(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132036
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】バスバー
(51)【国際特許分類】
H05K 7/06 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H05K7/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042658
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000175722
【氏名又は名称】サンコール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】向井 康裕
(57)【要約】
【課題】簡単容易に異常発熱したことを識別することができるバスバーを提供する。
【解決手段】絶縁体3は、内部Sが中空に形成されると共に、熱収縮可能な樹脂にて形成されている。そして、その中空内にバスバー本体2が挿入されると共に、中空内には、異常発熱によって絶縁体3が熱収縮した際、該異常発熱を識別することができる識別部材4が設けられている。また、絶縁体3の一部をバスバー本体2に固定させるにあたって、左ボルト孔2a1,右ボルト孔2b1に接触しないように、該絶縁体3の両端側を熱収縮させることによって、バスバー本体2に固定させている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスバー本体と、
前記バスバー本体の一部を被覆する絶縁体と、を有し、
前記絶縁体は、
内部が中空に形成されると共に、熱収縮可能な樹脂にて形成され、
前記中空内に前記バスバー本体が挿入されると共に、
前記中空内には、異常発熱によって前記絶縁体が熱収縮した際、該異常発熱を識別することができる識別部材が設けられてなるバスバー。
【請求項2】
前記バスバー本体は、両端側に貫通孔が形成されており、
前記絶縁体は、前記絶縁体の一部を前記バスバー本体に固定させるにあたって、前記貫通孔に接触しないように、該絶縁体の両端側を熱収縮させることによって、前記バスバー本体に固定させてなる請求項1に記載のバスバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常発熱したことを検出することができるバスバーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、通電可能な部材同士(例えば、電気自動車やハイブリッドカー等に搭載されるバッテリ)を連結するにあたって、バスバーを使用することが知られている。このようなバスバーは、例えば、非特許文献1に記載されているように、通電可能な部材同士(例えば、電気自動車やハイブリッドカー等に搭載されるバッテリ)を連結する際、複数個使用されるのが一般的である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】"バスバー"、[online]、サンコール株式会社、[2023年3月1日検索]、インターネット(https://www.suncall.co.jp/shunt-sensor-solution/busbar/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のように複数のバスバーを使用した場合、複数のバスバーのうちいずれかのバスバーが異常発熱した際、異常発熱したバスバーが故障してしまう場合がある。
【0005】
しかしながら、この際、複数のバスバーのうち、どのバスバーが故障したのかを識別するには、複数のバスバーを1つ1つ確認しなければならず、故障しているバスバーを探すのに大変な労力と手間がかかるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、簡単容易に異常発熱したことを識別することができるバスバーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0008】
請求項1の発明によれば、バスバー本体(2)と、
前記バスバー本体(2)の一部を被覆する絶縁体(3)と、を有し、
前記絶縁体(3)は、
内部(S)が中空に形成されると共に、熱収縮可能な樹脂にて形成され、
前記中空内に前記バスバー本体(2)が挿入されると共に、
前記中空内には、異常発熱によって前記絶縁体(3)が熱収縮した際、該異常発熱を識別することができる識別部材(4,4A)が設けられてなることを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明によれば、上記請求項1に記載のバスバー(1)において、
前記バスバー本体(2)は、両端側(左側面2a,右側面2b)に貫通孔(左ボルト孔2a1,右ボルト孔2b1)が形成されており、
前記絶縁体(3)は、前記絶縁体(3)の一部を前記バスバー本体(2)に固定させるにあたって、前記貫通孔(左ボルト孔2a1,右ボルト孔2b1)に接触しないように、該絶縁体の両端側を熱収縮させることによって、前記バスバー本体に固定させてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0011】
請求項1に係る発明によれば、絶縁体(3)の中空内には、異常発熱によって絶縁体(3)が熱収縮した際、該異常発熱を識別することができる識別部材(4,4A)が設けられている。これにより、簡単容易に異常発熱したことを識別することができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、貫通孔(左ボルト孔2a1,右ボルト孔2b1)に絶縁体(3)が接触することがないため、通電可能な部材同士を連結した際、電流が流れない等の誤動作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)は、本発明の一実施形態に係るバスバーにて、絶縁体が熱収縮していない状態を示す側面図、(b)は、同実施形態に係るバスバーにて、絶縁体の両端を熱収縮させてバスバー本体に固定している状態を示す側面図である。
【
図2】同実施形態に係るバスバーが異常発熱した状態を示し、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【
図3】(a)は、同実施形態に係る絶縁体を縦断面図で示し、その絶縁体内にバスバー本体を配置した状態を示す側面図、(b)は、(a)に示す状態から絶縁体の両端をバスバー本体に固定した状態を示す側面図、(c)は、(b)に示す状態からバスバー本体が異常発熱し、絶縁体が完全にバスバー本体に固定された状態を示す側面図である。
【
図4】(a)は、同実施形態に係る絶縁体を縦断面図で示し、その絶縁体内にバスバー本体を配置した上で、絶縁体の両端をバスバー本体に固定し、その絶縁体内に他の実施形態に係る識別部材を配置した側面図、(b)は、(a)に示す状態からバスバー本体が異常発熱し、絶縁体が完全にバスバー本体に固定された状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係るバスバーを、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0015】
<バスバーの概略説明>
図1に示すバスバー1は、簡単容易に異常発熱したことを検出することができるものである。具体的に説明すると、
図1に示すバスバー1は、バスバー本体2と、絶縁体3と、で主に構成されている。以下、各構成について詳しく説明する。
【0016】
<バスバー本体の説明>
バスバー本体2は、銅等の金属からなり、
図3に示すように、例えば、厚み約3mm~5mmの厚板状で、長尺で側面視矩形状に形成されている。そして、このバスバー本体2は、
図3に示すように、左側面2a側に、上下方向に向かって、平面視円形状(
図2(b)参照)の左ボルト孔2a1が貫通して設けられると共に、右側面2b側に、上下方向に向かって、平面視円形状(
図2(b)参照)の右ボルト孔2b1が貫通して設けられている。
【0017】
<絶縁体の説明>
絶縁体3は、熱硬化性樹脂系エラストマーなどからなる熱収縮可能な樹脂にて形成された絶縁性材料からなり、柔軟性を備えている。そして、このような絶縁体3は、
図3(a)に示すように、内部Sが中空に形成されていると共に、左側面3a及び右側面3bが開放された断面視矩形状の筒状に形成されている。
【0018】
<バスバーの製造方法の説明>
かくして、このように構成されるバスバー1を製造するにあたっては、まず、
図3(a)に示すように、絶縁体3の内部Sに、バスバー本体2を挿入する。この際、左ボルト孔2a1は、外部に露呈すると共に、絶縁体3の左側面3a側に位置し、右ボルト孔2b1は、外部に露呈すると共に、絶縁体3の右側面3b側に位置することとなる(
図1(a)も参照)。
【0019】
さらに、
図3(a)に示すように、絶縁体3の内部Sには、識別部材4が設けられている。この識別部材4は、金属等(耐熱樹脂、耐熱ガラスなど非金属を含む)で形成されており、
図3(a)に示すように、側面視矩形状に形成されている。そして、
図3(a)に示すように、バスバー本体2の上面2cの中央よりやや右側面2b側に、識別部材4の下面4bが固定されている。そしてさらに、
図3(a)に示す、この識別部材4の上面4aには、
図2(b)に示すような文字M(図示では、「NG」を例示)が刻んで設けられている。なお、識別部材4としては、熱伝導率などを考慮すると金属で形成するのが好ましい。
【0020】
次に、
図3(a)に示す状態から、
図3(a)に示す絶縁体3の左側面3a側に熱を加え、
図3(a)に示す絶縁体3の右側面3b側に熱を加えるようにする。これにより、
図3(b)に示すように、絶縁体3の左側面3a側が熱収縮し、バスバー本体2の左側面2a側上面2c及び下面2dに固定される。そしてさらに、
図3(b)に示すように、絶縁体3の右側面3b側が熱収縮し、バスバー本体2の左側面2a側上面2c及び下面2dに固定される。これにより、絶縁体3がバスバー本体2に位置決め固定されることとなる。
【0021】
したがって、このようにして、
図1(b)に示すバスバー1が製造されることとなる。
【0022】
<バスバーの使用例の説明>
ところで、上記のように製造されるバスバー1は、上記非特許文献1に記載されているように、通電可能な部材同士(例えば、電気自動車やハイブリッドカー等に搭載されるバッテリ)を連結する際、複数個使用される。
【0023】
この際、バスバー本体2が異常発熱すると、その熱によって、絶縁体3が熱収縮し、
図3(c)に示すように、バスバー本体2の上面2c及び下面2dに完全に絶縁体3が固定することとなる。この際、
図3(c)に示すように、識別部材4の上面4aに絶縁体3が密着することとなる。そのため、この部分が、
図2(a)に示すように、飛び出たようになると共に、
図2(b)に示すように、識別部材4の上面4aに絶縁体3が密着することにより、絶縁体3から、刻んで設けられている文字M(図示では、「NG」を例示)が浮き出てくるため、外部から識別できるようになる。それゆえ、異常発熱したバスバー1を簡単容易に識別することが可能となる。
【0024】
したがって、このようにすれば、複数個のバスバー1を使用したしても、どのバスバー1が異常発熱したのかを簡単容易に識別することができる。
【0025】
<変形例の説明>
なお、本実施形態において示した形状等はあくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、絶縁体3の左側面3a側及び右側面3b側を熱収縮させ、バスバー本体2に固定させる例を示したが、それに限らず、バスバー本体2に絶縁体3を位置決め固定できれば、どの箇所でも良い。すなわち、絶縁体3の一部をバスバー本体2に固定させるのであれば、どの箇所でも良い。
【0026】
しかしながら、絶縁体3の左側面3a側及び右側面3b側を熱収縮させ、バスバー本体2に固定させた方が好ましい。絶縁体3の位置がずれて、左ボルト孔2a1及び/又は右ボルト孔2b1に絶縁体3がかかってしまう(接触してしまう)と、通電可能な部材同士の間で電流が流れない等の誤動作が生じてしまう可能性があるためである。そのため、絶縁体3の左側面3a側及び右側面3b側を熱収縮させ、バスバー本体2に固定させた方が好ましい。
【0027】
また、本実施形態においては、バスバー本体2の上面2cに識別部材4を固定させる例を示したが、それに限らず、バスバー本体2が異常発熱したことを、認識できるようにすればどのような方法でも良い。例えば、本実施形態においては、識別しやすいように、文字M(図示では、「NG」を例示)が浮き出る例を示したが、文字Mが無い識別部材でも良い。このようにしても、
図3(c)に示すように、識別部材4の上面4aに絶縁体3が密着した際、この部分が、
図2(a)に示すように、飛び出たようになるから、バスバー本体2が異常発熱したことを、認識することができる。また、本実施形態においては、識別部材4をバスバー本体2の上面2cに固定させる例を示したが、
図4に示すように固定させなくとも良い。すなわち、
図4(a)に示すように、球状の識別部材4Aを、固定させず、絶縁体3の内部Sに入れておく。そして、バスバー本体2が異常発熱すると、その熱によって、絶縁体3が熱収縮し、
図4(b)に示すように、バスバー本体2の上面2c及び下面2dに完全に絶縁体3が固定することとなる。この際、
図4(b)に示すように、識別部材4Aに絶縁体3が密着することとなるから、この部分が、飛び出たようになる。そのため、このようにしても、バスバー本体2が異常発熱したことを、認識することができる。なお、言うまでもないが、識別部材4,4Aの形状はどのような形状でも良く、例えば、矩形状、球体、星形、クロス状等、どのような形状であっても良い。
【0028】
また、本実施形態において例示したバスバー本体以外にも、積層や、編組線、電線束などのフレキシブルバスバーにも適用可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 バスバー
2 バスバー本体
2a 左側面
2a1 左ボルト孔(貫通孔)
2b 右側面
2b1 右ボルト孔(貫通孔)
3 絶縁体
4,4A 識別部材
S (絶縁体の)内部