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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132025
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ウォーターサーバー
(51)【国際特許分類】
   B67D 3/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B67D3/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042645
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】316003276
【氏名又は名称】株式会社コスモライフ
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100127340
【弁理士】
【氏名又は名称】飛永 充啓
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】荒川 眞吾
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA01
3E082BB01
3E082EE01
3E082EE02
(57)【要約】
【課題】筐体の内部に位置する常温水タンクを有し、美味しい常温水を利用可能なウォーターサーバーを提供する。
【解決手段】冷水流路19に設けられた冷水開閉弁20aと、常温水流路25に設けられた常温水開閉弁20bと、冷水流路19と常温水流路25とが合流する合流部26と、合流部26から水出口28に飲料水を出水させる出水流路27とを有し、常温水出水操作部4bが操作されたときに常温水開閉弁20bが開弁するとともに冷水開閉弁20aも同時に開弁するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体(3)と、
前記筐体(3)の内部に配置された冷水タンク(8)と、
前記冷水タンク(8)に収容された飲料水を冷却する冷却装置(18)と、
前記冷水タンク(8)から低温の飲料水を流出させる冷水流路(19)と、
前記冷水流路(19)に設けられた冷水開閉弁(20a)と、
冷水を出水するためにユーザーが操作する冷水出水操作部(4a)と、
前記筐体(3)の内部に配置された常温水タンク(7)と、
前記常温水タンク(7)から常温の飲料水を流出させる常温水流路(25)と、
前記常温水流路(25)に設けられた常温水開閉弁(20b)と、
常温水を出水するためにユーザーが操作する常温水出水操作部(4b)と、
前記冷水流路(19)と前記常温水流路(25)とが合流する合流部(26)と、
前記合流部(26)から前記筐体(3)の外部に開口する水出口(28)に飲料水を出水させる出水流路(27)と、を有し、
前記常温水出水操作部(4b)が操作されたときに前記常温水開閉弁(20b)が開弁するとともに前記冷水開閉弁(20a)も同時に開弁するように構成されているウォーターサーバー。
【請求項2】
前記常温水タンク(7)の下側に配置された温水タンク(9)と、
前記常温水タンク(7)から前記温水タンク(9)に飲料水を導入するように前記温水タンク(9)と前記常温水タンク(7)の間を連通するタンク接続管(21)と、
前記温水タンク(9)に収容された飲料水を加熱する加熱装置(22)と、
前記温水タンク(9)から高温の飲料水を流出させる温水流路(23)と、を更に有する請求項1に記載のウォーターサーバー。
【請求項3】
前記冷水出水操作部(4a)および前記常温水出水操作部(4b)は、それぞれユーザーによる操作を電気的に検出するように構成され、
前記冷水開閉弁(20a)および前記常温水開閉弁(20b)は、それぞれ通電により開弁する電磁開閉弁であり、
前記冷水出水操作部(4a)および前記常温水出水操作部(4b)からの信号に基づいて前記冷水開閉弁(20a)および前記常温水開閉弁(20b)を制御する制御部(29)を更に有し、
前記制御部(29)は、前記冷水出水操作部(4a)の操作が検出されたときは前記冷水開閉弁(20a)を開弁させ、一方、前記常温水出水操作部(4b)の操作が検出されたときは前記常温水開閉弁(20b)を開弁させるとともに前記冷水開閉弁(20a)も同時に開弁させる制御を行なう請求項1または2に記載のウォーターサーバー。
【請求項4】
前記冷水出水操作部(4a)は、非操作位置と冷水出水操作位置との間で移動可能に支持された操作部材であり、
前記常温水出水操作部(4b)は、非操作位置と常温水出水操作位置との間で移動可能に支持された操作部材であり、
ユーザーが前記冷水出水操作部(4a)を非操作位置から冷水出水操作位置に移動させたときにその操作力を前記冷水開閉弁(20a)に伝達する冷水操作力伝達経路(34)と、
ユーザーが前記常温水出水操作部(4b)を非操作位置から常温水出水操作位置に移動させたときにその操作力を前記常温水開閉弁(20b)に伝達する常温水操作力伝達経路(42)と、
前記冷水操作力伝達経路(34)と前記常温水操作力伝達経路(42)を連結する連結部(46)とを更に有し、
前記連結部(46)は、前記常温水操作力伝達経路(42)から前記冷水操作力伝達経路(34)にユーザーの操作力を伝達するが、前記冷水操作力伝達経路(34)から前記常温水操作力伝達経路(42)にはユーザーの操作力を伝達しないように構成されている請求項1または2に記載のウォーターサーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ウォーターサーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主にオフィスや病院などでウォーターサーバーが利用されてきたが、近年、水の安全や健康への関心の高まりから、一般家庭にもウォーターサーバーが普及しつつある。ウォーターサーバーは、一般に、筐体と、筐体の内部に配置された冷水タンクと、冷水タンクに収容された飲料水を冷却する冷却装置と、冷水タンクから低温の飲料水を流出させる冷水流路とを有し、その冷水流路に設けられた冷水開閉弁を開弁することで、いつでもすぐに美味しい冷水を利用することができ、優れた利便性をもつ(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、胃に優しい水や、薬を服用するための水として、常温の飲料水をウォーターサーバーで利用したいというニーズが高くなっている。このニーズに応えるため、特許文献1のウォーターサーバーにおいては、冷水タンクとは別に、常温水タンクと、常温水タンクから常温の飲料水を流出させる常温水流路とを設け、その常温水流路に設けられた常温水開閉弁を開弁することで、常温の飲料水を出水させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-131296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本願の発明者が、筐体の外部ではなく、筐体の内部に常温水タンクを配置したレイアウトのウォーターサーバーを社内で試作評価したところ、常温水タンク内の飲料水の温度が、想定される温度よりも高くなるという問題に気付いた。すなわち、常温水タンクを、ウォーターサーバーの筐体の内部に配置する場合、ウォーターサーバーの筐体の内部は、冷水タンクを冷却する冷却装置の排熱やそれ以外の電気部品の排熱で、外気よりも高い温度となっている。そのため、筐体の内部に位置する常温水タンクがあたためられ、常温水タンクに収容された飲料水の温度が比較的高いものとなるおそれがある。この場合、ユーザーがイメージする常温水の温度よりも、実際に常温水タンクから出水される飲料水の温度が高くなり、飲料水が美味しく感じられなくなるという問題に発明者は着目した。
【0006】
そこで、常温水タンクの飲料水の温度を下げるため、常温水タンクを冷却する専用の冷却装置を追加して設けることも考えられるが、そのようにした場合、ウォーターサーバーの筐体が大型化し、家庭の限られた空間が狭くなってしまうという問題がある。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、筐体の内部に位置する常温水タンクを有し、美味しい常温水を利用可能なウォーターサーバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明では、以下の構成のウォーターサーバーを提供する。
[構成1]
筐体と、
前記筐体の内部に配置された冷水タンクと、
前記冷水タンクに収容された飲料水を冷却する冷却装置と、
前記冷水タンクから低温の飲料水を流出させる冷水流路と、
前記冷水流路に設けられた冷水開閉弁と、
冷水を出水するためにユーザーが操作する冷水出水操作部と、
前記筐体の内部に配置された常温水タンクと、
前記常温水タンクから常温の飲料水を流出させる常温水流路と、
前記常温水流路に設けられた常温水開閉弁と、
常温水を出水するためにユーザーが操作する常温水出水操作部と、
前記冷水流路と前記常温水流路とが合流する合流部と、
前記合流部から前記筐体の外部に開口する水出口に飲料水を出水させる出水流路と、を有し、
前記常温水出水操作部が操作されたときに前記常温水開閉弁が開弁するとともに前記冷水開閉弁も同時に開弁するように構成されているウォーターサーバー。
【0009】
この構成を採用すると、ユーザーが常温水の出水操作をしたときに、常温水開閉弁が開弁して常温水タンクから常温の飲料水が流出するとともに、冷水開閉弁も開弁して冷水タンクから低温の飲料水が流出し、その常温の飲料水と低温の飲料水とが合流部で混合された後、出水流路の水出口から筐体の外部に出水される。そのため、冷水タンクを冷却する冷却装置の排熱やそれ以外の電気部品の排熱で、筐体の内部の温度が外気よりも高い温度となり、それに伴い、筐体の内部に位置する常温水タンクの飲料水の温度が上昇したときにも、ユーザーがイメージする温度の常温水を出水することが可能であり、美味しい常温水を利用することが可能である。
【0010】
[構成2]
前記常温水タンクの下側に配置された温水タンクと、
前記常温水タンクから前記温水タンクに飲料水を導入するように前記温水タンクと前記常温水タンクの間を連通するタンク接続管と、
前記温水タンクに収容された飲料水を加熱する加熱装置と、
前記温水タンクから高温の飲料水を流出させる温水流路と、を更に有する構成1に記載のウォーターサーバー。
【0011】
この構成を採用したウォーターサーバーは、常温水タンクがタンク接続管を介して温水タンクと連通しているので、温水タンクからタンク接続管を介して常温水タンクに伝わる熱によって、常温水タンクに収容された飲料水の温度が上昇しやすい。そのため、この発明を適用すると特に好適である。
【0012】
[構成3]
前記冷水出水操作部および前記常温水出水操作部は、それぞれユーザーによる操作を電気的に検出するように構成され、
前記冷水開閉弁および前記常温水開閉弁は、それぞれ通電により開弁する電磁開閉弁であり、
前記冷水出水操作部および前記常温水出水操作部からの信号に基づいて前記冷水開閉弁および前記常温水開閉弁を制御する制御部を更に有し、
前記制御部は、前記冷水出水操作部の操作が検出されたときは前記冷水開閉弁を開弁させ、一方、前記常温水出水操作部の操作が検出されたときは前記常温水開閉弁を開弁させるとともに前記冷水開閉弁も同時に開弁させる制御を行なう構成1または2に記載のウォーターサーバー。
【0013】
[構成4]
前記冷水出水操作部は、非操作位置と冷水出水操作位置との間で移動可能に支持された操作部材であり、
前記常温水出水操作部は、非操作位置と常温水出水操作位置との間で移動可能に支持された操作部材であり、
ユーザーが前記冷水出水操作部を非操作位置から冷水出水操作位置に移動させたときにその操作力を前記冷水開閉弁に伝達する冷水操作力伝達経路と、
ユーザーが前記常温水出水操作部を非操作位置から常温水出水操作位置に移動させたときにその操作力を前記常温水開閉弁に伝達する常温水操作力伝達経路と、
前記冷水操作力伝達経路と前記常温水操作力伝達経路を連結する連結部とを更に有し、
前記連結部は、前記常温水操作力伝達経路から前記冷水操作力伝達経路にユーザーの操作力を伝達するが、前記冷水操作力伝達経路から前記常温水操作力伝達経路にはユーザーの操作力を伝達しないように構成されている構成1または2に記載のウォーターサーバー。
【発明の効果】
【0014】
この発明のウォーターサーバーは、ユーザーが常温水の出水操作をしたときに、常温水開閉弁が開弁して常温水タンクから常温の飲料水が流出するとともに、冷水開閉弁も開弁して冷水タンクから低温の飲料水が流出し、その常温の飲料水と低温の飲料水とが合流部で混合された後、出水流路の水出口から筐体の外部に出水される。そのため、冷水タンクを冷却する冷却装置の排熱やそれ以外の電気部品の排熱で、筐体の内部の温度が外気よりも高い温度となり、それに伴い、筐体の内部に位置する常温水タンクの飲料水の温度が上昇したときにも、ユーザーがイメージする温度の常温水を出水することが可能であり、美味しい常温水を利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の第1実施形態のウォーターサーバーの正面図
図2図1のウォーターサーバーを右側から見た断面図
図3図2の常温水タンクおよび冷水タンクの近傍の拡大図
図4図3の常温水タンクおよび冷水タンクを正面側から見た断面図
図5図4のV-V線に沿った断面図
図6図4のVI-VI線に沿った断面図
図7図1に示すウォーターサーバーの制御部のブロック図
図8】この発明の第2実施形態を図3に対応して示す図
図9図8の冷水出水操作部および冷水開閉弁の近傍の拡大図
図10図9を上側から見た断面図
図11図9を前側から見た断面図
図12図10に示す常温水出水操作部を非操作位置から常温水出水操作位置に移動させたときの図9に示す冷水出水操作部および冷水開閉弁の動作を示す図
図13図10に示す冷水出水操作部を非操作位置から冷水出水操作位置に移動させたときの図9に示す冷水出水操作部および冷水開閉弁の動作を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に、この発明の第1実施形態のウォーターサーバーを示す。このウォーターサーバーは、水道水などの原水を原水タンク1に入れ、その原水タンク1の原水を浄水フィルタカートリッジ2(図2参照)で濾過して生成される浄水を飲料水として使用する浄水タイプのウォーターサーバーである。筐体3の前面側には、冷水を出水するためにユーザーが操作する冷水出水操作部4aと、常温水を出水するためにユーザーが操作する常温水出水操作部4bと、温水を出水するためにユーザーが操作する温水出水操作部4cとが設けられている。
【0017】
図2に示すように、ウォーターサーバーは、筐体3と、原水タンク1と、交換式の浄水フィルタカートリッジ2と、原水タンク1と浄水フィルタカートリッジ2の間を連通する原水管5と、原水管5の途中に設けられた電動ポンプ6と、筐体3の内部に配置された常温水タンク7および冷水タンク8および温水タンク9(図4参照)とを有する。筐体3は床面Fに設置されている。
【0018】
筐体3は、上下方向に延びる筒部10と、筒部10の上端に設けられた天板11と、筒部10の下端に設けられた底板12とを有する。原水タンク1は、天板11に着脱可能にセットされている。天板11には、原水管5の上流側の端部の原水導入口13が設けられている。原水タンク1にはタンク開閉弁14が設けられている。タンク開閉弁14は、原水タンク1を天板11から持ち上げた状態では、原水タンク1の内部と外部の連通を遮断し、原水タンク1を天板11にセットした状態では、原水タンク1の内部を原水導入口13に連通させる開閉弁である。
【0019】
電動ポンプ6は、原水タンク1の側から原水を吸い込み、その原水を浄水フィルタカートリッジ2の側に吐出することで、原水管5内の原水を、原水タンク1の側から浄水フィルタカートリッジ2の側に移送する。浄水フィルタカートリッジ2と常温水タンク7との間は浄水管15で接続され、浄水フィルタカートリッジ2で濾過して生成される浄水が、浄水管15を通って常温水タンク7に導入されるようになっている。
【0020】
図3に示すように、常温水タンク7には、空気と浄水とが、上下二層に収容されている。常温水タンク7には、常温水タンク7内の水位を検知する水位センサ16が設けられている。この水位センサ16からの信号に基づいて、電動ポンプ6(図2参照)は制御される。電動ポンプ6は、常温水タンク7内の水位が所定の水位よりも低いことが水位センサ16で検知されたときに作動する。
【0021】
冷水タンク8は、常温水タンク7の下側に配置されている。冷水タンク8と常温水タンク7は、タンク接続管17を介して接続されている。タンク接続管17は、常温水タンク7から冷水タンク8に浄水を導入するように冷水タンク8と常温水タンク7の間を連通している。冷水タンク8には、冷水タンク8に収容された浄水を冷却する冷却装置18が取り付けられている。冷水タンク8内の浄水は、冷却装置18によって所定の低温(例えば10℃以下)に保たれる。
【0022】
冷却装置18は、筐体3の内部に配置されたコンプレッサ(図示せず)と、コンプレッサで圧縮された高温の冷媒の放熱を行なう図示しない放熱器(図示せず)と、放熱器を通過した後に減圧された低温の冷媒で冷水タンク8を冷却する冷却管とを有する。冷却管は、冷水タンク8の外周に巻回されている。放熱器は、冷媒用の配管を蛇行して固定した網板状の部材であり、図1に示す筐体3の背面に沿って取り付けられる。
【0023】
図3に示すように、冷水タンク8の底面には、冷水タンク8から低温の浄水を流出させる冷水流路19の上流端が接続されている。冷水流路19には、冷水開閉弁20が設けられている。冷水開閉弁20を開弁すると、冷水タンク8内の低温の浄水が、冷水タンク8の上方に位置する常温水タンク7内の浄水の自重によって押し出され、冷水流路19を通って流出する。このとき、冷水タンク8から流出する浄水と同量の浄水が、タンク接続管17を通って常温水タンク7から冷水タンク8に流入し、冷水タンク8は常に満水状態に保たれる。
【0024】
図4図5に示すように、温水タンク9は、常温水タンク7の下側に配置されている。温水タンク9と常温水タンク7は、タンク接続管21を介して接続されている。タンク接続管21は、常温水タンク7から温水タンク9に浄水を導入するように温水タンク9と常温水タンク7の間を連通している。温水タンク9には、温水タンク9に収容された浄水を加熱する加熱装置22(図5参照)が取り付けられている。温水タンク9内の浄水は、加熱装置22によって所定の高温(例えば80℃以上)に保たれる。
【0025】
温水タンク9の上面には、温水タンク9から高温の浄水を流出させる温水流路23の上流端が接続されている。温水流路23には、温水開閉弁20cが設けられている。温水開閉弁20cを開弁すると、温水タンク9内の浄水が、温水タンク9の上方に位置する常温水タンク7内の浄水の自重によって押し出され、温水流路23を通って流出する。このとき、温水タンク9から流出する浄水と同量の浄水が、タンク接続管21を通って常温水タンク7から温水タンク9に流入し、温水タンク9は常に満水状態に保たれる。
【0026】
図4図6に示すように、常温水タンク7の底面には、常温水タンク7から常温の飲料水を流出させる常温水流路25の上流端が接続されている。常温水流出路には、常温水開閉弁20bが設けられている。常温水開閉弁20bを開弁すると、常温水タンク7内の浄水が、その自重によって押し出され、常温水流路25を通って流出する。
【0027】
図1に破線で示すように、このウォーターサーバーは、冷水流路19(図3参照)の下流端と温水流路23(図5参照)の下流端と常温水流路25(図6参照)の下流端とが合流する合流部26と、合流部26から下方に延びて水出口に至る出水流路27とを有する。出水流路27は、上下方向に延びる流路である。出水流路27の上端は合流部26に接続し、出水流路27の下端は、筐体3の外部に開口する水出口28を形成している。
【0028】
冷水出水操作部4a、常温水出水操作部4b、温水出水操作部4cは、それぞれ、ユーザーによる操作を電気的に検出するように構成された押ボタンスイッチである。また、冷水開閉弁20a、常温水開閉弁20b、温水開閉弁20cは、それぞれ、通電したときに開弁し、通電を停止したときに閉弁する電磁開閉弁である。これらの開閉弁の作動は、図7に示す制御部29で制御される。制御部29には、冷水出水操作部4aから、ユーザーによる冷水の出水操作があったか否かを示す信号が入力され、常温水出水操作部4bから、ユーザーによる常温水の出水操作があったか否かを示す信号が入力され、温水出水操作部4cから、ユーザーによる温水の出水操作があったか否かを示す信号が入力される。また、制御部29からは、冷水開閉弁20a、常温水開閉弁20b、温水開閉弁20cを駆動するための信号が出力される。
【0029】
図7に示す制御部29は、冷水出水操作部4aからユーザーによる冷水の出水操作があったことを示す信号が入力されたときは、冷水開閉弁20a、常温水開閉弁20b、温水開閉弁20cのうち、冷水開閉弁20aのみを開弁させる制御を行なう。このとき、図3に示すように、冷水タンク8の低温の浄水が、冷水流路19、合流部26、出水流路27を順に通って水出口28から出水する。
【0030】
同様に、図7に示す制御部29は、温水出水操作部4cからユーザーによる温水の出水操作があったことを示す信号が入力されたときは、冷水開閉弁20a、常温水開閉弁20b、温水開閉弁20cのうち、温水開閉弁20cのみを開弁させる制御を行なう。このとき、図5に示すように、温水タンク9の高温の浄水が、温水流路23、合流部26、出水流路27(図1参照)を順に通って水出口28(図1参照)から出水する。
【0031】
また、図7に示す制御部29は、常温水出水操作部4bからユーザーによる常温水の出水操作があったことを示す信号が入力されたときは、冷水開閉弁20a、常温水開閉弁20b、温水開閉弁20cのうち、常温水開閉弁20bを開弁させるとともに、冷水開閉弁20aを同時に開弁させる制御を行なう。このとき、図6に示す常温水タンク7の常温の浄水が常温水流路25を通って流出するとともに、図3に示す冷水タンク8の低温の浄水が冷水流路19を通って流出し、その常温の浄水と低温の浄水とが合流部26で混合した後、出水流路27を通って水出口28から出水する。
【0032】
ところで、このウォーターサーバーは、図2に示すように、常温水タンク7が、筐体3の外部ではなく、筐体3の内部に配置されている。一方、筐体3の内部は、冷水タンク8を冷却する冷却装置18のコンプレッサや放熱器から排出される排熱やそれ以外の電気部品の排熱で、外気よりも高い温度となっている。そのため、筐体3の内部に位置する常温水タンク7があたためられ、常温水タンク7に収容された浄水の温度が比較的高いものとなるおそれがある。また、図5に示すように、常温水タンク7がタンク接続管21を介して温水タンク9と連通しているので、温水タンク9からタンク接続管21を介して常温水タンク7に伝わる熱によっても、常温水タンク7に収容された浄水の温度が上昇しやすい。この場合、常温水タンク7から流出する浄水を、そのまま図1に示す水出口28から出水させたのでは、ユーザーがイメージする常温水の温度よりも、実際に常温水タンク7から出水される浄水の温度が高くなり、水が美味しく感じられなくなるという問題が生じる。
【0033】
この問題に対して、このウォーターサーバーは、ユーザーが常温水の出水操作をしたときに、図6に示す常温水開閉弁20bが開弁して常温水タンク7から常温の飲料水が流出するとともに、図3に示す冷水開閉弁20aも開弁して冷水タンク8から低温の飲料水が流出し、その常温の飲料水と低温の飲料水とが合流部26で混合された後、出水流路27の水出口28から筐体3の外部に出水される。そのため、冷水タンク8を冷却する冷却装置18のコンプレッサや放熱器から排出される排熱やそれ以外の電気部品の排熱などで、筐体3の内部の温度が外気よりも高い温度となり、それに伴い、筐体3の内部に位置する常温水タンク7の飲料水の温度が上昇したときにも、ユーザーがイメージする温度の常温水を出水することが可能であり、美味しい常温水を利用することが可能である。
【0034】
図8図13に、この発明の第2実施形態を示す。第2実施形態は、第1実施形態の冷水開閉弁20a、常温水開閉弁20b、温水開閉弁20cを、それぞれ手動開閉弁にしたものである。第1実施形態に対応する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
図9に示すように、冷水開閉弁20aは、冷水流路19を囲む環状の冷水弁座30と、冷水弁座30に着座する閉弁位置(図9に示す位置)と冷水弁座30から離反する開弁位置(図13に示す位置)との間で移動可能に設けられた冷水弁体31と、冷水弁体31と一体に移動するように冷水弁体31に固定された冷水弁棒32と、冷水弁棒32を介して冷水弁体31を開弁位置から閉弁位置に向けて付勢する冷水バルブスプリング33とを有する。
【0036】
冷水出水操作部4aは、非操作位置(図9に示す位置)と冷水出水操作位置(図13に示す位置)との間で移動可能に支持された操作部材である。冷水出水操作部4aは、冷水バルブスプリング33の付勢力によって、冷水出水操作位置(図13に示す位置)から非操作位置(図9に示す位置)に向けて付勢されている。図では、冷水出水操作部4aとして揺動可能に支持されたレバーを示したが、上下にスライド可能に支持されたスライド部材等を採用することも可能である。
【0037】
冷水開閉弁20aには、冷水出水操作部4aの操作力を冷水弁体31に伝達する冷水操作力伝達経路34が設けられている。冷水操作力伝達経路34は、冷水出水操作部4aと、冷水出水操作部4aと冷水弁棒32とを連結する連結ピン35と、冷水弁棒32とで構成されている。冷水操作力伝達経路34は、ユーザーが冷水出水操作部4aを非操作位置(図9に示す位置)から冷水出水操作位置(図13に示す位置)に移動させたときに、その操作力を冷水弁体31に伝達し、冷水弁体31を閉弁位置から開弁位置に移動させる。
【0038】
図10図11に示す常温水開閉弁20bおよび温水開閉弁20cも、冷水開閉弁20aと同様に構成されている。すなわち、図11に示すように、常温水開閉弁20bは、常温水流路25を囲む環状の常温水弁座36と、常温水弁座36に着座する閉弁位置と常温水弁座36から離反する開弁位置との間で移動可能に設けられた常温水弁体37と、常温水弁体37と一体に移動するように常温水弁体37に固定された常温水弁棒38と、常温水弁棒38を介して常温水弁体37を開弁位置から閉弁位置に向けて付勢する常温水バルブスプリング(図示せず)とを有する。常温水出水操作部4bは、非操作位置と常温水出水操作位置との間で移動可能に支持された操作部材である。
【0039】
また、温水開閉弁20cは、温水流路23を囲む環状の温水弁座39と、温水弁座39に着座する閉弁位置と温水弁座39から離反する開弁位置との間で移動可能に設けられた温水弁体40と、温水弁体40と一体に移動するように温水弁体40に固定された温水弁棒41と、温水弁棒41を介して温水弁体40を開弁位置から閉弁位置に向けて付勢する温水バルブスプリング(図示せず)とを有する。温水出水操作部4cは、非操作位置と温水出水操作位置との間で移動可能に支持された操作部材である。
【0040】
また、図10に示すように、常温水開閉弁20bには、常温水出水操作部4bの操作力を常温水弁体37に伝達する常温水操作力伝達経路42が設けられている。常温水操作力伝達経路42は、常温水出水操作部4bと、常温水出水操作部4bと常温水弁棒38とを連結する連結ピン43と、常温水弁棒38とで構成されている。常温水操作力伝達経路42は、ユーザーが常温水出水操作部4bを非操作位置から常温水出水操作位置に移動させたときに、その操作力を図11に示す常温水弁体37に伝達し、常温水弁体37を閉弁位置から開弁位置に移動させる。
【0041】
また、図10に示すように、温水開閉弁20cには、温水出水操作部4cの操作力を温水弁体40に伝達する温水操作力伝達経路44が設けられている。温水操作力伝達経路44は、温水出水操作部4cと、温水出水操作部4cと温水弁棒41とを連結する連結ピン45と、温水弁棒41とで構成されている。温水操作力伝達経路44は、ユーザーが温水出水操作部4cを非操作位置から温水出水操作位置に移動させたときに、その操作力を図11に示す温水弁体40に伝達し、温水弁体40を閉弁位置から開弁位置に移動させる。
【0042】
図10図11に示すように、冷水操作力伝達経路34と常温水操作力伝達経路42の間には、両者を連結する連結部46が設けられている。連結部46は、冷水出水操作部4aおよび常温水出水操作部4bの出水操作をするときの移動方向(図では下方)の前後(図では上下)に対向して配置される冷水側連結部47と常温水側連結部48とで構成されている。
【0043】
図12図13に示すように、冷水側連結部47と常温水側連結部48は、冷水側連結部47が常温水側連結部48に対して、冷水出水操作部4aおよび常温水出水操作部4bの出水操作をするときの移動方向(図では下方)の前側(図では下側)に位置し、常温水側連結部48が冷水側連結部47に対して、冷水出水操作部4aおよび常温水出水操作部4bの出水操作をするときの移動方向(図では下方)の後側(図では上側)に位置する向きで対向している。
【0044】
この連結部46は、図12に示すように、ユーザーが常温水出水操作部4bを下方に押し下げる操作をしたときは、常温水側連結部48が冷水側連結部47を押圧することで、ユーザーの操作力を常温水操作力伝達経路42から冷水操作力伝達経路34に伝達し、冷水出水操作部4aを下方に移動させる。そのため、図11に示す常温水開閉弁20bが開弁するとともに、冷水開閉弁20aも同時に開弁する。
【0045】
一方、図13に示すように、ユーザーが冷水側連結部47を下方に押し下げる操作をしたときは、冷水側連結部47が常温水側連結部48から離れるので、冷水操作力伝達経路34から常温水操作力伝達経路42にユーザーの操作力が伝達しない。そのため、冷水出水操作部4aのみが下方に移動し、図11に示す冷水開閉弁20aのみが開弁する。
【0046】
このウォーターサーバーも、第1実施形態と同様、ユーザーが常温水の出水操作をしたときに、図11に示す常温水開閉弁20bが開弁して常温水タンク7から常温の飲料水が流出するとともに、冷水開閉弁20aも開弁して冷水タンク8から低温の飲料水が流出し、その常温の飲料水と低温の飲料水とが合流部26で混合された後、出水流路27の水出口28から筐体3の外部に出水される。そのため、冷水タンク8(図2参照)を冷却する冷却装置18のコンプレッサや放熱器から排出される排熱やそれ以外の電気部品の排熱などで、筐体3の内部の温度が外気よりも高い温度となり、それに伴い、筐体3の内部に位置する常温水タンク7の飲料水の温度が上昇したときにも、ユーザーがイメージする温度の常温水を出水することが可能であり、美味しい常温水を利用することが可能である。
【0047】
この実施形態では、冷水操作力伝達経路34と常温水操作力伝達経路42とを連結する連結部46として、常温水出水操作部4bと冷水出水操作部4aを連結するものを例に挙げたが、連結部46は、常温水弁棒38と冷水弁棒32を連結するように設けてもよい。この場合、連結部46は、冷水弁棒32および常温水弁棒38の出水操作をするときの移動方向(図では上方)の前後(図では上下)に対向して配置される冷水側連結部47と常温水側連結部48とで構成し、冷水側連結部47と常温水側連結部48は、冷水側連結部47が常温水側連結部48に対して、冷水弁棒32および常温水弁棒38の出水操作をするときの移動方向(図では上方)の前側(図では上側)に位置し、常温水側連結部48が冷水側連結部47に対して、冷水弁棒32および常温水弁棒38の出水操作をするときの移動方向(図では上方)の後側(図では下側)に位置する向きで対向させるとよい。
【0048】
上記各実施形態では、図2に示すように、水道水などの原水を原水タンク1に入れ、その原水タンク1の原水を浄水フィルタカートリッジ2で濾過して生成される浄水を飲料水として使用する浄水タイプのウォーターサーバーを例に挙げて説明したが、この発明は、天然水やRO水などの飲料水を充填した交換式の水ボトルを筐体3に設置し、その水ボトルの水を飲料水として冷水タンク8、常温水タンク7、温水タンク9にそれぞれ導入して使用する交換式ボトルタイプのウォーターサーバーにも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
3 筐体
4a 冷水出水操作部
4b 常温水出水操作部
7 常温水タンク
8 冷水タンク
9 温水タンク
18 冷却装置
19 冷水流路
20a 冷水開閉弁
20b 常温水開閉弁
21 タンク接続管
22 加熱装置
23 温水流路
25 常温水流路
26 合流部
27 出水流路
28 水出口
29 制御部
34 冷水操作力伝達経路
42 常温水操作力伝達経路
46 連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13