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  • 特開-パーム空果房ペレットの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013206
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】パーム空果房ペレットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C10L 5/44 20060101AFI20240124BHJP
   C10L 10/04 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
C10L5/44
C10L10/04
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103367
(22)【出願日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】10-2022-0088875
(32)【優先日】2022-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0035696
(32)【優先日】2023-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】519024348
【氏名又は名称】株式会社ブルーオーシャン産業
【氏名又は名称原語表記】BLUE OCEAN INDUSTRY, INC.
【住所又は居所原語表記】288, Sandandongseo-ro Gunsan-si Jeollabuk-do Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,クウォンホ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,クウォンジン
(72)【発明者】
【氏名】ミン,ビョンデ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,サンミン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ウンジ
【テーマコード(参考)】
4H015
【Fターム(参考)】
4H015AA12
4H015AA26
4H015AA27
4H015AB01
4H015AB07
4H015BA08
4H015BA13
4H015BB10
4H015CB01
(57)【要約】
【課題】パーム空果房ペレットの製造方法が開示される。
【解決手段】一実施例によるパーム空果房ペレットの製造方法は、パームの木の副産物であるパーム空果房(Empty Fruit Bunch、EFB)を粉砕して粉砕物を製造する粉砕段階と、前記粉砕物に添加剤を添加して混合物を製造する混合段階と、前記混合物を成形してペレットを製造するペレット成形段階とを含み、前記添加剤は、アルミノ珪酸塩を含むことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パームの木の副産物であるパーム空果房(Empty Fruit Bunch、EFB)を粉砕して粉砕物を製造する粉砕段階と、
前記粉砕物に添加剤を添加して混合物を製造する混合段階と、
前記混合物を成形してペレットを製造するペレット成形段階と、を含み、
前記添加剤は、アルミノ珪酸塩を含むことを特徴とする、パーム空果房ペレットの製造方法。
【請求項2】
前記パーム空果房ペレットの製造方法は、
前記パーム空果房を乾燥する乾燥段階と、
前記パーム空果房から不純物を除去する不純物除去段階と、をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のパーム空果房ペレットの製造方法。
【請求項3】
前記アルミノ珪酸塩は、国際標準化機構ISO 9277:2010規定に基づいて測定された比表面積が100~180m/gであることを特徴とする、請求項1に記載のパーム空果房ペレットの製造方法。
【請求項4】
前記アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量を前記アルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比が0.78~1.58であることを特徴とする、請求項1に記載のブラックペレットの製造方法。
【請求項5】
前記アルミノ珪酸塩は、400℃から800℃まで昇温するとき、重量減少率が5%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のパーム空果房ペレットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はパーム空果房ペレットの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2015年に締結されたパリ気候協定以後、各国は、二酸化炭素排出量を減らすとともに新材生エネルギー市場の拡大及び競争力の向上のために新材生エネルギー活性化制度を施行している。
【0003】
バイオマス混焼または専用ボイラーの燃料として、新材生エネルギーの一つであるバイオマス燃料用ペレット(Pellet)を使用する需要が大きく増加しており、韓国登録特許第10-0878051号公報には木材ペレットを製造する方法に対する技術が提示されている。
【0004】
ところが、木材や木材副産物を主材料として用いてペレットを生産することは数量の限界があり、急変する市場の需要に弾力的に対応しにくいという問題点があった。
【0005】
最近では、既存の木材ペレットの代案として、東南アジア、特にマレーシアやインドネシアで多く生産されるパーム空果房(Empty Fruit Bunch:EFB)を使用してペレットを製造している。パーム空果房はパーム果実の副産物であり、パーム果実から果房を除去して残った部分を言う。
【0006】
ところが、パーム農場でパーム果実を栽培するとき、収穫量を増大させるために種々の肥料を多量で使用することにより、カリウム(K)、ナトリウム(N)などのようなアルカリ成分がパーム空果房内に多量に含有されていることが確認された。
【0007】
パーム空果房から製造されたペレットがボイラー内で燃焼するとき、パーム空果房内に含有されていたアルカリ成分(例えば、KO、NaO)は揮発性が強く、ボイラーの内部での滞留期間が短いので、不均一燃焼を引き起こすだけでなく、燃焼炉(furnace)内にあったアッシュ(ash)と反応してボイラーの内壁をコーティングさせ、よってボイラーの内壁を含む金属表面を腐食させる問題があった。
【0008】
また、ペレットのパーム空果房内に含有されていた低融点の無機物がペレットの燃焼過程中に溶けて流動しながらボイラーの内壁及び熱交換部などに付着してスラギング及びファウリング現象を引き起こす。
【0009】
このような現象はボイラーの熱効率を著しく低下させ、燃焼炉内での流動パターンに邪魔になり、さらにボイラーの内壁を深刻に損傷させる問題を引き起こすので、従来の問題点を改善した新技術の開発が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0878051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本開示の技術的思想は上述した問題点を解決するためのものであり、従来焼却するか廃棄していた副産物を燃料として再活用する技術を提供することを目的とする。
【0012】
また、本開示の技術的思想は、パーム空果房を使用して燃料を製造する技術を提供することを他の目的とする。
【0013】
そして、本開示の技術的思想は、パーム空果房から製造されたペレットの燃焼効率を高め、ペレットの燃焼の際、パーム空果房内に存在していた特定の成分によるボイラーの内部の熱的不均衡、スラギング、ファウリング現象及び腐食問題を改善することができる技術を提供することを、さらに他の目的とする。
【0014】
本開示が解決しようとする課題は前述した課題に限定されず、言及しなかった他の技術的課題は後述する内容から本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に明らかに理解可能であろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的を達成するために、本発明の一実施形態として、パーム空果房ペレットの製造方法は、パームの木の副産物であるパーム空果房(Empty Fruit Bunch、EFB)を粉砕して粉砕物を製造する粉砕段階と、前記粉砕物に添加剤を添加して混合物を製造する混合段階と、前記混合物を成形してペレットを製造するペレット成形段階とを含み、前記添加剤は、アルミノ珪酸塩を含む。
【0016】
前記パーム空果房ペレットの製造方法は、前記パーム空果房を乾燥する乾燥段階と、前記パーム空果房から不純物を除去する不純物除去段階とをさらに含むことができる。
【0017】
前記アルミノ珪酸塩は、国際標準化機構ISO 9277:2010規定に基づいて測定された比表面積が100~180m/gであり得る。
【0018】
前記アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量を前記アルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比が0.78~1.58であり得る。
【0019】
前記アルミノ珪酸塩は、400℃から800℃まで昇温するとき、重量減少率が5%以下であり得る。
【0020】
上述した課題の解決手段は単に例示的なものであり、本発明を限定しようとする意図と解釈されてはいけない。上述した例示的な実施例の他にも、図面及び発明の詳細な説明に記載した追加の実施例が存在することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上で説明したように、本発明の多様な実施例によれば、パーム空果房を使用してパーム空果房ペレットを製造することで、環境に優しく燃焼効率に優れた燃料を製造することができる。
【0022】
そして、本開示の多様な実施例によれば、パーム空果房ペレットを製造する場合、パーム空果房の廃棄物処理による費用を節減することができ、パーム空果房の腐敗によって発生するメタンを減らすことができる。
【0023】
また、本開示の多様な実施例によれば、パーム空果房ペレットの燃焼の際、添加剤(アルミノ珪酸塩)がパーム空果房内に含有されていた特定の成分(例えば、カリウム、ナトリウム、塩素など)と反応して高融点の物質を生成することができる。したがって、パーム空果房内に存在していた特定の成分によるボイラー内部の熱的不均衡、スラギング及びファウリング現象、及び腐食問題を改善することができる。
【0024】
特に、パーム空果房からペレットを製造する場合、パーム空果房の廃棄物処理による費用を節減することができ、パーム空果房の腐敗によって発生するメタンガスを減らすことができ、パーム空果房ペレットの燃焼の際、パーム空果房に含有されていたアルカリ成分などはアルミノ珪酸塩によって高融点の物質に転換されるので、燃料の完全燃焼に寄与し、ボイラーの内壁を含めた金属表面が腐食されることを事前に防止することができる。
【0025】
本発明の多様な実施例による効果は以上で言及した効果に限定されず、言及しなかった他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明らかに理解可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施例によるパーム空果房ペレットの製造方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の好適な実施例について添付図面を参照してより具体的に説明するが、既に知られている技術的部分に対しては、説明の簡潔性のために、省略するか圧縮する。
【0028】
本明細書で、本発明の「一」または「一つの」実施例についての言及は必ずしも同じ実施例についてのものではなく、これらは少なくとも一つを意味するということに気をつけなければならない。
【0029】
以下の実施例で、単数の表現は、文脈上はっきり他の意味を意味しない限り、複数の表現を含む。
【0030】
以下の実施例で、含むまたは有するなどの用語は明細書上に記載された特徴または構成要素が存在することを意味するものであり、一つ以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性を予め排除するものではない。
【0031】
ある実施例が他に具現可能な場合、特定の工程順序は説明の順序とは異なるように遂行することもできる。例えば、連続して説明する二つの工程は実質的に同時に遂行することもでき、説明する順序と反対の順序に遂行することができる。すなわち、本明細書に記述する方法の各段階は、明細書上で他に言及するかまたは文脈上はっきりと相反することがない限り、任意の順序に適切に実施することができる。
【0032】
本発明の一実施例によるパーム空果房ペレットの製造方法について図1を参照して説明し、便宜上順番を付けて説明する。
【0033】
1.乾燥段階<S101>
本段階では、パームの木の副産物であるパーム空果房を乾燥することができる。本段階では、公知の多様な乾燥方式(例えば、熱風乾燥、自然乾燥など)を用いてパーム空果房を乾燥することができる。
【0034】
一実施例によれば、本段階では、パーム空果房の含水率が0%~15%になるようにパーム空果房を乾燥することができる。ここで、パーム空果房の含水率はパーム空果房内に含有された水分の割合を意味する。
【0035】
具体的な例を挙げると、パーム空果房の含水率は、0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%または15%にすることができる。また、本段階で乾燥されたパーム空果房の含水率は前記数値のうちの一つ以上及び前記数値のうちの一つ以下の範囲になることができる。
【0036】
例えば、パーム空果房の含水率範囲は、0%~15%、1%~14%、2%~13%、3%~12%、4%~11%、5%~12%、6%~11%、1%~10%または5%~12%の範囲にすることができる。
【0037】
また、パーム空果房の含水率は前記数値のうちの一つ以上を適用するか、または前記数値のうちの一つ以下を適用することもできる。例えば、パーム空果房の含水率は、0%以上、0%超過、0.1%以上、1%以上、2%以上または3%以上を適用するか、または15%以下、14%以下、13%以下、12%以下、11%以下または10%以下を適用することができる。
【0038】
2.不純物除去段階<S102>
本段階では、段階S101で乾燥されたパーム空果房から不純物を除去することができる。一実施例によれば、振動スクリーン上にパーム空果房を載せて振動スクリーンを作動させると、パーム空果房についていた不純物または異物(例えば、土、石、落ち葉など)が振動スクリーンの下に落ちることで、パーム空果房と不純物とを分離させることができる。一具体例では、メッシュ(mesh)のサイズが10~20mmの振動スクリーンを用いることができるが、状況によって多様なサイズのメッシュを適用することもできる。そして、振動スクリーンの他にも、公知の多様な方式の不純物除去方法によってパーム空果房から不純物を除去することもできる。
【0039】
3.粉砕段階<S103>
本段階では、パーム空果房を粉砕機に投入して粉砕することで、粉砕物を製造することができる。一実施例によれば、本段階では、段階S102で不純物が除去されたパーム空果房を粉砕して一定のサイズの粉砕物を製造することができる。本段階で製造されたパーム空果房粉砕物は一定のサイズ(例えば、1~80mm)に粉砕されるので、後述する混合段階で添加剤との混合が容易であり、ペレット成形段階で圧縮成形によるペレット化が容易である利点がある。
【0040】
4.混合段階<S104>
本段階では、粉砕物に添加剤を添加して混合物を製造することができる。例えば、本段階では、コンベヤーベルト上にある粉砕物が移送されるとき、粉砕物上に一定量の添加剤を投下して混合物を製造することができる。本段階で、添加剤の投入量は、粉砕物100重量部を基準に、0.1~10重量部(例えば、0.1重量部、1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部または10重量部)を適用することができる。
【0041】
一実施例によれば、本段階で、添加剤はアルミノ珪酸塩を含むことができる。本明細書で、アルミノ珪酸塩(aluminosilicate)はアルミナ(Al)とシリカ(SiO)とが結合したものを意味する。一実施例によるアルミノ珪酸塩は、アルミニウム(Al)元素に対してシリコン(Si)元素の数が1~5個である構造を有することができる。
【0042】
また、アルミノ珪酸塩は、国際標準化機構ISO 9277:2010規定に従って測定された比表面積が100~180m/gであり得る。具体的な例として、アルミノ珪酸塩の比表面積は、100m/g、110m/g、120m/g、130m/g、140m/g、150m/g、160m/g、170m/gまたは180m/gを適用することができる。また、アルミノ珪酸塩の比表面積は、前記数値のうちの一つ以上及び前記数値のうちの一つ以下の範囲であり得る。
【0043】
例えば、アルミノ珪酸塩の比表面積範囲は、100m/g~140m/g、105m/g~135m/g、110m/g~130m/g、115m/g~135m/g、120m/g~150m/g、125m/g~145m/g、100m/g~150m/gまたは100m/g~180m/gであり得る。一実施例によるアルミノ珪酸塩の比表面積の上限は、特に限定されないが、例えば、300m/g以下、250m/g以下、200m/g以下、250m/g以下、200m/g以下、180m/g以下または150m/g以下であり得る。
【0044】
一実施例で、アルミノ珪酸塩の比表面積の数値が大きいほど、パーム空果房ペレットの燃焼の際に発生するアルカリ成分(例えば、KO、NaOなど)及び塩化物(例えば、KCl、HClなど)の吸着が容易であり、スラギング及びファウリング現象と腐食を効果的に抑制することができる。仮に、アルミノ珪酸塩の比表面積が100m/g未満の場合には、パーム空果房ペレットから発生するアルカリ成分を物理的に吸着して捕集する効率が低下するので、スラギング及びファウリング現象を充分に制御することができず、ボイラーの内部に塩化物が付着して金属部品が腐食するおそれがある。
【0045】
そして、一実施例で、アルミノ珪酸塩の平均粒径は、20~500μmを適用することができる。具体的な例として、アルミノ珪酸塩の平均粒径は、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、200μm、300μm、400μmまたは500μmを適用することができる。もちろん、実施によっては、アルミノ珪酸塩の平均粒径を燃焼状況別に異なるように調節して使用することも可能である。
【0046】
一実施例によれば、添加剤であるアルミノ珪酸塩は、二酸化珪素及び酸化アルミニウムを含むことができる。
【0047】
一具体例で、アルミノ珪酸塩内に含有される酸化アルミニウムの含量は、20~60重量部を適用することができる。具体的な例として、酸化アルミニウムの含量は、20重量部、25重量部、30重量部、35重量部、40重量部、45重量部、50重量部、55重量部または60重量部を適用することができる。また、酸化アルミニウムの含量は、前記数値のうちの一つ以上及び前記数値のうちの一つ以下であり得る。
【0048】
例えば、アルミノ珪酸塩内に含まれた酸化アルミニウムの含量範囲は、20重量部~30重量部、30重量部~40重量部、35重量部~45重量部、40重量部~50重量部または20重量部~60重量部であり得る。一実施例による酸化アルミニウムは、前記範囲でパーム空果房ペレットのアルカリ成分を効果的に制御することができる。
【0049】
仮に、アルミノ珪酸塩内に含まれた酸化アルミニウムが20~60重量部の範囲を外れる場合には、パーム空果房ペレットの燃焼の際、ペレットから放出されるアルカリ成分を効果的に制御することが容易でない。
【0050】
一実施例で、アルミノ珪酸塩内に含有される二酸化珪素の含量は、40~80重量部を適用することができる。具体的な例として、二酸化珪素の含量は、40重量部、45重量部、50重量部、55重量部、60重量部、65重量部、70重量部、75重量部または80重量部を適用することができる。また、二酸化珪素の含量は、前記数値のうちの一つ以上及び前記数値のうちの一つ以下であり得る。
【0051】
例えば、アルミノ珪酸塩内に含まれた二酸化珪素の含量範囲は、40重量部~50重量部、50重量部~60重量部、55重量部~65重量部、60重量部~70重量部、55重量部~70重量部または40重量部~80重量部であり得る。一実施例による二酸化珪素は、前記範囲でパーム空果房ペレットのアルカリ成分を効果的に制御することができる。仮に、アルミノ珪酸塩内に含まれた二酸化珪素が40~80重量部の範囲を外れる場合には、パーム空果房ペレットの燃焼の際、ペレットから放出されるアルカリ成分を効果的に制御することが容易でない。
【0052】
一実施例によれば、添加剤であるアルミノ珪酸塩は、パーム空果房ペレットが燃焼するとき、パーム空果房内に含有されていたアルカリ成分と化学的に反応することで、パーム空果房から放出されたアルカリ成分をカルシライト(KAlSiO)及びルーサイト(KAlSi)のうちのなくとも1種に転換させることができる。
【0053】
すなわち、パーム空果房ペレット内に含有されていたアルカリ成分は、パーム空果房ペレットが燃焼するとき、添加剤であるアルミノ珪酸塩と反応して溶融点1600℃以上のカルシライトに転換されるかまたは溶融点1500℃以上のルーサイトに転換されるので、既存にボイラー内でアルカリ成分が溶融して発生したスラギング、ファウリング、凝結の問題を改善することができる。
【0054】
一実施例によれば、アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量をアルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比は0.78~1.58であり得る。一具体例で、アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素が48重量部であり、アルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムが42重量部であれば、アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量をアルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比は1.14であり得る。
【0055】
具体的な例として、アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量をアルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比は、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.84、0.86、0.88、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.34、1.36、1.38、1.4、1.42、1.44、1.46、1.48、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57または1.58であり得る。また、アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量をアルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比は、前記数値のうちの一つ以上及び前記数値のうちの一つ以下の範囲であり得る。
【0056】
例えば、アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量をアルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比の範囲は、0.78~1.2、0.98~1.2、0.9~1.2、0.9~1.3、1~1.2、1~1.4、1.18~1.58、1.2~1.58、1.38~1.58または0.78~1.58であり得る。一実施例によるアルミノ珪酸塩に含有された二酸化珪素と酸化アルミニウムの含有量の比は前記範囲でパーム空果房ペレットのアルカリ成分と反応し、スラギングやファウリング現象を効果的に抑制することができる。
【0057】
仮に、アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量をアルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比が0.78~1.58の範囲を外れる場合には、ペレットの燃焼の際、パーム空果房ペレットから放出されるアルカリ成分と反応して高融点物質(例えば、カルシライト、ルーサイトなど)を生成する効率が低下するので、スラギングやファウリング現象を防止することが容易でない。
【0058】
一具体例によれば、X線蛍光分光法を用いて、アルミノ珪酸塩内に含有された二酸化珪素及び酸化アルミニウムの重量を確認することができる。したがって、アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量をアルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比を算出することができる。
【0059】
一方、一実施例によるアルミノ珪酸塩は、400℃から800℃まで昇温するとき、重量減少率が5%以下、4.5%以下、4%以下、3.5%以下、3%以下、2.5%以下、2%以下、1.5%以下、1%以下、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、0.2%以下または0.1%以下であり得る。例えば、400℃から800℃まで分当たり10℃の速度で昇温するとき、アルミノ珪酸塩の重量減少率は5%以下であり得る。ここで、アルミノ珪酸塩の重量減少率は下記の式1によって算出することができる。
【0060】
[式1]
アルミノ珪酸塩の重量減少率(%)=(A-B)/A*100
(ここで、Aは400℃でのアルミノ珪酸塩の重量、Bは800℃でのアルミノ珪酸塩の重量である)
【0061】
一実施例によるアルミノ珪酸塩の重量減少率の下限は、特に限定されないが、例えば、0.001%以上、0.01%以上または0.05%以上であり得る。
【0062】
一実施例によるアルミノ珪酸塩は、カオリン(例えば、カオリナイト、ハロイサイトなど)とは異なり、アルミノ珪酸塩内に結晶水を含んでいないため、高温で結晶水が蒸発してアルミノ珪酸塩の総重量が減少する現象がほとんど起こらず、400~800℃で重量減少率が5%以下である。
【0063】
それに比べて、カオリンは、内部に含有された結晶水が400~800℃で蒸発するのに伴って比表面積数値が常温の場合より大きくなることはあるが、結晶水が蒸発する温度に到逹するまではカオリンの比表面積が大きくなりにくいので、パーム空果房に含有されていてから放出されるアルカリ成分を早く吸着して除去することが難しい。
【0064】
しかし、一実施例によるアルミノ珪酸塩は内部に結晶水を含んでいなく、400~800℃でも常温(例えば、20~25℃)と類似したレベルの比表面積(例えば、100~180m/g)を維持することができるので、カオリンに比べて速かにアルカリ成分を吸着して除去することができる。
【0065】
一実施例によるアルミノ珪酸塩には、酸化アルミニウム及び二酸化珪素の含量を除いた残量として不可避な不純物がさらに含まれることもある。
【0066】
一方、本段階では、混合物にバインダーをさらに添加することができる。バインダーの非制限的例としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸またはヒマシ油などがある。一実施例によれば、バインダーの投入量は、粉砕物100重量部当たり0.1~15重量部(例えば、0.1重量部、1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部、10重量部、11重量部、12重量部、13重量部、14重量部または15重量部)を適用することができる。
【0067】
5.ペレット成形段階<S105>
本段階では、段階S104で混合された混合物をペレット成形機に投入して成形することでペレットを製造することができる。一実施例によれば、混合物を圧縮成形機に投入し、混合物を圧縮してペレットに加工することができる。本段階で、圧縮成形の際、混合物を10~500MPaの強度で圧縮することができる。例えば、混合物の圧縮成形の際、圧縮強度は、10MPa、20MPa、30MPa、40MPa、50MPa、60MPa、70MPa、80MPa、90MPa、100MPa、120MPa、140MPa、160MPa、180MPa、200MPa、220MPa、240MPa、260MPa、280MPa、300MPa、320MPa、340MPa、360MPa、380MPa、400MPa、420MPa、440MPa、460MPa、480MPaまたは500MPaを適用することができる。また、混合物の圧縮強度は、前記数値のうちの一つ以上及び前記数値のうちの一つ以下の範囲にすることができる。
【0068】
仮に、混合物に対する圧縮成形機の圧縮強度が10MPa未満であると、十分に圧縮できないので、ペレットの体積に比べて熱量が著しく減少することがあり、500MPaを超えると、ペレットの形態が崩壊されて不良率が高くなるおそれがある。
【0069】
一具体例によれば、本段階で、ペレット成形機に投入された混合物を3~10mmの直径を有するように押し出し、押出物を一定の長さ(例えば、20~50mm)に切断してペレットに製造することができる。もちろん、本段階で製造されるペレットの直径及び長さは必要に応じて適切に変更することもできる。
【0070】
以下では、具体的な実施例及び実験例に基づいて本発明をより詳細に説明する。下記の実施例及び実験例は本発明の理解を手伝うための一例示に過ぎないので、本発明の権利範囲がこれに限定されるものではない。
【0071】
実施例及び比較例別のパーム空果房ペレットの製造
<実施例1~5及び比較例1~2>
パーム空果房の含水率が10~15%になるまで自然乾燥させ、メッシュが10~20mmの振動スクリーン上に乾燥されたパーム空果房を載せ、振動スクリーンを30分間作動させることで不純物を除去した。その後、不純物の除去されたパーム空果房100kgを粉砕機に投入して粉砕することで、平均粒径が20~80mmの粉砕物を製造した。粉砕物100重量部当たり、10重量部のアルミノ珪酸塩及び10重量部のバインダー(ミリスチン酸)を添加して混合物を製造し、300rpmで10時間撹拌した後、混合物を圧縮成形機に投入した。圧縮成形機によって300MPaの強度で混合物を圧縮し、押出及び切断の過程によって5~10mmの直径及び30~50mmの長さを有するパーム空果房ペレットを製造した。
【0072】
パーム空果房ペレットの製造の際に使用されたブラックペレットの製造の際に撹拌機に投入された実施例及び比較例別のアルミノ珪酸塩の二酸化珪素及び酸化アルミニウムの重量をX線蛍光分光法器機(Rigaku社のZSX Primus II)で測定し、アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量をアルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比を算出して下記の表1に記載した。
【0073】
【表1】
【0074】
実施例及び比較例別のブラックペレットのスラギング及びファウリング抑制実験
<実施例1~5及び比較例1~2>
火力発電所の循環流動層ボイラーを模型化したパイロットテスト機に実施例及び比較例別のパーム空果房ペレットを投入して燃消させることで、スラギング及びファウリング抑制性能を比較した。パーム空果房ペレットは2.5kg/hrの速度で3時間の間にテスト機に投入し、パイロットテスト中は燃焼炉及び測定ロードセルの平均温度をそれぞれ850℃と600℃に維持した。テストが終了した後、ロードセルの重量変化量を測定してロードセルの表面に形成されたスラギング及びファウリング(すなわち、パーム空果房原料に含有されていたアルカリ成分が溶融してロードセルの表面にアッシュ粒子とともに付着した状態で固化したもの)の重さを測定し、その結果を表2に記載した。
【0075】
【表2】
【0076】
表2を参照すると、アルミノ珪酸塩に含まれた二酸化珪素の含有量をアルミノ珪酸塩に含まれた酸化アルミニウムの含有量で割った比が0.78~1.58の範囲内にある実施例1~5は、比較例1及び2に比べて相対的にスラギング及びファウリング現象が少なく発生したことが分かる。すなわち、実施例1~5によるパーム空果房ペレットが燃焼するとき、添加剤であるアルミノ珪酸塩がパーム空果房に含有されていたアルカリ成分を効果的に制御してスラギング及びファウリング現象の発生を抑制することができ、アルカリ成分が塩素と反応して塩化物を形成することを防止することができるので、塩化物がボイラーの内壁や金属部品に付着して腐食を引き起こすことを防ぐことができる。
【0077】
BET法による比表面積測定
<実施例1~5>
各実施例に投入されるアルミノ珪酸塩サンプル0.1gを100℃で前処理してサンプル内の表面水を除去した後、MicrotracBEL社のBELSORP-max II機器を用い、標準分析方法ISO 9277:2010に従って各サンプルの比表面積を総3回測定し、その平均値を下記の表3に記載した。
【0078】
【表3】
【0079】
重量減少率測定
<実施例1~5>
各実施例に使われるアルミノ珪酸塩サンプル200mgを熱重量-示差走査熱量分析器(TA Instruments社のSDT Q600)に投入し、常温(25℃)から1,000℃まで分当たり10℃の速度で昇温し、400℃及び800℃であるとき、アルミノ珪酸塩の重量を測定し、サンプル別の重量減少率は前述した式1によって算出し、その結果を下記の表4に記載した。
【0080】
【表4】
【0081】
実施例及び比較例別の円錐形サンプル製造
<実施例1~5及び比較例1~2>
実施例及び比較例別に製造されたパーム空果房ペレットを550℃で焼成して灰分を作るにあたり、ISO 18122 Solid biofuelsに基づいて灰分を製造した。製造された灰分サンプルを円錐形モールドに投入し、20MPaで2分間圧力をかけることで、実施例及び比較例別に円錐形サンプルを製作した。
【0082】
高温での安定度実験
<実施例1~5及び比較例1~2>
実施例及び比較例別に製作された円錐形サンプルの高温での安定度を確認するために、アッシュの可溶度実験方法(ISO 540 Determination of fusibility of ash)に基づいて実験を実行し、その結果を下記の表5に記載した。
【0083】
【表5】
【0084】
表5は温度による各円錐形サンプルの形状を撮影した写真、及び各サンプルの変形が起こり始める温度を記録したものであり、表5の可溶度実験結果を参照すると、実施例1~5の熱変形温度がいずれも1,000℃以上であることから、高温で安定的であることが確認された。それに比べて、比較例1及び2を見ると、1,000℃未満で熱変形されたことが確認された。すなわち、比較例1及び2は熱変形温度が1,000℃未満であるので、比較例1及び2によるペレットを燃消させると、火力発電所の循環流動層ボイラーの一部区間で溶融してクリンカーが発生する可能性があることが分かる。
【0085】
上述したように、本開示の多様な実施例によれば、パーム空果房を使用してパーム空果房ペレットを製造することで、環境に優しく燃焼効率に優れた燃料を製造することができる。
【0086】
そして、本開示の多様な実施例によれば、パーム空果房ペレットを製造する場合、パーム空果房の廃棄物処理による費用を節減することができ、パーム空果房の腐敗によって発生するメタンを減らすことができる。
【0087】
また、本開示の多様な実施例によれば、パーム空果房ペレットの燃焼の際、添加剤(アルミノ珪酸塩アルミノ珪酸塩)がパーム空果房内に含有されていた特定の成分(例えば、カリウム、ナトリウム、塩素など)と反応して高融点の物質を生成することができる。よって、パーム空果房内に存在していた特定の成分によるボイラー内部の熱的不均衡、スラギング、ファウリング現象及び腐食問題を改善することができる。
【0088】
特に、パーム空果房からペレットを製造する場合、パーム空果房の廃棄物処理による費用を節減することができ、パーム空果房の腐敗によって発生するメタンガスを減らすことができ、パーム空果房の燃焼の際、パーム空果房に含有されていたアルカリ成分などはアルミノ珪酸塩によって高融点物質に転換されるので、燃料の完全燃焼に寄与し、ボイラーの内壁を含む金属表面が塩化物によって腐食することを事前に防止することができる。
【0089】
また、本発明の多様な実施例によれば、カオリンを使わなくてもパーム空果房内に含有されていたアルカリ成分を制御することで、アルカリ成分によるスラギング及びファウリング現象を抑制することができる。
【0090】
さらに、本発明の多様な実施例によれば、パーム空果房と混合されるアルミノ珪酸塩は高温で重量減少率が小さいので、アルミノ珪酸塩投入量の設定が容易であり、強熱減量による損失が少ないので、カオリンに比べて相対的に少量でもアルカリ成分を制御することができる。
【0091】
また、本発明の多様な実施例によれば、アルミノ珪酸塩は結晶水を含有していないので、400~800℃の高温にアルミノ珪酸塩を熱処理しなくても常温で100~180m/g程度の比表面積を維持することができ、大きな比表面積によって、ペレットの燃焼の際に溶融して放出されるアルカリ成分(例えば、K、Na、KO、NaOなど)を物理的に吸着して除去することができるので、スラギング及びファウリング現象を防止することができる。
【0092】
仮に、アルミノ珪酸塩が結晶水を含有している場合には、高温で熱処理して結晶水を除去することによってのみアルミノ珪酸塩の比表面積が大きくなることができるが、本発明の多様な実施例によれば、結晶水を別に除去しなくてもアルミノ珪酸塩の比表面積数値が高い特性を有しているので、ペレットの燃焼の際、迅速な吸着反応によってアルカリ成分を制御することができる利点がある。
【0093】
以上で説明したように、本発明についての具体的な説明は実施例に基づいて開示したが、上述した実施例は本発明の好適な例を説明しただけであるので、本発明が前記実施例にのみ限定されるものと理解されてはいけなく、本発明の権利範囲は後述する特許請求の範囲及びその均等な概念と理解されなければならないであろう。
図1