆う2枚の屋根側シートS3,S3とで構成されている。
【0032】
具体的には、
図1,
図2に示すように、奥行方向から見てアーチパイプP1の各起立部P1aには、それぞれ、起立部P1aの上端側に奥行方向に沿って架け渡される上側の側面側フレームF1と、起立部P1aの下端側に奥行方向に沿って架け渡される下側の側面側フレームF2とが上下に並べて配置されている。そして、上下の側面側フレームF1,F2間に側面シートS1の各端部を定着することで、ビニールハウスHの各側面に、それぞれ側面シートS1が展張されている。
【0033】
また、
図2に示すように、ビニールハウスHは、妻側に配置されるアーチパイプP1を下側から支持するとともにビニールハウスHの幅方向に沿って配置される複数の支柱パイプP2と、各支柱パイプP2間にビニールハウスHの幅方向に沿って架け渡される複数の妻側フレームF3とを備え、支柱パイプP2と妻側フレームF3と地面Gとによって囲われた開口部が形成されている。
【0034】
そして、妻側シートS2を当該開口部を避けつつ妻側フレームF3に定着することで、妻側シートS2をビニールハウスHの妻面に展張しつつ、当該開口部をビニールハウスHの出入り口として機能させている。
【0035】
また、詳細には説明しないが、本実施の形態の側面側フレームF1,F2と妻側フレームF3は、それぞれ底部よりも開口の幅が狭く形成された溝を有しており、この溝にシートS1,S2を挿入した状態で、シートS1,S2の上から波型の金属ばねからなる弾性部材を嵌め込むことで、各シートS1,S2は弾性部材の弾発力で各フレームF1,F2,F3に定着されている。なお、この弾性部材は、波型の金属ばねには限られず、ゴムやコイルスプリング等の他の弾性部材であってもよい。
【0036】
また、ビニールハウスHの妻面には、当該開口部の上枠と下枠に沿うように図示しないレールが支柱パイプP2,P2間にそれぞれ架け渡されている。そして、一対の扉D,Dを当該レールに沿ってスライド自在に設置することで、ビニールハウスHの開口部を扉Dによって開閉できるようになっている。なお、扉Dの枚数は特に限定されず、開口部の大きさに応じて適宜決定されればよい。
【0037】
また、本実施の形態では、扉Dは引き戸とされているが、扉Dの開閉方向は、特に限定されず、例えば扉Dは開き戸であってもよい。なお、当該開口部と扉DはビニールハウスHの少なくとも一方の妻面に設けられていればよいが、両方の妻面に設けられていてもよい。
【0038】
また、詳しくは後述するが、
図1,
図2,
図3に示すように、複数のアーチパイプP1の頂部の上端には、奥行方向に沿って延びる支持金具5が架け渡されており、この支持金具5には奥行方向から見て左右にそれぞれ屋根側シート定着フレーム51,51が設けられている。そして、奥行方向から見て、支持金具5の右側の屋根側シート定着フレーム51と右側の側面側フレームF1の間と、支持金具5の左側の屋根側シート定着フレーム51と左側の側面側フレームF1の間にそれぞれ屋根側シートS3が定着されている。これにより、本実施の形態では、アーチパイプP1の頂部を境にして幅方向に分割してアーチパイプP1の頂部から各側部にかけて2枚の屋根側シートS3,S3が展張されている。
【0039】
なお、本実施の形態の透光シートSとしては、塩化ビニルフィルム、PETフィルム等のポリオレフィン系フィルムなどの軟質シートが利用されているが、ポリエステルフィルム、フッ素フィルムなどの硬質シートが利用されてもよい。
【0040】
また、本実施の形態では、独立して設置される単棟型のビニールハウスHについて説明しているが、ビニールハウスHは複数の棟を幅方向で左右に連ねた連棟型であってもよい。
【0041】
つづいて、遮光装置1について詳細に説明する。本実施の形態の遮光装置1は、
図1,
図2に示すように、アーチパイプP1の頂部に取付けられる支持金具5と、ビニールハウスHの奥行方向から見て左右中央位置で支持金具5に定着される遮光用シート2と、遮光用シート2の各端部にそれぞれ取付けられて透光シートSを介してアーチパイプP1上をアーチパイプP1の一方の側部から頂部まで転動可能な巻取軸3と、各巻取軸3をそれぞれ駆動する2つの駆動装置6とを備える。
【0042】
そして、詳しくは後述するが、本実施の形態の遮光用シート2は、アーチパイプP1の頂部を跨いでビニールハウスHの屋根面を覆っており、アーチパイプP1の頂部に対向する中央部が支持金具5に定着されている。また、遮光用シート2の各端部にはビニールハウスHの奥行方向に沿う巻取軸3が取付けられている。そのため、駆動装置6によって巻取軸3をアーチパイプP1の一方の側部側まで転動させると、
図2中左側で示すように、遮光用シート2は、巻取軸3から繰り出されて、屋根側シートS3上でアーチパイプP1の頂部から一方の側部までの範囲を覆う状態である展開状態となるので、ビニールハウスH内に入る日差しの量を減少させられる。反対に駆動装置6によって巻取軸3をアーチパイプP1の頂部側まで転動させると、
図2中右側で示すように、遮光用シート2は、巻取軸3に巻き取られて、アーチパイプP1の頂部側まで巻き取られた状態である格納状態となるので、日差しが遮光用シート2によって遮られることなくビニールハウスH内に入る。よって、本実施の形態の遮光装置1は、駆動装置6により巻取軸3を駆動して遮光用シート2を展開又は格納することで、ビニールハウスH内に入る日差しの量を調整できる。
【0043】
なお、遮光用シート2は、巻取軸3に巻取り可能な程度の可撓性があって、通過する日差しの量を減少させることができる限りにおいて、材質や構造は特に限定されない。例えば、遮光用シート2は、遮光率の高い素材で形成されたり、網目状に形成されてもよい。
【0044】
本実施の形態の支持金具5は、
図3に示すように、ビニールハウスHの奥行方向に沿って延びるフレーム状の部材であって、アーチパイプP1の頂部を挟んで両側に配置されるとともにアーチパイプP1にジョイント10を介して固定される一対の取付部50,50と、各取付部50,50の上端にそれぞれ設けられる一対の屋根側シート定着フレーム51,51と、各屋根側シート定着フレーム51,51の上端から上向きに延びる一対の斜板52,52と、一対の斜板52,52の上端に連結される遮光用シート定着フレーム53とを備える。
【0045】
本実施の形態の各取付部50は、
図3に示すように、それぞれ、アーチパイプP1の頂部側に向けてアーチパイプP1の上面に所定幅で当接可能な底片50aと、底片50aのアーチパイプP1の反頂部側端から底片50aに対して垂直に起立する垂直片50bと、底片50aのアーチパイプP1の頂部側端から湾曲しながら立ち上がって垂直片50b側上方に向けて斜めに延びる第一引掛け片50cと、垂直片50bの先端からアーチパイプP1の反頂部側に向けて底片50aと平行して延びる上片50dと、上片50dの先端から湾曲しながら反垂直片側下方に向けて斜めに延びつつ先端が垂直片50b側に向けて折れ曲がるように形成された第二引掛け片50eとを有する。
【0046】
また、本実施の形態のジョイント10は、
図3に示すように、紙面を貫く方向に並べて配置されアーチパイプP1に跨ることが可能なアーチ状の金具とされており、頂部に設けられて支持金具5の取付部50を収容可能な切欠開口10aと、頂部を挟んで両下端側に設けられて互いに対向する一対の楔孔10b,10bとを備えている。
【0047】
また、頂部には切欠開口10aに向けて互いに対向する一対の爪部10c,10cが設けられており、爪部10c,10c間の幅は取付部50の幅よりも狭くなっている。よって、切欠開口10aは、支持金具5の取付部50の側方からの挿入を許容するものの切欠開口10aから上方側への抜けは爪部10c,10cによって規制される。
【0048】
そして、
図3に示すように、切欠開口10a内に支持金具5の取付部50を収容した状態で、ジョイント10をアーチパイプP1に跨らせてから楔孔10bに楔11を挿入すると、アーチパイプP1と支持金具5の取付部50が一対の爪部10c,10cと楔11とによって挟持されて、取付部50をアーチパイプP1に対して固定できる。
【0049】
このように、本実施の形態では、一対の取付部50,50がアーチパイプP1の頂部を挟んで両側に配置されてアーチパイプP1に固定されるので、支持金具5に対して奥行方向から見て左右に倒すような力が作用しても、支持金具5はアーチパイプP1に安定して支持され倒れることがない。
【0050】
また、本実施の形態では、
図3中左右一対の取付部50,50を奥行方向に並べて配置される全てのアーチパイプP1に固定してるが、支持金具5とアーチパイプP1の連結強度が十分確保されていれば、左右一対の取付部50,50を一部のアーチパイプP1のみに固定したり、あるいは、
図3中左側の取付部50と
図3中右側の取付部50を各アーチパイプP1に対して奥行方向で交互に固定してもよい。このようにすると、取付部50をアーチパイプP1に固定するジョイント10の数を削減できる。
【0051】
また、上述したジョイント10の構成は、一例であって、ジョイント10の構成は支持金具5の取付部50をアーチパイプP1に固定できる限りにおいて特に限定されない。
【0052】
また、取付部50の形状も、一例であって、上述した形状には限定されないが、本実施の形態によると、底片50aと垂直片50bとが断面L字の水受けとして機能する。詳細には、例えば、支持金具5が雨で濡れて、支持金具5の奥行方向端部から雨水の水滴が支持金具5の内側面(ビニールハウスHの屋内側の面)に回る場合や、支持金具5の内側に結露によって水滴が生じた場合に、これらの水滴は斜板52と屋根側シート定着フレーム51の内側面を伝って、底片50aと垂直片50bからなる水受けに回収されるので、ビニールハウスH内に水滴が侵入するのを防止できる。
【0053】
また、取付部50は、ジョイント10以外の手段でアーチパイプP1に固定されてもよく、例えば、タッピングねじを取付部50に貫通させてねじ込むことで、取付部50をアーチパイプP1に固定してもよい。ただし、本実施の形態のようにジョイント10で取付部50をアーチパイプP1に固定すると、タッピングねじをねじ込んだ際にできるねじ孔が取付部50に開かないので、支持金具5の内側に結露によって生じた水滴がタッピングねじとねじ孔の間に形成される隙間を通じてビニールハウスH内に侵入する恐れがない。
【0054】
次に、本実施の形態の各屋根側シート定着フレーム51は、
図3に示すように、各取付部50の垂直片50bの先端から互いに上端が接近する方向に傾斜しながら上方に延びる底片51aと、底片51aの上端と取付部50の上片50dの上部から互いに先端が接近する方向に傾斜しながら起立する一対の側壁片51b,51cとを有している。これにより、一対の側壁片51b,51c間には、底片51aの幅よりも狭い開口51dが形成されている。
【0055】
そして、
図3に示すように、この屋根側シート定着フレーム51の開口51d内に屋根側シートS3を挿入した状態で、屋根側シートS3の上から波型の金属ばねからなる弾性部材12を嵌め込むことで、屋根側シートS3の頂部側端(上端)を弾性部材12の弾発力で屋根側シート定着フレーム51に定着できる。なお、弾性部材12は、波型の金属ばねには限られず、ゴムやコイルスプリング等の他の弾性部材であってもよい。
【0056】
よって、
図2中右側の屋根側シートS3は、上端が右側の屋根側シート定着フレーム51に定着され、下端が右側の側面側フレームF1に定着されることで、アーチパイプP1の頂部から右側の側部にかけて展張されており、他方、
図2中左側の屋根側シートS3は、上端が左側の屋根側シート定着フレーム51に定着され、下端が左側の側面側フレームF1に定着されることで、アーチパイプP1の頂部から左側の側部にかけて展張されている。
【0057】
このように、本実施の形態では、アーチパイプP1の頂部を境にして幅方向に分割してアーチパイプP1の頂部から各側部にかけてそれぞれ屋根側シートS3,S3を展張できるため、屋根側シートS3,S3の一部が劣化や破損した場合に、劣化や破損のある一方の屋根側シートS3のみを張り替えれば済む。
【0058】
よって、ビニールハウスHの屋根面を1枚のシートで覆う場合に比べて、屋根側シートS3の張り替えの手間や材料費等の張り替えコストを削減できる。ただし、ビニールハウスHの屋根面は1枚のシートで覆われてもよい。
【0059】
戻って、本実施の形態では、屋根側シートS3は、屋根側シートS3の頂部側端と屋根側シート定着フレーム51の開口51d(アーチパイプP1の頂部側(
図3中上側)の側壁片51bの先端)までの余長部分S3aの長さが開口51dの幅(一対の側壁片51b,51cの先端間の幅)よりも長くなるように、屋根側シート定着フレーム51に定着されている。さらに、この状態で、屋根側シートS3の余長部分S3aは、
図3に示すように、図中上側の側壁片51bによって、アーチパイプP1の反頂部側に向けて折り返されて、開口51dを覆っている。
【0060】
つまり、
図3中上側の側壁片51bの傾斜角度は、屋根側シートS3が屋根側シート定着フレーム51に定着された際に、屋根側シートS3の余長部分S3aが開口51dを自然と覆うように余長部分S3aを折り返せる角度に設定されると好ましい。
【0061】
このように、屋根側シートS3の余長部分S3aによって開口51dが覆われると、雨水等が開口51d内に侵入するのを余長部分S3aによって防止できる。ただし、開口51d内への水の侵入を防止する必要がなければ、屋根側シートS3の余長部分S3aは、開口51dを覆う長さを有していなくともよい。
【0062】
また、上述した屋根側シート定着フレーム51の形状は一例であって、屋根側シートS3の頂部側端を定着できる限りにおいて、屋根側シート定着フレーム51の形状は特に限定されない。
【0063】
次に、本実施の形態の一対の斜板52,52は、
図3に示すように、各屋根側シート定着フレーム51,51の上側の側壁片51b,51bから互いに先端が接近する方向に傾斜しながら起立する一対の傾斜部52a,52aと、各傾斜部52a,52aの上端から真上に延びて遮光用シート定着フレーム53に接続される一対の直線部52b,52bとを有している。
【0064】
このように、本実施の形態の一対の斜板52,52は、遮光用シート定着フレーム53側端である上端同士の幅よりも屋根側シート定着フレーム51側端である下端同士の幅が広くなるように傾斜している。
【0065】
また、本実施の形態の遮光用シート定着フレーム53は、遮光用シート2を定着可能な溝を有するとともに後述するバンド4を支持する支持部として機能する。具体的には、本実施の形態の遮光用シート定着フレーム53は、
図3に示すように、奥行方向から見て、斜板52の直線部52bの上端に接続される上向きに凸となるように湾曲された形状の底片53aと、底片53aの各端部から垂直に上方へ向けて延びる一対の側片53b,53bと、各側片53b,53bの上端からそれぞれ互いに先端が接近する方向に傾斜しながら起立する一対の起立片53c,53cと、各側片53b、53bと各起立片53c,53cの内側の境から互いに先端が対向するように水平に延びる水平片53d,53dとを有する。
【0066】
このように構成された遮光用シート定着フレーム53では、
図3に示すように、一対の水平片53d,53dと一対の起立片53c,53cとで、開口幅の狭い溝が形成される。そして、
図3に示すように、この遮光用シート定着フレーム53の溝に遮光用シート2を挿入した状態で、遮光用シート2の上から波型の金属ばねからなる弾性部材13を嵌め込むことで、遮光用シート2は、弾性部材13の弾発力で遮光用シート定着フレーム53に定着されている。なお、弾性部材13は、波型の金属ばねには限られず、ゴムやコイルスプリング等の他の弾性部材であってもよい。また、上述した遮光用シート定着フレーム53の形状は一例であって、遮光用シート2を定着できる限りにおいて、遮光用シート定着フレーム53の形状は特に限定されない。
【0067】
また、
図3に示すように、水平片53dと底片53aの間には隙間が形成されている。ここで、本実施の形態の支持金具5は、ビニールハウスHの長手方向で分割された複数の分割体をビニールハウスHの奥行方向に沿って並べて配置し、各分割体を連結することで構成されている。そして、図示しないが、隣り合う分割体の水平片53dと底片53aの間にそれぞれ形成される隙間に矩形板状の連結プレートの各端部を挿入することで、これらの分割体は連結されている。
【0068】
また、本実施の形態では、
図3に示すように、遮光用シート定着フレーム53の底片53aは、上向きに凸となるように湾曲しており、斜板52の直線部52bの上端は、底片53aの下面における図左右両端よりも内側に接続されている。すると、遮光用シート定着フレーム53の溝内に雨水等が侵入した場合、その雨水等は遮光用シート定着フレーム53の底片53aの左右両端側に集まる。そして、斜板52の直線部52bは底片53aの左右両端よりも内側に位置しているので、遮光用シート定着フレーム53の底片53aの左右両端側に集まった雨水等は、斜板52の直線部52bの外側面(ビニールハウスHの屋外側の面)に流れる。よって、遮光用シート定着フレーム53の溝内に侵入した雨水等が底片53aの内側面(ビニールハウスHの屋内側の面)に回ってビニールハウスH内に侵入するのを防止できる。
【0069】
また、遮光用シート定着フレーム53は、
図3に示すように、屋根側シート定着フレーム51よりもアーチパイプP1から見て上方に配置されている。そのため、
図3の右側で示すように、巻取軸3が屋根側シート定着フレーム51の上方に位置するまで遮光用シート2を巻き取ることができる。したがって、巻取軸3が屋根側シート定着フレーム51の上方に位置するまで遮光用シート2を巻き取っておけば、遮光用シート2によって邪魔されることなく屋根側シートS3を屋根側シート定着フレーム51に対して張り替える作業をできる。つまり、屋根側シートS3の張り替え時に遮光用シート2を取り外す必要がないので、屋根側シートS3の張り替え作業の作業効率が向上する。
【0070】
加えて、
図3の右側で示すように、巻取軸3によってロール状に巻き取られてできるロール2Aは、アーチパイプP1の頂部側に格納されると、屋根側シート定着フレーム51の上方に位置するため、遮光用シート2のロール2Aの少なくとも一部が支持金具5と上下方向で重なる。したがって、遮光用シート2の格納時に、遮光用シート2のロール2AによってビニールハウスH内にできる影の大きさを小さくできるので、ビニールハウスH内への遮光用シート2のロール2Aの影による影響を最小限にできる。
【0071】
ただし、支持金具5が遮光用シート定着フレーム53を備えずに、支持金具5とは別の箇所に遮光用シート2が定着されていてもよい。
【0072】
また、
図3に示すように、支持金具5における屋根側シート定着フレーム51から遮光用シート定着フレーム53までの高さ方向の幅は、巻取軸3に最大限巻き取られた状態における遮光用シート2のロール2Aの半径以上になるように設定されている。そのため、アーチパイプP1の頂部側に格納された遮光用シート2のロール2Aが強風に煽られても、支持金具5が防壁となって遮光用シート2のロール2AがアーチパイプP1の頂部を挟んで反対側(
図3中左側)の側部側に移動するのを確実に阻止できる。
【0073】
また、遮光用シート2がアーチパイプP1の頂部側に格納される際、遮光用シート2のロール2Aは、
図3に示すように、屋根側シート定着フレーム51と遮光用シート定着フレーム53とを連結する斜板52の傾斜部52aに当接した状態となる。したがって、遮光用シート2がアーチパイプP1の頂部側に格納された状態から、遮光用シート2を巻取軸3から繰り出す際に、巻取軸3のアーチパイプP1の側部側への移動が斜板52の傾斜部52aによってガイドされるため、遮光用シート2を速やかに展開できる。
【0074】
また、
図3に示す実施の形態の遮光装置1の変形例の遮光装置1Aでは、支持金具5に代えて、
図4に示す支持金具5AをアーチパイプP1の頂部に取付けるとともに、遮光用シート2と屋根側シートS3との間に屋根側シート定着フレーム51を覆う防水シートS4が設けられている。なお、遮光装置1Aの基本的な構成は、
図3に示す実施の形態の遮光装置1と同様である。以下、
図3に示す実施の形態の遮光装置1と異なる部分についてのみ詳細に説明し、説明の重複を避けるため、共通の構成については同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0075】
図4に示す本変形例の支持金具5Aは、ビニールハウスHの奥行方向に沿って延びるフレーム状の部材であって、アーチパイプP1の頂部を挟んで両側に配置されるとともにアーチパイプP1にジョイント10を介して固定される一対の取付部50Aと、各取付部50A,50Aの上端にそれぞれ設けられる一対の屋根側シート定着フレーム51,51と、各屋根側シート定着フレーム51,51の上端から上向きに傾斜しながら延びる一対の斜板52A,52Aと、一対の斜板52A,52Aの上端に連結される遮光用シート定着フレーム53Aとを備える。
【0076】
防水シートS4は、
図4に示すように、遮光用シート2と屋根側シートS3との間に支持金具5Aの遮光用シート定着フレーム53Aを跨いで設けられ、中央部分が遮光用シート定着フレーム53Aに弾性部材16を介して定着されるとともに、ビニールハウスHの奥行方向から見て左右の端部がそれぞれ支持金具5Aの左右の屋根側シート定着フレーム51よりも下方に位置する状態で、各屋根側シート定着フレーム51に弾性部材17を介して定着されている。
【0077】
したがって、本変形例の遮光装置1Aでは、支持金具5Aの屋根側シート定着フレーム51が防水シートS4によって覆われるので、屋根側シート定着フレーム51の開口51d内に雨水等が侵入するのを確実に防止できる。よって、屋根側シート定着フレーム51の開口51d内に侵入した雨水等が、屋根側シート定着フレーム51の内側面に回って、ビニールハウスH内に雨水等が侵入する恐れがない。
【0078】
また、本変形例の遮光装置1Aでは、防水シートS4が、遮光用シート定着フレーム53Aを跨いで設置されているため、遮光用シート定着フレーム53Aも防水シートS4によって覆われる。そのため、遮光用シート定着フレーム53Aの溝に雨水等が侵入するのを防水シートS4によって確実に防止できる。よって、本変形例の遮光装置1Aでは、遮光用シート定着フレーム53Aの溝に侵入した雨水等が遮光用シート定着フレーム53Aの内側面に回って、ビニールハウスH内に雨水等が侵入する恐れがない。
【0079】
また、
図4に示す本変形例の遮光装置1Aでは、防水シートS4は、中央が遮光用シート定着フレーム53Aに定着され、左右両側が図中左右の屋根側シート定着フレーム51,51に定着されて、支持金具5Aに対して3箇所で定着されている。このように、防水シートS4を中央と左右の3箇所で支持金具5Aに定着する場合、防水シートS4の定着作業において、最初に防水シートS4の中央部を遮光用シート定着フレーム53Aに定着すると、防水シートS4の
図4中左側と右側の一部がそれぞれ自重で撓んで左右の屋根側シート定着フレーム51と上下に対向する。よって、防水シートS4の中央部を遮光用シート定着フレーム53Aに定着すれば、防水シートS4の屋根側シート定着フレーム51と上下に対向する部分を屋根側シート定着フレーム51に定着しやすくなり、防水シートS4を支持金具5に容易に定着できる。
【0080】
なお、防水シートS4における遮光用シート定着フレーム53Aに定着される部分は、防水シートS4の中央部でなくともよく、屋根側シート定着フレーム51を覆ってさえいれば、防水シートS4における遮光用シート定着フレーム53Aに定着される部分から各端部までの長さは
図4中左右で異なっていてもよい。
【0081】
ただし、防水シートS4の定着方法は上記方法には限定されず、例えば、防水シートS4が、
図4中左右の屋根側シート定着フレーム51,51のみに定着されてもよい。また、防水シートS4の長さは長くなるが、防水シートS4の各端部を上側の側面側フレームF1に定着するか、あるいは、アーチパイプP1の頂部と各側部の間に奥行方向に沿って延びるフレーム材を新たにそれぞれ設け、当該フレーム材に防水シートS4の各端部を定着させてもよい。
【0082】
つづいて、
図4に示す支持金具5Aの各部について、支持金具5と形状の異なる部分を詳細に説明する。支持金具5Aの一対の取付部50Aは、
図4に示すように、奥行方向から見て、それぞれ、屋根側シート定着フレーム51の底片51aの下端から屋根側シート定着フレーム51の底片51aの幅方向に沿って延びる傾斜片50Aaと、傾斜片50Aaの下端からアーチパイプP1の反頂部側に向けて延びてアーチパイプP1の上面に沿って傾斜してアーチパイプP1の上面に当接する底片50Abと、底片50AbのアーチパイプP1の反頂部側端からアーチパイプP1の頂部側に向けて斜めに起立する第一引掛け片50Acと、屋根側シート定着フレーム51の底片51aの内側面(ビニールハウスHの屋内側の面)から斜め下方に向けて起立するとともに先端がアーチパイプP1の反頂部側に向けて湾曲してアーチパイプP1の上面に当接する第二引掛け片50Adとを備える。
【0083】
そして、第一引掛け片50Acと第二引掛け片50Adにジョイント10を引掛けることで、支持金具5AをアーチパイプP1に取付けられるようになっている。
【0084】
本変形例の支持金具5Aの取付部50Aを
図3に示す支持金具5の取付部50と比べると、
図4に示す遮光装置1Aでは、防水シートS4を設けたことにより、支持金具5の奥行方向端部から雨水の水滴が支持金具5Aの内側面に回ることがなくなるため、底片50aと垂直片50bとからなる断面L字状の水受けを設ける必要がない。したがって、本変形例の取付部50Aは、ジョイント10を引掛け可能な部分を有していれば足りる。よって、本変形例では、取付部50Aをジョイント10が引掛けられる部分を有するだけのシンプルな形状にして、取付部50Aの断面積を小さくできるので、取付部50Aの成形に必要な材料を少なくできる。
【0085】
また、本変形例の支持金具5Aの一対の斜板52A,52Aは、
図4に示すように、各屋根側シート定着フレーム51,51の上側の側壁片51b,51bから互いに先端が接近する方向に傾斜しながら起立する傾斜部52Aaと、各傾斜部52Aaの先端から湾曲しながら垂直に延びて上端が遮光用シート定着フレーム53Aの底片53Aaの下面にそれぞれ接続される直線部52Abとを備える。
【0086】
また、本変形例の支持金具5Aの遮光用シート定着フレーム53Aは、
図4に示すように、奥行方向から見て、平板状であって斜板52Aの直線部52Abの上端が図中左右側両端に接続される底片53Aaと、底片53Aaの図中左右両端から起立して互いに先端が接近する方向に湾曲しながら傾斜する一対の起立片53Ab,53Abとを備える。そして、底片53Aaと一対の起立片53Ab,53Abとで、防水シートS4を定着する弾性部材16と遮光用シート2を定着する弾性部材13を嵌め込み可能な開口幅の狭い溝が形成されている。
【0087】
本変形例では、防水シートS4を設けたことにより、遮光用シート定着フレーム53Aの溝内に雨水等が侵入することがない。したがって、本変形例では、
図3に示すように、遮光用シート定着フレーム53の溝内に侵入した雨水等を斜板52の直線部52bの外側面に流すために、遮光用シート定着フレーム53の底片53aを上向きに凸となるように湾曲させたり、斜板52の直線部52bの上端を底片53aの左右両端よりも内側に位置させる必要ない。
【0088】
よって、本変形例によると、底片53Aaが平板状となるため、
図3に示す遮光用シート定着フレーム53よりも遮光用シート定着フレーム53Aの高さが低くなり、材料を削減できる。さらに、本変形例によると、斜板52Aと遮光用シート定着フレーム53Aの底片53Aaの形状をシンプルにできるため、支持金具5を形成するための金型の形状も複雑にならず、製造コストを削減できる。
【0089】
さらに、本変形例では、斜板52Aの直線部52Abの上端を遮光用シート定着フレーム53Aの底片53Aaの
図4中左右両端に接続しているため、斜板52Aにおける傾斜部52Aaと直線部52Abの形状の変化が緩やかとなる。よって、斜板52Aにおける傾斜部52Aaと直線部52Abの境に応力が集中しづらいため、支持金具5Aの耐久性が向上する。
【0090】
また、本変形例では、遮光用シート定着フレーム53Aの底片53Aaの
図4中左右両側に、斜板52Aの直線部52Abの上端が接続されているため、
図3に示すように、斜板52の直線部52bの上端が遮光用シート定着フレーム53の底片53aの底面における左右両端よりも内側に接続させる場合に比べて、遮光用シート定着フレーム53Aを支える支点間の距離が長くなる。よって、遮光用シート定着フレーム53Aが安定支持され、遮光用シート定着フレーム53Aのグラつきを抑制できる。
【0091】
また、本変形例の支持金具5Aは、
図4に示すように、各斜板52Aの傾斜片50Aaと直線部52Abの内側の境から互いに先端が対向するように水平に延びる一対の突起片54A,54Aを有している。そして、これらの突起片54,54と底片53Aaとの間には、前述した支持金具5Aの分割体同士を連結する矩形板状の連結プレートJが挿入される隙間が形成されている。
【0092】
なお、本変形例の遮光装置1Aでは、遮光装置1の支持金具5を支持金具5Aに置き換えているが、本変形例の遮光装置1Aにおいても、
図3に示す実施の形態の支持金具5が利用されてもよい。
【0093】
また、本実施の形態では、
図1,
図2に示すように、ビニールハウスHの側部間に遮光用シート2の上方でアーチパイプP1の長手方向に沿ってバンド4が架け渡されている。
【0094】
このように、遮光用シート2の上方にバンド4が配置されているので、遮光用シート2が風に煽られても、バンド4によって遮光用シート2がアーチパイプP1側に押さえつけられて、遮光用シート2のバタつきが防止される。
【0095】
また、本実施の形態では、
図1に示すように、バンド4が、ビニールハウスHの奥行方向に沿って所定の間隔を空けて3箇所に設置されているが、バンド4の設置数や設置間隔は特に限定されず、ビニールハウスHの奥行方向の長さやビニールハウスHを設置する地域の風の強さ等の気候条件に応じて適宜決定されればよい。
【0096】
詳細には、本実施の形態のバンド4は、
図1,
図2に示すように、弾性を有する幅広帯状であって、アーチパイプP1の頂部を跨いで各端部がビニールハウスHの側面の一部である各側部に設けられた上側の側面側フレームF1に定着されており、アーチパイプP1の頂部に対向する中央部が支持金具5の支持部としての遮光用シート定着フレーム53によってアーチパイプP1の頂部時から離間した位置で支持されている。
【0097】
ここで、上側の側面側フレームF1は、
図5に示すように、上下に並べて配置される2つの溝F1a,F1bを有するフレーム材である。なお、実際には下側の溝F1bには弾性部材を介して側面シートS1の上端が定着されているが、
図5では説明を分かりやすくするために、側面シートS1を省略している。
【0098】
そして、
図5に示すように、バンド4の各端部は、上側の側面側フレームF1の上側の溝F1aに取付けられた第2支持金具7によってビニールハウスHの側部から離間した屋外側に位置で支持されつつ、下側の溝F1bに波型の金属ばねからなる弾性部材15を介して定着されている。
【0099】
また、第2支持金具7は、ビニールハウスHの側部における巻取軸3によって最大限繰り出された状態(展開状態)の遮光用シート2の下端よりも下方に位置する上側フレームF1に定着されているので、遮光装置1の繰り出し時に巻取軸3が第2支持金具7に干渉することがない。
【0100】
詳細には、本実施の形態の第2支持金具7は、
図6に示すように、金属製の線材を屈曲して成形されており、略コ字状であって中央にバンド4より少し幅が広い凹部70aを有する第2支持部70と、第2支持部70の各端部に設けられて上側の側面側フレームF1の上側の溝F1aに定着可能な一対の定着部71,71とを備える。
【0101】
定着部71は、
図6に示すように、波型ばね状に形成されており、上側の側面側フレームF1の上側の溝F1aに挿入されると弾発力を発揮して上側の側面側フレームF1の上側の溝F1aに定着される。
【0102】
したがって、
図5に示すように、一対の定着部71,71を上側の側面側フレームF1の上側の溝F1aに定着することで、第2支持金具7は、支え部72を上側の溝F1aの開口から突出させた状態で、上側の側面側フレームF1に取付けられる。
【0103】
つづいて、バンド4の取付け方法について説明する。まず、アーチパイプP1の頂部に設置されて屋根側シートS3及び遮光用シート2が定着される支持金具5を跨いでバンド4をアーチパイプP1の長手方向に沿って架けておく。次に、バンド4の一端を、一方の上側の側面側フレームF1の上側の溝F1aに取付けられた第2支持金具7の第2支持部70の凹部70a内に収容して沿わせつつ、上側の側面側フレームF1の下側の溝F1b内に挿入する。この状態で、バンド4の上から弾性部材15を下側の溝F1b内に挿入して、弾性部材15の弾発力でバンド4の一端を上側の側面側フレームF1に定着する。
【0104】
この際、本実施の形態では、バンド4を第2支持金具7の第2支持部70に設けられた凹部70aに収容して、バンド4の横ズレを抑制した状態で、バンド4の端部を上側の側面側フレームF1に定着できるので、バンド4の取付け作業が容易となる。ただし、第2支持部70において凹部70aは省略されてもよい。
【0105】
その後、バンド4の他端についても、バンド4の一端と同様の手順で他方の上側の側面側フレームF1の下側の溝F1bに定着すると、バンド4はアーチパイプP1の頂部を跨いでビニールハウスHの奥行方向で左右に設けられる側面側フレームF1,F1間に架け渡される。
【0106】
この状態では、
図3に示すように、バンド4の中央部が、支持金具5の遮光用シート定着フレーム53によってアーチパイプP1の頂部から上方側に離間した位置で支持される。すると、アーチパイプP1の頂部付近において、バンド4は、支持金具5に支持されるためにアーチパイプP1から離間するので、支持金具5を備えない場合に比べて、特にアーチパイプP1の頂部付近においてバンド4が遮光用シート2をアーチパイプP1側に向けて押さえつける力(押付力)は小さくなる。よって、遮光装置1が、遮光用シート2を展開又は格納する際に、バンド4と遮光用シート2との間で生じる摩擦力及び遮光用シート2と巻取軸3との間で生じる摩擦力を低減できるので、遮光用シート2の劣化を抑制できる。加えて、遮光装置1が、遮光用シート2を展開又は格納する際に、巻取軸3の駆動に必要な力を低減できる。
【0107】
また、アーチパイプP1の頂部付近では、遮光用シート2のロール2Aの直径が最も大きくなるので、バンド4の押付力は特に大きくなる。そのため、支持金具5をアーチパイプP1の頂部に設置して、アーチパイプP1の頂部付近におけるバンド4の押付力を小さくすることで、バンド4と遮光用シート2との間で生じる摩擦力及び遮光用シート2と巻取軸3との間で生じる摩擦力を低減する効果が特に有効となる。
【0108】
さらに、バンド4の各端部は、それぞれ第2支持金具7によってビニールハウスHの側部から屋外側に離間した位置で支持されるので、第2支持金具7を設けていない場合に比べて、アーチパイプP1の側部付近においてもバンド4の押付力が小さくなる。よって、遮光装置1が、遮光用シート2を展開又は格納する際に、遮光用シート2と巻取軸3との間で生じる摩擦力をさらに低減できるので、遮光用シート2の劣化を抑制できる。加えて、遮光装置1が、遮光用シート2を展開又は格納する際に、巻取軸3の駆動に必要な力を低減できる。
【0109】
また、本実施の形態の遮光装置1では、第2支持金具7に代えて、
図7に示す形態の第2支持金具700を上側の側面側フレームF1に取付けてもよい。変形例の第2支持金具700は、
図7,
図8,
図9(A)に示すように、金属製の線材を屈曲して成形されており、上側の側面側フレームF1の上側の溝F1aに定着される一対の定着部710,710と、弾性を有して各定着部710の互いに対向する端部からビニールハウスHの屋外側に向けて起立する一対の起立部720,720と、起立部720の先端同士を接続するとともに中央にバンド4の横幅より少し幅が広い凹部730aを有して凹部730aでバンド4の一端を支持する支え部730とを備える。
【0110】
各起立部720は、
図7に示すように、定着部710の端部から直線状に起立する直線片720aと、直線片720aの先端から傾斜しながら延びる傾斜片720bとを備えている。
【0111】
そして、
図8,
図9(A)に示すように、傾斜片720bの先端を上側に向けて、一対の定着部710を上側の側面側フレームF1の溝F1aに定着させると、一対の直線片720a,720aは、各定着部710の端部からビニールハウスHの屋外側へ向けて延びてビニールハウスHの奥行方向に沿って並べて配置され、一対の傾斜片720b,720bは、各直線片720aの先端からビニールハウスHの頂部側に向けて傾斜する。
【0112】
よって、バンド4を支持する支え部730が一対の起立部720によって支えられるので、支持金具700が安定して、支持金具700のグラつきを防止できる。
【0113】
また、起立部720の先端には、バンド4の端部を支持する支え部730が設けられているため、バンド4が起立部720をビニールハウスH側に向けて押す力である押付力が作用するが、
図9(A)に示すように、直線片720aが起立部720の基端(直線片720aの基端)を通るアーチパイプP1の法線Lに沿うように配置されており、バンド4を直接支持している支え部730は法線LよりもビニールハウスHの頂部寄りに位置している。支え部730は、バンド4の張力を受けてアーチパイプP1へ向けて押圧されるが、支え部730がバンド4から受ける押付力の作用線が直線片720aの軸方向とずれるので、バンド4の押付力によって、定着部710との接続部である基端を支点として、ビニールハウスHの頂部側へ向けて倒すモーメントを受ける。
【0114】
ここで、本実施の形態では、バンド4は、支持金具5と第2支持金具700によってアーチパイプP1から離間した位置で支持されるとともに、支持金具5と第2支持金具700との間に配置される遮光用シート2のロール2Aによって屋外側に向けて押されている。よって、遮光用シート2のロール2Aの直径が大きくなると、その分だけ、バンド4がロール2AによってビニールハウスHの屋根面から遠ざかる方向へ押されるので、その反力でバンド4の押付力は大きくなり、反対に遮光用シート2のロール2Aの直径が小さくなるとバンド4の押付力は小さくなる。
【0115】
そのため、遮光装置1によって遮光用シート2がアーチパイプP1の頂部付近まで巻き取られて遮光用シート2のロール2Aの直径が大きくなり、バンド4の押付力が一定以上の大きさとなると、起立部720は、
図9(B)に示すように、定着部710との接続部である基端を支点としてアーチパイプP1の頂部側に向けて倒れるように弾性変形する。
【0116】
すると、バンド4の一端を支持する支え部730がバンド4の中央部を支持する支持金具5の支持部(遮光用シート定着フレーム53)側に接近し、その分だけバンド4が緩むので、バンド4の押付力が小さくなる。
【0117】
したがって、このように構成された第2支持金具700によると、遮光用シート2のロール2Aの直径が大きくなって、バンド4の押付力が特に大きくなる際に、起立部720がアーチパイプP1の頂部側に向けて倒れるように弾性変形して、バンド4の押付力を小さくできるので、バンド4と遮光用シート2との間で生じる摩擦力及び遮光用シート2と巻取軸3との間で生じる摩擦力を効果的に低減できる。
【0118】
また、第2支持金具700が弾性変形するタイミングは、線材の径の太さや起立部720の長さを変更することで適宜調整できる。
【0119】
なお、本変形例の第2支持金具700の形状は、起立部720の先端が起立部720の基端を通るアーチパイプP1の法線Lよりも上方に位置する限りにおいて特に限定されず、例えば、起立部720は、定着部710から上方に向けて弓なりに湾曲する形状或いは、定着部710から上方に向けて斜めに延びる形状であってもよい。
【0120】
なお、上述した第2支持金具7,700の形状は、一例であって、バンド4の端部をアーチパイプP1から離間した位置で支持できる限りにおいて、上述した形状には限定されない。また、第2支持金具7のビニールハウスHへの取付方法も上述した方法には限定されず、例えば、アーチパイプP1に直接連結してもよい。また、第2支持金具7,700は省略されてもよい。
【0121】
なお、バンド4の端部をアーチパイプP1の側部に取付ける方法は、上述した方法には限定されず、バンド4は側面側フレームF1以外の箇所に取付けられてもよい。
【0122】
また、本実施の形態では、1つのバンド4をアーチパイプP1の一方の側部から他方の側部にかけて架け渡しているが、アーチパイプP1の一方の側部から頂部にかけてと、アーチパイプP1の他方の側部から頂部にかけて1つずつバンド4を架け渡すようにしてもよい。このようにする場合は、バンド4の上端を支持金具5の遮光用シート定着フレーム53に定着すればよい。なお、バンド4を1枚のシート状、例えばネット状のシートとして、バンド4の各端部を各側面側フレームF1,F1に取付けて、バンド4がビニールハウスHの屋根面の全体を覆うようにしてもよい。
【0123】
また、本実施の形態では、
図1に示すように、複数のアーチパイプP1のうち所定の間隔を空けて配置される3つのアーチパイプP1に対して、屋根側シートS3の上からアーチパイプP1の頂部から各側部にかけてそれぞれゴム製の保護部材9が装着されている。
【0124】
すると、遮光装置1における遮光用シート2の展開又は格納時において、巻取軸3が保護部材9を介してアーチパイプP1上を転動するので、巻取軸3に巻き付けられた遮光用シート2がアーチパイプP1や屋根側シートS3に擦れて劣化するのを抑制できる。
【0125】
また、保護部材9が装着されているアーチパイプP1と保護部材9が装着されていないアーチパイプP1とでは高さが異なるため、巻取軸3は保護部材9が装着されているアーチパイプP1上のみを転動するようになるが、本実施の形態では、巻取軸3の各端部と中央付近を支持する3つのアーチパイプP1にそれぞれ保護部材9が装着している。そのため、巻取軸3は、軸方向中央と、軸方向中央から略等距離にある部分との3箇所でバランスよく支持されることになるため、巻取軸3が傾く恐れがない。
【0126】
なお、複数の保護部材9は、巻取軸3の高さ方向に対して等間隔に互いになるべく離間させて配置されるようにアーチパイプP1に装着されると、巻取軸3の傾きを抑制できる。
【0127】
また、巻取軸3が保護部材9を介さずにアーチパイプP1上を転動する場合、遮光用シート2或いは屋根側シートS3が雨で濡れていると、遮光用シート2が屋根側シートS3に密着して張り付いてしまうことがある。その場合、遮光用シート2を巻き取る際に巻取軸3の駆動に必要な力が大きくなってしまう。
【0128】
これに対して、本実施の形態のように、屋根側シートS3と遮光用シート2との間に保護部材9が設けられる場合、屋根側シートS3と遮光用シート2との間に隙間ができる。そのため、屋根側シートS3が雨で濡れた状態であっても、遮光用シート2が、屋根側シートS3に張り付いてしまうことがないので、遮光用シート2を巻き取る際に巻取軸3の駆動に必要な力が大きくなるのを防止できる。
【0129】
以下、本実施の形態の保護部材9の具体的な形状について説明する。本実施の形態の保護部材9は、
図10(A)に示すように、図中上向きに凸となる断面円弧状の凸部9aと、凸部9aの各端部から互いに下側外向きに傾斜する一対の位置決め部9b,9bと、各位置決め部9bの先端から外側に横向きに延びる一対の突出部9c,9cとを備える。
【0130】
そして、
図10(A)に示すように、一対の位置決め部9b,9b間にアーチパイプP1を嵌め込むようにして保護部材9をアーチパイプP1に屋根側シートS3の上から被せると、長手方向から見て短手方向の中央で屋根側シートS3と反アーチパイプ側に向けて膨らむ凸部9aとの間に隙間が形成される。
【0131】
この状態で、アーチパイプP1の長手方向に沿って所定の間隔で、
図10(B)に示すように、保護部材9の凸部9aを貫通してアーチパイプP1にビスVをねじ込むと、保護部材9がアーチパイプP1に対して連結されるので、保護部材9がアーチパイプP1からずれるのを防止できる。
【0132】
この際、ビスVの頭部Vaは、
図10(B)に示すように、凸部9aと屋根側シートS3との間に形成される隙間を押し潰すように凸部9aを変形させて、凸部9aに埋め込まれて隠れた状態となる。したがって、ビスVの頭部Vaによって、遮光用シート2が傷つけられてしまう恐れがない。
【0133】
その上、本実施の形態の保護部材9は、ゴム製であるため、ビスVの頭部Vaと屋根側シートS3の双方に密着するので、保護部材9がビスVを用いてアーチパイプP1に連結されても、ビニールハウスH内への雨水の侵入を防止できる。
【0134】
また、保護部材90は、
図11に示した変形例のように、ゴム製であって、アーチパイプP1の上面に沿って延びる底部91と、底部91の短手方向の一端である図中左端から起立して底部91との間に所定の間隔を空けて底部91を覆うカバー部92とを備えるものであってもよい。
【0135】
具体的には、底部91は、
図11に示すように、断面平板状の平板片91aと、平板片91aの各端部から互いに下側外向きに傾斜する一対の位置決め片91b,91bとを有する。また、カバー部92は、
図11中左側の位置決め片91bから内向きに傾斜しながら起立する起立片92aと、起立片92aの先端から
図11中右側に向けて平板片91aの
図11中右端と上下に対向する位置まで延びる平板状のカバー片92bとを有する。
【0136】
そして、
図11に示すように、一対の位置決め片91b,91b間にアーチパイプP1を嵌め込むようにして保護部材90をアーチパイプP1上に被せた状態で、底部91の平板片91aを貫通してアーチパイプP1にビスV1をねじ込むと、保護部材90がアーチパイプP1に対して連結されるので、保護部材90がアーチパイプP1からずれるのを防止できる。
【0137】
この際、ビスV1の頭部V1aは、
図11に示すように、カバー部92によって覆われた状態となるので、ビスV1の頭部V1aによって遮光用シート2が傷つけられてしまう恐れがない。
【0138】
また、底部91とカバー部92の間隔がビスV1の頭部V1aの高さ寸法以上に設定されているので、ビスV1の頭部V1aによってカバー部92が押し上げられて、保護部材90のカバー部92上を転動する巻取軸3が傾くのを防止できる。
【0139】
さらに、底部91の平板片91aとカバー部92のカバー片92bとの間隔の範囲内の高さ寸法の頭部V1aを有するビスV1であれば使用できるので、ビスV1の選択自由度が向上する。
【0140】
その上、本実施の形態の保護部材90は、ゴム製であるため、ビスV1の頭部V1aと屋根側シートS3の双方に密着するので、保護部材90がビスV1を用いてアーチパイプP1に連結されても、ビニールハウスH内への雨水の侵入を防止できる。
【0141】
さらに、本実施の形態の保護部材90には、
図11中右側の位置決め片91bの右端から内向きに起立する第一ストッパ93と、カバー片92bの
図11中右端から下側外向きに傾斜して先端が第一ストッパ93と対向する第二ストッパ94とが設けられており、カバー片92bに巻取軸3の荷重が作用してカバー部92が起立片92aの基端を起点として変形する場合に、第二ストッパ94が第一ストッパ93に当接して起立片92aのそれ以上の変形を抑制するようになっている。したがって、保護部材90を介してアーチパイプP1上を転動する巻取軸3の傾きを最小限にできる。
【0142】
なお、図示しないが、本実施の形態では、保護部材9,90の上端を支持金具5の屋根側シート定着フレーム51に定着し、保護部材9,90の下端を上側の側面側フレームF1に定着されているが、ビスV,V1のみでアーチパイプP1に固定されてもよい。
【0143】
また、上述した保護部材9,90の形状は一例であって、上述した形状には限定されず、例えば、保護部材9,90は、アーチパイプP1の外周に沿う断面円弧状のゴム材としてもよい。なお、本実施の形態の遮光装置1において、保護部材9,90は省略されてもよい。
【0144】
つづいて、巻取軸3を駆動する駆動装置6について詳細に説明する。本実施の形態では、遮光用シート2の各端部に取付けられる巻取軸3毎に駆動装置6が設けられている。本実施の形態の駆動装置6は、
図1に示すように、ビニールハウスHの地面Gに設置されるモータ60と、モータ60の動力を巻取軸3に伝達して遮光用シート2の巻取軸3への巻取り又は巻取軸3からの繰り出しを行う伝達機構とを備える。
【0145】
本実施の形態の伝達機構は、一端がモータ60の出力軸に連結されて周方向に回転可能であって軸方向に伸縮可能な伸縮ロッド61と、伸縮ロッド61の他端と巻取軸3の一端との間に設けられて伸縮ロッド61の周方向の回転運動を巻取軸3の回転運動に変換して巻取軸3に伝達する変換機構62とを有する。
【0146】
また、本実施の形態のモータ60は、
図1,
図12に示すように、ビニールハウスHの妻側の地面Gに対して、ホルダ8を介して、ビニールハウスHの奥行方向を軸にして軸回りに回転可能に取付けられている。この際、モータ60は、
図1に示すように、地面GにおけるビニールハウスHの出入り口と奥行方向で対向しない位置に設置されており、モータ60がビニールハウスHの出入り口の通行の妨げとならないようになっている。
【0147】
ホルダ8は、
図12に示すように、地面Gに対して長手方向がビニールハウスHの奥行方向に沿うように図示しないペグ等で固定される矩形平板状の固定片80と、固定片80の長手側の各端部から垂直に起立する一対の支持片81,81と、支持片81,81間に架け渡されてビニールハウスHの奥行方向に沿って延びる回転軸82とを備える。
【0148】
詳細には説明しないが、モータ60は、モータ60の回転速度を減速して出力する出力軸を有する減速機と一体に構成されている。また、本実施の形態のモータ60は、ホルダ8の回転軸82によって、ビニールハウスHの奥行方向に沿って回転可能に保持されている。
【0149】
なお、ホルダ8の地面Gへの固定方法は、ペグには限定されず、例えば、ビニールハウスH側を向く一方の支持片81を支柱パイプP2に固定してもよい。また、ホルダ8の構成は一例であって、上述した構成には限定されない。また、モータ60をビニールハウスHの奥行方向を軸として軸回りに回転可能に取付けできるのであれば、モータ60の地面Gへの取付方法は特に限定されない。
【0150】
次に、本実施の形態の伸縮ロッド61は、
図1,
図13に示すように、円筒状の外筒63と、外筒63内に軸方向に移動自在に挿入されるとともにモータ60の出力軸に連結される円筒状の内筒64とを備え、軸方向に伸縮可能に構成されている。
【0151】
さらに、伸縮ロッド61は、内筒64が外筒63に対して回転するのを防止する回り止め機構を備えており、モータ60を駆動すると、モータ60の出力軸に連結された内筒64だけでなく、外筒63も共に周方向に回転する。そのため、伸縮ロッド61は、モータ60の駆動を伝達する伝達軸としても機能する。なお、本実施の形態では、内筒64がモータ60の出力軸に連結されているが、外筒63をモータ60の出力軸に連結してもよい。
【0152】
詳細には、本実施の形態の回り止め機構は、
図13に示すように、外筒63の内周に軸方向に沿うように設けられる4つの凹部63bと、内筒64の外周に回転自在に設けられて各凹部63bに収容されるとともに凹部63bの内面を走行可能な4つのローラ64aとを備える。そして、モータ60が駆動して内筒64が回転しようとすると、ローラ64aが凹部63bの内面に当接して内筒64の外筒63に対する回転が規制されるので、内筒64と外筒63が共に周方向に回転する。
【0153】
具体的には、外筒63の内周には、
図13に示すように、軸方向に沿って延びる凸部63aが周方向で等間隔に4つ設けられており、周方向で隣り合う凸部63a,63a間に、それぞれ軸方向から見て四角状の凹部63bが形成されている。なお、各凸部63aの先端を通る円の直径は、内筒64の外径よりも大きくなるように設定されているので、伸縮ロッド61の伸縮時に、凸部63aが内筒64の外周に干渉するのを回避できる。
【0154】
また、各凸部63aの先端には、軸方向に沿って形成される長溝63cが設けられている。この長溝63cは、伸縮ロッド61の伸縮時に外筒63と内筒64の間に侵入した水を排出するとともに、伸縮ロッド61を軽量化するための肉抜きとして機能する。ただし、長溝63cは省略されてもよい。
【0155】
また、
図13に示すように、内筒64の外周に設けられる4つのローラ64aは、内筒64を径方向に貫通するとともに互いに軸方向に交差する向きで配置される2本の軸(図示せず)の各端部にそれぞれ回転自在に取付けられている。
【0156】
また、各ローラ64aの直径は、凹部63bの幅よりも僅かに短くなっている。そのため、各ローラ64aが外筒63の内周に設けられた凹部63b内に収容された状態で伸縮ロッド61が伸縮すると、各ローラ64aは凹部63bの内面を構成する凸部63aの側面上を走行できる。
【0157】
したがって、本実施の形態の回り止め機構では、内筒64の外筒63に対する回り止めを行うだけでなく、伸縮ロッド61の伸縮動作をローラ64aと凹部63bとによってガイドできる。
【0158】
また、本実施の形態では、内筒64の外周の軸方向で同じ箇所に設けられる4つのローラ64aを1つのローラ群Aとした場合に、このローラ群Aは、内筒64の外周に対して軸方向に所定の間隔で複数設けられている。そのため、ローラ群Aの数が1つである場合に比べて、伸縮ロッド61がより安定的に伸縮できる。ただし、ローラ群Aの数は1つであってもよい。また、ローラ群Aにおけるローラ64aの数も4つには限定されず、少なくとも凹部63bとローラ64aが1つずつ設けられていれば足りる。
【0159】
また、上述した伸縮ロッド61の回り止め機構の構成は、一例であって、内筒64の外筒63に対する回り止めが可能であれば特に限定されない。例えば、内筒64と外筒63をそれぞれ円形以外であって互いに嵌め合う形状に形成して、内筒64の外筒63に対する回り止めを行ってもよい。
【0160】
また、本実施の形態の変換機構62は、例えば、
図14に示すように、伸縮ロッド61の他端である外筒63に接続されて先端に45度をなす第1傘歯車62aを有する第1軸62bと、第1傘歯車62aに歯合する45度をなす第2傘歯車62cを外周に有する水平方向に延びる第2軸62dを備え、第2軸62dを巻取軸3に接続することで、伸縮ロッド61の回転運動を巻取軸3の回転運動に変換している。なお、上述した変換機構62の構成は一例であって、伸縮ロッド61の周方向の回転運動を巻取軸3の回転運動に変換できる限りにおいて、変換機構62の構造は特に限定されず、例えば、ウォームねじ機構を採用してもよい。
【0161】
つづいて、本実施の形態の遮光装置1の作動について詳細に説明する。まず、アーチパイプP1の頂部側に格納された遮光用シート2を展開する場合、モータ60を正方向に回転駆動させて、モータ60の出力軸に連結された伸縮ロッド61を正方向に回転させる。すると、この伸縮ロッド61の回転運動は変換機構62によって巻取軸3の回転運動に変換されるので、巻取軸3がアーチパイプP1の側部側に向けて転動する。
【0162】
そして、前述したように、モータ60はホルダ8を介してビニールハウスHの奥行方向を軸にして軸回りに回転自在に地面Gに取付けられているので、アーチパイプP1の頂部付近にある巻取軸3がアーチパイプP1の側部側に向けて転動すると、巻取軸3の移動に合わせてモータ60がビニールハウスHの奥行方向を軸に回転しつつ、モータ60と巻取軸3の距離が短くなるのに合わせて伸縮ロッド61が収縮する(
図2中左側及び
図15中右側を参照)。
【0163】
他方、展張された遮光用シート2をアーチパイプP1の頂部側まで格納する場合、モータ60を逆方向に回転駆動させて、モータ60の出力軸に連結された伸縮ロッド61を逆方向に回転させる。すると、この伸縮ロッド61の回転運動は変換機構62によって巻取軸3の回転運動に変換されて、巻取軸3がアーチパイプP1の頂部側に向けて転動する。
【0164】
そして、アーチパイプP1の側部側にある巻取軸3がアーチパイプP1の頂部側に向けて転動すると、巻取軸3の移動に合わせてモータ60がアーチパイプP1の奥行方向を軸に回転しつつ、モータ60と巻取軸3の距離が長くなるのに合わせて伸縮ロッド61が伸長する(
図2中右側及び
図15中左側を参照)。
【0165】
このように、本実施の形態では、変換機構62を介して巻取軸3の接続される伸縮ロッド61が、巻取軸3の転動に合わせてモータ60を軸に回転しながら伸縮するので、伸縮ロッド61は、巻取軸3の転動をガイドできる。
【0166】
よって、本実施の形態の遮光装置1によれば、伸縮ロッド61によって巻取軸3の転動をガイドして、巻取軸3がビニールハウスHの奥行方向で蛇行するのを防止しつつ、遮光用シート2を展開又は格納できる。
【0167】
また、本実施の形態の遮光装置1における遮光用シート2の格納時における遮光用シート2の巻取り速度は、モータ60の回転速度とトルクの特性によって決定されるが、遮光用シート2の巻取り速度を上げるために、モータ60の出力トルクを大きくする場合、モータ60が大型化しやすい。
【0168】
ここで、特許文献1の遮光装置のように、巻取軸の端部に直接モータを取付けた場合、モータは自身を巻取軸とともに上方へ移動させるための力を負担することになる。この場合に、モータの出力トルクを大きくするためにモータを大型化すると、モータの重量が増加する。そして、モータの重量増加はシートの展開時におけるシートの繰り出し速度を向上させる方向に働くが、シートの格納時におけるシートの巻取り速度を低下させる方向にも働く。
【0169】
さらに、巻取軸の端部に直接モータを連結する場合、モータの重量が増加すると、その分だけ巻取軸に取付けられたシートも引っ張られて伸びてしまって劣化する恐れがあるので、モータの大型化には限界がある。
【0170】
このように、従来のシート巻取り装置では、モータを大型化すると、かえってシートの巻取り速度が向上せずシートの劣化を招いてしまうという問題があるため、巻取軸の端部にモータを直接連結した遮光装置の場合、シートの繰り出し速度と巻取り速度の両方を向上させることは困難であった。
【0171】
これに対し、本実施の形態の遮光装置1では、モータ60が地面Gに設置されているため、巻取軸3にモータ60の荷重が作用しない。そのため、本実施の形態の遮光装置1によれば、モータ60の出力トルクを大きくするためにモータ60を大型化して、モータ60の重量が増加しても、モータ60の重量増加が遮光用シート2の格納時における遮光用シート2の巻取り速度を低下させることがない。さらに、巻取軸3にモータ60の荷重が作用しないので、モータ60の荷重によって遮光用シート2が引っ張られてしまうことがない。
【0172】
よって、本実施の形態の遮光装置1によれば、モータ60の大型化による重量増加を気にすることなく、モータ60の出力トルクを大きくできるので、遮光用シート2の繰り出し速度と巻取り速度の両方を向上させることができる。
【0173】
そして、このように遮光用シート2の繰り出し速度と巻取り速度の両方を向上できると、例えば、日差しが急に強くなった場合に、素早く遮光用シート2を展開できるので、植物の葉焼けの防止やビニールハウスH内の温度上昇を抑制することができる。
【0174】
なお、本実施の形態の遮光装置1では、モータ60が地面Gに設置されているが、
図16に示すように、モータ60はビニールハウスHの妻面に設置されてもよい。この場合であっても、モータ60の荷重が巻取軸3に作用しないので、出力トルクを大きくするためにモータ60を大型化して、遮光用シート2の繰り出し速度と巻取り速度の両方を向上させることができる。
【0175】
このように、モータ60をビニールハウスHの妻面に設置すると、モータ60が地面Gに設置される場合に比べて、モータ60と巻取軸3の距離が近くなるので、伸縮ロッド61の軸方向長さを短くできる。よって、伸縮ロッド61を軽量化できるので、遮光用シート2の巻取り速度を向上させることができる。また、伸縮ロッド61が短く軽量になることで伸縮ロッド61の運搬が容易となる。さらに、モータ60をビニールハウスHの妻面に設置すると、地面Gが雨でぬかるんだりしても、モータ60の設置位置がずれてしまう恐れがない。
【0176】
なお、モータ60のビニールハウスHの妻面への設置方法は、モータ60がビニールハウスHの奥行方向を軸にして回転可能に取付けされる限りにおいて、特に限定されない。本実施の形態では、前述したホルダ8を支柱パイプP2に固定し、モータ60をホルダ8を介してビニールハウスHの妻面に取付けている。
【0177】
ただし、上述した駆動装置6の構成は一例であって、駆動装置6の構成は巻取軸3を駆動できる限りにおいて、特に限定されず、巻取軸3の端部にモータ60を直接取付けてもよい。
【0178】
前述したように、本実施の形態の支持金具5は、奥行方向に並べて配置される複数のアーチパイプP1と、アーチパイプP1を頂部から側部にかけて覆う第1シートとしての遮光用シート2と、アーチパイプP1の奥行方向に沿って遮光用シート2の下端に取り付けられてアーチパイプP1上を転動して遮光用シート2を巻取りおよび繰り出す巻取軸3と、アーチパイプP1の長手方向に沿って設置されて遮光用シート2の上方から遮光用シート2をアーチパイプP1側へ押さえつけ可能なバンド4とを備えた簡易構築物としてのビニールハウスHに設置されてバンド4を支持するものであって、アーチパイプP1の頂部からバンド4を上方側に離間した位置で支持する支持部としての遮光用シート定着フレーム53を備えている。
【0179】
このように構成された支持金具5は、ビニールハウスHにおけるアーチパイプP1の頂部に取付けられると、バンド4をアーチパイプP1から離間できる。すると、遮光用シート2をアーチパイプP1側に向けて押さえつけるバンド4の力が小さくなる。よって、バンド4と遮光用シート2との間で生じる摩擦力及び巻取軸3と遮光用シート2との間で生じる摩擦力を低減できるので、巻取軸3がアーチパイプP1上を転動して遮光用シート2を巻取り又は繰り出す際に、遮光用シート2の劣化を抑制できる。加えて、巻取軸3が遮光用シート2を巻取り又は繰り出す際に、巻取軸3の駆動に必要な力を低減できる。
【0180】
また、特にアーチパイプP1の頂部付近では、遮光用シート2のロール2Aの直径が最も大きくなるので、バンド4が遮光用シート2をアーチパイプP1側に向けて押さえつける力も特に大きくなる。そのため、本実施の形態のように、アーチパイプP1の頂部に支持金具5を設置して、アーチパイプP1の頂部付近におけるバンド4の押付力を小さくすることで、バンド4と遮光用シート2との間で生じる摩擦力及び遮光用シート2と巻取軸3との間で生じる摩擦力を低減する効果が特に有効となる。
【0181】
なお、本実施の形態の支持金具5では、遮光用シート定着フレーム53がアーチパイプP1の頂部から最も離間した位置にあるため、遮光用シート定着フレーム53をバンド4を支持する支持部としているが、遮光用シート定着フレーム53とは別に支持部を設けてもよい。
【0182】
なお、本実施の形態では、支持金具5は、アーチパイプP1を頂部から側部にかけて覆う第1シートを遮光用シート2とする遮光装置1に利用されているが、支持金具5は、第1シートを屋根側シートS3として、屋根側シートS3の下端に屋根側シートS3の巻取りおよび繰り出しをする巻取軸3を取付けて、巻取軸3を駆動することで、ビニールハウスHの屋根面を開閉する換気装置に利用されてもよい。この場合であっても、屋根側シートS3をアーチパイプP1側に押え付け可能なバンド4をアーチパイプP1から離間させることができるので、第1シートを遮光用シート2とする場合と、同様に、屋根側シートS3の劣化の抑制と、巻取軸3の駆動に必要な力の低減を達成できる。
【0183】
なお、本実施の形態では、アーチパイプP1の起立部P1aとアーチ部P1bの境である肩部をアーチパイプP1の側部としているが、アーチパイプP1の側部は、アーチパイプP1の頂部から幅方向に離れた部分であればよく、アーチパイプP1の肩部以外の部分をアーチパイプP1の側部としてもよい。例えば、アーチパイプP1のアーチ部P1bの途中をアーチパイプP1の側部とする場合は、第1シートがアーチパイプP1の頂部からアーチ部P1bの途中までを覆うものであってもよい。
【0184】
また、本実施の形態の支持金具5は、アーチパイプP1の頂部の両側にそれぞれビニールハウスHの奥行方向に沿って配置されるとともに、アーチパイプP1の頂部を境にして幅方向に分割されて遮光用シート2よりもアーチパイプP1側に展張される第2シートとしての屋根側シートS3の頂部側端の定着が可能な一対の第2シート定着フレームとしての屋根側シート定着フレーム51を備えている。
【0185】
このように構成された支持金具5では、アーチパイプP1の頂部を境にして幅方向に分割して屋根側シートS3,S3をアーチパイプP1に展張できるため、屋根側シートS3,S3の一部が劣化や破損した場合に、劣化や破損のある一方の屋根側シートS3のみを張り替えれば済む。よって、ビニールハウスHの屋根面を1枚のシートで覆う場合に比べて、屋根側シートS3の張り替えの手間や材料費等の張り替えコストを削減できる。
【0186】
なお、ビニールハウスHの屋根面を1枚のシートで覆うようにする場合には、支持金具5は、屋根側シート定着フレーム51を備えなくともよい。このように、支持金具5が屋根側シート定着フレーム51を備えない場合、支持金具5は、ビニールハウスHに設置されるバンド4と対向するアーチパイプP1の頂部のみに設けられていればよいので、支持金具5の長手方向の長さを短くしてもよい。
【0187】
また、本実施の形態の支持金具5は、遮光用シート2を保持するとともに、屋根側シート定着フレーム51よりもアーチパイプP1から見て上方に配置されるビニールハウスHの奥行方向に沿う遮光用シート定着フレーム53を備えている。
【0188】
この構成によると、巻取軸3が屋根側シート定着フレーム51の上方に位置するまで遮光用シート2を巻き取ることができるので、屋根側シートS3の張り替え時に遮光用シート2を取り外す必要がなく、屋根側シートS3の張り替え作業の作業効率が向上する。
【0189】
さらに、このような支持金具5が設置されたビニールハウスHでは、アーチパイプP1の頂部側に格納された遮光用シート2のロール2Aは、屋根側シート定着フレーム51の上方に位置するため、遮光用シート2のロール2Aの少なくとも一部が支持金具5と上下方向で重なる。したがって、遮光用シート2の格納時に、遮光用シート2のロール2AによってビニールハウスH内にできる影の大きさを小さくできるので、ビニールハウスH内への遮光用シート2のロール2Aによる影の影響を最小限にできる。
【0190】
また、本実施の形態の支持金具5は、屋根側シート定着フレーム51から遮光用シート定着フレーム53までの高さ方向の幅が、巻取軸3によって最大限巻き取られた遮光用シート2のロール2Aの半径以上になっている。
【0191】
このように構成された支持金具5が、アーチパイプP1の頂部に取付けられていると、アーチパイプP1の頂部側に格納された状態の遮光用シート2のロール2Aが強風に煽られても、支持金具5が防壁となって遮光用シート2のロール2AがアーチパイプP1の頂部を挟んで反対の側部側に移動してしまうのを確実に防止できる。ただし、屋根側シート定着フレーム51から遮光用シート定着フレーム53までの高さ方向の幅は、遮光用シート2のロール2Aの半径未満であってもよい。その場合であっても、支持金具5がアーチパイプP1の頂部に取付けられていない場合に比べて、アーチパイプP1の頂部側に格納された状態の遮光用シート2のロール2AがアーチパイプP1の反対の側部側に移動してしまうのを抑制できる。
【0192】
また、本実施の形態の支持金具5は、アーチパイプP1の奥行き方向に沿うとともにアーチパイプP1の頂部を挟んで両側に配置されるとともにアーチパイプP1に固定される一対の取付部50,50を備えている。
【0193】
このように構成された支持金具5は、一対の取付部50がアーチパイプP1の頂部を挟んだ状態でアーチパイプP1に固定されるので、風で遮光用シート2や屋根側シートS3が煽られるなどして、支持金具5に対して奥行方向から見て左右に倒すような力が作用しても、支持金具5はアーチパイプP1に安定して支持され倒れることがない。ただし、取付部50は対をなしていなくともよく、1つの取付部50でアーチパイプP1の頂部の中央に固定されてもよい。
【0194】
また、本実施の形態の支持金具5は、遮光用シート定着フレーム53と一方の屋根側シート定着フレーム51とを連結する一方側斜板52と、遮光用シート定着フレーム53と他方の屋根側シート定着フレーム51とを連結する他方側斜板52とを備え、一方側斜板52と他方側斜板52は、遮光用シート定着フレーム側端同士の幅よりも屋根側シート定着フレーム側端同士の幅が広くなるように傾斜している。
【0195】
このように構成された支持金具5がアーチパイプP1の頂部に取付けられていると、遮光用シート2がアーチパイプP1の頂部側に格納された状態から、遮光用シート2を巻取軸3から繰り出す際に、巻取軸3のアーチパイプP1の側部側への移動が斜板52によってガイドされるため、遮光用シート2を速やかに展開できる。ただし、遮光用シート定着フレーム53と各屋根側シート定着フレーム51とを連結する部分である接続部分の形状は、特に限定されず、例えば、断面L字状に形成されてもよい。
【0196】
また、本実施の形態の支持金具5では、屋根側シート定着フレーム51は、屋根側シートS3の内部への挿入を可能とする開口51dを形成する一対の側壁片51b,51cを有し、アーチパイプP1の頂部側の側壁片51bは、屋根側シートS3の頂部側端と屋根側シート定着フレーム51の開口51dまでの余長部分S3aの長さが開口51dの幅よりも長くなるように屋根側シートS3を屋根側シート定着フレーム51に定着した状態で、余長部分S3aによって開口51dが覆われるように余長部分S3aをアーチパイプP1の側部側に向けて折り返すようになっている。
【0197】
このように構成された支持金具5では、屋根側シートS3の余長部分S3aによって開口51dが覆われるので、雨水等が開口51d内に侵入するのを防止できる。さらに、遮光用シート2の格納時と展開時において、巻取軸3が屋根側シートS3の余長部分S3a上を転動するので、巻取軸3に巻き付けられた遮光用シート2が屋根側シート定着フレーム51の側壁片51b,51cの端部によって傷つけられるのを防止できる。
【0198】
また、本実施の形態の遮光装置1は、アーチパイプP1上を転動して遮光用シート2を巻取り又は繰り出し可能な巻取軸3と、アーチパイプP1の長手方向に沿って設置されて上方から遮光用シート2を押さえつけ可能なバンド4とを備え、アーチパイプP1の頂部に上記支持金具5が取付けられている。
【0199】
このように構成された遮光装置1では、バンド4がアーチパイプP1の頂部から離間した位置で支持されて、バンド4がアーチパイプP1から離間するため、遮光用シート2をアーチパイプP1側に向けて押さえつけるバンド4の力が小さくなる。よって、巻取軸3と遮光用シート2との間で生じる摩擦力を低減できるので、巻取軸3がアーチパイプP1上を転動して遮光用シート2を巻取り又は繰り出す際に、遮光用シート2の劣化を抑制できる。加えて、巻取軸3が遮光用シート2を巻取り又は繰り出す際に、巻取軸3の駆動に必要な力を低減できる。
【0200】
また、特にアーチパイプP1の頂部付近では、遮光用シート2のロール2Aの直径が最も大きくなるので、バンド4が遮光用シート2をアーチパイプP1側に向けて押さえつける力も特に大きくなる。そのため、本実施の形態のように、アーチパイプP1の頂部に支持金具5が設置されていると、アーチパイプP1の頂部付近におけるバンド4の押付力を小さくすることで、バンド4と遮光用シート2との間で生じる摩擦力及び遮光用シート2と巻取軸3との間で生じる摩擦力を低減する効果が特に有効となる。
【0201】
また、本実施の形態の遮光装置1は、ビニールハウスHの側部における巻取軸3によって最大限繰り出された状態(展開状態)の遮光用シート2の下端よりも下方に設けられてバンド4の一端をビニールハウスHの側部から屋外側に離間した位置で支持する第2支持金具7を備えている。
【0202】
このように構成された遮光装置1では、バンド4の一端が第2支持金具7によってビニールハウスHの側部から離間した位置で支持されるので、第2支持金具7を備えない場合に比べて、アーチパイプP1の側部付近においてもバンド4が遮光用シート2をビニールハウスH側に向けて押さえつける力が小さくなる。よって、遮光装置1が、遮光用シート2を展開又は格納する際に、遮光用シート2と巻取軸3との間で生じる摩擦力をさらに低減できるので、遮光用シート2の劣化をより抑制できる。加えて、遮光装置1が、遮光用シート2を展開又は格納する際に、巻取軸3の駆動に必要な力をより低減できる。
【0203】
また、本実施の形態の遮光装置1では、変形例の第2支持金具700は、ビニールハウスHの側部に定着される定着部710と、弾性を有して定着部710からビニールハウスHの屋外側に向けて起立する起立部720と、起立部720の先端に設けられてバンド4の一端を支持する支え部730とを有し、起立部720の先端が起立部720の基端を通るアーチパイプP1の法線Lよりも上方に位置している。
【0204】
この構成によると、起立部720の先端に設けられてバンド4を直接支持している支え部730が起立部720の基端を通るアーチパイプP1の法線LよりもビニールハウスHの頂部寄りに位置している。そのため、支え部730は、バンド4の張力を受けてアーチパイプP1へ向けて押圧されるが、支え部730がバンド4から受ける押付力の作用線が直線片720aの軸方向とずれるので、起立部720はバンド4の押付力によって、定着部710との接続部である基端を支点として、ビニールハウスHの頂部側へ向けて倒すモーメントを受ける。
【0205】
したがって、遮光用シート2の格納時に遮光用シート2のロール2Aの直径が大きくなってバンド4の押付力が一定以上の大きさとなると、起立部720がアーチパイプP1の頂部側に向けて倒れるように弾性変形して、バンド4の一端を支持する支え部730がバンド4の中央部(アーチパイプP1の頂部と対向する部分)を支持する支持金具5の支持部(遮光用シート定着フレーム53)側に接近し、その分だけバンド4が緩むので、バンド4の押付力が小さくなる。
【0206】
よって、このように構成によると、遮光用シート2の格納時におけるバンド4の押付力が特に大きくなる際に、バンド4の押付力を小さくできるので、バンド4と遮光用シート2との間で生じる摩擦力及び遮光用シート2と巻取軸3との間で生じる摩擦力を効果的に低減できる。
【0207】
なお、本実施の形態では、第2支持金具7,700は、金属製の線材を屈曲して成形されているが、それ以外の方法で成形されてもよい。また、本実施の形態の遮光装置1においては、第2支持金具7,700は省略されてもよい。
【0208】
また、本実施の形態の遮光装置1は、アーチパイプP1における少なくとも巻取軸3が転動可能な範囲に装着されて巻取軸3に当接する保護部材9,90を備え、保護部材9,90は、複数のアーチパイプP1のうち少なくとも2つの前記アーチパイプP1に装着されている。
【0209】
このように構成された遮光装置1では、遮光用シート2の展開又は格納時において、巻取軸3が保護部材9,90を介してアーチパイプP1上を転動するので、巻取軸3に巻き付けられた遮光用シート2がアーチパイプP1や屋根側シートS3に擦れて劣化するのを抑制できる。また、少なくとも巻取軸3の軸方向で中央から略等距離にある部分を支持する2つのアーチパイプP1に保護部材9,90を装着すれば、巻取軸3が保護部材9,90によって傾くのを防止できる。
【0210】
また、本実施の形態の遮光装置1では、保護部材9は、ゴム製であって短手方向の中央に反アーチパイプ側に向けて膨らんでアーチパイプP1との間に隙間を形成する凸部9aを有している。
【0211】
このように構成された遮光装置1では、凸部9aを貫通してアーチパイプP1にビスVをねじ込んで、保護部材9をアーチパイプP1に連結すると、ビスVの頭部Vaが凸部9aを押し潰して変形させるので、頭部Vaが凸部9aに埋め込まれて隠れた状態となる。したがって、ビスVの頭部Vaによって遮光用シート2が傷つけられてしまう恐れがない。
【0212】
さらに、保護部材9がゴム製であるため、ビスVの頭部Vaと屋根側シートS3の双方に密着するので、保護部材9がビスVを用いてアーチパイプP1に連結されても、ビニールハウスH内への雨水の侵入を防止できる。
【0213】
また、本実施の形態の保護部材90は、ゴム製であって、アーチパイプP1の上面に沿って延びる底部91と、底部91の短手方向の一端から起立して底部91との間に所定の間隔を空けて底部91を覆うカバー部92とを有し、この間隔が底部91を貫通してアーチパイプP1にねじ込まれるビスV1の頭部V1aの高さ寸法以上となるものととしてもよい。
【0214】
このように構成された保護部材90においても、底部91を貫通してアーチパイプP1にビスV1をねじ込んで、保護部材9をアーチパイプP1に連結した場合に、ビスV1の頭部V1aはカバー部92によって覆われた状態となるので、ビスV1の頭部V1aによって遮光用シート2が傷付けられてしまう恐れがない。
【0215】
加えて、底部91とカバー部92の間隔がビスV1の頭部V1aの高さ寸法以上とされているので、ビスV1の頭部V1aによってカバー部92が押し上げられて、保護部材90上を走行する巻取軸3が傾いてしまう恐れがない。さらに、底部91とカバー部92の間隔の範囲内の高さ寸法の頭部V1aを有するビスV1を利用できるので、ビスV1の選択自由度が向上する。
【0216】
その上、保護部材90がゴム製であるため、ビスV1の頭部V1aと屋根側シートS3の双方に密着するので、保護部材90がビスV1を用いてアーチパイプP1に連結されても、ビニールハウスH内への雨水の侵入を防止できる。
【0217】
なお、保護部材9,90は、ゴム製でなくともよく、保護部材9,90の材質は遮光用シート2を傷つけない限りにおいて特に限定されない。また、本実施の形態の遮光装置1において、保護部材9,90は省略されてもよい。
【0218】
また、
図4に示す変形例のように、遮光装置1Aは、支持金具5Aの支持部としての遮光用シート定着フレーム53Aに支持されつつ遮光用シート2(第1シート)と屋根側シートS3(第2シート)との間に配置されて少なくとも屋根側シート定着フレーム51(第2シート定着フレーム)を覆う防水シートS4を備えてもよい。
【0219】
このように構成された遮光装置1では、支持金具5Aの屋根側シート定着フレーム51が防水シートS4によって覆われるので、屋根側シート定着フレーム51の開口51d内に雨水等が侵入するのを確実に防止できる。よって、屋根側シート定着フレーム51の開口51d内に侵入した雨水等が、屋根側シート定着フレーム51の内側面に回って、ビニールハウスH内に雨水等が侵入する恐れがない。
【0220】
また、本実施の形態では、ビニールハウスHのシート巻取り装置としての遮光装置1は、巻取軸3を駆動する駆動装置6が、ビニールハウスHの妻面又は地面Gに設置されるモータ60と、モータ60の動力を巻取軸3に伝達する伝達機構とを備えている。
【0221】
このように構成された遮光装置1では、モータ60がビニールハウスHの妻面又は地面Gに設置されているため、巻取軸3にはモータ60の荷重が作用しない。したがって、この遮光装置1によれば、モータ60の出力トルクを大きくするためにモータ60を大型化して、モータ60の重量が増加しても、モータ60の重量増加が遮光用シート2の格納時における遮光用シート2の巻取り速度を低下させることがない。さらに、巻取軸3にモータ60の荷重が作用しないので、モータ60の荷重によって遮光用シート2が引っ張られてしまうことがない。
【0222】
よって、本実施の形態の遮光装置1によれば、モータ60の大型化による重量増加を気にすることなく、モータ60の出力トルクを大きくできるので、遮光用シート2の繰り出し速度と巻取り速度の両方を向上させることができる。
【0223】
また、本実施の形態では、巻取軸3が巻き取るシートを遮光用シート2として、シート巻取り装置を遮光装置1としている。このようにシート巻取り装置が、遮光装置1であると、例えば、日差しが急に強くなった場合に、素早く遮光用シート2を展開できるので、植物の葉焼けの防止やビニールハウスH内の温度上昇の抑制をできる。
【0224】
ただし、シート巻取り装置は、巻取軸3が巻き取るシートを屋根側シートS3として、巻取軸3を駆動することでビニールハウスHの屋根面を開閉する換気装置であってもよい。このようにシート巻取り装置を換気装置とした場合、急に雨が降り出した場合などに、素早く屋根側シートS3を展開できるので、ビニールハウスH内に雨が降り込む時間を短くできる。また、気温が急上昇した場合には、素早く屋根側シートS3を格納し換気をすることでビニールハウスH内の温度上昇を抑制できる。
【0225】
また、本実施の形態の遮光装置1では、伝達機構は、一端がモータ60の出力軸に連結されて周方向に回転可能であって軸方向に伸縮可能な伸縮ロッド61と、伸縮ロッド61の他端と巻取軸3の一端との間に設けられて伸縮ロッド61の周方向の回転運動を巻取軸3の回転運動に変換して巻取軸3に伝達する変換機構62とを有し、モータ60は、ビニールハウスHの妻面又はビニールハウスHの妻側の地面Gに対して、ビニールハウスHの奥行方向を軸にして回転可能に取付けられている。
【0226】
このように構成された遮光装置1では、遮光用シート2の展開又は格納時において、巻取軸3の転動に合わせてモータ60がビニールハウスHの奥行方向を軸にして回転しつつ、モータ60と巻取軸3との間の距離の変化に合わせて伸縮ロッド61が伸縮する。したがって、巻取軸3の転動は伸縮ロッド61によってガイドされるので、巻取軸3がビニールハウスHの奥行方向で蛇行するのを防止できる。
【0227】
ただし、上述した伝達機構の構成は一例であって、モータ60の動力を巻取軸3に伝達できる限りにおいて、伝達機構の構成は特に限定されない。
【0228】
また、本実施の形態の遮光装置1では、伸縮ロッド61は、外筒63と、外筒63内に軸方向に移動自在に挿入される内筒64と、外筒63の内周に軸方向に沿うように設けられる凹部63bと、内筒64の外周に回転自在に設けられて凹部63b内に収容されるとともに凹部63bの内面を走行可能なローラ64aとを有している。
【0229】
このように構成された遮光装置1では、遮光用シート2の展開又は格納時における伸縮ロッド61の伸縮時において、ローラ64aと凹部63bによって内筒64と外筒63の回り止めがされるとともに、ローラ64aが凹部63bの内面を走行する。
【0230】
したがって、この構成によると、伸縮ロッド61をモータ60の駆動を変換機構62に伝達する伝達軸として機能させつつ、伸縮ロッド61の伸縮動作をスムーズにできるので、遮光用シート2の展開又は格納をスムーズに行える。
【0231】
ただし、伸縮ロッド61における外筒63と内筒64を回り止めする機構は、上記機構には限定されず、例えば、内筒64と外筒63をそれぞれ円形以外であって互いに嵌め合う形状に形成して、内筒64の外筒63に対する回り止めを行うことで、伸縮ロッド61をモータ60の駆動を変換機構62に伝達する伝達軸として機能させてもよい。
【0232】
また、本実施の形態の遮光装置1では、モータ60がビニールハウスHの妻側の地面Gに設置される場合、モータ60は、ビニールハウスHの出入り口と奥行方向で対向しない位置に設置されている。このように構成された遮光装置1では、ビニールハウスHの地面Gに設置されたモータ60が、出入り口の通行の妨げとならないようになっている。
【0233】
また、モータをビニールハウスHの妻面に設置する場合は、モータ60が地面Gに設置される場合に比べて、モータ60と巻取軸3の距離が近くなるので、伸縮ロッド61の軸方向長さを短くできる。よって、伸縮ロッド61を軽量化できるので、遮光用シート2の巻取り速度を向上させることができる。また、伸縮ロッド61が短く軽量になることで、伸縮ロッド61の運搬が容易となる。さらに、モータ60をビニールハウスHの妻面に設置すると、地面Gが雨でぬかるんだりしても、モータ60の設置位置がずれてしまう恐れがない。
【0234】
また、本実施の形態では、簡易構築物として、ビニールハウスHを例に説明したが、簡易構築物は温室や簡易型の倉庫等であってもよく、ビニールハウスHには限定されない。
【0235】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱なく改造、変形及び変更ができるのは当然である。
【符号の説明】
【0236】
1・・・遮光装置、2・・・遮光用シート(第1シート)、2A・・・ロール、3・・・巻取軸、4・・・バンド、5,5A・・・支持金具、7,700・・・第2支持金具、710・・・定着部、720・・・起立部、730・・・支え部、9,90・・・保護部材、9a・・・凸部、50・・・取付部、51・・・屋根側シート定着フレーム(第2シート定着フレーム)、51b,51c・・・側壁片、51d・・・開口、52・・・斜板、53・・・遮光用シート定着フレーム(支持部、第1シート定着フレーム)、91・・・底部、92・・・カバー部、H・・・ビニールハウス(簡易構築物)、P1・・・アーチパイプ、S3・・・屋根側シート(第2シート)、S3a・・・余長部分、S4・・・防水シート、V,V1・・・ビス、Va,V1a・・・頭部