(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132048
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】開口部装置
(51)【国際特許分類】
E06B 3/14 20060101AFI20240920BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
E06B3/14
E06B3/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042681
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】米橋 徳泰
(72)【発明者】
【氏名】高倉 悟
(72)【発明者】
【氏名】池田 崇
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014BA02
2E014BB00
2E014BC00
2E014FA00
2E014FB01
2E014FC00
(57)【要約】
【課題】
建物の開口部に配置される開口部装置に対して、防火性能を向上させる。
【解決手段】
上枠と、下枠と、左右の縦枠と、縦骨と、左右のガラス戸を備え,上枠及び下枠は、見込方向で室内側及び室外側に溝部が形成されており、左右の縦枠は、左右のガラス戸の戸当側縁が呑み込まれる溝部がそれぞれ形成されており、縦骨は、左右方向の中間位置において、上枠と下枠の間に取り付けられており、左右のガラス戸は、上枠及び下枠の室内側もしくは室外側の溝部間に左右方向に移動自在に配置されており、召合せ側縁が縦骨に連結自在であるとともに、戸当側縁が縦枠の溝部に飲み込まれて取り付けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠と、下枠と、左右の縦枠と、縦骨と、左右のガラス戸を備え,
上枠及び下枠は、見込方向で室内側及び室外側に溝部が形成されており、
左右の縦枠は、左右のガラス戸の戸当側縁が呑み込まれる溝部がそれぞれ形成されており、
縦骨は、左右方向の中間位置において、上枠と下枠の間に取り付けられており、
左右のガラス戸は、上枠及び下枠の室内側もしくは室外側の溝部間に左右方向に移動自在に配置されており、召合せ側縁が縦骨に連結自在であるとともに、戸当側縁が縦枠の溝部に飲み込まれて取り付けられている開口部装置。
【請求項2】
上枠と、下枠と、左右の縦枠と、縦骨と、左右のガラス戸を備え,
上枠及び下枠は、見込方向で室内側及び室外側に溝部が形成されており、
左右の縦枠は、ガラス戸の戸当側縁が呑み込まれる溝部が形成されており、
縦骨は、左右方向の中間位置において、上枠と下枠の間に取り付けられており、
左右のガラス戸の一方は、上枠及び下枠の室内側もしくは室外側の溝部間に左右方向に移動自在に配置されており、召合せ側縁が縦骨に連結自在であるとともに、戸当側縁が縦枠の溝部に飲み込まれて取り付けられており、左右のガラス戸の他方は、上枠及び下枠の室外側もしくは室内側の溝部間に配置されており、縦骨側縁が縦骨に連結されている開口部装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物等の開口部に配置される開口部装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部に配置される開口部装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物の開口部に配置される開口部装置に対して、ガラス戸を取り付ける場合等に防火性能を向上させることが求められている。
【0005】
本発明は、建物の開口部に配置される開口部装置に対して、防火性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の開口部装置は、上枠と、下枠と、左右の縦枠と、縦骨と、左右のガラス戸を備え,上枠及び下枠は、見込方向で室内側及び室外側に溝部が形成されており、左右の縦枠は、左右のガラス戸の戸当側縁が呑み込まれる溝部がそれぞれ形成されており、縦骨は、左右方向の中間位置において、上枠と下枠の間に取り付けられており、左右のガラス戸は、上枠及び下枠の室内側もしくは室外側の溝部間に左右方向に移動自在に配置されており、召合せ側縁が縦骨に連結自在であるとともに、戸当側縁が縦枠の溝部に飲み込まれて取り付けられている開口部装置である。
他の実施形態の開口部装置は、上枠と、下枠と、左右の縦枠と、縦骨と、左右のガラス戸を備え,上枠及び下枠は、見込方向で室内側及び室外側に溝部が形成されており、左右の縦枠は、ガラス戸の戸当側縁が呑み込まれる溝部が形成されており、縦骨は、左右方向の中間位置において、上枠と下枠の間に取り付けられており、左右のガラス戸の一方は、上枠及び下枠の室内側もしくは室外側の溝部間に左右方向に移動自在に配置されており、召合せ側縁が縦骨に連結自在であるとともに、戸当側縁が縦枠の溝部に飲み込まれて取り付けられており、左右のガラス戸の他方は、上枠及び下枠の室外側もしくは室内側の溝部間に配置されており、縦骨側縁が縦骨に連結されている開口部装置である。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、建物の開口部に配置される開口部装置に対して、防火性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の開口部装置が施工された建物の開口部の縦断面図である。
【
図2】実施形態の開口部装置が施工された建物の開口部の横断面図である。
【
図3】実施形態の開口部装置の縦断面図であり、(a)は
図2のA-A断面図であり、(b)は
図2のB-B断面図である。なお、カバー部材を省略している。
【
図5】実施形態の開口部装置を構成する縦枠の図であり、(a)は分解図斜視図であり、(b)は外縦枠材の一部斜視図であり、(c)は内縦枠の一部斜視図である。
【
図6】実施形態の開口部装置を構成する上枠の図であり、(a)は斜視図であり、(b)は一部斜視図である。
【
図7】実施形態の開口部装置を構成する下枠の図であり、(a)は斜視図であり、(b)は一部斜視図である。
【
図8】実施形態の開口部装置を構成する縦骨の図であり、(a)は斜視図であり、(b)は断面図であり、(c)は下方部分の一部分解斜視図である。
【
図9】実施形態の開口部装置を構成するガラス戸の図であり、(a)は分解斜視図であり、(b)はエッジ材の断面を示すための一部斜視図である。
【
図10】(a)は実施形態の開口部装置を構成するカバー部材の斜視図であり、(b)はカバー部材の一部斜視図であり、(c)はガラス戸の下框の分解斜視図である。
【
図11】実施形態の開口部装置を施工する手順の一つを説明するための模式図である。
【
図12】実施形態の開口部装置を施工する手順の一つを説明するための模式図である。
【
図13】実施形態の開口部装置を施工する手順の一つを説明するための模式図である。
【
図14】実施形態の開口部装置を施工する手順の一つを説明するための模式図である。
【
図15】実施形態の開口部装置を施工する手順の一つを説明するための模式図である。
【
図16】実施形態の開口部装置を施工する手順の一つを説明するための模式図である。
【
図17】実施形態の開口部装置を施工する手順の一つを説明するための模式図である。
【
図18】実施形態の開口部装置を施工する手順の一つを説明するための模式図である。
【
図19】実施形態の開口部装置を施工する手順の一つを説明するための模式図である。
【
図20】実施形態の開口部装置を施工する手順の一つを説明するための模式図である。
【
図21】実施形態の開口部装置を施工する手順の一つを説明するための模式図である。
【
図22】実施形態の開口部装置を施工する手順の一つを説明するための模式図である。
【
図23】実施形態の開口部装置を施工する手順の一つを説明するための横断面図であり、(a)は室外側のガラス戸を縦骨に係合する前の図であり、(b)は室外側のガラス戸を縦骨に係合した後の図である。
【
図24】実施形態の開口部装置を施工する手順の一つを説明するための横断面図であり、(a)は室外側のガラス戸及び縦骨にカバー材を取り付ける前の図であり、(b)は室外側のガラス戸及び縦骨にカバー材を取り付けた後の図である。
【
図25】他の実施形態の開口部装置の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態の開口部装置として、建物外周に配置されたカーテンウォールPの室内側の開口部に設置されるFIX窓の例を用いて、図面を参考にして説明する。
【0010】
(カーテンウォールの構成)
建物の外周面に配置されたカーテンウォールPは、
図1,
図2に示すように、建物の外周に配置された複数の方立A間に無目Bが配設されて構成されるカーテンウォール枠にガラス等のパネル体Cを装着して構成されている。
【0011】
複数の方立Aは、左右方向に間隔をあけて配置されており、建物の躯体に連結されている。方立Aは、室内側に上下方向に延びる中空部を有する方立本体部A1を有しており、方立本体部A1の室外側の左右両側にパネル体Cを装着する凹部A2,A2を有している。
【0012】
方立Aは、凹部A2の室内側に補助縦枠A3が挿入され、方立Aの室外壁A4と補助縦枠A3とによってパネル間口溝が形成されており、バックアップ材b及びシール材s等を介して二重ガラス等のパネル体Cが保持されている。
【0013】
方立Aは、所定高さ毎に凹部A2に図示しない無目取付部材がボルト等により取付けられており、隣接する方立A、Aの無目取付部材に無目Bが支持されて方立Aに固定されている。
【0014】
無目Bは、
図1に示すように、上下にパネル体Cを保持するパネル間口溝が形成されており、バックアップ材b及びシール材s等を介して二重ガラス等のパネル体Cが保持されている。
【0015】
無目Bは、室内側面に室内側に延びる見込壁D1を有する鋼材Dが連結されており、見込壁D1の内周面に不燃材Eが配置されてカーテンウォールPの室内側の開口部の内周を形成している。
【0016】
(FIX窓の構成要素)
本実施形態のFIX窓は、
図1,
図2に示すように、開口部の内周に固定される上枠11と、下枠12と、左右の縦枠13,13と、左右方向の中間位置において上枠11と下枠12の間に取り付けられる縦骨15と、左右のガラス戸2,2と、召合せカバー16,16を備えている。
以下、FIX窓を構成する各部材について説明する。
【0017】
左右の縦枠13は、
図4に示すように、開口部の左右の縦内周面に固定される外縦枠131と、外縦枠131の内周に配置されて固定される内縦枠132を有している。
外縦枠131及び内縦枠132は、いずれもアルミ合金等の金属材料からなる長尺部材である。
【0018】
外縦枠131は、
図4,
図5(a)に示すように、開口部の内周面に当接される見込壁131aと、見込壁131aの室内側端及び室外側端からそれぞれ内周方向に延びる見付壁131b,131cを有している。
【0019】
内縦枠132は、
図4,
図5(a)(c)に示すように、見込壁132aと、見込壁132aの内周側から内周方向に延び見込方向に並ぶ3つの見付壁132b,132c,132dと、見込方向で一方側の見付壁132dの内周端から一方側方向に延びる内周側見込壁132eと、内周側見込壁132eの一方側端から外周方向に延びる見付壁132fを有している。
内縦枠132は、見込壁132a及び3つの見付壁132b,132c,132dによって、内周側に開口する中央の溝部13bと見込方向で他方側の溝部13aが形成されている。
【0020】
左右の縦枠13,13の内縦枠132,132は、
図4に示すように、それぞれ他方側の溝部13a内にガラス戸2の戸当側縁が納まるように、他方側の溝部13aの位置が室内側と室外側とに異なるように配置されており、内観で左側の縦枠13では他方側の溝部13aは室外側の溝部となり、同右側の縦枠13では他方側の溝部13aは室内側の溝部となっている。
【0021】
内縦枠132は、他方側の溝部13a内の所定の位置に樹脂材料等からなる断面略U字状のガタ防止ピース133が配置されている。
なお、ガタ防止ピース133は、他方側の溝部13a内にガラス戸2の戸当側縁が納まった際に、戸当側縁を室内側もしくは室外側に引き寄せる機能を備えていてもよい。
【0022】
内縦枠132は、他方側の見付壁132bの内側面に長手方向に沿って加熱発泡材f132が接着等によって取付けられていてもよく、火災時に内縦枠132とガラス戸2との間に生じる隙間を発泡した加熱発泡材f132により塞ぐようにしてもよい。
内縦枠132の他方側の溝部13a内に配置されるガタ防止ピース133は、内縦枠132に取り付けられた加熱発泡材f132と連続するように、加熱発泡材f133が設けられていてもよい。
【0023】
上枠11は、アルミ合金等の金属材料からなる長尺部材であり、
図3(b),
図6(a)に示すように、開口部の内周面に当接されて固定される見込壁111aと、見込壁111aの室外側端及び室内側端からそれぞれ内周方向に延びる室内側見付壁111b及び室外側見付壁111cと、見込壁111aの内周面で室内寄り及び室外寄りから内周方向に延びる見付壁111d,111eを有しており、内周方向に開口し見込方向に並ぶ3つの溝部11a,11b,11cが形成されている。
【0024】
下枠12は、アルミ合金等の金属材料からなる長尺部材であり、
図3(b),
図7(a)に示すように、開口部の内周面に当接されて固定される見込壁121aと、見込壁121aの室内側端及び室外側端からそれぞれ内周方向に延びる室内側見付壁121b及び室外側見付壁121cと、見込壁121aの内周面で室内寄り及び室外寄りから内周方向に延びる見付壁121d,121eを有しており、内周方向に開口し見込方向に並ぶ3つの溝部12a,12b,12cが形成されている。
【0025】
下枠12は、室内側の溝部12aと室外側の溝部12cにおいて、見込壁121aから内周方向にレール(被係合部)121f,121gが突設されており、左右方向の中間位置において室内寄りの見付壁121d、及び室外寄りの見付壁121eに切欠き部12d,12eが形成されている。
【0026】
上枠11、下枠12及び縦枠13(外縦枠131)は、
図5(b),
図6(b),
図7(b)に示すように、それぞれ見込壁111a,121a,131aの外周側面の室内側及び室外側に長手方向に沿って2条の加熱発泡材f111,f121、f131が接着等によって取付けられていてもよく、火災時に上枠11、下枠12及び縦枠13と開口部内周面との間に生じる隙間を発泡した加熱発泡材f111,f121、f131により塞ぐようにしてもよい。
【0027】
縦骨15は、アルミ合金等の金属材料からなり、
図3(a),
図4,
図8に示すように、断面矩形中空形状の本体部151aと、本体部151aの見込方向で一方側面の左右方向中間から見込方向で一方側に設けた煙返し(係合部)151bと,本体部151aの見込方向で一方側面の左右方向一方側端部から見込方向で一方側に設けた覆い部151cと、本体部151aの見込方向で他方側面の左右方向中間から見込方向で他方側に設けた煙返し(係合部)151bと,本体部151aの見込方向で他方側面の左右方向他方側端部から見込方向で一方側に設けた覆い部151cを有しており、断面点対称の長尺部材である。
【0028】
縦骨15は、
図8(a)に示すように、長手方向(上下方向)で上端近傍及び下端近傍の所定範囲において、煙返し(係合部)151b及び覆い部151cが切り欠かれているとともに、長手方向の所定の高さ位置において煙返し(係合部)151b,151bが切り欠かれて召合せカバー16を係合するカバー材連結部15aが形成されている。
【0029】
縦骨15は、下端に樹脂材料等からなる縦骨固定ピース17が取付けられている。
縦骨固定ピース17は、矩形ブロック形状の下枠嵌合部17aと、下枠嵌合部17aの上面から凸出する取付凸部17bを有しており、取付凸部17bを縦骨15の本体部151aの中空部内に下方から嵌入することで縦骨15の下端に取り付けられている。
【0030】
ガラス戸2は、
図3,
図4,
図9に示すように、耐熱ガラス20と、耐熱ガラス20の召合せ側縁(縦骨側縁)に取り付けられるエッジ材23と、耐熱ガラス20の上縁に取り付けられる振れ止め材21,21と、耐熱ガラス20の下縁に取り付けられる下框材22を有している。
【0031】
ガラス戸2を構成するエッジ材23は、アルミ合金等の金属材料からなり、
図4,
図9(b)に示すように、耐熱ガラス20の召合せ側縁(縦骨側縁)が嵌め込まれるエッジ部23aと、エッジ部23aの見込方向の一方側面に設けられた煙返し(係合部)23bを有している。
なお、エッジ材23は、室外側のガラス戸2と室内側のガラス戸2によって煙返し(係合部)23bが配置される側を異ならせて取り付けられており、室外側のガラス戸2においては煙返し(係合部)23bは室内側に配置され、室内側のガラス戸2においては煙返し(係合部)23bは室外側に配置されるように取り付けられる。
【0032】
エッジ材23は、
図9(a)に示すように、煙返し(係合部)23bが長手方向(上下方向)で上端近傍及び下端近傍の所定範囲において切り欠かれているとともに、長手方向の所定の高さ位置において切り欠かれて切欠き部23c,23cが形成されている。
エッジ材23は、
図9(b)に示すように、エッジ部23aの内周面に長手方向に沿って加熱発泡材f23が接着等によって取付けられていてもよく、火災時にエッジ材23と耐熱ガラス20との間に生じる隙間を発泡した加熱発泡材f23により塞ぐようにしてもよい。
【0033】
ガラス戸2を構成する振れ止め材21は、樹脂材料等からなり、耐熱ガラス20の上縁部が嵌め込まれる溝部21aを有する短尺部材であり、耐熱ガラス20の上縁部に適宜間隔をあけて複数装着されている。
【0034】
ガラス戸2を構成する下框材22は、アルミ合金等の金属材料からなり、
図3,
図9(a),
図10(c)に示すように、上方に耐熱ガラス20の下縁部が嵌め込まれる上溝部22aと、下枠12の下枠12のレール(被係合部)121f,121gを飲み込む下溝部22bを有する断面略H形の長尺部材である。
【0035】
下框材22は、上溝部22aに耐熱ガラス20が載置される敷板222,222が配置されており、下溝部22bに下枠12のレール(被係合部)121f,121gに対して左右方向に移動自在に載置(係合)されるフラットバー(係合部)223,223が配置されている。
下框材22に配置される敷板222及びフラットバー(係合部)223は、いずれもアルミ等の金属材料からなり、樹脂材料のように火災時に簡単に溶融することがなく、防火性を向上させている。
【0036】
また、下框材22は、下溝部22bの左右方向の召合せ側にエッジ固定金具224がネジ等により取り付けられており、エッジ固定金具224によりエッジ材23と連結されている。
さらに、下框材22は、左右方向の戸当り側に樹脂製の端部キャップ225が取付けられている。
【0037】
召合せカバー16は、アルミ合金等の金属材料からなり、
図4,
図10(a),(b)に示すように、取付時に縦骨15及びガラス戸2のエッジ材23の見込面を覆う見込壁16aと、ガラス戸2のエッジ材23の見付面を覆う見付壁16bを有する断面略L字状の長尺部材であり、見込壁16aの内周面の所定高さ位置にフック部材162,162が接着等により固定されている。
【0038】
フック部材162は、スチール等の金属材料からなり、召合せカバー16に取付けられる取付壁162aと、取付壁162aから屈曲して立ち上がるフック部162bを有しており、召合せカバー16に固定されることで召合せカバー16の見込壁16aの内周からフック部162bが延設されている。
以上、FIX窓を構成する各部材について説明した。
【0039】
(FIX窓の施工手順)
次に、FIX窓の施工手順、及び構成について、説明する。
(手順1)外縦枠の取り付け
図11に示すように、縦枠13の外縦枠131を、見込壁131aの外周面が建物の開口部の左右の縦内周面(例えば、方立Aの内周面)aに対して当接するように配置して、内周側からビス等b131により固定する。
【0040】
(手順2)上枠及び下枠の取り付け
図12に示すように、上枠11を、見込壁111aの外周面が建物の開口部の上内周面(例えば、無目Bの室内側に連結された鋼材Dの内周面)bに対して当接するように配置して、内周側からビス等b11により固定する。
同様に、下枠12を、見込壁121aの外周面が建物の開口部の下内周面(例えば、無目Bの室内側に連結された鋼材Dの内周面)bに対して当接するように配置して、内周側からビス等b12により固定する。
【0041】
上枠11及び下枠12は、見込寸法が外縦枠131の室内側の見付壁131bと室外側の見付壁131cの内周面間の寸法と同程度に形成されており、左右端部を外縦枠131の室内側の見付壁131bと室外側の見付壁131cの内側に納めた状態で固定される。
なお、外縦枠131の見込壁131aの上方部分に、上枠11の左右端部が開口部の縦内周面に達することができないことにより隙間が生じることがあるが、そのような場合には、例えば
図5(b)に示すように、外縦枠131の見込壁131aの上方部分に隙間塞ぎ材135を配置することで、隙間を塞ぐことが望ましい。
【0042】
(手順3)内縦枠の取り付け
図13に示すように、内縦枠132を、見込壁132aが外縦枠131の見込壁131aに当接するように、外縦枠131の室内側の見付壁131bと室外側の見付壁131cの内周面の間に嵌め込んで、内周側からビス等b132により固定する。
なお、左右の内縦枠132は、他方側の溝部13aの位置が室内側と室外側とに異なるように配置する。
【0043】
内縦枠132は、見込寸法が上枠11及び下枠12の見込寸法と同程度に形成されており、外縦枠131の室内側の見付壁131bと室外側の見付壁131cの内周面の間に嵌め込まれた内縦枠132は、上枠11と下枠12との間に配置される。
【0044】
(手順4)一方側の上枠目板の装着
図14に示すように、上枠目板114を、上枠11の内周に形成された中央の溝部11bに下方から嵌め込み(矢印y1)、左右(見付)方向で一方側(本実施形態では、内観左側)の上枠11の下面に取り付ける。
【0045】
(手順5)室外側のガラス戸の装着
図15に示すように、室外側のガラス戸2を、エッジ材23が左右方向で他方側(本実施形態では、内観右側)になるようにして、室内側から上枠11の室外側の溝部11cと下枠12の室外側の溝部12cとの間にケンドンの要領で建て込む(矢印y2)。
【0046】
上枠11の室外側の溝部11cと下枠12の室外側の溝部12cとの間に建て込まれたガラス戸2は、下框材22の下溝部22b内に配置されたフラットバー(係合部)223,223が下枠12のレール(被係合部)121gの上部に載置(係合)され、上下の溝間に左右方向に移動自在に配置される。
【0047】
(手順6)縦骨の取り付け
図16に示すように、縦骨15を、上枠11の中央の溝部11bに嵌め込まれた上枠目板114に隣接させて、上枠11の中央の溝部11bと下枠12の中央の溝部12bとの間にケンドンの要領で嵌め込む(矢印y3)。
縦骨15は、下端に縦骨固定ピース17が固定されており、上端を上枠11の中央の溝部11b内に挿入した後、下端に固定された縦骨固定ピース17の下枠嵌合部17aを下枠12の見付壁121d,121eに形成された切欠き部12d,12eに嵌め込むことによって(矢印y4)、上枠11と下枠12との間に取付けられる。
上枠11と下枠12との間に取付けられた縦骨15は、
図23(a)に示すように、ガラス戸2の室内側に配置される。
【0048】
(手順7)縦骨とガラス戸との係合
室外側のガラス戸2を、左右方向の一方側(左方側)に移動させて、
図23(b)に示すように、ガラス戸2の戸当側縁を縦枠13の室外側の溝部13aに呑み込ませるとともに、ガラス戸2のエッジ材23の煙返し(係合部)23bと縦骨15の煙返し(係合部)151bを係合させる。
【0049】
ガラス戸2は、左右方向の一方側(左方側)に移動されることで、戸当側縁が縦枠13の室外側の溝部13aに呑み込まれ、溝部13a内に取り付けられたガタ防止ピース133に嵌め込まれて戸当側のガタつきが防止されるとともに、エッジ材23の煙返し(係合部)23bが縦骨15の煙返し(係合部)151bに係合して、見込方向の移動が規制される。
【0050】
(手順8)上枠目板及び縦枠目板の装着
図17に示すように、他方側の上枠目板114を、上枠11の中央の溝部11bにおける左右方向で他方側、すなわち縦骨15の他方側に下方から嵌め込む(矢印y5)。
さらに、縦枠目板134を、左右方向で他方側の縦枠13の中央の溝部13bに内周側から嵌め込む(矢印y6)。
【0051】
(手順9)下枠目板とロック目板の装着
図18に示すように、下枠目板124を、下枠12の中央の溝部12bにおける左右方向で他方側、すなわち縦骨15の他方側に上方から嵌め込むとともに、ロック目板125を、下枠12の室外側の溝部12cにおける左右方向で他方側に上方から嵌め込む(矢印y7)。
下枠目板124及びロック目板125は、嵌め込んだ後に左右方向で一方側に移動させるなどして一方側端が縦骨15及び室外側のガラス戸2に当接するように配置され、下枠目板124及びロック目板125と左右方向で他方側の縦枠13の内周との間に生じた隙間に目板端部キャップ126を装着する(矢印y8)。
【0052】
(手順10)室外側のガラス戸と縦骨の連結
図19,
図24に示すように、室外側のガラス戸2のエッジ材23を覆う召合せカバー16を、縦骨15の左右方向で他方側見込面と室外側のガラス戸2のエッジ材23の左右方向で他方側見込面、及びガラス戸2のエッジ材23の室外側面を覆うように、縦骨15に取り付ける。
【0053】
召合せカバー16は、見込壁16aの内周に固定されたフック部材162のフック部162bをガラス戸2のエッジ材23の切欠き部23cから挿入して下方に落とし込むことにより、縦骨15の煙返し(係合部)151bに設けられたカバー材連結部15aに係合し、縦骨15に取り付けることができる(矢印y9)。
縦骨15のカバー材連結部15aに係合したフック部材162のフック部162bは、縦骨15の覆い部151cによって覆われて室内側に露出しないので、意匠性に優れ、煙返し(係合部)151b等にごみなどがたまることによる係脱不良が発生し難い。
【0054】
召合せカバー16を落とし込むことによって生じる召合せカバー16の上端と上枠11の内周面との間の隙間は、カバーキャップ163を装着することによって塞ぐことが好ましい(矢印y10)。
【0055】
召合せカバー16は、縦骨15に取り付けられた状態で室外側のガラス戸2の見込面を覆っているので、ガラス戸2の他方向への移動を規制してガラス戸2と縦骨15との係合状態を維持することができ、別途ネジ等の連結手段を用いることなく、ガラス戸2と縦骨15と連結してFIX窓として配置することができる。
また、縦骨15に取り付けられた召合せカバー16は、取り付けの手順と逆の手順によって適宜縦骨15から取り外すことができ、縦骨15に対するガラス戸2の連結を解除することができる。
【0056】
(手順11)室内側のガラス戸の装着
図20に示すように、室内側のガラス戸2を、エッジ材23が左右方向で一方側になるようにして、室外側のガラス戸2と同様に、上枠11の室内側の溝部11aと下枠12の室内側の溝部12aとの間にケンドンの要領で建て込む(矢印y11)。
【0057】
上枠11の室内側の溝部11aと下枠12の室内側の溝部12aとの間に建て込まれたガラス戸2は、下框材22の下溝部22b内に配置されたフラットバー(係合部)223,223が下枠12のレール(被係合部)121fの上部に載置(係合)され、上下の溝間に左右方向に移動自在に配置される。
【0058】
(手順12)縦骨とガラス戸との係合
室外側のガラス戸2と同様の要領で、室内側のガラス戸2を左右方向で他方側(右方向)に移動させて、ガラス戸2の戸当側縁を縦枠13の室内側の溝部13aに呑み込ませるとともに、ガラス戸2のエッジ材23の煙返し(係合部)23bと縦骨15の煙返し(係合部)151bを係合させる。
【0059】
ガラス戸2は、左右方向で他方側(右方向)に移動することで、戸当側縁が縦枠13の室内側の溝部13aに呑み込まれ、溝部13a内に取り付けられたガタ防止ピース133に嵌め込まれて戸当側のガタつきが防止されるとともに、エッジ材23の煙返し(係合部)23bが縦骨15の煙返し(係合部)151bに係合して、見込方向の移動が規制される。
【0060】
(手順13)下枠目板とロック目板の装着
図21に示すように、下枠目板124を、下枠12の中央の溝部12bにおける左右方向で一方側、すなわち縦骨15の一方側に上方から嵌め込むとともに、ロック目板125を、下枠12の室内側の溝部12aにおける左右方向で一方側に上方から嵌め込む(矢印y12)。
下枠目板124及びロック目板125は、嵌め込んだ後に左右方向で他方側に移動させるなどして他方側端が縦骨15及び室内側のガラス戸2に当接するように配置され、下枠目板124及びロック目板125と一方側の縦枠13の内周との間に生じた隙間に目板端部キャップ126を装着する(矢印y13)。
その後、縦枠目板134を、一方側の縦枠13の中央の溝部13bに内周側から嵌め込む(矢印y14)。
【0061】
(手順14)室内側のガラス戸と縦骨の連結
図22に示すように、室内側のガラス戸2のエッジ材23を覆う召合せカバー16及びカバーキャップ163を、縦骨15の左右方向で一方側の見込面と室内側のガラス戸2のエッジ材23の左右方向で一方側の見込面、及びガラス戸2のエッジ材23の室内側面を覆うように取り付けて(矢印y15,y16)、FIX窓の施工を完了する。
なお、室内側の召合せカバー16及びカバーキャップ163の装着は、室外側の召合せカバー16の装着と同様であるので、ここでは詳しい説明は省略する。
以上、施工手順、及び構成について説明した。
【0062】
(本実施形態の開口部装置の効果)
以上のように、本実施形態の開口部装置は、ガラス戸を用いながら、左右のガラス戸の召合せ部分が縦骨を介して一体化されているので、火災時においてガラス戸の召合せ部分を一体的に変形させることができ、召合せ部における隙間の発生を防止して、簡単な構成により防火性能を向上させることができる。
【0063】
本実施形態の開口部装置は、左右方向の中間位置で上枠と下枠との間に取り付けられた縦骨を有し、縦骨に対してガラス戸を連結した状態において、ガラス戸の耐熱ガラスの縁(上辺、下辺もしくは戸当側縁)が枠の溝部に飲み込まれて配置されているので、火災時に枠と耐熱ガラスとの隙間が発生し難く防火性能を向上させることができる。
また、ガラス戸は、下框材に設けられたフラットバー(係合部)が下枠のレール(被係合部)に摺動自在に係合しており、樹脂等からなる戸車を使用していないので、火災時に戸車が溶融することによって隙間が生じることを防止して、防火性能を高めている。
【0064】
本実施形態の開口部装置は、左右方向の中間位置で上枠と下枠との間に取り付けられた縦骨を有し、ガラス戸を上枠と下枠との間に移動自在であって縦骨に対して連結自在に配置しているので、必要に応じてガラス戸を開放することができ、FIX窓の室外側に関するメンテナンスを容易に行うことができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態の開口部装置は、縦骨とガラス戸を連結するための手段をガラス戸のエッジ材と縦骨を覆うカバー材により兼用しているので、ねじ等の特別な固定手段を用いることなくガラス戸を縦骨に連結することができ、部材点数を増やすことなく、材料費を抑えることができるとともに、部材管理の手間を増やすことがない。
【0066】
-他の実施形態-
開口部装置は、複数配置されるガラス戸の大きさは均一に限定されるものではなく、例えば複数のガラス戸の左右寸法を異ならせたものであってもよく、縦骨の設置位置は、開口部装置の左右方向の中間であれば左右方向の中央でなくてもよい。
【0067】
例えば、開口部装置は、
図25に示すように、左右の縦枠13,13間の左右方向の中間位置で上枠と下枠との間に複数の縦骨15を取り付けて、FIX窓を3つ以上のガラス戸を備えるものとしてもよい。
以上のように、FIX窓を複数の縦骨及び複数のガラス戸の組合せによって形成することで、FIX窓の大きさを適宜設定することができ、大きな面積を有するFIX窓を形成することができる。
【0068】
以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0069】
2:ガラス戸、20:耐熱ガラス、23:エッジ材、23b:煙返し(係合部)、11:上枠、11a-11c:溝部、12:下枠、12a-12c:溝部、13:縦枠、13a-13b:溝部、15:縦骨、151b:煙返し(係合部)、16:召合せカバー