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特開2024-132028二次元コード、二次元コード読取装置及び二次元コード読取方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132028
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】二次元コード、二次元コード読取装置及び二次元コード読取方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/06 20060101AFI20240920BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G06K19/06 037
G06K19/06 056
G06K7/14 017
G06K7/14 034
G06K7/14 039
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042649
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】小澤 諒
(57)【要約】
【課題】2つのコード領域にそれぞれ記録される情報を利用することなく、それぞれに記録される情報を一組の情報として読み取り可能な構成を提供する。
【解決手段】第1の情報が記録されるコード領域10は、所定の構成要素に関して当該第1の情報の記録に最も適したランクと異なり予め決められた所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成され、第2の情報が記録されるコード領域20は、上記所定の構成要素に関して当該第2の情報の記録に最も適したランクと異なり上記所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のセルを二次元状に配列して生成されることで第1の情報が記録される第1のコード領域と第2の情報が記録される第2のコード領域とを備え、前記第1の情報と前記第2の情報とを一組の情報として読み取るための二次元コードであって、
前記第1のコード領域は、予め決められた所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成され、
前記第2のコード領域は、前記所定の構成要素に関して前記所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成されることを特徴とする二次元コード。
【請求項2】
前記所定の設定規則は、記録する情報に最も適したランクと異なるランクが設定されるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の二次元コード。
【請求項3】
前記所定の構成要素は、コード領域を構成するセルの数であることを特徴とする請求項1に記載の二次元コード。
【請求項4】
前記所定の構成要素は、記録する情報に応じて配列されたセルを明暗が分散するように再配列するためのマスクパターンであることを特徴とする請求項1に記載の二次元コード。
【請求項5】
前記所定の構成要素は、コード領域に記録する情報の圧縮方法であることを特徴とする請求項1に記載の二次元コード。
【請求項6】
複数種類のセルを二次元状に配列して生成されることで第1の情報が記録される第1のコード領域と第2の情報が記録される第2のコード領域とを備える二次元コードから、前記第1の情報と前記第2の情報とを一組の情報として光学的に読み取る二次元コード読取装置であって、
前記第1のコード領域は、所定の構成要素に関して予め決められた所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成され、
前記第2のコード領域は、前記所定の構成要素に関して前記所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成され、
前記所定の構成要素に関して前記所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成される2つのコード領域からそれぞれ読み取った情報を前記一組の情報とすることを特徴とする二次元コード読取装置。
【請求項7】
複数種類のセルを二次元状に配列して生成されることで第1の情報が記録される第1のコード領域と第2の情報が記録される第2のコード領域とを備える二次元コードから、二次元コード読取装置を用いて前記第1の情報と前記第2の情報とを一組の情報として光学的に読み取る二次元コード読取方法であって、
前記第1のコード領域は、所定の構成要素に関して予め決められた所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成され、
前記第2のコード領域は、前記所定の構成要素に関して前記所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成され、
前記所定の構成要素に関して前記所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成される2つのコード領域からそれぞれ読み取った情報を前記一組の情報とすることを特徴とする二次元コード読取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次元コード、二次元コード読取装置及び二次元コード読取方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、大容量化や省スペース化、高速読み取り、高読取精度等、利便性の向上を目的として、様々な読取方式の二次元コードが開発されている。例えば、下記特許文献1に開示される暗号情報コードは、復号鍵によって暗号情報を復号可能に生成されて、その復号鍵に関連づけられた識別情報が記録される二次元コードと同時に読み取られることで、その暗号情報が取得されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-015578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のように暗号情報コードと復号用の二次元コードとを一組として読み取る構成では、その組み合わせが複数存在したために複数組の二次元コードが同時に撮像される場合がある。このような場合、その撮像された撮像画像において、どの復号用の二次元コードがどの暗号情報コードに対応しているか判別できないと、適切に復号処理を行うことができないという問題がある。この問題は、上述のように暗号化を前提とする二次元コードに限らず、2つのコード領域にそれぞれ記録される情報を一組の情報として読み取る二次元コードでも生じる問題である。
【0005】
このため、例えば、一組となる両コード領域のそれぞれに予め決められた共通データ等を記録することで、それぞれの読取結果から一組とすべき2つのコード領域を特定することができる。しかしながら、それぞれのコード領域に共通データ等を記録する必要があるため、それぞれのコード領域において記録可能な情報量が減ってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、2つのコード領域にそれぞれ記録される情報を利用することなく、それぞれに記録される情報を一組の情報として読み取り可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
複数種類のセルを二次元状に配列して生成されることで第1の情報が記録される第1のコード領域(10,10a)と第2の情報が記録される第2のコード領域(20,20a)とを備え、前記第1の情報と前記第2の情報とを一組の情報として読み取るための二次元コード(1,1a)であって、
前記第1のコード領域は、予め決められた所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成され、
前記第2のコード領域は、前記所定の構成要素に関して前記所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成されることを特徴とする。
【0008】
請求項6に記載の発明は、
複数種類のセルを二次元状に配列して生成されることで第1の情報が記録される第1のコード領域(10,10a)と第2の情報が記録される第2のコード領域(20,20a)とを備える二次元コード(1,1a)から、前記第1の情報と前記第2の情報とを一組の情報として光学的に読み取る二次元コード読取装置(30)であって、
前記第1のコード領域は、所定の構成要素に関して予め決められた所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成され、
前記第2のコード領域は、前記所定の構成要素に関して前記所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成され、
前記所定の構成要素に関して前記所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成される2つのコード領域からそれぞれ読み取った情報を前記一組の情報とすることを特徴とする。
【0009】
請求項7に記載の発明は、
複数種類のセルを二次元状に配列して生成されることで第1の情報が記録される第1のコード領域(10,10a)と第2の情報が記録される第2のコード領域(20,20a)とを備える二次元コード(1,1a)から、二次元コード読取装置(30)を用いて前記第1の情報と前記第2の情報とを一組の情報として光学的に読み取る二次元コード読取方法であって、
前記第1のコード領域は、所定の構成要素に関して予め決められた所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成され、
前記第2のコード領域は、前記所定の構成要素に関して前記所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成され、
前記所定の構成要素に関して前記所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成される2つのコード領域からそれぞれ読み取った情報を前記一組の情報とすることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、第1の情報が記録される第1のコード領域は、所定の構成要素に関して予め決められた所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成され、第2の情報が記録される第2のコード領域は、上記所定の構成要素に関して上記所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成される。
【0011】
これにより、第1のコード領域及び第2のコード領域から第1の情報及び第2の情報を読み取った二次元コード読取装置では、上記所定の構成要素に関して第1のコード領域の生成に利用されたランクと第2のコード領域の生成に利用されたランクとを確認することで、第1の情報及び第2の情報を一組の情報として読み取るべきか判断することができる。特に、2つのコード領域の双方が同じランクで生成される必要があるため、一組の情報と誤認され難くすることができる。したがって、2つのコード領域にそれぞれ記録される情報を利用することなく、それぞれに記録される情報を一組の情報として読み取ることができる。
【0012】
請求項2の発明では、上記所定の設定規則は、記録する情報に最も適したランクと異なるランクが設定されるように構成される。これにより、上記所定の構成要素に関して読み取られる情報の記録に最も適したランクを利用して生成されているコード領域、すなわち、一般的な生成方法で生成されやすい二次元コードから読み取った情報が、上記一組の情報の一方と誤認され難くすることができる。
【0013】
請求項3の発明では、所定の構成要素は、コード領域を構成するセルの数である。このため、例えば、上記所定の設定規則として、そのコード領域に記録される情報量に最も適したセル数(その情報量を記録可能な最小のセル数)のランク(バージョン)よりも1段階セル数を増やした(その情報量の記録に余裕をもたせた)ランク等を設定することで、所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成されているか否かについて、容易かつ正確に判断することができる。
【0014】
請求項4の発明では、所定の構成要素は、記録する情報に応じて配列されたセルを明暗が分散するように再配列するためのマスクパターンである。このため、例えば、上記所定の設定規則として、そのコード領域に記録される情報に応じて配列されたセルの明暗分散に最も適したマスクパターンのランク(バージョン)の次に適したマスクパターンのランク等を設定することができる。この場合には、読み取った情報が記録されるようにセルを配列するエンコード処理を行った後に上記所定の設定規則に従って設定されるマスクパターンのランクと、撮像したコード領域から読み取れるマスクパターンのランクとを比較することで、所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成されているか否かについて判断することができる。
【0015】
請求項5の発明では、所定の構成要素は、コード領域に記録する情報の圧縮方法である。このため、例えば、上記所定の設定規則として、そのコード領域に記録される情報の圧縮に最も適した(圧縮効率が最大となる)圧縮方法のランクの次に適した圧縮方法のランク等を設定することができる。この場合には、読み取った情報の圧縮方法を比較することで、所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成されているか否かについて判断することができる。
【0016】
請求項6の発明では、請求項1と同様の効果を奏する二次元コード読取装置を実現できる。
請求項7の発明では、請求項1と同様の効果を奏する二次元コード読取方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係る二次元コードを示す説明図である。
図2】二次元コード読取装置の電気的構成を例示するブロック図である。
図3】第1実施形態において二次元コード読取装置の制御部にてなされる二次元コード読取処理の流れを例示するフローチャートである。
図4】第1実施形態の変形例に係る二次元コードを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明の二次元コード、二次元コード読取装置及び二次元コード読取方法を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る二次元コード1は、図1に示すように、予め決められた位置関係のコード領域10およびコード領域20の2つのコード領域を備えるグループコードとして構成されるもので、両コード領域10,20は、それぞれ複数の情報表示単位セル(以下、単にセルとも称する)が記録すべき情報に応じて二次元状に配列されてセル集合体として構成されている。二次元コード1は、例えば、表示媒体Rの平面にてコード領域10とコード領域20とが同一平面上に配置されるようにして表示される。
【0019】
コード領域10は、第1のコードの読取方式に基づいて生成されることで所定の情報(第1の情報)が記録されるコード領域である。本実施形態におけるコード領域10は、図1に示すように、特開2014-139771号公報や特開2019-128677号公報等にて開示されるように、予め定められた形状の特定パターンが配置される特定パターン領域11a~11cと、複数種類のセルによってデータを記録するデータ記録領域と、複数種類のセルによって誤り訂正符号を記録する誤り訂正符号記録領域と、複数種類のセルによってデータが記録されない空き領域12等とが設けられるように生成される。
【0020】
コード領域20は、第2のコードの読取方式に基づいて生成されることで所定の情報(第2の情報)が記録されるコード領域である。本実施形態におけるコード領域20は、図1に示すように、コード領域10に対して表示面積が小さいQRコード(登録商標)として生成されている。
【0021】
本実施形態に係る二次元コード1は、コード領域10に記録される第1の情報とコード領域20に記録される第2の情報とを一組の情報としてセットで読み取るように生成される。なお、コード領域10は、「第1のコード領域」の一例に相当し、コード領域20は、「第2のコード領域」の一例に相当し得る。
【0022】
特に、コード領域10及びコード領域20は、所定の構成要素に関して第1の情報及び第2の情報の記録に最も適したランク(階級)と異なり予め決められた所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成される。
【0023】
具体的には、本実施形態では、上記所定の構成要素としてコード領域を構成するセルの数(以下、セル構成ともいう)が採用されており、上記所定の設定規則として最も適したバージョン(ランク)のセル構成の次に大きなバージョン(ランク)のセル構成が採用されている。
【0024】
このため、例えば、コード領域20は、第2の情報の情報量に最も適したセル構成(その情報量を記録可能な最小のセル構成)が「25×25」である場合に、そのセル構成よりも1段階セル数を増やした(その情報量の記録に余裕をもたせた)ような、次に大きなセル構成「29×29」が採用されて生成される。通常であれば、記録する情報量に関して記録可能な最も小さいセル構成が採用されるため、同じ第2の情報が記録されるコード領域であっても、セル構成に応じて区別することができる。
【0025】
この場合、コード領域10は、上記所定の設定規則に関してコード領域20と同じになるように、第1の情報の情報量に関して記録可能な最も小さいセル構成の次に小さなセル構成が採用されて生成される。このため、同じ撮像に含まれる2つのコード領域10,20のそれぞれが通常と異なって上述のように次に小さなセル構成で生成されていることを確認することで、それぞれのコード領域10,20から読み取った情報(第1の情報及び第2の情報)が一組の情報とすべき情報であることを把握することができる。
【0026】
次に、上述のように生成される二次元コード1を光学的に読み取り可能な二次元コード読取装置30の概略構成について、図2を参照して説明する。
二次元コード読取装置30は、例えば、カメラ機能を有するスマートフォン等の携帯端末であって、撮像した二次元コード1から読み取った情報(第1の情報及び第2の情報)を一組の情報として取得・出力するための所定のアプリケーションプログラム(以下、読取アプリともいう)をインストールして構成される。
【0027】
図2に示すように、二次元コード読取装置30は、主に、CPU等からなる制御部31、ROM,RAM、不揮発性メモリなどからなる記憶部32、受光センサ(例えば、C-MOSエリアセンサ、CCDエリアセンサ等)を備えたカメラとして構成される撮像部33、タッチパネル式の表示部34、タッチパネルに対するタッチ操作や各種操作キーに対する操作に応じた信号を制御部31に出力する操作部35、図略の上位端末などの外部機器とインターネット等の所定のネットワークを介して通信可能な通信インタフェースとして構成される通信部36などを備えている。
【0028】
このように構成される二次元コード読取装置30は、上記読取アプリが起動されることで制御部31にてなされる二次元コード読取処理によって、撮像部33にて撮像した二次元コード1等を光学的に読み取るように機能する。
【0029】
以下、上述のように生成される二次元コード1を読み取る場合に二次元コード読取装置30の制御部31にてなされる二次元コード読取処理について、図3に示すフローチャートを参照して詳述する。
ユーザによって操作部35に対して上記読取アプリを起動するための操作等がなされることで制御部31にて二次元コード読取処理が開始されると、図3のステップS101の撮像処理がなされる。この処理では、撮像部33により撮像される情報コード等の撮像画像が取り込まれて取得される。続いて、ステップS103に示すデコード処理にて、撮像画像に含まれる2つのコード領域(情報コード)をデコードして読み取るための処理がなされ、それらのデコードが成功するまで、ステップS105の判定処理にてNoと判定されて、上記ステップS101からの処理が繰り返される。例えば、1つの情報コードのデコードに成功したとしても、ステップS105の判定処理にてNoと判定されて、上記ステップS101からの処理が繰り返される。
【0030】
撮像画像に含まれる2つのコード領域(情報コード)のデコードが成功すると(S105でYes)、ステップS107の判定処理にて、両コード領域からそれぞれ読み取られた情報がセットで出力すべき一組の情報であるか否かについて判定される。
【0031】
ここで、同じ撮像に含まれるコード領域10とコード領域20とを読み取っていることから、2つのコード領域(10,20)のそれぞれが上述のように次に小さなセル構成で生成されていることが確認される。このように、読み取った2つのコード領域が上記所定の設定規則に従って設定されたバージョン(ランク)を利用して生成されていることが確認されることで、読み取った2つの情報(第1の情報及び第2の情報)がセットで出力すべき一組の情報であると判定される(S107でYes)。
【0032】
この場合には、ステップS109に示すデータ取得処理がなされ、読み取った2つの情報(第1の情報及び第2の情報)がセットで出力すべき一組の情報であるとして取得されて、記憶部32に記憶される。なお、上述のように取得された一組の情報は、所定のタイミングで通信部36を介してまとめて上位端末に送信されてもよいし、取得されるごとに通信部36を介して上位端末に送信されてもよい。
【0033】
一方、単に2つの情報コードを撮像して読み取っていることから、少なくとも一方が上述のように次に小さなセル構成で生成されていないことが確認されることで、読み取った2つの情報がセットで出力すべき一組の情報でないと判定される(S107でNo)。また、例えば、コード領域20が別のQRコードで貼り替えられた場合でも、その貼り替えたQRコードが上述のように次に小さなセル構成で生成されていないことが確認されることで、読み取った2つの情報がセットで出力すべき一組の情報でないと判定される(S107でNo)。この場合には、読み取った2つの情報が取得等されることなく、本二次元コード読取処理が終了する。なお、読み取った2つの情報がセットで出力すべき一組の情報でないと判定された場合には(S107でNo)、再び上記ステップS101からの処理がなされてもよい。
【0034】
以上説明したように、本実施形態に係る二次元コード1では、第1の情報が記録されるコード領域10は、所定の構成要素に関して当該第1の情報の記録に最も適したランクと異なり予め決められた所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成され、第2の情報が記録されるコード領域20は、上記所定の構成要素に関して当該第2の情報の記録に最も適したランクと異なり上記所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成される。
【0035】
これにより、コード領域10及びコード領域20から第1の情報及び第2の情報を読み取った二次元コード読取装置30では、上記所定の構成要素に関してコード領域10の生成に利用されたランクとコード領域20の生成に利用されたランクとを確認することで、第1の情報及び第2の情報を一組の情報として読み取るべきか判断することができる。このため、上記所定の構成要素に関して読み取られる情報の記録に最も適したランクを利用して生成されているコード領域、すなわち、一般的な生成方法で生成されやすい二次元コードから読み取った情報が、上記一組の情報の一方と誤認されることもない。また、仮に、最も適したランクと異なるランクを利用して生成されていたとしても、そのランクが上記所定の設定規則に従っているだけでなく、2つのコード領域の双方が同じ方式のランクで生成される必要があるため、一組の情報と誤認され難くすることができる。したがって、2つのコード領域10,20にそれぞれ記録される情報を利用することなく、それぞれに記録される情報を一組の情報として読み取ることができる。
【0036】
特に、本実施形態では、上記所定の構成要素として、コード領域を構成するセルの数(セル構成)が採用されている。このため、上述のように、上記所定の設定規則として、そのコード領域に記録される情報量に最も適したセル構成よりも1段階セル数を増やしたセル構成等を設定することで、所定の設定規則に従って設定されたセル構成を利用して生成されているか否かについて、容易かつ正確に判断することができる。
【0037】
なお、上記所定の構成要素として、セル構成が採用されることに限らず、デコード時に取得可能な他の構成要素が採用されてもよい。例えば、本実施形態の第1変形例に係る所定の構成要素として、記録する情報に応じて配列されたセルを明暗が分散するように再配列するためのマスクパターンが採用されてもよい。この場合、例えば、上記所定の設定規則として、そのコード領域に記録される情報に応じて配列されたセルの明暗分散に最も適したマスクパターンのバージョン(ランク)の次に適したマスクパターンのバージョン(ランク)等を設定することができる。これにより、読み取った情報が記録されるようにセルを配列するエンコード処理を行った後に上記所定の設定規則に従って設定されるマスクパターンのバージョン(ランク)と、撮像したコード領域から読み取れるマスクパターンのバージョン(ランク)とを比較することで、所定の設定規則に従って設定されたバージョン(ランク)を利用して生成されているか否かについて判断することができる。また、各マスクパターンにそれぞれ固有のマスク番号が付されて管理される場合には、例えば、最も適したマスクパターンのマスク番号(ランク)の次のマスク番号のマスクパターンのマスク番号(ランク)が設定されても、同様の効果を奏する。すなわち、上記所定の構成要素を要素番号にて管理する場合には、記録する情報に最も適した要素番号(ランク)と異なる要素番号(例えば、並びが次の要素番号)が設定されることで、上記効果を奏する。
【0038】
また、本実施形態の第2変形例に係る所定の構成要素として、コード領域に記録する情報(以下、単に、記録情報ともいう)の圧縮方法が採用されてもよい。この場合、例えば、上記所定の設定規則として、記録情報を最も圧縮できる(最も情報量を少なくできる)圧縮方法と異なる圧縮方法を設定することができる。具体的には、例えば、記録情報が一種類の文字のみからなる場合に、一般的に採用されるその記録情報(一種類の文字のみからなる記録情報)に最も適した圧縮方法とは異なり、複数種類の文字からなる記録情報に最も適した圧縮方法を、上記所定の設定規則として設定することができる。また、例えば、記録情報が複数種類からなる場合に、一般的に採用されるその記録情報(複数種類の文字からなる記録情報)に最も適した圧縮方法とは異なり、一種類の文字のみからなる記録情報に最も適した圧縮方法を、上記所定の設定規則として設定することができる。これにより、読み取った情報の圧縮方法を確認することで、所定の設定規則に従って設定されたランクを利用して生成されているか否かについて判断することができる。
【0039】
また、本実施形態の第3変形例として、コード領域10及びコード領域20の少なくともいずれか一方は、復号鍵を要しない情報が記録される公開領域と復号鍵を要する暗号化された情報が記録される非公開領域とを備える一部非公開コードとして生成されてもよい。このような一部非公開コードの生成方法や生成される一部非公開コードの具体的構成としては、例えば、特開2009-9547公報、特開2008-299422公報などに開示された技術を好適に用いることができる。
【0040】
これにより、復号鍵を有している二次元コード読取装置30と復号鍵を有していない二次元コード読取装置30とで取得される一組の情報を変えることができる。例えば、一方のコード領域の公開領域に二次元コード1が付される商品のロットデータを記録して非公開領域にその商品に関する企業固有データを記録し、一部非公開コードとして生成されない他方のコード領域にその商品の商品データを記録することで、復号鍵を利用しない流通業者等では商品データとロットデータとを一組の情報として取得でき、復号鍵を利用する商品製造業者等では商品データとロットデータ及び企業固有データとを一組の情報として取得することができる。さらに、一部非公開コードとして生成されない他方のコード領域のみを読み取り可能な読取装置を利用するユーザ等には商品データのみが取得されることで、1つの二次元コード1から読み取れる情報の範囲を読取装置に応じて個別に設定することができる。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)コード領域10を生成・読み取りするための第1のコードの読取方式は、上述した読取方式が採用されることに限らず、QRコードやデータマトリックスコード、マキシコードなどの他のコード種別の読取方式が採用されてもよい。同様に、コード領域20を生成・読み取りするための第2のコードの読取方式は、QRコードの読取方式が採用されることに限らず、データマトリックスコード、マキシコードなどの他のコード種別の読取方式が採用されてもよい。
【0042】
また、例えば、第1のコードの読取方式と第2のコードの読取方式とで同じ読取方式が採用されてもよい。具体的には、例えば、図4に第1変形例として例示する二次元コード1aのように、2つのコード領域(第1のコード領域)10a及びコード領域(第2のコード領域)20aが、コード領域の大きさ及びセルの大きさが異なりつつも、ともにQRコードとして生成されてもよい。
【0043】
(2)コード領域10(10a)及びコード領域20(20a)は、誤り訂正機能を有する一方のコード領域に対して当該一方のコード領域にて誤り訂正可能な範囲内にて他方のコード領域が覆うように配置されてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1,1a…二次元コード
10,10a…コード領域(第1のコード領域)
20,20a…コード領域(第2のコード領域)
30…二次元コード読取装置
31…制御部
33…撮像部
図1
図2
図3
図4