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特開2024-132061箔押し印刷型、及び、車両用内装部品の製造方法
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  • 特開-箔押し印刷型、及び、車両用内装部品の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132061
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】箔押し印刷型、及び、車両用内装部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 59/04 20060101AFI20240920BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B29C59/04 C
B60R13/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042700
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】508309887
【氏名又は名称】森六テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】菅澤 達規
【テーマコード(参考)】
3D023
4F209
【Fターム(参考)】
3D023BA01
3D023BB01
3D023BE12
3D023BE31
4F209AF01
4F209AF10
4F209AG03
4F209AG05
4F209AH25
4F209AH26
4F209PA03
4F209PB01
4F209PB16
4F209PC05
4F209PN01
4F209PN06
4F209PQ01
(57)【要約】
【課題】印刷対象物の意匠性を高めることのできる箔押し印刷技術を提供すること。
【解決手段】箔押し印刷型(20)は、箔(12)が載置された印刷対象物(11)に向かって押し当てることにより、印刷対象物(11)の表面に凹凸状の模様を付けながら箔(12)を転写することが可能である。箔押し印刷型(20)は、凹凸状の模様に対応した部位である模様形状部(22)を有する。模様形状部(22)は、縁(22a)が全範囲にわたって同じ厚みに形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箔が載置された印刷対象物に向かって押し当てることにより、前記印刷対象物の表面に凹凸状の模様を付けながら前記箔を転写することが可能な箔押し印刷型において、
前記凹凸状の模様に対応した部位である模様形状部を有し、
前記模様形状部は、縁が全範囲にわたって同じ厚みに形成されていることを特徴とする箔押し印刷型。
【請求項2】
前記模様は、縫い目模様であり、
前記模様形状部は、一縫い分の縫い目に対応し、
前記印刷対象物の表面において前記縫い目模様の延びる方向に対応する方向を長手方向、長手方向に直交する方向を幅方向とした場合に、
前記模様形状部の長手方向の端部において、前記模様形状部よりも高く突出している突出部をさらに有し、
前記突出部の幅方向の長さは、前記模様形状部の幅方向の長さよりも短い、請求項1に記載の箔押し印刷型。
【請求項3】
前記模様形状部の縁は、先端に向かって広がっている、請求項1に記載の箔押し印刷型。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の箔押し印刷型を用いて箔押し印刷を行う、箔押し印刷工程を有する、車両用内装部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箔押し印刷に用いる箔押し印刷型、及び、この箔押し印刷型を用いた車両用内装部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、型押しにより合成樹脂シート上に縫い目模様を擬似的に形成し、かつ箔押しにより縫い目模様に加飾をすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5054944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らが研究したところ、箔押し印刷によって印刷対象物に転写を行った際に、凹凸状の模様の縁を超えた範囲まで箔が付着していることが分かった。縁を大きく超えた範囲まで箔が付着すると、立体的に形成した部位と着色した部位の範囲とのずれが大きくなり、印刷対象物の意匠性が低下する。
【0005】
本開示は、印刷対象物の意匠性を高めることのできる箔押し印刷技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、箔が載置された印刷対象物に向かって押し当てることにより、前記印刷対象物の表面に凹凸状の模様を付けながら前記箔を転写することが可能な箔押し印刷型において、
前記凹凸状の模様に対応した部位である模様形状部を有し、
前記模様形状部は、縁が全範囲にわたって同じ厚みに形成されていることを特徴とする箔押し印刷型が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、印刷対象物の意匠性を高めることのできる箔押し印刷技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1による箔押し印刷型の要部を説明する斜視図である。
図2図1に示した箔押し印刷型を用いた箔押し印刷について説明する図である。
図3図1の底面図である。
図4図4Aは、図3の4A-4A線断面図、図4Bは、準備工程について説明する図、図4Cは、箔押し印刷工程について説明する図である。
図5図5Aは、比較例による問題点について説明する図、図5Bは、実施例による効果について説明する図である。
図6】実施例2による箔押し印刷型の斜視図である。
図7図6に示した箔押し印刷型を用いた箔押し印刷について説明する図である。
図8】実施例3による箔押し印刷型の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【0010】
<実施例1>
実施例1を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1を参照する。箔押し印刷型20は、例えば、手動で上下動させることにより転写を行う転写装置に用いられる。箔押し印刷型20は、転写装置に昇降可能に設けて用いられる。転写装置には、箔押し印刷型20の他に、箔押し印刷型20を加熱するためのヒータ、箔押し印刷型20を昇降させるための操作用レバー等が設けられていても良い。
【0012】
図2を併せて参照する。箔押し印刷型20は、1つの模様形状部22と、この模様形状部22を挟むように両端に形成された突出部23、23と、によって構成される。
【0013】
模様形状部22は、印刷対象物11及び箔に対して押し付けて用いられ、印刷対象物11の表面に所定の模様を形成すると共に箔を転写する。
【0014】
詳細は後述するが、箔は、箔押し印刷型20と印刷対象物11との間に挟み込まれ、印刷対象物11に色が転写されるシートである。
【0015】
箔押し印刷型20が押し付けられることにより、印刷対象物11の表面が模様形状部22及び突出部23に沿った形状とされると共に、箔が転写されて印刷対象物11の表面が着色される。例えば、印刷対象物11の表面には、凹凸状(立体的)の縫い目模様11a(模様11a)が形成される。箔押し印刷型20に対して印刷対象物11を移動させ、箔押し印刷型20を降下させることを繰り返すことにより、縫い目模様11aは、一直線状に形成される。
【0016】
印刷対象物11は、例えば、車両用内装部品である。以下、印刷対象物11を、車両用内装部品11ということがある。より詳細には、車両用内装部品11の例としては、インストルメントパネルの表皮等が挙げられる。インストルメントパネルの表皮に縫い目模様11aを付すことにより、車両用内装部品11により高級感を生じさせることができる。
【0017】
図2及び図3を参照する。模様形状部22の先端は、縫い目模様11aに沿った形状に凹状に形成されている。凹状に形成された部位の底は、縫い糸の模様に似せて斜めの線が入っている。
【0018】
図4Aを参照する。縫い目模様の延びる方向に対応する方向を長手方向、長手方向に直交する方向を幅方向とした場合に、図4Aには、幅方向の断面が示されている。模様形状部22の先端は、略U字状に凹状に形成されている。
【0019】
図3を参照する。模様形状部22の縁22aは、雲形に形成されており、厚みT1が全範囲に亘って同じ厚みに形成されている。模様形状部22は、1つの縫い目模様11a(図2参照)に対応している。
【0020】
突出部23は、模様形状部22の長手方向の端部に形成され、模様形状部22よりも高く突出している。また、突出部23の幅方向の長さL1は、模様形状部22の幅方向の長さL2よりも短い。突出部23は、隣り合う模様形状部22と模様形状部22との間の領域に収まるように、ここからはみ出ることなく形成されている。
【0021】
図2を併せて参照する。連続して縫い目模様11aを形成した場合に、印刷対象物11の縫い目模様11aと縫い目模様11aとの間に対応する部位は、突出部23によって形成されている。突出部23によってより深く凹ませることにより、縫い目模様11aと縫い目模様11aとの間の部位の色は表面からは視認しにくくなる。これにより、縫い目と縫い目の間の部位を表している。
【0022】
次に、車両用内装部品11の製造方法について説明する。
【0023】
図4Bを参照する。まず、印刷前の車両用内装部品11と、箔12と、箔押し印刷型20と、を準備し(準備工程)、箔12を車両用内装部品11の上面に載置する(載置工程)。
【0024】
図5Cを参照する。次に、加熱された箔押し印刷型20を車両用内装部品11に向かって押し当てる(箔押し印刷工程)ことにより、車両用内装部品11の表面の形状を模様形状部22に沿った形状とすると共に、箔12が転写される。これにより、車両用内装部品11が完成する。
【0025】
図5Aを参照する。図5Aには、比較例による箔押し印刷型120が示されている。比較例による箔押し印刷型120は、模様形状部122の内側が凹凸形状の模様に沿った形状とされている一方、外側は略矩形状に形成されている。このため、縁122aの太さが変化する。例えば、模様が細くなる部位において模様形状部122の太さは、T2となる。これは、縁122aが最も細い部位の太さであるT1よりも太い。
【0026】
箔112が印刷対象物111に転写される際には、箔押し印刷型120に押し出されるようにして箔112の一部が凹凸状の模様形状部122の縁122aを超えた範囲まで箔112が付着する(符号112a参照)。
【0027】
図5Bを参照する。図5Bには、実施例による箔押し印刷型20が示されている。実施例による箔押し印刷型20において模様形状部22は、縁22aが全範囲にわたって同じ厚みT1に形成されている。箔押し印刷型20を用いた場合は、模様形状部22の端部からT1だけ離れた位置に箔12が付着する(符号12a参照)。
【0028】
<実施例2>
次に、実施例2を図面に基づいて説明する。
【0029】
図6には、実施例2による箔押し印刷型20Aが示されている。実施例2による箔押し印刷型20Aは、例えば、箔押し印刷(ホットスタンプ)を行うための印刷装置に回転可能に設けて用いられる。実施例1と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0030】
図7を併せて参照する。箔押し印刷型20Aは、略O字状に形成されている基部21の外周面に、印刷対象物11に押し付けられる模様形状部22と突出部23とが交互に設けられてなる。
【0031】
箔押し印刷型20Aが搭載される印刷装置には、箔押し印刷型20Aの他に、印刷対象物11を送るための搬送ローラや箔押し印刷型20と印刷対象物11との間に箔を送るための搬送ローラ、箔押し印刷型20を加熱するためのヒータ等が設けられていても良い。
【0032】
<実施例3>
次に、実施例3を図面に基づいて説明する。
【0033】
図8には、実施例3による箔押し印刷型20Bの断面構成が示されている。箔押し印刷型20Bは、模様形状部22Bの縁22Baが先端に向かって広がっている。
【0034】
なお、模様形状部22Bの縁22Baが先端に向かって広がっている箔押し印刷型20Bとしては、印刷装置に回転可能に設けられても良いし、手動で上下動させる転写装置に用いられても良い。
【0035】
以上に説明した箔押し印刷型及び車両用内装部品の製造方法について以下纏める。
【0036】
図2及び図3を参照する。第1に、箔押し印刷型20は、箔が載置された印刷対象物11に向かって押し当てることにより、印刷対象物11の表面に凹凸状の模様を付けながら箔を転写することが可能である。箔押し印刷型20は、凹凸状の模様に対応した部位である模様形状部22を有している。模様形状部22は、縁22aが全範囲にわたって同じ厚みT1に形成されている。箔押し印刷型20A(図6参照)、箔押し印刷型20B(図8参照)も同様である。
【0037】
図5Aを参照する。前述のとおり、箔112が印刷対象物111に転写される際には、箔押し印刷型120に押されて箔112の一部が凹凸状の模様の縁を超えた範囲まで箔112が付着する(符号112a参照)。模様の縁を大きく超えて箔112が付着すると、印刷対象物111の意匠性が低下する。比較例による箔押し印刷型120を用いた場合は、箔押し印刷型120の縁122aの最も太い部位において、模様からT2だけ離れた位置に箔112が付着する。
【0038】
図5Bを参照する。実施例による箔押し印刷型20において模様形状部22は、縁22aが全範囲にわたって同じ厚みT1に形成されている。箔押し印刷型20を用いた場合は、模様からT1だけ離れた位置に箔12が付着する。比較例による箔押し印刷型120を用いた場合に比べて、箔12の付着する範囲を狭くすることができる。これによって、意匠性の高い印刷対象物11を提供することができる。
【0039】
図2及び図3を参照する。第2に、第1の箔押し印刷型20であって、模様11aは、縫い目模様11aであり、模様形状部22は、一縫い分の縫い目に対応している。印刷対象物11の表面において縫い目模様11aの延びる方向に対応する方向を長手方向、長手方向に直交する方向を幅方向とした場合に、模様形状部22の長手方向の端部において、模様形状部22よりも高く突出している突出部23をさらに有している。突出部23の幅方向の長さL1は、模様形状部22の幅方向の長さL2よりも短い。箔押し印刷型20A(図6参照)、箔押し印刷型20B(図8参照)も同様である。
【0040】
突出部23が形成されていることにより、縫い目模様と縫い目模様との間を適度に離間させることができる。特にこの部位の深さを隣接する部位よりも深くすることにより、意図しない部位へ付着した箔12が表面に表れることを抑制し、より意匠性を高めることができる。
【0041】
また、突出部23の幅方向の長さL1を、模様形状部22の幅方向の長さL2よりも短くすることにより、縫い目模様と縫い目模様との間の部位を細くすることができ、より縫い目模様を本物の縫い目のように表すことができ、意匠性を高めることができる。
【0042】
図8を参照する。第3に、第1又は第2の箔押し印刷型20Bであって、模様形状部22Bの縁22Baは、先端に向かって広がっている。これにより、箔の付着する範囲をより狭くすることができ、印刷対象物11(図2B参照)の意匠性をより高めることができる。
【0043】
図4Cを参照する。第3に、車両用内装部品11は、第1乃至第3のいずれかの箔押し印刷型20を用いて箔押し印刷を行うことにより製造される。換言すれば、車両用内装部品11は、箔押し印刷工程を経て製造される。箔押し印刷型20A(図6参照)、箔押し印刷型20B(図8参照)を用いて箔押し印刷を行うこととしても良い。意匠性の高い高級感のある車両用内装部品11を提供することができ、好ましい。
【0044】
尚、本発明による箔押し印刷型は、車両用内装部品に縫い目模様を転写する例によって説明したが、印刷対象物は、車両用内装部品以外であっても良いし、転写される模様は、縫い目模様以外の模様であっても良い。即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の箔押し印刷型は、車両用内装部品を加飾するのに好適である。
【符号の説明】
【0046】
11…印刷対象物(車両用内装部品)、11a…縫い目模様(模様)
12…箔
20、20A、20B…箔押し印刷型
22、22B…模様形状部、22a、22Ba…縁
23…突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8